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2章
アナザーゲートキーパーズ 『続・セイヤと変態 そして母』
しおりを挟むキッチン
リマが夕食の用意を続けている ユウヤが来て言う
「リマ さっきは有難う」
リマが言う
「え?」
ユウヤが言う
「俺を信用してくれただろう?俺が連れて来たヴァンパイアの2人を」
リマが苦笑して言う
「最初は少し怖かったけど 本当に… 話をしていれば普通の人間と同じ感じだね?」
ユウヤが言う
「うん …まぁヴィンは凄く頭が良いから そう言った意味では人間離れしている様な感じはするけど」
リマが苦笑して言う
「聞く事成す事が全部 信じられない事ばかりだけど聞いていると不思議と信じられてしまう… まるで魔法でも掛けられてしまうみたいに」
ユウヤが言う
「魔法?」
リマが微笑して言う
「うん ユウヤの魔法の言葉と同じね?”リマなら大丈夫だ”って言ってくれた あの言葉みたいに」
ユウヤが苦笑して言う
「あぁアレは… 魔法と言うより俺は本当にリマなら大丈夫だって思ったからさ?実際 大丈夫だっただろう?だから俺はただ軽くリマの背中を押したくらいだよ?」
リマが微笑して言う
「ふふっ そうね?そうなのかも?」
ユウヤが微笑して言う
「うん …あ、ワインを持っていかないと」
ユウヤがワインの用意をする リマが言う
「お夕食ももうすぐ出来るから」
ユウヤが言う
「分かった有難う …あ、でも あの2人は食べないと思うから」
リマが言う
「え?」
ユウヤが言う
「ディークも昔 やっぱり食事は食べてなかったし ヴィンも… だから2人の分は用意しないでワインだけで良いんだ …それがヴァンパイア」
リマが言う
「そう… …何だか申し訳ないけれど?」
ユウヤが言う
「ああ、けど本当に大丈夫だから」
リマが一瞬呆気に取られた後 微笑して言う
「うん 分かった」
ユウヤが微笑してから立ち去る リマが苦笑して言う
「魔法を掛けている本人は分からないんだね?本当にユウヤの言葉は凄い力なんだって… …あっ!?」
リマがハッとして鍋の蓋を開ける 黒い煙が上がる
食卓
セイヤが疑問して言う
「なんか… 今日おかず 少なくねぇ?」
リマが苦笑して言う
「ごめんなさいね?焦がしちゃったものだから食べられる所が少なくなってしまって」
セイヤが言う
「あぁ そう言う事?…てっきりヴァンパイアの2人に食われたのかと思った」
リマが呆気に取られる ユウヤが苦笑して言う
「2人は元々食べないから それは無いよセイヤ」
セイヤが言う
「あぁ そうなんだ?だから…」
セイヤがディークとヴィンの前のテーブルを見る そこにはワイングラスしか置かれて居ない ディークが微笑して言う
「私が人間のままであったのなら それこそ今このテーブルの上にあるものでは足りない位だったが」
ヴィンが微笑して言う
「セイヤはやはりユウヤに似て とても心優しいのだな?彼は遠回しに我々の前に食事が無いと言う事を案じてくれたのだよディーク?」
ディークが言う
「うん?ああ そう言う事か?」
セイヤが視線を逸らして言う
「別に…っ 案じるとか…じゃねぇけど …普通 食い辛いじゃん?」
ユウヤが言う
「ああ そっか?そう言われると やっぱり俺は慣れてるのかな?ゲートキーパーズのアジトに居た時もリックが食べない前で自分が食べる事にも気を使わなくなってたし」
ヴィンが微笑して言う
「そちらで結構 むしろ我々としては諸君が近い場所で満足に食事を得ていると言う姿を目にする事が自身の快楽へと繋がるのだから」
セイヤが言う
「ふーん?まぁ… そこまで言うのなら?…いただきまーす!」
セイヤが食事にがっつく ディークが微笑して言う
「やはり若者は食欲が大せいで見ていて気分が良い」
ヴィンが言う
「そうは言おうとも余り見詰めるのは失敬と言うものだ」
ディークが言う
「ああ、それもそうだな?」
ディークがワインを飲む ユウヤが言う
「もっと注ごうか?ディーク」
ディークが言う
「いや、大丈夫だ 有難うユウヤ …今日のディナーはとても楽しい」
ユウヤが微笑して言う
「そう言ってもらえて嬉しいよ」
ヴィンが微笑して言う
「私も久方ぶりに家族の食卓と言うのを満喫出来て嬉しく思う… これは正に832年前の再現といった所だろうか」
ユウヤが衝撃を受けて思う
(同じ家族の食卓でも やっぱり その年数は凄い…)
ヴィンがワインを飲む セイヤが食器を置いて軽く息を吐く
「…はぁ」
皆が反応して リマが言う
「セイヤ?」
セイヤがハッとして言う
「あ…」
ヴィンが苦笑する ディークが疑問して言う
「どうした?食べ疲れたか?」
ユウヤが苦笑して思う
(いや?普通なら そうじゃなくて…)
セイヤが言う
「いや… 明日提出の課題が終わんなくって…」
ディークが疑問して言う
「カダイ?そう言えば先ほども その様な事を言っていたが…?」
ヴィンが言う
「なるほど?そちらへ対する溜息だったか 私はてっきり…」
ユウヤが苦笑する ヴィンが言う
「…いや、折角ディークが上手く受け取ったのだから こちらは生かさなければな?」
ディークが疑問する ヴィンが言う
「先ほども言っていたが明日提出予定の そちらの課題とは学校の… いわば宿題と言った所だろうか?」
セイヤが言う
「そ… うちの担任 自分の受け持ちのクラスにだけ自分の担当科目を押し付けるんだよ その1科目だけでも学年トップのクラスにしたいらしくて… マジで超迷惑」
リマが言う
「セイヤの担任の先生は とても評判の良い先生よ?それに その先生が頑張って下さるのならセイヤも頑張ったら良いじゃない?」
セイヤが言う
「頑張るって言ったってさ?毎週毎週すげぇ調べなきゃいけない課題出して おまけにそのテストまでやるんだぜ?うちのクラスだけ… やってらんねーよ それで赤点取ったら課題の再提出に再テスト …週に2回も課題とテストをやる羽目になるんだマジでバックレてぇ~」
リマが言う
「大変なのは分かるけど それなら最初から赤点を取らないように頑張ったらテストも課題も週に1回だけで済むじゃない?」
セイヤが言う
「無理だよクラスの半分以上赤点取るんだ… 2年になったら遊べると思ってたのに… よりによってアギトセンコーのクラスになったから…」
ユウヤが言う
「アギトセンコー…?あ、もしかして俺の同級生だったアギトか?そう言えば教師になりたいって言ってたな?」
セイヤが言う
「親父の元同級生?それなら言ってくれよ?こんな毎週のテストと課題なんて止めてくれって」
ユウヤが苦笑して言う
「いや… さっきから聞いていて思ったんだけど そのやり方って俺たちが学生の頃 担任の先生がやってたのと同じで …まぁ その担任は国語の担当だったから毎週 単語の書き取りと そのテストで それほど大変じゃなかったから …けど俺も良く赤点取ったなぁ」
ユウヤが思う
(アギトは あのやり方を再現してるんだな?確かに お陰でうちのクラスは国語の教科に関しては学年トップだったもんな?だからきっと…)
ユウヤが言う
「俺が言っても止めないよ?その方法は効果があるって過去に立証されているんだからな?」
セイヤが溜息を吐いて言う
「うへぇ~ 最悪…」
リマが軽く笑って言う
「セイヤは1年生の時の国語の成績は良かったじゃない?」
ユウヤが言う
「そうなのか?凄いな俺は1年の時の国語はかなり悪くて… 2年の時のその先生のお陰で なんとかなったって感じだったよ?」
セイヤが言う
「親父の時みたいに国語ならさぁ?調べる必要も無いし全然楽だろ?こっちは公式やら定義やらおまけに…」
ヴィンが言う
「公式や定義… ちなみにセイヤの担任であるそちらのアギト教員の受け持ちは?」
セイヤが言う
「科学」
場が静まる
セイヤがハッとする ヴィンが微笑して言う
「フ… フフ…ッ セイヤは優しいだけでなく やはりユウヤに似て謙虚なのだな?しかし私に対してそれらの心遣いは不要だ むしろ もっと頼ってくれて結構だ セイヤ… もちろんユウヤもだが?」
ヴィンがいつの間にかセイヤに絡んでいる セイヤが思う
(やっべー 俺 余計な事 言ったーっ!)
