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2章
アナザーゲートキーパーズ 『アナザーゲートキーパーズ』
しおりを挟むエースがハッとしてユウヤへ視線を向け リックの攻撃を回避する リックが驚いて言う
「何!?俺の攻撃を かわしやがったっ!?」
ヴィンが気付いて言う
「いかんっ!」
エースがユウヤへ向かって攻撃を仕掛ける ユウヤが驚いて思う
(俺に攻撃を!?意識を取り戻した訳じゃなかったのか!?)
ユウヤが言う
「エースっ!?」
エースの攻撃がアイアンシールドに防がれる 金属を殴り付ける強い音に ユウヤが思わず目をつぶり耳を押さえる アイアンシールドを押さえているヴィンがエースの力に押され苦しそうに言う
「ぐぅっ!」
ユウヤが目を開き言う
「ヴィン…っ」
リックが顔を向けて言う
「畜生っ!何でいきなり攻撃対象が変わりやがったっ!?」
リックがエレーゼを見る エレーゼが息を飲む
「ッ…」
リックが疑問して言う
「守るべき対象がガラ空きだぜ?」
ヴィンが叫ぶ
「リックっ!」
リックが言う
「チッ… だからって今はそっちへ行ってる余裕はなさそうだな?」
リックがエースの無防備な背後へ攻撃を仕掛ける エースが気付いて回避する ヴィンが腕を押さえて膝を着く ユウヤが心配して言う
「ヴィンっ!?大丈夫ですか!?」
ヴィンが言う
「ああ、何とか しかし私では物理的にエースの力を抑える事は出来ない 再び彼が攻撃対象を変えたとなれば その時は…」
リックが慌てて言う
「ヴィンっ!逃げろっ!」
ヴィンがユウヤを連れて回避する エースがユウヤの居た場所を破壊する ユウヤが驚き ヴィンが言う
「やはり狙いはユウヤか!?何故っ!?」
ヴィンが着地する ヴィンとユウヤの前にリックが構えて言う
「こいつは面倒な事になったぜ… ヴィン!何か血の代わりになる物はねぇのかっ?俺も回復させてからでなけりゃぁ 途中でイッちまいそうだっ」
ヴィンが言う
「生憎 今は何もストックが無いのだよ すまない」
リックが言う
「使えねぇぞ?ヴィーンリッヒ」
ヴィンが言う
「この状態を続けてリックが吸血衝動に駆られては我々は全滅する 従ってここは…」
リックが言う
「ああ、そうだな?仕方がねぇこんな時はゲートキーパーズじゃねぇ人間を…」
グレーデンの前にシャナが立って言う
「グレーデンへ手を出そうものなら全力でお相手をするわ!リックっ」
シャナが吸血衝動を表す リックが言う
「おいおい落ち着けシャナ?目の色が変わってンぜ?相変わらず冗談の通じねぇ女だなぁおめぇは 大体…」
ビレが怯えてドラクロアの影に隠れる ドラクロアがリックを見る リックが苦笑して言う
「俺は元々美食派なんだよ その歳で増して男じゃ こっちっから願い下げだ …となると?」
リックがテールを見る テールが気合を入れて踏ん張っていて言う
「うぅううーっ!俺はゲートキーパーズのリーダーなんだっ こんな時はっ こんな時こそー!」
テールが達して言う
「…っ!…い、イった~…」
ユキが衝撃を受ける テールがユキへ向いて言う
「ユキ!俺はすげぇぞ!?指一本触れさせない状態でイける様になった!流石はゲートキーパーズのリーダーだろ!?…って 痛ぇっ!?」
ユキがテールを殴り終えた姿で怒って言う
「アンタは本当に!今の状況!分かってる訳っ!?」
テールが不満気に言う
「わ、分かってるって!?」
ユキが言う
「分かってないっ!」
テールが言う
「いや!分かってる!ユキ!?俺はゲートキーパーズのリーダーだぞ!?仲間がピンチだって時は!」
ユキが言う
「そのゲートキーパーズのリーダーが!仲間がピンチの時に何やってるのよ!?」
テールが言う
「何やってるって決まってるだろ!?このピンチを脱するために俺も全力で出した!」
ユキが怒って言う
「何を出したって言うのよっ!?そんな小汚い精●なんて出したって何もっ!」
テールが言う
「それはもちろん!?精●も出ちゃったけどっ ちゃんと他のモンも出したぞ!それから小汚いって言うなよっ!?ちゃんと綺麗だって!?」
ユキが怒って言う
「他に何が出せるって言うのよ!?」
ユウヤがハッとする エースがユウヤへ向かい攻撃を仕掛けて来る ヴィンがユウヤを庇って回避する リックがエースへ攻撃を仕掛けるが エースがリックの攻撃を回避して瞬時にユウヤを追う ヴィンが言う
「しまった 離れ過ぎた…っ!」
リックが振り返って叫ぶ
「ヴィンっ!ユウヤっ!」
テールとユキが顔を向ける エースの手がユウヤへ向かう ユウヤが目を見開き思う
(駄目だっ 捕まる…っ!)
ユウヤが自分の喉元へ迫ったエースの手に息を飲む エースの身体が横から蹴り飛ばされる ユウヤの目の前に居たはずのエースが地面に叩き付けられる ユウヤが呆気に取られたまま エースの姿を見ている横で ヴィンが言う
「お前は…っ 何故ここに?」
ユウヤがヴィンの言葉にその視線の先を見て驚いて言う
「…えっ!?AJ!?」
AJがユウヤの前に立ち エースへ銃を向けていて言う
「大丈夫ッスか!?ユウヤ先輩!」
ユウヤが呆気に取られて言う
「な… 何で!?君が!?」
ヴィンが言う
「彼だけではないユウヤ」
ユウヤがヴィンの視線の先を見て驚いて言う
「あっ!か、彼はAJと一緒に居た… ヴァンパイア君!?」
リックが呆気に取られて言う
「あぁ!?ヴァンパイア君だぁ?…まぁ良い おいっ てめぇ!?」
ヴァンパイア君がリックへ視線を向ける リックが言う
「てめぇが蹴り飛ばしたヴァンパイアはてめぇみてぇな餓鬼が相手に出来るほど優しい奴じゃねぇんだ 殺されたくなけりゃ物陰で泣いてな!」
ヴァンパイア君が笑んで言う
「へぇ?その割には苦戦してるみてぇだけど?おっさん?」
リックが衝撃を受けて言う
「お、おっさんだぁっ!?」
ユキが疑問して言う
「な、なに?あの若いヴァンパイア… それに もう一人?」
テールが満足げに笑んで言う
「どうだ!?すげぇだろー?リックを”おっさん”だなんて呼べる程すげぇ奴を精●と一緒に出してやったぜー!やっぱリーダーはこうでなくっちゃな!?」
ユキが衝撃を受けて言う
「ソレとコレとは関係ないでしょっ!?」
ユウヤが慌てて言う
「AJ!俺のピンチに来てくれた事は嬉しいけどリックの言う通り今、俺たちが相手にしている あのヴァンパイアは君のヴァンパイア君より ずっと年上の強いヴァンパイアなんだっ だから 君もヴァンパイア君も今すぐこの場所から逃げてくれっ!」
AJが困って言う
「え?いやぁ… そんな逃げろってったって… 大体どこへ逃げるんスか?逃げられる場所なんて それこそ無いッスよ?」
ユウヤが言う
「そ… それは… 確かに…?」
ユウヤが思う
(そうだ もし逃げられる場所があると言うのなら それこそ今…っ …うん?)
