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お披露目の儀(後編)
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美優は勇気たちに連れられて少し高い塔に登り、下を見下ろした。
下には祝福ムードの国民たちがひしめき合っていた。
同じ塔には他の貴族と王族も登っていた。
結城が通ると皆ざっと跪いた。
そんな中、美しい女性たちと目が合った。
彼女たちは口々に美優のことを悪く言い始めた。
結城や紀藤には聞こえない小声でわざと言ってくる。
「あの人が新しい王妃?」
「随分貧相ね」
「本当に王妃が務まるのかしら?」
そう言いながらくすくすと笑っている。
その声は悠里に聞こえていたようですぐに悠里が動こうとした。
しかし、ここは自分が何とかしなくちゃいけない場面だという事を美優は知っていた。
だから、悠里を制した。
悠里に小声で大丈夫ですと伝えた。
このくらいの陰口は平気。
「あの程度の娘を選ぶなんて、結城王もたいした事ないのではなくて?」
さすがにこの声だけは許せなかった。
王を侮辱するなんて何様のつもりだと美優は頭に来た。
でもここで手を出すわけにはいかない。穏便に済まさなくてはいけない。
美優は自分の愛おしい人を侮辱した王族の姫の元まで歩いていった。
そうして、にっこりと微笑んで見せ、こう言った。
「ではこの国の国王に仕えているあなたのご両親もあなた自身も大したことないのね」
そう言うと美優は踵をかえして結城たちの方へ戻った。
王族の姫は自分を侮辱されわなわなと震えていた。
姫の両親は青い顔をしていた。
悠里が少し驚いた顔をして美優に駆け寄ってきた。
「私、驚きました。美優様があんなことなさるなんて・・・」
「結城様のことを侮辱するからよ・・・」
美優がこそっと小声で言うと悠里は意外な顔をした。
美優は自分の悪口には何の反応も示さなかった。
しかし結城のことを悪く言った者は許せず、報復に出た。
悠里にはとても予想外な事だった。
(本当に結城様のことがお好きなんですね・・・美優様)
悠里は心の中でそう思った。
あとでこの事を結城に報告したらどんな顔をするだろう。
そう思うと悠里はおかしくて仕方なかった。
結城が振り返り、美優の手を取った。そして自分の方へ引き寄せ美優にキスをした。
その瞬間国民から歓喜の声が沸き起こった。
美優はキスされ、驚いたが微笑んでいるよう言われていたので微笑みながら国民に手を振った。
「これよりこの女性を我が正妃とする!」
結城がそう宣言すると塔の一番上から花が降り注いだ。
とても美しい光景だった。
その場にそぐわないのはさっき結城を侮辱した姫だけだった。
そうして無事に”お披露目の儀”を終えることができた。
下には祝福ムードの国民たちがひしめき合っていた。
同じ塔には他の貴族と王族も登っていた。
結城が通ると皆ざっと跪いた。
そんな中、美しい女性たちと目が合った。
彼女たちは口々に美優のことを悪く言い始めた。
結城や紀藤には聞こえない小声でわざと言ってくる。
「あの人が新しい王妃?」
「随分貧相ね」
「本当に王妃が務まるのかしら?」
そう言いながらくすくすと笑っている。
その声は悠里に聞こえていたようですぐに悠里が動こうとした。
しかし、ここは自分が何とかしなくちゃいけない場面だという事を美優は知っていた。
だから、悠里を制した。
悠里に小声で大丈夫ですと伝えた。
このくらいの陰口は平気。
「あの程度の娘を選ぶなんて、結城王もたいした事ないのではなくて?」
さすがにこの声だけは許せなかった。
王を侮辱するなんて何様のつもりだと美優は頭に来た。
でもここで手を出すわけにはいかない。穏便に済まさなくてはいけない。
美優は自分の愛おしい人を侮辱した王族の姫の元まで歩いていった。
そうして、にっこりと微笑んで見せ、こう言った。
「ではこの国の国王に仕えているあなたのご両親もあなた自身も大したことないのね」
そう言うと美優は踵をかえして結城たちの方へ戻った。
王族の姫は自分を侮辱されわなわなと震えていた。
姫の両親は青い顔をしていた。
悠里が少し驚いた顔をして美優に駆け寄ってきた。
「私、驚きました。美優様があんなことなさるなんて・・・」
「結城様のことを侮辱するからよ・・・」
美優がこそっと小声で言うと悠里は意外な顔をした。
美優は自分の悪口には何の反応も示さなかった。
しかし結城のことを悪く言った者は許せず、報復に出た。
悠里にはとても予想外な事だった。
(本当に結城様のことがお好きなんですね・・・美優様)
悠里は心の中でそう思った。
あとでこの事を結城に報告したらどんな顔をするだろう。
そう思うと悠里はおかしくて仕方なかった。
結城が振り返り、美優の手を取った。そして自分の方へ引き寄せ美優にキスをした。
その瞬間国民から歓喜の声が沸き起こった。
美優はキスされ、驚いたが微笑んでいるよう言われていたので微笑みながら国民に手を振った。
「これよりこの女性を我が正妃とする!」
結城がそう宣言すると塔の一番上から花が降り注いだ。
とても美しい光景だった。
その場にそぐわないのはさっき結城を侮辱した姫だけだった。
そうして無事に”お披露目の儀”を終えることができた。
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