ディークが言う
「科学ならヴィンに教えてもらえば良い」
セイヤが怒ってディークを見る ヴィンがセイヤの肩に腕を絡めながら言う
「その通り この天才科学者ヴィーンリッヒが手取り足取りと…」
セイヤがゾゾゾッと身を震わせ ヴィンの手を払い避けながら言う
「い、良いってっ!自分でやるからっ!」
ヴィンが言う
「もちろん自身にて行う事は大切な事だが そもそも難しいと感じるのは回答へと至るその工程が多難であると言う事なのだろう?それは基礎知識を吸収するべき学生の勉学に置いては 好ましい状態とは言い難い… 本来はその為に生徒の先を照らす者である”先生”と呼ばれる者が必要となるのだが… 従って その彼が導き施すべき課題がセイヤにとって多難である事は間違っている」
セイヤが疑問して言う
「じゃぁ…?」
ヴィンが再びセイヤに絡んで言う
「とは言えセイヤの担任である その者が それに気付かないままに生徒へ多難と感じる そちらを行えと命じるのであれば彼の生徒であるセイヤは従うざるを得ないのだろう… そうとなれば対策は簡単この私がセイヤの”先生”を受け持てば良い」
セイヤが表情を引きつらせて言う
「…って 事は つまり教えてくれるって事?俺の… ”先生”って事で…?」
ヴィンが言う
「その通り ちなみに私は現代教師の資格などは得ていないが そうとあっても心配は不要 必ずやセイヤを この世の科学の無限の可能性へと向かう その正しき道へと導いて見せよう?」
セイヤが表情を曇らせる ディークが微笑して言う
「良かったなセイヤ?ヴィンなら大丈夫だ誰よりも凄いセイヤの先生を行ってくれるだろう」
ユウヤが苦笑して言う
「まぁ… 確かに科学を教える先生としては良いだろうね?ヴィンは天才科学者だから」
セイヤがヴィンの身体を押し離しながら言う
「だからさ… その科学を教える方は良いとしても… ”その他の方”が心配なんだよっ!」
ディークが言う
「その他…?うむ… いや?その他に関しても大丈夫だろうヴィンはユウヤのヴァンパイアだ そしてセイヤはユウヤの息子とあれば同じ事 ヴァンパイアは獲物を守る事はしても傷付ける事は行わない」
セイヤが言う
「傷付ける事は行なわない?って そう言うなら…」
ディークが言う
「唯うっかり吸い過ぎて死なせてしまう事はあるが」
人間たちが衝撃を受ける ディークが言う
「それも500年も生きれば容量を心得る事も出来る …と言う事で、800年以上生きているヴィンであれば やはり大丈夫だと言う事だ」
セイヤが沈黙する そのセイヤの頬を指先で撫でながら ヴィンが言う
「フフフ… ディークは説明事がやや不得手である事から少々怯えさせてしまったかもしれないが それでも彼が言わんとした事は伝わった筈 …そして そうとあれば?」
セイヤがゾゾゾッと身震いをしてから ヴィンの手を払って怒って言う
「だからっ!それは分かったけどっ!?俺が心配している方への大丈夫には繋がってねぇしっ!だから離れろってっ!」
セイヤが勢いで立ち上がる ヴィンが微笑して言う
「そうか分かった では早速にも参ろうか?」
セイヤが溜息を吐いて 手にしていたフォークを置いて言う
「あぁ… もう良いや… ご馳走様っ」
リマが言う
「あら?お代わりは良いの?セイヤ?」
セイヤが言う
「変態科学者が纏わり付いて来るし やっぱ課題が気になるから先に終わらせて来る」
ユウヤが苦笑して思う
(変態科学者って…)
リマが言う
「それなら またお夜食を持って行くわね?」
セイヤが言う
「うん 有難う」
リマが微笑する ヴィンがドアを開けて言う
「フフフ… 今夜は長くとも楽しい夜となりそうだなセイヤ?」
セイヤが表情を引きつらせて言う
「2年になってから毎週この曜日は徹夜になるから長いけど …終わらない課題が楽しいなんて訳ねぇし!…変態まで付いて来てマジで今夜は最悪…」
セイヤが部屋を出て行く ヴィンが微笑して続く
セイヤとヴィンが出て言ったドアが閉まる ユウヤがリマへ言う
「セイヤは毎週徹夜で勉強してたのか?」
リマが言う
「そうよ?貴方知らなかったでしょう?」
ユウヤが苦笑して言う
「うん 知らなかったな… けど、俺も2年の時は毎週課題提出の前日に一気に書き取りやってたっけ?」
ユウヤがセイヤの出て行った扉を見る リマが微笑する ディークが微笑してワインを飲み干す
セイヤの部屋
勉強机の前の椅子に座っているセイヤが言う
「んじゃ 早速だけど これ… 化学反応方程式を使って この物質の本質を証明しろとか言うんだけどさ?大体どの方程式使ったら良い訳?取り合えず水が入ってるんだから2H2Oだと思うんだけ… どっ!?」
ヴィンがセイヤの後ろから抱き付くように教科書を覗き込んで言う
「なるほど化学方程式の基本を教えないままに応用を行わせようとは基本がなっていないのは むしろ そちらの教員の方なのかもしれない」
セイヤが困りつつ言う
「…いや、一応 基本は教わったよ最初の授業の時に… これだろ?俺らが学校で使う化学方程式は この6つを覚えておけば良いって言われて…」
セイヤがノートをめくって見せる ヴィンが言う
「ああ やはり その様な導きを …それでは最初から間違っていると言わざるを得ない」
セイヤが疑問して言う
「え?間違ってんの?この式?」
ヴィンがセイヤへ視線を向けて言う
「いや?こちらの式自体が間違っていると言う訳ではないのだが」
セイヤが間近のヴィンに嫌悪しつつ 視線をノートへ逸らして言う
「ま、間違って無いんなら…っ じゃ、やっぱり この式を使うんだろ?」
ヴィンが言う
「もちろん科学の証明に化学方程式を用いると言う事は至極当然なのだが問題はそれ以前に そこへ至る理論を説明し理解してもらわなければ意味が無い 物事の本質を理解しないまま そちらの応用されたものを説明したとしても誰も説き伏せる事は出来ないのだから…」
セイヤが言う
「え?いや別に説き伏せなくても… 俺はテストで正解出来れば それで良いんだけど?」
ヴィンが言う
「確かに そちらの方法もまた その場しのぎと言う事では十分であるかもしれないがセイヤはこれからも人間として生きて行くと言う事は中学校はもちろん高校へも向かうのだろう?高校でも化学の授業はある筈だ折角この中学2年生の1年間に不本意ながらも この様な課題を架せられるのならば いっその事後の学問へも利用出来た方が有意義である筈 …違うかな?」
