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1-1 総力戦
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【 アバロン城 城門前 】
ヘクターが城から出て来て言う
「バーネット、ヴィクトール バーネットの父ちゃんが急いでローレシアに来いってよ?」
バーネットが振り返って言う
「あぁ?ローレシアへだぁ?」
遅れてやって来たザッツロードたちが 前方の状態に衝撃を受け ザッツロードが苦笑しながら言う
「えーっと… ローレシアにある旧世界との転送装置で 僕たちを旧世界へ送るそうです …餌として」
ザッツロードの言葉の途中で リーザロッテが自分の隣で人知れず怒りを押し殺しているレリアンに気付き小声で言う
「レリアン?ヴィクトール陛下は… ああ言うご趣味がお有りでして?」
レリアンが怒りを押し殺して言う
「いえっ あれはガルバディアの方のご趣味ですっ ヴィクトール陛下はお優しい方ですので バーネット殿のご趣味に付き合っていらっしゃるだけですっ!」
バーネットが衝撃を受ける ルーゼックが言う
「貴様らの趣味が何であろうが構わぬが 我らは取り急ぎローレシア経由で旧世界へ向かわねばならんのだ でなくば、シリウス元国王がバーネット1世に何か致し 更には そのバーネット1世の鞭に 我らが叩かれる事へとなり兼ねぬ」
キルビーグが苦笑して言う
「あのバーネット1世が悲鳴を上げるほどの事とは 一体どの様な事を致されるのかと 想像も付かぬ恐ろしい事を考えておったのだが… どうやら違う方向に想像の付かぬ事であったのやも知れぬな?」
ソニヤが疑問して言う
「でも、ヴィクトール陛下なら分かるけど あのバーネット1世様が鞭に巻かれて踏まれる程度で 悲鳴を上げたりするのかな?」
ザッツロードとヴィクトールが衝撃を受け苦笑してヴィクトールが言う
「あれ?何で僕だと分かるんだろ?おかしいなぁ…?確か、君たちの夢の世界に居た僕は アバロン帝国の皇帝にまでなっていたって聞いたけど…?」
セーリアが苦笑して言う
「え、ええ…」
ラナが呆れて言う
「まぁ、あの夢の世界でも 泣き虫ヴィクトールって言われてたものね…」
ヴィクトールが気付いて言う
「ああ!それは現実世界でも共通だよ?えへっ」
ヴィクトールが照れる ラナとセーリアが呆れの汗をながして ラナが言う
「気に入ってるんだ…」
バーネットが腕組みをして疑問して言う
「あのクソ親父が悲鳴を上げるだぁ?あの親父は どんなに鞭でひっ叩かれようがぁ 剣で刺され様が きっと悲鳴なんざ ひとっ声も上げやがらねぇと思うけどなぁ?」
ヴェルアロンスライツァーが言う
「では、その確認は 次の時にでもヴィクトール12世殿へ致せば良いだろう そうでなければ 我々が目の当たりに確認する事となってしまう」
ロキが言う
「…俺たちが目の当たりに確認するのはどうでも良いが その後に 俺たちへ被害が拡大するのだろう それは防ぎたい」
ヴィクトールが言う
「うん、僕もバーネット以外に虐められるのはちょっと嫌かな?バーネット1世様の鞭はバーネットより強烈だって言うし」
バーネットが衝撃を受けて叫ぶ
「だからっ!一言多いってぇえんだ!てめぇえはぁあ!」
ヴィクトールが笑顔を見せる ヘクターが言う
「じゃぁ 急いで行こうぜ?俺もバーネット1世様の鞭には叩かれたくねーからよ?」
皆が頷きアバロン城を出て行く リーザロッテたちの姿を見たドラゴンたちが顔を上げる リーザロッテが言う
「それでは、私たちは 新世界の勇者として 貴方方が旧世界へ手を出している間 この新世界を立派に守り抜いて差し上げるわ」
ヘクターが振り返り疑問して言う
「あ?新世界の勇者として?」
リーザロッテが言う
「ええ!シリウス元国王が指差した範囲に 私たちは入って居なかったのでしてよ!やっぱり私たちは この新世界でこそ!本物の勇者としての力を発揮するのでしてよ!」
リーザロッテが意気揚々と腰に手を当てて立つ デス1stが苦笑してヴィクトールを見る ヴィクトールが疑問する ヘクターが言う
「ああ… 何だか分からねぇけど まぁ良いや それじゃ こっちの防衛は頼むぜ 新世界の勇者様!」
リーザロッテが言う
「ええ!任せなさい!」
ヘクターたちが移動魔法陣へ向かう リーザロッテたちがドラゴンへ向かう
大会議室
ヴィクトール14世が言う
「彼らが旧世界へ行っている間 残った我々でこの新世界を守る…のですよね?」
バーネット1世が言う
『ああ、元の予定じゃぁ 新世界に現存する機械兵どもを 全員で一掃して その間に旧世界で使うメンツを決めてやろうってぇ話だったんだが 旧ローレシア帝国に留まってやがる 2代目ローレシアの勇者どもから これ以上は待てねぇってよ 泣き言言って来やがったから 仕方ねぇ』
ヴィクトール12世が言う
『うむ、少々危険な作戦になってしまったが シリウス殿が旧世界へ同行して頂けるのなら 夢の世界で力をつけた彼らだけでも 何とか戦力は足りるのだろう むしろ、新世界の防衛の方が 大変になってしまったな?』
ラインツが言う
『俺らが旧世界のガルバディアで シリウスBと戦ってる間に 旧世界からまた機械兵が送り込まれる可能性もあるよな?』
シリウスが言う
『そうじゃろうな?新世界の勢力が旧世界へ送り込まれたと分かれば 同時に奴らにとっても新世界を潰す好機じゃ』
バーネット1世が周囲にプログラムを現しつつ言う
『ガルバディアの騎士どもに ガルバディア、アバロン、シュレイザー それから このソルベキアを守らせる ローレシア、ローゼントは魔法剣士部隊で問題ねぇ スプローニもラグヴェルスがハリッグと話し合ってやがるから きっと何とかなりやがるだろう 残るは…』
ヴィクトール14世が言う
「デネシアはローゼントかアバロンから剣士をお借り出来れば デネシアの魔力者と共に」
ヴィクトール14世がバーネット1世を見た後レクターへ向く レクターがヴィクトール14世の視線にすまなそうに言う
「アバロンはソルベキアに兵を出しちまうんだ アバロンの防衛もやるから デネシアの応援はちょっと厳しいんじゃねーかと思う 多分 傭兵隊長のオライオンも出せねーと言う そんな気がする」
ヴィクトール14世が一瞬驚いた後困って言う
「え?…そうですか、では 何とかローゼントの剣士を」
ヴィクトール12世が困った様子で言う
『ローゼントは機械兵がもっとも送られて来るであろうソルベキアから程近い国 それに引き換えデネシアは 恐らくもっとも機械兵の被害が少なく済むであろう国だ そこへローゼントが兵を出してくれるとは… 少々難しいな』
ヴィクトール14世が一瞬呆気に取られた後 困って言う
「で、では… どうしよう…」
バーネット1世が微笑して言う
『はっはー 何寝ぼけてやがるんだよ?デネシアは竜族の国じゃぁねぇか?いざとなりゃ 竜族どもをドラゴンにして 大暴れさせりゃぁ新世界侵略のおまけ みてぇに襲われやがるデネシアの一つ位ぇ 守れやがるだろぉ?』
ヴィクトール14世が困って言う
「それが、そうも行かないのです 竜族たちは確かに強い力を持っていますが 元々彼らは争いを好まない心優しい者たち いざ機械兵を前にすると 殆どの者が怯えて逃げ出してしまうのです 私はその彼らに共存する国を守るためとは言え 戦えと命ずる事は… 何とか各国の傭兵を今から集めるしか」
バーネット1世が表情を顰めて言う
『各国の傭兵ったってなぁ…?今は何処の傭兵だって』
ヴィクトール12世が気付き言う
『うむ、では ヴィクトール14世 お前はベネテクトへ行くと良いだろう』
バーネット1世が顔を向ける ヴィクトール12世が続ける
『この大陸の多くの傭兵は ベネテクトに雇われている ベネテクトの王ベーネット殿は 昨日王位継承を受けたばかりではあるが 実際は長きに渡り眠りに着いていた バーネット2世に代わり 実質ベネテクトを治めていた者 そして、いずれはお前の相棒となる予定である者だ 心配は要らぬ 仲良くやれるだろう』
ヴィクトール14世が衝撃を受け視線を逸らして言う
「ベ、ベーネット殿 ですか…」
バーネット1世が疑問して言う
『あぁ?何だよ?てめぇはベーネットとは会った事もねぇくせに 俺の孫に当たるベーネットの事が… まさか 気に入らねぇとでも言いやがるのかぁ?あぁああ!?』
バーネット1世が鞭を振るう ヴィクトール14世が焦って怯えて言う
「い、いいいいえっ!滅相もございませんっ!」
バーネット1世が顔を近づけて問う
『じゃぁ何だぁ?そう言やぁ てめぇは昔っから 何だかんだ理由を付けやがっては ベーネットとの面会を断ってやがったよなぁ?』
ヴィクトール14世が怯えつつ言う
「そ、それは…っ」
バーネット1世が凄んで言う
『それはっ!?』
ヴィクトール14世が一瞬間を置いた後泣きながら叫ぶ
「だって バーネット様たちが 怖いんだもんっ!僕も 飼い猫とか野良猫とか呼ばれて 『てめぇええ!』とか『この野郎ぉおお!』とか言われて 鞭で叩かれるのかと思うと 恐ろしくて悲しくて 一晩中涙が止まらなくてーっ!」
バーネット1世が呆気に取られた後コケる ヴィクトール12世が苦笑する ベーネットが身を隠していた扉から言う
「あっはは、やはり その様な事だったのですね?良かった 安心しました」
ベーネットがヴィクトール14世の近くへ来て優しく微笑する ヴィクトール14世が呆気に取られてから疑問して言う
「…君は?」
ベーネットが微笑して言う
「私はベネテクトの王 ベーネット・ベネテクトです お初にお目に掛かります ヴィクトール14世殿」
ヴィクトール14世が衝撃を受け 怯えつつ疑問して言う
「き、君… いや、貴方が…っ?」
ベーネットが苦笑して言う
「はい、 “私が“ です ご安心下さい 私は父上や祖父上の様に 他者を蔑む様な言葉を使ったり 勿論、鞭を振るい上げたりなどは致しません 割と有名な話にはなっていたのですが どうやら肝心の貴方が居る デネシア国までは伝わっていなかったのですね」
ヴィクトール14世が呆気に取られる バーネット1世が言う
『ハッ!俺としちゃぁ気に入らねぇがなぁ?言葉だの行動だので信用が得られねぇだなんて そんな軟弱なもんで相棒になんざなれやしねぇぜ?』
ベーネットが困った様子で言う
「私としては 幼い頃から自分の父上や祖父上が脅されている姿を見ていたと言う ヴィクトール14世殿の心情は 理解出来るつもりです」
バーネット1世がヴィクトール14世へ向いて言う
『あぁ?俺がいつ てめぇの前で こいつを脅したってぇえんだ?』
バーネット1世がヴィクトール12世の襟首を掴んで引き込む ヴィクトール12世が苦笑する ヴィクトール14世が怯える ベーネットが苦笑する
イシュラーンが言う
「世界を救う為 各国が力を合わせる か… 長きに渡った国同士の争いは休戦だな 今やローレシアもアバロンも 皆、同じ この新世界に住む仲間と言う訳だ」
ラインツが言う
『ああ!俺とシリウス、それからあいつらは 必ず旧ローレシア帝国の奴らを助けるからよ!その間 そっちの新世界の防衛は頼むぜ!?』
ローゼックが言う
「旧ローレシア帝国の民を救い出すのに 貴様の力をかりるとあれば 残る我らがこの新世界のアバロンを守るのに手を貸してやらぬ訳にもいくまい そして、貴様と共に 他国の戦士らも同行するのだ これでアバロンだけではなく その他の国の面倒をも見てやる理由となろう 貴様らは新世界については案ずる事無く 貴様らの任務に励むが良い」
バーネット1世が言う
『ハッ!他国の心配をしやがる前に てめぇらはまず新世界のローレシアを守る事を考えやがれ その場所は旧世界の連中が戻る先でもありやがるんだ 万が一にもその場所がぶっ潰されるなんて事になりゃ シリウスに何されるなんざ話じゃ済まねぇ …まぁ、戦力が足りねぇんだったら 俺らが手を貸してやっても良いぜぇ?てめぇが土下座して来やがればなぁ?ローゼック?』
ローゼックが衝撃を受け怒って叫ぶ
「黙れ バーネット1世っ!誰が 引きっ篭もりソルベキア国王の貴様に 土下座などしてくれるかっ!貴様こそ 制圧したソルベキア城から出られぬ今 泣いて頼むのであれば 我ら魔法剣士部隊が 助け出しに向かってくれるわっ!」
バーネット1世が衝撃を受け 怒って叫ぶ
『なぁっ!?る、るせぇええ!誰がてめぇえに土下座なんざしてやるかぁあ!ついでに 例え食い物に困ろうが てめぇえに泣きっツラなんざ 見せやがって堪るかぁああ!』
ヴィクトール12世の腹の虫が鳴く バーネット1世が衝撃を受け怒りの視線を向ける ヴィクトール12世が照れて言う
『はははっ すまんなバーネット 昨日から何も食べておらぬもので 実は先ほど アバロンとローレシアに 食糧支援要請を申し込んでしまった』
バーネット1世が怒って叫ぶ
『なにぃい!?てめぇええ!この低燃費ヴィクトールがぁああ!てめぇえには 意地とプライドはねぇえのかぁああ!?』
ヴィクトール12世が泣きながら言う
『しかし、バーネット?我らアバロンの民は 支えとなる者と食料を失うと 力を失ってしまうのだよバーネット 意地とプライドでは空腹は満たされないからな?それに私は ソルベキア城に引き篭もるのは もう少し後の方が良いのではないかと言ったのに バーネット、君が相変わらず強引だから…』
バーネット1世が怒って言う
『だぁあ!てめぇえ!この初代泣き虫ヴィクトール!人前で泣くんじゃねぇえよ!でもって 何でアバロンだけじゃなくローレシアにまで 食料支援を頼んでやがるんだぁ!?馬鹿野郎ぉおお!てめぇえは そんなに あのローレシアの不味い飯を食いてぇえのかぁあ!?』
イシュラーンとローゼックが衝撃を受け イシュラーンが苦笑し ローゼックが怒りを押し殺し笑んで言う
「フッ、ならば ローレシアからの食糧搬入魔力者どもには バーネット1世はローレシアの料理を口にすると 5日の後に命を失うので 与えぬようにと伝えておこう 聞いた話では 対人移動魔法を使える者がおらぬ アバロンの食料搬入部隊は 今のソルベキアへは近づけぬそうだがな?」
バーネット1世が衝撃を受け怒りを押し殺す イシュラーンとヴィクトール12世が苦笑する
【 ソルベキア国 近郊 】
オライオンがソルベキア城を見上げ溜息を吐いて言う
「あーぁ… ソルベキア城は目前なのに ヴィクトール12世様やバーネット1世様を助け出せねーなんて やっぱ俺も 夢の世界に送ってもらうべきだったよなぁ?」
シュライツが不満そうに奇声を上げ顔を横に振る オライオンが気付き微笑して言う
「ん?…まぁそうだな?俺まで眠っちまってたら 傭兵隊の隊長がレクターになっちまう所だったもんな?アバロン最強の傭兵隊が あんなに間抜けた隊長じゃ」
シュライツが気付き衝撃を受け オライオンを呼ぼうとしているが オライオンは気付かず続ける
「親父が目を覚ます前に アバロンがぶっ潰れちまう所だったよなー?やっぱ 俺はこっちの世界でアバロンを守ってて正解だっ た…?」
オライオンがシュライツへ向くと レクターがホログラムで笑顔で立っている オライオンが衝撃を受ける レクターが笑顔のまま言う
『ああ!アバロン最強の傭兵隊が 私の様に間抜けた隊長では アバロンがぶっ潰れちまう所だったのだ!だから お前は やっぱり現実世界に残って正解だった!そして もうすぐ機械兵殲滅作戦が決行される お前たちも早くアバロンへ戻って…』
オライオンが衝撃を受け怒って言う
「その前に!あんたは あんたの弟の息子である俺に 馬鹿にされた事へ対して怒らねーのかよ!?あんたそれでも 喧嘩っ早いアバロンの民か!?」
レクターが疑問し考えた後ひらめいて言う
『おお!そうか!機械兵の多いソルベキアへの援軍は アバロン最強の傭兵隊を送ると良い!だから 我らアバロン傭兵隊隊長であるオライオンは 先行してソルベキアへ向かっていたのだな!?そんな事にも気付けねー私は やっぱり間抜け大剣使いなのだ!』
オライオンが衝撃を受け怒って言う
「あっ!?いや、俺は… って そうじゃなくって だからっ!その前に!」
レクターが喜んで言う
『では!私の弟の息子であるオライオンの部下である私は 傭兵隊副隊長として 隊員を隊長の元へ送るのだ!私も副隊長として たまには隊員へ命令が出来て嬉しい!だが しかし、彼らは私が命令するよりも早く オライオン隊長の居場所を確認して 向かってしまった!私はそれを伝えようと思って連絡したのだった そんな気がする!』
オライオンが衝撃を受け言う
「あぁあ!?傭兵隊の皆がもうアバロンを出ちまったのかよ!?そう言う事は早く言えっていつも言ってるじゃねーか!間抜け大剣使いのレクター副隊長!」
レクターが照れて頭を掻く オライオンがシュライツへ向かって言う
「シュライツ!傭兵隊の皆が到着するまでに ソルベキア城へ向かえるルートを確認しておくぜ!?なるべく機械兵との戦闘を回避して まずはヴィクトール12世様へ接触しねーと!」
シュライツが一度レクターへ顔を向けた後 喜んで奇声を発する オライオンが走って行く レクターのホログラムがそれを確認した後微笑し消える
【 アバロン城 城門前 】
ヴィクトール14世とベーネットが話ながら歩いて来る ヴィクトール14世が言う
「しかし、驚きました あのバーネット様方の3代目となる貴方が こんなに温厚な方であったなんて」
ベーネットが軽く笑って言う
「あっはは 父や祖父にも良く言われます 『てめぇみてぇな甘ったりぃ野郎じゃぁ いつまで経ってもベネテクトの王位は譲れねぇ』 と?その様な理由で王位が譲れないだなんて それこそベネテクト国の品格が疑われてしまうと私は思うのですが」
ヴィクトール14世が苦笑して言う
「デネシアも アバロンの民である私を王として迎えると言う事で 反対する者も居たのです しかし、今の乱世を乗り越えるのに 私の妹であるファニアでは やはり心配だと… もっともデネシアの王は 建国の時から 魔力を持たない剣士であったため その点では問題はないのですが」
ベーネットが言う
「デネシアの魔力者とベネテクトの戦士 この両国が手を組めば ローレシア、ローゼントの魔法剣士部隊と同様に戦えるはずです 両国の兵たちの親交を深め 我々もデネシアの王とベネテクトの王として友好条約を交わす これで両国は安心ですね?」
ヴィクトール14世が言う
「しかし、ベーネット殿 デネシアの魔力者はローレシアの魔力者ほど 魔力を持っては居ないのです 何でも夢の世界では バーネット2世様がガルバディアの力を使って デネシアの魔力者の力を増幅させたとか しかし、今回はそのバーネット2世様は旧世界へ向かわれる 残るはバーネット1世様… や、やはり こう言った時は デネシアの王である私が直々に バーネット1世様へ」
ヴィクトール14世が震える ベーネットが微笑んで言う
「ご安心を 魔力の増幅なら私が行えます 既にその手筈も済んでおりますので」
ヴィクトール14世が驚いて言う
「え!?」
ベーネットが微笑して言う
「夢の世界の進行は私も度々拝見していました そして、彼らが夢の世界から戻り 旧世界と戦う事になりましたら 勿論 私もこの戦いには参加するつもりでおりましたから その為に 考えられる案は一通り準備を済ませていたのです 今回はガルバディアの機械は使用出来ないので 祖父上に頼み ソルベキアのシステムを一部借り受けておきました 後は 貴方との接触だったのですが… 私は一度もお会いした事のない貴方に 何故か嫌われてしまっている様でしたので どう切り出そうかと ずっと様子を伺っていたのです」
ベーネットがヴィクトール14世へ顔を向け苦笑する ヴィクトール14世が慌てて言う
「あ、ああっ!いえっ!決してベーネット殿を嫌っていた訳ではっ!」
ベーネットが軽く笑って言う
「あっはは、いえ 悪い癖ですね 今のはわざとです すみません 父や祖父の言動を幼い頃から見ていたのは私も同じです ヴィクトール殿はいつも先代先々代同様に 自分も私に虐められるのかと 気が気でなかったのでしょう?フォローするのも難ですが、彼らとしては あれも愛情表現の一つなのです 多分 ヴィクトール12世様や13世様も それをご存知で居られるのだと思いますよ?」
ヴィクトール14世が視線を落として言う
「あ… はい、それは分かります 私も本人たちからその様に聞いておりましたから …しかし、私は ヴィクトールの名を継ぐ中でも 一番奥病なのだと思います 分かってはいても あの様な言葉や行動は… やっぱり怖くて」
ベーネットがヴィクトール14世を見た後 人知れずしょうがないと言った表情を見せてから言う
「大丈夫ですよ、ヴィクトール殿 その点については 私がこれからも努力致しますから」
ヴィクトール14世が疑問して言う
「え?これからも…努力?」
ベーネットが微笑みを向けて言う
「ええ、我々は デネシアの王とベネテクトの王であると共に 良き相棒となられる様 勤めましょう?両国の為にも」
ヴィクトール14世が疑問した後 微笑して言う
「はい!デネシアとベネテクト 両国の和平の為に!」
ベーネットが微笑する
ヴィクトール14世とベーネットが向かう先で リーザロッテたちが話をしている レリアンが通信を切って言う
「3大国家とガルバディアは 既に戦闘配備が整えられているらしいわ そうとなれば やはり私たちは」
リーザロッテが言う
「ええ!私たち 新世界の勇者は 小さき国々を機械兵の脅威から救って差し上げてよ!」
ロイが言う
「…それで 具体的にどの様な作戦にするのか 小さき国々とひとくぐりに言っても その数はカイッズを始め6ヶ国ある その全てを俺たちで守る事は不可能だ」
リーザロッテがロイの言葉に考えて言う
「確かにそうね 機械兵と同等に戦うには 最低でも2人一組にならなければいけないし」
レイトが言う
「小さき国々でありましても 必ずしも戦力が不十分であるとは言い切られません それに ソルベキアは バーネット1世殿とヴィクトール12世殿がおられますが」
ヴェインが言う
「ソルベキアは 機械兵の生産地だ ソルベキア城を制圧したと言っても 周囲に残る機械兵の数は何処よりも多い その2人とガルバディアの騎士を使ったとしても 更に旧世界から機械兵が送り込まれたりしては 戦力は足りないのではないだろうか?」
シャルロッテがモバイルPCを操作しながら言う
「ソルベキアはアバロンからも兵が送られる様です それから ローゼントにはローレシアと合同の魔法剣士部隊が配備されます」
レリアンが言う
「では、残るはデネシア、カイッズ、ベネテクト、ツヴァイザー、スプローニの5ヶ国ね」
ヴィクトール14世とベーネットが顔を見合わせ微笑してから ヴィクトール14世が言いながら近くへ来る
「デネシアとベネテクトはたった今 友好条約と共に合同戦略協定を組みました 両国の防衛はご安心下さい 母上」
リーザロッテたちが振り向き レリアンがヴィクトール14世と遅れて来たベーネットを見てから少し驚いて言う
「デネシアがベネテクトと…っ?」
ベーネットが微笑して言う
「はい、デネシアの魔力者の力を増幅し ベネテクトの部隊の力を高め 機械兵へ立ち向かいます これで戦力は ローレシア、ローゼントの魔法剣士部隊と ほぼ同じとなる計算です 2ヶ国に振り分けても 十分に足りますので どうぞ 小さき国々の勇者様方は その他の3ヶ国の応援をお考え下さい」
シャルロッテがモバイルPCを操作しながら気付いて言う
「あ、スプローニは ローゼントからの援軍と言う事で ローレシアの魔力者を迎える事になった様です これなら… 戦力は足りると思われます スプローニの防衛は可能です」
ロイが言う
「…では、最終的に 俺たちの力が必要なのは」
ヴェインが言う
「我らツヴァイザーはどうなっているのか?」
シャルロッテがモバイルPCを操作しながら言う
「ツヴァイザーからは 今大戦に関するデータは提示されていません 共にカイッズ… カイッズは 巨人族と共にカイッズの民たちが 祈りを始めたそうです」
