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16章
アールスローン戦記Ⅱ 決戦
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【 アウター 】
Mハイケルが見上げて言う
「これは…?」
Mラミリツが言う
「まるで 帝国の門みたいだね?」
Mハイケルが言う
「そして その門が開かれていると言う事は」
皆が門の先を見る 門の先には城下町が見える ヴィンが不満そうに言う
「映像による フェイク… これで 我々の戦意を減衰させようと?」
ラミが言う
「減衰所か 憎悪や戦意が 増すと言うものだけど?」
Mラミリツが顔を向けて言う
「それは どう言う意味?」
リックがやって来て言う
「ああ 俺様もよぉ?こいつを見せられた 一昨日から 気分が悪くてなぁ?それこそ 直ぐにでもぶっ潰してやりたかったんだが 当のハブロが黙って居やがったからよぉ?」
ヴィンが苦笑して言う
「そちらのハブロ殿は この街の様子を知る筈も無い 彼が黙っていたのは それ故にだと思うのだが?リック?」
リックが言う
「るせぇぞ?ヴィン?」
Mハイケルが言う
「では お前たちヴァンパイアであるなら この街の様子を… この映像を知っているという事か?」
ラミが言う
「ええ もちろん …この街の様子はねぇ?悪魔の兵士さん?」
Mハイケルがラミを見る 無線にアースの声が聞こえる
『こちらの映像にある街の様子は 500年前に滅ぼされた アールスローン王国とその城下町の様子だ』
ヴァンパイアたちが驚き Mハイケルが言う
「アールスローン王国?」
リックが言う
「知ってやがったのか?ハブロ?」
ヴィンが言う
「そちらは可笑しな話だ 何故なら その王国と城下町の事は かの姫の力により 人々の記憶からは消されている 故に 諸君の歴史にある アールスローンは 現行の諸君の国であると 記憶されているのだから」
皆がヴィンを見る アースが言う
『そうだな 変態科学者殿』
ヴィンが衝撃を受ける ラミリツが呆れて言う
「ここでまで来て それ言わなくても…」
シェイムが不満気に言う
「仮にもARTの司令官ともあろう方が 分相応の発言を行うべきでしょうっ!?」
アースが言う
『従って わざわざ訂正されている歴史を 掘り返すつもりは無い しかし この映像を使用すると言う事は それを今も知る 貴方方ヴァンパイアはもちろん その国の… その街に居た彼らの事を知った私には とても 不愉快だ』
ヴィンが言う
「彼らの事を…?」
リックが言う
「はっ!なるほど?思い出せはしなくても 知る事は出来るだろうぜ?なんせ奴らの魂は 今も てめえらと共に在りやがるんだからなぁ?そうとなりゃぁ 後はただ そいつを知って 真実として受け入れられるかってだけの話だぜ」
アースが言う
『受け入れはする しかし そちらを行った 奴の考えと これからも繰り返されると言う そちらの予定までを受け入れる事は出来ない そうと有れば行う事は一つ 我々は 今一度 奴と戦い 今度こそ 奴に勝つっ!』
オペ子Aが言う
『今作戦に置かれるARTへの支援 アールスローン帝国 国防軍より ターゲットへ向けての先制攻撃 来ますっ!』
Mハイケルが呆気に取られて言う
「国防軍が?」
隊員Bが驚いて言う
「先制攻撃ー!?」
隊員Aが呆気に取られて言う
「そんな…っ 国防軍に それは 有り得ないんじゃ!?」
Mラミリツが振り返って言う
「総員!爆風に備えろっ!」
皆が驚き 慌てて防御体制を取る 城門の先 城下町に複数ミサイルが着弾して爆発する
【 ライブ会場 】
会場内で花火が打ち上げられる 演奏が開始され ナルが叫ぶ
「1曲目から ハデにキメるぜー!」
会場が盛り上がる中 エミーも両手を上げ盛り上がっている
【 ART司令塔 】
オペ子Bが言う
「サーモセンサーに 敵影マシーナリーを感知っ!」
オペ子Aが言う
「映像モニターに 敵陣を確認!第一作戦 映像フェイクの抹消 成功と認識!」
グレイゼスが言う
「ART機動部隊 及び!」
【 アウター 】
ARTマシーナリーたちの前 門の中に複数のマシーナリーが立ち上がる グレイゼスの声が聞こえる
『援軍 支援部隊!総員 作戦開始だっ!最深部に居るであろう ターゲットの下へと向かえ!そして…』
ARTマシーナリーたちが武器を構える
【 帝国 】
アースが言う
「如何なる手段を用いてでも ターゲット ネロ・アーク・フォライサーを 倒せっ!命令だっ!」
アースがエレキギターを響かせる ハイケルとラミリツの声が聞こえる
『『了解!司令官っ!』』
【 アウター 】
ART1が銃構え ART2がセイバーを構える グレイゼスの声が聞こえる
『前方 3方向へ向けての通路を確認 各通路の構成から 進軍部隊を算出!ART1直進 ART2左へ ARTゼロは右へ向かえ!ART機動部隊 進軍せよ!』
Mハイケルが言う
「了解!先行部隊 ART1 突破口を開口する!――バイスン隊員!」
M隊員Bが言う
「了解!少佐ぁーっ!」
M隊員Bが両手にB手榴弾を持つ 隊員Aが衝撃を受けて言う
「バ、バイちゃんっ その量はーっ!」
M隊員Bが大量のB手榴弾を投げ付けて叫ぶ
「いっけー!」
Mハイケルがハンドガンを構える その横で Mラミリツがハンドガンを片手に構えて言う
「ART2全軍!ART1に負けては居られないっ!ハデにキメるぜーっ!」
Mハイケルが衝撃を受け Mラミリツを向くと Mラミリツがハンドガンを発砲し B手榴弾が爆発する ART2隊員たちが呆気に取られる ラミリツが叫ぶ
「ART2!進軍ーーっ!」
ART2隊員たちが呆気に取られた状態から 慌てて言う
「「りょ、了解!隊長ーっ!」」
Mラミリツが先行して城門へ向かって行く ART2マシーナリーたちが追って行く シェイムが呆気に取られて言う
「エ、エーメレス…?」
M隊員NとM隊員VがMハイケルの両脇に来て言う
「少佐ぁー!俺ら ART1も 負けてられないぜー!」 「おうよーっ!」
Mハイケルが呆気に取られつつ言う
「あ、ああ… 了解 ART1… 進行…」
ART1隊員たちが衝撃を受けて言う
「「…え?」」
隊員Bが言う
「えー?」
Mハイケルがハッとして言う
「あ、いや 間違えた …ART1 進軍 …だ」
ART1マシーナリーたちが言う
「「りょ、了解 隊… 少佐ぁー!」」
M隊員NとM隊員Vが言う
「了解 少佐ぁー!」 「いっくぜーいっ!」
M隊員NとM隊員Vが走り出す Mハイケルが衝撃を受けて言う
「あ…っ!?」
隊員Bが呆気に取られた状態から微笑して言う
「…にっひひっ ナッちゃんとヴェイちゃん ノリノリだねー!」
M隊員CがMハイケルへ言う
「負けてられないっすよ?少佐ぁ?」
Mハイケルが言う
「了解 私も… ライブはノリで逝くっ」
ART1マシーナリーたちが転ぶ 隊員Aが苦笑して言う
「い、いえ 出来れば 逝かないで下さい 少佐…」
ART1マシーナリーたちが城門へ向かう ARTゼロマシーナリーたちが続く MイリンゼスがMシェイムの肩に手を置いて言う
「遅れるぞ?後輩?」
Mシェイムがハッとして言う
「は、はいっ 先輩っ!」
シェイムが言う
「エーメレスを 1人で行かせる訳には…っ」
Mシェイムが言う
「ARTゼロ!進行っ!」
Mイリンゼスが走りながら言う
「だったら 早く来いって もう皆行ってるぞー?後輩~?」
Mシェイムが言う
「あぁ 待って下さいっ イリンゼス先輩ーっ!」
【 ART司令塔 】
グレイゼスがヘッドホンをしていて 苦笑して思う
(各部隊無線をヘッドホン出力にしておいて 正解だった… 流石 ナノマシーングレイゼスの直感)
グレイゼスが横目にマリアを見る マリアがモニターを見ながら心配げに言う
「お義父さん… ラミリツさん…っ」
マリアが祈りの手を合わせる グレイゼスがマリアの視線の先を見てから 気を取り直して言う
「ART司令塔各員 ART機動部隊へ ターゲットナビを開始しろ」
オペ子Aが言う
「了解 中佐 …ART2応答を!これより ターゲットナビを開始します」
オペ子Bが言う
「了解 中佐 …ARTゼロへ これより…」
ラキンゼスが言う
「了解 中佐!ART1応答をっ これより ターゲットナビを開始する ばっちり頑張ってくれよっ!?」
マリアがラキンゼスの様子を見る
【 ART1 】
ラキンゼスの声が聞こえる
『前方30度 距離200メートル!RTD210マシーナリー!1ショット!続けて 25度330メートル420!3ショット!』
M隊員Nが叫びながらサブマシンガンを放つ
「ばっちりキメてやるぜぇえー!」
M隊員Vが隣でGT700を放ちながら叫ぶ
「おうよぉおーっ!掛かって来いやぁあー!」
ラキンゼスが言う
『15度400メートル330!2ショット!もう一度30度200に420だ!ナクス隊員!ありったけぶち込めー!』
M隊員Nが手榴弾を手に言う
「出番はハデにキメてやるよー!」
M隊員Nが手榴弾を投げ付けてサブマシンガンを構えると M隊員Fが小銃で撃ち抜き 手榴弾が爆発してM420が倒れる 隊員Fが言う
「”どーだ最高だろー?”…なんてな?」
隊員Fが苦笑する 隊員Nと隊員Vが叫ぶ
「「最高ーっ!」」
隊員Fが軽く笑う
「っはは…」
M隊員NがM隊員Vへ向いて言う
「けど 出番は持ってかれちまったぜー!」
M隊員Nが言う
「なら もう一丁!ハデにキメるぜーっ!」
M隊員Vが言う
「おうよーっ!」
M隊員NとM隊員Vが走って進んで行く M隊員Fが言う
「たはは…っ これは付いて行けないなぁ?」
M隊員Aが言う
「ノリだけで あそこまで突っ込めるなんて 信じられないな?」
M隊員Cが言う
「あぁ 本当に…」
Mハイケルが言う
「唯のノリだけではない ナクス隊員及びヴェイル隊員の命中率及び瞬発力は 普段の彼らの能力から30%近く上昇している 現状は それ故に行えている戦闘だ 普段の彼らでは ここまでの戦闘行為は出来ない」
隊員Aと隊員Fが驚き 隊員Cが表情を顰めて言う
「じゃぁ まさか… この音楽のお陰で?」
皆が第3モニターを見る
【 ART2 】
ラミリツが叫ぶ
「やあぁあーっ!」
Mラミリツがセイバーを前方のマシーナリーに突き刺し そのまま左手の短銃で 別のマシーナリーを射撃 セイバーに刺されたマシーナリーが脱力すると振り払って叫ぶ
「まだまだぁーっ!もらったぁあーっ!」
Mラミリツが次々にマシーナリーを倒して進む Mシュナイゼルが呆気に取られ シュナイゼルが言う
「す、凄い…っ 普段であっても 我々を凌駕する 隊長の剣術が 更に研ぎ澄まされた上に… もう片方の手には短銃を…っ 異なる2つの武器を使いこなしての この戦いっ」
ART2隊員が言う
「まるで… 政府の親兵攻長と 国防軍の攻撃の兵士… の様ですね?副隊長?」
ART2マシーナリーがMシュナイゼルへ向いて言う
「我らART2の隊長は 正しくっ アールスローンの攻長っ!その名に相応しい お方ですっ!シュナイゼル副隊長っ!?」
Mシュナイゼルが言う
「うむっ 正しく その名に相応しい お方であると…っ」
無線が入り ラミリツの声が聞こえる
『ART2!どうしたっ!皆 付いて来いっ!我らの正義の名の下にっ!奴をっ!ネロ・アーク・フォライサーを…っ!』
ART2隊員たちがハッとして表情を強める ラミリツが叫ぶ
「ぶっ飛ばしてやるぜーっ!」
ART2隊員たちが衝撃を受ける Mラミリツが前方のマシーナリーを殴り飛ばす マシーナリーの中央に大穴が開いて倒れる ラミリツが言う
「ART2!進行ーーっ!」
ART2隊員たちの無線が聞こえる
「「りょ、了解!隊長っ!」」
Mラミリツが短銃の弾倉を取替えセイバーを捨て 新しいセイバーを装備して思う
(戦えるっ 怖くない!そうだ まるで あの時みたいにっ …以前の時も 僕は あのライブ会場で 1人で 観客たちを庇う為に 囮になって時間を稼ごうと 大勢のテロリストたちを 相手にした)
Mラミリツが前方を見る 敵マシーナリーたちが起動し始める ラミリツが視線を強めて思う
(1対多数… 僕の一番苦手とする戦況… だけど 僕は 怖くはなかったっ それは…っ)
ラミリツの記憶に以前の記憶が蘇り アニキの姿とギターの音が聞こえる ラミリツが微笑して第3モニターをチラッと見てから苦笑して言う
「出来る事なら今回も …貴方と一緒に戦いたかったですっ」
ラミリツが思う
(でも 不思議だ… もしかしたら僕は 僕の記憶の中にある音を 聞いているのかな?)
ラミリツが言う
「レッテには悪いけど… 今の僕の耳には アニキのギターが聞こえてるっ!…行くよっ!?アニキっ!?やぁああー!」
Mラミリツが敵マシーナリーへ向かって行く ART2マシーナリーたちが戦闘に参加して行く
【 帝国 】
アースがギターを弾きながら 空間モニターのラミリツに苦笑してから言う
「ART司令塔!ART1及びART2のバックアップ体制を強化させろ!先行隊員のサポートを優先に 後衛隊員を使い 弾薬とセイバーのバッテリー供給を行わせろ!」
グレイゼスの声が聞こえる
『了解!司令官!』
アースがエレキギターを響かせて笑む
【 ARTゼロ 】
ARTゼロマシーナリーたちが次々敵マシーナリーを撃破して進んで行く Mシェイムが追う中で シェイムが周囲のモニターを見て言う
「す、凄い… これが 身体補佐能力のマスターたちで構成された ARTゼロの実力っ …流石はナノマシーンを用いて マシーナリーを自在に動かしていると言うだけの事はある そして私は…」
Mシェイムが言う
「私も同じく 身体補佐能力のマスターである 筈なのですが…っ」
ARTゼロマシーナリーたちが周囲で射撃を行う シェイムの脳裏に声が聞こえる
『今の我らに 恐れるものは無い』
シェイムが疑問して顔を上げると 脳裏に声が聞こえる
『マスターの仲間たち 心配は要らない』 『進もう 我らの神と共に』 『神の力と共に』 『我らには 我らの神が共に在る 恐れは不要』
シェイムが言う
「恐れていた?貴方方は 一体何に…?神が共に在ると言う事は…?」
シェイムがハッとして第3モニターを見て言う
「ま、まさか ナノマシーンは こう言った音楽が好みだと?…うぅ 流石は 常に 最下層のマスターたちと 共に在るというだけの事は…」
Mシェイムが停止して脱力する シェイムが衝撃を受けて言う
「えっ!?こ、こんな所でっ!?」
Mシェイムの肩に座っていたラミが言う
「あ~ら?こんな所で?休んでいる暇は無いと思うのだけれど?」
グレーニッヒが言う
「ヒーヒッヒッヒッヒッ!あぁ~ 可笑しいねぇ?彼らは皆 思いは同じ… 本人の深層心理もまた同じだと言うのに… 人は何故 己の想いに素直になられないのか… それは やはり…」
グレーニッヒが杖を変えて言う
「深い深い 闇の魔力が 君の周囲に集まりつつあるみたいだよぉ~?ヒーヒッヒッヒ 怖~い 怖~い… ヒッヒッヒッ!」
Mイリンゼスが戻って来て言う
「おいっ こらっ!シェイム!好い加減 気合を入れ直せよっ!?アールスローンの為に 戦うんだろう!?お前の戦いは まだ終わってないんだぞっ!?」
シェイムが顔を上げて言う
「わ… 私の…?戦い?それは…」
シェイムが過去の戦いを思い出し 表情を強めて言う
「…そうでしたっ 政府が立て直したと言う事で 気が抜けていましたが …しかし 私が行いたかった事は!政府に蔓延っていた 政府重役の改革だけではなくっ」
Mシェイムが起動する Mシェイムがセイバーを手にして言う
「悪を制し正義を貫く!」
シェイムが意を決して言う
「正義は 今 我と共に在るっ!」
Mシェイムが瞬時に突っ切る ラミが振り下ろされて言う
「あんっ」
Mシェイムが前方の敵マシーナリーを倒し突っ切って行く ラミが言う
「あ~ら 急に素敵な騎士様に 変身しちゃったわぁ?」
グレーニッヒが周囲の闇の魔力を吸収しながら言う
「ヒーヒッヒッヒッ!彼の周囲に居た 闇の魔力たちが振り払われちゃったねぇ?嫉妬と言う名の 闇の力が 彼を蝕んでいたのか…?もしくは 彼自身が そちらの魔力を求めていたのか…?人は不思議と 自ら進んで闇に手を染めようとする 生き物だからねぇ?」
ラミが言う
「あたしは~ 闇に染まった 殿方は好みだけど~?」
ラミがグレーニッヒの頬に触れる グレーニッヒが言う
「ヒーヒッヒッヒッ あぁ… 怖い怖い… ヴァンパイアさんは それこそ 闇の神様の子供たちだから… 折角のお誘いだけど 小生はこれ以上 闇に染まるのは ご遠慮させてもらいたいのでねぇ?ヒーヒッヒッヒッ!」
グレーニッヒの体が砂に替わって崩れ落ちる Mイリンゼスが衝撃を受けて言う
「げぇええっ!?す、砂になっちまったぁあ!?」
ラミが言う
「…さっきから 砂だったわよ?」
Mイリンゼスが言う
「え!?」
ラミがMイリンゼスの肩に乗って言う
「それより 大分遅れちゃったわ?さぁ?急いで 前線へ向かって頂戴?アールスローンの騎士様?」
Mイリンゼスが言う
「へいへい 俺はアールスローンの騎士様というより 騎士様の馬ですよ~」
Mイリンゼスが滑走して行く
【 ART司令塔 】
オペ子Aが言う
「ART1マシーナリー前方モニターより ART1前方に不審障害物を確認 情報解析 上空サーモセンサーより反応あり!」
ラキンゼスがオペ子Aを見てから正面へ向いて コンソールを操作しながら言う
「ART1先行隊員 気を付けろっ!前方!何か来るぞっ!」
マリアがハッとしてラキンゼスを見る スピーカーから隊員Bの声が聞こえる
『えー?何かってー?』
ハイケルの声が聞こえる
『回避だっ!ナクス隊員!ヴェイル隊員!』
皆がモニターへ向く
【 ART1 】
M隊員NとM隊員Vが立ち止まり 隊員Nが言う
「あぁ?何だってっ!?最高の俺たちに 怖いものはねぇぜー!」
隊員Vが言う
「おうよー!何でも来やがれぇー!」
通路の先から大量の水が押し寄せる M隊員NとM隊員Vが衝撃を受け 隊員Nが叫ぶ
「水ーっ!?」
隊員Bが叫ぶ
「回避ー!」
隊員Vが叫ぶ
「どうやってーっ!?」
M隊員NとM隊員Vが思わず防御体制を取る シュイがその前に降り立ち 杖を構え大量の水を押さえる ART1マシーナリーたちが追い付くと呆気に取られ ハイケルの意識が驚いて言う
「あの大量の水を…っ 押さえた だとっ!?」
シュイが杖を振るうと炎が水を蒸発させる ART1隊員たちが呆気に取られて 隊員Aが言う
「しかも、その上 …蒸発させた?」
隊員Bが驚いた状態から喜んで言う
「す… す… すっげー!チョーすっげー!」
【 ART司令塔 】
グレイゼスが驚いて言う
「あれが… 魔法…っ!?」
マリアがホッと胸を撫で下ろす ラキンゼスがヘッドホン端子を手に顔を向けると スピーカーから隊員Bの声が聞こえる
『アッちゃん!見た見たー!?今の 魔法だよ!魔法ー!』
隊員Aの声が聞こえる
『あ、ああ… 見てたよ 皆 見てたって… バイちゃん…』
オペ子Aが言う
「ART2への障害も ART1と同じく 援軍のウィザードによる 解消を確認」
マリアがハッとしてモニターを見る
【 ART2 】
Mラミリツが息を切らせつつ言う
「はぁ… はぁ… 助かりました アイザック・シュテーゲル殿」
アイザックが自身の後方に居るMラミリツを見て頷く ラミリツが気を落ち着かせて思う
(ちょっと ノリ過ぎちゃったかな…?…よし それなら 気を取り直して ここからは…)
Mラミリツが短銃を収納して 後方を向いて言う
「ここからは 通常態勢にて向かう!ART2 進行っ!」
Mラミリツがセイバーを振るう ART2隊員たちが言う
「「了解!隊長!」」
シュナイゼルが微笑して頷く
【 ART1 】
MハイケルがART1隊員たちへ向いて言う
「ここからは 通常隊列にて向かう ナクス隊員 ヴェイル隊員 お前たちも 一度隊列へ戻り 体力を回復させろ」
隊員Nと隊員Vが気付き 微笑して言う
「「了解!少佐ぁー!」」
Mハイケルが正面を向いて言う
「ART1 進軍!」
ART1隊員たちが言う
「「了解!少佐ぁー!」」
【 ARTゼロ 】
大量の水が流れ去る 土の壁に守られていたARTゼロマシーナリーたちの最前列 Mシェイムの中 シェイムが呆気に取られている グレーニッヒが笑って言う
「ヒーヒッヒッヒッヒッ!勇敢な騎士様の戦意も あの水と一緒に流れ去ってしまったかなぁ?ヒーヒッヒッヒッ」
Mシェイムが気を取り直して言う
「いえっ!確かに 少々洗い流された分はありますが 我らARTゼロは エーメレスを!…いえっ!ターゲットの居る 最深部を目指して 突き進むのみっ!」
イリンゼスが呆れて言う
「折角のキメ台詞も 弟への本心が漏れて 台無しだぞ?シェイム?」
Mシェイムが衝撃を受けて言う
「そ!?そちらこそっ 先ほどの水に流して下さい 先輩っ!」
グレーニッヒが笑う
「ヒーヒッヒッヒッヒッ!」
ラミが言う
「あら?ブラコン?」
Mシェイムが衝撃を受ける
【 ART司令塔 】
オペ子Bが言う
「ARTゼロも障害クリア!作戦続行!」
グレイゼスが頷いてから言う
「良し センサー類から目を離すな!僅かな異常も 直ちに報告を行え!」
周囲の隊員たちが言う
「「了解!中佐!」」
マリアがハッとしてから 一度気を落ち着かせてから ラキンゼスの席を見て 視線を逸らす
【 ART第二訓練所 】
Mシーナの中 シーナが機動部隊のモニターを見て居て言う
「…あ 戻っちゃった?あ~あ… さっきまで 最高にマシーナリーと銃火器を使いこなしていたのに …ラミリツ隊長も 最高の操舵をしていたのに?」
シーナが息を吐いて言う
「勿体無い… どうして 戦い方 戻しちゃったのかな?もう… ホント」
シーナがコンソールに挟んだチケットを眺めて言う
「勿体無い… 何してるんだろう?私…」
【 ART1 】
Mハイケルが銃撃を終え前方を見ると気付いて言う
「通路が終わる…?ART司令塔!応答を!」
ラキンゼスの声が聞こえる
『こっちでも確認している ハイケル少佐 通路の先は…っ!』
【 ART2 】
Mラミリツが通路を抜けて言う
「ART2通路の先へ到着した!状況報告… …これはっ」
ART1マシーナリーたちと ARTゼロマシーナリーたちが到着する Mハイケルが言う
「通路の先 大量の敵マシーナリーを確認 その数… 算出不能だ 数え切られない」
ラミリツが言う
「例えるなら… 壁に見えるほど大量で その先が把握出来ないよ …映像 見えてる?」
グレイゼスの声が聞こえる
『いや こちらには 現在 ARTマシーナリーからの映像データは届いていない 熱源モニターは感知しているが 出来るだけ 状況を説明してくれ!』
ラミリツが言う
「了解 状況は…」
【 帝国 】
空間モニターにデータが表示される アースが言う
「この空間は 周波数攻撃が停止されているのか?何故だ?」
皇帝がやって来て言う
「そちらを 気に止める 要はあらずして」
アースが慌てて言う
「皇帝っ!今 ここに来ては…っ」
【 ART司令塔 】
グレイゼスが驚く 皇帝の声が聞こえる
『良い… アース 先の攻撃はネロにとっても 不快なるもの 故に 今 その方が仲間の下へは』
周囲の隊員たちが呆気に取られ ラキンゼスが言う
「これが… この声がっ 陛下のお声でしょうか!?マスターグレイゼス中佐!?」
ラキンゼスがグレイゼスへ向く グレイゼスがハッとして言う
「い、今はっ それどころじゃないっ!総員っ!サポート体制を続行っ!」
周囲の隊員たちがハッとして言う
「「りょ、了解 中佐!」」
グレイゼスがモニターへ向き SoundOnlyへ視線を向ける アースの声が聞こえる
『その攻撃が無いという事 つまり この場所に居るという事だな?奴がっ』
グレイゼスが言う
「ART機動部隊っ!聞こえるかっ!その場所には!」
【 ネロの城 】
Mハイケルの足元 リックが言う
「ああ… 居やがるんだろぉ?野郎が… 俺らをぶっコロそうなんざしやがる ふざけた神様がよぉ?」
Mハイケルからアースの声が聞こえる
『エリックアーベスト 聞こえているか?ゲートは?』
リックが言う
「思った通り あの門を抜けてから ゲートへの信号が途絶えちまった …生憎だが ここへは開いてやれねぇよ?ハブロ」
アースの声が聞こえる
『そうか では…』
物音と共にライトが点灯する 皆が反応して顔を上げると ライトの光量が増し リックが気付いて言う
「くっ!?こいつはっ!」
ヴァンパイアたちがARTマシーナリーの影に隠れる ラミリツがヴァンパイアたちの様子に気付き モニターを見て言う
「空間モニター 外部空間データの数値が!…紫外線率上昇!」
リックが言う
「くそっ!おいっ!ヴィンっ!?てめぇの装備は!?」
ヴィンが言う
「生憎 服や薬で防がれる線量を越えている マシーナリーなどの 重厚物で防ぐ程でなければ」
グレーニッヒが帽子のつばで光を遮って言う
「ヒッヒッヒ… 眩しい眩しい… 最も 紫外線に焼かれてしまうヴァンパイアさんほどじゃぁ無いけどねぇ?ヒッヒッヒッ!」
ラミがARTゼロマシーナリーの陰で言う
「なによ~?これじゃ あたしたちの活躍は 無しって事なのかしらぁ?」
リックが言う
「500年前の てめぇがまだ若けぇ頃には 散々活躍しやがっただろ ラミ?そのせいで 今度は先手を打たれちまったんだろうぜ?」
ラミが衝撃を受けて言う
「一言 余計よっ リック!」
アイザックがグレーニッヒへ言う
「叔父上 貴方の 闇の魔法で彼らを守る事は?」
グレーニッヒが言う
「ヒッヒッヒッ… 分からないのかい アイザック?神の目前で我々ウィザードが その神様から頂いた魔法を 放てると思っているのかなぁ?分からないのなら 魔法使いの養成学校からやり直しだよぉ?ヒーヒッヒッヒッヒッ!」
アイザックが表情を顰めて言う
「その神に選ばれたほどの 貴方であるのなら 可能かとも思ったのだが …それでは やはり我々では?」
Mラミリツが言う
「援軍の皆さんは 後方へ避難をっ!ここからは 我々ARTが戦うっ!」
ARTマシーナリーたちが構える MハイケルがMラミリツへ向いて言う
「待て 単純計算でも 我々の残りの弾薬やチャージでは あの大量のマシーナリーは倒しきられない」
ラミリツが言う
「それじゃ アンタはここで 引き返せって言うのっ?」
Mハイケルが言う
「そうは言わないが …グレイゼス 指示をっ」
物音がしてライトが追加される ラミリツが言う
「今度は 何っ!?」
ラミリツがモニターを見ると モニターの表示にジャミングが発生する ラミリツが疑問して言う
「これは…?」
周囲の計器が点滅する グレイゼスの声が聞こえる
『ART全マシーナリー 直ちに ピットロックを解除しろ!閉じ込められるよりは マシだっ!急げっ!』
ラミリツがハッとして言う
「まさかっ 起動状態が解除される!?ART2総員っ」
Mハイケルが言う
「ピットロックを解除しろっ!急げっ!」
ARTマシーナリーが全て停止して脱力する シェイムが前方のコックピットの隙間を見て言う
「…間に合った?」
シェイムがホッと胸を撫で下ろすと マシーナリーの起動音がする シェイムがハッとして顔を上げて言う
「誰かのマシーナリーが 起動した?…え?」
ARTマシーナリーたちの前方で 敵マシーナリーたちが一斉に起動する シェイムが驚いて言う
「…そんなっ 敵のマシーナリーが!?」
ハイケルがEランク設定ユニットを脱いで言う
「最初から これが狙いかっ!?」
ラミリツが一瞬呆気に取られた後 プラズマセイバーを握り 視線を強めて言う
「…やるしかないっ!」
ラミリツが立ち上がる
【 帝国 】
アースが言う
「皇帝 貴方の力を使い 奴の力を相殺する事は?」
皇帝が言う
「我に残されし力は ネロには及ばず」
アースが言う
「分かった では彼らが時間を稼いでいる その間に」
皇帝が言う
「されど アース」
アースが皇帝を向く 皇帝が言う
「その方は 方々へと別れし 我らの力を集めしとある」
アースが言う
「しかし 現状は ヴァンパイアもウィザードも その力を使う事が出来ない そして 私の …我々ARTの仲間となった マシーナリーたちも 奴の力に止められてしまったっ そうとなれば その他の力を使う他に無い 直接 奴を倒す事には繋がらなくとも その衝撃で ともすれば 現状の彼らを助ける事も…っ」
皇帝が言う
「力は 集まれば強き 散れば弱きに在りて 必要とされる力もまた 集約されねば 放たれぬ」
アースが言う
「必要とされる力は十分に集めたっ しかし 現状は それが使えないのだろうっ!従って この状態を打破する方法が必要なんだ!」
空間モニターにART機動隊員たちが 生身でマシーナリーと戦っている様子が映っている アースがそれを横目に見てから言う
「…彼らを守る為にっ」
皇帝がアースを見て言う
「…そうよな なれば アース?その方は今 何と在るべきか?」
アースが言う
「私が …何と?」
皇帝が言う
「我は その方へ伝えたし 我が力 与えてはおらぬと なれば その方の持つ力は 何と共に在るのか?」
アースが言う
「私の力…?それは このアールスローンを守る シールドを展開させる力と… …っ!」
アースが気付く 皇帝が微笑する
【 ART司令塔 】
周囲の隊員たちが慌しく操作をしていて オペ男Aが言う
「熱源モニター正常っ しかし 上空からの映像では 現状 マシーナリーを降りたものと推測される ART隊員らの様子は把握し切れませんっ」
オペ男Bが言う
「ARTマシーナリーは全機 機動回路への信号が届きませんっ 直前のデータより 強力な電波障害に晒されているものと推測 解除方法及び対処法を検証中 研究部マスターたちからの返答… 思わしくありませんっ」
オペ子Aが言う
「ART2生命感知データ正常!データ届いていますっ!」
オペ子Bが言う
「ARTゼロも同じくっ しかし 隊員各員のナノマシーンの補助信号は感知出来ませんっ!」
ラキンゼスが言う
「ART1同じく 悪魔の兵士 ハイケル少佐のデータには 異常ありません …しかし このままではっ 彼らの持つ武器弾薬だけでは とても倒し切れないっ 中佐 撤退指示をっ!今なら ギリギリ間に合うかもしれませんっ!中佐っ!」
皆がグレイゼスを見る グレイゼスが熱源モニターの映像を見ながら言う
「…いや 数の問題じゃない 人の足では 撤退は間に合わない」
グレイゼスが思う
(…それなら?第二第三作戦を決行させるかっ?国防軍からのミサイル攻撃?政府警空部隊による 上空からの襲撃?…いや 駄目だっ それを行うには 現状は既に隊員たちが散り過ぎている 彼らの回避が間に合わないと言う可能性が…っ とは言え やらなければ このままでは現地の者が ――全滅するっ!)
