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雷属性のウィザード

8話 プレゼント

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夢の中


幼いアールモンドが言う
『お前も サーが付く名前だ アーサー・スペイサー それも2回も付く 本の中と同じだな?』

幼いアーサーが気付くと 微笑して言う
『それはね!アーリィー!スペイサーの サーは  騎士って言う 意味なんだよ!アーリィー!』

アールモンドが言う
『騎士?』

アーサーが言う
『そう!だから この本に出て来る サーサーたちと同じで  スペイサーも ”王様の騎士”だったんだ!』

アールモンドが言う
『…なら  ”アーサー”は 何だ?』

アーサーが衝撃を受けて言う
『へ?”アーサー”は?えっと…』

アールモンドが言う
『スペイサーが  ”王様の騎士”なら  アーサーは ”何の騎士”なんだ?』

アーサーが閃いて言う
『それなら!アーサーは  ”アーリィーの騎士” って意味だよ  アーリィー?』

アールモンドが言う
『アーリィーの騎士… だから お前は アーサーなのか?アーサー?』

アーサーが笑顔で言う
『そうだよ アーリィー!』

アーサーが本を読んで言う

『”アーサーは”言いました この世界の平和のため 我が王のため この命尽きる時まで 我が王の騎士として これからも邁進する事を誓います ”アーリィー王は”言いました この度の働きと共に その方の誓いたるは見事なり なればその方へ  褒美として この銀の指輪を与えよう』

アールモンドが衝撃を受けて言う
『銀の指輪 なんて つまらない!俺は 褒美なら 綺麗な宝石の付いた 指輪を与えるぞ!アーサー!』

アーサーが笑って言う
『銀の指輪は 騎士の名誉なんだよ アーリィー だから 騎士がもらう指輪に 宝石は要らないんだよ』

アールモンドが言う
『銀の指輪が 騎士の名誉?』

アーサーが言う
『そうだよ アーリィー!だから アーリィーも 俺に 銀の指輪をくれる?アーリィーは 俺の王様だから!』

アールモンドが言う
『銀の指輪は 褒美なんだろ?アーサーは 何か褒美を もらう事をしたのか?』

アーサーが衝撃を受けて言う
『え!?えーっと 誓いは出来るけど 褒美を貰える様な事は まだ無いかな?』

アールモンドが言う
『それじゃ 指輪はあげないぞ アーサー?銀の指輪が欲しいなら 誓いだけじゃなくて 俺の 助けにならなきゃ 駄目だ!』

アーサーが言う
『うん!分かったよ アーリィー!それじゃ 俺 いっぱいアーリィーを助けて いつかアーリィーに 銀の指輪をもらうよ!』

アールモンドが言う
『いっぱいだぞ アーサー!アーサーは アーリィーの騎士なら いっぱい 俺を助けなきゃ 褒美はあげないぞ』

アーサーが喜んで言う
『うん!分かったよ アーリィー!俺 一杯 頑張るからね!』


アールモンドが目を開くと言う

「一杯頑張る… か…」

アールモンドが寝返りを打って思う
(その結果が アレかよ…?アーサーの馬鹿が…)

アールモンドの脳裏に アーサーの瞳が思い出される

アールモンドが息を吐いて言う
「頑張り過ぎだろ…」

アールモンドが思う
(…まぁ 俺も …結局 褒美を与えなかったけどよ?)

アールモンドが言う
「褒美… か…」

アールモンドが思う
(俺が アイツの王なら 褒美くれぇ 与えねぇとな…?…まさか それを待ってるのか?本当に…?アイツは俺から 銀の指輪を…?)

アールモンドが苦笑して言う
「…な 訳ねぇか?」

アールモンドが 毛布に入り直して思う

(ガキじゃあるめぇし…?)


夢の中 

アールモンド父が言う
『アーリィー これを お前へ渡そう』

幼いアールモンドが 父から手渡されたものを見て思う
《指輪…?黒い石の…?》

アールモンドが言う
『今度は この石が 僕に魔力をくれるの?それで この石が 力を失ったら 父さんに報告して …また 新しい指輪を?』

父が言う
『いや、その魔石は お前の魔力を 奪う魔石だ』

アールモンドが衝撃を受け 慌てて言う
『そ、そんなの要らない!折角 魔力を上げたのに その魔力を 奪う魔石なんて!こんな指輪は 要らないよ 父さん!』

アールモンドが指輪を遠ざけると 父がその手を包んで言う
『聞きなさい アーリィー お前はこれから この魔石を精製させなさい』

アールモンドが言う
『嫌だっ 魔石は精製されたら 力を発揮する この魔石を精製したら 僕の魔力が 取られちゃうんでしょ!?』

父が言う
『確かに 魔石は精製を行えば その力を発揮する しかし お前は この黒曜石を精製し 出来上がったそれを お前の従者である アーサーへ 渡しなさい』

アールモンドが言う
『従者?父さん?アーサーは 僕の世話役 だって?』

父が苦笑して言う
『…彼は 従者となった やはり世話役などでは 終わらなかったな?』

父がうつ向く

アールモンドが疑問して言う
『…父さん?』

父が辛そうに微笑して言う

『いや だからこそ アーリィー 必ず この黒曜石の指輪を精製し アーサーへ渡しなさい これがあれば… 万が一 彼が お前の世話役を辞め お前の下を去ったとしても それまでの間に お前へ与えてしまった 己の魔力を お前から取り戻す事が出来る』

