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裏切り
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ようやく走れるまでに回復した大河は庭で刀を持ち素振りをしていた。
大河には真奈の魔力が一切効かなかった。
真奈はそれが大河の体質なのだろうと思った。
他に理由が思いつかなかった。
しかし、その事が真奈を不安にさせた。
大河はもう回復していていつ出て行ってもおかしくない状態だった。
「大河、いつ村へ戻るの?」
「明日にでも行こうと思ってる」
「・・・そう。私も付いていくわ」
「・・・ああ、それは心強いな」
大河は真奈から視線を外した。
「真奈は刀を使えるのか?」
「人並程度なら使えると思う」
真奈がそう言うと刀を一本渡された。
「俺の刀でよければ使ってくれ」
真奈はその刀を受け取らなかった。
「真奈?」
「大丈夫です。私は自分の刀を持って行きますから」
「そうか」
「はい」
明日はいよいよ村へ行く日。
2人は早めに休むことにした。
翌日、2人は朝早く山を下りた。
大河の様子がおかしい。
今朝から目をあまり真奈と合わせようとしない。
よそよそしい感じだ。
でも会話は普通にしてくれる。
「大河。私、何か気に障ることしました?」
「・・・いいや」
やはり素っ気ない。
不思議に思いながらも大河に合わせ山を下りていく。
山を下りると村に着いた。
村は相変わらず荒れ果てていた。
大河があまりの悔しさに拳をきつく握りしめているのが見えた。
「大河・・・」
俯く大河を覗き込むと大河ははっと我に返ったように言った。
「行こう」
「行くってどこへ?」
「・・・村を襲った奴らの所だ」
「いきなり乗り込む気ですか!?」
「・・・」
「危険すぎます。人間は脆いんですよ!?」
「分かってる!だが行くしかないんだ・・・」
歯切れの悪い口調で大河が言った。
「真奈・・・すまない」
「え?」
それから会話は無く盗賊団のねぐらに辿り着いた。
洞穴にねぐらを構えていて土埃の匂いが酷い。
何人かの盗賊たちとすれ違った。
しかし、大河に危害を加えようとしない。
真奈を異質な者を見る目で眺め通り過ぎて行った。
「大河、どういうこと!?」
「・・・今はまだ言えない」
どんどん細い通路を通っていく。
ようやく光が見えた。
そこには広い空間が広がっていた。
その場に座り1人の男が酒を飲んでいた。
「大河、生きていたのか?」
どこか大河を小馬鹿にした態度だった。
「約束通り村の皆を返してもらおうか!!」
「約束?ああ・・・鬼を連れて来たら全員無事に返すと言ったあれか・・・」
「え?」
「真奈、すまない」
大河を見ると辛そうな顔をしていた。
「大河はその条件で私がここへ来るのを止めなかったの!?」
「・・・」
盗賊の頭領は言葉を続けた。
「ただ連れてくるだけでは駄目だったよな?俺の目の前で殺せと言ったよな?」
卑下した笑いを洞窟内に響かせながら頭領は高らかに笑った。
「くっ・・・」
「そう、そんな約束をしていたのね」
(あの優しさも全て私の信頼を得る為だったのね)
胸が冷たく冷めていくのを感じた。
「鬼の女、お前も刀が使えるようだな」
「・・・」
「余興だ。2人で殺し合ってもらおうか」
「な、何だと!?約束が違うじゃないか!」
大河は慌てている。
真奈はその様子をただ冷めた瞳で眺めた。
「いいわ。戦いましょう」
真奈はそう言い切っ先を大河に向けた。
大河には真奈の魔力が一切効かなかった。
真奈はそれが大河の体質なのだろうと思った。
他に理由が思いつかなかった。
しかし、その事が真奈を不安にさせた。
大河はもう回復していていつ出て行ってもおかしくない状態だった。
「大河、いつ村へ戻るの?」
「明日にでも行こうと思ってる」
「・・・そう。私も付いていくわ」
「・・・ああ、それは心強いな」
大河は真奈から視線を外した。
「真奈は刀を使えるのか?」
「人並程度なら使えると思う」
真奈がそう言うと刀を一本渡された。
「俺の刀でよければ使ってくれ」
真奈はその刀を受け取らなかった。
「真奈?」
「大丈夫です。私は自分の刀を持って行きますから」
「そうか」
「はい」
明日はいよいよ村へ行く日。
2人は早めに休むことにした。
翌日、2人は朝早く山を下りた。
大河の様子がおかしい。
今朝から目をあまり真奈と合わせようとしない。
よそよそしい感じだ。
でも会話は普通にしてくれる。
「大河。私、何か気に障ることしました?」
「・・・いいや」
やはり素っ気ない。
不思議に思いながらも大河に合わせ山を下りていく。
山を下りると村に着いた。
村は相変わらず荒れ果てていた。
大河があまりの悔しさに拳をきつく握りしめているのが見えた。
「大河・・・」
俯く大河を覗き込むと大河ははっと我に返ったように言った。
「行こう」
「行くってどこへ?」
「・・・村を襲った奴らの所だ」
「いきなり乗り込む気ですか!?」
「・・・」
「危険すぎます。人間は脆いんですよ!?」
「分かってる!だが行くしかないんだ・・・」
歯切れの悪い口調で大河が言った。
「真奈・・・すまない」
「え?」
それから会話は無く盗賊団のねぐらに辿り着いた。
洞穴にねぐらを構えていて土埃の匂いが酷い。
何人かの盗賊たちとすれ違った。
しかし、大河に危害を加えようとしない。
真奈を異質な者を見る目で眺め通り過ぎて行った。
「大河、どういうこと!?」
「・・・今はまだ言えない」
どんどん細い通路を通っていく。
ようやく光が見えた。
そこには広い空間が広がっていた。
その場に座り1人の男が酒を飲んでいた。
「大河、生きていたのか?」
どこか大河を小馬鹿にした態度だった。
「約束通り村の皆を返してもらおうか!!」
「約束?ああ・・・鬼を連れて来たら全員無事に返すと言ったあれか・・・」
「え?」
「真奈、すまない」
大河を見ると辛そうな顔をしていた。
「大河はその条件で私がここへ来るのを止めなかったの!?」
「・・・」
盗賊の頭領は言葉を続けた。
「ただ連れてくるだけでは駄目だったよな?俺の目の前で殺せと言ったよな?」
卑下した笑いを洞窟内に響かせながら頭領は高らかに笑った。
「くっ・・・」
「そう、そんな約束をしていたのね」
(あの優しさも全て私の信頼を得る為だったのね)
胸が冷たく冷めていくのを感じた。
「鬼の女、お前も刀が使えるようだな」
「・・・」
「余興だ。2人で殺し合ってもらおうか」
「な、何だと!?約束が違うじゃないか!」
大河は慌てている。
真奈はその様子をただ冷めた瞳で眺めた。
「いいわ。戦いましょう」
真奈はそう言い切っ先を大河に向けた。
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