ユウヤが気付いて言う
「それならAJ!?君たちは一体どうやってここに!?」
AJが言い辛そうに言う
「そ、それはその… 俺らもユウヤ先輩の後を追って警察本部だって言う あの建物に入ったんッスよ?それでユウヤ先輩は何処かなって?探していたら… 急に周りが変になって?」
話している間にエースがユウヤへ襲い掛かりヴァンパイア君が押さえる ユウヤとAJが驚いて顔を向ける ヴァンパイア君が言う
「おいっ!?のんびり話しなんかしている暇はねぇんじゃねぇのかっ!?」
ユウヤが言う
「あっ!ああっ!?そ、そうだったっ!」
ヴィンが言う
「恐らく彼らはあの警察本部と呼ばれる建物内に進入した際に その青年の… ユウヤの下へ向かおうと想う意識が あの場所に設置されていたゲートへ干渉しテールのゲートへ向けられた意識と同化した事により この場所へと転送されて来たのだろう」
ユウヤが言う
「なるほど凄く良く分かりましたっ しかし、ヴィン?今はその事よりもっ!?」
ユウヤが思う
(早くこの場を何とかしないとっ!?)
リックが言う
「なら理由はどうあれ こっちは今、猫の手も借りてぇ時だったんだ そんな今ならてめぇみてぇな餓鬼でもちったぁ役に立つってもんだぜ おい餓鬼っ 死ぬ気でエースを抑えやがれ!その間にてめぇごと俺がエースをぶっ殺してやる!」
ヴァンパイア君が慌てて言う
「は?ちょ、ちょっと待てっ!?それってっ!?…何で俺まで殺そうとしてるんだよ!?おっさん!?」
リックが目の色を変え怒って言う
「てめぇが俺様をそうと呼ぶからだろっ!」
ヴァンパイア君が青ざめて言う
「ヒェ~ まじぱねぇ…っ ヒッ!?」
ヴァンパイア君が回避する リックが怒って言う
「あっ!良い所で…っ てめぇ!避けンじゃねぇ!」
ヴァンパイア君が言う
「絶対 俺 狙っただろ!?今の!」
リックが言う
「狙うに決まってんだろっ!?」
ヴァンパイア君が言う
「可笑しいだろっ!?何で俺をっ!?」
ヴィンが閃いて言う
「そうかっ 判明した!」
ユウヤが衝撃を受けて言う
「ええっ!?この状況で!?」
ユウヤが思う
(一体何が!?…いや!?落ち着け俺!余裕のないこの状況で ヴィンにまた余計な説明をさせて時間を取られる訳にはいかない!そうとなったら 今、判明させなきゃいけない事と言ったら… それはもちろん!)
ユウヤがエースを見てからヴィンへ向いて言う
「ならっ!?それは!?」
ユウヤが思う
(それでエースを助けられるのかっ!?)
ヴィンが言う
「直ちに解除薬を調合する …そこの君!」
AJが疑問して言う
「お、俺?」
ユウヤが疑問する ヴィンが言う
「調合に必要だ 今すぐ君の血液を分けてくれ給え」
ヴィンが吸血衝動を表す AJが悲鳴を上げて言う
「えぇえーっ!?ちょ、調合じゃなくて その目は俺の血を吸うつもりだろっ!?ヴァンパイア!?」
ユウヤが慌てて言う
「ヴィン!?そうなんですか!?止めて下さい!彼は あのヴァンパイア君の獲物で!」
ヴィンが衝撃を受けて言う
「ユ、ユウヤっ!?この私がユウヤ以外の男の血などを吸うと思っているのか!?それ程まで この私を信用していないとっ!?」
ユウヤが衝撃を受け慌てて言う
「あっ!?いやっ そう言う訳では無くてっ 俺が言っているのは…っ!?」
リックが怒って言う
「おらぁあ!何やってやがる!さっさと薬を作りやがれ!」
ヴィンが言う
「…そうだった 余りのショックに思わず取り乱してしまったがエースの体力的にも限界が近付きつつある その彼を助けるとなれば本当に急がなければ… と言う事で」
AJの首に注射器の針が叩き込まれる AJが衝撃を受けて言う
「イテェッ!?」
ヴィンが試験管へ採血した血を入れて言う
「本来であるなら必要成分のみの抽出を行いたい所だが生憎今はその設備も時間も無い 従って少々強引ではあるが…」
ヴィンが薬の調合を終え試験管へ込められたモノを混ぜ合わせて言う
「完成だ これでエースの意識を…」
ユウヤが喜んで言う
「エースの意識を取り戻せるんですね!?」
AJが首を押さえながら言う
「その試験管の中身で あの暴走してるヴァンパイアを何とか出来るんッスか?」
ヴィンが言う
「もちろんだとも?この天才科学者ヴィーンリッヒの手に掛かれば あの様な二流科学者の薬など…」
ヴィンが言動を止める ユウヤとAJが疑問する ヴィンが言う
「…ついでにこちらも用意しよう …ならば少々こちらも?あちらも少々含めた方が…?」
ヴィンが色々考えて薬を調合する AJが呆れて言う
「本当に… 大丈夫なんッスかユウヤ先輩?この… 自称天才科学者さん…」
ユウヤが困りつつ言う
「あ、ああ… もちろん大丈夫で… ですよね?ヴィン?その… いや?大丈夫ですかっ!?落ち着いて!?」
ヴィンが言う
「ああ、失敬 新たな発見と実験に少々浮かれてしまったが… しかし、これだけあれば完璧だ!」
ヴィンが試験管を3本持つ AJが言う
「3択っ!?」
ユウヤが言う
「え!?」
ヴィンが言う
「そして、更なる万全を期するためにも… そこの少年ヴァンパイア!」
ヴァンパイア君がヴィンへ向いて言う
「あ!?」
ヴィンが瞬時にヴァンパイア君の背後に回って言う
「そのまま私の前で動かずに居てくれたまえっ!」
ヴァンパイア君が一度ヴィンを見てから 正面へ向き直る エースが襲い掛かって来る ヴァンパイア君が衝撃を受けて言う
「アンタは俺を盾にする気かぁーっ!?」
AJが言う
「ひでぇえ!」
ユウヤが困惑して言う
「ヴィン!?」
ヴィンがエースへ薬を振り掛ける エースの顔面に薬が掛かるが エースは変わらずヴァンパイア君へ向かって来る ヴァンパイア君が自身の身を押さえ付けているヴィンの手を払おうと もがきながら言う
「も、もう良いだろっ!?離せっ 離せってーっ!」
ヴィンが言う
「まだだっ!まだそのままにっ!…最後まで大人しくして居てくれ給え!」
ヴァンパイア君が言う
「やっぱり俺をアンタの盾にするつもりなのかー!?」
エースの目に映るヴァンパイア君の姿が ジャックに替わる エースが驚いて言う
「…て、てめぇはっ!ジャックっ!?」
ヴァンパイア君が衝撃を受けて言う
「え…?な、なんでっ!?」
ヴィンが言う
「良し!幻覚剤による相乗効果も相成って 操り解除”実験”は成功した!」
ヴァンパイア君が衝撃を受けて叫ぶ
「実験だったのかよっ!?」
エレーゼが言う
「おのれっ よくも!」
エースが振り返って言う
「それはこっちの台詞だっ エレーゼ!!」
エースがエレーゼへ構える
ヴィンが微笑して言う
「ついでに一時的な体力回復の効力も好調の様子… フ…ッ 即興であったとは言え これほど完璧な成功を収められた事は この天才科学者ヴィーンリッヒならではの偉業と言えるだろう」
ユウヤが呆気に取られて言う
「す、凄いです ヴィン…」
ユウヤが思う
(あの3つの薬は3択と言う訳じゃなかったんだな…?)