アールモンドが思う
《アーサーが 僕の世話役を 辞める?アーサーは 僕の騎士だから 辞める事なんて無い!こんな指輪なんて!》

父が言う
『今のお前では その魔石の精製に 時間が掛かるだろうが 5日… もしくは一週間 肌身離さずに持っていれば…』


 《 俺は 嫌々ならがらも 親父の言う通り 黒曜石を精製した… だが 完成した あの指輪は…》


アーサーの声が聞こえる
「…リィー!アーリィー!」

アールモンドが思う
(結局… お前には 銀の指輪も 黒曜石の指輪も 俺は 与えては やれなかったな…)

アーサーの声が聞こえる
「アーリィー!アーリィー!!起きて!もう 時間だよっ!?」

アールモンドが思う
(アーサー…)

アールモンドが目を覚ますと アーサーが呼び掛けを止めて 微笑して言う

「おはよう!アーリィー!よく寝てたね?」

アールモンドが言う
「うん?あぁ…?もう 時間か…?今は何時だ?なんっか 薄暗ぇなぁ…?」

アーサーが苦笑して言う
「うん 今は 午後1時 今日は午後から 天気が崩れるって 予報だったんだけど この感じだと 少し強い雨が降るかもしれないね?」

アールモンドが言う
「雨か… 久しぶりだな?」

アールモンドが右腕を上げる アーサーがその手を取って アールモンドの身体を起き上がらせると言う

「さっきまで 気温も高めだったから 作業を終えて帰る頃には ひょっとしたら 雷も鳴る様な 夕立になるかも?折角の アーリィーウィザード様の 仕事始めなのに ちょっと残念だね アーリィー?」

アールモンドが立ち上がると言う
「何言ってんだ アーサー?雷は そのアーリィーウィザード様の 属性じゃねぇかよ?仕事始めには 持って来いだぜ?」

アールモンドが出入り口へ向かって行く
アーサーがクローゼットから 法衣を取り出して苦笑して言う

「俺だって アーリィーの魔法の雷なら良いんだけど 自然に出来る雷は 落ちると 停電になったりするから それは困るなぁって?」

アールモンドがアーサーに 法衣を着せられ 帽子を取ると言う

「ああ そういや いつか あったっけなぁ?夕立の雷で停電して 真っ暗になった屋敷の中で 悲鳴を上げて 俺に 助けを求めて来た 誰かの騎士様が?あんまりにも 泣き叫んで たまんねぇから 魔法で照らしてやったっけ?」

アーサーが衝撃を受け 苦笑して言う
「ごめーん アーリィー 俺 暗いのだけは どうしても苦手で」

アールモンドが帽子をかぶりつつ ベッドルームを出て言う

「いくら苦手ったってなぁ ありゃ異常だぜ?そもそも 暗いのが苦手だって言うのなら 昼ならともかく 夜寝る時には どうしてるんだよ アーサー?」

アーサーがアールモンドを追って 歩きながら苦笑して言う
「夜は 電気を付けたまま 寝てるよ?」

アールモンドが衝撃を受けて言う
「はっ!?マジかよっ!?信じらんねぇ… けど、なるほどな?それでいつも 俺の部屋の 電気を消し忘れるんだな?ようやく理解出来たぜ アーサー?」

アーサーが言う
「だって 暗い夜に 電気を消したら 何も見えなくなっちゃうでしょ?もちろん 夜は眠るだけだから 電気が必要無いのは 分かっているんだけど…」

アールモンドが言う
「まったくだぜ?電気代の無駄だな?」

アーサーが立ち止まり言う
「ごめんなさい…」

アールモンドが立ち止まり 振り返ると アーサーが すまなそうにうつ向いている アールモンドが困ると言う

「あ…っ いや… ば、馬鹿っ!アーサー!非魔力者が ウィザードに謝るんじゃねぇよ!戒めに 引っかかるじゃねぇかっ!」

アーサーがすまなそうに苦笑して言う

「けど アーリィーの言う通り 電気代の無駄なのは 俺も分かってるから… だから 俺 もう少し頑張ってみるけど こればっかりは ちょっと 自信ないかも…」

アールモンドが沈黙する 

アーサーが怯えをこらえて言う
「真っ暗になって 何も見えなくなる… 俺は そうなるのが怖くて …俺 以前は凄く 目が悪かったから」

アールモンドが思う
(そいつはきっと 代々 ウィザードに仕えてきた従者である お前の素質の現れだったんだろう …レイモンド家の従者は 雷に目を焼かれると 言い伝えられて来たからな)

