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1-17 いっときの夢のように
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【 ガルバディア城 玉座の間 】
玉座に座るバーネットの前にレクターのホログラムがある ヴィクトールが表情を悩ませて言う
「だったら… そうと分かっているのなら尚更!」
レクターのホログラムが言う
『デネシアとベネテクトには おめーらの所へ雪崩れ込むかもしれねーって 連絡しておいてやったぜぇ?きっと今頃 大慌てで国境に兵士を集めてるんだろうなぁ 真っ青な顔してよ?ッハハハハッ!』
ヴィクトールが衝撃を受け怒って言う
「レクター!相変わらず 君と言う人はっ!何でこんな時まで そんな風に笑っていられるのっ!?」
バーネットが一息吐いて言う
「…まぁ そう言ってやりやがるな ヴィクトール もし レクターがやらねぇってぇんなら 本当にそうなりやがる可能性だって ありやがるんだぜぇ?それを知ってか知らねぇでか 他の2国だって んな馬鹿をやろうってぇアバロンへ 加勢してやろうと動いてやがる… まぁ… その1国がベネテクトじゃなかったってぇ事に 関しやがってはぁ…」
バーネットが一瞬の暗転の後 鞭を振りかざして怒って叫ぶ
「あのっ 3世の馬鹿野郎ぉがぁああ!まんまとレクターに騙されやがってぇええ!!今度会ったら たっぷり躾けてやりやがるぜぇえええ!!」
ヴィクトールが鞭に縛られバーネットに踏まれている ヴィクトールが苦笑しながら言う
「バーネットっ 何で僕にーっ!?」
バーネットがハッとして慌てて言う
「ぬあっ!しまった つい いつもの癖で 勢いのままに てめぇを躾けちまったぁ」
オライオンとザッツロードが駆け込んで来て オライオンが言う
「バーネット様っ!」
ザッツロードがヴィクトールへ言う
「ヴィクトール様 何か あったのですかっ!?」
ヴィクトールが苦笑しながら立ち上がって言う
「うん… 実は」
ヴィクトールがオライオンを見る オライオンが疑問する バーネットが一息吐いて言う
「チッ… ソルベキアの馬鹿野郎どもが… アバロンへ進軍しやがったぜ」
オライオンとザッツロードが驚き オライオンが言う
「何だってっ!?」
【 スプローニ城 玉座の間 】
アシルが腕組みをして言う
「まさか… いや、遂にと言うべきか ソルベキアが アバロンを狙うとはな…」
ロキが閉じていた目を開き 玉座を立って言う
「…アシル王子 ここを頼む」
アシルが苦笑して言う
「おう 行ってきやがれ」
ロキが出入り口へ向かう その背にアシルの声が掛かる
「…やりてぇようにやってこい 心残りのねぇようにな?」
アシルの言葉に ロキが反応し僅かに口角を上げてから 玉座の間を後にする
【 ローレシア城 玉座の間 】
ルーゼックが困り怒って言う
「なんと申す事かっ!数少ない あやつが必要とされるこの瞬間にっ!」
ルーゼックが玉座を立って怒って叫ぶ
「草の根を分けてでも探し出すのだっ!アバロンが襲撃されると申す この時に このローレシアから送る援軍は あの ボンクラ王子を置いて他にはあらぬっ!!」
キルビーグが苦笑して居る その場所に声が掛けられる
「アバロンへは 私が向かおう」
キルビーグとルーゼックが驚き呆気に取られる
【 ベネテクト城 バルコニー 】
ベーネットが遠くを見つめながら言う
「…遂に ソルベキアが アバロンを…っ」
ヴィクトール14世がベーネットを見てから 同じく遠くへ視線を向け表情を落とす ベーネットの後ろにバーネットのホログラムが現れて怒って叫ぶ
『おらぁああ!このっ 腰抜けベーネットがぁあああっ!』
ベーネットとヴィクトール14世が驚き ベーネットがバーネットへ振り返って言う
「ち、父上っ …もう、急に叫ばないで下さい 驚くではないですか …私の猫が」
ベーネットがヴィクトール14世へ微笑む ヴィクトール14世が一瞬呆気に取られた後笑顔になる バーネットが怒って言う
『知るかぁあ!んな事より てめぇ…』
ベーネットが疑問する バーネットが凄みながら言う
『アバロンが… ベネテクトの友好国 アバロンが襲撃されやがるってぇ時に… 馬鹿野郎ぉお ベーネット!てめぇえは ベネテクトの王の癖に 相棒国アバロンへ 援軍を出さねぇたぁ!てめぇは どんな躾を受けてやがるんだぁああっ!?』
ホログラムのバーネットが鞭を振りかざす ベーネットが呆気に取られた状態から 溜息を吐いて言う
「…やはり そんな事ですか」
バーネットが衝撃を受け言う
『そっ …”そんな事”だ!?…てめぇえっ!!』
ベーネットがバーネットのホログラムへ向き直って言う
「私だって アバロンへは 兵を送ると… この私さえも 向かうと申しました しかし」
バーネットが反応する ベーネットが言う
「…しかし、レクター殿が言ったのです 『この戦いは アバロンの敗北に終わる そのアバロンへの被害を最小限に抑える為にも 援軍は送らないで欲しい』と」
バーネットが呆気に取られる ベーネットが静かに言う
「…そこまで言われては 送るわけには行かないでしょう?…それでも 先のローゼントでの借りがある スプローニ そして この大陸の3大国家の一つ ローレシア その2国からの援軍は 受け入れない訳に行かないと… レクター殿は やはり アバロンを愛しておられるのでしょう …そうでなければ このような判断、そして この作戦は出来ません」
バーネットがベーネットを見つめた後 遠くのアバロンへ向く
【 ガルバディア城 玉座の間 】
オライオンが叫ぶ
「俺はアバロンの民で アバロンの王子だぞっ!?その俺が アバロンの戦いに参加しねーだなんて!そんな事!」
ザッツロードが言う
「私は ローレシアの王子として アバロンへ恩のある者として!アバロンへ加勢したいのです!例えそれが 負け戦であろうともっ!」
バーネットが言う
「てめぇらをここへ 足止めしといてくれってぇのは アバロンの王 レクターからの頼みだ 俺はそいつを無下にする事は出来ねぇ」
オライオンが怒って言う
「なんでだよっ!?アバロンが襲われるってーのにっ 安全なこのガルバディアから 黙って見てろって言うのかよっ!?」
バーネットが言う
「ああ そう言う事だなぁ?」
オライオンが言う
「…バーネット様じゃ話にならねー」
バーネットが衝撃を受けて言う
「んだとぉ?」
オライオンが言う
「レクターへ通信を繋いでくれっ 俺からの通信は取り次いでくれねーんだ 直接レクターと話して 納得させる!あの馬鹿レクター… 俺は!」
バーネットが溜息を吐いて言う
「はぁ… 分かってねぇ… 分かってねぇなぁ?」
オライオンが疑問してバーネットを見る バーネットが言う
「てめぇは 何も分かってねぇって 言ってんだぁ オライオン!レクターがてめぇらを足止めしたのはなぁ?勝ち目のねぇ戦いにおいて アバロンへの被害を最小限に抑える作戦なんだよ それを 何もわからねぇで てめぇえは!」
オライオンがバーネットと視線を合わせる ヴィクトールが表情を落としていた状態から 苦笑して言う
「…まぁまぁ バーネット?…バーネットだって ベーネット殿から諭されるまで 気付かなかったじゃない?」
バーネットが衝撃を受ける ヴィクトールが困り苦笑で言う
「それを… 自国が襲われると知ったばかりのオライオンへ 気付けと言うのは少し強引だよ?」
バーネットがバツの悪そうに視線を逸らす オライオンがヴィクトールを見て言う
「ヴィクトール様っ 何でヴィクトール様まで 落ち着いていられるんだ?アバロンが!」
ヴィクトールが頷いて言う
「うん、僕だって アバロンの人々や 今後のアバロンの事を考えなくて良いのなら 今すぐにでも行って 最前線で戦いたい… 例え ソルベキアに敵わなくとも」
オライオンが言う
「アバロンの人々や… 今後の?今後のアバロンなんて…っ 負けると分かっているのなら尚更!」
ヴィクトールが言う
「アバロンは 他国からの援軍を含む 全勢力を アバロン城下町の門前に配備した」
ザッツロードが言う
「全勢力を… 門前に!?それでは そこを破られてしまったら!」
ヴィクトールが言う
「そこを破りさえすれば ソルベキアの勝利 …後は アバロン城へのメインストリートを進行して 城へ向かい」
バーネットが言う
「門前の全勢力を潰されたとあれば 城へやってきたソルベキアの野郎に アバロンはもう太刀打ち出来ねぇ… それでソルベキアは アバロンへの勝利を… いや、この大陸の帝国様にでも なりやがるつもりかもな?」
ザッツロードが驚いて言う
「ソルベキアが… 帝国に…っ!?」
ヴィクトールがバーネットへ向いて言う
「レクターは きっと最後まで玉座で待つのだろうね… アバロンの敗北を知らせる ソルベキアの者が来るまで… もし、僕なら…」
ヴィクトールが俯き手を握り締める オライオンがそれを見て奥歯をかみしめて顔を逸らす
【 アバロン城 城下町門前 】
レクターが叫ぶ
「全力で戦って 死ぬ前に倒れろ 必ず 生きて倒れるんだ!」
アバロン1番隊から8番隊までの全隊員がレクターへ向いている レクターが続ける
「今ここで おめーらを失う訳にはいかねー おめーらにはこの先に 本当の戦いがある その時まで 絶対に生きていろ!ソルベキアへでも 何にでも 恨みがあるだろうが それを晴らすのは 今日じゃねーんだ」
ローゼントの騎士たちが怒りを押し殺してレクターの言葉を聞いている レクターが続ける
「おめーらには まだ やらなきゃならねー戦いが待ってる だから 良いか!絶対に忘れるんじゃねーぞっ!この戦いは!」
アバロン魔法剣傭兵部隊とローゼント魔法剣騎士団 双方に属するローレシアとデネシアの魔力者たちが息を飲んでレクターの言葉を聞いている レクターが言う
「ローゼントの敵討ちでも何でもねー!今日ここで おめーらが生き残る事が 全ての始まりになる!」