マリアがグレイゼスを見てから レイへ向いて言う
「ウィザードさまっ」
レイが気付いて言う
「ん?ああ、大丈夫だぞ マリア?この国のアークが 行くって言うんだからさ?」
マリアが言う
「え?この国のアークって…?」
グレイゼスがマリアとレイを見る スピーカーからアースの声が聞こえる
『ART司令塔 応答を』
グレイゼスがハッとして言う
「ハブロス司令官っ!」
【 ART第二訓練所 】
第3モニターが消えている シーナが熱源モニターの状態を見ながら言う
「マシーナリーが使えない状態で 使えたとしても この数が相手では…っ」
シーナが思う
(時間の問題…っ もう 勝てないっ!)
シーナが表情を悲しめて言う
「皆…っ 壊されちゃう…っ」
通信ブザーが鳴り グレイゼスの声が聞こえる
『シーナ隊員!聞こえるか!?』
シーナがハッとして言う
「マスターグレイゼス中佐っ!?はいっ 聞こえていますっ!」
グレイゼスが言う
『ART司令官より 君への特別指令だっ』
シーナが言う
「ハ、ハブロス司令官から… 私への?…っ!?」
Mシーナの前に レイとマリアが現れる グレイゼスが言う
『良いか シーナ隊員?』
シーナがハッとして言う
「は、はい 指令ですね!?そちらは?」
グレイゼスが言う
『これより君をマシーナリーと共に 現在戦闘中のネロ・アーク・フォライサーの居城前へと送らせる』
シーナが驚いてから言う
「わ、私を…!?しかし…っ 現状では マシーナリーは使えないのではっ!?」
グレイゼスが言う
『マシーナリーの信号を遮る そちらの電波障害は 現行ART機動隊員らが居る その空間のみだ 通路にまでは達していない 従って シーナ隊員 君は…』
レイの声が聞こえる
「よーし それじゃ ピンク色の鉄の巨人!聞こえてるかー?」
シーナがハッとして外部モニターを見る 第二訓練所のゲートが開く レイが周囲に風の力を集めていて言う
「お前を 俺のデカイ魔法の一発で アウターまでぶっ飛ばしてやるからなー!?」
シーナが衝撃を受けて言う
「えっ!?えっと…っ!?」
マリアが言う
「シーナさん!頑張って下さい!私っ 応援していますから!」
シーナがハッとして言う
「マリアさん…っ」
マリアがレイへ向いて言う
「それと ウィザードさまっ?ぶっ飛ばすのは良いですが 危なくない様に ちゃんと 着地をさせてあげて下さいね?乗っているのは 今度は 女性ですからね?」
シーナが呆気に取られる レイが言う
「ん?そうなのか?良く分かんないけど マリアが言うなら そうしてやるよ?マリア!」
マリアが微笑してからMシーナへ向く シーナが呆気に取られた状態から苦笑して言う
「お心遣いを 有難う御座います マリア・シュテーゲル様」
マリアが微笑する レイがアークの姿になって言う
「お前たちの神様の所へ 到着しろー!」
レイが杖を振るうと Mシーナのボディが風に包まれる シーナが呆気に取られて言う
「え?私たちの… 神様?」
Mシーナが風に消える マリアがゲートの外へ向き祈りの手を合わせる レイがウィザードの姿に戻って言う
「ふぅ… やっぱ デカイ魔法の一発を 2回もやるのは疲れたよ マリア そろそろ時間だし 帰ってお茶でも飲まないか?」
マリアが衝撃を受けて言う
「お、お茶でもって…っ!?世界を救う戦いの時に 何を言ってるんですかっ!?ヴィザ-ドさまっ!?」
【 アウター 】
Mシーナが飛んで来て シーナがハッとして言う
「急降下 緊急着地っ!」
シーナが操縦桿を引くとMシーナの背から一瞬急ターボ排気がなされて衝撃を緩和させて着地する シーナが着地の衝撃に表情を顰めて言う
「うぅっ…!」
Mシーナが着地して屈めていた上体を上げる シーナがモニターを見ながら言う
「マシーナリー状態確認!各機関及び間接 接合異常なし マシーナリー状態Sランク オールグリーン!」
アースの声が聞こえる
「よし では早速 任務開始だ シーナ隊員」
シーナがハッとして言う
「え?…しゅ、周囲モニター起動!」
Mシーナが振り向いた先に RDD001マシーナリーが居る シーナがハッとして言う
「ART最新マシーナリー 防衛特化RDD001マシーナリー!?」
シーナがモニターを見て言う
「操縦者はっ!?」
モニターに検索中表示がされる 周囲無線からアースの声が聞こえる
「操縦者は私だ 時間が無い 急ぐぞっ!」
シーナが驚いて言う
「ハ、ハブロス司令官がっ!?それでは 一体っ!?」
Mアースが言う
「任務内容を聞かずに来たのか?では 直接伝える ART1シーナ隊員」
シーナがハッとして言う
「はいっ!ハブロス司令官!」
アースが言う
「私を ネロ・アーク・フォライサーの下へ 連れて行け 命令だっ」
シーナが驚いて言う
「ハブロス司令官をっ!?そんな…っ どうしてっ!?」
Mアースが言う
「ART司令官命令だ ARTの隊員であるのなら 直ちに従え」
シーナが呆気に取られた後 意を決して言う
「りょ、了解っ 司令官!」
アースが軽く笑って言う
「フッ… わざわざ 温存して置いたのだからな?期待しているぞ?」
シーナが呆気に取られてから 喜んで言う
「温存して?…りょ、了解っ!ご期待に沿いますっ!司令官!」
アースが微笑する
【 ネロの城 】
ART1隊員たちが銃撃を行って居る ハイケルが言う
「ART1は210及び330マシーナリーを優先しろ!ART2 ラミリツ隊長!」
ラミリツがM420を倒して言う
「了解!ART2は420マシーナリーを優先っ!プラズマセイバーなら 一撃で倒せるっ!」
ART2隊員たちが言う
「「了解!隊長!」」
ART1隊員たちが言う
「「了解!少佐ぁー!」」
ハイケルが周囲を見て言う
「しかし このままでは…っ」
ハイケルがイヤホンを押さえて言う
「グレイゼス!?作戦はっ!?」
イヤホンからグレイゼスの声が聞こえる
『現状維持だ 何とか そのまま時間を稼いでくれっ』
ハイケルが言う
「時間を?では 何か策が?」
グレイゼスが言う
『今そちらへ…』
ラミリツが叫びながらM420へセイバーを突き刺す
「やぁああーっ!」
【 通路 】
Mシーナが次々に銃撃を行い通路を滑走する 少し遅れて Mアースが続く シーナのマシーナリー内にオペ子Aの声が聞こえる
『15度210メートル330!2ショット!30度220メートル210!1ショット!25度223メートル420!3ショット!…起動回路の位置も伝えたほうが良い?シーナっ?』
シーナが言う
「大丈夫!起動回路の位置は 熱源と識別信号からのダブルセッティングが生かされてるし 私自身でもチェック入れてるから!現状のままで お願い!」
オペ子Aが言う
『了解!直進200メートル敵影なし』
グレイゼスが言う
『シーナ隊員 聞こえるか?』
シーナが言う
「はいっ!中佐!」
グレイゼスが言う
『よし では よく聞いてくれ シーナ隊員 今 君が護衛しているのは 我々ARTの司令官と 言うだけではないんだ』
シーナが一瞬呆気に取られて言う
「え…?あの… えっと…?」
シーナが後方モニターでMアースを見る グレイゼスが言う
『詳しい事は言えないが 何にしても ハブロス司令官を失えば 我々アールスローンに生きる者に… いや、この世界に生きる者に 未来は無い!』
シーナが驚いて言う
「え…っ!?あ、あのっ?中佐?」
グレイゼスが言う
『従って 何としてでも 今 君の後ろに居る ハブロス司令官を 守るんだ 良いな?シーナ隊員?』
シーナがハッとして言う
「は、はいっ 了解っ!」
グレイゼスが言う
『本当に分かったか?機動隊員の心得は 任務達成への忠義だ …その意味を 思い出すんだぞ?ART第一機動部隊隊員 シーナ隊員』
シーナが言う
「機動隊員の心得…」
オペ子Aの声が聞こえる
『角度30度220メートル210!1ショット!』
シーナがハッとして気を引き締める
Mアースの中 周囲のシステムは起動していない アースが腕を組んだ状態で 正面に見える透明シールドの先へ視線を向けていて言う
「マスターグレイゼス中佐 シーナ隊員へ何か言ったな?」
イヤホンにグレイゼスの声が聞こえる
『はい?何かとは?』
アースが言う
「とぼけるなよ?シーナ隊員の動きが変わった 任務中に余計な事を吹き込んだのだろう?」
グレイゼスが言う
『あー… そうでしたかね?すみません 彼女の元上官として 機動隊員として 頑張れと 伝えたのですが…?何か まずかったでしょうか?』
アースが言う
「機動隊員として…?そうか そちらであるなら 特に 問題は無いと思うが…」
アースが考えながら思う
(それにしては 動きが堅くなったように見えるのだが…?)
Mシーナの中 オペ子Aの声が聞こえる
『25度220メートル420!3ショット!35度225メートル420!3ショット!…大丈夫?シーナ?反応に遅れが出てきてる』
シーナが ハッとして焦りを押さえて言う
「大丈夫っ!続けて!」
シーナが表情を強張らせて思う
(…駄目っ 今は考えないで …戦えば良いっ 戦って勝てば良い!倒してしまえば…っ …やられる前にっ!)
シーナが第3モニターを見て言う
「第3モニター起動っ!」
第3モニターが起動して ナックキラーライブの映像が映る シーナが正面モニターを見て思う
(さっきの皆みたいに 私も これで…っ!)
第3モニターでナルが言う
『続けてキメるのは メステゲレンダーだ!最後はハデに決めてやるよ どーだ最高だろうっ!?』
第3モニターから観客の声が聞こえる
『最高ー!』 『レッテー!』 『レッテ!最高ー!』
シーナがモニターをチラッと見て言う
「レッテ…っ お願いっ 私に 力を貸して!」
シーナが正面を向いて気を引き締める 第3モニターでレッテが観客の声援に応えている
【 ART司令塔 】
ベイゼスがグレイゼスへ向いて言う
「マスターグレイゼス中佐 シーナ隊員が第3モニターを起動させて ナックキラーのライブ中継を聴いてる 演奏曲は丁度メステゲレンダーだ あれなら既存の物があるから 差し替えようか?…と言っても 差し替えはギターだけとは行かないから 丸々変えれば もしかしたら バレるかも知れないけど」
グレイゼスが言う
「いや 現状維持で大丈夫だ シーナ隊員の周囲のデータに異常は無い 恐らく… ハブロス司令官が近くに居る事で その力が防がれているのだろう」
ベイゼスが言う
「あ、いや… そうじゃなくて?俺が言ってるのは 彼女の発言から シーナ隊員は自身の戦意を上げる為に モニターを付けたんだから その為にも アニキの音が入っていた方が 良いんじゃないかって…?」
グレイゼスが一度ベイゼスを見てから言う
「それは… …俺には分からないけど 同じ曲でも ライブ音源とは違うって事が気付かれると 返って混乱させるだろ?防衛手段の作戦としての それは今 必要ないんだから 余計な操作はしない方が良い」
ベイゼスが言う
「そぉ… ッスか?まぁ マスターグレイゼスが… そう言うのなら?」
ベイゼスが首を傾げて言う
「ナックキラーファンとしては… 良い案だと思ったんだけどなぁ…?」
ランコックがやって来て言う
「おうおう?どうなってる?映像は見られて… あーっ なんだぁ… もう 熱源センサー映像かぁ 折角 最新マシーナリーRDD001の 初披露目だったてぇのに…」
ベイゼスがランコックへ向いて言う
「あ、俺はちょっと見たけど?」
ランコックが反応して嬉しそうに言う
「おうっ!それなら どうだった!?良いだろうっ!?良い感じだったろぉっ!?」
ベイゼスが呆気に取られて言う
「え?そうかなぁ…?」
ランコックが衝撃を受けて言う
「はぁっ!?この野郎っ やっぱり 分かってねぇなっ!?おめぇさんも マスターの端っこなら 良い感想が聞けると思ったのによ?」
ベイゼスが言う
「端っこじゃねぇからっ!?俺は 一見はこう 軽く見られてもさ?それなりのマスターだよ?…強いて言うなら 真ん中の端っこ位だってのっ」
ランコックが言う
「やっぱ 端っこじゃねぇかっ?そんなんじゃ 知らねぇんだろ?あのRDD001のモチーフの”そのもの”だってよ?」
ベイゼスが言う
「実物 知る訳がないだろっ!?それでも いくらなんでも ペジテ王の鎧が 黒って事は無いと思うぜ?大体 ペジテ王の姿は現代だって 色々と…」
ランコックが言う
「あん?なんたって 今ここで ペジテ王が出て来るんだぁ?」
ベイゼスが衝撃を受けて言う
「はぁっ!?何でって…」
ランコックが言う
「俺が聞きたいのは あのRDD001のカラーリングの感想だぁ… お前さん ちょっと見た って言っただろぉ?」
ベイゼスが言う
「ああ、見たよ?だから 言ってるんだよ ペジテ王をモチーフにしたんなら せめて 銀と金の2色にするべきじゃねぇか?って?」
ランコックが言う
「だーかーらー!何でそこで ペジテ王が出て来るんだっ!?大体 お前さんは あの時言われた ARTゼロのモチーフしか聞いてねぇだろ?」
ベイゼスが言う
「ああ、そりゃそうだけど その時の会話で分かるって?ARTゼロをアールスローンの騎士 …ナノマシーンを仲間にした 親兵攻長に見立てた上で あっちはもう一人の方 ハブロス司令官が使う 裏方にするって言ってたんだから やっぱり… うん?裏方?もう一人のって …あら?」
ランコックがニヤリと笑う ベイゼスが悩みながら言う
「俺は ハブロス司令官が使う って聴いた瞬間から… てっきり そうと思っちまってたんだが …よくよく考えれば?」
ランコックが言う
「おうっ 端っこマスター 流石に分かったか?」
ベイゼスが言う
「その端っこマスターって やめてくれよっ!?…それじゃ あれは ペジテ王じゃなくて …親兵攻長と もう一人 …ひょっとして 親兵防長か?」
ランコックがベイゼスの頭を撫でながら言う
「おうおう!そうだそうだっ 良く分かったなー マスター端っこ!」
ベイゼスが頬を染めつつ嫌がりながら言う
「ベイゼスだっ マスターベイゼスっ!」
オペ子Aが言う
「そのまま直進300メートル 起動マシーナリー無し!…けど おかしい 熱源センサーには反応があるのに そのマシーナリーたちが起動しないなんて」
グレイゼスとベイゼスが顔を向ける オペ子Aが言う
「何かあるかもしれないっ シーナ!気を付けてっ!」
ランコックが周囲を眺めて疑問する
【 ネロの城 】
ラミリツがセイバーを引き抜くとイヤホンを押さえて言う
「こちらART2!チャージ残量半分を切ったっ 補給や援軍の手配はどうなってるのっ!?」
イヤホンにグレイゼスの声が聞こえる
『補給や援軍と言う訳ではないが 今そちらへ…』
通信にノイズが入る ラミリツが反応すると同時に後方で物音がする ラミリツが振り返ると驚いて言う
「通路が塞がれるっ!」
グレイゼスが言う
『通路が…っ!?ラミリツ隊…』
通信が切れる ラミリツがハッとして言う
「ART司令塔っ!応答をっ!マスターグレイゼス中佐っ!?」
ハイケルがイヤホンを押さえて言う
「通信が途絶えた そして… 我々の退路も同じく」
ハイケルの視線の先3通路の出入り口が完全に閉じる
【 通路 】
Mシーナの後ろMアースの中 アースのイヤホンにグレイゼスの声が聞こえる
『ハブロス司令官っ こちらART司令塔 ART機動部隊との通信が 途絶えましたっ!それから 最後の通信にて 通路が塞がれたともっ!』
アースが言う
「聞こえている それより こちらの通路の先はどうなっている?側面の壁にはマシーナリーの光が見えるが 彼らは出動させられる気配がない この先の熱源反応は?」
グレイゼスが言う
『この先の熱源反応は そちらの通路を切り抜けたART1の時の状況と 誤差はありません』
アースが言う
「彼らが遭遇したトラップは 今度は発動はしなかったが… 他の変化は?」
グレイゼスが言う
『他の変化は何も… 通路の出入り口が 閉じられたと言う事以外に 変化はありません!』
アースが言う
「通路を閉じた… それで 閉じ込めたとでも?我々を?彼らを?他に考えられる事は?」
グレイゼスが言う
『サーモセンサーの計測から マシーナリーを使った攻撃であれば 壁の破壊は可能であると思われます そちらの事から…』
アースが言う
「彼らの退路を?しかし 現状我々が向かっていると言う事は 既に知られている筈 そうとなれば…?」
【 ART司令塔 】
グレイゼスが考えて言う
「現状でも通路の側からであれば マシーナリーによる攻撃は出来る そうとなれば 通路の先に居る マシーナリーを使えない彼らの 退路を絶ったとは言い切れられない… ハブロス司令官とシーナ隊員の行く手を遮る事も出来ないとなれば それは…?」
オペ子Aが言う
「サーモセンサーの反応に変化あり!敵マシーナリーの出動を確認!シーナとハブロス司令官の前方 300メートル!サーモ反応値より 起動マシーナリーの型式が… …こ、これってっ!?」
グレイゼスが言う
「どうしたっ!?相手は何だっ!?」
【 通路 】
Mシーナが急停止して見上げて言う
「このマシーナリーはっ!」
Mアースが止まると言う
「なるほど 奴の意図が読めた」
シーナがモニターを見て言う
「RTD560マシーナリー改 プラズマレーザー搭載機を 確認っ!」
オペ子Aの声が聞こえる
『敵マシーナリーに高エネルギー反応っ!』
グレイゼスの声が聞こえる
『予想高度60!伏せろっ!』
MシーナとMアースがレーザー光線を回避する シーナが言う
「ハブロス司令官っ!下がって下さいっ!私が…っ!」
MシーナがPM700を装備して言う
「奴を倒しますっ!」
アースが顔を向ける アースのイヤホンに オペ子Aの声が聞こえる
『起動回路 3箇所の熱源を確認っ …シーナ!どうするのっ!?』
シーナが操縦桿を操作して言う
「もちろんっ!報告書の通りっ 中央を!」
MシーナがPM700を構える オペ子Aが言う
『敵マシーナリーに 再び 高エネルギー反応っ!』
シーナが言う
「やられる前に 撃つっ!」
PM700が稼動する ラキンゼスの声が聞こえる
『ART1 PM700 出力上昇 超高温プラズマ圧縮装置 異常なし』
オペ子Aが言う
『敵マシーナリーの 高エネルギー反応 上昇中 予想射撃タイミングまで 残り …15秒っ!14、13、12…っ!』
ラキンゼスが言う
『PM700 プラズマ出力最大まで 残り15秒っ!14、13、12…っ!』
オペ子Aが言う
『10、9…っ!』
ラキンゼスが言う
『13、12…っ!』
グレイゼスの声が聞こえる
『必要射撃回数は2回だ!最大まで上げなくて良い!カウント5にて 先行射撃だ!シーナ隊員っ!』
シーナが言う
「了解っ!中佐っ!カウント5にて 先行射撃!ターゲット!起動回路 中央へセットッ!」
アースが正面を見て言う
「中央… …いや、違うっ」
Mアースが言う
「違うっ!中央ではないっ!左だ!」
シーナがハッとして言う
「ひ、左…っ!?」
アースが正面を見て言う
「マスターグレイゼス!光を見ろっ!以前と同じだ 正解の起動回路は 完全な黒では無いっ!」
【 ART司令塔 】
グレイゼスがモニターに詰め寄って見詰める グレイゼスの目に モニターの中でM565の3つの起動回路が黒い光を放っているが 左の一つにオレンジの光が僅かに見える グレイゼスが言う
「見えたっ!シーナ隊員っ!」
【 通路 】
シーナが表情を強張らせて言う
「…え?」
グレイゼスの声が聞こえる
『左だっ!正解の起動回路は左だっ!ターゲット 起動回路は 左へセットっ!』
シーナが言う
「そ、そんな…っ」
ラキンゼスが言う
『8、7…っ!』
シーナが思う
(今から ターゲットの変更なんて…っ!)
ラキンゼスが言う
『6、5っ!』
オペ子Aが言う
『2、1っ!…撃って!シーナ!間に合わないっ!』
シーナがハッとしてトリガーを引く PM700が2連射で放たれ 3射撃目が不発に消沈する M565が一瞬止まった後脱力する M565の中央にプラズマ痕がある シーナが呆気に取られて言う
「た… 倒した?」
シーナがハッとする M565の中央に白い光が集中する シーナが目を見開く
【 ART司令塔 】
オペ子Aが言う
「敵マシーナリーにエネルギー反応っ!敵マシーナリー 自爆しますっ!」
グレイゼスが驚いた後 意を決して叫ぶ
「シーナ隊員っ!最終指令だっ!」
ラキンゼスが驚き グレイゼスへ向く
【 通路 】
シーナが目を見開いて言う
「最終… 指令…っ」
シーナの脳裏に記憶が蘇る
回想
シーナがART1隊員用のキーネックレスを持って来て言う
『マスターグレイゼス中佐 明日から我々ARTの仲間になると言う 国防軍レギスト機動部隊の隊員たちへ渡す キーネックレスの確認 全て終わりました!』
グレイゼスが言う
『ああ、有難う シーナ君 それだけ沢山あると 流石に大変だっただろう?ご苦労様』
シーナが苦笑して言う
『いえ 大丈夫です マシーナリーの調整はもちろん そのマシーナリーと意思を通わせる このキーネックレスの調整をする事も どちらも好きな事なので』
グレイゼスが苦笑して言う
『本当に マシーナリーが好きなんだな?シーナ君は?』
シーナが言う
『はい …出来る事なら マシーナリーを使う 機動隊員になりたかった程ですから』
グレイゼスが言う
『機動隊員に?うん… 気持ちは分からなくもないけど …でも やっぱり シーナ君が機動隊員じゃなくて良かったよ いくら 機動隊員だけが可能な使命とは言え 俺はシーナ君に 最終指令を言い渡す事なんて やっぱり 出来ないと思うからさ?』
シーナが言う
『最終指令?えっと… それは?』
グレイゼスが書類を見せて言う
『知らないだろう?けど機動隊員になる場合は 必ず書かされる書類だ 国防軍でも政府警察の機動部隊でも これは その機動部隊の隊長が 隊員たちへ与える最初の命令にして 必要とされれば 最後の命令ともなるものだ』
シーナが書類を見て驚いて言う
『最終指令への受諾… ”当機動部隊に所属する機動隊員は 任務の遂行に死力を尽くすべし 共に 任務成功の為には 己の命をも持さない事”…っ!?』
シーナがグレイゼスを見て言う
『これってっ つまりっ!?』
グレイゼスが言う
『その最終指令を受けた機動隊員は 命に代えても 任務を遂行しなければならない …それが 機動隊員の心得なんだよ シーナ君』
回想終了
シーナが言葉を失う グレイゼスの声が聞こえる
『その場所にて 防御体制を取れっ!シーナ隊員っ!最終指令だっ!君のマシーナリーを盾に使えばっ ハブロス司令官は 助かるっ!』
シーナの手が震える グレイゼスが叫ぶ
『シーナ隊員っ!君は!ART第一機動部隊隊員 シーナ・ヘレンだ!その君にしか出来ない任務を 遂行しろっ!』
シーナが震えながら言う
「りょ…っ 了解…っ」
シーナが涙を流して正面を見る M565が強い白い光に包まれる オペ子Aの声が聞こえる
『いやぁああ!逃げてぇえ!シーナぁあー!』
シーナが涙を流しながら言う
「さようなら… 皆… 私… 私は…っ」
シーナが思う
(ART初の 女性機動隊員としてっ ここで…っ 任務を… 最終指令を 遂行しないとっ!)
シーナが意を決して正面を見る アースの声が聞こえる
「下がれっ!シーナ隊員っ!」
シーナがハッとして言う
「ハブロス… 司令官…っ」
シーナが思う
(貴方を守らないとっ!)