レイト、ヴェイン、ロイが衝撃を受け レイトが言う
「カイッズの祈り… これはやはり あの夢の世界の再現では」
ロイが顔を逸らして言う
「…恐らく奴らは 聖母様の助けを求めているのだろう」
レイト、ヴェイン、ロイがリーザロッテを見る リーザロッテは気付かずに言う
「お父様は今大戦の作戦を どの様にお考えなのかしら… 仕方が無いわ 直接私が確認して もし足りていない様なら」
ヴェインが仲間たちへ言う
「俺たちの守る国は どうやらツヴァイザーとカイッズになりそうだ」
レイトが視線を逸らして言う
「ああ… 恐らく」
ロイが言う
「…結局、小さき国々の勇者とは 自国ツヴァイザーと 小さき国々の代表とも言える カイッズを守る勇者 …と言う事なのだな」
レイト、ヴェイン、ロイが息を吐く シャルロッテが苦笑する
【 ? 】
ローブに身を隠した男が 地に機械を埋め込んで言う
「…よし、ここなら」
男の通信機が着信する 男が通信に出て言う
「はい、こちら」
通信機のモニターに映るソニヤが慌てて小声で怒って言う
『ちょっとっ!名乗らなくて良いったら!』
男が一瞬焦って言う
「え?ああっ ごめん…っ」
通信機のソニヤが小声で怒って言う
『謝るのも駄目っ!』
男が困って言う
「あ、えっと… うん、難しいね はは…っ」
通信機のソニヤが周囲を確認してから怒って言う
『もうっ …それより!』
男が気を取り直して言う
「うん、こっちは大丈夫 そっちは?…え?デネシアの?… ……分かった 大丈夫 それなら心当たりがあるよ」
通信機のソニヤが一瞬驚いて言う
『え?本当に?…意外ね?』
男が微笑して言う
「ふふ、僕だって そう言う事ぐらいは心得ているんだよ 見直した?」
通信機のソニヤが一瞬呆気に取られた後 少し頬を染めて言う
『そう言うのは 成功させてから言ってくれるっ!?』
男が笑う ソニヤが言う
『それより急いで!もうすぐ出発よ!?』
男が頷いて言う
「うん!」
男が立ち上がり 通信を切る
【 アバロン国 城下町 】
ニーナが笑顔でローゼックと手を繋ぎ歩いている ローゼックが不満そうに言う
「レクターめ… 本当にニーナの命で あのガルバディアの騎士どもが動きよるのか?『そんな気がする』などと… 相変わらずのん気に言いおってからに…」
ニーナが笑顔で言う
「ローゼックお祖父ちゃんが無事で良かったのー ローレシアの反逆者とか 行方不明とか 色んなお話を聞いて 私はとっても心配していたのー」
ローゼックが気付きニーナへ向き微笑して言う
「そうか、イシュラーンの馬鹿者のお陰で お前に心配を掛けておったのだな では、後日ローレシアを訪れる際は 大福でもねだれば良かろう お前はあれを気に入っておっただろう?」
ニーナが首をかしげ疑問して言う
「ダイフク?」
ローゼックが苦笑して言う
「ああ、あれは夢の世界だけの話であったか 流石に数時間前に現実世界へ戻った私には 記憶の整理がつかなんだ 気にせず忘れよニーナ」
ニーナが間を置いてから笑顔で言う
「うん、気にしないけど 忘れないの!夢の世界の私が気に入った物なら きっと現実世界の私も気に入るの そんな気がするの!」
ローゼックが軽く笑って言う
「…はっはっ そうだな まぁ、あれは私も嫌いではあらなんだ ローレシアでも流行りよれば いつでも手に入る様なりよるわ お前が次にローレシアへ訪ねる時にでも 間に合わせられるよう 一言申して置いてやろう」
ニーナがローゼックへ向いて言う
「でも私は やっぱりローゼックお祖父ちゃんとも 前みたいにアバロンで暮らしたいの… ダメ?」
ローゼックが一瞬呆気に取られた後考えながら言う
「ふむ… 元々私がアバロンにやって来たのは ローレシアとアバロンの全面大戦を何とか出来なんだかとの 策を得る為であったのだが… 確かにアバロンの料理は美味い それに 今は可愛い孫が居りよる あの間抜け大剣使いの相手をするのも …まぁ 面白くもあらなんだ」
ニーナが嬉しそうに言う
「ローゼックお祖父ちゃんが居てくれれば お母さんも喜ぶの!お父さんもお兄ちゃんも ガルバディアの実験で忙しくって お母さんはちょっと寂しそうなの それに 私は やっぱり ローゼックお祖父ちゃんの事も大好きなの だから一緒に居たいのー」
ニーナが話の途中で立ち止まっていたローゼックへ抱き付く ローゼックが驚いた後 頬を染めつつ視線を逸らして言う
「ニ、ニーナ!…そ、そうだな では この戦いが落ち着きよったら」
ニーナが嬉しそうに言う
「本当!?」
ローゼックが困った様子で言う
「あ!?あー いや、その か、考えても良いやもしれぬ…」
ニーナが離れ笑顔で言う
「分かったの!それじゃ 早くローゼックお祖父ちゃんが考えられる様に 私も一杯お手伝いするのー!」
ニーナが嬉しそうに走って行く ローゼックが衝撃を受け慌てて追い駆けながら言う
「ああっ!待たぬかニーナ!物見えぬその目で 駆けたりなど致すな!それから 余り無理を致すではないぞ!?お前が担当しよるのは シュレイザー!最悪守れんでも構わぬ!国は滅ぼうとも 奴らは一目散に逃げよるからな!お前は自分の身を守る事を優先するのだぞ!?聞いて居るのかニーナ!?」
【 ローレシア城 城内 】
ヘクターたちがキルビーグを先頭に通路を行く
地下機械室
扉が開くと 室内に居たスファルツが椅子から立ち上がって言う
「お帰りなさいませ キルビーグ陛下、共にザッツロード王子」
キルビーグが言う
「スファルツ卿 ここに居る我らを皆 旧世界へ転送して貰いたいのだが」
スファルツが頷いて言う
「はい、既に手筈は整えてあります 私が皆様の足を引っ張るような事になっては …シリウス様は 喜んで私を虐められると 思われますので…」
スファルツが視線を逸らし怯える ザッツロードたちが衝撃を受け顔を見合わせ怯え ソニヤが言う
「あ、あのスファルツ卿すら怯える シリウス元国王様って一体」
ラナが言う
「…姿はさっき確認したけど 何だかもう 想像が付かないわね」
ザッツロードが言う
「でも、僕らはこれから そのシリウス元国王様の所へ行くんだ だからもう、想像出来ないものを考える必要も 無いんじゃないかな?」
ソニヤが怒って言う
「そのシリウス元国王様の所へ行くからこそっ 想像するんじゃないっ!」
スファルツが機械を操作し 転送装置を起動させて言う
「ささ、皆様 そちらの転送装置へと お入り下さい とっとと転送させて頂きます」
皆が衝撃を受け苦笑する 装置が高鳴る スファルツが操作を終え皆へ向いて言う
「こちらの世界は バーネット1世殿やイシュラーン様 ラグヴェルス国王やハリッグ元国王 その他国々の勇士が ガルバディアの騎士たちと共に守り抜くでしょう 私も微力ながら 可能な限りの力添えをさせて頂きますので どうかご安心を そして、皆様と旧ローレシア帝国の民が こちらへお戻りになるのを お待ちしております」
キルビーグが頷いて言う
「うむ、スファルツ卿 後を頼む」
スファルツが言う
「お任せ下さい キルビーグ陛下」
スファルツが敬礼した後 皆が転送される スファルツがモニターを確認してホッと息を吐く
【 旧世界 ローンルーズ国 地下転送室 】
転送装置が唸り ヘクターたちが転送されて来る 薄暗い部屋の中ヘクターたちが目を凝らして周囲を見る ラインツが僅かな光りを持って来て言う
「どうやら 無事来られたみてーだな?」
ヘクターが気付いて言う
「親父!?」
ラインツが近くまで来て言う
「よう、4年振りだな ヘクター 元気だったか?」
ヘクターがラインツの近くへ来て 苦笑して言う
「元気だったも何も 俺たちは皆 現実世界では眠りっぱなしで それこそ夢の世界を守ってたんだぜ?」
ラインツが苦笑し頭を掻きながら言う
「っははっ ああ、そーだったな!悪ぃ悪ぃ 俺らがやったんだったぜ!」
皆がラインツの近くへ来て ルーゼックが言う
「それより、ここは何処であるのか?地下の様だが?旧ローレシア帝国ではあらぬ様だ」
ラインツが言う
「ああ、ここは旧世界のローンルーズ国だ まぁ こんな所で説明するのも難だし シリウスも待ってる まずは上へ行こうぜ?」
皆が衝撃を受ける ラインツが先行する 皆が顔を見合わせた後ラインツの後に続く
【 新世界 上空 】
ドラゴンに乗って移動中のリーザロッテたち リーザロッテが困った表情で言う
「もうっ 小さき国々の勇者である私が 自国の防衛を行う事になってしまうだなんて これでは 勇者としての勤めが果たせなくってよ!?」
レリアンが微笑して言う
「そうは言っても、リーザ 自国の防衛が出来なければ 勇者は自国の民にとっての勇者にはならないわ 今回はツヴァイザーと共に カイッズを守ることが出来れば 少なくともその両国の勇者にはなるのだから それに励みましょう?」
リーザロッテが不満そうに言う
「それはそうかもしれないけど…」
レリアンが微笑む リーザロッテが疑問し微笑して言う
「レリアン?何か良い事でもあって?」
レリアンが呆気に取られて言う
「え?」
リーザロッテが言う
「折角アバロンへ行ったと言うのに オライオンや羽付きには会えなかったし 勇者の勤めもツヴァイザーとカイッズだけ 私としては 少し物足りない気分だけど その私の相棒であるレリアンは さっきからずっと機嫌が良さそうでしてよ?」
レリアンが呆気に取られた後軽く笑って言う
「ああ、違うのよ ちょっと 安心したものだから」
リーザロッテが疑問して言う
「安心?」
レリアンが少し考えた後微笑して言う
「ええ、やはり私も 小さき国々の勇者である前に 祖国の防衛が気になっていたみたい」
リーザロッテが気付いて言う
「ああ、ヴィクトール14世陛下の事でしてね?ベネテクトのベーネット陛下と同盟を結ばれたのでしてね!」
レリアンが微笑して言う
「ええ、非常事態とは言え それまで敵対国であった両国で 時間を掛けず合同戦略協定を結べたのは 奇跡的だわ」
リーザロッテが言う
「デネシアとベネテクトが仲が悪いのは知っていたけど ヴィクトール14世陛下とベーネット陛下だもの 両者の家系を考えたら 当然ではなくって?」
レリアンが言う
「それが、そうでもなかったのよ デネシアは代々ガルバディアの力を当てに ヴィクトールと言う名の血族を繋いではいたけれど ヴィクトール14世はガルバディアともベーネット殿とも接触を取らないで居たから 今戦いではデネシアはローレシアに守って頂くものと 誰しもが思っていたのよ もっとも私は 例えそうなろうとも あのバーネット様方からは ヴィクトール陛下共々 独立して下さるのを期待していたのだけど」
リーザロッテが言う
「あのヴィクトール陛下のご子息であるヴィクトール14世陛下が バーネット陛下の息子であるベーネット陛下と接触を取らずにいた?意外でしてよ?レリアンがそうしろと言い付けたのでして?」
レリアンが苦笑して言う
「いいえ、ヴィクトールが元々ベーネット殿を恐れていたのよ 父と祖父がバーネット様方に脅されているのを見てね あの子は 戦いの中に置いては大丈夫なのだけど 事、平常時は 誰よりも臆病だから でも、バーネット様方とは違い あのベーネット殿なら ヴィクトールが受け入れたのも分かる気がするわ 私も…」
リーザロッテがバーネットとベーネットの違いを考えてから 微笑して言う
「確かに、バーネット陛下とベーネット陛下は 随分と違っていらっしゃるわ もしかして、ベーネット陛下はヴィクトール14世陛下との接触を取る為に わざとあの言動を変えたのかしら?」
レリアンが呆気に取られて言う
「え…?」
リーザロッテが考える様子で言う
「だって、バーネット陛下のお父上であられるバーネット1世様も 姿も言動もそっくりでしてよ?それを踏まえたら 1王1王子のベネテクトで バーネット陛下と過ごされていたベーネット陛下は あの言動が改められる事は 無いのではなくって?」
レリアンが昔の事を思い出して言う
「そう言えば… 確かに私が初めてベーネット殿と …いえ、初めてお会いした時は 自らバーネット3世と名乗られたわ?それに バーネット殿に負けず劣らず 口の悪いお子だった… だから私は デネシアの王にする事も考えていたヴィクトールの相棒として 彼ではやはり良くないと考えていた筈…」
【 デネシア城 玉座の間 】
玉座の前に立つヴィクトール14世が言う
「我らデネシアは ベネテクトと友好条約、共に合同戦略協定を結んだ そして、まもなく始められる新世界旧世界との戦いに置いて 万が一 デネシア、ベネテクト そのどちらかに侵略が見受けられた際は 我らは共に力を集結しこれを討ち払う その時が訪れない事は何よりではあるが 訪れてから対策を行ったのでは間に合わない よって、これより デネシア魔力者部隊は 私と共にベネテクトへ向かい ベネテクト部隊との合同訓練を行う」
玉座の間に集まっていた デネシア部隊の魔力者たちがざわめく ベーネットがヴィクトール14世から一歩前へ進み出て微笑して言う
「我らベネテクト部隊は デネシア国の魔力者である貴方方の来国を予てから待ちわびています 貴方方が私やヴィクトール殿と共にベネテクトの地に降り立てば すぐにでも演習訓練は開始出来るでしょう どうかそのつもりでベネテクトへ向かって下さい 残念ながらゆっくり親睦を深める時間はありません 従って今回は 両国が共に戦う事で 共に生き残られるのだという その事を肝に銘じ 訓練へ励んで下さい」
ヴィクトール14世が呆気に取られた後苦笑して言う
「うん、そうだね 深い信頼を得られる時間は残念ながら取られそうも無い だから今は 自分たちが助かる為に共に戦う その思いで乗り切るしかないのかもしれない… しかし、皆 決して忘れないでくれ 我々は この新世界に共に生きる仲間だ!そして戦いの相手は この新世界を侵略しようと企む 旧世界からの機械兵 我らデネシアはベネテクトと共に戦い 共に勝利する!」
デネシア部隊の魔力者たちがざわつく 隊長たちが敬礼して言う
「「「我らの王 ヴィクトール陛下と 友好国ベネテクトの王 ベーネット様に 敬礼!」」」
デネシア部隊員らが慌てて敬礼する ヴィクトール14世が苦笑する
【 ソルベキア城 玉座の間 】
バーネット1世が怒りを押し殺している ヴィクトール12世が笑顔で食事を食べている バーネット1世が怒って叫ぶ
「ちくしょぉおおっ!ベーネットがぁあ!この空腹に耐える俺様へ デネシア部隊の魔力増幅を依頼しやがるたぁああ!あいつは どんな教育を受けてやがるんだぁああ!?」
ヴィクトール12世が苦笑して言う
「まぁ、そう言わずに 折角ベーネット殿が 君を慕って依頼して来たのだから 君も珍しくベーネット殿から通信を受け 嬉しそうにしていたではないか?ここは一つ 君も祖父らしい所を見せてやるべきだろう?バーネット?」
バーネットが衝撃を受け頬を染めつつ顔を逸らして言う
「だ、だったらぁあ まずは 配下に入れやがったデネシア部隊の一兵士でも使いやがって 俺様宛ての食料調達をしやがれってぇんだぁ この後 アバロン部隊の援護もしやがる事を考えりゃぁ たかが演習訓練の手伝いなんざ やってやれねぇえんだよぉ…」
バーネット1世が俯く 腹の虫が鳴く ヴィクトール12世が困った様子で言う
「デネシアの魔力者では 対人移動魔法は難しいだろう 元々デネシアはガルバディアの力に頼っていたからな… もっとも そのお陰で ガルバディアが国を閉ざしてからは すっかりローレシアから遅れを取ってしまったらしいが それより、バーネット 君もローレシアからの配給にありつくと良い 折角ローゼック殿が君に心を配り 味の薄いローレシアの料理に合うようにと 大量の塩も送ってくれたのだ」
バーネット1世が怒って指差して言う
「るせぇええ!何がバーネット1世殿へ心を込めてだぁああ!?大陸一海に近いデネシアの元国王が わざわざ切り出しの岩塩なんざ 送りやがってぇええ!この俺に自分で削って使いやがれって 言ってやがるんじゃねぇええかぁあ!?」
かなり大きな岩塩が立っている ヴィクトール12世が笑顔で言う
「まぁ、そう怒るなバーネット 岩塩は元は貴重で美味い塩だ まさか、これほど見事な大きさのものを贈ってくれるとは 私も驚いたが きっと味は良いのではないかな?…まぁ削るのは大変そうだが」
ヴィクトール12世が笑顔で食事を食べる バーネット1世が怒っている
【 旧世界 ローンルーズ国 】
地上へ出て来たヘクターたち 瓦礫の上に腰を下ろしていたシリウスが視線を向けて言う
「ふむ、やっと餌が届きおったか?」
皆が衝撃を受ける ラインツがシリウスの横へ行く 皆がシリウスの前に集まり バーネットが言う
「俺らが餌だってぇんなら この俺らをシリウスBへ謙譲して 旧ローレシア帝国の民を転送させる間の 時間稼ぎでもしやがろうってぇのかぁ?」
シリウスが言う
「そんなつまらぬ策など 我は作らぬ お前らをシリウスBの前へばら撒き 奴らがお前らに気を取られておる隙に 旧ローレシア帝国の民を転送させるのじゃ」
バーネットが衝撃を受け怒って言う
「同じじゃねぇえかぁああ!?」
シリウスが不満そうに言う
「同じではあらぬわ愚か者 この我が 謙譲致す事などあらぬ」
ラインツが言う
「まぁ 説明自体はそんな感じなんだが 実際にやるとなれば簡単じゃねーんだ 向うは機械兵だけじゃなくって 旧世界の民も従えてるからな あいつらは普通の俺らより素早くってよー?おまけに 新世界から連れ去られて来て使われてる ソイッド村の魔術師たちを傷つける訳にも行かねーし」
ヴェルアロンスライツァーが言う
「その旧世界の民とは?我らと同じく 新世界における後住民族とは違うのだろうか?」
シリウスが言う
「元は同じであったのじゃ が、シリウスBが 新世界の先住民族と同等に 旧世界の民を新たな種族へと 変えてしもうたらしいのじゃ」
ロキがロスラグを見た後言う
「…新世界の先住民族と同等に と言う事は 人でありながら宝玉の力を使い 動物の姿へ変われると言う事だろうか?」
ロスラグが言う
「それなら 前の夢の世界の バーネット陛下みたいッスね!」
バーネットが疑問する シリウスが言う
「宝玉で人の姿のプログラムを実行致す事 それは我が施した事じゃ それ以前にあやつが致した事は 新世界に置いて 動物に人の知能を与えた事 そして、ローレシア帝国から送られた情報を元に考えられる事として あやつが致した事は 旧世界の民へ動物の力を与えたのじゃろう」
ヘクターたちが驚き ソニヤが言う
「ちょっと待ってよ!?それじゃ!シリウスBは 以前に私たちの新世界へ 来ていたって事!?」
シリウスが疑問して言う
「なんじゃ?バーネットから聞いておらぬのか?今、新世界におる 我らは皆 元々はこの旧世界にのみ存在しておったのじゃ そして、奴は ガルバディアの隠されし王であったシリウスBは この旧世界を追い出され 当時は未開の地であった 新世界へと送られよった そこで、奴は 動物しか居らなかった新世界にて 己の寂しさを紛らわせる為に その動物たちへ 人と同等の知能を与えたのじゃ」
ラインツが言う
「その後になって、こっちの旧世界が悪魔力に滅ぼされちまったんだってよ それで、俺たちの先祖は 新世界へ移ったんだ けど、その新世界には普通の動物だけじゃなくって シリウスBに作られた 人と同等の知能を持った動物たちが先に居たんだ だから俺らの先祖たちは そいつらを先住民族って呼んだんだぜ」
ヘクターたちが呆気に取られた後 顔を見合わせデス1stが言う
「なるほど、先住民族はシリウスBに作られたものであったのか」
デス2ndが言う
「シリウスBは最初は新世界に送られ 後に旧世界の人々と共にシリウス国王が新世界へと移った故に 今度はシリウスBが この旧世界へ移されたと言う事か」
シリウスが言う
「我は新世界へ移った民らと共に 旧世界を救うための策を練るつもりであったのじゃ それまでの間は シリウスBがこの旧世界を守ってくれよるとな… じゃが、我らは時を掛け過ぎてしもうた もっと早くあの夢の世界を操るプログラムを 考え付いておれば良かったのやもしれぬが 今更悔いた所で意味はあらぬ」
バーネットが言う
「シリウスBは 新世界へ向かった俺らが手を拱いている間に こっちの旧世界に残った民へ 動物の力を移すなんて事を しちまいやがったってぇのか?」
シリウスが言う
「我らが新世界へ移った理由は あの機械兵どもの暴走であった 我らは新世界へ逃れる事で生き延びたが シリウスBは人の力では倒せぬ機械兵と戦う事を選んだ旧世界の民へ 動物の力を取り入れる事で 戦力の増加を図ったのじゃろう」
ヴィクトールが言う
「戦力の増加を図るなら 何も人の身へ変化をもたらすような事をやらなくても… あのヴァルキリーの様に 機械の鎧を作れば良かったのでは?」
シリウスが言う
「我とシリウスBは 同等の知能を有しては居るが 得意とする分野が異なるのじゃ 我は機械を得意と致すが 奴が得意と致すのは生態 奴が機械の鎧を作らぬ様に 我は奴の様に生物の身を変化させよる事は 得意とせぬのじゃ」
バーネットが不満そうに言う
「どんな理由がありやがろうとっ!人や動物の生態を 人の手で変化させやがるなんざ 気に入らねぇ!」
シリウスが苦笑して言う
「それはお前が我の子孫であるからじゃろう?その証拠に 奴は人の身を機械で覆う事に嫌悪しておるわ」
バーネットが呆気に取られる シリウスが言う
「それはそうと、今この世界には シリウスBの味方となった旧世界の民と 我らの救いを待ち続けておる旧ローレシア帝国の民 その2つの民が居るのじゃ 我らは一刻も早く旧ローレシア帝国の民を新世界へ助け出してやらねばならぬ」
ラインツが言う
「俺らが立てた作戦は お前らも含めて俺らが新世界からの反撃!…って感じでよ シリウスBたちの所へ正面から殴り込むんだ!その間に 旧ローレシア帝国から 新世界のローレシアへ 旧世界の民たちを転送させる!俺らは作戦が成功したら またここの転送装置を使って 新世界へ戻る ここの転送装置は少人数しか送れねーらしい」
シリウスが言う
「お前らがローレシアから転送されおった時点で 我から旧ローレシア帝国の者へ連絡を入れておいた 既に新世界へ向けての転送準備はなされておる筈じゃ 後は我らが事を起こすのを待つばかりである筈 さぁ、参るぞ?」
ラインツがシリウスを肩に乗せる ソニヤが焦って言う
「え!?い、いきなり乗り込むのっ!?」
ヘクターが言う
「ここまで来たんだ さっさと乗り込んじまおうぜ!?それで 乗り込んだ後は シリウスBをぶん殴れば良いのか?」
バーネットが言う
「相手は闇の王とは言え プログラマーだぜ 馬鹿力のてめぇらアバロンの民が 全力でぶん殴ったりしやがったら 色々聞き出す前にぶっ殺しちまう事になりやがるだろがぁ?ちったぁ手加減しやがれよ?」
ヘクターが呆気に取られた後苦笑して頭を掻く シリウスが言う
「その心配はあらぬ お前ら程度が全力で立ち向かった所で シリウスBには傷一つ付けられぬじゃろう」
ヘクターたちが呆気に取られヘクターとバーネットが思わず疑問して声を合わせる
「「あぁ?」」
デス2ndが言う
「シリウス元国王、貴方はヘクターの力を 夢の世界とは言え確認していた筈 他の戦士たちの力も同じく その言葉はそれらの情報を考慮した上での 言葉であろうか?」
シリウスが言う
「無論じゃ、お前たちは確かに夢の世界に置いて 他者に比べ強力な力を有しておった じゃが、己の力に溺れるではないぞ?お前たちが強くあったのは たかが夢の世界だけでの話 限られた空間で最強であったからと慢心しておっては 今作戦の主たる目くらましの役目すら果たせず やられよるじゃろう」
ヘクターたちが呆気に取られ数人が顔を見合わせる ラインツが苦笑して言う