スプローニの銃使いたちが意を決して銃を握る レクターが叫ぶ
「おめーらが全てを賭して戦う その時の為に!今は生き残る事だけを考えて戦え!」
ローゼントの騎士たちがうつむいて閉じていた目を開き長剣を抜き掲げて雄叫びを上げる ローレシアとデネシアの魔力者たちが双方周囲共に意志を疎通させて頷き合う スプローニの銃使いたちが顔を上げる レクターが大剣を引き抜き地平線の先を見て言う
「さぁて…」
レクターの目に数字の羅列が映る 視線の先に見えるソルベキアの小さな人影とその後ろを覆いつくすロボット兵の壁が見える レクターがニヤリと笑んだ後 後方の城壁上へ視線を向ける レクターの視線の先 城壁に佇むラザイヤが風を受けながら その場所からでも見えない 彼方の蜃気楼から視線を下ろして レクターを見て微笑する
【 ローレシア城 玉座の間 】
伝達兵が駆け込んで来て跪いて言う
「申し上げます!一四○六 ソルベキア軍 アバロンに到達 一四二○ ソルベキア軍の先制攻撃にて アバロン連合部隊との戦闘が開戦されました!ソルベキアのロボット兵の数およそ… 1万!」
キルビーグとルーゼックが驚く 大臣たちが驚き顔を見合わせる キルビーグが表情を渋らせて言う
「1万か… どうやらソルベキアは 我々が把握する そのずっと以前から ロボット兵の製造を 秘密裏に行っていたようだな」
ルーゼックが悔しそうに言う
「おのれ ソルベキアめっ!」
ルーゼックが玉座の肘掛を殴り付ける
【 ガルバディア城 玉座の間 】
バーネットが玉座に肩肘を着きながらホログラムモニターを眺めつつ言う
「はっはー!ソルベキアの野郎どもがぁ 大方 …ローゼントの豊富な鉱山から ロボット兵の材料をしこたま こしらえやがったなぁ?」
ヴィクトールが悔しそうに言う
「これでは 勝ち目が無い… この半数でも ソルベキアはアバロン連合部隊を壊滅出来た それなのに きっとあちらは この戦いへ全勢力を投入して来たんだ」
バーネットが笑んで言う
「ハッ!ならこっちは 全勢力じゃねぇぜぇ?それこそ 半分程度の勢力だからなぁ?」
ヴィクトールが苦笑してバーネットへ向く オライオンが床を殴りつけて言う
「だったら!こっちだって 全勢力を投入すれば良かったんだっ!それなのにっ!」
オライオンがバーネットへ怒りの視線をぶつける バーネットがオライオンを見る ヴィクトールが気付き 庇うようにオライオンとバーネットの間に立つ バーネットが苦笑して言う
「こっちも全勢力を投入しろって?なら?肝心の ヘクターの野郎が居ねぇじゃねぇかぁ?」
オライオンがハッとして呆気にとられる バーネットがフンッと顔をそむけてモニターへ視線を戻す ヴィクトールが苦笑して言う
「今は 良くも悪くも… 様子見だよ オライオン」
オライオンが驚いて言う
「『様子見』 だってっ!?何言ってんだ!?そんなんで アバロンがソルベキアに 負けちまうだなんてっ!」
ザッツロードが言う
「負けるのは… アバロンじゃない」
オライオンがザッツロードへ向く ザッツロードがオライオンへ向いて言う
「負けるのは ソルベキア以外の この大陸の全ての国だ」
オライオンが驚く
【 スプローニ城 玉座の間 】
伝達兵が走り込んで来て言う
「お伝え致します!アバロン連合部隊とソルベキア軍の戦いは!…ソルベキア軍に分が有り!連合部隊は敗北の一途をたどり 一六○○ 壊滅!現在 残り唯一の戦力にて!」
アシルが伝達兵の言葉を聞いている
【 アバロン国 城下町門前 】
瀕死のローゼントの騎士が片足を引きずりながら向かい 仲間たちが休んでいる物陰へ身を寄せる 大勢の傷付いた兵たちが居る 彼らが視線を向けた先 大量のロボット兵の前に最後の1人 レクターが立っている
【 ガルバディア城 玉座の間 】
オライオンが驚いて言う
「レクター!?」
バーネットが言う
「やっぱりなぁ これだけデケェ戦いともなりゃぁ あいつぁ 城の中で 大人しく玉座に座って待ってる事なんざ 出来ねぇよなぁ?」
ヴィクトールが表情を困らせて言う
「確かに レクターは 皆が戦いに出る時は出ないで 皆が出ない時に出る… つまり 多勢に無勢の戦いを好む 変わり者だった けど…」
オライオンが悔しそうに言う
「多勢に無勢所じゃねーよ!もう 誰一人仲間は居ねーんだぞ!?あんなんじゃ 殺してくれって言ってる様なもんだっ!」
【 アバロン国 城下町門前 】
ソルベキアのロボット兵に乗り込んでいる隊長が言う
「うん…?」
ロボット兵内部の無線から声が聞える
「隊長!あの男 アバロンの代理の王 レクターです!」
隊長が言う
「分かっている… まさか 城内ではなく この場所で対峙する事になるとは」
レクターが片手に大剣を持っていて もう片方の手で腰にあるローゼックの剣を引き抜き 両手に持った剣を隊長の乗るロボット兵へ構えて見せる 隊長が気付き表情を強める 無線から声が届く
「隊長っ!如何致しますかっ!?」
隊長が言う
「聞くまでも無かろう!ここで対峙した以上 ここで仕留める!」
無線から声が届く
「代理とは言え 王とされる者が 前線に来ると言うのは… 何らかの罠では ありませんでしょうか!?」
隊長が言う
「罠であろうが無かろうが!奴1人に何が出来る!?作戦に変更は無い!我らソルベキア軍に楯突くものは 全て蹴散らせ!突撃ー!」
隊長の乗るロボット兵が合図を送る ロボット兵たちがレクターへ襲い掛かる
レクターへロボット兵たちが向かって来る レクターが苦笑して言う
「これで この力ともおさらばか… 散々嫌っていた力だってーのに いざ無くなると思うと 少し寂しい気もするぜ… まぁ 最後は!」
レクターが強い意志で顔を上げて言う
「全力で使ってやる!」
レクターの周囲に大量のプログラムが発生する
【 ローレシア城 玉座の間 】
伝達兵が走り込んできて言う
「お伝えいたします!アバロンにて開戦された 我らローレシア部隊率いるアバロン連合部隊は 先ほど完全敗北致しました!」
ルーゼックが悔しそうな表情で言う
「くそっ!やはり敵わなんだったかっ」
キルビーグが言う
「あのレクター代理国王が戦前に現れたと聞き もしや とは思わなんだったが… やはり 1万近いロボット兵が相手では 多勢に無勢であったか」
ルーゼックがキルビーグへ向いて言う
「以前申しておったな?あのレクターには 隠されし力があると」
キルビーグが言う
「うむ、多少伺い聞いた程度の話であるが かの者は ガルバディアにて力を与えられ 奴1人で1国を破壊する程の 強大な力を隠し持っておるとの内容であったが」
ルーゼックが言う
「1人で1国をっ!?ふむ… まるであの夢の中の様な話であるが …だが それ程に比喩される力であっても ソルベキア軍には敵わなんだった 所詮 噂は噂に過ぎぬかったと申す事か…」
キルビーグが苦笑して言う
「もしくは ソルベキアの軍勢が 1国を破壊するそれ以上の力を持って 攻め入ったとも考えられるな?」
ルーゼックが不満そうに言う
「ふんっ …なんにせよ これで全て決まったのだ この大陸の 我々の未来がな」
【 アバロン国 城下町門前 】
レクターの周囲からプログラムが消える レクターの瞳の色が赤から青へ移り行く間に ロボット兵の武器が振り下ろされる ロボット兵の武器がレクターの目前でプログラムの盾に防がれるが間もなくして プログラムの盾が消え 武器がレクターに当たりレクターが吹き飛ばされる 端で見ていた敵味方問わずすべての者たちが目を見開き言葉を失っている レクターが静かな音を立てて地に背を打ち そのまま動かなくなる ロボット兵隊長がモニターを見つめている 通信機から隊員の声が聞える
『…やった …のか?』
ロボット兵隊長が黙してモニターを見つめる 皆の視線の先 レクターの倒れている地面の砂が風に散って行く ロボット兵隊長が肩の力を抜いて言う
「…化け物が」
通信機から隊員の声が聞える
『…て、敵の沈黙を確認!隊長!』
ロボット兵隊長が言う
「敵戦力の壊滅を確認!我が軍は作戦を続行させる!第一部隊及び第二部隊 アバロン城へ向け進軍せよ!」
ロボット兵たちがレクターの脇を抜けアバロン城へ向かう 戦場の隅へ身を寄せていた兵たちが肩の力を抜き 息を吐いて1人が言う
「…これで 終わりか…」
その者の肩を叩き もう1人の兵が言う
「違うだろ これが 始まり さ」
兵士たちが微笑する 最初の兵が苦笑して言う
「…そうだったな これが 始まりか」
兵士たちが視線を向ける
レクターの視界に脇を抜けて言ったロボット兵らが巻き上げた砂埃が収まりを見せ 青空が見えている そこへ影が落ち レクターが視線を向ける ラザイヤがレクターの横に立って見下ろしている レクターが苦笑して言う
「…ラザイヤ すまねぇ 負けたぜ …ッハッハ …格好悪ぃなぁ?ゲホッ ゲホッ…」
ラザイヤがレクターを見下ろしていた状態から周囲を見て微笑し 身を下ろしてレクターの口元の血を拭いつつ言う
「いいえ 素敵よ レクター」
ラザイヤとレクターの周囲に数多のロボット兵の残骸がある
城下町メインストリート
ソルベキアのロボット兵らがアバロンのメインストリートを進む ロボット兵隊長が険しい表情のまま居る 無線機から隊員の声が届く
『周囲に敵の気配なし!』
ロボット兵隊長が沈黙して思う
(アバロンの代理の王 レクター…)
ロボット兵隊長の脳裏にレクターがロボット兵と戦っている姿が思い出される レクターのプログラムを帯びた剣が振りかざされるだけで 大量のロボット兵の機体が損傷を受けて次々に倒されて行く レクターが剣舞を舞う様に戦い続け ロボット兵隊長が怯えつつも必死に叫ぶ
『ひ、怯むな!全軍!アバロンの代理王 レクターを攻撃ーっ!』
ロボット兵隊長が冷や汗を流しつつ 気を取り直して思う
(あれが仮の王だと言うのか?では…!?真の王とされる ヘクターとは…?一体どれ程のっ!?)
