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20章
アールスローン戦記Ⅱ 敵陣潜入視察作戦
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翌日
【 ART 第一訓練所 】
アースが言う
「作戦を決行する 作戦概要は 敵陣潜入偵察だ 従って 人員は最小限に留めるものとし そのメンバーは 作戦構築担当である 司令官の私と」
ART1隊員たちが驚いて言う
「「えっ!?」」
アースが言う
「ART1から マスターラキンゼス隊員」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「キターッ!?」
隊員Bが言う
「おめでとーっ!サッちゃん!」
隊員Cが言う
「おめでたくないーっ!」
アースが言う
「以上だ」
ART1隊員たちが驚いて言う
「「えっ!?」」
隊員Cが言う
「終わった…」
隊員Cが倒れる 隊員Bが言う
「あー!司令官ー!サッちゃんが倒れましたー!」
アースが言う
「問題ない 起こして置け」
隊員Aと隊員Fが苦笑しながら隊員Cを起こす 隊員Cが言う
「ハブロス司令官と…!?俺の!?2人だけでって…!?しかも 敵陣潜入視察だなんて…っ!?」
ハイケルが言う
「本気か?ハブロス司令官」
アースが言う
「何か問題か?ハイケル少佐?」
ハイケルが視線を落として言う
「何か問題…?それは… 問題… だと思われるのだが?…では グレイゼスへ確認をする 恐らく私では 管轄外の問題が発生していると思われる」
ハイケルが携帯を操作している アースが言う
「お前にとっては管轄外であろうとも 私はこのARTの作戦構築担当である司令官だ その私が問題のある作戦を 決行するなどと言う事が ある筈がないだろう?」
ART1隊員たちが困惑して隊員Aが言う
「えっと…?」
隊員Iが言う
「あるような… 気がするんだけど…?」
隊員Fが言う
「俺も…」
隊員Aが苦笑して言う
「作戦概要は兎も角 主に 人員に問題があると思うんだけど…」
アースが隊員Aへ向いて言う
「私とマスターラキンゼス隊員の2名に 何か問題があると言うのか?アラン隊員?」
隊員Aが衝撃を受けて言う
「えっ!?は、はい… 多分… ですが?」
アースが言う
「ほう?」
隊員Fが言う
「アラン隊員 良く言ったな?」
隊員Iが頷いて言う
「うんうん!」
アースが言う
「元国防軍総司令官にして アールスローン1の司令官と言われた この私が構築した 作戦 及び 人員に 何か問題か?」
隊員Aが困って言う
「えっ!?えぇっと…っ!?」
隊員Fが苦笑して言う
「言ったは良いけど その先は…?」
隊員Eが言う
「無理だろう?やっぱ?いくら 傍目には問題があっても それを言える人なんて…」
グレイゼスが駆け込んで来て言う
「また唐突にっ!今度は 一体 何を考えているんですかっ!?ハブロス司令官っ!?」
隊員Fが言う
「あ、居た?」
隊員Aが言う
「助かった…」
アースが言う
「ああ、丁度良かった ART作戦構築担当補佐官でもある ART司令塔管理主任 マスターグレイゼス中佐 ハイケル少佐から作戦概要を聞いているのなら話は早い 私はマスターラキンゼス隊員と共に敵陣潜入偵察を決行する その間 ARTの指揮系統は頼んだぞ?ともすれば 二度と戻らないかもしれないが その際は それ以上に頼む」
ART1隊員たちが衝撃を受け 隊員Cがショックを受けて言う
「…終った」
隊員Aが苦笑して言う
「それって…」
隊員Bが言う
「えー?」
グレイゼスが慌てて言う
「相変わらず 縁起でも無い事を 言わないで下さいっ!それからっ!いえっ それ以前にもっ!そちらの人員はっ!?ハブロス司令官は 負傷度Eランクの重症者で マスターラキンゼス隊員は マスターと名乗れない程の 最低限のマスターにしてっ 機動隊員としての能力も その程度ですっ!」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「機動隊員としての能力も 最低限みたいに言われた…」
隊員Aが苦笑する グレイゼスが続けて言う
「そちらの2名で 敵陣潜入偵察だなんてっ!自殺しに行くようなものでしょうっ!?オマケに 遺言まで残さないで下さいっ!」
隊員たちが衝撃を受けた後 隊員Aが苦笑して言う
「改めて そう 並べられると…」
隊員Fが苦笑して言う
「在り得ない… よな?サッちゃん隊員?」
隊員Cが落ち込んでいて言う
「俺 もう 立ち直れねぇ…」
隊員Iが言う
「どうせ倒れても 起こされるから?」
隊員Cが泣きながら言う
「それは!?俺はもう 倒れる事さえ 許されないって事かーっ!?イリアス隊員っ!?」
アースが言う
「それらの心配であるなら不要だ マスターグレイゼス中佐 まず 私の負傷は完治した」
隊員たちが衝撃を受ける アースが言う
「そうとなれば 如何に その私の同行者が 最低限のマスターである マスターラキンゼス隊員であっても 私は そちらの彼を 使いこなす事が可能だ」
隊員Cがショックを受けて言う
「ガーン… 使いこなすって?使いこなすって… やっぱ 俺 使われるのかな?盾として…」
隊員Bが言う
「えー?」
アースが言う
「そして 私は常に 自身が倒れた際の事を想定し 作戦を構築している 従って お前の言葉で言う所の遺言も 私はそちらの可能性を否定する事も無ければ 肯定するつもりも無い いわば 作戦開始の合図のようなものだ」
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「でしたら もう少し 平和的な合図にして下さいっ!?お陰で 言われる こちらは いつも!」
アースが悪微笑して言う
「気合が入るだろう?」
グレイゼスが言う
「心配が入りますっ!」
【 ART 通路 】
ラミリツが歩きながら言う
「そろそろ始業時間になるから 念の為にも 司令官室を確認して置かないね?それで もし また無理を押して出隊していたら… 今日もまた 最低限の作業だけにして 帰らせないと …もうっ メイヴィンってばホント 手が掛かるんだから!…ふふっ」
ラミリツが第一訓練所の出入り口の前を過ぎようとする アースの声が聞こえる
「そうか しかし 作戦は決行する 作戦開始日時は…」
ラミリツが衝撃を受け顔を向けると 驚いて言う
「…って!?はあぁああーっ!?」
【 ART 第一訓練所 】
アースが言う
「諸君ら 機動部隊の始業時間と 同じく 本日8:00 ジャスト」
ラミリツが叫ぶ
「ハブロス司令官っ!?」
アースが言う
「…だ」
ART1隊員たちが呆気に取られて 隊員Aが言う
「本日って…?」
隊員Fが言う
「しかも もう15分前ですが?」
隊員Cが石化している 隊員Iが苦笑して言う
「家族に連絡する位の事は出来るよ サッちゃん隊員?」
隊員Iが隊員Cの肩に手を置くと 隊員Cの石像が壊れる アースが言う
「以上だ では その他の隊員は 通常通りに」
ハイケルが言う
「了解 司令か…」
ラミリツが駆け込んで来て叫ぶ
「ハブロス司令官っ!?今日も またっ!?こんな所で 何してんのっ!?」
アースが言う
「何をしているか とは?私はこのARTの最高責任者として または ART司令官として 職務を全うしているのだが 何か問題か?ラミリツ隊長?」
ラミリツが言う
「問題に決まってるでしょっ!?どうして 負傷しているのに 無理して職務を行おうとするのっ!?そんなのは ARTのトップとして 隊員たちの示しになんか ならないんだからっ!」
アースが言う
「負傷なら完治した それと共に 迅速な部隊復帰は 隊員たちへ対する示しともなるだろう?」
ラミリツが言う
「見た目でいくら誤魔化したって駄目!どんなに我慢した所でっ 生命感知システムは誤魔化せない!」
ラミリツが携帯を取り出しモニターを見ると衝撃を受けて言う
「…って?あ、あれ…?」
携帯モニターの中で悪魔のアイコンが元気にしている ラミリツが呆気に取られてからアースを見る アースが腕に付けられている生命感知システムの表示を見て言う
「脈拍正常、赤外感知ヘモグロビン値14.6g/dl 十分規定内だ 体感的にも実に調子が良い これなら 久し振りにマスターラキンゼス隊員を使って 何か出来そうだ」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「なぁあっ!?身体の調子が良いからって 俺使って 何かしようとか 考えないで下さいっ!司令官っ!」
ラミリツが呆気に取られて言う
「…どう言う事?だって 銃撃受けてたのに?」
アースが微笑して言う
「だから言っただろう 完治したと?」
隊員Iが言う
「ひょっとして…?」
隊員Iと隊員たちがハイケルを見る ハイケルが疑問して言う
「何だ?」
アースが苦笑して言う
「いや?勘違いはしないでくれ 私は ハイケル少佐やエルム少佐の様な 悪魔の…」
ハイケルが言う
「…司令官」
アースがハイケルへ意識を向けると ハイケルが気合波に飛ばされ言う
「がっ!?」
ハイケルが壁に激突して瓦礫に埋まる 隊員たちが衝撃を受ける アースが言う
「…兵士 と言う訳ではない」
隊員Fが苦笑して言う
「むしろ それ以上だと思うけど…」
ハイケルが瓦礫から顔を出して言う
「では?」
ラミリツが言う
「なら どう言う事?だって 銃撃を受けたあの日から まだ3日… 日付的に言えば4日目って言うか…?どっちにしたって こんな短期間で完治なんて在り得ないよっ!?」
隊員Bが言う
「あれー?けど 軍曹も確かー?」
隊員Aが苦笑して言う
「そう言えば 軍曹も 銃弾3発受けた上で 割と早く帰って来たような?」
隊員Cが言う
「流石 兄弟…」
ラミリツが言う
「あいつの場合は 銃撃ではあったけど 手の加えられた麻酔銃と通常弾の中間って奴で… つまり 今回みたいな実弾じゃなかった」
隊員たちが驚く アースが苦笑して言う
「知っていたのか…」
ラミリツが言う
「けど 今回のは間違いなく実弾っ あの出血量もそれを物語ってたしっ 嘘を吐き通そうとしても 無駄!僕がその気になれば 高位富裕層の個人カルテだって 閲覧出来るよ?それを しろって言うの?ハブロス司令官っ!?」
アースが言う
「分かった エーメレス それ以上 吠えるな」
ラミリツが衝撃を受けて言う
「っ… 犬の方と一緒にしないで」
アースが言う
「私の負傷は 帝国の皇帝に協力を要請し ロストテクノロジーの力を用いて 治癒を早めてもらった」
皆が呆気に取られる アースが言う
「これなら お前も 納得が出来るだろう?」
ラミリツが言う
「う、うん… それなら…?」
アースが言う
「と言う事で 私は 早速 マスターラキンゼス隊員と共に 敵陣潜入偵察作戦を決行して来る」
ラミリツが衝撃を受けて言う
「って!?はぁあっ!?」
アースが言う
「作戦実行は 本日… 間も無くそちらの時刻となるが …マスターラキンゼス隊員は 武装 及び 出動準備はどうした?」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「えっ!?それ …本当にっ!?」
アースが言う
「本当に決まっているだろう?お前は私を誰だと思っている?」
ラミリツが言う
「ってっ!?そっちは待ってっ!?どう言う事っ!?」
アースが言う
「そちらこそ 待つ必要は無い 私はこのARTの司令官だ 作戦構築は勿論 実行の権限を併せ持つ …と言う事で 時間だ マスターラキンゼス隊員 準備は完了しているのか?」
隊員Cが衝撃を受け言う
「いえっ 全然!?それこそ 家族への連絡も遺書も かけてませんからっ!?」
アースが言う
「では それらの必要を無くす為にも お前は直ちに 武装 及び 出動準備を行え マスターラキンゼス隊員 命令だ」
隊員Cが泣きながら言う
「了解 司令官ーっ!」
ラミリツが言う
「待ってよっ!?ハブロス司令官っ!?」
アースが言う
「では 以上… っ!」
ラミリツがアースの腕を掴んで言う
「それなら 僕も行くっ!」
隊員たちが驚く アースが言う
「…会話の中でも言ったが 行き先は 敵陣 …つまり 先日私が連れ去られた このアールスローンを含む プラントと呼ばれる世界の神 ベガの統べる国だ」
ラミリツが言う
「だったら 尚更っ」
隊員Cが言う
「行きたくねぇよ…っ」
隊員Aが苦笑する アースが言う
「ラミリツ隊長 お前はART2の隊長だろう?ART司令官の私が不在と言うのであれば 尚更 その代理を任されているマスターグレイゼス中佐を始め ART1隊長であるハイケル少佐と共に 本陣を守る為 ART2を率いる必要がある 分からないのか?」
ラミリツが言う
「そのART2には 隊長の僕以外にも 部隊を率いる事の出来る 優秀な副隊長が居るっ だから大丈夫!けど そっちは全然駄目!いくら マスターの マスターラキンゼス隊員が居たって ハブロス司令官の指示には従えても ハブロス司令官を守る事は出来ない!それに…っ」
ラミリツが思う
(そのハブロス司令官は 元々自分を守ろうとする気なんか 無いんだから…っ)
ラミリツが言う
「…だから 僕が行かないと駄目 これ 絶対っ!」
ラミリツがアースを見詰め アースの腕を掴む手に力を入れる アースがラミリツを見てから軽く息を吐いて言う
「マスターラキンゼス隊員は 戦闘員だ そうとなれば 当然 非戦闘員である 私を守ってくれるとも?なぁ?マスターラキンゼス隊員?」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「いえ!自分は まったくその自信がありませんっ!司令官っ!?」
ラミリツが言う
「ほらっ!だから 言ってるでしょっ!?」
隊員Cが呆れて言う
「ってか そもそも その非戦闘員のハブロス司令官こそ 最強なんですし…?」
アースが言う
「そうか… 私としては マスターラキンゼス隊員が 己のの持てる力の全てを用いて 私を守って戦ってくれるものと 期待をしていたのだが…」
隊員たちが衝撃を受けて隊員A、F、Iが言う
「え?いや…?」 「無理でしょう?」 「冗談か…?」
アースが言う
「その本人が 無理だと言うのでは仕方が無い 今回の作戦要員は 急ではあるが 変更とする 本作戦参加者は ART司令官の私と ART2からラミリツ隊長」
隊員たちがホッとする 隊員Cが脱力して言う
「助かっ…」
アースが言う
「そして ART1から マスターラキンゼス隊員 以上 3名とする」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「ってないっ!?何でーっ!?」
隊員Bが言う
「やっぱ おめでとー!サッちゃんー!」
隊員Cが叫ぶ
「やっぱ おめでたくねぇー!」
アースが言う
「作戦開始時刻は既に経過している 作戦参加者 ART2ラミリツ隊長 及び ART1マスターラキンゼス隊員 両二名は 直ちに武装及び出動準備を済ませ ART本部前へ集合せよ 以上だ」
ラミリツが言う
「了解!司令官!」
アースが隊員Cを見る 隊員Cがヤケクソに言う
「了解!司令官ーっ!」
アースが笑んだ後 グレイゼスへ視線を向けて言う
「では 後は頼んだぞ?マスターグレイゼス中佐 私が戻ろうと戻るまいと このARTの事はお前に任せる」
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「ですから その 遺言的な気合の入れ方は止めて下さい 司令官っ!」
アースがハイケルへ向いて言う
「ついでに メインとなる機動部隊の隊長は お前しか居ない 十分にそちらの責任を理解した上で 隊長としての責務を全うしろ ハイケル少佐」
ハイケルが言う
「了解 悪魔の司令か… んがぁっ!?」
ハイケルが気合波に吹っ飛ばされて壁に激突して埋まる 隊員たちが衝撃を受けて呆気に取られる 隊員Aが苦笑して言う
「…いや 絶対 無事に帰って来るでしょ?」
隊員Fが苦笑して言う
「ああ… 俺も何だか 大丈夫そうな気がする」
【 帝国 玉座の間 】
マシーナリーが到着して手の平に居たアースとラミリツと隊員Cが降りる アースがマシーナリーへ向いて言う
「ご苦労だった では お前は 下がって良いぞ」
マシーナリーがシグナルを点滅させると 上体を戻し去って行く ラミリツがその様子に微笑して言う
「いつも思うんだけどさ?何で あのマシーナリーたちって ハブロス司令官の命令に従順なの?やっぱ ハブロス司令官が皇帝の仲間だって 知ってるって事?」
アースが言う
「さぁな どうだろうな?」
アースが歩く ラミリツが続きながら言う
「どうだろうなって…?大体 それしか考えられないでしょ?普通?」
アースが言う
「それにしては 昨日はいつもの様には 迎えに来てくれなかったんだ」
ラミリツが言う
「え?それは… 何で?」
アースが言う
「従って 先ほどの返答だ」
ラミリツが言う
「あぁ そう言う事?つまり…」
隊員Cが疑問して言う
「つまり?」
ラミリツが言う
「分からないって事」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「そうなのーっ!?」
アースが言う
「そう言う事だ」
隊員Cが呆れて言う
「在り得ねぇ… そんな得体の知れないモンを 使ってるだなんて…」
ラミリツが言う
「まぁ 流石ハブロス司令官だよね?」
隊員Cが呆れて言う
「それ 突っ込みます?ラミリツ隊長?」
ラミリツが言う
「だってほら?ハブロス司令官は 神様だって 使っちゃう程だもん?得体の知れないマシーナリー位 使っちゃうのは 当然でしょ?」
隊員Cが言う
「神様を 使うって…?…はわぁっ!?」
隊員Cが衝撃を受けると アースが言う
「ネロ・アーク・フォライサー殿 首尾はどうだ?」
アースの前にネロが現れ言う
「その方の望みの通り 先に 向かいし 神の国 その地を示すもの 絵図として起こす事は可能にて 預かりし その方ら新人類の物へと 映し込みて置いた」
ネロが手をかざすと アースのタブレットが現れる アースが受け取って言う
「ご苦労 ついでに 彼らの物へも 同様に頼む」
隊員Cが表情を顰めて言う
「本当に神様使ってる… 流石は…」
アースがタブレットを操作しながら言う
「使われているのは我々の方だ しかし そうとあるならば 尚更 その彼らもまた 我々へ尽力するのは 当然だろう?」
隊員Cが衝撃を受けてから言う
「そ、そう… 言うもンでしたっけ?何か… …この人と居ると常識ってモンが 覆されて行くって言うか…」
アースが言う
「それで?こちらの地図は 私があの時 皇帝に助けられつつも 上空から見下ろした 地上の様子を簡略化したものと言う事で 間違いは無かったな?」
ネロが杖を軽く動かすと 杖に灯っていた光が弾ける ラミリツが気付き携帯を取り出して操作する 隊員Cがその様子に気付き自分の携帯を取り出すと驚いて操作する ネロが言う
「その方の認識にて 間違いは有らず 更に付け加えると在れば そちらに印されし場所が 先の時 お前がアールスローンへと戻りし その場であり この度 その方を戻すべし その場と在る」
アースが言う
「集落からは 少し遠いな?」
ネロが言う
「先の時にも耳にしたと思うが 神の地は 移動の力が封じられし土地にして また…」
アースが言う
「貴方方 アークの力 即ち ロストテクノロジーの力を 感知されてしまう土地であると… では こちらは大丈夫なのか?」
アースがタブレットを示す ラミリツと隊員Cが顔を向ける ネロが言う
「その方ら新人類の作りし 非力たる物なれば その値には達せず しかし そう在りし内にも 通信の類たるものには 気付かれしぞ」
アースが言う
「そうか では 通信端末は使え無いと言う事だな …いや?そもそもの電波に気付かれると言うのであれば この辺りもか…?」
アースが生命感知センサーを外す ネロが頷いて言う
「それらは この城へと置いて行くが良い して そちらは… 通信の気たる物を 止めてさえ在れば 支障はあらずして」
ラミリツが携帯を操作しながら言う
「これだと完全に 地図を見る為だけの機械って感じだね?携帯電話なのに…」
アースが言う
「記録装置としても使えるだろう?映像や音声を …それに通信機能を抑えていれば 持ちも良い」
ラミリツが言う
「そっか それは言えてるね?」
隊員Cが困って言う
「これ どうやって通信機能止めるんっすか…?」
ラミリツが衝撃を受けて言う
「知らないの?」
隊員Cが言う
「だって 俺 電話としてしか使ってませんしっ?」
ラミリツが呆れて言う
「とても アールスローン1の機械技術を使ってる ARTの隊員と思えないんだけど?」
隊員Cが困って言う
「スンマセン…」
アースが言う
「言ってやるな ラミリツ隊長 マスターラキンゼス隊員は そこが良いんだ」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「え…っ?」
ラミリツが言う
「そ?僕には分かんないけど …ハブロス司令官が そう言うんなら?貸して?やってあげる」
隊員Cが苦笑して言う
「お願いします…」
アースがネロへ向いて言う
「それと 連れて行くマスターは 彼なのだが 問題は無いか?」
ネロが隊員Cを見る 隊員Cが衝撃を受けて言う
「え、え~と…?」
ネロが言う
「そうよな その程度とあらば… その方らが作りし物と同じく 弱き力は 感知の範囲に有らず 問題とはされずして されど 問題とはされず範囲たるは それ即ち 問題とはあらぬのか?ハブロ?」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「それ!どう言う意味ですかっ!?」
アースが言う
「彼は私の 気に入りのマスターなんだ 従って 問題ではあるが 問題はない」
隊員Cが言う
「両方合わせて どういう意味ですか…?」
ネロが言う
「そうか その方の気に入りしとなれば もはや それ以上は 何と申すまい」
隊員Cが縋る表情で言う
「何か言って下さいっ それで 出来れば 変更するべきだと…っ!」
ラミリツが隊員Cへ携帯を向けて言う
「はい、出来たよ?もう 好い加減 諦めれば?ハブロス司令官が そこまで言うんだからさ?アンタもう 逃げられないの これ 常識!」
隊員Cがショックを受けて言う
「ガーン… 携帯 有難う御座います 攻長閣下…」
ラミリツが言う
「どう致しまして!さ?後は これも外して …ほらっ アンタも!」
ラミリツが生体感知センサーを外しながら隊員Cを見る 隊員Cが慌てて倣う アースがその様子を見てから言う
「よし では こちらの準備は完了だ ネロ・アーク・フォライサー殿 奴の国へ向かう ゲートを開いてくれ」
ラミリツが気を引き締め 隊員Cが不安げに顔を向ける ネロが言う
「良かろう…」
ネロが杖を掲げる
【 神の国 】
山頂
ゲートからアースが現れ周囲を見渡してから頷いて言う
「確かに 以前 アールスローンへ向かおうと 移動の力を放った あの場所であるようだ」
【 帝国 玉座の間 】
ネロの横にゲートが開いている ラミリツがゲートを見てから隊員Cへ向いて言う
「次は僕が行くから 良い?ちゃんと付いて来るんだよ?さっきハブロス司令官に聞いた通り 先に行ってる ハブロス司令官か 僕の所へ行くって思って 入らないと駄目だからね?ARTに帰りたいとか 考えちゃ駄目だよ?」
隊員Cが苦笑して言う
「はい… そっちの気持ちは すっっげぇーあるんですけど …それをやると 後が怖いんで…?」
ラミリツが言う
「そ?分かってるなら良いんだよ じゃ 行くよ?」
ラミリツがゲートへ飛び込む 隊員Cがゲートの前に立ってから心の葛藤をして叫ぶ
「あぁあ~!帰りてぇよーっ!少佐ぁー!バイスン隊員ー!アラン隊員ー!ART1の皆ぁ~っ!」
隊員Cが顔を左右にぶんぶん振ってから落ち込んで言う
「…って 言ったって もうしょうがねぇ… こうなったらっ!」
隊員Cがゲートを見据えて言う
「大丈夫だっ 俺にはっ!」
隊員Cが服の胸元を握って思う
(俺には 家族の一員である ナノマシーンラキンゼスが付いてるっ だから きっと…っ!)