「まぁ、そんなに脅かすなよ シリウス お前らもそんなに固くなるなって!シリウスは、お前らならこの作戦を成功させられるって思ったから ここに呼んだんだぜ?じゃなかったら 大切な民をむざむざ餌にするなんて 俺ら新世界の王であるシリウスが やる訳ねーだろ?」
皆が驚き呆気に取られる ヴィクトールが言う
「新世界の王?」
シリウスが言う
「ラインツ、余計な事は申すな 我は気を引き締めて向かえと 言っておるだけじゃ お前らの力なら 奴の気を引く程度の事は出来よる計算じゃ 分かったら、その辺りに固まりよれ 我がまとめて奴の城へ放り込んでやるわ」
シリウスが指差す ラインツが移動する ソニヤがシリウスの裸足を見て疑問して目で追う ラナがソニヤへ言う
「ほら、ぼーっとしない 早く行かないとシリウス様に怒られるでしょ」
ソニヤがハッとして言う
「あ、う、うん…」
ソニヤが慌てて皆の下へ行く シリウスがデス1stとデス2ndへ言う
「ファースト、セカンド 着地へのフォローはお前らが勝手にやりよれ 我は飛ばすだけで 後はローレシアへの連絡を行う」
デス1stとデス2ndが顔を見合わせた後言う
「「Yes ours Lord」」
ヘクターがデス1stとデス2ndを見る シリウスが目を閉じ周囲にプログラムの数字の羅列を表す 2人のデスが目を閉じシリウスのプログラムと同期させる 皆が緊張し気を引き締める ラインツが視線を強めると同時に皆が移動プログラムで飛んで行く
【 旧ガルバディア城 】
シリウスBが目を開けて言う
「来たか…」
シリウスBの横にモニターが現れ 文章を読んだシリウスBが言う
「作戦は順調 クックック… どうやら 私の戦略プログラムが勝った様だぞ?シリウス…」
【 新世界 ベネテクト城 玉座の間 】
ベーネットが驚いて言う
「何ですって!?ヴィクトール殿が行方不明!?」
デネシア部隊第2隊長が言う
「はい!デネシア、ベネテクト両部隊の合同演習を行っていた最中までは お姿の確認がされているのですが いつの間にか 誰の目にも確認されず」
ベーネットが言う
「いくら慣れない訓練に気を取られていたとは言え 諸公は300を超える人数で居たのだ ベネテクト部隊を加えれば約600 その誰の目にも映らず姿を消すなどは不可能に近い 本当に誰も目撃した者は居ないのか?」
第2隊長が言う
「はい!デネシア部隊は勿論 ベネテクト部隊の方にも確認を取りました しかし 誰の目にも 我らの演習を真剣に見守られていたヴィクトール陛下のお姿を最後に それ以上の情報は得られませんでした」
モフュルスが言う
「ベーネット陛下!すぐに 全ベネテクト部隊及びベネテクト国内の民へ連絡を!皆で手分けをして探しませんと!もしもの事があってはっ!」
第2隊長が言う
「我々もすぐに訓練を中止し ヴィクトール陛下の捜索に向かいます!」
第2隊長が敬礼し立ち去ろうとする ベーネットが言う
「待てっ!」
第2隊長が振り返る
【 ローレシア国 城下町 街中 】
ベーネットがローブで身を隠しつつ道を行く 周囲にねずみが道を示して数匹走り 1匹がベーネットの肩へ乗って来てチュウチュウと何か伝える様に鳴く ベーネットがそれを聞いた後微笑して言う
「分かりました ご協力感謝いたします チョッポクルス殿」
ねずみが衝撃を受け 不満そうにチュウチュウ鳴く ベーネットが苦笑して言う
「ああ、すみません 以後気を付けます それと、例の物は 既にシュレイザーへお届けさせました どうぞ皆さんで召し上がって下さい」
ねずみが気付き嬉しそうにチーズを想像して去ろうとして止まり 考えた後振り返ってベーネットを見上げて心配そうに見つめる ベーネットが疑問した後微笑して言う
「私なら大丈夫です それに、出来れば使いたくは無いですが 念の為、助っ人も用意しました …あぁ、この事は父上には 内緒にしておいて頂けますか?お礼は世界一美味しいとされる 某国のとろけるチーズをお届け致しますので」
ねずみが衝撃を受け とろけるチーズを想像しハートを飛ばす ハッとしてベーネットへ何か言う ベーネットが疑問してから微笑して言う
「え…?えぇっと… ちょっと分かりませんが 私は必ずヴィクトール殿をお助け致します ご心配なく 何と言っても彼は私の相棒ですから …どこぞのクソ野郎どもに とっ捕まったままでなんざ させておけねぇえからなぁ?」
ねずみが驚く ベーネットが目の前の店を見据え悪っぽく笑んで鞭を取り出す ねずみがベーネットと店を見て心配する
ベーネットが店の扉を蹴破り言う
「俺はベネテクトの王 バーネット3世だぁ この俺様の相棒をひっ捕らえやがった ローレシアかぶれのデネシア野郎は てめぇえらかぁ?」
店の中に居たならず者たちが怒って言う
「んだとぉ 誰がローレシアかぶれだぁあ!?俺たちは生まれも育ちも このローレシアだぜ!デネシアのモンじゃねぇえ!!」
ならず者たちが笑い言う
「ベネテクトの貧弱国王が 一人で乗り込んで来やがるなんて 馬鹿な野郎だぜ」
ならず者たちが言う
「無理もねぇ… 今 このローレシアは ローゼント以外の他国民の受け入れを止めちまってるからなぁ?ベネテクトの兵を大勢連れて来ようったって そうは行かねぇ てめぇもひっ捕らえれば 報酬は3倍だぜ!」
ベーネットが気付いて言う
「報酬だぁ?てめぇら… デネシアの反逆者じゃぁねぇってぇ事か」
ならず者たちが顔を見合わせた後笑って言う
「あははっ!聞いたか!?デネシアの反逆者だってよぉ?何の情報を掴んで来やがったんだかなぁ!?」
ならず者たちが笑い合い言う
「だが、丁度良いぜ 知らねぇなら 知らねぇまま… ひっ捕らえろーっ!!」
ならず者たちが一斉にベーネットへ襲い掛かる ベーネットが舌打ちをして言う
「チッ… 俺とした事がちょいと計算違いをしちまったらしい やっぱり ヴィクトール殿に気ぃなんざ使ってやがるからだぁ ったく… いつまで持つのか 今更心配になって来やがったぜ」
ベーネットが気を切り替え鞭を振り翳す
店の地下 隠し部屋
ヴィクトール14世が溜息を吐いて言う
「ああ… 僕は何て情けないんだろう 同じ手に引っ掛かって ならず者に捕まってしまうなんて… やっぱりまた 身代金目的に使われるのかなぁ」
ヴィクトール14世が俯く
【 ソルベキア城 玉座の間 】
バーネット1世が横を向いて叫ぶ
「あぁあ!?あの軟弱ヴィクトール14世が また 行方不明になりやがっただぁあ!?」
床に置かれた通信機のモフュルスが困った様子で言う
『はい、そうなのです それ故に 現在ベーネット陛下が 単身ローレシアへ乗り込んでおります』
ヴィクトール12世が表情を困らせて言う
「きっと14世はまた デネシアの王であるヴィクトール14世へ 民が助けを求めているなどと騙され 素直に付いて行ってしまったのであろう あの子は誰に似たのか 他人を信じ過ぎる所があるからなぁ」
バーネット1世が振り向いて言う
「そぉお言うてめぇえも同じだろぉがぁ?俺が初めてデネシアへてめぇえを貰いに行った時 丁度ごろつきどもなんざに 捕まってやがったじゃぁねぇかぁ?でもってぇ てめぇの貰い手であるベネテクトは その身代金を要求されやがったんだぜぇ?」
ヴィクトール12世が苦笑して言う
「そして君は 真っ向からそれを断り 代わりに真正面から ならず者たちへ立ち向かい 私を救出してくれたのだったな?バーネット?」
バーネット1世が怒って言う
「ハッ!当ったり前ぇえだぁ 誰が 野良猫の身代金なんざ 払ってやるもんかぁ んな金がありやがるんなら 俺はベネテクトの民にくれてやるぜぇ」
バーネット1世が顔の向きを変え 通信機に向かって言う
「おいっ!モフュルス!3世の奴ぁあ 死んでも ごろつきどもに金なんざ 払いやがってねぇえだろぉおなぁああ!?」
通信機のモフュルスが笑顔で言う
『勿論でございますバーネット陛下 我らの王バーネット3世陛下は 先代、先々代に続き 今回も順調に デネシアのならず者をひっ捕らえると仰せになり 張り切って向かわれました』
バーネット1世が満足そうに笑い正面を向いて言う
「はっはー なら良い 今回もあのフォルクレ一家の野郎を 逆にひっ捕らえて 賠償金をたらふく剥ぎ取ってやれ!あの賠償金で 俺らはいつもベネテクトの王冠を作ってやってるんだぁ 今回は高くて派手な奴を一発作って 見せ付けてやりゃぁ良いぜぇ」
バーネット1世が笑う ヴィクトール12世が苦笑して言う
「そう 毎回多額の賠償金を フォルクレ一家から巻き上げるから 次の世代でも同様の事件が起きるのではないかな?バーネット そろそろ その伝統も終わりにしてくれねば その度に我らヴィクトールの名を継ぐものが 幼少の頃から恐ろしい目に会わされるのだよ?あのならず者たちに捕らえられ脅される恐怖は 幼心に辛いものだ …もっとも その私を助けに来てくれた君の言動こそ 幼い私には何よりも恐ろしかったがなぁ?はっはっは」
バーネット1世が呆気に取られた後笑んで言う
「ハッ!こっちだって 幼心にごろつきどもへ1人で立ち向かうのは 恐ろしいもんだったぜぇ?それでも 俺の相棒になる奴が ひっ捕らえられてるんだってぇ 聞かされれりゃぁ 行かねぇ訳にもいかねぇだろぉ?」
バーネット1世がヴィクトール12世へ視線を向ける ヴィクトール12世が呆気に取られた後微笑んで言う
「ああ、あの一軒で君はマイクロトランスミッターを酷使してしまい 右足の神経を損傷してしまったのだったな ガルバディアのシステムを使用するための装置を 自身の身に逆利用する事で 一時的に突発的な速さを得られる とは言え その力は諸刃の剣だ …やはり私は 君たちにその様な使い方はして欲しくないと思う だが、あの時の事は今でも感謝しているよ バーネット」
ヴィクトール12世がバーネット1世へ微笑む バーネット1世がはっとして 頬を染めつつ慌てて視線を逸らして作業に戻って言う
「べ、別に感謝なんざ しやがらなくっても良いが… 一応、俺らベネテクト王家の奴としても その使い方をしてだって戦えるんだって事を実戦で知るのに 丁度良いと言うか… だなぁ?まぁ、てめぇの相棒を助けるぐれぇの事が無けりゃ やりたかねぇが… い、いや お、俺はっ つまり その… だっ!?い、痛てぇええ!!」
バーネット1世が岩塩を削っていた金槌で指を打ち 転げまわって痛がる ヴィクトール12世が衝撃を受け慌てて言う
「ああっ!バーネット!?大丈夫かっ!?よそ見をしてはいけない」
バーネット1世が痛みに耐える ヴィクトール12世が苦笑する 通信機のモフュルスがハッとして言う
『おや?しかし バーネット陛下 考えてみれば そのフォルクレ一家との毎世の一件は ベーネット陛下の代に関しましては 既に終えられているのでは ありませんでしたでしょうか?』
バーネット1世が気付き 打ち付けた指をくわえながら言う
「んあ…?ああ… そういやぁ そうじゃねぇか?んで、その時の3世の奴に すっかり怯えちまったヴィクトール14世の奴を 何とか誤魔化そうってぇえ事で バーネット3世がベーネットになっちまったんだぁ でもってぇ あの ベネテクトの王らしからねぇ 甘ったりぃ野郎を演じる羽目になりやがった訳だが」
ヴィクトール12世が苦笑して言う
「ああ、そう言えばそうであったな ヴィクトールはバーネット3世に助けられておきながら その時の余りの恐ろしさに失神し 自分が彼に助けられたと言う記憶さえも忘れてしまっていた しかし、ベーネット殿はアバロンでの再開の時は それを逆手に取り バーネット3世の事を忘れさせたままに 再接触を図っていたな?」
バーネット1世が岩塩の欠片を料理に入れ かき混ぜながら言う
「ふん… てぇ事は 今回は 何処の誰に 盗まれやがったんだぁ?あの野良猫14世がぁ」
【 ローレシア国 城下町 店内地下室 】
ならず者が壁に叩き付けられる ベーネットがならず者を締め上げて言う
「さぁ… そろそろ答えてもらいましょうかねぇえ?俺の相棒を何処へ隠しやがったのか… いい加減吐きやがらねぇと」
ベーネットが鞭を床に叩き付ける ならず者が目を瞑って言う
「い、言えねぇんだぁっ 頼む!助けてくれぇ…」
床に倒れているならず者たちが怯えて言う
「ど、どうなってるんだぁ?!何で!?目の前から 消えるみてぇに…」
「ベネテクトの王は すばしっこいとは聞いたが ありゃ 人の素早さを超えてやがる… 目で追えねぇだなんて 一体どうなって」
ベーネットがならず者に凄んで言う
「この建物の中に居るってぇえ事は分かってやがるんだぜぇ?どぉしても言えねぇってぇんなら…」
ベーネットが鞭を振り上げる
隠し部屋
ベーネットの居る部屋の隣 ヴィクトール14世が隣室の鞭の音と悲鳴に怯えている ヴィクトール14世が震えつつ鞭の音に強く目を閉じ言う
「何が起きてるのっ!?皆凄く恐れて 悲鳴が… あれは本当に 人が心から恐れている声 痛がっている声… 怖い… 怖いよぉっ」
ヴィクトール14世が目を閉じ耳を塞ぐ
店地下室
ベーネットが息を切らしつつ周囲を見渡して言う
「あぁ?どうなってやがる…?何で てめぇらは そこまで…」
ならず者たちが虫の息で倒れている ベーネットがならず者の1人を締め上げる ならず者が苦しそうに目を開いて言う
「俺たちは… ローレシアの…との約束を… 守りてぇんだ… 俺たちだって… この国の…」
ベーネットがならず者の目を見てから 一つ息を吐いて言う
「てめぇらには 詳しく話を聞く必要があるみてぇだな だが、その前に…」
ならず者が怯えきつく目を瞑る ベーネットが苦笑して言う
「その身を回復させろ …悪かったな てめぇらを ただのごろつきどもと 勘違いしちまってよ?」
ならず者が驚き目を開きベーネットを見る ベーネットが微笑し ならず者を静かに床へ下ろし通信機を取り出し言う
「モフュルス、制圧は終わったぜ ちょいと派手にやり過ぎちまったぁ 早いとこ保護してやってくれ それから こいつらには聞き出さなけりゃならねぇ事がありやがる フォルクレ一家や デネシアの者じゃねぇらしい」
通信機のモフュルスが言う
『分かりました バーネット3世陛下 イシュラーン様への交渉は無事終えておりますので これより5分後に店へ救護の者を送って頂けるよう 連絡致します』
ベーネットが言う
「ああ、後は頼むぜ 俺はヴィクトール殿を連れて とんずらすっからよぉ」
通信機のモフュルスが微笑して言う
『はい、畏まりました ベーネット陛下?』
ベーネットが呆気に取られてから苦笑して言う
「ああ、そうだった」
通信機のモフュルスが微笑んでから消える ベーネットが通信機をしまい 周囲を見渡して言う
「さて…」
ベーネットが一度目を閉じ 周囲にプログラムを発生させ目を開くと 瞳の色が赤くなっている
隠し部屋
ヴィクトール14世が目を閉じ耳を塞いで怯えている 壁が破壊され ビクッとして震える 足音が近付き ヴィクトール14世が恐る恐る目を開き 前方下 ベーネットの足元を見た後 その横の鞭に驚き怯え 恐る恐る視線を上げる 爆煙の中 ベーネットの金髪と赤い瞳を見て 幼い頃の記憶がフラッシュバックし ヴィクトール14世が怯え 悲鳴を上げる
「うわぁあああっ!」
ヴィクトール14世が一瞬間を置いて失神する ベーネットが驚き 倒れそうになったヴィクトール14世の身を慌てて抑えて言う
「ヴィクトール殿っ!?」
店の外
ベーネットが路地裏に身を潜め 店へ入って行くローレシア兵を確認して ホッと息を吐いて言う
「何とか間に合いましたね それにしても まさか ヴィクトール殿が私を見て失神してしまうとは 今回は返り血も浴びていなかったのに 私の何がそんなに恐ろしいのでしょう?」
ベーネットが振り返る 運び出したヴィクトール14世が壁を背に失神したまま居る ベーネットが溜息を付いた後 苦笑し ヴィクトール14世の肩を抱え運び歩き出す
ヴィクトール14世が意識を取り戻し目を開き ぼうっとベーネットのビッコを引ている右足を見た後 横顔を見る ベーネットが気付きヴィクトール14世の顔を見た後 苦笑して言う
「ヴィクトール殿、気付かれましたか 良かった」
ベーネットが立ち止まり一息吐く ヴィクトール14世が疑問して言う
「ベーネット…殿?」
ベーネットが微笑んで言う
「はい、ベーネットです ヴィクトール殿」
ヴィクトール14世がハッとして身を立て直して言う
「あ、あれっ!?何で!?君がっ!?僕はっ!?」
ベーネットが軽く笑って言う
「意識を取り戻して頂けて良かったです 何とか町の外まで運ぼうと思ったのですが 甲冑を着込まれた大剣使い様の身を運ぶのは 貧弱な私には少々骨でして」
ヴィクトール14世が驚いて言う
「あ!ああっ ご、ごめん!…え!?まさか ベーネット殿が僕を助けに!?」
ベーネットが微笑して言う
「はい、シュレイザーの知り合いたちにも力を借りましたが 何とか無事 貴方を救出致しました」
ヴィクトール14世が疑問して言う
「シュレイザーの?…そう言えば 昔、僕がさらわれた時に居場所を特定してくれたのも 確かシュレイザーの先住民族たち…」
ベーネットが軽く笑って言う
「ええ、彼らは物探しなどが得意らしいですよ 実は その特技を使って各国の密偵なども行っているのだとか それと、今回はローレシアの前王であられる イシュラーン殿にもお力添えを頂き 事態の収拾を図りました デネシアの王であられるヴィクトール殿が ならず者に誘拐されてしまったとあっては 少々…」
ヴィクトール14世が衝撃を受け慌てて言う
「ああっ!そ、そうだね!えっと… その、友好条約を交わしたとは言え その途端に貴方へ こんな迷惑を掛けてしまうだなんて… 本当に申し訳ない」
ヴィクトール14世が困った様子で恥じて頭を掻く ベーネットが一瞬間を置いた後微笑んで言う
「どうぞ、お気になさらず 我々は相棒同士ではありませんか?その私が 貴方を助けに向かうのは当然です」
ヴィクトール14世が呆気に取られベーネットを見る ベーネットが微笑んで見せる ヴィクトール14世が苦笑して言う
「はい、ありがとうございます ベーネット殿 しかし、その… どうお礼をしたら良いのか」
ベーネットが苦笑して言う
「ベーネットで結構ですよ?ヴィクトール殿」
ヴィクトール14世が一瞬呆気に取られた後微笑して言う
「え?ああ、それじゃ 僕の事もヴィクトールで良いです ベーネット」
ベーネットが軽く笑って言う
「あっはは ありがとうございます ヴィクトール では、それが今回のお礼と言う事で」
ヴィクトール14世が驚いて言う
「えぇえ!?い、いや そんな事では ベーネット!?」
ベーネットが笑って立ち去る ヴィクトール14世が慌てて追い駆ける
【 ローレシア城 玉座の間 】
伝達の兵が言う
「「ローゼック代理第二国王陛下の ご帰城です!」」
イシュラーンが顔を向ける ローゼックが玉座の間へ入って来る ローゼックが第二国王の玉座へ向かいながら言う
「城下で何やら騒ぎがあった様だが イシュラーン、貴様の耳には 入っておるのか?」
イシュラーンが微笑して言う
「ああ、その件なら既に終わらせてある 賊はこのローレシアの民であった 従って 遅い時間でもあった故に 詳しい話は明日にでも聞き出す事となるだろう」
ローゼックが玉座へ座り言う
「明日にでもと申しよってもな 明日には旧世界からの民が転送されて来よるのではあらぬか?賊から詳しい話などを聞いている暇も無かろう?今日の内に粗方の話を聞き出し 必要と有れば刑に処しておくべきだ …もっとも 今の世に ローレシアの民が自国内で行う事など 大したものでもあるまいが…」
イシュラーンが言う
「ふむ、そうは申しても 事は デネシアの王を誘拐したとの大事であるからな?粗方の話だけで 刑を決めてしまう訳にも行くまい?」
ローゼックが衝撃を受け叫ぶ
「なにぃいい!?デネシアの王だとっ!?つまりは ヴィクトール14世ではあらぬかっ!?あの 歴代の預かり猫が またさらわれおったのかっ!?」
イシュラーンが笑顔で言う
「しかも、今回は同世代の内に2度目であるからな?ベネテクトへの多額の賠償金と申す いつもの刑では少々柔らか過ぎるのではあらぬかとも… それに今回は 預かり猫ではなく デネシアの王位を得ておる状態でさらわれたのだ これは一応国家問題にもなりかねるだろう?まぁ、事を収めたベーネット殿が 大げさにしてくれるなと申しておったからな 事態の収拾に私が手を貸した事で ローレシアとベネテクトの国家問題は解消されておるだろう デネシアもまたしかりか?」
ローゼックが怒って言う
「であるからにしてっ!人懐っこいお調子者 などと申す 歴代のあの名を変えるべきなのであるっ!毎度毎度 軽い言葉に騙され さらわれて行きおってからにっ!」
イシュラーンが微笑して言う
「はっはっは まぁ、名は人を表すとも申すからな?では、この際… ドラントワーズ と申す名に改名してはどうだろうか?ローレシアの古き言葉で 信念を携えし者 と申す言葉であるが」
ローゼックが衝撃を受け 困惑して言う
「ドラントワーズ…であるか?その言葉は デネシアの言葉にて 何処にでも遊びに行く者 と申す言葉であるが」
イシュラーンが衝撃を受け苦笑して言う
「む… それはまずいな 今より増して誘拐されて… いや、むしろ 自ら向かってしまいそうだ」
ローゼックが考えて言う
「しかも、アバロンの言葉で考えれば 敵の手に落ちる者 と申す言葉である …もはや 身も蓋もあらなんだ」
イシュラーンが衝撃を受け笑って言う
「そうか うむ… 良い名を付けると申すのも なかなか難しいものであるな?はっはっは」
【 ガルバディア城 城内通路 】
通路の会談に腰かけていたレクターが顔を上げ疑問して言う
「ん?…私は今 ガルバディアに出張している …しかし そのガルバディアのシステムは今 旧世界へ出張しちまってるんだ だから 私が新世界の何処に居ようと ガルバディアのプログラムを 何となく見ちまう事もねー …のに 私は…」
レクターが立ち上がり 剣を引き抜いて言う
「何となく 身の危険を感じる …これはもしかしたら いつもヘクターが言っている アバロン式 何となくそんな気がする ってー精神なのかもしれねー だとしたら」
レクターが照れる 周りに居たガルバディアの騎士たちが疑問した後 レクターの前に行って言う
「ダメ!間抜け大剣使い ちゃんとしない それ ダメ!」
レクターが気付き微笑して言う
「ダメダメ1号にダメと言われちまった私は もうダメなのかもしれねー …とは言え、今は そう遊んでもいられねーみてーだ」
レクターが剣を向けて言う
「ガルバディア騎士団 コンバット オープン」
ガルバディアの騎士たちが戦闘態勢に入る ガルバディア城門が吹き飛び 機械兵らが突入して来る ガルバディアの騎士たちが飛び掛る レクターの瞳が赤く染まり 周囲にプログラムが発生する レクターの身がプログラムに覆われ レクターがガルバディアの騎士たちと同等のスピードで機械兵へ立ち向かう
【 旧世界 ガルバディア城 城門前 】
ヘクターたちが猛スピードで飛ばされて来る デス1stが一瞬皆の重力を無効化してデス2ndが皆の状態を保護する 無事皆が着地すると周囲に埋め尽くすように居た機械兵らが顔を上げ ヘクターたちを排除対象と定める シリウスが目を開き周囲にプログラムを現して言う
「まずは邪魔な機械兵どもを 殲滅致すのじゃ!」
ラインツが皆に先行し シリウスのプログラムを全身に受け 機械兵へ立ち向かい一撃で一体を倒す様子で次々倒して行く ヘクターが一瞬呆気に取られた後 嬉しそうに笑んで言う
「デス!俺らも負けてられねーぜ!」
ヘクターが大剣を引き抜いて駆け出す デス1stとデス2ndが顔を見合わせた後笑んで デス1stが支援プログラムを構築して デス2ndが強化プログラムを実行する 2人のデスのプログラムを受けたヘクターがラインツに負けじと機械兵をほぼ一撃で倒して行く ラインツとヘクターを見たヴィクトールが呆気に取られた後 剣でヘクターたちを示しバーネットへ向いて言う
「バーネット!僕もあの2人に 負けたくないよっ!」
バーネットが笑んで言う