ロボット兵隊長が歯を食いしばってから言う
「各自、警戒を怠るなっ アバロン城へ到着次第 第二部隊は城門前にて待機!第一部隊は機体を降り 玉座の間へ向かう!戦闘装備を欠かすな!」
ソルベキアのロボット兵らがアバロン城へ向かって行く
城下町 門前
ソルベキアのロボット兵らが武器を持って警戒を続けている 移動魔法陣に反応が起きて ローレシアの魔法使いたちが現れる ロボット兵に乗り込んでいるソルベキアの兵らが視線を強めてモニターを見る モニターに白旗が映り それを持ったセーリアが言う
「ローレシアから参りました 私たちは怪我人の救護に来たのです 私たちローレシアは ソルベキアの勝利を受け入れます」
ソルベキアのロボット兵から声が聞こえる
「総員へ通達 ローレシアからは正式にソルベキアへの無条件降伏が入っている ローレシアからの救護だと言う やつらは攻撃するな」
声を聴いたソルベキアのロボット兵らが構えを解除する セーリアが頷き 連れて来た魔力者たちへ向いて言う
「怪我人の回復へ」
魔力者たちが頷き向かう
アバロン城 門前
ロボット兵らが止まり周囲を確認する ロボット兵の1体から声が聞こえる
「城下の門と言い この城の門ですら 開かれたままだとは…」
ロボット兵の1体が隊長機へ向いて言う
「隊長!これらはっ!?」
隊長機から声が聞こえる
「奴らは城下の門前へ兵力を集中させていたのだ その門前の構えが破られれば 城の門など 我らのロボット兵にとっては微々たる物 強いて言うなれば 無駄な破壊行為を行うな と言う意図だろう」
ロボット兵らが隊長機へ向いてその内の1体が言う
「では… 如何いたしますか?」
隊長機が言う
「ローレシアさえ敗北を受け入れた今 この意図を疑って破壊活動を行えば 後々臆病者とされるのが落ちだ 無駄な破壊行為はするな アバロンの王を倒した今 この城に門を閉ざし 守る者もあるまい!第一部隊は 予定通り 機体を降り 玉座へ向かう!」
ロボット兵を降りたソルベキア兵らが 隊長を先頭に城内へ進軍する
アバロン国 城下町門前
ラザイヤが無線機へ向かって言う
「アバロン国代理国王レクターに変わり 王妃ラザイヤが アバロンの敗北を認め ソルベキアへの無条件降伏を約束するわ」
無線機のモニターの中でフォリオッドが言う
『我らソルベキア国へ対する アバロン国の敗北 及び 無条件降伏を ソルベキア国大臣 フォリオッドが了承した …代理国王所か 代理の王妃からの言葉であると言うのが気に入らんがな?』
ラザイヤが不満そうに言う
「あら、そちらこそ ソルベキア国王や王妃所か 大臣じゃない?王妃すら得られない モテない国王様は このアバロン襲撃の大事に 何処へ行ったのよ?」
フォリオッドが怒って言う
『なんだとっ!?無礼な後住民族の女がっ!口の利き方も知らぬのかっ!?』
ラザイヤが言う
「貴方の方こそ 大臣風情が 一国の王妃へ対する口の利き方じゃないわね?悔しかったら 貴方も代理の王くらいに なってみたらどう?」
フォリオッドが怒りを抑える
アバロン城 玉座の間
ソルベキア兵らが武器を手に玉座の間へやって来る 隊長が驚き進行を止めて言う
「なっ!?まさか…っ!?いや、そんな筈は無い…っ 既に ローレシアに続き アバロンですら我らソルベキアへ降伏したのだ この期に及んで…っ!?」
ソルベキア兵らへ向けて 二丁銃が向けられる
「…スプローニは 諸卿ソルベキアへ降伏などはしていない スプローニの王である この俺が倒れぬ限りな?」
ロキがソルベキア兵らへ銃口を向けている ソルベキア兵らが隊長へ向く 隊長が目前のロキの姿と資料モニターに表示させているロキの写真を見比べて言う
「間違いない… 奴はスプローニの現国王 ロキ…」
ロキがソルベキア兵らの中に居る隊長を見定め視線を強める 隊長が言いかける
「そ、総員 攻撃開始…っ」
言葉の途中で ガライナの声が届く
「攻撃は中止 お前たちは待機だ」
ロキが驚き顔を向ける 隊長が振り返って言う
「し、しかしっ 陛下っ!」
ロキが驚いたまま言う
「…まさかっ ガライナ王?貴様が 直接来ているとは」
ソルベキア兵らが道を開ける その道をガライナが進み向かい ソルベキアの兵らの前に出て言う
「ふっふっふ 驚いたか?成り上がりの王とは言え 貴様もここに居るではないか ロキ国王?」
ロキが視線を怒らせ銃口を向ける ソルベキア兵らがロキへ銃口を向ける ガライナが言う
「分かっておるのだろう?この戦いが… 我らソルベキア帝国 創立の 華やかな余興であると申す事を?」
ロキが表情を強めて言う
「…生憎だが 俺はそいつを祝ってやるつもりはない …認めてやるつもりも無いからな?」
ガライナが一瞬疑問した後 悪笑んで言う
「ほぅ?」
ロキが言う
「…卑怯な手段である事は分かっている だが、例え経緯がどうであれ ローゼントへ奇襲を仕掛けた貴様らソルベキアへ スプローニは降伏などは出来ない ローレシア・アバロンの降伏を受け 油断したか?ロボット兵を降りた貴様1人を始末する事など 例え周囲をソルベキア兵の一個部隊に囲われていても 俺の敵ではない」
ガライナが笑んで言う
「この戦いの後 そのロボット兵の軍勢で スプローニを攻撃されるとは思わんのか?」
ロキが言う
「…貴様らは ロボット兵を使っての スプローニ襲撃は出来ない」
ガライナが驚く ロキがそれを見て笑んで言う
「…理由は 貴様が良く知っている筈だ」
ガライナが悔しがる ロキが銃の鉄槌を上げて言う
「…もっとも ここで貴様が死ぬとなれば 残された奴らが何をするかは 俺にも図りかねん …が 今は ローゼントの仇である 貴様を討ち取られれば それで満足だ」
ロキが銃を撃つ 銃弾が鉄に弾かれる音がする ロキが呆気に取られる ガライナが恐れに目をつぶり身を守っていた姿から目を開き ニヤリと笑んで体勢を直して言う
「不要と思いながらも用意していたものが まさか、ここで役に立つとはな?スプローニの王 …いや、スプローニの銃使い ロキ 貴様に この者が撃てるか?」
ロキが目を見開き驚きつつも 何とか声にして言う
「…な ぜ ?…何故だっ!?何故… 卿が ガライナに味方するっ!?ヴェル!!」
ガライナを守り ヴェルアロンスライツァーがロキへ盾を構えている ガライナがソルベキア兵らへむけて言う
「お前たちは手を出すな あの銃使いは ロボット兵を用いても少々厄介な相手だ… いや、むしろ 我々の前に立ち 私を守る騎士にでも当たっては 目も当てられんからな?」
ヴェルアロンスライツァーが剣を構える ロキが困惑しながらもなんとか言う
「ヴェル!!…卿は何をしている!?今… 卿が守っているのは ソルベキアの王だぞ!卿の愛する “アンネローゼ様”を殺させた 張本人だっ!」
ヴェルアロンスライツァーは変わらずロキへ長剣を向けている ロキが言う
「ヴェル!俺の声が聞えないのか!?俺が… 分からないのか!?」
ガライナが言う
「さて、これ以上 無駄話など聞かされていてもつまらん …さぁ!ヴェルアロンスライツァーよ!私に歯向かう その男を始末せよ!」
ガライナが言って手を振り払う ヴェルアロンスライツァーが一段身を低くしてロキへ攻撃を開始する ロキがヴェルアロンスライツァーの長剣をかわし防ぎながら言う
「ヴェル!何があった!?操られているのか!?目を覚ませ!ソルベキアに…っ ガライナに何をされたっ!?」
ヴェルアロンスライツァーがロキへ長剣を振り下ろす ロキが銃を交差させ長剣を受け止めて言う
「ヴェルっ!ヴェ… っ!」
ロキが見上げ気付く ヴェルアロンスライツァーの目は光を失っている ロキが悔しそうに言う
「…意識が無い 以前のままだ では… その体を操られているのかっ!?」
ロキがヴェルアロンスライツァーの長剣を払って距離を取り ガライナへ向いて叫ぶ
「ガライナ!貴様っ!ヴェルに…っ 俺の相棒に 何をしたっ!?」
ロキの言葉に ヴェルアロンスライツァーが僅かに反応するが ロキはガライナへ向いているので気付かない ガライナが笑んで言う
「何の事だ?私はただ “王に仕えたい”と願う その男の願望を 満たしてやっているまで ヴェルアロンスライツァー… “王を守る剣”は 再び 私と言う王を得て 力を取り戻したのだろう?」
ロキが怒って言う
「馬鹿なっ!ヴェルは 貴様を 己の王などと認める訳が無いっ!何らかの機械で その思いを操っているのだろうっ!」
ガライナが笑んで言う
「ふん… だとしたら何だ?己の意志も無く ただ息をしているだけの無価値な者へ 価値を与えてやったのだ …後住民族を操る これこそ 我ら先住民族の予てからの願い 先住民族と後住民族 双方の利害を一致させるなど 下らん事を行うより よっぽど早く確実な方法だ」
ロキが一度怒りに表情をゆがめてから 悪笑んで言う
「…フッ 愚かな そんな考えであるから ソルベキアは何時までたっても後住民族と… いや!他国の先住民族とも上手くやれないんだ そして、貴様らソルベキアの力など ガルバディアの!我らの仲間の手に掛かれば すぐに無き物にされる!今 ここにっ ガルバディアのプログラマーが居なかった事が 貴様の幸運だったな!」
ガライナがムッとする ロキが上がる息を整え 銃を構えなおして言う
「…ヴェルの居場所が判明しただけで 十分だ ヴェル… 少し待っていろ すぐに 皆で… 卿を助けに行く」
ガライナが微笑して言う
「ふんっ そうは行くかな?」
ロキが言う
「…何?」
ガライナが言う
「今のこの状態は ガルバディアの者どもも覗き見ているぞ?我らのセンサーにしっかりとその痕跡が捕らえられているからな?…にも関わらず 幾度と無く 我らソルベキアが編み出したプログラムを解除してきた あのガルバディアのプログラマーは …何もしてこない これがどう言う事か 貴様にも分かるであろう?」
ロキが驚く ガライナが笑んで言う
「無理もない この操りの力こそ 我らソルベキアどころか この大陸の者でもない 別大陸の神が与えし力なのだっ!」
ロキが驚いて言う
「…別大陸のっ!?」
ガライナが笑んで言う
「そうだ!過去我々が幾度と無く 模範としてきた操りの力 そのオリジナルを遂に手に入れたのだ!我らソルベキアは この力を利用し 貴様ら後住民族全てを 我らの下僕としてくれる!さあ!まずは手始めに ヴェルアロンスライツァーよ その男を始末せよ!!」
ヴェルアロンスライツァーがロキに襲い掛かる ロキが防戦しながら言う
「…くっ 操られていても 力は同じか このままでは…っ くそっ!」
ロキが言う
「ヴェル!目を覚ませ!卿が守るべき王は ガライナではない!卿の王は アンネローゼ殿だろう!?」
ヴェルアロンスライツァーがロキに襲い掛かる ロキがヴェルアロンスライツァーの長剣を銃で抑えて 近づいた顔に言う
「こんな事をして アンネローゼ殿が喜ぶと思うのかっ!?卿のアンネローゼ殿は 卿が今守っている ガライナに殺されたんだっ!」
ヴェルアロンスライツァーがロキの銃を払い 長剣を振るう ロキが身を引き 距離を置いて言う
「ヴェル!ヴェルアロンスライツァー!卿がそんなでは アンネローゼ殿も浮かばれんっ!目を覚ますんだ!ヴェル!」
ガライナの脇にソルベキア兵がモニターを片手に言う
「ヴェルアロンスライツァーの脳波に異常ありません」
ガライナが笑んで言う
「流石は神の力 操りのプログラム所ではない これぞ 真の洗脳と言うやつか」
ロキが息を切らせ 片膝を着いて言う