シーナの脳裏にグレイゼスの言葉が蘇る
『よく聞いてくれ シーナ隊員 今 君が護衛しているのは 我々ARTの司令官と 言うだけではないんだ』
『ハブロス司令官を失えば 我々アールスローンに生きる者に… いや、この世界に生きる者に 未来は無い!』
シーナが言う
「中佐が… そう 言うのだから…っ」
アースの声が聞こえる
「下がれ シーナ隊員っ!命令だっ!――私の命に従えっ!」
シーナがハッとすると キーネックレスが光り Mシーナが勝手に下がる シーナが驚いて言う
「嘘っ!?マシーナリーが 勝手にっ!?」
Mシーナの前にMアースが立ち塞がる シーナが驚いて言う
「ハブロス司令官っ!?」
【 ART司令塔 】
オペ男Aが言う
「RDD001 出力最大 防衛システム起動っ!」
グレイゼスが慌てて言う
「無理だっ!プラズマエネルギーの爆撃には耐え切れないっ!ハブロス司令官っ!下がって下さいっ!」
オペ子Bが言う
「敵マシーナリー出力 臨界突破!爆撃 来ますっ!」
オペ子Aが叫ぶ
「シーナっ!」
グレイゼスが叫ぶ
「ハブロス司令官っ!!」
【 通路 】
シーナが目を見開き息を飲む 一瞬の後 視界が真っ白になって爆音が轟く
【 ART司令塔 】
グレイゼスが目を見開く モニターの数値とデータがジャミングしてから すべてのデータが再計測状態になる グレイゼスが言葉を失う 自身の震える手に気付いてからハッとして言う
「デ、データ類 再収集を…っ い、急げっ!」
周囲の隊員たちがハッとして言う
「りょ、了解!」 「データ類再収集っ!」
オペ子Aがハッとして表情を明るめて言う
「ART1!31号機の信号を確認っ!シーナの…っ!シーナのキーネックレスからの 生命維持信号届いています!」
グレイゼスが驚いて言う
「…ではっ まさか…!?」
オペ男Aが言う
「RDD001 01号機の信号… 確認出来ません サーモセンサーからも最終 熱源位置に… マシーナリー熱源 なし… 現場から シーナ隊員以外の 生命維持信号… 信号… ありませんっ」
グレイゼスと周囲の隊員たちが言葉を失う
【 通路 】
シーナが言葉を失っている オペ男Aの声が聞こえる
『キーネックレスからの信号も 神経接合ユニットからの信号も 共に無し ハブロス司令官の生存… 確認 出来ません…』
シーナが呆気に取られて言う
「確認… 出来る筈… 無い…」
シーナの視線の先 モニターに大破したMアースが映っている シーナが涙を流しながら言う
「そんな…っ どうして…?どうして 私を…っ?」
シーナの涙が膝に落ちる シーナが両手で顔を覆って言う
「私が助かったってっ 何の意味も無いのにっ それなのにどうして!?ハブロス司令官が… いくら私が女性だからって ハブロス司令官の命を使ってまで 助けたりなんかしたって…っ!?そんなのっ!そんな司令官なんてっ!」
【 ART司令塔 】
スピーカーにアースの声が聞こえる
『最低とは 言ってくれるなよ?シーナ隊員』
皆がハッとする ベイゼスが言う
「ハブロス司令官の声がっ!?」
グレイゼスが言う
「ど、どう言う事だっ!?データ類 再チェックっ!生命維持信号及び…」
周囲の隊員たちが言う
「「了解!直ちに!」」
【 通路 】
墨化したMアースの中央部分が蹴り破られる シーナがハッと顔を上げて言う
「…えっ?」
シーナがモニターへ顔を向けると モニターの先Mアースの中から アースが這い出してきて言う
「シートベルトは装着して置くべきだったな… 折角 こいつが守ってくれたと言うのに」
アースが額から流れる血を拭う シーナが叫ぶ
「ハブロス司令官っ!?」
グレイゼスの声が聞こえる
『い、生きてた… のか…?何でっ!?だって データ上ではっ!?』
アースの下へMシーナが走って来て言う
「ハブロス司令官っ!?」
アースがMシーナを見上げる Mシーナが言う
「何で生きているんですかっ!?ハブロス司令官は どのデータでも 死んでしまったってっ!?」
アースが衝撃を受けて言う
「おい 勝手に殺すな…っ」
シーナが慌てて言う
「ああっ!いえっ!そうじゃなくてっ!?」
アースが言う
「それより 先を急ぐぞ 私の守らなければならない仲間は お前だけではない」
シーナが呆気に取られ 墨化したMアースを見てから言う
「守る…?親兵防長…?」
【 ART司令塔 】
オペ子Bが言う
「サーモセンサーに 人物の追加を感知っ!」
オペ子Aが言う
「ART1 31号機へ搭乗者の追加を感知っ 映像確認により… ハ、ハブロス司令官 ご無事… です?」
ベイゼスが言う
「遅いって~ もう声で分かってたジャン?」
モニターにアースの姿が映る グレイゼスが言う
「ハブロス司令官っ!?何故!?どうやって…!?そもそも データ上では… 今も 生存反応が…っ 有りませんが…?」
モニターの中のシーナが衝撃を受けて言う
『えっ!?』
シーナが慌てて自分の隣に居るアースを見る アースが言う
『有る筈が無いだろう?そもそも 私は キーネックレスも神経接合ユニットも使用してはいない もちろん マスターたちの99%のナノマシーンも持ち合わせては居ない そうとなれば 生存反応などは 最初から感知されてはいないのだろう?』
グレイゼスが呆気に取られて言う
「あ… あぁ… そう言えば…?」
グレイゼスが思う
(…いや むしろ俺としては その状態でどうやって マシーナリーを動かしているのかが いつも気になる所なんだが…)
ラキンゼスが言う
「けど まさか 無傷で ご生還とは さっすが!」
ランコックが喜んで言う
「あっはっはっはっ!流石はハブロス家の大旦那様 親兵防長の名は 伊達じゃぁ無いなぁ!?」
アースが言う
『それより 指示が止まっているぞ?ART司令塔 ナビはどうしたっ?』
オペ子Aがハッとして言う
「は、はいっ 了解!司令官!前方200メートル…」
ベイゼスが言う
「それはそうと ランコック整備長?ハブロス家の大旦那様は国防軍長なんだから アールスローン信書の親兵防長じゃなくて アールスローン戦記の守りの兵士だろう?」
ランコックが言う
「あぁ!?やっぱり マスターの端っこは分かってねぇなぁ!?アールスローン戦記の守りの兵士は ヴォール・アーヴァイン・防長閣下だろうっ!?」
ベイゼスが言う
「だ、だからっ 防長閣下は ヴォール・アーヴァイン・防長閣下で ハブロス司令官じゃないってぇのっ!」
ランコックが言う
「だーかーらーっ こっちだって言ってるっ!ハブロス司令官は ”親兵防長”だって!アールスローン戦記の守りの兵士がヴォール・アーヴァイン・防長閣下なら 我らがARTの司令官様は アールスローン信書の親兵防長 アース・メイヴン・ハブロス様なんだよっ!」
ベイゼスが言う
「んな 馬鹿なぁっ!?だって ハブロス司令官はっ!」
ベイゼスが慌てて口を塞ぐ ランコックが言う
「ハブロス司令官は ハブロスなんだから ペジテ王ハブロの子孫だろう!?って事は やっぱり 後のアールスローン王国の親兵防長 ハブロ様なんだよっ!分かったかっ!若造がっ!」
ベイゼスが衝撃を受けて言う
「えぇえっ!?そ、そうだったのっ!?ペジテ王ハブロが 後の親兵防長っ!?」
ベイゼスが通信機に触れて言う
「も、もしもしっ!?マスターの皆さんっ!?ナノマシーンにて応答をっ!?」
グレイゼスが呆気に取られて言う
「そ… そうだったの…?」
ランコックが言う
「まったくっ これだから 近頃の若ぇもんはっ!自分たちの国の歴史ぐれぇっ アールスローン信書がいくら改正されようが しっかり覚えて居やがれぇっ!」
【 ネロの城 】
ハイケルが振り向き一箇所壊れている通路の出入り口を見て イヤホンを押さえて言う
「ART司令塔っ!聞こえるかっ!?グレイゼスっ!」
イヤホンに雑音が入ってからグレイゼスの声が聞こえる
『こちらART司令塔っ!無線電波を再受信した!大丈夫だっ!聞こえているぞっ!ハイケル!』
ハイケルが言う
「そうか しかし こちらからは悪い情報だ 弾薬やチャージ量は限界 これ以上は防ぎ切れない 退路が開かれた今なら 可能性は低いが 退避を…」
通路から爆音が響く ハイケルが反応して振り向く ラミリツが後方へ視線を向けると気付いて言う
「あのマシーナリーはっ!」
皆がMシーナを見る MシーナがGT700を構えて シーナが言う
「私のマシーナリーは動けますっ 援護射撃!」
アースが言う
「必要ない」
シーナが顔を向けて言う
「え?しかし…っ!?」
アースがコックピットの出口へ向かいながら言う
「私が奴の下へ向かう ここを開けてくれ シーナ隊員」
シーナが慌てて言う
「そんなっ!外へ出ては危険ですっ!」
Mシーナからシーナの声が響く
「ハブロス司令官っ!」
ラミリツが驚いて言う
「え?まさかっ!?」
シーナがハッとすると Mシーナが勝手に動いてコックピットが開かれる シーナが操縦桿を操作しながら言う
「コックピットが 勝手にっ!?…あっ!」
シーナが顔を向けると アースが外へ出て行き コックピットが閉められる シーナが慌てて言う
「ハブロス司令官!」
皆が驚く中 アースが歩いて向かう ラミリツがハッとして言う
「ハブロス司令官っ!」
ラミリツが走り向かおうとすると アースが言う
「止まれ ラミリツ隊長」
ラミリツが立ち止まって言う
「け、けどっ!?」
アースが言う
「ART機動部隊 総員待機だ」
ラミリツがアースを見る ハイケルがアースを見る 皆が息を飲むと アースが再び敵マシーナリーの下へ向かって行く 隊員Bがハイケルへ向いて言う
「しょ、少佐ぁ!?」
ハイケルが言う
「待機だ バイスン隊員」
隊員Bが言う
「け、けどぉ…っ」
シュナイゼルがラミリツへ向いて言う
「隊長っ!?」
ラミリツが自身を押さえつつ言う
「ART2 総員 …待機っ」
シュナイゼルがラミリツとアースを見てから言う
「りょ、了解…っ」
敵マシーナリーの前 アースが立ち止まると 周囲を埋め尽くす敵マシーナリーを見て 苦笑して言う
「何を怯えている?案ずるな 私は お前たちを攻撃するつもりは無い 邪魔だ 下がって居ろ」
敵マシーナリーのレッドシグナルが点滅する アースが眼帯を外し 意を決して言う
「下がれっ!命令だっ!」
敵マシーナリー全てのレッドシグナルががグリーンシグナルに切り替わり 後退して道を開くと脱力して待機状態になる 皆が驚き ラミリツが呆気に取られて言う
「う、嘘…っ!?あの数の敵対信号を持ったマシーナリーを 一瞬で!?」
シェイムが呆気に取られていると 隣に居るイリンゼスが言う
「あれが ペジテ王ハブロの力か…」
シェイムがハッとしてイリンゼスを見る ハイケルがイリンゼスを見ていて言う
「ペジテ王ハブロの… 力?」
ラミリツがアースの先を見てハッとして言う
「あ、あれはっ!」
隊員Aが言う
「黒い… 天使!?」
ハイケルが顔を向ける アースが言う
「待たせたな?ネロ?」
玉座に座っていたネロが顔を上げると 微笑して言う
「愚かな… 何故 再び 我が前へと現れた?人の身でありながら その方らの神とある 我へ敵うとでも 思ったか?」
アースが言う
「思うと 答えたら?」
ネロが悪笑む 一瞬の後 アースに向かってプラズマレーザーが放たれる ラミリツがハッとして叫ぶ
「ハブロス司令官っ!」
プラズマレーザーが天井に当たって天井が大破する ハイケルが振り返って叫ぶ
「回避っ!」
落下する瓦礫から 近くに居た隊員たちが慌てて回避する アースが顔を向けると アースを回避させていたシェイムが顔を上げて言う
「何をしているんですか 貴方はっ!?まったく 避けるつもりが 無かったでしょうっ!?」
皆が驚く イリンゼスが呆気に取られて言う
「な、何で 動けたんだよっ?シェイムだけっ!?」
アースが苦笑して言う
「上出来だ 反逆の兵士 マスターシュレイゼス しかし ここからは お前も下がって居ろ 助けは不要だ」
シェイムが言う
「な、何を言って…!?常人のスピードでは とても 間に合わないのですよっ!?」
アースが言う
「必要ない」
シェイムが呆気に取られる中 ネロが笑んで杖を持たない手をアースへ向ける アースへ強い光が放たれる シェイムが息を飲む アースが視線を強め右手を振り払うと ネロの強い光が弾かれその場で爆発する シェイムが身を守っていた体勢から 閉じていた目を開き 驚いてアースを見る アースが言う
「これが 神の力か?笑わせるなよ ネロ?神の力など… 魔法などは存在しない お前たちの力は あの映像の街と同じ 唯のフェイクだ アークやウィザード 彼らを巻き込んでの 偶像 幻想だっ!」
ラミリツと隊員たちが驚く アイザックとシュイが驚くと その後ろでグレーニッヒが笑う
「ヒーヒッヒッヒッ!ばぁ~れちゃったかぁ~?」
アイザックが呆気に取られて言う
「そ、そんな馬鹿なっ!?叔父上っ!?」
ネロが視線を強める アースが言う
「違うと言うのなら 本物の”魔法”を放ってみろよ ネロ?その杖を… ロストテクノロジーを 使わずにな?」
ハイケルが言う
「あの杖が?」
隊員Bが言う
「じゃー 杖型の銃ー?」
ネロがアースを見る アースが言う
「機械や物理的な力は 確かに存在する そして それを生み出す知識こそが お前の力… 能力であった筈だ 私は そのお前と戦う為にここへ来た 私の… 仲間たちと共にっ!」
ネロが笑むと笑って言う
「クックック… ハハハハッ!長き時を経て 多少の知能を得たか?されど その身に有する力は 所詮は 我らに作られしモノ… その身を持って 我が力に 敵うとでも?」
ネロの後方の壁が開き ハイケルαが大量に現れる ART1隊員たちが衝撃を受け 隊員Bが言う
「しょ、少佐ぁーっ!?」
隊員Fが言う
「少佐のデコイかっ!?」
ハイケルが呆気に取られる アースが視線を向ける ハイケルαたちが機械的に前進して来て 全員が一様に装備していた剣を引き抜いて構える アースが言う
「ART機動隊員!総員!ハイケル少佐を殲滅しろっ!命令だっ!」
ハイケルが衝撃を受けて言う
「わ、私をっ!?」
ラミリツが叫ぶ
「了解っ!司令官っ!」
ART2隊員たちが叫ぶ
「「了解っ!司令官っ!」」
隊員Aが言う
「りょ、了解!…い!?し、しちゃうか?バイちゃん?」
隊員Bが言う
「えー?えっとぉ~ 少佐ぁー?」
ハイケルが意を決して言う
「ART1 総員っ!私を殲滅しろっ!」
ART1隊員たちが衝撃を受けた後 気を取り直して言う
「「了解っ!少佐ぁーっ!」」
隊員Fが小銃を手に言う
「少佐の… 偽者を 殲滅するって事で?」
隊員Cが言う
「あ、ああ!そうだなっ!?そう言う事でっ!」
隊員AがM82を装備する 隊員Bが手榴弾を持って言う
「そうそうー それじゃー そう言う事でー?行っくよー?アッちゃんー!」
隊員Aが言う
「よしっ!」
ヴィンが周囲を見て ハイケルαたちが出て来た場所の先にある機械に気付くと目を細め Mシーナの影へ瞬時に移動して言う
「こちらのマシーナリーの操縦者 聞こえているかっ?」
シーナがハッとして言う
「は、はいっ!?聞こえていますっ!」
ヴィンが言う
「では このまま前方 最深部の壁に取り付けられている機械が 確認出来るだろうか?」
シーナが遠い目標に目を細めてから MシーナがM900の狙撃用スコープを覗いて言う
「…はいっ!600メートル先に ターゲットと思われる機械を確認っ!」
ヴィンが言う
「何とか そちらを破壊してくれ給え あの機械から放たれている 強化紫外線が我々の活動を制している」
シーナが言う
「了解っ!完全に射程距離外ですが …やってみますっ!」
Mシーナが狙いを定める
アイザックがグレーニッヒの下へやって来て言う
「叔父上っ 先程のはっ!?」
グレーニッヒが言う
「ヒッヒッヒッ!さぁて~?どぉしよぉかぁ?アイザック~?我々ウィザードは このまま 御役御免かなぁ?」
アイザックが言う
「我々の魔法が幻想とはっ!?そんな筈は無いっ 現に我々は魔法を使用しているっ!」
グレーニッヒが笑んで言う
「あぁ そぉだねぇ?つまりは その気持ちが大切なんだよぉ 自分たちには魔法が使えるんだってねぇ?信じる者は救われるって言うじゃないかぁ?」
シュイが来て言う
「それはどう言う事だっ?奴が言った事は本当なのかっ!?俺たちの魔法は…!?有るのか無いのか ハッキリしてくれっ!そうでなければっ!」
グレーニッヒが首を傾げて言う
「そうでなければぁ?」
アイザックが顔を向け 大量のハイケルαを見て言う
「ARTの彼らだけでは あの数は倒し切られないっ もし 魔法の力が…っ 我々の力が 実在するものだというのならっ!我々も 加勢しなければ!」
グレーニッヒが言う
「そぉだねぇ?我々も この戦いに御呼ばれしているのだから それなりに活躍しないと 格好が付かないからねぇ?それじゃぁ… 他の皆には内緒だよぉ?ヒーヒッヒッヒッ!」
Mシーナが言う
「補足距離100メートル 誤差補正完了 …撃ちますっ!」
シーナがトリガーを引く MシーナがM900を放ち 遠方の機械に命中して大破する シーナが言う
「やったぁっ!」
ヴィンが微笑する リックが顔を上げて言う
「よぉし…」
リックが悪笑む ラミがマシーナリーの影から出て来て言う
「やっと出番ね?」
リックが言う
「待たされた分も 思いきり暴れてやるよ?」
リックとラミが瞬時に消える ヴィンが試験管を手に取ると気付いて言う
「おや?あちらが動くとなれば… 薬を用いての広範囲攻撃は抑えるべきだろうか?…そうとなれば 致し方ない 私も こちらで…」
ヴィンが試験管を取り替えて吸引すると瞬時に消える ヴィンの見ていた先 ウィザードたちが杖を構えている
ラミリツがハイケルαの剣を使って攻撃しながら叫ぶ
「やぁあーっ!」
ラミリツが地震の前のハイケルαを倒し振り返ると気付いて叫ぶ
「シュナイゼルっ!後ろっ!」
シュナイゼルがART2隊員を庇った状態でハッとする シュナイゼルの後方からハイケルαがシュナイゼルへ攻撃を繰り出す シュナイゼルがハッとすると ラミリツが瞬時にM82を構えて撃つ シュナイゼルを襲おうとしていたハイケルαに命中してハイケルαが倒れる シュナイゼルがそれを見てからラミリツへ向いて言う
「助かりました 隊長」
ラミリツが言う
「”当然だ”」
ラミリツが微笑すると シュナイゼルが微笑する ラミリツがハイケルαの剣を拾い 銃と共に持って言う
「…とは言え 武器の補填は心配無くなったけど この数は…っ」
ラミリツが仲間たちの様子を見る 仲間たちに疲れが見える ラミリツが思う
(皆の体力は限界だ… ART1は慣れない武器で 戦力も下がっているし…)
ラミリツがハッとすると リックが加勢して叫ぶ
「おらおら!どうしたぁあっ!?疲れたんなら スッ込んでろっ!軟弱な人間どもがぁあ!」
ラミリツが衝撃を受けて言う
「そう言うアンタたちは さっきまで マシーナリーの影から出られなかった癖にっ!」
リックが衝撃を受けて言う
「る、るせぇえっ!だったら 今度は てめえらが影に入ってやがれっ!俺様が代わってやるって言ってんだ こらぁあっ!」
ラミリツが怒って言う
「だったら そうって 言ってよねっ!?」
Mシーナが言う
「ART機動隊員 総員 下がって下さいっ!一斉射撃 行きますっ!」
MシーナがGT700を構える ラミリツとリックが衝撃を受け ハイケルがハッとして言う
「ART1総員っ!一時退避だっ!」
ラミリツが慌てて言う
「ART2も総員!一時退避っ!」
隊員たちが驚いた状態から慌てて退避する MシーナがGT700を乱射する ハイケルαが次々に大破する MシーナがGT700を撃ち終えて言う
「一斉射撃 終了です!」
リックが怒って言う
「ちょっと待てぇっ!?そう言う警告なら こっちにも言いやがれぇえっ 危ねぇだろがあっ!?」
Mシーナが言う
「大丈夫ですっ!弾頭は銀ではありませんから!ヴァンパイアに 当たっても死にませんっ!」
リックが衝撃を受けて言う
「そう言う問題じゃねぇえんだよっ!?」
アイザックが言う
「今だっ!例え魔法とされずとも これが 我々の力だっ!」
アイザックとシュイとグレーニッヒが魔法を放つ 水と火と土の魔法がハイケルαたちに襲い掛かり ハイケルαの一部が倒れる ART1隊員たちが呆気に取られ 隊員Bが言う
「やっぱ 魔法ー?」
ハイケルが倒れたハイケルαと残ったハイケルαを見て思う
(距離や配置に関わらず 倒れた者と残った者が居る… どう言う事だ?)
ハイケルがウィザードたちを見る シュイが言う
「成功か?」
アイザックが言う
「一部とは言え 数を減らす事には繋がった これで…」
グレーニッヒが言う
「ヒッヒッヒ… 後は ヴァンパイアさんとARTの皆さんに お任せかなぁ?」
アイザックが杖を構えて言う
「可能性がある限り もう一度だっ!」
シュイが言う
「よしっ」
シュイが杖を構える グレーニッヒが笑いながら杖を構える
【 ART司令塔 】
モニターにMシーナの視覚映像が表示されている オペ子Aが言う
「ART1、31号機からの映像解析 …間に合いませんっ 熱源センサー反応から 敵ハイケル少佐のデコイ残数凡そ21%!」
オペ子Bが言う
「ART1及びART2機動隊員による 残り予想撃破可能数8%!ヴァンパイア援軍3名の 予想撃破能数10%~15%!ウィザード援軍3名の 予想撃数… 算出不可っ!」
オペ男Aが言う
「ARTゼロ機動隊員のナノマシーンは起動不能っ 唯一 隊長のマスターシュレイゼス隊長のみ ナノマシーンの起動が確認されています!戦闘可能っ!しかしっ 予想撃数は …算出不可っ!」
グレイゼスがモニターを見て言う
「マスターシュレイゼス隊長…っ」
グレイゼスが思う
(ナノマシーンを有する 貴方の戦力が 今は必要だっ しかし …戦えるかっ!?マスターシュレイゼス!?…いや シェイム・トルゥース・メイリス殿っ!?)
グレイゼスがモニターを見る
【 ネロの城 】
周囲で戦闘が繰り広げられている シェイムの目下にハイケルαが倒れていて手には剣が握られている シェイムがその様子に表情を強張らせてから周囲を見て思う
(ナノマシーンを使えば 私でも… 戦えるだろうか?あのマシーナリーを 用いている時と同様に?あの剣を手に取りさえすれば 後は… ナノマシーンシュレイゼスが 勝手に…っ?)
シェイムが横目に後方のアースを見る アースはネロと向き合ったままでいる シェイムが緊張して思う
(彼に何かあれば 私が…っ!いや…っ シュレイゼスが 彼を守る筈っ それならば このまま!?…いや むしろ…っ?)
ネロが言う
「…小賢しき者ども」
シェイムがハッと息を飲んでネロを見る ネロが言う
「我が力にて その命の灯 護りたるを …恩を仇に 愚かなる命へ 力を与えようとは」
シェイムが恐ろしさに立ち尽くす アースが言う
「勝手な事を言うな お前は お前のマシーナリーと同じだ …ただ 怯えているだけなのだろう?お前たちの神… お前たちを作り上げた その神に」
シェイムが呆気に取られて思う
(神を名乗る あの者の… 神とは?あの者を作り上げた?それは 一体…!?)
ネロが言う
「何を…」
アースが言う
「そして今は その お前たちが作り上げた筈の 我々にもか?一体 何処まで弱いんだっ?お前はっ!?」
シェイムが呆気に取られている ネロが表情を怒らせて言う
「…我が 弱きに在りしと?」
アースが言う
「仮にも 我々の神を名乗るからには その想い 貫いて見せろっ!」
ネロが言う
「…新人類ごときがっ 頭に乗るなっ!」
ネロの杖が一瞬光を放つ シェイムが目を見開く 脳裏に声が聞こえる
『間に合わないっ』
シェイムが思う
(シュレイゼスっ!?)
周囲が一瞬真っ白な光に包まれ爆発が起きる 全ての者が吹き飛ばされ悲鳴を上げる Mシーナの中 シーナが叫ぶ
「ハブロス司令官っ!!」
一瞬の静寂の後 ラミリツが倒れていた状態から顔を上げ 床へ手をついて上体を上げながら言う
「一体 何が…っ?皆…っ 無事っ!?」
ラミリツの横でハイケルが起き上がる ラミリツがハッとしてM82を向けると ハイケルが衝撃を受け 慌てて言う
「ま、待てっ ラミリツ攻長っ!私は…っ!」
ラミリツが言う
「ああ、ごめん 本体」
ハイケルが言う
「ほ、本体?…では 無いが…」
ラミリツがM82を向け直して言う
「え?違うの?」
ハイケルが衝撃を受けて言う
「いやっ!そちらの… 予定だ」
ラミリツが言う
「そう それで… 一体 何が…?…っ!?」
ラミリツが正面を向くと驚く
ネロが困惑して言う
「…馬鹿なっ 我が力を…っ!?…新人類ごときがっ!?」
アースが拳を突き出した状態で顔を上げ ニヤリと笑んで言う
「どうだ?今のお前の力など この程度だ お前たちに作られた人である私が持つ この魂すら 越える事は出来ないっ!」
アースが突き出していた手を払うと 周囲に力無く立っていたハイケルαたちが倒れ アースの後方でARTの仲間たちが立ち上がり始める Mシーナの中 シーナがホッとして言う
「良かった… 無事だった…」
Mシーナの影から アイザックとシュイが身を現し シュイが顔を向けて言う
「助かった…」
シュイの視線の先 グレーニッヒが笑って言う
「ヒッヒッヒッ 身体の弱い我々では 今のはチョ~ト危なかったからねぇ?」
リックが上体を上げて言う
「ハブロの大バカ野郎が…っ 人間の癖に 無茶な事しやがってっ」
ヴィンが言う
「とは言え 我々も限界だ これ以上の活動は 二次被害の恐れが生じる」
ラミが言う
「余り激しく動いちゃうと 喉が渇いてしまうものねぇ?唯でさえ ここには… 魅力的な獲物が沢山だから…?」
ラミが唇を舐めて周囲を見る
ネロが一歩後ずさる アースが言う
「お前の兵は 全て倒れた …ネロ?これでもまだ お前の画策を 続けるのか?そして 今の我々を前に その必要があると言うのか?」
ネロが言う
「…ハブロ やはり その方の命」
ネロがアースへ杖を向けて言う
「逃すべきではなかった」
杖に光が灯る シェイムがハッとしてアースを連れて逃げる ネロがアースを狙って攻撃を続ける シェイムがアースを連れて回避する アースがシェイムへ向いて言う
「離せっ!マスターシュレイゼスっ!」
シェイムが言う
「わ、私に言われましてもっ!シュレイゼスが勝手に…っ!」
ネロの杖が光ると アースとシェイムの近くで光が発生する アースとシェイムがハッとすると 強い打撃音と共に光が消え アースとシェイムの前で リックがネロの振り下ろしている杖をつかみ上げ表情を苦しめて言う
「500年前の再現かっ!?その力は失ったんじゃなかったのかよっ?えぇっ!?俺らの神様よっ!?」
ネロがニヤリと笑んで言う
「愚かな その貴様が生き残っていると言う事 それこそが答えぞっ 分からぬかっ!?」
ネロがリックの抑えを振り払うと リックへ杖を向ける リックがハッとすると共に吹き飛ばされて悲鳴を上げる
「があっ!?」
ラミが言う
「リックっ!」
ラミがネロへ向く ヴィンが止めて言う
「止め給え ラミ …我らの神だ 敵う筈が無い」
ラミが言い掛けた言葉を飲み 視線だけを向ける
ネロがアースの横に居るシェイムへ視線を向ける シェイムがハッとして思う
(…か、身体がっ!?)
ネロが笑んで言う
「その方が 神の命である 下がれ ナノマシーンシュレイゼス」
シェイムが表情を苦しめて言う
「…うっ ぐぅ…」
シェイムの身体が跪く アースがシェイムを見て思う
(ナノマシーンを抑えられたのか?彼らの王とされる 私が共に在る状態で?)
シェイムが自由の利かない身体に表情を苦しめる ラミリツが叫ぶ
「ハブロス司令官!」
アースがハッとする ハイケルが言う
「命令をっ!」
アースが思う
(そうだ 私は…っ!)