ユウヤが苦笑して言う
「まぁ… 当然と言えば当然か?」
エースがエレーゼへ向かう エレーゼが後ず退り ユウヤとAJを見る ヴィンがハッとして言う
「私の獲物に触れる事は許さんっ!」
ヴィンがユウヤの前に立つ ヴァンパイア君がハッとして言う
「ってっ!?それじゃ まさかっ!?」
ヴァンパイア君がAJを見る エレーゼがナイフを手にAJへ向かう ユウヤがハッとして叫ぶ
「AJ!」
AJが呆気に取られる エースとリックが向かう ユウヤが誰よりも近い位置から AJへ手を向ける 皆が息を飲む中 エレーゼが一瞬驚き目を見開いて吐血する ユウヤが驚いて言う
「な…っ!?」
AJが呆気に取られたまま 自身の前で背後から貫かれているエレーゼを見て後ず去る ヴァンパイア君が腕を引き抜き ヴァンパイア君の前でエレーゼが倒れる
ロックが驚きに目を見開いたまま数歩歩いて言う
「エ… エレーゼ?」
ロックが叫んで向かう
「エレーゼ!!」
ロックがエレーゼの横に膝を着き必死に呼び掛ける
「エレーゼ!?エレーゼ!?」
エースがエレーゼを見下ろして言う
「チッ… 俺がやってやる筈だったものを… この餓鬼ヴァンパイア!良くも俺の仲間の仇を 掻っ攫いやがったなっ!?」
ヴァンパイア君が困って言う
「え?んな事言われたって…っ 俺は別にアンタのそれとは知らなかったし掻っ攫うつもりも無かったけど… …やべぇと思ったら咄嗟に」
エースがカードをナイフに変えて言う
「許さねぇ…」
ヴァンパイア君が驚く AJが慌てて言う
「ちょ、ちょっと待てよ!?今のはっ」
エースが言う
「うるせぇえ!人間は黙ってろ!」
AJが言う
「なっ!?んな事言われたって黙ってられるかよ!?こいつは俺を助ける為にあの女を倒したんだ!」
エースが怒りを押し殺して言う
「こっちには事情があった… 俺にはあの女ヴァンパイアを殺す理由があったんだよっ!代わりにお前らを殺してやろうかっ!?」
ヴァンパイア君とAJがエースと向き合う ユウヤが慌てて言う
「ま、待ってくれエース!彼らは…っ!」
エースが言う
「言った筈だぜユウヤ?俺の仲間はっ!」
ユウヤが表情を困らせて言う
「それは…っ けど、そうと言われても…っ!」
エースがヴァンパイア君へ言う
「てめぇを許すつもりは微塵も無ぇが どこの誰だか知らねぇままに仕留めるってのも後味が悪ぃ だから一応、聞いてやる てめぇ名は?」
ヴァンパイア君が反応して言葉を飲む
「…っ」
AJがヴァンパイア君を見る エースが言う
「どうした?名乗れもしねぇのか?…そんな奴に仇を奪われたなんて俺はあいつらに…っ!」
ヴァンパイア君が言う
「…ック」
エースが言う
「あ?」
ヴァンパイア君が言う
「…ジャックだ」
エースが驚いて呆気に取られる ユウヤが呆気に取られる ジャックが言う
「そこまで言われちゃ やるしかねぇみたいだな?正直… 俺に勝ち目はねぇって分かるからやりたくねぇけど アンタがどうしても許せねぇって言うんなら…」
エースが言う
「ジャ… ジャック…?てめぇ… ”ジャック”だと…?」
ジャックが言う
「ああ」
AJが言う
「お、お前… こんな時だけどジャックって名前だったのっ?何で教えてくれなかったんだよっ?俺はてっきりヴァンパイアになった反動で記憶喪失にでもなっちまったのかと… 気ぃ使って聞き出そうとしなかったのに!?」
ジャックがバツの悪そうな表情で言う
「お、お前の名前がAJだって言うからっ …もしかしてそのJが俺と同じだったら …と思って言えなかったんだよっ」
AJが言う
「俺のJはジェームスのJだけど?」
ジャックが怒って言う
「おまっ!?そう言う事はもっと早く言えよっ!お陰で俺は嫌々ながら”ヴァンパイア君”とか 呼ばれてたんだぞっ!?」
AJが言う
「それならそうで偽名とか何かあるだろ?言えよ!?」
ジャックがハッとして言う
「あ、そっか!?…いや?それ言うなら勝手に付けろよ!?」
AJが言う
「俺はお前がヴァンパイアって呼んで欲しいのかと…っ?」
ジャックが言う
「んな訳あるかあっ!…てぇ そうだ!今はンな事よか… おい、アンタやるならやるで仕方ねぇ そっちは?アンタの名前は?」
エースが言う
「俺は…」
AJが言う
「確かユウヤ先輩がさっき…」
エースが言う
「俺はトランペスターキング」
ユウヤが反応する ヴィンとリックが口角を上げる エースが言う
「またの名をエースだ …おい ジャック!勝負の結果が分かっているってンなら無駄な戦いは無しだ!」
ジャックとAJが疑問して言う
「「は?」」
エースが言う
「その代わり…」
エースがジャックへカードを投げ付ける ジャックが受け取りカードを見る エースが言う
「今日から お前は俺のカードだ文句は言わせねぇぜ?ジャック?」
ジャックがジャックのカードを見て言う
「…は?…はぁ?なんだよそれ?大体… ついさっきまでは確か?仇がどうこうって…?」
AJが言う
「まぁまぁ?殺されずに済んだんだし?良かったじゃねぇの?ジャック?」
ジャックが衝撃を受け怒って言う
「お前を助けようとしたせいだろっ!?」
エースが言う
「よし!それじゃ… 改めて これで俺のカードは 今一度 揃った訳だが?」
エースがロックの後ろに立つ ロックがハッとして言う
「トランペスターキングっ 頼むよっ 見逃してくれ彼女は唯…っ!」
エースが言う
「唯?なんだよ?折角お前が見付けた若さを保つ方法を得られたくせに ゲートを操るお前を手玉に人間もヴァンパイアも自分の手の内で弄びやがったんだろう?」
ロックが言う
「それは… 最初はそうだったっ けど変わったんだ!彼女はこの世界を守ろうと!」
エースが言う
「何言ってやがる!?守る所かヴァンパイアを操って世界をぶっ壊そうとしやがったくせに?」
ロックが言う
「違うんだっ トランペスターキング!聞いてくれっ」
エースが言う
「何が違うっ!?」
リックが言う
「まさかとは思っていたが…」
エースがリックを見る リックがやって来て言う
「ヴァンパイアを戦いの道具にするつもりか?それでこの世界を守ろうってぇ?」
エースが疑問して言う
「あぁ?どういう意味だ?リック?」
ロックが言う
「エレーゼ!お前もっ あの男色ヴァンパイアみたいにっ!」
ユウヤが衝撃を受けて思う
(それは思っても口にして貰いたくなかったのに…っ)
ヴィンが疑問する ロックが言う
「お前も人間の血を飲めば治るんじゃないのかっ!?」
エレーゼが苦笑して言う
「駄目なのよロック… 私は… 私は不完全なヴァンパイアだから… 血は飲めないの…」
ユウヤが疑問して思う
(ヴァンパイアで牙もあるのに… 血は飲めない?)
