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【 第5プラント 】不死の力で守られる者たち
しおりを挟む【 第5プラント 】
クレターがシステム端末の前で言う
「アクセス 音声認証 ファーストジェネラル」
端末が起動してクレターの認証がされる クレターが言う
「制圧範囲の設定を変更 制圧範囲セントラルA-1からB-20」
空間モニターに設定範囲の監視モニター映像が表示される クレターが言う
「設定の範囲内に存在する 人型機械兵士は直ちに 範囲内に居る全ての人間を…」
監視モニター映像にバッツスクロイツ父とスタッフたちの姿が表示されている クレターがその映像を見てハッとして思う
(何故… 奴らの姿が意識に浮かぶ…?)
クレターの意識にバッツスクロイツと一緒に居る金田の姿が思い浮かぶ クレターが言う
「全ての人間を た… 直ちに… 生命レベル… 3以下へ 制 圧…」
モニターにエラー表示が現れ端末が言う
『オーダー入力に失敗しました オーダーの再入力を行って下さい』
クレターが顔を上げて言う
「制圧範囲の設定をセントラルA-1からB-20 設定の範囲内に存在する 人型機械兵士は直ちに 範囲内に居る 全ての… 人間を…っ」
クレターが思う
(リジル様の命に背く事など…)
クレターが視線を下げ泳がせた先 通信表示に気付き 入力処理をシャットアウトして 通信表示へ触れて言う
「B-6エリア システム研究開発室16号室の責任者へ繋げ」
間もなくしてバッツスクロイツ父の声が聞こえる
『システム開発室 16号室の責任者です』
クレターが言う
「クレター司令官だ 結論を聞く 機械兵士の人工AIは完成したのか?」
バッツスクロイツ父が言う
『…っ …目途は立っていますが 完成には もうしばらく時間が掛かります…』
クレターが言う
「…分かった」
クレターが思う
(間に合わずか… いや 所詮 新人類がリジル様に抗う事など…)
クレターが目を閉じる バッツスクロイツ父がハッとして言う
『クレター司令官っ!?』
クレターが通信をシャットアウトして言う
「出来ぬのだ…」
【 第2プラント 】
機械の中で ガルバディアの騎士たちが目を覚ます ブレードが顔を上げて言う
「みんな おはよう」
ガルバディアの騎士たちが顔を上げてブレードを見る ガルバディアの騎士たちのコールドスリープが解除される
玉座の間
バーネットが玉座の間へやって来て言う
「ガルバディアの騎士たちを目覚めさせたぜ… 戦闘可能状態に持ってくまでに 後少し時間が掛かるが 今の内に… うん?」
バーネットが立ち止まって顔を向けて言う
「お前らは…?」
シリウスBが言う
『私が呼び付けた』
バーネットが呆気に取られて言う
「アンタが?何でだ?」
シリウスBが言う
『彼らと共に第5プラントへ向かう』
バーネットが驚いて言う
「なっ!?ちょっと待てっ!?そいつらは 旧大陸の民だろ!?兵なら十分な数が居るんだっ ガルバディアの騎士たちの半数を アンタの兵として 第5プラントに向かわせれば良いっ」
ヴァッガスが振り返って言う
「それはどういう意味だ?俺らの力じゃ たりねぇって意味かよっ!?」
ガイがヴァッガスの肩を押さえる バーネットが言う
「そおじゃねぇっ 唯でさえ てめぇらや旧大陸の連中には 詫びがあるんだっ そのお前らを プラントの戦いへ巻き込む訳には行かねぇっ 騎士たちだけじゃ足りねぇって言うなら 俺のツテを使う だから てめぇらは…っ!」
ガイが言う
「バーネット国王陛下 貴方様のお心遣いには感謝を申し上げる しかし 我々にも譲れぬモノが御座います 我々は シリウス様の… いえ シリウスB様の親衛であると言う 矜持がっ」
バーネットが困る シリウスBが言う
『彼らの実力は お前も知っての通り お前の言う ガルバディアの騎士と申す者らへ 引けを取る事もあらず それと共に 彼らの信念は 不可能を可能とする力さえ持ち合わせている』
ヴァッガスとガイが反応して顔を見合わせてからシリウスBへ向く シリウスBが続けて言う
『私は 彼らと共に行く 他の兵は不要だ』
ロドウが笑顔を見せる ガイとヴァッガスが笑んで顔を見合わせる バーネットが表情を困らせて言う
「…っ けどよ…」
ヴィクトールの声が聞こえる
「シリウスB様がそう言うのなら 彼らを信じようよ?バーネット!」
バーネットが顔を向けて言う
「ヴィクトール…」
ヴィクトールがやって来て微笑して言う
「それに 正直に言っちゃうと 僕もガルバディアの騎士たちを 2手に分けてしまう事には 反対なんだよね?だって 彼らは“皆で”戦うのだから 離れ離れにしてしまっては 可哀想じゃない?…僕も 心配だしね?てへっ」
ヴィクトールが照れる バーネットが怒って言う
「お、おめぇって奴はっ!ガルバディアの騎士たちは この第2プラントの精鋭部隊だろっ!?何時までも甘ったりぃ事言ってんじゃねぇっ!」
ヴィクトールが言う
「え~?そぉかなぁ~?彼らは確かに このプラントで1番の戦力を持った精鋭部隊ではあるかも知れないけれど 実際は まだ 子供なのだし~?」
バーネットが言う
「だからっ それが甘ぇってっ!!」
金田がやって来て 周囲を見渡してから言う
「あ、あのさっ?」
バーネットがヴィクトールの襟首をつかんでいる状態で顔を向け言う
「てめぇは…」
ヴィクトールが微笑んで言う
「金田玉児!どうしたんだい?ご飯なら ここじゃなくて!」
金田が言う
「第5プラントに行くんだよな?それなら…」
ヴィクトールが疑問する 金田が言う
「それならっ その… 助けて欲しい… 奴が… 居るんだけど…」
ヴィクトールとバーネットが反応して言う
「それはひょっとして…」 「心配しやがんな!」
皆がバーネットを見る バーネットが言う
「俺らが戦う相手は プラントの管理者… 言っちまえば リジルとリゲルの2人だけだ 他の連中に用はねぇ …となればもちろん?第5プラントのバッツスクロイツの両親や その周囲の連中にだって危害は与えねぇよ?」
金田が言う
「あ… ああ、その… … …な、ならっ!?」
シリウスBが言う
『金田玉児… 第5プラントの偵察へ向かった者の1人 …であったな?』
ガイたちが反応して ヴァッガスが言う
「第5プラントの偵察へ向かった?それならよっ!?」
ヴァッガスが金田の近くへ行って言う
「その第5プラントって所は どんな感じだ?兵の数はっ?主要武器はっ?魔法を使う奴は居るのかっ!?」
金田がヴァッカスの問い詰めに押されつつ言う
「え?あ?えっと…?数は… 良く分からなかったけど… “呼ぶ” と いっぱい… 来るみたいで?主要武器は… …銃か?えーっと その『魔法』ってのは… ちょっと 俺には良く分からないけど…」
シリウスBが言う
『偵察時に起きた物事や 接触した者に関するデータは 一通り得ている ヴァッガスや私と共に向かう兵には 後ほど伝えよう』
金田が苦笑して言う
「ああ、多分 バッツが報告した奴だ それなら 俺より色々分かってるバッツが報告した そっちを聞いた方が正しいと思うぜ?」
ヴァッガスが問い詰めていた体制を戻して言う
「うん?…そっか?そう言う事なら」
金田が苦笑する ヴァッガスが閃いて言う
「…けどよ?」
金田が疑問して言う
「うん?」
ヴァッガスが金田の身体をじろじろ見てから 考える様子で言う
「うーん…?」
金田が疑問して言う
「何だ?」
ヴァッガスが首を傾げて言う
「…あ、いや?何か… お前さ…?…戦えるのか?偵察に行ったんだよな?」
金田が言う
「ああ、俺は戦えない だから 戦える仲間たちに助けてもらって それで 行って来たんだ!」
ヴァッガスが言う
「ふーん?…って事は、だ?ひょっとして その第5プラントって所も この新大陸と同じで… そんなに危なくねぇ所だって事なんじゃねぇのか?少なくとも 戦えない奴を 連れて行かれる場所なんだろ?」
ヴァッガスが仲間たちへ振り返る ガイも考えている様子で言う
「ふむ… 確かに?」
ロドウが微笑んで言う
「その様子だったら メテーリも連れて行かれたかもね?また置いてきぼりだって 怒らせちゃったのにね?」
金田が言う
「ん…?ああ!そう言う事なら?その “誰かさん” も きっと 連れて行けるんじゃないか!?戦えない俺が言うのも悪いけど 第5プラントの あの… 機械兵士…だっけ?それから 人間の兵士もさ?レビっちやブレードっちに 全然 敵わなかったもんな?」
ガイが反応して言う
「その程度の戦力であるのか?」
ヴァッガスが首をかしげて言う
「その… 『レビっちやブレードっち』 ってぇのは?」
シリウスBが言う
『確かに情報の上では そこの金田玉児と同行した兵士は 第5プラントの兵を軽くあしらったとの事だが これから向かい 我々が戦う相手は プラント管理者であるリジルだ そうとなれば その場所に戦えぬ者は連れては行かれない』
ガイが言う
「はい そうですね」
ヴァッガスが言う
「ま、言われて見りゃ 確かに そうだな?」
ロドウが言う
「そっかぁ… メテーリなら移動魔法も出来るけど 流石にプラントは超えられないもんね?」
ヴァッガスが言う
「けど 話を聞いた限りじゃ …まぁ そのプラント管理者は強ぇかもしれねぇけど?他は大した事ねぇって事だな!」
ガイが言う
「うむ しかし、そうは言おうとも 油断は大敵だ」
ヴァッガスが言う
「おう!分かってるって!任せとけよ?」
ヴァッガスが茶目っ気にウィンクして見せる ガイが苦笑する ロドウが微笑む 金田が何か言おうとして止める
城内 通路
金田が歩いていて言う
「アイツの事 言えなかったな…」
金田が思う
(アイツは リジル様がどうとかって言ってたし… プラントの事も知ってた …多分 このプラントで言う所のバッツたちよりも もっと… プラントの管理者って人に近い だとしたら…)
金田の脳裏にガイたちやシリウスBの姿が浮かぶ 金田が表情を落として言う
「多分… 戦う事になるんだよな?それで…」
金田の脳裏にクレターが負傷して苦しんで居る姿が思い出される 金田が表情を悲しませて思う
(また… 苦しむ事になるんだろうな… …けどっ アイツは 死なないって話だし?)
金田が振り返って言う
「それなら…っ!?」
金田がハッと思い出し 視線を落として言う
「…いや」
金田が視線を戻して思う
(今度は…)
金田が言う
「やっぱ… 連れて行ってもらえない… よな?」
金田が息を吐き立ち去る
【 第5プラント 】
収容所
バッツスクロイツ父やスタッフたちが捕らえられている 皆が表情を落として居る中 扉のロックが解除され 扉が開く 皆が振り向く 最後に振り向いたバッツスクロイツ父がハッとする バッツスクロイツ父の視線の先 クレターが言う
「帝国内に残る者共の 生体パーツ化作業は予定通り進んでいる 貴様共の順番が来るまで 機械兵士への移植作業を行って置け」
スタッフたちが怒りを噛み殺して誰かが言う
「自分たちも 間もなく機械兵士にされると宣告をされながら その作業を行えとは…っ」
「外道が…っ」
クレターが後方に従えている機械兵士2体へ視線を向けて言う
「ここに居る者を全て B-6エリア システム研究開発室16号室へ 連行しろ」
機械兵士2体が反応してスタッフたちへ銃を向ける スタッフたちが立ち上がり歩き出す バッツスクロイツ父が最後尾に続きクレターを見る クレターが視線を向けないまま言う
「人工生体パーツの作成を急げ」
バッツスクロイツ父がハッとして立ち止まりクレターを見る 機械兵士の1体が反応してバッツスクロイツ父へ銃を向ける クレターが立ち去る バッツスクロイツ父が呆気に取られたまま居ると 機械兵士の1体がバッツスクロイツ父の近くへ来て銃を向ける バッツスクロイツ父が機械兵士の脅しに従って皆に続く
【 第2プラント 】
玉座の間
出立を前にバーネットとヴィクトールの近くにガルバディアの騎士たちが揃っていて その中に居るブレードが顔を向ける レビが気付き微笑し近くへ向かってから言う
「俺は共に行かれないが 卿には 卿の兄弟とバーネット様やヴィクトール様も居る 頑張って来い 俺はここで 諸卿の帰りを待って居る」
ブレードが頷く レビが苦笑してから周囲のガルバディアの騎士たちを見て言う
「俺の相棒… ブレードを頼む」
ガルバディアの騎士たちが顔を見合わせた後レビへ向いて頷く ブレードが皆を見てからレビへ向いて頷く
ガイがバッツスクロイツから話を聞いていて言う
「では 第5プラントにて 気を付けるべきなのは」
バッツスクロイツが言う
「そう、気を付けるべきは 人間の兵士や機械兵士なんかじゃなくて それを指揮する人間… と言うより ハッキリ言うなら 皆の相手は “クレター司令官” 唯一人!」
金田が聞こえた名前にハッとして顔を向ける ヴァッガスが言う
「確か… 向こうのプラントを 取り仕切っている奴だ …って言ってた奴だよな?」
ガイが言う
「“司令官” と言われるからには 相応の者であるのだろう… 多くの者を束ね 全体的な指示を出す者であると」
ヴァッガスが笑んで言う
「つまり そいつを討ち取っちまえば 俺らの勝ちって事か!何だ 簡単じゃねーか!」
金田が困って物言いた気にしている バッツスクロイツが言う
「一言で言っちゃえば そうなんだけど 生憎そう簡単じゃない 何といっても クレター司令官は “不死身” の身体を持っている」
ヴァッガスが呆気に取られて言う
「は…?“不死身”って…?それじゃっ!?」
バッツスクロイツが言う
「けど 痛みも感じるし 損傷も負う 骨を折れば動けなくもさせられるし 本人自身に戦闘能力があると言う感じは見られなかったから 皆が狙うべきは彼一人!クレター司令官さえ押さえれば 後はシリウスB様とリジルの神様同士の戦いになるんじゃないかな?」
ガイが言う
「なるほど… 可能な限り迅速に 相手方の司令塔を抑えるべきと言う事か」
バッツスクロイツが言う
「まぁ?第5プラントの戦力なんて ホント マージで大した事無いから!ガイっちたちなら楽勝だって!だから 帝国の中枢にさ?ズガガガガーーン!と乗り込んで行って クレター司令官を一発殴って抑え込んだら ハイッお終い!ってね!?」
ロドウが呆気に取られて言う
「え?なんだぁ~ そんな感じなんだ~?」
バッツスクロイツが言う
「そ!そんな感じ!」
ロドウが微笑して言う
「それなら 大丈夫そうだね?」
ヴァッガスが呆れて言う
「なんだよ… 気負って損したぜ?」
ガイが言う
「2人とも 油断は禁物だ バッツスクロイツ殿の話も聞いたうえで 十分な用心を持って向かおう」
ヴァッガスが言う
「へいへい りょーかい!俺らの司令官様?」
ガイが苦笑する ロドウが笑顔で居る バッツスクロイツが笑っている 金田が困り言い掛ける
「…っ …」
金田が言い掛けた言葉を飲んで視線を落とす
ヴィクトールがガイたちの様子を見ていた状態から ガルバディアの騎士たちへ向き直って言う
「第5プラントへ向かう彼らとは異なり 僕らの方には 残念ながら何の情報も無いけど 僕らの相手になるのは恐らく機械兵たちだ …皆!何時もの様に 十分に気を付けて 皆で団結して頑張ろうっ!」
ガルバディアの騎士たちがヴィクトールへ頷く ヴィクトールが頷き返してから 他方へ向いて言う
「バーネット!」
バーネットが言う
「おう 全員 気合は入ったな?」
ヴィクトールとガルバディアの騎士たちがバーネットへ向いて頷く バーネットが言う
「シリウスB こっちは 整ったぜっ!」
シリウスBが言う
『分かった では… 転送を行う 非常時には 迷う事無く帰還を行え バーネット2世』
バーネットが言う
「おう アンタもな?シリウスB!」
シリウスBが苦笑する 一瞬の後 皆が消える 金田が自身の目の前から一瞬で消えた大人数に驚いて辺りを見渡す バッツスクロイツがプログラムを見ていた姿で言う
「わお… さっすが Bっち!あの人数のプラント転送にも関わらず コンマ0秒も防壁に穴を空けないだなんて…!」
金田が表情を落として言う
「アイツ… 無事だと良いけど…」
レビが金田を見て苦笑する
【 第5プラント 】
モニターに反応が表示される クレターが顔を上げて言う
「来たか…」
転送ブース
シリウスBとガイたちが転送されて来る シリウスBが言う
『転送先として 最も目的の場所へ近く また 偵察からの情報も考慮した上で 選んだ場所ではあったが どうやら…』
ヴァッガスが呆気に取られている ロドウが困ってガイを見て言う
「え~とぉ…?」
ガイが視線を強める シリウスBが言う
『我々の到来を 見透かされて居た様だな?』
シリウスBたちの周囲と帝国までの間に無数の機械兵士が配備されていて 一斉にシリウスBたちへ向き直る
帝国内 管制
モニターにガイたちと シリウスBの姿はジャミングが掛かって映っている クレターが言う
「ターゲット 前方転送ブース」
転送ブース
周囲の機械兵士たちが転送ブースへ銃火器を向ける ヴァッガスが焦って言う
「お、おいっ!?」
ヴァッガスの前にクレターのホログラムが表示されて言う
『私はこの帝国の司令官だ』
ヴァッガスが驚いて後退って言う
「うおっ!?」
ガイが武器に手を掛ける ロドウが驚き慌てる シリウスBが視線を強める クレターが言う
『今 貴様らの居る場所は この帝国へ立ち入る為に存在する場所である これは警告だ 直ちに貴様らの元ある場所へと立ち去れ さもなくば 我々は貴様らを侵入者と認識し これを排除する』
ヴァッガスが気合を入れ直して構える シリウスBが言う
『ガイ』
ガイがシリウスBを見てから武器へ掛けた手を放し クレターのホログラムへ向き直って言う
「我々は 昨今そちらから侵略を受けた 第2プラントの有志である!先の行為を不服とし ここに報復へ参った!」
帝国内 管制
モニターにガイたちの姿が映っていてガイの言葉が続く
『応対次第では 戦闘行為を辞さない!』
クレターが言う
「第2プラントへ対する処置は 我らが神の御意思 帝国は 我らが神の御意思を全面的に肯定し それを不服とする者は 我らの敵と見なし総力を持って これを排除する」
転送ブース
ヴァッガスが視線を強める ロドウが困る ガイが言う
「我々も 我々の神の御意志の下 ここへ参った そちらが 戦力を用いると在らば 我らもこれを用いて討って出る!」
ガイが武器を構える ヴァッガスとロドウも構える クレターのホログラムが言う
『双方の主張は相容れぬものと判断した 我らログヴェルン帝国は 貴様らを排除する』
クレターのホログラムが消える
帝国内 管制
クレターが言う
「Front row Fire!」
転送ブース
ガイたちが転送ブースから飛び退き 機械兵士らへ向かいながら ヴァッガスが言う
「こいつらは攻撃方法も知らない 木偶の棒だって話だ!だったら!」
ガイが言う
「数が多い ならばそうと 一点突破を目指す!」
ヴァッガスが言う
「上等!だったら 俺が…!」
ヴァッガスが最前列の機械兵士を獣人の力で破壊して顔を上げて言う
「どお~だ?…って …えっ?」
1体に見えた機械兵士は後方へおびただしい列を作っていて 全ての機械兵士が銃を構えている 機械兵士たちのシグナルが同時にレッドシグナルへ転灯する ヴァッガスが息を飲んだ瞬間 機械兵士たちが一斉射撃を行い ヴァッガスが全身に銃撃を受けて悲鳴を上げる
「があっ!」
ヴァッガスが倒れる ガイとロドウが驚いて呼ぶ
「「ヴァッガスッ!!」」
ロドウが駆け向かおうとする ガイがハッとして叫ぶ
「ロドウ!行くな―っ!」
ロドウがすでに向かった先で ガイの言葉に振り返ろうとした瞬間 機械兵士らの総攻撃を受け悲鳴を上げる
「わぁあああっ!」
ロドウが倒れる ガイが言葉を失う
「っ!!」
ガイが思う
(馬鹿なっ!?これ程の… ―!)
