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13-7 夢の終わり
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【 ソイッド村 移動魔法陣 】
ローゼックが移動魔法で現れて言う
「えぇいっ ルーゼックとキルビーグの馬鹿者どもがっ!ローレシアの防衛で すっかり疲れ切ってしまった老体の私にっ!ソイッド村の確認まで行わせるとはっ!やつらには先々代国王を敬う気持ちはあらなんだかっ!」
ローゼックが歩き始める ウィザードが笑顔で言う
「そう文句を言いながらも やっぱりソイッド村へやって来たお前は なかなか良い奴だ そんな気がする」
ローゼックとウィザードが村の入口へ向かう
ローゼックが村に入って言う
「な…っ!?何だ?人っ気がまったくあらなんだ…?村人どもは何処へ行きよった?アバロンに現れよった ソイッド村の魔力者と申す者の数は 決して数えられなんだ数では無かった筈 村人全てがおらなんだなってしまうとは 一体… おいっ!誰か居らぬのかっ!?」
ローゼックが村に進み入って行く ウィザードが付いて行く ローゼックが周囲を見渡し気付いて言う
「うん?何だ?あの黒い霧は?あの先の扉から湧き出ておる様であるが…?」
ローゼックが造船所へ向かって行く 周囲の霧が増して行く ウィザードが気付き笑顔で言う
「おお!私はこの魔力は嫌いではない 何故ならこの魔力こそ 私の魔力なのだ しばらくここに居れば 私はアバロンでの虐めや 今までに消費した悪魔力を 全て補う事が出来るのだ そんな気がする」
ローゼックが苦しそうに言う
「ああ、確かに 貴様の支援魔法を受けた時と同様に 体中が蝕まれるようなこの魔力は 恐らく貴様の魔力の元となるものなのだろう この濃度の強い魔力が ソイッド村の魔術師どもの正気を狂わせ ツヴァイザーやカイッズなんぞに 踊らされよる… 結 果… と…」
ローゼックが膝を折り両手を地に着け息苦しそうに言う
「これは…っ!?一体 何が…っ!?」
ウィザードがひらめいて言う
「おお!そうだ、この悪魔力は生物には 本来有害なのだ 多く浴びると魔物化現象が起きてしまう だから、ローゼック前々国王 お前もこの魔力には 近づかない方が良いのだ そんな気がする 私としては残念だが 移動魔法でローレシアへ戻るか?」
ローゼックが怒って言う
「馬鹿者っ!そう言った話は 近づく前に致さぬかっ!しかし、ソイッド村にこの様な魔力が溢れておるとはっ このまま原因を突き止めずして おめおめとローレシアへ戻る事などは出来ぬっ せめて あの扉の先を確認せなんだ…っ」
ローゼックが壁に手を付いて立ち上がり扉へ向かう ウィザードが首を傾げつつ付いて行く
ローゼックが造船所の扉に手を掛け 重い扉を押し開く ローゼックが扉の先へ視線を向け驚いて言う
「なっ!?誰だ 貴様はっ!?ソイッド村の者では あらなんだ!貴様の出で立ち… まるでエドのっ!?」
テスクローネが微笑んで言う
「はい 私はエドの町で団子屋を営んでおります テスクローネと申します」
ローゼックが一瞬呆気に取られた後言う
「エドの… 団子屋?それが 何故 我らローレシアの領地 ソイッドに居るのだっ!?しかも この様な状況に 貴様1人が…っ!もはや 言い逃れは出来ぬぞっ!」
ローゼックが剣を引き抜き テスクローネへ向ける テスクローネが呆気にとられた後 苦笑する ローゼックの剣が払われ フォーリエルが現れて言う
「おっと、俺の相棒に剣を向けるなよ?相手なら俺がする」
ローゼックが表情をしかめ フォーリエルへ剣を向ける テスクローネが微笑して言う
「フォーリエル、折角だ 魔法剣士部隊の真似をしてみたらどうだい?この周囲の悪魔力を利用すれば 魔力者からの支援が無くても お前なら出来る筈だ」
フォーリエルが疑問した後笑んで言う
「おう!お前がそう言うなら 出来るんだろな!それじゃ 俺の一番得意な真似 アバロンの大剣使いで魔法剣士だぜ!」
フォーリエルが気合を入れる 周囲に数字の羅列が纏わり フォーリエルがヘクターの姿になる 手に持っていた剣を振り払うと大剣になり黒い炎が宿る ローゼックが呆気に取られる フォーリエルがにやりと笑って言う
「アバロン3番隊隊長ヘクターに魔法剣だぜ!俺に勝てるか!?ローゼックのとっつぁんよ!?」
フォーリエルがローゼックへ斬りかかる ローゼックがハッとして身を引き ウィザードへ叫ぶ
「何をしておるかっ!?レクターもどき!私へ支援魔法を与えよっ!」
ウィザードがひらめき笑顔で言う
「おお!私の出番だったのか!?よし、今は沢山の悪魔力を得て 気分が良いのだ 支援魔法を与えてやろう」
ウィザードが続けて魔法を放ち ローゼックを加速させ剣を魔法剣にする ローゼックがフォーリエルの剣を剣で受け止めて言う
「ふんっ!アバロンの大剣使いヘクターの真似のつもりか?だが残念だったな 貴様の真似は 所詮見た目だけよ!本物の大剣使いの力も!魔法剣の威力も!持ち合わせては おらなんだっ!」
ローゼックがフォーリエルの魔法剣を払い斬り掛かる フォーリエルが剣で防いで言う
「…くっ!こいつ 口だけじゃねぇ…っ」
ローゼックが笑んで言う
「当然だっ 若造が!私はイシュラーンの馬鹿者に見くびられ様とも 最後まで戦い生き残った デネシアの剣士ぞっ!そんじょそこらの剣士もどきと思ってか!」
ローゼックが優勢でフォーリエルを攻撃し 海岸まで追い詰める フォーリエルの足が海水に浸かる ローゼックが笑んで言う
「さぁどうする!?後があらなんだぞ!?」
フォーリエルが舌打ちをして言う
「チィッ 確かに デネシアごときの先々代国王だと甘く見たぜっ ただ攻撃してるだけだと思ったら 悪魔力の薄まる海上へ誘導するなんて…っ」
ローゼックが呆気に取られて言う
「は?悪魔力が薄まる海上とな?そうであるのか?私はその様な事など知らなんだ…」
フォーリエルが呆れる フォーリエルが気を取り直して言う
「魔法剣士の真似は止めだぜ!やっぱ ヘクターの援護って言ったら」
フォーリエルがローゼックの剣を払い意識を集中させる フォーリエルの手に持つ大剣の炎が消え 代わりに数字の羅列が発生する ローゼックが疑問して言う
「なんぞ!?あの魔法は!?」
フォーリエルが剣を構え 笑んで言う
「知らねーのか!?アバロン3番隊隊長ヘクターの相棒 プログラマーの力を!」
ローゼックが疑問して言う
「プログラマー?…えぇい!知らぬわっ!訳の分からぬ言動ばかりしおってっ!大体 アバロンのヘクターは元傭兵隊隊長である!位置的にはアバロン3番隊ではあるが めったな事では3番隊などとは呼ばぬのだっ!貴様は姿言動を真似るのならば まずは事前の情報収集を欠かすでないっ!馬鹿者がっ!」
フォーリエルが呆気に取られテスクローネへ向く テスクローネが苦笑して言う
「ああ、この世界のアバロン傭兵隊は 3番隊への改名はしていないんだ」
フォーリエルが表情をしかめて言う
「チィ… 俺とした事が 抜かったぜ…」
ローゼックが笑んで言う
「案ずるな若造 貴様はここで私に打ち負かされ ローレシアへと搬送されるのだ ソイッド村をこの様な状況に致したからには 最も低い刑に処されようと 二度とヘクターもどきの真似事なんぞが出来ぬ頃まで 牢屋へぶち込まれよるわ!」
ローゼックが剣を構える フォーリエルが苦笑して言う
「嫌なこった!ローレシアの牢獄じゃ メシも不味そうだしな!どうせ ぶち込まれるなら やっぱアバロンが良いぜ!」
ローゼックが苦笑して言う
「ふ…っ それは貴様が正しい認めてやろう… 叶わぬがなっ!」
ローゼックが斬り込む フォーリエルが全身にプログラムを纏い ローゼックの剣を避け反撃する ローゼックが一瞬呆気にとられた後 ウィザードの支援魔法を受け フォーリエルの剣を避ける 2人の応戦が始まる テスクローネが2人の戦いを眺めていて言う
「うん… 意外だったな?完全に以前のヘクターを真似ている フォーリエルに デネシアの我流剣士がここまで付いて来るとは… それとも 彼を支援する あのウィザードの力なのか… どちらにしろ これ以上時間をかけるわけにはいかない」
テスクローネがローゼックを見つめる テスクローネの瞳の色が赤くなる 戦いの中にあるローゼックが異変に気付き 身動きを封じられて言う
「グッ…!?か、体が 動かぬ…っ!?」
フォーリエルが剣を振り上げて叫ぶ
「食らえぇええーっ!!」
ローゼックがフォーリエルへ視線を向けて焦る 空から声が届く
「お父様っ!我ら小さき国の勇者が 只今 お助け致します!」
皆が驚き空を見上げる 1体のドラゴンが飛んで来てローゼックを救出し飛び去る テスクローネとフォーリエルが驚き フォーリエルが慌てて言う
「なっ!?ドラゴン!?」
飛び去って行くドラゴンをフォーリエルが見上げてから テスクローネへ向く テスクローネが軽く息を吐いて言う
「…まぁ 良いかな 彼に知られた所で 何も変わりはしないから」
テスクローネが去る フォーリエルがテスクローネの言葉に 一度飛び去ったドラゴンを見上げてから テスクローネの後を追う
【 上空 】
ローゼックが意識を取り戻し目を開くと驚いて叫ぶ
「…うん?…ぬわっ!?なっ!何事かっ!?」
レリアンが小首を傾げ微笑んで言う
「お父様 ご無事で何よりです」
ローゼックがレリアンへ向いて怒って言う
「ご無事であらぬわっ!今にも眼下の海上へ落とされよるとも知れぬ!この状況の何処がご無事であると 貴様は申すのかっ!?」
ローゼックの首根っ子をドラゴンが口に咥えている レリアンが微笑んで言う
「ご安心下さいお父様!このドラゴンはデネシアの竜族です!恩あるデネシアの前々国王であられる お父様を落とす様な事は!…多分 致しません!」
ローゼックが怒って焦って言う
「多分と申すなっ!馬鹿者っ!大体ソイッド村から私を救出したのであるなら 何故とっととローレシアへと運ばなんだかっ!?この様な海上に晒しおってっ!暑いわっ!」
レリアンが微笑んで言う
「それは勿論!お父様の御身に浸透してしまわれた 悪魔力を排除致す為です!私の相棒であるツヴァイザーの勇者リーザロッテに教えて頂きました!海上は陸上よりも聖魔力が多いと!」
リーザロッテが言う
「ええ!元を正せば その事を私に教えて下さったのは アバロン3番隊元隊長ヘクターの相棒である ガルバディアのプログラマーでしてよ!彼の情報には信用が置けてよ!」
ローゼックが怒って言う
「であるからにして!アバロン3番隊ではなく傭兵隊であるとっ!…うん?ヘクターの相棒のプログラマー?ヘクターの相棒は ガルバディアの者ではあるがプログラマーではなく騎士である それにプログラマーと言うその言葉… この私が初めて聞いたと申すのに 同じ日に別の者からも聞き及ぶ事になるとは…?いや?初めて?…そう申せば 確かニーナが デスさんは ウィザードとプログラマーの2人が居るから 呼び分けるのが難しいとか?…いや、そんな事より今は」
ローゼックが改めてレリアンへ怒って叫ぶ
「いい加減っ!私を陸地へ戻さぬかっ!地に足が着かずして おまけに いつ間違って落とされよるかとっ!落ち着かぬわっ!」
【 シュレイザー城 】
ヴェルアロンスライツァーが通信機を片手に言う
「やはり駄目だ ローゼントへの通信途中で途切れたのを最後に まったく繋がらなくなってしまった」
ロキが怒って言う
「だから、俺はっ!まず最初に アバロンへ連絡を入れろと言ったのだ!何故 卿はこの世界に置いてまで ローゼントを… いや!アンネローゼ殿を優先するのだ!?」
ヴェルアロンスライツァーがもっともらしく言う
「無論!この世界であろうが どの世界であろうが 私がヴェルアロンスライツァーである限り 私は王を守る剣なのだ 従って 何時如何なる時でも 我が王の安否を 一番に確認するのが至極当然!」
ロキが怒って言う
「この世界には 卿ではない ヴェルアロンスライツァーが居るのだ この世界のアンネローゼ殿を守るのは そっちのヴェルアロンスライツァーで十分だろう!?」
ヴェルアロンスライツァーが言う
「断るっ!どの世界であっても 私はアンネローゼ様をお守りするのだっ!」
ロキが怒って言う
「ならばっ!この世界にも20年後のアンネローゼ殿がやって来たら!?卿はどちらを守るのだ!?」
ヴェルアロンスライツァーが力強く言う
「無論っ!両方に決まっている!!」
ロキが怒って言う
「卿は 2頭追うもの1頭も得ず と言う言葉を 頭に叩き込んでおけっ!!」
オライオンが呆れて言う
「なぁ?それよりよー?お前らはこれからどうすんのかを教えてくれよ 俺たちは小さい国の勇者たちの仲間なんだ だから…」
シュライツが衝撃を受け あわてて奇声を発する オライオンがシュライツへ視線を向けてから 納得して改めて言う
「…ああ、違った 小さい国じゃなくって 小さき国だってよ まぁ俺としてはどっちでも良いけどよ 俺たちは 世界の平和を守る為に 色んな国の状況を確認しなきゃいけねーんだ お前らみてーに力のある奴が 悪い事しねーかって見張ってるんだぜ?」
ヴェルアロンスライツァーとロキが顔を見合わせてから ロキが言う
「…まぁ 悪い事をする予定は無い 従って答えてやる 我々はシュレイザーの防衛を終えたのだ 従って 今作戦の立案者であるヘクター国王のもとへ 報告に…」
ヴェルアロンスライツァーが言う
「通信内容に問題は無かったが 通信が途切れ繋がらなくなるという事が 何より問題だ!我々は直ちにローゼントへと向かう!」
ロキが衝撃を受け 怒って叫ぶ
「卿1人で行けっ!俺は!俺の相棒の馬鹿犬と共に アバロンへと向かうっ!」
ロスラグが衝撃を受け喜んで鳴く
「わんわんわん!」
ロキが衝撃を受け ロスラグへ怒って言う
「うるさいっ!何を言っているのか分からん!文句があると言うのなら!」
ロキが宝玉の欠片を取り出し強く念じる ロスラグとヴェルアロンスライツァーが驚き ヴェルアロンスライツァーが言う
「ロキ?そのガラス片は?」
宝玉の欠片が光り ロスラグの身に白い光が纏わり ロスラグが人の姿になる ロスラグが呆気に取られ自分の体を確認する ロキが顔を逸らして言う
「…これで文句も人の言葉で言えるだろう… いつまでもワンワンと吠えられては うるさくてかなわん」
ロスラグが大喜びでロキへ言う
「ロキ隊長!宝玉の欠片を手に入れてくれたッスね!もしかして!俺の為に買ってくれたッスかー!?俺チョー嬉しいッスー!でもって ロキ隊長!さっきサラっと言ってたのをもう一回言って欲しいッスよ!俺ビックリし過ぎちゃって 思わず飛び付いちゃうトコ失敗しちゃったッスー!だから もう一回言って下さいッス!ロキ隊長!俺 今度こそ失敗しない様に頑張るッスよー!」
ロキが焦って言う
「うるさい!卿は犬でも人でもやはりうるさい!でもって そんな事は頑張らなくて良い!俺は卿が 何かを言おうとしているのだと思ったから 人の姿にしてやったんだ!」
ロスラグが呆気に取られてから笑顔で言う
「それはもちろん!さっきの 俺の相棒の馬鹿犬って言うのを もう一回言って欲しいって 言ってたッスー!でもって 俺 その言葉も チョー嬉しいッスよー!ロキ隊長!」