セイヤが困りつつ言う
「う、うん…?そりゃ そうだろうけどさ?けど、俺元々そんなに勉強とか あんま好きな訳じゃないし …取り合えず高校は警察高等学校に入れるレベルならそれで良いから だからテストさえ」
ヴィンがセイヤを見て言う
「おや?セイヤもユウヤと同じ警察学校へ入る事を目指していたとは …それはユウヤも知っているのかな?」
セイヤがハッとして頬を染めつつ顔を背けて言う
「しっ… 知らねぇんじゃねぇ…?基本的に親父とそう言う話なんかしねぇし?」
ヴィンが軽く笑って言う
「フフフ… 伝えれば きっと喜ぶのでは無いだろうか?誰であろうと自分の息子が自分の様になる事を目指していると聞けば喜ばない親は居ない」
セイヤが慌てて言う
「い、良いんだよっ!言うなよっ!…恥ずかしいだろっ!?」
ヴィンが軽く笑う
「あっははは…」
セイヤが赤面してから怒って言う
「そんな事よりっ!これ終わらせないとっ!だから この問題の答えを教えろよっ!変態科学者っ!」
ヴィンが微笑して言う
「フフフ… ああ、そうだった少々話が脱線してしまったが つまり こちらの問題を解くには それ以前に基本となる化学方程式の説明から必要であると言う事 従って そちらの問題の解答は後で説明する事として まずは こちらの教科書の初めから…」
セイヤが衝撃を受け言う
「え!?いや、だからっ さっきの聞いてた!?俺はただテストさえ良ければ良いんだから そう言う本当に勉強みたいな事は…っ」
ヴィンが言う
「こちらの基本となる科学方程式 Fe+S→FeS だが そもそも これら方程式は何故この様に記されるかと言うと…」
セイヤが表情を困らせて言う
「だーからっ!そっちの基本は良いんだってっ!」
リビング
リマが食事の後片付けをしている ユウヤが言う
「それじゃ あの城に居た貴族たちは元々…」
ディークが言う
「ああ、元はゲートキーパーズのメンバーの1人で彼は決して人を傷付けるような人間ではなかった だが… その彼の子供たちは… 恐らく自分たちが他の人々より力を持っていると言う事に溺れてしまい …結果あの様な事に」
ユウヤが言う
「父親が良い人だったのに… でも、しょうがないね?いくら親が良くても子供もそうなるとは言い切れないし その逆だってあるだろうし」
ディークが表情を困らせて言う
「うむ… そうだな… だが、我々が直接 人間を支配すると言う事は出来ない だから どうしても人間の力が必要となり我々はその者へ力を貸すと言う形で代表となる人間を選ばなければならない」
ユウヤが言う
「何故ヴァンパイアが直接人間を支配する… 管理をすると言う方法は取れないの?」
ディークが言う
「それを行うと人間たちが我々への反逆を… 集団で結束する様になる そして その人間たちだけであるのなら良いのだが そこへは多くのヴァンパイアも協力する形になり そのヴァンパイアたちと我々が戦う事になると それでは この世界を破滅させてしまうのだ と… ヴィンが その様に言っていた」
ユウヤが言う
「この世界を破滅… そうなんだ?何でだろう…?確かに大変な事にはなりそうだけど それって今とそれほど変わらないんじゃ?」
ディークが困って言う
「さぁ… どうなのだろうな?私には とても理解が及ばない」
ユウヤが苦笑して言う
「うん… 俺も… けど、ヴィンが言うのなら きっとそうなんだろうね?…なら それで?次の方法とかも もう考えているのかな?」
ディークが言う
「ああ、恐らく…」
セイヤの部屋
セイヤがノートに化学方程式を使った解答を書いて言う
「出来たー!これで良いんだよな?」
ヴィンが微笑して言う
「ああ、そちらの記述で間違いないセイヤは正確に そして確実に この世の空気の存在を証明して見せた」
セイヤが表情を明るめて言う
「なんか すっげぇよなっ?俺が そんな事を証明して見せたなんて… なんか信じられねぇんだけど!?」
ヴィンが微笑して言う
「フフフ… どうかな?セイヤ 科学の解答という物はつねに人々の目の前に存在しているのだよ化学方程式とは即ち それを分かりやすく記す事で説明しているに過ぎない しかし その説明がある事によって それの存在を確実に人々へ伝える事が可能となる」
セイヤが言う
「そうだよな?この方程式があれば水の中にだって空気があるって事を証明出来るもんな?…今なら俺にも分かるし?」
ヴィンが微笑して言う
「その様に言ってもらえる事が物事の成り立ちを説明して伝えている科学者の私にとって何よりも嬉しく思う所だ …セイヤは そういった意味に置いても とても教え甲斐がある」
セイヤが言う
「アンタの教え方が上手いからじゃねぇ?唯の変態科学者だと思ってたけど やっぱ本当は…っ」
セイヤが横を向く ヴィンが間近に顔を近づけて言う
「そして その賢いセイヤが成熟して その温かい皮膚の内側を流れる血液を頂ける日が とても待ち遠しい…」
セイヤが衝撃を受け言う
「ほ、本当は… やっぱ吸いてぇの?俺の血を?…やっぱアンタはヴァンパイア…」
ヴィンが言う
「ああ 私はユウヤとセイヤのヴァンパイア… 2人を守り2人から守られる存在」
セイヤが言う
「それってつまり… ぶっちゃけ家畜と その主って事?」
ヴィンが言う
「ふむ… 悪く言えば そうとも言うが我々ヴァンパイアが人間から得るものは決して その血液だけではない」
セイヤが言う
「え?なら…?何?その他になんて… 何んか有んの?」
ヴィンが言う
「その人間の喜びや悲しみ苦しみや憎しみ… それらの感情や欲望が我々ヴァンパイアには必要となる それらは我々が人間であった頃には有しており またヴァンパイアとなる事で失われていく感覚にして それが無いと言う状態は耐え難い苦痛を伴う …ヴァンパイアの永遠の命を自ら絶ってしまうほどに」
セイヤが言う
「… へぇ…?そうなんだ?知らなかった ヴァンパイアは人間の血だけが必要なのかと思ってた」
ヴィンが言う
「ふむ それでは むしろ逆と言える本来ヴァンパイアは人間の血が無くとも生きる事が可能であるのだから」
セイヤが驚いて言う
「えぇえっ!?そうなのかよっ!?それならなんでっ!」
ヴィンが言う
「ただ血液には それが人間であっても他のものであっても不思議と先ほど伝えた その感覚と言うものが残っている」
セイヤが言う
