漫画の様にスラスラ読める小説をめざしたらネームになった物語の1つ。クライツオブハーツ

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1-3 束の間の休戦

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【 ソルベキア城 】

スファルツが玉座の間へ向かう バーネット1世が顔を上げニヤリと笑んで言う
「ハッ!性懲りも無く また来やがったなぁ?」
スファルツが玉座の間へ入って来て言う
「バーネット1世殿 ローゼック殿が…」
バーネット1世がスファルツを指差して叫ぶ
「今だぁあっ!とっ捕まえろぉおお!」
スファルツが呆気に取られて言う
「は?」
オライオンと傭兵隊員が飛び出して来てスファルツを押し潰す スファルツが驚き悲鳴を上げる
「ぬあーっ な、何をなさるのですっ!?」
バーネット1世が気合を入れ指差して叫ぶ
「よぉおおし!油断するんじゃねぇえぞぉおお!でもって 遅ぇえぞ!鈍臭ぇバッツスクロイツ!さっさとやっちまえぇええ!!」
バッツスクロイツが怒りつつリモコンをスファルツへ向けながら言う
「ちょーっ!今出来たてホヤホヤーなのにー!遅ぇえぞーとかってー もう!超ーありえないからー!」
バッツスクロイツがスイッチを押す プログラムが発生する スファルツが目を丸くして叫ぶ
「なぁああっ!?そ、それはっ!!止めて下さいっ!私は!私は 皆さんのお友達ですーっ!」
リモコンからのプログラムがスファルツに掛かり スファルツがトカゲに戻る バーネット1世が大笑いし 指差して叫ぶ
「だぁはーっはっはっはー!ざまぁあみやがれぇえ!さあぁあて!逃がすなよぉおお!?ほらぁあ!お次はてめぇら!とっ捕まえやがれぇええ!」
オライオンと傭兵隊員らから逃げ出したトカゲに ガルバディアの騎士たちが襲い掛かり 逃げ惑うトカゲを捕まえる ガルバディアの騎士の手に握られた トカゲが暴れながら大泣きする ガルバディアの騎士が首を傾げて言う
「イズ ヒー ワン オブ ヒム?」
ガルバディアの騎士が 壁にトカゲを押し当て ガムテープで止める ガルバディアの騎士が手を離すと トカゲが怒って暴れた後 ふと横を見て 隣に同じ様に張られている赤トカゲに気付き 衝撃を受け 必死に顔を横に振って訴える バーネット1世がニヤリと笑って言う
「はっはー!同じ手で俺様の命を狙いやがるたぁ 馬鹿なトカゲ野郎だぜぇ まぁ、これだから ソルベキアの赤トカゲって奴ぁ」
張られたばかりのトカゲが泣きながら否定する 隣の赤トカゲが呆れた後ぷいっと顔を背ける バーネット1世が大喜びしている オライオンがトカゲを見ながら首をかしげ 振り返って言う
「けど、バーネット1世様?このトカゲ赤くねーぜ?」
バーネット1世が笑いを止めて言う
「あぁ?」
オライオンが赤トカゲを指差して言う
「ソルベキアの赤トカゲは赤いんだろ?こいつみてーに けど、こっちのトカゲは青いぜ?」
バーネット1世が近くへ来て オライオンと共にトカゲを見て言う
「…ふん 確かに 隣と比べるまでもねぇ こいつはぁ… 青トカゲってかぁ?」
青いトカゲが喜んで頷く オライオンがバーネット1世へ向いて言う
「青トカゲ?そんなのも居るのか?ソルベキアの赤トカゲとは 違ぇーって事か?」
バーネット1世が考える姿から戻り言う
「うーん… さぁなぁ?知らねぇなぁ?まぁ どっちもトカゲじゃねぇか そのまま貼り付けとけ その内 空腹に耐え兼ねて何か吐きやがるだろうぜぇ?」
オライオンが疑問して言う
「何も吐かなかったらどーすんだ?」
バーネット1世が立ち止まって言う
「あぁ?何も吐かなかったらだぁ?んな時は てめぇ… 決まってんじゃねぇかぁ?」
バーネット1世が鞭を取り出す トカゲたちとオライオンが衝撃を受ける バーネット1世が床を叩き付けてから 凄んで振り返って言う
「このバーネット1世様の 命を狙いやがったってぇえのに 何も吐く事がねぇえとは 言わせねぇえ…」
オライオンが怯えた後ハッとして言う
「あ!お、俺はビビる事ねーんだった ふぅ… 俺 バーネット1世様の敵じゃなくって 本当に良かったぜー!」
オライオンが笑顔になる バーネット1世が笑って言う
「はっはー おまけにてめぇには そのバーネット1世様の 拷問に次ぐ拷問って奴を 間近で見せてやるぜぇ?光栄だろぉ?」
オライオンが衝撃を受け震えた後言う
「い、いや… それは 遠慮するぜ…」
バーネット1世がニヤリと笑んで言う
「遠慮はいらねぇ… じっくり たっぷり見せてやるからよぉ… クックック…」
オライオンが固まり トカゲたちが口を開けて固まり 青トカゲが大泣きしながら暴れる

【 ソルベキア国 近郊の森 】

ローゼックが言う
「では 貴様らは 数十年振りの共同大戦で 再びその絆を確かめ合ったと申すのか?」
ハリッグ(元ローゼント国王・アンネローゼの父)が苦笑して言う
「絆か… そうかもしれんな あの一件さえなければ 閉ざされる事も無かったものだ」
ラグヴェルス(現スプローニ国王)が言う
「わしは卿へ譲ったのだ 我ら銃使いでは アイネフラーソワを守りきる事は出来ぬと だが」
ハリッグが苦笑して言う
「アイネは言っていたよ 銃使いは常に他者より多くのものを確認し 前に立つ剣士の助けを行っているのだと… だが、若き頃の私には その言葉を素直に受け入れる事は出来なかった しかし …それでも本当は分かっていた」
ローゼック(元デネシア・ローレシア国王)が大福を食べながら言う
「であるからにひてっ ローヘントとスフローヒの友好が たかが 王妃そうらつらんぞれ くふれよふとは 貴様らは 国王として 失格れ!」
ハリッグとラグヴェルスが衝撃を受け怒って言う
「「その様な貴殿(卿)に 国王として失格などとは 言われたくないっ!!」」
ローゼックが大福を食べ終わって言う
「それで、過去にアイネフラーソワ王妃を守れなかった償いとして 貴様は我らローレシアから送られた 魔力者部隊の半数を スプローニへ… 勝手に!援軍として送りよった訳か…」
ハリッグが微笑して言う
「ローレシアの魔力者半数をスプローニへ送る事で 我らローゼントが窮地に立たされると言う事は 私にも十分に分かっていた だが、共に それが 私の代で起こしてしまった過ちを正す 最後の好機であると言う事も… とは言え、国王不在を任された私が 行って良い事では無かったな 貴殿に助けられなければ 私は 危うくローゼントを滅ぼしてしまう所であった 貴殿には何と礼を言ったら良いのか分からぬ… ローゼック殿」
ローゼックが再び大福を食べつつ怒って言う
「まっらくら!我らローレヒアに 黙っれ その様な事ほ 行ひおっへっ!おのへ 無礼者めっ!」
ハリッグが怒って言う
「物を食べながら話す無礼者に 無礼者と言われたくは無いっ!」
ラグヴェルスが言う
「しかし、その卿から送られたローレシアの魔力者たちから話を聞き 唐突ではあったが何とか銃使いたちとの共闘を行わせる事で わしはスプローニを守る事が出来た だが、その一方で多くの銃使いたちが 初めて行う魔法銃の扱いに耐え切れず 負傷してしまった これはわしの責任だ もっと以前から 昔の様に… 我らスプローニとローゼントが ローレシアの支援を受ける あの戦いを行う決心が持てていれば 被害は最小限に留まらせる事が出来ていただろう」
ローゼックが顔を逸らして言う
「たかが王妃1人を巡っての争いで 両国の友好を崩し 自国の防衛もままならぬ状態に致しておったなどっ 世界が平和であった証拠であるわっ!こちらは夢の世界で 何度アバロンと戦って殺されておった事かっ」
ローゼックが大福を食べる ハリッグとラグヴェルスがローゼックを見た後顔を見合わせ苦笑し ハリッグが言う
「世界が平和か… 我らの先祖は 南の地に2人の王が留まる事を恐れ ガルバディアを滅ぼし シリウス殿を閉じ込めた… それから 数百年 世界は 平和であったのだろうか?」
ラグヴェルスが言う
「新世界のガルバディアこそ 言い伝えの北の地 そこにシリウス国王とヴィクトール第二国王が留まってさえ居れば 新世界は救われる… わしも父や祖父から聞かされておったが ヴィクトール第二国王は 11代目にこの新世界から消えてしまった その事からも 世界の平和は危ぶまれておると 誰しもが思っていた筈だ だが、それを見ない事で 皆、現実から逃げていたのだろう」
ローゼックが言う
「もはや逃げる事は許されぬっ!我ら新世界の者に 個人も国も関係あらぬ!旧世界の者どもが この新世界への侵略を企てて居るのだ!今こそ 我らが皆 持てる力を結集し!奴らを返り討ちにしてくれるっ!」
ハリッグとラグヴェルスが顔を見合わせ頷き ハリッグが言う
「我ら長剣使いに銃使い そして 魔力者が揃えば 恐れるものは無いだろう ローゼック殿の申される通り 新世界の我らは 旧世界の奴らを返り討ちに出来るのだ ラグヴェルス …再び私と共に戦ってくれるか?」
ラグヴェルスが一瞬呆気に取られた後 微笑して頷いて言う
「愚問だハリッグ ここまで来て何を言うか 老いたとは言え わしの銃の腕は 卿のサポートを行えぬほどには 衰えていない」
ハリッグが微笑する ラグヴェルスが苦笑する ローゼックが2人を見て微笑する ハリッグが困って言う
「…が、しかし」
ラグヴェルスが困って言う
「うむ… 折角 ローゼント、スプローニ、ローレシアの3国が揃って息を合わせた所だが」
ハリッグが言う
「肝心のローレシアの代表が 魔力者ではないのでは… 折角の合わさった息も 結局流れて終わってしまうなぁ?」
ローゼックが衝撃を受ける ラグヴェルスが苦笑して言う
「では 再びイシュラーン殿を探すか 一体何処へ行ってしまったのか?」
ハリッグとラグヴェルスが森の中へ先行する ローゼックが怒りに震え 泣きながら叫ぶ
「イシュラーーンっ!!」

イシュラーンが振り返って言う
「この場所で良いのだろうか?目に見えて確認は出来ぬが 周囲のどこかから魔力を感じる 恐らく近くに魔力に関する 何かがあるのだろう」
魔法使いの女性が言う
「はい、ここで間違いありません 本当にありがとうございました」
魔法使いの女性が頭を下げる イシュラーンが微笑んで言う
「いや、この様な森の中 女性が1人とあっては 助けぬ訳には行かぬ 貴女の魔力に気付けて本当に良かった あのまま眠っておっては 森の動物に襲われてしまっておっただろう それにしても、何故 貴女は森の中で眠っておったのか?」
魔法使いの女性が慌てて言う
「あ、あああっあのっ…それは えっと… そう!魔法の練習をしていたら 疲れてしまって!それで…」
イシュラーンが呆気に取られた後微笑して言う
「ああ、そう言う事か 確かに魔法の練習は体力の消耗が激しいもの 気付かぬ内に 眠りに落ちてしまう事も… まぁ 私も昔はあったな はっはっは」
魔法使いの女性が呆れる イシュラーンが気を取り直して魔法使いの女性を見る 魔法使いの女性がハッとして慌てて言う
「あ、そ、それでっ 貴方は… 勝手に仲間から離れてしまって 良かったの?他にも3人の人と歩いていたでしょ?」
イシュラーンが疑問して言う
「うん?ああ、そうだが… 眠っておった筈の貴女が何故それを?」
魔法使いの女性が衝撃を受け慌てて言う
「そ、そのっ!ゆ、夢の中で 足音がっ!」
イシュラーンが呆気に取られた後微笑んで言う
「ああ、そう言う事か 貴女は中々鋭い感覚の持ち主であるな 確かに魔力者には鋭い感覚 目に見えぬ魔力を感じ取る力を持つ事は 大切な事だ」
魔法使いの女性が呆れる イシュラーンが笑顔で言う
「私の事なら心配は無い 何を隠そう私は最上級魔力者であるからな!どんなにはぐれ様とも 対人移動魔法で相棒のもとへ突っ込めば良いだけだ とは言え、普段移動魔法など使わぬで 失敗でもしよるかもしれぬが 問題ない 我が相棒であるなら見事に私を受け止めてくれるだろう」
魔法使いの女性が疑問して言う
「相棒?」
イシュラーンが微笑して言う
「うむ、心から信じ 共に戦い 共に勝利を喜べる 友の事だ 貴女にもその様な者が居るだろう?」 
魔法使いの女性が呆気に取られた後視線を落として言う
「私には…」
イシュラーンが呆気に取られた後微笑んで言う
「今は居らずとも きっといつか現れるだろう 相棒は必ずしも友人だとは限らぬからな?恋人や 夫婦となった相手である事もある そして、すぐ隣で共に戦わずとも 同じ目的の為に気持ちを合わせる者も 立派な相棒だ」
魔法使いの女性がイシュラーンを見ながら言う
「同じ目的の為に…」
イシュラーンが微笑んで頷く 一瞬の間の後 遠くでローゼックの声が僅かに聞こえる イシュラーンが気付いて言う
「うん?今のは…?」
イシュラーンが声の方へ向く 魔法使いの女性がハッと気を取り戻し イシュラーンへ言って立ち去る
「そ、それじゃ 私はここでっ!」
イシュラーンが気付き振り返ると魔法使いの女性が去って行く イシュラーンが疑問して言う
「あ… うむ?この先は… また森の続きとなるであろうに あの娘は何処へ向かいおったのか?まぁ良い あの魔力なら 疲れておっても 移動魔法は使えるだろう 私もそろそろ戻ってやらねば きっとローゼックが心配しておるだろうからな」
イシュラーンが魔力を結集し移動魔法の詠唱をして 飛んで行く