ガイが機械兵士らへ顔を向けた瞬時に翼を用いて上空へ回避する 機械兵士らの一斉射撃がガイの居た場所へ3方向から放たれる ガイが上空からそれを見て言う
「これ程の精密な射撃を 行わせるとは…っ!?」
ガイが思う
(これが…っ 先ほどの あの―!)
シリウスBが皆の様子を見る ガイが表情を険しくする ヴァッガスとロドウが異常回復力を持って回復していて表情を苦しめている シリウスBが沈黙する
『…』
シリウスBが前方の機械兵士らを見る 機械兵士らがヴァッガスとロドウ 他方に居る ガイとシリウスBへ対応するための戦闘配置を終える
帝国内 管制
クレターが口を開く
「Fi…」
転送ブース
シリウスBの周囲にプログラムが発生する 機械兵士らの銃撃が放たれる 煙幕が収まった場所には大量の射撃痕が残っていて その場所には誰も居なくなっている
【 第2プラント 】
一瞬のプログラムの後 ガイ、ヴァッガス、ロドウとシリウスBが現れる バッツスクロイツが驚いて言う
「え!?な、何何っ!?どーしっちゃったのっ!?」
ヴァッガスとロドウが苦しみながらも威嚇をしていた状態から身体の力を抜く 金田が慌てて左右を見てから何処かへ向かう ガイとシリウスBが息を吐き ガイが言う
「誤算であった…」
バッツスクロイツが言う
「ワッツ…?」
金田が水とタオルを持って駆け戻って来る
ガイが水の入ったグラスを手に言う
「あの巨体に在らず まるで数ミリを射抜くかのような精密射撃… そして 数を生かしてのあの配置… 微塵も抜かりが無い」
バッツスクロイツが信じられない様子で言う
「えぇ?あの… ポンコツ機械兵士たちがー?」
ガイが水を飲んでから言う
「恐らく 奴らにとっては想定外であろう 私の上空への回避へ対しても 瞬く間に照準を合わせて来た… シリウス様が転送を用いて下さらなければ 間違いなく 私は逃れられなかっただろう」
バッツスクロイツが首をかしげて考えつつ言う
「あの機械兵士たちには 言葉で指示を与えていたけど… それ程の事をして来たって事は 他にも指示を与える方法があったのかも…?」
ヴァッガスが床に座り込んで居て タオルで血と汗をぬぐって言う
「俺らが来るって事も まるで分ってたみてぇに 配備がされてたよな?」
金田が言う
「そうなのか?」
ロドウが言う
「沢山の機械兵士が 僕らが向かった先に配備されていたんだよ」
バッツスクロイツが考えながら言う
「なら Bっちたちが報復に来る事を予測して 帝国内の全ての転送ブースへ 機械兵士を配備していたって事…?」
シリウスBが言う
『否』
バッツスクロイツがシリウスBを見る シリウスBがプログラムで第5プラントの様子を見ながら言う
『かのプラントは現在 我々が向かいし転送の下以外を 全て閉ざして居る そうとあらば その地へ我らが現れる事を 想定していたものに在らぬ筈』
バッツスクロイツがプログラムを見て言う
「まっさか~?ログヴェルンには 数え切れないほどの転送ブースがあるのに そこしか開いていないなんて?そんな事有り得ナッシング!大体それじゃ 今も第5プラントに居る人たちが生活出来ないって?」
金田が言う
「生活出来ないって?それはいくら何でも大袈裟じゃないのか バッちん?俺たちが行った時だって そんなにあの… “何とか”って移動は やらなかったじゃないか?」
バッツスクロイツが言う
「ノンノン!それこそ あの時のオレっちたちの移動の方が ハイパーイレギラー!第5プラントに居る人たちは 買い物に行く時だって CITCを使った転送をするんだから?その転送ブースを1か所しか開いてないなんてしたら 誰も生活移動が出来なくなっちゃうよ?」
シリウスBが言う
『その生活移動を行う者が 居らなくなれば 必要も無くなる』
バッツスクロイツと金田が驚いて バッツスクロイツが言う
「…え?」
金田がバッツスクロイツへ向いて言う
「それって?」
シリウスBが1つのプログラムを前にバッツスクロイツを見る バッツスクロイツがハッとして言う
「そんな…っ まさ… か…っ」
バッツスクロイツが呆気に取られて言葉を失う 金田が疑問してシリウスBとバッツスクロイツを交互に見る
ヴァッガスが水を一気飲みして言う
「よしっ!今度こそっ!!」
ロドウが困って言う
「もう一度… 行くんだよね?僕… どうしたら良いのかな?」
ヴァッガスがロドウへ向いて怒って言う
「あぁあっ!?」
ロドウが困って言う
「だ、だって…っ 僕… あの銃撃から逃げられる程 速く動けないし…」
ヴァッガスが衝撃を受けて言う
「うっ!?そ、そらぁ… うーん…」
ガイが言う
「あの銃撃から逃れる術… 逃れる事は難しいが 盾を持って防がれないだろうか?」
ヴァッガスが言う
「瞬間的な事だったから良く覚えてねぇけど… たぶん背中からも撃たれた気がするぜ?」
ガイが言う
「そうか… それでは盾を用いての防衛は出来ない」
ロドウが言う
「そ、それじゃ!?皆で盾を持てば良いんじゃない!?」
ヴァッガスが言う
「それじゃ 防ぐ事しか出来ねぇじゃねぇか?」
ロドウが衝撃を受けて言う
「え!?あ…っ そっか…?えっと… それじゃぁ…?」
ロドウが横目にシリウスBを見る ガイが言う
「そもそも あの機械兵士らを抜けて行く事は困難だ 他の場所から入り込むか もしくは… あの機械兵士らを “止める事” などは出来ないだろうか?機械と言うものはプログラムで動いているのだろう?」
バッツスクロイツが言う
「あの機械兵士たちへの伝達を止める方法 …ね?だったら 何か… 強力なジャミングを掛けるとか?」
ヴァッガスが言う
「そのジャミングって?」
バッツスクロイツが言う
「ジャミングって言うのは えーっと… 簡単に言っちゃえば 妨害電波って事かな?話を聞いた感じだと その機械兵士たちは クレター司令官からの指示で動いている筈だから」
金田が反応して顔を向ける バッツスクロイツが続けて言う
「その場所に居なかったって事は 何処か 状況確認の出来る場所から 機械兵士たちへ無線か何かで指示を出している筈… だったら その無線電波的なものを 他の電磁波で妨害すれば 機械兵士たちは動けなくなる」
ロドウとヴァッガスが感心して言う
「わぁ… 凄いっ!」 「それじゃねぇかっ!!」
バッツスクロイツが考えながら言う
「うーん… とは言っても 妨害電波のプログラムは兎も角 それを発生させる装置を作るとなるとなぁ…?」
シリウスBが沈黙している 金田が言う
「あ… あのさ?」
皆が金田を見る 金田が言う
「バッツの言う それを作るのって… ちょっと時間が掛かるんだろ?だったら…」
ヴァッガスが言う
「時間が掛かるのか?どの位だ?」
バッツスクロイツが衝撃を受け困って言う
「え!?えーっと… そうね?プログラムに加えて 装置まで作るとなると… だいぶ?」
ヴァッガスが言う
「だいぶって?丸1日とかか?」
バッツスクロイツが衝撃を受けて言う
「そんなに頑張ったら オレっちオーバーフローしちゃうってっ!?」
ヴァッガスが疑問して言う
「オーバー…?」
金田が顔を上げて言う
「だったら 俺に行かせてくれないか?」
皆が金田を見て言う
「え…?」
ヴァッガスが言う
「は?…けど お前 戦えないんじゃ?」
金田が言う
「ああ、だから 戦うんじゃなくて… 話しを したいんだ …アイツと」
ガイたちが疑問して ヴァッガスが言う
「話って?それに その “アイツ”って誰だよ?」
金田が言う
「第5プラントの機械兵士たちを操ってる… アイツと」
皆が呆気に取られる バッツスクロイツが息を飲んでから言う
「タマちんっ!今は もうっ!そんな事 言ってる場合じゃっ!」
シリウスBが言う
『良かろう』
皆が驚き 金田が喜んで言う
「ホントかっ!?Bっちっ!?」
ガイたちが衝撃を受ける ガイが言う
「し、しかしっ!?シリウス様!?」
シリウスBが言う
『かのプラントに在る機械兵士の数は 私の力を持ってしても 推し量る事は叶わなかった なればこそ 金田の策が通るならば それは最も有効な力となる』
皆が驚く ヴァッガスが言う
「推し量れなかったって?あのプラントに居る機械兵士は あの場所に居た あの大量の機械兵士どもが 全てじゃ無いかも知れねぇって事か!?」
ガイが言う
「恐ろしい話だ…」
ロドウが困り顔で言う
「ふえぇ…」
金田が力強く言う
「俺に!やらせてくれ!」
ガイたちが顔を見合わせた後 シリウスBへ向く シリウスBが言う
『リゲルの第4プラントへの報復は既に開始されている 我々もこれ以上の遅れを取る事は出来ない 準備は良いか?金田玉児?』
金田がシリウスBへ向き頷く バッツスクロイツが呆気に取られて言う
「そんな…っ 無茶苦茶な… …考え直した方が良いってっ!?Bっちっ!?」
シリウスBがバッツスクロイツを見てから周囲にプログラムを発生させる バッツスクロイツが慌てて言う
「待って!Bっち!皆っ!?」
皆が消える バッツスクロイツが呆気に取られる レビが沈黙して居る
【 第5プラント 】
転送ブース
皆が現れる 機械兵士たちが向き直る
帝国内 管制
警告音が鳴る クレターが顔を向けて言う
「また戻って来たのか?」
クレターが端末の近くへ来てモニターを見て言う
「何の策も持たずに再び来ると言う事は無い筈 何かを行うつもりか?」
クレターがハッとする モニターの中でヴァッガスの前に金田が出る クレターが視線を強めて言う
「戦闘配備…」
モニターから金田の声が聞こえる
『話をしたい!』
クレターが反応する
転送ブース
ガイたちが見詰める先 金田が言う
「俺を お前たちの司令官の所へ 連れて行ってくれ!頼む!」
静寂の中 風が過ぎ去る 金田が返答を待つ ガイたちが見詰め ロドウがヴァッガスを見る ヴァッガスが表情を困らせてロドウの無言の問いに一度視線を向けてから逸らす ロドウが心配気に金田を見る ヴァッガスが金田へ何か言おうと口を開こうとした時 金田が気付いて言う
「…ん?何か… 近付いて来る?」
ガイとロドウがハッとして身構える 金田の前の機械兵士たちが道を開き その場所へ人型機械兵士が小銃を手にやって来て 転送ブースの前で立ち止まり 金田へ向けて小銃を構える 金田が反応する ヴァッガスが身構えて言う
「カネダっ!」
金田が言う
「待て!大丈夫だ」
ヴァッガスが言う
「え…っ!?」
金田が言う
「俺を連れて行ってくれるんだろ?頼む!」
金田が両手を上げて 転送ブースの階段を下りる ヴァッガスが慌てて言う
「お、おいっ!?カネダっ!」
金田が人型機械兵士たちの前まで行き 一度ヴァッガスを振り返って微笑を見せてから歩き始める 人型機械兵士たちが金田へ銃口を向けつつ連行する ヴァッガスが呆気に取られたまま言う
「…んでっ!?アイツは あんな平気で 居られるんだよっ?」
ガイが言う
「信用しているのだろう」
ヴァッガスがガイを見て言う
「信用っ!?誰をだよっ!?」
ガイが視線を上げて言う
「あの人型の機械兵士らと ここに居る機械兵士らを支配している 彼らの司令官を」
ヴァッガスが息を飲む ロドウが心配気に金田の後姿を見つめる 金田は人型機械兵士たちに連行されながら 宮殿へ入って行く
帝国内 管制
スライド扉が開く 人型機械兵士たちに連行されて金田がやって来る 金田が顔を上げホッとして微笑する クレターが言う
「Get out of this room」
人型機械兵士たちが出て行く 金田が横目にスライド扉の閉まりを見届けてから言う
「今なら… 喋っても平気か?」
クレターが言う
「何をしに来た?」
金田が苦笑して言う
「え?えーっと… 話し…合い… かな?」
クレターが言う
「お前と話す事など何もない」
金田が苦笑して言う
「そんな事言うなよ?仲間 …いや …友達 だろ?」
クレターが言う
「友達?」
金田が言う
「ああ、アンタはそう思ってくれてなくても 俺はそう思ってる!から… その… …ああ!だから やっぱ… そのアンタに… 俺が世話になった バッツや… 第2プラントの皆に 悪い事… して欲しくないんだ …それを 言いに来た」
クレターが言う
「このプラントの襲撃に現れたのは お前が連れて来た あの兵らだが?」
金田が衝撃を受け慌てて言う
「そ、そりゃっ!さっきは…っ そう… だったかもしれない… けど… それだって!そっちのっ …この 第5プラントの神様がさ?第2プラントの神様に 攻撃して… それで… 確か?プラントの半分を奪われたとかって?言ってた… だから…」
クレターが言う
「第2プラントの半分を?」
金田が言う
「そうだ!アンタは知らないかもしれないけど このプラントの神様はさ?アンタに第2プラントへ攻撃するなって言って置きながら 実際は その神様が直々に 第2プラントへ攻撃をして来たって?えっと… 何だっけ?確か?リ… リ…?リ~…?」
クレターが言う
「リジル様が 第2プラントを襲撃しプラントの半分を奪ったと?」
金田が言う
「そう!そのリジルさん!?後 リゲルって名前も聞いた!その2人の神様が えっと~?手を組んで攻撃したって!?それもっ 今回が初めてじゃないらしい… だから…っ さぁ?」
クレターが言う
「それで 先程の報復へと繋がる訳か?」
金田が言う
「そう!… だと思う…?」
クレターが言う
「それで 貴様は何を話し合いに来たと?」
金田が言う
「え?いや、だから…っ その…?」
クレターが言う
「確かに 私は以前 第2プラントへは手を出すなと言われていると その様に言ったが」
金田が言う
「そうっ!それっ!」
クレターが言う
「それは リジル様が私へ命じた事であり リジル様が第2プラントへ手を出さない事を約束した訳では無い」
金田が衝撃を受けて言う
「え!?そうなるのか…?」
クレターが言う
「言い替えれば 第2プラントは 私程度のモノが手を出して良い場所では無いと言う事なのだろう 現に リジル様の襲撃を理由に その第2プラントの兵が このプラントへ現れた… リジル様からの警戒令が敷かれて居なければ 不意を突かれていた可能性もある」
金田が言う
「そ、そっか…」
クレターが言う
「話は終わりか?」
金田が言う
「えっ?」
クレターが言う
「お前のお陰で 第2プラントの現状 及び 暫定報復の範囲を把握した」
金田が衝撃を受けて言う
「う!?あ、ああ… うん そう…か うん… そうだな?けど、多分 同じ様に こっちのプラントの半分を取ろうとか そんなつもりはないと思うから」
クレターが言う
「私はこの第5プラントを守る為 かの第2プラントからの報復へ 全力を持って対抗するっ」
金田が言う
「えっ!?いやっ 待ってくれっ!?それじゃ…っ!?」
クレターが言う
「それだけだ」
金田が言う
「待ってくれよっ!それじゃ 駄目だってっ!?」
クレターが言う
「相手が攻撃を仕掛けて来ると言うのであれば 反撃を行うのが当然だ」
金田が言う
「そうじゃないっ!武力を使う前に 話し合っても良いだろっ!?そもそも!アンタはどう思ってるんだよ!?」
クレターが言う
「私が?」
金田が言う
「そうだっ!俺は皆に仲良くしていて欲しい!今回の事で言うなら 第2プラントへの恩とか無しにしたって 第三者的に!俺は!…そっちの神様が悪いと思うよ?だって 第2プラントへ襲撃して プラントの半分を奪ったんだろ?それは… 良くないと思うし それこそ アンタの言う通り… 反撃するのも分かる」
クレターが言う
「リジル様が襲撃に成功し 第2プラントの半分を手中に収めた それを取り返そうと 第2プラントの兵が来るとなれば それを撃退する事が私の使命だ」
金田が言う