ロキがそっぽを向く ロスラグが衝撃を受け言う
「あー!怒ってるッスかー!?ロキ隊長!?やっぱ規則に厳しいロキ隊長は 俺が思わず飛び付いちゃうタイミングにも チョー厳しいッスー!」
ロキが怒って言う
「違うっ!そんな事はどうでも良い!」
ヴェルアロンスライツァーが微笑して言う
「では、私はローゼントへと向かわせてもらう ベルグル、ロキを頼む」
ロキとロスラグが衝撃を受け ロキが怒って言う
「何故その順番になるんだ!?王配殿下殿!逆だ!逆!!」
ロスラグが喜んで言う
「任せて下さいッスー!ヴェルアロンスライツァー副隊長!俺は全力でロキ隊長を守るッスよー!」
ロキがロスラグを殴って怒る ロスラグが殴られた頭を抱えて疑問する ヴェルアロンスライツァーが軽く笑う オライオンが言う
「ロキとロスラグはアバロンか アバロンにはレイトたちが行ってるから 俺らはヴェルに付いて行くかなー」
ヴェルアロンスライツァーが微笑して言う
「それなら私も 移動魔法にてローゼントへと飛ばしてもらいたい」
オライオンが軽く言う
「ああ、俺らはドラゴンで世界の巡回をしながら行くから ヴェルは先に移動魔法で飛ばしてやるよ」
シュライツが笑顔で奇声を発する ヴェルアロンスライツァーが微笑して言う
「助かる」
シュライツがヴェルアロンスライツァーへ移動魔法を行っている その手前でオライオンがロキへ言う
「所で シュレイザーを襲ったヴァルキリーたちは どーすんだ?」
ロキが答える
「…奴らは現在もシュレイザー城の近くに待機しているが 再び襲いに来る様子は無いとの事だ 魔法剣士部隊が近づけば即座に退避する様子からして 恐らく闇の王からの指示を待っているものと思われる」
オライオンが微笑して言う
「ソルベキアの戦いは終わって 闇の王はローレシアの2人の王に負けを認めたって それに、闇の王たちは 名前とは裏腹に 結構良い奴みてーだってさ?きっと ヴァルキリーたちにも近い内に 撤退命令を出すんじゃねーかな?」
ヴェルアロンスライツァーがローゼントへ飛んで行く ロキとオライオンがそれを確認して ロキが言う
「そうかもな…」
シュライツがオライオンたちへ向いて 移動魔法の成功を喜んで知らせる オライオンが背を向けて言う
「それじゃ、俺らも行くぜ?また…」
オライオンが待機させていたドラゴンへ向かおうとした先 別のドラゴンが舞い降り レイトが言う
「オライオン!ロキ!手を貸してくれ!ベネテクトに大量のロボット兵が!」
オライオンとロキ、ロスラグが驚く シュライツが首を傾げる
【 ベネテクト国 】
オライオンたちが移動魔法で現れ オライオンが驚いて言う
「何だよ あれ!?あんなロボット兵 見た事ねーぜ!?」
レイトが言う
「我々の世界のソルベキアが作っていたロボット兵とは 姿も戦闘能力も違うのだ 気を付けろ やつらの戦闘能力は!」
シャルロッテが言う
「あ、あああのロボット兵の戦闘能力はっ 私たちの世界で研究されていたっ きゅ、旧世界の機械兵のデータと同じなんですぅ!」
レイトが言う
「奴らには生半端な攻撃は効かない そして、やつらと応戦できる者も… ベネテクトに居た兵やスプローニからの援軍も やつらには敵わなかった だが、オライオン!貴殿とシュライツ そして ロキとヴェルア…っ!?」
レイトが改めてメンバーを確認して衝撃を受ける ロキが銃を確認して言う
「…俺の相棒はつい先ほど変更された」
ロスラグが喜んで言う
「俺は!今でもロキ隊長の相棒は ヴェルアロンスライツァー副隊長だと思うッスよ!けど!そのヴェルアロンスライツァー副隊長に ロキ隊長を頼むって言われたッス!だから俺は ヴェルアロンスライツァー副隊長が居ない時の ロキ隊長の二番目の相棒になれる様に がんばるッスよー!」
レイトが呆気にとられた後 気を取り直して言う
「そ、そうなのか…?分かった それでは 少ないが我らの力で アバロンやガルバディアからの応援が来るまでの間を 何とか…!」
町の一部で爆発が起きる オライオンたちが驚いて視線を向け 顔を見合わせた後その方向へ走って行く
爆発地の周囲に大量の機械兵の残骸がある オライオンたちが驚いて立ち止まると 爆風が収まった先に ユダとシリウス、ヴァルキリーたちが居る オライオンたちが驚きオライオンが言う
「闇の王!それじゃ!このロボット兵は お前らが連れて来たのか!?」
オライオンたちが武器を構える シリウスが衝撃を受け怒って叫ぶ
「あぁあっ!?この俺が このベネテクトの町へ ロボット兵を連れ込むだぁあ!?てめぇえ!ざけんじゃねぇええ!!たとえ世界が滅ぼされようとも!この俺が!んな事はさせねぇええ!!」
オライオンたちが呆気に取られ疑問する ユダがシリウスとオライオンの間に入って言う
「まぁまぁ、シリウス 今までの我らの行動と 現状を見られては そう言われてしまっても仕方が無いよ?…君にとっては世界が滅ぼされても言われたくない言葉であったかもしれないけど 今はベネテクトの為にも抑えて?」
シリウスが腕組みをして そっぽを向いて言う
「…ハッ!ベネテクトの為だってぇんなら しょうがねぇ… さっきのは聞かなかった事にしてやらぁ」
ユダが苦笑し オライオンたちへ言う
「この機械兵らは 我らが迎え入れたものではない だが、我らはこの機械兵を良く知っている そして、奴らが何処から送り込まれているのかも」
オライオンたちが驚き顔を見合わせる シリウスが言う
「奴らは このベネテクトの3つの町に作られた ワープロードを利用して この世界に召還されてやがる その3つの内の1つがここだった 残りの2つも破壊すりゃぁ 取り合えず今召還されやがってる 機械兵どもの増加を止める事が出来る 少しでも町への被害を減らす為にも さっさとやらなけりゃぁならねぇ… てめぇらの相手をする必要もなくなったし してやってる暇もねぇんだ …それでも分からねぇとか 信用出来ねぇとか抜かしやがるんなら 今ここでてめぇらを まとめてぶっ潰してやるぜ どうする?」
シリウスがオライオンを見下ろし怒りに燃える ユダが慌てて言う
「シ、シリウス!落ち着いて!?ベネテクトの町が襲われて とっても気が立っているのは凄く分かるけどっ!折角 この世界の国々がシナリオ通り力を合わせる様になったのに!今ここで君が全てを台無しにしちゃって どうするのっ!?」
オライオンたちが呆気にとられた後 顔を見合わせ レイトが言う
「…ど、どうする?なんだか 不思議な会話になっているが 恐らく彼らの言っている事は 嘘ではないと思われる」
ロキが言う
「…確かに、奴らが この世界へ負けを認めたと言う今になって 機械兵を援軍として召還するのは可笑しい… 援軍を呼び寄せるのなら もっと以前から行うべきだった」
シャルロッテがモバイルPCを操作して言う
「この周囲に倒されている機械兵たちへの攻撃痕は 闇の王やヴァルキリーたちの物と照合されます 彼らが倒したという言葉に間違いはありません」
オライオンが言う
「お前らが ベネテクトの町を守るって言うんなら俺たちも協力するぜ!この町を守りたいのは俺たちだって同じなんだ!」
ユダが微笑して言う
「うん、それは助かる この機械兵らの相手をして思ったんだが 我らのヴァルキリーは以前より格段に力を増している …シリウス?ヴァルキリーを半分彼らへ預け 同時に残りの2箇所のワープロードを 破壊しに向かうというのはどうだろうか?」
オライオンたちが驚く シリウスが一瞬考えた後言う
「…ああ、そうだな なんにしろ 早いに越した事はねぇんだ 丁度 向こうにもヴァルキリーどもに 命令出来る奴が居るしなぁ?その策で行くか… おい、ヴァルキリー 半数に分かれて片方が向こうに付きやがれ 命令はシュライツの野郎が出す」
オライオンたちが驚き オライオンが言う
「お、おいっ 待てよ シリウス!こいつは俺の兄貴だけど 言葉は喋れねーんだ!それに 俺よりちょっと」
シュライツが衝撃を受け怒って奇声を発し オライオンを燃やす オライオンが悲鳴を上げて言う
「あちぃー!だ!だから!やっぱり喋れねーだろ!?命令を出すなら俺に従うように言ってくれ!俺はアバロン3番隊隊長のオライオンだ!部隊の指揮なら俺が執る!」
シリウスが軽く笑って言う
「心配ねぇ そいつは今 ハッキリ言いやがった 『ちょっとアホなんじゃなくって プログラムでしか喋れないだけなんだ』ってな」
オライオンが驚く シリウスが続けて言う
「ヴァルキリーどもはガルバディアの民だ 音声プログラムだと最初っから分かってやがれば 変換して理解する事も出来やがる」
ユダが言う
「シュライツ、ヴァルキリーたちは 単純な事も命令で行わなければ混乱する 明確な指示を頼む」
シュライツが一瞬呆気にとられた後喜んで奇声を発する シリウスがオライオンへ言う
「てめぇらは 南のトレイトの町へ向かってくれ 場所は分かるだろ?中央の教会の地下に ワープロードがありやがる こいつをくれてやるぜ 扱いには精々気を付けろよ?」
シリウスがダイナマイトをオライオンへ放る オライオンが受け取って慌てる
【 アバロン城下町 門前 】
ソイッド村の魔術師たちが支援魔法を放つ ツヴァイザー第4槍団が受け取り 魔力の灯った槍を振るう レクターとヴァルキリーたちが向かい ツヴァイザー第4槍団の槍を切り裂く プログラマーがモバイルPCを手に言う
「ヘクター!大砲の一斉砲撃 来るぞ!」
ヘクターがカイッズ部隊の大砲へ顔を向ける カイッズ大砲部隊の隊長が叫ぶ
「撃てー-!」
カイッズ大砲部隊の大砲が一斉に放たれる ヘクターが大剣を掲げる 大剣に数字の羅列が纏う ヘクターが向かい横一線に大剣を振りかぶる 大剣の衝撃波に数字の羅列が纏い 砲弾を全て破壊する カイッズ大砲部隊の隊長が驚きに口を開いて言う
「ば… 馬鹿なっ!?魔法の一斉射撃に留まらず 砲撃の一斉射撃まで切り裂くとは…っ!?アバロンの傭兵隊長と副隊長…っ 奴らは 本当に悪魔の化身ではないかっ!?」
ヘクターが肩で息を切らす 隣にレクターがやって来て笑顔で言う
「流石ヘクターだな?あの数の砲弾を全部ぶった斬っちまうとは 20年経ったお前にはもう 私は手も足も出せないようだ」
ヘクターが苦笑して言う
「そうでもねぇって?ソルベキアでぶっ倒れてから 何でか知らねぇけど デスのプログラムが使えなくなっちまって 仕方なくソルベキアの機械を使ってやってるんだ だから… 今は実力の半分くれぇしか出せねぇよ?」
周囲に居た兵士たちが 敵味方なく衝撃を受けて驚いて顔を向ける レクターが呆気に取られた後吹き出して笑って言う
「あっはっはっ!そいつは最高だな!そんなに強ぇんなら 今度はちゃんと戦える時に 一度 私とも戦ってくれ?ヘクター!」
ヘクターが疑問して言う
「ん?良いけど?…良いのか?俺の方が全然有利だと思うけど」
レクターが悪微笑して言う
「ああ… 一度 全力って奴を 出してみてぇって思ってたんだ…」
ヘクターが疑問して言う
「ん…?そっか?なら とりあえず 今は…」
ヘクターとレクターが視線を向ける 視線の先でカイッズ部隊長が怒って叫ぶ
「おのれっ!ローレシアの王 ルーゼック!アバロンの不正を暴こうとした 貴様らローレシアを 我らカイッズのお優しき神々は お認め下されたのだぞ!?それなのに手の平を返し 世界を危機へ晒したアバロンの味方に付くとは!なんたる侮辱か!?」
ルーゼックが魔法剣を向けて怒って叫ぶ
「黙れっ!カイッズの下っ端部隊長がっ!アバロンの不正なんぞっ!貴様らカイッズの勝手な神々の公言に比べれば 何の罪にもならぬわっ!」
カイッズ部隊長が怒って言う
「か、勝手ではないっ!我々カイッズ国の民は…!」
ルーゼックが言う
「おまけにアバロンの不正は 一応は正しかったのだっ!理由は知らぬが あのヴァルキリーどもはガルバディアの民であった!そして一番の被害を受けた 私と私の兵らが許した今においては話にもならぬ事ぞっ!」
カイッズ部隊長が言う
「我らカイッズの民は 神々の子なのだっ!我らの公言は勝手な神々の公言などではないっ!そして 俺はカイッズの1番隊の隊長だ!断じて下っ端部隊長などではないっ!」
ルーゼックが蔑んで言う
「ふんっ では何故神々の子であると申す貴様らカイッズの王は あの闇の王とヴァルキリーどもを “魔王と悪魔たち”であると申したのか?彼らの仮面の下には 邪悪な悪魔の顔が隠されておるとか申しておったな?その悪魔の顔と申すものが ガルバディアの民の顔であったとは?これは随分なガルバディアへ対する国家侮辱であるが?」
ヴァルキリーたちが顔を向ける ヴィクトール13世がやって来て言う
「そんな事をカイッズが公言していたとは… 我らガルバディアへの侮辱 十分に晴らさせて頂こう!」
ルーゼックが言う
「ついでに貴様がカイッズの1番隊の隊長であると申すのなら 自国の無礼へ対する怒りを受け止めるのも貴様の役目ぞ?」
ヴィクトール13世が剣を抜く カイッズ部隊長が衝撃を受け ヴィクトール13世へ指差して慌てて叫ぶ
「おっ お前が…っ!?アバロンの国王であった お前が あの闇の王とヴァルキリーを異世界からの侵略者と言ったから!我らカイッズのファリオル陛下が うっかり口を滑らせてしまったんだっ!この裏切り者っ!」
ヴィクトール13世が衝撃を受け 怒って言う
「裏切り者だとっ!?僕にその言葉を言って良いのは この世界に置いて バーネットだけだっ!下っ端カイッズの1番隊隊長が!よくも言ったな!許さないっ!!」
ヴィクトール13世が斬り掛かる ヴァルキリーたちが反応し ヴィクトール13世に続く ルーゼックが呆れて言う
「ヴィクトール13世… あやつは何に対して怒り 向かいおったのか?」
キルビーグが苦笑して言う
「その上に 下っ端カイッズとは これまた大した国家侮辱であるなぁ?はっはっは…」
レクターが笑顔で現れて言う
「それに、どう言う訳か ヴィクトール国王が来てからは ヴァルキリーたちが私から離れて 彼へ続く様になったのだ やはり、ヴァルキリーたちは ガルバディアの民だったのだろうか?…どっちにしても、お陰で私は部隊指揮を執らずに 自由に動ける様になった これでトチ狂っちまった ソイッド村の魔術師たちを ぶん殴りに行けるってもんだ」
キルビーグが微笑して言う
「いや、その役目は我々が引き受けよう 貴殿は既に体力の限界であろう?ヴァルキリーとの戦いを行った上 今度は そのヴァルキリーの支援を受けていたとは言え 3国の部隊を相手にアバロンを守り続けたとは… アバロン傭兵隊副隊長は実力を隠しておるという噂は真であった様だな?」
レクターが呆気に取られた後苦笑して言う
「そんな噂を知っちまってるなんて ローレシア第一国王様の地獄耳は国境も越えちまうんだな?けど、そいつは忘れちまって欲しいんだ 私の力はアバロンの民としては ちょいと反則なんだ だから めったな事じゃ使いたくねーんだ」
ルーゼックとキルビーグが顔を見合わせ疑問した後 ルーゼックが言う
「まぁ良い ツヴァイザーとカイッズの相手が賄っておる 今の内に あの魔術師らを正気に戻してやらなんだ」
キルビーグが宝玉を手に持って言う