隊員Cが言う
「頼むぜっ!ラキンゼス!」
隊員Cが気合を入れて思う
(俺を 悪魔の司令官から!)
隊員Cが叫ぶ
「ハブロス司令官から 守ってくれぇええーっ!…とりゃぁあっ!」
隊員Cがゲートへ飛び込む
【 神の国 】
ラミリツが周囲を見て言う
「以前は この場所から戻ったんだよね?ハブロス司令官?映像は見てたけど あの時はどうやって?今みたいにゲートじゃ…」
アースが言う
「あの時は 助っ人に来ていた レイ・アーク・フォライサー殿の 気合により…」
ラミリツが言う
「え?気合?」
アースが言う
「…いや、違った 気合ではなく 奴の場合は」
隊員Cがゲートから現れて言う
「…りゃぁああ!…って!?あっ!?あぁああ~~っ!?」
ラミリツとアースが呆気に取られると 隊員Cが勢いのままにゲートから飛び出し 傾斜の先まで飛び出すと傾斜を転げ落ちて言う
「坂だったぁあ~~~っ!?」
隊員Cが傾斜を転がり落ちて行く アースとラミリツが呆気に取られた後 アースが言う
「…彼は お前の言った 以前の そちらの映像を 見ていなかったのか?それを見てさえ居れば たどり着くこの場所が 傾斜だと言う事は?」
ラミリツが言う
「いや 見てたと思うけどね?けど、ちょっと 気合を入れ過ぎて 忘れちゃってたのかも?…って言うかさ?」
アースとラミリツが隊員Cの落ちて行った先を見る
【 ART 第一訓練所 】
M210が3機やって来て到着すると 操縦していた ART1隊員たちがコックピットを出る ハイケルが見上げて言う
「これで 我々ART1の新型マシーナリーは ART1総員分 揃った」
グレイゼスが言う
「後はとりあえず スペアとして何機か用意しておく予定だが …だからと言って 無駄使いはしてくれるなよ?唯でさえ ハブロス司令官が居ない 現状では 新たなマシーナリーの搬入は出来ないんだからな?」
ハイケルが言う
「そうか そうだったな?」
グレイゼスが言う
「ああ… だって言うのに ご自分が倒れる事を 想定した上の作戦を 決行されるって言うんだから 困ったもんだよ?これでもし 本当にそんな事になった時には どうしろって言うんだ?」
ハイケルが言う
「ハブロス司令官からは兼ねてより ハブロス家長男である アース・メイヴン・ハブロスに何かがあれば 次男である軍曹へ 全ての業務及び権限を移行するようにと言われている」
グレイゼスが言う
「それじゃ その 全ての事を移行される アーヴィン君は マシーナリーを仲間に引き入れたり このARTの司令官的役割を こなせると言う事なのか?」
ハイケルが言う
「そちらは…」
グレイゼスが言う
「そちらは?」
ハイケルが言う
「不明だ」
グレイゼスが衝撃を受けてから苦笑して言う
「不明だってな…?少なくとも その様に手筈を整えていると言う事は それなりに 訓練なり何なりしてるって事だよな?普通は?」
ハイケルが言う
「そうなのか?」
グレイゼスが言う
「そうでしょう?…じゃなきゃ 本当にそうなった時には どうしろって言うんだよ?」
ハイケルが間を置いて言う
「…不明だ」
グレイゼスが慌てて言う
「だから それじゃ 駄目だろうっ!?」
ハイケルが言う
「そうなのか?」
グレイゼスが言う
「当たり前でしょう!?ハイケル君っ!?」
ハイケルが言う
「そうか 駄目なのか… 了解」
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「いやっ だからっ!?」
ハイケルが言う
「駄目なのだろう?そちらは了解した」
グレイゼスが言う
「いやっ だから どうしよう!?って話なんだがっ!?」
ハイケルが言う
「どうしよう?…どうしたら良い?親友のマスターグレイゼス?」
グレイゼスが言う
「それを俺が聞いてるんだよっ!?ハブロス家次男の養子である ハイケル・ヴォール・アーヴァイン殿っ!?」
ハイケルが言う
「…そうか …問題が発生した ハブロス司令官へ連絡を」
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「それが出来なくなったら どうするんだって話だからっ!?」
ハイケルが呆気に取られて言う
「そちらも 問題だ では …ハブロス司令官へ?」
グレイゼスが言う
「言い忘れていたが 現状は既に 連絡は無理だからっ!」
ハイケルが呆気に取られて言う
「…そうか では… どうしたら良いんだ?」
グレイゼスが言う
「あぁ まったく… 俺が聞きたいよ…」
ハイケルが言う
「そうか… これは かつて無いほどの 困難な問題が発生した ハブロス司令官へ …確認が出来ない」
グレイゼスが言う
「そちらに対する 対応策が まさか本当に未対策だったなんて…」
グレイゼスが頭を抱える ハイケルが沈黙する
【 神の国 】
アースが双眼鏡で周囲を見渡して言う
「一見する所は これと言った問題の見受けられない 村ではあるが」
ラミリツが双眼鏡で周囲を見渡して言う
「うん… けど 何だろう?何て言うか 違和感… あるよね?」
隊員Cが慌てて自分の持ち物を確認しながら言う
「双眼鏡!?双眼鏡!?」
アースが言う
「違和感?」
隊員Cが言う
「…持って来てねぇ…」
隊員Cが落ち込むと ラミリツが言う
「うん 何て言うか…」
アースがラミリツへ向いたまま 隊員Cへ双眼鏡を渡す 隊員Cがアースから双眼鏡を借りて 周囲を見る ラミリツが双眼鏡を再び覗いて言う
「はっきりとは 良く分からないんだけど… 何だろう?この違和感」
隊員Cが双眼鏡を覗きながら言う
「ああ、何か 普通 逆ですよね?」
アースが言う
「逆とは?何がだ?」
隊員Cが言う
「え?だって… 普通は 自分の家や敷地 畑なんかは綺麗にして… 言っちゃ悪いですけど?道にゴミが落ちていたって まぁ自分の土地じゃないから良いかな?って?思いますよね?けど ここは?」
アースとラミリツが気付いて言う
「そうか なるほど」 「確かに そうかも?」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「え?」
アースが言う
「どちらも 私自身では行わない事である為か 気付かなかった様だ」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「はわっ!?」
ラミリツが言う
「僕もっ …けど 言われて見れば そうだよね?特に区画整理がされた 行政の行き届いている村と言う訳でもないのに 敷地内の方が 汚れていて 公道の方が綺麗って ちょっと変かも?」
隊員Cが呆れて言う
「流石 高位富裕層…」
アースが言う
「すまない だが 助言を感謝する マスターラキンゼス隊員」
ラミリツが言う
「ごめん でも ホント マスターラキンゼス隊員のお陰で 助かったよ?」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「褒められてるのに 嬉しくねぇえっ!」
アースが言う
「近くに衛兵やその類の者は見受けられない 良し 直接 話を聞きに向かおう」
ラミリツが言う
「うん!」
隊員Cが不安げに言う
「い、行くんですか?やっぱり?」
アースが歩き出し ラミリツが続き 隊員Cが嫌々続く
【 ART 第一訓練所 】
隊員Bが言う
「あ~あー?折角 今日から昼休憩は ハブロス司令官と 過ごせると思ったのにー?」
隊員Aが衝撃を受ける 隊員Bが言う
「そのハブロス司令官が 敵陣潜入偵察に行っちゃってるんじゃ 会えないのー!残念だったねー?アッちゃんー?」
隊員Aが苦笑して言う
「い、いや…?俺は… 良かったかも?」
隊員Bが言う
「えー?」
隊員Fが苦笑して言う
「代わりと言うか サッちゃん隊員は そのハブロス司令官と ずっと一緒だな?」
隊員Iが言う
「それこそ 休憩だけじゃなくて 一日中一緒なんだろうな?」
隊員Aが苦笑して言う
「サキにはもう 同情するしかないよ 本人がどんなに嫌がっても ハブロス司令官は サキをご指名するんだから?」
隊員Fが苦笑して言う
「ああ、本当に」
隊員Bが言う
「羨ましいねー?」
隊員Aと隊員Fが苦笑する 隊員Bが言う
「ねーねー?アッちゃんー?どうしたら 俺も サッちゃんみたいに ハブロス司令官に ご指名してもらえるのー?」
隊員Aが疑問して言う
「え?えーと…?どうしたらって…?」
隊員Iが言う
「言われて見れば 何で サキシュ隊員は ご指名されちゃうんだろうな?」
隊員Bが言う
「やっぱ それが サッちゃんの技ーって事ー?」
隊員Aが言う
「うーん ハブロス司令官に ご指名される技… いや?それは技って言うか?」
隊員Fが言う
「サッちゃん隊員は バイスン隊員と違って いじられキャラだから …かな?」
隊員Bが言う
「いじられキャラってー?」
隊員Iが言う
「もしくは ハブロス司令官は サキシュ隊員の 突込みを気に入ってるとか?」
隊員Bが言う
「サッちゃんの突込みってー?サッちゃんのギャグって事ー?」
隊員Iが言う
「ギャグ?えっと あれは 多分 ギャグに対する突込みだと?」
隊員Fが苦笑して言う
「どちらかと言うと ギャグを言うのは ハブロス司令官だったりするからな?…と言うか ご本人としては ギャグじゃないんだろうけど?」
隊員Aが苦笑して言う
「ちょっと ズレてるんだよな?やっぱり 高位富裕層のお方だから 常識が俺たちとは違うと言うか…?」
隊員Iが言う
「その高位富裕層のハブロス司令官と 最下層のサキシュ隊員だから そのギャップが良いって事なのか?」
隊員Bが言う
「えー?それじゃ 俺は最下層じゃないから 駄目ーって事ー?」
隊員Dが言う
「そうかな?最下層だからって言われたら 俺や他の連中だって居るけど サキシュ隊員ほど特別扱いはされないよな?」
隊員Bが言う
「あれー?それじゃー?」
隊員Fが言う
「…と言う事は 残る理由は」
隊員Aが言う
「うん そうだよな?やっぱり?」
ハイケルが言う
「サキシュ隊員こと マスターラキンゼス隊員は」
皆が頷く ハイケルが言う
「ハブロス司令官が指名するほどの 突っ込みの技を 持っていると言う事か?」
隊員たちが衝撃を受け 隊員Bが言う
「やっぱ 技ー?」
隊員Aが苦笑して言う
「いや そっちでは無くて…?」
ハイケルが言う
「違うのか?」
隊員Aが苦笑して言う
「えっと…」
隊員Iが苦笑して言う
「こんな時 サキシュ隊員なら 何て突っ込むんだろうな?」
隊員Fが言う
「俺は多分 いつもの…」
【 神の国 】
アースが進みながら言う
「私が先に向かう 私に何かあれば お前たちは攻撃を行わずに 即座に撤退しろ 命令だ」
ラミリツが言う
「そんなの無理に決まってるしっ!ハブロス司令官っ!?」
隊員Cが呆れて言う
「有り得ねぇ… とは言っても もう この人の場合は…」
隊員Cがアースへ顔を向けると ラミリツが追って言う
「待ってったらっ!ハブロス司令官っ!?」
アースが言う
「お前は離れろと言っただろう?ラミリツ隊長」
ラミリツが言う
「それは無しっ 従えないっ!」
隊員Cが言う
「俺は従いたいけど…」
アースが言う
「行くぞ マスターラキンゼス隊員!お前は遅れるなっ」
隊員Cが衝撃を受け言う
「俺は 行くんすよね…?俺こそ ”離れていろ”の方の命令に 従いたいのに…っ」
隊員Cが付いて行く
【 ART 第一訓練所 】
ART1マシーナリーたちが訓練をしている M隊員Bが射撃訓練を終えると 隊員Aがモニターを見て言う
「ナイスヒット!バイちゃん!凄いじゃないか!?射程距離10メートルオーバーも余裕だな!?」
隊員AがM隊員Bを見てから疑問して言う
「うん?バイちゃん?聞こえてるか?…あれ?外部音声切ってるのかな?」
隊員Aがコンソールを操作すると モニターに隊員Bが映る 隊員Aがマイクをセットして言う
「バイちゃーん?」
モニターの中で隊員Bが溜息を吐く
『はぁ~…』
隊員Aが衝撃を受けて言う
「えっ!?バイちゃんが 溜息吐いてるなんてっ!?ど、」
M隊員Bの中 モニターに隊員Aが映っていて言う
『どうしたんだ!?バイちゃんっ!?大丈夫か…?』
隊員Bが言う
「何かー?詰まんないのー?」
隊員Aが衝撃を受けて言う
『えぇえっ!?』
隊員Bが言う
「だってぇ~?いくら命中率が上がってもー?」
M隊員Bの外 隊員Aが苦笑して言う
「バイちゃん 駄目だぞ?また 敵が来ないんじゃ 詰まらないみたいな事 言ったりしたら?俺たちは…」
隊員Bが言う
『えー?俺 そんな事言わないよー?アッちゃんー』
隊員Aが言う
「え?それじゃ…?」
隊員Bが言う
『だっていつもならー?俺 命中率上がったら サッちゃんに自慢するのにー?今日はサッちゃん居ないしー?』
隊員Aが言う
「ああ、そう言えばいつも…」
隊員Bが言う
『それから 少佐に報告してさー?』
隊員Aが言う
「なら そっちをやったら良いんじゃないか?少佐ならサキと違って居るんだし?」
隊員Bが言う
『でも それじゃ 意味無いからー?』
隊員Aが言う
「え?意味が無いって… 何で?」
ハイケルがやって来てモニターを見てから言う
「バイスン隊員の 射撃命中範囲の 上昇を確認」
隊員Aが気付いて言う
「あ、少佐…」
ハイケルが疑問して言う
「何だ?アラン隊員?何か問題か?」
ハイケルが周囲を見渡す 隊員Aが困って言う
「えーと その…」
M隊員Bから隊員Bが降りて来て言う
「少佐少佐ぁー?ハブロス司令官は 何時戻って来るのでありますかー?少佐ぁー?俺 射撃命中範囲の上昇を お知らせしたいでありますー 少佐ぁー?」
隊員Aが言う
「え?ハブロス司令官に?」
ハイケルが言う
「そうだな バイスン隊員の射撃命中範囲の上昇は ハブロス司令官の 1番リストの 上位に認識されているものと 推測される 従って…」
隊員Aが衝撃を受けて言う
「1番リスト って…?」
隊員Bが言う
「はーっ!少佐ぁー!そうなのでありますー 俺の機関銃射撃命中範囲は 歴代国防軍 機動隊員及びART機動隊員の中で 1番だってー!それで 俺 これからもその1番の命中範囲の上昇を 期待してるって 言われているのでありますー だから報告したいのでありますー!少佐ぁー?」
隊員Aが衝撃を受けて言う
「そ、そうだったんだ?…知らなかった バイちゃんが ハブロス司令官からそんな期待を… って あれ?けど そのハブロス司令官とは 何時そんな…?」
ハイケルが言う
「そうだな バイスン隊員の 機関銃射撃命中範囲の上昇報告は いつも私が ハブロス家の夕食の時間に ハブロス司令官へ報告を行っているが… そのハブロス司令官が 敵陣潜入視察へ向かったとなれば 恐らく 今日の夕食の時間には そちらの報告は行えないものと推測される」
隊員Aが苦笑して言う
「それは そうでしょうね…?そもそも ご本人は アールスローンへ戻って来られるかの 心配までしていたんですから…」
隊員Bが言う
「えー?それじゃー…?俺今度何時 ハブロス司令官に 報告出来るのでありますかー?少佐ぁー?それに俺 今度は少佐に 伝達してもらうんじゃ無くてー?直接 自分で報告出来ると思って 頑張ってたのにー?」
ハイケルが言う
「そうか では… また問題が発生した」
隊員Aが苦笑して言う
「え?えっと… それは 問題って言うほどの 問題でもないと思うんですけど…?」
ハイケルが言う
「そうなのか?アラン隊員?」
隊員Bが言う
「えー?」
【 神の国 】
アースが言う
「そうか では貴方方は そちらの第3ブロックと言う区画に住む者から 指示を受け 農作物を生産する事で この場所に滞在する事を 許されていると言う事か?」
村人Aが言う
「はい 我々は第3ブロックのお方の指示を受け そちらの第3ブロックのお方は その上の第2ブロックのお方の指示を受けているとか」
隊員Cが疑問して言う
「第3ブロック 第2ブロックって… それじゃ まるで…?」
ラミリツが周囲を警戒している アースが言う
「では それらのブロックの示す数字が その通りであるのならば 第1ブロックの者こそが この国で一番の権力を有する者だと言う事だろうか?」
村人Aが言う
「いえ そちらの第1ブロックのお方は アーク様にお仕えを許される者です」
アースが言う
「アーク…」
ラミリツが反応して村人Aを見る アースが言う
「私が聞いた話では 貴方方は アークを慕い崇める事で 加護を受けていると?その様に聞いたのだが?」
村人Aが言う
「はい この村は アーク様のご加護の下に 第3ブロックの方々にも とても宜しく計らって頂けて居ります」
アースが言う
「…そうか」
アースが村の様子を見る ラミリツが言う
「特に問題は無いみたいだね?さっきの村とは大違いだし?」
アースが言う
「そうだな 問題は無い… むしろ 模範的と言った所か?」
村人Aが言う
「それで 貴方様方は?」
アースとラミリツが村人Aへ向く 村人Aがアースへ言う
「最初に貴方様は 自分たちは この場所から遠く離れた場所から来られたのだと 仰ったが… 私はてっきり 第2ブロックのお方かと?」
アースが言う
「それは そちらの第2ブロックの者は 我々に近い装いをしていると言う事だろうか?」
村人Aが苦笑して言う
「いえ 我々の様な下々の者には 第2ブロックほど上のお方をお見受けする事は無いのですが 第2ブロックには アーク様へご転身されるほどのお力を持つ方が 稀に居りなさるとのお話を聞いた事がありましたもので… もしや 貴方様がそちらのお方なのではないかと?何故なら 貴方様の背には…」
アースがハッとして顔を逸らすと アースの背後で甲高い音で何かが弾ける 村人Aが呆気に取られる ラミリツが疑問して言う
「え?ハブロス司令官の背に…?」
アースが苦笑して言う
「あ、ああ 私の背に …いやっ 私の後ろに 2人の兵士を従えているとあれば 相応の者ではないかと?その様に見受けられたのかもしれないが…?」
ラミリツが疑問してアースを見てから言う
「あぁ… そう言う事?」
風が吹くと アースの背後に光の羽根が数枚飛ばされて行く アースが言う
「私は… いや、我々は 貴方から伺った そちらの 第3ブロックや第2ブロックの者ではない しかし 先にも言った通り 我々は 貴方方や こちらの村の様子を知りたいのだと そちらだけを理由に 訪問したに過ぎない 従って 敵意も無ければ留まるつもりも無い お話を伺えて良かった 礼を言う」
村人Aが微笑して言う
「はい この村に実るもの 訪れるものは 全て 我らが神 アーク様のお導きです どうか 貴方様方の行く末にも アーク様のご加護があります事を」
村人Aが胸に手をあて気持ちを込める アースが微笑して言う
「有難う」
アースが振り向き ラミリツたちへ言う
「よし、では 次へ向かうぞ?」
ラミリツが微笑して頷いて言う
「うん!」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「えっ!?まだ行くんですかっ!?」
アースが隊員Cの横を過ぎると 隊員Cが慌ててアースを追う 村人Aがアースたちの立ち去る姿を見送り微笑すると その視界に白い羽根が舞い 黒い羽根が混じる 村人Aが疑問して視線を戻すと アースたちが見えなくなっている 村人Aが呆気に取られて言う
「一体 あのお方は…?」
村人Aが疑問しながら立ち去る
【 ART 司令塔 】
ハイケルがやって来て顔を向けて言う
「グレイゼス こちらに居たのか」
グレイゼスがハイケルへ向き言う
「うん?ああ ART1とART2の新型マシーナリーが 一通り揃ったからな?これで しばらくはゆっくり出来るかと思ったら…?」
ハイケルが近くへ来て言う
「こちらでも 何か問題か?」
グレイゼスが言う
「いや、問題って訳じゃないんだが …うん?”こちらでも”って?それじゃ そっちで?ART1でも何か 問題か?」
ハイケルが言う
「こちらの問題は ハブロス司令官へ1番の更新報告が出来無いと言う事で ART1隊員の士気が 低下してしまったのだが」
グレイゼスが疑問して言う
「は?1番の更新報告って…?…あのなぁ ハイケル?普通 部隊に置かれる 問題って言うと そう言う小さな事じゃなくてだなぁ?」
ハイケルが言う
「小さな事ではあるが 私のART1に置いては重大な問題だ バイスン隊員の士気が下がると言う事は ART1全体の士気が下がる事へも繋がる 更に現状は そのバイスン隊員にとって重要な サキシュ隊員ことマスターラキンゼス隊員も居ない これでは バイスン隊員の士気が下がるのも 仕方の無い事なのだろう」
グレイゼスが言う
「それはそうかもしれないが だからって… いや、なら ハイケル?こんな時こそ 隊長のお前が その部隊の士気を上げる為に 一肌脱ぐべきなんじゃないのか?」
ハイケルが言う
「一肌脱ぐ… そうか では」
ハイケルがナイフを取り出す グレイゼスが衝撃を受けて言う
「だぁああっ!ちょっ!ちょっと待ったぁあっ!?ナイフなんて出して 一体 何をするつもりだぁあっ!?ハイケルーっ!?」
ハイケルが言う
「一肌脱げと…?」
グレイゼスが言う
「それは 言葉の通りに 受け取るものじゃないからっ!ハイケル君っ!」
ハイケルが疑問して言う
「…違うのか?」
【 神の国 】
道中
アースがタブレットを操作しつつ歩いている ラミリツがアースの様子を見てから自分の携帯で地図を見て アースへ言う
「この調子で この地図にある集落を 全て回るつもり?」
アースが言う
「必要とあればな?しかし 今までに得られた情報のみに置かれても この国は土地ごとに 明白に分けられた 身分制度の様なものが存在する それなら こちらの地図上にある 末端の集落は 既に確認を済ませた村と同じ 食物生産を主とした地域だと 仮定しても良いだろう そして そうとするなら 後はもう1箇所程 別の村を確認し そちらの仮定を確実なものに出来れば 他の末端のそれらもまた同一のものとして 確認の対象から外す事も可能だ」
ラミリツが言う
「それじゃ 次の村も さっきの村みたいに 話が聞かれれば良いって事?」
アースが言う
「そうだな 出来ればそうであってくれると 得られる情報も増え 助かりはするが どうだろうな?」
ラミリツが言う
「どうだろうなって…?それなら さっきの村で もう少し 情報を集めた方が良かったんじゃない?余り 深い話をしないで 終わらせちゃったけど?良かったの?」
アースが言う
「情報を得ると言う事は そちらの量が増えれば 同等に こちらも提供を行わなわなければ 疑いを持たれる 増して彼らは アークを崇拝する者だ そして、それを確認した こちらからの言葉へ対する彼の反応からしても 彼らにとってのアークは相応の存在 そうとなれば その彼らが アークやそれに近い者へ 微々たる報告する様な事はないと推測はされるが こちらの存在が相応の者と思われれば 無理を押してでも報告をする必要性が生じてしまう」
ラミリツが言う
「なるほど… それで わざと 深入りしないで 話を切り上げて居たんだ?けどさ?そうやって深く考えると 何か疲れちゃうね?それに… 不安になって来るって言うか?」
アースが苦笑して言う
「それなら お前はそちらを考えずに 周囲の警戒でもして居ろ 予てより お前の役目は そちらだ」
ラミリツが言う
「そうだね?じゃぁ そーするっ 僕にはそう言う事考えるの 向いてないんだと思う」
アースが言う
「だろうな?お前は先ほどの村の者から聞いた話や 村の様子に問題は無いと言ったが 私からすれば そちらこそが問題なのだが… お前は 気付いていないのだろう?」
ラミリツが呆気に取られて言う
「えぇえっ!?嘘ぉっ!?それじゃ あの平和そうな村が 問題だって言うのっ!?」
アースが苦笑して言う
「話を聞きたいか?」
ラミリツが言う
「やめとく… 適材適所 そっちは任せた」
アースが言う
「結構」
アースが先行する ラミリツが苦笑してから 隊員Cへ向いて言う
「やっぱ 僕らには 向かないみたいだね?あー言う事を 考えるのなんてさ?」
隊員Cが言う
「いえ 俺なんて それよりも さっきっから…」
ラミリツが疑問して言う
「え?さっきっから?」
隊員Cの腹が鳴る ラミリツが衝撃を受ける 隊員Cが苦笑して言う
「ラミリツ隊長も 腹減りません…?だってもう… 12時過ぎてますし?」
ラミリツが苦笑して言う
「あぁ そう言えば もう そんな時間だね?気を張ってたから 気が付かなかったや?」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「それって!?なら 俺は 気を張ってないだろう って事ですかーっ!?」
ラミリツが苦笑して言う
「いや、そう言う訳じゃないけど …じゃ 少し休憩したいって 言ってみよっか?」
隊員Cが言う
「なんかスンマセン…」
ラミリツが微笑して言う
「良いよ そう言うのは 隊長の役目だからね!…ハブロス司令官ー?」
ラミリツがアースの下へ向かう 隊員Cが溜息を吐いて言う
「ラミリツ隊長が一緒に来てくれて マジで助かった…」
隊員Cの腹が鳴る 隊員Cがうな垂れる
【 ART 司令塔 】
グレイゼスが周囲を見渡して思う
(しかし 言われてみると …確かに?)