ロックが言う
「不完全って何だっ!?だってヴァンパイアになったんだろう!?」
エレーゼが言う
「いいえ 私は…」
エレーゼの姿が歳を取った人間の姿に戻る ロックが驚く ユウヤが驚いて思う
(人間の姿に!?)
エレーゼが言う
「ヴァンパイアの血を… 取り入れただけの人間… 貴方の前では若い… 綺麗な姿のままで 居たかっ た…」
ユウヤがハッとしてヴィンへ向いて言う
「ヴィンっ!?」
ヴィンが言う
「人間の体にあの損傷では何をしても助からない」
ユウヤが言う
「そんな…っ」
エレーゼがロックへ微笑して目を閉じる ロックが目を見開いて叫ぶ
「エレーゼ!?おいっ エレーゼ!?エレーゼーーっ!!」
《 …こうして俺の戦いは終わった 》
ユウヤがヴィンへ言う
「警察を操っていたのはロックさんとエレーゼさん だったんですよね?それじゃ…?」
ユウヤが2人へ視線を向けハッとする ヴィンが言う
「ああ、これで警察のあり方も変わって行くだろう… 最も?そちらは正常な状態へ戻るとも言うのだが… ユウヤ?」
ヴィンがユウヤを見て疑問する エレーゼの死に嘆くロックの後方に居るテールを見て ユウヤが言う
「テール…」
《 …テールの実の父親と言われたロックさんと そのロックさんの言動から 恐らく… エレーゼと呼ばれた彼女が きっと テールの… 母親だったのでは ないだろうか?それを知ってか知らずか テールは ロックさんの前で自分と少し似ているエレーゼさんの横顔を見詰めていた… 泣く事も表情を落とす事も無く 唯… 見詰めていた その表情はとても… いつものテールとは違って 誰も 声を掛けられなかった… そして 》
リックが言う
「何はともあれ これで ひと段落だぜ?そうとなりゃぁ まずは… 邪魔な奴を処分して”ここを”戻さなけりゃならねぇ」
ユウヤが言う
「その”邪魔な奴”って…?」
長官が叫ぶ
「や、止めろーっ!!」
ユウヤが驚いて振り返り目を見開く エースの仲間たちが長官の血を吸っている エースが言う
「最後は俺が吸い尽くすからなぁ?吸いきるんじゃねぇぞ?」
スペードが言う
「分かってるって リーダー?」
エースが言う
「リーダーじゃねぇ 俺は… トランペスターキングだ」
フォースが顔を上げて言う
「じゃぁエース?そろそろコイツの血尽きるけど?」
エースが慌てて言う
「あ!俺が吸うっつってんだろっ!?それからエースじゃねぇ!トランペスターキングだ!」
フォースが言う
「だってソレ長いんだもん」
エースが仲間たちを払って言う
「ほらどけっ お前らはもう終わり!後は俺が… こんな薄汚ねぇ野郎の血でも今はしょうがねぇ」
エースが長官の首に噛み付く
ユウヤが呆気に取られて見つめている ヴィンが言う
「あの長官殿は元よりトランペスターキングの配下であったジャックを私物化していた… どの道 彼らによる制裁が行われていただろうユウヤの行いとは無関係に」
ユウヤが苦笑して言う
「有難うございますヴィン… けど俺は… 正直に言うとあの人を憐れんでいた訳では無くて その… 警察の長官であったあの人が居なくなったら警察はどうなるのかと…?それに…」
ユウヤが思う
(俺はそもそも人間とヴァンパイアの共存を話し合いたいと…)
ユウヤが言う
「この状態では… これからはどうしたら良いのでしょう?」
ヴィンが言う
「そちらはユウヤも彼の話を聞いてから考察をしたら良いものと思われる」
ユウヤが言う
「え?彼… とは?」
リックが言う
「よし、邪魔な人間はトランペスターキングどもが始末してくれた 後はこの… エレーゼが連れ込みやがった連中だが… そうだなぁ?あの警察本部とか言う場所にでも帰しておけば後は ユウヤの警察どもが片付けるか?」
ユウヤが衝撃を受けて言う
「えっ!?」
ユウヤが思う
(警察が…?)
ユウヤが倒れている少年ヴァンパイアたちを見て言う
「確かに彼らを連れ込んだのは…」
ユウヤがエレーゼを見る リックが言う
「そう言う事だ …おい、ドラクロア!」
ユウヤが衝撃を受けて思う
(えっ!?)
ドラクロアがリックへ向く リックが言う
「この餓鬼どもの体を警察本部とやらへ放り込んで置け」
ユウヤが言う
「な、何でリックが彼に?」
ユウヤが思う
(命令しているんだ!?大体彼は…っ!)
ユウヤがビレを見る ビレの横で ドラクロアがリックへ畏まって言う
「イエス・マイ・ロード」
ユウヤが衝撃を受けて言う
「えっ!?ど、どうなって!?」
ドラクロアがビレへ向いて言う
「我らが主からの命だ貴公も従え」
ビレが衝撃を受け困り怒って言う
「わ、私に力仕事を手伝えとっ!?」
ドラクロアが少年ヴァンパイアたちを担ぎ上げて言う
「我らが主ミルス王からの命だ」
ビレが言う
「む、むぅ~… 王からの命とあれは仕方もあるまい… しかし私は本当に力仕事は… …い、痛っ こ、腰がっ!」
ユウヤが呆気に取られる
《 どうやら俺はドラクロアさんを… いや、ドラクロア伯爵に関しては誤解をしていたらしく… 》
ヴィンが苦笑して言う
「ドラクロア公も相変わらず己の王であるリックの命には誠実か… その命に自らの獲物の手まで使うとは… 私であるならとても…?」
ヴィンがユウヤの頬に触れる ユウヤが青ざめて言う
「うぅ…っ!?」
ヴィンが愛しげに言う
「例え神からの命であろうとも私の獲物の手を煩わせるような事は決して…」
ヴィンの目の色が変わる ユウヤが驚き困り焦って言う
「あ、あああのっ!?ヴィ、ヴィン!?俺はその…っ いくらヴィンの獲物でも ついさっき血を吸われたばかりなので今またこれ以上となると…っ!?」
ヴィンがハッとして言う
「あ… ああっ すまないユウヤ… 私とした事が… どうやら先の出血が原因で抑制剤の効力が…」
ユウヤが呆気に取られて言う
「え?抑制剤の…?」
ヴィンが白衣を探った後 周囲を見て床の血溜りの横に置かれている試験管に気付き それを回収して言う
「ユウヤの近くへ向かう際は私自身へ使用しなければ… ユウヤの魅力はとても私の自制心では補えない程に強烈であるから…」
ヴィンが試験管の蓋を取って吸引する ユウヤが呆れて言う
「そ、それは…」
ユウヤが思う
(それは俺の魅力じゃ無くてヴィンの趣向のせいだと思うのだけど…)
ユウヤが苦笑して言う
「…では今までもずっと?その薬を…?」
ヴィンが言う