ローゼックが叫び終え 涙目で ハリッグとラグヴェルスを追い駆ける ハリッグが言う
「…にしても、ローゼントを守り抜いた勢いで ソルベキアまで守ってやろうと意気込んで来たは良かったが やはり いくら近いとは言え 歩いて向かうのは失敗だったか…」
ラグヴェルスが言う
「…いや、移動魔法陣は封鎖されている上 イシュラーン殿も対人移動魔法には少々自信が無いと申しておった しかし、わしも周囲に気を向けていたとは言え やはり魔力者を最後尾に置いていたのは失敗だったな」
ローゼックが言う
「イシュラーンは私のすぐ後ろを歩いておったのだ 何者かに連れ去られおったのなら 少なくとも私は その気配に気付いた筈であるっ!」
ハリッグが横目にローゼックを見てから苦笑して言う
「ふむ… まぁ 確かに、いくらデネシアの我流剣士でも 敵の気配は気付けるか」
ローゼックが衝撃を受ける ラグヴェルスが言う
「そのデネシアの我流剣士が気付く程度の気配なら その我流剣士の前を歩いていた わしも気付いた筈だ …が、その様な敵の気配等は無かった これはわしが確証出来る」
ローゼックが衝撃を受け怒りを抑える ハリッグがラグヴェルスへ向いて言う
「うむ、そうだな ローゼック殿はともかく ラグヴェルス、貴殿が気付かなかったと言う事は イシュラーン殿は自らの意思で 我らから離れたと言う事になるだろうか?」
ローゼックが立ち止まり怒りを堪える ラグヴェルスが言う
「ああ、それも 先を急ぐ我らから取り残された等ではなく あの時、瞬間的に 我らの目に届かぬ場所へと離れた それまでの間は 間違いなくわしは 彼の気配を感じていたのだ」
ハリッグが言う
「では、イシュラーン殿は何かに気付き 急を有しそれを追った… もしくは そちらへ向かったと?」
ラグヴェルスが腕組みをして頷いて言う
「…その可能性が示唆される と、原因は何であれ わしらは何としてもイシュラーン殿を探さねば 折角 ソルベキアの援護に向かおうと言うのに 長剣使いと銃使い そこに我流剣士が居っても 機械兵には太刀打ち出来ぬ」
ローゼックが怒りに燃える ラグヴェルスが立ち止まり ハリッグも止まって言う
「ああ、我らには 我らの力だけでなく あの機械兵と同等かそれ以上の速度を与えてくれる 支援魔法の使えるイシュラーン殿のお力が必要だ」
ラグヴェルスが振り返って言う
「…そのイシュラーン殿の相棒である 我流剣士殿、イシュラーン殿の居場所は何とか分からぬのだろうか?」
ローゼックが怒って叫ぶ
「ええぇいっ!やかましいっ!!我流剣士 我流剣士と 呼ぶではないっ!無礼者がっ!大体っ!」
ローゼックがハリッグを指差して叫ぶ
「世界一の剣士の国 アバロンの大剣使いはともかくとして!私はいかに我流であろうと!ローゼントの長剣使いに 負けるつもりは あらなんだっ!」
ハリッグが呆気に取られる ラグヴェルスが衝撃を受け 怒って叫ぶ
「何を言うっ!魔力者の国デネシアの我流剣士がっ!長剣使いの国 ローゼントの前王である 俺の相棒が 卿になど負ける訳がないっ!」
ハリッグが呆気に取られ ラグヴェルスを見る ラグヴェルスがハッとして顔を逸らして言う
「はっ!いや わしとした事が その… つ、つい…」
ローゼックが怒って笑んで言う
「面白いっ!ならば どちらが真強き剣士であるのか この場で 白黒ハッキリさせてくれるっ!剣を抜けっ!ハリッグっ!」
ローゼックが剣に手を掛ける ハリッグが呆気に取られた後苦笑して言う
「今この様な場所で貴殿と剣を交えても 世界には何の得にもならないが 数十年ぶりに縁を取り戻した私の相棒が掛けてくれた その期待に報いる事は 今の私にとって 何よりのものだ」
ラグヴェルスが呆気に取られハリッグを見る ハリッグが微笑して続ける
「お相手しよう ローゼックど…」
ハリッグの言葉の途中でローゼックが何かに気付き顔を向けた後慌てて振り返るが イシュラーンが飛んで来て激突する ラグヴェルスとハリッグが呆気に取られて見つめる イシュラーンが笑顔を上げ言う
「ああ、やはり 久方振りの対人移動魔法は 最上級魔力者の私であっても難しいものだなや?しかし、思った通り お前はしっかりと受け止めてくれた!流石は私の相棒 魔力者の国で唯一魔力を持たぬ 我流剣士のローゼック?」
イシュラーンとハリッグ、ラグヴェルスが イシュラーンの下敷きになっているローゼックを見下ろし呆れる イシュラーンが疑問した後 苦笑して言う
「ローゼック、相変わらずお前は どんな成功の時でも 怒って居るか倒れて居るかの どちらかであるな?相棒の私を 全力で守ってくれるはありがたいが やはり もう少し自身への気遣いも」
ローゼックが気絶している

【 ソルベキア城 機械室 】

バーネット1世が怒って言う
「くそぉお!折角こっちが頼ってやろうってぇえ時に!ローゼックとイシュラーンの馬鹿野郎どもは 揃ってローゼントの援護に向かっちまってるだぁあ!?」
ヴィクトール12世が通信機をしまいながら言う
「スプローニのラグヴェルス殿も 同じくローゼントへの援護へ向かったとの事だ ローゼントはやはりソルベキアに近い分 機械兵の襲撃が多くあったらしい」
オライオンが走って来て言う
「バーネット1世様!機械兵の奴らが 城を攻撃し始めたぜ!もうこれ以上は持たねーよ!俺たちだけでも出ねーと!」
バーネット1世が困惑しながらバッツスクロイツへ振り向いて言う
「おいっ!バッツスクロイツ!旧世界へ向かった連中は まだ 戻って来やがらねぇえのか!?」
バッツスクロイツが振り返って言う
「ついさっき旧ローレシア帝国から 超大人数を移動させたんだよ!エネルギーチャージが全然間に合って無いに決まってるでしょ!」
青トカゲが何かを訴えるようにピーピー鳴く バーネット1世が振り向いて怒って叫ぶ
「るせぇええぞ!青トカゲ野郎!こっちは忙しいんだ!ピーピー鳴きやがるんじゃねぇええ!」
青トカゲが衝撃を受けた後 泣きながら訴える バーネット1世が無視して背を向け腕組みをして言う
「ローレシアの装置が急チャージを実行しやがった きっと旧世界の奴らは大急ぎでこっちに戻らなけりゃならねぇえ状態なんだ こうなったら新世界にあるシステムを総動員してチャージを急がせなけりゃならねぇ この状態じゃ 俺がてめぇえら 傭兵隊に力を送ってやる事が出来ねぇんだよ」
バーネット1世の言葉と視線を受けたオライオンが表情を困らせる ヴィクトール12世がバーネット1世の近くに来て言う
「バーネット、ソルベキアの機械には 万が一の事を考え 君と私が戦いに使う分の力は 別に蓄えてあると言っていただろう?それを使って 傭兵隊へ力を与える事は出来ないのか?」
バーネット1世がヴィクトール12世へ向いて言う
「いや駄目だ、傭兵隊の連中は今日ぶっつけ本番で プログラムサポートを得て戦いやがった まだまだ 本領を発揮出来てねぇ だから、その力は 俺とてめぇとで使った方が効率が良い」
オライオンが踏み出して言う
「バーネット1世様とヴィクトール12世様が戦うってのに 俺らアバロン傭兵隊が戦わずに見てるなんて出来ねーよ!プログラムのサポートが無くったって 俺らは戦うぜ!」
バーネット1世が言う
「奴らとは 俺とヴィクトール、共にガルバディアの騎士たちが戦う オライオン、てめぇらは 第2防衛部隊として このソルベキア城を守りやがれ 俺らとの戦いを抜けて 城まで辿り着きやがった機械兵どもは きっと、てめぇらでも戦える程度に ぶっ壊れてやがる筈だ」
オライオンが言い掛ける
「ならっ!」
ヴィクトール12世がオライオンの肩に手を置いて言う
「オライオン傭兵隊長 貴公らがこのソルベキア城を守る 最後の番人だ 必ずやこの城を守り通し 後に戻るシリウス殿や皆と共に 新世界を守ってくれ」
オライオンがヴィクトール12世を見上げて言う
「ヴィクトール陛下…」
ヴィクトール12世が微笑する バーネット1世が振り返って言う
「行くぜ ヴィクトール」
ヴィクトール12世がバーネット1世へ向いて頷く バーネット1世とヴィクトール12世が機械室を出て行く オライオンが2人を見送り悔しそうに壁を殴る バッツスクロイツが表情を悲しめた後 モニターを見上げる

【 旧ローンルーズ国 】

皆が着地して周囲の移動プログラムが消える それぞれが状況を確認して ザッツロードたちが仲間の無事に微笑み合った後 ヴィクトール11世を見てから ヴィクトールへ視線を向ける ヴィクトールが首を傾げて言う
「祖父上…?」
ヴィクトール11世が振り向き微笑して言う
「ああ、13世か 大きくなったね 12世にそっくりだ」
バーネットが言う
「それを言うなら 今のてめぇにこそ そっくりだぜぇ?ヴィクトール12世様は 今のあんたより老けてっからなぁ?」
ヴィクトール11世が一瞬呆気に取られた後 照れ微笑んで言う
「あ、そっか!僕が知ってる12世は 30年近く前の姿だもんね?あははっ」
バーネットが衝撃を受け怒って言う
「そぉおじゃねぇえだろっ!このすっとぼけ ヴィクトールがぁああ!!」
ヴィクトール11世が疑問して首を傾げる バーネットが怒って言う
「そのヴィクトール12世様の 親父であるてめぇえがっ!?何で今 孫であるヴィクトール13世と そっくりな若さでいやがるのかって 俺は聞いてんだぁああ!!」
ヴィクトール11世がひらめき 笑顔で言う
「ああ!そんな君は もしかして バーネット2世じゃない?君もバーネットにそっくりになったね!特に言葉遣いが!あははっ!」
バーネットが衝撃を受け怒りを押し殺す デス2ndが来て言う
「このヴィクトール11世殿は 遺伝子情報を改良されている この改良は 新世界の先住民族へ施されたものの逆パターン つまり、人へ動物の力を備えさせるプログラム そのものだ」
ヴィクトールとバーネットが驚きデス2ndへ視線を向ける デス1stが来て言う
「先住民族もそうだが 2つの生物の遺伝子情報を使ったプログラムには 双方の遺伝子同化を補佐するプログラムが使われる そのプログラムは本来の目的と同時に肉体の進化成長を鈍化させる副作用がある 先住民族でのデータでは 肉体の年齢経過が 通常の約3分の1の速度へと低下する」
ヴィクトールがヴィクトール11世へ振り向いて 笑顔で言う
「…と言う事は、祖父上は お化けではない 祖父上なのですね!どっちでも良いですが 僕はお会い出来て嬉しいです!」
ヴィクトールがヴィクトール11世と握手を交わす ヴィクトール11世が笑顔で言う
「うん、僕も 大きくなった13世に会えて嬉しいよ!ついでに 僕がお化けじゃない事にも喜んでもらえると もっと嬉しいのだけど… まぁ 良いか!あははっ」
キルビーグが言う
「旧ローレシア帝国からの連絡では 彼らに味方し シリウスBの偵察を行っている アバロンの大剣使いが居るとだけ聞いていた 39年前までは それが ローレシアから旧世界へ向かった貴方様であると ずっと思われていたが 時が経過するにつれ それでは年齢の折り合いが付かないと 正体不明になっておりました」
ヴィクトール11世が微笑して言う
「僕はシリウスの言い付けを破って来ていたから 旧ローレシア帝国の民には 僕の名は公表しないで欲しいと頼んだんだ けど、シリウスBとの取引の話は言わなかったから いつの頃からか 彼らも本当に僕が誰なのか 分からなくなってたみたいだね?それに僕は… まぁ、いっか!って思って!あははっ」
シリウスが言う
「何も良くなどあらぬっ」
皆がシリウスを見る シリウスがヴィクトール11世へ向いて言う
「ヴィクトール お前は我を裏切りシリウスBへ接触しよった オマケに奴が気まぐれか何かでお前へ生体実験を施さねば お前は二度と我と会う事は叶わなかったのじゃ」
シリウスがぷいと顔を背ける ヴィクトール11世が苦笑して言う
「うん… でも、僕はどうしても シリウスBに会いたかったんだ シリウスの兄弟だもん きっと分かってくれるって 僕は思ったんだよ」
キルビーグが苦笑する ザッツロードがヴィクトールたちの様子を見ていた視線をシリウスへ向けて言う
「それで…?当初の作戦は成功したのでしょうか?この場所へ帰っては来ましたが 旧ローレシア帝国の転送が成功したのか…?」
シリウスがザッツロードへ向いて言う
「その心配は無用じゃ 我の計算に狂いはあらぬ 作戦は予定通りじゃ」
ルーゼックが怒って言う
「あれが予定通りであったと申すのか!?何処と知れぬ場所へ送られ 終わりのない戦いを続ける事になるとはっ!?」
シリウスがルーゼックへ向いて不満そうに言う
「それも計算の内じゃ 我は最初からお前たちを シリウスBへの餌にすると言ったじゃろう?Bは 新世界から送られるお前たちと言う餌(情報)を 600年間も待ち続けておったのじゃ …まぁ 残念ながら 口には合わなかった様じゃがの?」
ルーゼックが衝撃を受ける バーネットが言う
「チッ… 確かに 600年間も新世界からの助けを待っていた この旧世界の連中へ その連中と大して変わらねぇ戦力を見せたんじゃ ご満足は頂けねぇだろうな?」
ヴィクトール11世が笑顔で言う
「けど シリウスと新世界の皆は 旧世界に残ってしまった ローレシア帝国の皆を 新世界へ向かわせる事には成功したんだ これならきっと… シリウスBも許してくれるよ?ね?シリウス?」
シリウスがヴィクトール11世へ向いて言う
「旧世界のローレシア帝国へ残っていた民たちは 600年前の移動の時に 転送の為の聖魔力が足りなかった事と そもそもの転送装置の能力が足りなかった事で こちらへ留まるしかなかった者たちじゃ その彼らを救う事を忘れてしまっていた事は 新世界へ向かったお前たちの先祖の罪ではあるが お前たちの戦力を上げさせようとしていた事は 我とシリウスBの謀(はかりごと) お前たちには そもそも関係のあらぬ話じゃ」
ザッツロードが疑問して言う
「しかし?シリウスBは… 僕らの時もそうでしたが どちらかと言うと ローレシア帝国の皆の事よりも 新世界の戦力を気にしていたようですが?」
シリウスが言う
「まぁ そうじゃろうのぉ?ローレシア帝国の民を新世界へ送る事など Bがその気になれば いつでも出来よる事じゃった」
皆が呆気に取られる シリウスが続ける
「しかし それも含め 新世界の戦力を上げる必要があったのじゃ」
バーネットが言う
「新世界の戦力を上げる必要… そいつは つまり 旧世界の機械兵や魔物どもを ブッ倒す為って事か?」
シリウスが言う
「まぁ それくらいは 軽く出来るほどで無ければ 話にもならぬわ」
ザッツロードと仲間たちが息を飲む ヘクターが気楽に言う
「機械兵や魔物だったら いくらでも倒せるぜ?」
ザッツロードと仲間たちが衝撃を受ける ヴィクトールが笑顔で言う
「その辺なら 僕も得意かな?ね?バーネット?」
バーネットが言う
「だがその程度は あのシリウスBの仲間どもも同じなんだろ?…いや?ともすりゃ 1人としての戦力で言やぁ アイツらの方が上だった」
シリウスが言う
「…まぁ そう言う事じゃ じゃが シリウスBの作った兵 あれではダメなのじゃ あの様な者たちを増やす訳には行かぬ」
ソニヤがヴィクトールたちの会話を聞きつつ デス2ndへ密かに問う
「ねぇ?それよりさ?アタシたちは こんな所で話なんてしてないで… 新世界へ戻らないの!?」
デス2ndが振り向いて言う
「確かに 出来る事なら さっさと新世界へ避難したい所だが こちらはともかく ローレシアの転送装置が エネルギーチャージに時間を有している つい先ほど旧ローレシア帝国から 多くの者を転送させたのだ 再チャージにはまだ時間を有する」