アースが一度強く閉じた目を開き直す 左目のアークの瞳が元の色に戻る アースが意を決して言う
「ハイケル少佐!ラミリツ攻長!ネロ・アーク・フォライサーを 倒せっ!命令だっ!」
ハイケルとラミリツが声を合わせる
「「了解!司令官っ!」」
ハイケルとラミリツがネロへ向かい 剣を振りかぶる ネロが杖を構える アースがネロを見る ネロの杖に光が集まり 一瞬の後 光がハイケルとラミリツへ向かう シェイムと隊員Cが反応してシェイムが叫ぶ
「エーメレスっ!」
隊員Cが叫ぶ
「少佐ぁーっ!」
シェイムがラミリツを 隊員Cがハイケルを回避させる ラミリツがシェイムを見て言う
「兄上っ!?」
ハイケルが隊員Cを見て言う
「マスターラキンゼス 助かった」
隊員Cが怯えながら言う
「かかかかっ 身体が!?かかかっ 勝手にぃ~っ!」
ネロがラミリツとハイケルを見て言う
「力無き者どもっ 貴様らの神とある この我に 歯向かう事など 許されぬっ!」
ネロの杖が掴まれる ネロが驚き顔を向けると アースがネロの杖を掴んでいて悪笑んで言う
「その力なき者どもに 命を狙われている気分は どうだ?最高だろうっ!?」
ネロが驚いて言う
「馬鹿な…っ 我は 貴様らの 神ぞっ!?」
ラミリツが言う
「今だっ!行くよ!ハイケル少佐っ!」
ハイケルが言う
「了解っ ラミリツ攻長っ!」
ラミリツとハイケルがネロへ向かう ネロが驚きアースへ向いて言う
「離せっ!ハブロっ!」
アースが笑んで言う
「最後は ハデにやられろよっ!?アールスローンの悪魔っ!」
ラミリツが叫ぶ
「やぁああーっ!」
ハイケルが叫ぶ
「あぁああーっ!」
ハイケルとラミリツが剣を突く ネロが目を見く アースとラミリツがネロを見る ハイケルが呆気に取られる 皆が見詰める先 一瞬時が止まり動き出す ラミリツが息を切らせて言う
「はぁ… はぁ…っ」
アースがラミリツを見て言う
「良くやった ラミリツ攻長」
ラミリツが苦笑して言う
「…うん」
ラミリツが剣を引くと ネロが倒れる ラミリツの持つ剣から血が滴る ハイケルが呆気に取られたまま自分の持つ剣を見る 剣に血は付いていない ハイケルが呆気に取られて言う
「何故… 私は…っ?」
ハイケルがネロを見る 皆が静まり返る中 アースがネロの横へ向かい 身を下ろして言う
「どうだ ネロ?お前たちが作り上げた 我々 ”新人類の力”は?」
ネロの身体の下に血溜まりが広がる ネロがアースを見て苦笑して言う
「…この 程度の力して… 敵うと でも…?」
ラミリツが疑問してアースを見る アースはネロを見詰めている ネロが言う
「真… 神の 力… たる物 この程度に 在らず…」
アースが言う
「分かっている だからこそ 我々には…」
皆がアースを見る アースが言う
「我々の神である 貴方の力が必要だっ!ネロっ!」
皆が衝撃を受け ラミリツが言う
「…え?」
シェイムが呆気に取られて言う
「まさか…?」
隊員Cが疑問して言う
「はぁ?」
ネロがアースを見る アースが微笑して言う
「従って… 貴方も 我々と 共に 戦えっ!ネロっ!」
ラミリツが衝撃を受けて言う
「えぇえええーーっ!?」
シェイムと隊員Cが驚きに呆気に取られて顔を見合わせる 皆が呆気に取られて顔を見合わせる シェイムが言う
「これは 確か…?」
ART1隊員たちがハイケルを見る ハイケルが言う
「10年前にも 聞いた台詞だ」
ネロが呆気に取られている アースが言う
「我々の力は その身を持って知っただろう?その我々に苦戦を強いた 貴方の力も加わるとなれば 我々の力は 更に高まるっ!敗者に二言は無いっ!ネロ・アーク・フォライサー!我々の仲間になれ!命令だっ!」
ラミリツが呆れて言う
「ハ、ハブロス司令官…?あの… さぁ?ちょっと 言い辛いんだけど…?」
アースがラミリツを見て言う
「何だ ラミリツ隊長 折角キメた所に 水を注すな」
ラミリツが言う
「あ、いや だって さ…?そう言う事は やっぱ 先に説明しておいて貰わないと… 僕 狙っちゃったよ?急所… それに この出血量だよ?見たら 分かるでしょう?普通?」
アースが言う
「何を言う?相手は神だぞ?この程度で 死ぬ筈がないだろう?」
ラミリツが衝撃を受けて言う
「えっ!?そうなのっ!?」
ネロが表情を顰めて言う
「言って… くれるな… 我らとて… 人であると …神に在らずと 放って置きながら…」
アースが言う
「ロストテクノロジーを持った 古代人だろう?それなら 何とかなるのでは無いのか?そうだろう?皇帝?」
アースが振り返る 皆が驚いて振り返ると ラミリツが驚いて言う
「あ…っ 貴方はっ!」
皆の視線の先 通路の出入り口に皇帝が居て 微笑する Mシーナの中シーナが呆気に取られて言う
「え…?皇帝って…!?」
Mシーナの中 グレイゼスの声が聞こえる
『どうした!?シーナ隊員!?』
シーナが驚いて言う
「う、嘘…っ!?あれが 帝国の …皇帝っ!?」
グレイゼスが言う
『シーナ隊員っ!こっちは 先ほどから電波障害を受け 通信類が全てダウンしてしまったっ 現状はシーナ隊員との通信のみが繋がっている!状況を説明してくれっ!』
シーナが言う
「りょ、了解!えっと 現状は…っ」
ネロが視線を向けてから言う
「お前の 差し金か…」
皇帝の持つ杖が光り ネロの近くに皇帝が瞬間移動する ラミリツが思わず場所を明け渡すと 皇帝がネロを見て苦笑してからゆっくり近付いて来て言う
「ネロ… 彼らの強き想い 遂にか その方の力さえ 凌がんと…」
皇帝が杖を向ける 杖が光ると ネロの傷が塞がって行く ラミリツが呆気に取られて言う
「嘘ぉっ!?傷が治った!?やっぱり 魔法…?」
皇帝が言う
「魔法… そうよの?その方らも 後 200年もの時を経れば 築くとあろう 力ぞ?」
ラミリツが呆気に取られて言う
「それじゃ… つまり」
アースが手にしていたままのネロの杖を見て言う
「ロストテクノロジー …我々は 未だに 貴方方古代人の知識には 足元にも及ばない 200年では 足りないのではないのか?」
皇帝が言う
「なれば 更なる時を得れば良きにして その時を得んが為 その方は 戦おうと申すとあろう?アース?」
アースが微笑して言う
「そうだな」
Mシーナの中 シーナが困惑して言う
「状況…っ 説明します 今 先ほど ラミリツ隊長が殺傷した筈の ターゲットが… い… 生き返って…っ!?」
グレイゼスの声が聞こえる
『ターゲットが生き返った!?それは 一体どう言う事だ?シーナ隊員っ!?』
シーナが呆気に取られてモニターを見る
リックが笑んで言う
「さ~て?ひと暴れして 丁度喉も渇いた所だしなぁ?これぞ本当の 勝利の美酒ってやつだぜぇ ハブロ?ヴァンパイア様の力を お借りしたんだ 覚悟は良いよなぁ?」
アースが言う
「そうか だが 生憎 私も 少々傷を負っている 従って… 代わりにこちらを進呈する」
アースがネロを差し出す ネロと皇帝とラミリツが衝撃を受け ラミリツが言う
「いや むしろ そっちは 少々所じゃないし?…ハブロス司令官?」
アースが言う
「己の不始末の責任は 身を持って 果たすべきだろう?遠慮は不要だ エリックアーベスト 思う存分に…」
皇帝が慌てて言う
「ア、アースっ?ネロは我の大切なる者ぞっ その命の灯 奪う事 あらずしてっ」
リックが言う
「言いてぇ事は分かるんだが ハブロ こいつも生憎だが アークの… いや 古代人の血は吸えねぇんだよ 不味過ぎて 余りのショックに 灰になっちまうって噂だ」
アースが言う
「そうなのか?」
ラミリツが言う
「いや、だから… そもそも そう言う問題じゃないから?」
Mシーナの中 シーナが呆気に取られて言う
「えーと… 状況は ハブロス司令官が 先ほど生き返った ターゲットを… 仲間のヴァンパイアに差し出しているようですが?」
グレイゼスが衝撃を受けて言う
『はいぃっ!?』
隊員Nが呆れて言う
「ってーか…?何か すげぇ 和んでるんだけどよぉ?」
隊員Fが苦笑して言う
「ああ、何と言うか… さっきまでの死闘は 何だったんだろうな?」
隊員Cが言う
「有り得ねぇ…」
隊員Bがハイケルへ言う
「それでー?少佐ぁー?俺たちは どうなるんでありましょうかー?少佐ぁー?」
隊員Iが言う
「ここはアウターだし… マシーナリーも動かないんじゃ 俺らも ここから動けないって事だよな?」
ハイケルが言う
「そうだな 悪魔の兵士である私は兎も角 人間の兵士は アウターへは出られない …では?」
ハイケルがアースを見る 隊員たちがハイケルの視線を追って見る
リックが言う
「もう良いっ!てめぇと話してても 埒が明かねぇ ゲートを開いてやるから 何処へなりと とっとと 消えやがれっ!」
アースが言う
「よし では ART機動隊員は ART本部へ その他、援軍の者も 自分たちの国へ とっとと帰ってくれて構わない」
ラミリツが衝撃を受ける グレーニッヒが笑う アイザックがシュイとグレーニッヒを見てからアースを見て苦笑して言う
「…分かった それでは」
アイザックとシュイとグレーニッヒがゲートへ向かう グレーニッヒが言う
「ヒーヒッヒッヒッ!楽しいパーティーへの ご招待を感謝するよぉ?ペジテの王様ぁ?この次も 楽ぁしみに待ってるからねぇ~?」
アースが言う
「その貴方方が 使える力とあれば ご招待しよう 招待状が欲しければ 相応の力を有して置く事だ」
ラミリツが言う
「だから どうしてそう…」
シュイが表情を強める アイザックが苦笑すると グレーニッヒが笑って言う
「ヒーヒッヒッヒッ!応援の言葉にしては とぉ~ても闇に近い言葉だねぇ?余り そちらへ近付き過ぎて その綺麗な白い片翼が 剥がれてしまっては大~変だから 気を付けた方が良いかもよぉ?」
アースがギクッとしてから顔を逸らして言う
「な…っ 何の 話だ?」
ラミリツが疑問して言う
「え?その綺麗な白い片翼って?」
アースが慌てて言う
「い、いやっ 気にするなっ!?…ほら?アレだっ!ペジテ王と両碗の騎士の 飾り鎧や絵画を お前も目にした事があるだろう!?ラミリツ攻長!?」
ラミリツが気付いて言う
「ああ、あれね?メイリス家の屋敷にもあるよ 飾り鎧と絵画 …あ、けどさ?不思議なんだよね?うちにあるのってさ?他の所で見るのと違って…」
グレーニッヒが笑う
「ヒーヒッヒッヒッヒッ!」
アースが衝撃を受けて言う
「もう その話は良いっ!ウィザードの貴方方は さっさと帰れっ!」
アイザックとシュイが衝撃を受ける グレーニッヒが笑う アイザックが苦笑して言う
「では 彼の言う通り 我々は自分たちの国へと 帰る事にしよう」
アイザックがゲートに消える シュイがアースを横目に見て言う
「…こんなに天使の翼が似合わない アークも居るものなのだな?」
アースが衝撃を受けシュイを睨む シュイが言う
「ふんっ」
シュイがゲートへ消える ラミリツが疑問して言う
「天使の翼が似合わない アークって?」
アースが怒りを押し殺して言う
「だ、だから 気にするなと…っ」
グレーニッヒが笑いながら言う
「ヒーヒッヒッヒッ!やっぱり 片方だけだからかなぁ?」
アースが怒って言う
「さっさと 帰れっ!ウィザード!」
アースが手を振り払うと グレーニッヒが消えたゲートに衝撃波が爆発する リックが驚き焦って言う
「お、おいっ!危ねぇだろっ!?」
ゲートの先からグレーニッヒの笑い声が聞こえる
「ヒーヒッヒッヒッ…!」
ラミリツが呆気に取られている アースが言う
「問題ない 神の力だ 人々を傷付ける事はない …予定だ」
ラミリツが呆れて言う
「予定って…」
隊員Bが言う
「予定ー?」
隊員Bがハイケルを見る 隊員Cが言う
「予定って… つまり」
隊員Iが苦笑して言う
「未定の時もあったら… 恐ろしいな?」
アースが言う
「では 次だ ART機動部隊」
隊員たちが衝撃を受ける アースがハイケルを見る ハイケルが言う
「了解」
アースがラミリツを見る ラミリツが言う
「了解!…そうそう 早く帰らないと!僕も とっておきの 見たい録画があるからさ?」
アースが衝撃を受ける ハイケルが言う
「ART1任務完了だ」
アースがARTゼロ隊員たちを見る ARTゼロ隊員たちが顔を見合わせゲートへ向かう ART1隊員たちが顔を見合わせ 隊員Aが言う
「何にしても 任務は完了だな?バイちゃん?」
隊員Bが言う
「そうだねー アッちゃん!それに 今日は ハブロス司令官の技を いっぱい見られたしー!」
アースが衝撃を受ける 隊員Fが苦笑して言う
「あれはもう 何と言うか… 技の粋を 越えていると思うけど」
ラミリツがアースへ言う
「そう言えば どうなってるの?ハブロス司令官… ひょっとして 本当は彼らと同じ 神様なの?」
アースが言う
「止めてくれ 冗談じゃない 私は神様でもアークでもなく ア…」
アースがハッとする ラミリツが言う
「ア?」
アースが言う
「アース・メイヴン・ハブロスだ」
ラミリツが言う
「ア… うん そうだね?」
アースが言う
「ああ…」
ラミリツが言う
「それに…」
アースがラミリツへ視線を向けて言う
「うん?」
ラミリツが言う
「その左目…」
アースがハッとして思う
(しまったっ この目の事を忘れてっ!)
ラミリツが微笑して言う
「治ってたんだね?」
アースが疑問して言う
「え?」
ラミリツが苦笑して言う
「そうならそうって 言ってくれれば良かったのにさ?心配してたんだよ?だから この間だって…」
アースが言う
「治って…?」
アースがハッとして皇帝を見る 皇帝が微笑して頷く アースが理解して微笑する ラミリツが疑問して言う
「…うん?それとも 見た目は治って見えるけど 視力は戻っていないとか?」
アースが言う
「あ、いや 視力は… そうだな?…治った」
ラミリツが微笑して言う
「そ?なら 本当に良かった!」
アースが安堵の微笑を見せる リックが言う
「ケッ… 気合を入れ過ぎると 現れやがるからなぁ?精々気を付けやがれよ?ハブロ?」
アースがギクッとする ラミリツが疑問して言う
「え?現れるって…?」
リックが面白そうに言う
「てめえは俺様と同じで 気が短ぇ上に すぐに手が出やがるからなぁ?そぉとなりゃぁ まだまだ隠しておく必要が ありやがるかもしれねぇぜぇ?」
アースが怒りを抑えて言う
「ちゅ、忠告として 有難く受け取って置こう エリックアーベスト 感謝する」
リックが面白そうに笑う
「ケケケケッ!」
ラミリツが疑問して言う
「何の話?」
アースが言う
「いや、気にするな…」
ハイケルがアースの様子に視線を向けている 隊員Bがハイケルへ向いて言う
「少佐ぁー?どうかしたのでありますかー?少佐ぁー?」
ハイケルが言う
「いや、良いんだ」
隊員Bが疑問する ハイケルが気を取り直して言う
「では ART1 ARTゼロに続き ART本部へ帰還する 総員 ゲートへ向かえ」
隊員たちが言う
「「了解!少佐ぁー!」」
隊員たちがゲートを抜けて行く ハイケルが周囲を見た後アースを見る アースが周囲を見ていた状態からハイケルを見る ハイケルが一度考えた後 アースへ言う
「私も隊員らと共に ART本部へ 帰還を…?」
アースが言う
「何を言う?当然だろう?ハイケル?」
ハイケルが一瞬反応してから微笑して言う
「了解」
アースが微笑する ハイケルがゲートを抜ける
【 ART第一訓練所 】
ハイケルがゲートを抜けて現れると 周囲を見る 周囲にはARTゼロの隊員たちと 先にゲートを抜けたART1隊員たちが居て ハイケルへ振り返る ハイケルがそれを見てから言う
「…帰還した」
軍曹の声が聞こえて来る
「少佐ぁあーっ!」
ハイケルが反応して言う
「軍曹…?」
軍曹が走って来て ハイケルの両肩を掴むと喜んで叫ぶ
「おぉおーっ!少佐ぁあーっ!良くぞご無事でぇえー!」
軍曹がハイケルの両肩を掴んだ状態で 力いっぱい前後へ揺らす ハイケルが揺らされつつ言う
「ご、ご無事… では… あるの… だが… それ以上に… ご無事では… 居られなくなる… 可能性が… 現在… 発生し…っ」
隊員Bが言う
「あー!軍曹だー!軍曹ぉー!」
皆が軍曹を見る 軍曹がART1隊員たちを見て言う
「おお!バイスン隊員!アラン隊員も サキシュ隊員も!皆無事で 何よりであったのだ!」
隊員Aが苦笑する 隊員Cが言う
「あぁ… 何か 久しぶりに サキシュ隊員って呼ばれた…」
ラミリツがゲートを抜けて来て言う
「…て?あれ?なんでアンタが?」
軍曹がラミリツを見て言う
「おお!ラミリツ攻長!ラミリツ攻長も ご無事で何よりであったのだっ!」
ラミリツが言う
「それはそうだけど… 大体 何でアンタがここに居るのさ?アンタは国防軍総司令官だろ?だったら」
軍曹が言う
「うむ!そうである!そして そうと言う ラミリツ攻長も 本来は政府長攻長であるのだが?」
ラミリツが衝撃を受けた後 慌てて言う
「そ、それは…っ それは 良いのっ!僕は攻長だけで 政府長長官はやってないんだからっ!」
軍曹が言う
「うむ そう言えば そうであった!…が、しかし 自分も 正直言ってしまうと 国防軍総司令官の任に関しては 総司令官補佐官である ライヴィンに任せ切りで ほぼやっていない様なものである!あっはっはっはっ!」
ラミリツがうるさそうにしてから言う
「だからっ それじゃ 駄目だろっ!?唯でさえ ファースト・ライヴァイン・ハブロス総司令官補佐官は まだ10歳の子供なんだから その子供に 何 アールスローンの2大戦力の片方を任せちゃったりなんかしてるんだよ!?」
軍曹が言う
「それは 確かにそうではあるのだが ライヴィンは10歳の子供とは言え とても秀才で 自分はもはや ライヴィンの言う事や指示の内容には 付いて行かれない程なのだ!流石は 歴代国防軍総司令官1位と言われた 兄貴の最初の息子にして 現国防軍総司令官補佐官なのである!」
ラミリツが言う
「う、うん… まぁ… あのハブロス司令官の息子だから 凄いって言うのは 分からないでもないんだけどさぁ けど そこは普通…」
アースがゲートを抜けて来て言う
「それは ファーストが凄いのではなく 10歳の総司令官補佐官による統括であっても 滞る事のない様にと事前に策を施しておいた事と 実質の総司令官である防長閣下の存在 そして 今でもそれらを影で操っていると言われる私の存在 そして何よりハブロス家の地位と名誉 それら全てを用いた作戦だ」
ラミリツが言う
「あぁ そう言う事?やっぱ作戦…」
アースが言う
「それで?例え そちらの作戦に滞りがないとは言え そもそも 国防軍長の最上権力を有する お前が 国防軍に居てくれる事が前提の作戦だ 従って よほどの理由でもない限り 就業中は その座を離れないでいて貰いたいのだが?」
軍曹が衝撃を受けて言う
「うぐっ!?」
ラミリツが言う
「ほらぁ~?やっぱ 駄目じゃない?」
軍曹が言う
「う、うむ それは すまん… しかし その…っ 自分は 今回も何やら 不穏な胸騒ぎを覚えたもので…」
ラミリツが言う
「不穏な胸騒ぎって… 同じ事2回言ってる様なものだけど それこそ 余計な心配だったんじゃない?何しろ 僕らの任務は大成功だったんだから!…ね?ハブロス司令官?」
アースが言う
「そうだな?少なくとも お前が訪れた こちらのARTには お前が気に病む様な事故などは 起きてはいない」
軍曹が言う
「そうであるか… では これは自分の 唯の杞憂であったと言う事であるか?自分はてっきり 元国防軍レギスト機動部隊である 皆や…」
隊員Nが微笑して言う
「軍曹は 俺らが国防軍を離れても やっぱ 心配してくれてるって事だな?」
隊員Vが笑んで言う
「おうよ!流石は 俺らの防長閣下!」
軍曹が言う
「ラミリツ攻長や…」
ラミリツが言う
「何で僕?」
シェイムが苦笑して言う
「それは勿論 防長閣下と攻長閣下の 繋がりと言うものだろう?エーメレス?」
ラミリツが衝撃を受けた後顔を逸らして言う
「うっ… 僕とアイツが繋がってるみたいな その言い方止めてくんない?兄上っ!?」
シェイムが苦笑して言う
「それはそうかもしれないが… とは言え 少なくとも もう一人の方と繋がるのではなくて 良かっただろう?エーメレス?」
ラミリツが言う
「もう一人って…」
シェイムがアースを見る アースがシェイムを見返す ラミリツが言う
「むしろ 僕はそっちの もう一人の方とだったら 良かったのにさ?」
シェイムが衝撃を受けて言う
「そ、それはっ どう言う意味だっ!?エーメレスっ!?」
アースがシェイムを見て勝利の微笑を浮かべる シェイムがアースを見て衝撃を受け怒りを抑える 軍曹が言う
「それから 自分が一番 不安に思った事は また…」
ハイケルが言う
「また?」
軍曹が叫ぶ
「また… 少佐がぁあっ!自分は 少佐が!兄貴の勝手な命令で 再び 殺されてしまっているのでは なかろうかとぉおーっ!?」
ハイケルが衝撃を受けてから言う
「あ、ああ… そちらは確かに」
軍曹が衝撃を受けて言う
「な、なんとぉおっ!?”確かに” …とは!?」
ハイケルが言う
「今回は 現場へ向かったART機動部隊3部隊を用いての 大規模な 私の殲滅命令 を受けたのだが?」
軍曹が叫ぶ
「なぁああーっ!?少佐を殲滅しろとはぁあっ!?それは一体どう言う事であるのかっ!?兄貴ぃいーっ!?」
軍曹がアースへ詰め寄る アースがうるさそうに言う
「ハイケル少佐 伝達事項は単純明確にとは言おうとも 重要箇所をまるっきり抜かすのは止めろと 私はそう教えた筈だが?」
ハイケルが言う
「そうだな その様にとは言われたのだが やはり 私には 重要箇所が まるっきり抜けていると言う そちらが理解出来ない 悪かったな」
軍曹がアースへ言う
「兄貴っ!?どう言う事であるのか!?いくら兄貴であろうともっ!少佐を殲滅しろ等と言うのであればっ!自分も これ以上黙っては…っ!」
ラミリツがムッとして アースと軍曹の間に入って 剣を向けて言う
「だったら 僕だって黙ってはいられないよっ!?」
軍曹が衝撃を受けて言う
「なぁあっ!?な、何故 ラミリツ攻長がぁあ!?」
ラミリツが言う
「大体 これ以上黙っては って言ってる アンタは もう十分喋ってるしっ!?」
軍曹が衝撃を受ける ラミリツが剣を近付けて言う
「それに現場に居なかったアンタは知らないだろうけどさ?それこそ数えられない数のハイケル少佐のデコイが 僕らへ剣を向けて迫って来てたんだからっ」
ラミリツが軍曹へ近付く 軍曹が後ず去りながら言う
「な、なんとっ!?そ、それは… 自分は確かに知らないのだが…っ むしろ 今こそ 自分は1人のラミリツ攻長の本体に 剣を向けて迫って来られているのだっ 自分にとっては それこそ 数えきられない数の少佐のデコイに襲われる事よりも 何倍も恐ろしいのである…っ」
ART1隊員たちがゲートを抜け終えて言う
「何だ?」 「何が起きてるんだ?」 「あれ?軍曹?」
Mシーナがゲートを抜けて現れて疑問する アースが視線を向けると ゲートから一瞬顔を出したリックが消えると共に ゲートが消滅する アースが苦笑して言う
「では 今作戦へ参戦した ART機動部隊は 一時解散と共に24時間休暇とする 各部隊長 隊員たちは ご苦労だった」
隊員たちがホッとして顔を見合わせる アースが言う
「後に控える 最終決戦へ向け 今の内に鋭気を養って置け」
皆がハッとして緊張する アースが言う
「以上だ」
アースが立ち去る 隊員たちが気を取り戻して顔を見合わせ それぞれの隊長を見る ハイケルが言う
「最終決戦」
ラミリツが視線を強めて剣を持つ手に力をこめる 軍曹が思わず反応してから不安そうに周囲を見渡して ハイケルを見て言う
「しょ、少佐ぁ…?」
軍曹が隊員たちへ向いて言う
「い、一体 どうなっているのだ?」
隊員Aが苦笑して言う
「あ… いえ… 俺たちも その…」
隊員Iが言う
「もはや 理解しきれない と言うか…?」
隊員Bが言う
「えー?少佐ぁー?」
皆がハイケルを見る ハイケルがラミリツを見る ラミリツが言う
「僕らの戦いは まだ終わらない アールスローンを… いや 世界を守る戦いだ」
ラミリツがハイケルを見る ハイケルが言う
「そうだな」
皆が息を飲む ラミリツが気を抜いて言う
「…けど まぁ?何とかなるよ?きっとね?」
隊員たちが衝撃を受け シュナイゼルが言う
「た、隊長…?」
ラミリツが言う
「ああ そうだった それじゃ ART2 任務は完了 一時解散!24時間 じっくり休んで 鋭気を養う様に!」
ART2隊員たちが敬礼して言う
「「了解っ!隊長っ!」」
ハイケルが頷いた後 ART1隊員へ向く ART1隊員たちが微笑して気を入れると ハイケルが言う
「では ART1 …も 同じく 一時解散 …だ」
隊員たちが衝撃を受けて言う
「「え!?」」
隊員Bが言う
「省略ー?」
ハイケルが言う
「以上だ」
隊員Cが言う
「重要箇所が まるっきり抜けてるって こう言う事かよっ!?」
ハイケルが言う
「伝達事項は 単純明確に行うものだ そして 重要箇所である 一時解散は 抜けてはいない」
隊員Aが苦笑して言う
「それはそうだけど…」
軍曹が言う
「どうしたぁあー!?お前たちーっ!少佐からのご命令であるーっ!ART1は一時解散にして 以上である!少佐へ敬礼っ!」
隊員たちが敬礼して言う
「「了解!少佐ぁー!」」
ハイケルが言う
「ご苦労 軍曹」
軍曹が言う
「はっ!少佐ぁー!」
隊員Bが言う
「やっぱ 軍曹の号令は 気合が入るねー!アッちゃん!」
隊員Aが苦笑して言う
「まぁ… 良いか?確かに 気合は入るからな?」
隊員Cが言う
「重要箇所も 気合で補填かよ?」
隊員Fが軽く笑う 隊員Nが言う
「まぁ これも少佐と軍曹と… 俺らのレギストらしいよな?」
隊員Iが軽く笑って言う
「はは… 確かに?」
隊員Bが言う
「ホント ホントー!あー!それじゃ これから 皆で 通常訓練でもやろっかー!?」
隊員たちが衝撃を受けて言う
「「えぇえっ!?」」
隊員Aが苦笑して言う
「バ、バイちゃん 流石にそれは…」
隊員Fが苦笑して言う
「慣れない 剣なんか使ったもんだから 体中ガタガタなんだけどなぁ?」
隊員Vが言う
「あぁ 本当に…」
隊員Bが言う
「えー?だからこそ 訓練するんでしょー?でありますよねー?少佐ぁー?」
ハイケルが言う
「そうだな バイスン隊員 …では 私が直々に 実戦訓練を」
隊員たちが衝撃を受けて言う
「一時解散ー!」 「24時間休暇にしますー!」 「少佐との実戦訓練は 今日はもう十分やりましたー!」
隊員たちが逃げて行く 隊員Bが言う
「えー?」
ハイケルが微笑して言う
「冗談だ」
隊員Cが言う
「勘弁して下さいよ マジで…」
皆が笑う
続く
Mハイケルが見上げて言う
「これは…?」
Mラミリツが言う
「まるで 帝国の門みたいだね?」
Mハイケルが言う
「そして その門が開かれていると言う事は」
皆が門の先を見る 門の先には城下町が見える ヴィンが不満そうに言う
「映像による フェイク… これで 我々の戦意を減衰させようと?」
ラミが言う
「減衰所か 憎悪や戦意が 増すと言うものだけど?」
Mラミリツが顔を向けて言う
「それは どう言う意味?」
リックがやって来て言う
「ああ 俺様もよぉ?こいつを見せられた 一昨日から 気分が悪くてなぁ?それこそ 直ぐにでもぶっ潰してやりたかったんだが 当のハブロが黙って居やがったからよぉ?」
ヴィンが苦笑して言う
「そちらのハブロ殿は この街の様子を知る筈も無い 彼が黙っていたのは それ故にだと思うのだが?リック?」
リックが言う
「るせぇぞ?ヴィン?」
Mハイケルが言う
「では お前たちヴァンパイアであるなら この街の様子を… この映像を知っているという事か?」
ラミが言う
「ええ もちろん …この街の様子はねぇ?悪魔の兵士さん?」
Mハイケルがラミを見る 無線にアースの声が聞こえる
『こちらの映像にある街の様子は 500年前に滅ぼされた アールスローン王国とその城下町の様子だ』
ヴァンパイアたちが驚き Mハイケルが言う
「アールスローン王国?」
リックが言う
「知ってやがったのか?ハブロ?」
ヴィンが言う
「そちらは可笑しな話だ 何故なら その王国と城下町の事は かの姫の力により 人々の記憶からは消されている 故に 諸君の歴史にある アールスローンは 現行の諸君の国であると 記憶されているのだから」
皆がヴィンを見る アースが言う
『そうだな 変態科学者殿』
ヴィンが衝撃を受ける ラミリツが呆れて言う
「ここでまで来て それ言わなくても…」
シェイムが不満気に言う