アーサーが苦笑して言う
「だから子供の頃は良く 本は読むなって 怒られたんだけどね?これ以上 悪くなって いつか何も見えなくなったらどうするんだ って… そう言われて 俺 怖くなっちゃって…」

アールモンドが気を取り直して言う
「…ま、まぁ …そう言う事なら しょうがねぇだろ?…誰にだって 苦手の一つや二つ あるってもんだぜ?」

アーサーが苦笑して言う
「ありがとう アーリィー 俺 アーリィーに 助けられてばかりだね?」

アールモンドが思う
(助けられているのは 俺の方だけどな…)

アールモンドが言う
「…ま、お前は俺の奉者なんだ だったら お前の ウィザード様である 俺が 助けてやるのは当然だろ?」

アールモンドがアーサーに 背を向けて思う
(助ける か… だったら やっぱり 銀の指輪はともかく 黒曜石の指輪は 用意してやるべきか?)

アーサーが何かを 閃いてポケットを漁る

アールモンドは気付かないまま思う
(そうだな?ガキの頃とは違って 今じゃ四六時中 一緒に 居る訳じゃねぇ… ともすれば アーサーは 俺が魔力を上げる 修行をしている間に 俺に黙って フェンシング大会に出場して 決勝戦へまで 勝ち進む様な奴だ)

アーサーがアールモンドの近くまで来る アールモンドが考えながら アーサーの気配に顔を向ける

アールモンドが思う
(決勝戦の相手ともなれば 非魔力者であっても 世界大会で 決勝戦まで上り詰めるほどの 精神力の持ち手… ともすれば アーサーにある 俺の 残留魔力が 弱められる可能性だって… いや?そもそも アーサーが俺から 離れて 一人で行動するとなれば その時点で 俺の知らない間に 他の ウィザードに…)

アーサーが言う
「アーリィー?」

アールモンドが思う
(…とにかく 理由は なんであれ アーサーから 俺の残留魔力が消されれば 黒曜石を持たないアーサーは その時点で…っ …なら まずは黒曜石を 手に入れねぇと 始まらねぇ訳だが その黒曜石は… と言えばだな?)

アーサーが言う
「アーリィー?」

アールモンドが思う
(馬鹿高ぇんだよっ!アーサー!)

アーサーが言う
「アーリィー?どうかした?」

アールモンドがハッとして言う
「お、おうっ あ、いや…?何も…?」

アールモンドが視線をそらして思う

(それこそ お前が欲しがってた 銀の指輪の方が 遥かに楽だったのによ…っ クソ…ッ 親父からもらった あの 黒曜石の指輪を 素直に お前に渡していれば…っ)

アーサーが言う
「そお?なら、あのね?アーリィー?本当は俺 今日の 魔力供給を終えて 帰って来てからにしようと 思ってたんだけど」

アールモンドがハッとして思う

(…てっ!?いや?待て!アーサー!い、今 その話かよっ!?ちょっと待ってくれ アーサーっ 今は それ所じゃねぇんだっ 優勝の祝いに 銀の指輪でも 金の指輪でも 買ってやるからっ だから 今は…っ!黒曜石の指輪だけは そう簡単には買えねぇっ!あんな 小っせえ魔石が 1個4億だぞ!?)

アーサーが言う
「実は」

アールモンドが悔やみながら思う

(こんな事なら 魔法使いの間に 思い直して 蜀魔台の灯魔作業でも 死ぬほど やってれば良かったぜっ!その蜀魔台の ン十倍の効力がある 灯魔作業が出来るようになった 今じゃ 蜀魔台みてぇな弱っちいモンの 灯魔作業は それこそ 死ぬほど出来ねぇえっ!)

アーサーが言う
「俺」

アールモンドが思う
(…となりゃ どうする!?灯魔作業だろうが 上級灯魔作業だろうが 何だろうが やるからっ!?それこそ 俺が お前ら奉者協会の 従者に なるから 4億貸してくれって 頼むかっ!?)

アーサーが言う
「アーリィーに」

アールモンドが思う
(そうだぜっ!?そもそも ウィザードの灯魔作業は 4億くれぇの価値はあンだろうっ!?この世界を守ってんだぜっ!だったら そのウィザードを 守ってる 従者を守る 黒曜石の購入費用くれぇ 払わせてやるかっ!?それで そいつを急いで精製して…っ!?急いだとしても 今の俺でも 丸3日は 掛かるだろうが…)

アールモンドがハッとして言う
「って!?まさかっ そう言う事かよっ!?」

アーサーが驚いて言う
「って!?え!?何?どう言う事?アーリィー!?」

アールモンドが頭を押さえて思う

(そう言う事かよ 先輩っ!?俺に…っ 俺に アーサーを守る為の 黒曜石の精製をしろってっ?それで いきなり 3日間もの 休暇を 言い渡したのかよ…っ)

アールモンドが消沈して言う
「いくら 静かに流れる水でも 一言くれぇ 言えってンだよ…」

アールモンドが思う
(そして  雷の如き 閃きがあると言われる 雷属性の俺もっ 今頃 気付いても!遅ぇンだよ…っ)

アールモンドが脱力して言う
「…積んだ」

アーサーが苦笑して言う
「えっと…?そろそろ 良いかな?アーリィー?魔力供給の時間も 迫ってるし…?」

アールモンドが言う
「おう…  何だよ?アーサー?」

アールモンドが思う
(もう  ここまで来たら 逃げも隠れもしねぇぜ  アーサー  そもそも 俺と お前との仲だぜ?今更  恥も何も在りはしねぇだろ?だったら!)