【 ソルベキア国 近郊の森 】

ローゼックが回復魔法を掛けられており 意識を取り戻して目を開く 視界の先 イシュラーンが微笑んで言う
「うむ、目を覚ましたか ローゼック」
ローゼックがイシュラーンを見て言う
「イシュラーン…」
ローゼックが身を起こし頭を抑えて言う
「貴様は… また 何処へ行っておったのか 心配を掛けおってからに…」
イシュラーンが笑顔で言う
「ああ、すまぬ 2人にも既に説明し謝罪したのだが… 森の中で魔力者の魔力を感じ取ってな 何者が居るのかとちょっと確認するつもりが 若い女子が道に迷ったと申すので 彼女が目指しておったと言う 魔力の立ち込める場所まで 連れて行ってやっていたのだ それが、思った以上に遠くてな 一言申してから向かうべきであった」
ローゼックがぼうっと言う
「若い女子…?全く貴様と言う奴は 相も変わらず… ん?」
ローゼックがハッとして慌てて立ち上がって叫ぶ
「魔力が立ち込める場所だとっ!?それは!もしや 新たに作られておったと言う移動魔法陣ではあらなんだか!?あの移動魔法陣は 通常のものとは違い 魔力を持たぬ機械兵を移動させるため 魔法陣そのものに魔力を有させておるとの話だ!ソイッド村のあ奴らが得意とする森の中に作ったとの話しも聞いておる!まさに それではあらぬのか!?」
イシュラーンが呆気に取られた後考えながら言う
「おお… なるほど…?確かに 考えてみると そちらの可能性が…」
ローゼックが怒って叫ぶ
「馬鹿者っ!イシュラーン!貴様はそれでも魔力者の国 ローレシアの代理第一国王 元言い ローレシアの先代国王であるのか!?今すぐその場所へ戻り 破壊致さねば!新たなる旧世界の機械兵が送られ ソルベキアやローゼントにも襲い掛かるやも知れぬぞ!」
ラグヴェルスが離れて通信を行っている ハリッグが一瞬驚いた後真剣に言う
「この周囲から機械兵が送られれば ローゼントは一溜まりも無い それが旧世界からの移動魔法陣である可能性が 微塵でもあるのなら すぐに破壊しに向かおう!」
ラグヴェルスが言う
「いや、待て …この場所にあって 現在機械兵が送られておらぬのであれば ローゼントへ連絡を送り 待機させている兵らに破壊を頼むべきだ 我らは今 ソルベキア城へ向かわねばならん」
ハリッグがラグヴェルスへ向いて言う
「何故だラグヴェルス!?機械兵が送られてからでは 破壊作業も困難になるぞ!」
ラグヴェルスが通信機を持って言う
「ソルベキアから スプローニへ支援要請が入ったとの事だ 機械兵との戦いに遅れを取っていた 我がスプローニへ支援を求めたのなら 恐らく諸卿のローレシアへも連絡はなされていた筈」
ローゼックが驚いて言う
「ソルベキアから!?あのバーネット1世が 泣き言を送って来おったのか!?」
イシュラーンがローゼックへ向く ローゼックが言う
「こうしては居れぬ あの頑固者が助けを求めて来おったのだ 状況は相当な不利と思われる!今こそ我らが力を合わせる時ぞ!ハリッグ!ラグヴェルス!」
ハリッグとラグヴェルスが呆気に取られた後 ローゼックがハッとする ハリッグが苦笑して言う
「うむ、今は ここで我らの剣術を比べている場合では 無いらしいな?」
ラグヴェルスが顔を逸らして言う
「…では、ハリッグの不戦勝と言う事か」
ローゼックが衝撃を受け怒って叫ぶ
「何を抜かすかっ!この100発60中銃使い!話の内容すら命中出来ぬのであれば その4割が外れる理由も分かるものであるっ!」
ラグヴェルスが衝撃を受け怒って叫ぶ
「うるさいっ!ヘッポコ我流剣士!あれは卿が俺とハリッグの合間を うろちょろしたからだっ!そして 卿はハリッグとの決闘の前に倒れたのだぞ!卿の負けだ!」
ローゼックが怒って叫ぶ
「黙れっ!6割銃使いっ!」
ラグヴェルスが怒って叫ぶ
「うるさいっ!邪魔者我流剣士!」
ローゼックとラグヴェルスがいがみ合う ハリッグが呆気に取られる イシュラーンが通信機をしまい笑顔で言う
「では、折角だ 何だか分からぬが 二人とも競いたいのであれば 我らが倒す機械兵の数で 決着を付けると言う事でどうだろうか?現在のソルベキアは 私がローレシアから送った伝達の者との連絡すら取れておらぬ様だ きっと 相当な状況なのだろう 急ぎ向かってやらねばな?」
ローゼックとラグヴェルスが気付き ラグヴェルスが腕組みをして言う
「…良いだろう 機械兵との戦い… それでこそ 互いの戦力が分かるというものだ」
ローゼックが腕組みをして言う
「望む所ぞっ!我らの魔法剣は 貴様らの長剣と銃になど 負けはせぬっ!」
イシュラーンが笑顔で魔力を集結させながら言う
「先ほど対人移動魔法を使った事で 何となくだが移動魔法のコツを思い出した 多分何とかなるだろう 一気に我らをソルベキアのバーネット1世の下へ送るぞ?良いか?」
4人の周囲に魔力が集まり 4人が飛んで行く

【 ソルベキア城 城門前 】

雷が横に走り 機械兵らが動きを止める ガルバディアの騎士たちが攻撃する 周囲から他の機械兵が現れる 雷が落ち ヴィクトール12世が剣を掲げて受け取り 顔を顰め 何とか剣を振るった後 上体を折り バーネット1世へ向いて言う
「バーネット 少々雷撃がキツイのだが もう少し加減をしてもらえないだろうか…?」
バーネット1世が衝撃を受け 怒って叫ぶ
「なぁあ!?何ほざいてやがる ヴィクトール!可能な限り強力な雷撃を使って あの機械兵どもにダメージを与えてやらなけりゃならねぇえんだぞ!?出来る事ならもっと威力を上げてぇえってぇこの時に!いつもと同じ出力に泣き言いやがるんじゃねぇええ!」
ヴィクトール12世が苦笑して言う
「いや… いつもと同じだろうか?いつもよりこの身に堪えるのだが… 私も歳かなぁ?」
バーネット1世が衝撃を受け怒って叫ぶ
「馬鹿野郎ぉお!ヴィクトール!てめぇえは俺の相棒だろう!?先行して老いやがるんじゃねぇええ!」
ヴィクトール12世が苦笑し 気を取り直して剣を掲げ雷撃を受け取る 痛みに顔を顰めつつ機械兵へ向かう バーネット1世がその様子を見た後 表情をしかめて言う
「…このままじゃ 傭兵隊への助力程度にすら ダメージは与え切れねぇぜ ローレシアから送られたとか言いやがる 連絡繋ぎの野郎にも 接触出来なかったってぇんじゃ 俺たちがこのまま時間稼ぎだけしても ローゼックの奴らは来ねぇかもしれねぇっ くそっ!どうするっ!?それもこれも あのローゼックの馬鹿野郎がぁ この重要な時に てめぇの通信機に出やがらねぇのが悪ぃんだぁあ… ローゼックっ あの野郎… 散々俺に助けを求めやがれとか ほざいてやがったくせにぃい…」
バーネット1世が怒りを溜め 空へ向かって叫ぶ
「ローゼックの馬鹿野郎がぁああーーっ!!」
遠くから何かが飛んで来る バーネット1世が呆気にとられ疑問する
「あぁ?」
バーネット1世が首を傾げた途端 バーネット1世の両脇を掠めてハリッグとラグヴェルスが後方の壁に激突する バーネット1世が慌てて飛び退いた場所にローゼックが突っ込んで来て 勢い良く立ち上がり叫ぶ
「誰が馬鹿野郎であるかっ!この頑固者バーネット1世っ!」
バーネット1世が呆気に取られて言う
「ローゼッ… て、てめぇら… 何で」
ローゼックがバーネット1世に背を向け機械兵らへ剣を向けて叫ぶ
「話は後だっ 早く援護致させねば 貴様の相棒が丸焦げになりよるぞっ!?」
バーネット1世がローゼックの示す方を向く ヴィクトール12世が雷撃に焦げながら顔を向けて叫ぶ
「バーネット!やっぱり今日の雷は 強過ぎるよ いくら拷問好きの君に慣れた僕でも これじゃ君の雷撃を感じるばかりで 戦ってられない もう少し優しくしてくれ!」
バーネット1世が衝撃を受け怒って叫ぶ
「なぁあ!?て、てめぇええは 安心した途端 いつもの変な癖を出しやがるんじゃねぇえ!こいつらが誤解しやがったら どうしやがるんだぁああ!?」
ローゼックたちが呆れる