「ああ、ユウヤの近くへ向かう際は常日頃から こちらの抑制剤の効力に助けられている …いや、向かわない時であっても今すぐにでも向かいたいと… 傍へ行き触れたいと願うその思いをこの14年間と6ヶ月…」
ユウヤが青ざめる ヴィンが抑制剤を吸引しながら言う
「もはや私は天才科学者の次に薬物中毒ヴァンパイアと呼ばれても可笑しくないと自負が出来る程に…」
ユウヤが言う
「だ、大丈夫なんですかそれはっ!?いくらヴァンパイアでも…っ!?」
ユウヤが思う
(とても心配です… 色んな意味で…っ)
ヴィンが反応して言う
「ユウヤ… 私の身を気遣ってくれるとは…っ やはりユウヤは私の事をそれ程までに?」
ヴィンがユウヤの近くへ来る ユウヤが慌てて言う
「え!?い、いえっ!?な、仲間としてっ ゲートキーパーズの仲間として心配だとっ!」
ドラクロアがリックの前に跪いて言う
「マイ・ロード 作業の程完了致しました」
ビレが遠くで腰をさすっている リックが言う
「よし良くやった なら早速ゲートを解除するか?…ったく鈍間な知能派のヴァンパイアとその獲物に任せたせいで玉座を城へ戻すのに今回は随分と時間が掛かっちまったもんだぜ?なぁ?ヴィン?」
リックが玉座へ向かう ヴィンが苦笑して言う
「その代わり速度は遅くとも成果は十二分に現れた筈 全ては… 私の優秀な獲物であるユウヤのお陰で…」
ヴィンがユウヤに顔を近づける ユウヤが焦っていると周囲の空間が変化する
ユウヤが気付いて周囲を見渡す 玉座に座っているリックが言う
「これでこの空間はメルス城へ戻った… 今この場から出て行きてぇ奴はとっとと出て行きやがれ …ロック?」
ロックが顔を上げる リックが言う
「気は落ち着いたか?」
ロックが苦笑して言う
「…ああ大丈夫だ 話すよリック」
エースが言う
「じゃ?俺らは出て行かせてもらうぜ?こっからはお前らゲートキーパーズの話だろう?」
リックが言う
「そうだなぁ?」
エースが口角を上げて言う
「それなら俺らは俺らで何時も通りに…」
エースの仲間たちがエースの近くへ向かう ユウヤがその様子を見ている エースが言う
「面白そうならまた手を貸してやるぜ?じゃあなユウヤ?」
ユウヤがハッとして言う
「あっ う、うん…っ また…」
ユウヤが思う
(また… そうだ また きっと…!)
ユウヤが気を切り替えて言う
「また”仲間として”一緒に戦ってくれ!エース!」
エースが言う
「エースじゃねぇ… トランペスターキングだ」
ユウヤが苦笑する ジャックとAJがキョロキョロして AJが言う
「え、えっと…?」
エースがジャックの服を掴んで言う
「おら餓鬼ども!お前らも席外せ!…たくっ 空気読めってんだよ」
ジャックが呆気に取られる AJが言う
「あ、あぁ~?それじゃ…?」
ユウヤが言う
「AJ?」
AJがユウヤへ向き苦笑して言う
「何か~?俺ら今KYみたいなんで?また今度!お疲れ様っしたー!ユウヤ先輩!」
ジャックがエースに引かれ そのジャックがAJを引っ張って行く ユウヤが言う
「あ、ああ お疲れ…」
ユウヤが言葉の途中で気付いて言い直す
「…いや、AJ!それに ジャック!」
AJとジャックが立ち止まる ユウヤが微笑して言う
「俺のピンチに助けに来てくれて ありがとな?」
AJとジャックが呆気に取られた後 ジャックがそっぽを向く AJが喜んで言う
「礼なんて要らないッスよ!ユウヤ先輩!俺もコイツもユウヤ先輩の危機とあれば いつだって!」
ジャックがAJを引っ張って言う
「おいっ KY!さっさと行くぞ!?」
ユウヤが2人の背を見送りながら微笑する
《 ゲートは強い意思が無ければ その場所へは向かえない… つまりAJはもちろん あのヴァンパイア君… いやジャックも俺の下へ向かおうと… 本気で助けようと思ってくれたんだ 》
ユウヤが残っているメンバーを見渡す
《 それに 今ここには居ないユーノス警視やそのユーノス警視と俺の家族を守ってくれている カルやディーク… 俺は本当に多くの人に助けられて ここまで来た …いや、もちろん? 》
ユウヤが顔を向ける ユウヤの視線にヴィンが疑問する ユウヤが苦笑する
《 もちろん 一番手を尽くしてくれた天才科学者ヴィーリッヒにも… 》
リックが言う
「それじゃ聞かせてもらおうじゃねぇか?」
ユウヤがハッとしてリックへ向く 皆が視線を向ける ロックが言う
「俺は… 俺とエレーゼは リックや皆が居なくなってからエレーゼの願いを叶えるために 人間のままヴァンパイアみたいに歳を取らない方法を探していたんだ… けど、その方法は見付からなくて俺は諦め様とした… エレーゼにも納得してもらってゲートキーパーズの皆を呼び戻して また一緒にやって行こうと思ってた」
皆がロックの話を聞いている ロックが続ける
「けどエレーゼは その時から『ヴァンパイアが居なければ こんな事は考えなかったのに』って『何で不老不死のヴァンパイアが生まれたのか』って… それを考えるようになったらしい それで…」
ユウヤが思う
(不老不死のヴァンパイアが生まれた理由… 確かにそれは分からない それに その事はヴィンが以前に考えていた事でも…?)
ユウヤがヴィンを見る ヴィンがユウヤの視線に疑問する ユウヤが視線を戻して思う
(…いや、今はそれより)
ユウヤがロックへ向く ロックが言う
「ある時 俺がゲートキーパーズのメンバーを探そうとゲートを開けていた時に エレーゼが そのゲートへ飛び込んだんだ」
ユウヤが思う
(開かれたゲートに入ると言う事は その先は… その人の強く思う人… もしくは場所へ?)
ロックが言う
「俺は慌ててエレーゼの居場所を探したよ けどエレーゼは見付からなかった 俺はずっとエレーゼを探しながらエレーゼが消えた理由を考えた やっぱりエレーゼは歳を取らない方法を探す為にゲートへ入ったんじゃないかって… だから俺はその方法も同時に探していた …そうしたらある時シャナと通じて」
リックが言う
「シャナの奴… 余計な事をしやがって…っ」
ロックが言う
「いや、俺が悪いんだよリック 俺はその方法を得られる為だったら何でもやるって言ったんだ シャナはその俺の熱意に共感してくれた …まぁ自分の獲物の為にもって言ってたけどな?それであの方法を教えてもらって… それをやる為に俺は警察をゲートの力で脅してた…」
ロックが一度言葉を切る ユウヤが思う
(と言う事は 今回の事はゲートの力でロックさんとシャナさんが出会ってしまった事が…?)