「…はぁ はぁ …クソ どうしたら?…どうしたら 奴をっ …ヴェルを取り戻せるっ?」
ロキがヴェルアロンスライツァーへ顔を向ける ヴェルアロンスライツァーが武器を構える ロキが表情を落として言う
「…俺は 奴と戦いたかった …だが それは こんな戦いではない 俺は… 俺は…」
ヴェルアロンスライツァーがロキに切りかかる ロキが悔しそうに顔を上げて言う
「…ヴェル!!俺は 卿の相棒ではなかったのかっ!!俺は卿と… お前ともう一度 共に戦いたかったんだ!それだけだっ!それなのにっ!この トウヘンボクの 馬鹿野郎がーっ!!」
ヴェルアロンスライツァーの長剣がロキの肩のギリギリで止まる 痛みに備えて強く閉じていたロキの目が 疑問して開かれヴェルアロンスライツァーを見上げ驚く ヴェルアロンスライツァーが光の戻らない目を驚かせながらロキを見つめ 剣を持つ手が震えている ロキがハッとして叫ぶ
「ヴェル!!」
ロキが表情を明るめ見上げる と、同時に ロキへ向け激しい炎の魔法が放たれ ロキが吹き飛ばされる ロキが叫ぶ
「ぐあっ!?あぁあああっ!!」
ヴェルアロンスライツァーがハッとする ガライナが呆気に取られ振り向いた先 異大陸の魔法使いが一歩踏み出して言う
「意識下にある人物への干渉は どれ程強力な力をも弱める …トカゲごときには その程度の事も分からんのか」
ガライナが言う
「フォライサー殿… いや、分かっておりますとも それ故に この機に乗じて あの洗脳がどれほどのものに 耐えうるかの検証を…」
フォライサーが不満そうに言う
「このアバロンを落とし 第二プラントの全ての国を従える… その為に 今は確実に事を進めるべきだ 検証などと悠長な事を行っていては 足元をすくわれ兼ねんぞ」
ガライナが一瞬不満そうに表情を歪める フォライサーがガライナへ顔を向ける ガライナがハッと表情を戻して言う
「そ、それもそうですな 流石はフォライサー殿」
フォライサーが顔を背けて言う
「トカゲに煽てられる等 屈辱以外の何物でもない」
ガライナが歯を食いしばって悔しがる ロキが炎に巻かれたまま叫ぶ
「あぁあああっ ヴェル、ヴェル…っ」
ロキがヴェルアロンスライツァーへ手を向ける ヴェルアロンスライツァーが呆気に取られている ロキが膝を着く フォライサーがロキを見ている状態から ふと気付き視線を変えて言う
「む?」
フォライサーが向くと同時に その方向からロキへ向かって水の魔法が放たれる ロキの身を覆っていた炎が消され ロキが両手を地に着けて苦しそうに息継ぎをする
「クッ… はっはぁはぁっ」
フォライサーがロキを見て言う
「…私の炎を」
柱の影からイシュラーンが現れて言う
「その方の姿… この大陸の者ではあられぬ様子 別大陸の民か 何故ソルベキアへ… ガライナへ手を貸すのか?」
イシュラーンがロキの横に立つ フォライサーが視線を強めて言う
「答える理由は無い お前は何者だ?この大陸の魔力者… ローレシアとやらの 魔法使いか?」
イシュラーンが微笑して言う
「ふっふ… では 私も答える理由は無いな?もっとも 私が答えずとも」
イシュラーンがガライナを見る ガライナがムッとしてからフォライサーへ向いて言う
「奴はローレシアの前王 イシュラーンです!ローレシアの最上級魔力者でもあった者です」
フォライサーが言う
「最上級魔力者…」
イシュラーンの指輪が光る フォライサーがそれを見てから 再びイシュラーンを見て言う
「ローレシアの前王が 他国を守りに来たと言うのか…?ふっ 滑稽な」
イシュラーンが言う
「残念ながら 私はこのアバロンを守りに参った訳ではない ロキ殿はどうであったか存ぜぬが 私の目的は…」
イシュラーンがガライナを見る ガライナが視線を強める イシュラーンが言う
「我が相棒 ローゼック 共に キルビーグ2世の仇である …ガライナ 貴様を討つ事だ!」
イシュラーンが両手に魔力を終結させる ガライナが歯を食いしばりつつ一歩後退してから はっとして言う
「そ、そんな事をすればっ アバロンの次の襲撃は ローレシアとなるぞっ!?」
イシュラーンが言う
「構わぬ アバロンが落ちたとなれば ローレシアとて時間の問題 そうとなれば尚更 ガライナ… 貴様だけは 私のこの手でっ!」
イシュラーンの魔力が増幅される ガライナが恐れ慌ててソルベキア兵へ命じる
「くっ な、何をしている!撃て!撃てーー!!」
ソルベキア兵たちがはっとして慌てて狙撃を開始する イシュラーンが言う
「無駄だ!」
イシュラーンが片手を振り払うと その手に収集されていた風の魔法が銃弾を払い除け 城の柱に無数の銃弾が当たる ガライナが驚き後ずさって言う
「なっ 馬鹿な!?」
イシュラーンが微笑して言う
「一線を退いたとは言え ローレシアの最上級魔力者である私を 侮ってもらっては困る」
イシュラーンが再び両手に魔力を収集する ガライナが焦る フォライサーが静かに言う
「この大陸唯一の魔力者の国 ローレシアの その最上級魔力者か …面白い」
ガライナがはっとしてフォライサーを見る フォライサーが一歩踏み出す ガライナが表情を明るめて言う
「フォライサー殿っ」
イシュラーンがフォライサーを見る フォライサーが杖を構えて言う
「私の名はカイ・アーク・フォライサー イシュラーンと言ったか お前を打ち倒せば この大陸の魔力者は 全てそれ以下であると言う事になるのだろう?」
イシュラーンが言う
「確かに、かつてはそうであったが 今の私は 王の座を譲り 魔力者としての地位も譲ったつもりだ」
フォライサーが言う
「では ローレシアの現王こそが それであると?…まぁ良い 例えそうであろうとも」
フォライサーがイシュラーンへ強い視線を向ける イシュラーンが言う
「ガライナに味方すると在れば 手加減は出来ぬ 言葉を交わせるうちに もう一つの質問にも答えて頂きたい」
フォライサーが僅かに首を傾げる イシュラーンが言う
「何故にガライナへ味方をする?その方の力 比べずとも分かる 相当な物だ ガライナに従ずる必要など あらぬ筈」
フォライサーが言う
「私はこのトカゲに従じてなど居ない 私は 我が王にして神 第6プラントの管理者 ベガ様に仕える者」
イシュラーンが言う
「第6プラントの管理者 ベガ…」
フォライサーが微笑して言う
「話はここまでだ」
フォライサーの杖に炎の魔力が集結する 一瞬の後 イシュラーンの風と水の魔法とフォライサーの炎の魔法がぶつかり押し合う イシュラーンとフォライサーが力比べをしている ガライナとソルベキア兵たちが呆気に取られている ロキが苦しそうに顔を上げ見る ガライナがはっとしてロキを見て から ヴェルアロンスライツァーを見る ヴェルアロンスライツァーは呆然と立ち尽くしているが その場所はイシュラーンへ攻撃を仕掛けるには好位置 ガライナがそれを見定めニヤリと笑み 一度フォライサーとイシュラーンの位置を確認してから叫ぶ
「今だ!ヴェルアロンスライツァーよ!お前のすぐ横に居る魔法使い イシュラーンを討て!!」
イシュラーンがハッとする ヴェルアロンスライツァーがイシュラーンへ剣を振りかざす イシュラーンがそちらへ顔を向ける 銃声が2発響く ヴェルアロンスライツァーの剣が弾かれ宙を回転して床に突き刺さる ガライナが驚き視線を向けた先 ロキが膝を着きながらも二丁銃を撃ち終えた状態で居る ガライナが舌打ちをして言う
「クソッ!死にぞこないがっ」
イシュラーンが悲鳴を上げ吹き飛ばされる
「ぐぅっ!」
イシュラーンが床に叩き付けられる フォライサーが不満そうに杖を戻して言う
「…余計な手出しを」
ガライナが笑んで言う
「今は 確実に事を進める時ですからな?検証などと悠長な事をして 足元をすくわれては 困りますので」
フォライサーが不満そうに顔を顰めて身を翻して言う
「勝手にしろ」
フォライサーが去る ガライナが笑んで隠し持っていた宝玉を手にする 宝玉が光を発する ガライナがニヤリと笑んで ソルベキア兵らへ言う
「さぁ この宝玉に反応した アバロンの宝玉を捜せ!」
ソルベキア兵隊長が敬礼して言う
「はっ!」
ソルベキア兵隊長が兵らへ合図を送る 兵らが向かう ガライナが言う
「私は第二部隊と共に待っている また 余計な者の相手をするのは御免だからな」
ガライナがヴェルアロンスライツァーへ向いて言う
「ヴェルアロンスライツァー 戻るぞ 来い」
ガライナが立ち去る ヴェルアロンスライツァーがガライナへ向き歩き出す ロキが必死に声を絞り出して言う
「…ヴェルっ」
ヴェルアロンスライツァーが床に刺さっている剣を引き抜き去って行く ロキが悔みながらも顔を下げ表情を落とす ロキとイシュラーンへソルベキア兵たちが銃を構えて威嚇する ロキがうなだれる イシュラーンが周囲を見てからロキの近くへ来て言う
「きっと 何らかの方法があるはずだ …貴殿の相棒殿は生きておる 希望を捨てるな」
ロキがイシュラーンを見上げる イシュラーンが苦笑する ロキが言おうとする
「…イ シュラ …ン殿 …卿 の…」
ロキが身の痛みに苦しむ イシュラーンが言う
「身の内側を焼かれたか 待て、無理を致すな」
イシュラーンがロキに回復魔法を施す ロキが痛みから解放され顔を上げて言う
「…感謝する …俺は卿に 命を 救われた」
イシュラーンが苦笑して言う
「それは私も同じだ 気に致すな」
ロキが沈黙する イシュラーンが言う
「…これで ソルベキアが帝国となる か」
イシュラーンの視線の先 ソルベキア兵が第2国王の玉座を破壊し そこに隠されていた宝玉が輝いている ロキが言う
「…だが、僅かな間だ まるで 夢の様に な…」
イシュラーンが苦笑して言う
「夢の様に…か」
ソルベキア兵が宝玉を手に叫ぶ
「ガライナ陛下へお伝えしろ!」
【 第1プラント 】
ザッツロードが周囲を見渡しながら言う
「ここが… 別大陸」
オライオンが頭をさすりながら身を起こして言う
「いってぇ~ いくら大陸を越えるからって あんなに勢い付ける必要あったのか~?」
デスが振り向き苦笑して言う
「バーネット国王の場合は 大陸を越える越えないに関わらず 移動魔法の速度調整が不得手なのだ」
ジークライトがデスの身を庇っていた状態で言う
「だからって… もう少しでデスまで岩に激突する所だったぜ?大陸を越えちまったら デスのプログラムは 俺自身にしか効果をもたらさないって バーネット様本人が言ってたのによ?」
デスが苦笑して言う
「ふっ… 問題ない 私がお前を強化し そのお前が私を守れば良いだけだ 先ほどの様にな?」
ジークライトが気付き 嬉しそうに笑んで言う
「ま、そうだけどよ!」
オライオンがジークライトを見てムッとしてから 視線を逸らして言う
「それじゃ 予定通り 2手に分かれて親父を探すぜ!」
オライオンが歩き出す ザッツロードが慌ててジークライトとデスへ向いて言う
「あ、ああ!そ、そうだね オライオン!それじゃ…っ そう言う事で!?何か分かったら 連絡を!」
ザッツロードが通信機を見せてから オライオンを追いかけて言う
「オライオン 待ってくれ!?」
ジークライトが不思議そうに見送り デスが苦笑して言う
「…では 我々も行くとしよう ジーク」
ジークライトが気付き言う
「うん?ああ …おう!」
ジークライトとデスがオライオンたちとは逆の方向へ歩みを進める 周囲には美しい新緑の森が広がっている
続く
玉座に座るバーネットの前にレクターのホログラムがある ヴィクトールが表情を悩ませて言う