「さっきの… 感情とか欲望って奴?それが血液に?それって…?」
ヴィンが言う
「簡単に言えば まずは その血液が人間のものであるのかその他のものであるのか等が ヴァンパイアには識別が出来る 次に その血を口にするとその血を有していた者の感覚が流れ込んで来る 例えば それが人間のものであるのなら良くも悪くも自分たちと差して変わりないのだが その他となると得てして不快な感覚である事が多い 特にセイヤが先ほど言っていた家畜の血液は正しく最悪と言える 何故なら汚れの無い彼らが主であった人間たちを どれ程に信頼し そして どのように裏切られて行ったのか… その過程と意識そして感情が流れ込んで来る」
セイヤが呆気に取られて驚いた後 表情を落として言う
「信頼していたのが裏切られて… …そっか そうだよな?きっと恨んでるんだろうな?」
ヴィンが言う
「恨んでいる か… そうだな その様な感覚であるのなら良いのだが」
セイヤがヴィンを見て言う
「違うの?」
ヴィンが苦笑して言う
「いや、そうと思っていた方が良い セイヤが これから そうして得られる食料を必要としない ヴァンパイアになると言うのなら構わないが?」
セイヤが苦笑して言う
「あぁ… その予定は無いから やっぱ遠慮しとく …けど、何か分かったような気がするよ」
ヴィンが言う
「すまない 余計な知識を与えてしまった …フォローになるかは分からないが家畜以外の野良犬や野良猫もしくは愛玩動物などであれば そちらは問題はない彼らは人間を嫌うか好むかのどちらかであり そちらの感覚が流れ込んで来ようとも それほど苦しい事は無い特に 愛玩動物は人間に愛されていたと言う その感覚が心地よくさえある」
セイヤが言う
「そっか 愛されていた… 可愛がられていたのなら人間の事、好きだろうからな?それって どんな感覚?やっぱ… 甘いとか暖かいとか?」
ヴィンが言う
「それら両方が そして最後には苦味が残るのだが そこは… 出来れば味わいたくは無い所だ」
セイヤが言う
「苦味?それって…?」
ヴィンが言う
「恐らく飼い主の人間へ助けを求める… もしくは別れを…」
セイヤが言葉を失って沈黙する ヴィンが気付いて苦笑して言う
「いや、これでは何のためのフォローであったのか分からない …セイヤはとても聞き上手なのだな?その様な所もまたユウヤにそっくりだ私は何度ユウヤへ あの作戦の事を口にしてしまいそうになった事か数え切られない」
セイヤが苦笑して言う
「…ははっ 駄目だな?天才科学者は何でも知ってるから聞かれると何でも答えちゃうんだろ?」
ヴィンが苦笑して言う
「ああ… 求められると応じてしまう性質なのでね?」
リビング
ユウヤが言う
「ヴィンがどんな方法を考えているのかは分からないけど何にしても まずは2歳になった子供たちに何とかして会ってヴァンパイアの血液を与えて人間のままで居られるようにしないといけないんだから …その方法だよね?今はもう貴族は居ないから強制的に呼び出す事は出来ないのだし」
ディークが言う
「再び貴族の役割を果たす者を選び出す と言うのなら その人間を決めた上で我々ヴァンパイアが現代の警察たちを力で説き伏せる事になるだろうが… あの方法は被害も多い出来る事なら再び行いたくは無いが」
ユウヤが言う
「以前は その方法で?」
ディークが言う
「ああ、そうして街の人々へ子供たちを連れて来る様に手配を行うと… しかし ただ連れて来るようにと言った所で誰も従わなかった そこで少々脅かす事で強制的に人々を呼び付ける事が出来る様になった 呼び出しに従わなければヴァンパイアが襲いに行くとな?」
ユウヤが苦笑して言う
「なるほど… それで皆従うようになったの?」
ディークが言う
「最初は皆信じなかった だから警察を利用して呼び付けに従わなかった家が次々にヴァンパイアに襲われたと言う嘘を撒く事で その内 人々は従うようになった それで安心して私は眠りに付いたのだが… 彼の息子たちが まさか横暴な貴族になってしまっていたとは とても信じられん あのダムールの息子が…」
ユウヤが言う
「彼らの父親であった そのダムールって人は それほど良い人だったんだね?」
ディークが言う
「ああ… 良い人… いや、どちらかと言えば とても臆病な男だったゲートキーパーズでも 仲間のヴァンパイアに怯えるほど」
ユウヤが言う
「仲間のヴァンパイアに怯える程…?あ、ちなみに その彼のヴァンパイアは?誰が彼を獲物にしていたの?」
ディークが苦笑して言う
「うむ… それが元々ダムールを獲物にしていたのは… ヴィンなのだが…」
ユウヤが衝撃を受けて言う
「えっ!?…それじゃ もしかして?」
ディークが言う
「その後 間も無く …ラミに横取りをされ」
ユウヤが苦笑して思う
(やっぱり…)
ディークが言う
「だから 結局 誰の獲物かと言えば誰の獲物でも無い」
ユウヤが疑問して言う
「え?だって…?ラミに横取りされたって事は」
ディークが言う
「その後ラミに怯えたダムールはヴィンに泣き付いてラミを追い払い彼は誰の獲物でもなくなった」
ユウヤが苦笑して言う
「なるほど… そう言えば以前聞いた話で そう言う人が何人か居たって」
リマが夜食を持って現れ ユウヤたちを見てから部屋のドアを見る ユウヤが気付いて言う
「うん?セイヤの夜食か?俺が持って行こうか?リマ?」
リマがユウヤを見て少し考えてから微笑して言う
「ううん大丈夫 私が持って行く」
ユウヤが言う
「そう…?けど、無理しなくても良いけど?」
リマが苦笑して言う
「ユウヤに頼んでも今度はこっちで私がディークさんと2人きりになっちゃうでしょう?だったら…」
ユウヤが気付いて言う
「あ… そっか?」
ディークが気付き困って言う
「うん?…あぁ そうか?では私が…?」
リマが言う
「そうしたら今度は私たちの大切な子供の所にヴァンパイアを2人も置く事になっちゃう」
ディークが苦笑して言う
「あぁ… それもそうだな?」
ユウヤが苦笑する リマが言う
「だから私が行くわ」
ユウヤが言う
「分かった… あ~でも本当に平気?ディークと違ってヴィンはその… 独特だからさ?むしろ… ちょっと俺が気になったりして…?」
ユウヤが思う
(同性のセイヤに触れて怒られているのは俺も笑って見て居られる… けどもし?ヴィンがリマに あんな事をしたりしたら…?)