「…っ … そっか… そうだよな?アンタは この国の兵士を従える 司令官なんだし…」
クレターが言う
「そう言う事だ」
金田が言う
「…司令官 …か … …なら アンタ自身は?」
クレターが言う
「私自身?」
金田が言う
「俺も大和国のっ!第6プラントの大和国って所の海軍に在籍してる …してた …今は 俺自身が どう言う訳か 居ない事になっちゃってて だから… いやっ そうじゃなくてっ!?」
クレターが疑問する
「?」
金田が言う
「確かに俺も 指令が降りて 海に出たら その船を守る為に 自分に与えられた使命を果たそうとするよっ!けどっ 本当は… 戦っている相手の方が正しかったら?自分たちの方が間違ってたら… 俺は… 果たせるかどうか分からない」
クレターが言う
「その様な兵は不要だ リジル様が人間ではなく 機械兵士をご所望される理由も 分かると言うものだ」
金田が言う
「けど!アンタは人間だろ?」
クレターが沈黙する
「っ…」
金田が言う
「確かに 俺みたいな下っ端はさ?上の命令に従わなくちゃいけないし 従わないような奴は 除名されるのかもしれない… けど アンタはそれこそ 俺たちの一番上の人で それなりの権限があって 俺たちへ指示を与えられる人だ!だったら!?そのアンタは 考えても良いんじゃないか?」
クレターが沈黙する
「…」
金田が言う
「それが 上に立つ人の… 本当の使命だと思う …よ?そうであって欲しいって …俺は思う」
クレターが一度目を閉じてから言う
「…私に出来る事など何もない」
金田が慌てて言う
「そんな事無いって!だって アンタは あの機械兵士って奴を指揮するだけじゃない アンタは以前 俺たちと一緒に居た その時だって 色々考えて行動を決めていたんだろ?」
クレターが金田を見る 金田が言う
「俺たちが帝国へ行こうとしている事や 別プラントの奴だって事を知ったから 何時動くかとかも… そう言う事も考えてさ?だったら もっと… 凄い事だって考えられるだろ?それこそ… そう!」
金田が嬉しそうに言う
「プラント同士の戦いを止めさせる事とかさ!?」
クレターが反応する 金田が言う
「俺には どうしたら良いか全然分からない… けど アンタなら!?…方法 分からないか?俺は戦って欲しくないんだよ どっちも 大切だから!」
クレターが言う
「プラント同士の戦いを止めさせる?…神の戦いを止めさせろと言うのか?」
金田が言う
「神の戦い?そっか… なら!神様同士で戦うって言うのなら!?それはもう… 止めろとは言わないよ?けどその戦いに その神様たちの “下に居る人たち”が 巻き添えになるって言うのは… 戦いの道具にされるなんて… 辛いだろ?命は一つしかないのに… 例え殺されなくても 傷付けば痛いじゃないか?失ったら… もっと痛い… だから」
クレターが言う
「己の神の為に 命を掛けて戦う事が その神に命を与えられた お前たちの役目だ」
金田が困り言葉に詰まる
「…っ」
クレターが言う
「だが お前の言う通り 従わない人間は多い 特に この第5プラントの人間 お前の仲間であった エリーゼス博士の息子も この第5プラントの人間でありながら あろう事か リジル様が敵と見なす 第2プラントへ味方をしている」
金田が言う
「それは…っ」
クレターが言う
「そして お前も」
金田が驚き息を飲む
「っ!?」
クレターが言う
「お前は第6プラントの人間でありながら 第2プラントへ手を貸すとあらば これからは貴様も この第5プラントの敵であると… その様に私は認識を変え…」
金田が一歩踏み出して言う
「俺は!アンタを助けたいだけだっ!」
クレターが呆気に取られる 金田が言う
「このままじゃ… アンタはまた 誰かを傷付けて…っ その誰かの仲間が アンタを恨む… そして またアンタが傷付けられる 俺は… …だから 戦いを止めさせたいっ」
クレターが言う
「私はいくら傷付けられようが 死にはしない 一時的に肉体の生命活動が止まる事はあろうとも 必ず蘇る」
金田が言う
「けど… 痛いのは嫌だろ?それこそ ウィルシュが言ってたみたいな事を いつかされるかもしれないんだぜ?あの時は俺やバッツたちが居たから 何とか止められたけど… 俺はアンタが心配なんだよ」
クレターが言う
「…その心配は不要だ」
金田が怒って言う
「何でっ!?現にアンタは今までだって…っ!?」
クレターが言う
「このプラントは粛清される」
金田が言う
「…粛清?…それって?」
クレターが言う
「このプラントの人間が全て排除されると言う事だ 従って 私を恨む人間は 存在しなくなる」
金田が驚いて言う
「そんな…っ!?なんだよ それ!?それじゃ…っ バッツの親父さんや仲間の皆さんはっ!?」
クレターが言う
「例外はない このプラントの人間は全て機械兵士の生体パーツへ利用される」
金田が言う
「そんなのってっ!それこそ酷いじゃないかっ!?リジル様はこのプラントの神様なんだろ!?その神様が 何でっ!?」
クレターが言う
「このプラントの人間どもが リジル様のご希望に沿わなかった為だろう 第2プラントの人間は 自らの神のため このプラントへ遣わされている この第5プラントも以前はその様な人間があったが 今やリジル様へ仕える者は私のみだ」
金田が言う
「そ…っ」
クレターが言う
「他は機械兵士に怯え 指示に従うだけの者… リジル様はその様な者共を始末し このプラントへ新たな世界を築こうとされている」
金田が言う
「はっ?な… なんだよ?…それ?そんな事って…?…っ!そっか… だから俺も 消えちゃったりするのかな?俺やザキの存在が… 俺は… 俺たちは生きていたのに…っ 存在していたのにっ!?」
クレターが言う
「神にとって 人間など その程度のモノだ …分かったのなら これ以上の深入りはするな …身を潜めていれば お前1人程度ならば 見逃してやる事も出来る」
金田が言う
「それって…!だったらさっ!?」
転送ブース
ヴァッガスが反応して言う
「あっ!おいっ!?あれっ!」
皆が反応してヴァッガスの示す方を見る 金田が両手を上げたまま歩き その後方で人型機械兵士が銃を向けて歩いている ガイが言う
「どうやら無事に戻っては来られたようだな?」
ロドウが微笑して言う
「よかったぁ~」
ヴァッガスが一瞬表情を緩ませるが気を取り直して言う
「…んで?結局?…おーいっ!?」
金田がヴァッガスの声に顔を上げる ヴァッガスが階段の下までやって来て言う
「おいっ 無事かっ!?それでっ?どうなった!?」
金田がヴァッガスを見てから他の仲間たちを見る ガイとロドウが見詰めて居る シリウスBが金田を見下ろして視線を細める 金田がシリウスBを見る
回想
金田が言う
『手を貸して欲しいっ!俺と一緒に来た神様は 悪い人じゃないと思う だから俺は!どうしても戦わなくちゃいけないって言うのなら!あの人に… 第2プラントの神様に勝って貰いたい あの人なら きっと このプラントも 皆も助けられると思うんだ!』
クレターが金田を見下ろしている 金田が一歩踏み出して言う
『世界を終わらせる神様なんかじゃない!世界や皆を守ろうとしてくれる神様なんだ!そんな神様の方が良いじゃないか!?』
金田が見詰める先 クレターが一度息を吐き顔を扉へ向ける 扉が開き 機械兵士2体が入室して来る 金田が困って言う
『分かってくれよ!?なぁっ!?』
クレターが機械兵士へ言う
『この者を 転送ブースまで連行しろ』
機械兵士2体が金田の後方へ回って銃を突きつける 金田が困り表情を落として思う
《駄目なのか…?やっぱり 俺なんかが… まして部外者の俺が 何を言ったって…》
クレターが言う
『…28秒だ』
金田がハッとしてクレターへ振り向く クレターが言う
『お前が転送ブースへ到着した後 28秒間 …その間に 辿り着け』
『それ以上は止められない』
回想終了
金田の後方に居た機械兵士2体が 金田の連行を終え小銃を下げて振り返ろうとした矢先に急に動きを停止して後方へ音を立てて倒れる ヴァッガスが呆気に取られて言う
「はっ?」
周囲に居た機械兵士たちのシグナルが消灯する 金田が顔を上げて叫ぶ
「28秒だけだっ!!この間に…っ」
金田が帝国を指さして言う
「あそこまで 辿り着いてくれっ!!」
ヴァッガスが衝撃を受け呆気に取られて右往左往する ガイとロドウが顔を見合わせ シリウスBへ向く 金田が言う
「アイツが作ってくれた時間だっ 速くっ!!」
ヴァッガスが視線を強め走り出す シリウスBが言う
『急げ』
ガイとロドウが顔を見合わせ頷き合い ガイが空を飛ぶ ロドウも走り出す 金田が追って走る ヴァッガスが先行していた状態から振り返り急旋回して ガイが上空を過ぎ去る中 後方へ戻り走って向かい ロドウとすれ違って金田の横で並走して言う
「それじゃ間に合わねぇよ!乗れっ!」
ヴァッガスが大狼に変身して金田ヘ向く 金田が驚いて言う
「えぇえ!?狼にっ!?で、でけぇえ!?」
ヴァッガスがうなる 金田がハッとしてヴァッガスの背に飛び乗る ヴァッガスが走り ロドウに追いつき追い越して帝国へ向かう 機械兵士たちが再起動してシグナルが点り ヴァッガスたちへ向いて銃を構える 金田が振り返り叫ぶ
「ロドウさんっ!!」
ロドウが走りながら泣いて言う
「僕 この姿で走るの苦手なの~っ!」
帝国の入口にたどり着いたヴァッガスが振り返り人狼姿になって叫ぶ
「ロドウ!!」
ガイが到着して振り返る 機械兵士たちが発砲する ロドウが振り返って息を飲んで言う
「ひいっ!?」
ロドウが思わず目を強くつぶって走る 後方にプログラムの盾が現れ弾頭が弾かれる ヴァッガスとガイが反応し 金田が呆気に取られる中 ロドウが到着して息を切らせる シリウスBが姿を現して言う
『奴らは 宮殿の中までは 追っては来られぬのだろう このまま向かえ』
ヴァッガスが苦笑して言う
「流石 シリウス様… けど それなら そうと?」
ロドウがホッとして言う
「何だ 怖がらなくて 良かったんだぁ…?」
シリウスBが言う
『お前たちの次元へ現象を起こすには 相応の力を要する リジルとの戦いの前だ 可能な限り 力を用いたくはない』
ヴァッガスが言う
「ああ そう言う事か?」
ガイが言う
「お手を煩わせ 申し訳御座いません」
シリウスBが言う
『必要と在れば致し方ない それより 金田玉児 この場所に覚えはあるのか?』
金田が微笑して言う
「ああ バッツたちと 一緒に来た場所だ 文字は読めないけど 案内表示に書いてある字の形は覚えてる あの時バッツが言ってた 中央何とかって?そっちに 神様が居るんじゃないかって言ってたから そこまでなら!案内出来ると思う!」
シリウスBが言う
『では その場所へ案内を頼む』
金田が言う
「分かった!こっちだ!付いて来てくれ!」
金田が向かう ヴァッガスが続き ガイとロドウが頷き合って続く ヴァッガスが言う
「それはそうと… 今更言うようだけどよ?お前… 大丈夫なのか?シリウス様も このプラントの神様と戦う時には お前の事を守ってやる余裕とか 無いかも知れないんだぜ?もちろん 出来る限り 俺も守ってやるつもりだけど…?」
ヴァッガスが表情を困らせる 金田が反応して言う
「ああ 有難う 実は俺 アイツと話したいって事ばかりで それ以外の事は まったく何も考えていなかったんだけど」
ヴァッガスが衝撃を受けて言う
「は!?考えてなかった!?本気で言ってるのかよっ!?」
金田が笑んで言う
「ははっ …けど やっぱり来て良かったって思ってる …結果は どうなるのかは分からないけどさ?」
ヴァッガスが言う
「…で、肝心の?」
金田が言う
「うん それは… “隠れてろ”って言われたんだけど… なんかその必要も 無さそうじゃないか?ここまで誰も居ないんじゃ?」
金田が周囲を見る ヴァッガスが言う
「うん?言われて見りゃ… 誰も居ねぇな?…クンクン 匂いもしねぇぞ?」
金田が辺りを見渡して言う
「以前来た時には 普通に人が居て… すれ違ったりもしてたんだけどな?」
ヴァッガスが衝撃を受けて言う
「って!?…んな状態で それこそ どうやって“隠れてた”んだよ?」
金田が言う
「あの時は バッツやデスっちとかもいたから 普通に歩く事が “隠れる”事になってたんだけど?」
ヴァッガスが言う
「は?普通に歩く事が “隠れる事に”って…?…え?」
ヴァッガスが首を傾げる 金田が気付いて言う
「あ!あの表示!」
金田が駆け寄って言う
「これだ!こっちに行くとバッツの親父さんたちが居る 何とかって研究室があって それで 逆の… こっちが?」
シリウスBが言う
『セントラルシステムルームか… なるほど 奴らしい』
皆の視線の先の通路に 無数の光線が交わされている ヴァッガスが通路を見て言う
「何か… チカチカしてるな…?ん…?」
ヴァッガスが通路へ手を差し込む 金田が思わず言う
「あ…っ」
ヴァッガスが感電して叫ぶ
「あぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃっ!?」
ガイが慌てて言う
「ヴァッガスっ!?」
シリウスBが手を払う プログラムが発生して ヴァッガスが解放されて倒れて言う
「ぐぅ…っ!?」
金田が慌てて駆け寄って言う
「大丈夫かっ!?」
ヴァッガスが言う
「いってぇ…っ 体がバラバラにされるかと思ったぜ…っ」
金田が言う
「そっちは バッツが “通路に何か仕掛けがあるから行かない方が良い” って 言ってたんだ」
ヴァッガスが言う
「そう言う事は 先に言ってくれよっ!?」
ヴァッガスが身を起こす 金田が手伝いながら言う
「ごめん…っ」
シリウスBが通路へ向いて解析して言う
『現状は 唯一の生体情報を持つ者以外の 侵入を排除するプログラムが組まれている… ここを抜けるには これの解除をする他に術は有りそうに無い』
ヴァッガスがシリウスBへ向いて言う
「シリウス様なら出来るんだろ?けど わざわざ それを言うって事は その解除をする事は 大変だって事か?」
シリウスBが言う
『いや これの解除を行えば 現状 我々の存在に気付いていないリジルに 気付かれると言う事だ』
ヴァッガスとガイが呆気に取られる ロドウが言う
「あれ?今まで気付かれてなかったんだぁ?」
シリウスBが言う
『このプラント上にある 生命反応を解析していたのだが 余りに反応が弱過ぎる 例えるならば 全ての新人類が あの機械兵士の生体パーツとやらに されてしまったのだと言っても過言ではない程に』
皆が驚き 金田が呆気に取られていた状態から慌てて言う
「そ、それじゃ…っ!?バッツの親父さんたちはっ!?」
シリウスBが言う
『詳細は分からないが この数値では お前たち以外に現在 人としての姿を保っている者は… 唯一人 先程お前が相対していた 生命反応の者のみ… その他に このプラントに同等の生体情報を持つ生物は 存在していない』
金田が呆気に取られて言う
「そ、そんな…っ それじゃ… もう…?」
金田が後退り壁に背を打って顔を下げる ヴァッガスが視線を強めて言う
「このプラントの民だって言ってた あのバッツスクロイツって奴の為にも この通路の先に行く必要が在るみてぇだな?」
シリウスBが言う
『リジルと相対するとなれば このプラントにある相応の戦力も用いられるだろう お前たちにはそちらの相手を頼みたい』
ガイがシリウスBへ向いて言う
「御意っ」
ロドウが言う
「うん!今度こそ 僕も 頑張るよっ!」
金田が手を握り締めて言う
「…クッ」
ヴァッガスが言う
「おい お前はここに居ろ この先は どうなるか分かんねぇけど シリウス様が言うような場所に行くよか 誰もいねぇえって言うなら ここの方が安全そうだ」
