Lost Heroines

えりー

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恋人の関係

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「マネージャー!!」
「・・・マネジャー・・・」
「「どうかヒバリを恋人にしてください」」
悟は真っ赤になりながら狼狽えた。
それはそうだろう。
いきなりそんな事を言われて狼狽えない人はいない。
「わたしたち帰るから、後は2人で話しあってー!!」
「私も帰る・・・」
そう言いネイルとライラックは帰って行った。
残されたのは真っ赤になったヒバリと悟だった。
「と、とりあえず何か飲み物を用意するよ」
「はい・・・」
ヒバリは真っ赤になったままソファに腰かけた。
悟は俯きがちなヒバリを横目に見て、溜息をついた。
(ヒバリの事を諦めようとしていたのにどうしてこうなった・・・?)
念願の夢のプロデューサーとしての仕事。
それを恋愛でダメにしたくはないが悟の気持ちはもうヒバリの元にあった。
まさか3人からお願いされるとは思わなかった。
ここまでされると悟も引き下がれなくなってくる。
仕事は大事だがヒバリの事もとても大切だ。
「あの・・・マネージャー・・・」
「うん?」
「・・・そろそろお返事貰えませんか?」
「あの返事か・・・俺は前にも言ったようにヒバリが好きだよ」
「それなら恋人にしてください」
悟は一番気になっていたことを聞いた。
「何でそんなに恋人になりたいんだい?」
「・・・独占したいからです」
真っすぐ見つめられそう答えたヒバリはとても美しく見えた。
しかし俺なんか独占しても何にもならないだろうに・・・。
「俺の心はもうヒバリだけのものだよ」
「それってー・・・」
「いいよ。恋人になろう。ただし条件がある」
「条件?」
ヒバリはきょとんとして首を傾げた。
「条件は人目のある所では普通に接する。俺のマンションには来ないこと」
「それくらいなら守れます!!」
悟はその答えを聞き少し安心した。
「でも・・・」
「でも?」
「いつ恋人らしいことが出来ますか?」
「俺が君たちのマンションに行くよ。3人の女の子がいてマネージャーが出入りしていてもおかしくはないだろう?」
「まぁ、確かにそうですけど・・・それじゃあ二人きりになれないです」
「ヒバリの部屋に行けばいい。そこで思い切りいちゃいちゃしよう」
「いっ、いちゃいちゃ・・・」
露骨に言葉に出すとヒバリは動揺した。
「それとも今いちゃいちゃするかい?」
からかったつもりだったがヒバリは本気にとった。
「分かりました。い、いちゃいちゃしましょう」
「思わず珈琲を吹き出しそうになった悟だった。
悟はどうしたらいいのかわからなくなった。
そっとヒバリが自分の座るソファの隣に腰を下ろした。
悟はそんなヒバリが可愛くて愛おしくて堪らなくなった。
しかし、手を出すわけにはいけない。
ヒバリには清純派アイドルとしてデビューしてもらいたい。
ぐっと自分の欲求を悟は抑え、距離を取ろうとした。
するとヒバリが悟の腕を引き寄せ軽くキスをした。
そして悟の背に手を回し抱きしめた。
ヒバリの心音が聞こえる。
凄く高鳴っていた。
きっと勇気を出しての行動だったのだろう。
「・・・ヒバリ・・・」
「マネージャー・・・好きです」
そうしてもう一度唇を重ねた。
暫く抱き合っていると突然悟のスマホが鳴った。
慌てて2人は離れた。
電話は事務所からのものだった。
今からヒバリ、ネイル、ライラックを事務所へ連れてこいという内容だった。
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