ロックが言う
「…そしたらある時 突然エレーゼが帰って来たんだ 自分の足で消えた時と同じ姿で… それで俺はてっきりヴァンパイアになったんだと思ったんだけど それまでに俺がやった事を… シャナたちとの繋がりや警察を操っている事を話したらエレーゼはそれを続けて欲しいって それで…」
ユウヤが思う
(続けて欲しい?その2つの事を?それは…)
ユウヤが言う
「…何故?」
ロックが言う
「俺も聞いたよ何でそんな事をする必要があるのかって?エレーゼはヴァンパイアになったのなら俺が手に入れた若さを保つ方法なんかしなくても良いだろうってな?けど それは… 自分の為にじゃなくて」
《 俺の戦いが終わった この日 》
ロックが言う
「世界を守る為なんだって?ヴァンパイアは元々…」
《 同じくして 》
ロックが言う
「この世界を蝕む異常電波を生み出した者から この世界を守る為に作られた兵士なんだって?だから沢山用意して世界を…」
《 俺たち ゲートキーパーズの本当の戦いが 始まろうとしていた 》
ロックが言う
「守る戦いの準備をしなければいけないんだって… それで俺とエレーゼは人間を人間のままにするんじゃなくてヴァンパイアにするべく この世界の今までのあり方を変える事にしたんだ」
ユウヤが言う
「ヴァンパイアが世界を守る兵士…?」
周囲が静まる
ユキが周囲を見渡してから言う
「…ねぇ?ちょっとそれ本気で言っているの?」
皆がユキを見る ユキが言う
「だって世界を守るだなんて… ヴァンパイアの事だって彼女の勝手な作り話かもしれないし 大体彼女は…!」
ユウヤが言う
「一体何処で誰から その話を?」
ユキが言う
「そうよ!?最低でもその辺がはっきりしなければ何の説得力も無いわよ?」
ユウヤが苦笑して思う
(…俺は結構 本気で信じたんだけど)
ユウヤが言う
「流石… ユキ…」
ユキが言う
「何が?」
ユウヤが慌てて言う
「ああっ!いや、なんでも!?」
ロックが言う
「エレーゼがゲートを抜けて辿り着いた場所は俺たちが生きる この場所の外… アウターの先にある別の人間が生きる場所だったらしい そこは俺たちが生きている この10の街とはまったく違う土地で それに超微電流… だったか?ヴィーンリッヒ?それも そいつらの生きる土地では使えるんだってさ?」
ヴィンが言う
「超微電流が使える… ではその土地や空間には我々の城にある超微電流遮断装置は起動していないと言う事になるのだが… その土地はアウターの脅威は存在しないと言う事なのだろうか?」
ロックが言う
「その辺りの詳しい事は俺にもエレーゼも多分… だけど、その土地には …と言うかエレーゼがゲートを抜けた時そこには元々 俺たちの… こっちの土地に住んでいた奴が居たらしくて」
ユウヤが思う
(アウターの先にある別の人間が生きる場所に俺たちと同じ この土地に居た人間が居た?)
ユウヤが言う
「それは…?」
ロックが言う
「”そいつ”から聞いたんだって …超微電流の事もその土地の事もその土地と俺たちが居る こっちの土地も含めた世界の事… ヴァンパイアの事を」
ユウヤが言う
「その人は一体…?」
ヴィンが言う
「なるほど その人物ならば私は想定出来る」
ユウヤが言う
「え?」
リックが微笑して言う
「ああ俺もだ」
ユウヤが疑問してヴィンとリックを見る ユウヤが言う
「…では?2人の知り合いと言う事ですか?」
ラミが言う
「あ~ら そこまで言われれば私だって分かるわよ?その人間の名前は」
ロックが言う
「タカヤって人だって」
ユウヤが目を見開く ラミが言う
「ゲートキーパーズのリーダーであるロックの下から そのひとつ前のリーダーの下へ… ゲートを超えてたどり着いたと言う事ね?」
ヴィンが言う
「エレーゼはゲートへ対しヴァンパイアの存在理由を問いかけた その答えの先として過去にそれを追い求めゲートへ向かったタカヤの下へと辿り着いた… これは興味深い」
ユウヤが呆気に取られたまま思う
(親父は… 生きていた!?別の土地で!?アウターを超えた その場所でっ!?)
ユウヤがヴィンへ言う
「ヴィンっ!?それなら俺もっ!同じ様にゲートへ向かえば親父の下へ!?タカヤの下へ向かえるんですかっ!?教えて下さいっ!ヴィン!!」
ヴィンが言う
「ユウヤ…」
ユウヤが言う
「もしそうならっ 俺は…っ!」
ユウヤが思う
(親父を連れ戻せるっ!?)
ヴィンが言う
「残念ながら そちらの想いであっては恐らくタカヤの下へと続くゲートは開かれない」
ユウヤが言う
「何故ですっ!?ゲートは意識を向けている相手やその場所へと誘うのでは!?」
ヴィンが言う
「ユウヤのその想いとタカヤの想いが異なるのではゲートは繋がらないのだよ」
ユウヤが言葉を失う ヴィンが言う
「ユウヤ… タカヤは」
リックが言う
「ヴィン」
ヴィンがリックの声にハッとして 表情を困らせる ユウヤが言う
「親父が何ですか?タカヤは…っ!?」
ユウヤがハッと気付いて言う
「…”何を”求めて?」
リックが言う
「そいつを言葉で聞いて思い浮かべるんじゃ意味がねぇんだよ?」
ヴィンが言う
「ユウヤ… すまない…」
ユウヤが思う
(そうだヴィンの事だ… 俺の望みがもし叶うものならきっともっと早くにその方法を…)
ユウヤが言う
「…いえ俺の方こそ …大切な話の途中で」
ユキが周囲を見て言う
「じゃぁ… 何?元ゲートキーパーズだって言う ユウヤのお父さんからの言葉だからって?だから信じるって言うの?」
リックが言う
「俺が信じるのはタカヤが仕入れた情報だ 世界を守る戦いの準備をしろって?…タカヤが そう言ったとなれば お前らが選べる道は2つに1つだ」
皆がリックへ向く リックが言う
「戦うか戦わずに死ぬか」
ユウヤが思う
(戦う…?それは一体何と?)
ヴィンが言う
「リック?今の我々に勝利出来る可能性が万に一つでもあるのだろうか?」
ユウヤがリックを見る リックが言う
「俺らだけだったら まず無理だ」
ユウヤが思う
(俺らだけだったら?…では?)
ユウヤが言う
「では他に?」
ヴィンが言う
「なるほど そう言う事か…」
ユウヤが一度ヴィンを見てから リックへ言う
「他に誰が?俺たちと一緒に戦う仲間が居ると?」
リックが微笑して言う
「それを見付けたんだろうよ?え?お前の親父であるタカヤがよ?」
ユウヤがハッと気付き思う
(そうか!親父は その為の…っ!世界を守る戦いを行う仲間を探しにゲートへ向かったんだ!)