金田が顔を上げて言う
「そこにアイツが居るかもしれないっ …アイツの口から ちゃんと聞きたいっ」
ヴァッガスが怒って言う
「いい加減にしろ カネダっ!ハッキリ言っちまえば… お前は邪魔なんだよっ!」
金田が言う
「分かってるっ 俺の事は気にしないでくれ!」
ヴァッガスが言う
「んな事出来るかっ!」
金田が言う
「頼むっ!」
ヴァッガスが言う
「ここまで言っても分からねぇのかよっ!」
シリウスBが言う
『お前は私の後ろに居ろ リジルがその気になれば このプラントの何処へ留まるのと 差して変わらぬ』
ヴァッガスがシリウスBへ向いて言葉を止める 金田が苦笑して言う
「有難う シリウス様」
ヴァッガスが舌打ちして顔を背ける 金田が言う
「ヴァッガスも」
ヴァッガスが言う
「言っとくが すげぇ邪魔だって事は 変わらねぇんだからな?シリウス様の後ろから離れるんじゃねぇぞ?」
金田が笑って言う
「分かった!」
ヴァッガスが顔を逸らして言う
「…たくっ」
ガイとロドウが苦笑する シリウスBが言う
『では… 心構えを』
皆が気を引き締める シリウスBの周囲にプログラムが発生する
セントラルシステムルーム 最深部
警報が鳴り響く リジルが目を覚ます
セントラルシステムルーム
通路を抜けた先で ガイとヴァッガスとロドウが身構える 皆の視線の先 水場のプールに溢れる水上で天使たちが舞っている 天使たちがガイたちに気付いて言う
「ピュポポポピ?」 「ピュロポポポ~?」
天使たちが気にせずに舞って居る ヴァッガスが呆気に取られて言う
「な…?何だ…?アイツら…?」
シリウスBが言う
『極限まで人の命を薄めた生命体だ』
ヴァッガスが言う
「命を薄めるって?」
ロドウが言う
「体が弱いって事かな?」
ガイが言う
「寿命が儚いと言う事だろうか?」
シリウスBが言う
『自我が弱いと言う事だ お前たちで例えるのなら 物心の付く以前の状態に近い』
ヴァッガスが言う
「って事は… すげぇガキの頃って事か?…何で?」
シリウスBが言う
『意識も薄い幼少時の人間は 物事の善悪はもちろん 畏怖や恐怖と言った感情も弱い その様な生命であるのなら 扱いやすいと考えたのだろう そして 奴らには…』
シリウスBが空間モニターに見える解析表示に視線を細めて言う
『ロストヒューマンの遺伝子情報が組み込まれている すなわち 奴らは お前たちを超える 強力な力を秘めている』
ガイたちが一瞬驚き身構える リジルの声が聞こえる
『この私の前へ 何者が訪れたのかと 思いきや まさか…?』
皆の視線の先 玉座にリジルのホログラムが現れて言う
『ロストヒューマン… それも プラント管理者 全ての顔を知る私の 知らぬ顔を見るとは?これは如何なる事なのか?まさか?いや?まさかとは思うが?』
シリウスBが言う
『今更隠す必要もあるまい?しかし ここは紛れもなく お前の管理するプラント そうと在れば 改めて名乗らせてもらうならば 我が名は シリウスB』
リジルが一瞬目を見開いてから笑んで言う
『シリウス… B… ふっ くく…っ ククククッ 遂に…っ あははははっ 遂に確実なものとなった!シリウスB!それは許されないっ ロストヒューマンに 許されぬ事っ 貴様は許されぬ存在だ!』
シリウスBが言う
『何とでも言うが良い 貴様らごときが今更 知り得た事 我らが神 アウグスタが知らぬ筈があるまい?』
リジルが一瞬驚くが取り繕って言う
『何っ!?…クッ この期に及んで 言い逃れをっ!』
シリウスBが笑んで言う
『お前たちこそ 我らが神の力を侮るのか?アウグスタの権威を…』
リジルが言う
『黙れっ!例え アウグスタが既知と在ろうともっ 我らロストヒューマンに置いて 許されぬ禁である事は変わらぬっ その理に従う事は 道理っ!消えろっ …シリウスBッ!!』
リジルがシリウスBへ向けて攻撃プログラムを発動する シリウスBがプログラムを実行する 周囲が一瞬のうちにホワイトアウトする ガイたちが思わず衝撃に備えて身構えるが ヴァッガスが疑問して言う
「う…っ ん?あ… あれ?何も… 感じねぇ?」
ガイとロドウも疑問して構えを解除する 周囲の光が収まる 皆が辺りを見渡し ヴァッガスが驚いて言う
「なっ!?あ、あいつらが…っ!?」
皆の視線の先 水場の水面に 燃え尽きた天使たちが浮いている ガイとロドウが驚き ガイが言う
「…何と 惨い…」
ロドウが表情を落とす ヴァッガスが言う
「俺らは平気だったのに?」
ガイが振り返って言う
「シリウス様が?」
シリウスBが言う
『奴の力へ 一時的に次元の制限を掛けた しかし 奴の遺伝子情報を入力されていた あの者らを救う手段は無かった …奴が支配する この場所では』
ガイが言う
「では… あちらの神は」
ガイがリジルを見る ヴァッガスが言う
「最初から アイツらを見殺しにするつもりだったのか?自分の仲間じゃなかったのかよっ!?」
リジルが言う
『あの一瞬で 空間プログラムを構築するとは 流石はシリウスの名を持つ者か …しかし?』
リジルがヴァッガスたちを見てから言う
『その甘さも同じだな?たかが 新人類ごときの為に力を用いるとは …これで貴様は このプラントから脱する事は出来なくなった』
ヴァッガスたちが呆気に取られシリウスBを見る シリウスBが言う
『それこそ たかが2000秒のクールタイムだ その間に お前に何が出来る?』
リジルが笑んで言う
『クックック… 今回は全てに置いて 私にツキが回っていたな?…参れ!ファーストジェネラル!』
リジルがプログラムを払う クレターが現れ傅いて言う
「はっ リジル様 ファーストジェネラル ここに」
ヴァッガスたちが反応して身構える 金田がハッとする リジルがクレターへ言う
『今 この時より 貴様へこのプラントの全ての権限を与えてくれる 如何なる手段を用いても 奴らを始末しろ』
クレターが一度ヴァッガスたちを見てから リジルへ言う
「…仰せのままに」
クレターがヴァッガスたちへ向き直って言う
「Call to arms!」
クレターの周囲にプログラムが発生して 機械兵士が4体現れる ヴァッガスが言う
「機械兵士か!なら今度こそ 俺らでっ!」
ヴァッガスたちが構える リジルが笑んで言う
『クックック… 答えは 貴様自身の目で確認するが良い シリウスB!あーっはっはっはっはっ!』
リジルのホログラムが消える クレターが横目にそれを見ている ヴァッガスがハッとして言う
「あっ 消えやがったっ!?待てっ!」
ヴァッガスがリジルのホログラムのあった場所へ向かおうとする クレターが言う
「Open firing!」
機械兵士たちがヴァッガスへ集中砲火する ヴァッガスがハッとして回避して言う
「うおっ アブねっ!?けど 甘く見るなよっ!それなら!」
ヴァッガスが獣人化して クレターへ向かいながら言う
「どうだっ!?この方向なら 撃てないだ… なっ!?」
機械兵士たちが構わず撃って来る ヴァッガスが背中に被弾して悲鳴を上げる
「ぎゃあぁあああっ!」
ガイが叫ぶ
「ヴァッガスっ!」
シリウスBが視線を強めプログラムを放つ ヴァッガスの身にプログラムが纏わって消える ヴァッガスが居なくなった空間に銃弾が放たれ 流れ弾がクレターに被弾してクレターが言う
「ク…ッ!Cease fire!」
機械兵士たちが発砲を止める ヴァッガスが空間移動して皆の前に現れて倒れる 金田が言う
「ヴァッガスっ!大丈夫かっ!?」
ヴァッガスがうめき声を上げて言う
「ぐ…っ うぅ… クソ… アイツ…っ」
ガイが横に来て言う
「コレを飲め ヴァッガス」
ガイがヴァッガスへエリクサーを飲ませる ヴァッガスの傷が治る ヴァッガスが息を切らして言う
「はぁ…っ はぁ…っ 助かったぜ ガイ…」
ガイが苦笑してから言う
「礼ならば 私ではなく シリウス様へ言え」
ヴァッガスがシリウスBへ振り返る シリウスBが言う
『…見失った お前がもう少し堪えられれば 追跡も可能だった筈だが』
ヴァッガスが獣耳を伏せて言う
「…すんません」
シリウスBが言う
『良い 奴が何を行うにせよ 己の肉体を失う訳にはいかない事は確かだ あの先へ向かえば…』
シリウスBが玉座の先を見る ヴァッガスたちがその視線を追うと それを遮って機械兵士とクレターが立ち塞がる ヴァッガスが言う
「…なら やっぱ あの機械兵士どもをぶっ壊す必要が在るみてぇだな?」
ガイが言う
「ただの機械兵士ならば我々の敵ではないが あの機械兵士らは あの者の指示に従う」
ヴァッガスが言う
「そいつは分かってるっ からっ …奴らの攻撃がアイツにも向く様にすれば 銃撃を止められると思ったんだ!…なのによ!?」
金田が言う
「アイツ… 不死身だから…」
皆が反応して金田を見て ガイが言う
「不死身?と言う事はもしや?あの者が 報告にあった 不死身のクレター司令官か…」
金田が頷く ヴァッガスが悔しがって言う
「そう言う事かよ?クソッ 道理で…っ だから そう言う事は先に言えっつってんだろっ!?カネダっ!?」
金田が困って言う
「ごめん…っ」
ガイが言う
「では どうする?統括された機械兵士は的確に攻撃を行う バラバラに戦っては勝ち目はない その上 相手は4体 対する我々は3人…」
ロドウが言う
「僕らの方が 1人足りないね?」
金田が表情を落とす ヴァッガスがそれを横目に見てから言う
「だったら その統括を無くしてやれば良い!機械兵士は後だ!最初に… アイツを狙うっ!」
金田がハッとする ヴァッガスがクレターを見る クレターが金田を見ていた状態からヴァッガスを見る ガイが頷いて言う
「良し では 私とロドウで機械兵4体の注意を引き付けよう …もう一度 行けるか?ヴァッガス?」
ヴァッガスが言う
「聞かれるまでもねぇ!今度こそ!機械兵士へ指示を出す あの口を二度と効けねぇ様にしてやるぜっ!!」
ヴァッガスが自身の拳を受け止めて気合を入れる 金田が言う
「あ、あのさっ ヴァッガス!?」
ヴァッガスがハッとして言う
「おう!何だっ カネダ!?」
金田が言う
「アイツはっ!皆と違って… 戦えないんだ… …だからっ!」
ヴァッガスが言う
「おうっ!それで!?」
金田が言う
「だから…っ 出来れば その…っ 痛くない様に… て、手加減してやって… 欲しいんだけど?…駄目か?」
ヴァッガスが一瞬呆気に取られた後 転びそうになってから怒って言う
「そう言う事はっ 言わなくて良い!!」
金田が苦笑して言う
「ごめん…っ」
ガイとロドウが苦笑する ヴァッガスが顔を叩いて言う
「たくっ 気合い入れ直して… 行くぜっ!?」
ガイが言う
「良し!」
ロドウが言う
「うん!」
ヴァッガスが叫びながら向かう
「うぉおおおーっ!」
金田が表情を困らせクレターを見る ヴァッガスに続いてガイとロドウが向かう ガイとロドウが左右に分かれて機械兵士へ向かう ヴァッガスが言う
「さあ どうするっ!?これならっ!」
クレターが言う
「Shoot me!」
ヴァッガスが驚きに目を見開く 機械兵士4体が4方から クレターと クレターへ向かうヴァッガスへ銃撃する ヴァッガスが言う
「クソッ!?」
ヴァッガスが狼化して逃げ去る ヴァッガスに数発被弾 クレターも被弾しながら 顔を上げ言う
「Target the nearest it Fire!(最も近いものを目標として撃て)」
ガイとロドウが自身らへ向けられた銃身にハッとして回避する 機械兵士たちがガイとロドウを追って銃撃する 皆がシリウスBの前に集まる クレターが言う
「Cease fire!」
機械兵士らが銃撃を止める ガイとロドウが肩で息をしながら構えている所へ 狼姿のヴァッガスが到着して人狼化して言う
「…悪ぃ しくじった…」
金田がヴァッガスの傷を見て心配するが その目前で傷が回復して行く 金田が呆気に取られる ガイが視線を変えないまま言う
「いや そうでもない」
ヴァッガスが疑問して言う
「え…?」
クレターが膝を着く ヴァッガスが気付き一瞬呆気に取られてから苦笑して言う
「…ハッ!不死身だか何だか知らねぇが 調子に乗って自爆するとは 馬鹿な奴だぜ!」
ガイが言う
「己のスピードを過信して 突っ込んだ者が良く言う」
ヴァッガスが衝撃を受け表情を歪ませるが 気を取り直して言う
「…そ、その結果がこれだろっ!?どうだ!これぞ 肉を切らせて骨を断つっ!ってな!?」
ロドウが感心して言う
「凄いね ヴァッガス!そんな難しい言葉を 知っているなんて?」
ヴァッガスが衝撃を受けて言う
「そっちかよっ!?けどまぁ コレなら何とかなりそうだ!こっちにはシリウス様から頂いた 超回復力がある!あっちは不死身だか何だか知らねぇが 回復能力は無さそうじゃねぇか?」
クレターが膝を着いて息を切らしていた状態からヴァッガスたちを見て立ち上がる シリウスBの目にプログラムが見えシリウスBが言う
『回復プログラムではなく 創生プログラムか… 確かに あれならば 不死身の肉体を得られるが そうとあれば 奴の命は何処に…?』
シリウスBが視線を変える 金田が心配そうにシリウスBを見上げている シリウスBが苦笑して言う
『…否 今はそれよりも この場を切り抜ける方法でも思案するか?創生能力は強力ではあるが 創生には材料と時間を必要とする そうとある以上 現状の勝機はこちらにある』
シリウスBがクレターを見る 金田がホッとして肩の力を抜く シリウスBが苦笑する ヴァッガスが言う
「肉を切らせて骨を断つ作戦 続行だっ!次!ロドウ!お前行け!」
ロドウが衝撃を受けて言う
「え?僕ぅ!?ヴァッガスが 何度も行ってくれるんじゃないの~?」
ヴァッガスが言う
「馬鹿野郎っ!?俺が何度も行ったら 骨を断つ前に 俺の肉が無くなっちまうじゃねぇかっ!?」
ロドウが言う
「僕だって お肉無くしたくないよぉ~?」
ヴァッガスが言う
「お前の方が肉の量が多いっ!」
ロドウが言う
「本体はヴァッガスの方が多いったら~?」
ガイが言う
「ヴァッガスとロドウは 先に向かい 機械兵らの攻撃を躱してくれ 次に私がクレター司令官へ向かい かの者の口を塞ぐ」
ロドウとヴァッガスがガイを見る ガイが言う
「もしくは口が利かれない程度にまで 攻撃を与える必要が在るかもしれないが… その時は どうか見逃して欲しい カネダ殿」
ガイが金田を横目に見る 金田が一瞬呆気に取られた後苦笑して言う
「え?あ、ああ… 覚悟 しとくよ… 有難う ガイさん」
ガイが苦笑する ヴァッガスが顔を背けて言う
「…ったく!仲間の内に 敵を庇う奴が居るだなんて… こんなやりにくい戦いがあるかよっ?」
ロドウが微笑む 金田が苦笑する ヴァッガスが構えて言う
「行くぜっ!?ロドウ!」
ロドウが言う
「うん!」
ヴァッガスとロドウがそれぞれ機械兵士へ向かって行く クレターがそれを確認して言う
「Target the nearest it fire!」
機械兵士らが自身に近い者へ銃撃を開始する ガイが言う
「良しっ 今だ!」
ガイが獣人化してクレターへ向かって飛翔する クレターがガイを見る ガイが手を伸ばして思う
(機械兵士への指令を口にされる前に… 塞ぐっ!)
ガイがクレターの口を掴む クレターが衝撃に言う
「ぐ…っ!?」
ガイが思う
(塞いだっ!ならば これで…っ!?)
クレターがガイを見る ガイが一瞬思案した後 もう片方の手を手刀にして振り上げて思う
(意識を失わせれば…!)
クレターがガイの手刀に気付き身体を後方へ移動させ身を下げる ガイがはっとした瞬間 手刀を空振りして思う
(躱した!?)