「当ったり前ぇえだ!無理やり押し付けられちまったとは言え 現ガルバディア第一第二国王の力を 見せ付けてやれやぁああ!」
ヴィクトールが頷き剣を構える バーネットが目を閉じ周囲にプログラムを発生させる ヴィクトールが剣を掲げ 雷を受け取って振りかざす 多くの機械兵が雷に感電して倒れる ザッツロードが呆気に取られて言う
「すごい… 流石アバロンの大剣使いたち」
ルーゼックが怒って叫ぶ
「馬鹿者っ!貴様はそれでもローレシアの王子であるのかっ!?例え本心で思おうとも 他国の力を褒める言葉など そう易々と口に致すものではあらぬわっ!!」
キルビーグが苦笑して言う
「ああ、本当にアバロンの大剣使いは凄いものよなぁ?この戦いがあらぬまま 新世界で帝国争いなんぞしておっては 我らローレシアはあっけなく敗退しておっただろう はっはっは」
ルーゼックが衝撃を受け 涙目で怒ってキルビーグへ叫ぶ
「キルビーグっ!!」
キルビーグが微笑して言う
「しかし、夢の世界で力を得たのは何も彼らだけではあらぬ 我らローレシアも大きな力を得られた 彼らアバロンに負けぬ程の力をな?」
ルーゼックが呆気に取られた後笑んで言う
「そうであるっ!我らローレシアの魔法剣士の力 奴らへと見せ付けてくれるっ!」
キルビーグが支援魔法に続き魔法剣の魔法を与えつつ言う
「とは申すものの あまり無理を致すではないぞ?ルーゼック?」
ルーゼックが魔法剣を手に言う
「それは出来ぬ 一度剣を抜けば 後は全力で戦うのみぞっ!」
ルーゼックが機械兵へ向かって行く ザッツロードが続く キルビーグが苦笑して言う
「ああ、流石は 元アバロンの民であるな ルーゼック?本人も それ以前のローゼック殿も 知らされて居らぬそうだが… もっとも、これは我らローレシア王家が 隠し通すべき歴史であるのやも知れぬな?」
【 新世界 ソルベキア城 玉座の間 】
玉座に座るバーネット1世がゴーグルを付け 周囲にプログラムを表示させている バーネット1世が気付き微笑して言う
「はっはー 来やがったなぁ?」
ヴィクトール12世が言う
「ガルバディア城の防衛は レクター副隊長とガルバディアの騎士たちだけで 何とかなりそうなのか?バーネット」
バーネット1世がゴーグルを外し微笑して言う
「そう心配しやがるなヴィクトール あいつには元世界一のプログラマーだった ガルバディア第ニ王子の遺伝子プログラムが ぶち込まれてやがるんだぜぇ?普段はちょいとふざけて見せては居やがるが その実 全て計算づくだからなぁ?」
ヴィクトール12世が言う
「ガルバディアの第二王子か 道理で」
バーネット1世が続けて言う
「ああ、俺らがソルベキア城に篭城している事をネタに オライオンの奴をソルベキアへ先行させ それを傭兵隊員どもにそれとなく伝えて追わせやがった …おまけに傭兵隊員らがアバロンから出やがった途端に さも とっくに行っちまったみてぇに アバロン1、2番隊の隊長へそれを伝え ヘクター国王に忠誠を誓えてやがらねぇ 両部隊長を 上手く操りやがった… はっはー なかなか腹黒いアバロンの民じゃねぇかぁ?」
ヴィクトール12世が苦笑し申し訳無さそうに言う
「そう悪く言ってやらないでくれバーネット 彼にアバロンの管理を任せたのは この私だ 君から彼の力を聞いた私が ヘクター国王の補佐を彼に頼んだのだ ヘクターはラインツから王位を継承されたもの 彼やラインツに反感を持っていた1、2番隊隊長らを 同じアバロンの仲間と言う事で 疑う事が出来ずにおったからな もっとも あのレクターが ここまで上手く兵たちを動かしてくれるとは驚かされたが 本当の彼は ガルバディアの力を使わず ヘクターと共に一大剣使いとして 皆と笑い合って居たいのだと言っていたよ」
バーネット1世が言う
「レクターはアバロンの民であると共に ガルバディアの民だ 俺らと同じくガルバディアの力を有しちまった以上 どんなに望もうが 一庶民としてこの世界に生きる事なんざ許されねぇ… 俺らはこの世界と この世界に生きる民 全てを守る為に 生かされてやがるんだからなぁ?」
ヴィクトール12世が苦笑して言う
「バーネット… 例え君や君たちがガルバディアの民であっても 私は君と共に戦い君と共に生き残るよ 私は 君の相棒なのだからな?」
バーネット1世がヴィクトール12世を見て軽く笑って言う
「ハッ!当たっり前ぇだろ 何を今更言ってやがる?てめぇが居なけりゃ 誰が俺のプログラムを受け取って 戦いやがるんだよ?」
ヴィクトール12世が微笑し 笑顔で言う
「それで、そんな私の出番はまだだろうか バーネット?そろそろ私もアバロンの精神がうずき始めたよ 何しろ私は 勇猛なライオンという意味の名を持つ12代目のヴィクトールであるからな?」
バーネット1世が笑って言う
「はっはー!野良猫12世がぁ 久し振りの実戦で 情けねぇ姿を見せやがったら また首に鈴付けて 今度は一生檻に閉じ込めてやっからなぁ?精々格好付けやがって オライオン率いる傭兵隊を 城内まで引き連れて来やがれ!」
バーネット1世がゴーグルを装着し周囲にプログラムを表示させる ヴィクトール12世が微笑して言う
「はっはっは そんな事もあったな …さて」
ヴィクトール12世が玉座の間を出て行く
ソルベキア城 門前
バッツスクロイツが泣きながら走って叫ぶ
「ちょーまじで聞いて無いんですけどーっ!?何でこんな 機械兵てんこ盛りーのルートをチョイスして ゴースルーしちゃおうなんて スペシャルデンジャラス作戦がオープンしちゃうんですかーっ!?」
機械兵がバッツスクロイツを目掛けて攻撃してくる その機械兵の武器を オライオンが魔法剣で払って言う
「しょうがねーだろっ!俺たちアバロンの民は!いつだって正々堂々と正面から勝負するって 決まってんだよー!」
バッツスクロイツが怒って言う
「つーいさっきーまで 隠密に俺っちをソルベキア城へ 導いてくれるーって 聞いてたのにーっ!?大体 機械兵とまともに戦えるの オライオンっちと 俺っちのデスだけなのに なーん百倍の機械兵相手に 正面突破ーとか まじ有り得ないからーっ!」
オライオンが機械兵の武器を剣で押さえて言う
「んな事言ったって 俺らソルベキア城の構造知らねーし 見取り図だってねーんだ 正面以外の何処に出入り口があるかだって分からねーんだから その正面から入るしかねーだろ?」
バッツスクロイツがオライオンを見た後 ハッっと後ろを振り向く 機械兵が武器を振り下ろす バッツスクロイツが思わず身を守ろうとする アンドロイドのデスが守る バッツスクロイツが一瞬ホッとした後 遠くのソルベキア城を見上げて言う
「む… 無理 行けっこない… あーっ!こんな時 バーネっちや ヴィクトールっちが居てくれればっ!」
バッツスクロイツが頭を抱える 声が聞こえる
「傭兵隊の皆!伏せよ!」
バッツスクロイツが疑問して言う
「え?ヴィクトールっ…ち?」
オライオンら傭兵隊とアンドロイドのデスが伏せる中 疑問して顔を上げそうになったバッツスクロイツのギリギリ上を雷が走り抜け機械兵たちを攻撃して倒す バッツスクロイツがそれを見て悲鳴を上げて言う
「きゃぁーっ まじ危なかったぁーっ!って… この雷撃はっ!?」
オライオンが身を起こし 喜んで叫ぶ
「ヴィクトール12世様っ!」
バッツスクロイツがオライオンの視線の先を見て言う
「え…?ああ、そっか?ヴィクトールっちの父ちゃんかー …助かったぁ~」
バッツスクロイツがへたり込む ヴィクトール12世がバッツスクロイツを確認して微笑する
【 シュレイザー国 城下町 見張り台 】
シュレイザー兵が驚き 慌てて言う
「来たー!来た来た来たっ!機械へ…!」
スプローニ兵が 先のシュレイザー兵を殴って言う
「うるさいっ!騒いでいないで 卿は迅速にシュレイザー城へ連絡を入れろ!俺はスプローニと常駐の部隊へ連絡を入れる!そして!」
シュレイザー兵が殴られた頭をさすりながら言う
「わ、分かったよ!シュレイザー城に連絡ね!そして すぐに退避!」
スプローニ兵が怒って叫ぶ
「戦闘配備だ!退避するなどと言ったら もう一発!」
シュレイザー兵が驚き泣きながら言う
「いやぁー!レビはいっつも僕を殴るね!痛ったいのねー!でも知ってるね!レビは僕の事 本当はだーいす…!」
レビが通信機を片手に シュレイザー兵を殴って言う
「余計な事を言ってないで!さっさとシュレイザー城へ連絡をしろっ!」
シュレイザー城 玉座の間
チョッポクルスが驚いて言う
「き、来たぁ~~~!来た来た来た~~!き、機械兵じゃ~~!」
チョッポクルスが慌てて走り回る ガルバディアの騎士たちが疑問する ニーナがガルバディアの騎士たちへ振り返り言う
「機械兵が来たの!ガルバディアの騎士さんたち!皆でこのシュレイザー国を守って欲しいの!お願いなの!」
ガルバディアの騎士たちが顔を見合わせ 1人が言う
「皆で… このシュレイザー国を守る?」
1人が言う
「命令は 『このシュレイザー国を守って欲しいの』 か?」
1人が言う
「…『お願いなの!』?」
ガルバディアの騎士たちが疑問した後 皆がニーナへ向き 1人が言う
「我らの仲間 ガルバディアの民 レクターの娘 我らは難しい言葉は分からない 簡単な命令が欲しい」
ニーナが疑問して言う
「命令?私が 騎士さんたちに 命令するの?」
ガルバディアの騎士たちが頷く ニーナが少し考えた後ひらめいて言う
「分かったの!それじゃ!」
ニーナがシュレイザー城の出入り口を飛び出し 張り切って言う
「さあ!ガルバディアの騎士たちよ!機械兵を討ち倒し!このシュレイザーを守りなさい!」
ガルバディアの騎士たちが 機械鎧をフル装備し 飛び出して向かって行く ニーナが間を置いて 照れて言う
「やっぱり ちょっと 恥ずかしいのー」
【 ソルベキア国 城下町 】
ホログラムのバーネット1世が叫ぶ
『おらぁああ!薄ノロ ガルバディアの騎士どもがぁああ!ガルバディアの名を持つてめぇえらが アバロンの傭兵隊に遅れを取りやがって!今更援護に来やがるたぁあ 遅ぇええんだよ!この馬鹿野郎どもがぁああ!』
ガルバディアの騎士たちが顔を見合わせた後 ホログラムのバーネット1世へ武器を向ける バーネット1世が衝撃を受け 怒って言う
『なぁあ!?てめぇえら!てめぇえらの 前王である この俺様に武器を向けやがるとは てめぇえらは どんな教育受けてやがるんだ!?でもって 文句がありやがるんなら さっさと周囲の機械兵どもをぶっ飛ばして ソルベキア城から この俺様を救出しやがれぇええ!』
ガルバディアの騎士たちが顔を見合わせた後 ソルベキア城を確認し 機械兵へ向かう
ソルベキア城 機械室
バーネット1世が立ち上がり バッツスクロイツへ向いて言う
「おいっ!鈍臭ぇバッツスクロイツ!アバロン傭兵隊へのサポートは てめぇえに任せてやるぜぇ!プログラムは作っておいてやったんだぁ そいつを実行しやがる事位ぇ てめぇえでも出来やがるだろ!?」
バッツスクロイツが振り向いて言う
「ちょー!待ってって バーネっちパパ!このプログラム 超ミスだらけなんですけどー!?」
バーネット1世が衝撃を受け怒って言う
「るせぇええ!そいつのミスを訂正しやがる事位ぇ てめぇえでも出来やがるだろう!?」
バッツスクロイツが衝撃を受け怒って言う
「何さり気なく ゼリフ訂正しちゃってるんですかー!?この適当バーネっちパパはー!」
バーネット1世が衝撃を受け怒って言う
「るせぇええ!空腹に耐えながら作りやがった 俺様のスペシャルプログラムに文句言いやがるんじゃねぇ!でもって 俺は 適当ヴィクトールのサポートに行くからなぁ!?ここはてめぇに任せてやるぜ!色んな所の情報確認も怠りやがったら ひっ叩くからなぁあ!?」
バーネット1世が鞭を振るって床を叩く バッツスクロイツが衝撃を受け 泣きながら言う
「キャァー!超信じられない!この人ー!?バーネっちより 人使い荒くって強引だなんてー!今ならバーネっちが 天使様に思えちゃうって感じー!?」
バーネット1世が一瞬呆気に取られ考えた後にやりと笑って言う
「あん?はっはー!あいつが天使かぁ?ならあいつの先代である俺様はぁ 大天使様だなぁ!はーはっはっはー!悪くねぇ!なら精々俺様の為に励みやがれ アバロン傭兵隊へのプログラム訂正とサポート 及び 各国の情報確認 並びに 世界中の機械兵の数をチェックしやがれ 定期的に俺様へ報告するのも 忘れやがるんじゃねぇぞぉ?はーっはっはっはー!」
バーネット1世が意気揚々と機械室を出て行く バッツスクロイツが呆気に取られた後大泣きして叫ぶ
「バーネっち カムバーック!!早く助けに来てくれないと 俺っち 地獄の魔王様に 過労死させられちゃうー!」
【 ガルバディア城 城門前 】
機械兵と戦うガルバディアの騎士とレクター レクターがはっと気付き後方へ回避する 回避前に居た場所へ槍が突き刺さる レクターがそれを確認すると槍が引き抜かれ レクターが持ち主へ顔を向ける 槍の持ち主がレクターを見て間を置いて微笑し 槍を2つに分離し両手に構え レクターへ殺気を向ける レクターが真剣な表情で言う
「あいつ… 普通の人じゃねーみてーだ あのプログラム… あいつには他の生物の遺伝子プログラムが…」
槍の持ち主がレクターへ攻撃する レクターが回避して言う
「私と仲良くしてくれる気はねーんだな?それに 手加減なんて してる余裕もねーみてーだ」
レクターが大剣を構えプログラムを纏う 槍の持ち主が一瞬レクターの大剣を見て反応してから 攻撃を仕掛ける レクターが大剣で受け止める
【 ローレシア城 玉座の間 】
ローゼックが怒って言う
「何だとっ!?旧世界からの機械兵が 何処ぞから溢れ出ておるだと!?」
通信機のバーネット1世が言う
『ああ、今発生場所を探してる 見つかり次第 てめぇらにも知らせてやるが それまでの間は 何とか凌ぎやがれ …まぁ どぉおしても手が足りねぇとかほざきやがるんならぁ』
通信機のバーネット1世がにやりと笑う ローゼックが衝撃を受け怒って叫ぶ
「黙れっ!バーネット1世!貴様こそ 既存の機械兵に加え 新たに現れた機械兵に手を拱いておるのなら 我ら魔法剣士部隊が 手を貸してやるわ!」
通信機のバーネット1世が衝撃を受け…
【 ソルベキア城 城門前 】
バーネット1世が怒って叫ぶ
「なぁあ!?…るせぇええ!こっちとら ガルバディア騎士団にアバロン傭兵隊 更に俺様と相棒が居やがるんだぜぇ!?ちょいと 増加しちまった機械兵の勢いに 一瞬ビビっちまったって 全部 想定内ってやつだぜぇえ!それよか そっちは 旧世界からの民を転送させやがる場なんだからなぁあ!?例え ローレシアをぶっ潰したって 転送装置だけは死守しやがれよ!」
ホログラムの通信モニターのローゼックが怒って叫ぶ
『何を申すか!馬鹿者っ!転送装置のみを守った所で ローレシアをも守らねば 後の旧世界との戦いに 勝利出来ぬではないかっ!それよりっ!貴様とて 後の戦いには必要な戦力なのであるっ!馬鹿なプライドで あっさり旧世界からの攻撃にやられなどしたら 身も蓋もあらなんだっ!戦力が足りておらぬのであれば こちらで賄ってくれるっ!早々に泣き言を送って参れっ!』
バーネット1世が衝撃を受け慌てて言う
「なぁ!?馬鹿なプライドだぁあ!?ざけんじゃねぇえ!てめぇえに泣き付くくれぇえなら 機械兵どもにぶん殴られて 旧世界の民にぶっ殺された方がマシだってもんだぜぇえ!」
ホログラムの通信モニターのローゼックが衝撃を受け 怒りを溜めてから叫ぶ
『馬鹿者ぉおおっ!バーネット1世!貴様はそれでも この新世界を守るシリウス殿の子孫であるのかっ!?各々には各々の役割があるのだっ!貴様の役目は 現在旧世界へ向かっておるシリウス殿やその他に代わり この新世界全体の管理を行う重役であるっ!貴様は今こそ それに専念致し 我ら新世界の戦力を 余す事無く振り分けよ!』
バーネット1世が呆気に取られ言う
「な… お、俺は」
バーネット1世が気を取り直して言う
「う、うるせぇえ!んな事 てめぇえになんざに 言われなくったって 分かってやが…っ」
ヴィクトール12世が叫ぶ
「バーネット!危ないっ!」
バーネット1世が振り向くと機械兵の武器がバーネット1世へ向かって飛んで来る バーネット1世がハッとした瞬間 ヴィクトール12世がバーネット1世を突き飛ばし 2人の上空を機械兵の武器が過ぎ ホログラムの通信モニターで驚いているローゼックの映像の顔を斬り裂く
【 ローレシア城 玉座の間 】
ローゼックが青ざめて冷や汗を流しつつ呆気に取られて言う
「あが…が…っ」
イシュラーンがローゼックの様子に疑問する
【 ソルベキア城 城門前 】
ヴィクトール12世が身を起こして言う
「バーネット大丈夫か?」
バーネット1世が身を起こして言う
「おう、問題ねぇ 助かったぜ」
ホログラムの通信モニターのローゼックが怒って叫ぶ
『代わりに私が死に掛けたわっ!』
【 デネシア国 城下門前】
ヴィクトール14世が通信機を取り出して言う
「ベーネット デネシア周囲の機械兵は一掃しました そちらはどうですか?」
通信機のベーネットが言う
『こちらも同じく ベネテクト周囲の機械兵を排除致しました どうやらデネシア、ベネテクト この両国に 機械兵の増加は無かった様ですね』
ヴィクトール14世が疑問して言う
「機械兵の増加?」
通信機のベーネットが言う
『はい、現在確認されているだけで ガルバディア、ソルベキア、シュレイザー、そして 先ほどローレシアにも 旧世界からの機械兵が増加しているとの情報が入りました』
ヴィクトール14世が言う
「ガルバディアとソルベキアは 旧世界からの攻撃があるだろうと予測された国だし シュレイザーとローレシアも 3大国家の2国… ベーネット アバロンの情報は分かりますか?」
ベーネットが言う
『はい、アバロンはすでに機械兵の一掃を終了させたとの事です 機械兵の増加は確認されていませんが 念の為 今も奇襲に備えているそうです』
ヴィクトール14世が言う
「アバロンには追加の機械兵が送り込まれていないのか… 分かりました 我々も一応奇襲に備えましょう それと共に」
ベーネットの通信機に他者からの通信が追加される 2人が一瞬驚いた後 ヴィクトール14世が微笑して言う
「あ、それでは また 何かありましたら連絡を」
ベーネットが気付いて言う
『いえ、お待ち下さいヴィクトール 通信はレリアン様からです』
ヴィクトール14世が驚いて言う
「え?母上がベーネットに通信を!?」
ベーネットがヴィクトール14世との通信を繋いだまま レリアンとの通信を繋ぐ ホログラムの通信モニターにレリアンが映り ベーネットへ言う
『ベーネット陛下 お力添えを頂けないかしら?今私たちは ツヴァイザーに居ります 隣国ベネテクトの戦力を このツヴァイザーへ 送って頂きたいのです』
【 ベネテクト城 玉座の間 】
ベーネットがホログラムの通信モニターに映るレリアンへ向かって言う
「ツヴァイザーへですか?しかし、ツヴァイザーは 機械兵との戦いを放棄したとは言え 北半分は我らベネテクトとデネシアの魔法剣士傭兵部隊が 南半分はスプローニとローレシアの魔法銃使い部隊が ツヴァイザーに代わり機械兵を制圧致しました ですので 実質 機械兵の一掃は終了していると言っても良いのではないかと?」
ホログラムの通信モニターのレリアンが言う
『ええ、一度はそれで ツヴァイザーの周囲全ての機械兵が一掃されたのですが その機械兵が再び現れ始めたのです それも見た所、先に一掃した機械兵とは 別のモノ 恐らく現在ソルベキアのバーネット1世国王が確認されていると言う 追加導入された機械兵ではないかと思うのです』
ホログラムの通信モニターのヴィクトール14世が言う
『ツヴァイザーに 旧世界からの機械兵が!?』
ホログラムの通信モニターのレリアンが言う
『スプローニの部隊もベネテクトの部隊も ツヴァイザー周囲からは既に撤退してしまっています ですので、現在は私の仲間たちが 何とか城下の門を死守しているのですが これ以上は防げません どうか 取り急ぎ援軍を!』
ベーネットが少し考えてから言う
「分かりました ツヴァイザーに機械兵の増加があったとなると こちらにも兵を残さねばなりませんが 可能な限りの援軍を送ります しかし、レリアン様 リーザロッテ王女も レリアン様同様に他国へ援軍要請を行っているのでしょうか?私がベネテクトから送ることが出来る数は それほど多くは出来ません 他国にも援軍を要請しなければ」
ホログラムの通信モニターのレリアンが言う
『リーザは今、聖母様として カイッズ国の防衛指揮を執っています その間は私がツヴァイザー防衛を任されていますので 私から他の国へも援軍を要請してみますが ツヴァイザーの者でもないこの私が 現行ツヴァイザーの敵対国である ローゼントやローレシアへ援軍を要請しても 果たして受け入れて頂けるものか…』
ホログラムの通信モニターのレリアンが視線を落とす ホログラムの通信モニターのヴィクトール14世が言う
『母上!それでしたら 我らデネシアの部隊が援護に向かいます!』
ホログラムの通信モニターのレリアンが驚いて言う
『え…っ?』
ホログラムの通信モニターのヴィクトール14世が言う
『デネシアの魔法剣士傭兵部隊なら ベネテクトから送られる援軍とも力を合わせるのに丁度良いです 共に、彼らの指揮を執るために 私が参ります 両部隊からの戦力が合わされば ツヴァイザーへ追加投入された機械兵を一掃するのに 十分であると思われます』
ホログラムの通信モニターのレリアンが驚いて言う
『しかし、それでは デネシアに残る部隊の指揮を執る者が居なくなってしまいます 貴方はデネシアに残らなければ』
ホログラムの通信モニターのヴィクトール14世が微笑して言う
『ご安心を 母上 デネシアの管理は ファニアが自分に任せて欲しいと 彼女は私の部隊指揮も確認していました きっと大丈夫です』
ホログラムの通信モニターのレリアンが少し困った様子で言う
『ファニアが?し、しかし… この非常事態に急に任せたりなどしては』
ベーネットが微笑して言う
「レリアン様、無礼を承知で申し上げますが ファニア王女はデネシア王家の王女様であらされます 世界的な非常事態に自らその責務を望まれるとは きっと相当な御覚悟の上であられるかと… それに、レリアン様とヴィクトール13世陛下のご息女様です 民や兵を導く力は十分に有されている事でしょう」
ホログラムの通信モニターのレリアンが少し考える その後ろからソーロスが言う
『レリアン殿っ!思った通り、やはり あの程度の戦力では役に立たん!私は一足先にスプローニへ亡命するからな!』
ホログラムの通信モニターのレリアンが一瞬表情を怒らせた後 咳払いをして気を取り直して言う
『分かりました、ベーネット陛下 ヴィクトール ツヴァイザーの王女リーザロッテに代わり 貴方方の助力へ御礼を申し上げます どうか ツヴァイザーを』
ベーネットとホログラムの通信モニターのヴィクトール14世が頷く
【 旧世界 ガルバディア城 城門前 】
最後の機械兵が倒される ザッツロードが表情を和らげホッと苦笑する ソニヤとラナが顔を見合わせ微笑する 後方でセーリアが微笑む ヘクターがガルバディア城へ剣を向けて言う
「よしっ!この調子でガルバディア城へ乗り込んでって シリウスBをぶっ飛ばすぜ!」
皆がガルバディア城へ向く ヴェルアロンスライツァーとロキ ザッツロードたちが緊張する シリウスが目を細めて言う
「どうやら これ以上乗り込む必要は あらぬ様じゃ」
ヘクターがシリウスへ向き 疑問して言う
「あ?」
バーネットが言う
「ハッ!闇の王 シリウスBが 直々に 俺たちを歓迎してくれるそうだぜ?」
皆がバーネットの視線の先へ向く ガルバディア城からシリウスBが歩いて来て言う
「シリウス まさか お前自身が旧世界へ姿を現すとは思いもしなかったぞ とは言え まずは 目障りだった機械兵どもを 一掃してくれた事へ礼を言おうか?」