ユウヤの脳裏に ヴィンがリマへ身を寄せて顔を近付けている様子が浮かび ユウヤが嫌そうに頭を振って掻き消す リマが苦笑して言う
「ええ、本当にディークさんと違って彼は独特みたいだからセイヤが悪い影響を受けていないか この目で確認して酷い様なら叱って来るわ?だから私が行くの …ユウヤじゃ叱れないでしょ?」
ユウヤが呆気に取られて言う
「え?あ… ああ… それは まぁ… 確かに?」
リマが苦笑してから立ち去る ユウヤが思う
(ヴァンパイアに怯える所かヴァンパイアを叱るって…)
ディークが言う
「やはり母親は強いな?」
ユウヤが言う
「俺もそう思うよ…」
セイヤの部屋 前
リマがやって来てドアの前で耳を澄ます 室内からセイヤの声が聞こえる
「…けど もう少し…」
リマが疑問する ヴィンの声が聞こえる
「ここまで理解をすれば先ほどの課題などは容易く終わるだろう従って さぁセイヤ今度はこちらを…」
セイヤの声が聞こえる
「あ、それならさ?そっちは もっと後にして今度は… そうだ!もっと実用的な所でヴァンパイアの…」
リマが反応し
セイヤの部屋
急にドアが開かれ リマが現れて言う
「セイヤっ!?どうっ?課題ははかどってるかしらっ?」
セイヤが驚いて言う
「うおっ!?びっくりした… ノックぐらいしてくれよっ?」
リマが言う
「あら ごめんなさい両手が塞がっていたものだから!」
リマが入室して来る セイヤが呆れて言う
「両手が塞がってて… それで どうやってドア開けたの…?」
リマが机に夜食を置きながら言う
「え?ああ… それなら… 最初から少し開いてたのよ!だから!」
セイヤが疑問して言う
「は?開いてた?それじゃ… 足で蹴り開けたって事?…母さんが?」
リマが言う
「うふふっ そんなお行儀の悪い開け方はしちゃ駄目よ?セイヤ?」
セイヤが衝撃を受けて言う
「母さんこそっ!?」
ヴィンが密かに笑っていて言う
「クックック… いや失敬」
リマがヴィンを見てから セイヤへ言う
「さぁ?セイヤ!沢山お勉強して お腹が空いたでしょう!?セイヤが好きなもの用意して来たのっ!」
セイヤが言う
「あ、ああ… 有難う …ってか そんなに声張らなくても?」
リマがヴィンへ向いて言う
「あら いけない ヴィーンリッヒさんにも何か?ワインでも お持ちした方が良かったかしら?お食事はなさらないのよね?」
ヴィンが言う
「いや心遣いは感謝するが私へは何も必要ない むしろそれらなどより…」
リマがハッとして思う
(それらなどより…っ!?)
ヴィンがリマへ身を寄せて 顔を近付けて言う
『美しい貴女の その身を流れる温かなワインを…』
リマが僅かに頬を染め 手で口を覆って言う
「って そんな…っ」
リマがハッとして疑問して周囲を見て衝撃を受ける
ヴィンがセイヤに身を寄せ 顔を近付けて言う
「さあ セイヤ?セイヤが好きなものを用意して下さったそうだ暖かいうちに母上様の手料理を早速頂いてくれ給え そして好物を食して快楽を得ていると言う この人間の感覚こそ… ヴァンパイアには何よりの快楽…」
セイヤが食事の手を止めて不満そうに言う
「…あのさ?すげぇ食い辛いんだけど?」
ヴィンが微笑して言う
「フフフ… それはすまない 若い人間ほど感覚は敏感で その快楽も強く伝わって来る…」
リマが衝撃を受け 表情を怒らせて言う
「…若い」
ヴィンが続けて言う
「セイヤの好物は甘い玉子焼きか そう言えばユウヤもそうだった そして、セイヤもそちらへ少量のソースを掛けて より刺激のある味を求める様にとなるのだろうか?あの味も とても 美味であったが?」
セイヤが言う
「あー そう言やぁ親父はソース掛ける派 けど、俺は掛けない派!折角甘いのに塩っ辛いソース掛けたら意味無いじゃん?」
ヴィンが微笑して言う
「それがまた相乗効果を伴っての旨みを引き出すのだが… ともすればセイヤもいずれは…」
ヴィンがセイヤの頬を撫でる セイヤが言う
「だーからー すげぇ食い辛いんだって言ってんだろ!?この変態ヴァンパイア!」
ヴィンが微笑して言う
「あぁ… また1つ私の呼び名が加わった様だ今日は実にセイヤから沢山の贈り物を頂けて私は この上なく幸福だよ セイヤ」
セイヤが呆れて言う
「駄目だ やっぱ変態だ これ…」
ヴィンが微笑して言う
「フフフ… さて お次は何を味わうのか?」
リマが呆気に取られている セイヤが言う
「甘い玉子焼きの次は やっぱベーコンでしょ?…うんっ 旨っ」
ヴィンが言う
「なるほど やはりセイヤも そうと続くか そして、ベーコンの塩味を味わいつつも喉を潤す さらりとした紅茶のぬくもりに ほのかに香るアールグレイの香り更にそちらへ続くトーストの歯ごたえが程よい刺激を与えてくれる… やはり食事はそれら全ての感覚に敏感な若い人間のそちらに限る」
リマがぷんっと怒る セイヤが紅茶のカップを置いて トーストを片手に不満げに言う
「…ってさ?その俺が食うつもりの物まで先に言うの止めてくんない?」
ヴィンが言う
「ああ、失敬どうか気にせずに食事を続けてくれたまえセイヤ」
セイヤがトーストを食べて言う
「まったく… うんっ うまっ!」
ヴィンがセイヤに絡みながら微笑する
「フフフ…」
リマが呆気に取られた後 両手を腰に当てて不満そうに言う
「…ふんっ!」
セイヤが食事を続けている
リビング
ディークが立ち上がって言う
「では 私は そろそろ…」
ユウヤが言う
「え?」
ディークが部屋のドアを見てから言う
「ヴィンはもう少し掛かりそうだが私は一度墓地へ向かい あの隠して置いたベットを回収しなければならない 私がそれを行っている間にでもヴィンは終わるだろう」
ユウヤが言う
「あの墓地に埋めたベットを掘り返すの?なら俺も行こうか?スコップも必要でしょう?」
ディークが微笑して言う
「大丈夫だ 衝撃波で土を舞い上がらせれば一度で済む」
ユウヤが思う
(え?衝撃派って…?)
ユウヤが苦笑して言う
「そ、それって大丈夫だよね?それに周囲の… 御近所様も驚いたりしちゃうんじゃ?」
ディークが軽く笑って言う
「はっはっは そうだな?以前は間違って周囲の墓石も粉砕してしまったが」
ユウヤが衝撃を受けて思う
(それはいけないっ!)
ユウヤが言う
「そ、それはっ!」
ディークが言う
「それも2度も3度もやれば慣れたものだ衝撃波の範囲を限定する事が出来るようになった 最近では すぐ隣の墓石が一度飛び上がる程度で問題ない」
ユウヤが思う
(墓石が飛び上がるって…)
ユウヤが言う
「…良いのか?それ…?」
ディークが疑問して言う
「うん?」
リマが空になった食器を持って帰って来る ユウヤが言う
「あ、リマ 大丈夫だった?」
リマが不満そうに言う
「ええっ!」
ユウヤが衝撃を受け 困惑して思う
(あ… あれ?何だか… 怒ってる様な?)