ユウヤが手を握り締める
《 俺の意思は この時 はっきりと決まった …そして その犠牲は決して少なくは無いだろう 人間もこれからヴァンパイアとなる人間たちも …だけどそれでも俺たち人間は 》
リックが笑んで鼻で笑う
「ふん?」
ヴィンが微笑する ラミが言う
「決まったみたいね?」
ユウヤが言う
「俺たち人間は何時かは死にます それなら俺は… 戦って生きる!」
《 これからも生きる為にもがかなければいけない 精一杯… そして、そこにきっと… 》
リックが大笑いして言う
「ぷっははーっ!こいつは 面白れぇ!戦って死ぬでも生きたいでもなく”生きる”と言い切りやがった!流石はあのタカヤの血を引くだけはあるぜ?…必ず見つけるってなぁ?そう言ってゲートへ入って行ったぜ?アイツはよ?」
ユウヤが微笑して言う
「戦って生き残って… その後だったら?…連れ戻しに行っても構わないだろ?」
リックが言う
「おう!その時は俺様が直々にゲートを開いてやらぁ ユウヤ!」
ユウヤが微笑して頷く ヴィンが微笑して言う
「流石はユウヤ… 私の幾選の実験の末に得た」
《 きっとあるはずだ 成功と言われる結果が… 少なくともそれは“その実験”を行なわなければ決して得る事が出来ない“結果”なのだから 》
ユキが周囲を見渡し仕方のない様子で溜息を吐き視線をテールへ向けて気付く
エレーゼの横に腰を下ろしていたテールが立ち上がり 振り返ってユキの視線に明るく笑んで見せる
ユキが気付き微笑する エレーゼの手に花が持たされている
《 その後 ゲートキーパーズは 各街の警察署の署長と友好を持って… または畏怖を持って 各街にある城の所有権を返還させた これにより それらの城は元の持ち主である彼らと… 》
ムルス城
スペードが玉座に座り 面白そうに言う
「いやぁ~ 嬉しいねぇ!?この俺が お城の王様とはよー!?」
エースが言う
「浮かれやがっても やる事を忘れるんじゃねぇぞ?スペード?」
スペードが言う
「え?やる事って?」
エースが言う
「なんだよマルス城の主である このトランペスターキングの姿を200年以上見ていたって言うのに まさか分からねぇとは言わせねぇぞ?」
スペードが微笑して言う
「ああ、そう言う事か!分かった任せとけって つまりアレだろ!?」
エースが微笑する
《 足りない3つの街の城には エースの仲間で長年彼を見て来たスペード、クイーン、キングの3人が仮として入る事になり その仕事を代行してくれると… 》
モルス城
キングが玉座で言う
「ああ!この街の連中とカード勝負をしろって言う事なら このキングにお任せ …をっ!?」
エースがキングを締め上げて言う
「この野郎っ お前もそんなふざけた冗談を言いやがるのか キングっ!?」
キングが困って言う
「ち、違うのか…?」
《 そして 各街の警察署やその他 人間の方も… 》
メルス街 警察署
ユーノスが微笑して言う
「ゲートキーパーズ… いや、ユウヤ君の指示通り今年2歳になる子供の住民票を確認し その子供たちへメルス城への招待状を送る様 住民課へ連絡をしておいた」
ユウヤが言う
「有難うございます ユーノス”警視長”」
ユーノスが一瞬呆気に取られてから苦笑して言う
「…知っていたのか?」
ユウヤが微笑して言う
「はいっ 俺はゲートキーパーズですから?」
《 ゲートキーパーズの事は 公には隠す事に決められた もちろん各街の城にヴァンパイアが居ると言う事や警察へ指示を出しているのが そのゲートキーパーズだと言う事も 》
ユーノスが苦笑して言う
「ロック殿に各街の警察を管理する様にと命じられ 警視長昇格もその手当てと言った所だろうが… 私はこれからもメルス街警察署の署長の役目と共に そちらも精一杯やらせて頂くつもりだ」
ユウヤが苦笑して言う
「やっぱりメルス街警察署の署長である為に長官への昇格を断られたのですね?」
ユーノスが苦笑して言う
「そこまで知っていたのか?」
ユウヤが微笑する
《 長官はあの時殉職してしまったので 俺は新たなその長官の位にユーノス警視を推薦した ヴィンやリックもそれに賛同してくれた事もあり ロックさんがそれをユーノス警視へ伝えた筈だった …けど、ここまで来てもやっぱりユーノス警視は 》
ユーノスが言う
「私はやはりこの街の警官で居たいのだよ少なくとも… タカヤが戻るその時まで」
ユウヤが反応する ユーノスがハッとして言う
「ああっ すまないユウヤ君の前で…」
ユウヤが微笑して言う
「…必ず連れ戻しますから その時は」
ユーノスが一瞬驚いた後微笑して言う
「そうか ならばその時は是非ともタカヤはもちろんユウヤ君も警察官へ戻ってくれると期待しているよ ユウヤ巡査?」
ユウヤが呆気に取られた後微笑して言う
「有難うございます ユーノス警視長」
《 それならそうできっとその時は訪れるだろう… ユーノス警視長が …いや、このメルス街警察署のユーノス署長が長官となる その日が 》
ユウヤの家 リビング
ユウヤが呆気に取られて言う
「え?セイヤは今日学校に行かなかったのか?」
リマが言う
「そうなのよ 昨日は久しぶりに行ったと言うのに 今日からはまた自宅学習にするって?」
ユウヤが言う
「そんな…」
《 俺たちの行いによって この10の街に居る多くの少年少女たちはヴァンパイアになると言う事が確定された それは避けようも無い事実であり 俺たちが行った罪でもある 》
ユウヤが席を立って言う
「ちょっと言って来るセイヤは助かるにしても… 同い年くらいの子供たちと一緒に人間として生活出来る時間は限られているのだから その折角の機会である学校には行ける間は行っておかないと」
ユウヤが立ち去る
ユウヤが部屋のドアをノックする ドアの中から セイヤの声がする
「はーい どうぞー?」
ユウヤがドアを開けながら言う
「セイヤ?今日学校に行かなかったって?それは… …っ!」
ユウヤが呆気に取られてから 苦笑して言う
「…そう言う事か」
セイヤに絡み付いていたヴィンが振り返って言う
「お帰りユウヤ」
ユウヤが苦笑して言う
「ヴィン…」
ヴィンがユウヤの近くへ来て微笑して言う
「ユウヤのお陰で各街の警察署の状況も概ね良好との事 ロックもユウヤの働きに感謝していた そして私も… 人間でありながらもこれほどに精力的に行動するユウヤを尊重して…」
ユウヤが言う
「俺はただ各街の警察署に顔を出して状況を確認しているだけなので対した事はしていません …しかしヴィン?そんな俺でも尊重してくれると言うのなら1つお願いが」
ヴィンが喜んで言う
「おお!ユウヤが私にお願いとはっ!これはまた久方振りの誉れ!何でも言ってくれ給えユウヤ!この天才科学者ヴィーンリッヒに掛かれば不可能など!」
セイヤが呆れて言う
「あぁまた変態科学者が親父に”媚を売って”る」
セイヤが国語の教科書をトントンと指先ではじく ヴィンが微笑して言う
「フフフ… 違うなセイヤ?私の知識能力は媚と言われるほど低いものではないのだから この場に置いて使用する言葉は強いて言うのなら…」
セイヤが教科書を見ながら言う
「媚を売るで合ってるだろ?意味は”機嫌を取る事人の気に入るようにする事または女性が男性の気を引こうとして見せる色っぽいしぐさの事” …これ全部に引っかかってるジャン?」
ヴィンが衝撃を受けて言う
「全部に?…いや、それを言うのならセイヤ?後半の部分に関してはユウヤと私では…」
セイヤが言う
「何だ違うんだ?アンタっていつも男の俺や親父に対してべたべたしてくるからさ?てっきり そっちの気でもあるのかと思ってた」
ユウヤが思う
(…それは俺も思って)
ヴィンが衝撃を受けて言う
「なっ!?何を言っているのだセイヤ?そもそも私が身を寄せる対象は私の獲物であるユウヤと その息子であるセイヤの2人だけであり… それから私にはそっちの気等と言われる様な性は毛頭無いのであって」
セイヤが言う
「あれ?そうなんだ?」
ユウヤが言う
「え?そうなんですか?」
ヴィンが衝撃を受けて言う
「ユ、ユウヤまでっ!?」
ヴィンが他方を向いて涙を堪える ユウヤが首を傾げる セイヤが言う
「大体、男の癖にそう簡単に泣くなよな?ほんとアンタは男らしさが欠片もねーんだから」
ユウヤが言う
「セイヤ それは少し言い過ぎだろう?男だって泣きたい時はあるじゃないか?」
ユウヤが思う
(大体そんな事言ったらまたヴィンが泣いてしまう)
ヴィンが言う
「ああ… いや良いのだよユウヤ セイヤの言う通り私は男らしさと言うものには無縁の人生を歩んでいた為 そちらに関しては不足している自覚がある」
ユウヤが疑問して言う
「え?あ… そうなんですか?」
ユウヤが思う
(男らしさに無縁の人生って…?)