シリウスBが皆の前で立ち止まる
ヘクターが城から出て来て言う
「バーネット、ヴィクトール バーネットの父ちゃんが急いでローレシアに来いってよ?」
バーネットが振り返って言う
「あぁ?ローレシアへだぁ?」
遅れてやって来たザッツロードたちが 前方の状態に衝撃を受け ザッツロードが苦笑しながら言う
「えーっと… ローレシアにある旧世界との転送装置で 僕たちを旧世界へ送るそうです …餌として」
ザッツロードの言葉の途中で リーザロッテが自分の隣で人知れず怒りを押し殺しているレリアンに気付き小声で言う
「レリアン?ヴィクトール陛下は… ああ言うご趣味がお有りでして?」
レリアンが怒りを押し殺して言う
「いえっ あれはガルバディアの方のご趣味ですっ ヴィクトール陛下はお優しい方ですので バーネット殿のご趣味に付き合っていらっしゃるだけですっ!」
バーネットが衝撃を受ける ルーゼックが言う
「貴様らの趣味が何であろうが構わぬが 我らは取り急ぎローレシア経由で旧世界へ向かわねばならんのだ でなくば、シリウス元国王がバーネット1世に何か致し 更には そのバーネット1世の鞭に 我らが叩かれる事へとなり兼ねぬ」
キルビーグが苦笑して言う
「あのバーネット1世が悲鳴を上げるほどの事とは 一体どの様な事を致されるのかと 想像も付かぬ恐ろしい事を考えておったのだが… どうやら違う方向に想像の付かぬ事であったのやも知れぬな?」
ソニヤが疑問して言う
「でも、ヴィクトール陛下なら分かるけど あのバーネット1世様が鞭に巻かれて踏まれる程度で 悲鳴を上げたりするのかな?」
ザッツロードとヴィクトールが衝撃を受け苦笑してヴィクトールが言う
「あれ?何で僕だと分かるんだろ?おかしいなぁ…?確か、君たちの夢の世界に居た僕は アバロン帝国の皇帝にまでなっていたって聞いたけど…?」
セーリアが苦笑して言う
「え、ええ…」
ラナが呆れて言う
「まぁ、あの夢の世界でも 泣き虫ヴィクトールって言われてたものね…」
ヴィクトールが気付いて言う
「ああ!それは現実世界でも共通だよ?えへっ」
ヴィクトールが照れる ラナとセーリアが呆れの汗をながして ラナが言う
「気に入ってるんだ…」
バーネットが腕組みをして疑問して言う
「あのクソ親父が悲鳴を上げるだぁ?あの親父は どんなに鞭でひっ叩かれようがぁ 剣で刺され様が きっと悲鳴なんざ ひとっ声も上げやがらねぇと思うけどなぁ?」
ヴェルアロンスライツァーが言う
「では、その確認は 次の時にでもヴィクトール12世殿へ致せば良いだろう そうでなければ 我々が目の当たりに確認する事となってしまう」
ロキが言う
「…俺たちが目の当たりに確認するのはどうでも良いが その後に 俺たちへ被害が拡大するのだろう それは防ぎたい」
ヴィクトールが言う
「うん、僕もバーネット以外に虐められるのはちょっと嫌かな?バーネット1世様の鞭はバーネットより強烈だって言うし」
バーネットが衝撃を受けて叫ぶ
「だからっ!一言多いってぇえんだ!てめぇえはぁあ!」
ヴィクトールが笑顔を見せる ヘクターが言う
「じゃぁ 急いで行こうぜ?俺もバーネット1世様の鞭には叩かれたくねーからよ?」
皆が頷きアバロン城を出て行く リーザロッテたちの姿を見たドラゴンたちが顔を上げる リーザロッテが言う
「それでは、私たちは 新世界の勇者として 貴方方が旧世界へ手を出している間 この新世界を立派に守り抜いて差し上げるわ」
ヘクターが振り返り疑問して言う
「あ?新世界の勇者として?」
リーザロッテが言う
「ええ!シリウス元国王が指差した範囲に 私たちは入って居なかったのでしてよ!やっぱり私たちは この新世界でこそ!本物の勇者としての力を発揮するのでしてよ!」
リーザロッテが意気揚々と腰に手を当てて立つ デス1stが苦笑してヴィクトールを見る ヴィクトールが疑問する ヘクターが言う
「ああ… 何だか分からねぇけど まぁ良いや それじゃ こっちの防衛は頼むぜ 新世界の勇者様!」
リーザロッテが言う
「ええ!任せなさい!」
ヘクターたちが移動魔法陣へ向かう リーザロッテたちがドラゴンへ向かう
大会議室
ヴィクトール14世が言う
「彼らが旧世界へ行っている間 残った我々でこの新世界を守る…のですよね?」
バーネット1世が言う
『ああ、元の予定じゃぁ 新世界に現存する機械兵どもを 全員で一掃して その間に旧世界で使うメンツを決めてやろうってぇ話だったんだが 旧ローレシア帝国に留まってやがる 2代目ローレシアの勇者どもから これ以上は待てねぇってよ 泣き言言って来やがったから 仕方ねぇ』
ヴィクトール12世が言う
『うむ、少々危険な作戦になってしまったが シリウス殿が旧世界へ同行して頂けるのなら 夢の世界で力をつけた彼らだけでも 何とか戦力は足りるのだろう むしろ、新世界の防衛の方が 大変になってしまったな?』
ラインツが言う
『俺らが旧世界のガルバディアで シリウスBと戦ってる間に 旧世界からまた機械兵が送り込まれる可能性もあるよな?』
シリウスが言う
『そうじゃろうな?新世界の勢力が旧世界へ送り込まれたと分かれば 同時に奴らにとっても新世界を潰す好機じゃ』
バーネット1世が周囲にプログラムを現しつつ言う
『ガルバディアの騎士どもに ガルバディア、アバロン、シュレイザー それから このソルベキアを守らせる ローレシア、ローゼントは魔法剣士部隊で問題ねぇ スプローニもラグヴェルスがハリッグと話し合ってやがるから きっと何とかなりやがるだろう 残るは…』
ヴィクトール14世が言う
「デネシアはローゼントかアバロンから剣士をお借り出来れば デネシアの魔力者と共に」
ヴィクトール14世がバーネット1世を見た後レクターへ向く レクターがヴィクトール14世の視線にすまなそうに言う
「アバロンはソルベキアに兵を出しちまうんだ アバロンの防衛もやるから デネシアの応援はちょっと厳しいんじゃねーかと思う 多分 傭兵隊長のオライオンも出せねーと言う そんな気がする」
ヴィクトール14世が一瞬驚いた後困って言う
「え?…そうですか、では 何とかローゼントの剣士を」
ヴィクトール12世が困った様子で言う
『ローゼントは機械兵がもっとも送られて来るであろうソルベキアから程近い国 それに引き換えデネシアは 恐らくもっとも機械兵の被害が少なく済むであろう国だ そこへローゼントが兵を出してくれるとは… 少々難しいな』
ヴィクトール14世が一瞬呆気に取られた後 困って言う
「で、では… どうしよう…」
バーネット1世が微笑して言う
『はっはー 何寝ぼけてやがるんだよ?デネシアは竜族の国じゃぁねぇか?いざとなりゃ 竜族どもをドラゴンにして 大暴れさせりゃぁ新世界侵略のおまけ みてぇに襲われやがるデネシアの一つ位ぇ 守れやがるだろぉ?』
ヴィクトール14世が困って言う
「それが、そうも行かないのです 竜族たちは確かに強い力を持っていますが 元々彼らは争いを好まない心優しい者たち いざ機械兵を前にすると 殆どの者が怯えて逃げ出してしまうのです 私はその彼らに共存する国を守るためとは言え 戦えと命ずる事は… 何とか各国の傭兵を今から集めるしか」
バーネット1世が表情を顰めて言う
『各国の傭兵ったってなぁ…?今は何処の傭兵だって』
ヴィクトール12世が気付き言う
『うむ、では ヴィクトール14世 お前はベネテクトへ行くと良いだろう』
バーネット1世が顔を向ける ヴィクトール12世が続ける
『この大陸の多くの傭兵は ベネテクトに雇われている ベネテクトの王ベーネット殿は 昨日王位継承を受けたばかりではあるが 実際は長きに渡り眠りに着いていた バーネット2世に代わり 実質ベネテクトを治めていた者 そして、いずれはお前の相棒となる予定である者だ 心配は要らぬ 仲良くやれるだろう』
ヴィクトール14世が衝撃を受け視線を逸らして言う
「ベ、ベーネット殿 ですか…」
バーネット1世が疑問して言う
『あぁ?何だよ?てめぇはベーネットとは会った事もねぇくせに 俺の孫に当たるベーネットの事が… まさか 気に入らねぇとでも言いやがるのかぁ?あぁああ!?』
バーネット1世が鞭を振るう ヴィクトール14世が焦って怯えて言う
「い、いいいいえっ!滅相もございませんっ!」
バーネット1世が顔を近づけて問う
『じゃぁ何だぁ?そう言やぁ てめぇは昔っから 何だかんだ理由を付けやがっては ベーネットとの面会を断ってやがったよなぁ?』
ヴィクトール14世が怯えつつ言う
「そ、それは…っ」
バーネット1世が凄んで言う
『それはっ!?』
ヴィクトール14世が一瞬間を置いた後泣きながら叫ぶ
「だって バーネット様たちが 怖いんだもんっ!僕も 飼い猫とか野良猫とか呼ばれて 『てめぇええ!』とか『この野郎ぉおお!』とか言われて 鞭で叩かれるのかと思うと 恐ろしくて悲しくて 一晩中涙が止まらなくてーっ!」
バーネット1世が呆気に取られた後コケる ヴィクトール12世が苦笑する ベーネットが身を隠していた扉から言う
「あっはは、やはり その様な事だったのですね?良かった 安心しました」
ベーネットがヴィクトール14世の近くへ来て優しく微笑する ヴィクトール14世が呆気に取られてから疑問して言う
「…君は?」
ベーネットが微笑して言う
「私はベネテクトの王 ベーネット・ベネテクトです お初にお目に掛かります ヴィクトール14世殿」
ヴィクトール14世が衝撃を受け 怯えつつ疑問して言う
「き、君… いや、貴方が…っ?」
ベーネットが苦笑して言う
「はい、 “私が“ です ご安心下さい 私は父上や祖父上の様に 他者を蔑む様な言葉を使ったり 勿論、鞭を振るい上げたりなどは致しません 割と有名な話にはなっていたのですが どうやら肝心の貴方が居る デネシア国までは伝わっていなかったのですね」
ヴィクトール14世が呆気に取られる バーネット1世が言う
『ハッ!俺としちゃぁ気に入らねぇがなぁ?言葉だの行動だので信用が得られねぇだなんて そんな軟弱なもんで相棒になんざなれやしねぇぜ?』
ベーネットが困った様子で言う
「私としては 幼い頃から自分の父上や祖父上が脅されている姿を見ていたと言う ヴィクトール14世殿の心情は 理解出来るつもりです」
バーネット1世がヴィクトール14世へ向いて言う
『あぁ?俺がいつ てめぇの前で こいつを脅したってぇえんだ?』
バーネット1世がヴィクトール12世の襟首を掴んで引き込む ヴィクトール12世が苦笑する ヴィクトール14世が怯える ベーネットが苦笑する
イシュラーンが言う
「世界を救う為 各国が力を合わせる か… 長きに渡った国同士の争いは休戦だな 今やローレシアもアバロンも 皆、同じ この新世界に住む仲間と言う訳だ」
ラインツが言う
『ああ!俺とシリウス、それからあいつらは 必ず旧ローレシア帝国の奴らを助けるからよ!その間 そっちの新世界の防衛は頼むぜ!?』
ローゼックが言う
「旧ローレシア帝国の民を救い出すのに 貴様の力をかりるとあれば 残る我らがこの新世界のアバロンを守るのに手を貸してやらぬ訳にもいくまい そして、貴様と共に 他国の戦士らも同行するのだ これでアバロンだけではなく その他の国の面倒をも見てやる理由となろう 貴様らは新世界については案ずる事無く 貴様らの任務に励むが良い」
バーネット1世が言う
『ハッ!他国の心配をしやがる前に てめぇらはまず新世界のローレシアを守る事を考えやがれ その場所は旧世界の連中が戻る先でもありやがるんだ 万が一にもその場所がぶっ潰されるなんて事になりゃ シリウスに何されるなんざ話じゃ済まねぇ …まぁ、戦力が足りねぇんだったら 俺らが手を貸してやっても良いぜぇ?てめぇが土下座して来やがればなぁ?ローゼック?』
ローゼックが衝撃を受け怒って叫ぶ
「黙れ バーネット1世っ!誰が 引きっ篭もりソルベキア国王の貴様に 土下座などしてくれるかっ!貴様こそ 制圧したソルベキア城から出られぬ今 泣いて頼むのであれば 我ら魔法剣士部隊が 助け出しに向かってくれるわっ!」
バーネット1世が衝撃を受け 怒って叫ぶ
『なぁっ!?る、るせぇええ!誰がてめぇえに土下座なんざしてやるかぁあ!ついでに 例え食い物に困ろうが てめぇえに泣きっツラなんざ 見せやがって堪るかぁああ!』
ヴィクトール12世の腹の虫が鳴く バーネット1世が衝撃を受け怒りの視線を向ける ヴィクトール12世が照れて言う
『はははっ すまんなバーネット 昨日から何も食べておらぬもので 実は先ほど アバロンとローレシアに 食糧支援要請を申し込んでしまった』
バーネット1世が怒って叫ぶ
『なにぃい!?てめぇええ!この低燃費ヴィクトールがぁああ!てめぇえには 意地とプライドはねぇえのかぁああ!?』
ヴィクトール12世が泣きながら言う
『しかし、バーネット?我らアバロンの民は 支えとなる者と食料を失うと 力を失ってしまうのだよバーネット 意地とプライドでは空腹は満たされないからな?それに私は ソルベキア城に引き篭もるのは もう少し後の方が良いのではないかと言ったのに バーネット、君が相変わらず強引だから…』
バーネット1世が怒って言う
『だぁあ!てめぇえ!この初代泣き虫ヴィクトール!人前で泣くんじゃねぇえよ!でもって 何でアバロンだけじゃなくローレシアにまで 食料支援を頼んでやがるんだぁ!?馬鹿野郎ぉおお!てめぇえは そんなに あのローレシアの不味い飯を食いてぇえのかぁあ!?』
イシュラーンとローゼックが衝撃を受け イシュラーンが苦笑し ローゼックが怒りを押し殺し笑んで言う
「フッ、ならば ローレシアからの食糧搬入魔力者どもには バーネット1世はローレシアの料理を口にすると 5日の後に命を失うので 与えぬようにと伝えておこう 聞いた話では 対人移動魔法を使える者がおらぬ アバロンの食料搬入部隊は 今のソルベキアへは近づけぬそうだがな?」
バーネット1世が衝撃を受け怒りを押し殺す イシュラーンとヴィクトール12世が苦笑する
【 ソルベキア国 近郊 】
オライオンがソルベキア城を見上げ溜息を吐いて言う
「あーぁ… ソルベキア城は目前なのに ヴィクトール12世様やバーネット1世様を助け出せねーなんて やっぱ俺も 夢の世界に送ってもらうべきだったよなぁ?」
シュライツが不満そうに奇声を上げ顔を横に振る オライオンが気付き微笑して言う
「ん?…まぁそうだな?俺まで眠っちまってたら 傭兵隊の隊長がレクターになっちまう所だったもんな?アバロン最強の傭兵隊が あんなに間抜けた隊長じゃ」
シュライツが気付き衝撃を受け オライオンを呼ぼうとしているが オライオンは気付かず続ける
「親父が目を覚ます前に アバロンがぶっ潰れちまう所だったよなー?やっぱ 俺はこっちの世界でアバロンを守ってて正解だっ た…?」
オライオンがシュライツへ向くと レクターがホログラムで笑顔で立っている オライオンが衝撃を受ける レクターが笑顔のまま言う
『ああ!アバロン最強の傭兵隊が 私の様に間抜けた隊長では アバロンがぶっ潰れちまう所だったのだ!だから お前は やっぱり現実世界に残って正解だった!そして もうすぐ機械兵殲滅作戦が決行される お前たちも早くアバロンへ戻って…』
オライオンが衝撃を受け怒って言う
「その前に!あんたは あんたの弟の息子である俺に 馬鹿にされた事へ対して怒らねーのかよ!?あんたそれでも 喧嘩っ早いアバロンの民か!?」
レクターが疑問し考えた後ひらめいて言う
『おお!そうか!機械兵の多いソルベキアへの援軍は アバロン最強の傭兵隊を送ると良い!だから 我らアバロン傭兵隊隊長であるオライオンは 先行してソルベキアへ向かっていたのだな!?そんな事にも気付けねー私は やっぱり間抜け大剣使いなのだ!』
オライオンが衝撃を受け怒って言う
「あっ!?いや、俺は… って そうじゃなくって だからっ!その前に!」
レクターが喜んで言う
『では!私の弟の息子であるオライオンの部下である私は 傭兵隊副隊長として 隊員を隊長の元へ送るのだ!私も副隊長として たまには隊員へ命令が出来て嬉しい!だが しかし、彼らは私が命令するよりも早く オライオン隊長の居場所を確認して 向かってしまった!私はそれを伝えようと思って連絡したのだった そんな気がする!』
オライオンが衝撃を受け言う
「あぁあ!?傭兵隊の皆がもうアバロンを出ちまったのかよ!?そう言う事は早く言えっていつも言ってるじゃねーか!間抜け大剣使いのレクター副隊長!」
レクターが照れて頭を掻く オライオンがシュライツへ向かって言う
「シュライツ!傭兵隊の皆が到着するまでに ソルベキア城へ向かえるルートを確認しておくぜ!?なるべく機械兵との戦闘を回避して まずはヴィクトール12世様へ接触しねーと!」
シュライツが一度レクターへ顔を向けた後 喜んで奇声を発する オライオンが走って行く レクターのホログラムがそれを確認した後微笑し消える
【 アバロン城 城門前 】
ヴィクトール14世とベーネットが話ながら歩いて来る ヴィクトール14世が言う
「しかし、驚きました あのバーネット様方の3代目となる貴方が こんなに温厚な方であったなんて」
ベーネットが軽く笑って言う
「あっはは 父や祖父にも良く言われます 『てめぇみてぇな甘ったりぃ野郎じゃぁ いつまで経ってもベネテクトの王位は譲れねぇ』 と?その様な理由で王位が譲れないだなんて それこそベネテクト国の品格が疑われてしまうと私は思うのですが」
ヴィクトール14世が苦笑して言う
「デネシアも アバロンの民である私を王として迎えると言う事で 反対する者も居たのです しかし、今の乱世を乗り越えるのに 私の妹であるファニアでは やはり心配だと… もっともデネシアの王は 建国の時から 魔力を持たない剣士であったため その点では問題はないのですが」
ベーネットが言う
「デネシアの魔力者とベネテクトの戦士 この両国が手を組めば ローレシア、ローゼントの魔法剣士部隊と同様に戦えるはずです 両国の兵たちの親交を深め 我々もデネシアの王とベネテクトの王として友好条約を交わす これで両国は安心ですね?」
ヴィクトール14世が言う
「しかし、ベーネット殿 デネシアの魔力者はローレシアの魔力者ほど 魔力を持っては居ないのです 何でも夢の世界では バーネット2世様がガルバディアの力を使って デネシアの魔力者の力を増幅させたとか しかし、今回はそのバーネット2世様は旧世界へ向かわれる 残るはバーネット1世様… や、やはり こう言った時は デネシアの王である私が直々に バーネット1世様へ」
ヴィクトール14世が震える ベーネットが微笑んで言う
「ご安心を 魔力の増幅なら私が行えます 既にその手筈も済んでおりますので」
ヴィクトール14世が驚いて言う
「え!?」
ベーネットが微笑して言う
「夢の世界の進行は私も度々拝見していました そして、彼らが夢の世界から戻り 旧世界と戦う事になりましたら 勿論 私もこの戦いには参加するつもりでおりましたから その為に 考えられる案は一通り準備を済ませていたのです 今回はガルバディアの機械は使用出来ないので 祖父上に頼み ソルベキアのシステムを一部借り受けておきました 後は 貴方との接触だったのですが… 私は一度もお会いした事のない貴方に 何故か嫌われてしまっている様でしたので どう切り出そうかと ずっと様子を伺っていたのです」
ベーネットがヴィクトール14世へ顔を向け苦笑する ヴィクトール14世が慌てて言う
「あ、ああっ!いえっ!決してベーネット殿を嫌っていた訳ではっ!」
ベーネットが軽く笑って言う
「あっはは、いえ 悪い癖ですね 今のはわざとです すみません 父や祖父の言動を幼い頃から見ていたのは私も同じです ヴィクトール殿はいつも先代先々代同様に 自分も私に虐められるのかと 気が気でなかったのでしょう?フォローするのも難ですが、彼らとしては あれも愛情表現の一つなのです 多分 ヴィクトール12世様や13世様も それをご存知で居られるのだと思いますよ?」
ヴィクトール14世が視線を落として言う
「あ… はい、それは分かります 私も本人たちからその様に聞いておりましたから …しかし、私は ヴィクトールの名を継ぐ中でも 一番奥病なのだと思います 分かってはいても あの様な言葉や行動は… やっぱり怖くて」
ベーネットがヴィクトール14世を見た後 人知れずしょうがないと言った表情を見せてから言う
「大丈夫ですよ、ヴィクトール殿 その点については 私がこれからも努力致しますから」
ヴィクトール14世が疑問して言う
「え?これからも…努力?」
ベーネットが微笑みを向けて言う
「ええ、我々は デネシアの王とベネテクトの王であると共に 良き相棒となられる様 勤めましょう?両国の為にも」
ヴィクトール14世が疑問した後 微笑して言う
「はい!デネシアとベネテクト 両国の和平の為に!」
ベーネットが微笑する
ヴィクトール14世とベーネットが向かう先で リーザロッテたちが話をしている レリアンが通信を切って言う
「3大国家とガルバディアは 既に戦闘配備が整えられているらしいわ そうとなれば やはり私たちは」
リーザロッテが言う
「ええ!私たち 新世界の勇者は 小さき国々を機械兵の脅威から救って差し上げてよ!」
ロイが言う
「…それで 具体的にどの様な作戦にするのか 小さき国々とひとくぐりに言っても その数はカイッズを始め6ヶ国ある その全てを俺たちで守る事は不可能だ」
リーザロッテがロイの言葉に考えて言う
「確かにそうね 機械兵と同等に戦うには 最低でも2人一組にならなければいけないし」
レイトが言う
「小さき国々でありましても 必ずしも戦力が不十分であるとは言い切られません それに ソルベキアは バーネット1世殿とヴィクトール12世殿がおられますが」
ヴェインが言う
「ソルベキアは 機械兵の生産地だ ソルベキア城を制圧したと言っても 周囲に残る機械兵の数は何処よりも多い その2人とガルバディアの騎士を使ったとしても 更に旧世界から機械兵が送り込まれたりしては 戦力は足りないのではないだろうか?」
シャルロッテがモバイルPCを操作しながら言う
「ソルベキアはアバロンからも兵が送られる様です それから ローゼントにはローレシアと合同の魔法剣士部隊が配備されます」
レリアンが言う
「では、残るはデネシア、カイッズ、ベネテクト、ツヴァイザー、スプローニの5ヶ国ね」
ヴィクトール14世とベーネットが顔を見合わせ微笑してから ヴィクトール14世が言いながら近くへ来る
「デネシアとベネテクトはたった今 友好条約と共に合同戦略協定を組みました 両国の防衛はご安心下さい 母上」
リーザロッテたちが振り向き レリアンがヴィクトール14世と遅れて来たベーネットを見てから少し驚いて言う
「デネシアがベネテクトと…っ?」
ベーネットが微笑して言う
「はい、デネシアの魔力者の力を増幅し ベネテクトの部隊の力を高め 機械兵へ立ち向かいます これで戦力は ローレシア、ローゼントの魔法剣士部隊と ほぼ同じとなる計算です 2ヶ国に振り分けても 十分に足りますので どうぞ 小さき国々の勇者様方は その他の3ヶ国の応援をお考え下さい」
シャルロッテがモバイルPCを操作しながら気付いて言う
「あ、スプローニは ローゼントからの援軍と言う事で ローレシアの魔力者を迎える事になった様です これなら… 戦力は足りると思われます スプローニの防衛は可能です」
ロイが言う
「…では、最終的に 俺たちの力が必要なのは」
ヴェインが言う
「我らツヴァイザーはどうなっているのか?」
シャルロッテがモバイルPCを操作しながら言う
「ツヴァイザーからは 今大戦に関するデータは提示されていません 共にカイッズ… カイッズは 巨人族と共にカイッズの民たちが 祈りを始めたそうです」
レイト、ヴェイン、ロイが衝撃を受け レイトが言う
「カイッズの祈り… これはやはり あの夢の世界の再現では」