グレイゼスの視線の先 隊員たちが作業を行って居るが 雰囲気が暗い グレイゼスが思う
(俺も 久し振りに 司令塔へ戻って来たもんだから その違和感に気付かなかったが)
グレイゼスが意識を向けると視界に魂の光が見える グレイゼスが思う
(やっぱりか?表面的には問題はない様にも見えたが 内心は… 不安や心配を示す オレンジやピンク… それら 弱さを示す光の粒子が多い)
グレイゼスが意識を弱めると魂の光が見えなくなる グレイゼスが苦笑して思う
(平常時に置かれる 監視塔の皆の役割は 情報収集を元とした情報戦だ それも理由に いつもの俺なら 真っ先に彼らの光を見て その業務へ対する支障障害の有無を確認していた筈なのに この所 長く技術部に居たものだから すっかり忘れてしまってたな?)
グレイゼスが苦笑して言う
「それこそ 技術部の肉体派の彼らの 心の状態なんて 顔色1つで 分かっちまうもんな?どれどれ~?」
グレイゼスがコンソールを操作するとモニターに技術部の様子が映し出される グレイゼスが言う
「今日も あちらの皆さんは 元気に…?あ、あら?」
モニターに映っている部屋の中に人は居ない グレイゼスが疑問して言う
「あら~?皆一応 今日も全員出隊で スペアのマシーナリーを仕上げて置こうって…?」
オペ子Bが気付いて言う
「中佐?技術部の皆さんなら 今は お昼休憩で 食堂に居ますよ?」
オペ子Bがコンソールを操作するとモニターに食堂の様子が映り技術部のメンバーが昼食を取っている グレイゼスが呆気に取られて言う
「え?ああ、本当だ 助かった有難う… うん?ART1やART2 それら機動部隊の状態だけでなく 各部署の休憩状態まで 確認するようにしていたっけ?」
オペ子Bが苦笑して言う
「そちらは確認するようにしていた訳では無いのですが 私たちにしてみると もし万が一の時には 一刻も早く中佐へ報告をしなければいけないと言う事で 技術部の皆と一緒に作業をされて居た中佐が 今何処にいるかって事は 確認する様にしていたんです それで今日も いつもの時間に 食堂の様子を確認してしまって… 可笑しいですよね?確認するべき中佐は すぐ後ろにいらっしゃるのに?無意識の癖になってしまっていたみたいです」
グレイゼスが苦笑して言う
「あぁ そう言う事?それで… …そうだよな?やっぱり いくら問題が無くたって やっぱり 居てくれないとなると 落ち着かないよな?」
グレイゼスがコンソールを操作すると 何箇所か映像が表示され メンバーボードが表示されると アースの名前とラミリツの名前が消灯している グレイゼスが苦笑する 続いてモニターに第二訓練所の様子が表示され ART2の訓練状態が映し出される
【 神の国 】
道中 木陰
ラミリツが携帯食1を前に言う
「ART2の皆… 今頃 どうしてるかなぁ…?」
隊員Cが携帯食2を前に言う
「ART1の皆は… 今日も食堂の旨い昼食食ったんだろうなぁ… あんっ んぐんぐ… やっぱ 不味い 国防軍の携帯食…」
ラミリツが言う
「そうだよね 政府警察の携帯食は 結構美味しいけど 国防軍のって 不味いよね?」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「えっ!?そうなんスかっ!?」
ラミリツが苦笑して言う
「けど マスターグレイゼス中佐に聞いた話では 栄養素的には国防軍の方が良いんだって?政府警察の方は どっちかって言うと ホント 口寂しさを補う程度って言うか?基本的に長期任務って無いから?」
隊員Cが言う
「あぁ… そう言う事で?」
ラミリツが言う
「うん、だから 僕らART2も 以前の長期任務の時の携帯食は 国防軍の方をメインに持って行ったんだけど… やっぱ 食事はさ?美味しい事も重要だって?その時知ったから 今回はつい… 政府警察のにしちゃった」
隊員Cが言う
「そうだったんスか… そう言えば 俺も 食堂のおばちゃんに どっち持ってく?って聞かれて 何の考えもなしに 国防軍の方を選んじまったけど それを知ってたなら…っ」
ラミリツが言う
「なら 1個交換する?」
隊員Cが喜んで言う
「良いんスかっ!?」
ラミリツが苦笑して言う
「うん 美味しい方選んじゃったけど 良く考えたら 栄養が良い方も 重要かもしれないし 丁度良かったかも?」
隊員Cが喜んで言う
「そおッスねっ!なら丁度良かったって事で!」
ラミリツと隊員Cが携帯食を交換する アースが考え事をしている ラミリツが気付いて言う
「…そう言えば?ハブロス司令官は?」
アースが気付き言う
「うん?ああ 私は…」
ラミリツが言う
「昼食は食べないにしても?」
アースが手に持っていたタブレットを示して言う
「地図上に置いても分かる通り この国の者らが使用しているだろう 綺麗な水の流れる川がある事は 把握をしていた為 飲み水の心配はしていなかった」
ラミリツが言う
「まさか それだけ…?」
アースが言う
「いや?勿論それだけとは言わないが 私も出来れば 不味いと感じる物は 口にしたくは無い 従って…」
ラミリツが呆気に取られて言う
「って 事は もしかして?」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「まさか 歴代国防軍長が…っ!?」
アースが言う
「サプリメントを持参したが?」
ラミリツと隊員Cが転んでから ラミリツが苦笑して言う
「そ、そう…?まぁ 良いんだけどさ…?けど それって…?」
隊員Cが言う
「有り得ねぇ… けど 流石 高位富裕層?」
アースが言う
「こちらであれば 携帯性にも優れているだろう?」
アースがサプリメントの錠剤を一粒食べる ラミリツが言う
「それはまぁ そうかもしれないけど…」
アースが言う
「質量が少ない分 水分の要求も少なくて済むと言う利点も併せ持つ そして何より 一瞬で終わる …では 行くぞ?」
アースが立ち上がる ラミリツが衝撃を受けて言う
「えっ!?もうっ!?」
隊員Cが言う
「速っ!?」
アースが言う
「対人情報収集は 日の明るい内にしか行えない 昼休憩は最小限に留める」
ラミリツが立ち上がって言う
「あ、そっか?それじゃ… 了解 司令官!」
隊員Cが落ち込んで言う
「昼休憩所か 中休憩の半分も休めねぇだなんて…」
隊員Cが立ち上がると アースが先行している 隊員Cが慌てて追い駆ける
【 ART 食堂 】
隊員Bが言う
「サッちゃん 今頃 どうしてるかな~?」
隊員Aが苦笑して言う
「サキの事だから きっとまた ハブロス司令官に 遊ばれてるんじゃないか?」
隊員Iが苦笑して言う
「サキシュ隊員は 基本 突っ込み役だけど ハブロス司令官が相手じゃ それも弾き返されちゃうからな?」
隊員Fが軽く笑って言う
「っはは それ 言えてる」
シーナが言う
「ハブロス司令官に 論争で勝てる相手は 居ないでしょうからね?そのハブロス司令官へ 突っ込みを… 反論をすると言う事自体が 可笑しいと言いますか?」
隊員Dが気付いて言う
「あぁ ひょっとして?それで気に入られているんじゃないか?サキシュ隊員は?ハブロス司令官の言葉に 言い返すから?」
隊員Eが言う
「なるほど そう言う事か?」
隊員Bが言う
「えー?」
シーナが言う
「あ!そうかもしれないですね?ハブロス司令官の言葉に 言い返す人なんて居ませんから それを楽しんで…?」
隊員Aが言う
「言われて見れば ハブロス司令官の近くに居る人って 余り 従順な人って居ないと言うか…?マスターシュレイゼス元隊長とか マスターグレイゼス中佐も ハブロス司令官の作戦に 反論していたし?」
隊員Bが言う
「それじゃー?ハブロス司令官と仲良くなるには ハブロス司令官の言葉に反論しないと駄目ーって事ー?アッちゃんー?」
隊員Aが苦笑して言う
「あ、いや だからって 何でも 反論しろって事じゃないからさ?バイちゃんは 真似とかしない方が良いと…」
隊員Bが言う
「真似しちゃ駄目なのー?俺はもっとハブロス司令官と 仲良くなりたいんだけどー?」
隊員Fが言う
「昨日の様子といい バイスン隊員は もう十分 ハブロス司令官と仲良く見えたけど?」
隊員Aが言う
「そうだよ バイちゃん?バイちゃんは十分 ハブロス司令官と 仲は良いだろう?」
隊員Bが言う
「えー?けど 俺はー サッちゃんと違って ご指名とかして貰えないしー?」
隊員Aが言う
「あぁ それは… バイちゃん?サキがハブロス司令官に ご指名されるのは 多分だけど …言っちゃうと サキがマスターになったからだと思うよ?」
隊員たちが反応する 隊員Bが言う
「…けど サッちゃんは…」
ハイケルが言う
「マスターラキンゼス隊員は 最低限のマスター であるが?」
隊員たちが衝撃を受ける 隊員Bが言う
「そうそうー!サッちゃん 最低限のマスターなのにー?他に もっと上のマスターの人は 沢山居るんだしー?それでも ハブロス司令官が 最低限のマスターの サッちゃんを ご指名するのは 何でー?アッちゃんー?」
隊員Aが苦笑して言う
「え?えっと それは…」
隊員Fが苦笑して言う
「それは…?」
隊員Aが苦笑して言う
「何でだろうな?俺にも分からないよ バイちゃん」
隊員Iが苦笑して言う
「言われてみると やっぱり 何でだろうな?」
隊員Bが言う
「えー?」
【 神の国 】
分かれ道
ラミリツが携帯のモニターから顔を上げて言う
「次の村へは この道を右だね?今までの村とは違って この村は 他の村へ通じるこの道に 割と近いみたい… …あっ!?」
ラミリツの視線の先 自分たちへ向かって人が荷車を引いて向かって来る ラミリツがアースへ向いて言う
「人が!?この先にある 村の人かもしれないっ!?声を掛けてみる?」
アースが視線を強めてから歩き始める ラミリツと隊員Cが顔を見合わせてから ラミリツが急いでアースへ続く 隊員Cが慌てて続く
荷車を引く人が急いで荷車を引きながらアースたちに気付くと 一瞬反応してアースと視線が合う アースが意識を向けると 荷車を引く人がアースからラミリツと隊員Cを見てからそのまま足早に過ぎ去って行く アースが数歩行ってから立ち止まり振り返ると 荷車が過ぎ去って行く ラミリツが呆気に取られてから言う
「声… 掛けるんじゃなかったの?それに 多分だけどさ?」
アースが言う
「ああ、彼らからは 魂の光が確認出来た 恐らく 会話は可能であるものと思われるが」
ラミリツが言う
「なら?…って あれ?彼らって?」
アースが言う
「彼の引いていた 荷台の中に3名 そして 彼ら4名共に 余り好ましくない光の色が見て取られた」
ラミリツが言う
「好ましくない光の…?じゃぁ その光の色で 判断をしたって事?」
アースが言う
「あの様な者には 不用意に声を掛けない方が 互いの為だ それに これから向かう村は 少なくとも彼らのような者が 後にした村であると言うヒントにはなった 目的地は目前 ここまで来れば それで十分だ」
アースが歩き出す ラミリツが言う
「そう…?まぁ 確かに それなら そうなのかもしれないけど」
隊員Cが言う
「それが色で判断出来るって… 便利ッスね?流石 時間に追われているお方 余計な会話はしないって…?…って アレ?いや… 余計な会話は 結構しているような?」
ラミリツが隊員Cへ言う
「まぁ 光の色で 色々分かるんなら 便利は便利だよね?それに…」
ラミリツがアースを追い駆ける 隊員Cが追う ラミリツがアースに追い着くと言う
「その光って 魂の光だって言うのならさ?嘘なんかも吐けないって事だよね?」
アースが言う
「そう言う事だ 口や態度でどれ程に誤魔化そうと この左目に映る 魂の色に嘘は吐けない」
ラミリツが苦笑して言う
「そうなんだ?それじゃ… やっぱ それって 当然?僕や皆の気持ちだって 見えるんだよね?」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「えっ!?」
アースが言う
「見ようと思えばな?」
ラミリツが言う
「なら…?」
アースが言う
「しかし 同じ人として 個人のプライバシーは尊重したい 従って よほどの事がない限りは 意識を向けないようにと… 元の視界を遮っていれば そちらの能力も多少は下がる」
ラミリツが言う
「それじゃ 視力は戻ったのに 眼帯を付けているのは その為だったって事?」
アースが言う
「そうだな そちらも理由の1つには なっている」
ラミリツが言う
「1つって事は 他の理由は?」
アースが言う
「他は…」
アースが隊員Cを見る 隊員Cが疑問していた状態からハッと気付いて言う
「そう言えば 以前の?あの時は 確か…?」
ラミリツが言う
「え?あの時って?」
ラミリツが隊員Cへ向くと アースが人差し指を立てて言う
「秘密だ」
隊員Cが衝撃を受ける ラミリツが言う
「え?」
ラミリツがアースへ向くと アースが言う
「行くぞ?遅れるなよ 護衛の2人?」
隊員Cがアースを見ていた状態からラミリツへ向くと衝撃を受ける ラミリツが隊員Cを見詰めて言う
「じー…」
隊員Cが困り汗を流すと 慌てて言う
「あ、あぁあのっ!?い、行かないとっ!?悪魔の司令官に…!?いや!ハブロス司令官に 遅れちゃいますから!?ご、護衛ですからね!?お、俺たちは~!?あはっ あははははっ!?」
隊員Cが瞬時にアースの下へ逃げる ラミリツが衝撃を受けて言う
「むっ!?逃がしたっ!?僕の じー から逃げるなんて!?流石マスター?甘く見てたよっ!…ねぇ!待ってよっ!?メイヴィンーっ!」
アースが衝撃を受ける ラミリツが急いで追い着く
【 ART 第一訓練所 】
ハイケルが言う
「では 本日のART1の訓練は これで終了とする 各自 使用武器 並びに マシーナリーの点検確認を済ませ 退散しろ 以上だ」
ART1隊員たちが言う
「「了解 少佐ぁー!」」
【 ART 司令塔 】
モニターの中でART1の様子が映されている グレイゼスが見て居て言う
「よし、本日も 問題は無く ART1は業務完了… と?おっと そうだった 今日は…」
グレイゼスがコンソールを操作するとモニターの映像が切り替わり 誰も居ない訓練所の様子が映る グレイゼスが疑問して言う
「うん?あら~?ART2は…?…ひょっとして もう 全員?」
グレイゼスがコンソールを操作するとモニターにメンバーボードが表示され ART2隊員らの名前が消灯している グレイゼスが苦笑して言う
「あらら?お早い事で?それぞれの退勤時間は… うん、17時01分から5分までの間か… 機動部隊の連中も 隊長が居ないと 定時に上がれるものなんだなぁ?…まぁ?」
グレイゼスがコンソールを操作するとモニターにART1の様子が映し出され賑やかな様子が見て取られる グレイゼスが苦笑して言う
「それが良いのか悪いのかは 知れないが…?」
グレイゼスが顔を上げると司令塔の隊員たちが作業を続けている グレイゼスが苦笑する
【 神の国 】
ラミリツがアースの腕を掴んでいて言う
「今はとにかくっ あの彼らを止めないと!」
アースが言う
「だから言っているだろう?どれだけ急いだ所で 所詮 今から向かうのでは 間に合いはしな… あっ!?おいっ!?」
ラミリツがアースの腕を引いて走り出す 隊員Cが衝撃を受けて言う
「えぇえっ!?」
ラミリツがアースの腕を引っ張って走りながら言う
「僕らが事前に犯行を知っているなら 出来る限りの事をやらなきゃ駄目だよっ!見過ごす事は 同罪も同然っ!今からでも 全力で止めに向かう!」
アースが言う
「だから そちらは間に合わないと 言っているのだろうっ!?手を離せっ ラミリツ隊長っ!」
ラミリツが言う
「間に合わなくったってっ!急がないとっ!」
アースが言う
「間に合わないのなら 急いだ所で意味が無いっ!だから 手を離せっ!どうしても向かいたいというのなら お前が1人で向かえっ!その方が到着も速く ともすれば 間に合うかもしれないぞ!?」
ラミリツが言う
「それならそれで!犯行は起きても 事件は解決する!」
アースが言う
「そうだっ!従って お前は さっさと その手を離し お前1人で全力で向えっ!それで良い そうしろ ラミリツ隊長っ 命令だっ!」
ラミリツが言う
「了解っ!司令官っ!」
アースが言う
「良しっ!」
アースがホッとした後 衝撃を受け言う
「…てっ!?何をしているっ!?ラミリツ隊長っ!そして 何より 私の腕を拘束する その手を離せとっ!?」
ラミリツが言う
「今の作戦に了解はするけど 一部変更!僕が1人じゃなくて やっぱ ハブロス司令官も連れて行くっ!」
アースが衝撃を受け言う
「なっ!?ちょ、ちょっと待てっ!私の作戦をっ!何より一番重要な箇所を変更するなっ 私は お前が1人で行けと言っているんだっ それで無ければ 作戦以前に 時間が間に合わないだろうっ!分かれっ!」
ラミリツが言う
「分かった!けど 大丈夫っ!それなら 僕が1人で走るのと同じ位 2人で急げば良いんだよっ!分かるでしょ!?普通っ!」
アースが言う
「分かるか このガキっ!そのお前がっ いやっ 戦闘員のお前が1人で走るのと 非戦闘員の私を牽引して走るのでは お前が1人で走った方が速いに決まってるだろっ!馬鹿かっ!お前はっ!?」
ラミリツが言う
「分かってるよっ!僕は馬鹿じゃないけど ハブロス司令官の悪知恵とかは無いからっ 正義に逸れた彼らの行いを 正当化して示談を成立させる事なんて出来る筈が無いのっ!だから やっぱ ハブロス司令官も連れて行かないと 駄目だってっ!」
アースが言う
「ふざけるなっ!順番に突っ込みたい所だが 生憎今は そのお前のお陰で余裕が無いっ そして 何より 先に手を離せっ!唯でさえ 今日は半日歩き通しで 体力を消費しているんだっ その上で8キロ以上も… 走れる訳がないだろうっ!?増して このスピードでっ!ワンス村を守る以前に 私を殺す気かっ!お前はっ!?」
ラミリツが言う
「大丈夫だよっ!それだけ歩けるって事は 基礎体力はあるって証拠っ!それなら 8キロ位走れるっ!何より僕が引っ張ってあげるから それで ペースを維持して 後は意識を目的地へ向けるの!それだけで 十分!僕は そこにある犯罪を止める事だけを考えるからっ!ハブロス司令官を連れて行けば良いっ!今はそれしか考えないっ!」
アースが言う
「お前はそれだけで良いかもしれないがっ 私には考える事が山ほどあるんだっ!身体を動かすと 思考回路が単一化してしまうっ お前の言う通り 到着目的の遂行しか考えられなくなると言う事だ その私に交渉をさせようと言うのなら 走らせるなっ!」
ラミリツが言う
「大丈夫っ!ハブロス司令官なら 何とかなるよっ!僕は信じるっ!」
アースが言う
「その私が出来ないと 言っているだろうっ!?離せっ!」
隊員Cが追って走りながら呆気に取られて言う
「マジかよっ!?自分よりデカイ 非戦闘員を1人引っ張りながら あのスピードって…っ!?有り得ねぇだろ!?」
アースが言う
「おいっ ラミリツ隊長っ 意地も誇りも無く 本気で言うが 無理だっ 走り切れないっ!諦めて その手を離せ!」
ラミリツが言う
「駄目っ!まずは その考えを捨ててっ!何も考えなくて良いから!とにかく 僕に引かれるままに!このまま 走れば良いのっ!」
アースが言う
「何も考えなくとも 己の身体の限界は分かるだろうっ!?その上で 無理だと言っているんだ 離せっ!」
ラミリツが言う
「大丈夫っ!ここまで来て それだけ考えて喋れるなら 絶対 行けるっ!後は 何も考えないで 走ってっ!さあ 行くよっ!?もっと急いで!もっと速くっ!」