クレターが回避して ガイから距離を置いて言う
「Call to arms!」
クレターの前に機械兵士が1体現れる ガイが呆気に取られる クレターが言う
「Shoot him!」
機械兵士がガイへ銃撃を行う ガイが回避しながら言う
「ク…ッ 増援を呼ばれるとは…っ しかし 1体が相手ならば…っ!」
ガイが機械兵士の銃撃を躱し コアを破壊して機械兵士を撃破して言う
「旧大陸に置いて 機械兵との戦いを切り抜けて来た 我々の敵ではないっ」
クレターがガイを見て言う
「ク…ッ!」
もう1体の機械兵士が倒れる それを倒したロドウが笑顔で言う
「うん!そうだよね!」
ヴァッガスがガイとロドウの間に居る機械兵士の攻撃を回避して 呆気に取られて言う
「おまっ!?ロドウっ!何でお前が俺の方にっ!?」
ロドウが言う
「クレター司令官が “近くの敵を撃て” って命令していたから それなら 遠くに行ったら撃たれないのかなー?と思って?」
ヴァッガスが衝撃を受けて言う
「は!?そうなのかよ?なら 丁度良い!1体1なら 俺だってっ!」
クレターが言う
「Stay away from the enemy!(敵から離れろ)」
ヴァッガスがハッとして距離を置く 機械兵士たちが退避する ヴァッガスが向かおうとしていた機械兵士も退避する ヴァッガスが言う
「あっ!?お、おいっ!?なんだよっ!?逃げやがったぞっ!?」
ロドウが言う
「“離れろ”って命令だったからじゃないかな?」
ヴァッガスが言う
「なあっ!?そんな命令だったのかよ!?」
ガイがロドウへ向いて言う
「ロドウ 貴殿は クレター司令官の言葉が分かるのか?」
ロドウが言う
「少しだけね?動作が入る言葉だけ シュレイザーでお友達になった皆から 教えてもらったんだ」
ガイが言う
「そうか それなら…」
ヴァッガスたちがクレターを見る クレターが思う
(敵の内に このプラントの言葉を理解する者が居る そうとあれば…)
クレターが言う
「フォーメーション イーレンフェルフォース!」
機械兵士たちが反応して身構える ヴァッガスがハッとしてロドウへ言う
「おっ!?今のは何だ!?ロドウ!?」
ロドウが苦笑して言う
「今のは 分からなかったよ~」
ヴァッガスが舌打ちして言う
「クソッ それじゃ 今まで通りやるっきゃねぇかっ!?」
ロドウが言う
「それじゃ次はやっぱり 僕のお肉で行くの?」
ガイが言う
「いや 機械兵士の攻撃を回避するためにも 私かヴァッガスがその役を担い ロドウにはクレター司令官の命令が理解出来た際に 臨機応変に動ける様 機械兵士との戦いをメインに行う様にしていてくれ」
ロドウが微笑して言う
「うん!分かった!やってみるよ!」
ヴァッガスが言う
「分かった なら 次は俺が行くか?」
ガイが言う
「機械兵の数が3体になった今なら その3体へ命令を与えられても 我々であれば 先に機械兵を倒す事も可能かもしれない」
ヴァッガスが言う
「それもそうだな?よし!それならっ!」
ヴァッガスが身構える クレターが思う
(次は 兵士どもへ攻撃を集中させるつもりか?ならば丁度良い …ここで時間を稼ぐか?)
シリウスBがクレターを見ていて視線を強める ヴァッガスが言う
「行くぜっ!!」
ヴァッガスが駆け出し共にロドウとガイも飛び出す
【 第4プラント 】
リゲルが機械兵士Rの中で言う
「散って逝った数々のロボたちの恨み!受けるが良い!ロボンガーーー パーーーーンチッ!!」
機械兵士Rのロケットパンチが飛んで行く ヴィクトールが呆れて言う
「だから…」
ヴィクトールへ向かって飛んで来たロケットパンチが ガルバディアの騎士3人に切り裂かれ ヴィクトールの目前で爆発する ヴィクトールの目前にプログラムの盾が発動していて 爆風が消えると ヴィクトールが苦笑して言う
「効かないって 言ってるじゃない?分からない人だなぁ?」
リゲルが衝撃を受けて叫ぶ
「なぁあーーっ!?何故だぁああっ!?」
ヴィクトールの後ろでバーネットが呆れていて言う
「だぁから いくらロストヒューマンの次元に生きるてめぇでも 新人類の生きる次元にある機械兵士に乗り込んでたら 能力もそのレベルまで落ちるって… 分かんねぇのかよ?新人類の神と言われる ロストヒューマンのくせに?」
リゲルが嘆いて言う
「俺はぁあっ!例えロストヒューマンであろうとも ロボたちの神として ロボたちと共に生きると決めているのだあっ これ以上貴様らに 俺の可愛いロボたちを破壊させはしなーーいっ!」
ヴィクトールが微笑んで言う
「憎めない人だなぁ あの人…」
バーネットが呆れて言う
「もうよ?放っといても良いんじゃねぇか?アイツ?」
リゲルの後方にある端末モニターに 緊急シグナルが点滅している ヴィクトールたちの周囲に大量の機械兵士の残骸がある ガルバディアの騎士たちが不思議そうにしている
【 第5プラント 】
ヴァッガスが息を切らして言う
「はぁ… はぁ… はぁ… …クソっ」
ヴァッガスが被弾したわき腹を押さえている 金田が心配して言う
「ヴァッガス… 余りその…っ 無理… しない方が?」
ヴァッガスが言う
「うるせぇっ!余計な事言うなって 言ってんだろっ カネダっ!」
金田が言う
「けどよ…っ?」
ヴァッガスの傷の周囲にプログラムが現れて傷が回復されて行く 金田がそれを見て言う
「回復のスピードが遅くなってるし 被弾する回数も増えて来てる …俺の目から見ても ヴァッガス自身のスピードが落ちてるから…っ」
ヴァッガスが怒って言う
「なら どうしろってんだっ!?」
金田が言う
「それは…」
金田が言葉を失って黙る ガイが舞い戻って来て言う
「まさか 3対3でも勝てないとは 私も想定外であった」
ロドウが慌てて走って来て言う
「ひぃ…っ ひぃ…っ 置いてかないで~ ヴァッガス~ ガイ~~っ」
機械兵士たちがロドウへ銃撃を行っている 機械兵士たちの銃撃の一部がロドウの先に着弾する ヴァッガスが金田を庇うそぶりを見せる クレターが言う
「Cease fire!」
機械兵士たちが銃撃を止める ヴァッガスが言う
「アイツら…っ!こっちの攻撃から逃げるかと思えば 逆に追い込んで来る時もある… まるで人間の兵士と戦ってるみてぇによっ!?」
ロドウが言う
「クレター司令官が 追い込め! とか 前進しろ!って言うのが分かっても 皆に伝える前に 戻されちゃって… 伝えられなくて ごめんよ 皆」
ガイが言う
「いや 意味は分からずとも クレター司令官から機械兵らへの命令は 瞬間的に短い言葉で行われている そうと在れば その言葉を理解して 更に伝えようとしても 間に合わないのだろう …こちらも想定外だった」
ヴァッガスが床を殴って言う
「ならどうするっ!?やっぱり あの野郎をぶっ潰すかっ!?」
金田が困り止めたそうに言う
「あ…っ あ~…」
ガイが言う
「…やはり その手で行くしかないか 最悪 潰しに向かう仲間を守って 誰かが身を盾にすれば 出来なくは無い そして 指揮官を失った機械兵であれば こちらが例え2人となっても 3体を倒せる可能性が高い」
ヴァッガスが言う
「どっちでも良いっ 潰しに行くでも盾になるも構わねぇ!これ以上 アイツの思い通りにされて堪っかっ!」
ヴァッガスの傷が癒え ヴァッガスが身構える ガイがヴァッガスを見て考える ロドウが言う
「1人が攻撃に行って 1人が盾になるなら もう1人は機械兵の攻撃を巻かないとだよね?僕じゃ素早くは動けないから 僕は盾役をやるよっ」
ガイがロドウを見て言う
「やってくれるか ロドウ?」
ロドウが気張って言う
「うんっ!」
ガイが言う
「良し それならば… 残る配役は 言うまでも無かろう」
ヴァッガスが我知らず牙を剥いて唸り声をあげている
「グルルルル…ッ」
ガイが翼を広げて言う
「私が先行するっ 頼んだぞ 2人とも!」
ガイが機械兵士らへ向かって飛び立つ 機械兵士らがガイを見て銃を構える ヴァッガスがクレターへ向かって叫びながら向かって行く
「うぉおおおおあああーーっ!!」
クレターが言う
「Go around and shoot!(回り込んで撃て) Aim for the center!(中心を狙え)」
機械兵士たちが銃撃をしながら円陣を組み銃撃を行う ガイが回避して視線を向けた先 ヴァッガスの後方へロドウが立ち塞がり盾になって言う
「ヴァッガスに攻撃はさせない!」
クレターが気付き一歩後退る ヴァッガスが狼の姿でクレターへ飛び掛かりクレターの左首に牙を立てる クレターが目を見開き悲鳴を上げる
「ぐあぁあっ」
金田がハッとして言う
「あっ!!」
クレターが後方に倒れ表情をしかめる ヴァッガスが噛み付く力を強めると クレターが悲鳴を上げる
「ぐはっ!!…っ …っ」
ヴァッガスが思う
(良し 声帯を切り裂いてやったっ これならっ!)
ヴァッガスが起き上がり人狼化して言う
「もう コイツは声を出せねぇ!一気に行くぜ!!」
ガイが表情を明るめる ロドウが痛みに顔を引きつらせつつ微笑する クレターが視線を向ける先 ヴァッガスが機械兵士らへ向かう クレターの視界の内で機械兵士たちが破壊されて行く クレターが声を出そうとする
「ヒューッ ヒーッ …ッ」
クレターが痛みに表情を引きつらせる 機械兵士の最後の一体を倒したヴァッガスが意気揚々と言う
「よっしぁあっ!やってやったぜっ!」
ロドウとガイが苦笑して顔を見合わせる 皆の後方から金田が走り出す ロドウとガイが気付いて振り返る ヴァッガスが顔を向けてハッとする 金田が膝を着き クレターの身体を起こして言う
「ほら 水だ 飲め… 水飲めば 治るんだろ?」
ヴァッガスが呆気に取られた状態から怒って言う
「カネダッ!!お前っ!!」
ガイがヴァッガスの肩に手を置き 息を吐いて言う
「ここまで来れば もう良いだろう… 彼の好きにさせてやろう?」
ヴァッガスがガイを見て一瞬驚いてから 不満を表情に現して言う
「…クソッ!」
ロドウが微笑している クレターへ水を飲ませている 金田の支えている手に血が滲んで行く 金田が言う
「仲間であるはずの機械兵士の銃弾まで受けて… アンタ 辛かっただろうに… 何でそんなに頑張るんだ?やっぱり…」
クレターが閉じていた目を開き金田を見る 金田が苦笑して言う
「それが… 軍人として あるべき姿… なのか?だとしたら… … …俺にはやっぱり 分からないな…」
クレターの身体を創生プログラムが纏い クレターの傷が無くなる 金田が落としていた視線を戻し ハッとして言う
「あ… 傷 治ったな?」
クレターが起き上がる 金田が身を起こして言う
「もう 大丈夫なのか?…え?」
クレターが金田を押さえ 金田の頭へ銃口を突き付けて言う
「全員 動くな」
ヴァッガスとガイが呆気に取られ ロドウが驚いて言う
「え…?えぇえええ~っ!?」
ガイが言う
「…まさか?」
クレターが言う
「Call to arms!」
クレターの後方に機械兵士が4体現れる 金田が呆気に取られている ヴァッガスが呆気に取られた状態から怒りを沸き上がらせて言う
「…ふざけんなよっ?この…っ クソ野郎がぁあーっ!!」
ヴァッガスが向かおうとすると クレターがヴァッガスへ人質の金田を見せつけて言う
「動くなと言っている 言葉が分からんのか?」
ヴァッガスが立ち止まり拳を握り締め怒りに震える 金田が言う
「ごめん 皆…」
ヴァッガスたちが動けずにいる 金田がクレターを横目に言う
「けど こんなのって無いだろ?アンタは一度負けたんだよ だったら 負けを認めて 降伏するべきじゃないか?」
クレターが言う
「指令を受けた兵は 何が在ろうと それを遂行するべく行動する それこそが 有能と言われる兵だ お前も 大和国の海軍兵とあるならば 覚えて置くが良い」
金田が表情を落として言う
「そっか… 俺が馬鹿だったんだな シリウス様を あのリジルって奴の所まで 案内する …そこまで待てば良かったんだ そうすれば アンタだって この戦いを止められた …ごめん」
クレターが金田を見る ヴァッガスが怒って言う
「カネダっ!!お前っ この期に及んでまでっ!!」
金田が瞬時にクレターの服を掴み足を払って 背負い投げをする クレターが背を床に叩きつけ小さく呻く
「ぐっ!?…っ!?」
金田がクレターの手から銃を奪い取り 銃口を向けて言う
「すぐに終わらせるから 命令の言葉は言わないでくれ」
クレターが金田を見上げ呆気に取られる ヴァッガスたちが呆気に取られていた状態から喜んで言う
「カネダっ!?お前っ やる時はやるじゃねぇかっ!?」 「素晴らしい体術だ」 「かっこいいー!」
ヴァッガスがガイとロドウへ向いて言う
「俺たちも負けてらんねぇ!行くぜ!」
ヴァッガスたちが機械兵士へ向かおうとする クレターが言う
「フォーメーション イーレンフェルフォース!」
金田が呆気に取られて言う
「え…っ?」
クレターが言う
「Fire!!」
機械兵士たちが銃撃を開始する ヴァッガスたちが慌てて回避する 金田が銃を構え直して言う
「命令するなって言ってるじゃないかっ!?」
クレターが言う
「貴様こそ 私がそれをしていると分かっているのなら その引き金を引くべきだろう?それとも?貴様もあの機械兵士どもと同じく 号令が無ければ撃たれないのか?」
ヴァッガスたちが機械兵士の攻撃を回避して逃げ回っている 金田がそれを横目に見る クレターが言う
「先ほどの勢いはどうした?」
金田がクレターを見て表情を悲しめる クレターが金田を見詰める 金田が銃を下ろして言う
「俺には 出来ない…っ」
ヴァッガスが叫ぶ
「カネダっ!!」
金田がうつ向いたまま言う
「…ごめん …皆」
シリウスBが言う
『クールタイムの終了だ』
皆が反応する シリウスBが言う
『生憎だが これ以上お前たちの遊びを眺めてはいられない あのリジルが何を行うつもりか それが分からぬと言う事もあるのでな?』
シリウスBがプログラムを現して視線を向ける ヴァッガスたちをすり抜けたプログラムが 機械兵士たちへ向かい 機械兵士たちが一瞬にして粉砕される ヴァッガスたちが驚き呆気に取られる シリウスBが歩きながら言う
『物質をミクロの状態へ分解した アレを組み立てれば 再び機械兵士の完成となる… お前と 同じだ』
シリウスBがクレターの横で立ち止まって微笑する クレターが身を硬直させて息を詰まらせる
「っ!」
金田がシリウスBを見て 表情を怒らせる シリウスBが苦笑して言う
『最も それは お前たち新人類も 我ら ロストヒューマンとて同じ事 すなわち それを再構成させる力 貴様に掛けられている リジルのプログラムの正体だ』
金田が一瞬呆気に取られて疑問して言う
「って言う事は…?」
金田の横を猛スピードで何かが過ぎる 金田が驚いて視線を向けた先 ヴァッガスが大狼の姿でクレターの首へ噛み付く クレターが驚き悲鳴を上げる
「ぐあっ!?」
金田が驚いて言う
「ヴァッガスっ!?」
ヴァッガスが更に強く噛み付いて クレターの首の骨が折れる 皆が驚き クレターが悲鳴を上げる
「があっ!…が がはっ ぐう… うぅ…」
金田が慌てて言う
「何でっ!?何するんだよっ!ヴァッガスっ!?」
ヴァッガスが人狼化して口を拭って言う
「戦いはまだ終わってねぇもんな?こうしとけば 今度こそ もう 機械兵は呼べねぇだろ?」
金田が言う
「だからってっ!」
ガイがやって来て言う
「カネダ殿 今回ばかりは ヴァッガスが正しい …同じ手を食わぬためにも 不死身の彼には あのままの状態で 戦いの終わりを待って頂こう」
金田が消沈して言う
「けど…っ」
ロドウが苦笑して言う
「僕も結構痛かったよ?ヴァッガスはもっと痛かっただろうし ガイも普段は機械兵士の銃撃なんか受けないのに… と言っても その僕らより銃弾を受けてた クレター司令官はもっと大変だっただろうけど 今回は我慢してもらうって事で ね?」
金田が言う
「…分かった …すぐ終わらせて戻って来るからっ それまで… 待っててくれっ!…行こう!皆!」
金田が皆を見てから先行して向かう ヴァッガスが呆れ苦笑で言う
「先行する理由が 別のモンだったら 素直に従えるんだけどな?」
ガイが苦笑して言う
「うむ… とは言え 行かぬ訳にも参るまい?」
ガイが向かう ロドウが言う
「この先に さっきの人が居るのかなぁ~?」
ロドウが向かう ヴァッガスが言う
「へいへい 行きますよ?」