ロイが顔を逸らして言う
「…恐らく奴らは 聖母様の助けを求めているのだろう」
レイト、ヴェイン、ロイがリーザロッテを見る リーザロッテは気付かずに言う
「お父様は今大戦の作戦を どの様にお考えなのかしら… 仕方が無いわ 直接私が確認して もし足りていない様なら」
ヴェインが仲間たちへ言う
「俺たちの守る国は どうやらツヴァイザーとカイッズになりそうだ」
レイトが視線を逸らして言う
「ああ… 恐らく」
ロイが言う
「…結局、小さき国々の勇者とは 自国ツヴァイザーと 小さき国々の代表とも言える カイッズを守る勇者 …と言う事なのだな」
レイト、ヴェイン、ロイが息を吐く シャルロッテが苦笑する
【 ? 】
ローブに身を隠した男が 地に機械を埋め込んで言う
「…よし、ここなら」
男の通信機が着信する 男が通信に出て言う
「はい、こちら」
通信機のモニターに映るソニヤが慌てて小声で怒って言う
『ちょっとっ!名乗らなくて良いったら!』
男が一瞬焦って言う
「え?ああっ ごめん…っ」
通信機のソニヤが小声で怒って言う
『謝るのも駄目っ!』
男が困って言う
「あ、えっと… うん、難しいね はは…っ」
通信機のソニヤが周囲を確認してから怒って言う
『もうっ …それより!』
男が気を取り直して言う
「うん、こっちは大丈夫 そっちは?…え?デネシアの?… ……分かった 大丈夫 それなら心当たりがあるよ」
通信機のソニヤが一瞬驚いて言う
『え?本当に?…意外ね?』
男が微笑して言う
「ふふ、僕だって そう言う事ぐらいは心得ているんだよ 見直した?」
通信機のソニヤが一瞬呆気に取られた後 少し頬を染めて言う
『そう言うのは 成功させてから言ってくれるっ!?』
男が笑う ソニヤが言う
『それより急いで!もうすぐ出発よ!?』
男が頷いて言う
「うん!」
男が立ち上がり 通信を切る
【 アバロン国 城下町 】
ニーナが笑顔でローゼックと手を繋ぎ歩いている ローゼックが不満そうに言う
「レクターめ… 本当にニーナの命で あのガルバディアの騎士どもが動きよるのか?『そんな気がする』などと… 相変わらずのん気に言いおってからに…」
ニーナが笑顔で言う
「ローゼックお祖父ちゃんが無事で良かったのー ローレシアの反逆者とか 行方不明とか 色んなお話を聞いて 私はとっても心配していたのー」
ローゼックが気付きニーナへ向き微笑して言う
「そうか、イシュラーンの馬鹿者のお陰で お前に心配を掛けておったのだな では、後日ローレシアを訪れる際は 大福でもねだれば良かろう お前はあれを気に入っておっただろう?」
ニーナが首をかしげ疑問して言う
「ダイフク?」
ローゼックが苦笑して言う
「ああ、あれは夢の世界だけの話であったか 流石に数時間前に現実世界へ戻った私には 記憶の整理がつかなんだ 気にせず忘れよニーナ」
ニーナが間を置いてから笑顔で言う
「うん、気にしないけど 忘れないの!夢の世界の私が気に入った物なら きっと現実世界の私も気に入るの そんな気がするの!」
ローゼックが軽く笑って言う
「…はっはっ そうだな まぁ、あれは私も嫌いではあらなんだ ローレシアでも流行りよれば いつでも手に入る様なりよるわ お前が次にローレシアへ訪ねる時にでも 間に合わせられるよう 一言申して置いてやろう」
ニーナがローゼックへ向いて言う
「でも私は やっぱりローゼックお祖父ちゃんとも 前みたいにアバロンで暮らしたいの… ダメ?」
ローゼックが一瞬呆気に取られた後考えながら言う
「ふむ… 元々私がアバロンにやって来たのは ローレシアとアバロンの全面大戦を何とか出来なんだかとの 策を得る為であったのだが… 確かにアバロンの料理は美味い それに 今は可愛い孫が居りよる あの間抜け大剣使いの相手をするのも …まぁ 面白くもあらなんだ」
ニーナが嬉しそうに言う
「ローゼックお祖父ちゃんが居てくれれば お母さんも喜ぶの!お父さんもお兄ちゃんも ガルバディアの実験で忙しくって お母さんはちょっと寂しそうなの それに 私は やっぱり ローゼックお祖父ちゃんの事も大好きなの だから一緒に居たいのー」
ニーナが話の途中で立ち止まっていたローゼックへ抱き付く ローゼックが驚いた後 頬を染めつつ視線を逸らして言う
「ニ、ニーナ!…そ、そうだな では この戦いが落ち着きよったら」
ニーナが嬉しそうに言う
「本当!?」
ローゼックが困った様子で言う
「あ!?あー いや、その か、考えても良いやもしれぬ…」
ニーナが離れ笑顔で言う
「分かったの!それじゃ 早くローゼックお祖父ちゃんが考えられる様に 私も一杯お手伝いするのー!」
ニーナが嬉しそうに走って行く ローゼックが衝撃を受け慌てて追い駆けながら言う
「ああっ!待たぬかニーナ!物見えぬその目で 駆けたりなど致すな!それから 余り無理を致すではないぞ!?お前が担当しよるのは シュレイザー!最悪守れんでも構わぬ!国は滅ぼうとも 奴らは一目散に逃げよるからな!お前は自分の身を守る事を優先するのだぞ!?聞いて居るのかニーナ!?」
【 ローレシア城 城内 】
ヘクターたちがキルビーグを先頭に通路を行く
地下機械室
扉が開くと 室内に居たスファルツが椅子から立ち上がって言う
「お帰りなさいませ キルビーグ陛下、共にザッツロード王子」
キルビーグが言う
「スファルツ卿 ここに居る我らを皆 旧世界へ転送して貰いたいのだが」
スファルツが頷いて言う
「はい、既に手筈は整えてあります 私が皆様の足を引っ張るような事になっては …シリウス様は 喜んで私を虐められると 思われますので…」
スファルツが視線を逸らし怯える ザッツロードたちが衝撃を受け顔を見合わせ怯え ソニヤが言う
「あ、あのスファルツ卿すら怯える シリウス元国王様って一体」
ラナが言う
「…姿はさっき確認したけど 何だかもう 想像が付かないわね」
ザッツロードが言う
「でも、僕らはこれから そのシリウス元国王様の所へ行くんだ だからもう、想像出来ないものを考える必要も 無いんじゃないかな?」
ソニヤが怒って言う
「そのシリウス元国王様の所へ行くからこそっ 想像するんじゃないっ!」
スファルツが機械を操作し 転送装置を起動させて言う
「ささ、皆様 そちらの転送装置へと お入り下さい とっとと転送させて頂きます」
皆が衝撃を受け苦笑する 装置が高鳴る スファルツが操作を終え皆へ向いて言う
「こちらの世界は バーネット1世殿やイシュラーン様 ラグヴェルス国王やハリッグ元国王 その他国々の勇士が ガルバディアの騎士たちと共に守り抜くでしょう 私も微力ながら 可能な限りの力添えをさせて頂きますので どうかご安心を そして、皆様と旧ローレシア帝国の民が こちらへお戻りになるのを お待ちしております」
キルビーグが頷いて言う
「うむ、スファルツ卿 後を頼む」
スファルツが言う
「お任せ下さい キルビーグ陛下」
スファルツが敬礼した後 皆が転送される スファルツがモニターを確認してホッと息を吐く
【 旧世界 ローンルーズ国 地下転送室 】
転送装置が唸り ヘクターたちが転送されて来る 薄暗い部屋の中ヘクターたちが目を凝らして周囲を見る ラインツが僅かな光りを持って来て言う
「どうやら 無事来られたみてーだな?」
ヘクターが気付いて言う
「親父!?」
ラインツが近くまで来て言う
「よう、4年振りだな ヘクター 元気だったか?」
ヘクターがラインツの近くへ来て 苦笑して言う
「元気だったも何も 俺たちは皆 現実世界では眠りっぱなしで それこそ夢の世界を守ってたんだぜ?」
ラインツが苦笑し頭を掻きながら言う
「っははっ ああ、そーだったな!悪ぃ悪ぃ 俺らがやったんだったぜ!」
皆がラインツの近くへ来て ルーゼックが言う
「それより、ここは何処であるのか?地下の様だが?旧ローレシア帝国ではあらぬ様だ」
ラインツが言う
「ああ、ここは旧世界のローンルーズ国だ まぁ こんな所で説明するのも難だし シリウスも待ってる まずは上へ行こうぜ?」
皆が衝撃を受ける ラインツが先行する 皆が顔を見合わせた後ラインツの後に続く
【 新世界 上空 】
ドラゴンに乗って移動中のリーザロッテたち リーザロッテが困った表情で言う
「もうっ 小さき国々の勇者である私が 自国の防衛を行う事になってしまうだなんて これでは 勇者としての勤めが果たせなくってよ!?」
レリアンが微笑して言う
「そうは言っても、リーザ 自国の防衛が出来なければ 勇者は自国の民にとっての勇者にはならないわ 今回はツヴァイザーと共に カイッズを守ることが出来れば 少なくともその両国の勇者にはなるのだから それに励みましょう?」
リーザロッテが不満そうに言う
「それはそうかもしれないけど…」
レリアンが微笑む リーザロッテが疑問し微笑して言う
「レリアン?何か良い事でもあって?」
レリアンが呆気に取られて言う
「え?」
リーザロッテが言う
「折角アバロンへ行ったと言うのに オライオンや羽付きには会えなかったし 勇者の勤めもツヴァイザーとカイッズだけ 私としては 少し物足りない気分だけど その私の相棒であるレリアンは さっきからずっと機嫌が良さそうでしてよ?」
レリアンが呆気に取られた後軽く笑って言う
「ああ、違うのよ ちょっと 安心したものだから」
リーザロッテが疑問して言う
「安心?」
レリアンが少し考えた後微笑して言う
「ええ、やはり私も 小さき国々の勇者である前に 祖国の防衛が気になっていたみたい」
リーザロッテが気付いて言う
「ああ、ヴィクトール14世陛下の事でしてね?ベネテクトのベーネット陛下と同盟を結ばれたのでしてね!」
レリアンが微笑して言う
「ええ、非常事態とは言え それまで敵対国であった両国で 時間を掛けず合同戦略協定を結べたのは 奇跡的だわ」
リーザロッテが言う
「デネシアとベネテクトが仲が悪いのは知っていたけど ヴィクトール14世陛下とベーネット陛下だもの 両者の家系を考えたら 当然ではなくって?」
レリアンが言う
「それが、そうでもなかったのよ デネシアは代々ガルバディアの力を当てに ヴィクトールと言う名の血族を繋いではいたけれど ヴィクトール14世はガルバディアともベーネット殿とも接触を取らないで居たから 今戦いではデネシアはローレシアに守って頂くものと 誰しもが思っていたのよ もっとも私は 例えそうなろうとも あのバーネット様方からは ヴィクトール陛下共々 独立して下さるのを期待していたのだけど」
リーザロッテが言う
「あのヴィクトール陛下のご子息であるヴィクトール14世陛下が バーネット陛下の息子であるベーネット陛下と接触を取らずにいた?意外でしてよ?レリアンがそうしろと言い付けたのでして?」
レリアンが苦笑して言う
「いいえ、ヴィクトールが元々ベーネット殿を恐れていたのよ 父と祖父がバーネット様方に脅されているのを見てね あの子は 戦いの中に置いては大丈夫なのだけど 事、平常時は 誰よりも臆病だから でも、バーネット様方とは違い あのベーネット殿なら ヴィクトールが受け入れたのも分かる気がするわ 私も…」
リーザロッテがバーネットとベーネットの違いを考えてから 微笑して言う
「確かに、バーネット陛下とベーネット陛下は 随分と違っていらっしゃるわ もしかして、ベーネット陛下はヴィクトール14世陛下との接触を取る為に わざとあの言動を変えたのかしら?」
レリアンが呆気に取られて言う
「え…?」
リーザロッテが考える様子で言う
「だって、バーネット陛下のお父上であられるバーネット1世様も 姿も言動もそっくりでしてよ?それを踏まえたら 1王1王子のベネテクトで バーネット陛下と過ごされていたベーネット陛下は あの言動が改められる事は 無いのではなくって?」
レリアンが昔の事を思い出して言う
「そう言えば… 確かに私が初めてベーネット殿と …いえ、初めてお会いした時は 自らバーネット3世と名乗られたわ?それに バーネット殿に負けず劣らず 口の悪いお子だった… だから私は デネシアの王にする事も考えていたヴィクトールの相棒として 彼ではやはり良くないと考えていた筈…」
【 デネシア城 玉座の間 】
玉座の前に立つヴィクトール14世が言う
「我らデネシアは ベネテクトと友好条約、共に合同戦略協定を結んだ そして、まもなく始められる新世界旧世界との戦いに置いて 万が一 デネシア、ベネテクト そのどちらかに侵略が見受けられた際は 我らは共に力を集結しこれを討ち払う その時が訪れない事は何よりではあるが 訪れてから対策を行ったのでは間に合わない よって、これより デネシア魔力者部隊は 私と共にベネテクトへ向かい ベネテクト部隊との合同訓練を行う」
玉座の間に集まっていた デネシア部隊の魔力者たちがざわめく ベーネットがヴィクトール14世から一歩前へ進み出て微笑して言う
「我らベネテクト部隊は デネシア国の魔力者である貴方方の来国を予てから待ちわびています 貴方方が私やヴィクトール殿と共にベネテクトの地に降り立てば すぐにでも演習訓練は開始出来るでしょう どうかそのつもりでベネテクトへ向かって下さい 残念ながらゆっくり親睦を深める時間はありません 従って今回は 両国が共に戦う事で 共に生き残られるのだという その事を肝に銘じ 訓練へ励んで下さい」
ヴィクトール14世が呆気に取られた後苦笑して言う
「うん、そうだね 深い信頼を得られる時間は残念ながら取られそうも無い だから今は 自分たちが助かる為に共に戦う その思いで乗り切るしかないのかもしれない… しかし、皆 決して忘れないでくれ 我々は この新世界に共に生きる仲間だ!そして戦いの相手は この新世界を侵略しようと企む 旧世界からの機械兵 我らデネシアはベネテクトと共に戦い 共に勝利する!」
デネシア部隊の魔力者たちがざわつく 隊長たちが敬礼して言う
「「「我らの王 ヴィクトール陛下と 友好国ベネテクトの王 ベーネット様に 敬礼!」」」
デネシア部隊員らが慌てて敬礼する ヴィクトール14世が苦笑する
【 ソルベキア城 玉座の間 】
バーネット1世が怒りを押し殺している ヴィクトール12世が笑顔で食事を食べている バーネット1世が怒って叫ぶ
「ちくしょぉおおっ!ベーネットがぁあ!この空腹に耐える俺様へ デネシア部隊の魔力増幅を依頼しやがるたぁああ!あいつは どんな教育を受けてやがるんだぁああ!?」
ヴィクトール12世が苦笑して言う
「まぁ、そう言わずに 折角ベーネット殿が 君を慕って依頼して来たのだから 君も珍しくベーネット殿から通信を受け 嬉しそうにしていたではないか?ここは一つ 君も祖父らしい所を見せてやるべきだろう?バーネット?」
バーネットが衝撃を受け頬を染めつつ顔を逸らして言う
「だ、だったらぁあ まずは 配下に入れやがったデネシア部隊の一兵士でも使いやがって 俺様宛ての食料調達をしやがれってぇんだぁ この後 アバロン部隊の援護もしやがる事を考えりゃぁ たかが演習訓練の手伝いなんざ やってやれねぇえんだよぉ…」
バーネット1世が俯く 腹の虫が鳴く ヴィクトール12世が困った様子で言う
「デネシアの魔力者では 対人移動魔法は難しいだろう 元々デネシアはガルバディアの力に頼っていたからな… もっとも そのお陰で ガルバディアが国を閉ざしてからは すっかりローレシアから遅れを取ってしまったらしいが それより、バーネット 君もローレシアからの配給にありつくと良い 折角ローゼック殿が君に心を配り 味の薄いローレシアの料理に合うようにと 大量の塩も送ってくれたのだ」
バーネット1世が怒って指差して言う
「るせぇええ!何がバーネット1世殿へ心を込めてだぁああ!?大陸一海に近いデネシアの元国王が わざわざ切り出しの岩塩なんざ 送りやがってぇええ!この俺に自分で削って使いやがれって 言ってやがるんじゃねぇええかぁあ!?」
かなり大きな岩塩が立っている ヴィクトール12世が笑顔で言う
「まぁ、そう怒るなバーネット 岩塩は元は貴重で美味い塩だ まさか、これほど見事な大きさのものを贈ってくれるとは 私も驚いたが きっと味は良いのではないかな?…まぁ削るのは大変そうだが」
ヴィクトール12世が笑顔で食事を食べる バーネット1世が怒っている
【 旧世界 ローンルーズ国 】
地上へ出て来たヘクターたち 瓦礫の上に腰を下ろしていたシリウスが視線を向けて言う
「ふむ、やっと餌が届きおったか?」
皆が衝撃を受ける ラインツがシリウスの横へ行く 皆がシリウスの前に集まり バーネットが言う
「俺らが餌だってぇんなら この俺らをシリウスBへ謙譲して 旧ローレシア帝国の民を転送させる間の 時間稼ぎでもしやがろうってぇのかぁ?」
シリウスが言う
「そんなつまらぬ策など 我は作らぬ お前らをシリウスBの前へばら撒き 奴らがお前らに気を取られておる隙に 旧ローレシア帝国の民を転送させるのじゃ」
バーネットが衝撃を受け怒って言う
「同じじゃねぇえかぁああ!?」
シリウスが不満そうに言う
「同じではあらぬわ愚か者 この我が 謙譲致す事などあらぬ」
ラインツが言う
「まぁ 説明自体はそんな感じなんだが 実際にやるとなれば簡単じゃねーんだ 向うは機械兵だけじゃなくって 旧世界の民も従えてるからな あいつらは普通の俺らより素早くってよー?おまけに 新世界から連れ去られて来て使われてる ソイッド村の魔術師たちを傷つける訳にも行かねーし」
ヴェルアロンスライツァーが言う
「その旧世界の民とは?我らと同じく 新世界における後住民族とは違うのだろうか?」
シリウスが言う
「元は同じであったのじゃ が、シリウスBが 新世界の先住民族と同等に 旧世界の民を新たな種族へと 変えてしもうたらしいのじゃ」
ロキがロスラグを見た後言う
「…新世界の先住民族と同等に と言う事は 人でありながら宝玉の力を使い 動物の姿へ変われると言う事だろうか?」
ロスラグが言う
「それなら 前の夢の世界の バーネット陛下みたいッスね!」
バーネットが疑問する シリウスが言う
「宝玉で人の姿のプログラムを実行致す事 それは我が施した事じゃ それ以前にあやつが致した事は 新世界に置いて 動物に人の知能を与えた事 そして、ローレシア帝国から送られた情報を元に考えられる事として あやつが致した事は 旧世界の民へ動物の力を与えたのじゃろう」
ヘクターたちが驚き ソニヤが言う
「ちょっと待ってよ!?それじゃ!シリウスBは 以前に私たちの新世界へ 来ていたって事!?」
シリウスが疑問して言う
「なんじゃ?バーネットから聞いておらぬのか?今、新世界におる 我らは皆 元々はこの旧世界にのみ存在しておったのじゃ そして、奴は ガルバディアの隠されし王であったシリウスBは この旧世界を追い出され 当時は未開の地であった 新世界へと送られよった そこで、奴は 動物しか居らなかった新世界にて 己の寂しさを紛らわせる為に その動物たちへ 人と同等の知能を与えたのじゃ」
ラインツが言う
「その後になって、こっちの旧世界が悪魔力に滅ぼされちまったんだってよ それで、俺たちの先祖は 新世界へ移ったんだ けど、その新世界には普通の動物だけじゃなくって シリウスBに作られた 人と同等の知能を持った動物たちが先に居たんだ だから俺らの先祖たちは そいつらを先住民族って呼んだんだぜ」
ヘクターたちが呆気に取られた後 顔を見合わせデス1stが言う
「なるほど、先住民族はシリウスBに作られたものであったのか」
デス2ndが言う
「シリウスBは最初は新世界に送られ 後に旧世界の人々と共にシリウス国王が新世界へと移った故に 今度はシリウスBが この旧世界へ移されたと言う事か」
シリウスが言う
「我は新世界へ移った民らと共に 旧世界を救うための策を練るつもりであったのじゃ それまでの間は シリウスBがこの旧世界を守ってくれよるとな… じゃが、我らは時を掛け過ぎてしもうた もっと早くあの夢の世界を操るプログラムを 考え付いておれば良かったのやもしれぬが 今更悔いた所で意味はあらぬ」
バーネットが言う
「シリウスBは 新世界へ向かった俺らが手を拱いている間に こっちの旧世界に残った民へ 動物の力を移すなんて事を しちまいやがったってぇのか?」
シリウスが言う
「我らが新世界へ移った理由は あの機械兵どもの暴走であった 我らは新世界へ逃れる事で生き延びたが シリウスBは人の力では倒せぬ機械兵と戦う事を選んだ旧世界の民へ 動物の力を取り入れる事で 戦力の増加を図ったのじゃろう」
ヴィクトールが言う
「戦力の増加を図るなら 何も人の身へ変化をもたらすような事をやらなくても… あのヴァルキリーの様に 機械の鎧を作れば良かったのでは?」
シリウスが言う
「我とシリウスBは 同等の知能を有しては居るが 得意とする分野が異なるのじゃ 我は機械を得意と致すが 奴が得意と致すのは生態 奴が機械の鎧を作らぬ様に 我は奴の様に生物の身を変化させよる事は 得意とせぬのじゃ」
バーネットが不満そうに言う
「どんな理由がありやがろうとっ!人や動物の生態を 人の手で変化させやがるなんざ 気に入らねぇ!」
シリウスが苦笑して言う
「それはお前が我の子孫であるからじゃろう?その証拠に 奴は人の身を機械で覆う事に嫌悪しておるわ」
バーネットが呆気に取られる シリウスが言う
「それはそうと、今この世界には シリウスBの味方となった旧世界の民と 我らの救いを待ち続けておる旧ローレシア帝国の民 その2つの民が居るのじゃ 我らは一刻も早く旧ローレシア帝国の民を新世界へ助け出してやらねばならぬ」
ラインツが言う
「俺らが立てた作戦は お前らも含めて俺らが新世界からの反撃!…って感じでよ シリウスBたちの所へ正面から殴り込むんだ!その間に 旧ローレシア帝国から 新世界のローレシアへ 旧世界の民たちを転送させる!俺らは作戦が成功したら またここの転送装置を使って 新世界へ戻る ここの転送装置は少人数しか送れねーらしい」
シリウスが言う
「お前らがローレシアから転送されおった時点で 我から旧ローレシア帝国の者へ連絡を入れておいた 既に新世界へ向けての転送準備はなされておる筈じゃ 後は我らが事を起こすのを待つばかりである筈 さぁ、参るぞ?」
ラインツがシリウスを肩に乗せる ソニヤが焦って言う
「え!?い、いきなり乗り込むのっ!?」
ヘクターが言う
「ここまで来たんだ さっさと乗り込んじまおうぜ!?それで 乗り込んだ後は シリウスBをぶん殴れば良いのか?」
バーネットが言う
「相手は闇の王とは言え プログラマーだぜ 馬鹿力のてめぇらアバロンの民が 全力でぶん殴ったりしやがったら 色々聞き出す前にぶっ殺しちまう事になりやがるだろがぁ?ちったぁ手加減しやがれよ?」
ヘクターが呆気に取られた後苦笑して頭を掻く シリウスが言う
「その心配はあらぬ お前ら程度が全力で立ち向かった所で シリウスBには傷一つ付けられぬじゃろう」
ヘクターたちが呆気に取られヘクターとバーネットが思わず疑問して声を合わせる
「「あぁ?」」
デス2ndが言う
「シリウス元国王、貴方はヘクターの力を 夢の世界とは言え確認していた筈 他の戦士たちの力も同じく その言葉はそれらの情報を考慮した上での 言葉であろうか?」
シリウスが言う
「無論じゃ、お前たちは確かに夢の世界に置いて 他者に比べ強力な力を有しておった じゃが、己の力に溺れるではないぞ?お前たちが強くあったのは たかが夢の世界だけでの話 限られた空間で最強であったからと慢心しておっては 今作戦の主たる目くらましの役目すら果たせず やられよるじゃろう」
ヘクターたちが呆気に取られ数人が顔を見合わせる ラインツが苦笑して言う
「まぁ、そんなに脅かすなよ シリウス お前らもそんなに固くなるなって!シリウスは、お前らならこの作戦を成功させられるって思ったから ここに呼んだんだぜ?じゃなかったら 大切な民をむざむざ餌にするなんて 俺ら新世界の王であるシリウスが やる訳ねーだろ?」
皆が驚き呆気に取られる ヴィクトールが言う