ラミリツがスピードを上げる アースが驚き言う
「なっ!?じょ、冗談じゃないっ!無理だと言っているだろう!?離せっ …このっ クソ餓鬼がぁあっ!」
ラミリツとアースが走って行く 隊員Cがかなり遅れて走って来て呆気に取られて言う
「お、おいおい?マジかよ?有り得… いや …もう マジで信じられねぇ ラミリツ隊長 ハブロス司令官より 無茶苦茶だ …大体 あのペースで8キロなんて …軍曹だって無理だぞ?」
隊員Cが走る視線の先 既に遠くに見える場所で アースを引っ張ってラミリツが走っている
【 ART 出入り口前 】
ART隊員たちが慌てて飛び出して来る エルムα9体が出入り口前でサブマシンガンを構えると ハイケルがその前に立ち両手に銃を構える ART1隊員たちが慌てて言う
「「しょ、少佐ぁーっ!?」」
エルムα9体が戦闘モードに切り替わる ART1隊員たちが慌てて言う
「しょ、少佐ぁーっ!?」 「駄目ですよ 少佐っ 落ち着いてっ!」 「えー?」 「バイちゃんも 止めて!」 「だってー?」
グレイゼスの声が聞こえて来る
「はいはい 分かった分かったから そう 威嚇してくれなくても 今 向ってるでしょう?」
グレイゼスが出入り口に出て来る ART1隊員たちが呆気に取られて言う
「あれ?」 「マスターグレイゼス中佐まで?」
ハイケルが銃を降ろす 隊員Aがハイケルの様子に気付いて言う
「ひょっとして それで…?」
グレイゼスが出入り口を出ると呆気に取られて周囲を見渡して言う
「あらー?今日はまた…?」
エルムαが言う
『現時刻は18:00 当直の登録がなされていない隊員の ART本部退去を確認 任務完了 帰還する』
エルムα10体が出入り口の中へ入るとその前に扉が2重に閉まりレッドランプが点灯する 皆がそれを見てから グレイゼスが再び言う
「今日は 随分と皆さん 遅くまで残っていた様で?何か… 問題か~?…なんてな?プククッ」
ハイケルがグレイゼスを見てから一度視線を下げる グレイゼスがからかっていた状態から疑問して心配して言う
「…て?うん?ひょっとして 何か?本当に 問題でもあったのか ハイケル?」
ハイケルがグレイゼスへ向いて言う
「…いや 問題と言う問題は無いのだが」
グレイゼスが疑問して言う
「問題と言う問題は無い?…うん それなら…?」
グレイゼスが周囲を見渡してから疑問すると ハイケルが言う
「問題は無いのだが 問題が発生しているかの様なのだが?これはどう言う事だ?グレイゼス?」
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「えっ!?いや?…それは むしろ 俺が聞きたいんだけど?」
ハイケルが言う
「そうか お前が分からないと言うのでは 司令官へ報告を …っ?」
グレイゼスが呆気に取られた後苦笑して言う
「君たち… …っははっ!何だよ?皆 大げさだぞ?」
皆が反応してグレイゼスを見る グレイゼスが微笑して言う
「ハブロス司令官なら 大丈夫だ なんせ あの攻長閣下や 一応マスターの マスターラキンゼス隊員も付いている!その上 イザとなれば このアールスローンの天使様だって 力を貸して下さるだろう!…ああ!ついでに もう1人の悪魔様だって付いてるんだ!こんなスペシャルな陣営を率いている 我らが最高の司令官様を 心配する必要なんて何処にも無いだろう?」
皆が気付き表情を和らげて顔を見合わせる グレイゼスが言う
「さ!そう言う事だから 皆さん!安心して 自宅へ帰りしましょう!ハブロス司令官も 就業時間後は 皆が家族と過ごしている事を 望んでいるのだから …それから もちろん!何らかの事態が発生すれば 直ぐに皆にも知らせるから!各々携帯の充電は欠かさないように!」
ART隊員たちが言う
「「了解!中佐!」」
グレイゼスが言う
「よし!それでは ART隊員諸君!また明日な!お疲れ!」
ART隊員たちが言う
「「お疲れ様でしたー!」」
皆が笑い安心して立ち去って行く グレイゼスが微笑してから顔を向けると ハイケルが沈黙していた状態からグレイゼスへ向く グレイゼスが苦笑する
【 喫茶店マリーシア 】
グレイゼスが言う
「…でぇ?」
グレイゼスが皿を拭きながら言う
「何で 就業時間後は 皆が家族と過ごしている事を… と、皆へ公言した俺の所へ 転がり込んで来てるんだよ?このっ ハイケル」
マリがマーガレットをあやしながらグレイゼスとハイケルを見て微笑する ハイケルがコーヒーを一口飲んでから言う
「問題ない そちらを望んでいると言った お前の示した人物 ハブロス司令官にとっての家族は そのハブロス司令官が己の家族と認めたものが全てだ そして その中には 私はもちろんだが お前も入っている」
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「え?俺も?何時の間に…?って?いやいやっ そうじゃなくてっ!?そもそも 家族って言うのは…っ!?…なぁ?マリ?」
グレイゼスがマリへ向くと マリが微笑して言う
「ふふっ 凄いのね?グレイ君 あのハブロス様の ご家族様にまで 昇進しちゃうだなんて?…ね~?マーガレット?お父様は凄いですね~?」
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「なぁあっ!?い、いや 俺はっ!?…俺は マリとマーガレットの家族であって… 決して ハブロス家の」
ハイケルが言う
「ハブロス家の では無く ハブロス司令官の家族だ」
グレイゼスが疑問して言う
「はぁ?だから それは つまり ハブロス家の… …っ?」
ハイケルが言う
「現在 ハブロス司令官は 国外にて任務中だ そのハブロス司令官は アールスローンには存在していない そうとなれば 現状のハブロス家は軍曹の物 ハブロス家の家族は 軍曹の家族と言う事になる」
グレイゼスが言う
「そう言えば そうだったな?そして、この状態で アーヴィン君がハブロス家の家族の登録から ハブロス司令官を… アース・メイヴン・ハブロスを除名さえしてしまえば 後はハブロス司令官が戻ろうが戻るまいが ハブロス家の当主は 引き続き アーヴィン君と言う事になる …とは言っても そいつは もちろん?形式上の話であって そもそも あのアーヴィン君が そんな事をする筈は無い訳だが…?」
グレイゼスがハイケルを見ると ハイケルがコーヒーを飲んでからグレイゼスを見て言う
「グレイゼス もし 可能であれば」
グレイゼスが言う
「うん?何だ?ハイケル」
ハイケルが言う
「今夜は この店に泊り込んでも 良いか?」
グレイゼスが呆気に取られて言う
「…っ ハイケル… お前 ひょっとして…?」
ハイケルが言う
「ついでに 朝食を付けてもらえると 助かるのだが?」
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「ちゃっかりしてるな?お前は!?」
ハイケルが言う
「駄目なのか?」
グレイゼスが慌てて言う
「いやっ そうじゃなくて!?」
マリが笑っている
【 神の国 】
空き家
ドアが開かれ長老が言う
「この空き家に藁を積み込んで置きましたので どうぞ 今夜はこちらでお休み下さい」
ラミリツと隊員Cが入り言う
「え?藁をって…?」 「もしかして また…?」
ラミリツが疑問して言う
「また?」
アースが長老へ向いて言う
「ご親切に有難う御座います 使わせて頂きます」
長老が微笑して頷くと立ち去る ドアが閉められると 家の中が真っ暗になり ラミリツと隊員Cが一瞬呆気に取られると ラミリツが携帯を取り出し明かりを灯して言う
「電気も無ければ ランタンなんかも無いし…?本当に 何も無い所だね?それに さっき言ってた 藁って もしかしてだけど?」
ラミリツが足元を照らしながら歩いていくと 明かりの先に藁が敷き詰められている ラミリツが衝撃を受けると言う
「ホントに藁が積まれてる… つまり ここって… 馬小屋とかって事?…でも 臭いとかしないし?」
隊員Cが臭いをかいで言う
「そおっすね?それに なんつーか そう言う 動物なんかの牛舎とかって?そう言う感じでもないですから …やっぱこれが 人間の家って事…?」
ラミリツが藁を手に取ってから微笑して言う
「ふふっ でも良いね?こう言うのって!」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「えっ!?良いね?って?」
ラミリツが喜んで言う
「僕一度 こう言うの!藁の中で寝るのって やってみたかったんだよね!アニメとかでたまにやってるじゃない!?ふふふっ!藁なんて触るのも初めてだし!そこで寝られるなんて 一生に一度有るか無いかって感じでしょ!?」
隊員Cが苦笑して言う
「俺二回目です」
ラミリツが衝撃を受けて言う
「嘘ぉっ!?」
アースがやって来て藁を見下ろす ラミリツと隊員Cが話していて ラミリツが言う
「二回目って言うと?それじゃ 一回目は?アールスローンで?」
隊員Cが言う
「いや 言われてみれば その一回目も今日みたいに国外任務で… あのヴァンパイアさんたちの国へ行った時にですね?」
ラミリツが言う
「ああ そう言う事?僕らが行った方では アウターサイドの村でも ここまで何もない所では無かったし 最初から野営テントを用意して行ったからね?だから 藁で寝るなんて ホント初めて!」
隊員Cが苦笑して言う
「何か すげぇ 嬉しそうですね?」
ラミリツが言う
「えへへ~ だって 夢だったし?藁って暖かいの?やっぱ毛布を用意した方が良いかな?」
隊員Cが言う
「夢だったって… むしろ お屋敷のベッドで寝る方が 普通は夢でしょう?大体 藁なんて 温かいは温かいですけど 直接触れると首とか チクチクして寝心地悪いッスよ?」
ラミリツが言う
「あ、そうなんだ?チクチクするのは嫌だけど 折角だし?寒くは無いって言うのなら このままで… …あっ?」
ラミリツがアースへ向くと言う
「そう言えば ハブロス司令官は平気?」
隊員Cが苦笑して言う
「…そう言えば それこそ大変な人が 居ましたっけ?」
ラミリツが苦笑して言う
「野宿しないで済んだのは良かったけど 藁でなんか寝られない?それなら 僕が持って来た簡易毛布もあるけど そっちが良ければ 貸してあげ…」
アースが正面から藁の上に倒れる ラミリツと隊員Cが衝撃を受け驚くと ラミリツが慌てて言う
「ハ、ハブロス司令官っ!?」
隊員Cが心配して言う
「しょ、正面から ぶっ倒れ…っ!?って いやっ!?それよりっ!?」
ラミリツがアースの身を向き直させて言う
「ハブロス司令官っ!?」
ラミリツがアースの首に手を当てて脈を取る 隊員Cが心配して言う
「ど、どうですかっ!?ラミリツ隊長!?ハブロス司令官は!?」
ラミリツが言う
「…寝てる」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「って えぇえっ!?ね、寝てるって…?」
隊員Cが覗き込むとアースが寝入っている 隊員Cが呆れて言う
「…本当に寝てる …有り得ねぇ そもそも あんなベッドへの入り方って?…まさか それが高位富裕層の普段って…?」
ラミリツが苦笑して言う
「まさか?」
隊員Cが苦笑して言う
「そ、そうですよね?高位富裕層のお方と言えば もっと その… なんて言うか 優雅にと言うか?」
ラミリツが言う
「…きっと 相当 無理してたんだと思う」
隊員Cが呆気に取られてから言う
「無理をして?いや そんな風には 見えませんでしたけど?あの村を襲ってた連中を ねじ伏せた時だって その後 村の人たちと一緒に 外で飯食ってた時だって?普通に?普段と同じと言うか?色々と村の事聞いたり 村長さんとも 話してましたし?」
ラミリツが苦笑して言う
「だから 見せないようにしてたんだよ その村の人たちは他人でしょ?敵では無いけど 仲間でも無いから 弱みは見せられない」
隊員Cが呆気に取られた後苦笑して言う
「弱みは見せれらない… そ、そう言う事ッスか?で~… その敵でも味方でもない 他人さんと分かれて 俺らだけになったから?だから… って事なら?ハ… ハハッ!?何だ そう言う事なら ハブロス司令官も なんつーか 甘いって言いますか?仲間の前では 気を抜けるなんて ちょっとはその~… な、仲間らしい事も してくれるもんッスね~?ハ、ハハハッ!?」
ラミリツがアースの顔を見る 窓から差し込む月明かりにアースの顔が照らされている ラミリツが表情を悲しませる 後方で隊員Cが疑問して言う
「…ラミリツ隊長?」
ラミリツがハッとすると言う
「あ、そっか?このままじゃ 風邪引いちゃうよね?下に敷くだけじゃなくて 上にも?…もう しょうがないなぁ?寝るんなら ちゃんと藁掛けて寝ないと 駄目じゃない?ハブロス司令官?」
ラミリツがアースの体の上に藁を乗せる 隊員Cが衝撃を受けて言う
「藁掛けるって… いや、そうですけど むしろ それは盛ってるって言いますか?」
ラミリツが言う
「この位で平気かな?もっと盛った方が良い?」
ラミリツが隊員Cへ向く 隊員Cが衝撃を受けてから言う
「えっ!?いや… 俺に 藁の盛り加減 聞かれても」
ラミリツが藁を整えて言う
「なら後はこれで… こんな感じ?どうかな?えへへっ 僕って優しいよね?ちゃんと ハブロス司令官の為に 藁 整えて置いてあげたんだからね?ハブロス司令官?」
隊員Cが呆れて言う
「藁ですけどね?」
ラミリツがアースの隣の藁にもぐりこんで言う
「ふふっ それにまさか ハブロス司令官と 同じ藁に 寝られる日が来る何んて 僕 思いもしなかったよ?」
隊員Cが呆れて言う
「そりゃ 誰も思いませんよね?少なくとも 俺らと同じ …そう言う 携帯なんかの科学的進歩があるのなら?」
ラミリツが携帯を見てから言う
「まだ9時にもなってないや… 本当は 明日の予定とか聞くつもりだったんだけど まぁ良いよね!?ハブロス司令官が寝るんなら 僕も寝る!お休みなさーい!」
ラミリツが携帯の電源を切る 辺りが暗くなる 隊員Cが衝撃を受けてから言う
「え?マジで!?9時に寝るなんてっ それこそ ガキの頃以来で むしろ 寝られるかって…!?」
ラミリツの寝息が聞こえる 隊員Cが衝撃を受けて言う
「って 寝ちゃうのかよっ!?流石…」
隊員Cが沈黙の間に困り汗を流した後言う
「ん~じゃぁ 俺もっ!?お休みなさーいっ!」
隊員Cが藁にもぐりこむと 間を置いていびきを掻き始める ラミリツが言う
「うるさっ!?」
【 グレイゼスの自宅 】
ハイケルが食事を終えて言う
「家族の夕食の時間を 邪魔して 済まなかった」
マリとグレイゼスが一瞬呆気に取られてから グレイゼスが苦笑して言う
「おいおい?誘ったのはこっちなんだし そもそも 俺らにとってのお前が 邪魔なんかで ある筈がないだろう?」
ハイケルが言う
「そうか では…?」
マリが微笑して言う
「お料理のお味はどうだった?ハイケル君?ハイケル君は 普段は あのハブロス家のお屋敷で お食事を頂いているのだから もしかしたら 口に合わないかと思ったのだけど?」
ハイケルが言う
「料理の味は… そうだな ハブロス家で口にする味とは 異なっていたが …食べやすい味だと感じた」
グレイゼスが言う
「それは お前… 普通は 美味しいとか 旨いとかって 言うんじゃないか?」
ハイケルが言う
「美味しい 旨い… いや?やはり 少し異なる 率直に 俺には 食べやすいと感じたのだが?」
グレイゼスが言う
「なら ハブロス家の食事の味は 食べ辛い 不味いって事か?」
ハイケルが言う
「いや?ハブロス家で食べる食べ物の味は 率直に 旨い …しかし そうだな?何故か 同時に 食べ辛いとも 感じる」
グレイゼスが呆気に取られて言う
「へぇ…?そいつはまた 面白い事言う様になったなぁ?ハイケル?」
ハイケルが言う
「面白い?…そうか」
マリが微笑して言う
「ハイケル君は とっても繊細なのね?」
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「繊細…?悪魔の兵士が?」
グレイゼスがハイケルを見る ハイケルが疑問して言う
「繊細?…それは どう言う意味だ?マリーニ・アントワネット・ライネミア・アーミレイテス」
グレイゼスが衝撃を受け呆れる マリが軽く笑って言う
「そうね?そうやって 私のフルネームを呼んでくれるのと同じで ハイケル君は とっても几帳面だから」
ハイケルが言う
「几帳面…?」
グレイゼスが苦笑して言う
「いや こいつの場合は 几帳面と言うより むしろ…」
ハイケルがグレイゼスを見て言う
「むしろ?」
マリが言う
「普段との違いとか 自分が居る事で 私やグレイ君が不都合を感じて居ないかとか そう言った 心遣いが出来るの だから ハブロス家に居ても そちらが気になって 高位富裕層のハブロス家の皆さんの中で 一緒にお食事をする事に 気を使ってしまっていて …だから お料理は美味しいのだけど そちらのお料理を 一緒に食べる事に 抵抗を感じて 食べ辛いって 感じるのじゃないかな?」
ハイケルが沈黙してから言う
「気を使う…?抵抗を感じて…?…そうか 了解」
グレイゼスとマリが衝撃を受け呆気に取られた後笑うと グレイゼスが言う
「やっぱりこれだぁ?」
ハイケルが疑問して言う
「やっぱりとは?」
マリが言う
「うふふっ ハイケル君 可愛いっ」
ハイケルが衝撃を受けてから言う
「理解不能だ」
グレイゼスが言う
「まぁ それでも 悪いが 今夜はリビングのソファで 寝てもらうが 構わないよな?」
ハイケルが言う
「問題ない 元は あの店の椅子で 仮眠を取る予定だった」
グレイゼスが言う
「ああ、それよりは 断然寝心地は良いだろうぜ?それじゃ… 確か毛布は1枚 あった筈だから…」
グレイゼスが席を立つ ハイケルがコーヒーを飲む マリが微笑する
【 神の国 】
深夜
窓に見える月の位置が傾いている ラミリツが寝返りを打ち 寝心地を嫌いながら目を覚ますとハッと気を取り直し飛び起きて言う
「…っ!ハブロス司令官っ?」
ラミリツが周囲を見渡してから隊員Cを見る 隊員Cはぐっすり眠っている ラミリツがアースの眠っていた場所を見てから言う
「…居ない!?」
ラミリツが再び周囲を見てから 携帯を見て 窓の外の月を見てから言う
「すぐ… 戻って来るよね?」
ラミリツが隊員Cを見る 隊員Cは寝入っている
窓の外の月が傾く
ラミリツが窓の外月を見てから携帯を見て言う
「…戻って来ない 何処行ったの?ハブロス司令官っ?」
ラミリツがアースの寝ていた場所を見てから立ち上がる
第3ブロック 門前
門の周囲に人は居ない 一転して その先に光が人の動きの様に動いている アースが物陰に身を潜めて言う
「やはり 中には見張りが居るか…」
アースが思う
(そうとなれば 唯こちらから入り込む方法を模索するだけでは… いや 重要なのは 兵が居るかと言う事よりも その彼らが 通信手段を… 自分たちの神 アークとの交友を得ているかと言う事だが そちらは…?)
アースが物陰から顔を覗かせ周囲を見る 周囲に人は見えない アースが軽く息を吐いて思う
(監視カメラの類は無い そして門の中には それなりの見張りや 見回りと思われる動きがあると言う事は ともすれば その者らが定期的に こちらを伺いに訪れる事もあるか?少なくとも深夜の間に1度程度は…?)