ヴァッガスが一度クレターを確認してから 皆に続く クレターが苦しい息をしながら思う
(もう… 少しだ… まだ…)
クレターが小さく呻く
「くっ…」
クレターの周囲にプログラムがチラつく
【 第4プラント 】
リゲルが涙ながらに叫ぶ
『おのれっ 可愛い部下たちだけでなく よくも俺の愛機 RG16000をー!』
リゲルの乗り込んでいたロボットが破壊されている バーネットが言う
「ハッ!最初っから てめぇが外に出て戦ってりゃ そいつはぶっ壊してやらずとも済んだのによ?逆恨みにも程があるってもんだぜ?」
ヴィクトールが言う
「ねぇ バーネット?あのプラントの神様は 本体なのかなぁ?そうだとしたら 僕らでは 攻撃出来ないんだよね?」
バーネットが言う
「よし ならまぁ ちょいと待ちやがれ 今調べてやっから…」
バーネットが数字の羅列を現す ヴィクトールが気付き見付けたボルトを拾って言う
「それなら わざわざ調べなくても これで… ひょいっと?」
ヴィクトールの投げたボルトがリゲルの頭に当たって リゲルが衝撃を受け怒って言う
『痛っ!おいっ 貴様ーっ!何処のプラントの者だか知らぬが 神に向かって物を投げるとはーっ!?』
ヴィクトールが言う
「当たったよ!バーネット!?」
バーネットが呆れて言う
「ああ… 当たったな?って事は…」
リゲルが自身に当たったボルトを拾い衝撃を受けて言う
『あぁああっ これはっ!?最新ロボに使った 超ハイスペックボルトではないかっ!?何故っ!?』
リゲルの後方にある端末に 警告メッセージが点滅している
【 第5プラント 】
リジルが視線を強めて思う
《何をしているリゲル…っ!?シリウスBが現れていると言う またと無い好機を…っ》
轟音が響く リジルがハッとする
セントラルシステムルーム 最深部
ヴァッガスが装置を前に拳を見て言う
「っつ~ 固ぇ箱だなぁ?」
シリウスBが言う
『出来れば 物理的に破壊して置きたかったが…』
シリウスBが攻撃プログラムを発生させるが ジャミングが生じてプログラムが消去される リジルのホログラムが現れて言う
『シリウスB…っ!貴様はロストヒューマンの禁を犯し存在するにのみに留まらず その行いにまで罪を犯すつもりかっ!?』
シリウスBが言う
『まだ居たのか リジル?大方 仲の良いリゲルのプラントへでも 逃げ出していたのかと思ったが?』
リジルが言う
『…っ!…黙れっ!』
リジルの周囲に攻撃プログラムが表示される
セントラルシステムルーム
ヴァッガスたちが逃げ出して来る 後方で爆発が起きる ヴァッガスが慌てて振り返って言う
「カネダっ!?無事かっ!?」
金田が言う
「俺は大丈夫っ ロドウさんはっ!?」
ロドウが笑顔で言う
「えへへ 大丈夫だよ~」
ロドウの背中に火傷の跡がある 金田が表情を落として言う
「本当に ごめん…っ 俺はやっぱり こっちに残ってた方が良かったのかも…」
ヴァッガスが言う
「んな事したら お前はぜってーアイツを回復させちまうだろうが?」
ヴァッガスが横目にクレターを見る クレターが苦しそうに息をしている
「…ぐっ がはっ げほっ… うっ ぐぅ…」
金田がクレターを見ていた状態で表情を悲しめる ヴァッガスが言う
「…ったく 何処までお人よしなんだか… …なっとっ!?」
ヴァッガスが瞬時に金田を引っ張り回避する 後方から爆発が届き リジルのホログラムが現れて言う
『そもそも 始末を命じてあった筈の 新人類が 何故 一匹も減らずに息をしているのか…?』
リジルが横目にクレターを見て言う
『…ファーストジェネラル』
クレターが動かない体の視線を向けるのと同時に プログラムで身体が浮き上がり 吹き飛ばされる クレターが悲鳴を上げる
「うあっ!」
クレターが吹き飛ばされた先 水場のプールへ落下する 金田がハッとして向かおうとするが ガイに抑えられ ガイが言う
「今は危険だ」
金田が言う
「けどっ!」
ヴァッガスが言う
「心配しなくても あっちの神様は まだ アイツを使うつもりみたいだぜ?」
金田が驚き水場のプールを見る 水面にプログラムが実行されて居て 間もなくしてクレターが引き上げられる 金田がホッとして力を抜く ガイが言う
「とは言え そのクレター司令官の率いる機械兵と このプラントの神である あの者… 2人が相手となれば 今度こそ 厳しい戦いとなる」
ヴァッガスが言う
「言われて見りゃ そうだった …今度はシリウス様も 俺らを助けてる余裕はねぇかもしれねぇ」
ヴァッガスが横目で金田を見る 金田はクレターを見ている ヴァッガスが息を吐いて言う
「当の本人は 分かっちゃ居ねぇのか それとも…?」
ヴァッガスがクレターを見る クレターがプールサイドに四つ這いに頭をもたげている その横にリジルが現れて言う
『先ほどの褒美は後回しだ 代わりに 今一度チャンスをやろう 奴らを…』
クレターが首を抑えて息を切らす
「はぁ… はぁ…」
リジルが言う
『ふむ?そうか?奴らにやられた 首が痛むか?』
クレターがハッとして 慌てて言う
「いっ いいえ…!…がはぁっ!?」
クレターの首に刃が刺さり 雷撃が加えられる クレターが悲鳴を上げる
「あぁあああーーっ!!」
皆が驚き 金田が飛び出そうとするのを ヴァッガスが抑えつけて言う
「止めろっ カネダっ!」
金田が言う
「放してくれっ!頼むっ!!」
ヴァッガスが言う
「気持ちは分かるが ここは信じろっ …アイツは死なねえっ!!」
金田がハッとする リジルがクレターを払い クレターが後方のプールに落下する リジルが言う
『まったく 手間の掛かるものだ… 新人類の身を持つ者は 何度教えても 主の命令に背く その度に 躾が必要となる… どいつもこいつも そして その挙句には』
リジルが視線を向ける クレターがプールから引き上げられる リジルが言う
『逃げ出す始末 …ファーストジェネラル?貴様は その中で唯一残った者だ その忠義 今ここで 見せてみよ』
クレターが言う
「仰せの… ままに…」
クレターの身が地へ放られる クレターが立ち上がって言う
「Call to arms!」
周囲にプログラムが現れ辺り一面を覆う機械兵士が現れる ヴァッガスが後退り ガイが言う
「これは…っ この数は 宮殿の外に配備されていた機械兵士と同等の数だ」
ヴァッガスが表情を引きつらせて言う
「その外の連中に手も足も出せなくて 逃げ帰った俺らに… ここで どうしろって言うんだよ?」
リジルが笑む クレターが言う
「Ready to shoot!(射撃用意)」
機械兵士たちが銃を構える ヴァッガスたちが構え ヴァッガスが言う
「畜生っ!こうなりゃ もう やけクソだっ!」
ガイとロドウも構える クレターが言う
「Target!Coffin of the god!(神の棺)」
リジルが驚いて言う
『な…っ!?』
ヴァッガスたちが疑問してロドウへ向く ロドウが言う
「分からないよ 初めて聞いた言葉…」
機械兵士たちがセントラルシステムルームの最深部へ向き直る クレターが言う
「Fire!」
機械兵士たちが一斉に射撃をする ヴァッガスたちが呆気に取られる中 セントラルシステムルームの最深部の入り口の周囲を含め その奥にあるリジルの保存装置が破壊される 保存装置が破損して蒸気が漏れ出す リジルが呆気に取られた状態で身体が実体化して行く リジルが怒りに震えて言う
『貴様…っ 血迷ったか!?ファーストジェネラルっ この愚か者めっ!!』
リジルがクレターへ向け攻撃プログラムを放つ クレターが感電して悲鳴を上げる
「あぁあああっ!!」
金田が叫ぶ
「止めろっ!!」
シリウスBがリジルへ攻撃プログラムを放つ リジルのプログラムが弾かれ クレターが倒れる リジルが横目にシリウスBを見る シリウスBが言う
『やはりそうか 召集の命令で 呼び寄せられる機械兵の数に限りは無い… しかし 先程までに 呼び寄せた機械兵士の数は 余りに少なかった お前は… ヴァッガスたちの相手を行いつつ 他の事を行っていた …他のプログラムの実行を』
金田がシリウスBを見る ヴァッガスが言う
「他のプログラムを?そのプログラムって言うのは?」
リジルが怒って言う
『ファーストジェネラル…っ やはり貴様も同じか 役立たずの裏切り者がっ!機械兵士よ!この者を握りつぶせ!!』
リジルがクレターへ手を向ける 金田が走って向かうが間に合わず 機械兵士がクレターを掴み上げて握り締める クレターが悲鳴を上げる
「ああぁああーーっ!!」
クレターの身体の骨の折れる音が響く ヴァッガスがその音に狼耳を押さえて言う
「ひいぃい…っ!!」
ロドウが思わず目をつぶって言う
「ひえぇええ~っ」
ガイが表情をしかめて言う
「何と惨い…」
金田が叫ぶ
「止めろーーーっ!!」
金田が走って向かう リジルが金田を見る 機械兵士の手が金田へ向かう ギリギリのところでヴァッガスが間に合って金田を回避させる 金田がクレターを見上げて表情をしかめ ヴァッガスへ向いて言う
「ヴァッガスなら あそこまでっ 届かないかっ!?」
ヴァッガスが言う
「届くかどうかって 問題じゃねえだろ!?」
ヴァッガスがリジルを見る リジルがヴァッガスと金田を見ている ヴァッガスが息を潜めて言う
「あっちの神様が怖ぇから…」
金田が言う
「だからこそっ アイツも俺たちに協力してくれたんじゃないのかっ!?」
ヴァッガスが一瞬呆気に取られ表情を困らせる 金田が言う
「だったら 俺たちだって!」
金田がクレターを見上げる リジルが横目にプログラムを見てからシリウスBを見て言う
『大分予定が狂ったが まぁ良い… 使えぬ新人類に代わり 私自らが 貴様の配下を処分してくれる』
リジルが機械兵士らへ言う
『我は貴様らの神!その我が命ずる!この場に居る新人類を全て排除しろ!攻撃!』
機械兵士らが皆へ銃口を向ける ヴァッガスが言う
「そら来たっ!どうするっ!?」
ヴァッガスがガイへ向く ガイが言う
「どうと言われても この数が相手では…っ」
ヴァッガスたちが身構える シリウスBが言う
『Cease fire!』
機械兵士たちが止まる ヴァッガスたちが驚き ヴァッガスが言う
「その言葉は」
シリウスBが言う
『Put down your weapons(武器を下ろせ)』
機械兵士たちが武器を下ろす リジルが驚いて慌てて言う
『何っ!?馬鹿なっ!?優先順位を確認しろ!私はこのプラントの神だ!奴らを撃て!』
シリウスBが言う
『Accept the ceasefire(停戦を受託しろ)』
機械兵士たちが身を屈める リジルが驚いて言う
『な…っ 何故…っ!?何故 私の命令に従わないっ!私は貴様らの…!』
シリウスBが言う
『そのお前が このプラントから新人類を消し去り 何を行うつもりだ リジル?』
リジルが言う
『何を行うだと?ふんっ 知れた事 我らロストヒューマンは 各々が与えられたプラントへ 新人類と言う名の種を蒔き その実りを確認する …そして その実りが悪しき物とあれば 摘み取り 地を整え そこへ新たな種を蒔く それこそが定め …そうか プラントを持たぬ非公認なロストヒューマンである 貴様は知らないか!?シリウスB!』
シリウスBが言う
『知らぬ訳では無いが ロストヒューマンに与えられた使命は 新人類たちの“見守り”であり 摘み取る事も 地を整える事も 全てはアウグスタの命の下に行われる お前の権限の下にはあるまじき事 更に言うなら お前の行いは ロストヒューマンに与えられた使命の執行ではなく 権力の横暴だ』
リジルが言う
『黙れ 我らロストヒューマンは 新人類らの神!その神に認められぬ者は 始末されて当然なのだ』
シリウスBが言う
『それでお前は そのお前の気に入らなかった彼らを リゲルのオモチャである 機械兵士へと組み込んだのだな?』
リジルが言う
『そう言う事だ 余計な事は行わず 命令には従う 最低限の能力は持つ者として 生まれ変わらせてやった!…はずが まさか…っ 他のプラントのっ それも非公式な ロストヒューマンの命に従い 武器を下ろすとはっ やはり新人類などゴミも同然 生かす価値も無い!』
シリウスBが言う
『彼らの価値が分かっていないのは お前の方だ リジル 彼らがなぜ 私の命に従ったのか 機械兵士の部品にされても 尚 彼らは “彼らの言葉” に従った 彼らは自身の肉体を奪われても 最後まで お前に抗おうと戦っている 彼らの命は 誇り高き 正しく このプラントの人類だっ!』
リジルが驚いて言う
『“奴らの言葉”だと…?そうかっ 優先順位の最上位に “言語の種類” を設定したのだなっ 私はその様な指示は行わなかったと言うものをっ!…新人類のカス共がっ 今度こそ 跡形もなく消し去ってくれる!』
リジルがプログラムを発生させる クレターが目を開いて言う
「The target is a central computer(目標 セントラルコンピュータ)」
機械兵士たちがシグナルを灯す リジルが驚きクレターへ向く クレターが言う
「Fire(撃て)」
機械兵士たちが床面を射撃して 現れたセントラルコンピュータへ一斉射撃を行う リジルが目を見開いて言う
『なっ!?止めろーーーっ!!』
リジルがプログラムを発生させて セントラルコンピュータの周囲へバリアを張る シリウスBがその隙に リジルの背後へ向かい 剣を振るいリジルの首をはねる リジルが驚き目を見開いたまま言う
『ば… かな…!?』
ヴァッガスたちが呆気に取られる リジルの身体が銀の砂になって崩れ去る シリウスBが剣を払う 剣が数字の羅列になって消える ガイが言う
「何と鮮やかな剣捌きだ…」
ヴァッガスが言う
「ありゃぁ 素人の腕じゃねぇな」
ロドウが呆気に取られて言う
「シリウス様って… 一体…?」
機械兵士が変わらずセントラルコンピュータへ銃撃を行っている シリウスBが言う
『Cease fire (撃ち方やめ)Finish the battle(戦いを終えろ)』
機械兵士たちが攻撃を停止して 構えを解除する クレターを掴んでいた機械兵士の手の力が無くなり クレターが落下する 呆気に取られているヴァッガスたちの間を金田が駆け抜ける ヴァッガスたちがハッとして ヴァッガスが言う
「…あっ おいっ!?」
クレターが水場のプールへ落下する 金田がプールへ飛び込む ヴァッガスが慌ててプールの縁までやって来て叫ぶ
「カネダーーッ!!」
水中
クレターが沈んで行く 金田が泳いでクレターの下へ向かう
水面
ヴァッガスたちが見詰める中 水面に金田が顔を出して言う
「ぷはっ!はぁっ はぁっ」
ヴァッガスたちがハッとして ヴァッガスが呼ぶ
「カネダッ!」
金田がクレターを抱えて岸へ向かって泳ぐ 金田が岸までやって来てヴァッガスたちを見上げて息を切らせる
「はぁ… はぁ…」
ヴァッガスたちが見合わせる ロドウが言う
「僕が岸へ上げるよ!」
ロドウがクレターの身体を岸へ上げる その横で金田が岸へ上がるのをヴァッガスが手伝う ガイがクレターの息を確認して言う
「…息をしていないが 本当に この状態で?」
ヴァッガスが反応してクレターの心音に耳を傾けて言う
「心臓の音も聞こえねぇけど?」
金田がクレターの身体を起こして言う
「水さえ飲ませれば!きっと…っ!」
金田がクレターの口へ水筒の口を押し当てて傾けるが クレターの口に溢れた水がこぼれ落ちて行く 金田が呆気に取られる ヴァッガスが横目にリジルであった銀の砂と その横でセントラルコンピュータを前にプログラムを発生させているシリウスBを見てから言う
「ひょっとして… よ?ソイツの何とかプログラムって奴は… ソイツの神様が作った物なんだよな?だとしたら… ソイツの神様が死んだら その力も…?」
金田が目を見開く ロドウが言う
「無くなっちゃうって事?」
金田がクレターを抱えたまま息を飲む ヴァッガスたちが顔を見合わせ消沈する
銀の砂を足元に セントラルコンピュータへアクセスしていたシリウスBがハッと息を飲んで言う
『…まさか ここまでを終えていたとは…』
シリウスBがリジルであった銀の砂を見下ろす
金田がクレターの胸を押している クレターが水を吐き出して息を吹き返す 金田と皆がハッとする クレターの周囲で創生プログラムが発動する 金田とヴァッガスたちが呆気に取られていた状態から表情を明るめ ロドウとヴァッガスが喜びの声を合わせる
「やったぁ~!」 「やったぜ!」