「新世界の王?」
シリウスが言う
「ラインツ、余計な事は申すな 我は気を引き締めて向かえと 言っておるだけじゃ お前らの力なら 奴の気を引く程度の事は出来よる計算じゃ 分かったら、その辺りに固まりよれ 我がまとめて奴の城へ放り込んでやるわ」
シリウスが指差す ラインツが移動する ソニヤがシリウスの裸足を見て疑問して目で追う ラナがソニヤへ言う
「ほら、ぼーっとしない 早く行かないとシリウス様に怒られるでしょ」
ソニヤがハッとして言う
「あ、う、うん…」
ソニヤが慌てて皆の下へ行く シリウスがデス1stとデス2ndへ言う
「ファースト、セカンド 着地へのフォローはお前らが勝手にやりよれ 我は飛ばすだけで 後はローレシアへの連絡を行う」
デス1stとデス2ndが顔を見合わせた後言う
「「Yes ours Lord」」
ヘクターがデス1stとデス2ndを見る シリウスが目を閉じ周囲にプログラムの数字の羅列を表す 2人のデスが目を閉じシリウスのプログラムと同期させる 皆が緊張し気を引き締める ラインツが視線を強めると同時に皆が移動プログラムで飛んで行く
【 旧ガルバディア城 】
シリウスBが目を開けて言う
「来たか…」
シリウスBの横にモニターが現れ 文章を読んだシリウスBが言う
「作戦は順調 クックック… どうやら 私の戦略プログラムが勝った様だぞ?シリウス…」
【 新世界 ベネテクト城 玉座の間 】
ベーネットが驚いて言う
「何ですって!?ヴィクトール殿が行方不明!?」
デネシア部隊第2隊長が言う
「はい!デネシア、ベネテクト両部隊の合同演習を行っていた最中までは お姿の確認がされているのですが いつの間にか 誰の目にも確認されず」
ベーネットが言う
「いくら慣れない訓練に気を取られていたとは言え 諸公は300を超える人数で居たのだ ベネテクト部隊を加えれば約600 その誰の目にも映らず姿を消すなどは不可能に近い 本当に誰も目撃した者は居ないのか?」
第2隊長が言う
「はい!デネシア部隊は勿論 ベネテクト部隊の方にも確認を取りました しかし 誰の目にも 我らの演習を真剣に見守られていたヴィクトール陛下のお姿を最後に それ以上の情報は得られませんでした」
モフュルスが言う
「ベーネット陛下!すぐに 全ベネテクト部隊及びベネテクト国内の民へ連絡を!皆で手分けをして探しませんと!もしもの事があってはっ!」
第2隊長が言う
「我々もすぐに訓練を中止し ヴィクトール陛下の捜索に向かいます!」
第2隊長が敬礼し立ち去ろうとする ベーネットが言う
「待てっ!」
第2隊長が振り返る
【 ローレシア国 城下町 街中 】
ベーネットがローブで身を隠しつつ道を行く 周囲にねずみが道を示して数匹走り 1匹がベーネットの肩へ乗って来てチュウチュウと何か伝える様に鳴く ベーネットがそれを聞いた後微笑して言う
「分かりました ご協力感謝いたします チョッポクルス殿」
ねずみが衝撃を受け 不満そうにチュウチュウ鳴く ベーネットが苦笑して言う
「ああ、すみません 以後気を付けます それと、例の物は 既にシュレイザーへお届けさせました どうぞ皆さんで召し上がって下さい」
ねずみが気付き嬉しそうにチーズを想像して去ろうとして止まり 考えた後振り返ってベーネットを見上げて心配そうに見つめる ベーネットが疑問した後微笑して言う
「私なら大丈夫です それに、出来れば使いたくは無いですが 念の為、助っ人も用意しました …あぁ、この事は父上には 内緒にしておいて頂けますか?お礼は世界一美味しいとされる 某国のとろけるチーズをお届け致しますので」
ねずみが衝撃を受け とろけるチーズを想像しハートを飛ばす ハッとしてベーネットへ何か言う ベーネットが疑問してから微笑して言う
「え…?えぇっと… ちょっと分かりませんが 私は必ずヴィクトール殿をお助け致します ご心配なく 何と言っても彼は私の相棒ですから …どこぞのクソ野郎どもに とっ捕まったままでなんざ させておけねぇえからなぁ?」
ねずみが驚く ベーネットが目の前の店を見据え悪っぽく笑んで鞭を取り出す ねずみがベーネットと店を見て心配する
ベーネットが店の扉を蹴破り言う
「俺はベネテクトの王 バーネット3世だぁ この俺様の相棒をひっ捕らえやがった ローレシアかぶれのデネシア野郎は てめぇえらかぁ?」
店の中に居たならず者たちが怒って言う
「んだとぉ 誰がローレシアかぶれだぁあ!?俺たちは生まれも育ちも このローレシアだぜ!デネシアのモンじゃねぇえ!!」
ならず者たちが笑い言う
「ベネテクトの貧弱国王が 一人で乗り込んで来やがるなんて 馬鹿な野郎だぜ」
ならず者たちが言う
「無理もねぇ… 今 このローレシアは ローゼント以外の他国民の受け入れを止めちまってるからなぁ?ベネテクトの兵を大勢連れて来ようったって そうは行かねぇ てめぇもひっ捕らえれば 報酬は3倍だぜ!」
ベーネットが気付いて言う
「報酬だぁ?てめぇら… デネシアの反逆者じゃぁねぇってぇ事か」
ならず者たちが顔を見合わせた後笑って言う
「あははっ!聞いたか!?デネシアの反逆者だってよぉ?何の情報を掴んで来やがったんだかなぁ!?」
ならず者たちが笑い合い言う
「だが、丁度良いぜ 知らねぇなら 知らねぇまま… ひっ捕らえろーっ!!」
ならず者たちが一斉にベーネットへ襲い掛かる ベーネットが舌打ちをして言う
「チッ… 俺とした事がちょいと計算違いをしちまったらしい やっぱり ヴィクトール殿に気ぃなんざ使ってやがるからだぁ ったく… いつまで持つのか 今更心配になって来やがったぜ」
ベーネットが気を切り替え鞭を振り翳す
店の地下 隠し部屋
ヴィクトール14世が溜息を吐いて言う
「ああ… 僕は何て情けないんだろう 同じ手に引っ掛かって ならず者に捕まってしまうなんて… やっぱりまた 身代金目的に使われるのかなぁ」
ヴィクトール14世が俯く
【 ソルベキア城 玉座の間 】
バーネット1世が横を向いて叫ぶ
「あぁあ!?あの軟弱ヴィクトール14世が また 行方不明になりやがっただぁあ!?」
床に置かれた通信機のモフュルスが困った様子で言う
『はい、そうなのです それ故に 現在ベーネット陛下が 単身ローレシアへ乗り込んでおります』
ヴィクトール12世が表情を困らせて言う
「きっと14世はまた デネシアの王であるヴィクトール14世へ 民が助けを求めているなどと騙され 素直に付いて行ってしまったのであろう あの子は誰に似たのか 他人を信じ過ぎる所があるからなぁ」
バーネット1世が振り向いて言う
「そぉお言うてめぇえも同じだろぉがぁ?俺が初めてデネシアへてめぇえを貰いに行った時 丁度ごろつきどもなんざに 捕まってやがったじゃぁねぇかぁ?でもってぇ てめぇの貰い手であるベネテクトは その身代金を要求されやがったんだぜぇ?」
ヴィクトール12世が苦笑して言う
「そして君は 真っ向からそれを断り 代わりに真正面から ならず者たちへ立ち向かい 私を救出してくれたのだったな?バーネット?」
バーネット1世が怒って言う
「ハッ!当ったり前ぇえだぁ 誰が 野良猫の身代金なんざ 払ってやるもんかぁ んな金がありやがるんなら 俺はベネテクトの民にくれてやるぜぇ」
バーネット1世が顔の向きを変え 通信機に向かって言う
「おいっ!モフュルス!3世の奴ぁあ 死んでも ごろつきどもに金なんざ 払いやがってねぇえだろぉおなぁああ!?」
通信機のモフュルスが笑顔で言う
『勿論でございますバーネット陛下 我らの王バーネット3世陛下は 先代、先々代に続き 今回も順調に デネシアのならず者をひっ捕らえると仰せになり 張り切って向かわれました』
バーネット1世が満足そうに笑い正面を向いて言う
「はっはー なら良い 今回もあのフォルクレ一家の野郎を 逆にひっ捕らえて 賠償金をたらふく剥ぎ取ってやれ!あの賠償金で 俺らはいつもベネテクトの王冠を作ってやってるんだぁ 今回は高くて派手な奴を一発作って 見せ付けてやりゃぁ良いぜぇ」
バーネット1世が笑う ヴィクトール12世が苦笑して言う
「そう 毎回多額の賠償金を フォルクレ一家から巻き上げるから 次の世代でも同様の事件が起きるのではないかな?バーネット そろそろ その伝統も終わりにしてくれねば その度に我らヴィクトールの名を継ぐものが 幼少の頃から恐ろしい目に会わされるのだよ?あのならず者たちに捕らえられ脅される恐怖は 幼心に辛いものだ …もっとも その私を助けに来てくれた君の言動こそ 幼い私には何よりも恐ろしかったがなぁ?はっはっは」
バーネット1世が呆気に取られた後笑んで言う
「ハッ!こっちだって 幼心にごろつきどもへ1人で立ち向かうのは 恐ろしいもんだったぜぇ?それでも 俺の相棒になる奴が ひっ捕らえられてるんだってぇ 聞かされれりゃぁ 行かねぇ訳にもいかねぇだろぉ?」
バーネット1世がヴィクトール12世へ視線を向ける ヴィクトール12世が呆気に取られた後微笑んで言う
「ああ、あの一軒で君はマイクロトランスミッターを酷使してしまい 右足の神経を損傷してしまったのだったな ガルバディアのシステムを使用するための装置を 自身の身に逆利用する事で 一時的に突発的な速さを得られる とは言え その力は諸刃の剣だ …やはり私は 君たちにその様な使い方はして欲しくないと思う だが、あの時の事は今でも感謝しているよ バーネット」
ヴィクトール12世がバーネット1世へ微笑む バーネット1世がはっとして 頬を染めつつ慌てて視線を逸らして作業に戻って言う
「べ、別に感謝なんざ しやがらなくっても良いが… 一応、俺らベネテクト王家の奴としても その使い方をしてだって戦えるんだって事を実戦で知るのに 丁度良いと言うか… だなぁ?まぁ、てめぇの相棒を助けるぐれぇの事が無けりゃ やりたかねぇが… い、いや お、俺はっ つまり その… だっ!?い、痛てぇええ!!」
バーネット1世が岩塩を削っていた金槌で指を打ち 転げまわって痛がる ヴィクトール12世が衝撃を受け慌てて言う
「ああっ!バーネット!?大丈夫かっ!?よそ見をしてはいけない」
バーネット1世が痛みに耐える ヴィクトール12世が苦笑する 通信機のモフュルスがハッとして言う
『おや?しかし バーネット陛下 考えてみれば そのフォルクレ一家との毎世の一件は ベーネット陛下の代に関しましては 既に終えられているのでは ありませんでしたでしょうか?』
バーネット1世が気付き 打ち付けた指をくわえながら言う
「んあ…?ああ… そういやぁ そうじゃねぇか?んで、その時の3世の奴に すっかり怯えちまったヴィクトール14世の奴を 何とか誤魔化そうってぇえ事で バーネット3世がベーネットになっちまったんだぁ でもってぇ あの ベネテクトの王らしからねぇ 甘ったりぃ野郎を演じる羽目になりやがった訳だが」
ヴィクトール12世が苦笑して言う
「ああ、そう言えばそうであったな ヴィクトールはバーネット3世に助けられておきながら その時の余りの恐ろしさに失神し 自分が彼に助けられたと言う記憶さえも忘れてしまっていた しかし、ベーネット殿はアバロンでの再開の時は それを逆手に取り バーネット3世の事を忘れさせたままに 再接触を図っていたな?」
バーネット1世が岩塩の欠片を料理に入れ かき混ぜながら言う
「ふん… てぇ事は 今回は 何処の誰に 盗まれやがったんだぁ?あの野良猫14世がぁ」
【 ローレシア国 城下町 店内地下室 】
ならず者が壁に叩き付けられる ベーネットがならず者を締め上げて言う
「さぁ… そろそろ答えてもらいましょうかねぇえ?俺の相棒を何処へ隠しやがったのか… いい加減吐きやがらねぇと」
ベーネットが鞭を床に叩き付ける ならず者が目を瞑って言う
「い、言えねぇんだぁっ 頼む!助けてくれぇ…」
床に倒れているならず者たちが怯えて言う
「ど、どうなってるんだぁ?!何で!?目の前から 消えるみてぇに…」
「ベネテクトの王は すばしっこいとは聞いたが ありゃ 人の素早さを超えてやがる… 目で追えねぇだなんて 一体どうなって」
ベーネットがならず者に凄んで言う
「この建物の中に居るってぇえ事は分かってやがるんだぜぇ?どぉしても言えねぇってぇんなら…」
ベーネットが鞭を振り上げる
隠し部屋
ベーネットの居る部屋の隣 ヴィクトール14世が隣室の鞭の音と悲鳴に怯えている ヴィクトール14世が震えつつ鞭の音に強く目を閉じ言う
「何が起きてるのっ!?皆凄く恐れて 悲鳴が… あれは本当に 人が心から恐れている声 痛がっている声… 怖い… 怖いよぉっ」
ヴィクトール14世が目を閉じ耳を塞ぐ
店地下室
ベーネットが息を切らしつつ周囲を見渡して言う
「あぁ?どうなってやがる…?何で てめぇらは そこまで…」
ならず者たちが虫の息で倒れている ベーネットがならず者の1人を締め上げる ならず者が苦しそうに目を開いて言う
「俺たちは… ローレシアの…との約束を… 守りてぇんだ… 俺たちだって… この国の…」
ベーネットがならず者の目を見てから 一つ息を吐いて言う
「てめぇらには 詳しく話を聞く必要があるみてぇだな だが、その前に…」
ならず者が怯えきつく目を瞑る ベーネットが苦笑して言う
「その身を回復させろ …悪かったな てめぇらを ただのごろつきどもと 勘違いしちまってよ?」
ならず者が驚き目を開きベーネットを見る ベーネットが微笑し ならず者を静かに床へ下ろし通信機を取り出し言う
「モフュルス、制圧は終わったぜ ちょいと派手にやり過ぎちまったぁ 早いとこ保護してやってくれ それから こいつらには聞き出さなけりゃならねぇ事がありやがる フォルクレ一家や デネシアの者じゃねぇらしい」
通信機のモフュルスが言う
『分かりました バーネット3世陛下 イシュラーン様への交渉は無事終えておりますので これより5分後に店へ救護の者を送って頂けるよう 連絡致します』
ベーネットが言う
「ああ、後は頼むぜ 俺はヴィクトール殿を連れて とんずらすっからよぉ」
通信機のモフュルスが微笑して言う
『はい、畏まりました ベーネット陛下?』
ベーネットが呆気に取られてから苦笑して言う
「ああ、そうだった」
通信機のモフュルスが微笑んでから消える ベーネットが通信機をしまい 周囲を見渡して言う
「さて…」
ベーネットが一度目を閉じ 周囲にプログラムを発生させ目を開くと 瞳の色が赤くなっている
隠し部屋
ヴィクトール14世が目を閉じ耳を塞いで怯えている 壁が破壊され ビクッとして震える 足音が近付き ヴィクトール14世が恐る恐る目を開き 前方下 ベーネットの足元を見た後 その横の鞭に驚き怯え 恐る恐る視線を上げる 爆煙の中 ベーネットの金髪と赤い瞳を見て 幼い頃の記憶がフラッシュバックし ヴィクトール14世が怯え 悲鳴を上げる
「うわぁあああっ!」
ヴィクトール14世が一瞬間を置いて失神する ベーネットが驚き 倒れそうになったヴィクトール14世の身を慌てて抑えて言う
「ヴィクトール殿っ!?」
店の外
ベーネットが路地裏に身を潜め 店へ入って行くローレシア兵を確認して ホッと息を吐いて言う
「何とか間に合いましたね それにしても まさか ヴィクトール殿が私を見て失神してしまうとは 今回は返り血も浴びていなかったのに 私の何がそんなに恐ろしいのでしょう?」
ベーネットが振り返る 運び出したヴィクトール14世が壁を背に失神したまま居る ベーネットが溜息を付いた後 苦笑し ヴィクトール14世の肩を抱え運び歩き出す
ヴィクトール14世が意識を取り戻し目を開き ぼうっとベーネットのビッコを引ている右足を見た後 横顔を見る ベーネットが気付きヴィクトール14世の顔を見た後 苦笑して言う
「ヴィクトール殿、気付かれましたか 良かった」
ベーネットが立ち止まり一息吐く ヴィクトール14世が疑問して言う
「ベーネット…殿?」
ベーネットが微笑んで言う
「はい、ベーネットです ヴィクトール殿」
ヴィクトール14世がハッとして身を立て直して言う
「あ、あれっ!?何で!?君がっ!?僕はっ!?」
ベーネットが軽く笑って言う
「意識を取り戻して頂けて良かったです 何とか町の外まで運ぼうと思ったのですが 甲冑を着込まれた大剣使い様の身を運ぶのは 貧弱な私には少々骨でして」
ヴィクトール14世が驚いて言う
「あ!ああっ ご、ごめん!…え!?まさか ベーネット殿が僕を助けに!?」
ベーネットが微笑して言う
「はい、シュレイザーの知り合いたちにも力を借りましたが 何とか無事 貴方を救出致しました」
ヴィクトール14世が疑問して言う
「シュレイザーの?…そう言えば 昔、僕がさらわれた時に居場所を特定してくれたのも 確かシュレイザーの先住民族たち…」
ベーネットが軽く笑って言う
「ええ、彼らは物探しなどが得意らしいですよ 実は その特技を使って各国の密偵なども行っているのだとか それと、今回はローレシアの前王であられる イシュラーン殿にもお力添えを頂き 事態の収拾を図りました デネシアの王であられるヴィクトール殿が ならず者に誘拐されてしまったとあっては 少々…」
ヴィクトール14世が衝撃を受け慌てて言う
「ああっ!そ、そうだね!えっと… その、友好条約を交わしたとは言え その途端に貴方へ こんな迷惑を掛けてしまうだなんて… 本当に申し訳ない」
ヴィクトール14世が困った様子で恥じて頭を掻く ベーネットが一瞬間を置いた後微笑んで言う
「どうぞ、お気になさらず 我々は相棒同士ではありませんか?その私が 貴方を助けに向かうのは当然です」
ヴィクトール14世が呆気に取られベーネットを見る ベーネットが微笑んで見せる ヴィクトール14世が苦笑して言う
「はい、ありがとうございます ベーネット殿 しかし、その… どうお礼をしたら良いのか」
ベーネットが苦笑して言う
「ベーネットで結構ですよ?ヴィクトール殿」
ヴィクトール14世が一瞬呆気に取られた後微笑して言う
「え?ああ、それじゃ 僕の事もヴィクトールで良いです ベーネット」
ベーネットが軽く笑って言う
「あっはは ありがとうございます ヴィクトール では、それが今回のお礼と言う事で」
ヴィクトール14世が驚いて言う
「えぇえ!?い、いや そんな事では ベーネット!?」
ベーネットが笑って立ち去る ヴィクトール14世が慌てて追い駆ける
【 ローレシア城 玉座の間 】
伝達の兵が言う
「「ローゼック代理第二国王陛下の ご帰城です!」」
イシュラーンが顔を向ける ローゼックが玉座の間へ入って来る ローゼックが第二国王の玉座へ向かいながら言う
「城下で何やら騒ぎがあった様だが イシュラーン、貴様の耳には 入っておるのか?」
イシュラーンが微笑して言う
「ああ、その件なら既に終わらせてある 賊はこのローレシアの民であった 従って 遅い時間でもあった故に 詳しい話は明日にでも聞き出す事となるだろう」
ローゼックが玉座へ座り言う
「明日にでもと申しよってもな 明日には旧世界からの民が転送されて来よるのではあらぬか?賊から詳しい話などを聞いている暇も無かろう?今日の内に粗方の話を聞き出し 必要と有れば刑に処しておくべきだ …もっとも 今の世に ローレシアの民が自国内で行う事など 大したものでもあるまいが…」
イシュラーンが言う
「ふむ、そうは申しても 事は デネシアの王を誘拐したとの大事であるからな?粗方の話だけで 刑を決めてしまう訳にも行くまい?」
ローゼックが衝撃を受け叫ぶ
「なにぃいい!?デネシアの王だとっ!?つまりは ヴィクトール14世ではあらぬかっ!?あの 歴代の預かり猫が またさらわれおったのかっ!?」
イシュラーンが笑顔で言う
「しかも、今回は同世代の内に2度目であるからな?ベネテクトへの多額の賠償金と申す いつもの刑では少々柔らか過ぎるのではあらぬかとも… それに今回は 預かり猫ではなく デネシアの王位を得ておる状態でさらわれたのだ これは一応国家問題にもなりかねるだろう?まぁ、事を収めたベーネット殿が 大げさにしてくれるなと申しておったからな 事態の収拾に私が手を貸した事で ローレシアとベネテクトの国家問題は解消されておるだろう デネシアもまたしかりか?」
ローゼックが怒って言う
「であるからにしてっ!人懐っこいお調子者 などと申す 歴代のあの名を変えるべきなのであるっ!毎度毎度 軽い言葉に騙され さらわれて行きおってからにっ!」
イシュラーンが微笑して言う
「はっはっは まぁ、名は人を表すとも申すからな?では、この際… ドラントワーズ と申す名に改名してはどうだろうか?ローレシアの古き言葉で 信念を携えし者 と申す言葉であるが」
ローゼックが衝撃を受け 困惑して言う
「ドラントワーズ…であるか?その言葉は デネシアの言葉にて 何処にでも遊びに行く者 と申す言葉であるが」
イシュラーンが衝撃を受け苦笑して言う
「む… それはまずいな 今より増して誘拐されて… いや、むしろ 自ら向かってしまいそうだ」
ローゼックが考えて言う
「しかも、アバロンの言葉で考えれば 敵の手に落ちる者 と申す言葉である …もはや 身も蓋もあらなんだ」
イシュラーンが衝撃を受け笑って言う
「そうか うむ… 良い名を付けると申すのも なかなか難しいものであるな?はっはっは」
【 ガルバディア城 城内通路 】
通路の会談に腰かけていたレクターが顔を上げ疑問して言う
「ん?…私は今 ガルバディアに出張している …しかし そのガルバディアのシステムは今 旧世界へ出張しちまってるんだ だから 私が新世界の何処に居ようと ガルバディアのプログラムを 何となく見ちまう事もねー …のに 私は…」
レクターが立ち上がり 剣を引き抜いて言う
「何となく 身の危険を感じる …これはもしかしたら いつもヘクターが言っている アバロン式 何となくそんな気がする ってー精神なのかもしれねー だとしたら」
レクターが照れる 周りに居たガルバディアの騎士たちが疑問した後 レクターの前に行って言う
「ダメ!間抜け大剣使い ちゃんとしない それ ダメ!」
レクターが気付き微笑して言う
「ダメダメ1号にダメと言われちまった私は もうダメなのかもしれねー …とは言え、今は そう遊んでもいられねーみてーだ」
レクターが剣を向けて言う
「ガルバディア騎士団 コンバット オープン」
ガルバディアの騎士たちが戦闘態勢に入る ガルバディア城門が吹き飛び 機械兵らが突入して来る ガルバディアの騎士たちが飛び掛る レクターの瞳が赤く染まり 周囲にプログラムが発生する レクターの身がプログラムに覆われ レクターがガルバディアの騎士たちと同等のスピードで機械兵へ立ち向かう
【 旧世界 ガルバディア城 城門前 】
ヘクターたちが猛スピードで飛ばされて来る デス1stが一瞬皆の重力を無効化してデス2ndが皆の状態を保護する 無事皆が着地すると周囲に埋め尽くすように居た機械兵らが顔を上げ ヘクターたちを排除対象と定める シリウスが目を開き周囲にプログラムを現して言う
「まずは邪魔な機械兵どもを 殲滅致すのじゃ!」
ラインツが皆に先行し シリウスのプログラムを全身に受け 機械兵へ立ち向かい一撃で一体を倒す様子で次々倒して行く ヘクターが一瞬呆気に取られた後 嬉しそうに笑んで言う
「デス!俺らも負けてられねーぜ!」
ヘクターが大剣を引き抜いて駆け出す デス1stとデス2ndが顔を見合わせた後笑んで デス1stが支援プログラムを構築して デス2ndが強化プログラムを実行する 2人のデスのプログラムを受けたヘクターがラインツに負けじと機械兵をほぼ一撃で倒して行く ラインツとヘクターを見たヴィクトールが呆気に取られた後 剣でヘクターたちを示しバーネットへ向いて言う
「バーネット!僕もあの2人に 負けたくないよっ!」
バーネットが笑んで言う
「当ったり前ぇえだ!無理やり押し付けられちまったとは言え 現ガルバディア第一第二国王の力を 見せ付けてやれやぁああ!」