「だったら… そうと分かっているのなら尚更!」
レクターのホログラムが言う
『デネシアとベネテクトには おめーらの所へ雪崩れ込むかもしれねーって 連絡しておいてやったぜぇ?きっと今頃 大慌てで国境に兵士を集めてるんだろうなぁ 真っ青な顔してよ?ッハハハハッ!』
ヴィクトールが衝撃を受け怒って言う
「レクター!相変わらず 君と言う人はっ!何でこんな時まで そんな風に笑っていられるのっ!?」
バーネットが一息吐いて言う
「…まぁ そう言ってやりやがるな ヴィクトール もし レクターがやらねぇってぇんなら 本当にそうなりやがる可能性だって ありやがるんだぜぇ?それを知ってか知らねぇでか 他の2国だって んな馬鹿をやろうってぇアバロンへ 加勢してやろうと動いてやがる… まぁ… その1国がベネテクトじゃなかったってぇ事に 関しやがってはぁ…」
バーネットが一瞬の暗転の後 鞭を振りかざして怒って叫ぶ
「あのっ 3世の馬鹿野郎ぉがぁああ!まんまとレクターに騙されやがってぇええ!!今度会ったら たっぷり躾けてやりやがるぜぇえええ!!」
ヴィクトールが鞭に縛られバーネットに踏まれている ヴィクトールが苦笑しながら言う
「バーネットっ 何で僕にーっ!?」
バーネットがハッとして慌てて言う
「ぬあっ!しまった つい いつもの癖で 勢いのままに てめぇを躾けちまったぁ」
オライオンとザッツロードが駆け込んで来て オライオンが言う
「バーネット様っ!」
ザッツロードがヴィクトールへ言う
「ヴィクトール様 何か あったのですかっ!?」
ヴィクトールが苦笑しながら立ち上がって言う
「うん… 実は」
ヴィクトールがオライオンを見る オライオンが疑問する バーネットが一息吐いて言う
「チッ… ソルベキアの馬鹿野郎どもが… アバロンへ進軍しやがったぜ」
オライオンとザッツロードが驚き オライオンが言う
「何だってっ!?」
【 スプローニ城 玉座の間 】
アシルが腕組みをして言う
「まさか… いや、遂にと言うべきか ソルベキアが アバロンを狙うとはな…」
ロキが閉じていた目を開き 玉座を立って言う
「…アシル王子 ここを頼む」
アシルが苦笑して言う
「おう 行ってきやがれ」
ロキが出入り口へ向かう その背にアシルの声が掛かる
「…やりてぇようにやってこい 心残りのねぇようにな?」
アシルの言葉に ロキが反応し僅かに口角を上げてから 玉座の間を後にする
【 ローレシア城 玉座の間 】
ルーゼックが困り怒って言う
「なんと申す事かっ!数少ない あやつが必要とされるこの瞬間にっ!」
ルーゼックが玉座を立って怒って叫ぶ
「草の根を分けてでも探し出すのだっ!アバロンが襲撃されると申す この時に このローレシアから送る援軍は あの ボンクラ王子を置いて他にはあらぬっ!!」
キルビーグが苦笑して居る その場所に声が掛けられる
「アバロンへは 私が向かおう」
キルビーグとルーゼックが驚き呆気に取られる
【 ベネテクト城 バルコニー 】
ベーネットが遠くを見つめながら言う
「…遂に ソルベキアが アバロンを…っ」
ヴィクトール14世がベーネットを見てから 同じく遠くへ視線を向け表情を落とす ベーネットの後ろにバーネットのホログラムが現れて怒って叫ぶ
『おらぁああ!このっ 腰抜けベーネットがぁあああっ!』
ベーネットとヴィクトール14世が驚き ベーネットがバーネットへ振り返って言う
「ち、父上っ …もう、急に叫ばないで下さい 驚くではないですか …私の猫が」
ベーネットがヴィクトール14世へ微笑む ヴィクトール14世が一瞬呆気に取られた後笑顔になる バーネットが怒って言う
『知るかぁあ!んな事より てめぇ…』
ベーネットが疑問する バーネットが凄みながら言う
『アバロンが… ベネテクトの友好国 アバロンが襲撃されやがるってぇ時に… 馬鹿野郎ぉお ベーネット!てめぇえは ベネテクトの王の癖に 相棒国アバロンへ 援軍を出さねぇたぁ!てめぇは どんな躾を受けてやがるんだぁああっ!?』
ホログラムのバーネットが鞭を振りかざす ベーネットが呆気に取られた状態から 溜息を吐いて言う
「…やはり そんな事ですか」
バーネットが衝撃を受け言う
『そっ …”そんな事”だ!?…てめぇえっ!!』
ベーネットがバーネットのホログラムへ向き直って言う
「私だって アバロンへは 兵を送ると… この私さえも 向かうと申しました しかし」
バーネットが反応する ベーネットが言う
「…しかし、レクター殿が言ったのです 『この戦いは アバロンの敗北に終わる そのアバロンへの被害を最小限に抑える為にも 援軍は送らないで欲しい』と」
バーネットが呆気に取られる ベーネットが静かに言う
「…そこまで言われては 送るわけには行かないでしょう?…それでも 先のローゼントでの借りがある スプローニ そして この大陸の3大国家の一つ ローレシア その2国からの援軍は 受け入れない訳に行かないと… レクター殿は やはり アバロンを愛しておられるのでしょう …そうでなければ このような判断、そして この作戦は出来ません」
バーネットがベーネットを見つめた後 遠くのアバロンへ向く
【 ガルバディア城 玉座の間 】
オライオンが叫ぶ
「俺はアバロンの民で アバロンの王子だぞっ!?その俺が アバロンの戦いに参加しねーだなんて!そんな事!」
ザッツロードが言う
「私は ローレシアの王子として アバロンへ恩のある者として!アバロンへ加勢したいのです!例えそれが 負け戦であろうともっ!」
バーネットが言う
「てめぇらをここへ 足止めしといてくれってぇのは アバロンの王 レクターからの頼みだ 俺はそいつを無下にする事は出来ねぇ」
オライオンが怒って言う
「なんでだよっ!?アバロンが襲われるってーのにっ 安全なこのガルバディアから 黙って見てろって言うのかよっ!?」
バーネットが言う
「ああ そう言う事だなぁ?」
オライオンが言う
「…バーネット様じゃ話にならねー」
バーネットが衝撃を受けて言う
「んだとぉ?」
オライオンが言う
「レクターへ通信を繋いでくれっ 俺からの通信は取り次いでくれねーんだ 直接レクターと話して 納得させる!あの馬鹿レクター… 俺は!」
バーネットが溜息を吐いて言う
「はぁ… 分かってねぇ… 分かってねぇなぁ?」
オライオンが疑問してバーネットを見る バーネットが言う
「てめぇは 何も分かってねぇって 言ってんだぁ オライオン!レクターがてめぇらを足止めしたのはなぁ?勝ち目のねぇ戦いにおいて アバロンへの被害を最小限に抑える作戦なんだよ それを 何もわからねぇで てめぇえは!」
オライオンがバーネットと視線を合わせる ヴィクトールが表情を落としていた状態から 苦笑して言う
「…まぁまぁ バーネット?…バーネットだって ベーネット殿から諭されるまで 気付かなかったじゃない?」
バーネットが衝撃を受ける ヴィクトールが困り苦笑で言う
「それを… 自国が襲われると知ったばかりのオライオンへ 気付けと言うのは少し強引だよ?」
バーネットがバツの悪そうに視線を逸らす オライオンがヴィクトールを見て言う
「ヴィクトール様っ 何でヴィクトール様まで 落ち着いていられるんだ?アバロンが!」
ヴィクトールが頷いて言う
「うん、僕だって アバロンの人々や 今後のアバロンの事を考えなくて良いのなら 今すぐにでも行って 最前線で戦いたい… 例え ソルベキアに敵わなくとも」
オライオンが言う
「アバロンの人々や… 今後の?今後のアバロンなんて…っ 負けると分かっているのなら尚更!」
ヴィクトールが言う
「アバロンは 他国からの援軍を含む 全勢力を アバロン城下町の門前に配備した」
ザッツロードが言う
「全勢力を… 門前に!?それでは そこを破られてしまったら!」
ヴィクトールが言う
「そこを破りさえすれば ソルベキアの勝利 …後は アバロン城へのメインストリートを進行して 城へ向かい」
バーネットが言う
「門前の全勢力を潰されたとあれば 城へやってきたソルベキアの野郎に アバロンはもう太刀打ち出来ねぇ… それでソルベキアは アバロンへの勝利を… いや、この大陸の帝国様にでも なりやがるつもりかもな?」
ザッツロードが驚いて言う
「ソルベキアが… 帝国に…っ!?」
ヴィクトールがバーネットへ向いて言う
「レクターは きっと最後まで玉座で待つのだろうね… アバロンの敗北を知らせる ソルベキアの者が来るまで… もし、僕なら…」
ヴィクトールが俯き手を握り締める オライオンがそれを見て奥歯をかみしめて顔を逸らす
【 アバロン城 城下町門前 】
レクターが叫ぶ
「全力で戦って 死ぬ前に倒れろ 必ず 生きて倒れるんだ!」
アバロン1番隊から8番隊までの全隊員がレクターへ向いている レクターが続ける
「今ここで おめーらを失う訳にはいかねー おめーらにはこの先に 本当の戦いがある その時まで 絶対に生きていろ!ソルベキアへでも 何にでも 恨みがあるだろうが それを晴らすのは 今日じゃねーんだ」
ローゼントの騎士たちが怒りを押し殺してレクターの言葉を聞いている レクターが続ける
「おめーらには まだ やらなきゃならねー戦いが待ってる だから 良いか!絶対に忘れるんじゃねーぞっ!この戦いは!」
アバロン魔法剣傭兵部隊とローゼント魔法剣騎士団 双方に属するローレシアとデネシアの魔力者たちが息を飲んでレクターの言葉を聞いている レクターが言う
「ローゼントの敵討ちでも何でもねー!今日ここで おめーらが生き残る事が 全ての始まりになる!」
スプローニの銃使いたちが意を決して銃を握る レクターが叫ぶ
「おめーらが全てを賭して戦う その時の為に!今は生き残る事だけを考えて戦え!」
ローゼントの騎士たちがうつむいて閉じていた目を開き長剣を抜き掲げて雄叫びを上げる ローレシアとデネシアの魔力者たちが双方周囲共に意志を疎通させて頷き合う スプローニの銃使いたちが顔を上げる レクターが大剣を引き抜き地平線の先を見て言う
「さぁて…」
レクターの目に数字の羅列が映る 視線の先に見えるソルベキアの小さな人影とその後ろを覆いつくすロボット兵の壁が見える レクターがニヤリと笑んだ後 後方の城壁上へ視線を向ける レクターの視線の先 城壁に佇むラザイヤが風を受けながら その場所からでも見えない 彼方の蜃気楼から視線を下ろして レクターを見て微笑する
【 ローレシア城 玉座の間 】
伝達兵が駆け込んで来て跪いて言う
「申し上げます!一四○六 ソルベキア軍 アバロンに到達 一四二○ ソルベキア軍の先制攻撃にて アバロン連合部隊との戦闘が開戦されました!ソルベキアのロボット兵の数およそ… 1万!」
キルビーグとルーゼックが驚く 大臣たちが驚き顔を見合わせる キルビーグが表情を渋らせて言う
「1万か… どうやらソルベキアは 我々が把握する そのずっと以前から ロボット兵の製造を 秘密裏に行っていたようだな」
ルーゼックが悔しそうに言う
「おのれ ソルベキアめっ!」
ルーゼックが玉座の肘掛を殴り付ける
【 ガルバディア城 玉座の間 】
バーネットが玉座に肩肘を着きながらホログラムモニターを眺めつつ言う
「はっはー!ソルベキアの野郎どもがぁ 大方 …ローゼントの豊富な鉱山から ロボット兵の材料をしこたま こしらえやがったなぁ?」
ヴィクトールが悔しそうに言う
「これでは 勝ち目が無い… この半数でも ソルベキアはアバロン連合部隊を壊滅出来た それなのに きっとあちらは この戦いへ全勢力を投入して来たんだ」