「彼らは強い聖魔力を与えれば その体内に蓄積された悪魔力を払う事が出来よるとの事 クロイツヴォルデンが宝玉を返してくれた事も考慮し恐らく嘘ではあらなんだ 問題はその間 如何にして奴らからの攻撃を防ぐかと言う事になるのだが」
ルーゼックが剣を構えて言う
「無論っ!私が防ぐっ!キルビーグ、貴様は宝玉へ魔力を送る事へ集中致せっ!」
キルビーグが困って言う
「しかし、ルーゼック?私が支援魔法をお前に与えられぬ状態で魔術師らの魔力を防ぐ事など出来よう筈がないぞ?」
ルーゼックが言う
「心配致すな 僅かとは言え私にも魔力は残っておる しばしの間なら我が潜在魔力と この剣で防ぐ事が出来よる」
キルビーグが困って言う
「しかし…」
ルーゼックが剣を払って言う
「行くぞっ!キルビーグ!これ以上我らローレシアの魔力者が ツヴァイザーやカイッズごときに踊らされるのを許してなど置けぬっ!」
ルーゼックが走る キルビーグが慌てて追い駆けて言う
「ああっ 分かったから 私を置いて行かなんでくれ ルーゼック!」
【 ローレシア城 王の部屋 】
ローゼックが部屋中を捜しながら言う
「確かにっ!聞いた事があらなんだ!あのソイッド村に強い魔力を発生させよる物が在りおったと!悪しき魔力を放つ物であったと!良からぬ物であった為 魔術師どもが封印しよったと!えぇえいっ!何故それ程に恐ろしき物の詳細を ローレシアが把握しておらなんだかっ!?それとも真のローレシア国王にしか知らされぬ様 隠されておるのかっ!?」
ローゼックが一瞬止まり 間を置いて怒って言う
「真のローレシア国王は 私ではあらなんだかっ!?確かに現在も先代も それ以前も!ローレシアの国王は ずっとローレシア王家の者に託されておるが!その実 真の国王とは 我らデネシア王家の者であるっ!…であるからにしてっ!私はこの話を聞いた事があったのだっ!一体何処で聞きおったのか!?そもそも ローレシアに記述が残されておらなんだ事が何よりも許されぬのだっ!馬鹿者がっ!」
ローゼックがソファに乱暴に腰掛け うな垂れて言う
「…駄目だ、いかに 真の先代ローレシア国王であったとて 私がこのローレシア城に居った期間は 歴代国王の中でも もっとも短いのだ 重要記述の隠された場所どころか 現行の重要資料が保管されておる場所すらも分からなんだ …大人しくルーゼックやキルビーグが戻るのを待ち 奴らへ報告を致すか…?」
ローゼックが一瞬、間を追いた後 怒って叫ぶ
「出来ぬわっ!私は現在 このローレシアの代理国王であるっ!それこそ重要な事など何一つ致さなんで良いのだがっ!それでは私が先々代デネシアの王であった事すら 何の価値も無くなってしまわなんだっ!私はデネシアの王として!我らのローレシアをっ!」
ローゼックが視線を上げハッとして苦笑して言う
「…私はデネシアの王として 我らのローレシアを お前と共に守ると… そう申したではないか イシュラーン…」
ローゼックが壁にあるイシュラーンの肖像画へ視線を向けている 束の間の後 ローゼックが立ち上がり 肖像画へ歩き向かいながら怒って言う
「であったと申すのに!イシュラーン!貴様は私の力を見くびり!あろう事か!ラグハーンの力なんぞに頼りおって!あのラグハーンの方が私よりも 強かったと申すのか!?奴は確かに!ほぼ全ての魔力を引き抜かれおった私より 身に残されし魔力は多くあったが!奴の性格からして このローレシアの力にも!お前の力にも!なりはせなんだった事位 貴様には分からなんだったのか イシュラーン!?お陰で貴様は バーネット1世の剣と毒で あっさり殺されてしまったのだっ!馬鹿者っ!」
ローゼックがイシュラーンの肖像画を見上げながら言う
「おまけに 死に際には 何の罪もあらなんだ私を ローレシアから追い出す様にと申しおったとは… 貴様はそれ程までに この私が気に入らなんだったのか?何故だ…?お前は私に ローレシアの王位を返したいと申したではないか?あの言葉は偽りであったのか?それどころか 再びローレシアに戻りたくば 正面からではなく 3つ目の入り口でも探して入りよれ とは 随分ではないか?このローレシアには 正面と王族のみの入り口 その2つ以外に 3つ目の入り口なんぞはあらなんだ …これすなわち 二度と戻るなと申す意味である…」
ローゼックがイシュラーンの肖像画に描かれている ローレシア城を見つめて溜め息を付く 間を置いて気付いて言う
「…うん?3つ目の入り口?」
城門前
リーザロッテが通信機をいじって言う
「最後の通信以来 まったく繋がらなくってよ?いくら大空を飛び回れると仰っても 情報交換が出来ないとあっては 作戦も何も建てられなくてよ?」
レリアンが言う
「通信はソルベキアが管理しているわ それと、漏洩防止と言う意味でガルバディアが… この通信が使えない状況は ソルベキアでの戦いが原因なのかしら?」
くつろいでいたドラゴンが物音に気付き顔を上げる リーザロッテたちが疑問し ドラゴンの向いている方向を向く 足音が向かって来てローゼックが走って来る レリアンが呆気にとられて言う
「お父様?如何なさったのです?…お父様!?」
ローゼックが向かって来ると共にドラゴンへ飛び乗って叫ぶ
「ハレルト!文句を申さず!あのローレシア城 頂きの扉へ 今すぐ私を連れて行くのだっ!」
ドラゴンがひと鳴きして飛び上がる リーザロッテとレリアンが驚き リーザロッテが言う
「ちょっと!?私たちのドラゴンでしてよ!勝手にっ!」
レリアンが微笑して言う
「ドラゴンの姿であっても あの者がハレルトである事に気付くだなんて… お父様のドラゴン使いの感は 衰えていらっしゃらないのね」
ローゼックがローレシア城 頂点の小さなバルコニーへ飛び降り鍵の束を取り出し 古びた異型の鍵を探し出して扉に使う 扉の鍵が音を立てて開く 扉の中を確認したローゼックが微笑し ドラゴンへ振り返って言う
「ハレルト 鈴の音は覚えておるか?」
ドラゴンが口角を上げてひと鳴きする ローゼックが軽く笑って言う
「では貴様は戻っておれ 少々時間が掛かりそうである」
ドラゴンがひと鳴きして飛び去る ローゼックが扉の先へ入って行く
ローゼックが埃の積もった小部屋に入り 周囲を見渡して言う
「あの頃と なんら変わらぬな… 誰にも気付かれなんだ故に 変わらぬのか… それとも?」
ローゼックが机の上の封筒に気付き手に取って宛名を確認する
『3代目デネシア国国王 ローゼック・デネシアへ認(したた)める』
ローゼックが驚き 慌てて封を開いて 手紙を読む
『親愛なるデネシアの王にして 我らローレシアの真の国王 ローゼック お前がこの手紙を目にしてくれる事を心から願い文を認める 私はローレシア王家に170年前から伝えられている予言を元に 今日、お前を裏切り お前との友好条約と仲を絶った お前は突然の私の変貌に驚きながらも それでも やはり私を信じてくれていた 私は自分の判断は間違っていなかったのだと 確信すると共に この文を残す事にした 私はこの後 アバロンとの戦いの場へ お前ではなく ローレシア第一部隊長ラグハーンと共に向かう 私は命を落とす事となるやもしれぬ だが、この戦いにおいて お前が命を落とすとされていた予言は変わる筈だ 私の身に万が一の事が起きた時の為 長きに渡りローレシア王家が隠していた事を全てお前に打ち明ける そして、ローレシア国82代目国王イシュラーンから ローレシアと世界の存亡を 旧ローレシア帝国162代目皇帝ローゼック・デネシアへ託す ローゼック、私の勝手をどうか許して欲しい もし許されるのであれば 私を最後まで信じ続けてくれたお前へ 私の変わらぬ友情を伝えたい』
ローゼックが呆気に取られて言う
「予言…だと?」
ローゼックがもう一枚の古びた紙を広げて読んで言う
「これは…っ 紛れも無く この予言のもたらされた時より今日までのローレシアの歴史そのもの!?そして、この私が死ぬと予言されしアバロンとの戦い… ここで傷つき倒れたのは 私ではなくイシュラーンとなったのか… イシュラーンっ 貴様は こんな予言なんぞのせいで…っ 馬鹿者が!友好条約も仲も 絶ったのは貴様だけぞ!私は絶つなどとは一言も口にしておらなんだ!貴様が求めれば何時だって回復しよるわっ!」
ローゼックが手紙を握り締め机を叩き 俯いて涙を堪える
【 ソルベキア城 地下セントラルコンピュータ室 】
スファルツが操作盤を操作して言う
「あぁ 何と言う事か… プログラムの修正ならば何とでもなるが いたる所で機械的な破損が… この修理は私には出来ない そもそもソルベキアの基礎となる機械部品は ソルベキアでは作られていないのだ そして、このセントラルコンピュータに使われている部品を作れるのは」
部屋の扉が開き バッツスクロイツが私服で現れ 慌てながら言う
「ち… ちわー!修理屋のー バッ… バッコンヴォルデンでーす!」
スファルツが呆れ疑問して言う
「は…?しゅ、修理屋?バッコンヴォ…?」
バッツスクロイツがぎこちなくセントラルコンピュータに近づき 焦りながら言う
「あーえーっと ソルベキアの通信やらなんやらーが エラーっちゃってるーって? そのー 色んなトコーから?クレームとか 来てるっぽいんで ついでに 俺っちも使えなくってー バーネ… あーっいやいあっ!シリウ… いやーっいやいや!超人使い悪い ドS社ッ長さーんに 連絡とか?取れなくってー 困っちゃうんだよねーみたいな?ははっ」
スファルツが困惑して言う
「ク、クレープとか?ドS社ッ長さ…?」
スファルツが咳払いし 気を取り戻して言う
「う、うんっ えー そうだな、君 このセントラルコンピュータを 修理したいというのは私も同意見ではあるのだが 私が確認した所 このセントラルコンピュータの故障は 機械的な部品の破損が原因となっている まぁ、その部品の破損は プログラムによる過度なデータ攻撃で起きたクラッシュなのだが 原因はプログラムであっても その修理は機械的なものとなる そして、その修理に必要な部品は」
バッツスクロイツがセントラルコンピュータの修理をしながら言う
「そうそう、面白いよねー ソルベキアのメカってさー ガルバディアとローレシアとの部品の流用ではあるけど 構造とかは かなーりローンルーズに近いって感じでー?けどさー?ソルベキアが国として出来た頃にはとっくに ローンルーズはワールドエンドマウンテンの向こうっ側に行っちゃってたんだからー?ローンルーズの構造を真似る事は出来なかった筈なんだよねー?でも明らかにパーツの組み込み方なんかは ローンルーズで大昔に使ってた系だしさー?」
スファルツが呆気に取られる バッツスクロイツが手際よく部品修理をしながら言う
「あ、もしかして レイロルトっちも手伝ってくれるー?」
スファルツが衝撃を受け言う
「レ、レイロルトっち…? あ、ああ、勿論 手伝える事があれば 協力しよう いや、むしろ このソルベキアのセントラルコンピュータの修理ともなれば 手伝わせてもらえると 私も光栄に思うのだが」
バッツスクロイツが喜んで言う
「マジでー!?スペシャルサンクス!レイロルトっち!俺ぶっちゃけ ソルベキアの旧式プログラム言語苦手でさー?交換する部品に センコンの基礎プログラムの入力とか してもらえると 超助かるんだけど!」
スファルツが呆気に取られつつ何とか言う
「あ、ああ それなら どちらかと言えば得意だ 任せてくれたまえ」
【 ベネテクト国 トレイトの町 】
シュライツが気合を入れ 機械兵らを指差して奇声を発する ヴァルキリーたちが一斉に機械兵らへ攻撃を開始する オライオンが走って行って言う
「よーし!俺も負けてらんねーぜ!」
シュライツがオライオンへ魔力を送り 剣を魔法剣にする オライオンが機械兵へ大剣を振り上げて叫ぶ
「食らえーっ!」
機械兵が素早く回避する オライオンが呆気に取られ慌てて言う
「おわっ!こいつ 速っ…!」
機械兵がオライオンへ攻撃する オライオンが驚き焦る シュライツが奇声を発して加速の支援魔法を放つ オライオンが瞬時に対応して回避する 機械兵の武器が空を切って地にめり込む オライオンが言う
「お、俺 今すげー速さで…」
シュライツがオライオンの後に降り立ち 喜んで奇声を発する オライオンが振り返り呆気に取られてから笑んで言う
「シュライツ!お前 俺の速さを上げる魔法を覚えたのか!?」
シュライツが疑問した後 笑顔で奇声を発する オライオンが疑問した後苦笑して言う
「えっと…分かんねーや けど!良い感じだぜ!よーし!」
オライオンが剣を構え直し機械兵へ向かって行く
ロキの銃弾が機械兵に回避され 機械兵がロキへ攻撃する ロキが舌打ちして回避する ロスラグが叫びながら攻撃する
「ロキ隊長は 2番目の相棒である俺が 守るッスー!」
機械兵がロスラグへ向いて回避する ロスラグが呆気に取られ言う
「わわっ!避けられちゃったッス!」
機械兵がロスラグへ攻撃する ロキが銃を放ちながら言う
「逃げろ!馬鹿犬!」
ロスラグが焦り ギリギリで犬の姿になって逃げる ロキがハッとする ロスラグがロキの足元へやって来て 申し訳なさげに鳴く ロキが言う
「…馬鹿犬、分かるか?卿の速度は あの機械兵に匹敵している」
ロスラグが驚きロキを見上げる ロキが機械兵へ構えたまま言う
「…卿は奴の気を引き付けろ その隙に俺が攻撃をする」
ロスラグが一瞬呆気に取られた後 喜んで一度吠える ロキが言う
「行けっ!」
ロスラグが機械兵へ向かって行く 機械兵がロスラグへ攻撃をしようとする ロキが機械兵の隙を突いて銃を放つ
レイトがプログラムの速度支援と強化を受けた槍で攻撃を繰り出す
「我が槍を受け倒れるが良い!機械兵!」
機械兵の装甲が槍に貫かれ倒れる レイトが槍を引き抜き 次の機械兵を見つけ向かって言う
「次はっ!」
向かおうとした瞬間 支援と強化のプログラムが両方途切れ レイトが呆気に取られて言う
「シャ、シャル!?」
レイトの振り返った先 シャルロッテが慌てて言う
「きゃぁああっ!ご、ごごごごめんなさいっ!レイトさんっ!バッテリー切れですぅ!」
レイトが衝撃を受け焦って言う
「バ、バッテリーとはっ!?…はっ!しまったっ!」
機械兵がレイトへ攻撃を繰り出す シャルロッテが焦って言う
「レイトさんっ!!」
上空からドラゴンが現れ機械兵へ炎を吐く 機械兵が炎にたじろぐ 呆気に取られていたレイトが気を取り戻して言う
「た、助かった 貴殿方の援護に感謝する」
ドラゴンが喜んで鳴く レイトが呆気に取られて言う
「え?共に戦ってくれるのか?」
ドラゴンが再び鳴いてから 旋回して機械兵へ向かう レイトが強く笑んで言う
「よしっ!上空からの援護があるのであれば 速度で劣ろうとも我らに優位!」
レイトが槍を構え声を上げ ドラゴンと共に機械兵へ攻撃に向かう
教会 入り口前
戦闘を終えたレイトたちが教会を見上げる
教会 地下室
オライオンが恐る恐る置いて言う
「えーっと?多分これで良いんだよな?」
シュライツが後方から覗き込み疑問し首を傾げる オライオンが首を傾げ 気付いて言う
「あ?これ押すのか?」
オライオンがボタンを押す ヴァルキリーたちが衝撃を受け 慌ててオライオンとシュライツを捕まえて逃げ出す
教会 入り口前
ダイナマイトが爆発し 建物が吹っ飛ぶ ギリギリ外に出ていたオライオンが驚き目を丸くした後 涙目になって言う