【 旧ローンルーズ国 】

ヘクターがヴィクトール11世へ言う
「それより、ラーニャはどうなったんだ?いつまでたっても 追って来ねーじゃねーか?ヴィクトール11世様は 一緒に居たって事は何か知ってんのか?」
ヴィクトール11世が困った様子で言う
「うん… 僕も詳しい事は知らないんだけど… 彼女はどうしてもシリウスBの居る ガルバディア城まで行くんだって言うものだから 仕方なく…」
ヘクターが疑問して言う
「ラーニャがシリウスBの居るガルバディアへ行くって… 戦いに行ったって事か?なら ザッツは?他の奴らは!?」
ヴィクトール11世が困った様子で言う
「えーっと?彼女以外には居なかったよ?それに もちろん僕は止めたんだけど 彼女は1人でも行くって ローレシア帝国から出て行っちゃったんだ だから…」
シリウスが言う
「転送の準備が整いおった 行くぞ?」
皆がシリウスへ向く ヘクターが言う
「待てよ!ラーニャを連れ戻さねーで 俺たちだけ新世界へ戻るってーのか!?」
デス1stが言う
「ヘクター、ラーニャなら大丈夫だ シリウスBにとって彼女は我々に対する人質となる 彼女が何を求めてシリウスBの下へ向かったのかは 現状では不明ではあるが むやみに命を奪われる事は無い」
ヘクターがデス1stの言葉に落ち着きを取り戻し 視線を下げて言う
「そう なのか…」
デス1stが微笑して言う
「変わらないな、ヘクター」
ヘクターが疑問しデス1stを見る デス2ndが微笑する ヴェルアロンスライツァーとロキが顔を見合わせ苦笑する シリウスがヘクターたちを見た後 ヴィクトール11世へ向いて言う
「ヴィクトール、我の相棒はラインツに替わりよった それでも お前が我のもとへ戻ろうと言いよるのじゃったら さっさと我の身を運びよれ」
皆が疑問する ヴィクトール11世が一瞬呆気に取られた後 喜んで言う
「うん!僕は相棒の座は譲っても シリウスの飼い猫の座は 譲るつもりは無いもの!」
ヴィクトール11世が急いでシリウスの下へ行き シリウスを抱き上げる シリウスが言う
「ラインツ、明かりを持って 先行しよれ」
ラインツが考え事から戻り 今気付いた様子で言う
「ん?…ああ」
ラインツが置いておいたランタンを拾って先行し ヴィクトール11世が続く ソニヤが首を傾げて言う
「相棒の座は分かるけど… 飼い猫の座って …何?」
セーリアが苦笑して言う
「移動のお世話をする事かしら?」
ヴィクトールがソニヤたちの会話を聞き首を傾げた後 バーネットへ振り向いて言う
「それじゃ、僕もバーネットを運んであげようか?」
ヴィクトールが笑顔になる バーネットが衝撃を受け怒って言う
「なぁっ!?俺は自分で歩けるんだぁ!野良猫の助けなんざ 要らねぇえ!」
バーネットが怒ったまま行く ヴィクトールが呆気に取られた後微笑して言う
「え?そんなに力一杯 遠慮しなくっても良いのに 僕こう見えても 力はあるんだよ?バーネット?」
バーネットが向かないまま怒って言う
「うるせぇえ!知ってる!」
ヴィクトールが言う
「なら 運んであげるったら バーネット?」
バーネットが怒って言う
「うるせぇえ!要らねぇえ!」
残った皆が顔を見合わせた後 苦笑し続く

【 ソルベキア城 城門前 】

ローゼックが機械兵の残骸に片足を乗せ にやりと笑って言う
「どぉだ 6割銃使い?これで貴様らと我ら どちらの戦力が上回っておるか 目に見えて分かりおったであろう?」
ラグヴェルスが機械兵の残骸に片足を乗せ 隣で ハリッグが機械兵の残骸に片足を乗せて叫ぶ
「無論っ!」
ラグヴェルスとハリッグがローゼックより低いが2人で2山作って上に居る ローゼックが怒って叫ぶ
「おのれっ!イシュラーン!奴らへ加速の支援だけでなく 双方に魔法剣と魔法銃の援護魔法を掛けよるとは!貴様は奴らと私 どちらの味方なのかっ!?馬鹿者っ!」
イシュラーンが笑顔で言う
「何しろ私は最上級魔力者であるからな?お前へ魔力を与えた後 その魔力が切れるまでの間 私は案外 暇なのだよ 全体的な魔法を放つ余裕はあらなんだが バーネット1世が増幅処置をしてくれよったでな?他の2人へ魔力を与えてやる事も出来てしまったのだ はっはっは!」
ローゼックがバーネット1世へ向く バーネット1世が視線を逸らして言う
「しゃぁねぇじゃねぇえか?俺の飼い猫が痛ぇ痛ぇって うるせぇえんだ 雷撃を弱めた分 余った力を 有効利用してやっただけだぜぇ」
ローゼックがラグヴェルスへ向いて叫ぶ
「えぇえいっ!そうであっても!私の方が山が高いのであるっ!貴様らは2人合わせてやっと私に届く程度であるわっ!」
ラグヴェルスが怒って叫ぶ
「うるさいっ!負け犬ローゼック・デネシア!俺たちの山を合わせれば 卿の山を越える!勝負は俺たちの勝ちだ!」
ローゼックが怒って叫ぶ
「黙れっ!ラグヴェルススファルタスメルロルンベイクワイッサシュトルゼリンフォルラー!イシュラーンとバーネット1世ベネテクトの力を借りた貴様らは 反則負けぞっ!」
ラグヴェルスが怒って言い返す
「何を言う!大体 卿が皆で力を合わせると…っ」
ローゼックとラグヴェルスの言い合いを背に バーネット1世がイシュラーンへ言う
「それで、ローゼックの野郎の通信機は てめぇの支援魔法の影響でぶっ壊れちまったってぇえのは分かったが ローレシアからの連絡にあった ソルベキアへ向かった連絡繋ぎの野郎ってぇのは何だったんだぁ?大体 連絡繋ぐんなら 人なんざ送りやがらねぇえでも良かっただろう?」
イシュラーンがバーネット1世へ向いて言う
「ああ、もちろん ローゼックの通信機が壊れてしまった程度の連絡繋ぎが主たる役目ではない 何でも、ソルベキアのシステムは 普段、出力を抑えてあるのだとかでな?急チャージへ力を利用する為 そのロックを解除する作業を行うために 向かわせたのだよ 連絡繋ぎは そのついでだ」
バーネット1世が表情を渋らせて言う
「なっ… 何だよ!ソルベキアの出力はもっと 上げる事が出来やがったのか!?くそっ その連絡繋ぎの野郎は 一体どこで何してやがるんだ!とっ捕まえてひっ叩いてやる!」
バーネット1世が怒って腕組をする イシュラーンが疑問して言う
「うん?その者とは接触出来ておらなかったのか?」
バーネット1世がイシュラーンに向き直って言う
「ああ、その前に このソルベキアを俺らに占拠された腹いせに 元ソルベキア国王のガライナが イシュラーン、てめぇに化けて 俺の命を狙って来やがった だが、ヴィクトールの奴が アバロン式何となくそんな気がするってぇえ感覚で ギリギリのところで気付けたから何とかなったが 後一歩おそけりゃぁ 俺は背後から心臓をひと突きされてやがったぜ」
イシュラーンが驚いて言う
「そうか、ガライナ殿が… では また彼が誰かに化け 同じ事を行う可能性があるな?」
バーネット1世が笑んで言う
「いや、ガライナの赤トカゲ野郎は とっ捕まえてやったぜぇ ガルバディアの騎士どもが 必死に追いかけ回してな でもってぇ 逃げ出す事も身動きすら出来ねぇ様に 粘着テープで壁に貼り付けてやったぜぇ はっはー!なんなら その無様な赤トカゲ野郎を 見物しやがるかぁ?」
バーネット1世がソルベキア場内へ向かう イシュラーンが呆気に取られた後微笑して追いかけつつ言う
「はっはっは ではひと目確認しておこうかな しかし、捕まえられたのなら 安心ではあるが ずっとそうしておく訳にも行かぬだろう?」
バーネット1世が顔を向けないまま言う
「そうだな、専用の牢屋でも作ってやるかぁ 人でもトカゲでも逃げられねぇような 隙間のねぇ檻でも 作ってやらなけりゃ 話を聞き出すことも出来ねぇ」
イシュラーンが首を傾げて言う
「隙間の無い檻か… それは難しいな いっその事 檻ではなく壁にするしかあるまい?」
バーネット1世が考えてから言う
「ああ… そうだな ねずみじゃぁねぇんだからなぁ?食い破られっちまうってぇ事はねぇか?」
イシュラーンが軽く笑って言う
「それならローレシアへ連れて行こう 古くはあるがレンガ造りの強固なものがある」
バーネット1世が機械室の扉を開けつつ言う
「その牢屋は2つありやがるのかぁ?2匹居やがるんだぁ …まぁ 片方は 青トカゲだけどな?」
イシュラーンが疑問して言う
「青トカゲ?」
バーネット1世がトカゲたちのもとへ向かいながら言う
「ああ、ソルベキアの赤トカゲに続いて 青トカゲも来やがったぁ こっちはスファルツに化けやがってよぉ ま、同じ手を食らう俺様じゃぁねぇ 速攻で化けの皮をひっ剥がして とっ捕まえてやったぜぇ はっはー!」
イシュラーンが青トカゲを見て首を傾げる 青トカゲが助けを求めて鳴く バーネット1世が言う
「ソルベキアの嘘吐き赤トカゲは有名だが 青トカゲなんざ聞いた事もねぇよなぁ?まぁ どぉせ 同じ様なもんだろうぜ?」
バーネット1世が立ち去ろうとする イシュラーンが考えながら言う
「いや、私は青トカゲの話を知っているよ 赤トカゲとは違うのだ ローレシア王家には 青トカゲの話があってな?」
バーネット1世がソファに腰掛イシュラーンへ向いて言う
「あぁ?青トカゲの話しだぁ?」
イシュラーンが言う
「ああ …昔、ソルベキアの赤トカゲが ローレシアを内面から崩そうと ローレシアの王を騙しに忍び込んだそうだ、当時のローレシア王は 民たちを苦しめ 美しい女性を自分の為に集めるなど とても悪い王であった 赤トカゲはその様子に怒りを持ち その様なローレシアをさっさと潰してしまおうと 案を巡らせておった が、そんな時 赤トカゲは誤って衛兵に見つかり 傷付けられ命を奪われかけた だが、後一歩の所で 当時のローレシア王妃に命を救われ 怪我の治療を受けると 赤トカゲはその王妃に恋をしてしまった そして、赤トカゲは その王妃を助けたい一身で ローレシア王を退治し 国を王妃に与えたと言う」
バーネット1世が首を傾げて言う
「ふん…?それじゃぁ その話に出てくるソルベキアの赤トカゲは やっぱり赤トカゲじゃねぇか?」
イシュラーンが微笑んで言う
「ああ、ここまでは ソルベキアのトカゲが 赤トカゲである事は変わらなんだが ローレシア王妃を助けた赤トカゲは その後も王妃に可愛がられてな 後に他の赤トカゲと見分けを付けられるようにと 王妃は当時ローレシアと友好関係にあった ガルバディアに頼み その赤トカゲの身の色を 青トカゲに変えてもらったと言うものだ であるからにして、ローレシア王家では 青いトカゲは 王妃のトカゲであるから 虐めてはならなんだとされておる」
イシュラーンが青トカゲを止めている粘着テープを外す バーネット1世が衝撃を受け怒って叫ぶ
「ぬぁあっ!?おいっ!てめぇええ!何やってやがるっ!?んな おとぎ話なんざに惑わされやがって!その青トカゲが また 俺様をーっ!…あぁ?」
青トカゲがイシュラーンの肩に乗り 涙ながらに訴え 身を摺り寄せる イシュラーンが笑顔で言う
「どうやら おとぎ話では あらなんであった様だな?私も我がご先祖様を助けてくだされた 青トカゲ殿にお会い出来て光栄なんだ」
イシュラーンが青トカゲを笑顔で見る 青トカゲがホッと一息吐く バーネット1世が不満そうに見た後ぷいっと顔を背ける オライオンがやって来て言う
「バーネット様!ヴィクトール様が 困っちまってんだ ちょっと来てくれよ」
バーネット1世が疑問して言う
「あぁ?」

【 ローレシア城 地下機械室 】

シャルロッテが言う
「旧世界からの転送を確認 皆さんのご帰還です!」
リーザロッテたちとベーネット、ヴィクトール14世が転送装置へ向く 転送装置にヘクターたちが現れ周囲を見渡し 装置から出ながらバーネットが言う
「あん?何でてめぇえらが…?俺らを送るだけ送りやがったスファルツの奴ぁ 出迎えサボりやがったのかぁ?」
ベーネットが苦笑して言う
「なんでも、スファルツ卿とは 突然連絡が付かなくなってしまったとの事で 急遽我々が… と言いますより シャルロッテ殿が代行を務める事になりました 我々はそちらの おまけです」
レリアンが言う
「イシュラーン代理国王陛下も ソルベキアへ援護に向かってしまっていて 操作の出来る方がいらっしゃらなかったとか シャルロッテがスファルツ卿宛ての通信を ローレシアへ送っていなければ 危ない所でした」
デス2ndが言う
「レイロルトが我々の転送作業を放棄するとは考えられない 何かの事件に巻き込まれたのかもしれん シリウス様 どうか奴の探索の為 ガルバディアのシステムの使用許可を頂きたい」
シリウスが言う
「ふむ良いじゃろう… じゃが その前に新世界の状況確認じゃ ソルベキアへ通信を繋ぎよれ バーネットが全て把握しておる筈じゃ」
シャルロッテが衝撃を受け焦って言う
「そ、そそそそれがっ 私たちも先ほどから通信を送っているのですがっ バーネット1世陛下は現在っお、お取り込み中との事ですぅ…」
シャルロッテが顔を赤らめ恥ずかしがる シリウスが疑問して言う
「取り込み中じゃと?何に取り込んでおりよるのじゃ?構わぬ、我が繋げと言っておるのじゃ 繋ぎよれ!」
シャルロッテが慌てて操作盤を操作して言う
「はっ!はいぃ!バーネット1世陛下も恐ろしいですがっ シリウス様に比べれば…っ」
モニターにバーネット1世が映って叫ぶ
『だから… うるせぇええ つってんだろ!?分かりやがらねぇええのか てめぇえ は…っ?ぬあぁっ!?』
モニターのバーネット1世がシリウスの姿を確認して衝撃を受け焦る シリウスが言う
「バーネット 新世界の機械兵どもは どうなりよったのじゃ?しっかり始末しよったのじゃろうな?」
モニターのバーネット1世が鞭を肩に掛けて言う
『ああ、そっちはとっくに終わりやがったぜぇ 何だか知らねぇが ローゼントのハリッグもスプローニのラグヴェルスも 妙に張り切りやがってなぁ あんだけ殺る気がありやがったってぇんなら もっと前から手ぇ貸しやがれってぇんだよなぁ?』
モニターのバーネット1世がヴィクトール12世へ視線を向ける ヴィクトール12世が苦笑する ヴェルアロンスライツァーとロキが呆気に取られた後 ヴェルアロンスライツァーが微笑して言う
「そうか、バリッグ様が…」
ロキが言う
「…ラグヴェルス陛下が 再び銃を取って戦われたのか」
2人が顔を見合わせる モニターのヴィクトール12世が言う
『ああ、そうだな しかし 久方の実戦で 張り切りすぎたのか その2人ともしばらく休憩すると言っていたよ あの様子では多分2、3日後は 動けない程に筋肉痛なのではないかな?』
ヴェルアロンスライツァーとロキが衝撃を受け 呆れの汗が流れる バーネット1世が苦笑して言う
『ハッ!そぉ言うてめぇえは 今回に限って痛ぇ痛ぇってぇ やたら文句言いやがって お陰で イシュラーンとローゼックの野郎に 良い所持ってかれちまったじゃねぇかぁ?』
ヴィクトール12世が困った表情で言う
『いや、今回はバーネットも張り切り過ぎていたのではないのかな?いつもより雷が強力だった 私はあの雷撃に耐えた自分を褒めてやりたい程なのだが…?』
バーネット1世が疑問して言う
『あぁ?だから 俺はいつも通り…』
バーネット1世が僅かな間目を閉じ周囲にプログラムを現した後衝撃を受け 顔を逸らして言う
『ま、まぁ… あれだ、俺も たまにはちょいと 張り切っちまう事も… だなぁ?』
デス1stが呆れて言う
「…出力数値が間違っている ソルベキアの基礎数値を 訂正しなかったらしい」
デス2ndが衝撃を受け焦って言う
「ソルベキアの基礎数値をそのままっ!?そうなれば数値はざっと ガルバディアの1.85倍にっ!」
バーネットが微笑して言う
「へぇ… なんだよ 1.85倍まで上げちまっても大丈夫なのか…」
ヴィクトールが衝撃を受け 慌てて言う
「僕にやろうと企まないでっ!」
シリウスが首を傾げ バーネット1世へ言う
「なんじゃ?てっきり機械兵の処理が間に合わず 我が手助けしてやらねばならぬのじゃと思っておったのに 終わらせてしもうたのか?我は… お前の悲鳴が聞けなくて 残念じゃ」
モニターのバーネット1世が衝撃を受け怒って言う
『おいっ!無理な作戦を 成功させやがった この俺へ!慰労の言葉所か 本心伝えやがるんじゃねぇええ!!』
シリウスが笑顔で言う
「おお、やっぱり我の仕置きが欲しいと言うのじゃな?素直な奴め」
バーネット1世が怒って言う
『言ってねぇええ!!』
バーネットが疑問して言う
「でぇ?機械兵の殲滅作戦が成功しやがったんなら 何に取り込み中でいやがったんだぁ?親父はよぉ?」
モニターのバーネット1世が気を取り直して言う
『あぁ?…おう、それが こいつらが いきなり押しかけて来やがってだなぁ?ヴィクトール13世が居ねぇえんだったら 12世に話をさせやがれとか抜かしやがって…』
バーネット1世の視線の先 モニターにミラとレーミヤが映る ヘクターたちが驚き ヘクターが叫ぶ
「ミラ!レーミヤ!」