バーネットが笑んで言う
「ハッ!ならこっちは 全勢力じゃねぇぜぇ?それこそ 半分程度の勢力だからなぁ?」
ヴィクトールが苦笑してバーネットへ向く オライオンが床を殴りつけて言う
「だったら!こっちだって 全勢力を投入すれば良かったんだっ!それなのにっ!」
オライオンがバーネットへ怒りの視線をぶつける バーネットがオライオンを見る ヴィクトールが気付き 庇うようにオライオンとバーネットの間に立つ バーネットが苦笑して言う
「こっちも全勢力を投入しろって?なら?肝心の ヘクターの野郎が居ねぇじゃねぇかぁ?」
オライオンがハッとして呆気にとられる バーネットがフンッと顔をそむけてモニターへ視線を戻す ヴィクトールが苦笑して言う
「今は 良くも悪くも… 様子見だよ オライオン」
オライオンが驚いて言う
「『様子見』 だってっ!?何言ってんだ!?そんなんで アバロンがソルベキアに 負けちまうだなんてっ!」
ザッツロードが言う
「負けるのは… アバロンじゃない」
オライオンがザッツロードへ向く ザッツロードがオライオンへ向いて言う
「負けるのは ソルベキア以外の この大陸の全ての国だ」
オライオンが驚く
【 スプローニ城 玉座の間 】
伝達兵が走り込んで来て言う
「お伝え致します!アバロン連合部隊とソルベキア軍の戦いは!…ソルベキア軍に分が有り!連合部隊は敗北の一途をたどり 一六○○ 壊滅!現在 残り唯一の戦力にて!」
アシルが伝達兵の言葉を聞いている
【 アバロン国 城下町門前 】
瀕死のローゼントの騎士が片足を引きずりながら向かい 仲間たちが休んでいる物陰へ身を寄せる 大勢の傷付いた兵たちが居る 彼らが視線を向けた先 大量のロボット兵の前に最後の1人 レクターが立っている
【 ガルバディア城 玉座の間 】
オライオンが驚いて言う
「レクター!?」
バーネットが言う
「やっぱりなぁ これだけデケェ戦いともなりゃぁ あいつぁ 城の中で 大人しく玉座に座って待ってる事なんざ 出来ねぇよなぁ?」
ヴィクトールが表情を困らせて言う
「確かに レクターは 皆が戦いに出る時は出ないで 皆が出ない時に出る… つまり 多勢に無勢の戦いを好む 変わり者だった けど…」
オライオンが悔しそうに言う
「多勢に無勢所じゃねーよ!もう 誰一人仲間は居ねーんだぞ!?あんなんじゃ 殺してくれって言ってる様なもんだっ!」
【 アバロン国 城下町門前 】
ソルベキアのロボット兵に乗り込んでいる隊長が言う
「うん…?」
ロボット兵内部の無線から声が聞える
「隊長!あの男 アバロンの代理の王 レクターです!」
隊長が言う
「分かっている… まさか 城内ではなく この場所で対峙する事になるとは」
レクターが片手に大剣を持っていて もう片方の手で腰にあるローゼックの剣を引き抜き 両手に持った剣を隊長の乗るロボット兵へ構えて見せる 隊長が気付き表情を強める 無線から声が届く
「隊長っ!如何致しますかっ!?」
隊長が言う
「聞くまでも無かろう!ここで対峙した以上 ここで仕留める!」
無線から声が届く
「代理とは言え 王とされる者が 前線に来ると言うのは… 何らかの罠では ありませんでしょうか!?」
隊長が言う
「罠であろうが無かろうが!奴1人に何が出来る!?作戦に変更は無い!我らソルベキア軍に楯突くものは 全て蹴散らせ!突撃ー!」
隊長の乗るロボット兵が合図を送る ロボット兵たちがレクターへ襲い掛かる
レクターへロボット兵たちが向かって来る レクターが苦笑して言う
「これで この力ともおさらばか… 散々嫌っていた力だってーのに いざ無くなると思うと 少し寂しい気もするぜ… まぁ 最後は!」
レクターが強い意志で顔を上げて言う
「全力で使ってやる!」
レクターの周囲に大量のプログラムが発生する
【 ローレシア城 玉座の間 】
伝達兵が走り込んできて言う
「お伝えいたします!アバロンにて開戦された 我らローレシア部隊率いるアバロン連合部隊は 先ほど完全敗北致しました!」
ルーゼックが悔しそうな表情で言う
「くそっ!やはり敵わなんだったかっ」
キルビーグが言う
「あのレクター代理国王が戦前に現れたと聞き もしや とは思わなんだったが… やはり 1万近いロボット兵が相手では 多勢に無勢であったか」
ルーゼックがキルビーグへ向いて言う
「以前申しておったな?あのレクターには 隠されし力があると」
キルビーグが言う
「うむ、多少伺い聞いた程度の話であるが かの者は ガルバディアにて力を与えられ 奴1人で1国を破壊する程の 強大な力を隠し持っておるとの内容であったが」
ルーゼックが言う
「1人で1国をっ!?ふむ… まるであの夢の中の様な話であるが …だが それ程に比喩される力であっても ソルベキア軍には敵わなんだった 所詮 噂は噂に過ぎぬかったと申す事か…」
キルビーグが苦笑して言う
「もしくは ソルベキアの軍勢が 1国を破壊するそれ以上の力を持って 攻め入ったとも考えられるな?」
ルーゼックが不満そうに言う
「ふんっ …なんにせよ これで全て決まったのだ この大陸の 我々の未来がな」
【 アバロン国 城下町門前 】
レクターの周囲からプログラムが消える レクターの瞳の色が赤から青へ移り行く間に ロボット兵の武器が振り下ろされる ロボット兵の武器がレクターの目前でプログラムの盾に防がれるが間もなくして プログラムの盾が消え 武器がレクターに当たりレクターが吹き飛ばされる 端で見ていた敵味方問わずすべての者たちが目を見開き言葉を失っている レクターが静かな音を立てて地に背を打ち そのまま動かなくなる ロボット兵隊長がモニターを見つめている 通信機から隊員の声が聞える
『…やった …のか?』
ロボット兵隊長が黙してモニターを見つめる 皆の視線の先 レクターの倒れている地面の砂が風に散って行く ロボット兵隊長が肩の力を抜いて言う
「…化け物が」
通信機から隊員の声が聞える
『…て、敵の沈黙を確認!隊長!』
ロボット兵隊長が言う
「敵戦力の壊滅を確認!我が軍は作戦を続行させる!第一部隊及び第二部隊 アバロン城へ向け進軍せよ!」
ロボット兵たちがレクターの脇を抜けアバロン城へ向かう 戦場の隅へ身を寄せていた兵たちが肩の力を抜き 息を吐いて1人が言う
「…これで 終わりか…」
その者の肩を叩き もう1人の兵が言う
「違うだろ これが 始まり さ」
兵士たちが微笑する 最初の兵が苦笑して言う
「…そうだったな これが 始まりか」
兵士たちが視線を向ける
レクターの視界に脇を抜けて言ったロボット兵らが巻き上げた砂埃が収まりを見せ 青空が見えている そこへ影が落ち レクターが視線を向ける ラザイヤがレクターの横に立って見下ろしている レクターが苦笑して言う
「…ラザイヤ すまねぇ 負けたぜ …ッハッハ …格好悪ぃなぁ?ゲホッ ゲホッ…」
ラザイヤがレクターを見下ろしていた状態から周囲を見て微笑し 身を下ろしてレクターの口元の血を拭いつつ言う
「いいえ 素敵よ レクター」
ラザイヤとレクターの周囲に数多のロボット兵の残骸がある
城下町メインストリート
ソルベキアのロボット兵らがアバロンのメインストリートを進む ロボット兵隊長が険しい表情のまま居る 無線機から隊員の声が届く
『周囲に敵の気配なし!』
ロボット兵隊長が沈黙して思う
(アバロンの代理の王 レクター…)
ロボット兵隊長の脳裏にレクターがロボット兵と戦っている姿が思い出される レクターのプログラムを帯びた剣が振りかざされるだけで 大量のロボット兵の機体が損傷を受けて次々に倒されて行く レクターが剣舞を舞う様に戦い続け ロボット兵隊長が怯えつつも必死に叫ぶ
『ひ、怯むな!全軍!アバロンの代理王 レクターを攻撃ーっ!』
ロボット兵隊長が冷や汗を流しつつ 気を取り直して思う
(あれが仮の王だと言うのか?では…!?真の王とされる ヘクターとは…?一体どれ程のっ!?)
ロボット兵隊長が歯を食いしばってから言う
「各自、警戒を怠るなっ アバロン城へ到着次第 第二部隊は城門前にて待機!第一部隊は機体を降り 玉座の間へ向かう!戦闘装備を欠かすな!」
ソルベキアのロボット兵らがアバロン城へ向かって行く
城下町 門前
ソルベキアのロボット兵らが武器を持って警戒を続けている 移動魔法陣に反応が起きて ローレシアの魔法使いたちが現れる ロボット兵に乗り込んでいるソルベキアの兵らが視線を強めてモニターを見る モニターに白旗が映り それを持ったセーリアが言う
「ローレシアから参りました 私たちは怪我人の救護に来たのです 私たちローレシアは ソルベキアの勝利を受け入れます」
ソルベキアのロボット兵から声が聞こえる
「総員へ通達 ローレシアからは正式にソルベキアへの無条件降伏が入っている ローレシアからの救護だと言う やつらは攻撃するな」
声を聴いたソルベキアのロボット兵らが構えを解除する セーリアが頷き 連れて来た魔力者たちへ向いて言う
「怪我人の回復へ」
魔力者たちが頷き向かう
アバロン城 門前
ロボット兵らが止まり周囲を確認する ロボット兵の1体から声が聞こえる
「城下の門と言い この城の門ですら 開かれたままだとは…」
ロボット兵の1体が隊長機へ向いて言う
「隊長!これらはっ!?」
隊長機から声が聞こえる
「奴らは城下の門前へ兵力を集中させていたのだ その門前の構えが破られれば 城の門など 我らのロボット兵にとっては微々たる物 強いて言うなれば 無駄な破壊行為を行うな と言う意図だろう」
ロボット兵らが隊長機へ向いてその内の1体が言う
「では… 如何いたしますか?」
隊長機が言う
「ローレシアさえ敗北を受け入れた今 この意図を疑って破壊活動を行えば 後々臆病者とされるのが落ちだ 無駄な破壊行為はするな アバロンの王を倒した今 この城に門を閉ざし 守る者もあるまい!第一部隊は 予定通り 機体を降り 玉座へ向かう!」
ロボット兵を降りたソルベキア兵らが 隊長を先頭に城内へ進軍する
アバロン国 城下町門前
ラザイヤが無線機へ向かって言う
「アバロン国代理国王レクターに変わり 王妃ラザイヤが アバロンの敗北を認め ソルベキアへの無条件降伏を約束するわ」
無線機のモニターの中でフォリオッドが言う
『我らソルベキア国へ対する アバロン国の敗北 及び 無条件降伏を ソルベキア国大臣 フォリオッドが了承した …代理国王所か 代理の王妃からの言葉であると言うのが気に入らんがな?』
ラザイヤが不満そうに言う
「あら、そちらこそ ソルベキア国王や王妃所か 大臣じゃない?王妃すら得られない モテない国王様は このアバロン襲撃の大事に 何処へ行ったのよ?」
フォリオッドが怒って言う
『なんだとっ!?無礼な後住民族の女がっ!口の利き方も知らぬのかっ!?』
ラザイヤが言う
「貴方の方こそ 大臣風情が 一国の王妃へ対する口の利き方じゃないわね?悔しかったら 貴方も代理の王くらいに なってみたらどう?」
フォリオッドが怒りを抑える
アバロン城 玉座の間
ソルベキア兵らが武器を手に玉座の間へやって来る 隊長が驚き進行を止めて言う
「なっ!?まさか…っ!?いや、そんな筈は無い…っ 既に ローレシアに続き アバロンですら我らソルベキアへ降伏したのだ この期に及んで…っ!?」
ソルベキア兵らへ向けて 二丁銃が向けられる
「…スプローニは 諸卿ソルベキアへ降伏などはしていない スプローニの王である この俺が倒れぬ限りな?」