「仮にもARTの司令官ともあろう方が 分相応の発言を行うべきでしょうっ!?」
アースが言う
『従って わざわざ訂正されている歴史を 掘り返すつもりは無い しかし この映像を使用すると言う事は それを今も知る 貴方方ヴァンパイアはもちろん その国の… その街に居た彼らの事を知った私には とても 不愉快だ』
ヴィンが言う
「彼らの事を…?」
リックが言う
「はっ!なるほど?思い出せはしなくても 知る事は出来るだろうぜ?なんせ奴らの魂は 今も てめえらと共に在りやがるんだからなぁ?そうとなりゃぁ 後はただ そいつを知って 真実として受け入れられるかってだけの話だぜ」
アースが言う
『受け入れはする しかし そちらを行った 奴の考えと これからも繰り返されると言う そちらの予定までを受け入れる事は出来ない そうと有れば行う事は一つ 我々は 今一度 奴と戦い 今度こそ 奴に勝つっ!』
オペ子Aが言う
『今作戦に置かれるARTへの支援 アールスローン帝国 国防軍より ターゲットへ向けての先制攻撃 来ますっ!』
Mハイケルが呆気に取られて言う
「国防軍が?」
隊員Bが驚いて言う
「先制攻撃ー!?」
隊員Aが呆気に取られて言う
「そんな…っ 国防軍に それは 有り得ないんじゃ!?」
Mラミリツが振り返って言う
「総員!爆風に備えろっ!」
皆が驚き 慌てて防御体制を取る 城門の先 城下町に複数ミサイルが着弾して爆発する
【 ライブ会場 】
会場内で花火が打ち上げられる 演奏が開始され ナルが叫ぶ
「1曲目から ハデにキメるぜー!」
会場が盛り上がる中 エミーも両手を上げ盛り上がっている
【 ART司令塔 】
オペ子Bが言う
「サーモセンサーに 敵影マシーナリーを感知っ!」
オペ子Aが言う
「映像モニターに 敵陣を確認!第一作戦 映像フェイクの抹消 成功と認識!」
グレイゼスが言う
「ART機動部隊 及び!」
【 アウター 】
ARTマシーナリーたちの前 門の中に複数のマシーナリーが立ち上がる グレイゼスの声が聞こえる
『援軍 支援部隊!総員 作戦開始だっ!最深部に居るであろう ターゲットの下へと向かえ!そして…』
ARTマシーナリーたちが武器を構える
【 帝国 】
アースが言う
「如何なる手段を用いてでも ターゲット ネロ・アーク・フォライサーを 倒せっ!命令だっ!」
アースがエレキギターを響かせる ハイケルとラミリツの声が聞こえる
『『了解!司令官っ!』』
【 アウター 】
ART1が銃構え ART2がセイバーを構える グレイゼスの声が聞こえる
『前方 3方向へ向けての通路を確認 各通路の構成から 進軍部隊を算出!ART1直進 ART2左へ ARTゼロは右へ向かえ!ART機動部隊 進軍せよ!』
Mハイケルが言う
「了解!先行部隊 ART1 突破口を開口する!――バイスン隊員!」
M隊員Bが言う
「了解!少佐ぁーっ!」
M隊員Bが両手にB手榴弾を持つ 隊員Aが衝撃を受けて言う
「バ、バイちゃんっ その量はーっ!」
M隊員Bが大量のB手榴弾を投げ付けて叫ぶ
「いっけー!」
Mハイケルがハンドガンを構える その横で Mラミリツがハンドガンを片手に構えて言う
「ART2全軍!ART1に負けては居られないっ!ハデにキメるぜーっ!」
Mハイケルが衝撃を受け Mラミリツを向くと Mラミリツがハンドガンを発砲し B手榴弾が爆発する ART2隊員たちが呆気に取られる ラミリツが叫ぶ
「ART2!進軍ーーっ!」
ART2隊員たちが呆気に取られた状態から 慌てて言う
「「りょ、了解!隊長ーっ!」」
Mラミリツが先行して城門へ向かって行く ART2マシーナリーたちが追って行く シェイムが呆気に取られて言う
「エ、エーメレス…?」
M隊員NとM隊員VがMハイケルの両脇に来て言う
「少佐ぁー!俺ら ART1も 負けてられないぜー!」 「おうよーっ!」
Mハイケルが呆気に取られつつ言う
「あ、ああ… 了解 ART1… 進行…」
ART1隊員たちが衝撃を受けて言う
「「…え?」」
隊員Bが言う
「えー?」
Mハイケルがハッとして言う
「あ、いや 間違えた …ART1 進軍 …だ」
ART1マシーナリーたちが言う
「「りょ、了解 隊… 少佐ぁー!」」
M隊員NとM隊員Vが言う
「了解 少佐ぁー!」 「いっくぜーいっ!」
M隊員NとM隊員Vが走り出す Mハイケルが衝撃を受けて言う
「あ…っ!?」
隊員Bが呆気に取られた状態から微笑して言う
「…にっひひっ ナッちゃんとヴェイちゃん ノリノリだねー!」
M隊員CがMハイケルへ言う
「負けてられないっすよ?少佐ぁ?」
Mハイケルが言う
「了解 私も… ライブはノリで逝くっ」
ART1マシーナリーたちが転ぶ 隊員Aが苦笑して言う
「い、いえ 出来れば 逝かないで下さい 少佐…」
ART1マシーナリーたちが城門へ向かう ARTゼロマシーナリーたちが続く MイリンゼスがMシェイムの肩に手を置いて言う
「遅れるぞ?後輩?」
Mシェイムがハッとして言う
「は、はいっ 先輩っ!」
シェイムが言う
「エーメレスを 1人で行かせる訳には…っ」
Mシェイムが言う
「ARTゼロ!進行っ!」
Mイリンゼスが走りながら言う
「だったら 早く来いって もう皆行ってるぞー?後輩~?」
Mシェイムが言う
「あぁ 待って下さいっ イリンゼス先輩ーっ!」
【 ART司令塔 】
グレイゼスがヘッドホンをしていて 苦笑して思う
(各部隊無線をヘッドホン出力にしておいて 正解だった… 流石 ナノマシーングレイゼスの直感)
グレイゼスが横目にマリアを見る マリアがモニターを見ながら心配げに言う
「お義父さん… ラミリツさん…っ」
マリアが祈りの手を合わせる グレイゼスがマリアの視線の先を見てから 気を取り直して言う
「ART司令塔各員 ART機動部隊へ ターゲットナビを開始しろ」
オペ子Aが言う
「了解 中佐 …ART2応答を!これより ターゲットナビを開始します」
オペ子Bが言う
「了解 中佐 …ARTゼロへ これより…」
ラキンゼスが言う
「了解 中佐!ART1応答をっ これより ターゲットナビを開始する ばっちり頑張ってくれよっ!?」
マリアがラキンゼスの様子を見る
【 ART1 】
ラキンゼスの声が聞こえる
『前方30度 距離200メートル!RTD210マシーナリー!1ショット!続けて 25度330メートル420!3ショット!』
M隊員Nが叫びながらサブマシンガンを放つ
「ばっちりキメてやるぜぇえー!」
M隊員Vが隣でGT700を放ちながら叫ぶ
「おうよぉおーっ!掛かって来いやぁあー!」
ラキンゼスが言う
『15度400メートル330!2ショット!もう一度30度200に420だ!ナクス隊員!ありったけぶち込めー!』
M隊員Nが手榴弾を手に言う
「出番はハデにキメてやるよー!」
M隊員Nが手榴弾を投げ付けてサブマシンガンを構えると M隊員Fが小銃で撃ち抜き 手榴弾が爆発してM420が倒れる 隊員Fが言う
「”どーだ最高だろー?”…なんてな?」
隊員Fが苦笑する 隊員Nと隊員Vが叫ぶ
「「最高ーっ!」」
隊員Fが軽く笑う
「っはは…」
M隊員NがM隊員Vへ向いて言う
「けど 出番は持ってかれちまったぜー!」
M隊員Nが言う
「なら もう一丁!ハデにキメるぜーっ!」
M隊員Vが言う
「おうよーっ!」
M隊員NとM隊員Vが走って進んで行く M隊員Fが言う
「たはは…っ これは付いて行けないなぁ?」
M隊員Aが言う
「ノリだけで あそこまで突っ込めるなんて 信じられないな?」
M隊員Cが言う
「あぁ 本当に…」
Mハイケルが言う
「唯のノリだけではない ナクス隊員及びヴェイル隊員の命中率及び瞬発力は 普段の彼らの能力から30%近く上昇している 現状は それ故に行えている戦闘だ 普段の彼らでは ここまでの戦闘行為は出来ない」
隊員Aと隊員Fが驚き 隊員Cが表情を顰めて言う
「じゃぁ まさか… この音楽のお陰で?」
皆が第3モニターを見る
【 ART2 】
ラミリツが叫ぶ
「やあぁあーっ!」
Mラミリツがセイバーを前方のマシーナリーに突き刺し そのまま左手の短銃で 別のマシーナリーを射撃 セイバーに刺されたマシーナリーが脱力すると振り払って叫ぶ
「まだまだぁーっ!もらったぁあーっ!」
Mラミリツが次々にマシーナリーを倒して進む Mシュナイゼルが呆気に取られ シュナイゼルが言う
「す、凄い…っ 普段であっても 我々を凌駕する 隊長の剣術が 更に研ぎ澄まされた上に… もう片方の手には短銃を…っ 異なる2つの武器を使いこなしての この戦いっ」
ART2隊員が言う
「まるで… 政府の親兵攻長と 国防軍の攻撃の兵士… の様ですね?副隊長?」
ART2マシーナリーがMシュナイゼルへ向いて言う
「我らART2の隊長は 正しくっ アールスローンの攻長っ!その名に相応しい お方ですっ!シュナイゼル副隊長っ!?」
Mシュナイゼルが言う
「うむっ 正しく その名に相応しい お方であると…っ」
無線が入り ラミリツの声が聞こえる
『ART2!どうしたっ!皆 付いて来いっ!我らの正義の名の下にっ!奴をっ!ネロ・アーク・フォライサーを…っ!』
ART2隊員たちがハッとして表情を強める ラミリツが叫ぶ
「ぶっ飛ばしてやるぜーっ!」
ART2隊員たちが衝撃を受ける Mラミリツが前方のマシーナリーを殴り飛ばす マシーナリーの中央に大穴が開いて倒れる ラミリツが言う
「ART2!進行ーーっ!」
ART2隊員たちの無線が聞こえる
「「りょ、了解!隊長っ!」」
Mラミリツが短銃の弾倉を取替えセイバーを捨て 新しいセイバーを装備して思う
(戦えるっ 怖くない!そうだ まるで あの時みたいにっ …以前の時も 僕は あのライブ会場で 1人で 観客たちを庇う為に 囮になって時間を稼ごうと 大勢のテロリストたちを 相手にした)
Mラミリツが前方を見る 敵マシーナリーたちが起動し始める ラミリツが視線を強めて思う
(1対多数… 僕の一番苦手とする戦況… だけど 僕は 怖くはなかったっ それは…っ)
ラミリツの記憶に以前の記憶が蘇り アニキの姿とギターの音が聞こえる ラミリツが微笑して第3モニターをチラッと見てから苦笑して言う
「出来る事なら今回も …貴方と一緒に戦いたかったですっ」
ラミリツが思う
(でも 不思議だ… もしかしたら僕は 僕の記憶の中にある音を 聞いているのかな?)
ラミリツが言う
「レッテには悪いけど… 今の僕の耳には アニキのギターが聞こえてるっ!…行くよっ!?アニキっ!?やぁああー!」
Mラミリツが敵マシーナリーへ向かって行く ART2マシーナリーたちが戦闘に参加して行く
【 帝国 】
アースがギターを弾きながら 空間モニターのラミリツに苦笑してから言う
「ART司令塔!ART1及びART2のバックアップ体制を強化させろ!先行隊員のサポートを優先に 後衛隊員を使い 弾薬とセイバーのバッテリー供給を行わせろ!」
グレイゼスの声が聞こえる
『了解!司令官!』
アースがエレキギターを響かせて笑む
【 ARTゼロ 】
ARTゼロマシーナリーたちが次々敵マシーナリーを撃破して進んで行く Mシェイムが追う中で シェイムが周囲のモニターを見て言う
「す、凄い… これが 身体補佐能力のマスターたちで構成された ARTゼロの実力っ …流石はナノマシーンを用いて マシーナリーを自在に動かしていると言うだけの事はある そして私は…」
Mシェイムが言う
「私も同じく 身体補佐能力のマスターである 筈なのですが…っ」
ARTゼロマシーナリーたちが周囲で射撃を行う シェイムの脳裏に声が聞こえる
『今の我らに 恐れるものは無い』
シェイムが疑問して顔を上げると 脳裏に声が聞こえる
『マスターの仲間たち 心配は要らない』 『進もう 我らの神と共に』 『神の力と共に』 『我らには 我らの神が共に在る 恐れは不要』
シェイムが言う
「恐れていた?貴方方は 一体何に…?神が共に在ると言う事は…?」
シェイムがハッとして第3モニターを見て言う
「ま、まさか ナノマシーンは こう言った音楽が好みだと?…うぅ 流石は 常に 最下層のマスターたちと 共に在るというだけの事は…」
Mシェイムが停止して脱力する シェイムが衝撃を受けて言う
「えっ!?こ、こんな所でっ!?」
Mシェイムの肩に座っていたラミが言う
「あ~ら?こんな所で?休んでいる暇は無いと思うのだけれど?」
グレーニッヒが言う
「ヒーヒッヒッヒッヒッ!あぁ~ 可笑しいねぇ?彼らは皆 思いは同じ… 本人の深層心理もまた同じだと言うのに… 人は何故 己の想いに素直になられないのか… それは やはり…」
グレーニッヒが杖を変えて言う
「深い深い 闇の魔力が 君の周囲に集まりつつあるみたいだよぉ~?ヒーヒッヒッヒ 怖~い 怖~い… ヒッヒッヒッ!」
Mイリンゼスが戻って来て言う
「おいっ こらっ!シェイム!好い加減 気合を入れ直せよっ!?アールスローンの為に 戦うんだろう!?お前の戦いは まだ終わってないんだぞっ!?」
シェイムが顔を上げて言う
「わ… 私の…?戦い?それは…」
シェイムが過去の戦いを思い出し 表情を強めて言う
「…そうでしたっ 政府が立て直したと言う事で 気が抜けていましたが …しかし 私が行いたかった事は!政府に蔓延っていた 政府重役の改革だけではなくっ」
Mシェイムが起動する Mシェイムがセイバーを手にして言う
「悪を制し正義を貫く!」
シェイムが意を決して言う
「正義は 今 我と共に在るっ!」
Mシェイムが瞬時に突っ切る ラミが振り下ろされて言う
「あんっ」
Mシェイムが前方の敵マシーナリーを倒し突っ切って行く ラミが言う
「あ~ら 急に素敵な騎士様に 変身しちゃったわぁ?」
グレーニッヒが周囲の闇の魔力を吸収しながら言う
「ヒーヒッヒッヒッ!彼の周囲に居た 闇の魔力たちが振り払われちゃったねぇ?嫉妬と言う名の 闇の力が 彼を蝕んでいたのか…?もしくは 彼自身が そちらの魔力を求めていたのか…?人は不思議と 自ら進んで闇に手を染めようとする 生き物だからねぇ?」
ラミが言う
「あたしは~ 闇に染まった 殿方は好みだけど~?」
ラミがグレーニッヒの頬に触れる グレーニッヒが言う
「ヒーヒッヒッヒッ あぁ… 怖い怖い… ヴァンパイアさんは それこそ 闇の神様の子供たちだから… 折角のお誘いだけど 小生はこれ以上 闇に染まるのは ご遠慮させてもらいたいのでねぇ?ヒーヒッヒッヒッ!」
グレーニッヒの体が砂に替わって崩れ落ちる Mイリンゼスが衝撃を受けて言う
「げぇええっ!?す、砂になっちまったぁあ!?」
ラミが言う
「…さっきから 砂だったわよ?」
Mイリンゼスが言う
「え!?」
ラミがMイリンゼスの肩に乗って言う
「それより 大分遅れちゃったわ?さぁ?急いで 前線へ向かって頂戴?アールスローンの騎士様?」
Mイリンゼスが言う
「へいへい 俺はアールスローンの騎士様というより 騎士様の馬ですよ~」
Mイリンゼスが滑走して行く
【 ART司令塔 】
オペ子Aが言う
「ART1マシーナリー前方モニターより ART1前方に不審障害物を確認 情報解析 上空サーモセンサーより反応あり!」
ラキンゼスがオペ子Aを見てから正面へ向いて コンソールを操作しながら言う
「ART1先行隊員 気を付けろっ!前方!何か来るぞっ!」
マリアがハッとしてラキンゼスを見る スピーカーから隊員Bの声が聞こえる
『えー?何かってー?』
ハイケルの声が聞こえる
『回避だっ!ナクス隊員!ヴェイル隊員!』
皆がモニターへ向く
【 ART1 】
M隊員NとM隊員Vが立ち止まり 隊員Nが言う
「あぁ?何だってっ!?最高の俺たちに 怖いものはねぇぜー!」
隊員Vが言う
「おうよー!何でも来やがれぇー!」
通路の先から大量の水が押し寄せる M隊員NとM隊員Vが衝撃を受け 隊員Nが叫ぶ
「水ーっ!?」
隊員Bが叫ぶ
「回避ー!」
隊員Vが叫ぶ
「どうやってーっ!?」
M隊員NとM隊員Vが思わず防御体制を取る シュイがその前に降り立ち 杖を構え大量の水を押さえる ART1マシーナリーたちが追い付くと呆気に取られ ハイケルの意識が驚いて言う
「あの大量の水を…っ 押さえた だとっ!?」
シュイが杖を振るうと炎が水を蒸発させる ART1隊員たちが呆気に取られて 隊員Aが言う
「しかも、その上 …蒸発させた?」
隊員Bが驚いた状態から喜んで言う
「す… す… すっげー!チョーすっげー!」
【 ART司令塔 】
グレイゼスが驚いて言う
「あれが… 魔法…っ!?」
マリアがホッと胸を撫で下ろす ラキンゼスがヘッドホン端子を手に顔を向けると スピーカーから隊員Bの声が聞こえる
『アッちゃん!見た見たー!?今の 魔法だよ!魔法ー!』
隊員Aの声が聞こえる
『あ、ああ… 見てたよ 皆 見てたって… バイちゃん…』
オペ子Aが言う
「ART2への障害も ART1と同じく 援軍のウィザードによる 解消を確認」
マリアがハッとしてモニターを見る
【 ART2 】
Mラミリツが息を切らせつつ言う
「はぁ… はぁ… 助かりました アイザック・シュテーゲル殿」
アイザックが自身の後方に居るMラミリツを見て頷く ラミリツが気を落ち着かせて思う
(ちょっと ノリ過ぎちゃったかな…?…よし それなら 気を取り直して ここからは…)
Mラミリツが短銃を収納して 後方を向いて言う
「ここからは 通常態勢にて向かう!ART2 進行っ!」
Mラミリツがセイバーを振るう ART2隊員たちが言う
「「了解!隊長!」」
シュナイゼルが微笑して頷く
【 ART1 】
MハイケルがART1隊員たちへ向いて言う
「ここからは 通常隊列にて向かう ナクス隊員 ヴェイル隊員 お前たちも 一度隊列へ戻り 体力を回復させろ」
隊員Nと隊員Vが気付き 微笑して言う
「「了解!少佐ぁー!」」
Mハイケルが正面を向いて言う
「ART1 進軍!」
ART1隊員たちが言う
「「了解!少佐ぁー!」」
【 ARTゼロ 】
大量の水が流れ去る 土の壁に守られていたARTゼロマシーナリーたちの最前列 Mシェイムの中 シェイムが呆気に取られている グレーニッヒが笑って言う
「ヒーヒッヒッヒッヒッ!勇敢な騎士様の戦意も あの水と一緒に流れ去ってしまったかなぁ?ヒーヒッヒッヒッ」
Mシェイムが気を取り直して言う
「いえっ!確かに 少々洗い流された分はありますが 我らARTゼロは エーメレスを!…いえっ!ターゲットの居る 最深部を目指して 突き進むのみっ!」
イリンゼスが呆れて言う
「折角のキメ台詞も 弟への本心が漏れて 台無しだぞ?シェイム?」
Mシェイムが衝撃を受けて言う
「そ!?そちらこそっ 先ほどの水に流して下さい 先輩っ!」
グレーニッヒが笑う
「ヒーヒッヒッヒッヒッ!」
ラミが言う
「あら?ブラコン?」
Mシェイムが衝撃を受ける
【 ART司令塔 】
オペ子Bが言う
「ARTゼロも障害クリア!作戦続行!」
グレイゼスが頷いてから言う
「良し センサー類から目を離すな!僅かな異常も 直ちに報告を行え!」
周囲の隊員たちが言う
「「了解!中佐!」」
マリアがハッとしてから 一度気を落ち着かせてから ラキンゼスの席を見て 視線を逸らす
【 ART第二訓練所 】
Mシーナの中 シーナが機動部隊のモニターを見て居て言う
「…あ 戻っちゃった?あ~あ… さっきまで 最高にマシーナリーと銃火器を使いこなしていたのに …ラミリツ隊長も 最高の操舵をしていたのに?」
シーナが息を吐いて言う
「勿体無い… どうして 戦い方 戻しちゃったのかな?もう… ホント」
シーナがコンソールに挟んだチケットを眺めて言う
「勿体無い… 何してるんだろう?私…」
【 ART1 】
Mハイケルが銃撃を終え前方を見ると気付いて言う
「通路が終わる…?ART司令塔!応答を!」
ラキンゼスの声が聞こえる
『こっちでも確認している ハイケル少佐 通路の先は…っ!』
【 ART2 】
Mラミリツが通路を抜けて言う
「ART2通路の先へ到着した!状況報告… …これはっ」
ART1マシーナリーたちと ARTゼロマシーナリーたちが到着する Mハイケルが言う
「通路の先 大量の敵マシーナリーを確認 その数… 算出不能だ 数え切られない」
ラミリツが言う
「例えるなら… 壁に見えるほど大量で その先が把握出来ないよ …映像 見えてる?」
グレイゼスの声が聞こえる
『いや こちらには 現在 ARTマシーナリーからの映像データは届いていない 熱源モニターは感知しているが 出来るだけ 状況を説明してくれ!』
ラミリツが言う
「了解 状況は…」
【 帝国 】
空間モニターにデータが表示される アースが言う
「この空間は 周波数攻撃が停止されているのか?何故だ?」
皇帝がやって来て言う
「そちらを 気に止める 要はあらずして」
アースが慌てて言う
「皇帝っ!今 ここに来ては…っ」
【 ART司令塔 】
グレイゼスが驚く 皇帝の声が聞こえる
『良い… アース 先の攻撃はネロにとっても 不快なるもの 故に 今 その方が仲間の下へは』
周囲の隊員たちが呆気に取られ ラキンゼスが言う
「これが… この声がっ 陛下のお声でしょうか!?マスターグレイゼス中佐!?」
ラキンゼスがグレイゼスへ向く グレイゼスがハッとして言う
「い、今はっ それどころじゃないっ!総員っ!サポート体制を続行っ!」
周囲の隊員たちがハッとして言う
「「りょ、了解 中佐!」」
グレイゼスがモニターへ向き SoundOnlyへ視線を向ける アースの声が聞こえる
『その攻撃が無いという事 つまり この場所に居るという事だな?奴がっ』
グレイゼスが言う
「ART機動部隊っ!聞こえるかっ!その場所には!」
【 ネロの城 】
Mハイケルの足元 リックが言う
「ああ… 居やがるんだろぉ?野郎が… 俺らをぶっコロそうなんざしやがる ふざけた神様がよぉ?」
Mハイケルからアースの声が聞こえる
『エリックアーベスト 聞こえているか?ゲートは?』
リックが言う
「思った通り あの門を抜けてから ゲートへの信号が途絶えちまった …生憎だが ここへは開いてやれねぇよ?ハブロ」
アースの声が聞こえる
『そうか では…』
物音と共にライトが点灯する 皆が反応して顔を上げると ライトの光量が増し リックが気付いて言う
「くっ!?こいつはっ!」
ヴァンパイアたちがARTマシーナリーの影に隠れる ラミリツがヴァンパイアたちの様子に気付き モニターを見て言う
「空間モニター 外部空間データの数値が!…紫外線率上昇!」
リックが言う
「くそっ!おいっ!ヴィンっ!?てめぇの装備は!?」
ヴィンが言う
「生憎 服や薬で防がれる線量を越えている マシーナリーなどの 重厚物で防ぐ程でなければ」
グレーニッヒが帽子のつばで光を遮って言う
「ヒッヒッヒ… 眩しい眩しい… 最も 紫外線に焼かれてしまうヴァンパイアさんほどじゃぁ無いけどねぇ?ヒッヒッヒッ!」
ラミがARTゼロマシーナリーの陰で言う
「なによ~?これじゃ あたしたちの活躍は 無しって事なのかしらぁ?」
リックが言う
「500年前の てめぇがまだ若けぇ頃には 散々活躍しやがっただろ ラミ?そのせいで 今度は先手を打たれちまったんだろうぜ?」
ラミが衝撃を受けて言う
「一言 余計よっ リック!」
アイザックがグレーニッヒへ言う
「叔父上 貴方の 闇の魔法で彼らを守る事は?」
グレーニッヒが言う
「ヒッヒッヒッ… 分からないのかい アイザック?神の目前で我々ウィザードが その神様から頂いた魔法を 放てると思っているのかなぁ?分からないのなら 魔法使いの養成学校からやり直しだよぉ?ヒーヒッヒッヒッヒッ!」
アイザックが表情を顰めて言う
「その神に選ばれたほどの 貴方であるのなら 可能かとも思ったのだが …それでは やはり我々では?」
Mラミリツが言う
「援軍の皆さんは 後方へ避難をっ!ここからは 我々ARTが戦うっ!」
ARTマシーナリーたちが構える MハイケルがMラミリツへ向いて言う
「待て 単純計算でも 我々の残りの弾薬やチャージでは あの大量のマシーナリーは倒しきられない」
ラミリツが言う
「それじゃ アンタはここで 引き返せって言うのっ?」
Mハイケルが言う
「そうは言わないが …グレイゼス 指示をっ」
物音がしてライトが追加される ラミリツが言う
「今度は 何っ!?」
ラミリツがモニターを見ると モニターの表示にジャミングが発生する ラミリツが疑問して言う
「これは…?」
周囲の計器が点滅する グレイゼスの声が聞こえる
『ART全マシーナリー 直ちに ピットロックを解除しろ!閉じ込められるよりは マシだっ!急げっ!』
ラミリツがハッとして言う
「まさかっ 起動状態が解除される!?ART2総員っ」
Mハイケルが言う
「ピットロックを解除しろっ!急げっ!」
ARTマシーナリーが全て停止して脱力する シェイムが前方のコックピットの隙間を見て言う
「…間に合った?」
シェイムがホッと胸を撫で下ろすと マシーナリーの起動音がする シェイムがハッとして顔を上げて言う
「誰かのマシーナリーが 起動した?…え?」
ARTマシーナリーたちの前方で 敵マシーナリーたちが一斉に起動する シェイムが驚いて言う
「…そんなっ 敵のマシーナリーが!?」
ハイケルがEランク設定ユニットを脱いで言う
「最初から これが狙いかっ!?」
ラミリツが一瞬呆気に取られた後 プラズマセイバーを握り 視線を強めて言う
「…やるしかないっ!」
ラミリツが立ち上がる
【 帝国 】
アースが言う
「皇帝 貴方の力を使い 奴の力を相殺する事は?」
皇帝が言う
「我に残されし力は ネロには及ばず」
アースが言う
「分かった では彼らが時間を稼いでいる その間に」
皇帝が言う
「されど アース」
アースが皇帝を向く 皇帝が言う
「その方は 方々へと別れし 我らの力を集めしとある」
アースが言う
「しかし 現状は ヴァンパイアもウィザードも その力を使う事が出来ない そして 私の …我々ARTの仲間となった マシーナリーたちも 奴の力に止められてしまったっ そうとなれば その他の力を使う他に無い 直接 奴を倒す事には繋がらなくとも その衝撃で ともすれば 現状の彼らを助ける事も…っ」
皇帝が言う
「力は 集まれば強き 散れば弱きに在りて 必要とされる力もまた 集約されねば 放たれぬ」
アースが言う
「必要とされる力は十分に集めたっ しかし 現状は それが使えないのだろうっ!従って この状態を打破する方法が必要なんだ!」
空間モニターにART機動隊員たちが 生身でマシーナリーと戦っている様子が映っている アースがそれを横目に見てから言う
「…彼らを守る為にっ」
皇帝がアースを見て言う
「…そうよな なれば アース?その方は今 何と在るべきか?」
アースが言う
「私が …何と?」
皇帝が言う
「我は その方へ伝えたし 我が力 与えてはおらぬと なれば その方の持つ力は 何と共に在るのか?」
アースが言う
「私の力…?それは このアールスローンを守る シールドを展開させる力と… …っ!」
アースが気付く 皇帝が微笑する
【 ART司令塔 】
周囲の隊員たちが慌しく操作をしていて オペ男Aが言う
「熱源モニター正常っ しかし 上空からの映像では 現状 マシーナリーを降りたものと推測される ART隊員らの様子は把握し切れませんっ」
オペ男Bが言う
「ARTマシーナリーは全機 機動回路への信号が届きませんっ 直前のデータより 強力な電波障害に晒されているものと推測 解除方法及び対処法を検証中 研究部マスターたちからの返答… 思わしくありませんっ」
オペ子Aが言う
「ART2生命感知データ正常!データ届いていますっ!」
オペ子Bが言う
「ARTゼロも同じくっ しかし 隊員各員のナノマシーンの補助信号は感知出来ませんっ!」
ラキンゼスが言う
「ART1同じく 悪魔の兵士 ハイケル少佐のデータには 異常ありません …しかし このままではっ 彼らの持つ武器弾薬だけでは とても倒し切れないっ 中佐 撤退指示をっ!今なら ギリギリ間に合うかもしれませんっ!中佐っ!」
皆がグレイゼスを見る グレイゼスが熱源モニターの映像を見ながら言う
「…いや 数の問題じゃない 人の足では 撤退は間に合わない」
グレイゼスが思う
(…それなら?第二第三作戦を決行させるかっ?国防軍からのミサイル攻撃?政府警空部隊による 上空からの襲撃?…いや 駄目だっ それを行うには 現状は既に隊員たちが散り過ぎている 彼らの回避が間に合わないと言う可能性が…っ とは言え やらなければ このままでは現地の者が ――全滅するっ!)