セイヤが言う
「そう言えばアンタの事って聴いたこと無かったけど …家族とか居んの?」
ユウヤが反応して思う
(そう言えば俺も?聞いた事が無かったな… いや大体ヴァンパイアは)
ヴィンが言う
「ああ人間であった頃には両親はもちろん姉弟も… そして私は10人姉弟の末っ子で…」
ユウヤが驚いて言う
「10人!?」
セイヤが言う
「すげぇ~」
ヴィンが言う
「うん?ああ、そうだな昔は… 800年以上昔は医学も何もが未開であった為に生存率が著しく低くあり その頃の貴族は多くの女性を自分の下へ置いて可能な限り子孫を残そうとしていた 従ってその為にも10人と言う人数は当時の貴族の中に置いては別段珍しくは無かった …とは言え その中の私を除く姉弟が皆女性であったと言う事は珍しい事であったのだが」
ユウヤが言う
「え!?それでは…っ!?」
ヴィンが言う
「故に私は9人の姉に可愛がられ… と言うより姉弟の中で唯一の男子である事を弄ばれ幼少期を過ごしていた そのせいも有ってか女性に対しては安らぎや優しさの類を見出す事が出来ないのだよ… いや?もちろん恋愛の対象に関しては問題は無いのだが どうも女性の前では安堵が出来ない性分で… ついでに言うとその様な姉ばかりの姉弟であった為に一族を継ぐ唯一の男子として紳士的に在れと両親には厳しく躾けられていた」
セイヤが言う
「あー… 何か分かって来た気がする?」
ユウヤが苦笑して言う
「うん俺も… つまりヴィンは…」
ユウヤが思う
(女性に対しては紳士的に在るように徹底されていた そして9人のお姉さんの悪影響で女性に甘えたり安心したりが出来ない… だから逆に男性であって現状はヴァンパイアであるヴィンより弱い… ヴィンに危害を与えない人間の男性の… 増して獲物である俺に…)
ヴィンがユウヤの頬へ触れ 近付きながら言う
「ユウヤに私の事を理解してもらえるとは… 私は今とても言葉で言い表せないほどに幸福だ…!」
ユウヤが衝撃を受け困りながら言う
「い、いやっ 理解したのは…っ!」
《 ヴィンに関してはこれまでの彼の言動やその他に関する理解は出来たと言う事で… それに関しては 一応 安心した 》
ヴィンがユウヤから離れて言う
「ああ すまないユウヤ まだ新しい抑制剤が完成していないもので気を抜くとつい…」
ユウヤが苦笑して言う
「それは まぁ…」
ユウヤが思う
(俺が理解したのはヴィンの生い立ちが… 9人のお姉さんたちから可愛がられていたと言う そっちの方なんだけどな?)
ユウヤが苦笑する セイヤが言う
「そうは言ってもさ?きっと…」
セイヤの部屋 外
リマがドアに耳を付けて聞いている セイヤの声が聞こえる
「…きっと そのアンタがそう言う事をするから誤解が生まれるんだと思うんだよな?」
ヴィンの声が聞こえる
「誤解が?セイヤの言う”そう言う事”と称されている そちらは… この様な…?セイヤへ対する私の愛撫の事を示しているのだろうか?」
セイヤの声が聞こえる
「あ…っ」
リマが衝撃を受け ドアを叩き開く
セイヤの部屋 室内
リマが叫ぶ
「セイヤっ!!」
セイヤが驚いて言う
「うおっ!?びっくりした!?…母さん だからドア開ける前にノックしてくれって?」
リマが言う
「あらっ そうだったわね!ごめんなさい!急いでいたものだから!」
セイヤが言う
「わ、分かったけど何もそんなに強く喋んなくても?」
ヴィンが笑っている
「クックック…」
リマがヴィンを見てムッとする セイヤが言う
「んで 何?急いでたって…?」
リマがヴィンへ向いて言う
「ヴィーンリッヒさん?ちょっとお願いがあるのですけど!?」
ヴィンが言う
「ああ もちろん?淑女からの願いと在れば このヴィーンリッヒ紳士として誠心誠意を持って お受けする所存にあるが どう言った内容だろうか?」
リマが言う
「ええ でしたら是非!セイヤの事は大切にして欲しいんです それで」
ヴィンが言う
「そちらは頼まれるまでも無い セイヤの事は私の全身全霊を掛けて大切にと…」
ヴィンがセイヤの体へ触れる セイヤが鳥肌を立てる リマが怒って言う
「だったら そんな風にセイヤに触らないでーーっ!!」
《 ヴィンのあの過剰な愛情表現は彼が人間であった頃に9人のお姉さんたちから受けていた ちょっと曲がった愛情表現だったという事を聞いたのは この後間もなくだったけど その誤解(?)が解かれた後でも彼の愛情表現は改善される事は無く… そうとあればやっぱりそんなヴィンの事をリマが受け入れる日も遠い先の話で… 》
開け放たれた窓ガラスの外に泣き声が聞こえる
「うわぁああーーん!」
セイヤが窓の外を見てから 振り返って言う
「母さんっ!?」
リマが言う
「母として息子の貞操を守ったわ!」
セイヤが言う
「それって普通息子に使う?つーか 折角 勉強見てもらう予定だったのに 帰っちゃったじゃないか?今頃ユルス城の棺の中で泣いてるよ?アイツ?」
リマが言う
「もうっ 変な所で弱いんだからヴァンパイアの癖にっ」
ユウヤが苦笑して思う
(ヴィンは相変わらずだけど本当に… ユキはもちろんリマも?こう言う所に関しては強いよな…?)
セイヤが言う
「ヴァンパイアは身体は異常な回復力を持つけど心は変わらないんじゃねぇ?人間の時と?」
リマが反応してから 顔をそらして言う
「だったら紳士として もっと強い気持ちを持つべきよ!セイヤも強くなりなさい?精神的に!」
セイヤが言う
「精神的にねぇ…?」
セイヤが教科書をぱらぱらとめくる リマが窓を閉めて言う
「さぁそれじゃ今日は少し予習をするくらいにして… どうせまた明日には来るわよ?」
セイヤが苦笑する ユウヤが呆気に取られていた状態から苦笑して窓の外を見る
《 そして俺たちの世界は 定められた流れのままに 16歳になった少年少女たちは 皆 例外無く ヴァンパイアへと変化して行った… 》
《 発生当初の混乱は まもなく当然の事として認知されるようになり 人々が怯える中 その1年後には16歳からの学校である高校は廃止され 同時期に再開された各街の城への招待状… 》
《 何処からか情報が漏れたのか 人間たちが人間を救うヴァンパイアが居ると噂される各街の城へ助けを請い 押し掛ける事態が発生… 事態の鎮圧の為ヴァンパイアの城を人間の警察が警備すると言う 今だかつて無い事態へと発展して行った 》
《 そんな俺たちは その俺たちの知らない世界からの使者と共に… 全世界を掛けた戦いへと向かう その時へと近付いて行くのだった 》
To be concluded...
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しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
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