ロキがソルベキア兵らへ銃口を向けている ソルベキア兵らが隊長へ向く 隊長が目前のロキの姿と資料モニターに表示させているロキの写真を見比べて言う
「間違いない… 奴はスプローニの現国王 ロキ…」
ロキがソルベキア兵らの中に居る隊長を見定め視線を強める 隊長が言いかける
「そ、総員 攻撃開始…っ」
言葉の途中で ガライナの声が届く
「攻撃は中止 お前たちは待機だ」
ロキが驚き顔を向ける 隊長が振り返って言う
「し、しかしっ 陛下っ!」
ロキが驚いたまま言う
「…まさかっ ガライナ王?貴様が 直接来ているとは」
ソルベキア兵らが道を開ける その道をガライナが進み向かい ソルベキアの兵らの前に出て言う
「ふっふっふ 驚いたか?成り上がりの王とは言え 貴様もここに居るではないか ロキ国王?」
ロキが視線を怒らせ銃口を向ける ソルベキア兵らがロキへ銃口を向ける ガライナが言う
「分かっておるのだろう?この戦いが… 我らソルベキア帝国 創立の 華やかな余興であると申す事を?」
ロキが表情を強めて言う
「…生憎だが 俺はそいつを祝ってやるつもりはない …認めてやるつもりも無いからな?」
ガライナが一瞬疑問した後 悪笑んで言う
「ほぅ?」
ロキが言う
「…卑怯な手段である事は分かっている だが、例え経緯がどうであれ ローゼントへ奇襲を仕掛けた貴様らソルベキアへ スプローニは降伏などは出来ない ローレシア・アバロンの降伏を受け 油断したか?ロボット兵を降りた貴様1人を始末する事など 例え周囲をソルベキア兵の一個部隊に囲われていても 俺の敵ではない」
ガライナが笑んで言う
「この戦いの後 そのロボット兵の軍勢で スプローニを攻撃されるとは思わんのか?」
ロキが言う
「…貴様らは ロボット兵を使っての スプローニ襲撃は出来ない」
ガライナが驚く ロキがそれを見て笑んで言う
「…理由は 貴様が良く知っている筈だ」
ガライナが悔しがる ロキが銃の鉄槌を上げて言う
「…もっとも ここで貴様が死ぬとなれば 残された奴らが何をするかは 俺にも図りかねん …が 今は ローゼントの仇である 貴様を討ち取られれば それで満足だ」
ロキが銃を撃つ 銃弾が鉄に弾かれる音がする ロキが呆気に取られる ガライナが恐れに目をつぶり身を守っていた姿から目を開き ニヤリと笑んで体勢を直して言う
「不要と思いながらも用意していたものが まさか、ここで役に立つとはな?スプローニの王 …いや、スプローニの銃使い ロキ 貴様に この者が撃てるか?」
ロキが目を見開き驚きつつも 何とか声にして言う
「…な ぜ ?…何故だっ!?何故… 卿が ガライナに味方するっ!?ヴェル!!」
ガライナを守り ヴェルアロンスライツァーがロキへ盾を構えている ガライナがソルベキア兵らへむけて言う
「お前たちは手を出すな あの銃使いは ロボット兵を用いても少々厄介な相手だ… いや、むしろ 我々の前に立ち 私を守る騎士にでも当たっては 目も当てられんからな?」
ヴェルアロンスライツァーが剣を構える ロキが困惑しながらもなんとか言う
「ヴェル!!…卿は何をしている!?今… 卿が守っているのは ソルベキアの王だぞ!卿の愛する “アンネローゼ様”を殺させた 張本人だっ!」
ヴェルアロンスライツァーは変わらずロキへ長剣を向けている ロキが言う
「ヴェル!俺の声が聞えないのか!?俺が… 分からないのか!?」
ガライナが言う
「さて、これ以上 無駄話など聞かされていてもつまらん …さぁ!ヴェルアロンスライツァーよ!私に歯向かう その男を始末せよ!」
ガライナが言って手を振り払う ヴェルアロンスライツァーが一段身を低くしてロキへ攻撃を開始する ロキがヴェルアロンスライツァーの長剣をかわし防ぎながら言う
「ヴェル!何があった!?操られているのか!?目を覚ませ!ソルベキアに…っ ガライナに何をされたっ!?」
ヴェルアロンスライツァーがロキへ長剣を振り下ろす ロキが銃を交差させ長剣を受け止めて言う
「ヴェルっ!ヴェ… っ!」
ロキが見上げ気付く ヴェルアロンスライツァーの目は光を失っている ロキが悔しそうに言う
「…意識が無い 以前のままだ では… その体を操られているのかっ!?」
ロキがヴェルアロンスライツァーの長剣を払って距離を取り ガライナへ向いて叫ぶ
「ガライナ!貴様っ!ヴェルに…っ 俺の相棒に 何をしたっ!?」
ロキの言葉に ヴェルアロンスライツァーが僅かに反応するが ロキはガライナへ向いているので気付かない ガライナが笑んで言う
「何の事だ?私はただ “王に仕えたい”と願う その男の願望を 満たしてやっているまで ヴェルアロンスライツァー… “王を守る剣”は 再び 私と言う王を得て 力を取り戻したのだろう?」
ロキが怒って言う
「馬鹿なっ!ヴェルは 貴様を 己の王などと認める訳が無いっ!何らかの機械で その思いを操っているのだろうっ!」
ガライナが笑んで言う
「ふん… だとしたら何だ?己の意志も無く ただ息をしているだけの無価値な者へ 価値を与えてやったのだ …後住民族を操る これこそ 我ら先住民族の予てからの願い 先住民族と後住民族 双方の利害を一致させるなど 下らん事を行うより よっぽど早く確実な方法だ」
ロキが一度怒りに表情をゆがめてから 悪笑んで言う
「…フッ 愚かな そんな考えであるから ソルベキアは何時までたっても後住民族と… いや!他国の先住民族とも上手くやれないんだ そして、貴様らソルベキアの力など ガルバディアの!我らの仲間の手に掛かれば すぐに無き物にされる!今 ここにっ ガルバディアのプログラマーが居なかった事が 貴様の幸運だったな!」
ガライナがムッとする ロキが上がる息を整え 銃を構えなおして言う
「…ヴェルの居場所が判明しただけで 十分だ ヴェル… 少し待っていろ すぐに 皆で… 卿を助けに行く」
ガライナが微笑して言う
「ふんっ そうは行くかな?」
ロキが言う
「…何?」
ガライナが言う
「今のこの状態は ガルバディアの者どもも覗き見ているぞ?我らのセンサーにしっかりとその痕跡が捕らえられているからな?…にも関わらず 幾度と無く 我らソルベキアが編み出したプログラムを解除してきた あのガルバディアのプログラマーは …何もしてこない これがどう言う事か 貴様にも分かるであろう?」
ロキが驚く ガライナが笑んで言う
「無理もない この操りの力こそ 我らソルベキアどころか この大陸の者でもない 別大陸の神が与えし力なのだっ!」
ロキが驚いて言う
「…別大陸のっ!?」
ガライナが笑んで言う
「そうだ!過去我々が幾度と無く 模範としてきた操りの力 そのオリジナルを遂に手に入れたのだ!我らソルベキアは この力を利用し 貴様ら後住民族全てを 我らの下僕としてくれる!さあ!まずは手始めに ヴェルアロンスライツァーよ その男を始末せよ!!」
ヴェルアロンスライツァーがロキに襲い掛かる ロキが防戦しながら言う
「…くっ 操られていても 力は同じか このままでは…っ くそっ!」
ロキが言う
「ヴェル!目を覚ませ!卿が守るべき王は ガライナではない!卿の王は アンネローゼ殿だろう!?」
ヴェルアロンスライツァーがロキに襲い掛かる ロキがヴェルアロンスライツァーの長剣を銃で抑えて 近づいた顔に言う
「こんな事をして アンネローゼ殿が喜ぶと思うのかっ!?卿のアンネローゼ殿は 卿が今守っている ガライナに殺されたんだっ!」
ヴェルアロンスライツァーがロキの銃を払い 長剣を振るう ロキが身を引き 距離を置いて言う
「ヴェル!ヴェルアロンスライツァー!卿がそんなでは アンネローゼ殿も浮かばれんっ!目を覚ますんだ!ヴェル!」
ガライナの脇にソルベキア兵がモニターを片手に言う
「ヴェルアロンスライツァーの脳波に異常ありません」
ガライナが笑んで言う
「流石は神の力 操りのプログラム所ではない これぞ 真の洗脳と言うやつか」
ロキが息を切らせ 片膝を着いて言う
「…はぁ はぁ …クソ どうしたら?…どうしたら 奴をっ …ヴェルを取り戻せるっ?」
ロキがヴェルアロンスライツァーへ顔を向ける ヴェルアロンスライツァーが武器を構える ロキが表情を落として言う
「…俺は 奴と戦いたかった …だが それは こんな戦いではない 俺は… 俺は…」
ヴェルアロンスライツァーがロキに切りかかる ロキが悔しそうに顔を上げて言う
「…ヴェル!!俺は 卿の相棒ではなかったのかっ!!俺は卿と… お前ともう一度 共に戦いたかったんだ!それだけだっ!それなのにっ!この トウヘンボクの 馬鹿野郎がーっ!!」
ヴェルアロンスライツァーの長剣がロキの肩のギリギリで止まる 痛みに備えて強く閉じていたロキの目が 疑問して開かれヴェルアロンスライツァーを見上げ驚く ヴェルアロンスライツァーが光の戻らない目を驚かせながらロキを見つめ 剣を持つ手が震えている ロキがハッとして叫ぶ
「ヴェル!!」
ロキが表情を明るめ見上げる と、同時に ロキへ向け激しい炎の魔法が放たれ ロキが吹き飛ばされる ロキが叫ぶ
「ぐあっ!?あぁあああっ!!」
ヴェルアロンスライツァーがハッとする ガライナが呆気に取られ振り向いた先 異大陸の魔法使いが一歩踏み出して言う
「意識下にある人物への干渉は どれ程強力な力をも弱める …トカゲごときには その程度の事も分からんのか」
ガライナが言う
「フォライサー殿… いや、分かっておりますとも それ故に この機に乗じて あの洗脳がどれほどのものに 耐えうるかの検証を…」
フォライサーが不満そうに言う
「このアバロンを落とし 第二プラントの全ての国を従える… その為に 今は確実に事を進めるべきだ 検証などと悠長な事を行っていては 足元をすくわれ兼ねんぞ」
ガライナが一瞬不満そうに表情を歪める フォライサーがガライナへ顔を向ける ガライナがハッと表情を戻して言う
「そ、それもそうですな 流石はフォライサー殿」
フォライサーが顔を背けて言う
「トカゲに煽てられる等 屈辱以外の何物でもない」
ガライナが歯を食いしばって悔しがる ロキが炎に巻かれたまま叫ぶ
「あぁあああっ ヴェル、ヴェル…っ」
ロキがヴェルアロンスライツァーへ手を向ける ヴェルアロンスライツァーが呆気に取られている ロキが膝を着く フォライサーがロキを見ている状態から ふと気付き視線を変えて言う
「む?」
フォライサーが向くと同時に その方向からロキへ向かって水の魔法が放たれる ロキの身を覆っていた炎が消され ロキが両手を地に着けて苦しそうに息継ぎをする
「クッ… はっはぁはぁっ」
フォライサーがロキを見て言う
「…私の炎を」
柱の影からイシュラーンが現れて言う
「その方の姿… この大陸の者ではあられぬ様子 別大陸の民か 何故ソルベキアへ… ガライナへ手を貸すのか?」
イシュラーンがロキの横に立つ フォライサーが視線を強めて言う
「答える理由は無い お前は何者だ?この大陸の魔力者… ローレシアとやらの 魔法使いか?」
イシュラーンが微笑して言う
「ふっふ… では 私も答える理由は無いな?もっとも 私が答えずとも」
イシュラーンがガライナを見る ガライナがムッとしてからフォライサーへ向いて言う
「奴はローレシアの前王 イシュラーンです!ローレシアの最上級魔力者でもあった者です」
フォライサーが言う
「最上級魔力者…」
イシュラーンの指輪が光る フォライサーがそれを見てから 再びイシュラーンを見て言う
「ローレシアの前王が 他国を守りに来たと言うのか…?ふっ 滑稽な」