アーサーが言う
「実は 俺 アーリィーに 」

アールモンドが思う
(おう 分かってるぜ アーサー お前は俺に 言いてぇ事がある しかも その内容だって… 言わなくたって 俺には もう分かって…!)

アーサーが言う
「渡したいものが あってね?」

アールモンドが疑問して言う
「…て?…あぁ?俺に…?わ、渡したい物?」

アールモンドが思う
(フェンシング大会の 話じゃなかったのか?しかも ”銀の指輪をくれ” と言う所か お前が 俺に…?大体 お前からなら  もう十分に 俺は…)

アーサーが言う
「これなんだけど 受け取ってもらえる?アーリィー?」

アーサーが手を開くと  ブローチの宝石が煌めく  アールモンドが呆気に取られて言う
「宝石…?魔石じゃねぇのか?」

アーサーが苦笑して言う
「うん 魔石はとっても 高いからね?俺みたいな 普通の人間には とても手が届かなくて それで 宝石になっちゃったんだけど」

アールモンドが宝石を見ると 宝石が煌めく

アールモンドが思う
(あぁ やっぱり 宝石は綺麗だぜ… キラキラ光を反射する …最も そいつが 魔力を吸収しなけりゃいけねぇ魔力者にとっては 悪ぃんだが …とは言え この宝石は)

アールモンドが言う
「ダイヤモンドでもねぇのに 色が付いてねぇんだな?」

アールモンドが思う
(一体なんって宝石だ?)

アーサーが苦笑して言う

「うん そうなんだよね?俺も最初は 色の付いた宝石にしようと 思っていたんだけど アーリィーは 何色が好きなんだ?って 聞かれたら 分からなくて?それで 俺が迷ってたら これが良いんじゃないかって グレーニッヒ様に お勧めされたものだから つい」

アールモンドがハッとして言う
「グレーニッヒ様?お前っ まさか それを買ったのは…っ!」

アーサーが言う
「うん!これは グレーニッヒ様の お店で 買って来た物だよ アーリィー だから安心して?」

アールモンドが言う
「安心ってっ!?」

アールモンドが思う
(馬鹿 言うなよっ アーサー!寄りに寄って グレーニッヒ様の!?俺より 強ぇウィザードの居る店に お前が一人でっ!!)

アーサーが言う
「以前 アーリィーと一緒に あの お店に行った時 教えてもらったじゃない?あの お店の宝石は グレーニッヒ様が 精製したもので 欲に塗れた 人間の精製した宝石とは違って 波動も正方向だから 魔力の吸収を 阻害する事は無いって?アーリィー あの時は 魔石しか買わなかったけど」

アールモンドが視線をそらして思う

(コイツはもう 洒落にならねぇぞっ!?黒曜石が どうなんて事よか アーサーには 他のウィザードに対する 危機感ってモンが まったくねぇンだっ!だったら どうする?もう 迷ってる場合じゃねぇんじゃ ねぇのか?従者の事を教えて とりあえず 俺 以外のウィザードには 近づくなとっ!?会ったら 逃げろ位に脅しとかねぇとっ!?…いや けど)

アーサーが疑問して言う
「アーリィー?」

アールモンドが思う
(そうと教えた所で 相手のウィザードが本気なら 非魔力者である アーサーが どうしようと 意味がねぇ… 逃げ様が 隠れようが アーサーから 俺の残留魔力を 奪っちまえば 俺から従者の力が無くなって それで… 黒曜石を持たねぇ アーサーも その時点で…っ  なら やっぱり 黒曜石をっ!)

アーサーが苦笑して言う
「やっぱり ちょっと気に入らなかった?アーリィーの法衣は グレーニッヒ様や アイザック様と違って 割と明るめの色だから 色の付いた宝石の方が 良かったよね?ごめーん アーリィー」

アールモンドが言う
「…いや そんな事よか…」

アールモンドが思う
(どうする?とりあえず 話すか?それで 黒曜石を どうにかして手に入れて それを精製するまでの間は 俺から 離れるなと言うか?それが… 一番 安全っちゃ 安全だが…)

アールモンドが頭を押さえて言う
「そもそも…」

アールモンドが思う
(黒曜石が 手に入らねぇし…っ)

アールモンドがハッとすると アーサーがアールモンドの法衣に ブローチを付けて居て言う

「アーリィー 最近いつも 何か悩んでいるみたいで 大変なのに 俺は 助けてあげられなくて ごめんね?」

アールモンドが視線を泳がせて言う
「…あ いや…」

アールモンドが思う
(それは 俺が…)