ヴァッガスがハッとしてぷいっと不満げに顔を逸らす ガイとロドウが顔を見合わせ軽く笑う 金田が肩の力を抜いて言う
「…良かった ホントに」
クレターが目を開き金田の顔を見上げる 金田が微笑みハッとして言う
「…あっ 水 もっと飲むだろ?…ここのプールの水で 悪ぃけど…」
金田がプールの水を水筒に入れてクレターへ飲ませる クレターが金田の施しで水を飲む ヴァッガスがその様子に息を吐いて視線を逸らしてプールを見てハッと驚いて言う
「…なっ!?お、おいっ!?あれっ!?」
ヴァッガスの声に ロドウとガイが振り向き2人も驚いて ロドウが言う
「あれって…!あの時 燃え尽きちゃった 天使さんたち?」
ヴァッガスたちの視線の先 天使たちが水場のプールの水面で 何事もなかったかのように舞って奇声を発している
「ピュポ~?」 「ピュポポ~!」 「ピュポポポポ~?」
ヴァッガスが呆気に取られて言う
「ど、どぉなってんだぁ!?アイツらも あの… 何とかってプログラムの奴か?」
ガイが考えながら言う
「ふむ… あの者たちの周囲には プログラムという力が放たれる数字の幻は見られないようだが?…うん?」
ガイが天使たちが次々に浮き上がってくる水面を見て 近くへ膝を着き プールの水へ手を入れる 手にあった傷が瞬時に消える ガイが呆気に取られて言う
「この水は 通常の水ではないのかもしれん」
ヴァッガスとロドウが反応して ヴァッガスが言う
「え?通常の水じゃねぇって?なら…?」
ガイが手にあった傷の場所を確認してから その手で水をすくって飲む ロドウの目の前でガイの翼にあった傷が消えて行く ロドウが驚いて言う
「わあっ!?翼の傷が消えたよ!ガイ!?」
ヴァッガスが驚いて言う
「マジかよっ!?それじゃ 俺も…っ!?」
ヴァッガスがプールの岸に両手を掛け 水面に顔を付けて水を飲む ロドウがヴァッガスを見ていると ヴァッガスの身体の傷が消えて行く ロドウが言う
「わぁっ!?それじゃ 僕も!」
ロドウも水を飲む ガイが自身の身体の様子を感じ取って言う
「まるで… 刺激の無いエリクサーを飲んだかの様だ」
ヴァッガスが水面から顔を上げ喜んで言う
「ホントだぜ!この水!汲んでこうぜ!?」
ロドウが顔を上げ喜んで言う
「賛成~!」
ガイが微笑して頷く ヴァッガスたちが水汲みをしている中 シリウスBが息を吐き セントラルコンピュータから離れてヴァッガスたちの下へ向かう
水汲みを終えたヴァッガスたちが和やかにしている所へ シリウスBがやって来て言う
『戦いは終わった お前たちを第2プラントへ転送する』
ヴァッガスが喜んで言う
「俺たちの完全勝利って奴だな!」
ガイが苦笑して言う
「その我々による 完全勝利への加担は 少なかったが…」
ヴァッガスが苦笑して言う
「それを言うなって…?」
ロドウが微笑して言う
「今回の功労者は カネダ殿だよね?それにもちろん シリウス様も!」
ヴァッガスが呆れて言う
「何だよ それじゃ 俺らは痛ぇ思いしただけかよ?」
ガイが苦笑して言う
「その痛い思いの功労者も 我々では無いのかもしれないが?」
ヴァッガスが横目にクレターと金田の様子を見て言う
「あぁ…」
ロドウが笑顔で言う
「クレター司令官は 一番痛かった筈だよ?ヴァッガスが2回も噛み付いたもんね!」
ヴァッガスが反応して言う
「俺のせいかよっ!?」
シリウスBが言う
『準備は良いか?』
クレターが立ち上がろうとする 金田が一瞬呆気に取られてから言う
「ん?あれ?もう… 立てるのか?骨を治すには 時間が掛かるんじゃなかったっけ?」
クレターが言う
「再生の順位を変更した …ぐっ げほ…っ これで動く事が出来る… ごほっ ごほ…っ」
クレターが口を押えている手に鮮血が滴る 金田が呆気に取られてから慌てて言う
「無理するなよっ!?戦いは終わったんだからっ もう…っ!」
ヴァッガスたちが反応して顔を向ける 金田がクレターの身を案じる ヴァッガスが身構えようとする クレターが言う
「ああ… 戦うつもりは 無い… ごほ…っ だが… ごほっ ごほっ…」
クレターが腹を押さえて身を下げる 金田がクレターの身体を支えようとするが クレターが手で拒む 金田が心配げに身を引く シリウスBが言う
『時間が無い 転送プログラムを実行する』
ヴァッガスたちと金田が頷き 金田がクレターの腕を掴む クレターが金田を見る 金田が微笑する クレターが一瞬を置いてから苦笑して言う
「…礼を言う カネダ」
金田が呆気に取られてから微笑する 転送プログラムが実行される瞬間 クレターが金田を突き飛ばす 金田が驚いて手を伸ばそうとした姿で ヴァッガスたちと共に消え クレターがその場に残る
【 第2プラント 】
ガルバディア城 玉座の間
玉座に座っているベーネットが顔を上げて言う
「別プラントからの転送を確認!」
バッツスクロイツが顔を向けて言う
「今度は誰っ!?」
ベーネットの前にヴァッガス、ガイ、ロドウ、金田が現れる バッツスクロイツが一瞬驚いた後 喜んで言う
「ターマちーんーっ!」
バッツスクロイツが金田をハグして 喜んで言う
「お帰り タマちん!オレっち スーパー スペシャル 心配してたんだから もー!?」
金田が呆気に取られたまま自身の周囲を見る バッツスクロイツが疑問して言う
「…うん?どうかした?タマちん?」
金田が表情を落として言う
「一緒に… 来るんじゃ なかったのか…」
バッツスクロイツが呆気に取られてから心配して言う
「あ… …ひょっとして?」
金田が手を握り締める バッツスクロイツが視線を逸らして困る ヴァッガスの声が聞こえる
「…様?」
バッツスクロイツが疑問して顔を向ける ヴァッガスが慌てて辺りを見渡して言う
「シリウス様はっ!?シリウス様は何処だっ!?」
皆が反応して辺りを見渡す ベーネットが言う
「ロストヒューマンの… シリウスB様の転送は 確認していませんが?…その様な作戦だったのでは?」
ヴァッガスが呆気に取られる ガイがハッとして言う
「まさかっ そういう事か!?」
【 第5プラント 】
クレターが咽て言う
「げほっ ごほ…っ」
クレターが顔を上げた視線の先にシリウスBが居て言う
『何故 転送プログラムを回避した?ここへ残っても このプラントは間もなく 粛清される… リジル亡き今 如何に創生プログラムを持つお前と在ろうとも 生き残る事は叶わぬぞ?』
クレターが言う
「分かっている これでも私は このプラントの粛清を 数回目にしている… ごほっ ごほ…っ」
シリウスBが言う
『なるほど それでか… お前が行っていたプログラムの1つを解析した お前は… このプラントの人間を 我々の第2プラントへ転送していたようだな?彼らは…』
【 第2プラント 】
ベーネットが言う
「やはりラインは途絶えたまま これ以降の転送は無いものと…」
ロドウが表情を落として言う
「そんなぁ…」
ヴァッガスが悔やんで言う
「クソォッ!何で気付かなかったんだっ 確かに あの時 シリウス様は “お前たちを” 転送するって言ってた!そいつはつまり 俺ら以外のシリウス様本人は あのプラントから転送出来ねぇって事じゃねぇかよ!」
バッツスクロイツ父が言う
「このプラントの神様が 我々のプラントに残ってしまっていると言う事か?」
バッツスクロイツ父の視線の先 バッツスクロイツが言う
「そうみたい… もしかしたら 父さんや皆を転送するのに 力を消費しちゃったのかも… ロストヒューマ… …じゃなくってっ 神様の転送には 普通の人の転送より 膨大な力を必要とするから」
バッツスクロイツ母が心配する 後方の研究者たちが顔を見合わせる ヴァッガスが悔しそうに頭を振る ガイとロドウが顔を見合わせる
【 第5プラント 】
クレターが言う
「彼らは 以前 貴方がこのプラントへ送り込んだ偵察の1人の肉親と その周囲の者だ… このプラントの粛清が完了した後にでも 戻して頂ければ良かろうと… …ごほっ ごほっ …あのバッツクロイスと言う名の者を 置いている 貴方様のプラントとあらば… ぐっ げほっ ごほっ ごほ…っ」
シリウスBが言う
『私がリジルに力を封じられている隙を突き 私のプラントへ未承認の転送を実行するとは… 新人類のプログラマーとしては中々良い腕だ 更に言うならば 私の連れて来た兵たちを守る為に 私がリジルの策に掛かると言う事までを読んでいた… 司令官と言う称号は 伊達では無い様だな?』
クレターが咽ている
「ごほっ ごほ ごほ…っ がは…っ!」
クレターの足元に鮮血が滴る シリウスBが言う
『しかし ここまでの事を謀ったお前が 何故 この場に残った?肉体の創生プログラムへ優先順位の変更を加え 身体を動かすための治癒を行ったのは… 金田玉児と 共に行きたかったのでは無かったのか?』
クレターが言う
「…彼には 感謝をしている… 数千年を経て来た私に… 手を差し伸べてくれた者は 彼が初めてだった… だからこそ 私は… ごほっ ごほっ …その彼が 信じた神を… …貴方を守らなければならないっ」
シリウスBが呆気に取られる クレターが咳をしながら歩き始める シリウスBが言う
『生憎だが リジルの残したプログラムを確認した 我々ロストヒューマンが現存する次元へのプロテクトと共に この宮殿へ施された転送制限プログラム… この2つを解除するには 粛清プログラムが実行されるまでの 残り370秒ではとても足りない…』
クレターが身体を抑えつつ歩く シリウスBが続けて言う
『更に言うならば 彼らをプラント転送したことによる クールタイムも発生している 如何にロストヒューマンとあろうとも プラントの粛清に用いられる ニュークリアフィジョンに耐えるプログラムを作る事は出来ない 私はリジルと共に ここで 原子的にも抹消されるだろう』
【 第2プラント 】
ヴァッガスが驚いて言う
「粛清っ!?なんだよ それはっ!?」
バッツスクロイツ父が言う
「私も詳しい事は… ただ 確かに 我々は 『粛清の瞬間を逃れる為に 一時的に別のプラントへ移動をさせる』 と… その様に聞きました そして そのプラントにはお前の… 私の息子がいるのだと」
バッツスクロイツ父がバッツスクロイツを見る バッツスクロイツが言う
「プラントの移動には 神様レベルの移動プログラムが必要だって言うのに それをしなくちゃいけない程の その “粛清”って…?」
ベーネットが言う
「粛清とは プラントの再生を行う為に 超高温の熱波を用いて 現存する生命体を消滅させる事です 人や動物はもちろん どの様なプログラムや魔法であっても 粛清の熱に耐える事は出来ません」
皆が驚く ヴァッガスが呆気に取られて言う
「おい?待てよ?それじゃ…っ!?」
ロドウが言う
「シリウス様はっ!?」
金田が言う
「アイツはっ!?何とかプログラムって奴で 不死身の身体を持ってればっ 大丈夫なんだよなっ!?」
ベーネットが疑問して言う
「そちらの… 『何とかプログラム』 …とは?」
ガイが言う
「確か シリウス様が 『創生プログラムである』 と仰っていたと思うが」
ベーネットが一度目を伏せてから言う
「創生プログラムですか… とは言え 粛清の瞬間には 特殊な力が発せられ どの様なプログラムも無効になるとの事です 防衛のプログラムはもちろん そちらの創生プログラムであっても その一瞬に 防衛するべき対象を …もしくは 創生するぺき対象を 消滅させられては 意味をなさないでしょう」
金田が呆気に取られて言う
「そんな…っ それじゃ 本当に…?」
ヴァッガスが叫ぶ
「あぁああーーっ!!」
皆がヴァッガスを見る ヴァッガスがベーネットへ手を掛けて言う
「何とかならねぇのかっ!?シリウス様を迎えに行く方法はっ!?助ける方法はねぇのかよっ!?」
ヴィクトール14世が慌てている ベーネットが驚いていた状態から視線を逸らして言う
「残念ですが… 粛清のプログラムが実行されると在っては 我々に出来る事は 何も…」
ヴァッガスが床を殴りつけて悔やむ ガイが視線を落とし ロドウが表情を落として言う
「シリウス様…」
バッツスクロイツ父たちが顔を見合わせる バッツスクロイツが視線を落とす
【 第5プラント 】
クレターが立ち止まって言う
「そのプラントの粛清を 私は見て来た… リジル様が どの様に 回避をされて居られたのかを」
シリウスBがクレターの前にある物を見てから言う
『言うまでもない そもそもロストヒューマンは 実体を空間へ晒す事はしない 通常の状態であろうとも お前たちが過ごすプラントにある放射線は 我々の身体には負荷が大きい だからこそ』
クレターがリジルの生命維持装置の前に居る シリウスBが言う
『肉体の保存と共に それらを遮断する事が可能である 生命維持装置に身を置いている その中であれば 粛清の光からも 自ずと身を守る事が可能だが… もはやそれに肉体の保存を行う能力は無い』
クレターが生命維持装置の破損された開閉部を見て言う
「肉体の保存は出来ずとも この中に居れば… 粛清の光からは逃れられる筈」
シリウスBが反応して言う
『残念だが 粛清の光が放たれる その瞬間はプログラムの力が無効化されるのだ 従って 破損したこの装置を用いて粛清を逃れる事は… まさか?』
クレターが装置へ手を掛けて言う
「粛清の光が放たれる その瞬間は 私が抑えて居れば良い… 粛清の光が照射されるのは ものの数秒 その後も空間への影響は残るが プログラムが使えなくなるのは 一瞬に過ぎない その瞬間を… ごほっ ごほ…っ 私が抑えてさえいれば…っ げほっ げほ…っ」
シリウスBが呆気に取られた状態から セントラルコンピュータの下で 今も輝きを放ち続ける粉へ視線を向けて言う
『リジル… 貴様は本当に従順なる者を 無下にとしていた様だな?』
シリウスBがプログラムを発生させる
【 第4プラント 】
バーネットがセントラルコンピュータを前に言う
「うーん…」
セントラルコンピュータのモニター画面に反射して 猫耳を付けたヴィクトールの姿が映って言う
「にゃんっ!バーネット?まだかにゃー?僕 お腹空いちゃったにゃー?」
バーネットが苦笑した後 体裁を取り繕って言う
「ヴィクトール 騎士たちの前だぜ?お遊びは止めとけ!…つーか 持って来てたのかよ?それ?…うん?」
バーネットが振り返ってから疑問する ヴィクトールが機械の猫耳を頭に乗せていて言う
「宮殿の中で見付けたんだよ?あのプラント管理者 バーネットと趣味が合うのかも?」
バーネットがヴィクトールから機械の猫耳を手に取って見ながら言う
「へぇー?あの野郎が こんなモンを…?」
バーネットが機械の猫耳を観察してからハッと気付いて言う
「…つーか!冗談じゃねぇ!あの野郎の趣味と 俺様の趣味を 一緒にしやがるんじゃねぇよ 全然違うだろ!?」
ヴィクトールが言う
「えー?そうかなぁ?自分の民を愛して 猫耳を付けちゃうほど可愛がってくれる… バーネットとそっくりだと思うけど?」
バーネットが言う
「自分の民を愛してるっつった所で 野郎のソレは 機械じゃねぇかよっ!?機械は無機物だ!生命体じゃねぇ!野郎と俺様とは まったく違う!」
バーネットがヴィクトールへ猫耳を押し付け 怒って顔を背ける ヴィクトールが呆気に取られて押し付けられた猫耳を見てから微笑して 頭に乗せて言う
「同族嫌悪だにゃーんっ!」
バーネットが不満げに言う
「あぁあっ?」
セントラルコンピュータから警告音が響く バーネットとヴィクトールが反応して ヴィクトールが言う
「今の音 なあに?バーネット?」
バーネットがセントラルコンピュータを操作して言う
「あぁ いや 心配しやがんな 今のは別プラントのモンだ」
ヴィクトールが言う
「別プラントの?」
バーネットが言う
「ああ どぉ言う訳か別プラントのカウント表示が ずっと このプラントのセンコンから消えやがらねぇんだ そいつが気になってよ?」
ヴィクトールが言う
「それで目的は終えたのに 第2プラントへは戻らないんだね?バーネット?」
バーネットが言う
「ああ… 本来 別プラントの事に 別プラントのセンコンから何かするって事はねぇもんだからよ?ただ 表示をさせているってだけって事になる筈だが… 残りカウントは10秒だ 何が起きるのかを 見届けてからでも良いだろ?」
ヴィクトールが言う
「後5秒だね?4… 3… 2…」
【 第5プラント 】
セントラルコンピュータの表示が動く
2… 1… IRRADIATION!