「あ… あ、後一歩で お、俺っ し、ししし 死ぬトコだったっ!」
ヴァルキリーの1人が気付き笑顔で オライオンの頭を撫でて言う
「泣かない 泣かない」
オライオンが呆気に取られる レイトが言う
「これで トレイトの町に現れていた機械兵の撃破と ワ… ワープロード? …とか言う物の爆破も 無事終了したのだが?」
ロキが言う
「…それで、どうする?この作戦の終了を… 闇の王たちへ報告するのか?…それともアバロンへ向かい 皆と合流し伝えるべきか」
レイトが考えて言う
「うむ 難しい… 闇の王らがローレシアの王たちへ負けを認めた …という事だけは分かっているが それが 我らの味方へなったとは言い切られない」
オライオンが言う
「けどよ?俺たちと一緒にベネテクトの町を守ったんだろ?さっき もう一つの町の方でも爆発音がしたみてーだし きっと向こうもワープ何とかって奴を ぶっ壊したんだぜ!?同じ目的の為に一緒に戦ったんだ 仲間だろ!?」
レイトとロキが衝撃を受ける シュライツが喜んで奇声を発する ヴァルキリーたちが笑顔になる 遠くから何かが凄い勢いで飛んで来て シリウスとユダがスライドしつつ着地する 共に飛んで来たヴァルキリーたちが先の建物へ突っ込む レイトたちが呆気に取られる シリウスが何事も無かった様子で言う
「トレイトの町を無事守りやがったみてぇだな?…ハッ!一応 礼を言っておいてやるぜ」
後方ではヴァルキリーたちが建物に突っ込んだヴァルキリーたちを救出している ユダが微笑して言う
「ヴァルキリーたちも 皆、連戦の中良く戦ってくれた」
ヴァルキリーたちが反応し 喜んでユダに抱き付く ユダが笑顔でヴァルキリーたちの頭を撫でる レイトたちが呆気に取られ顔を見合わせる オライオンが微笑して言う
「なぁ?お前らは これからどーすんだ?やっぱ 闇の国へ 帰るのか?」
皆が衝撃を受ける ユダが苦笑して言う
「闇の王だから 闇の国の王 なのだと… 思う訳だね…?」
オライオンが疑問して言う
「あ?なんだよ?違ったのか?」
シリウスが怒って言う
「んな国がありやがる訳がねぇえだろ!?どぉおやって生物が生きやがるんだ!?深海魚か てめぇえはっ!?少なくっとも俺ら人は 生きられねぇえだろがぁあ!?」
オライオンが呆気にとられた後言う
「そうなのか?そっかー 闇の国では 人は生きられねーのか」
ユダが苦笑して言う
「この世界を 人の住めない世界にしてしまう …と言う意味も兼ねての闇の王だったのだけど どうやら君には 伝わっては居なかったみたいだね?」
オライオンが気付き照れる ユダが軽く笑う ロキが言う
「…それで その闇の王が 何故この世界のベネテクトの町を守った?ローレシアの王へ負けを認めたから 今度は味方になる等と 本気で言う訳では無かろう?」
オライオンが疑問して言う
「何だよ?本気で言ってくれねーのか?」
ロキが衝撃を受け怒って言う
「卿は しばらく 黙っていろっ!」
ユダが困って言う
「うーん… そうだね 本来なら 我々はとっくに この世界からはエスケープしている時間なんだけど」
ユダがシリウスへ向く シリウスが考えてから言う
「…何にしても あまりデカイ変化は与えねぇ方が良い 俺たちは闇の王として この世界に来たんだ やる事は全部やっちまったが この世界のユダとシリウスは てめぇと俺だ」
ユダが言う
「分かった では、我々は このままガルバディアへ向かおうか?シリウス」
レイトたちが衝撃を受け 慌ててレイトが言う
「ガルバディアへ!?」
シリウスが苦笑して言う
「心配しやがんな もう俺らはこの世界へ危害を加える事はしねぇ ガルバディアへ行くのは ちょいとガルバディアの機械を 使わせてもらいてぇってだけだ」
ユダが思い出し オライオンへ言う
「所でオライオン、君がここに居るという事は アバロンの戦いは問題なく終わったのだろうか?カイッズとツヴァイザーの部隊が 君たちと我々との戦いに紛れ アバロンへ奇襲を掛けて来た様だが?」
オライオンたちが驚く シリウスが言う
「ああ、そういやぁそうだったな?ベネテクトが襲われるってぇんで思わず忘れちまってたが そのカイッズとツヴァイザーに ローレシア領域の魔力者が手を貸してやがるんだとか何とかって?レクターの野郎が言ってやがったぜ?オライオン、てめぇは アバロン3番隊隊長だろうぉ?アバロンの危機に一番乗りで行きやがったんじゃぁねぇのかよ?」
オライオンが呆気に取られる
【 アバロン城下町 門前 】
キルビーグが魔力を送る 宝玉が強く光る ルーゼックが目を開き疑問する キルビーグがホッとして言う
「ルーゼック、どうだ?身を起こせるか?」
ルーゼックが疑問しつつ身を起こして言う
「キルビーグ…?一体何が…?」
ルーゼックが周囲を見て驚く 周囲を取り囲んでいた魔術師たちがホッとして言う
「ルーゼック様… 良かった…」
「ルーゼック様、申し訳ありませんでした」
ルーゼックが疑問する キルビーグが苦笑して言う
「ルーゼック、覚えておらなんだか?お前は私が宝玉の力を解放するまでの間 魔術師たちの魔法を抑えておったのだ だが、やはり この世界最強と言われるソイッド村の… 魔法剣士部隊には入らなんだ魔術師たちとは言え その合わさった魔力は凄まじいものであった 宝玉の聖魔力が魔術師たちの身から 悪魔力を拭い去った時には お前は魔術師たちの魔法に打ちひしがれておってな?通常の回復魔法では 意識を取り戻さんで 私も流石に焦ったぞ?」
ルーゼックが考えて言う
「うん…?そうなのか?思い出せぬ ずっと長い夢を見ておった様で… だが、その夢の内容すらも 忘れてしまったわ」
キルビーグが一瞬呆気にとられた後苦笑して言う
「まぁ、夢は覚めると忘れてしまうものだ 強い衝撃を受けた前後の記憶なども失う事もある だが、他の事は しっかりと覚えておるであろうな?」
ルーゼックが立ち上がり言う
「うむ、問題はあらなんだ 貴様は軟弱キルビーグである」
キルビーグが衝撃を受け 苦笑して言う
「あ、ああ 確かに問題はあらなんだ様だ は… はは…」
この世界のヘクターが来て言う
「キルビーグ、ルーゼック アバロンへの加勢 助かったぜ!ありがとな!」
ルーゼックが言う
「礼には及ばん ヘクター 我らローレシアの2人の王は 我らローレシアの魔術師たちを救いに参ったのだ 貴様の助けに参った訳ではあらなんだ」
キルビーグが苦笑して言う
「まぁ、そう思ってくれヘクター国王 ルーゼックは強い衝撃を受け 少々記憶を飛ばしておるが 友好国となったアバロンと義兄弟の貴殿を助けようと 大慌てで参りおってな?」
ルーゼックが衝撃を受け 怒ってキルビーグへ叫ぶ
「馬鹿者っ!キルビーグ!貴様こそ その記憶を飛ばしておれ!」
キルビーグが軽く笑う この世界のヘクターが笑んで言う
「そっか ありがとな!兄貴!」
ルーゼックが衝撃を受け顔を逸らして頬を染めて言う
「きっ 貴様に 兄などと 言われたくは無いのだ…っ」
ヴィクトール13世が現れ笑顔で言う
「まぁまぁ そう言わずに?一緒にアバロンを守った 儀兄弟じゃない?ね?兄貴?」
ルーゼックが衝撃を受け 更に顔を逸らし言う
「うっ うるさいっ 貴様には 特に言われたく あらなんだっ」
レクターが笑顔で現れて言う
「どうせなら 私も兄が欲しいと思っていたのだ この際お前にしてやっても良いぞ?兄貴?」
ルーゼックが怒ってレクターへ叫ぶ
「貴様には 特に 言われたくあらなんだっ!!」
皆が微笑む ヴィクトール13世が改めて言う
「それで、ソルベキア攻略を任せていた 貴公たちが無事戻ったと言う事は」
キルビーグが微笑して言う
「ああ、申し遅れてしまったな 闇の王ユダとシリウスは 我らへ負けを認め 今後はこの世界へ危害を加えない事を誓ってくれた 早々に自分らの世界へ戻ると申しておったのだが」
ルーゼックが言う
「何でも 奴らの世界に戻るには 少々問題が起きてしまったとか その解決のために ガルバディアの力を借りたいと申しておった」
ヴィクトール13世が驚いて言う
「ではっ!?闇の王たちは 今ガルバディアへ!?」
ヘクターが来て言う
「いや、ベネテクトへ行くって言ってたぜ?なぁ デス?」
プログラマーが来て言う
「ああ、実に不可解だが ベネテクトの危機に対し まるで我が王 バーネット2世であるかの様に慌て ベネテクトの防衛へと向かった」
ヴィクトール13世が疑問して言う
「ベネテクトの防衛とは?ベネテクトの町に何かあったのか!?」
キルビーグが言う
「うむ、それが詳しくは分からなんだが 機械兵とか申す異世界の悪しき機械が召還されておるとか?」
ルーゼックが言う
「だが、案ずるな 元々闇の王とヴァルキリーらにとって その者どもは天敵であり すぐに片付けよるであろうと クロイツヴォルデンが申しておった」
この世界のヘクターが言う
「そっか…?ベネテクトに何かありゃー バーネットがすぐに動く筈だ けど、ガルバディアの機械は 今、止まっちまってるんだ 闇の王たちが折角ベネテクトの町を守ってくれても バーネットは奴らに力は貸せねーんじゃねーかな?」
プログラマーが言う
「止まった?そうか では、そのせいで 私の力も使えなくなってしまったのだな」
ヘクターが言う
「シリウスに変な攻撃をされちまったせいじゃねーかと思ってたけど 違って良かったな?デス」
プログラマーが言う
「ふむ… 良かったとは 言い切られないが 原因に対しては一応の納得は出来た」
ヴィクトール13世が背を向けて言う
「では、何にしても 私は戻らせてもらう ガルバディアのシステムが止まっている今 第二国王の私が 長く離れる訳には行かない」
この世界のヘクターが言う
「ああ、待てよ ヴィクトール 俺も行くぜ!」
ヴィクトール13世が呆気に取られて言う
「え?いや、ヘクター 君はアバロンに残って 各国からの報告や情報の収集を行わなければ」
この世界のヘクターが言う
「俺は仲間のバーネットや 俺の相棒の故郷であるガルバディアも 守ってやらなきゃならねーんだ お前との約束でもあるだろ?アバロンを一緒に守って 次はガルバディアも一緒に守るってよ?」
ヘクターが言う
「なら、俺が代わりに行くぜ!同じ俺が行くんなら 良いだろ?」
ヴィクトール13世が苦笑して言う
「うん、そうだね そうしよう ヘクター?バーネットも分かってくれるよ 20年後の君とは言え 同じ君だ」
この世界のヘクターが一瞬考えてから言う
「…いや!それなら 逆だぜっ!」
【 アバロン城 玉座の間 】
玉座に座ったヘクターが困惑して言う
「何で!?俺がアバロンの王様に なっちまってんだー!?」
もう一つの玉座に座ったプログラマーが言う
「それは… この場所に座らされた 私が 実に言いたいのだが…?」
レクターが笑顔で言う
「アバロン国王のヘクターが アバロンの王様なのは当然なのだ そして、そのヘクターの相棒である お前が アバロンの第二国王として そこに座っているのも 当然なのだ」
ヘクターが間を置いて 笑顔で言う
「だよなー!?俺の相棒なら 当然お前が アバロンの第二国王様だぜー?デスー!」
プログラマーが怒って言う
「納得出来るかっ!」
【 ガルバディア城 玉座の間 】
バーネット2世が倒れる ヴィクトール13世が血の付いた剣を見て微笑んでから言う
「どうだい?バーネット?心から信じていた相棒である僕に裏切られた気分は?」
バーネット2世が苦笑して言う
「は… はっは… 悪くねぇ… てめぇの剣で 殺されやがるんなら な… だが、一つだけ 答えやがれ 何で… 裏切りやがった…?」
ヴィクトール13世が微笑して言う
「え?そんなの決まってるじゃない?僕は君に支配されたかったんじゃない この僕が 君を支配したかったんだよ バーネット それなのに君は いつだって僕に命令してばかり 僕は君のペットじゃないんだ 猫の名前なんて付けられて このガルバディアに閉じ込められて 第二国王として飼われるなんて 僕には耐えられないんだ」
バーネット2世が言う
「ヴィク…トール… 俺は…」
ヴィクトール13世が微笑し バーネット2世の身の上に剣を構えて言う
「一つだけって言ったでしょ?僕はアバロンの民だ 約束を守らない事も嫌いなんだよ バーネット」
バーネット2世が一瞬、間を置いて言う
「…ハッ! それこそ 約束を破りやがるんじゃねぇよ 偽者!」
ヴィクトール13世が驚く ヴィクトール13世が走って来て叫ぶ
「バーネット!」
ヴィクトール13世が剣を振るう ヴィクトール13世(偽)が剣で払って回避し 受けた威力に手を押さえて舌打ちする ヴィクトール13世がバーネット2世を庇うように剣を構えて言う
「バーネット!大丈夫かいっ!?ごめんっ!遅れてしまって!」
バーネット2世が苦笑して言う
「はっは… 遅ぇんだよ… けど、間に合ったじゃねぇか…」
遅れてやって来た この世界のヘクターとガルバディアの騎士が 2人のヴィクトール13世とバーネット2世を見て驚く ヴィクトール13世が言う
「奴は私が倒す 君たちはバーネットを頼む」
この世界のヘクターが頷いて言う
「お、おう 俺らじゃ どっちが本物か 間違えちまいそうだ そっちは任せるぜ!」
ガルバディアの騎士がバーネット2世を抱え 場所を移動して回復薬を渡す この世界のヘクターが近くへ来て様子を伺う バーネット2世が言う
「急所は外されてる… 心配ねぇ 少し すれば 勝手に治りやがる…」
この世界のヘクターが傷を確認して言う
「勝手にって!?大剣で刺されてるんだぜ!?本格的な治療を受けねーと治んねーよ!?」
ガルバディアの騎士が言う
「いや、大丈夫だ オリジナルのガルバディアの民である バーネット国王なら 血中のマイクロマシンが傷を再生させる」
この世界のヘクターが驚いて言う
「あ?そうなのか…?ベネテクト王家の変体体質ってのは 本当にすげーんだな?」
バーネット2世が衝撃を受け怒って言う
「誰が!変体体し… っ!」
バーネット2世が吐血する ガルバディアの騎士が焦って言う
「バーネット国王っ いかにベネテクト王家の変体体質を持ってしても 回復中は安静にするべきだ」
バーネット2世が弱りながら言う
「へ… 変体体質… 言うんじゃ ね…ぇ…」
この世界のヘクターとガルバディアの騎士がバーネット2世の様子を見つつ ヴィクトール13世へ向く ヴィクトール13世が言う
「私の相棒を傷つけた君を許すつもりは無い しかし、君が自ら正体を明かし 謝罪すると言うのなら」
ヴィクトール13世(偽)が笑って言う
「あっはは 正体を明かし 謝罪するというのなら?僕の代わりに バーネット2世の命を 奪ってくれるのかい?」
ヴィクトール13世が剣を構え直して言う
「君と同じ能力を持つ種族を 根絶やしにするまで 君を生かしておいてあげる と、言いたかったのだけど もうその選択肢は消えた まずは君を始末する」
ヴィクトール13世(偽)が驚く ヴィクトール13世が声を上げて攻撃する ヴィクトール13世(偽)が防戦するが押される 立て続けに剣を振り下ろされ 表情をしかめて言う
「なんだっ!?これが あのヴィクトール13世っ!?ガルバディアの支援を受けない状態では ヘクターに及ばない筈なのにっ!?」
ヴィクトール13世が攻撃しながら笑って言う