アーサーが苦笑して アールモンドの顔を見て言う

「俺 アーリィーの世話役になって 20年も一緒に居るのに アーリィーの 好きな色も知らないし… アーリィーが 一人で悩んで苦しい時に 何も出来ないし 新しい事やろうとすると 失敗するし 電気代も 無駄遣いしちゃう 本当に駄目な奴だけど… そんな俺を 傍に置いてくれて ありがとう アーリィー」

アールモンドが呆気に取られ 視線をそらして言う
「な、何だよ 急に ンな事…」

アールモンドが思う
(20年…?もうンな経つのかよ?気が付かなかった…)

アールモンドが言う
「大体 ンな事 言ったら 俺だって…」

アールモンドが思う
(お前の事を 何も…)

アーサーが言う
「だからね?これは 俺から アーリィーへの 感謝の気持ちを込めての プレゼントなんだけど… あははっ どうやって付けるんだろ?ごめんね アーリィー?もう ちょっとだけ 待って?えっと…」

アールモンドが思う
(プレゼント?お前が 俺に?…それこそ 俺が お前に渡すべきで)

アーサーがブローチを 付け終えて言う
「あ、こうすれば 良いんだ?出来たよ アーリィー!うーん やっぱり 色の付いた 宝石の方が 良かったかなぁ?」

アールモンドが振り返り 鏡に映った自分を見て言う
「…良いんじゃねぇか?あんま 目立たなくてよ?」

アーサーが衝撃を受け 苦笑して言う
「折角の 装飾なのにね?ごめーん アーリィー!?」

アールモンドが言う
「良いって言ってるだろ?目立つ宝石は 見せびらかす様で 気に入らねぇ… 一番でもねぇのに 頭に乗ってると思われる …だったら これ位ぇで良い」

アーサーが言う
「ありがと アーリィー… やっぱり アーリィーは 優しいよね?」

アールモンドが言う
「…そうでもねぇよ」

アールモンドが思う
(お前に 言えねぇ事も あるしな?20年間 散々世話になってるのに… そのお前に 褒美も与えてねぇし…)

アールモンドが気付いて思う
(褒美か…)

アーサーが気を取り直して言う
「それじゃ 魔力供給に行こうか?アーリィー?大分 空も暗くなって来たし 降り出す前に 行っちゃった方が 良いよね?」

アーサーが一度 窓の外を見てから アールモンドへ向く

アールモンドが思う
(なら やっぱり 銀の指輪か?いや 流石に… ンな安いモンじゃな?なんせ 20年間の感謝だぜ?この宝石だって きっと… それなりの金額だ …なんせ  あの店にあって あのグレーニッヒ様が 精製したとなりゃ  それだけでも…)

アールモンドがブローチを見ると ふと気付いて言う
「…ん?」

アールモンドが思う
(魔力?微かではあるが… 確かに 魔力が 込められている?宝石に?)

アールモンドがブローチを見ていると

アーサーが思い出して言う
「あ、そうそう そう言えば?その宝石ね!魔力が 込められているんだって?だから 魔石ではないけど お守りになるって 言ってたよ?ひょっとして 分かる?アーリィー?」

アールモンドが言う
「ああ、宝石に魔力を 込められるなンてな?流石は 土属性だぜ?」

アールモンドが思う
(俺には 逆立ちしたって 出来ねぇな?)

アーサーが言う
「何を お願いしたかは アーリィーにも 秘密にしないと お守りの効果が 消えちゃうんだって?だから アーリィーにも 秘密にするけど 怒らないでね?アーリィー?」

アールモンドが言う
「何を お願いしたかは 秘密って… ちょっと待て!?まさかっ!この宝石に  お前の魔力を 込めたのかよっ!?アーサー!」

アーサーが一瞬 驚いた後 苦笑して言う
「うん そうだけど?」

アールモンドが思う
(馬鹿っ 唯ですら お前は もう ギリギリだって言うのにっ)

アーサーが苦笑して言う

「お守りに使う魔力は 少しだから 大丈夫だって言ってたよ?俺は 良く分からなかったけど アーリィーは ウィザードで ウィザードの杖を持っているから だから ほんの少しでも 効果があるだろうって… どういう意味だろう?アーリィーには 分かる?アーリィー?」

アールモンドが呆気に取られた後言う
「…あ?…いや 分かんねぇけど…」

アールモンドが思う
(あの グレーニッヒ様が そうってぇなら?)

アールモンドが言う
「…死にはしねぇって 事かもな?」

アールモンドが思う
(…なら 良いか?)