アースが携帯の時間を確認してからそれをしまって言う
「それまでを 張り込むか…」
アースが周囲を見てからコートから小さな包みを取り出し 封を開けると口に入れ張り込みを続行する
空き家
隊員Cの体が揺さぶられラミリツの声がする
「…ラキンゼス隊員っ 起きてっ ねぇ!起きてったらっ マスターラキンゼス隊員っ!ねぇっ!」
隊員Cが寝言を言う
「う~… 有り得ねぇ んな… 悪魔の…に 天使の…とか… 有り得ねぇから… けど…」
ラミリツが言う
「ちょっと!夢なんか見てないでっ 起きてったらっ!ねぇっ マスター!?…ならっ サキシュ隊員っ!?起きて!この…っ 起きろったらっ!」
ラミリツが藁を引き上げると 隊員Cが転げ落ちて言う
「やっぱ見間違えじゃな… 背中に… …ってっ!?のわぁあっ!?」
隊員Cが床に落ちて 打ち付けた腰をさすりながら言う
「ッテテテ んえ?ラミリツ隊長?どおしたんすかぁ?まだ 暗いじゃないですか?ひょっとして…?」
ラミリツが言う
「そうなのっ!まだ暗いのにっ!」
隊員Cが立ち上がりながら言う
「1人じゃ 怖くて用足しに行けないって言うなら そう言う時こそ 親友のメイヴィンさんに お願いすれば 割とそう言った事から…」
ラミリツが言う
「そうじゃなくてっ!そのメイヴィンが 居ないんだったらっ!」
ラミリツがアースの寝ていた場所を指差す 隊員Cが一瞬呆気に取られた後 藁へ戻りながら言う
「なら 用足しに行ったんじゃないっすか?だったら ラミリツ隊長も…」
ラミリツが言う
「それにしては遅過ぎるのっ!」
隊員Cが言う
「だったら デカイ方なんじゃないッスか?だから少し遅く…」
ラミリツが言う
「それにしたって遅いんだよっ 僕が気付いてから 1時間以上も 経ってるんだからっ!」
隊員Cが藁に潜りながら言う
「だったら 森にでも迷ってるんじゃないッスか?どっちにしろ 大丈夫ッスよ」
ラミリツが衝撃を受けて慌てて言う
「迷ってるんなら それこそ探しに行かないと 駄目でしょっ!普通!?森には 野生の動物も居るかもしれないじゃないっ!?」
隊員Cが言う
「野生動物の1匹や2匹 目じゃ無いでしょう?あの無敵の司令官様なら…?」
ラミリツが言う
「何言ってるのっ!?ハブロス司令官は 非戦闘員なんだから 戦闘員の僕らが 守ってあげないと駄目っ!僕らは その為の護衛だろ!?」
隊員Cが言う
「ハブロス司令官は 非戦闘員だって言っても… むしろ 守られてるのは俺らの方ですし?」
ラミリツがハッとして呆気に取られる 隊員Cが言う
「何かあったとしても また いつもの技でぶっ飛ばすに 決まってるじゃないですか~… それに そもそも俺は 護衛と言うより 突っ込み担当で…」
ラミリツが呆気に取られたまま言う
「守られているのは 僕ら…?」
ドアが開く音が聞こえる ラミリツがハッとして振り返ると言う
「…っ!ハブロス司令官っ!?」
アースが入って来て言う
「大声を出すんじゃない この夜更けに 何を騒いでいる?外まで声が聞こえたぞ?」
ラミリツが言う
「ハブロス司令官が 居ないからっ!」
アースが言う
「用足しに出ただけだろう?それ位で騒ぐなよ」
ラミリツが言う
「嘘っ!それにしては遅いしっ!?そもそも 1人で…っ!」
アースが言う
「遅くなる方だってあるだろう?」
ラミリツが衝撃を受けた後言う
「それは… って それも嘘っ!いくら そっちの方でも 1時間以上も何て無いから!」
アースが藁に入りながら言う
「森の奥へ向ったら 帰路に迷った」
ラミリツが衝撃を受けて言う
「えっ!?…それ ホントに?」
隊員Cがもぞもぞ動いて言う
「だから 言ったじゃないスか… 迷ってるんだって…」
ラミリツが言う
「それは… …って だったらっ 尚更っ!?1人でなんか行ったら危ないじゃないっ!何で声掛けてくれなかったのっ!?」
アースが言う
「分かった お休み ラミリツ隊長」
ラミリツが衝撃を受けて言う
「うん お休み …って そっちの声掛けじゃなくてっ!?ハブロス司令官っ!?」
ラミリツがアースの顔を覗きこむと アースが眠っている ラミリツが衝撃を受けた後言う
「ちょっ!?ね、寝てる…?…人が 心配してたって言うのにぃ…っ メイヴィンの馬鹿ぁあっ!もう知らないよっ!ふんっ!」
ラミリツが隣の藁に潜り込んで寝る 隊員Cが藁から覗いて言う
「…不貞寝した?」
アースが苦笑して言う
「…ふっ ガキだな?」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「心配してもらって置きながら… 流石 悪魔の…」
隊員Cの目に光の翼が見える 隊員Cが衝撃を受け驚いて目を見開くと 気付き呆れる アースがタブレットを使っていて その光が隊員Cの目に入る 隊員Cが肩の力を抜いて言う
「…何だ ひょっとして あの時も…?携帯の光の影響で…?」
隊員Cがアースへ背を向けて言う
「まったく 脅かしやがって… … ぐぅ~…」
隊員Cが寝入る アースが横目に隊員Cを見てからタブレットを操作すると 第3ブロックの門前を背景にした兵士の写真が表示される アースが目を細める
続く
【 ART 第一訓練所 】
アースが言う
「作戦を決行する 作戦概要は 敵陣潜入偵察だ 従って 人員は最小限に留めるものとし そのメンバーは 作戦構築担当である 司令官の私と」
ART1隊員たちが驚いて言う
「「えっ!?」」
アースが言う
「ART1から マスターラキンゼス隊員」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「キターッ!?」
隊員Bが言う
「おめでとーっ!サッちゃん!」
隊員Cが言う
「おめでたくないーっ!」
アースが言う
「以上だ」
ART1隊員たちが驚いて言う
「「えっ!?」」
隊員Cが言う
「終わった…」
隊員Cが倒れる 隊員Bが言う
「あー!司令官ー!サッちゃんが倒れましたー!」
アースが言う
「問題ない 起こして置け」
隊員Aと隊員Fが苦笑しながら隊員Cを起こす 隊員Cが言う
「ハブロス司令官と…!?俺の!?2人だけでって…!?しかも 敵陣潜入視察だなんて…っ!?」
ハイケルが言う
「本気か?ハブロス司令官」
アースが言う
「何か問題か?ハイケル少佐?」
ハイケルが視線を落として言う
「何か問題…?それは… 問題… だと思われるのだが?…では グレイゼスへ確認をする 恐らく私では 管轄外の問題が発生していると思われる」
ハイケルが携帯を操作している アースが言う
「お前にとっては管轄外であろうとも 私はこのARTの作戦構築担当である司令官だ その私が問題のある作戦を 決行するなどと言う事が ある筈がないだろう?」
ART1隊員たちが困惑して隊員Aが言う
「えっと…?」
隊員Iが言う
「あるような… 気がするんだけど…?」
隊員Fが言う
「俺も…」
隊員Aが苦笑して言う
「作戦概要は兎も角 主に 人員に問題があると思うんだけど…」
アースが隊員Aへ向いて言う
「私とマスターラキンゼス隊員の2名に 何か問題があると言うのか?アラン隊員?」
隊員Aが衝撃を受けて言う
「えっ!?は、はい… 多分… ですが?」
アースが言う
「ほう?」
隊員Fが言う
「アラン隊員 良く言ったな?」
隊員Iが頷いて言う
「うんうん!」
アースが言う
「元国防軍総司令官にして アールスローン1の司令官と言われた この私が構築した 作戦 及び 人員に 何か問題か?」
隊員Aが困って言う
「えっ!?えぇっと…っ!?」
隊員Fが苦笑して言う
「言ったは良いけど その先は…?」
隊員Eが言う
「無理だろう?やっぱ?いくら 傍目には問題があっても それを言える人なんて…」
グレイゼスが駆け込んで来て言う
「また唐突にっ!今度は 一体 何を考えているんですかっ!?ハブロス司令官っ!?」
隊員Fが言う
「あ、居た?」
隊員Aが言う
「助かった…」
アースが言う
「ああ、丁度良かった ART作戦構築担当補佐官でもある ART司令塔管理主任 マスターグレイゼス中佐 ハイケル少佐から作戦概要を聞いているのなら話は早い 私はマスターラキンゼス隊員と共に敵陣潜入偵察を決行する その間 ARTの指揮系統は頼んだぞ?ともすれば 二度と戻らないかもしれないが その際は それ以上に頼む」
ART1隊員たちが衝撃を受け 隊員Cがショックを受けて言う
「…終った」
隊員Aが苦笑して言う
「それって…」
隊員Bが言う
「えー?」
グレイゼスが慌てて言う
「相変わらず 縁起でも無い事を 言わないで下さいっ!それからっ!いえっ それ以前にもっ!そちらの人員はっ!?ハブロス司令官は 負傷度Eランクの重症者で マスターラキンゼス隊員は マスターと名乗れない程の 最低限のマスターにしてっ 機動隊員としての能力も その程度ですっ!」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「機動隊員としての能力も 最低限みたいに言われた…」
隊員Aが苦笑する グレイゼスが続けて言う
「そちらの2名で 敵陣潜入偵察だなんてっ!自殺しに行くようなものでしょうっ!?オマケに 遺言まで残さないで下さいっ!」
隊員たちが衝撃を受けた後 隊員Aが苦笑して言う
「改めて そう 並べられると…」
隊員Fが苦笑して言う
「在り得ない… よな?サッちゃん隊員?」
隊員Cが落ち込んでいて言う
「俺 もう 立ち直れねぇ…」
隊員Iが言う
「どうせ倒れても 起こされるから?」
隊員Cが泣きながら言う
「それは!?俺はもう 倒れる事さえ 許されないって事かーっ!?イリアス隊員っ!?」
アースが言う
「それらの心配であるなら不要だ マスターグレイゼス中佐 まず 私の負傷は完治した」
隊員たちが衝撃を受ける アースが言う
「そうとなれば 如何に その私の同行者が 最低限のマスターである マスターラキンゼス隊員であっても 私は そちらの彼を 使いこなす事が可能だ」
隊員Cがショックを受けて言う
「ガーン… 使いこなすって?使いこなすって… やっぱ 俺 使われるのかな?盾として…」
隊員Bが言う
「えー?」
アースが言う
「そして 私は常に 自身が倒れた際の事を想定し 作戦を構築している 従って お前の言葉で言う所の遺言も 私はそちらの可能性を否定する事も無ければ 肯定するつもりも無い いわば 作戦開始の合図のようなものだ」
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「でしたら もう少し 平和的な合図にして下さいっ!?お陰で 言われる こちらは いつも!」
アースが悪微笑して言う
「気合が入るだろう?」
グレイゼスが言う
「心配が入りますっ!」
【 ART 通路 】
ラミリツが歩きながら言う
「そろそろ始業時間になるから 念の為にも 司令官室を確認して置かないね?それで もし また無理を押して出隊していたら… 今日もまた 最低限の作業だけにして 帰らせないと …もうっ メイヴィンってばホント 手が掛かるんだから!…ふふっ」
ラミリツが第一訓練所の出入り口の前を過ぎようとする アースの声が聞こえる
「そうか しかし 作戦は決行する 作戦開始日時は…」
ラミリツが衝撃を受け顔を向けると 驚いて言う
「…って!?はあぁああーっ!?」
【 ART 第一訓練所 】
アースが言う
「諸君ら 機動部隊の始業時間と 同じく 本日8:00 ジャスト」
ラミリツが叫ぶ
「ハブロス司令官っ!?」
アースが言う
「…だ」
ART1隊員たちが呆気に取られて 隊員Aが言う
「本日って…?」
隊員Fが言う
「しかも もう15分前ですが?」
隊員Cが石化している 隊員Iが苦笑して言う
「家族に連絡する位の事は出来るよ サッちゃん隊員?」
隊員Iが隊員Cの肩に手を置くと 隊員Cの石像が壊れる アースが言う
「以上だ では その他の隊員は 通常通りに」
ハイケルが言う
「了解 司令か…」
ラミリツが駆け込んで来て叫ぶ
「ハブロス司令官っ!?今日も またっ!?こんな所で 何してんのっ!?」
アースが言う
「何をしているか とは?私はこのARTの最高責任者として または ART司令官として 職務を全うしているのだが 何か問題か?ラミリツ隊長?」
ラミリツが言う
「問題に決まってるでしょっ!?どうして 負傷しているのに 無理して職務を行おうとするのっ!?そんなのは ARTのトップとして 隊員たちの示しになんか ならないんだからっ!」
アースが言う
「負傷なら完治した それと共に 迅速な部隊復帰は 隊員たちへ対する示しともなるだろう?」
ラミリツが言う
「見た目でいくら誤魔化したって駄目!どんなに我慢した所でっ 生命感知システムは誤魔化せない!」
ラミリツが携帯を取り出しモニターを見ると衝撃を受けて言う
「…って?あ、あれ…?」
携帯モニターの中で悪魔のアイコンが元気にしている ラミリツが呆気に取られてからアースを見る アースが腕に付けられている生命感知システムの表示を見て言う
「脈拍正常、赤外感知ヘモグロビン値14.6g/dl 十分規定内だ 体感的にも実に調子が良い これなら 久し振りにマスターラキンゼス隊員を使って 何か出来そうだ」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「なぁあっ!?身体の調子が良いからって 俺使って 何かしようとか 考えないで下さいっ!司令官っ!」
ラミリツが呆気に取られて言う
「…どう言う事?だって 銃撃受けてたのに?」
アースが微笑して言う
「だから言っただろう 完治したと?」
隊員Iが言う
「ひょっとして…?」
隊員Iと隊員たちがハイケルを見る ハイケルが疑問して言う
「何だ?」
アースが苦笑して言う
「いや?勘違いはしないでくれ 私は ハイケル少佐やエルム少佐の様な 悪魔の…」
ハイケルが言う
「…司令官」
アースがハイケルへ意識を向けると ハイケルが気合波に飛ばされ言う
「がっ!?」
ハイケルが壁に激突して瓦礫に埋まる 隊員たちが衝撃を受ける アースが言う
「…兵士 と言う訳ではない」
隊員Fが苦笑して言う
「むしろ それ以上だと思うけど…」
ハイケルが瓦礫から顔を出して言う
「では?」
ラミリツが言う
「なら どう言う事?だって 銃撃を受けたあの日から まだ3日… 日付的に言えば4日目って言うか…?どっちにしたって こんな短期間で完治なんて在り得ないよっ!?」
隊員Bが言う
「あれー?けど 軍曹も確かー?」
隊員Aが苦笑して言う
「そう言えば 軍曹も 銃弾3発受けた上で 割と早く帰って来たような?」
隊員Cが言う
「流石 兄弟…」
ラミリツが言う
「あいつの場合は 銃撃ではあったけど 手の加えられた麻酔銃と通常弾の中間って奴で… つまり 今回みたいな実弾じゃなかった」
隊員たちが驚く アースが苦笑して言う
「知っていたのか…」
ラミリツが言う
「けど 今回のは間違いなく実弾っ あの出血量もそれを物語ってたしっ 嘘を吐き通そうとしても 無駄!僕がその気になれば 高位富裕層の個人カルテだって 閲覧出来るよ?それを しろって言うの?ハブロス司令官っ!?」
アースが言う
「分かった エーメレス それ以上 吠えるな」
ラミリツが衝撃を受けて言う
「っ… 犬の方と一緒にしないで」
アースが言う
「私の負傷は 帝国の皇帝に協力を要請し ロストテクノロジーの力を用いて 治癒を早めてもらった」
皆が呆気に取られる アースが言う
「これなら お前も 納得が出来るだろう?」
ラミリツが言う
「う、うん… それなら…?」
アースが言う
「と言う事で 私は 早速 マスターラキンゼス隊員と共に 敵陣潜入偵察作戦を決行して来る」
ラミリツが衝撃を受けて言う
「って!?はぁあっ!?」
アースが言う
「作戦実行は 本日… 間も無くそちらの時刻となるが …マスターラキンゼス隊員は 武装 及び 出動準備はどうした?」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「えっ!?それ …本当にっ!?」
アースが言う
「本当に決まっているだろう?お前は私を誰だと思っている?」
ラミリツが言う
「ってっ!?そっちは待ってっ!?どう言う事っ!?」
アースが言う
「そちらこそ 待つ必要は無い 私はこのARTの司令官だ 作戦構築は勿論 実行の権限を併せ持つ …と言う事で 時間だ マスターラキンゼス隊員 準備は完了しているのか?」
隊員Cが衝撃を受け言う
「いえっ 全然!?それこそ 家族への連絡も遺書も かけてませんからっ!?」
アースが言う
「では それらの必要を無くす為にも お前は直ちに 武装 及び 出動準備を行え マスターラキンゼス隊員 命令だ」
隊員Cが泣きながら言う
「了解 司令官ーっ!」
ラミリツが言う
「待ってよっ!?ハブロス司令官っ!?」
アースが言う
「では 以上… っ!」
ラミリツがアースの腕を掴んで言う
「それなら 僕も行くっ!」
隊員たちが驚く アースが言う
「…会話の中でも言ったが 行き先は 敵陣 …つまり 先日私が連れ去られた このアールスローンを含む プラントと呼ばれる世界の神 ベガの統べる国だ」
ラミリツが言う
「だったら 尚更っ」
隊員Cが言う
「行きたくねぇよ…っ」
隊員Aが苦笑する アースが言う
「ラミリツ隊長 お前はART2の隊長だろう?ART司令官の私が不在と言うのであれば 尚更 その代理を任されているマスターグレイゼス中佐を始め ART1隊長であるハイケル少佐と共に 本陣を守る為 ART2を率いる必要がある 分からないのか?」
ラミリツが言う
「そのART2には 隊長の僕以外にも 部隊を率いる事の出来る 優秀な副隊長が居るっ だから大丈夫!けど そっちは全然駄目!いくら マスターの マスターラキンゼス隊員が居たって ハブロス司令官の指示には従えても ハブロス司令官を守る事は出来ない!それに…っ」
ラミリツが思う
(そのハブロス司令官は 元々自分を守ろうとする気なんか 無いんだから…っ)
ラミリツが言う
「…だから 僕が行かないと駄目 これ 絶対っ!」
ラミリツがアースを見詰め アースの腕を掴む手に力を入れる アースがラミリツを見てから軽く息を吐いて言う
「マスターラキンゼス隊員は 戦闘員だ そうとなれば 当然 非戦闘員である 私を守ってくれるとも?なぁ?マスターラキンゼス隊員?」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「いえ!自分は まったくその自信がありませんっ!司令官っ!?」
ラミリツが言う
「ほらっ!だから 言ってるでしょっ!?」
隊員Cが呆れて言う
「ってか そもそも その非戦闘員のハブロス司令官こそ 最強なんですし…?」
アースが言う
「そうか… 私としては マスターラキンゼス隊員が 己のの持てる力の全てを用いて 私を守って戦ってくれるものと 期待をしていたのだが…」
隊員たちが衝撃を受けて隊員A、F、Iが言う
「え?いや…?」 「無理でしょう?」 「冗談か…?」
アースが言う
「その本人が 無理だと言うのでは仕方が無い 今回の作戦要員は 急ではあるが 変更とする 本作戦参加者は ART司令官の私と ART2からラミリツ隊長」
隊員たちがホッとする 隊員Cが脱力して言う
「助かっ…」
アースが言う
「そして ART1から マスターラキンゼス隊員 以上 3名とする」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「ってないっ!?何でーっ!?」
隊員Bが言う
「やっぱ おめでとー!サッちゃんー!」
隊員Cが叫ぶ
「やっぱ おめでたくねぇー!」
アースが言う
「作戦開始時刻は既に経過している 作戦参加者 ART2ラミリツ隊長 及び ART1マスターラキンゼス隊員 両二名は 直ちに武装及び出動準備を済ませ ART本部前へ集合せよ 以上だ」
ラミリツが言う
「了解!司令官!」
アースが隊員Cを見る 隊員Cがヤケクソに言う
「了解!司令官ーっ!」
アースが笑んだ後 グレイゼスへ視線を向けて言う
「では 後は頼んだぞ?マスターグレイゼス中佐 私が戻ろうと戻るまいと このARTの事はお前に任せる」
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「ですから その 遺言的な気合の入れ方は止めて下さい 司令官っ!」
アースがハイケルへ向いて言う
「ついでに メインとなる機動部隊の隊長は お前しか居ない 十分にそちらの責任を理解した上で 隊長としての責務を全うしろ ハイケル少佐」
ハイケルが言う
「了解 悪魔の司令か… んがぁっ!?」
ハイケルが気合波に吹っ飛ばされて壁に激突して埋まる 隊員たちが衝撃を受けて呆気に取られる 隊員Aが苦笑して言う
「…いや 絶対 無事に帰って来るでしょ?」
隊員Fが苦笑して言う
「ああ… 俺も何だか 大丈夫そうな気がする」
【 帝国 玉座の間 】
マシーナリーが到着して手の平に居たアースとラミリツと隊員Cが降りる アースがマシーナリーへ向いて言う
「ご苦労だった では お前は 下がって良いぞ」
マシーナリーがシグナルを点滅させると 上体を戻し去って行く ラミリツがその様子に微笑して言う
「いつも思うんだけどさ?何で あのマシーナリーたちって ハブロス司令官の命令に従順なの?やっぱ ハブロス司令官が皇帝の仲間だって 知ってるって事?」
アースが言う
「さぁな どうだろうな?」
アースが歩く ラミリツが続きながら言う
「どうだろうなって…?大体 それしか考えられないでしょ?普通?」
アースが言う
「それにしては 昨日はいつもの様には 迎えに来てくれなかったんだ」
ラミリツが言う
「え?それは… 何で?」
アースが言う
「従って 先ほどの返答だ」
ラミリツが言う
「あぁ そう言う事?つまり…」
隊員Cが疑問して言う
「つまり?」
ラミリツが言う
「分からないって事」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「そうなのーっ!?」
アースが言う
「そう言う事だ」
隊員Cが呆れて言う
「在り得ねぇ… そんな得体の知れないモンを 使ってるだなんて…」
ラミリツが言う
「まぁ 流石ハブロス司令官だよね?」
隊員Cが呆れて言う
「それ 突っ込みます?ラミリツ隊長?」
ラミリツが言う
「だってほら?ハブロス司令官は 神様だって 使っちゃう程だもん?得体の知れないマシーナリー位 使っちゃうのは 当然でしょ?」
隊員Cが言う
「神様を 使うって…?…はわぁっ!?」
隊員Cが衝撃を受けると アースが言う
「ネロ・アーク・フォライサー殿 首尾はどうだ?」
アースの前にネロが現れ言う
「その方の望みの通り 先に 向かいし 神の国 その地を示すもの 絵図として起こす事は可能にて 預かりし その方ら新人類の物へと 映し込みて置いた」
ネロが手をかざすと アースのタブレットが現れる アースが受け取って言う
「ご苦労 ついでに 彼らの物へも 同様に頼む」
隊員Cが表情を顰めて言う
「本当に神様使ってる… 流石は…」
アースがタブレットを操作しながら言う
「使われているのは我々の方だ しかし そうとあるならば 尚更 その彼らもまた 我々へ尽力するのは 当然だろう?」
隊員Cが衝撃を受けてから言う
「そ、そう… 言うもンでしたっけ?何か… …この人と居ると常識ってモンが 覆されて行くって言うか…」
アースが言う
「それで?こちらの地図は 私があの時 皇帝に助けられつつも 上空から見下ろした 地上の様子を簡略化したものと言う事で 間違いは無かったな?」
ネロが杖を軽く動かすと 杖に灯っていた光が弾ける ラミリツが気付き携帯を取り出して操作する 隊員Cがその様子に気付き自分の携帯を取り出すと驚いて操作する ネロが言う
「その方の認識にて 間違いは有らず 更に付け加えると在れば そちらに印されし場所が 先の時 お前がアールスローンへと戻りし その場であり この度 その方を戻すべし その場と在る」
アースが言う
「集落からは 少し遠いな?」
ネロが言う
「先の時にも耳にしたと思うが 神の地は 移動の力が封じられし土地にして また…」
アースが言う
「貴方方 アークの力 即ち ロストテクノロジーの力を 感知されてしまう土地であると… では こちらは大丈夫なのか?」
アースがタブレットを示す ラミリツと隊員Cが顔を向ける ネロが言う
「その方ら新人類の作りし 非力たる物なれば その値には達せず しかし そう在りし内にも 通信の類たるものには 気付かれしぞ」
アースが言う
「そうか では 通信端末は使え無いと言う事だな …いや?そもそもの電波に気付かれると言うのであれば この辺りもか…?」
アースが生命感知センサーを外す ネロが頷いて言う
「それらは この城へと置いて行くが良い して そちらは… 通信の気たる物を 止めてさえ在れば 支障はあらずして」
ラミリツが携帯を操作しながら言う
「これだと完全に 地図を見る為だけの機械って感じだね?携帯電話なのに…」
アースが言う
「記録装置としても使えるだろう?映像や音声を …それに通信機能を抑えていれば 持ちも良い」
ラミリツが言う
「そっか それは言えてるね?」
隊員Cが困って言う
「これ どうやって通信機能止めるんっすか…?」
ラミリツが衝撃を受けて言う
「知らないの?」
隊員Cが言う
「だって 俺 電話としてしか使ってませんしっ?」
ラミリツが呆れて言う
「とても アールスローン1の機械技術を使ってる ARTの隊員と思えないんだけど?」
隊員Cが困って言う
「スンマセン…」
アースが言う
「言ってやるな ラミリツ隊長 マスターラキンゼス隊員は そこが良いんだ」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「え…っ?」
ラミリツが言う
「そ?僕には分かんないけど …ハブロス司令官が そう言うんなら?貸して?やってあげる」
隊員Cが苦笑して言う
「お願いします…」
アースがネロへ向いて言う
「それと 連れて行くマスターは 彼なのだが 問題は無いか?」
ネロが隊員Cを見る 隊員Cが衝撃を受けて言う
「え、え~と…?」
ネロが言う
「そうよな その程度とあらば… その方らが作りし物と同じく 弱き力は 感知の範囲に有らず 問題とはされずして されど 問題とはされず範囲たるは それ即ち 問題とはあらぬのか?ハブロ?」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「それ!どう言う意味ですかっ!?」
アースが言う
「彼は私の 気に入りのマスターなんだ 従って 問題ではあるが 問題はない」
隊員Cが言う
「両方合わせて どういう意味ですか…?」
ネロが言う
「そうか その方の気に入りしとなれば もはや それ以上は 何と申すまい」
隊員Cが縋る表情で言う
「何か言って下さいっ それで 出来れば 変更するべきだと…っ!」
ラミリツが隊員Cへ携帯を向けて言う
「はい、出来たよ?もう 好い加減 諦めれば?ハブロス司令官が そこまで言うんだからさ?アンタもう 逃げられないの これ 常識!」
隊員Cがショックを受けて言う
「ガーン… 携帯 有難う御座います 攻長閣下…」
ラミリツが言う
「どう致しまして!さ?後は これも外して …ほらっ アンタも!」
ラミリツが生体感知センサーを外しながら隊員Cを見る 隊員Cが慌てて倣う アースがその様子を見てから言う
「よし では こちらの準備は完了だ ネロ・アーク・フォライサー殿 奴の国へ向かう ゲートを開いてくれ」
ラミリツが気を引き締め 隊員Cが不安げに顔を向ける ネロが言う
「良かろう…」
ネロが杖を掲げる
【 神の国 】
山頂
ゲートからアースが現れ周囲を見渡してから頷いて言う
「確かに 以前 アールスローンへ向かおうと 移動の力を放った あの場所であるようだ」
【 帝国 玉座の間 】
ネロの横にゲートが開いている ラミリツがゲートを見てから隊員Cへ向いて言う
「次は僕が行くから 良い?ちゃんと付いて来るんだよ?さっきハブロス司令官に聞いた通り 先に行ってる ハブロス司令官か 僕の所へ行くって思って 入らないと駄目だからね?ARTに帰りたいとか 考えちゃ駄目だよ?」
隊員Cが苦笑して言う
「はい… そっちの気持ちは すっっげぇーあるんですけど …それをやると 後が怖いんで…?」
ラミリツが言う
「そ?分かってるなら良いんだよ じゃ 行くよ?」
ラミリツがゲートへ飛び込む 隊員Cがゲートの前に立ってから心の葛藤をして叫ぶ
「あぁあ~!帰りてぇよーっ!少佐ぁー!バイスン隊員ー!アラン隊員ー!ART1の皆ぁ~っ!」
隊員Cが顔を左右にぶんぶん振ってから落ち込んで言う
「…って 言ったって もうしょうがねぇ… こうなったらっ!」
隊員Cがゲートを見据えて言う
「大丈夫だっ 俺にはっ!」
隊員Cが服の胸元を握って思う
(俺には 家族の一員である ナノマシーンラキンゼスが付いてるっ だから きっと…っ!)