「あっははっ どうしたの!?全然やられっぱなしじゃない!?詰まらないよ?君も攻撃しておいでよ?…出来るならねっ!!」
ヴィクトール13世が強撃を繰り出す ヴィクトール13世(偽)が弾き飛ばされ尻餅を着いて言う
「クッ… こいつ!狂ってやがるっ!」
ヴィクトール13世が剣を振り上げて叫ぶ
「死ねぇええ!!」
ヴィクトール13世(偽)が目を見開く バーネット2世が叫ぶ
「ヴィクトール!!止めやがれっ!!」
ヴィクトール13世がギリギリで剣を止める ヴィクトール13世(偽)が呆気に取られた状態で見つめる バーネット2世が刺された脇腹を押さえて辛そうに言う
「はぁ… 何とか届きやがったか もう大丈夫だ ヘクター 野郎をとっ捕まえろ」
この世界のヘクターが頷いて ヴィクトール13世(偽)を捕らえに向かう ガルバディアの騎士がバーネット2世へ向いて言う
「バーネット国王 今のは…?あの ヴィクトール第二国王が まるで」
ヴィクトール13世がやって来て照れる ガルバディアの騎士が驚く バーネット2世がため息を吐いて言う
「ったく てめぇは… 俺が声張れねぇ時に イカれるんじゃねぇよ もう少しで 本当に野郎を ぶっ殺しちまう所だったじゃねぇか?」
ヴィクトール13世が苦笑して言う
「ごめん、バーネット 僕も堪えようと思っていた筈なのだけど 気付いたら君に止められてたよ やっぱり 僕の狂戦士の能力は 気を抜くとすぐに現れちゃうみたいだ」
バーネット2世が衝撃を受け 焦って言う
「だからっ!てめぇええは 俺が居るからって 気を抜くんじゃねぇ!馬鹿野…っ!」
バーネット2世が脇腹を押さえうずくまる ヴィクトール13世が慌てて言う
「わーっ!バーネット!大丈夫っ!?無理しちゃ駄目だよっ!」
バーネット2世が怒って言う
「てめぇえが 無理させてやがるんだろがぁああ!?」
この世界のヘクターがヴィクトール13世(偽)へ言う
「しっかし 本当にヴィクトールにそっくりだぜ?」
ヴィクトール13世(偽)が微笑して言う
「そうかい?有難うヘクター でも、僕が本当に得意なのは…」
この世界のヘクターが驚く ヴィクトール13世(偽)が ヘクター(偽)になって言う
「どーだ?お前にそっくりだろ?けど、ちょっと違うんだぜ?何故なら こっちのヘクターは…」
ヘクター(偽)が自身の剣と体にプログラムの数字の羅列を表す この世界のヘクターが驚いて言う
「その数字の魔法!?20年後の俺と同じ!?」
ヘクター(偽)が一度疑問した後微笑して言う
「20年後のお前だって?お前らは まだ気付いてねーのか?あいつらは20年後の未来から来たんでも 過去から戻ったんでもねー “他の可能性のお前ら” なんだぜ?」
この世界のヘクターが疑問して言う
「他の可能性…?」
ヘクター(偽)が微笑して言う
「そうだぜ 何もかも このガルバディアのシリウス国王が始めた 世界中の多くの命を巻き込んだ 悪戯だ」
この世界のヘクターとヴィクトール13世が疑問する ヘクター(偽)が微笑して バーネット2世を見て言う
「お前はもう知ってるだろ?バーネット2世 お前はシリウスと同罪だ 各国の国王と力のある兵士たちを騙して お前らにとって最良の世界が出来る時を夢見て 何度も歴史を繰り返してる」
バーネット2世が言い返せずに黙る ヴィクトール13世と この世界のヘクターがバーネット2世を見てから顔を見合わせる ヘクター(偽)が2人を見て言う
「信じられねーか?ヘクター、ヴィクトール13世 けど、ちょっと考えてみろよ?もし、本当に今アバロンに居るヘクターが お前の20年後の姿だとしたら?一緒にやって来た お前の相棒は 何んでガルバディアの騎士じゃねーんだ?もう1人のお前の兄貴であるレクターが ウィザードである事も?20年後のお前らだとしたら 可笑しいだろう?答えは簡単だぜ あいつらは20年後のお前らじゃなくって “他の可能性” で作られた “お前らの情報” なんだ」
【 ガルバディア城 セントラルコンピュータ 】
シリウスがガルバディアのセントラルコンピュータにアクセスしている 後方でユダが周囲を見渡している シリウスが作業を止めて振り返る ユダが気付いて言う
「シリウス、どう? 故障は直りそうなの?」
シリウスが残念そうに言う
「いや、駄目だ この世界のガルバディアのセンコンは 完全にぶっ壊されちまった」
ユダが驚いて言う
「え!?それじゃっ!?」
シリウスが言う
「ああ、この世界のガルバディアは力を失った 世界をやり直す事も出来ねぇ 遂にシリウス元国王殿の悪戯も 終わりかもな… 希望は潰えちまったってよ?」
【 ガルバディア城 玉座の間 】
ヘクター(偽)が笑んで言う
「シリウス国王は世界をやり直し続ける事で お前たちの力を蓄えさせた お前たちが20年後のお前たちだと思っていた ヘクターとプログラマーの力は 何度もやり直した世界の中で 最も優秀だ けど、ガルバディアのシステムが使えなければ その力は発揮されない そんな程度じゃ 俺たちの方がよっぽど優秀だぜ!?」
ヘクター(偽)が数字の羅列をまとった剣を見せて言う
「世界一の大検使いと 世界一のプログラマー この力を持った俺は最強なんだ!ヘクター?試してみるか!?」
ヘクター(偽)がこの世界のヘクターへ剣を構える この世界のヘクターが剣を構える
【 ガルバディア城 セントラルコンピュータ 】
ユダが言う
「例えこの世界のガルバディアが力を失っても 現実の世界にはシリウス元国王が居る 壊れていないガルバディアの機械もある そして、彼は再び相棒の下に戻ったんだ このプロジェクトを始めた時と同様に 戦う力を取り戻しているんだよ!?」
シリウスが言う
「だが、やっと手に入った 世界各国の力である 有力者の情報は 今、全てがこの世界に使われちまってんだ この世界に入れられたウィルスの特定と除去 壊れた史実の修正までやるんじゃ 全てを終わらせるまでに どれだけ時間が掛かるか分からねぇ… 奴らの時は動いちまってんだ 俺やバッツスクロイツ、シャルロッテの力でも ウィルスの特定すら出来なかった その全てをシリウス元国王が1人でやるんじゃ… どの道間に合いっこねぇ」
ユダが言う
「バーネット!諦めてはいけないっ!僕らは世界を救うと約束したじゃないか!だから シリウス元国王が諦めかけていた このプロジェクトを引き継いだんだ!」
シリウスが言う
「その俺らの世界を救うには 今のこの世界を救わなけりゃならねぇ… ウィルスが ガルバディアの力を狙ったって事は 間違いなく 奴の仕業だ まさか 奴の力が この世界のプログラムに入り込む事が出来やがるとは 思いもしなかった… こっちはガルバディアの力がなけりゃ 何も出来やしねぇんだぜ?どうやって 敵を倒そうって言うんだ?奴が どんな手を使って来やがるかだって 分からねぇんだぞ?」
ユダが考えて言う
「相手はこの世界を攻撃して来た この世界のガルバディアの力を奪って 僕らの力を失わせて閉じ込めた …次にやる事は何だろう?シリウス、君は言ってたじゃないか?ウィルスが僕らと同様に この世界の誰かと入れ替わるのなら この世界に居られる時間は限られると」
シリウスがユダを見てから考えて言う
「…気の遠くなる話だが シリウス元国王殿がその気になりゃぁ もう一度このプロジェクトを1からやり直す事だって出来やがる だとしたら何をする?この世界に使われてやがる 各国の最強データを1人残らず始末しちまえば …いや、敵の時間はねぇんだ その中でも 重要な奴らに限られる …ヘクターと相棒のプログラマーの最強データ やっぱりあの2人か!?」
【 ガルバディア城 玉座の間 】
ガルバディアの騎士が倒れる ヴィクトール13世とバーネット2世が驚き ヴィクトール13世が言う
「ガルバディアの騎士を上回る速度と力… もう1人のヘクターは あんなに強かったのか」
バーネット2世が悔しそうに言う
「チィ… ガルバディアの力が使えねぇんじゃ アバロンに居る本物の奴らを連れて来たって 偽物ヘクターと戦わせる事は出来ねぇ…」
ヘクター(偽)が言う
「ああ、時間があれば あいつらも倒してやりたかったんだけどな あんま ゆっくりもしてられねーんだ 今のこの世界には 確実にぶっ倒さねーと いけねー奴が居っからな?」
ヘクター(偽)がバーネット2世へ剣を向ける ヴィクトール13世がバーネット2世を庇って剣を構える バーネット2世が驚いて言う
「おいっ 何のつもりだ!?」
ヴィクトール13世が言う
「バーネット、あいつは僕らでは倒せない アバロンに居るヘクターたちも ガルバディアの力が使えない今 相棒殿の力は下がっていると言っていた …けど 彼ら なら!あいつを倒せるかもしれない!」
バーネット2世が疑問した後 ハッとして言う
「その彼らってのは… まさか てめぇえ!?」
ヴィクトール13世が言う
「僕が戦って少しでも時間を稼ぐ だから 全て説明出来る君が 彼らに!ローレシアの2人の王へ伝えて 力を借りるんだ!」
バーネット2世が焦って言う
「ばっ 馬鹿言ってんじゃねぇ!俺が よりによってあいつらになんざっ!」
ヴィクトール13世が強く言う
「バーネット!僕らは世界を救うと約束しただろ!?アイツは 闇の王みたいな 生易しい奴じゃない アイツは本気で この世界を滅ぼそうとしている!早く皆に知らせないと!姿を変えられる アイツに気付く事は難しい!そして、バーネット!もし次に 君の前に僕が現れても 絶対に油断しないで!必ず 倒して!」
バーネット2世が驚いて言う
「ヴィクトール!?」
ヴィクトール13世がヘクター(偽)へ声を上げて向かう バーネット2世があっけに取られ焦って言う
「待てっ!ヴィクトールっ!」
ヘクター(偽)が苦笑して ヴィクトール13世の剣を受け止めて言う
「さっきは あんなに強ぇーって感じたのにな?このヘクターの真似をしてると 全然、話にもならねーぜ?」
ヘクター(偽)がヴィクトール13世の剣を払い 瞬時に移動して攻撃を繰り出す バーネット2世が 力を使い瞬時に移動して ヴィクトール13世を回避させて言う
「馬鹿野郎っ!早まるんじゃねぇ!」
ヘクター(偽)が疑問して言う
「あ?今の速さ… ああ、なるほど?情報伝達に使うマイクロトランスミッターを 逆利用して自分の体に使えば 筋肉を強制的に動かす事も出来るのか… けど、そんな使い方しちまったら お前 身が持たねーぜ?」
バーネット2世が言う
「ハッ!だからって 俺は相棒を見殺しにして どっかへ行っちまうなんて事は出来ねぇんだよ ついでに いくらてめぇが ガルバディアの力を真似たって オリジナルのガルバディアの民である 俺を上回る事なんざ出来ねぇぜ?」
バーネット2世が剣を構えて言う
「奴は俺が引き受ける ヴィクトール、てめぇなら ガルバディアとアバロンの通路を開く事が出来る あの道はてめぇらのモンだ 俺は開けられねぇ」
ヘクター(偽)が苦笑して言う
「確かに、世界一のプログラマーを真似してる俺のプログラムじゃ お前のスピードには付いて行けねーかもな?けど、力は俺の方が上だ 一発でも叩き込めりゃー 俺の勝ちだぜ?」
ヘクター(偽)が剣を構える ヴィクトール13世が剣を構えて言う
「いや、君が行ってくれ バーネット 今、あの通路を開いてしまったら アイツがアバロンへ行ってしまうかもしれない 時間を稼ぐ為にも あの通路は開く訳に行かない」
バーネット2世が言う
「通路が閉じるまでは 意地でも俺が抑えてやるってんだ!てめぇえが行け!」
ヴィクトール13世が強く言う
「嫌だっ!僕は 何度も君を 死なせる夢を見て来たっ だから 今度こそ君を守ると誓ったんだっ!」
バーネット2世が怒って言う
「てめぇえはっ!?夢の話なんかで 強情張るんじゃねぇ!世界を守るんだろ!?俺がローレシアまで走るのと てめぇえがアバロン経由で ローレシアの移動魔法陣へぶっ飛ばされるのと どっちが早ぇえと思ってやがるんだ!?大体俺は んな長い距離は 走れねぇんだよ!」
ヘクター(偽)が呆気に取られた後笑って言う
「あっははははっ!知ってるか お前ら!?それって どっちも 別の可能性のお前らが原因なんだぜ!?知ってる訳ねーよな?記憶は全てフォーマットされてるんだ けど、夢に見るとか!長い距離は 走れねーとか!何で残ってるんだろーな?」
ヴィクトール13世が怒りを押し殺して言う
「僕はっ アイツの事が嫌いだ バーネット アイツが何でも知ってると言うのなら 今度は アイツの知らない結果にしてやろうよ!?僕ら2人で!」
バーネット2世が苦笑して言う
「はっは… そぉだな あの野郎がガルバディアの情報を知ってやがるんなら てめぇの策に乗った方が良さそうだ …どっちにしたって 俺らは助からねぇ」
バーネット2世の視界に数字の羅列が垣間見える ヘクター(偽)が微笑して言う
「あ?見えたのか?この世界に入れたプログラム… ガルバディアのシステムが止まってても 多少は 見えちまうんだな?どんな感じなんだ?自分の決められた未来が 見えちまうってーのは?」
バーネット2世が笑んで言う
「悪くねぇぜ?てめぇが ぶっ倒されるんだって 分かるんだからなぁ?」
ヘクター(偽)が一瞬驚いた後 苦笑して言う
「下手な嘘だぜ 見えるのは お前の周囲の事ぐれーだろ?俺の事まで分かる訳がねー」
バーネット2世が苦笑して言う
「いや?てめぇの周囲に見えるぜ… これが人間、死に際の 120%の力って奴かねぇ?神経が研ぎ澄まされてやがるみてぇだ… まぁ これなら俺も ローレシアまでだって走れっちまいそうだぜ?」
ヘクター(偽)が怒って言う
「俺は知ってんだ!お前はローレシアには行かねーってな!俺にぶっ倒されるからだぜ!」
ヘクター(偽)がバーネット2世へ向かい剣を振るう 剣が音を立ててぶつかり合う ヴィクトール13世がヘクター(偽)の剣を抑えて言う
「なら まずは僕を倒してみなよ!」
ヘクター(偽)が笑んで言う
「また狂戦士になる気か!?今度は俺の方が力で勝ってるんだ!お前に不利になるだけだぜ!?」
ヴィクトール13世が苦笑して言う
「警告を有難う 偽者ヘクター けど それ位… 僕にだって分るよ!」
ヴィクトール13世が大剣とは違う剣術で攻撃を繰りなす ヘクター(偽)が舌打ちをして言う
「チッ 本当に 120%の力ってやつは 厄介だ… けど!」
ヘクター(偽)が大剣に数字の羅列を現して ヴィクトール13世へ向かい 見えない速度で剣を振るう ヴィクトール13世が一瞬驚いた後 斬り付けられて悲鳴を上げる
「ぐあっ!?」
ヘクター(偽)が笑んで言う
「世界一の大剣使いである俺に 敵う訳ねーだろ?」
ヘクター(偽)が ヴィクトール13世の身体へ大剣を突き刺す ヴィクトール13世が目を見開いて息を飲む
「ッ!!」
バーネット2世が叫ぶ
「ヴィクトール!!」
ヴィクトール13世が言う
「…行くんだ!バーネット!」
バーネット2世が悔しそうに目を瞑った後 叫びながら走り去る
「勝手に死にやがったら!許さねぇからなぁ!」
ヘクター(偽)がバーネット2世の走り去った方を見て表情をしかめて言う
「チッ… 俺はあいつを 仕留めなけりゃならねーのにっ 邪魔すんなよ!」