アーサーが苦笑して言う
「それは そうだと思うけど… 魔力って そんなに危ない物なの?アーリィー?」

アールモンドが言う
「魔力は生命力と同じだ 魔力者なら 使った分は自然界から取り戻せるが 通常の人間は そうはいかねぇ …だから あんま使うなよ アーサー」

アーサーが言う
「えーっと 俺は 使うなと言われても 使う方法も 分からないけど… じゃ お守りは もう作らない事にするね?アーリィー?」

アールモンドが言う
「おう…」

アールモンドが思う

(そうだ そもそも 俺が お前に お守りを作ってやれば 良いか?黒曜石とまでは 言わねぇでも ちょっとした お守りくれぇなら 俺にも作れるかもしれねぇ… それで そいつを ただのアクセサリーとして お前への礼として 渡せば?…そうだな?せめて それ位のモンは用意してやるべきだろ?)

アーサーが言う
「それじゃ 行こうか?アーリィー?休暇の前は 上級灯魔作業ばかりだったから 魔力供給は久しぶりだね?」

アーサーが向かおうとする アールモンドが思う

(そうだな?魔力供給程度なら それと並行して アーサーへ渡す お守りを 作れるかもしれねぇ… なら まずは その土台となる アクセサリーを… 何にすっか?折角なら アイツが喜びそうなもの… アイツ 何が好きなんだ?そもそも アイツは アクセサリー なんて 付けてねぇし…?)

アールモンドがハッとする

アーサーが振り返り 疑問して言う
「アーリィー?どうかした?」

アールモンドが言う
「アーサー」

アーサーが言う
「うん?なあに?アーリィー?」

アールモンドが思う
(雑念は 魔力供給作業の邪魔になる だったら 先に 確認して置く)

アールモンドが言う
「お前 何か アクセサリーを 付けてるよな?」

アーサーが衝撃を受けて言う
「えっ!?」

アールモンドが思う
(確かに あの時… フェンシング大会の 決勝戦の時に見えた 銀色の鎖… その先に何か付いていた …何だったのかは 遠くて見えなかったが)

アールモンドがアーサーの近くへ向かう

アーサーが後退りつつ言う
「えーっと…?アクセサリー?俺が?」

アールモンドが言う
「別に 隠す必要はねぇだろ?何を付けてるのか 気になっただけだ」

アーサーが苦笑して言う
「た、大したものじゃないよ?ただのお守りで…」

アールモンドが言う
「お守り?」

アーサーが言う
「そう アクセサリーと 言えるほどの物じゃないよ?でも 俺にとっては お守りだから それで」

アールモンドが思う
(アクセサリーと 言えるほどの物じゃない …か それじゃ プレゼントの参考には ならねぇかもな?…いや けど?)

アールモンドが言う
「気に入らねぇものを お守りになんかしねぇだろ?だったら 物はともかく お前が気に入ってるんなら それで良いじゃねぇか?」

アーサーが苦笑して言う
「うん そうなんだ すごく気に入ってるから 大切にしているんだけど… 見せられる程の物じゃないから?それに どうして そんなに?あ、宝石とか付いてないよ?アーリィーはキラキラする物 好きだもんね?けど これは キラキラしてないから?」

アールモンドが思う
(宝石は付いていない… キラキラしていない?なら キラキラしない 宝石じゃないものが 付いてるって事か?キラキラしねぇ 宝石なんて…)

アールモンドの脳裏に 黒曜石の指輪が 思い出される アールモンドが目を見開いて思う
(…まさかっ?)

アーサーが困り苦笑で言う
「ア、アーリィー?」

アールモンドがアーサーに背を向けて思う

(まさか…!?いや 考え過ぎか?落ち着け…っ 大体 黒曜石は 馬鹿高ぇ魔石だぞ?普通の人間である アーサーが 手に入れられるものじゃねぇ!ウィザードで… 元貴族である 俺でさえ 手に入れられねぇ程のものだっ その上 物は魔石だ それこそ金があっても そこらで売られている物じゃ…)

アールモンドが顔を上げると 鏡に映った自分が見え ブローチが光を反射する

アールモンドが思う
(土属性の…っ 奴ならっ!?)

アールモンドがブローチを握り思う
(金を積まなくても 手に入れられるンじゃねぇのか?そもそも 魔力者が使う魔石を 自然界から探し出せるのも 土属性の 魔力者だけだ …だったら?アーサーに 黒曜石の指輪を渡す事だって 大した事じゃねぇ!それで!)

アールモンドがブローチを握る手を強めて思う
(後は 従者が魔力を与えた ウィザードへ 魔力還元の足掛かりとなる物を渡せば?例え 黒曜石の精製を 別の魔力者が行ったとしても それを持つアーサーへ 俺から 魔力が還元されるっ!)

アールモンドがアーサーへ向き直って思う
(アーサー!?まさか お前…っ!?)