【 ソルベキア城 】

ミラとレーミヤが 空間モニターに映ったヘクターと仲間たちに驚き ミラが言う
「ヘクター!ヴェル!ロキ!ヴィクトール陛下 バーネット陛下も」
空間モニターのヘクターが言う
『ミラ!レーミヤ!大変だぜ!ラーニャが!シリウスBの所に居るんだ!連れて戻りたかったんだけど 出来なかった…っ 悪ぃ…』
ミラとレーミヤが呆気に取られた後微笑し レーミヤが言う
「良いのよヘクター ラーニャは 自分で決めてそうしたのだから」
モニターのヘクターや皆が驚く

【 ローレシア城 地下機械室 】

ヘクターが呆気に取られた状態から表情を顰め怒って言う
「何だよそれ!?一体どうなってんだよっ!?ラーニャの事知ってたんなら 何でお前ら仲間のあいつを残したんだ!?それに ザッツはどうしたんだよっ!?まさか あいつも旧世界に残ったなんて言うんじゃっ!?」
ヘクターが思わず一歩前へ踏み出す その足がヘクターの前にあった猫の尻尾とローブの裾を踏み付ける ヴィクトール11世が目を見開き 悲鳴を上げ シリウスを放り投げ飛び上がる
「にゃぎゃぁああっ!!」
皆が驚く ヘクターが思わず後退る ヴィクトール11世が開放された尻尾を両手で握り 涙目で踏まれた部分へ息を吹き掛ける ヴィクトール11世に投げられたシリウスがラインツに抱かれていて 驚いた様子で言う
「ヴィ、ヴィクトール?お前… そ、その耳と尻尾は…?」
ヴィクトール11世がハッとして ローブが外れている事に気付き 慌ててシリウスへ向き 困って言う
「あのっ これは… シリウスBが 僕の名前を聞いて 面白がって… 能力のついでに おまけだとか… 僕は止めてって言ったのに…」
ヴィクトール11世が泣きそうな表情で視線を落とす 猫耳が下がり尻尾が怯える シリウスが呆気に取られたまま見つめ 間を置いて大喜びで叫ぶ
「何と愛らしい姿じゃ!ヴィクトール!!」
シリウスがヴィクトール11世に飛び付く ヴィクトール11世が驚き疑問して言う
「あれー?」
シリウスが笑顔でヴィクトール11世の猫耳を撫でながら言う
「なんじゃ!シリウスBめ!これは我との和解を 求めて居るという事ではあらぬのか!?そうか?そうであるなら うむーそうじゃのぉ~?」
シリウスが上機嫌でヴィクトール11世を撫でる ヴィクトール11世が疑問したまま固まる バーネットが怒りに震える 他の皆が呆れる ルーゼックが言う
「私が思うに シリウスBは 人と動物の能力を結び付けられる自身の力を シリウス殿へあから様に見せ付け 更に 愛らしい猫の耳と尻尾とは… 最強の大剣使いの国アバロン出身の王族であるヴィクトール殿へ 果てしない侮辱を… この上ない屈辱を揺さぶっておるのだと 思うのだが…?」
キルビーグが苦笑して言う
「うむ… だが シリウス殿が満足であるのなら この際、良いのではないか?」
キルビーグが笑顔になる ルーゼックが衝撃を受け 焦って叫ぶ
「そ、そんなもんであるのかっ!?」
ヴィクトールがシリウスたちを見て考えた後 バーネットへ振り返って言う
「ねぇ?バーネット?もし僕が猫耳になったら バーネットもあんな風に喜んでくれる?」
バーネットが怒りにキレた後 静かに怒って言う
「安心しやがれ ヴィクトール… もし、てめぇが あんな姿にされやがったら 人目に付く前に この俺がこの手で安らかな眠りに 着かせてやるぜぇ…」
ヴィクトールが衝撃を受け 焦って言う
「あ、あれ?何だろう?殺気が…」
ヴィクトールが身震いする デス2ndが一歩踏み出して言う
「バーネット1世陛下 一つ伺いたい事が」
通信モニターのバーネット1世が振り向いて言う
『あぁ?』
バーネットが思い出したように言う
「ああ、そうだったぁ スファルツが行方不明だってぇえんだぁ まぁ、親父が知る訳もねぇだろうがぁ…」
通信モニターのバーネット1世が一瞬呆気に取られた後考える姿で言う
『スファルツだぁ?俺が実際に会ったのは てめぇらが夢の世界から戻る以前の話しだぁ 奴には… あぁ そんだったら てめぇの方が一番最後まで奴と会ってやがっただろう?イシュラーン』
通信モニターのバーネット1世が振り向く モニターにイシュラーンが映りイシュラーンが一瞬呆気に取られた後考えながら言う
『うむ、スファルツ卿か 私が最後に会ったのは ローレシアを出る直前であったのだが』
シャルロッテがモニターに映るイシュラーンの肩に乗っている青トカゲに気付き 衝撃を受けて叫ぶ
「きゃぁあっ!お、おおおおっ お父様ーっ!?な、ななな なんと言う お姿にぃ」
シャルロッテがモニターを指差す 皆が驚いてシャルロッテを見た後イシュラーンを見る モニターの中のイシュラーンが驚いて後ろを向く バーネット1世が疑問してイシュラーンへ向く イシュラーンがモニターへ向き直って言う
『うん?何処にスファルツ卿が居ると?』
シャルロッテがハッとして慌てて言う
「はっ!あっ!いえっ あのっ そのっ」
イシュラーンの肩に乗っている青トカゲがピーと鳴く

【 ソルベキア城 】

バーネット1世が目を閉じ周囲にプログラムを発生させる 青トカゲの身にプログラムが纏わり 青と影が人の姿になる イシュラーンが微笑して言う
「まさか、スファルツ卿 貴殿が ローレシア王妃を助けたと言う あの青トカゲであったとはな?悪しき時代のローレシアを救ってくれた 立役者であった貴殿を 私は昔 一時とは言え 本気でソルベキアの赤トカゲとして 疑っておったのだよ 申し訳ない」
スファルツが苦笑して言う
「いえ、そちらの古き過去の一件により 私はローレシアに認めて頂きましたが 私が元々ソルベキアの赤トカゲであり ローレシアを奪おうと向かった事は事実です 故に、自分の身の潔白は 常にその行いで示さねばならないと承知しておりますので どうか お気になさらず」
スファルツが微笑する イシュラーンが苦笑する バーネット1世が不満そうに言う
「とは言え、ソルベキアの先住民族の能力は 相変わらずなんだろ?こいつがその気になりゃ 何に化けて俺たちを欺こうとしやがるか 分かったもんじゃねぇぜ?」
イシュラーンが表情を困らせる スファルツが苦笑して言う
「私の先住民族の姿が青トカゲであるのは 私がこの姿以外の何者にも化けていない証拠なのですよ あの青い模様は 私が別の姿に化けた瞬間に 元の赤い模様へ戻ると聞かされております この事に関しては どうか、真実である事をシリウス様へ ご確認しご安心下さい」
バーネット1世が衝撃を受けて言う
「なぁあ!?んなら てめぇえを青トカゲにしやがったのは シリウス元国王の奴ってぇえ事かぁあ!?」
スファルツが微笑して言う
「ええ、実にお久し振りの再開でした かれこれ五百数十年振りでしたかね?」

【 アバロン城 】

ザッツロードが殴られ床に叩き付けられる ラナが叫ぶ
「ザッツっ!」
ヴィクトールがバーネットを抑えて言う
「バーネット!落ち着いて!」
バーネットが怒って叫ぶ
「うるせぇええ!あんな事言われて 落ち着いてなんざ居られるかぁあ!」
ヴィクトールが慌てて言う
「そ、それはそうだけど 暴力は駄目だよっ」
ザッツロードが殴られた頬を押さえつつ立ち上がって言う
「バーネット陛下の民を大切にされる お気持ちは知っています しかし、僕らは… この新世界の後住民族は 元々旧世界に悪魔力をもたらした罪を抱えているんです 旧世界を機械兵から取り戻すには 新世界の皆を危険にさらす事になるとしても それくらいの危機感を与えなければ変わらないと」
バーネットが蔑んで言う
「ハッ!だから 歴代ローレシアの勇者様は失敗だなんて 言われやがったんだぁ ちょいと賢そうな言葉を並べられただけで シリウスBの言いなりになりやがって」
バーネットが自分を抑えるヴィクトールの手を払って移動する ヴィクトールがバーネットを見つつザッツロードへ向いて言う
「ザッツロード王子 確かに、君やシリウスBの言う通り 新世界に住む我々後住民族の先祖は 旧世界へ多大な被害をもたらし こちらの世界へ逃げてきたのかもしれない しかし、だからと言って 新世界の人を意図的に危険にさらすなどと言う事は 到底許されない 万が一理解を示す者が居たとしても やがては新旧世界の戦いへと発展してしまうだろう」
バーネットが言う
「旧世界の機械兵をぶっ潰せるほどの戦力強化は確かに必要だ だからこそ シリウス国王殿だって夢の世界を使っての 俺らの戦力強化を行いやがった だがそれは そいつらの同意を取ったうえで 試験的に行われたことであって… 何の準備も経験もねぇ こっちの世界の連中の下へ 機械兵どもを送り込みやがるだなんて 冗談じゃねぇっ」
ミラが言う
「ローレシア帝国の人々は 新世界からの聖魔力の供給を増やしてもらえさえすれば 旧世界の悪魔力も緩和されて 魔物化する動物や機械兵が無くなって それで良いのだと思っていたらしいけど」
ザッツロードが言う
「例え新世界からの聖魔力の供給が行われたとしても それだけでは 旧世界の悪魔力を全て中和させる事は出来ないそうです 我々が夢の世界で行っていた事は 新世界へ逃げ延びた我々新世界の民が 初期の頃に夢見ていた事だったとか」
バーネットが言う
「ハッ!だからって旧世界の民を魔物と同等にしちまう シリウスBの味方になりやがるとはなぁ?つまりてめぇもシリウスBと同じ考えだって事だろ!?こっちの世界の民や兵を あの旧世界の戦士どもみてぇに魔物化させようってなぁあ!?」 
ザッツロードがハッとして怒って言う
「違いますっ!シリウス様は当初彼らを避難させようとしたそうです!しかし 彼らは 自分たちの故郷である旧世界を守りたいと!自ら戦う事を選んだのです!」
バーネットが怒って言う
「そうであろうがなかろうが!シリウスBの奴が イカレタ生態変化をもたらした結果 旧世界の兵士が こっちの新世界の俺らの敵になりやがったんじゃねぇえか!そして!てめぇえは!新世界の民でありながら そんな奴の味方をしやがるってぇえんだろぉお!!あぁああ!?」
バーネットがザッツロードへ殴り掛かろうとする ヴィクトールが抑える ザッツロードが力強く言う
「私は!どちらの味方になると言うのではなく!どちらの世界も救いたいと願っています!そして!その方法を得る為に 新世界へ戻ったのです!」
皆が一瞬驚く ヴィクトールが微笑して言う
「うん、僕も同じ意見だよ ザッツロード王子 そして、もちろん ここに居る皆が ね?バーネット?」
バーネットがヴィクトールを睨み付ける ヴィクトールが微笑む バーネットがヴィクトールの腕を振り払い ふて腐れて言う
「だがっ!その方法が見つからねぇえんだ!おまけに いつ俺らより力を持つ旧世界の奴らが 襲い掛かって来やがるかも分からねぇえってぇえのに!そいつらからの防衛と同時に その解決策を考えようなんざ 出来ねぇえだろ?」
ヴェルアロンスライツァーが言う
「旧世界の戦士は我々より強い しかし、現状その強さは諸刃の剣では無かっただろうか?」
ロキが言う
「…遺伝子情報の改良とやらが成功しなければ 旧世界の戦士は滅亡するのだろう」
デス1stが言う
「シリウスBは旧世界の民の遺伝子情報の改良に取り組まねばならない 彼が今、新世界へ 旧世界の戦士を引き連れて来る事は無い筈だ」
デス2ndが言う
「だが、旧ローレシア帝国の民がこちらの新世界へ移った事で 旧世界は今や壮絶な食糧難であるはず そうなればシリウスBは来なくとも 旧世界の戦士が送り込まれる可能性はある」
バーネットが一つ溜め息を吐いて言う
「そうとなりゃぁ 最終手段だぁ… 行くぜ?」
バーネットが先行して部屋から出て行こうとする 皆が驚きヴィクトールが言う
「バーネット?行くって何処へ?」
バーネットが顔を向けて言う
「決まってんだろぉ?シリウス殿の所だよ!?もちろん シリウスA殿だがなぁ?はっはー」
ヴィクトールが一瞬呆気に取られた後微笑して皆へ言う
「うん、やっぱり彼も含めて 皆で話し合おう!」
皆が微笑し頷き合い バーネットに続く