ヴィクトール13世が ヘクター(偽)の剣を掴んで言う
「させないっ!もうっ2度と 失いたくないんだっ!」
ガルバディア城 城門外
バーネット2世の耳元に数字の羅列が垣間見え ヴィクトール13世の悲鳴が聞こえる バーネット2世が強く目を瞑って言う
「馬鹿野郎がっ!俺もあいつも死んじまうって事が 分かってやがるってのにっ 何で俺は走ってやがるんだっ!?ローレシアになんざ行ける訳がねぇえ!デネシアまでだって この足は持たねぇ!ヴィクトール!てめぇだって…っ おまけに てめぇえも俺も!この世界を守ろうなんざ 本気じゃ思ってねぇえくせによぉおお!」
バーネット2世の耳元に数字の羅列が垣間見え ヴィクトール13世が倒れる音が聞こえる バーネット2世が立ち止まって振り返る バーネット2世が一歩足を戻らせる 脳裏に先ほどの記憶が蘇り ヴィクトール13世が言う
『行くんだ!バーネット!』
バーネット2世が歯を食いしばって再び走り出して思う
『このまま帰ったって 俺はもう戦えねぇっ だったら!せめて…』
バーネット2世が叫ぶ
「デネシアまで!俺は 這ってでも行ってやるぜぇええ!」
バーネット2世が正面に見える ガルバディアの移動魔法陣を見て思う
『ちくしょうっ!魔法が使えればっ!』
バーネット2世が一度俯いてから顔を上げる と 同時に 移動魔法陣にキルビーグとルーゼックが飛んで来る バーネット2世が驚き声を上げる
「ぬあっ!?」
キルビーグとルーゼックが声に気付いて顔を向け 目を見開いて ルーゼックが驚きの声を上げる
「なっ!?」
ルーゼックが咄嗟にキルビーグを押し避けさせる 同時にバーネット2世がルーゼックに突っ込む ルーゼックとバーネット2世が悲鳴を上げる
「「のわーっ!!??」」
バーネット2世の勢いのままに ルーゼックが巻き込まれ 2人が雪面をスライドして行く かなりの距離を行った位置で2人が止まる キルビーグが慌てて駆け向かって来て言う
「ルーゼック!?大丈夫か!?一体何が飛んで来おったっ!?」
バーネット2世が顔を上げ 自分の下敷きになっているルーゼックを見て叫ぶ
「てっ!てめぇえらっ!?何で!?」
ルーゼックが痛みに顔を歪めつつ 不機嫌に目を開いて叫ぶ
「お、おのれっ!何奴かっ!?勝手に我らへ突っ込んで来おった挙句っ!私を下敷きにしおってっ!」
バーネット2世が あっけにとられた後 言い辛い言葉を必死に言う
「た… 頼むっ!力を貸してくれ!ルーゼック、キルビーグ!てめぇえらに 頼るしかねぇえんだっ!」
ルーゼックが衝撃を受けた後 疑問し まじまじとバーネット2世の顔を覗き込んで言う
「む…?我らの名を知っており 更に頼み事とは?貴様は… 何者か?」
バーネット2世が衝撃を受け 怒って叫ぶ
「んだと てめぇええ!!こっちが しおらしく頼んでやってるってぇええのに!すっとぼけるんじゃねぇええ!!」
ルーゼックが衝撃を受け 怒って叫ぶ
「黙れっ!人の体に乗っかったままで 何処が しおらしいのかっ!?頼み事を致すのなら まずは 名を名乗り 正体を明かさぬか 馬鹿者っ!まるで どこぞの不良国王の様な 物言いをしおって!貴様は誰だっ!?」
バーネット2世が衝撃を受け 怒って叫ぶ
「だぁああ!?てめぇええ!ヴィクトールが ぶっ殺されちまうってぇええ時に ふざけやがってんじゃねぇええ!知らねぇえとは 言わせねぇ!俺はっ その不良国王こと バーネット2世・ベネテクトだぁああ!!」
ルーゼックが衝撃を受け 不審そうにバーネット2世の顔を覗き込んで言う
「や、やはり そうであったのか?貴様… その目はどう致した?例えどんなに泣き腫らそうとも 瞳まで赤く染まるとは 聞いた事もあらなんだ…」
バーネット2世がハッとして顔をそらし 視線だけルーゼックへ向ける ルーゼックが若干呆れて言う
「いや、例え顔を逸らそうとも 視線を向ければ 同じであろう?馬鹿者」
キルビーグが言う
「それより、バーネット殿 先ほど貴殿が申された ヴィクトールがぶっ殺されちまうとは?例えどの様な急ぎの用があろうにも 随分と 物騒であるが…?」
ルーゼックが考えつつ言う
「ふむ… 貴様だと分かった上で思い返せば 先ほどの無礼な頼みも 多少は しおらしくも聞こえなんだ」
バーネット2世が衝撃を受け 慌てて叫ぶ
「そおだったぜ!今はこの目の事なんざ 構ってられねぇえんだ!ガルバディア城に 他人の人真似しやがる 訳の分かんねぇえ野郎が現れやがった!ムカつく野郎だが 戦力は あの20年後の世界から来やがった ヘクターと同じぐれぇえありやがる!てめぇえらは あの20年後のヘクターの力を知ってやがるだろ!?」
ルーゼックとキルビーグがハッとして ルーゼックが言う
「ヘクターの真似を行い 同等の力を有する者… だと?」
キルビーグが言う
「では、ローゼック代理国王殿が 申されておったのは」
実は居たローゼックが踏み出して叫ぶ
「今度はガルバディアへと現れおったのかっ!あの事前確認のなっておらぬ 人真似小僧がっ!」
バーネット2世が驚いて言う
「なんだ!?野郎を知ってやがるのか!?」
ローゼックが叫ぶ
「先刻は取り逃がしたが 今度こそ仕留めてくれようぞっ!…我が息子どもがな!!」
ローゼックがルーゼックとキルビーグを示す ルーゼックが衝撃を受け 叫ぶ
「我らがっ!?」
バーネット2世が言う
「何でも良い!てめぇらを迎えにローレシアへ向かおうとしてた所だ!ここまで来てくれやがるとは 思いもしなかったが これなら!もしかしたら 間に合うかもしれねぇ!」
バーネット2世がキルビーグとルーゼックの腕を掴む 2人が呆気にとられる バーネット2世がガルバディア城へ向き直って言う
「待ってやがれよ!ヴィクトール!」
【 ガルバディア城 玉座の間 】
バーネット2世がルーゼックとキルビーグの腕を掴んで玉座の間に駆け込んで来て叫ぶ
「ヴィクトール!」
バーネット2世がショックを受けた様に立ち止まる 引っ張られてきたキルビーグとルーゼックが驚き目を見開いた後キルビーグが心苦しそうに視線を落とす ヘクター(偽)が振り返って驚き言う
「あ…?マジかよ…!?何で こんなに 早く!?」
バーネット2世が1人ゆっくりと歩いて来て 床へ膝を着き言う
「ヴィク トール…っ」
床に倒れているヴィクトール13世が苦しげに目を開き苦笑して言う
「お 帰り… バーネット… とっても 早かったね… 良かった 僕… ちゃんと 死なないで 君を 待てたよ…?」
バーネット2世が悔しそうに言う
「馬鹿野郎っ ヴィクトール!いくら待ってやがったって言っても… こんなに 食らってやがったらっ!てめぇはっ…!」
ヴィクトール13世が軽く笑って言う
「うん… そう だね… もう 助からないね… けど ちゃんと 待ってた… お陰で バーネットの… 珍しい姿見られたよ」
ヴィクトール13世が微笑する バーネット2世が驚く ヴィクトールの視線の先 赤い瞳のバーネット2世が泣いている ヴィクトール13世が嬉しそうに微笑する バーネット2世が悔しそうに言う
「俺はっ!てめぇえにだけは 見せたか 無かったんだっ 馬鹿野郎っ!それなのに てめぇえがっ!」
ヴィクトール13世が苦笑して言う
「ごめん バーネット… 怒らないで …そうだね こっちの バーネットも 綺麗だけど やっぱり 僕は… いつもの君が 一番好きだよ…」
バーネット2世が一瞬驚いた後 青い瞳になり 少し困り怒った様子で言う
「ったりめぇえだろ!元はと言やぁあ てめぇの好みに合わせて作ってやってたんだっ!けど てめぇえは んな時まで 誤解を招く様な言葉を 言いやがるんじゃねぇえ!」
ヴィクトール13世が一瞬キルビーグとルーゼックへ視線を向けた後 苦笑し 少し頬を染めているバーネット2世へ戻し 軽く笑って言う
「はは… ご… めんね バーネット… でも 僕は やっぱり君が 大好き だから… もっと… 一緒に 遊んで いたかった な… ガルバ ディアの 2人の王様 と して も」
バーネット2世がハッとして言う
「ヴィクトール!?おいっ!待ちやがれ!今 死んじまったら!てめぇのデータは 保存されやがらねぇんだっ!ガルバディアのシステムが戻るまでは!意地でも死にやがるんじゃねぇえ!」
ヘクター(偽)が苦笑して言う
「いーや、無理だぜ?ガルバディアのシステムは お前らが生きてる限り戻らねーって 俺の相棒に教えてもらったんだ それに、そいつは いくら頑張ったって もう持たねーよ?今まで生きてたのだって 十分意地張ってたんだもんな?」
キルビーグとルーゼックが顔を見合わせた後 キルビーグが言う
「ガルバディアのシステムが止まっておる事に お前も関わっておるのか… 詳しい話は分かりかねるが ローゼック代理国王からも 話は聞き及んでいる お前がソイッド村の魔術師どもの失踪に関わっておると」
ルーゼックが剣を引き抜いて言う
「魔術師どもを操りおったのは貴様かっ!?ついでに そこのヴィクトール13世への仕打ちっ!よもや どの様な言い訳を申そうとも 許されぬぞっ!」
ヘクター(偽)がルーゼックたちを見た後 バーネット2世が慌てて言う
「ヴィクトール!?おいっヴィクトール!」
皆がヴィクトール13世へ向く ルーゼックがキルビーグへ叫ぶ
「キルビーグ!一刻も早く この偽者ヘクターを捕らえるのだっ!詳しくは分からぬが ガルバディアの力を戻す事に必要とあるなら 奴を仕留め 話を聞き出してくれようぞっ!」
キルビーグが言う
「ああ!分かった!」
【 ガルバディア城 セントラルコンピュータ 】
シリウスが目を閉じ ガルバディアのセントラルコンピュータへアクセスしている ユダの通信機が着信する ユダが驚いて通信機に出て言う
「バッツスクロイツ!通信を直せたんだね!?」
通信機のバッツスクロイツが慌てて言う
『ちょーっ!今の俺っちは バッコンヴォルデンなのー!』
ユダが疑問して言う
「え?バッコンヴォ…?それより バッコンルパンクロイツ!大変なんだ!」
通信機のバッツスクロイツが慌てて言う
『大変って!?それに その大変な名前も誰ー!?』
シリウスがセントラルコンピュータへアクセスを続ける その後ろでユダが通信機へ言う
「ガルバディアのシステムは 壊されちゃってて シリウスがプログラムで直す事は出来ないって でも 一部のシステムを使って原因を探してる だからクロイバッコンヴォルデン 大変かもしれないけど 原因さえ分かれば 君の手で直せるんじゃないかって シリウスが」
通信機のバッツスクロイツが焦って言う
『えー!?俺っち 今やっとソルベキアのセンコン直したんですけどー!?おまけに 黒いバッコンヴォルデンって それ ちょっとっ 嫌味ー!?』
ユダが言う
「それから!今すぐ僕が君を迎えに行くから ヴァルキリーたちを集めておいて!僕らの…っ この世界の敵が!ヘクターとデスの 彼らの最強データを消去させようと 狙っているかもしれないんだ!だから彼らをヴァルキリーたちで 守らせる!ガルバディアの力が使えない今 プログラマーの力は使えない!それから!バッコスヴォルデン!」
通信機のバッツスクロイツが焦って言う
『惜しいっ!一文字違うよ ユダっち!』
ユダが真剣に言う
「宝玉は!?各国の宝玉は 強化防壁で 保護されているのだよね?」
通信機のバッツスクロイツが頷いて言う
『うん、フリーになってるのは 今ユダっちが持っているのと キルビーグっちへ預けた ローレシアの宝玉 この2つだけ!』
ユダがホッとして言う
「良かった…」
通信機のバッツスクロイツが言う
『けど、ユダっち?折角ヴィクトールっちとバーネっちが ガルバディアの王様ーになれたのに?このデータが取れないーってのはスペシャルロストだと 俺っち思うんですけどー?このスペシャルレアデータは取って置きたかったなーって?』
ユダが苦笑して言う
「確かに 僕らが自然とガルバディアの王となった 今回のデータは超貴重ではあったけれど でも 僕らのデータに関しては この僕らの情報で良いと思うんだ だって…」
ユダが笑顔で言う
「この僕が 歴代のヴィクトール13世の中で もっとも長い時間をバーネットと 過ごせているのだものね!えへへっ!」
シリウスが衝撃を受け 怒って叫ぶ
「おいっ!ユダ野郎!てめぇえは 相変わらず 普通の奴が聞いたら 誤解する様な事を 言いやがるんじゃねぇええ!」
ユダが衝撃を受け 泣きながら怒って言う
「あー!酷いよバーネット!今まで何度も君を目の前で失って来た 僕の苦しみや悲しみを 君は知らないくせにー!」
シリウスが衝撃を受け 焦って叫ぶ
「だからっ!その部分をもっと強調して 言いやがれってぇええんだ!そぉじゃねぇえから いつも誤解されそうに なりやがるんだろぉがぁあ!馬鹿野郎ぉおお!!」
ユダが衝撃を受け呆気にとられた後 照れる シリウスが衝撃を受け焦る ユダが改めて言う
「でも、これで 何とか僕らの重要データは守られそうだね?シリウス」
シリウスが呆れて言う
「俺らの重要データじゃぁ無くって 俺らの世界を救う為の!重要データだぁ ったく 何だっててめぇの 下手くそな言葉は治らねぇんだぁ?」
ユダが膨れて言う
「下手くそな言葉じゃなくって 言葉が足りないって言ってよ?シリウス 僕は頑張って わざとやってるんだからね!」
シリウスが衝撃を受けて怒って言う
「やっぱり わざとだったのか!?てめぇえ!!」
通信機のバッツスクロイツが言う
『わざとって言えば?ユダっちたちのデータが保存されてないのも わざとなんだからー?マジ本気で その空っぽの宝玉に 2人のデータ入れるのだけーは 忘れないでよー?シリウス元国王っちが ガルバディアの機械から出ちゃった以上 2人の基本データは保護されないーんだから?』
ユダが疑問して通信機へ言う
「僕らのデータは シリウス元国王が 今まで通り 現実の世界へ送ってくれるんじゃ 無かったのかい?」
プログラムが警告を発し シリウスが確認し 表情を顰めて言う
「チッ… そう言う事か… 今まではどの世界においても ガルバディアのセンコンはシリウス国王自らが保持していた だが、このセンコンに関しては システムの力だけの 今までで最もセキュリティの弱い状態にあったんだ そこへ奴が付け込んで来やがった …こいつはもう完全に敵の手に落ちてやがる 周囲のプロテクトのお陰で 現状その影響が現れてねぇだけだ」
シリウスがセントラルコンピュータから離れて言う
「このままじゃぁ 遅かれ早かれ完全に乗っ取られっちまう この世界はもうダメだ 今ある情報を全部宝玉へぶち込んで終わらせる エスケープ時だぜ」
ユダが呆気に取られていた状態から気を取り直して頷く
【 ガルバディア城 玉座の間 】
ヴィクトール13世が苦しそうな表情を見せた後 目を開き 薄れる視界の中で言う
「あぁ… バーネッ… ご めん 僕 は…」
バーネット2世が困って叫ぶ
「ヴィクトール!待ちやがれ!てめぇが 死にやがったら!俺はどぉやって 戦えってぇえんだ!?あの元国王みてぇに 別の相棒を探しやがれとでも 言いやがるのか!?」
ヴィクトール13世が間を置いて言う
「バーネット… 嫌 だ… 君が 別の…」
バーネット2世が苦笑して言う