アーサーが困って言う
「あの… アーリィー?俺… 何か アーリィーに 悪い事しちゃったかな?だとしたら ごめんなさい 俺 分かんないけど… 俺に出来る事があったら 何でもするし… 俺 何かしたのなら ちゃんと 謝るから だから…」

アールモンドが言う
「…だったら そいつを見せろよ アーサー」

アールモンドが手に持っている杖を アーサーの胸元へ向ける

アーサーが衝撃を受け 苦笑して言う
「え?えっと… そう言う事?その… 本当に これは…」

アールモンドが思う

(そうだ 例え そうだったとしても良い それで お前は助かる …俺が与えなかった …与えられなかったものだ …だったら お前は 自分の身を守る為に それを手に入れる権利がある …けど 出来る事なら… もし… もし お前が 本当に ”アーサー”だって言うのなら 俺は 今度こそ お前に…)

アーサーが困って言う
「それは そうだけど… その… 出来れば 勘弁してもらえないかな?アーリィー?俺にも その… 一応 羞恥心とかも あるし…?」

アールモンドが言う
「羞恥心?」

アールモンドが思う
(何 言ってやがるんだ?アーサー?それこそ お前は 俺の全てを知ってるだろ?俺は お前の事は… 何一つ知らねぇが ンな事は もう!どうでも良いぜ!)

アールモンドが怒って言う
「俺と お前の間に 羞恥心も 何もねぇだろ アーサー!今更 お前が 何を隠して様が 俺は動じねぇ!それに お前は宝石じゃねぇと 言ったが!」

アールモンドが杖を意識すると 杖に付いて居る魔鉱石が 薄っすらと光る

アールモンドが言う
「何かの石が 付いてるって事は 同じ石で出来てる コイツには分かるんだよっ それでも お前が見せねぇって言うならな!?」

アールモンドが思う
(俺の事が… ンなに 信じられねぇ ってンなら!)

アールモンドが視線を強めると 杖が光る

アーサーが驚いて言う
「…え?うわあっ!」

アーサーの胸に雷の魔法が当たり 服のボタンが外れると 同時に アーサーの身体から 一瞬 アールモンドの残留魔力が離れかけ 強いめまいに襲われる

アーサーが目元を押さえて言う
「う…っ な、何?今の…っ?目、目が… 一瞬 見えなくなって… アーリィー?」

アーサーが顔を上げ アールモンドを見ようとすると 視界がぼやけている

アーサーが呆気に取られて言う
「…あ、あれ?視力が?目が 見えなく…?」

アーサーの視界の中 ぼやけて見える アールモンドの姿が後退る

アールモンドが呆気に取られていて思う
(嘘… だろ…?アーサー…)

アールモンドが手を握り締める アーサーの首元にあるネックレスに 黒い魔石の付いた指輪が 掛けられている アールモンドがうつ向き 歯を食いしばる

アーサーの視界が元に戻って行くと アーサーが言う

「な、治った?良かった… アーリィー?俺… 凄く怖かったよ?だって 今の… 魔法… だよね?アーリィー?魔力者は その… 普通の人に 魔法は 使っちゃいけないって… アーリィー だから 今のは ちょっと… 駄目… だよ?いくら アーリィーでも… はぁ… はぁ… 俺… 怖いよ…」

アーサーが息を整える アールモンドの頬に涙が伝うと アーサーに背を向ける

アーサーが顔を上げて言う
「アーリィー?どうして…?」

アールモンドがベッドルームへ向かって行く

アーサーが言う
「アーリィー?」

アールモンドが思う
(信じたくなかったっ 俺の 勝手なのは分かってるっ 俺は 受け入れるつもりでいたンだっ!だが!)

アーサーが言う
「アーリィー!?」

アールモンドが額を押さえて思う
(俺は お前を 信じてたんだよっ 馬鹿みてぇに!ガキの頃と変わらずに!信じてたんだっ …畜生っ!)

アールモンドが言う
「”アーサー”…っ」

アーサーがハッとして立ち上がると

アールモンドの後ろへ来て言う
「アーリィー?何があったの?俺… 助けられないかも しれないけど…」

アールモンドが手を握り締める アーサーがそれを見て

アールモンドの背へ言う
「俺は アーリィーの…!」

アールモンドが叫ぶ
「うるせえっ!」

アーサーが驚いて言葉を失う

アールモンドが思う
(分かっていた つもりだった…っ コイツだって 仕事で やっていたんだ… 俺の奉者で 俺の世話役… それも全ては…っ!)

アールモンドが肩の力を抜く

アーサーが言う
「…ごめんね アーリィー?俺 どうしたら良いのか 分からないんだけど… 俺に 出来る事は 何かないかな?何かあるなら 俺 頑張るから だから…」

アールモンドがうつ向くと 涙がボロボロこぼれる

アールモンドが思う
(もう 耐えられねぇ… 俺は お前を 信じてたんだよ… アーサー…っ)