ヴィクトールが頷き剣を構える バーネットが目を閉じ周囲にプログラムを発生させる ヴィクトールが剣を掲げ 雷を受け取って振りかざす 多くの機械兵が雷に感電して倒れる ザッツロードが呆気に取られて言う
「すごい… 流石アバロンの大剣使いたち」
ルーゼックが怒って叫ぶ
「馬鹿者っ!貴様はそれでもローレシアの王子であるのかっ!?例え本心で思おうとも 他国の力を褒める言葉など そう易々と口に致すものではあらぬわっ!!」
キルビーグが苦笑して言う
「ああ、本当にアバロンの大剣使いは凄いものよなぁ?この戦いがあらぬまま 新世界で帝国争いなんぞしておっては 我らローレシアはあっけなく敗退しておっただろう はっはっは」
ルーゼックが衝撃を受け 涙目で怒ってキルビーグへ叫ぶ
「キルビーグっ!!」
キルビーグが微笑して言う
「しかし、夢の世界で力を得たのは何も彼らだけではあらぬ 我らローレシアも大きな力を得られた 彼らアバロンに負けぬ程の力をな?」
ルーゼックが呆気に取られた後笑んで言う
「そうであるっ!我らローレシアの魔法剣士の力 奴らへと見せ付けてくれるっ!」
キルビーグが支援魔法に続き魔法剣の魔法を与えつつ言う
「とは申すものの あまり無理を致すではないぞ?ルーゼック?」
ルーゼックが魔法剣を手に言う
「それは出来ぬ 一度剣を抜けば 後は全力で戦うのみぞっ!」
ルーゼックが機械兵へ向かって行く ザッツロードが続く キルビーグが苦笑して言う
「ああ、流石は 元アバロンの民であるな ルーゼック?本人も それ以前のローゼック殿も 知らされて居らぬそうだが… もっとも、これは我らローレシア王家が 隠し通すべき歴史であるのやも知れぬな?」
【 新世界 ソルベキア城 玉座の間 】
玉座に座るバーネット1世がゴーグルを付け 周囲にプログラムを表示させている バーネット1世が気付き微笑して言う
「はっはー 来やがったなぁ?」
ヴィクトール12世が言う
「ガルバディア城の防衛は レクター副隊長とガルバディアの騎士たちだけで 何とかなりそうなのか?バーネット」
バーネット1世がゴーグルを外し微笑して言う
「そう心配しやがるなヴィクトール あいつには元世界一のプログラマーだった ガルバディア第ニ王子の遺伝子プログラムが ぶち込まれてやがるんだぜぇ?普段はちょいとふざけて見せては居やがるが その実 全て計算づくだからなぁ?」
ヴィクトール12世が言う
「ガルバディアの第二王子か 道理で」
バーネット1世が続けて言う
「ああ、俺らがソルベキア城に篭城している事をネタに オライオンの奴をソルベキアへ先行させ それを傭兵隊員どもにそれとなく伝えて追わせやがった …おまけに傭兵隊員らがアバロンから出やがった途端に さも とっくに行っちまったみてぇに アバロン1、2番隊の隊長へそれを伝え ヘクター国王に忠誠を誓えてやがらねぇ 両部隊長を 上手く操りやがった… はっはー なかなか腹黒いアバロンの民じゃねぇかぁ?」
ヴィクトール12世が苦笑し申し訳無さそうに言う
「そう悪く言ってやらないでくれバーネット 彼にアバロンの管理を任せたのは この私だ 君から彼の力を聞いた私が ヘクター国王の補佐を彼に頼んだのだ ヘクターはラインツから王位を継承されたもの 彼やラインツに反感を持っていた1、2番隊隊長らを 同じアバロンの仲間と言う事で 疑う事が出来ずにおったからな もっとも あのレクターが ここまで上手く兵たちを動かしてくれるとは驚かされたが 本当の彼は ガルバディアの力を使わず ヘクターと共に一大剣使いとして 皆と笑い合って居たいのだと言っていたよ」
バーネット1世が言う
「レクターはアバロンの民であると共に ガルバディアの民だ 俺らと同じくガルバディアの力を有しちまった以上 どんなに望もうが 一庶民としてこの世界に生きる事なんざ許されねぇ… 俺らはこの世界と この世界に生きる民 全てを守る為に 生かされてやがるんだからなぁ?」
ヴィクトール12世が苦笑して言う
「バーネット… 例え君や君たちがガルバディアの民であっても 私は君と共に戦い君と共に生き残るよ 私は 君の相棒なのだからな?」
バーネット1世がヴィクトール12世を見て軽く笑って言う
「ハッ!当たっり前ぇだろ 何を今更言ってやがる?てめぇが居なけりゃ 誰が俺のプログラムを受け取って 戦いやがるんだよ?」
ヴィクトール12世が微笑し 笑顔で言う
「それで、そんな私の出番はまだだろうか バーネット?そろそろ私もアバロンの精神がうずき始めたよ 何しろ私は 勇猛なライオンという意味の名を持つ12代目のヴィクトールであるからな?」
バーネット1世が笑って言う
「はっはー!野良猫12世がぁ 久し振りの実戦で 情けねぇ姿を見せやがったら また首に鈴付けて 今度は一生檻に閉じ込めてやっからなぁ?精々格好付けやがって オライオン率いる傭兵隊を 城内まで引き連れて来やがれ!」
バーネット1世がゴーグルを装着し周囲にプログラムを表示させる ヴィクトール12世が微笑して言う
「はっはっは そんな事もあったな …さて」
ヴィクトール12世が玉座の間を出て行く
ソルベキア城 門前
バッツスクロイツが泣きながら走って叫ぶ
「ちょーまじで聞いて無いんですけどーっ!?何でこんな 機械兵てんこ盛りーのルートをチョイスして ゴースルーしちゃおうなんて スペシャルデンジャラス作戦がオープンしちゃうんですかーっ!?」
機械兵がバッツスクロイツを目掛けて攻撃してくる その機械兵の武器を オライオンが魔法剣で払って言う
「しょうがねーだろっ!俺たちアバロンの民は!いつだって正々堂々と正面から勝負するって 決まってんだよー!」
バッツスクロイツが怒って言う
「つーいさっきーまで 隠密に俺っちをソルベキア城へ 導いてくれるーって 聞いてたのにーっ!?大体 機械兵とまともに戦えるの オライオンっちと 俺っちのデスだけなのに なーん百倍の機械兵相手に 正面突破ーとか まじ有り得ないからーっ!」
オライオンが機械兵の武器を剣で押さえて言う
「んな事言ったって 俺らソルベキア城の構造知らねーし 見取り図だってねーんだ 正面以外の何処に出入り口があるかだって分からねーんだから その正面から入るしかねーだろ?」
バッツスクロイツがオライオンを見た後 ハッっと後ろを振り向く 機械兵が武器を振り下ろす バッツスクロイツが思わず身を守ろうとする アンドロイドのデスが守る バッツスクロイツが一瞬ホッとした後 遠くのソルベキア城を見上げて言う
「む… 無理 行けっこない… あーっ!こんな時 バーネっちや ヴィクトールっちが居てくれればっ!」
バッツスクロイツが頭を抱える 声が聞こえる
「傭兵隊の皆!伏せよ!」
バッツスクロイツが疑問して言う
「え?ヴィクトールっ…ち?」
オライオンら傭兵隊とアンドロイドのデスが伏せる中 疑問して顔を上げそうになったバッツスクロイツのギリギリ上を雷が走り抜け機械兵たちを攻撃して倒す バッツスクロイツがそれを見て悲鳴を上げて言う
「きゃぁーっ まじ危なかったぁーっ!って… この雷撃はっ!?」
オライオンが身を起こし 喜んで叫ぶ
「ヴィクトール12世様っ!」
バッツスクロイツがオライオンの視線の先を見て言う
「え…?ああ、そっか?ヴィクトールっちの父ちゃんかー …助かったぁ~」
バッツスクロイツがへたり込む ヴィクトール12世がバッツスクロイツを確認して微笑する
【 シュレイザー国 城下町 見張り台 】
シュレイザー兵が驚き 慌てて言う
「来たー!来た来た来たっ!機械へ…!」
スプローニ兵が 先のシュレイザー兵を殴って言う
「うるさいっ!騒いでいないで 卿は迅速にシュレイザー城へ連絡を入れろ!俺はスプローニと常駐の部隊へ連絡を入れる!そして!」
シュレイザー兵が殴られた頭をさすりながら言う
「わ、分かったよ!シュレイザー城に連絡ね!そして すぐに退避!」
スプローニ兵が怒って叫ぶ
「戦闘配備だ!退避するなどと言ったら もう一発!」
シュレイザー兵が驚き泣きながら言う
「いやぁー!レビはいっつも僕を殴るね!痛ったいのねー!でも知ってるね!レビは僕の事 本当はだーいす…!」
レビが通信機を片手に シュレイザー兵を殴って言う
「余計な事を言ってないで!さっさとシュレイザー城へ連絡をしろっ!」
シュレイザー城 玉座の間
チョッポクルスが驚いて言う
「き、来たぁ~~~!来た来た来た~~!き、機械兵じゃ~~!」
チョッポクルスが慌てて走り回る ガルバディアの騎士たちが疑問する ニーナがガルバディアの騎士たちへ振り返り言う
「機械兵が来たの!ガルバディアの騎士さんたち!皆でこのシュレイザー国を守って欲しいの!お願いなの!」
ガルバディアの騎士たちが顔を見合わせ 1人が言う
「皆で… このシュレイザー国を守る?」
1人が言う
「命令は 『このシュレイザー国を守って欲しいの』 か?」
1人が言う
「…『お願いなの!』?」
ガルバディアの騎士たちが疑問した後 皆がニーナへ向き 1人が言う
「我らの仲間 ガルバディアの民 レクターの娘 我らは難しい言葉は分からない 簡単な命令が欲しい」
ニーナが疑問して言う
「命令?私が 騎士さんたちに 命令するの?」
ガルバディアの騎士たちが頷く ニーナが少し考えた後ひらめいて言う
「分かったの!それじゃ!」
ニーナがシュレイザー城の出入り口を飛び出し 張り切って言う
「さあ!ガルバディアの騎士たちよ!機械兵を討ち倒し!このシュレイザーを守りなさい!」
ガルバディアの騎士たちが 機械鎧をフル装備し 飛び出して向かって行く ニーナが間を置いて 照れて言う
「やっぱり ちょっと 恥ずかしいのー」
【 ソルベキア国 城下町 】
ホログラムのバーネット1世が叫ぶ
『おらぁああ!薄ノロ ガルバディアの騎士どもがぁああ!ガルバディアの名を持つてめぇえらが アバロンの傭兵隊に遅れを取りやがって!今更援護に来やがるたぁあ 遅ぇええんだよ!この馬鹿野郎どもがぁああ!』
ガルバディアの騎士たちが顔を見合わせた後 ホログラムのバーネット1世へ武器を向ける バーネット1世が衝撃を受け 怒って言う
『なぁあ!?てめぇえら!てめぇえらの 前王である この俺様に武器を向けやがるとは てめぇえらは どんな教育受けてやがるんだ!?でもって 文句がありやがるんなら さっさと周囲の機械兵どもをぶっ飛ばして ソルベキア城から この俺様を救出しやがれぇええ!』
ガルバディアの騎士たちが顔を見合わせた後 ソルベキア城を確認し 機械兵へ向かう
ソルベキア城 機械室
バーネット1世が立ち上がり バッツスクロイツへ向いて言う
「おいっ!鈍臭ぇバッツスクロイツ!アバロン傭兵隊へのサポートは てめぇえに任せてやるぜぇ!プログラムは作っておいてやったんだぁ そいつを実行しやがる事位ぇ てめぇえでも出来やがるだろ!?」
バッツスクロイツが振り向いて言う
「ちょー!待ってって バーネっちパパ!このプログラム 超ミスだらけなんですけどー!?」
バーネット1世が衝撃を受け怒って言う
「るせぇええ!そいつのミスを訂正しやがる事位ぇ てめぇえでも出来やがるだろう!?」
バッツスクロイツが衝撃を受け怒って言う
「何さり気なく ゼリフ訂正しちゃってるんですかー!?この適当バーネっちパパはー!」
バーネット1世が衝撃を受け怒って言う
「るせぇええ!空腹に耐えながら作りやがった 俺様のスペシャルプログラムに文句言いやがるんじゃねぇ!でもって 俺は 適当ヴィクトールのサポートに行くからなぁ!?ここはてめぇに任せてやるぜ!色んな所の情報確認も怠りやがったら ひっ叩くからなぁあ!?」
バーネット1世が鞭を振るって床を叩く バッツスクロイツが衝撃を受け 泣きながら言う
「キャァー!超信じられない!この人ー!?バーネっちより 人使い荒くって強引だなんてー!今ならバーネっちが 天使様に思えちゃうって感じー!?」
バーネット1世が一瞬呆気に取られ考えた後にやりと笑って言う
「あん?はっはー!あいつが天使かぁ?ならあいつの先代である俺様はぁ 大天使様だなぁ!はーはっはっはー!悪くねぇ!なら精々俺様の為に励みやがれ アバロン傭兵隊へのプログラム訂正とサポート 及び 各国の情報確認 並びに 世界中の機械兵の数をチェックしやがれ 定期的に俺様へ報告するのも 忘れやがるんじゃねぇぞぉ?はーっはっはっはー!」
バーネット1世が意気揚々と機械室を出て行く バッツスクロイツが呆気に取られた後大泣きして叫ぶ
「バーネっち カムバーック!!早く助けに来てくれないと 俺っち 地獄の魔王様に 過労死させられちゃうー!」
【 ガルバディア城 城門前 】
機械兵と戦うガルバディアの騎士とレクター レクターがはっと気付き後方へ回避する 回避前に居た場所へ槍が突き刺さる レクターがそれを確認すると槍が引き抜かれ レクターが持ち主へ顔を向ける 槍の持ち主がレクターを見て間を置いて微笑し 槍を2つに分離し両手に構え レクターへ殺気を向ける レクターが真剣な表情で言う
「あいつ… 普通の人じゃねーみてーだ あのプログラム… あいつには他の生物の遺伝子プログラムが…」
槍の持ち主がレクターへ攻撃する レクターが回避して言う
「私と仲良くしてくれる気はねーんだな?それに 手加減なんて してる余裕もねーみてーだ」
レクターが大剣を構えプログラムを纏う 槍の持ち主が一瞬レクターの大剣を見て反応してから 攻撃を仕掛ける レクターが大剣で受け止める
【 ローレシア城 玉座の間 】
ローゼックが怒って言う
「何だとっ!?旧世界からの機械兵が 何処ぞから溢れ出ておるだと!?」
通信機のバーネット1世が言う
『ああ、今発生場所を探してる 見つかり次第 てめぇらにも知らせてやるが それまでの間は 何とか凌ぎやがれ …まぁ どぉおしても手が足りねぇとかほざきやがるんならぁ』
通信機のバーネット1世がにやりと笑う ローゼックが衝撃を受け怒って叫ぶ
「黙れっ!バーネット1世!貴様こそ 既存の機械兵に加え 新たに現れた機械兵に手を拱いておるのなら 我ら魔法剣士部隊が 手を貸してやるわ!」
通信機のバーネット1世が衝撃を受け…
【 ソルベキア城 城門前 】
バーネット1世が怒って叫ぶ
「なぁあ!?…るせぇええ!こっちとら ガルバディア騎士団にアバロン傭兵隊 更に俺様と相棒が居やがるんだぜぇ!?ちょいと 増加しちまった機械兵の勢いに 一瞬ビビっちまったって 全部 想定内ってやつだぜぇえ!それよか そっちは 旧世界からの民を転送させやがる場なんだからなぁあ!?例え ローレシアをぶっ潰したって 転送装置だけは死守しやがれよ!」
ホログラムの通信モニターのローゼックが怒って叫ぶ
『何を申すか!馬鹿者っ!転送装置のみを守った所で ローレシアをも守らねば 後の旧世界との戦いに 勝利出来ぬではないかっ!それよりっ!貴様とて 後の戦いには必要な戦力なのであるっ!馬鹿なプライドで あっさり旧世界からの攻撃にやられなどしたら 身も蓋もあらなんだっ!戦力が足りておらぬのであれば こちらで賄ってくれるっ!早々に泣き言を送って参れっ!』
バーネット1世が衝撃を受け慌てて言う
「なぁ!?馬鹿なプライドだぁあ!?ざけんじゃねぇえ!てめぇえに泣き付くくれぇえなら 機械兵どもにぶん殴られて 旧世界の民にぶっ殺された方がマシだってもんだぜぇえ!」
ホログラムの通信モニターのローゼックが衝撃を受け 怒りを溜めてから叫ぶ
『馬鹿者ぉおおっ!バーネット1世!貴様はそれでも この新世界を守るシリウス殿の子孫であるのかっ!?各々には各々の役割があるのだっ!貴様の役目は 現在旧世界へ向かっておるシリウス殿やその他に代わり この新世界全体の管理を行う重役であるっ!貴様は今こそ それに専念致し 我ら新世界の戦力を 余す事無く振り分けよ!』
バーネット1世が呆気に取られ言う
「な… お、俺は」
バーネット1世が気を取り直して言う
「う、うるせぇえ!んな事 てめぇえになんざに 言われなくったって 分かってやが…っ」
ヴィクトール12世が叫ぶ
「バーネット!危ないっ!」
バーネット1世が振り向くと機械兵の武器がバーネット1世へ向かって飛んで来る バーネット1世がハッとした瞬間 ヴィクトール12世がバーネット1世を突き飛ばし 2人の上空を機械兵の武器が過ぎ ホログラムの通信モニターで驚いているローゼックの映像の顔を斬り裂く
【 ローレシア城 玉座の間 】
ローゼックが青ざめて冷や汗を流しつつ呆気に取られて言う
「あが…が…っ」
イシュラーンがローゼックの様子に疑問する
【 ソルベキア城 城門前 】
ヴィクトール12世が身を起こして言う
「バーネット大丈夫か?」
バーネット1世が身を起こして言う
「おう、問題ねぇ 助かったぜ」
ホログラムの通信モニターのローゼックが怒って叫ぶ
『代わりに私が死に掛けたわっ!』
【 デネシア国 城下門前】
ヴィクトール14世が通信機を取り出して言う
「ベーネット デネシア周囲の機械兵は一掃しました そちらはどうですか?」
通信機のベーネットが言う
『こちらも同じく ベネテクト周囲の機械兵を排除致しました どうやらデネシア、ベネテクト この両国に 機械兵の増加は無かった様ですね』
ヴィクトール14世が疑問して言う
「機械兵の増加?」
通信機のベーネットが言う
『はい、現在確認されているだけで ガルバディア、ソルベキア、シュレイザー、そして 先ほどローレシアにも 旧世界からの機械兵が増加しているとの情報が入りました』
ヴィクトール14世が言う
「ガルバディアとソルベキアは 旧世界からの攻撃があるだろうと予測された国だし シュレイザーとローレシアも 3大国家の2国… ベーネット アバロンの情報は分かりますか?」
ベーネットが言う
『はい、アバロンはすでに機械兵の一掃を終了させたとの事です 機械兵の増加は確認されていませんが 念の為 今も奇襲に備えているそうです』
ヴィクトール14世が言う
「アバロンには追加の機械兵が送り込まれていないのか… 分かりました 我々も一応奇襲に備えましょう それと共に」
ベーネットの通信機に他者からの通信が追加される 2人が一瞬驚いた後 ヴィクトール14世が微笑して言う
「あ、それでは また 何かありましたら連絡を」
ベーネットが気付いて言う
『いえ、お待ち下さいヴィクトール 通信はレリアン様からです』
ヴィクトール14世が驚いて言う
「え?母上がベーネットに通信を!?」
ベーネットがヴィクトール14世との通信を繋いだまま レリアンとの通信を繋ぐ ホログラムの通信モニターにレリアンが映り ベーネットへ言う
『ベーネット陛下 お力添えを頂けないかしら?今私たちは ツヴァイザーに居ります 隣国ベネテクトの戦力を このツヴァイザーへ 送って頂きたいのです』
【 ベネテクト城 玉座の間 】
ベーネットがホログラムの通信モニターに映るレリアンへ向かって言う
「ツヴァイザーへですか?しかし、ツヴァイザーは 機械兵との戦いを放棄したとは言え 北半分は我らベネテクトとデネシアの魔法剣士傭兵部隊が 南半分はスプローニとローレシアの魔法銃使い部隊が ツヴァイザーに代わり機械兵を制圧致しました ですので 実質 機械兵の一掃は終了していると言っても良いのではないかと?」
ホログラムの通信モニターのレリアンが言う
『ええ、一度はそれで ツヴァイザーの周囲全ての機械兵が一掃されたのですが その機械兵が再び現れ始めたのです それも見た所、先に一掃した機械兵とは 別のモノ 恐らく現在ソルベキアのバーネット1世国王が確認されていると言う 追加導入された機械兵ではないかと思うのです』
ホログラムの通信モニターのヴィクトール14世が言う
『ツヴァイザーに 旧世界からの機械兵が!?』
ホログラムの通信モニターのレリアンが言う
『スプローニの部隊もベネテクトの部隊も ツヴァイザー周囲からは既に撤退してしまっています ですので、現在は私の仲間たちが 何とか城下の門を死守しているのですが これ以上は防げません どうか 取り急ぎ援軍を!』
ベーネットが少し考えてから言う
「分かりました ツヴァイザーに機械兵の増加があったとなると こちらにも兵を残さねばなりませんが 可能な限りの援軍を送ります しかし、レリアン様 リーザロッテ王女も レリアン様同様に他国へ援軍要請を行っているのでしょうか?私がベネテクトから送ることが出来る数は それほど多くは出来ません 他国にも援軍を要請しなければ」
ホログラムの通信モニターのレリアンが言う
『リーザは今、聖母様として カイッズ国の防衛指揮を執っています その間は私がツヴァイザー防衛を任されていますので 私から他の国へも援軍を要請してみますが ツヴァイザーの者でもないこの私が 現行ツヴァイザーの敵対国である ローゼントやローレシアへ援軍を要請しても 果たして受け入れて頂けるものか…』
ホログラムの通信モニターのレリアンが視線を落とす ホログラムの通信モニターのヴィクトール14世が言う
『母上!それでしたら 我らデネシアの部隊が援護に向かいます!』
ホログラムの通信モニターのレリアンが驚いて言う
『え…っ?』
ホログラムの通信モニターのヴィクトール14世が言う
『デネシアの魔法剣士傭兵部隊なら ベネテクトから送られる援軍とも力を合わせるのに丁度良いです 共に、彼らの指揮を執るために 私が参ります 両部隊からの戦力が合わされば ツヴァイザーへ追加投入された機械兵を一掃するのに 十分であると思われます』
ホログラムの通信モニターのレリアンが驚いて言う
『しかし、それでは デネシアに残る部隊の指揮を執る者が居なくなってしまいます 貴方はデネシアに残らなければ』
ホログラムの通信モニターのヴィクトール14世が微笑して言う
『ご安心を 母上 デネシアの管理は ファニアが自分に任せて欲しいと 彼女は私の部隊指揮も確認していました きっと大丈夫です』
ホログラムの通信モニターのレリアンが少し困った様子で言う
『ファニアが?し、しかし… この非常事態に急に任せたりなどしては』
ベーネットが微笑して言う
「レリアン様、無礼を承知で申し上げますが ファニア王女はデネシア王家の王女様であらされます 世界的な非常事態に自らその責務を望まれるとは きっと相当な御覚悟の上であられるかと… それに、レリアン様とヴィクトール13世陛下のご息女様です 民や兵を導く力は十分に有されている事でしょう」
ホログラムの通信モニターのレリアンが少し考える その後ろからソーロスが言う
『レリアン殿っ!思った通り、やはり あの程度の戦力では役に立たん!私は一足先にスプローニへ亡命するからな!』
ホログラムの通信モニターのレリアンが一瞬表情を怒らせた後 咳払いをして気を取り直して言う
『分かりました、ベーネット陛下 ヴィクトール ツヴァイザーの王女リーザロッテに代わり 貴方方の助力へ御礼を申し上げます どうか ツヴァイザーを』
ベーネットとホログラムの通信モニターのヴィクトール14世が頷く
【 旧世界 ガルバディア城 城門前 】
最後の機械兵が倒される ザッツロードが表情を和らげホッと苦笑する ソニヤとラナが顔を見合わせ微笑する 後方でセーリアが微笑む ヘクターがガルバディア城へ剣を向けて言う
「よしっ!この調子でガルバディア城へ乗り込んでって シリウスBをぶっ飛ばすぜ!」
皆がガルバディア城へ向く ヴェルアロンスライツァーとロキ ザッツロードたちが緊張する シリウスが目を細めて言う
「どうやら これ以上乗り込む必要は あらぬ様じゃ」
ヘクターがシリウスへ向き 疑問して言う
「あ?」
バーネットが言う
「ハッ!闇の王 シリウスBが 直々に 俺たちを歓迎してくれるそうだぜ?」
皆がバーネットの視線の先へ向く ガルバディア城からシリウスBが歩いて来て言う
「シリウス まさか お前自身が旧世界へ姿を現すとは思いもしなかったぞ とは言え まずは 目障りだった機械兵どもを 一掃してくれた事へ礼を言おうか?」
シリウスBが皆の前で立ち止まる
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