ユウヤが苦笑して言う
「あの… ヴィンは結構 話が脱線しちゃう事も多いから心配かもしれないけど けど… きっとセイヤへは一番良い様にしてくれると思うから大丈夫…」
リマが言う
「ええ、本当にセイヤが一番みたいねっ?」
ユウヤが疑問して言う
「え?セイヤが一番って…?」
リマが言う
「ヴァンパイアって性別より年齢を重視するものなの?自分と異性の女性より同性の若い男の子の方が良いのかしらっ?」
ユウヤが呆気に取られて言う
「へ?えっと…?」
ユウヤがディークを見る ディークが疑問してから
「うん?ああ私は もちろん自分と異性の女性の方が良いが?」
ユウヤが苦笑して言う
「そ、そうだよね?普通は…」
ユウヤが思う
(あ… でも もしかしてリマが言っているのはヴィンのあの…)
リマが言う
「それじゃヴィーンリッヒさんが特別なのかしら?だとしたらセイヤが心配だわっ?」
ユウヤが衝撃を受けて思う
(やっぱりか…)
ユウヤが苦笑して言う
「あぁ… でも大丈夫だよリマ?ヴィンはその… ちょっとスキンシップが過激なだけで一度でも相手に嫌がられれば止めてくれるから…」
リマが言う
「セイヤは嫌がってるのに止めようとしないのよ?」
ユウヤが思い出して言う
「あ… そう言えば…?」
ユウヤが思う
(セイヤは… むしろ俺よりもハッキリと嫌がっているみたいだけど…?)
ユウヤが苦笑して言う
「なんでだろう…?」
リマがぷんっと怒って言う
「もうっ!」
リマが立ち去る ユウヤが苦笑して思う
(それで怒ってるのか?…何か違うような気もするけど)
ユウヤが苦笑している横でディークが疑問してから改めて言う
「…うむ?では私は そう言う訳で一足先に帰らせてもらう ユウヤ」
ユウヤが言う
「あ、うん それじゃ… 衝撃波の加減には気を付けてね?」
ディークが微笑して言う
「ああ 分かった 今日は久しぶりに楽しいディナーだった有難うユウヤ それからリマ婦人にも…」
ユウヤが言う
「分かったリマにも伝えて置く 俺の方こそディナーを一緒に出来て嬉しかったよ それにまた…」
ディークが微笑して言う
「そうだな いずれまた」
ディークが家のドアを開ける ユウヤが見送って言う
「うん それじゃ お休み ディーク」
ディークが言う
「お休み ユウヤ」
ユウヤが微笑するディークが消える ユウヤがディークの消えた夜空を見上げてから 家へ戻りドアを閉める
時計の針が進み 深夜2時を示す
ユウヤがリビングで1人考えている ユウヤが思う
(…やっぱり俺の知った事はユーノス警視には伝えるべきだよな?ユーノス警視は貴族が子供たちを呼び付けて何かをしていたって所までは調べを付けていたんだ だったら…)
リマが現れ部屋のドアへ向かう ユウヤが気付いて言う
「ん?リマ?」
リマが言う
「ちょっとセイヤの様子を見て来るわね?」
ユウヤが一瞬呆気に取られた後苦笑して言う
「え?でも何度も言うようだけど本当に心配しなくてもヴィンは…」
リマが言う
「そうじゃなくて もう遅いから」
ユウヤがリマの言葉に時計を見てから言う
「あ、本当だ もう2時だったのか… セイヤはまだ課題に追われているのかな?」
ユウヤが思う
(俺もそろそろ寝る時間だけど…)
リマが言う
「そうだとしても もう寝かせないと いくら学校の宿題でも体に良く無いでしょう?」
ユウヤが一瞬呆気に取られてから苦笑して言う
「そうだね?大切な俺たちの息子なんだから俺たちで守らないと」
リマが微笑して頷いて言う
「うんっ だから言って来るわ」
リマが出て行く ユウヤが言い掛ける
「あ…」
リマが去って行く ユウヤが浮かせた腰を下ろして苦笑して言う
「俺も行こうか?って… 言おうとしたんだけど」
ユウヤが思う
(あの様子… 恐れる所か逆にヴィンを一喝でもしそうな様子だ …何だそれじゃリマはもう、ヴィンの事を疑ってなんかいないって事か?)
ユウヤが苦笑して言う
「俺は結構 疑ってたんだけどな…?…駄目だな?俺…」
ユウヤが一人で苦笑する
セイヤの部屋 前
リマがやって来る ドアの先からセイヤの声が聞こえる
「…っしゃ!簡単!どうどう!?」
ヴィンの声が聞こえる
「ああ、正しくパーフェクトな回答だ セイヤは本当に理解が早い教える方も気分が良いと言うものだ この快感を学校の教員などには勿体ない引き続き この私が得続けたい程に」
セイヤが言う
「じゃ こっちも続けてさ!?良いだろ?」
ヴィンが微笑して言う
「もちろんセイヤがそうと言うのなら喜んで… と、言いたい所だがそれよりも…」
セイヤの声が聞こえる
「…あっ!?」
リマが驚きドアを叩き開く
セイヤの部屋
ヴィンがセイヤの前にある教科書のページを変えて言う
「こちらの公式を利用した最たるものとして…」
リマが言う
「セイヤッ!」
セイヤが驚いて言う
「うおっ!?か、母さんっ!?今度は何っ!?…ってかノックは?」
リマが言う
「あら ごめんなさい!急いでいたものだから両手が塞がっていてっ」
セイヤが呆気に取られて言う
「は?急いでいたから両手がって… それ理由にならなくねぇ?」
ヴィンが笑って言う
「クックック… いや、失敬」
リマがヴィンを見てからセイヤへ言う
「それよりどう?お勉強は?課題はまだ終らなそうなの?」
セイヤが言う
「え?課題?あぁ、そんなのとっくに終わってるよ?あんなのただ問題文を書き直すようなモンで30分も掛かったっけ?」
ヴィンが微笑して言う
「フフ… そうだな?実質はそれほども掛からなかったが合間合間に私が取り入れた話のお陰で34分と29秒ほど掛かってしまっただろうか?」
セイヤが言う
「ああ、そう言えば途中で流体力学の応用の方も教えてもらったもんな?…あ、それじゃさ?やっぱあっちの続きを先にしてさ?原子流動の方は後にした方が順番的に良くねぇ!?」
ヴィンが言う
「マーベラス その通り…」
セイヤが喜んで言う
「やったね!」
ヴィンが言う
「と、言いたい所だが残念ながら それ以前に取り入れるべき知識として流動力学の基本を 新たに追加して置こう」
セイヤが言う