「はは…っ な、なら てめぇが生きて居やがらけりゃ 駄目だろぉがよ?じゃねぇと 俺は他の相棒を探しちまうぜ?てめぇを置き去りにして 別の大剣使いの相棒を探しに アバロンへ行っちまうぜ?」
ヴィクトール13世が目に涙を溜めてバーネット2世へ視線を向ける バーネット2世が苦笑して言う
「嫌なら 生きてやがれってんだ もう少しだぜ?あいつらが あの偽者ヘクターの野郎を ぶっ倒してくれやがる …ガルバディアのシステムさえ取り戻せれば てめぇえはガルバディアの機械が 命を繋ぎ止めてくれやがる …しばらく出られねぇけどな?」
ヘクター(偽)が両膝を着き両手を着いて 荒い息で言う
「ち… くしょ… 何で… 俺は完全に ヘクターの真似を… 世界一の強さを持ってる 筈なのに…」
ヘクター(偽)がフォーリエルの姿へ変わる ルーゼックが剣を向けて言う
「貴様の負けだ 偽者ヘクター 命が惜しくば ガルバディアの機械を戻せ 貴様が何ぞ悪戯を行っておるのであろう?今回だけは それを直せば 貴様の罪を大目に見てやっても良い …早く致せ ヴィクトール13世の命が尽きれば 貴様の命も尽きる事となりおるぞ?」
ルーゼックが剣を構える フォーリエルがルーゼックを見上げて言う
「無駄さ… 俺はこの世界の結末を聞いたんだ ガルバディアのシステムが戻る時には ヴィクトール13世は この世から消滅してる」
ルーゼックが言う
「聞いた?…貴様では ガルバディアの機械は直せぬと 申すのか?」
フォーリエルが苦笑して言う
「俺はただの剣士もどきだぜ?機械なんて大の苦手だ 俺はあんたらの敵だって奴の指示に従っただけだ」
遠くから足音が響き ユダとシリウスが玉座の間へ駆け込んで来る ユダが周囲の様子を見て言う
「これは…一体!?」
ルーゼックとキルビーグが驚き キルビーグが言う
「ユダ、シリウス 貴殿らも来ていたのか?」
バーネット2世が叫ぶ
「ヴィクトールっ!!」
皆がヴィクトール13世へ向く ヴィクトール13世が苦しそうに言う
「ご… めん ね バーネット 僕は… も う… でも… よかっ… 君は… 助かっ…」
ヴィクトール13世が目を閉じる バーネット2世が泣きながら叫ぶ
「ヴィクトール!馬鹿野郎っ!俺は てめぇえ以外の相棒なんざ 認めねぇええ!このガルバディアも 俺もてめぇえも 全部っこれでっ!」
シリウスが言う
「はっはー これで決まりだなぁ?俺らのデータは てめぇらで決定だぜ」
ユダが一瞬驚いて言う
「え?決まりって…」
シリウスが宝玉を取り出す ユダが衝撃を受け焦って叫ぶ
「えぇええーっ!?」
ユダがシリウスの腕を掴んで焦って叫ぶ
「待ってっ!シリウスっ!僕らのデータは!」
シリウスが言う
「るせぇ 待てねぇよ このままじゃぁ てめぇが死んじまうじゃぁねぇか?俺はてめぇを見殺しになんざ ぶっ殺されたって する気はねぇんだ」
シリウスがバーネット2世へ宝玉を手渡して言う
「ほらよ てめぇらのデータを保存しやがれ 俺らが現実の世界へ送ってやる」
バーネット2世が向けられている宝玉から伝いシリウスを見上げて言う
「シリウス… てめぇは…?」
シリウスが仮面を外して言う
「俺はてめぇだ 分かったらさっさとしやがれ ヴィクトールがくたばっちまうだろうがぁ?ついでに みっともねぇから 人前で泣くんじゃねぇよ 馬鹿野郎」
バーネット2世が苦笑して宝玉を受け取り言う
「だなぁ?けど 誰も覚えちゃいねぇから 心配ねぇよ」
シリウスが苦笑する バーネット2世がヴィクトール13世を片手に抱き 宝玉を握って言う
「ヴィクトール 安心しやがれ 俺の次の相棒だって やっぱりてめぇだ」
バーネット2世が目を閉じて強く念じる 宝玉が強く光り 光が消えると共に宝玉が残り2人が消える シリウスが宝玉を拾いユダへ言う
「さて、次はそこの2人か 丁度 ローレシアの宝玉も持ってやがるしな?…それとも 全員ひとまとめにしてから説明をしてやるか?その方が…」
ユダが泣きながら怒って言う
「酷いよバーネット!僕を裏切ったね!?この僕とバーネットが 僕たちのデータになる筈だったのにーっ!このー!裏切り者バーネット!」
シリウスが衝撃を受け 怒って言う
「る、るせぇええ!ユダ野郎っ!てめぇに 裏切り者呼ばわりされる覚えはねぇえ!大体 俺たちのデータが ちょいと歳食っちまった この俺たちじゃぁ 元の世界に戻った時 他の奴らに比べて ハンデになっちまうだろぉおが!」
ユダが泣きながら怒って言う
「いーんだもんっ!ちょいと位歳食ってたってー!この僕とバーネットなら きっと2回も3回も4回だって 世界を救えたのにーっ!」
シリウスが怒って言う
「るせぇええ!だったら その4回目のこの世界が救われやがれば いい加減 気も済みやがるだろぉお!?まだ ちょいと 救い切れちゃいねぇえが!こんだけ救えば十分だろぉおが てめぇえは!?」
ユダが泣きながら怒って言う
「ヤダ!もっと遊んでいたいもん!この世界が4回目なら 5回と6回と7回も作りたいー!」
シリウスが衝撃を受け 怒って叫ぶ
「るせぇえ!ユダ野郎っ!てめぇはまだ5回も6回も7回も 世界を危機に落としてぇえのか!?てめぇえは いい加減 世界を救いてぇえんだか 滅ぼしてぇええんだか ハッキリしやがれ!」
ユダが衝撃を受け怒って言う
「バーネットこそ いい加減分かってよ!僕は世界を救いたいんでも 滅ぼしたいんでもないっ!ただ 君とずっと遊んでいたいだけだもん!」
ユダが膨れる シリウスが衝撃を受け 焦って言う
「て、てめぇえ!分かってっから それをハッキリ言いやがるんじゃねぇええ!嘘でも 世界を救いたいって 言いやがれ!じゃねぇえと 俺らが本当に悪役みてぇえじゃねぇえか!?」
ユダがあっけにとられた後 苦笑して言う
「けど、やっぱり 僕らは 悪役でも 世界を滅ぼせなかったね?シリウス?」
シリウスが衝撃を受け 視線をそらし焦って言う
「ま、まぁ てめぇえの その無謀なシナリオのお陰で 俺らに一番有効なデータが採れやがったけどなぁ!?その為に 世界を危険に晒しっちまうってのは いい加減止めた方が良いと思うぜ?俺はよ」
ユダが笑顔で言う
「バーネットは 何だかんだ言っても やっぱり 慈愛の王様だよね?バーネット?」
シリウスが衝撃を受け焦って言う
「てめぇえは 結局 どんな泣き虫ヴィクトールでありやがっても 野蛮で無謀で自信過剰で ついでに我がままな アバロンの大剣使いでありやがるぜ!ヴィクトール!」
ユダがあっけにとられ考えた後 照れる シリウスが衝撃を受け 怒って叫ぶ
「せめて 1つぐれぇ 否定しやがれっ!!」
フォーリエルの後方にテスクローネが現れて言う
「なるほど そう言う事だったのか」
皆が驚きフォーリエルの後方を見る フォーリエルが言う
「テスっ!?」
テスクローネが微笑して言う
「ヴィクトール13世の消滅は 宝玉への保存で成される事であったとは… そこまでは」
テスクローネの姿が一瞬不鮮明になり言う
『解析が及ばなかった… 流石はシリウス』
ユダが気付いて言う
「…シリウス?」
テスクローネの状態が戻り視線を向けないまま言う
「フォーリエル… 傷付けてしまってすまない 我々は戻ろう 偽物ではない 本物の旧世界へ」
フォーリエルが苦笑して言う
「ああ 目的は果たされたんだもんな?」
テスクローネが微笑する フォーリエルとテスクローネが消える キルビーグがルーゼックの横へ来て言う
「本物の旧世界… どうやら この世界が偽りの世界であると申す ローゼック代理国王殿の申されていた話は 誠であった様子であるな?ルーゼック」
ルーゼックが視線をユダたちへ向けたまま言う
「…ふむ、よもや 父上が ご乱心なされたのではないかと 本気で心配しておったのだが その心配だけは拭われおったわ」
ローゼックが怒って言う
「であるからにしてっ!私は乱心などしておらぬと 何度も申したのだっ!馬鹿者っ!」
シリウスが驚いて言う
「この世界が偽り!?ローゼック元デネシア国王 何でてめぇが それを知ってやがる?」
ローゼックが言う
「ふんっ 知っておるぞ?今 ここに居る我らは 全て意識だけの存在であり 本来の我らは長きに渡り 現実の世界で眠り続けているのだと申す事もな?そして、事の始まりは 数十年前に 各国の王が話し合い 取り決めた事であると言うことも」
ユダとシリウスが驚き顔を見合わせ シリウスが言う
「何でてめぇが 知ってやがる!?この世界の真実は その俺らが眠りに着いてやがる 現実世界で意識を取り戻した奴にしか 知らされてねぇ筈だ てめぇは 今まで一度も」
ローゼックが苦笑して言う
「その現実世界で意識を取り戻したであろう 貴様らが 何故再びこの世界に戻って来よったのか?この世界の約束事など とうに破られておる様だな?」
ユダが言う
「我々は 真実を知った上で 更なる飛躍を促す為 この世界に戻って来た 決してもう1人の自分たちに 協力はしないと言う事を誓って …しかし、貴方の場合は」
シリウスが一つ息を吐いて言う
「意識の覚醒が成される以前に 情報を知っちまったんじゃぁ どうしようもねぇ 自分の行動に影響を与えねぇ なんて事は出来ねぇもんなぁ?」
ローゼックが微笑して言う
「私をこの世界から追放致すと申すのか?だが、今の貴様らではそれも叶わぬのであろう?」
シリウスが言う
「今は出来ねぇが 次の世界にてめぇえの意識は入れさせねぇ そうなりゃてめぇは この世界の俺の親父やヴィクトール12世の様に 記憶の中にだけ存在するって事さえ難しい 何しろ てめぇの情報は保存されてやがらねぇんだからなぁ?下手すりゃぁ 現実世界の体だってどうなるか分からねぇぜ?」
ローゼックが軽く笑って言う
「ふん、そうしたくばするが良い だが、今までと共に 貴様らが後に作る世界においても重要となる ローレシアの2人の王が それらの真実を知っておればどうなる?」
シリウスとユダが一瞬驚き ユダが言う
「それはどう言う…?」
キルビーグが一歩出て 宝玉を見せて言う
「貴殿らから返して貰った このローレシアの宝玉には この我らのデータを保存する もちろん ローゼック殿の情報もな?」
ローゼックがシリウスへ向いてにやりと笑む キルビーグが言う
「よって 今後 貴殿らがいかなる世界を造ろうとも 我らローレシアの2人の王とローゼック殿は この世界の真実を知る者となろう」
シリウスが表情をしかめる ユダが困った様子で言う
「それでは 世界の均衡が図れない この世界の真実を知るデータがあっては どの様なシナリオを作っても影響が現れてしまう」
ローゼックが言う
「まだ分からぬのか?もう貴様らが この様な世界で 強者を作り上げるなどと申す 姑息な手段を行っている暇は あらなんだぞ?」
キルビーグが言う
「バーネット2世、ヴィクトール13世 我らは この世界の真実と 現実世界の現状を この世界において公言致し 共に戦う勇士を募り 宝玉への情報の保存を 最終決定致すべきではなかろうか?」
ルーゼックが言う
「多くの最良情報を求めるのは間違いではない だが、そうしておる間にも 我らの真の世界は旧世界の侵略に晒されんとしておる この世界へ奴の力が及び始めおったのでは もはや猶予はあらぬ」
シリウスが言う
「それはそうだがっ 旧世界の力は現実世界の俺たちとは比べ物にならねぇ!少なくとも あの機械兵と同等に戦えるくれぇの力を 一般の兵士が持ち合わせるくれぇじゃなけりゃ 話にならねぇんだ!」
オライオンの声が聞こえる
「俺たちは あの機械兵と同等に戦ったぜ!バーネット第二皇帝陛下!」
シリウスたちが驚き 玉座の間の入り口へ顔を向ける オライオンに続いて リーザロッテがやって来て言う
「ええ!そうでしてよ!そして 現在も!各国の移動魔法陣へ突如現れた 機械兵たちの相手を 皆で協力して行っておりましてよ!ヴィクトール第一皇帝陛下!」
シリウスたちが驚き ユダが言う
「各国の移動魔法陣に 機械兵たちが!?」
【 アバロン城 玉座の間 】
ヘクターが叫ぶ
「ヴァルキリーも俺たちに協力してくれてるんだ!この際どこの国の奴らだとか 敵だったとか味方だったとか関係ねー!この世界に生きる奴らと機械兵との勝負だぜ!」
プログラマーが周囲にソルベキアのプログラムを表示させ 一瞬の後それらが反転してガルバディアのプログラムになる プログラマーが言う
「ヘクター、完了した これでソルベキアのシステムを利用して お前のサポートが出来る」
ヘクターが叫ぶ
「よし!アバロン1番隊を除く 全部隊を他国への援護に向かわせろ!それから1番隊隊長へ伝達!アバロン城下町へ入り込んだ機械兵を必ずぶっ倒して 町を死守しろってな!ヴァルキリーと俺らは 門前で機械兵の相手をしてやるぜ!」
プログラマーが玉座の間を出て行く ヘクターがすぐに追いかけ プログラマーを担ぐと共にプログラム加速を実行する ヘクターの肩に腰掛けたプログラマーが言う
「ソルベキアのシステムを利用する為 処理速度は激しく低下する しかし」
ヘクターが笑んで言う
「おう!世界一の大剣使いと世界一のプログラマー 俺たち2人に不可能はねー!」
プログラマーが微笑する
【 上空 】
3体のドラゴンが飛ぶ ドラゴンに乗ったオライオンが言う
「各国の移動魔法陣は使えなくなっちまったけど 通信は通じるし 対人移動魔法が使える魔法剣士部隊は魔法での移動が出来る だから 俺たちが確認した範囲では…」
ドラゴンに乗ったリーザロッテが言う
「デネシアとアバロンで結成された魔法剣士部隊は デネシアの援護へ向かったわ!ローレシアとローゼントの魔法剣士部隊はローゼントを!3大国家のローレシア、アバロン、シュレイザーは ヴァルキリーが守っていてよ!」
ドラゴンに乗ったユダが言う
「ヴァルキリーへの指示は誰が!?」
オライオンが言う
「シュレイザーのヴァルキリーは シュライツが!アバロンのヴァルキリーは レクター!ローレシアは分かんねーけど ちゃんと戦ってるって話だ!」
ユダの乗ったドラゴンが少し振り返り シリウスの声で言う
「ローレシアのヴァルキリーは あのウィザードの野郎かもしれねぇ ソルベキアはバッツスクロイツが指揮ってやがる筈だ 残るは ツヴァイザーとスプローニ、ついでにカイッズかぁ!?」
ユダが言う
「ソイッド村とヴィルトンの港町へは ルーゼックとキルビーグ それから ローゼック元デネシア国王が向かうと言っていた ベネテクトは先のワープロード破壊時に 念の為移動魔法陣を封鎖しておいたのが役立ったが 封鎖プログラムは解除されてしまう可能性も否定は出来ない!」
オライオンが言う
「なら!ヴィクトール陛下たちは まずベネテクトに行けよ!そっちが安心出来ねーと バーネット第二皇帝陛下は土壇場でもベネテクトの援護に行っちまうからよー?」
ドラゴンのシリウスが衝撃を受け 怒って叫ぶ
「ったりめぇええだ!俺はそのベネテクトの王なんだ!自国の援護を最優先にする事の何がいけねぇえってんだ!?あぁあ!?」
ドラゴンのシリウスがオライオンへ炎を吐く オライオンが焦げて叫ぶ
「あちーっ!バーネット陛下!俺がシュライツに炎慣れさせられてなかったら 燃え尽きてたってーのっ!」
ドラゴンのシリウスが言う
「ハッ!知ってっから やってやったんだ!まぁ そぉ言う事で 俺らはまずベネテクトへ向かう そっちが 終われば 隣のツヴァイザーへも向かってやるぜ!」