上空から光が差し 世界が一瞬ホワイトアウトする 光が消えた場所に 熱波が広がり 様々な物が熱波に飲まれ リジルの生命維持装置にも熱波が吹き付ける その前にあった人の形が一瞬の後に消え去る
【 第2プラント 】
空間モニターに表示されたプログラムに ベーネットがハッとして言う
「第5プラントに高エネルギー反応を確認っ この数値は…っ!」
皆がベーネットへ向く ベーネットが冷や汗を流してから言う
「第5プラントの… 粛清執行を 確認…」
皆が顔を伏せる ヴァッガスが悔やんで言う
「畜生…っ」
金田が自身の右手を見て悔しさを握りしめる
回想
第5プラント セントラルルーム
博士が言う
『如何でしょう 陛下!?これが無限に生産が可能である 人造人間です!』
クレターが目を開いて疑問する
『…?』
博士が言う
『こちらでしたら!いくら戦場で倒され様とも いくらでも補充が出来ます!これでもう 誰も悲しむ者は居りません!』
クレターが疑問して沈黙している
『…』
クレターが博士の視線の先を見てハッとする リジルがクレターを見詰めていてニヤリと笑む クレターが呆気に取られる 博士が言う
『陛下!どうかこれで!…我々を開放して下さいっ!身代わりの この者たちは いくらでも お好きな様に!』
クレターが言う
『み… が わ… …?』
博士が言う
『陛下!』
リジルが軽く笑って言う
『クックック… 良かろう?』
博士が微笑する 博士の身体をプログラムの刃が貫く クレターが目を見開き呆気に取られる 博士が倒れる リジルが言う
『貴様の功績に免じ 貴様以外の者は解放してくれよう』
リジルの前に現れたホログラム映像の中 檻に閉じ込められていた 白衣の人々が解放されている クレターが呆気に取られて居る リジルがクレターへ向いて言う
『補充などは不要だ 己の命を失う無能を補充された所で 何の価値も無い 貴様には入れ替えを必要としない力を与えてやろう』
リジルがクレターの身体へプログラムを与える クレターが疑問していた状態から苦しんで言う
『う…っ!?うあぁああっ!?』
リジルが言う
『その身の何処が壊れようと 絶える事なく創生を行えば良いのだ その為に まずは貴様の基礎データを採取する 採取さえ終われば これで貴様の身体は』
クレターの身体が微塵になり地面に零れ落ちる 間を置いてプログラムが発生する リジルが笑んで言う
『永遠に滅びる事の無い 不死身の器を持つ事となる… 貴様の神である この私が居る限り 貴様は 永遠に私の命を行う事が可能となる… クックック…』
リジルの前に クレターが立っていて目を開いて呆気に取られて リジルを見上げる
回想 終了
クレターが目を覚ます クレターの視線の先 金田が一瞬驚いた後苦笑笑顔で言う
「良かった… 本当に…っ」
クレターが呆気に取られたまま思う
(夢…?)
クレターが周囲を見てから思う
(私は 消滅したはず?)
ヴァッガスがやって来て言う
「目ぇ覚ましたのか?」
金田が言う
「ああ!今 目を覚ました!…あっ!水飲むか!?ここのプールの水は 今は使えないらしいけど 俺が持って来た奴があるから大丈夫だ!飲むよな?ほら?」
クレターが呆気に取られた状態のまま 金田の施しに従って水を飲んで思う
(夢では… 無い?)
クレターが驚いて金田を見る 金田が疑問して言う
「ん?…あれ?もう良いのか?」
クレターが言う
「何故…っ ここは…?一体?どうなって…?…ぐっ げほっ げほっ!」
金田が苦笑して言う
「まぁ 落ち着けって?」
ヴァッガスが言う
「さっきまで大騒ぎしていた当人が 良く言うぜ?」
金田が軽く笑って言う
「ははっ それは言わないでくれよ ヴァッガス?」
金田がクレターへ向いて言う
「アンタが シリウス様を助けてくれた様に シリウス様も アンタを助けてくれてたんだ あのプールの底でさ?」
金田がクレターへ水を飲ませる クレターが思う
(プールの底で…?…そう言う事か)
過去の記憶
リジルが笑んで言う
『永遠に 滅びる事は無い 不死身の肉体を持つ事となる …貴様は 永遠に蘇る』
クレターが自分の身体を見てから リジルを見上げる リジルが言う
『貴様の細胞が 1ミクロでも残る限り 創生プログラムが 貴様を補充する それが 貴様の細胞に与えた 私の力… 神の力だ!』
クレターが言う
『神の… 力…』
過去の記憶終了
金田が言う
「シリウス様が アンタの細胞をプールの底へ集めて “祝日の光” から アンタを守った… とかって?俺には良く分からないけど あのプールにある大量の水の下なら 祝日の光り も届かない… とか?そんな話をしてたよ?」
ヴァッガスが呆れて言う
「いや… “祝日の光り” じゃなくて “粛清の光り” な?」
金田が呆気に取られてから苦笑して言う
「あ… ああ まぁ… そんな感じでさ?」
ヴァッガスが溜息を吐く 金田が言う
「で、そんな訳だから… あっ 水 無くなっちゃったな?えっと…」
ヴァッガスが水筒を差し出して言う
「ほらよ?」
金田が呆気に取られて言う
「え…?良いのか?ヴァッガス?」
ヴァッガスが顔を逸らして言う
「ふんっ!本当は やりたかねぇけど シリウス様が助けた奴だ だったら… 協力するに決まってんだろ?」
金田が微笑して言う
「ヴァッガスは シリウス様の事 大好きだな?」
ヴァッガスが衝撃を受け 頬を染めて言う
「シ、シリウス様はっ 俺らの神様だっ だ、大好きに決まってんだろっ!?」
金田が言う
「俺もシリウス様の事は 大好きだぜ?すげぇ良い神様だと思ってる!」
ヴァッガスが言う
「そ、そうだぜっ …分かってりゃ 良いんだ …ん!」
ヴァッガスが水筒を突き出す 金田が水筒を受け取って言う
「ああ!有難う!」
ヴァッガスが顔を逸らして言う
「あ~あ~!折角 刺激のねぇ 最高のエリクサーを手に入れたのによ?喜び損だったぜ?」
金田が言う
「大丈夫だって!後でちゃんと プールの底で 補充して返すからさ?」
ヴァッガスが呆気に取られて言う
「えっ!?マジかよ?」
金田がクレターへ水を飲ませている
バッツスクロイツ父が検査機を手に言う
「数値はまだ 通常時の6倍… 必要時以外は退避して置くべきだと言った レベルだが」
バッツスクロイツが言う
「6倍じゃ まだまだ駄目だね?神様のお身体は ベリー繊細らしいから?少なくとも 通常の3倍が限界だって?」
バッツスクロイツ父が言う
「そうか… では 数値の減少を待ち 3倍レベルまで到達した時点で 第2プラントへ連絡を入れる… と言う形で良いだろうか?」
バッツスクロイツが言う
「うん そうして?連絡が来たら 俺から ベーネット様かもう一人の女王様~ …じゃなかったっ!王様にお願いして もう一度 こっちに来るから?」
バッツスクロイツ母が言う
「やはり第2プラントへ戻るの?バッツ?」
バッツスクロイツが苦笑して言う
「俺も 父さんや母さん… ファクトリーの皆が居る 故郷でもある こっちのプラントへ戻りたい気持ちはあるけど… まだ向こうで やらなきゃいけない事があるからね?それを終わらせたら… その時は ちゃんと戻って来るよ?」
バッツスクロイツ母がバッツスクロイツを抱きしめる バッツスクロイツが苦笑して言う
「ごめんね 母さん…」
バッツスクロイツ母が バッツスクロイツの顔を見て微笑して顔を左右に振って言う
「待ってるわ バッツ…」
バッツスクロイツ母が涙を流す バッツスクロイツが苦笑して もう一度ハグを交わす
床に3つの水筒が転がっている ヴァッガス、ガイ、ロドウの前で金田がクレターへ水を飲ませ終えて言う
「これで全部だけど… まだ足りないか?なら 早速…」
金田がプールへ視線を向ける クレターが言う
「もう 必要ない…」
金田が反応して クレターを見て言う
「本当か?遠慮しなくて良いんだぜ?すぐ汲んで来られるからさ?」
クレターが言う
「創生のプログラムには 時間の掛かる部位がある 後は時間が必要だ」
金田が言う
「そっか… なら今回はちゃんと順番通りにしてるって事か?…そうだよな?医学なんか まったく詳しくないけど それでも骨より内臓の回復の方が優先だよな?」
金田がクレターの力の入っていない腕を持ち上げて クレターの顔を見て言う
「痛みは 無いのか?」
クレターが言う
「ああ… 礼を言う…」
金田が呆気に取られた後 苦笑して言う
「次は無いと思うけど 万が一 またアンタが怪我する様な事があれば 俺が飛んで来て助けてやるからな?」
クレターが金田の顔を見る 金田が微笑して言う
「友達を助けるのは 当然だ!」
クレターが苦笑して言う
「…そうか」
金田が笑む
バッツスクロイツが言う
「ベーネット様の話だと 神様の力で このプラントの除染は 超特急で進められているらしいから そう時間は掛からないと思う 調査は出来るだけ頻繁にやって?通信は繋がるからさ?」
研究員が頷いて言う
「分かった 何なら毎日やろう エリーゼス博士のお話が確かなら 機械兵士の生体パーツに残された 人々の脳核を用いて 彼らを復元させる事が出来る可能性がある その為にも ここへ残されている機械兵士らから 生体パーツを回収しなければ」
バッツスクロイツが苦笑して言う
「生体パーツにされた脳核の中に どれほど過去の記憶が残っているのかは 分からないけどね あの機械兵士が 言語の違いを理解したと言うのなら 可能性はあるかもって… そのレベルの話だけど」
研究員が言う
「それでも 家族を奪われた者たちからすれば 藁にもすがる思いなんだよ… バッツには 分からないか?」
バッツスクロイツが言う
「分かるよ 俺だって… 一度は全てを失ったんだって 思ったんだから」
バッツスクロイツが両親を見る バッツスクロイツ父と母が周囲を見渡し話し合っている バッツスクロイツが微笑する 研究員が言う
「そう言う事だ …あの人工生体パーツ野郎の姿を変更するのには 手間がかかりそうだが 何とかするさ?」
研究員の言葉の間に 金田がプールへダイブする バッツスクロイツが一瞬 金田に気を取られていた状態から 視線を戻して疑問して言う
「え?姿を変更するって 何?ちょっち 今 聞いてなかった ソーリー?」
研究員が反応してから苦笑して言う
「ああ… まぁ 気にするな?」
バッツスクロイツが首を傾げて言う
「ワッツ?」
後方でヴァッガスがプールを覗き込んで言う
「カ、カネダー!?無理するんじゃねぇぞーっ!?お前が死んじまったらそれこそっ!?」
プールの中央に金田が息継ぎに顔を出して言う
「ぷはっ!ヴァッガスー!ほーら 1つ目~!」
金田がヴァッガスへ水筒を放る ヴァッガスが慌ててキャッチして言う
「お、おうっ!?」
金田が言う
「よーしっ 次 2つ目~!」
金田が潜る ヴァッガスが心配げに見下ろす その傍らで ロドウとガイが微笑していて ガイが視線を変えると その視線の先 クレターが寝かされて居て 皆のやり取りに微笑している ガイがその様子に微笑してプールへ視線を戻す 金田が浮き上がって来て言う
「ヴァッガスー!」
ヴァッガスが金田から放られた水筒をキャッチして言う
「おいっ カネダっ!もう十分だ!無理するなよーっ!?」
金田が笑って言う
「無理なんかしてないって!余裕余裕!久しぶりに泳げて楽しいよ!次3つ目行って来る!」
金田が潜る ヴァッガスが呆気に取られて言う
「た、楽しいって…?」
ヴァッガスの狼耳がしょげる ロドウが言う
「ヴァッガス 水 苦手だもんね~?」
ヴァッガスが慌てて言う
「そ、そう言う ロドウだってっ!?泳いだ事なんかねぇくせにっ!?」
ロドウが不思議そうに言う
「あれぇ?僕 泳げるようになったんだよぉ?シュレイザーは海の近くだから!たまに皆で泳ぎに行くんだ~?」
ヴァッガスが表情を引きつらせて言う
「ま、マジか…?」
金田が水面に顔を出し言う
「ヴァッガスー!」
ヴァッガスが慌てて言う
「お、おうっ!?」
ヴァッガスが水筒をキャッチする 金田が楽しそうに言う
「ヴァッガスも来いよ?気持ちいいぞー?」
ヴァッガスが慌てて言う
「い、行かねぇよっ!?足の届かねぇ 風呂になんかっ!?お、おっかねぇ…っ」
金田が気持ちよさそうに泳ぎながら戻って来る ヴァッガスが耳を下げて見守っている 金田が岸へ戻る バッツスクロイツがやって来て言う
「タ~マちん?いくら許容範囲だからってー 放射性物質を浴びまくっちゃダメだったら?第2プラントに戻ったら タマちんは特別除染するからねー?これ決定でー」
金田がプールから上がりながら言う
「特別除染って?第2プラントを出る前に言ってたみたいに ただ風呂に入って体を洗うだけじゃダメって事か?」
バッツスクロイツが検査装置で金田の身体を測定しながら言う
「駄目に決まってるじゃない?水面に残る汚染は 空気中よりも濃いんだから 数値だって… あ、あれ?低い…?」
金田が言う
「低いのか?なら 風呂だけで良いよな?」
バッツスクロイツが不満げに言う
「ま、まぁね?今の所…?壊れちゃったかなぁ?」
バッツスクロイツが首を傾げつつ検査装置を見てから言う
「それじゃ 父さんやファクトリーの皆を送る事と Bっちの状況も確認出来たから こっちの用事は済んだけど そっちも…?」
バッツスクロイツがクレターを見下ろす 金田が言う
「ああ!こっちも もう大丈夫だ!」
バッツスクロイツが苦笑して言う
「つい数時間前の 第2プラントを発つ直前までのタマちんとは まるで別人だねー?」
金田が疑問して言う
「え?そうか?」
ヴァッガスたちが苦笑して ヴァッガスが言う
「ああ!別人だ!…まぁ 以前の状態に 戻ったとも言うのかも知れねぇけどな?」
ロドウが言う
「元気になって良かった!クレター司令官さんの お陰だね?」
ロドウの言葉に 研究者たちが反応して顔を向ける バッツスクロイツ父がクレターの様子を見て沈黙する 研究者たちはあからさまに表情をしかめる バッツスクロイツが携帯端末を操作して言う
「さて!それじゃ 第2プラントの皆さん!及び タマちんとオレっちは 第2プラントへ戻りますよー!」
ロドウが言う
「それなら もう1人 第5プラントのクレター司令官さんも 一緒だよね!」
金田が考えている状態から バッツスクロイツ父を見て言う
「…あのさっ!ちょっと待ってもらえるか?」
バッツスクロイツが携帯端末の操作をしている手を止めて言う
「うん?良いけど?」
金田がバッツスクロイツ父の前へ行って言う
「あのっ!」
バッツスクロイツ父が反応して言う
「…ん?何かな?金田玉児君?」
バッツスクロイツが呆気に取られていた状態からヴァッガスたちへ問いの視線を向ける ヴァッガスが分からない様子をジェスチャーする 金田がバッツスクロイツ父と研究者たちを見てから クレターを見て 少し考えてからバッツスクロイツ父へ視線を戻して言う
「…アイツの事 お願い出来ませんか?」
バッツスクロイツとヴァッガスたちが驚く バッツスクロイツ父が僅かに驚き 後方で研究者たちがざわつく 金田が表情を落として言う
「本当は… 第2プラントへ連れて行こうと思ってたんですが 良く考えたら… 俺も第2プラントの人間じゃないし 故郷のプラントへ戻られる確証も無い… その上 俺にはまだ やらなくちゃいけない事があって… それも 結構危険な事で… だから その…」
金田がバッツスクロイツとバッツスクロイツ父を見てから言う
「皆 本当は故郷に居るのが 一番良いに決まってるっ …だったら その故郷に今居るアイツを 他のプラントへ連れて行くのは… やっぱり俺の勝手だと思ったんです だから…」
金田が視線を落として黙る バッツスクロイツ父が間を置いて言う
「…分かった 引き受けよう」
研究者たちが驚く 金田が表情を和らげて言う
「良かった!有難う御座います!」
バッツスクロイツ父が苦笑して言う
「礼には及ばない 金田君には我々はもちろん 世界を救って頂いた恩がある その君からの頼みだ」
金田が一瞬呆気に取られてから苦笑して言う
「せ、世界を だなんてっ!?それに 皆さんを助けたのは 俺なんかじゃなくて…っ!」
バッツスクロイツ父が軽く顔を左右に振ってから言う
「いや 先日も話した通り 君が居なければ この結果は得られなかった それは事実だ」
金田が頭をかいて言う
「は… はぁ…?」
バッツスクロイツがバッツスクロイツ父と金田の顔を交互に見て疑問して言う
「ワッツ?」
金田がクレターの肩を支えて身体を立ち上がらせる クレターが目を開く 金田がクレターへ向き微笑する クレターが金田の微笑に安堵する 金田が向きを変えて言う
「それじゃ お願いします」
クレターが疑問して顔を向け驚きビクッと体を震わせる 金田が疑問してクレターを見る バッツスクロイツ父が頷いてから研究者たちへ言う
「だれか手を貸してくれ 私の腕では とても支えきれん」
研究者たちが顔を見合わせ 若い研究者2人がやって来る 金田がクレターの様子に気付き微笑して言う
「大丈夫だ!バッツの親父さんとは ちゃんと話してあるから アンタの事… 助けてくれるよ?」
クレターは沈黙している 金田が疑問するが苦笑して言う
「元気でな?」
若い研究者2人がクレターの両肩を支えて受け取る 金田が一歩下がり苦笑してから バッツスクロイツたちの下へ向かう バッツスクロイツが携帯端末を操作して言う
「プラント転送プログラム実行!」
バッツスクロイツたちの周りに移動プログラムが発生する 研究者たちが別れの挨拶を口々に言う
「バッツー!また来いよー!」 「早く戻って来なさい!?エリーゼス博士も奥様も待ってるんだから!」
バッツスクロイツが笑って言う
「数値の減少を確認したら また来るって!それじゃ!シーユー レイター!」
研究者たちが笑って手を振る 金田がクレターを見て微笑する クレターが金田を見て苦笑する バッツスクロイツと皆が転送されて消える
To be スプリンターバスパラード(別柵、金田玉児 主人公作品)
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