隊員Cが言う
「頼むぜっ!ラキンゼス!」
隊員Cが気合を入れて思う
(俺を 悪魔の司令官から!)
隊員Cが叫ぶ
「ハブロス司令官から 守ってくれぇええーっ!…とりゃぁあっ!」
隊員Cがゲートへ飛び込む
【 神の国 】
ラミリツが周囲を見て言う
「以前は この場所から戻ったんだよね?ハブロス司令官?映像は見てたけど あの時はどうやって?今みたいにゲートじゃ…」
アースが言う
「あの時は 助っ人に来ていた レイ・アーク・フォライサー殿の 気合により…」
ラミリツが言う
「え?気合?」
アースが言う
「…いや、違った 気合ではなく 奴の場合は」
隊員Cがゲートから現れて言う
「…りゃぁああ!…って!?あっ!?あぁああ~~っ!?」
ラミリツとアースが呆気に取られると 隊員Cが勢いのままにゲートから飛び出し 傾斜の先まで飛び出すと傾斜を転げ落ちて言う
「坂だったぁあ~~~っ!?」
隊員Cが傾斜を転がり落ちて行く アースとラミリツが呆気に取られた後 アースが言う
「…彼は お前の言った 以前の そちらの映像を 見ていなかったのか?それを見てさえ居れば たどり着くこの場所が 傾斜だと言う事は?」
ラミリツが言う
「いや 見てたと思うけどね?けど、ちょっと 気合を入れ過ぎて 忘れちゃってたのかも?…って言うかさ?」
アースとラミリツが隊員Cの落ちて行った先を見る
【 ART 第一訓練所 】
M210が3機やって来て到着すると 操縦していた ART1隊員たちがコックピットを出る ハイケルが見上げて言う
「これで 我々ART1の新型マシーナリーは ART1総員分 揃った」
グレイゼスが言う
「後はとりあえず スペアとして何機か用意しておく予定だが …だからと言って 無駄使いはしてくれるなよ?唯でさえ ハブロス司令官が居ない 現状では 新たなマシーナリーの搬入は出来ないんだからな?」
ハイケルが言う
「そうか そうだったな?」
グレイゼスが言う
「ああ… だって言うのに ご自分が倒れる事を 想定した上の作戦を 決行されるって言うんだから 困ったもんだよ?これでもし 本当にそんな事になった時には どうしろって言うんだ?」
ハイケルが言う
「ハブロス司令官からは兼ねてより ハブロス家長男である アース・メイヴン・ハブロスに何かがあれば 次男である軍曹へ 全ての業務及び権限を移行するようにと言われている」
グレイゼスが言う
「それじゃ その 全ての事を移行される アーヴィン君は マシーナリーを仲間に引き入れたり このARTの司令官的役割を こなせると言う事なのか?」
ハイケルが言う
「そちらは…」
グレイゼスが言う
「そちらは?」
ハイケルが言う
「不明だ」
グレイゼスが衝撃を受けてから苦笑して言う
「不明だってな…?少なくとも その様に手筈を整えていると言う事は それなりに 訓練なり何なりしてるって事だよな?普通は?」
ハイケルが言う
「そうなのか?」
グレイゼスが言う
「そうでしょう?…じゃなきゃ 本当にそうなった時には どうしろって言うんだよ?」
ハイケルが間を置いて言う
「…不明だ」
グレイゼスが慌てて言う
「だから それじゃ 駄目だろうっ!?」
ハイケルが言う
「そうなのか?」
グレイゼスが言う
「当たり前でしょう!?ハイケル君っ!?」
ハイケルが言う
「そうか 駄目なのか… 了解」
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「いやっ だからっ!?」
ハイケルが言う
「駄目なのだろう?そちらは了解した」
グレイゼスが言う
「いやっ だから どうしよう!?って話なんだがっ!?」
ハイケルが言う
「どうしよう?…どうしたら良い?親友のマスターグレイゼス?」
グレイゼスが言う
「それを俺が聞いてるんだよっ!?ハブロス家次男の養子である ハイケル・ヴォール・アーヴァイン殿っ!?」
ハイケルが言う
「…そうか …問題が発生した ハブロス司令官へ連絡を」
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「それが出来なくなったら どうするんだって話だからっ!?」
ハイケルが呆気に取られて言う
「そちらも 問題だ では …ハブロス司令官へ?」
グレイゼスが言う
「言い忘れていたが 現状は既に 連絡は無理だからっ!」
ハイケルが呆気に取られて言う
「…そうか では… どうしたら良いんだ?」
グレイゼスが言う
「あぁ まったく… 俺が聞きたいよ…」
ハイケルが言う
「そうか… これは かつて無いほどの 困難な問題が発生した ハブロス司令官へ …確認が出来ない」
グレイゼスが言う
「そちらに対する 対応策が まさか本当に未対策だったなんて…」
グレイゼスが頭を抱える ハイケルが沈黙する
【 神の国 】
アースが双眼鏡で周囲を見渡して言う
「一見する所は これと言った問題の見受けられない 村ではあるが」
ラミリツが双眼鏡で周囲を見渡して言う
「うん… けど 何だろう?何て言うか 違和感… あるよね?」
隊員Cが慌てて自分の持ち物を確認しながら言う
「双眼鏡!?双眼鏡!?」
アースが言う
「違和感?」
隊員Cが言う
「…持って来てねぇ…」
隊員Cが落ち込むと ラミリツが言う
「うん 何て言うか…」
アースがラミリツへ向いたまま 隊員Cへ双眼鏡を渡す 隊員Cがアースから双眼鏡を借りて 周囲を見る ラミリツが双眼鏡を再び覗いて言う
「はっきりとは 良く分からないんだけど… 何だろう?この違和感」
隊員Cが双眼鏡を覗きながら言う
「ああ、何か 普通 逆ですよね?」
アースが言う
「逆とは?何がだ?」
隊員Cが言う
「え?だって… 普通は 自分の家や敷地 畑なんかは綺麗にして… 言っちゃ悪いですけど?道にゴミが落ちていたって まぁ自分の土地じゃないから良いかな?って?思いますよね?けど ここは?」
アースとラミリツが気付いて言う
「そうか なるほど」 「確かに そうかも?」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「え?」
アースが言う
「どちらも 私自身では行わない事である為か 気付かなかった様だ」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「はわっ!?」
ラミリツが言う
「僕もっ …けど 言われて見れば そうだよね?特に区画整理がされた 行政の行き届いている村と言う訳でもないのに 敷地内の方が 汚れていて 公道の方が綺麗って ちょっと変かも?」
隊員Cが呆れて言う
「流石 高位富裕層…」
アースが言う
「すまない だが 助言を感謝する マスターラキンゼス隊員」
ラミリツが言う
「ごめん でも ホント マスターラキンゼス隊員のお陰で 助かったよ?」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「褒められてるのに 嬉しくねぇえっ!」
アースが言う
「近くに衛兵やその類の者は見受けられない 良し 直接 話を聞きに向かおう」
ラミリツが言う
「うん!」
隊員Cが不安げに言う
「い、行くんですか?やっぱり?」
アースが歩き出し ラミリツが続き 隊員Cが嫌々続く
【 ART 第一訓練所 】
隊員Bが言う
「あ~あー?折角 今日から昼休憩は ハブロス司令官と 過ごせると思ったのにー?」
隊員Aが衝撃を受ける 隊員Bが言う
「そのハブロス司令官が 敵陣潜入偵察に行っちゃってるんじゃ 会えないのー!残念だったねー?アッちゃんー?」
隊員Aが苦笑して言う
「い、いや…?俺は… 良かったかも?」
隊員Bが言う
「えー?」
隊員Fが苦笑して言う
「代わりと言うか サッちゃん隊員は そのハブロス司令官と ずっと一緒だな?」
隊員Iが言う
「それこそ 休憩だけじゃなくて 一日中一緒なんだろうな?」
隊員Aが苦笑して言う
「サキにはもう 同情するしかないよ 本人がどんなに嫌がっても ハブロス司令官は サキをご指名するんだから?」
隊員Fが苦笑して言う
「ああ、本当に」
隊員Bが言う
「羨ましいねー?」
隊員Aと隊員Fが苦笑する 隊員Bが言う
「ねーねー?アッちゃんー?どうしたら 俺も サッちゃんみたいに ハブロス司令官に ご指名してもらえるのー?」
隊員Aが疑問して言う
「え?えーと…?どうしたらって…?」
隊員Iが言う
「言われて見れば 何で サキシュ隊員は ご指名されちゃうんだろうな?」
隊員Bが言う
「やっぱ それが サッちゃんの技ーって事ー?」
隊員Aが言う
「うーん ハブロス司令官に ご指名される技… いや?それは技って言うか?」
隊員Fが言う
「サッちゃん隊員は バイスン隊員と違って いじられキャラだから …かな?」
隊員Bが言う
「いじられキャラってー?」
隊員Iが言う
「もしくは ハブロス司令官は サキシュ隊員の 突込みを気に入ってるとか?」
隊員Bが言う
「サッちゃんの突込みってー?サッちゃんのギャグって事ー?」
隊員Iが言う
「ギャグ?えっと あれは 多分 ギャグに対する突込みだと?」
隊員Fが苦笑して言う
「どちらかと言うと ギャグを言うのは ハブロス司令官だったりするからな?…と言うか ご本人としては ギャグじゃないんだろうけど?」
隊員Aが苦笑して言う
「ちょっと ズレてるんだよな?やっぱり 高位富裕層のお方だから 常識が俺たちとは違うと言うか…?」
隊員Iが言う
「その高位富裕層のハブロス司令官と 最下層のサキシュ隊員だから そのギャップが良いって事なのか?」
隊員Bが言う
「えー?それじゃ 俺は最下層じゃないから 駄目ーって事ー?」
隊員Dが言う
「そうかな?最下層だからって言われたら 俺や他の連中だって居るけど サキシュ隊員ほど特別扱いはされないよな?」
隊員Bが言う
「あれー?それじゃー?」
隊員Fが言う
「…と言う事は 残る理由は」
隊員Aが言う
「うん そうだよな?やっぱり?」
ハイケルが言う
「サキシュ隊員こと マスターラキンゼス隊員は」
皆が頷く ハイケルが言う
「ハブロス司令官が指名するほどの 突っ込みの技を 持っていると言う事か?」
隊員たちが衝撃を受け 隊員Bが言う
「やっぱ 技ー?」
隊員Aが苦笑して言う
「いや そっちでは無くて…?」
ハイケルが言う
「違うのか?」
隊員Aが苦笑して言う
「えっと…」
隊員Iが苦笑して言う
「こんな時 サキシュ隊員なら 何て突っ込むんだろうな?」
隊員Fが言う
「俺は多分 いつもの…」
【 神の国 】
アースが進みながら言う
「私が先に向かう 私に何かあれば お前たちは攻撃を行わずに 即座に撤退しろ 命令だ」
ラミリツが言う
「そんなの無理に決まってるしっ!ハブロス司令官っ!?」
隊員Cが呆れて言う
「有り得ねぇ… とは言っても もう この人の場合は…」
隊員Cがアースへ顔を向けると ラミリツが追って言う
「待ってったらっ!ハブロス司令官っ!?」
アースが言う
「お前は離れろと言っただろう?ラミリツ隊長」
ラミリツが言う
「それは無しっ 従えないっ!」
隊員Cが言う
「俺は従いたいけど…」
アースが言う
「行くぞ マスターラキンゼス隊員!お前は遅れるなっ」
隊員Cが衝撃を受け言う
「俺は 行くんすよね…?俺こそ ”離れていろ”の方の命令に 従いたいのに…っ」
隊員Cが付いて行く
【 ART 第一訓練所 】
ART1マシーナリーたちが訓練をしている M隊員Bが射撃訓練を終えると 隊員Aがモニターを見て言う
「ナイスヒット!バイちゃん!凄いじゃないか!?射程距離10メートルオーバーも余裕だな!?」
隊員AがM隊員Bを見てから疑問して言う
「うん?バイちゃん?聞こえてるか?…あれ?外部音声切ってるのかな?」
隊員Aがコンソールを操作すると モニターに隊員Bが映る 隊員Aがマイクをセットして言う
「バイちゃーん?」
モニターの中で隊員Bが溜息を吐く
『はぁ~…』
隊員Aが衝撃を受けて言う
「えっ!?バイちゃんが 溜息吐いてるなんてっ!?ど、」
M隊員Bの中 モニターに隊員Aが映っていて言う
『どうしたんだ!?バイちゃんっ!?大丈夫か…?』
隊員Bが言う
「何かー?詰まんないのー?」
隊員Aが衝撃を受けて言う
『えぇえっ!?』
隊員Bが言う
「だってぇ~?いくら命中率が上がってもー?」
M隊員Bの外 隊員Aが苦笑して言う
「バイちゃん 駄目だぞ?また 敵が来ないんじゃ 詰まらないみたいな事 言ったりしたら?俺たちは…」
隊員Bが言う
『えー?俺 そんな事言わないよー?アッちゃんー』
隊員Aが言う
「え?それじゃ…?」
隊員Bが言う
『だっていつもならー?俺 命中率上がったら サッちゃんに自慢するのにー?今日はサッちゃん居ないしー?』
隊員Aが言う
「ああ、そう言えばいつも…」
隊員Bが言う
『それから 少佐に報告してさー?』
隊員Aが言う
「なら そっちをやったら良いんじゃないか?少佐ならサキと違って居るんだし?」
隊員Bが言う
『でも それじゃ 意味無いからー?』
隊員Aが言う
「え?意味が無いって… 何で?」
ハイケルがやって来てモニターを見てから言う
「バイスン隊員の 射撃命中範囲の 上昇を確認」
隊員Aが気付いて言う
「あ、少佐…」
ハイケルが疑問して言う
「何だ?アラン隊員?何か問題か?」
ハイケルが周囲を見渡す 隊員Aが困って言う
「えーと その…」
M隊員Bから隊員Bが降りて来て言う
「少佐少佐ぁー?ハブロス司令官は 何時戻って来るのでありますかー?少佐ぁー?俺 射撃命中範囲の上昇を お知らせしたいでありますー 少佐ぁー?」
隊員Aが言う
「え?ハブロス司令官に?」
ハイケルが言う
「そうだな バイスン隊員の射撃命中範囲の上昇は ハブロス司令官の 1番リストの 上位に認識されているものと 推測される 従って…」
隊員Aが衝撃を受けて言う
「1番リスト って…?」
隊員Bが言う
「はーっ!少佐ぁー!そうなのでありますー 俺の機関銃射撃命中範囲は 歴代国防軍 機動隊員及びART機動隊員の中で 1番だってー!それで 俺 これからもその1番の命中範囲の上昇を 期待してるって 言われているのでありますー だから報告したいのでありますー!少佐ぁー?」
隊員Aが衝撃を受けて言う
「そ、そうだったんだ?…知らなかった バイちゃんが ハブロス司令官からそんな期待を… って あれ?けど そのハブロス司令官とは 何時そんな…?」
ハイケルが言う
「そうだな バイスン隊員の 機関銃射撃命中範囲の上昇報告は いつも私が ハブロス家の夕食の時間に ハブロス司令官へ報告を行っているが… そのハブロス司令官が 敵陣潜入視察へ向かったとなれば 恐らく 今日の夕食の時間には そちらの報告は行えないものと推測される」
隊員Aが苦笑して言う
「それは そうでしょうね…?そもそも ご本人は アールスローンへ戻って来られるかの 心配までしていたんですから…」
隊員Bが言う
「えー?それじゃー…?俺今度何時 ハブロス司令官に 報告出来るのでありますかー?少佐ぁー?それに俺 今度は少佐に 伝達してもらうんじゃ無くてー?直接 自分で報告出来ると思って 頑張ってたのにー?」
ハイケルが言う
「そうか では… また問題が発生した」
隊員Aが苦笑して言う
「え?えっと… それは 問題って言うほどの 問題でもないと思うんですけど…?」
ハイケルが言う
「そうなのか?アラン隊員?」
隊員Bが言う
「えー?」
【 神の国 】
アースが言う
「そうか では貴方方は そちらの第3ブロックと言う区画に住む者から 指示を受け 農作物を生産する事で この場所に滞在する事を 許されていると言う事か?」
村人Aが言う
「はい 我々は第3ブロックのお方の指示を受け そちらの第3ブロックのお方は その上の第2ブロックのお方の指示を受けているとか」
隊員Cが疑問して言う
「第3ブロック 第2ブロックって… それじゃ まるで…?」
ラミリツが周囲を警戒している アースが言う
「では それらのブロックの示す数字が その通りであるのならば 第1ブロックの者こそが この国で一番の権力を有する者だと言う事だろうか?」
村人Aが言う
「いえ そちらの第1ブロックのお方は アーク様にお仕えを許される者です」
アースが言う
「アーク…」
ラミリツが反応して村人Aを見る アースが言う
「私が聞いた話では 貴方方は アークを慕い崇める事で 加護を受けていると?その様に聞いたのだが?」
村人Aが言う
「はい この村は アーク様のご加護の下に 第3ブロックの方々にも とても宜しく計らって頂けて居ります」
アースが言う
「…そうか」
アースが村の様子を見る ラミリツが言う
「特に問題は無いみたいだね?さっきの村とは大違いだし?」
アースが言う
「そうだな 問題は無い… むしろ 模範的と言った所か?」
村人Aが言う
「それで 貴方様方は?」
アースとラミリツが村人Aへ向く 村人Aがアースへ言う
「最初に貴方様は 自分たちは この場所から遠く離れた場所から来られたのだと 仰ったが… 私はてっきり 第2ブロックのお方かと?」
アースが言う
「それは そちらの第2ブロックの者は 我々に近い装いをしていると言う事だろうか?」
村人Aが苦笑して言う
「いえ 我々の様な下々の者には 第2ブロックほど上のお方をお見受けする事は無いのですが 第2ブロックには アーク様へご転身されるほどのお力を持つ方が 稀に居りなさるとのお話を聞いた事がありましたもので… もしや 貴方様がそちらのお方なのではないかと?何故なら 貴方様の背には…」
アースがハッとして顔を逸らすと アースの背後で甲高い音で何かが弾ける 村人Aが呆気に取られる ラミリツが疑問して言う
「え?ハブロス司令官の背に…?」
アースが苦笑して言う
「あ、ああ 私の背に …いやっ 私の後ろに 2人の兵士を従えているとあれば 相応の者ではないかと?その様に見受けられたのかもしれないが…?」
ラミリツが疑問してアースを見てから言う
「あぁ… そう言う事?」
風が吹くと アースの背後に光の羽根が数枚飛ばされて行く アースが言う
「私は… いや、我々は 貴方から伺った そちらの 第3ブロックや第2ブロックの者ではない しかし 先にも言った通り 我々は 貴方方や こちらの村の様子を知りたいのだと そちらだけを理由に 訪問したに過ぎない 従って 敵意も無ければ留まるつもりも無い お話を伺えて良かった 礼を言う」
村人Aが微笑して言う
「はい この村に実るもの 訪れるものは 全て 我らが神 アーク様のお導きです どうか 貴方様方の行く末にも アーク様のご加護があります事を」
村人Aが胸に手をあて気持ちを込める アースが微笑して言う
「有難う」
アースが振り向き ラミリツたちへ言う
「よし、では 次へ向かうぞ?」
ラミリツが微笑して頷いて言う
「うん!」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「えっ!?まだ行くんですかっ!?」
アースが隊員Cの横を過ぎると 隊員Cが慌ててアースを追う 村人Aがアースたちの立ち去る姿を見送り微笑すると その視界に白い羽根が舞い 黒い羽根が混じる 村人Aが疑問して視線を戻すと アースたちが見えなくなっている 村人Aが呆気に取られて言う
「一体 あのお方は…?」
村人Aが疑問しながら立ち去る
【 ART 司令塔 】
ハイケルがやって来て顔を向けて言う
「グレイゼス こちらに居たのか」
グレイゼスがハイケルへ向き言う
「うん?ああ ART1とART2の新型マシーナリーが 一通り揃ったからな?これで しばらくはゆっくり出来るかと思ったら…?」
ハイケルが近くへ来て言う
「こちらでも 何か問題か?」
グレイゼスが言う
「いや、問題って訳じゃないんだが …うん?”こちらでも”って?それじゃ そっちで?ART1でも何か 問題か?」
ハイケルが言う
「こちらの問題は ハブロス司令官へ1番の更新報告が出来無いと言う事で ART1隊員の士気が 低下してしまったのだが」
グレイゼスが疑問して言う
「は?1番の更新報告って…?…あのなぁ ハイケル?普通 部隊に置かれる 問題って言うと そう言う小さな事じゃなくてだなぁ?」
ハイケルが言う
「小さな事ではあるが 私のART1に置いては重大な問題だ バイスン隊員の士気が下がると言う事は ART1全体の士気が下がる事へも繋がる 更に現状は そのバイスン隊員にとって重要な サキシュ隊員ことマスターラキンゼス隊員も居ない これでは バイスン隊員の士気が下がるのも 仕方の無い事なのだろう」
グレイゼスが言う
「それはそうかもしれないが だからって… いや、なら ハイケル?こんな時こそ 隊長のお前が その部隊の士気を上げる為に 一肌脱ぐべきなんじゃないのか?」
ハイケルが言う
「一肌脱ぐ… そうか では」
ハイケルがナイフを取り出す グレイゼスが衝撃を受けて言う
「だぁああっ!ちょっ!ちょっと待ったぁあっ!?ナイフなんて出して 一体 何をするつもりだぁあっ!?ハイケルーっ!?」
ハイケルが言う
「一肌脱げと…?」
グレイゼスが言う
「それは 言葉の通りに 受け取るものじゃないからっ!ハイケル君っ!」
ハイケルが疑問して言う
「…違うのか?」
【 神の国 】
道中
アースがタブレットを操作しつつ歩いている ラミリツがアースの様子を見てから自分の携帯で地図を見て アースへ言う
「この調子で この地図にある集落を 全て回るつもり?」
アースが言う
「必要とあればな?しかし 今までに得られた情報のみに置かれても この国は土地ごとに 明白に分けられた 身分制度の様なものが存在する それなら こちらの地図上にある 末端の集落は 既に確認を済ませた村と同じ 食物生産を主とした地域だと 仮定しても良いだろう そして そうとするなら 後はもう1箇所程 別の村を確認し そちらの仮定を確実なものに出来れば 他の末端のそれらもまた同一のものとして 確認の対象から外す事も可能だ」
ラミリツが言う
「それじゃ 次の村も さっきの村みたいに 話が聞かれれば良いって事?」
アースが言う
「そうだな 出来ればそうであってくれると 得られる情報も増え 助かりはするが どうだろうな?」
ラミリツが言う
「どうだろうなって…?それなら さっきの村で もう少し 情報を集めた方が良かったんじゃない?余り 深い話をしないで 終わらせちゃったけど?良かったの?」
アースが言う
「情報を得ると言う事は そちらの量が増えれば 同等に こちらも提供を行わなわなければ 疑いを持たれる 増して彼らは アークを崇拝する者だ そして、それを確認した こちらからの言葉へ対する彼の反応からしても 彼らにとってのアークは相応の存在 そうとなれば その彼らが アークやそれに近い者へ 微々たる報告する様な事はないと推測はされるが こちらの存在が相応の者と思われれば 無理を押してでも報告をする必要性が生じてしまう」
ラミリツが言う
「なるほど… それで わざと 深入りしないで 話を切り上げて居たんだ?けどさ?そうやって深く考えると 何か疲れちゃうね?それに… 不安になって来るって言うか?」
アースが苦笑して言う
「それなら お前はそちらを考えずに 周囲の警戒でもして居ろ 予てより お前の役目は そちらだ」
ラミリツが言う
「そうだね?じゃぁ そーするっ 僕にはそう言う事考えるの 向いてないんだと思う」
アースが言う
「だろうな?お前は先ほどの村の者から聞いた話や 村の様子に問題は無いと言ったが 私からすれば そちらこそが問題なのだが… お前は 気付いていないのだろう?」
ラミリツが呆気に取られて言う
「えぇえっ!?嘘ぉっ!?それじゃ あの平和そうな村が 問題だって言うのっ!?」
アースが苦笑して言う
「話を聞きたいか?」
ラミリツが言う
「やめとく… 適材適所 そっちは任せた」
アースが言う
「結構」
アースが先行する ラミリツが苦笑してから 隊員Cへ向いて言う
「やっぱ 僕らには 向かないみたいだね?あー言う事を 考えるのなんてさ?」
隊員Cが言う
「いえ 俺なんて それよりも さっきっから…」
ラミリツが疑問して言う
「え?さっきっから?」
隊員Cの腹が鳴る ラミリツが衝撃を受ける 隊員Cが苦笑して言う
「ラミリツ隊長も 腹減りません…?だってもう… 12時過ぎてますし?」
ラミリツが苦笑して言う
「あぁ そう言えば もう そんな時間だね?気を張ってたから 気が付かなかったや?」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「それって!?なら 俺は 気を張ってないだろう って事ですかーっ!?」
ラミリツが苦笑して言う
「いや、そう言う訳じゃないけど …じゃ 少し休憩したいって 言ってみよっか?」
隊員Cが言う
「なんかスンマセン…」
ラミリツが微笑して言う
「良いよ そう言うのは 隊長の役目だからね!…ハブロス司令官ー?」
ラミリツがアースの下へ向かう 隊員Cが溜息を吐いて言う
「ラミリツ隊長が一緒に来てくれて マジで助かった…」
隊員Cの腹が鳴る 隊員Cがうな垂れる
【 ART 司令塔 】
グレイゼスが周囲を見渡して思う
(しかし 言われてみると …確かに?)