「基本?あっ そっちはちゃんとやっとかないとだよな?基本がなって無きゃ何も始まらないってさっ!」
ヴィンがセイヤの頬を撫でて言う
「その通りだセイヤ」
セイヤが得意げに笑んで言う
「へへ~っ!」
リマが呆気に取られた後 ハッとして慌てて体勢を直す ヴィンが教科書を開きながら言う
「従って今度はこちらの説明を…」
リマが教科書を閉じて言う
「はいっ そこまで!」
セイヤが呆気に取られてからリマへ向いて言う
「あっ… 何するんだよっ!?母さんっ!」
リマが言う
「今夜はおしまいよセイヤ!もう夜中の2時になるんだからセイヤは寝なさい!」
セイヤが不満そうに言う
「別に平気だって…」
ヴィンが気付いて言う
「あぁ… 私とした事がセイヤがとても優秀であり尚且つ意欲的であったために つい時間を忘れてしまって居た 私個人の研究であるならまだしも大切なセイヤの睡眠時間を奪う訳には行かない …セイヤ母上様の仰る通り今宵はこの辺で一区切りとしよう?」
セイヤが言う
「でも…」
リマが言う
「そうよ?子供はちゃんと寝ないと」
セイヤが言う
「けどさ…?今日しかないじゃん?」
リマが疑問して言う
「今日しか?今日… 何かあるのかしら?」
セイヤが視線を逸らして言う
「だから その… もう来ないんじゃねぇの…?」
セイヤがちらっとヴィンを見る ヴィンが気付き苦笑して言う
「それは私が… と言う事だろうか?」
セイヤが言う
「…うん」
ヴィンが苦笑して言う
「おや?私はいつもセイヤを見守っているのだと そうと伝えなかっただろうか?」
セイヤが言う
「それは聞いたけど…?」
セイヤが部屋の天井一角にある蜘蛛の巣を見上げる 小さな蜘蛛の巣に 銀色の蜘蛛が居る ヴィンが微笑して言う
「そう、従って私はユウヤはもちろんだがセイヤが私を呼ぶのであれば何時であろうと何所であろうとも すぐに傍へと現れるとも?」
セイヤが一瞬呆気に取られてからヴィンを見て言う
「ホントに?」
ヴィンがセイヤの顔の間近で微笑して言う
「ああ もちろん」
ヴィンがセイヤの頬を撫でる セイヤが苦笑して言う
「なんだ そうなの?それなら… ホントは俺… ふあっ… 結構 眠くて… 我慢してた…」
セイヤが欠伸をする ヴィンが微笑して言う
「フフフ… なんと愛らしい…」
セイヤが苦笑して言う
「”アイラシイ”って… それ何?ガキみてぇって事?」
ヴィンが言う
「いや とても… 大切だと言う事だ」
ヴィンがセイヤを抱き上げる セイヤが驚いて言う
「うおっ!?な…っ!?」
ヴィンがセイヤをベッドへ寝かせる セイヤが呆気に取られて言う
「す、すげぇ 力… そっか流石ヴァンパイア…」
ヴィンが微笑して言う
「ああ そうだとも?…とは言え私は数少ない頭脳派のヴァンパイア他のヴァンパイアに比べれば筋力は弱い」
セイヤが言う
「あれ?…何だ弱いんだ?」
ヴィンが微笑して言う
「ふむ、しかし力では劣るが その分は知能で… 伊達に天才科学者とは呼ばれていない自身の獲物は必ず守るとも 心配は不要」
セイヤが苦笑して言う
「そっか… 天才… 心配は… してなかったけど…」
ヴィンがセイヤの頬を撫でながら 愛しそうに言う
「さぁ… 成長ホルモンの活発な若い人間には深夜の睡眠が不可欠だ 良く休み給えセイヤ… お休み私のセイヤ…」
セイヤが眠そうに言う
「お休み…」
ヴィンがセイヤに近付き 軽く首筋へキスをする リマが驚く ヴィンが微笑してセイヤを見る セイヤが苦笑して言う
「やっぱ変態…」
セイヤが眠りに付く リマがハッとする ヴィンが近づいて来て言う
「さて、セイヤの眠りを妨げない為にも我々は この部屋を後にすべきかと?」
リマが言う
「え、ええ…っ」
ヴィンとリマがドアを出て 電気が消される
リビング
ドアが開く ユウヤが反応する ヴィンが開けたドアを押さえリマを諭す リマが入室する ユウヤがその様子を見てから苦笑して言う
「あ… えっと …割と お、遅かったね?何かあったのかと…?」
ヴィンが言う
「それはすまなかったユウヤ セイヤはとても優秀で科学へ対する意欲も強い為つい私もそちらのペースに引かれてしまってね?」
ユウヤが言う
「え?あ、ああ…っ そう… そうなんだ?それは良かっ…た?」
ユウヤがリマを見る リマが言う
「だからって寝る間も惜しんでの勉強なんて良くないから ちゃんと寝かせて来たわ」
ユウヤが言う
「あ、うんっ そうだね?夜はちゃんと寝ないと… 俺も そろそろ…」
ヴィンが微笑して言う
「ああ、それでは夜分遅くまで失礼した ユウヤもゆっくり休むと良い疲れている筈だ」
ユウヤがはっとして言う
「うん… あっ!けどっ ヴィン!?」
ヴィンがユウヤへ向く ユウヤが思う
(ヴィンはこの後の作戦も きっと考えているんだろう そして また俺を…?だとしても)
ユウヤが言う
「えっと… その… 俺は確かに大した事は考えられないけど …それでもっ これから以前の貴族に代わる様な何か方法を考えなくちゃいけないと… いえ、ヴィンは もう考えているんですよね?それとも既に…?」
ヴィンがユウヤへ向き直って言う
「ああ、そちらの事か そうだな考えているのかと問われれば考えてもある そして、既に開始しても居る」
ユウヤが一瞬呆気に取られてから言う
「ああ… やっぱり…」
ユウヤが思う
(それじゃ 俺が行う事なんて… 今まで頑張ってきた事なんかは何も…)
ヴィンが言う
「しかし、それらは全て今後の状況によっては いくらでも変化をするもの よって方法は複数考慮して居るが それらのどちらが当てはまるのか… もしくは どちらもが当てはまらないのか それは私にも分かりかねる」
ユウヤが呆気に取られて言う
「え?それじゃ…?」
ヴィンが微笑しユウヤの近くへ来る ユウヤが反応する ヴィンが微笑して言う
「そして ユウヤは何らかの方法を考えているのかな?」
ユウヤが言う
「俺は…」
ユウヤが思う
(俺は…?)
ユウヤが間を置いて言う
「…正直どうしたら良いのかは分かりません 人間をヴァンパイアにしない為の その方法が分かれば解決すると思っていたもので… だから…」
ユウヤが思う
(だから俺は…?)