アールモンドが言う
「…てけ…っ」

アーサーが言う
「え?なあに?アーリィー?」

アールモンドが言う
「出てけ アーサー」

アーサーがハッとすると 表情を悲しめて言う
「そう… ごめんね アーリィー?俺… 何も出来ないんだね?…それじゃ 何かあったら 呼んでね?俺 すぐに来るから?」

アールモンドが言う
「…そうじゃねぇ」

アーサーが言う
「え?それじゃ?」

アールモンドが言う
「お前は クビだ アーサー…」

アーサーが呆気に取られて言う
「…え?何?…どう言う …事?アーリィー?」

アールモンドが言う
「分からねぇのか?お前は 俺の奉者としても 俺の世話役としても クビだっつってんだよっ!」

アーサーが言う
「そ、そんな?嫌だよっ!アーリィー!?どうしてっ!?俺…っ 俺はっ アーリィーの為なら 何でもするのにっ!?なのにどうしてっ!?」

アールモンドが苦笑して言う
「はっ!…何でもする?」

アーサーが言う
「そうだよ アーリィー?だって俺 アーリィーに誓ったじゃない?”我が王のため この命尽きる時まで 我が王の騎士として これからも邁進する事を誓います”って あれは 俺  本気で…」

アールモンドが一瞬反応する

アーサーが苦笑して言う
「子供の頃に 言った言葉だけど 俺は ずっと それをして来たつもりだよ?だから 俺は 俺の王様である アーリィーの傍を 離されたら 俺… 死んじゃうよ?アーリィー?」

アールモンドが反応する

アーサーが苦笑して言う
「”アーサー” の命は… 尽きちゃうよ?」

アールモンドが言う
「…尽きねぇよ」

アーサーが困る

アールモンドが肩の力を抜いて言う
「ガキの頃の話だろ?いつまでも そんな言葉 信じてる訳ねぇだろ?」

 《 信じてたけどな…》

アールモンドが思う
(俺に仕える奴は 皆… 俺を 馬鹿にしてるのか?アーサー …やっぱり お前もっ!?)

アールモンドがアーサーの指輪を意識して思う

(お前は もう… 黒曜石の指輪を持ってる 俺から離れても 命(魔力)が尽きる事はねぇっ!)

アーサーが言う
「アーリィー… 本当に もう駄目 なの?俺… 何かすれば 許してもらえないかな?ねぇ?アーリィー?」

アールモンドが思う
(もう これ以上は… 俺が 持たねぇんだよ… アーサー… だから…)

アールモンドが言う
「何度も言わせンなよ アーサー …お前の顔なんか もう2度と見たくねぇんだよ さっさと出て行け」

アーサーが顔を上げて言う
「アーリィー!?」

アールモンドが叫ぶ
「出て行けっつってんだよっ!!」

アールモンドが振り返り アーサーへ向けて杖を振るうと アーサーが風魔法に吹き飛ばされ 悲鳴を上げる

「うわぁあーっ!」

アーサーがリビングの壁に叩きつけられる アーサーが悲鳴を上げて言う
「ぐうっ!」

アーサーの肩の骨が折れる音がする

アールモンドがハッとする

アーサーが目を見開き 肩を押さえると言う
「い、痛い…っ」

アールモンドが呆気に取られる

アーサーが肩を押さえつつ 顔を上げて言う
「ア、アーリィー…」

アールモンドが息を飲み 寝室へ入ると 扉を閉める

アーサーが言う
「アーリィーっ!?」


アールモンドが ドアを背に 額を押さえて泣いていて思う
(クソッ… 止まらねぇ…っ 情けねぇ… 俺は… クソ…ッ クソ…ッ!)


扉の外から アーサーの声が聞こえる
「アーリィー 俺… アーリィーを 助けてあげられなくて ごめんね」


アールモンドがハッとする


アーサーがドアに手を付いて うつ向いていて言う

「アーリィーの… 力になれなくて ごめん… アーリィーの事 傷付けちゃったみたいで ごめんなさい… 俺 アーリィーと ずっと一緒に居たかった… だから 何でもするつもりだったのに… アーリィーが 今 凄く苦しんでるのに 傍に居られなくて ごめん…」

アールモンドが歯を食いしばって思う

(アーサー… 何でお前はいつも そう言うんだ?仕事のくせに… お前は 唯 仕事として 俺に仕えているだけなんだろ?なのに どうして…っ あいつらみてぇに 俺の悪口を 言ってくれねぇんだっ!?俺が こんなに…っ)

アーサーの声が聞こえる

「俺… 理由は分からないけど アーリィーに 嫌われちゃったんだよね?ごめんなさい… あんなに 仲良くしてもらっていたのに… そのアーリィーに 嫌われちゃうほどの事をしたのに 俺 分からないなんて… 俺 凄く 悔しい… 自分が情けない…」

アールモンドが思う

(お前は 情けなくなんかねぇよ アーサー… 俺が ガキだっただけで… お前は… 年上で 大人だったってだけだろ?だから もう…)

アーサーが言う

「こんな俺じゃ 嫌われて当然だよね?だけど アーリィー?俺… アーリィーに 嫌われちゃっても 俺は アーリィーの事 …大好きだよ?」

アールモンドが目を見開く

アーサーの声が聞こえる
「今まで 本当にありがとう …さようならっ」

足音が聞こえる


アールモンドが堪え切れずに言う

「アーサー!」

アールモンドがドアを開く

その視界に


リビングの出入り口の扉が 開け放たれているのが見える


アールモンドが呆気に取られた後 悔しさを押し殺して言う

「畜生…」

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