イシュラーンが言う
「残念ながら 私はこのアバロンを守りに参った訳ではない ロキ殿はどうであったか存ぜぬが 私の目的は…」
イシュラーンがガライナを見る ガライナが視線を強める イシュラーンが言う
「我が相棒 ローゼック 共に キルビーグ2世の仇である …ガライナ 貴様を討つ事だ!」
イシュラーンが両手に魔力を終結させる ガライナが歯を食いしばりつつ一歩後退してから はっとして言う
「そ、そんな事をすればっ アバロンの次の襲撃は ローレシアとなるぞっ!?」
イシュラーンが言う
「構わぬ アバロンが落ちたとなれば ローレシアとて時間の問題 そうとなれば尚更 ガライナ… 貴様だけは 私のこの手でっ!」
イシュラーンの魔力が増幅される ガライナが恐れ慌ててソルベキア兵へ命じる
「くっ な、何をしている!撃て!撃てーー!!」
ソルベキア兵たちがはっとして慌てて狙撃を開始する イシュラーンが言う
「無駄だ!」
イシュラーンが片手を振り払うと その手に収集されていた風の魔法が銃弾を払い除け 城の柱に無数の銃弾が当たる ガライナが驚き後ずさって言う
「なっ 馬鹿な!?」
イシュラーンが微笑して言う
「一線を退いたとは言え ローレシアの最上級魔力者である私を 侮ってもらっては困る」
イシュラーンが再び両手に魔力を収集する ガライナが焦る フォライサーが静かに言う
「この大陸唯一の魔力者の国 ローレシアの その最上級魔力者か …面白い」
ガライナがはっとしてフォライサーを見る フォライサーが一歩踏み出す ガライナが表情を明るめて言う
「フォライサー殿っ」
イシュラーンがフォライサーを見る フォライサーが杖を構えて言う
「私の名はカイ・アーク・フォライサー イシュラーンと言ったか お前を打ち倒せば この大陸の魔力者は 全てそれ以下であると言う事になるのだろう?」
イシュラーンが言う
「確かに、かつてはそうであったが 今の私は 王の座を譲り 魔力者としての地位も譲ったつもりだ」
フォライサーが言う
「では ローレシアの現王こそが それであると?…まぁ良い 例えそうであろうとも」
フォライサーがイシュラーンへ強い視線を向ける イシュラーンが言う
「ガライナに味方すると在れば 手加減は出来ぬ 言葉を交わせるうちに もう一つの質問にも答えて頂きたい」
フォライサーが僅かに首を傾げる イシュラーンが言う
「何故にガライナへ味方をする?その方の力 比べずとも分かる 相当な物だ ガライナに従ずる必要など あらぬ筈」
フォライサーが言う
「私はこのトカゲに従じてなど居ない 私は 我が王にして神 第6プラントの管理者 ベガ様に仕える者」
イシュラーンが言う
「第6プラントの管理者 ベガ…」
フォライサーが微笑して言う
「話はここまでだ」
フォライサーの杖に炎の魔力が集結する 一瞬の後 イシュラーンの風と水の魔法とフォライサーの炎の魔法がぶつかり押し合う イシュラーンとフォライサーが力比べをしている ガライナとソルベキア兵たちが呆気に取られている ロキが苦しそうに顔を上げ見る ガライナがはっとしてロキを見て から ヴェルアロンスライツァーを見る ヴェルアロンスライツァーは呆然と立ち尽くしているが その場所はイシュラーンへ攻撃を仕掛けるには好位置 ガライナがそれを見定めニヤリと笑み 一度フォライサーとイシュラーンの位置を確認してから叫ぶ
「今だ!ヴェルアロンスライツァーよ!お前のすぐ横に居る魔法使い イシュラーンを討て!!」
イシュラーンがハッとする ヴェルアロンスライツァーがイシュラーンへ剣を振りかざす イシュラーンがそちらへ顔を向ける 銃声が2発響く ヴェルアロンスライツァーの剣が弾かれ宙を回転して床に突き刺さる ガライナが驚き視線を向けた先 ロキが膝を着きながらも二丁銃を撃ち終えた状態で居る ガライナが舌打ちをして言う
「クソッ!死にぞこないがっ」
イシュラーンが悲鳴を上げ吹き飛ばされる
「ぐぅっ!」
イシュラーンが床に叩き付けられる フォライサーが不満そうに杖を戻して言う
「…余計な手出しを」
ガライナが笑んで言う
「今は 確実に事を進める時ですからな?検証などと悠長な事をして 足元をすくわれては 困りますので」
フォライサーが不満そうに顔を顰めて身を翻して言う
「勝手にしろ」
フォライサーが去る ガライナが笑んで隠し持っていた宝玉を手にする 宝玉が光を発する ガライナがニヤリと笑んで ソルベキア兵らへ言う
「さぁ この宝玉に反応した アバロンの宝玉を捜せ!」
ソルベキア兵隊長が敬礼して言う
「はっ!」
ソルベキア兵隊長が兵らへ合図を送る 兵らが向かう ガライナが言う
「私は第二部隊と共に待っている また 余計な者の相手をするのは御免だからな」
ガライナがヴェルアロンスライツァーへ向いて言う
「ヴェルアロンスライツァー 戻るぞ 来い」
ガライナが立ち去る ヴェルアロンスライツァーがガライナへ向き歩き出す ロキが必死に声を絞り出して言う
「…ヴェルっ」
ヴェルアロンスライツァーが床に刺さっている剣を引き抜き去って行く ロキが悔みながらも顔を下げ表情を落とす ロキとイシュラーンへソルベキア兵たちが銃を構えて威嚇する ロキがうなだれる イシュラーンが周囲を見てからロキの近くへ来て言う
「きっと 何らかの方法があるはずだ …貴殿の相棒殿は生きておる 希望を捨てるな」
ロキがイシュラーンを見上げる イシュラーンが苦笑する ロキが言おうとする
「…イ シュラ …ン殿 …卿 の…」
ロキが身の痛みに苦しむ イシュラーンが言う
「身の内側を焼かれたか 待て、無理を致すな」
イシュラーンがロキに回復魔法を施す ロキが痛みから解放され顔を上げて言う
「…感謝する …俺は卿に 命を 救われた」
イシュラーンが苦笑して言う
「それは私も同じだ 気に致すな」
ロキが沈黙する イシュラーンが言う
「…これで ソルベキアが帝国となる か」
イシュラーンの視線の先 ソルベキア兵が第2国王の玉座を破壊し そこに隠されていた宝玉が輝いている ロキが言う
「…だが、僅かな間だ まるで 夢の様に な…」
イシュラーンが苦笑して言う
「夢の様に…か」
ソルベキア兵が宝玉を手に叫ぶ
「ガライナ陛下へお伝えしろ!」
【 第1プラント 】
ザッツロードが周囲を見渡しながら言う
「ここが… 別大陸」
オライオンが頭をさすりながら身を起こして言う
「いってぇ~ いくら大陸を越えるからって あんなに勢い付ける必要あったのか~?」
デスが振り向き苦笑して言う
「バーネット国王の場合は 大陸を越える越えないに関わらず 移動魔法の速度調整が不得手なのだ」
ジークライトがデスの身を庇っていた状態で言う
「だからって… もう少しでデスまで岩に激突する所だったぜ?大陸を越えちまったら デスのプログラムは 俺自身にしか効果をもたらさないって バーネット様本人が言ってたのによ?」
デスが苦笑して言う
「ふっ… 問題ない 私がお前を強化し そのお前が私を守れば良いだけだ 先ほどの様にな?」
ジークライトが気付き 嬉しそうに笑んで言う
「ま、そうだけどよ!」
オライオンがジークライトを見てムッとしてから 視線を逸らして言う
「それじゃ 予定通り 2手に分かれて親父を探すぜ!」
オライオンが歩き出す ザッツロードが慌ててジークライトとデスへ向いて言う
「あ、ああ!そ、そうだね オライオン!それじゃ…っ そう言う事で!?何か分かったら 連絡を!」
ザッツロードが通信機を見せてから オライオンを追いかけて言う
「オライオン 待ってくれ!?」
ジークライトが不思議そうに見送り デスが苦笑して言う
「…では 我々も行くとしよう ジーク」
ジークライトが気付き言う
「うん?ああ …おう!」
ジークライトとデスがオライオンたちとは逆の方向へ歩みを進める 周囲には美しい新緑の森が広がっている
続く
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アールスローン戦記Ⅱは上記2つの話の続編となるので、可能な限り外伝であるアールスローン真書を読んで置くと各キャラの内容が深まり楽しめると思います。
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―――
お気に入り登録、24hポイント、有難う御座います!
新参者でポイントがどの様に加算されているのかよく分かりませんが、どちらもメチャクチャ励みになっています!
作品はほぼ完成しているので、編集の上公開しているだけなのですが1つの章の編集、公開までに8時間掛かってます(汗)
読むだけでも時間の掛かる作品ですが、少しでも楽しんで頂けると幸いです。
※作中、「了解」や「流石」と言う言葉は、本来目上の方へ用いる言葉ではありませんが、本作の中ではストーリーのリズムを優先して用いています。一応の設定としては国防軍の中では軍階は在っても仲間として使用を了承している。と言う設定であり、礼儀や階級を重んじる政府は許されないので記載を控える様にしています。…が、つまりはフィクションと言う事で、ゆるく見逃して頂けると助かります。。
S級騎士の俺が精鋭部隊の隊長に任命されたが、部下がみんな年上のS級女騎士だった
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「黒騎士ゼクード・フォルス。君を竜狩り精鋭部隊【ドラゴンキラー隊】の隊長に任命する」
15歳の春。
念願のS級騎士になった俺は、いきなり国王様からそんな命令を下された。
「隊長とか面倒くさいんですけど」
S級騎士はモテるって聞いたからなったけど、隊長とかそんな重いポジションは……
「部下は美女揃いだぞ?」
「やらせていただきます!」
こうして俺は仕方なく隊長となった。
渡された部隊名簿を見ると隊員は俺を含めた女騎士3人の計4人構成となっていた。
女騎士二人は17歳。
もう一人の女騎士は19歳(俺の担任の先生)。
「あの……みんな年上なんですが」
「だが美人揃いだぞ?」
「がんばります!」
とは言ったものの。
俺のような若輩者の部下にされて、彼女たちに文句はないのだろうか?
と思っていた翌日の朝。
実家の玄関を部下となる女騎士が叩いてきた!
★のマークがついた話数にはイラストや4コマなどが後書きに記載されています。
※2023年11月25日に書籍が発売!
イラストレーターはiltusa先生です!
※コミカライズも進行中!
無限の成長 ~虐げられし少年、貴族を蹴散らし頂点へ~
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主人公アレクシスは、異世界の中でも最も冷酷な貴族社会で生まれた平民の少年。幼少の頃から、力なき者は搾取される世界で虐げられ、貴族たちにとっては単なる「道具」として扱われていた。ある日、彼は突如として『無限成長』という異世界最強のスキルに目覚める。このスキルは、どんなことにも限界なく成長できる能力であり、戦闘、魔法、知識、そして社会的な地位ですらも無限に高めることが可能だった。
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勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
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