グレイゼスの視線の先 隊員たちが作業を行って居るが 雰囲気が暗い グレイゼスが思う
(俺も 久し振りに 司令塔へ戻って来たもんだから その違和感に気付かなかったが)
グレイゼスが意識を向けると視界に魂の光が見える グレイゼスが思う
(やっぱりか?表面的には問題はない様にも見えたが 内心は… 不安や心配を示す オレンジやピンク… それら 弱さを示す光の粒子が多い)
グレイゼスが意識を弱めると魂の光が見えなくなる グレイゼスが苦笑して思う
(平常時に置かれる 監視塔の皆の役割は 情報収集を元とした情報戦だ それも理由に いつもの俺なら 真っ先に彼らの光を見て その業務へ対する支障障害の有無を確認していた筈なのに この所 長く技術部に居たものだから すっかり忘れてしまってたな?)
グレイゼスが苦笑して言う
「それこそ 技術部の肉体派の彼らの 心の状態なんて 顔色1つで 分かっちまうもんな?どれどれ~?」
グレイゼスがコンソールを操作するとモニターに技術部の様子が映し出される グレイゼスが言う
「今日も あちらの皆さんは 元気に…?あ、あら?」
モニターに映っている部屋の中に人は居ない グレイゼスが疑問して言う
「あら~?皆一応 今日も全員出隊で スペアのマシーナリーを仕上げて置こうって…?」
オペ子Bが気付いて言う
「中佐?技術部の皆さんなら 今は お昼休憩で 食堂に居ますよ?」
オペ子Bがコンソールを操作するとモニターに食堂の様子が映り技術部のメンバーが昼食を取っている グレイゼスが呆気に取られて言う
「え?ああ、本当だ 助かった有難う… うん?ART1やART2 それら機動部隊の状態だけでなく 各部署の休憩状態まで 確認するようにしていたっけ?」
オペ子Bが苦笑して言う
「そちらは確認するようにしていた訳では無いのですが 私たちにしてみると もし万が一の時には 一刻も早く中佐へ報告をしなければいけないと言う事で 技術部の皆と一緒に作業をされて居た中佐が 今何処にいるかって事は 確認する様にしていたんです それで今日も いつもの時間に 食堂の様子を確認してしまって… 可笑しいですよね?確認するべき中佐は すぐ後ろにいらっしゃるのに?無意識の癖になってしまっていたみたいです」
グレイゼスが苦笑して言う
「あぁ そう言う事?それで… …そうだよな?やっぱり いくら問題が無くたって やっぱり 居てくれないとなると 落ち着かないよな?」
グレイゼスがコンソールを操作すると 何箇所か映像が表示され メンバーボードが表示されると アースの名前とラミリツの名前が消灯している グレイゼスが苦笑する 続いてモニターに第二訓練所の様子が表示され ART2の訓練状態が映し出される
【 神の国 】
道中 木陰
ラミリツが携帯食1を前に言う
「ART2の皆… 今頃 どうしてるかなぁ…?」
隊員Cが携帯食2を前に言う
「ART1の皆は… 今日も食堂の旨い昼食食ったんだろうなぁ… あんっ んぐんぐ… やっぱ 不味い 国防軍の携帯食…」
ラミリツが言う
「そうだよね 政府警察の携帯食は 結構美味しいけど 国防軍のって 不味いよね?」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「えっ!?そうなんスかっ!?」
ラミリツが苦笑して言う
「けど マスターグレイゼス中佐に聞いた話では 栄養素的には国防軍の方が良いんだって?政府警察の方は どっちかって言うと ホント 口寂しさを補う程度って言うか?基本的に長期任務って無いから?」
隊員Cが言う
「あぁ… そう言う事で?」
ラミリツが言う
「うん、だから 僕らART2も 以前の長期任務の時の携帯食は 国防軍の方をメインに持って行ったんだけど… やっぱ 食事はさ?美味しい事も重要だって?その時知ったから 今回はつい… 政府警察のにしちゃった」
隊員Cが言う
「そうだったんスか… そう言えば 俺も 食堂のおばちゃんに どっち持ってく?って聞かれて 何の考えもなしに 国防軍の方を選んじまったけど それを知ってたなら…っ」
ラミリツが言う
「なら 1個交換する?」
隊員Cが喜んで言う
「良いんスかっ!?」
ラミリツが苦笑して言う
「うん 美味しい方選んじゃったけど 良く考えたら 栄養が良い方も 重要かもしれないし 丁度良かったかも?」
隊員Cが喜んで言う
「そおッスねっ!なら丁度良かったって事で!」
ラミリツと隊員Cが携帯食を交換する アースが考え事をしている ラミリツが気付いて言う
「…そう言えば?ハブロス司令官は?」
アースが気付き言う
「うん?ああ 私は…」
ラミリツが言う
「昼食は食べないにしても?」
アースが手に持っていたタブレットを示して言う
「地図上に置いても分かる通り この国の者らが使用しているだろう 綺麗な水の流れる川がある事は 把握をしていた為 飲み水の心配はしていなかった」
ラミリツが言う
「まさか それだけ…?」
アースが言う
「いや?勿論それだけとは言わないが 私も出来れば 不味いと感じる物は 口にしたくは無い 従って…」
ラミリツが呆気に取られて言う
「って 事は もしかして?」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「まさか 歴代国防軍長が…っ!?」
アースが言う
「サプリメントを持参したが?」
ラミリツと隊員Cが転んでから ラミリツが苦笑して言う
「そ、そう…?まぁ 良いんだけどさ…?けど それって…?」
隊員Cが言う
「有り得ねぇ… けど 流石 高位富裕層?」
アースが言う
「こちらであれば 携帯性にも優れているだろう?」
アースがサプリメントの錠剤を一粒食べる ラミリツが言う
「それはまぁ そうかもしれないけど…」
アースが言う
「質量が少ない分 水分の要求も少なくて済むと言う利点も併せ持つ そして何より 一瞬で終わる …では 行くぞ?」
アースが立ち上がる ラミリツが衝撃を受けて言う
「えっ!?もうっ!?」
隊員Cが言う
「速っ!?」
アースが言う
「対人情報収集は 日の明るい内にしか行えない 昼休憩は最小限に留める」
ラミリツが立ち上がって言う
「あ、そっか?それじゃ… 了解 司令官!」
隊員Cが落ち込んで言う
「昼休憩所か 中休憩の半分も休めねぇだなんて…」
隊員Cが立ち上がると アースが先行している 隊員Cが慌てて追い駆ける
【 ART 食堂 】
隊員Bが言う
「サッちゃん 今頃 どうしてるかな~?」
隊員Aが苦笑して言う
「サキの事だから きっとまた ハブロス司令官に 遊ばれてるんじゃないか?」
隊員Iが苦笑して言う
「サキシュ隊員は 基本 突っ込み役だけど ハブロス司令官が相手じゃ それも弾き返されちゃうからな?」
隊員Fが軽く笑って言う
「っはは それ 言えてる」
シーナが言う
「ハブロス司令官に 論争で勝てる相手は 居ないでしょうからね?そのハブロス司令官へ 突っ込みを… 反論をすると言う事自体が 可笑しいと言いますか?」
隊員Dが気付いて言う
「あぁ ひょっとして?それで気に入られているんじゃないか?サキシュ隊員は?ハブロス司令官の言葉に 言い返すから?」
隊員Eが言う
「なるほど そう言う事か?」
隊員Bが言う
「えー?」
シーナが言う
「あ!そうかもしれないですね?ハブロス司令官の言葉に 言い返す人なんて居ませんから それを楽しんで…?」
隊員Aが言う
「言われて見れば ハブロス司令官の近くに居る人って 余り 従順な人って居ないと言うか…?マスターシュレイゼス元隊長とか マスターグレイゼス中佐も ハブロス司令官の作戦に 反論していたし?」
隊員Bが言う
「それじゃー?ハブロス司令官と仲良くなるには ハブロス司令官の言葉に反論しないと駄目ーって事ー?アッちゃんー?」
隊員Aが苦笑して言う
「あ、いや だからって 何でも 反論しろって事じゃないからさ?バイちゃんは 真似とかしない方が良いと…」
隊員Bが言う
「真似しちゃ駄目なのー?俺はもっとハブロス司令官と 仲良くなりたいんだけどー?」
隊員Fが言う
「昨日の様子といい バイスン隊員は もう十分 ハブロス司令官と仲良く見えたけど?」
隊員Aが言う
「そうだよ バイちゃん?バイちゃんは十分 ハブロス司令官と 仲は良いだろう?」
隊員Bが言う
「えー?けど 俺はー サッちゃんと違って ご指名とかして貰えないしー?」
隊員Aが言う
「あぁ それは… バイちゃん?サキがハブロス司令官に ご指名されるのは 多分だけど …言っちゃうと サキがマスターになったからだと思うよ?」
隊員たちが反応する 隊員Bが言う
「…けど サッちゃんは…」
ハイケルが言う
「マスターラキンゼス隊員は 最低限のマスター であるが?」
隊員たちが衝撃を受ける 隊員Bが言う
「そうそうー!サッちゃん 最低限のマスターなのにー?他に もっと上のマスターの人は 沢山居るんだしー?それでも ハブロス司令官が 最低限のマスターの サッちゃんを ご指名するのは 何でー?アッちゃんー?」
隊員Aが苦笑して言う
「え?えっと それは…」
隊員Fが苦笑して言う
「それは…?」
隊員Aが苦笑して言う
「何でだろうな?俺にも分からないよ バイちゃん」
隊員Iが苦笑して言う
「言われてみると やっぱり 何でだろうな?」
隊員Bが言う
「えー?」
【 神の国 】
分かれ道
ラミリツが携帯のモニターから顔を上げて言う
「次の村へは この道を右だね?今までの村とは違って この村は 他の村へ通じるこの道に 割と近いみたい… …あっ!?」
ラミリツの視線の先 自分たちへ向かって人が荷車を引いて向かって来る ラミリツがアースへ向いて言う
「人が!?この先にある 村の人かもしれないっ!?声を掛けてみる?」
アースが視線を強めてから歩き始める ラミリツと隊員Cが顔を見合わせてから ラミリツが急いでアースへ続く 隊員Cが慌てて続く
荷車を引く人が急いで荷車を引きながらアースたちに気付くと 一瞬反応してアースと視線が合う アースが意識を向けると 荷車を引く人がアースからラミリツと隊員Cを見てからそのまま足早に過ぎ去って行く アースが数歩行ってから立ち止まり振り返ると 荷車が過ぎ去って行く ラミリツが呆気に取られてから言う
「声… 掛けるんじゃなかったの?それに 多分だけどさ?」
アースが言う
「ああ、彼らからは 魂の光が確認出来た 恐らく 会話は可能であるものと思われるが」
ラミリツが言う
「なら?…って あれ?彼らって?」
アースが言う
「彼の引いていた 荷台の中に3名 そして 彼ら4名共に 余り好ましくない光の色が見て取られた」
ラミリツが言う
「好ましくない光の…?じゃぁ その光の色で 判断をしたって事?」
アースが言う
「あの様な者には 不用意に声を掛けない方が 互いの為だ それに これから向かう村は 少なくとも彼らのような者が 後にした村であると言うヒントにはなった 目的地は目前 ここまで来れば それで十分だ」
アースが歩き出す ラミリツが言う
「そう…?まぁ 確かに それなら そうなのかもしれないけど」
隊員Cが言う
「それが色で判断出来るって… 便利ッスね?流石 時間に追われているお方 余計な会話はしないって…?…って アレ?いや… 余計な会話は 結構しているような?」
ラミリツが隊員Cへ言う
「まぁ 光の色で 色々分かるんなら 便利は便利だよね?それに…」
ラミリツがアースを追い駆ける 隊員Cが追う ラミリツがアースに追い着くと言う
「その光って 魂の光だって言うのならさ?嘘なんかも吐けないって事だよね?」
アースが言う
「そう言う事だ 口や態度でどれ程に誤魔化そうと この左目に映る 魂の色に嘘は吐けない」
ラミリツが苦笑して言う
「そうなんだ?それじゃ… やっぱ それって 当然?僕や皆の気持ちだって 見えるんだよね?」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「えっ!?」
アースが言う
「見ようと思えばな?」
ラミリツが言う
「なら…?」
アースが言う
「しかし 同じ人として 個人のプライバシーは尊重したい 従って よほどの事がない限りは 意識を向けないようにと… 元の視界を遮っていれば そちらの能力も多少は下がる」
ラミリツが言う
「それじゃ 視力は戻ったのに 眼帯を付けているのは その為だったって事?」
アースが言う
「そうだな そちらも理由の1つには なっている」
ラミリツが言う
「1つって事は 他の理由は?」
アースが言う
「他は…」
アースが隊員Cを見る 隊員Cが疑問していた状態からハッと気付いて言う
「そう言えば 以前の?あの時は 確か…?」
ラミリツが言う
「え?あの時って?」
ラミリツが隊員Cへ向くと アースが人差し指を立てて言う
「秘密だ」
隊員Cが衝撃を受ける ラミリツが言う
「え?」
ラミリツがアースへ向くと アースが言う
「行くぞ?遅れるなよ 護衛の2人?」
隊員Cがアースを見ていた状態からラミリツへ向くと衝撃を受ける ラミリツが隊員Cを見詰めて言う
「じー…」
隊員Cが困り汗を流すと 慌てて言う
「あ、あぁあのっ!?い、行かないとっ!?悪魔の司令官に…!?いや!ハブロス司令官に 遅れちゃいますから!?ご、護衛ですからね!?お、俺たちは~!?あはっ あははははっ!?」
隊員Cが瞬時にアースの下へ逃げる ラミリツが衝撃を受けて言う
「むっ!?逃がしたっ!?僕の じー から逃げるなんて!?流石マスター?甘く見てたよっ!…ねぇ!待ってよっ!?メイヴィンーっ!」
アースが衝撃を受ける ラミリツが急いで追い着く
【 ART 第一訓練所 】
ハイケルが言う
「では 本日のART1の訓練は これで終了とする 各自 使用武器 並びに マシーナリーの点検確認を済ませ 退散しろ 以上だ」
ART1隊員たちが言う
「「了解 少佐ぁー!」」
【 ART 司令塔 】
モニターの中でART1の様子が映されている グレイゼスが見て居て言う
「よし、本日も 問題は無く ART1は業務完了… と?おっと そうだった 今日は…」
グレイゼスがコンソールを操作するとモニターの映像が切り替わり 誰も居ない訓練所の様子が映る グレイゼスが疑問して言う
「うん?あら~?ART2は…?…ひょっとして もう 全員?」
グレイゼスがコンソールを操作するとモニターにメンバーボードが表示され ART2隊員らの名前が消灯している グレイゼスが苦笑して言う
「あらら?お早い事で?それぞれの退勤時間は… うん、17時01分から5分までの間か… 機動部隊の連中も 隊長が居ないと 定時に上がれるものなんだなぁ?…まぁ?」
グレイゼスがコンソールを操作するとモニターにART1の様子が映し出され賑やかな様子が見て取られる グレイゼスが苦笑して言う
「それが良いのか悪いのかは 知れないが…?」
グレイゼスが顔を上げると司令塔の隊員たちが作業を続けている グレイゼスが苦笑する
【 神の国 】
ラミリツがアースの腕を掴んでいて言う
「今はとにかくっ あの彼らを止めないと!」
アースが言う
「だから言っているだろう?どれだけ急いだ所で 所詮 今から向かうのでは 間に合いはしな… あっ!?おいっ!?」
ラミリツがアースの腕を引いて走り出す 隊員Cが衝撃を受けて言う
「えぇえっ!?」
ラミリツがアースの腕を引っ張って走りながら言う
「僕らが事前に犯行を知っているなら 出来る限りの事をやらなきゃ駄目だよっ!見過ごす事は 同罪も同然っ!今からでも 全力で止めに向かう!」
アースが言う
「だから そちらは間に合わないと 言っているのだろうっ!?手を離せっ ラミリツ隊長っ!」
ラミリツが言う
「間に合わなくったってっ!急がないとっ!」
アースが言う
「間に合わないのなら 急いだ所で意味が無いっ!だから 手を離せっ!どうしても向かいたいというのなら お前が1人で向かえっ!その方が到着も速く ともすれば 間に合うかもしれないぞ!?」
ラミリツが言う
「それならそれで!犯行は起きても 事件は解決する!」
アースが言う
「そうだっ!従って お前は さっさと その手を離し お前1人で全力で向えっ!それで良い そうしろ ラミリツ隊長っ 命令だっ!」
ラミリツが言う
「了解っ!司令官っ!」
アースが言う
「良しっ!」
アースがホッとした後 衝撃を受け言う
「…てっ!?何をしているっ!?ラミリツ隊長っ!そして 何より 私の腕を拘束する その手を離せとっ!?」
ラミリツが言う
「今の作戦に了解はするけど 一部変更!僕が1人じゃなくて やっぱ ハブロス司令官も連れて行くっ!」
アースが衝撃を受け言う
「なっ!?ちょ、ちょっと待てっ!私の作戦をっ!何より一番重要な箇所を変更するなっ 私は お前が1人で行けと言っているんだっ それで無ければ 作戦以前に 時間が間に合わないだろうっ!分かれっ!」
ラミリツが言う
「分かった!けど 大丈夫っ!それなら 僕が1人で走るのと同じ位 2人で急げば良いんだよっ!分かるでしょ!?普通っ!」
アースが言う
「分かるか このガキっ!そのお前がっ いやっ 戦闘員のお前が1人で走るのと 非戦闘員の私を牽引して走るのでは お前が1人で走った方が速いに決まってるだろっ!馬鹿かっ!お前はっ!?」
ラミリツが言う
「分かってるよっ!僕は馬鹿じゃないけど ハブロス司令官の悪知恵とかは無いからっ 正義に逸れた彼らの行いを 正当化して示談を成立させる事なんて出来る筈が無いのっ!だから やっぱ ハブロス司令官も連れて行かないと 駄目だってっ!」
アースが言う
「ふざけるなっ!順番に突っ込みたい所だが 生憎今は そのお前のお陰で余裕が無いっ そして 何より 先に手を離せっ!唯でさえ 今日は半日歩き通しで 体力を消費しているんだっ その上で8キロ以上も… 走れる訳がないだろうっ!?増して このスピードでっ!ワンス村を守る以前に 私を殺す気かっ!お前はっ!?」
ラミリツが言う
「大丈夫だよっ!それだけ歩けるって事は 基礎体力はあるって証拠っ!それなら 8キロ位走れるっ!何より僕が引っ張ってあげるから それで ペースを維持して 後は意識を目的地へ向けるの!それだけで 十分!僕は そこにある犯罪を止める事だけを考えるからっ!ハブロス司令官を連れて行けば良いっ!今はそれしか考えないっ!」
アースが言う
「お前はそれだけで良いかもしれないがっ 私には考える事が山ほどあるんだっ!身体を動かすと 思考回路が単一化してしまうっ お前の言う通り 到着目的の遂行しか考えられなくなると言う事だ その私に交渉をさせようと言うのなら 走らせるなっ!」
ラミリツが言う
「大丈夫っ!ハブロス司令官なら 何とかなるよっ!僕は信じるっ!」
アースが言う
「その私が出来ないと 言っているだろうっ!?離せっ!」
隊員Cが追って走りながら呆気に取られて言う
「マジかよっ!?自分よりデカイ 非戦闘員を1人引っ張りながら あのスピードって…っ!?有り得ねぇだろ!?」
アースが言う
「おいっ ラミリツ隊長っ 意地も誇りも無く 本気で言うが 無理だっ 走り切れないっ!諦めて その手を離せ!」
ラミリツが言う
「駄目っ!まずは その考えを捨ててっ!何も考えなくて良いから!とにかく 僕に引かれるままに!このまま 走れば良いのっ!」
アースが言う
「何も考えなくとも 己の身体の限界は分かるだろうっ!?その上で 無理だと言っているんだ 離せっ!」
ラミリツが言う
「大丈夫っ!ここまで来て それだけ考えて喋れるなら 絶対 行けるっ!後は 何も考えないで 走ってっ!さあ 行くよっ!?もっと急いで!もっと速くっ!」
ラミリツがスピードを上げる アースが驚き言う
「なっ!?じょ、冗談じゃないっ!無理だと言っているだろう!?離せっ …このっ クソ餓鬼がぁあっ!」
ラミリツとアースが走って行く 隊員Cがかなり遅れて走って来て呆気に取られて言う
「お、おいおい?マジかよ?有り得… いや …もう マジで信じられねぇ ラミリツ隊長 ハブロス司令官より 無茶苦茶だ …大体 あのペースで8キロなんて …軍曹だって無理だぞ?」
隊員Cが走る視線の先 既に遠くに見える場所で アースを引っ張ってラミリツが走っている
【 ART 出入り口前 】
ART隊員たちが慌てて飛び出して来る エルムα9体が出入り口前でサブマシンガンを構えると ハイケルがその前に立ち両手に銃を構える ART1隊員たちが慌てて言う
「「しょ、少佐ぁーっ!?」」
エルムα9体が戦闘モードに切り替わる ART1隊員たちが慌てて言う
「しょ、少佐ぁーっ!?」 「駄目ですよ 少佐っ 落ち着いてっ!」 「えー?」 「バイちゃんも 止めて!」 「だってー?」
グレイゼスの声が聞こえて来る
「はいはい 分かった分かったから そう 威嚇してくれなくても 今 向ってるでしょう?」
グレイゼスが出入り口に出て来る ART1隊員たちが呆気に取られて言う
「あれ?」 「マスターグレイゼス中佐まで?」
ハイケルが銃を降ろす 隊員Aがハイケルの様子に気付いて言う
「ひょっとして それで…?」
グレイゼスが出入り口を出ると呆気に取られて周囲を見渡して言う
「あらー?今日はまた…?」
エルムαが言う
『現時刻は18:00 当直の登録がなされていない隊員の ART本部退去を確認 任務完了 帰還する』
エルムα10体が出入り口の中へ入るとその前に扉が2重に閉まりレッドランプが点灯する 皆がそれを見てから グレイゼスが再び言う
「今日は 随分と皆さん 遅くまで残っていた様で?何か… 問題か~?…なんてな?プククッ」
ハイケルがグレイゼスを見てから一度視線を下げる グレイゼスがからかっていた状態から疑問して心配して言う
「…て?うん?ひょっとして 何か?本当に 問題でもあったのか ハイケル?」
ハイケルがグレイゼスへ向いて言う
「…いや 問題と言う問題は無いのだが」
グレイゼスが疑問して言う
「問題と言う問題は無い?…うん それなら…?」
グレイゼスが周囲を見渡してから疑問すると ハイケルが言う
「問題は無いのだが 問題が発生しているかの様なのだが?これはどう言う事だ?グレイゼス?」