【 ガルバディア城 玉座の間 】

アバロン直通散歩道が開き デス1stとデス2ndに続き皆が現れヴィクトールが首を傾げて言う
「可笑しいなぁ?ガルバディア第二国王の王位を貰ったあの日は ちゃんと僕の手で開いたのに どうして今日はデスじゃないと開かなかったんだろう?」
バーネットが軽く笑って言う
「はっはー 野良猫のてめぇには ガルバディア第二国王の王位は まだ早ぇのかもしれねぇなぁ?」
ヴィクトールが衝撃を受けて怒って言う
「バーネット!僕はもう野良猫じゃないよ!ちゃんとバーネットの相棒として現実世界でも戦ったじゃない!?せめて飼い猫にして!」
ミラが呆れて言う
「その前に人にして貰わないで良いのかしら?」
レーミヤが軽く笑う ヘクターが気付いて言う
「あ?なぁ?あれ ローレシアの」
ヘクターが玉座の方を指差す 皆が疑問し視線を向ける

ルーゼックが怒って言う
「ええいっ!いい加減に目を覚まさぬかっ!ヴィクトール11世殿っ!貴様はそれでも 名誉ある旧ローレシア帝国の助力者であるかっ!?」
キルビーグが微笑んで眺めて言う
「まぁそう怒らんでも良いだろう ルーゼック?ヴィクトール11世殿も もう少しと申しておるのだ もう少しぐらい待って差し上げても良かろう?」
ルーゼックが怒って言う
「であるからにしてっ!その もう少しが 既に30分を経過しようとしておるのだっ!そろそろ殴ってでも正気に戻してやらねば この者のもう少しは夜になっても 終わりそうにないのであるっ!」
ヘクターたちがやって来て ヘクターが言う
「キルビーグ国王にルーゼック兄貴じゃねーか?何してんだよ?」
ルーゼックが衝撃を受け視線を逸らし 少し頬を染めつつ言う
「ヘクター やはり その呼び方は改めよ 私の事はルーゼック国王か 第二国王の敬称に致すのだ」
ヘクターが一瞬疑問した後微笑して言う
「ああ、分かったぜ 兄貴!」
ルーゼックが衝撃を受け怒って叫ぶ
「分かっておらぬわっ!馬鹿者っ!」
ヘクターに遅れて来たバーネットたちが来て 衝撃を受け バーネットが表情を顰めて言う
「なぁ!?お、おい キルビーグ、この… 人みてぇな猫は 何をしてやがるんだぁ?」
キルビーグがバーネットへ顔を向けて言う
「うむ、それが 我々も話を聞きたいと思い 先ほどから長い事待っているのだが」
ヴィクトールが首を傾げ しゃがんでヴィクトール11世へ言う
「祖父上?」
ヴィクトール11世が床に寝転び笑顔で自分の尻尾にじゃれながら言う
「えへへ~ うん~… もう少し~…」
ヴィクトールが疑問する デス1stが隣に来て 周囲にプログラムを現して言う
「…どうやら尻尾の先に マタタビを掛けられているらしい ヴィクトール11世は マタタビの成分に酔ってしまっている」
ヘクターが顔を顰めて言う
「あぁ?何に酔ってるって?…ったく 何だか知らねーけど 世界の危機だってー時に のん気に酔ってる場合じゃねーだろ?」
ヘクターがしゃがんで ヴィクトール11世から尻尾を取り上げ 尻尾の先を手でパタパタはたく 皆が衝撃を受ける はたかれる度に尻尾の先からマタタビの成分が落ち ヴィクトール11世が酔ったまま驚いて言う
「にゃっ!?にゃっ!?にゃっ!?」
ヘクターがデス1stへ向いて言う
「どうだ?」
デス1stが分析して言う
「マタタビの成分 89%の除去を確認」
皆が呆れる ヴィクトール11世が呆気に取られた後 ハッとして言う
「はっ!…はれ?皆どうしたニャ?」
ヴィクトールが言う
「どうしたニャ?ではありませんでして 祖父上、シリウス元国王はどちらへ?」
ヴィクトール11世が目をこすりながら言う
「え?しりうす元国王?えっとぉ~… ああ!そう!シリウス!僕を置いて行かないで!…あれ?」
ヴィクトール11世が周囲を見渡した後 ヴィクトールへ向いて言う
「13世、僕のご主人様は何処だニャ?」
ヴィクトールが言う
「たぶん そのお方の居場所を伺っているのですが 祖父上はご存知ではないのですか?」
ヴィクトールとヴィクトール11世が見詰め合う 間を置いてヴィクトール11世が涙目になる ルーゼックが溜息を吐き呆れて言う
「どうやら 我らの待ち時間は無駄であったらしい」
キルビーグが苦笑して言う
「うむ、どうやら そうであったらしいな?」
バーネットが腕組みをして舌打ちして言う
「チッ… 折角来てやったってぇのに あの引きっ篭もり元国王は 何処行きやがったんだぁ?」
ヴィクトール11世が玉座を見た後 周囲を見渡してから泣きながら叫ぶ
「わーん!酷いよシリウス!僕を置いていくだなんてー!」
ヴィクトールとバーネットが驚く バーネットが困って言う
「あぁ!?お、おい 泣きやがるなよ 初代泣き虫ヴィクトール きっとてめぇのご主人様だって」
ヴィクトールが衝撃を受け 泣きながら言う
「あー!酷いよバーネット!バーネットが優しくして良いのは 3代目泣き虫ヴィクトールの 僕だけだよ!他の泣き虫ヴィクトールに 優しくするのは禁止ー!」
バーネットが衝撃を受け 怒って言う
「だぁああ!てめぇえまで泣きやがるんじゃねぇええ!この泣き虫ヴィクトールどもがぁああ!!」
玉座にシリウスのホログラムが現れて言う
『誰じゃ 我の猫を泣かせておるのは?』
皆がシリウスへ向く ヴィクトール11世が喜んで寄って言う
「シリウス!」
シリウスがヴィクトール11世を見て周囲にプログラムを現して言う
『む?マタタビの成分が 88.97%も減少しておるではあらぬか 折角 我が居らぬ間 極楽に酔わせてやろうとしておったのに 誰じゃ?叩きおったのは?』
バーネットが一歩前へ出て言う
「んな事より 俺らはてめぇに相談しに来てやったんだぁ 旧世界に関しては てめぇも今一番に考えてやがる事だろう 俺らがてめぇより良い案を考え出せるとは言わねぇが その俺らにだって 手伝える事がありやがる筈だ 時間もねぇ以上 各々で考えるよかぁ 集まって話し合った方が良いに決まってらぁ …そっちのローレシアの連中だって 多分そんな事で来やがったんだろうぜ?」
ヘクターたちが微笑してルーゼックとキルビーグを見る ルーゼックが気付き顔を背ける キルビーグが微笑む シリウスが疑問した後気を取り直して言う
『旧世界に関してじゃと?なんじゃ そんな事であるか なら戻ってからでも聞いてやるわ 勝手に話し合っておれ』
ヴィクトール11世以外の者が驚き ヴィクトールが言う
「え?そんな事…!?」
シリウスがヴィクトール11世へ向いて言う
『ヴィクトール、我はまだ少し戻れぬが 良い子で待っておれ 近くアバロン程度なら散歩に行っておっても良いぞ 我が戻るまでにはガルバディアにおるのじゃ 良いな?』
ヴィクトール11世が笑顔で言う
「うん!僕はシリウスが戻るまでガルバディアで待ってる アバロンへはさっきご飯を食べに行ったから 後は夜まで行かないで大丈夫だよ シリウスのお陰で また、いつでもアバロンに行けるもの!」
バーネットが衝撃を受ける ヴィクトールが疑問する ヴィクトール11世の尻尾が無意識に喜ぶ シリウスが言う
『うむ、では 戻ったら たっぷり可愛がってやるわ 楽しみに待っておれ』
ヴィクトール11世が笑顔で言う
「うん、早く帰って来てね!シリウス!」
シリウスのホログラムが消える 一瞬の間の後 ルーゼックとバーネットがヴィクトール11世へ掴みかかって叫ぶ
「「どう言う事」であるのかっ!?」だ!?てめぇええ!?」
ヴィクトール11世が驚いて目を丸くした後 照れて言う
「え?…えへっ シリウスは また僕のご主人様になってくれたんだよ?」
ルーゼックとバーネットが衝撃を受け怒って言う
「そんな事ではあらぬわっ!馬鹿者っ!」「そぉおじゃねぇええ!!」

【 ローレシア城 玉座の間 】

イシュラーンが言う
「旧世界からの移動魔法陣は 無事、全てを破壊し終えた ソイッド村で発見された古い転送装置も 二度と使えぬ様 厳重に封印がなされた これで旧世界との繋がりは 全て閉ざされた筈だ」
ローゼックが言う
「これで 一応は新世界の平和が 再び築かれたと申す事にもなろう… そして、現在アバロンでヘクター国王らと話をしておる ザッツロード7世も それが終われば 旧世界の民をこちらへ導き 我らの新世界へ危機をもたらした罪人として捕らえる所存だ」
ホログラムのバーネット1世が苦笑して言う
『ハッ!ローレシアの王子様を ローレシアの牢獄へぶち込むってぇのかぁ?』
イシュラーンが苦笑して言う
「例え我らローレシアの王子であろうとも この世界へ大いなる危険をもたらした事は事実 私は… 何の躊躇もあらぬよ 必要とあれば 刑に処することもいとわぬ」
ホログラムのヴィクトール12世が悲しく苦笑して言う
『彼は両世界の現状を知った事で 彼なりに両世界を救いたいと本気で思っている その気持ちに偽りは無い 私は 彼の情状酌量を提示させてもらうよ』
ホログラムのヴィクトール12世が微笑む バーネット1世が衝撃を受け怒って言う
『なぁあ!?ヴィクトール!てめぇえって奴ぁあ!』
ホログラムのヴィクトール12世が苦笑して言う
『もちろん、彼の行った事で 苦戦を強いられ 更に 怪我を負った者たちがどう提訴するかで 結果は決まるだろうがな?』
ホログラムのバーネット1世が不満そうな表情を見せた後 ぷいっと顔を逸らす イシュラーンが苦笑して言う
「ありがとう、ヴィクトール殿」

【 ガルバディア城 玉座の間 】

ルーゼックが驚いて言う
「シリウス殿から 旧世界のシリウスBへ 通信を送りおっただとっ!?」
ヴィクトール11世が微笑んで言う
「うん、シリウスが僕を撫でながら 通信を送ったんだ それで、2人とも仲直り出来たんだよ?」
ルーゼックが表情を顰めて言う
「…いや、貴様を撫でておった事は 関係あらぬであろう?」
ヴィクトール11世が呆気に取られた後不満そうに言う
「そんな事無いよ 僕はシリウスBの実験体だもの 彼の成功作である僕をシリウスが褒めたから きっとシリウスBも…」