マリアがグレイゼスを見てから レイへ向いて言う
「ウィザードさまっ」
レイが気付いて言う
「ん?ああ、大丈夫だぞ マリア?この国のアークが 行くって言うんだからさ?」
マリアが言う
「え?この国のアークって…?」
グレイゼスがマリアとレイを見る スピーカーからアースの声が聞こえる
『ART司令塔 応答を』
グレイゼスがハッとして言う
「ハブロス司令官っ!」
【 ART第二訓練所 】
第3モニターが消えている シーナが熱源モニターの状態を見ながら言う
「マシーナリーが使えない状態で 使えたとしても この数が相手では…っ」
シーナが思う
(時間の問題…っ もう 勝てないっ!)
シーナが表情を悲しめて言う
「皆…っ 壊されちゃう…っ」
通信ブザーが鳴り グレイゼスの声が聞こえる
『シーナ隊員!聞こえるか!?』
シーナがハッとして言う
「マスターグレイゼス中佐っ!?はいっ 聞こえていますっ!」
グレイゼスが言う
『ART司令官より 君への特別指令だっ』
シーナが言う
「ハ、ハブロス司令官から… 私への?…っ!?」
Mシーナの前に レイとマリアが現れる グレイゼスが言う
『良いか シーナ隊員?』
シーナがハッとして言う
「は、はい 指令ですね!?そちらは?」
グレイゼスが言う
『これより君をマシーナリーと共に 現在戦闘中のネロ・アーク・フォライサーの居城前へと送らせる』
シーナが驚いてから言う
「わ、私を…!?しかし…っ 現状では マシーナリーは使えないのではっ!?」
グレイゼスが言う
『マシーナリーの信号を遮る そちらの電波障害は 現行ART機動隊員らが居る その空間のみだ 通路にまでは達していない 従って シーナ隊員 君は…』
レイの声が聞こえる
「よーし それじゃ ピンク色の鉄の巨人!聞こえてるかー?」
シーナがハッとして外部モニターを見る 第二訓練所のゲートが開く レイが周囲に風の力を集めていて言う
「お前を 俺のデカイ魔法の一発で アウターまでぶっ飛ばしてやるからなー!?」
シーナが衝撃を受けて言う
「えっ!?えっと…っ!?」
マリアが言う
「シーナさん!頑張って下さい!私っ 応援していますから!」
シーナがハッとして言う
「マリアさん…っ」
マリアがレイへ向いて言う
「それと ウィザードさまっ?ぶっ飛ばすのは良いですが 危なくない様に ちゃんと 着地をさせてあげて下さいね?乗っているのは 今度は 女性ですからね?」
シーナが呆気に取られる レイが言う
「ん?そうなのか?良く分かんないけど マリアが言うなら そうしてやるよ?マリア!」
マリアが微笑してからMシーナへ向く シーナが呆気に取られた状態から苦笑して言う
「お心遣いを 有難う御座います マリア・シュテーゲル様」
マリアが微笑する レイがアークの姿になって言う
「お前たちの神様の所へ 到着しろー!」
レイが杖を振るうと Mシーナのボディが風に包まれる シーナが呆気に取られて言う
「え?私たちの… 神様?」
Mシーナが風に消える マリアがゲートの外へ向き祈りの手を合わせる レイがウィザードの姿に戻って言う
「ふぅ… やっぱ デカイ魔法の一発を 2回もやるのは疲れたよ マリア そろそろ時間だし 帰ってお茶でも飲まないか?」
マリアが衝撃を受けて言う
「お、お茶でもって…っ!?世界を救う戦いの時に 何を言ってるんですかっ!?ヴィザ-ドさまっ!?」
【 アウター 】
Mシーナが飛んで来て シーナがハッとして言う
「急降下 緊急着地っ!」
シーナが操縦桿を引くとMシーナの背から一瞬急ターボ排気がなされて衝撃を緩和させて着地する シーナが着地の衝撃に表情を顰めて言う
「うぅっ…!」
Mシーナが着地して屈めていた上体を上げる シーナがモニターを見ながら言う
「マシーナリー状態確認!各機関及び間接 接合異常なし マシーナリー状態Sランク オールグリーン!」
アースの声が聞こえる
「よし では早速 任務開始だ シーナ隊員」
シーナがハッとして言う
「え?…しゅ、周囲モニター起動!」
Mシーナが振り向いた先に RDD001マシーナリーが居る シーナがハッとして言う
「ART最新マシーナリー 防衛特化RDD001マシーナリー!?」
シーナがモニターを見て言う
「操縦者はっ!?」
モニターに検索中表示がされる 周囲無線からアースの声が聞こえる
「操縦者は私だ 時間が無い 急ぐぞっ!」
シーナが驚いて言う
「ハ、ハブロス司令官がっ!?それでは 一体っ!?」
Mアースが言う
「任務内容を聞かずに来たのか?では 直接伝える ART1シーナ隊員」
シーナがハッとして言う
「はいっ!ハブロス司令官!」
アースが言う
「私を ネロ・アーク・フォライサーの下へ 連れて行け 命令だっ」
シーナが驚いて言う
「ハブロス司令官をっ!?そんな…っ どうしてっ!?」
Mアースが言う
「ART司令官命令だ ARTの隊員であるのなら 直ちに従え」
シーナが呆気に取られた後 意を決して言う
「りょ、了解っ 司令官!」
アースが軽く笑って言う
「フッ… わざわざ 温存して置いたのだからな?期待しているぞ?」
シーナが呆気に取られてから 喜んで言う
「温存して?…りょ、了解っ!ご期待に沿いますっ!司令官!」
アースが微笑する
【 ネロの城 】
ART1隊員たちが銃撃を行って居る ハイケルが言う
「ART1は210及び330マシーナリーを優先しろ!ART2 ラミリツ隊長!」
ラミリツがM420を倒して言う
「了解!ART2は420マシーナリーを優先っ!プラズマセイバーなら 一撃で倒せるっ!」
ART2隊員たちが言う
「「了解!隊長!」」
ART1隊員たちが言う
「「了解!少佐ぁー!」」
ハイケルが周囲を見て言う
「しかし このままでは…っ」
ハイケルがイヤホンを押さえて言う
「グレイゼス!?作戦はっ!?」
イヤホンからグレイゼスの声が聞こえる
『現状維持だ 何とか そのまま時間を稼いでくれっ』
ハイケルが言う
「時間を?では 何か策が?」
グレイゼスが言う
『今そちらへ…』
ラミリツが叫びながらM420へセイバーを突き刺す
「やぁああーっ!」
【 通路 】
Mシーナが次々に銃撃を行い通路を滑走する 少し遅れて Mアースが続く シーナのマシーナリー内にオペ子Aの声が聞こえる
『15度210メートル330!2ショット!30度220メートル210!1ショット!25度223メートル420!3ショット!…起動回路の位置も伝えたほうが良い?シーナっ?』
シーナが言う
「大丈夫!起動回路の位置は 熱源と識別信号からのダブルセッティングが生かされてるし 私自身でもチェック入れてるから!現状のままで お願い!」
オペ子Aが言う
『了解!直進200メートル敵影なし』
グレイゼスが言う
『シーナ隊員 聞こえるか?』
シーナが言う
「はいっ!中佐!」
グレイゼスが言う
『よし では よく聞いてくれ シーナ隊員 今 君が護衛しているのは 我々ARTの司令官と 言うだけではないんだ』
シーナが一瞬呆気に取られて言う
「え…?あの… えっと…?」
シーナが後方モニターでMアースを見る グレイゼスが言う
『詳しい事は言えないが 何にしても ハブロス司令官を失えば 我々アールスローンに生きる者に… いや、この世界に生きる者に 未来は無い!』
シーナが驚いて言う
「え…っ!?あ、あのっ?中佐?」
グレイゼスが言う
『従って 何としてでも 今 君の後ろに居る ハブロス司令官を 守るんだ 良いな?シーナ隊員?』
シーナがハッとして言う
「は、はいっ 了解っ!」
グレイゼスが言う
『本当に分かったか?機動隊員の心得は 任務達成への忠義だ …その意味を 思い出すんだぞ?ART第一機動部隊隊員 シーナ隊員』
シーナが言う
「機動隊員の心得…」
オペ子Aの声が聞こえる
『角度30度220メートル210!1ショット!』
シーナがハッとして気を引き締める
Mアースの中 周囲のシステムは起動していない アースが腕を組んだ状態で 正面に見える透明シールドの先へ視線を向けていて言う
「マスターグレイゼス中佐 シーナ隊員へ何か言ったな?」
イヤホンにグレイゼスの声が聞こえる
『はい?何かとは?』
アースが言う
「とぼけるなよ?シーナ隊員の動きが変わった 任務中に余計な事を吹き込んだのだろう?」
グレイゼスが言う
『あー… そうでしたかね?すみません 彼女の元上官として 機動隊員として 頑張れと 伝えたのですが…?何か まずかったでしょうか?』
アースが言う
「機動隊員として…?そうか そちらであるなら 特に 問題は無いと思うが…」
アースが考えながら思う
(それにしては 動きが堅くなったように見えるのだが…?)
Mシーナの中 オペ子Aの声が聞こえる
『25度220メートル420!3ショット!35度225メートル420!3ショット!…大丈夫?シーナ?反応に遅れが出てきてる』
シーナが ハッとして焦りを押さえて言う
「大丈夫っ!続けて!」
シーナが表情を強張らせて思う
(…駄目っ 今は考えないで …戦えば良いっ 戦って勝てば良い!倒してしまえば…っ …やられる前にっ!)
シーナが第3モニターを見て言う
「第3モニター起動っ!」
第3モニターが起動して ナックキラーライブの映像が映る シーナが正面モニターを見て思う
(さっきの皆みたいに 私も これで…っ!)
第3モニターでナルが言う
『続けてキメるのは メステゲレンダーだ!最後はハデに決めてやるよ どーだ最高だろうっ!?』
第3モニターから観客の声が聞こえる
『最高ー!』 『レッテー!』 『レッテ!最高ー!』
シーナがモニターをチラッと見て言う
「レッテ…っ お願いっ 私に 力を貸して!」
シーナが正面を向いて気を引き締める 第3モニターでレッテが観客の声援に応えている
【 ART司令塔 】
ベイゼスがグレイゼスへ向いて言う
「マスターグレイゼス中佐 シーナ隊員が第3モニターを起動させて ナックキラーのライブ中継を聴いてる 演奏曲は丁度メステゲレンダーだ あれなら既存の物があるから 差し替えようか?…と言っても 差し替えはギターだけとは行かないから 丸々変えれば もしかしたら バレるかも知れないけど」
グレイゼスが言う
「いや 現状維持で大丈夫だ シーナ隊員の周囲のデータに異常は無い 恐らく… ハブロス司令官が近くに居る事で その力が防がれているのだろう」
ベイゼスが言う
「あ、いや… そうじゃなくて?俺が言ってるのは 彼女の発言から シーナ隊員は自身の戦意を上げる為に モニターを付けたんだから その為にも アニキの音が入っていた方が 良いんじゃないかって…?」
グレイゼスが一度ベイゼスを見てから言う
「それは… …俺には分からないけど 同じ曲でも ライブ音源とは違うって事が気付かれると 返って混乱させるだろ?防衛手段の作戦としての それは今 必要ないんだから 余計な操作はしない方が良い」
ベイゼスが言う
「そぉ… ッスか?まぁ マスターグレイゼスが… そう言うのなら?」
ベイゼスが首を傾げて言う
「ナックキラーファンとしては… 良い案だと思ったんだけどなぁ…?」
ランコックがやって来て言う
「おうおう?どうなってる?映像は見られて… あーっ なんだぁ… もう 熱源センサー映像かぁ 折角 最新マシーナリーRDD001の 初披露目だったてぇのに…」
ベイゼスがランコックへ向いて言う
「あ、俺はちょっと見たけど?」
ランコックが反応して嬉しそうに言う
「おうっ!それなら どうだった!?良いだろうっ!?良い感じだったろぉっ!?」
ベイゼスが呆気に取られて言う
「え?そうかなぁ…?」
ランコックが衝撃を受けて言う
「はぁっ!?この野郎っ やっぱり 分かってねぇなっ!?おめぇさんも マスターの端っこなら 良い感想が聞けると思ったのによ?」
ベイゼスが言う
「端っこじゃねぇからっ!?俺は 一見はこう 軽く見られてもさ?それなりのマスターだよ?…強いて言うなら 真ん中の端っこ位だってのっ」
ランコックが言う
「やっぱ 端っこじゃねぇかっ?そんなんじゃ 知らねぇんだろ?あのRDD001のモチーフの”そのもの”だってよ?」
ベイゼスが言う
「実物 知る訳がないだろっ!?それでも いくらなんでも ペジテ王の鎧が 黒って事は無いと思うぜ?大体 ペジテ王の姿は現代だって 色々と…」
ランコックが言う
「あん?なんたって 今ここで ペジテ王が出て来るんだぁ?」
ベイゼスが衝撃を受けて言う
「はぁっ!?何でって…」
ランコックが言う
「俺が聞きたいのは あのRDD001のカラーリングの感想だぁ… お前さん ちょっと見た って言っただろぉ?」
ベイゼスが言う
「ああ、見たよ?だから 言ってるんだよ ペジテ王をモチーフにしたんなら せめて 銀と金の2色にするべきじゃねぇか?って?」
ランコックが言う
「だーかーらー!何でそこで ペジテ王が出て来るんだっ!?大体 お前さんは あの時言われた ARTゼロのモチーフしか聞いてねぇだろ?」
ベイゼスが言う
「ああ、そりゃそうだけど その時の会話で分かるって?ARTゼロをアールスローンの騎士 …ナノマシーンを仲間にした 親兵攻長に見立てた上で あっちはもう一人の方 ハブロス司令官が使う 裏方にするって言ってたんだから やっぱり… うん?裏方?もう一人のって …あら?」
ランコックがニヤリと笑う ベイゼスが悩みながら言う
「俺は ハブロス司令官が使う って聴いた瞬間から… てっきり そうと思っちまってたんだが …よくよく考えれば?」
ランコックが言う
「おうっ 端っこマスター 流石に分かったか?」
ベイゼスが言う
「その端っこマスターって やめてくれよっ!?…それじゃ あれは ペジテ王じゃなくて …親兵攻長と もう一人 …ひょっとして 親兵防長か?」
ランコックがベイゼスの頭を撫でながら言う
「おうおう!そうだそうだっ 良く分かったなー マスター端っこ!」
ベイゼスが頬を染めつつ嫌がりながら言う
「ベイゼスだっ マスターベイゼスっ!」
オペ子Aが言う
「そのまま直進300メートル 起動マシーナリー無し!…けど おかしい 熱源センサーには反応があるのに そのマシーナリーたちが起動しないなんて」
グレイゼスとベイゼスが顔を向ける オペ子Aが言う
「何かあるかもしれないっ シーナ!気を付けてっ!」
ランコックが周囲を眺めて疑問する
【 ネロの城 】
ラミリツがセイバーを引き抜くとイヤホンを押さえて言う
「こちらART2!チャージ残量半分を切ったっ 補給や援軍の手配はどうなってるのっ!?」
イヤホンにグレイゼスの声が聞こえる
『補給や援軍と言う訳ではないが 今そちらへ…』
通信にノイズが入る ラミリツが反応すると同時に後方で物音がする ラミリツが振り返ると驚いて言う
「通路が塞がれるっ!」
グレイゼスが言う
『通路が…っ!?ラミリツ隊…』
通信が切れる ラミリツがハッとして言う
「ART司令塔っ!応答をっ!マスターグレイゼス中佐っ!?」
ハイケルがイヤホンを押さえて言う
「通信が途絶えた そして… 我々の退路も同じく」
ハイケルの視線の先3通路の出入り口が完全に閉じる
【 通路 】
Mシーナの後ろMアースの中 アースのイヤホンにグレイゼスの声が聞こえる
『ハブロス司令官っ こちらART司令塔 ART機動部隊との通信が 途絶えましたっ!それから 最後の通信にて 通路が塞がれたともっ!』
アースが言う
「聞こえている それより こちらの通路の先はどうなっている?側面の壁にはマシーナリーの光が見えるが 彼らは出動させられる気配がない この先の熱源反応は?」
グレイゼスが言う
『この先の熱源反応は そちらの通路を切り抜けたART1の時の状況と 誤差はありません』
アースが言う
「彼らが遭遇したトラップは 今度は発動はしなかったが… 他の変化は?」
グレイゼスが言う
『他の変化は何も… 通路の出入り口が 閉じられたと言う事以外に 変化はありません!』
アースが言う
「通路を閉じた… それで 閉じ込めたとでも?我々を?彼らを?他に考えられる事は?」
グレイゼスが言う
『サーモセンサーの計測から マシーナリーを使った攻撃であれば 壁の破壊は可能であると思われます そちらの事から…』
アースが言う
「彼らの退路を?しかし 現状我々が向かっていると言う事は 既に知られている筈 そうとなれば…?」
【 ART司令塔 】
グレイゼスが考えて言う
「現状でも通路の側からであれば マシーナリーによる攻撃は出来る そうとなれば 通路の先に居る マシーナリーを使えない彼らの 退路を絶ったとは言い切れられない… ハブロス司令官とシーナ隊員の行く手を遮る事も出来ないとなれば それは…?」
オペ子Aが言う
「サーモセンサーの反応に変化あり!敵マシーナリーの出動を確認!シーナとハブロス司令官の前方 300メートル!サーモ反応値より 起動マシーナリーの型式が… …こ、これってっ!?」
グレイゼスが言う
「どうしたっ!?相手は何だっ!?」
【 通路 】
Mシーナが急停止して見上げて言う
「このマシーナリーはっ!」
Mアースが止まると言う
「なるほど 奴の意図が読めた」
シーナがモニターを見て言う
「RTD560マシーナリー改 プラズマレーザー搭載機を 確認っ!」
オペ子Aの声が聞こえる
『敵マシーナリーに高エネルギー反応っ!』
グレイゼスの声が聞こえる
『予想高度60!伏せろっ!』
MシーナとMアースがレーザー光線を回避する シーナが言う
「ハブロス司令官っ!下がって下さいっ!私が…っ!」
MシーナがPM700を装備して言う
「奴を倒しますっ!」
アースが顔を向ける アースのイヤホンに オペ子Aの声が聞こえる
『起動回路 3箇所の熱源を確認っ …シーナ!どうするのっ!?』
シーナが操縦桿を操作して言う
「もちろんっ!報告書の通りっ 中央を!」
MシーナがPM700を構える オペ子Aが言う
『敵マシーナリーに 再び 高エネルギー反応っ!』
シーナが言う
「やられる前に 撃つっ!」
PM700が稼動する ラキンゼスの声が聞こえる
『ART1 PM700 出力上昇 超高温プラズマ圧縮装置 異常なし』
オペ子Aが言う
『敵マシーナリーの 高エネルギー反応 上昇中 予想射撃タイミングまで 残り …15秒っ!14、13、12…っ!』
ラキンゼスが言う
『PM700 プラズマ出力最大まで 残り15秒っ!14、13、12…っ!』
オペ子Aが言う
『10、9…っ!』
ラキンゼスが言う
『13、12…っ!』
グレイゼスの声が聞こえる
『必要射撃回数は2回だ!最大まで上げなくて良い!カウント5にて 先行射撃だ!シーナ隊員っ!』
シーナが言う
「了解っ!中佐っ!カウント5にて 先行射撃!ターゲット!起動回路 中央へセットッ!」
アースが正面を見て言う
「中央… …いや、違うっ」
Mアースが言う
「違うっ!中央ではないっ!左だ!」
シーナがハッとして言う
「ひ、左…っ!?」
アースが正面を見て言う
「マスターグレイゼス!光を見ろっ!以前と同じだ 正解の起動回路は 完全な黒では無いっ!」
【 ART司令塔 】
グレイゼスがモニターに詰め寄って見詰める グレイゼスの目に モニターの中でM565の3つの起動回路が黒い光を放っているが 左の一つにオレンジの光が僅かに見える グレイゼスが言う
「見えたっ!シーナ隊員っ!」
【 通路 】
シーナが表情を強張らせて言う
「…え?」
グレイゼスの声が聞こえる
『左だっ!正解の起動回路は左だっ!ターゲット 起動回路は 左へセットっ!』
シーナが言う
「そ、そんな…っ」
ラキンゼスが言う
『8、7…っ!』
シーナが思う
(今から ターゲットの変更なんて…っ!)
ラキンゼスが言う
『6、5っ!』
オペ子Aが言う
『2、1っ!…撃って!シーナ!間に合わないっ!』
シーナがハッとしてトリガーを引く PM700が2連射で放たれ 3射撃目が不発に消沈する M565が一瞬止まった後脱力する M565の中央にプラズマ痕がある シーナが呆気に取られて言う
「た… 倒した?」
シーナがハッとする M565の中央に白い光が集中する シーナが目を見開く
【 ART司令塔 】
オペ子Aが言う
「敵マシーナリーにエネルギー反応っ!敵マシーナリー 自爆しますっ!」
グレイゼスが驚いた後 意を決して叫ぶ
「シーナ隊員っ!最終指令だっ!」
ラキンゼスが驚き グレイゼスへ向く
【 通路 】
シーナが目を見開いて言う
「最終… 指令…っ」
シーナの脳裏に記憶が蘇る
回想
シーナがART1隊員用のキーネックレスを持って来て言う
『マスターグレイゼス中佐 明日から我々ARTの仲間になると言う 国防軍レギスト機動部隊の隊員たちへ渡す キーネックレスの確認 全て終わりました!』
グレイゼスが言う
『ああ、有難う シーナ君 それだけ沢山あると 流石に大変だっただろう?ご苦労様』
シーナが苦笑して言う
『いえ 大丈夫です マシーナリーの調整はもちろん そのマシーナリーと意思を通わせる このキーネックレスの調整をする事も どちらも好きな事なので』
グレイゼスが苦笑して言う
『本当に マシーナリーが好きなんだな?シーナ君は?』
シーナが言う
『はい …出来る事なら マシーナリーを使う 機動隊員になりたかった程ですから』
グレイゼスが言う
『機動隊員に?うん… 気持ちは分からなくもないけど …でも やっぱり シーナ君が機動隊員じゃなくて良かったよ いくら 機動隊員だけが可能な使命とは言え 俺はシーナ君に 最終指令を言い渡す事なんて やっぱり 出来ないと思うからさ?』
シーナが言う
『最終指令?えっと… それは?』
グレイゼスが書類を見せて言う
『知らないだろう?けど機動隊員になる場合は 必ず書かされる書類だ 国防軍でも政府警察の機動部隊でも これは その機動部隊の隊長が 隊員たちへ与える最初の命令にして 必要とされれば 最後の命令ともなるものだ』
シーナが書類を見て驚いて言う
『最終指令への受諾… ”当機動部隊に所属する機動隊員は 任務の遂行に死力を尽くすべし 共に 任務成功の為には 己の命をも持さない事”…っ!?』
シーナがグレイゼスを見て言う
『これってっ つまりっ!?』
グレイゼスが言う
『その最終指令を受けた機動隊員は 命に代えても 任務を遂行しなければならない …それが 機動隊員の心得なんだよ シーナ君』
回想終了
シーナが言葉を失う グレイゼスの声が聞こえる
『その場所にて 防御体制を取れっ!シーナ隊員っ!最終指令だっ!君のマシーナリーを盾に使えばっ ハブロス司令官は 助かるっ!』
シーナの手が震える グレイゼスが叫ぶ
『シーナ隊員っ!君は!ART第一機動部隊隊員 シーナ・ヘレンだ!その君にしか出来ない任務を 遂行しろっ!』
シーナが震えながら言う
「りょ…っ 了解…っ」
シーナが涙を流して正面を見る M565が強い白い光に包まれる オペ子Aの声が聞こえる
『いやぁああ!逃げてぇえ!シーナぁあー!』
シーナが涙を流しながら言う
「さようなら… 皆… 私… 私は…っ」
シーナが思う
(ART初の 女性機動隊員としてっ ここで…っ 任務を… 最終指令を 遂行しないとっ!)
シーナが意を決して正面を見る アースの声が聞こえる
「下がれっ!シーナ隊員っ!」
シーナがハッとして言う
「ハブロス… 司令官…っ」
シーナが思う
(貴方を守らないとっ!)