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「えっ!?いや?…それは むしろ 俺が聞きたいんだけど?」
ハイケルが言う
「そうか お前が分からないと言うのでは 司令官へ報告を …っ?」
グレイゼスが呆気に取られた後苦笑して言う
「君たち… …っははっ!何だよ?皆 大げさだぞ?」
皆が反応してグレイゼスを見る グレイゼスが微笑して言う
「ハブロス司令官なら 大丈夫だ なんせ あの攻長閣下や 一応マスターの マスターラキンゼス隊員も付いている!その上 イザとなれば このアールスローンの天使様だって 力を貸して下さるだろう!…ああ!ついでに もう1人の悪魔様だって付いてるんだ!こんなスペシャルな陣営を率いている 我らが最高の司令官様を 心配する必要なんて何処にも無いだろう?」
皆が気付き表情を和らげて顔を見合わせる グレイゼスが言う
「さ!そう言う事だから 皆さん!安心して 自宅へ帰りしましょう!ハブロス司令官も 就業時間後は 皆が家族と過ごしている事を 望んでいるのだから …それから もちろん!何らかの事態が発生すれば 直ぐに皆にも知らせるから!各々携帯の充電は欠かさないように!」
ART隊員たちが言う
「「了解!中佐!」」
グレイゼスが言う
「よし!それでは ART隊員諸君!また明日な!お疲れ!」
ART隊員たちが言う
「「お疲れ様でしたー!」」
皆が笑い安心して立ち去って行く グレイゼスが微笑してから顔を向けると ハイケルが沈黙していた状態からグレイゼスへ向く グレイゼスが苦笑する
【 喫茶店マリーシア 】
グレイゼスが言う
「…でぇ?」
グレイゼスが皿を拭きながら言う
「何で 就業時間後は 皆が家族と過ごしている事を… と、皆へ公言した俺の所へ 転がり込んで来てるんだよ?このっ ハイケル」
マリがマーガレットをあやしながらグレイゼスとハイケルを見て微笑する ハイケルがコーヒーを一口飲んでから言う
「問題ない そちらを望んでいると言った お前の示した人物 ハブロス司令官にとっての家族は そのハブロス司令官が己の家族と認めたものが全てだ そして その中には 私はもちろんだが お前も入っている」
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「え?俺も?何時の間に…?って?いやいやっ そうじゃなくてっ!?そもそも 家族って言うのは…っ!?…なぁ?マリ?」
グレイゼスがマリへ向くと マリが微笑して言う
「ふふっ 凄いのね?グレイ君 あのハブロス様の ご家族様にまで 昇進しちゃうだなんて?…ね~?マーガレット?お父様は凄いですね~?」
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「なぁあっ!?い、いや 俺はっ!?…俺は マリとマーガレットの家族であって… 決して ハブロス家の」
ハイケルが言う
「ハブロス家の では無く ハブロス司令官の家族だ」
グレイゼスが疑問して言う
「はぁ?だから それは つまり ハブロス家の… …っ?」
ハイケルが言う
「現在 ハブロス司令官は 国外にて任務中だ そのハブロス司令官は アールスローンには存在していない そうとなれば 現状のハブロス家は軍曹の物 ハブロス家の家族は 軍曹の家族と言う事になる」
グレイゼスが言う
「そう言えば そうだったな?そして、この状態で アーヴィン君がハブロス家の家族の登録から ハブロス司令官を… アース・メイヴン・ハブロスを除名さえしてしまえば 後はハブロス司令官が戻ろうが戻るまいが ハブロス家の当主は 引き続き アーヴィン君と言う事になる …とは言っても そいつは もちろん?形式上の話であって そもそも あのアーヴィン君が そんな事をする筈は無い訳だが…?」
グレイゼスがハイケルを見ると ハイケルがコーヒーを飲んでからグレイゼスを見て言う
「グレイゼス もし 可能であれば」
グレイゼスが言う
「うん?何だ?ハイケル」
ハイケルが言う
「今夜は この店に泊り込んでも 良いか?」
グレイゼスが呆気に取られて言う
「…っ ハイケル… お前 ひょっとして…?」
ハイケルが言う
「ついでに 朝食を付けてもらえると 助かるのだが?」
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「ちゃっかりしてるな?お前は!?」
ハイケルが言う
「駄目なのか?」
グレイゼスが慌てて言う
「いやっ そうじゃなくて!?」
マリが笑っている
【 神の国 】
空き家
ドアが開かれ長老が言う
「この空き家に藁を積み込んで置きましたので どうぞ 今夜はこちらでお休み下さい」
ラミリツと隊員Cが入り言う
「え?藁をって…?」 「もしかして また…?」
ラミリツが疑問して言う
「また?」
アースが長老へ向いて言う
「ご親切に有難う御座います 使わせて頂きます」
長老が微笑して頷くと立ち去る ドアが閉められると 家の中が真っ暗になり ラミリツと隊員Cが一瞬呆気に取られると ラミリツが携帯を取り出し明かりを灯して言う
「電気も無ければ ランタンなんかも無いし…?本当に 何も無い所だね?それに さっき言ってた 藁って もしかしてだけど?」
ラミリツが足元を照らしながら歩いていくと 明かりの先に藁が敷き詰められている ラミリツが衝撃を受けると言う
「ホントに藁が積まれてる… つまり ここって… 馬小屋とかって事?…でも 臭いとかしないし?」
隊員Cが臭いをかいで言う
「そおっすね?それに なんつーか そう言う 動物なんかの牛舎とかって?そう言う感じでもないですから …やっぱこれが 人間の家って事…?」
ラミリツが藁を手に取ってから微笑して言う
「ふふっ でも良いね?こう言うのって!」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「えっ!?良いね?って?」
ラミリツが喜んで言う
「僕一度 こう言うの!藁の中で寝るのって やってみたかったんだよね!アニメとかでたまにやってるじゃない!?ふふふっ!藁なんて触るのも初めてだし!そこで寝られるなんて 一生に一度有るか無いかって感じでしょ!?」
隊員Cが苦笑して言う
「俺二回目です」
ラミリツが衝撃を受けて言う
「嘘ぉっ!?」
アースがやって来て藁を見下ろす ラミリツと隊員Cが話していて ラミリツが言う
「二回目って言うと?それじゃ 一回目は?アールスローンで?」
隊員Cが言う
「いや 言われてみれば その一回目も今日みたいに国外任務で… あのヴァンパイアさんたちの国へ行った時にですね?」
ラミリツが言う
「ああ そう言う事?僕らが行った方では アウターサイドの村でも ここまで何もない所では無かったし 最初から野営テントを用意して行ったからね?だから 藁で寝るなんて ホント初めて!」
隊員Cが苦笑して言う
「何か すげぇ 嬉しそうですね?」
ラミリツが言う
「えへへ~ だって 夢だったし?藁って暖かいの?やっぱ毛布を用意した方が良いかな?」
隊員Cが言う
「夢だったって… むしろ お屋敷のベッドで寝る方が 普通は夢でしょう?大体 藁なんて 温かいは温かいですけど 直接触れると首とか チクチクして寝心地悪いッスよ?」
ラミリツが言う
「あ、そうなんだ?チクチクするのは嫌だけど 折角だし?寒くは無いって言うのなら このままで… …あっ?」
ラミリツがアースへ向くと言う
「そう言えば ハブロス司令官は平気?」
隊員Cが苦笑して言う
「…そう言えば それこそ大変な人が 居ましたっけ?」
ラミリツが苦笑して言う
「野宿しないで済んだのは良かったけど 藁でなんか寝られない?それなら 僕が持って来た簡易毛布もあるけど そっちが良ければ 貸してあげ…」
アースが正面から藁の上に倒れる ラミリツと隊員Cが衝撃を受け驚くと ラミリツが慌てて言う
「ハ、ハブロス司令官っ!?」
隊員Cが心配して言う
「しょ、正面から ぶっ倒れ…っ!?って いやっ!?それよりっ!?」
ラミリツがアースの身を向き直させて言う
「ハブロス司令官っ!?」
ラミリツがアースの首に手を当てて脈を取る 隊員Cが心配して言う
「ど、どうですかっ!?ラミリツ隊長!?ハブロス司令官は!?」
ラミリツが言う
「…寝てる」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「って えぇえっ!?ね、寝てるって…?」
隊員Cが覗き込むとアースが寝入っている 隊員Cが呆れて言う
「…本当に寝てる …有り得ねぇ そもそも あんなベッドへの入り方って?…まさか それが高位富裕層の普段って…?」
ラミリツが苦笑して言う
「まさか?」
隊員Cが苦笑して言う
「そ、そうですよね?高位富裕層のお方と言えば もっと その… なんて言うか 優雅にと言うか?」
ラミリツが言う
「…きっと 相当 無理してたんだと思う」
隊員Cが呆気に取られてから言う
「無理をして?いや そんな風には 見えませんでしたけど?あの村を襲ってた連中を ねじ伏せた時だって その後 村の人たちと一緒に 外で飯食ってた時だって?普通に?普段と同じと言うか?色々と村の事聞いたり 村長さんとも 話してましたし?」
ラミリツが苦笑して言う
「だから 見せないようにしてたんだよ その村の人たちは他人でしょ?敵では無いけど 仲間でも無いから 弱みは見せられない」
隊員Cが呆気に取られた後苦笑して言う
「弱みは見せれらない… そ、そう言う事ッスか?で~… その敵でも味方でもない 他人さんと分かれて 俺らだけになったから?だから… って事なら?ハ… ハハッ!?何だ そう言う事なら ハブロス司令官も なんつーか 甘いって言いますか?仲間の前では 気を抜けるなんて ちょっとはその~… な、仲間らしい事も してくれるもんッスね~?ハ、ハハハッ!?」
ラミリツがアースの顔を見る 窓から差し込む月明かりにアースの顔が照らされている ラミリツが表情を悲しませる 後方で隊員Cが疑問して言う
「…ラミリツ隊長?」
ラミリツがハッとすると言う
「あ、そっか?このままじゃ 風邪引いちゃうよね?下に敷くだけじゃなくて 上にも?…もう しょうがないなぁ?寝るんなら ちゃんと藁掛けて寝ないと 駄目じゃない?ハブロス司令官?」
ラミリツがアースの体の上に藁を乗せる 隊員Cが衝撃を受けて言う
「藁掛けるって… いや、そうですけど むしろ それは盛ってるって言いますか?」
ラミリツが言う
「この位で平気かな?もっと盛った方が良い?」
ラミリツが隊員Cへ向く 隊員Cが衝撃を受けてから言う
「えっ!?いや… 俺に 藁の盛り加減 聞かれても」
ラミリツが藁を整えて言う
「なら後はこれで… こんな感じ?どうかな?えへへっ 僕って優しいよね?ちゃんと ハブロス司令官の為に 藁 整えて置いてあげたんだからね?ハブロス司令官?」
隊員Cが呆れて言う
「藁ですけどね?」
ラミリツがアースの隣の藁にもぐりこんで言う
「ふふっ それにまさか ハブロス司令官と 同じ藁に 寝られる日が来る何んて 僕 思いもしなかったよ?」
隊員Cが呆れて言う
「そりゃ 誰も思いませんよね?少なくとも 俺らと同じ …そう言う 携帯なんかの科学的進歩があるのなら?」
ラミリツが携帯を見てから言う
「まだ9時にもなってないや… 本当は 明日の予定とか聞くつもりだったんだけど まぁ良いよね!?ハブロス司令官が寝るんなら 僕も寝る!お休みなさーい!」
ラミリツが携帯の電源を切る 辺りが暗くなる 隊員Cが衝撃を受けてから言う
「え?マジで!?9時に寝るなんてっ それこそ ガキの頃以来で むしろ 寝られるかって…!?」
ラミリツの寝息が聞こえる 隊員Cが衝撃を受けて言う
「って 寝ちゃうのかよっ!?流石…」
隊員Cが沈黙の間に困り汗を流した後言う
「ん~じゃぁ 俺もっ!?お休みなさーいっ!」
隊員Cが藁にもぐりこむと 間を置いていびきを掻き始める ラミリツが言う
「うるさっ!?」
【 グレイゼスの自宅 】
ハイケルが食事を終えて言う
「家族の夕食の時間を 邪魔して 済まなかった」
マリとグレイゼスが一瞬呆気に取られてから グレイゼスが苦笑して言う
「おいおい?誘ったのはこっちなんだし そもそも 俺らにとってのお前が 邪魔なんかで ある筈がないだろう?」
ハイケルが言う
「そうか では…?」
マリが微笑して言う
「お料理のお味はどうだった?ハイケル君?ハイケル君は 普段は あのハブロス家のお屋敷で お食事を頂いているのだから もしかしたら 口に合わないかと思ったのだけど?」
ハイケルが言う
「料理の味は… そうだな ハブロス家で口にする味とは 異なっていたが …食べやすい味だと感じた」
グレイゼスが言う
「それは お前… 普通は 美味しいとか 旨いとかって 言うんじゃないか?」
ハイケルが言う
「美味しい 旨い… いや?やはり 少し異なる 率直に 俺には 食べやすいと感じたのだが?」
グレイゼスが言う
「なら ハブロス家の食事の味は 食べ辛い 不味いって事か?」
ハイケルが言う
「いや?ハブロス家で食べる食べ物の味は 率直に 旨い …しかし そうだな?何故か 同時に 食べ辛いとも 感じる」
グレイゼスが呆気に取られて言う
「へぇ…?そいつはまた 面白い事言う様になったなぁ?ハイケル?」
ハイケルが言う
「面白い?…そうか」
マリが微笑して言う
「ハイケル君は とっても繊細なのね?」
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「繊細…?悪魔の兵士が?」
グレイゼスがハイケルを見る ハイケルが疑問して言う
「繊細?…それは どう言う意味だ?マリーニ・アントワネット・ライネミア・アーミレイテス」
グレイゼスが衝撃を受け呆れる マリが軽く笑って言う
「そうね?そうやって 私のフルネームを呼んでくれるのと同じで ハイケル君は とっても几帳面だから」
ハイケルが言う
「几帳面…?」
グレイゼスが苦笑して言う
「いや こいつの場合は 几帳面と言うより むしろ…」
ハイケルがグレイゼスを見て言う
「むしろ?」
マリが言う
「普段との違いとか 自分が居る事で 私やグレイ君が不都合を感じて居ないかとか そう言った 心遣いが出来るの だから ハブロス家に居ても そちらが気になって 高位富裕層のハブロス家の皆さんの中で 一緒にお食事をする事に 気を使ってしまっていて …だから お料理は美味しいのだけど そちらのお料理を 一緒に食べる事に 抵抗を感じて 食べ辛いって 感じるのじゃないかな?」
ハイケルが沈黙してから言う
「気を使う…?抵抗を感じて…?…そうか 了解」
グレイゼスとマリが衝撃を受け呆気に取られた後笑うと グレイゼスが言う
「やっぱりこれだぁ?」
ハイケルが疑問して言う
「やっぱりとは?」
マリが言う
「うふふっ ハイケル君 可愛いっ」
ハイケルが衝撃を受けてから言う
「理解不能だ」
グレイゼスが言う
「まぁ それでも 悪いが 今夜はリビングのソファで 寝てもらうが 構わないよな?」
ハイケルが言う
「問題ない 元は あの店の椅子で 仮眠を取る予定だった」
グレイゼスが言う
「ああ、それよりは 断然寝心地は良いだろうぜ?それじゃ… 確か毛布は1枚 あった筈だから…」
グレイゼスが席を立つ ハイケルがコーヒーを飲む マリが微笑する
【 神の国 】
深夜
窓に見える月の位置が傾いている ラミリツが寝返りを打ち 寝心地を嫌いながら目を覚ますとハッと気を取り直し飛び起きて言う
「…っ!ハブロス司令官っ?」
ラミリツが周囲を見渡してから隊員Cを見る 隊員Cはぐっすり眠っている ラミリツがアースの眠っていた場所を見てから言う
「…居ない!?」
ラミリツが再び周囲を見てから 携帯を見て 窓の外の月を見てから言う
「すぐ… 戻って来るよね?」
ラミリツが隊員Cを見る 隊員Cは寝入っている
窓の外の月が傾く
ラミリツが窓の外月を見てから携帯を見て言う
「…戻って来ない 何処行ったの?ハブロス司令官っ?」
ラミリツがアースの寝ていた場所を見てから立ち上がる
第3ブロック 門前
門の周囲に人は居ない 一転して その先に光が人の動きの様に動いている アースが物陰に身を潜めて言う
「やはり 中には見張りが居るか…」
アースが思う
(そうとなれば 唯こちらから入り込む方法を模索するだけでは… いや 重要なのは 兵が居るかと言う事よりも その彼らが 通信手段を… 自分たちの神 アークとの交友を得ているかと言う事だが そちらは…?)
アースが物陰から顔を覗かせ周囲を見る 周囲に人は見えない アースが軽く息を吐いて思う
(監視カメラの類は無い そして門の中には それなりの見張りや 見回りと思われる動きがあると言う事は ともすれば その者らが定期的に こちらを伺いに訪れる事もあるか?少なくとも深夜の間に1度程度は…?)
アースが携帯の時間を確認してからそれをしまって言う
「それまでを 張り込むか…」
アースが周囲を見てからコートから小さな包みを取り出し 封を開けると口に入れ張り込みを続行する
空き家
隊員Cの体が揺さぶられラミリツの声がする
「…ラキンゼス隊員っ 起きてっ ねぇ!起きてったらっ マスターラキンゼス隊員っ!ねぇっ!」
隊員Cが寝言を言う
「う~… 有り得ねぇ んな… 悪魔の…に 天使の…とか… 有り得ねぇから… けど…」
ラミリツが言う
「ちょっと!夢なんか見てないでっ 起きてったらっ!ねぇっ マスター!?…ならっ サキシュ隊員っ!?起きて!この…っ 起きろったらっ!」
ラミリツが藁を引き上げると 隊員Cが転げ落ちて言う
「やっぱ見間違えじゃな… 背中に… …ってっ!?のわぁあっ!?」
隊員Cが床に落ちて 打ち付けた腰をさすりながら言う
「ッテテテ んえ?ラミリツ隊長?どおしたんすかぁ?まだ 暗いじゃないですか?ひょっとして…?」
ラミリツが言う
「そうなのっ!まだ暗いのにっ!」
隊員Cが立ち上がりながら言う
「1人じゃ 怖くて用足しに行けないって言うなら そう言う時こそ 親友のメイヴィンさんに お願いすれば 割とそう言った事から…」
ラミリツが言う
「そうじゃなくてっ!そのメイヴィンが 居ないんだったらっ!」
ラミリツがアースの寝ていた場所を指差す 隊員Cが一瞬呆気に取られた後 藁へ戻りながら言う
「なら 用足しに行ったんじゃないっすか?だったら ラミリツ隊長も…」
ラミリツが言う
「それにしては遅過ぎるのっ!」
隊員Cが言う
「だったら デカイ方なんじゃないッスか?だから少し遅く…」
ラミリツが言う
「それにしたって遅いんだよっ 僕が気付いてから 1時間以上も 経ってるんだからっ!」
隊員Cが藁に潜りながら言う
「だったら 森にでも迷ってるんじゃないッスか?どっちにしろ 大丈夫ッスよ」
ラミリツが衝撃を受けて慌てて言う
「迷ってるんなら それこそ探しに行かないと 駄目でしょっ!普通!?森には 野生の動物も居るかもしれないじゃないっ!?」
隊員Cが言う
「野生動物の1匹や2匹 目じゃ無いでしょう?あの無敵の司令官様なら…?」
ラミリツが言う
「何言ってるのっ!?ハブロス司令官は 非戦闘員なんだから 戦闘員の僕らが 守ってあげないと駄目っ!僕らは その為の護衛だろ!?」
隊員Cが言う
「ハブロス司令官は 非戦闘員だって言っても… むしろ 守られてるのは俺らの方ですし?」
ラミリツがハッとして呆気に取られる 隊員Cが言う
「何かあったとしても また いつもの技でぶっ飛ばすに 決まってるじゃないですか~… それに そもそも俺は 護衛と言うより 突っ込み担当で…」
ラミリツが呆気に取られたまま言う
「守られているのは 僕ら…?」
ドアが開く音が聞こえる ラミリツがハッとして振り返ると言う
「…っ!ハブロス司令官っ!?」
アースが入って来て言う
「大声を出すんじゃない この夜更けに 何を騒いでいる?外まで声が聞こえたぞ?」
ラミリツが言う
「ハブロス司令官が 居ないからっ!」
アースが言う
「用足しに出ただけだろう?それ位で騒ぐなよ」
ラミリツが言う
「嘘っ!それにしては遅いしっ!?そもそも 1人で…っ!」
アースが言う
「遅くなる方だってあるだろう?」
ラミリツが衝撃を受けた後言う
「それは… って それも嘘っ!いくら そっちの方でも 1時間以上も何て無いから!」
アースが藁に入りながら言う
「森の奥へ向ったら 帰路に迷った」
ラミリツが衝撃を受けて言う
「えっ!?…それ ホントに?」
隊員Cがもぞもぞ動いて言う
「だから 言ったじゃないスか… 迷ってるんだって…」
ラミリツが言う
「それは… …って だったらっ 尚更っ!?1人でなんか行ったら危ないじゃないっ!何で声掛けてくれなかったのっ!?」
アースが言う
「分かった お休み ラミリツ隊長」
ラミリツが衝撃を受けて言う
「うん お休み …って そっちの声掛けじゃなくてっ!?ハブロス司令官っ!?」
ラミリツがアースの顔を覗きこむと アースが眠っている ラミリツが衝撃を受けた後言う
「ちょっ!?ね、寝てる…?…人が 心配してたって言うのにぃ…っ メイヴィンの馬鹿ぁあっ!もう知らないよっ!ふんっ!」
ラミリツが隣の藁に潜り込んで寝る 隊員Cが藁から覗いて言う
「…不貞寝した?」
アースが苦笑して言う
「…ふっ ガキだな?」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「心配してもらって置きながら… 流石 悪魔の…」
隊員Cの目に光の翼が見える 隊員Cが衝撃を受け驚いて目を見開くと 気付き呆れる アースがタブレットを使っていて その光が隊員Cの目に入る 隊員Cが肩の力を抜いて言う
「…何だ ひょっとして あの時も…?携帯の光の影響で…?」
隊員Cがアースへ背を向けて言う
「まったく 脅かしやがって… … ぐぅ~…」
隊員Cが寝入る アースが横目に隊員Cを見てからタブレットを操作すると 第3ブロックの門前を背景にした兵士の写真が表示される アースが目を細める
続く
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