ユウヤが間を置いてヴィンを見上げる ヴィンは微笑して静かに頷く ユウヤが呆気に取られた後苦笑して言う
「だから… 取り合えず この方法を …ユーノス警視に …俺の上司へ報告しようと それで… …あ、ユーノス警視と言うのはっ」
ヴィンが微笑して言う
「ああ、彼の事は認識している ユウヤの幼少の頃からの知り合いであり尚且つタカヤの友人でもあり更には私自身も以前ユウヤと共に対面した事がある」
ユウヤが思い出して思う
(あ、そうだった あの時…っ)
ヴィンが言う
「それで?」
ユウヤがハッとして気を取り直して言う
「あ、はいっ それで… それで… … …どうなるかな?多分ユーノス警視は警察の上層へその事を報告するかもしれません… それが良いのか悪いのかは分からないけど でも… 俺が出来る事は今回の事件を俺と一緒に… …俺を信用して色々導いてくれたユーノス警視には やっぱり伝えたいんです …駄目でしょうか?」
ヴィンが苦笑して言う
「いいや?ユウヤが その様にするべきであると思うのなら その様にしたら良いのではないだろうか?」
ユウヤが言う
「え?あ、はい それなら… でもヴィンならもっと何か良い方法を考えているのでは?俺のは 考えていると言うよりも… いえ?むしろ何も考えられずにユーノス警視へ頼るだけと言う事ですから」
ヴィンが言う
「ああ それで良いのだとも?」
ユウヤが言う
「え?」
ヴィンが言う
「確かに私も私なりに方法を考えては居るが物事は科学の理論とは異なり必ずしも定義のままに行われると言うものでは無いのだから 特に時代を作る人の心と言うものだけは科学の定義で表す事は出来無いもの… そして、そうであるからこそ私はユウヤへ託したいと考えている」
ユウヤが呆気に取られて言う
「ヴィンが俺に…?」
ヴィンが微笑して言う
「ああ… ユウヤは とても正義感があり且つ責任感も強い しかしユウヤは弱い人間であるから他の人間の力も必要とし それを手に入れ… 更には自身よりも力の勝るヴァンパイアたちの力でさえ手に入れている」
ユウヤが呆気に取られて思う
(そうだ… そう言えば俺はいつの間にか また仲間を…)
ユウヤの脳裏に ユーノスやAJ、B校のヴァンパイアたちの姿が次々と浮かぶ ヴィンが不満そうに顔を背けて言う
「…まぁ正直あのヴァンパイアたちなど居なくともユウヤには私と言うヴァンパイアが居るのであるからっ?奴らに関してはっ どうでも良いのだがっ…」
ユウヤが衝撃を受けて思う
(あぁ やっぱりヴィンは俺がリョウタ君へ血をあげた事 怒っているんだろうな…?)
ヴィンが気を取り直して言う
「…う、うんっ いや?つまり… 私が何を言いたいのかと言うと 私はユウヤの行動に期待をしているのだと言う事」
ユウヤが言う
「え?俺に期待を…?有難う御座います …って言っても 俺は本当に今言った通りでユーノス警視に伝えて それで… どうしたら良いかはユーノス警視と相談するつもりですが?」
ヴィンが微笑して言う
「そちらで良いのだよユウヤ 人間を守る為の方法はやはり その人間たちが編み出さなければならない そうして我々ヴァンパイアはその人間たちを守り必要とあれば力を貸す… それが人間とヴァンパイアの理想とする共存であると 私はそのようにずっと考えていた そして ユウヤであるのなら それを成し遂げられるのかもしれない」
ユウヤが呆気に取られて言う
「俺に… 出来るでしょうか?」
ヴィンが言う
「出来るかどうかは現状であっては やはり分からない そして これがまた正解であるのかどうかも」
ユウヤが呆気に取られてヴィンを見る ヴィンがドアへ向かいながら言う
「従って私はその実験を続け結果を見定めなければならない… 何時の日か成功を収める その日まで」
ユウヤが呆気に取られたままヴィンの動きを視線で追う ヴィンがドアの前で立ち止まって言う
「その様な私を軽蔑する者は少なくはない」
ユウヤが微笑して言う
「あ、いえ…?俺は…っ やっぱりヴィンは天才と言われる程の科学者らしいな… って思っただけで軽蔑するなんて事は」
ヴィンが軽く笑った後言う
「ふ…っ 有難うユウヤ …さて?ディークは先に向かった様だな?」
ユウヤが言う
「はい 墓地へ寄ってからヴィンの城へ向かうって言ってました」
ヴィンが言う
「そうか では大分待たせてしまっているであろうから 私も急いで向かうとしよう」
ヴィンが外へ向かう ユウヤが一度リマを見てからヴィンを追って言う
「…あ、ヴィン!」
外へ出たヴィンが振り返る ユウヤが来て言う
「えっと あの… 色々と有難う御座いました セイヤの勉強まで見てもらって」
ヴィンが微笑して言う
「礼には及ばないさユウヤ 私に手伝える事であるのなら何でも… ユウヤは私の獲物であるのだから」
ユウヤが呆気に取られヴィンを見る ヴィンが微笑して言う
「では お休み ユウヤ」
ユウヤが苦笑して言う
「お休みなさい ヴィン…」
ユウヤが振り返る リマがユウヤを見ている ユウヤが一瞬呆気に取られた後苦笑して言う
「リマ 本当に有難う 今日は… …っ!?」
ユウヤが慌ててリマの身体を抱き抑える リマが脱力していて言う
「あ… ごめんなさい…」
ユウヤが慌てて言う
「ど、どうしたんだっ リマっ!?」
リマが苦笑して言う
「やっぱり… 怖かったよ…」
ユウヤが驚いてリマを見る リマが苦笑して言う
「でもね?ユウヤが大丈夫だって言ったから… 大丈夫って …ずっと自分に言い聞かせてた だからちょっとホッとしちゃって…」
ユウヤが言う
「…そうか緊張してたんだな?分からなかったよ けど本当に大丈夫だから?ディークも もちろんヴィンも」
リマが苦笑して言う
「本当にユウヤとセイヤの事は大好きみたいね?それにユウヤは彼を信用してるんだし …セイヤも」
ユウヤが呆気に取られて言う
「へ?」
リマが苦笑して言う
「ちょっと嫉妬しちゃった これでも私 元モデルなのに… すぐ隣を一緒に歩いたって見向きもされないだなんて… でもそうよね?きっと…」
ユウヤが言う
「きっと?」
リマが苦笑して言う
「何百年も生きてる彼からすれば私たちなんて もう… そう言った対象になんか ならないのよね?…それはそうよね?お爺ちゃんと孫?…ううんっ ひょっとしたら私たちの事なんて それこそ赤ちゃん位に見えるのかな?いくら異性だって相手が赤ちゃんに見えるんじゃ… ね?」
ユウヤが呆気に取られて言う
「赤ちゃん… か そうか… ひょっとしてそうなのかもな?」
リマが苦笑して言う
「うん、そう考えれば彼がセイヤにキスしたって」
ユウヤが衝撃を受けて言う
「キスしたのっ!?」
リマが苦笑して言う
「軽くね?唇じゃなくて首によ?左の…」
ユウヤが言う
「左の首…」
ユウヤが気付く リマが苦笑して言う
「それこそセイヤが赤ちゃんの頃は私もセイヤのほっぺにチュッてしたけど… 14歳にもなっちゃうと出来ないから …なんだか焼餅焼けちゃうかも?ふふっ」
ユウヤが思う
(それは 多分… もしかしたら吸血除けの あのお呪いなのかもしれない けど…)
ユウヤが苦笑して言う
「あ、ああ そうだね?」
ユウヤが思う
(リマは本当は怖かったんだ だったら そうとしておいた方が良い)
リマとユウヤが苦笑する
続く
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