シーナの脳裏にグレイゼスの言葉が蘇る
『よく聞いてくれ シーナ隊員 今 君が護衛しているのは 我々ARTの司令官と 言うだけではないんだ』
『ハブロス司令官を失えば 我々アールスローンに生きる者に… いや、この世界に生きる者に 未来は無い!』
シーナが言う
「中佐が… そう 言うのだから…っ」
アースの声が聞こえる
「下がれ シーナ隊員っ!命令だっ!――私の命に従えっ!」
シーナがハッとすると キーネックレスが光り Mシーナが勝手に下がる シーナが驚いて言う
「嘘っ!?マシーナリーが 勝手にっ!?」
Mシーナの前にMアースが立ち塞がる シーナが驚いて言う
「ハブロス司令官っ!?」
【 ART司令塔 】
オペ男Aが言う
「RDD001 出力最大 防衛システム起動っ!」
グレイゼスが慌てて言う
「無理だっ!プラズマエネルギーの爆撃には耐え切れないっ!ハブロス司令官っ!下がって下さいっ!」
オペ子Bが言う
「敵マシーナリー出力 臨界突破!爆撃 来ますっ!」
オペ子Aが叫ぶ
「シーナっ!」
グレイゼスが叫ぶ
「ハブロス司令官っ!!」
【 通路 】
シーナが目を見開き息を飲む 一瞬の後 視界が真っ白になって爆音が轟く
【 ART司令塔 】
グレイゼスが目を見開く モニターの数値とデータがジャミングしてから すべてのデータが再計測状態になる グレイゼスが言葉を失う 自身の震える手に気付いてからハッとして言う
「デ、データ類 再収集を…っ い、急げっ!」
周囲の隊員たちがハッとして言う
「りょ、了解!」 「データ類再収集っ!」
オペ子Aがハッとして表情を明るめて言う
「ART1!31号機の信号を確認っ!シーナの…っ!シーナのキーネックレスからの 生命維持信号届いています!」
グレイゼスが驚いて言う
「…ではっ まさか…!?」
オペ男Aが言う
「RDD001 01号機の信号… 確認出来ません サーモセンサーからも最終 熱源位置に… マシーナリー熱源 なし… 現場から シーナ隊員以外の 生命維持信号… 信号… ありませんっ」
グレイゼスと周囲の隊員たちが言葉を失う
【 通路 】
シーナが言葉を失っている オペ男Aの声が聞こえる
『キーネックレスからの信号も 神経接合ユニットからの信号も 共に無し ハブロス司令官の生存… 確認 出来ません…』
シーナが呆気に取られて言う
「確認… 出来る筈… 無い…」
シーナの視線の先 モニターに大破したMアースが映っている シーナが涙を流しながら言う
「そんな…っ どうして…?どうして 私を…っ?」
シーナの涙が膝に落ちる シーナが両手で顔を覆って言う
「私が助かったってっ 何の意味も無いのにっ それなのにどうして!?ハブロス司令官が… いくら私が女性だからって ハブロス司令官の命を使ってまで 助けたりなんかしたって…っ!?そんなのっ!そんな司令官なんてっ!」
【 ART司令塔 】
スピーカーにアースの声が聞こえる
『最低とは 言ってくれるなよ?シーナ隊員』
皆がハッとする ベイゼスが言う
「ハブロス司令官の声がっ!?」
グレイゼスが言う
「ど、どう言う事だっ!?データ類 再チェックっ!生命維持信号及び…」
周囲の隊員たちが言う
「「了解!直ちに!」」
【 通路 】
墨化したMアースの中央部分が蹴り破られる シーナがハッと顔を上げて言う
「…えっ?」
シーナがモニターへ顔を向けると モニターの先Mアースの中から アースが這い出してきて言う
「シートベルトは装着して置くべきだったな… 折角 こいつが守ってくれたと言うのに」
アースが額から流れる血を拭う シーナが叫ぶ
「ハブロス司令官っ!?」
グレイゼスの声が聞こえる
『い、生きてた… のか…?何でっ!?だって データ上ではっ!?』
アースの下へMシーナが走って来て言う
「ハブロス司令官っ!?」
アースがMシーナを見上げる Mシーナが言う
「何で生きているんですかっ!?ハブロス司令官は どのデータでも 死んでしまったってっ!?」
アースが衝撃を受けて言う
「おい 勝手に殺すな…っ」
シーナが慌てて言う
「ああっ!いえっ!そうじゃなくてっ!?」
アースが言う
「それより 先を急ぐぞ 私の守らなければならない仲間は お前だけではない」
シーナが呆気に取られ 墨化したMアースを見てから言う
「守る…?親兵防長…?」
【 ART司令塔 】
オペ子Bが言う
「サーモセンサーに 人物の追加を感知っ!」
オペ子Aが言う
「ART1 31号機へ搭乗者の追加を感知っ 映像確認により… ハ、ハブロス司令官 ご無事… です?」
ベイゼスが言う
「遅いって~ もう声で分かってたジャン?」
モニターにアースの姿が映る グレイゼスが言う
「ハブロス司令官っ!?何故!?どうやって…!?そもそも データ上では… 今も 生存反応が…っ 有りませんが…?」
モニターの中のシーナが衝撃を受けて言う
『えっ!?』
シーナが慌てて自分の隣に居るアースを見る アースが言う
『有る筈が無いだろう?そもそも 私は キーネックレスも神経接合ユニットも使用してはいない もちろん マスターたちの99%のナノマシーンも持ち合わせては居ない そうとなれば 生存反応などは 最初から感知されてはいないのだろう?』
グレイゼスが呆気に取られて言う
「あ… あぁ… そう言えば…?」
グレイゼスが思う
(…いや むしろ俺としては その状態でどうやって マシーナリーを動かしているのかが いつも気になる所なんだが…)
ラキンゼスが言う
「けど まさか 無傷で ご生還とは さっすが!」
ランコックが喜んで言う
「あっはっはっはっ!流石はハブロス家の大旦那様 親兵防長の名は 伊達じゃぁ無いなぁ!?」
アースが言う
『それより 指示が止まっているぞ?ART司令塔 ナビはどうしたっ?』
オペ子Aがハッとして言う
「は、はいっ 了解!司令官!前方200メートル…」
ベイゼスが言う
「それはそうと ランコック整備長?ハブロス家の大旦那様は国防軍長なんだから アールスローン信書の親兵防長じゃなくて アールスローン戦記の守りの兵士だろう?」
ランコックが言う
「あぁ!?やっぱり マスターの端っこは分かってねぇなぁ!?アールスローン戦記の守りの兵士は ヴォール・アーヴァイン・防長閣下だろうっ!?」
ベイゼスが言う
「だ、だからっ 防長閣下は ヴォール・アーヴァイン・防長閣下で ハブロス司令官じゃないってぇのっ!」
ランコックが言う
「だーかーらーっ こっちだって言ってるっ!ハブロス司令官は ”親兵防長”だって!アールスローン戦記の守りの兵士がヴォール・アーヴァイン・防長閣下なら 我らがARTの司令官様は アールスローン信書の親兵防長 アース・メイヴン・ハブロス様なんだよっ!」
ベイゼスが言う
「んな 馬鹿なぁっ!?だって ハブロス司令官はっ!」
ベイゼスが慌てて口を塞ぐ ランコックが言う
「ハブロス司令官は ハブロスなんだから ペジテ王ハブロの子孫だろう!?って事は やっぱり 後のアールスローン王国の親兵防長 ハブロ様なんだよっ!分かったかっ!若造がっ!」
ベイゼスが衝撃を受けて言う
「えぇえっ!?そ、そうだったのっ!?ペジテ王ハブロが 後の親兵防長っ!?」
ベイゼスが通信機に触れて言う
「も、もしもしっ!?マスターの皆さんっ!?ナノマシーンにて応答をっ!?」
グレイゼスが呆気に取られて言う
「そ… そうだったの…?」
ランコックが言う
「まったくっ これだから 近頃の若ぇもんはっ!自分たちの国の歴史ぐれぇっ アールスローン信書がいくら改正されようが しっかり覚えて居やがれぇっ!」
【 ネロの城 】
ハイケルが振り向き一箇所壊れている通路の出入り口を見て イヤホンを押さえて言う
「ART司令塔っ!聞こえるかっ!?グレイゼスっ!」
イヤホンに雑音が入ってからグレイゼスの声が聞こえる
『こちらART司令塔っ!無線電波を再受信した!大丈夫だっ!聞こえているぞっ!ハイケル!』
ハイケルが言う
「そうか しかし こちらからは悪い情報だ 弾薬やチャージ量は限界 これ以上は防ぎ切れない 退路が開かれた今なら 可能性は低いが 退避を…」
通路から爆音が響く ハイケルが反応して振り向く ラミリツが後方へ視線を向けると気付いて言う
「あのマシーナリーはっ!」
皆がMシーナを見る MシーナがGT700を構えて シーナが言う
「私のマシーナリーは動けますっ 援護射撃!」
アースが言う
「必要ない」
シーナが顔を向けて言う
「え?しかし…っ!?」
アースがコックピットの出口へ向かいながら言う
「私が奴の下へ向かう ここを開けてくれ シーナ隊員」
シーナが慌てて言う
「そんなっ!外へ出ては危険ですっ!」
Mシーナからシーナの声が響く
「ハブロス司令官っ!」
ラミリツが驚いて言う
「え?まさかっ!?」
シーナがハッとすると Mシーナが勝手に動いてコックピットが開かれる シーナが操縦桿を操作しながら言う
「コックピットが 勝手にっ!?…あっ!」
シーナが顔を向けると アースが外へ出て行き コックピットが閉められる シーナが慌てて言う
「ハブロス司令官!」
皆が驚く中 アースが歩いて向かう ラミリツがハッとして言う
「ハブロス司令官っ!」
ラミリツが走り向かおうとすると アースが言う
「止まれ ラミリツ隊長」
ラミリツが立ち止まって言う
「け、けどっ!?」
アースが言う
「ART機動部隊 総員待機だ」
ラミリツがアースを見る ハイケルがアースを見る 皆が息を飲むと アースが再び敵マシーナリーの下へ向かって行く 隊員Bがハイケルへ向いて言う
「しょ、少佐ぁ!?」
ハイケルが言う
「待機だ バイスン隊員」
隊員Bが言う
「け、けどぉ…っ」
シュナイゼルがラミリツへ向いて言う
「隊長っ!?」
ラミリツが自身を押さえつつ言う
「ART2 総員 …待機っ」
シュナイゼルがラミリツとアースを見てから言う
「りょ、了解…っ」
敵マシーナリーの前 アースが立ち止まると 周囲を埋め尽くす敵マシーナリーを見て 苦笑して言う
「何を怯えている?案ずるな 私は お前たちを攻撃するつもりは無い 邪魔だ 下がって居ろ」
敵マシーナリーのレッドシグナルが点滅する アースが眼帯を外し 意を決して言う
「下がれっ!命令だっ!」
敵マシーナリー全てのレッドシグナルががグリーンシグナルに切り替わり 後退して道を開くと脱力して待機状態になる 皆が驚き ラミリツが呆気に取られて言う
「う、嘘…っ!?あの数の敵対信号を持ったマシーナリーを 一瞬で!?」
シェイムが呆気に取られていると 隣に居るイリンゼスが言う
「あれが ペジテ王ハブロの力か…」
シェイムがハッとしてイリンゼスを見る ハイケルがイリンゼスを見ていて言う
「ペジテ王ハブロの… 力?」
ラミリツがアースの先を見てハッとして言う
「あ、あれはっ!」
隊員Aが言う
「黒い… 天使!?」
ハイケルが顔を向ける アースが言う
「待たせたな?ネロ?」
玉座に座っていたネロが顔を上げると 微笑して言う
「愚かな… 何故 再び 我が前へと現れた?人の身でありながら その方らの神とある 我へ敵うとでも 思ったか?」
アースが言う
「思うと 答えたら?」
ネロが悪笑む 一瞬の後 アースに向かってプラズマレーザーが放たれる ラミリツがハッとして叫ぶ
「ハブロス司令官っ!」
プラズマレーザーが天井に当たって天井が大破する ハイケルが振り返って叫ぶ
「回避っ!」
落下する瓦礫から 近くに居た隊員たちが慌てて回避する アースが顔を向けると アースを回避させていたシェイムが顔を上げて言う
「何をしているんですか 貴方はっ!?まったく 避けるつもりが 無かったでしょうっ!?」
皆が驚く イリンゼスが呆気に取られて言う
「な、何で 動けたんだよっ?シェイムだけっ!?」
アースが苦笑して言う
「上出来だ 反逆の兵士 マスターシュレイゼス しかし ここからは お前も下がって居ろ 助けは不要だ」
シェイムが言う
「な、何を言って…!?常人のスピードでは とても 間に合わないのですよっ!?」
アースが言う
「必要ない」
シェイムが呆気に取られる中 ネロが笑んで杖を持たない手をアースへ向ける アースへ強い光が放たれる シェイムが息を飲む アースが視線を強め右手を振り払うと ネロの強い光が弾かれその場で爆発する シェイムが身を守っていた体勢から 閉じていた目を開き 驚いてアースを見る アースが言う
「これが 神の力か?笑わせるなよ ネロ?神の力など… 魔法などは存在しない お前たちの力は あの映像の街と同じ 唯のフェイクだ アークやウィザード 彼らを巻き込んでの 偶像 幻想だっ!」
ラミリツと隊員たちが驚く アイザックとシュイが驚くと その後ろでグレーニッヒが笑う
「ヒーヒッヒッヒッ!ばぁ~れちゃったかぁ~?」
アイザックが呆気に取られて言う
「そ、そんな馬鹿なっ!?叔父上っ!?」
ネロが視線を強める アースが言う
「違うと言うのなら 本物の”魔法”を放ってみろよ ネロ?その杖を… ロストテクノロジーを 使わずにな?」
ハイケルが言う
「あの杖が?」
隊員Bが言う
「じゃー 杖型の銃ー?」
ネロがアースを見る アースが言う
「機械や物理的な力は 確かに存在する そして それを生み出す知識こそが お前の力… 能力であった筈だ 私は そのお前と戦う為にここへ来た 私の… 仲間たちと共にっ!」
ネロが笑むと笑って言う
「クックック… ハハハハッ!長き時を経て 多少の知能を得たか?されど その身に有する力は 所詮は 我らに作られしモノ… その身を持って 我が力に 敵うとでも?」
ネロの後方の壁が開き ハイケルαが大量に現れる ART1隊員たちが衝撃を受け 隊員Bが言う
「しょ、少佐ぁーっ!?」
隊員Fが言う
「少佐のデコイかっ!?」
ハイケルが呆気に取られる アースが視線を向ける ハイケルαたちが機械的に前進して来て 全員が一様に装備していた剣を引き抜いて構える アースが言う
「ART機動隊員!総員!ハイケル少佐を殲滅しろっ!命令だっ!」
ハイケルが衝撃を受けて言う
「わ、私をっ!?」
ラミリツが叫ぶ
「了解っ!司令官っ!」
ART2隊員たちが叫ぶ
「「了解っ!司令官っ!」」
隊員Aが言う
「りょ、了解!…い!?し、しちゃうか?バイちゃん?」
隊員Bが言う
「えー?えっとぉ~ 少佐ぁー?」
ハイケルが意を決して言う
「ART1 総員っ!私を殲滅しろっ!」
ART1隊員たちが衝撃を受けた後 気を取り直して言う
「「了解っ!少佐ぁーっ!」」
隊員Fが小銃を手に言う
「少佐の… 偽者を 殲滅するって事で?」
隊員Cが言う
「あ、ああ!そうだなっ!?そう言う事でっ!」
隊員AがM82を装備する 隊員Bが手榴弾を持って言う
「そうそうー それじゃー そう言う事でー?行っくよー?アッちゃんー!」
隊員Aが言う
「よしっ!」
ヴィンが周囲を見て ハイケルαたちが出て来た場所の先にある機械に気付くと目を細め Mシーナの影へ瞬時に移動して言う
「こちらのマシーナリーの操縦者 聞こえているかっ?」
シーナがハッとして言う
「は、はいっ!?聞こえていますっ!」
ヴィンが言う
「では このまま前方 最深部の壁に取り付けられている機械が 確認出来るだろうか?」
シーナが遠い目標に目を細めてから MシーナがM900の狙撃用スコープを覗いて言う
「…はいっ!600メートル先に ターゲットと思われる機械を確認っ!」
ヴィンが言う
「何とか そちらを破壊してくれ給え あの機械から放たれている 強化紫外線が我々の活動を制している」
シーナが言う
「了解っ!完全に射程距離外ですが …やってみますっ!」
Mシーナが狙いを定める
アイザックがグレーニッヒの下へやって来て言う
「叔父上っ 先程のはっ!?」
グレーニッヒが言う
「ヒッヒッヒッ!さぁて~?どぉしよぉかぁ?アイザック~?我々ウィザードは このまま 御役御免かなぁ?」
アイザックが言う
「我々の魔法が幻想とはっ!?そんな筈は無いっ 現に我々は魔法を使用しているっ!」
グレーニッヒが笑んで言う
「あぁ そぉだねぇ?つまりは その気持ちが大切なんだよぉ 自分たちには魔法が使えるんだってねぇ?信じる者は救われるって言うじゃないかぁ?」
シュイが来て言う
「それはどう言う事だっ?奴が言った事は本当なのかっ!?俺たちの魔法は…!?有るのか無いのか ハッキリしてくれっ!そうでなければっ!」
グレーニッヒが首を傾げて言う
「そうでなければぁ?」
アイザックが顔を向け 大量のハイケルαを見て言う
「ARTの彼らだけでは あの数は倒し切られないっ もし 魔法の力が…っ 我々の力が 実在するものだというのならっ!我々も 加勢しなければ!」
グレーニッヒが言う
「そぉだねぇ?我々も この戦いに御呼ばれしているのだから それなりに活躍しないと 格好が付かないからねぇ?それじゃぁ… 他の皆には内緒だよぉ?ヒーヒッヒッヒッ!」
Mシーナが言う
「補足距離100メートル 誤差補正完了 …撃ちますっ!」
シーナがトリガーを引く MシーナがM900を放ち 遠方の機械に命中して大破する シーナが言う
「やったぁっ!」
ヴィンが微笑する リックが顔を上げて言う
「よぉし…」
リックが悪笑む ラミがマシーナリーの影から出て来て言う
「やっと出番ね?」
リックが言う
「待たされた分も 思いきり暴れてやるよ?」
リックとラミが瞬時に消える ヴィンが試験管を手に取ると気付いて言う
「おや?あちらが動くとなれば… 薬を用いての広範囲攻撃は抑えるべきだろうか?…そうとなれば 致し方ない 私も こちらで…」
ヴィンが試験管を取り替えて吸引すると瞬時に消える ヴィンの見ていた先 ウィザードたちが杖を構えている
ラミリツがハイケルαの剣を使って攻撃しながら叫ぶ
「やぁあーっ!」
ラミリツが地震の前のハイケルαを倒し振り返ると気付いて叫ぶ
「シュナイゼルっ!後ろっ!」
シュナイゼルがART2隊員を庇った状態でハッとする シュナイゼルの後方からハイケルαがシュナイゼルへ攻撃を繰り出す シュナイゼルがハッとすると ラミリツが瞬時にM82を構えて撃つ シュナイゼルを襲おうとしていたハイケルαに命中してハイケルαが倒れる シュナイゼルがそれを見てからラミリツへ向いて言う
「助かりました 隊長」
ラミリツが言う
「”当然だ”」
ラミリツが微笑すると シュナイゼルが微笑する ラミリツがハイケルαの剣を拾い 銃と共に持って言う
「…とは言え 武器の補填は心配無くなったけど この数は…っ」
ラミリツが仲間たちの様子を見る 仲間たちに疲れが見える ラミリツが思う
(皆の体力は限界だ… ART1は慣れない武器で 戦力も下がっているし…)
ラミリツがハッとすると リックが加勢して叫ぶ
「おらおら!どうしたぁあっ!?疲れたんなら スッ込んでろっ!軟弱な人間どもがぁあ!」
ラミリツが衝撃を受けて言う
「そう言うアンタたちは さっきまで マシーナリーの影から出られなかった癖にっ!」
リックが衝撃を受けて言う
「る、るせぇえっ!だったら 今度は てめえらが影に入ってやがれっ!俺様が代わってやるって言ってんだ こらぁあっ!」
ラミリツが怒って言う
「だったら そうって 言ってよねっ!?」
Mシーナが言う
「ART機動隊員 総員 下がって下さいっ!一斉射撃 行きますっ!」
MシーナがGT700を構える ラミリツとリックが衝撃を受け ハイケルがハッとして言う
「ART1総員っ!一時退避だっ!」
ラミリツが慌てて言う
「ART2も総員!一時退避っ!」
隊員たちが驚いた状態から慌てて退避する MシーナがGT700を乱射する ハイケルαが次々に大破する MシーナがGT700を撃ち終えて言う
「一斉射撃 終了です!」
リックが怒って言う
「ちょっと待てぇっ!?そう言う警告なら こっちにも言いやがれぇえっ 危ねぇだろがあっ!?」
Mシーナが言う
「大丈夫ですっ!弾頭は銀ではありませんから!ヴァンパイアに 当たっても死にませんっ!」
リックが衝撃を受けて言う
「そう言う問題じゃねぇえんだよっ!?」
アイザックが言う
「今だっ!例え魔法とされずとも これが 我々の力だっ!」
アイザックとシュイとグレーニッヒが魔法を放つ 水と火と土の魔法がハイケルαたちに襲い掛かり ハイケルαの一部が倒れる ART1隊員たちが呆気に取られ 隊員Bが言う
「やっぱ 魔法ー?」
ハイケルが倒れたハイケルαと残ったハイケルαを見て思う
(距離や配置に関わらず 倒れた者と残った者が居る… どう言う事だ?)
ハイケルがウィザードたちを見る シュイが言う
「成功か?」
アイザックが言う
「一部とは言え 数を減らす事には繋がった これで…」
グレーニッヒが言う
「ヒッヒッヒ… 後は ヴァンパイアさんとARTの皆さんに お任せかなぁ?」
アイザックが杖を構えて言う
「可能性がある限り もう一度だっ!」
シュイが言う
「よしっ」
シュイが杖を構える グレーニッヒが笑いながら杖を構える
【 ART司令塔 】
モニターにMシーナの視覚映像が表示されている オペ子Aが言う
「ART1、31号機からの映像解析 …間に合いませんっ 熱源センサー反応から 敵ハイケル少佐のデコイ残数凡そ21%!」
オペ子Bが言う
「ART1及びART2機動隊員による 残り予想撃破可能数8%!ヴァンパイア援軍3名の 予想撃破能数10%~15%!ウィザード援軍3名の 予想撃数… 算出不可っ!」
オペ男Aが言う
「ARTゼロ機動隊員のナノマシーンは起動不能っ 唯一 隊長のマスターシュレイゼス隊長のみ ナノマシーンの起動が確認されています!戦闘可能っ!しかしっ 予想撃数は …算出不可っ!」
グレイゼスがモニターを見て言う
「マスターシュレイゼス隊長…っ」
グレイゼスが思う
(ナノマシーンを有する 貴方の戦力が 今は必要だっ しかし …戦えるかっ!?マスターシュレイゼス!?…いや シェイム・トルゥース・メイリス殿っ!?)
グレイゼスがモニターを見る
【 ネロの城 】
周囲で戦闘が繰り広げられている シェイムの目下にハイケルαが倒れていて手には剣が握られている シェイムがその様子に表情を強張らせてから周囲を見て思う
(ナノマシーンを使えば 私でも… 戦えるだろうか?あのマシーナリーを 用いている時と同様に?あの剣を手に取りさえすれば 後は… ナノマシーンシュレイゼスが 勝手に…っ?)
シェイムが横目に後方のアースを見る アースはネロと向き合ったままでいる シェイムが緊張して思う
(彼に何かあれば 私が…っ!いや…っ シュレイゼスが 彼を守る筈っ それならば このまま!?…いや むしろ…っ?)
ネロが言う
「…小賢しき者ども」
シェイムがハッと息を飲んでネロを見る ネロが言う
「我が力にて その命の灯 護りたるを …恩を仇に 愚かなる命へ 力を与えようとは」
シェイムが恐ろしさに立ち尽くす アースが言う
「勝手な事を言うな お前は お前のマシーナリーと同じだ …ただ 怯えているだけなのだろう?お前たちの神… お前たちを作り上げた その神に」
シェイムが呆気に取られて思う
(神を名乗る あの者の… 神とは?あの者を作り上げた?それは 一体…!?)
ネロが言う
「何を…」
アースが言う
「そして今は その お前たちが作り上げた筈の 我々にもか?一体 何処まで弱いんだっ?お前はっ!?」
シェイムが呆気に取られている ネロが表情を怒らせて言う
「…我が 弱きに在りしと?」
アースが言う
「仮にも 我々の神を名乗るからには その想い 貫いて見せろっ!」
ネロが言う
「…新人類ごときがっ 頭に乗るなっ!」
ネロの杖が一瞬光を放つ シェイムが目を見開く 脳裏に声が聞こえる
『間に合わないっ』
シェイムが思う
(シュレイゼスっ!?)
周囲が一瞬真っ白な光に包まれ爆発が起きる 全ての者が吹き飛ばされ悲鳴を上げる Mシーナの中 シーナが叫ぶ
「ハブロス司令官っ!!」
一瞬の静寂の後 ラミリツが倒れていた状態から顔を上げ 床へ手をついて上体を上げながら言う
「一体 何が…っ?皆…っ 無事っ!?」
ラミリツの横でハイケルが起き上がる ラミリツがハッとしてM82を向けると ハイケルが衝撃を受け 慌てて言う
「ま、待てっ ラミリツ攻長っ!私は…っ!」
ラミリツが言う
「ああ、ごめん 本体」
ハイケルが言う
「ほ、本体?…では 無いが…」
ラミリツがM82を向け直して言う
「え?違うの?」
ハイケルが衝撃を受けて言う
「いやっ!そちらの… 予定だ」
ラミリツが言う
「そう それで… 一体 何が…?…っ!?」
ラミリツが正面を向くと驚く
ネロが困惑して言う
「…馬鹿なっ 我が力を…っ!?…新人類ごときがっ!?」
アースが拳を突き出した状態で顔を上げ ニヤリと笑んで言う
「どうだ?今のお前の力など この程度だ お前たちに作られた人である私が持つ この魂すら 越える事は出来ないっ!」
アースが突き出していた手を払うと 周囲に力無く立っていたハイケルαたちが倒れ アースの後方でARTの仲間たちが立ち上がり始める Mシーナの中 シーナがホッとして言う
「良かった… 無事だった…」
Mシーナの影から アイザックとシュイが身を現し シュイが顔を向けて言う
「助かった…」
シュイの視線の先 グレーニッヒが笑って言う
「ヒッヒッヒッ 身体の弱い我々では 今のはチョ~ト危なかったからねぇ?」
リックが上体を上げて言う
「ハブロの大バカ野郎が…っ 人間の癖に 無茶な事しやがってっ」
ヴィンが言う
「とは言え 我々も限界だ これ以上の活動は 二次被害の恐れが生じる」
ラミが言う
「余り激しく動いちゃうと 喉が渇いてしまうものねぇ?唯でさえ ここには… 魅力的な獲物が沢山だから…?」
ラミが唇を舐めて周囲を見る
ネロが一歩後ずさる アースが言う
「お前の兵は 全て倒れた …ネロ?これでもまだ お前の画策を 続けるのか?そして 今の我々を前に その必要があると言うのか?」
ネロが言う
「…ハブロ やはり その方の命」
ネロがアースへ杖を向けて言う
「逃すべきではなかった」
杖に光が灯る シェイムがハッとしてアースを連れて逃げる ネロがアースを狙って攻撃を続ける シェイムがアースを連れて回避する アースがシェイムへ向いて言う
「離せっ!マスターシュレイゼスっ!」
シェイムが言う
「わ、私に言われましてもっ!シュレイゼスが勝手に…っ!」
ネロの杖が光ると アースとシェイムの近くで光が発生する アースとシェイムがハッとすると 強い打撃音と共に光が消え アースとシェイムの前で リックがネロの振り下ろしている杖をつかみ上げ表情を苦しめて言う
「500年前の再現かっ!?その力は失ったんじゃなかったのかよっ?えぇっ!?俺らの神様よっ!?」
ネロがニヤリと笑んで言う
「愚かな その貴様が生き残っていると言う事 それこそが答えぞっ 分からぬかっ!?」
ネロがリックの抑えを振り払うと リックへ杖を向ける リックがハッとすると共に吹き飛ばされて悲鳴を上げる
「があっ!?」
ラミが言う
「リックっ!」
ラミがネロへ向く ヴィンが止めて言う
「止め給え ラミ …我らの神だ 敵う筈が無い」
ラミが言い掛けた言葉を飲み 視線だけを向ける
ネロがアースの横に居るシェイムへ視線を向ける シェイムがハッとして思う
(…か、身体がっ!?)
ネロが笑んで言う
「その方が 神の命である 下がれ ナノマシーンシュレイゼス」
シェイムが表情を苦しめて言う
「…うっ ぐぅ…」
シェイムの身体が跪く アースがシェイムを見て思う
(ナノマシーンを抑えられたのか?彼らの王とされる 私が共に在る状態で?)
シェイムが自由の利かない身体に表情を苦しめる ラミリツが叫ぶ
「ハブロス司令官!」
アースがハッとする ハイケルが言う
「命令をっ!」
アースが思う
(そうだ 私は…っ!)