回想

シリウスがヴィクトール11世の頭を撫でながら 微笑して言う
「我の猫は返して貰ろうた 長い事何処へ行きおったのかと 探しておったのじゃが… お前の元へ行っておったとはな まさか30年以上も経った旧世界で 再会するとは 流石の我も 驚かされよったぞ?」
シリウスの前で シリウスBのホログラムが苦笑して言う
『フッ… 私もその者が 単身、私の前に現れた時には驚かされた 自分はシリウスの猫であり シリウスの兄弟である私に 頼みがあって来たのだと… 名を聞いて理解はしたものの 11代に渡りお前の猫であるとは 新世界へ渡った民の中にも 面白い者が居たものだ』
シリウスが邪悪に微笑して言う
「その面白い者に また、面白い悪戯をしてくれおったものじゃ 人の身に動物の力を与える事 お前のやりそうな事ではありよるが… この耳と尻尾は 何の真似じゃ?」
シリウスBが言う
『旧世界の民へ魔物化した動物の力を与える その実験台とは言え 成功すれば お前の愛するその者の 命の時を延ばす事に繋がる …それは 私にとっては納得の行きかねる事 故に』
シリウスBが悪巧みするような笑みで続ける
『その伸ばされた時へ 屈辱を与えてやろうと思ってな クックック… どうだ?シリウス?その者の姿は?例え英雄であれ 最強の戦士であれ その様な姿では…』
シリウスがシリウスBの言葉を制して言う
「うむ 実に …我の好みじゃ!シリウスB!良くやってくれよったー!」
シリウスが堪らず 満面の笑みでヴィクトール11世を抱きしめる ヴィクトール11世が一瞬驚いた後笑顔になる シリウスBが呆気に取られて言う
『は?』
シリウスが笑顔でシリウスBへ言う
「名前だけでなく 姿まで猫らしくなりおったの?ヴィクトール ああ、そうじゃ!我はこの礼をしてやろうと思うて 連絡したのじゃ さ!お前の望みは何じゃ!?シリウスB?我に出来る事であるなら 何でも致してやろうぞ?ああ!Aか?シリウスAの名が欲しいと申すなら くれてやるわ!今日からお前がシリウスAじゃー!」
シリウスBが困惑して言う
『え?あの… シリウス?』
シリウスが満面の笑顔で言う
「何じゃ?シリウスA?」
シリウスBが呆れて言う
『いや… … …やはりBで良い』

回想終了

ヴィクトール11世が笑顔で言う
「ね?僕のお陰でしょ?」
皆が呆れている ヴィクトール11世が思い出して言う
「あ、それにね?シリウスBの戦士たちもね?大丈夫なんだって言ってたよ?」
ヴィクトールが言う
「シリウスBの戦士たちも大丈夫… とは?」
ヴィクトール11世が微笑んで言う
「うん、それはね!」

回想

シリウスが言う
「…それはそうと、B 旧世界の戦士たちを救うプログラムは 粗方終えておるのか?我はお前へ 我の持つ情報を全て与えると言ったが あれは嘘ではあらぬのじゃ 事を起こす時に関わらず 我は喜んでお前へ全てを与えたいと思っておったのじゃ」
シリウスBが言う
『確かに… その時は訪れるのだろう だが それは今ではない 事を起こすには相応の時間を有する それまでの間に 我々は力を有さなければならない そしてその方法は… 今までと同じく 双方が 双方の方法を用いて 模索するべきだと』
シリウスが言う
「お前であれば 我の情報も含め 今までの双方よりも より良いモノを作られるであろう?B?そのためにも…」
シリウスBが言う
『そして、お前は 新世界の民と共に その者たちの“王”を演じて生き そして 共に死する事を 選ぼうと言うのか?シリウスAの名を私に譲り…』
シリウスが苦笑して言う
「出来る事ならそうしたいものじゃが やはりそれは叶わぬ 少なくとも 我はシリウスBの座へ下がってでも お前を補佐するつもりであった …愛らしい猫も居る事じゃしのぉ?」
シリウスが満足そうにヴィクトール11世を抱きしめる ヴィクトール11世が笑顔で抱かれる シリウスBが衝撃を受けて怒って言う
『ええいっ!大変な所だけ私に押し付け 相変わらずお前は 優雅に過ごすつもりかっ!?』
シリウスが不満そうに言う
「新人類どもの生活に合わせる事は 言うほど楽なものではあらぬのじゃぞ B?動物とだけ戯れて居ったお前は知らぬじゃろうが 新人類たちは実に賢くて愚かじゃ 与えてやった玩具を平和的に使いこなす事もあれば それを用いて愚かしい事を実に賢く行いよる」
シリウスBが怒って言う
『玩具を与えたのなら その使い方を教える事も それを与えた“神”である お前の役割となるだろう シリウス!?それを行わずに 勝手を許したりなどしているから 新世界へ向かった者らは快楽へと流され 旧世界へ残して来た 愛する者たちの事すら 忘れてしまったのだろう!?』
シリウスが言う
「敵わぬことを前に 快楽に溺れ そちらへ逃げ出す者も居れば 敵わぬことを前に戦い続ける者もおる …その者こそ真に強き者 …勇者であろうと思って居ったが 生憎 それほどの勇者は なかなか現れぬ そんな訳で 我もそろそろ諦め始めて居ったのじゃが それこそ 我も快楽に溺れておったのかもしれぬのぉ?」
シリウスBが怒って言う
『お前まで流されてどうするっ!』
シリウスが言う
「B 我は約束通り時を稼ぐ 夢の世界を用いるも用いずもお前へ任せる 旧世界の戦士を救う方法も… お前なら何とか出来るのじゃろうB?その目途も持たずに お前の守る旧世界の民へ 遺伝子情報の操作を行う様な お前ではあらぬ」
シリウスBが沈黙する 
『…』
シリウスが言う
「旧世界からやって来た民たちの様子を確認し 必要とあればお前にも知らせてやろう そう時を置かず 落ち着くはずじゃ その間にでも 我は事を開始する 我はシリウスとして 世界を守るとな?」
シリウスBが言う
『世界を…か?』
シリウスが言う
「そうじゃ?“シリウス”が世界を守ると言うておる これは1万年前から変わらぬ言葉じゃ たかだか数百年引きこもって居った所で 再び現れ口にした所で 何ら不振もあらぬじゃろう?」
シリウスBが言う
『それを実行し 抹消された“シリウス”が 再びそれを言うと?アウグスタの前で?』
シリウスが苦笑して言う
「大いに警戒されよるか?っふっふっふ… まぁ 良いじゃろう?それくらいのインパクトが無ければ “シリウス”ではあらぬ 恐れ多くも我は 神の命を狙った反逆者であるからな?」
シリウスBが苦笑して言う
『神の命を狙った… それほどの者が 本当に その神の寵愛を受けられると?アウグスタの隙を得るには』
シリウスが邪悪に微笑んで言う
「そのための道具も 用意してくれよったじゃろうB?お主も悪よのぉ…?」
ヴィクトール11世がシリウスに抱かれたまま居眠りをしている シリウスがヴィクトール11世の猫耳を軽く噛む ヴィクトール11世が悲鳴を上げて飛び起きる
「にゃぎゃぁあっ!?」

回想終了

ヴィクトール11世が涙目で猫耳を撫でながら言う
「あの時は痛かったなぁ シリウスってば たまにちょっと意地悪して 本気で僕を虐めるんだよ?」
ヴィクトール11世が微笑する デス2ndが呆気に取られて言う
「…っと言う事は 結果的にシリウス国王は シリウスBと 和解してしまったという事か?」
デス1stが言う
「それどころか “世界を救う”ために 互いに力を求める… と?」
バーネットとヴィクトールが顔を見合わせ バーネットが言う
「旧世界の力は あの旧世界の戦士とか言う奴らなんだろ?なら新世界の… こっちの力は?やっぱ旧世界へ向かった俺らの事か?」
ヴィクトールが言う
「こちらの新世界を守っていた 皆の力も入るのではないかな?」
デス1stが言う
「シリウス国王ほどにもなれば 最も優れ戦力を持つ者を編み出し その者の複製を作る事も可能だ」
デス2ndが言う
「…と、なればやはり この新世界で最も強い者は…」
デス2人がヘクターを見る ヘクターが疑問してから言う
「…ん?あぁ そうだなぁ?俺が一番強そうだと思うのは やっぱ あのガルバディアの騎士か?」
デス1stが衝撃を受けて言う
「いやっ!?そうではなく?」
ヘクターが言う
「あ?あぁ そっか?だから アイツら同じのが一杯居るんだな?じゃぁよ?アイツらの1人に俺が勝ったら?今度は 俺がアイツらと同じ位 一杯作られるのか?」
デス2人が衝撃を受け デス1stが苦笑し デス2ndが言う
「いや… 理想としては悪くないが そもそも あのガルバディアの騎士たちは…」
ヴィクトールが言う
「ガルバディアの騎士って… あの夢の世界のヘクターの相棒の騎士の事?」
デス1stとデス2ndが驚きヴィクトールを見る ヴィクトールが2人の視線に疑問する デス1stがハッとして言う
「っ!そうか このヴィクトール13世の記憶には ガルバディアの騎士たちとの記憶は残されていない バーネット2世の記憶もまた同じく…」
バーネットが疑問して言う
「あ?俺が何だって?」
デス1stとデス2ndが顔を見合わせた後 デス2ndが言う
「それにしても シリウス元国王もシリウスBも 一体何を望んでいるのだろうか?まるで 我らの先の先を見て話していた様だ」
デス1stが言う
「シリウスBは旧世界を… いや、旧世界の民を救おうとしていた事は確かだ そして、シリウス元国王が我らに命じた事は 新旧両世界の機械兵の殲滅 共に 旧ローレシア帝国の民を救う事 旧世界の戦士を殲滅しろとは命じなかった」
デス1stとデス2ndが顔を見合わせ苦笑する 2人以外の皆が疑問する デス1stが言う
「我らに分かる事は少ないが 一つ確実な事 それは 我らの王 シリウスAは 両世界の和平を繋いだという事 それなら」
デス2ndが微笑して言う
「シリウスBや旧世界の民が 再び新世界へ攻撃を仕掛けて来る事は 無いのだろう」
ヘクターが頭の後ろに手を組んで軽く言う
「なーんだよ それじゃ 旧世界との戦いは 一件落着じゃねーか?折角 現実世界で これから思いっきり戦えると思ったのによー?」
ヘクター以外が衝撃を受ける ヘクターが笑顔になる 皆が呆れる

【 ツヴァイザー城 】

リーザロッテが言う
「ローレシアのイシュラーン元国王から ザッツロード7世への提訴について連絡が来たのだけど 皆はどう思っていて?」
レイトが言う
「我々が直接関係したのは ツヴァイザーに現れた ロドウと言う名の旧世界の戦士でありましたが 旧世界の戦士を送り込む 移動魔法陣を用意したと言うザッツロード7世の行いで 一体どれだけの旧世界の戦士が この新世界へ送られたのでしょう?」
シャルロッテがモバイルPCを操作しながら言う
「現在、確認されている範囲では ガルバディアに1人、シュレイザーに1人、ツヴァイザーに1人 後、未確定ではありますが ローゼントとソルベキアの国境辺りに1人現れたとの事です」
ロイが言う
「…ガルバディアに現れた旧世界の戦士には アバロンの王兄レクター殿下が応戦 シュレイザーはロキの息子である シュレイザー国常駐隊長のレビが応戦 ツヴァイザーは…一応俺たちが応戦し 結果としては何処も無事 奴らを追い返した ローゼントとソルベキアの国境に現れたらしき者との戦闘行為は確認されていない」
ヴェインが首を傾げて言う
「どこも無事追い返したと言う事は 結果的に新世界の被害は無かったと言う事だろうか?」
レリアンが言う
「そうとも言い切れないわ ガルバディアで応戦したレクター殿は 理由は定かではないけれどその戦いが切っ掛けで アバロン傭兵隊副隊長の座を自ら降りたと言うし シュレイザーで応戦したレビ隊長はその戦いで片腕を失ってしまった ツヴァイザーだって 一歩間違えば ベーネット国王の命が奪われていた可能性だってあったのよ?ザッツロード7世の行った事は 簡単に許されて良い事ではないわ」
リーザロッテが言う
「そうね、確かに 簡単に許される事ではなくってね…」

【 ベネテクト城 玉座の間 】

ベーネットが首を傾げて言う
「まぁ確かに 野郎がやりやがった事は 世界的な損害をもたらしやがった レクターやレビ、俺らやリーザロッテたちが そこそこの力を有してやがったお陰で なんとかしのげやがったんだってぇ考えもありやがる… ヴィクトール、てめぇは どう考えやがるんだぁ?」
ヴィクトール14世が振り返ると泣いている ベーネットが衝撃を受け焦って言う
「なぁあ!?何泣いてやがるんだ!?てめぇええはぁあ!?」
ヴィクトール14世が泣きながら叫ぶ
「だって バーネットが怖いんだもんっ!僕やっぱり 僕の相棒であるバーネットには ベーネットで居て欲しいよぉおーーっ!!」
ベーネットが衝撃を受け焦って言う
「だぁああ!?てめぇええ!この我が侭ヴィクトールがぁああ!」
ヴィクトール14世が衝撃を受け大泣きしながら叫ぶ
「わぁーーん!ベーネットが怖いよぉおおーーっ!こんなの 僕のベーネットじゃないーーっ!!」
ベーネットが衝撃を受け焦って言う 
「だ、誰がてめぇえのベーネットだ!?この野郎ぉおお!って… わ、分かったっ!分かったよ!分かりました!だ、だから 泣かないで下さいヴィクトール!」
ヴィクトール14世が涙をぬぐって言う
「ほ… 本当?」
ベーネットが言う
「本当です 折角 相棒になって 雷の剣までマスターして下さったのです それを、こんな事位で逃げられてしまっては 困りますので」
ベーネットが溜息を吐く ヴィクトール14世が苦笑して言う
「ごめんね ベーネット… でも、僕は 君が本当はとっても優しい人だって知ってるよ あの口の悪いバーネットの方が 本当は 作り物なんじゃないのかな?」
ベーネットが一瞬呆気に取られた後苦笑して言う
「ええ、元はそうだったらしいですが… しかし、まぁ そんな事を続けている内に 作り物であった方が 本物の自分になってしまう事も あるみたいですけど」

