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恋の始まり
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俺の名前は結城 健
俺の悩みはいつも好きになってはいけない人に恋してしまうことだ。
幼い頃からそうだった。
恋愛の対象はおんなじ性別の男。
そんなこともあり、俺は友人を作らずなるべく一人で過ごすようにしている。
うっかり好きになってしまったらもう友人として傍に入れなくなってしまうから。
そうしている間に俺は大学生になっていた。
大学でも好きな人を作らないため極力人との接触を避けていた。
周りもそんな俺を特に気にする様子もなく月日が流れていった。
ある日道で迷子になっている外国人を見つけた。
髪は金髪。目は青い瞳。身長は190は軽く超えていた。
その外国人は手に地図を持っていてどこかへ行こうとしているようだった。
道に迷ってキョロキョロ辺りを見回して人を見つけては道を尋ねようとしていた。
だが、誰一人助けてあげる者がいなかった。
皆、彼が声をかけようとすると逃げて行ってしまう。
それはそうだろう・・・。
あんな図体のデカい外国人に話しかけられたら驚くだろう。
そもそも日本人のほとんどがまともに英語を話せない。
俺も英語は話せないがなんだか放っておけなくてつい彼に声をかけてしまった。
「・・・さっきから見てたんだけど・・・どこに行きたいんですか?」
「ココへ行きたいデス」
(なんだ日本語話せるんじゃないか)
地図を見ると自分の通っている大学だった。
「ああ、俺が通っている大学か。今から行くところだから一緒に行こう」
「アリガトウございマス」
片言の日本語でぎこちなくお礼を言われ、微笑まれた。
健はドキンっと自分の心臓が高鳴るのを感じた。まずい。
(早く大学まで送り届けて離れないと)
「ダイガクこの近くデスか?」
「・・・もう着く」
赤くなった顔を見られないようにそっぽを向いて答えた。
「俺、名前ミヤビっていいます」
「あ、俺は健っていうんだ」
「ミヤビ?ずいぶん日本的な名前ですね」
「俺の親、日本がダイスキでこんな名前に。俺もこの名前好き」
またミヤビはふわりと微笑んだ。
健は胸を抑えた。もう限界だ。
「この先が大学だからもう一人でも来れますよね。用事を思い出したから先に行きます」
「あっ、待ってクダサイ」
ミヤビは健の腕をつかんだ。ミヤビの力は強かった。健は少し体のバランスを崩した。
「ヤッパリ迷惑でしたか?すみません。アリガトウございました」
「いや、迷惑じゃなかったですよ。久しぶりに人と話せて楽しかったです。じゃぁ・・・」
そう言い健は走り去った。
心臓がどきどきと高鳴っている。
つかまれた腕が熱い。
もう会うこともないだろう。
大学は広い。
よほどのことがない限り会わないだろう。
危なかった・・・。
もう少しで好きになってしまう所だった。
健は自分が惚れやすいことも自覚している。
(綺麗な奴だったな・・・大学で話題の中心になりそうだな)
健はそう思いミヤビのことを忘れようとした。
俺の悩みはいつも好きになってはいけない人に恋してしまうことだ。
幼い頃からそうだった。
恋愛の対象はおんなじ性別の男。
そんなこともあり、俺は友人を作らずなるべく一人で過ごすようにしている。
うっかり好きになってしまったらもう友人として傍に入れなくなってしまうから。
そうしている間に俺は大学生になっていた。
大学でも好きな人を作らないため極力人との接触を避けていた。
周りもそんな俺を特に気にする様子もなく月日が流れていった。
ある日道で迷子になっている外国人を見つけた。
髪は金髪。目は青い瞳。身長は190は軽く超えていた。
その外国人は手に地図を持っていてどこかへ行こうとしているようだった。
道に迷ってキョロキョロ辺りを見回して人を見つけては道を尋ねようとしていた。
だが、誰一人助けてあげる者がいなかった。
皆、彼が声をかけようとすると逃げて行ってしまう。
それはそうだろう・・・。
あんな図体のデカい外国人に話しかけられたら驚くだろう。
そもそも日本人のほとんどがまともに英語を話せない。
俺も英語は話せないがなんだか放っておけなくてつい彼に声をかけてしまった。
「・・・さっきから見てたんだけど・・・どこに行きたいんですか?」
「ココへ行きたいデス」
(なんだ日本語話せるんじゃないか)
地図を見ると自分の通っている大学だった。
「ああ、俺が通っている大学か。今から行くところだから一緒に行こう」
「アリガトウございマス」
片言の日本語でぎこちなくお礼を言われ、微笑まれた。
健はドキンっと自分の心臓が高鳴るのを感じた。まずい。
(早く大学まで送り届けて離れないと)
「ダイガクこの近くデスか?」
「・・・もう着く」
赤くなった顔を見られないようにそっぽを向いて答えた。
「俺、名前ミヤビっていいます」
「あ、俺は健っていうんだ」
「ミヤビ?ずいぶん日本的な名前ですね」
「俺の親、日本がダイスキでこんな名前に。俺もこの名前好き」
またミヤビはふわりと微笑んだ。
健は胸を抑えた。もう限界だ。
「この先が大学だからもう一人でも来れますよね。用事を思い出したから先に行きます」
「あっ、待ってクダサイ」
ミヤビは健の腕をつかんだ。ミヤビの力は強かった。健は少し体のバランスを崩した。
「ヤッパリ迷惑でしたか?すみません。アリガトウございました」
「いや、迷惑じゃなかったですよ。久しぶりに人と話せて楽しかったです。じゃぁ・・・」
そう言い健は走り去った。
心臓がどきどきと高鳴っている。
つかまれた腕が熱い。
もう会うこともないだろう。
大学は広い。
よほどのことがない限り会わないだろう。
危なかった・・・。
もう少しで好きになってしまう所だった。
健は自分が惚れやすいことも自覚している。
(綺麗な奴だったな・・・大学で話題の中心になりそうだな)
健はそう思いミヤビのことを忘れようとした。
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