アースが一度強く閉じた目を開き直す 左目のアークの瞳が元の色に戻る アースが意を決して言う
「ハイケル少佐!ラミリツ攻長!ネロ・アーク・フォライサーを 倒せっ!命令だっ!」
ハイケルとラミリツが声を合わせる
「「了解!司令官っ!」」
ハイケルとラミリツがネロへ向かい 剣を振りかぶる ネロが杖を構える アースがネロを見る ネロの杖に光が集まり 一瞬の後 光がハイケルとラミリツへ向かう シェイムと隊員Cが反応してシェイムが叫ぶ
「エーメレスっ!」
隊員Cが叫ぶ
「少佐ぁーっ!」
シェイムがラミリツを 隊員Cがハイケルを回避させる ラミリツがシェイムを見て言う
「兄上っ!?」
ハイケルが隊員Cを見て言う
「マスターラキンゼス 助かった」
隊員Cが怯えながら言う
「かかかかっ 身体が!?かかかっ 勝手にぃ~っ!」
ネロがラミリツとハイケルを見て言う
「力無き者どもっ 貴様らの神とある この我に 歯向かう事など 許されぬっ!」
ネロの杖が掴まれる ネロが驚き顔を向けると アースがネロの杖を掴んでいて悪笑んで言う
「その力なき者どもに 命を狙われている気分は どうだ?最高だろうっ!?」
ネロが驚いて言う
「馬鹿な…っ 我は 貴様らの 神ぞっ!?」
ラミリツが言う
「今だっ!行くよ!ハイケル少佐っ!」
ハイケルが言う
「了解っ ラミリツ攻長っ!」
ラミリツとハイケルがネロへ向かう ネロが驚きアースへ向いて言う
「離せっ!ハブロっ!」
アースが笑んで言う
「最後は ハデにやられろよっ!?アールスローンの悪魔っ!」
ラミリツが叫ぶ
「やぁああーっ!」
ハイケルが叫ぶ
「あぁああーっ!」
ハイケルとラミリツが剣を突く ネロが目を見く アースとラミリツがネロを見る ハイケルが呆気に取られる 皆が見詰める先 一瞬時が止まり動き出す ラミリツが息を切らせて言う
「はぁ… はぁ…っ」
アースがラミリツを見て言う
「良くやった ラミリツ攻長」
ラミリツが苦笑して言う
「…うん」
ラミリツが剣を引くと ネロが倒れる ラミリツの持つ剣から血が滴る ハイケルが呆気に取られたまま自分の持つ剣を見る 剣に血は付いていない ハイケルが呆気に取られて言う
「何故… 私は…っ?」
ハイケルがネロを見る 皆が静まり返る中 アースがネロの横へ向かい 身を下ろして言う
「どうだ ネロ?お前たちが作り上げた 我々 ”新人類の力”は?」
ネロの身体の下に血溜まりが広がる ネロがアースを見て苦笑して言う
「…この 程度の力して… 敵うと でも…?」
ラミリツが疑問してアースを見る アースはネロを見詰めている ネロが言う
「真… 神の 力… たる物 この程度に 在らず…」
アースが言う
「分かっている だからこそ 我々には…」
皆がアースを見る アースが言う
「我々の神である 貴方の力が必要だっ!ネロっ!」
皆が衝撃を受け ラミリツが言う
「…え?」
シェイムが呆気に取られて言う
「まさか…?」
隊員Cが疑問して言う
「はぁ?」
ネロがアースを見る アースが微笑して言う
「従って… 貴方も 我々と 共に 戦えっ!ネロっ!」
ラミリツが衝撃を受けて言う
「えぇえええーーっ!?」
シェイムと隊員Cが驚きに呆気に取られて顔を見合わせる 皆が呆気に取られて顔を見合わせる シェイムが言う
「これは 確か…?」
ART1隊員たちがハイケルを見る ハイケルが言う
「10年前にも 聞いた台詞だ」
ネロが呆気に取られている アースが言う
「我々の力は その身を持って知っただろう?その我々に苦戦を強いた 貴方の力も加わるとなれば 我々の力は 更に高まるっ!敗者に二言は無いっ!ネロ・アーク・フォライサー!我々の仲間になれ!命令だっ!」
ラミリツが呆れて言う
「ハ、ハブロス司令官…?あの… さぁ?ちょっと 言い辛いんだけど…?」
アースがラミリツを見て言う
「何だ ラミリツ隊長 折角キメた所に 水を注すな」
ラミリツが言う
「あ、いや だって さ…?そう言う事は やっぱ 先に説明しておいて貰わないと… 僕 狙っちゃったよ?急所… それに この出血量だよ?見たら 分かるでしょう?普通?」
アースが言う
「何を言う?相手は神だぞ?この程度で 死ぬ筈がないだろう?」
ラミリツが衝撃を受けて言う
「えっ!?そうなのっ!?」
ネロが表情を顰めて言う
「言って… くれるな… 我らとて… 人であると …神に在らずと 放って置きながら…」
アースが言う
「ロストテクノロジーを持った 古代人だろう?それなら 何とかなるのでは無いのか?そうだろう?皇帝?」
アースが振り返る 皆が驚いて振り返ると ラミリツが驚いて言う
「あ…っ 貴方はっ!」
皆の視線の先 通路の出入り口に皇帝が居て 微笑する Mシーナの中シーナが呆気に取られて言う
「え…?皇帝って…!?」
Mシーナの中 グレイゼスの声が聞こえる
『どうした!?シーナ隊員!?』
シーナが驚いて言う
「う、嘘…っ!?あれが 帝国の …皇帝っ!?」
グレイゼスが言う
『シーナ隊員っ!こっちは 先ほどから電波障害を受け 通信類が全てダウンしてしまったっ 現状はシーナ隊員との通信のみが繋がっている!状況を説明してくれっ!』
シーナが言う
「りょ、了解!えっと 現状は…っ」
ネロが視線を向けてから言う
「お前の 差し金か…」
皇帝の持つ杖が光り ネロの近くに皇帝が瞬間移動する ラミリツが思わず場所を明け渡すと 皇帝がネロを見て苦笑してからゆっくり近付いて来て言う
「ネロ… 彼らの強き想い 遂にか その方の力さえ 凌がんと…」
皇帝が杖を向ける 杖が光ると ネロの傷が塞がって行く ラミリツが呆気に取られて言う
「嘘ぉっ!?傷が治った!?やっぱり 魔法…?」
皇帝が言う
「魔法… そうよの?その方らも 後 200年もの時を経れば 築くとあろう 力ぞ?」
ラミリツが呆気に取られて言う
「それじゃ… つまり」
アースが手にしていたままのネロの杖を見て言う
「ロストテクノロジー …我々は 未だに 貴方方古代人の知識には 足元にも及ばない 200年では 足りないのではないのか?」
皇帝が言う
「なれば 更なる時を得れば良きにして その時を得んが為 その方は 戦おうと申すとあろう?アース?」
アースが微笑して言う
「そうだな」
Mシーナの中 シーナが困惑して言う
「状況…っ 説明します 今 先ほど ラミリツ隊長が殺傷した筈の ターゲットが… い… 生き返って…っ!?」
グレイゼスの声が聞こえる
『ターゲットが生き返った!?それは 一体どう言う事だ?シーナ隊員っ!?』
シーナが呆気に取られてモニターを見る
リックが笑んで言う
「さ~て?ひと暴れして 丁度喉も渇いた所だしなぁ?これぞ本当の 勝利の美酒ってやつだぜぇ ハブロ?ヴァンパイア様の力を お借りしたんだ 覚悟は良いよなぁ?」
アースが言う
「そうか だが 生憎 私も 少々傷を負っている 従って… 代わりにこちらを進呈する」
アースがネロを差し出す ネロと皇帝とラミリツが衝撃を受け ラミリツが言う
「いや むしろ そっちは 少々所じゃないし?…ハブロス司令官?」
アースが言う
「己の不始末の責任は 身を持って 果たすべきだろう?遠慮は不要だ エリックアーベスト 思う存分に…」
皇帝が慌てて言う
「ア、アースっ?ネロは我の大切なる者ぞっ その命の灯 奪う事 あらずしてっ」
リックが言う
「言いてぇ事は分かるんだが ハブロ こいつも生憎だが アークの… いや 古代人の血は吸えねぇんだよ 不味過ぎて 余りのショックに 灰になっちまうって噂だ」
アースが言う
「そうなのか?」
ラミリツが言う
「いや、だから… そもそも そう言う問題じゃないから?」
Mシーナの中 シーナが呆気に取られて言う
「えーと… 状況は ハブロス司令官が 先ほど生き返った ターゲットを… 仲間のヴァンパイアに差し出しているようですが?」
グレイゼスが衝撃を受けて言う
『はいぃっ!?』
隊員Nが呆れて言う
「ってーか…?何か すげぇ 和んでるんだけどよぉ?」
隊員Fが苦笑して言う
「ああ、何と言うか… さっきまでの死闘は 何だったんだろうな?」
隊員Cが言う
「有り得ねぇ…」
隊員Bがハイケルへ言う
「それでー?少佐ぁー?俺たちは どうなるんでありましょうかー?少佐ぁー?」
隊員Iが言う
「ここはアウターだし… マシーナリーも動かないんじゃ 俺らも ここから動けないって事だよな?」
ハイケルが言う
「そうだな 悪魔の兵士である私は兎も角 人間の兵士は アウターへは出られない …では?」
ハイケルがアースを見る 隊員たちがハイケルの視線を追って見る
リックが言う
「もう良いっ!てめぇと話してても 埒が明かねぇ ゲートを開いてやるから 何処へなりと とっとと 消えやがれっ!」
アースが言う
「よし では ART機動隊員は ART本部へ その他、援軍の者も 自分たちの国へ とっとと帰ってくれて構わない」
ラミリツが衝撃を受ける グレーニッヒが笑う アイザックがシュイとグレーニッヒを見てからアースを見て苦笑して言う
「…分かった それでは」
アイザックとシュイとグレーニッヒがゲートへ向かう グレーニッヒが言う
「ヒーヒッヒッヒッ!楽しいパーティーへの ご招待を感謝するよぉ?ペジテの王様ぁ?この次も 楽ぁしみに待ってるからねぇ~?」
アースが言う
「その貴方方が 使える力とあれば ご招待しよう 招待状が欲しければ 相応の力を有して置く事だ」
ラミリツが言う
「だから どうしてそう…」
シュイが表情を強める アイザックが苦笑すると グレーニッヒが笑って言う
「ヒーヒッヒッヒッ!応援の言葉にしては とぉ~ても闇に近い言葉だねぇ?余り そちらへ近付き過ぎて その綺麗な白い片翼が 剥がれてしまっては大~変だから 気を付けた方が良いかもよぉ?」
アースがギクッとしてから顔を逸らして言う
「な…っ 何の 話だ?」
ラミリツが疑問して言う
「え?その綺麗な白い片翼って?」
アースが慌てて言う
「い、いやっ 気にするなっ!?…ほら?アレだっ!ペジテ王と両碗の騎士の 飾り鎧や絵画を お前も目にした事があるだろう!?ラミリツ攻長!?」
ラミリツが気付いて言う
「ああ、あれね?メイリス家の屋敷にもあるよ 飾り鎧と絵画 …あ、けどさ?不思議なんだよね?うちにあるのってさ?他の所で見るのと違って…」
グレーニッヒが笑う
「ヒーヒッヒッヒッヒッ!」
アースが衝撃を受けて言う
「もう その話は良いっ!ウィザードの貴方方は さっさと帰れっ!」
アイザックとシュイが衝撃を受ける グレーニッヒが笑う アイザックが苦笑して言う
「では 彼の言う通り 我々は自分たちの国へと 帰る事にしよう」
アイザックがゲートに消える シュイがアースを横目に見て言う
「…こんなに天使の翼が似合わない アークも居るものなのだな?」
アースが衝撃を受けシュイを睨む シュイが言う
「ふんっ」
シュイがゲートへ消える ラミリツが疑問して言う
「天使の翼が似合わない アークって?」
アースが怒りを押し殺して言う
「だ、だから 気にするなと…っ」
グレーニッヒが笑いながら言う
「ヒーヒッヒッヒッ!やっぱり 片方だけだからかなぁ?」
アースが怒って言う
「さっさと 帰れっ!ウィザード!」
アースが手を振り払うと グレーニッヒが消えたゲートに衝撃波が爆発する リックが驚き焦って言う
「お、おいっ!危ねぇだろっ!?」
ゲートの先からグレーニッヒの笑い声が聞こえる
「ヒーヒッヒッヒッ…!」
ラミリツが呆気に取られている アースが言う
「問題ない 神の力だ 人々を傷付ける事はない …予定だ」
ラミリツが呆れて言う
「予定って…」
隊員Bが言う
「予定ー?」
隊員Bがハイケルを見る 隊員Cが言う
「予定って… つまり」
隊員Iが苦笑して言う
「未定の時もあったら… 恐ろしいな?」
アースが言う
「では 次だ ART機動部隊」
隊員たちが衝撃を受ける アースがハイケルを見る ハイケルが言う
「了解」
アースがラミリツを見る ラミリツが言う
「了解!…そうそう 早く帰らないと!僕も とっておきの 見たい録画があるからさ?」
アースが衝撃を受ける ハイケルが言う
「ART1任務完了だ」
アースがARTゼロ隊員たちを見る ARTゼロ隊員たちが顔を見合わせゲートへ向かう ART1隊員たちが顔を見合わせ 隊員Aが言う
「何にしても 任務は完了だな?バイちゃん?」
隊員Bが言う
「そうだねー アッちゃん!それに 今日は ハブロス司令官の技を いっぱい見られたしー!」
アースが衝撃を受ける 隊員Fが苦笑して言う
「あれはもう 何と言うか… 技の粋を 越えていると思うけど」
ラミリツがアースへ言う
「そう言えば どうなってるの?ハブロス司令官… ひょっとして 本当は彼らと同じ 神様なの?」
アースが言う
「止めてくれ 冗談じゃない 私は神様でもアークでもなく ア…」
アースがハッとする ラミリツが言う
「ア?」
アースが言う
「アース・メイヴン・ハブロスだ」
ラミリツが言う
「ア… うん そうだね?」
アースが言う
「ああ…」
ラミリツが言う
「それに…」
アースがラミリツへ視線を向けて言う
「うん?」
ラミリツが言う
「その左目…」
アースがハッとして思う
(しまったっ この目の事を忘れてっ!)
ラミリツが微笑して言う
「治ってたんだね?」
アースが疑問して言う
「え?」
ラミリツが苦笑して言う
「そうならそうって 言ってくれれば良かったのにさ?心配してたんだよ?だから この間だって…」
アースが言う
「治って…?」
アースがハッとして皇帝を見る 皇帝が微笑して頷く アースが理解して微笑する ラミリツが疑問して言う
「…うん?それとも 見た目は治って見えるけど 視力は戻っていないとか?」
アースが言う
「あ、いや 視力は… そうだな?…治った」
ラミリツが微笑して言う
「そ?なら 本当に良かった!」
アースが安堵の微笑を見せる リックが言う
「ケッ… 気合を入れ過ぎると 現れやがるからなぁ?精々気を付けやがれよ?ハブロ?」
アースがギクッとする ラミリツが疑問して言う
「え?現れるって…?」
リックが面白そうに言う
「てめえは俺様と同じで 気が短ぇ上に すぐに手が出やがるからなぁ?そぉとなりゃぁ まだまだ隠しておく必要が ありやがるかもしれねぇぜぇ?」
アースが怒りを抑えて言う
「ちゅ、忠告として 有難く受け取って置こう エリックアーベスト 感謝する」
リックが面白そうに笑う
「ケケケケッ!」
ラミリツが疑問して言う
「何の話?」
アースが言う
「いや、気にするな…」
ハイケルがアースの様子に視線を向けている 隊員Bがハイケルへ向いて言う
「少佐ぁー?どうかしたのでありますかー?少佐ぁー?」
ハイケルが言う
「いや、良いんだ」
隊員Bが疑問する ハイケルが気を取り直して言う
「では ART1 ARTゼロに続き ART本部へ帰還する 総員 ゲートへ向かえ」
隊員たちが言う
「「了解!少佐ぁー!」」
隊員たちがゲートを抜けて行く ハイケルが周囲を見た後アースを見る アースが周囲を見ていた状態からハイケルを見る ハイケルが一度考えた後 アースへ言う
「私も隊員らと共に ART本部へ 帰還を…?」
アースが言う
「何を言う?当然だろう?ハイケル?」
ハイケルが一瞬反応してから微笑して言う
「了解」
アースが微笑する ハイケルがゲートを抜ける
【 ART第一訓練所 】
ハイケルがゲートを抜けて現れると 周囲を見る 周囲にはARTゼロの隊員たちと 先にゲートを抜けたART1隊員たちが居て ハイケルへ振り返る ハイケルがそれを見てから言う
「…帰還した」
軍曹の声が聞こえて来る
「少佐ぁあーっ!」
ハイケルが反応して言う
「軍曹…?」
軍曹が走って来て ハイケルの両肩を掴むと喜んで叫ぶ
「おぉおーっ!少佐ぁあーっ!良くぞご無事でぇえー!」
軍曹がハイケルの両肩を掴んだ状態で 力いっぱい前後へ揺らす ハイケルが揺らされつつ言う
「ご、ご無事… では… あるの… だが… それ以上に… ご無事では… 居られなくなる… 可能性が… 現在… 発生し…っ」
隊員Bが言う
「あー!軍曹だー!軍曹ぉー!」
皆が軍曹を見る 軍曹がART1隊員たちを見て言う
「おお!バイスン隊員!アラン隊員も サキシュ隊員も!皆無事で 何よりであったのだ!」
隊員Aが苦笑する 隊員Cが言う
「あぁ… 何か 久しぶりに サキシュ隊員って呼ばれた…」
ラミリツがゲートを抜けて来て言う
「…て?あれ?なんでアンタが?」
軍曹がラミリツを見て言う
「おお!ラミリツ攻長!ラミリツ攻長も ご無事で何よりであったのだっ!」
ラミリツが言う
「それはそうだけど… 大体 何でアンタがここに居るのさ?アンタは国防軍総司令官だろ?だったら」
軍曹が言う
「うむ!そうである!そして そうと言う ラミリツ攻長も 本来は政府長攻長であるのだが?」
ラミリツが衝撃を受けた後 慌てて言う
「そ、それは…っ それは 良いのっ!僕は攻長だけで 政府長長官はやってないんだからっ!」
軍曹が言う
「うむ そう言えば そうであった!…が、しかし 自分も 正直言ってしまうと 国防軍総司令官の任に関しては 総司令官補佐官である ライヴィンに任せ切りで ほぼやっていない様なものである!あっはっはっはっ!」
ラミリツがうるさそうにしてから言う
「だからっ それじゃ 駄目だろっ!?唯でさえ ファースト・ライヴァイン・ハブロス総司令官補佐官は まだ10歳の子供なんだから その子供に 何 アールスローンの2大戦力の片方を任せちゃったりなんかしてるんだよ!?」
軍曹が言う
「それは 確かにそうではあるのだが ライヴィンは10歳の子供とは言え とても秀才で 自分はもはや ライヴィンの言う事や指示の内容には 付いて行かれない程なのだ!流石は 歴代国防軍総司令官1位と言われた 兄貴の最初の息子にして 現国防軍総司令官補佐官なのである!」
ラミリツが言う
「う、うん… まぁ… あのハブロス司令官の息子だから 凄いって言うのは 分からないでもないんだけどさぁ けど そこは普通…」
アースがゲートを抜けて来て言う
「それは ファーストが凄いのではなく 10歳の総司令官補佐官による統括であっても 滞る事のない様にと事前に策を施しておいた事と 実質の総司令官である防長閣下の存在 そして 今でもそれらを影で操っていると言われる私の存在 そして何よりハブロス家の地位と名誉 それら全てを用いた作戦だ」
ラミリツが言う
「あぁ そう言う事?やっぱ作戦…」
アースが言う
「それで?例え そちらの作戦に滞りがないとは言え そもそも 国防軍長の最上権力を有する お前が 国防軍に居てくれる事が前提の作戦だ 従って よほどの理由でもない限り 就業中は その座を離れないでいて貰いたいのだが?」
軍曹が衝撃を受けて言う
「うぐっ!?」
ラミリツが言う
「ほらぁ~?やっぱ 駄目じゃない?」
軍曹が言う
「う、うむ それは すまん… しかし その…っ 自分は 今回も何やら 不穏な胸騒ぎを覚えたもので…」
ラミリツが言う
「不穏な胸騒ぎって… 同じ事2回言ってる様なものだけど それこそ 余計な心配だったんじゃない?何しろ 僕らの任務は大成功だったんだから!…ね?ハブロス司令官?」
アースが言う
「そうだな?少なくとも お前が訪れた こちらのARTには お前が気に病む様な事故などは 起きてはいない」
軍曹が言う
「そうであるか… では これは自分の 唯の杞憂であったと言う事であるか?自分はてっきり 元国防軍レギスト機動部隊である 皆や…」
隊員Nが微笑して言う
「軍曹は 俺らが国防軍を離れても やっぱ 心配してくれてるって事だな?」
隊員Vが笑んで言う
「おうよ!流石は 俺らの防長閣下!」
軍曹が言う
「ラミリツ攻長や…」
ラミリツが言う
「何で僕?」
シェイムが苦笑して言う
「それは勿論 防長閣下と攻長閣下の 繋がりと言うものだろう?エーメレス?」
ラミリツが衝撃を受けた後顔を逸らして言う
「うっ… 僕とアイツが繋がってるみたいな その言い方止めてくんない?兄上っ!?」
シェイムが苦笑して言う
「それはそうかもしれないが… とは言え 少なくとも もう一人の方と繋がるのではなくて 良かっただろう?エーメレス?」
ラミリツが言う
「もう一人って…」
シェイムがアースを見る アースがシェイムを見返す ラミリツが言う
「むしろ 僕はそっちの もう一人の方とだったら 良かったのにさ?」
シェイムが衝撃を受けて言う
「そ、それはっ どう言う意味だっ!?エーメレスっ!?」
アースがシェイムを見て勝利の微笑を浮かべる シェイムがアースを見て衝撃を受け怒りを抑える 軍曹が言う
「それから 自分が一番 不安に思った事は また…」
ハイケルが言う
「また?」
軍曹が叫ぶ
「また… 少佐がぁあっ!自分は 少佐が!兄貴の勝手な命令で 再び 殺されてしまっているのでは なかろうかとぉおーっ!?」
ハイケルが衝撃を受けてから言う
「あ、ああ… そちらは確かに」
軍曹が衝撃を受けて言う
「な、なんとぉおっ!?”確かに” …とは!?」
ハイケルが言う
「今回は 現場へ向かったART機動部隊3部隊を用いての 大規模な 私の殲滅命令 を受けたのだが?」
軍曹が叫ぶ
「なぁああーっ!?少佐を殲滅しろとはぁあっ!?それは一体どう言う事であるのかっ!?兄貴ぃいーっ!?」
軍曹がアースへ詰め寄る アースがうるさそうに言う
「ハイケル少佐 伝達事項は単純明確にとは言おうとも 重要箇所をまるっきり抜かすのは止めろと 私はそう教えた筈だが?」
ハイケルが言う
「そうだな その様にとは言われたのだが やはり 私には 重要箇所が まるっきり抜けていると言う そちらが理解出来ない 悪かったな」
軍曹がアースへ言う
「兄貴っ!?どう言う事であるのか!?いくら兄貴であろうともっ!少佐を殲滅しろ等と言うのであればっ!自分も これ以上黙っては…っ!」
ラミリツがムッとして アースと軍曹の間に入って 剣を向けて言う
「だったら 僕だって黙ってはいられないよっ!?」
軍曹が衝撃を受けて言う
「なぁあっ!?な、何故 ラミリツ攻長がぁあ!?」
ラミリツが言う
「大体 これ以上黙っては って言ってる アンタは もう十分喋ってるしっ!?」
軍曹が衝撃を受ける ラミリツが剣を近付けて言う
「それに現場に居なかったアンタは知らないだろうけどさ?それこそ数えられない数のハイケル少佐のデコイが 僕らへ剣を向けて迫って来てたんだからっ」
ラミリツが軍曹へ近付く 軍曹が後ず去りながら言う
「な、なんとっ!?そ、それは… 自分は確かに知らないのだが…っ むしろ 今こそ 自分は1人のラミリツ攻長の本体に 剣を向けて迫って来られているのだっ 自分にとっては それこそ 数えきられない数の少佐のデコイに襲われる事よりも 何倍も恐ろしいのである…っ」
ART1隊員たちがゲートを抜け終えて言う
「何だ?」 「何が起きてるんだ?」 「あれ?軍曹?」
Mシーナがゲートを抜けて現れて疑問する アースが視線を向けると ゲートから一瞬顔を出したリックが消えると共に ゲートが消滅する アースが苦笑して言う
「では 今作戦へ参戦した ART機動部隊は 一時解散と共に24時間休暇とする 各部隊長 隊員たちは ご苦労だった」
隊員たちがホッとして顔を見合わせる アースが言う
「後に控える 最終決戦へ向け 今の内に鋭気を養って置け」
皆がハッとして緊張する アースが言う
「以上だ」
アースが立ち去る 隊員たちが気を取り戻して顔を見合わせ それぞれの隊長を見る ハイケルが言う
「最終決戦」
ラミリツが視線を強めて剣を持つ手に力をこめる 軍曹が思わず反応してから不安そうに周囲を見渡して ハイケルを見て言う
「しょ、少佐ぁ…?」
軍曹が隊員たちへ向いて言う
「い、一体 どうなっているのだ?」
隊員Aが苦笑して言う
「あ… いえ… 俺たちも その…」
隊員Iが言う
「もはや 理解しきれない と言うか…?」
隊員Bが言う
「えー?少佐ぁー?」
皆がハイケルを見る ハイケルがラミリツを見る ラミリツが言う
「僕らの戦いは まだ終わらない アールスローンを… いや 世界を守る戦いだ」
ラミリツがハイケルを見る ハイケルが言う
「そうだな」
皆が息を飲む ラミリツが気を抜いて言う
「…けど まぁ?何とかなるよ?きっとね?」
隊員たちが衝撃を受け シュナイゼルが言う
「た、隊長…?」
ラミリツが言う
「ああ そうだった それじゃ ART2 任務は完了 一時解散!24時間 じっくり休んで 鋭気を養う様に!」
ART2隊員たちが敬礼して言う
「「了解っ!隊長っ!」」
ハイケルが頷いた後 ART1隊員へ向く ART1隊員たちが微笑して気を入れると ハイケルが言う
「では ART1 …も 同じく 一時解散 …だ」
隊員たちが衝撃を受けて言う
「「え!?」」
隊員Bが言う
「省略ー?」
ハイケルが言う
「以上だ」
隊員Cが言う
「重要箇所が まるっきり抜けてるって こう言う事かよっ!?」
ハイケルが言う
「伝達事項は 単純明確に行うものだ そして 重要箇所である 一時解散は 抜けてはいない」
隊員Aが苦笑して言う
「それはそうだけど…」
軍曹が言う
「どうしたぁあー!?お前たちーっ!少佐からのご命令であるーっ!ART1は一時解散にして 以上である!少佐へ敬礼っ!」
隊員たちが敬礼して言う
「「了解!少佐ぁー!」」
ハイケルが言う
「ご苦労 軍曹」
軍曹が言う
「はっ!少佐ぁー!」
隊員Bが言う
「やっぱ 軍曹の号令は 気合が入るねー!アッちゃん!」
隊員Aが苦笑して言う
「まぁ… 良いか?確かに 気合は入るからな?」
隊員Cが言う
「重要箇所も 気合で補填かよ?」
隊員Fが軽く笑う 隊員Nが言う
「まぁ これも少佐と軍曹と… 俺らのレギストらしいよな?」
隊員Iが軽く笑って言う
「はは… 確かに?」
隊員Bが言う
「ホント ホントー!あー!それじゃ これから 皆で 通常訓練でもやろっかー!?」
隊員たちが衝撃を受けて言う
「「えぇえっ!?」」
隊員Aが苦笑して言う
「バ、バイちゃん 流石にそれは…」
隊員Fが苦笑して言う
「慣れない 剣なんか使ったもんだから 体中ガタガタなんだけどなぁ?」
隊員Vが言う
「あぁ 本当に…」
隊員Bが言う
「えー?だからこそ 訓練するんでしょー?でありますよねー?少佐ぁー?」
ハイケルが言う
「そうだな バイスン隊員 …では 私が直々に 実戦訓練を」
隊員たちが衝撃を受けて言う
「一時解散ー!」 「24時間休暇にしますー!」 「少佐との実戦訓練は 今日はもう十分やりましたー!」
隊員たちが逃げて行く 隊員Bが言う
「えー?」
ハイケルが微笑して言う
「冗談だ」
隊員Cが言う
「勘弁して下さいよ マジで…」
皆が笑う
続く
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