【 ソルベキア城 機械室 】

バーネットがヘッドギアを外して言う
「ガルバディアの民を作るプログラム… 俺らはそれで作られたガルバディアの騎士398人と共に 12回目や13回目の夢の世界で戦ってやがったのか」
ヘッドギアを手に持ったヴィクトールが言う
「13回目の夢の世界の僕らを記憶させる為に それ以前の記憶に制限が掛けられていたんだね 確かに3回も同じ時を繰り返していたなんて 普通は到底 理解出来そうに無い でも、」
ヴィクトールとバーネットの周りに398人のガルバディアの騎士たちが集まって泣いている ヴィクトールが微笑して言う
「ごめんね 皆!あんなに長い事一緒に大変な戦いを行って来たのに その皆の事を覚えていなかっただなんて… でも、思い出したよ!僕は記憶を失っては居なかった!皆、僕の大切な子供たちだ!」
ガルバディアの騎士たちが喜んでヴィクトールに抱き付く ヴィクトールが笑顔でガルバディアの騎士たちの頭を撫でる バーネットが苦笑して言う
「はっはー そんな俺もてめぇも アバロン所か ガルバディアの第一国王や第二国王の王位まで 失っちまったけどなぁ?…もっとも俺は最終的に 第二国王とは言え ベネテクトの王だけに なりやがったんだから 満足だけどな?」
ヴィクトールが衝撃を受け ガルバディアの騎士たちの頭を撫でながら 泣きながら叫ぶ
「バーネット!お願いだから ベネテクトに第三国王の王位を作って!?僕また 何処の王位もなくなっちゃったよぉおおーーっ!」
バーネットが衝撃を受け怒って叫ぶ
「るせぇええ!第三国王なんざありやがるかぁああ!でもって てめぇえは 泣くんだか叫ぶんだか 騎士たちの頭をなでやがるんだか どれかにしやがれぇええ!!」
バーネット1世が言う
「はっはー なら、ヴィクトール13世 このソルベキアの王位をくれてやるかぁ?」
ヴィクトールが呆気に取られ言う
「え?ソルベキアの王位を?」
ヴィクトール12世が苦笑して言う
「いや、バーネット それは止めて置くべきだろう 夢の世界ならまだしも このソルベキアの王位に アバロンの者では相応しくない」
バーネット1世が言う
「まぁ、そぉかもな 折角の俺様からのオファーに バーネットの野郎がエスケープしやがった以上 13世だけで ソルベキアのシステムの相手なんざ 何も出来やしねぇなぁ?」
ヴィクトールが一瞬呆気に取られた後笑顔で言う
「はい!私はどんなに世界を繰り返しても 機械だけは全く駄目です!」
バーネット1世が呆れるヴィクトール12世が苦笑する ヴィクトールが困った表情で言う
「それにバーネットが居ないんじゃ」
ヴィクトール12世が言う
「うむ、それに お前は我が父にしてお前の祖父である ヴィクトール11世にとても良く似ておるからな?お前の祖父と同じく 何処の王位も持たずに バーネット殿の飼い猫で居るのが一番だろう」
ヴィクトールが微笑した後ふて腐れて言う
「しかし父上?私はいくら祖父上に似ていても その飼い主であるバーネットは あのシリウス国王の様に僕を可愛がってはくれないのです それとも、やっぱり私も 旧世界へ行き シリウスBに猫耳と尻尾を…」
バーネットが衝撃を受け怒って言う
「永眠してぇえのかっ!?てめぇええはぁああ!!」

【 ローレシア城 玉座の間 】

イシュラーンが言う
「キルビーグからの連絡で シリウス殿はシリウスB殿と和解し 再び新旧両世界を 共に守ってくれるとの 会話をしていたとの事だ」
ローゼックが言う
「ガルバディアの王とされて来たシリウス国王が 旧世界に置いて神と呼ばれたる者であったとはな… もっとも あのガルバディアの秀でた科学力は 我らのものとは別次元の物であるが」
イシュラーンが言う
「シリウス殿は 旧世界におった頃 その世界の北方高山 辺境の地にガルバディアと言う名の国を作り 世界中の民を見守っておったそうだ」
スファルツが言う
「はい、シリウスB様も この新世界に居られた頃は 今のシリウスA様と同様に 北の辺境の地ガルバディア城にて 後に先住民族と呼ばれた 我々の先祖を見守って居られたと 言い伝えられています」
イシュラーンが言う
「旧世界に残されていた 旧ローレシア帝国の民を新世界に避難させる事は叶ったが このまま旧世界を悪魔力に晒して置くと言うのはどうなのだろうか?旧世界は元は我らの故郷であるのだからな?」
ローゼックが言う
「ふむ… では、今は留守にしておると申す シリウス国王が戻り次第 直接我々が出向き問うてみるか… この旧ローレシア帝国の資料を頭に入れた今になって かのシリウス国王に対面致すのも 少々身の引き締まる思いではあるが」
イシュラーンが微笑して言う
「はっはっは そう申すなローゼック ガルバディアの王は 別名 慈愛の王と呼ばれておっただろう?それは この現実世界でも同じだ 心配は要らぬだろう?」
スファルツが汗を掻き 視線を逸らして言う
「え、ええ… きっと慈愛の王であられるのでしょう あのバーネット殿方と同じく 少々ひねくれていらっしゃるご様子では ありますが…」
イシュラーンとローゼックが疑問する

【 ? 】

1つの空席の他 11の席に各名が座っている 皆の視線が密かにシリウスを見る やがて他を圧倒する大いなる存在が現れて静かに言う
「久方振りの集会 しかし、その理由が 毎度に同じ理由とは… 余は 常にお前たちの言葉で 胸を痛めなければならぬのか」
1人が言う
「陛下、我らとて 日々我らの母たる陛下へ 喜ばしい議題をお聞かせしたいと 心から思っております しかしながら…」
1人が言う
「カノープスの収める大陸の民は 彼らの神である我々を 脅かす存在となりました そして、未熟な彼らが 強力な力だけを有してしまった事 これは偏(ひとえ)に カノープスに近付き過ぎた事であるものと思われます」
1人が言う
「かの民らは 偶然に彼らの身に余る 大き過ぎる力を見つけ その力に魅入られてしまったのです これは 不測の事態 時として起こり得る事でありましょう」
数人が顔を見合わせた後 大いなる存在へ向く 大いなる存在が一つ息を吐いて言う
「身に余る力は 何物も生み出さぬ どのようにして得た物であろうとも かの民らは 時を待たず その力に身を焦がすであろう …カノープス」
カノープスが言う
「はい 私は 私の不足が致した この事態の責任を果たすと共に 事後は かの地を 我らがアウグスタへ 謹んで御返還致す所存で」
アウグスタが言う
「かの地の処理は 余、自らが致す お前は 再び闇に落とされる かの者たちを 光へと導き そして 守り続けよ」
皆が驚き 1人が言う
「しかしっ!陛下!カノープスは 自らの民らを導く事が出来ず その結果今事態をっ!」
周囲で言い合いが起きる
「リジル!貴様は 陛下のお言葉に 矛を向けるのか!?」
「い、いえっ!我らは皆 陛下の御心のままに」
シリウスが沈黙している アウグスタがゆっくりとシリウスへ向いて言う
「シリウス」
皆が驚きシリウスを見る シリウスが一瞬驚いた後アウグスタへ向き敬礼を示す アウグスタが言う
「憂う話の多い中 お前がこの場へ戻って来た 余は お前の顔を見た この事を今日の良き報告としよう」
シリウスが少し頭を下げて言う
「陛下からの御言葉を頂けるとは このシリウス光栄の至り しかしながら私と共に陛下へ忠誠を誓う 諸卿の居りますこの場に置いては勿体無きお言葉であります 陛下の御言葉は変わらぬ忠義を示し続けて来た 諸卿の上にこそ広げられる翼であると心得ております」
アウグスタがシリウスへの視線を変えないまま言う
「シリウス 余は 本日、お前という翼が戻った事を 何よりも嬉しく思っている そして、次の時も 余はお前の顔を 何者よりも早くに確認し 再び胸を暖めるであろう 例え… 他の翼が 全てそぎ落とされようとも」
シリウスが沈黙する 皆がざわめく アウグスタが姿を消す

【 ガルバディア城 玉座の間 】

ヴィクトール11世が床で丸くなって寝ている 玉座にワープロードのシステムが起動し シリウスが現れ宙に浮いている ヴィクトール11世の猫耳が動き目を覚まし ハッと喜んで玉座の下へ向かう シリウスがゆっくり玉座へ降りて来る ヴィクトール11世が嬉しそうに尻尾を上げて待っているが ふと気付き疑問してシリウスを見つめて言う
「シリウス?」
シリウスがヴィクトール11世へ視線を向ける ヴィクトール11世が不安そうに見つめる シリウスが静かに微笑し玉座へ腰を下ろす ヴィクトール11世が安心して寄って来て言う
「お帰りシリウス!ずっと待ってたよ!…あっ!でも、僕お腹が空いちゃってね やっぱりアバロンに行って 夕食を食べて来ちゃったんだ でも、ちゃんと すぐに帰って来て シリウスの事待ってたよ?本当に!だからっ お仕置きは…っ 無しって事で いいよね?そ、それから シリウス!あのね!ラインツが 僕にガルバディアの第二国王の王位を返すって!僕、これで」
ヴィクトール11世が困った様子でシリウスを見上げる シリウスが間を置いて苦笑し ヴィクトール11世の頭を撫でて言う
「ヴィクトール 我は… お前や お前たちの事が 大好きじゃ」
ヴィクトール11世が驚いた後笑顔で言う
「…うん!僕も!新世界の民も 皆 シリウスの事大好きだよ!だってシリウスは 僕たち皆の王様だもん!」
シリウスが微笑する

【 アバロン城 地下牢 】

足音を立てて通路を歩く人物 いくつかの牢を越えた先 1つの牢の前で立ち止まり 牢の中へ言う
「『旧世界は過去に無い危機に晒されている この新世界を救う為には 旧世界を捨てなければならない…』お前の言ってた事は正しかったぜ?レジエル… レジエル・ソーシュエル …お前の名前だ 思い出したか?」
レジエルがゆっくり顔を向け 牢の外に居るラインツへ向いて言う
「貴方は… 誰ですか?食事なら 先ほど頂きました… アバロンの料理は… とても美味しい…」
ラインツが言う
「俺はラインツ このアバロンの王…だった ガルバディアの第二国王にもなったけどな?…旧世界からやって来たお前が 最初に向かったアバロンの王だった奴だぜ?覚えてるだろ?」
レジエルが言う
「…何も 思い出せません ずっと長い事 このお部屋をお借りして お食事も頂いているのに 私は… 一体誰なのでしょうか?貴方は… 新しい守衛さんですか?私は… 何も思い出せないのです 何も… 覚えられないのです…」
ラインツが膝を折り レジエルへ近づいて悔しそうに言う
「お前は必死に言ったじゃねーか!?俺に!旧世界の人々を… お前の息子も居る 彼らを助けてくれ!ってよ?旧世界は異世界の王に奪われちまうって… お前が俺に教えてくれたんだぜ?」
ラインツがレジエルを見つめる レジエルがラインツをぼうっと見ている ラインツが表情を悲しめ俯き歯を食いしばる間を置いてラインツへ向く レジエルがぼうっとラインツを見ていて 一瞬瞳に光りが戻って言う
「あ、ああ… 貴方は やっと迎えに来て下さったのですね…!?」
ラインツが驚き目を見開く レジエルが強張る表情で微笑して言う
「ああ~ 貴方の 赤い髪は 今でも私の目に焼きついて… まるで炎の様だと… ずっと 貴方を…」
ラインツが驚いてレジエルへ向く レジエルがゆっくり周囲を見てから正面を見て言う
「あ、あの… 剣は… 剣は何処へ行ってしまったのか… あの剣が無ければ… 貴方様とのお約束 …ローレシア王の大剣 大剣…?探しに行きましょう また… 大剣を探しに エド国へ探しに行かないと…」
ラインツが呆気に取られてからハッとして言う
「お前が持っていたっ 旧ローレシア王の大剣か!?あの大剣があったら 何だって言うんだ!?」
レジエルがラインツへ向いて言う
「すぐに… 探して来ましょう 私は 今でも覚えています 大剣… ガルバディアの機械を封じていた アバロンの大剣… もう一度行って」
ラインツが格子を掴んで言う
「お前が持っていた あの大剣だろ!?必要なら渡してやる!あれを返してやれば 記憶が戻るのか!?誰がお前に ユイラを殺せと言ったんだ!?誰がお前を操った!?」
レジエルが空を見上げて言う
「見つけたぁ~ 私は見つけました… ローレシア王の大剣 これがあれば封印を解く事が~ ローレシア王の大剣で 元の世界へ… ガルバディアの 転送装置に戻れる… 早く戻って… 戻って… 今度は 闇の王を… 彼を…」
レジエルの瞳が光を失う ラインツが詰め寄って叫ぶ
「レジエルっ!」
レジエルが束の間の後 ぼうっとした目で正面を向いてから ゆっくりラインツへ向いて言う
「…貴方は… 誰ですか?食事なら 先ほど頂きました… アバロンの料理は… とても美味しい…」
レジエルがぼうっとする ラインツが視線を強め立ち上がって立ち去る

【 アバロン城 城門前 】

ラインツがアバロン城から出て来る 門兵らがハッとして敬礼する ラインツが振り向きもせず通り過ぎる 門兵らがラインツを見送った後顔を見合わせる

【 アバロン城下町 外 】

ラインツの手にローレシアの紋章が施された古い大剣が握られている アバロン城下町を出た先で ラインツが立ち止まり大剣を見て言う
「昔の俺じゃ 分からなかったが シリウスの相棒をやったお陰だ… 今なら 分かるぜ この大剣に仕込まれている …プログラムって奴がな!」
ラインツが大剣を引き抜き空へ掲げる 大剣からプログラムが発生してラインツの身を覆う 数字の羅列が収まり一度強く光を発して 大剣と共にラインツが消える

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