オライオンが言う
「スプローニは先住民族と銃使いたちが手を組めば 機械兵と対等に戦えるって話だ!リーザ お前もツヴァイザーへ向かうんだろ!?」
リーザロッテが考えてから言う
「いいえ!私はカイッズへ向かって差し上げてよ!ツヴァイザーにはレイトやヴェイン、シャルが 既に向かっているわ!オライオン あなたも合流して頂戴!」
オライオンが驚いて言う
「あぁ!?何言ってんだよ!?ツヴァイザーの援護に ツヴァイザーの王女である お前が行かねーなんて!」
リーザロッテが言う
「ええ!だから私の優秀、勇敢な仲間を向かわせるのでしてよ!私は小さき国々の勇者として カイッズを死守した後 ツヴァイザーへ向かうわ!貴方方はそれまで!なんとしてもツヴァイザーを守って頂戴!宜しくって!?」
オライオンが呆気にとられた後 うなずいて言う
「分かった!任せとけ!お前が戻るまでに 全部終わっちまってるかもしれねーぜ!?」
リーザロッテが微笑して言う
「あら?それでは困ってしまってよ?勇者の私が戻る前に終わってしまっては 格好が付かなくってよ?」
オライオンが笑って言う
「なら 早くカイッズを死守して戻って来いよな!?ツヴァイザーの勇者様!」
リーザロッテが笑んで言う
「ええ!勿論でしてよ!」
3体のドラゴンが3方向へ分かれて飛んで行く
【 カイッズ国 】
カイッズの司祭が慌てて言う
「何をしておるか!?カイッズ部隊ども!巨人族どもっ!これぞ 天上の神々からの我らへの試練っ!今こそ立ち向かわずしてどうする!?」
カイッズ部隊らが怯えている その後方で巨人族らが跪いて祈って言う
「わ~ 天上の神々様~ 我らは罪深き子らです~」
「これが天上の神々様の 我らへの評価なんだ~ 我らの罪は許されなかった~!」
上空からリーザロッテが降り立ち 槍で床を突いて叫ぶ
「勇敢なるカイッズ国聖戦部隊の皆!何を恐れていらっしゃってっ!?奴らが城下町へ入り込んだら 多くの民が命を奪われてよ!貴方方は このカイッズの民と国を守る兵士!貴方方の後ろには この国の兵士である貴方方を信じ 祈りを捧げている多くの民がいらっしゃってよ!?」
カイッズ部隊員らが顔を見合わせる リーザロッテが巨人族へ向いて言う
「そして!カイッズ国の先住民族 巨人族の皆!スプローニの先住民族は 貴方方よりよっぽど小さな体でも 私たち後住民族と共に 共存するスプローニ国を守って戦っていてよ!?貴方方は このカイッズ国の後住民族と共に 同じ天上の神々を信じるのであるなら!共に祈りを捧げ 共に生きる このカイッズの地を守るべく 今こそ共に戦うべきでしてよ!」
巨人族たちがリーザロッテを見上げて言う
「せ、聖母様だっ 我らの聖母様のお言葉だっ!」
カイッズ部隊長が振り返って言う
「そうだぞ皆!我らはカイッズ聖戦部隊!我らの戦いには!天上の神々からの加護が付いているのだ!今までも どの様な敗戦を帰そうにも 我らの命は救われて来た!そして今!天上の神々は 我らへ戦いを促す為!あの下っ端聖母様を 我らの前に現して下されたのだ!」
カイッズ部隊員らが驚き声を上げる リーザロッテが衝撃を受け 一瞬怒って言う
「し!?下っ端…っ!?」
リーザロッテが咳払いをしてから 改めて 機械兵らへ槍を向けて叫ぶ
「このカイッズの勇敢なる兵士と巨人族 この2つの力の前に 機械兵など恐れるに足りなくってよ!さぁ!自分たちの力をその目で確認してごらんなさいっ!カイッズ砲撃部隊!撃ち方構え!」
カイッズ大砲隊が大砲を用意する カイッズ部隊員らが固唾を飲む 巨人族たちが怯えつつ見守る リーザロッテが機械兵らとの間合いを見極め叫ぶ
「撃てーーっ!!」
カイッズ大砲隊が一斉に砲撃を行う 機械兵らが横一線に放たれた砲撃を避けられず 砲撃を食らって倒れる カイッズ部隊員らと巨人族が驚き呆気にとられる リーザロッテが叫ぶ
「カイッズ砲撃隊が存在する限り!このカイッズ国は守られてよ!後は 奴らが現れる移動魔法陣を破壊致して差し上げたら宜しくてよ!私が…!」
リーザロッテが言い掛けると 巨人族らが声を上げる
「我らも戦うぞー!」「我らも このカイッズ国を守るんだー!」
カイッズ部隊員らが声を上げる
「我らカイッズ聖戦部隊も負けておれぬ!我らには天上の神々と カイッズの民らの祈りが付いているのだー!」
一斉に皆が喝采をあげる リーザロッテが呆気にとられる カイッズ部隊長がやって来て言う
「奴らは移動魔法陣から現れるのですね!?でしたら その役目 どうか 我らにお任せを!」
リーザロッテが呆気に取られた後 笑んで言う
「ええ!勿論でしてよ!このカイッズを守るのは 貴方方でしてよ!」
カイッズ部隊長が力強く言う
「はっ!我らが 下っ端 聖母様っ!」
リーザロッテが衝撃を受け怒って叫ぶ
「一言多くってよっ!!」
【 ベネテクト国 】
ベネテクトの移動魔法陣が 大音量で破壊される ユダがシリウスへ言う
「機械兵が現れない内に破壊出来て良かったね!バーネット!」
シリウスが言う
「ああ、ヴァルキリーどもを連れてくるにしても 時間がかかっちまう所だったしな 念の為だったプロテクトが役に立ちやがるとは… 現実の世界の移動魔法陣も 一通りプロテクトを掛けて 正式な要請を受けた時以外は開かねぇ位ぇの警戒をした方が良いかもしれねぇ」
ユダが言う
「そうだね もっとも 僕らには出来ない作業に なってしまったけどね?」
シリウスが呆気に取られてから苦笑して言う
「ああ、そぉだった… んなら、ソルベキアへ戻った時にでも シリウス元国王殿へ連絡を入れてやりゃぁ良い」
町人が言う
「バーネット陛下!?」
シリウスとユダが驚き振り返る 大勢の町人が心配そうに見守っている シリウスが苦笑して言う
「ああ、すまねぇ 何の連絡も入れずに破壊しちまって 脅かしちまったか?」
町人たちが顔を見合わせ微笑んだ後言う
「あの… 貴方様も 20年後から戻られる勇者様と言う 未来から戻られたバーネット陛下ですか?」
シリウスが気付き 慌てて言う
「あ?あ、ああ!そ、そぉなんだ!今まではソルベ いや!そのー… ああ!ガルバディアに居てよ!?…まぁ それでも ちょいちょい 来ては居たんだけどな?」
ユダが衝撃を受け 焦って言う
「ちょいちょい!?それじゃ!僕が目を離した隙に 君が城からちょくちょく 居なくなってたのはっ!1人でベネテクトの町へ お忍び里帰りしてたって事!?バーネット!?」
シリウスが衝撃を受け 慌てて言う
「え!?あ!?いや、その あの…っ ま、まぁ良いじゃねぇか?済んだ事だしよ!?」
ユダが不満そうに頬を膨らせる シリウスが焦る 町人たちが顔を見合わせ微笑した後言う
「しかし、未来のバーネット陛下であっても お姿を見られて良かった」
「ああ、バーネット陛下は ガルバディアの王になられる以前からも アバロンの第二国王へ出張していたりで すっかり そのお姿が ベネテクトで見られなくなってしまって」
「ええ、我々は とても寂しく思っておりましたから」
町人たちがシリウスを見て微笑む シリウスが呆気に取られた後視線を落として言う
「あ… ああ、すまねぇ けど 俺は… 元々ベネテクトの王じゃ… そもそもベネテクトの国すら」
ユダが笑顔で言う
「彼らは皆 このベネテクト国の民だものね!親愛なる ベネテクトの王である バーネット2世・ベネテクト陛下に会えなくて 寂しがってたんだよ!バーネット?」
町人たちが笑顔で言う
「勿論です!我らは皆 このベネテクトの民 王に愛されし民ですから」
「そうですとも!ベネテクト城も無くなってしまって 我らのベネテクトの王も アバロンやらガルバディアやらへの出張で大忙しと その様に お忙しいとは分かっておりますが たまにはそのお姿を 我らへお見せ下さいませ バーネット陛下」
シリウスが呆気に取られる ユダが苦笑して言う
「彼らに… この世界の彼らの王である バーネットの姿を見せてあげたかったね」
シリウスが苦笑して言う
「ああ、そうだな あいつも俺と同じで ちょいとひねくれちまってたからな ベネテクトの民はアバロンとツヴァイザーの民じゃねぇかって… 何を今更言ってやがるんだかなぁ?今なら分かるぜ 俺はやっぱり ベネテクトの王なんだってよ」
ユダが微笑して言う
「うん、彼らも君を必要としているんだよ 彼らは 君のベネテクト国の民なのだもの!」
シリウスが苦笑する 町人たちが微笑んだ後疑問して言う
「それにしても、未来ではなく 現代のバーネット陛下は 今もガルバディアだろうか?」
ユダとシリウスが衝撃を受ける 町人が言う
「我々も待っているばかりではなく 折角、道も開けたのだし 我々から向かってみるべきだろうか?」
シリウスとユダが焦る 町人が言う
「そうだな!未来のバーネット陛下にお会い出来たのも 何かの縁だ ガルバディアへ!現代の我らの王へ挨拶へ向かおう!」
町人たちが盛り上がる シリウスが焦って言う
「あーっ!いやっ そのっ!げ、現代の俺も 近々ベネテクトへ来るって言ってたぜ!?今はっ あの…っ」
シリウスがユダへ助けを求め視線を向ける ユダが衝撃を受け焦る 町人が言う
「では早速準備をして 明日にでも出発しよう!」
「行き先は北方のガルバディアだ 皆 十分な防寒を用意しろ?」
「ああ!しっかり準備をして向かわなければ お優しい我らベネテクトの王は 我らの無理には お怒りになるぞ!?」
町民たちが笑う ユダが1度苦笑してから笑顔で言う
「うん!今は比較的雪の少ない時期ではあるけれど ガルバディアへ向かう道は このベネテクトにはない一面の雪で覆われている!十分な体力と防寒を用意して 明日 皆で向かってくれ!」
町民たちが返事をして早速皆で相談を開始する シリウスが困って小声でユダへ言う
「お、おい…っ ユダっ!?」
ユダが苦笑して言う
「僕らはもうすぐこの世界から消える そして その僕らと共に この世界も… だとしたら」
シリウスが言う
「シリウス元国王が作ったこの世界は 現実の世界で眠りに着いている連中の為のモンだ… だが、この世界を構成するために そいつら以外の情報も必要とされ その情報を提供した連中の記憶には その時の記憶が残っちまう… それを現実世界の連中が 夢か幻か… 何だったと記憶しているのかまでは 分からねぇが…」
ユダが苦笑して言う
「彼らは明日 ガルバディアへ向かうと言う事を考えて この世界が消える瞬間までその準備を行うかもしれない そして… 現実世界の皆が それを覚えていたとしても 目覚めた世界で 本物の君に会えるのなら?その場所がベネテクトでも ひょっとしたら ガルバディアでも 良いじゃない?バーネット?」
シリウスが苦笑して言う
「はっは… だなぁ?ちょいと騙しちまう様な気もするが 今だけは… それでも良いかぁ?この詫びは… 現実の世界で返させる こいつによ?」
シリウスが宝玉を見る ユダが見て微笑んで頷く
ローゼックが移動魔法で現れて言う
「えぇいっ ルーゼックとキルビーグの馬鹿者どもがっ!ローレシアの防衛で すっかり疲れ切ってしまった老体の私にっ!ソイッド村の確認まで行わせるとはっ!やつらには先々代国王を敬う気持ちはあらなんだかっ!」
ローゼックが歩き始める ウィザードが笑顔で言う
「そう文句を言いながらも やっぱりソイッド村へやって来たお前は なかなか良い奴だ そんな気がする」
ローゼックとウィザードが村の入口へ向かう
ローゼックが村に入って言う
「な…っ!?何だ?人っ気がまったくあらなんだ…?村人どもは何処へ行きよった?アバロンに現れよった ソイッド村の魔力者と申す者の数は 決して数えられなんだ数では無かった筈 村人全てがおらなんだなってしまうとは 一体… おいっ!誰か居らぬのかっ!?」
ローゼックが村に進み入って行く ウィザードが付いて行く ローゼックが周囲を見渡し気付いて言う
「うん?何だ?あの黒い霧は?あの先の扉から湧き出ておる様であるが…?」
ローゼックが造船所へ向かって行く 周囲の霧が増して行く ウィザードが気付き笑顔で言う
「おお!私はこの魔力は嫌いではない 何故ならこの魔力こそ 私の魔力なのだ しばらくここに居れば 私はアバロンでの虐めや 今までに消費した悪魔力を 全て補う事が出来るのだ そんな気がする」
ローゼックが苦しそうに言う
「ああ、確かに 貴様の支援魔法を受けた時と同様に 体中が蝕まれるようなこの魔力は 恐らく貴様の魔力の元となるものなのだろう この濃度の強い魔力が ソイッド村の魔術師どもの正気を狂わせ ツヴァイザーやカイッズなんぞに 踊らされよる… 結 果… と…」
ローゼックが膝を折り両手を地に着け息苦しそうに言う
「これは…っ!?一体 何が…っ!?」
ウィザードがひらめいて言う
「おお!そうだ、この悪魔力は生物には 本来有害なのだ 多く浴びると魔物化現象が起きてしまう だから、ローゼック前々国王 お前もこの魔力には 近づかない方が良いのだ そんな気がする 私としては残念だが 移動魔法でローレシアへ戻るか?」
ローゼックが怒って言う
「馬鹿者っ!そう言った話は 近づく前に致さぬかっ!しかし、ソイッド村にこの様な魔力が溢れておるとはっ このまま原因を突き止めずして おめおめとローレシアへ戻る事などは出来ぬっ せめて あの扉の先を確認せなんだ…っ」
ローゼックが壁に手を付いて立ち上がり扉へ向かう ウィザードが首を傾げつつ付いて行く
ローゼックが造船所の扉に手を掛け 重い扉を押し開く ローゼックが扉の先へ視線を向け驚いて言う
「なっ!?誰だ 貴様はっ!?ソイッド村の者では あらなんだ!貴様の出で立ち… まるでエドのっ!?」
テスクローネが微笑んで言う
「はい 私はエドの町で団子屋を営んでおります テスクローネと申します」
ローゼックが一瞬呆気に取られた後言う
「エドの… 団子屋?それが 何故 我らローレシアの領地 ソイッドに居るのだっ!?しかも この様な状況に 貴様1人が…っ!もはや 言い逃れは出来ぬぞっ!」
ローゼックが剣を引き抜き テスクローネへ向ける テスクローネが呆気にとられた後 苦笑する ローゼックの剣が払われ フォーリエルが現れて言う
「おっと、俺の相棒に剣を向けるなよ?相手なら俺がする」
ローゼックが表情をしかめ フォーリエルへ剣を向ける テスクローネが微笑して言う
「フォーリエル、折角だ 魔法剣士部隊の真似をしてみたらどうだい?この周囲の悪魔力を利用すれば 魔力者からの支援が無くても お前なら出来る筈だ」
フォーリエルが疑問した後笑んで言う
「おう!お前がそう言うなら 出来るんだろな!それじゃ 俺の一番得意な真似 アバロンの大剣使いで魔法剣士だぜ!」
フォーリエルが気合を入れる 周囲に数字の羅列が纏わり フォーリエルがヘクターの姿になる 手に持っていた剣を振り払うと大剣になり黒い炎が宿る ローゼックが呆気に取られる フォーリエルがにやりと笑って言う
「アバロン3番隊隊長ヘクターに魔法剣だぜ!俺に勝てるか!?ローゼックのとっつぁんよ!?」
フォーリエルがローゼックへ斬りかかる ローゼックがハッとして身を引き ウィザードへ叫ぶ
「何をしておるかっ!?レクターもどき!私へ支援魔法を与えよっ!」
ウィザードがひらめき笑顔で言う
「おお!私の出番だったのか!?よし、今は沢山の悪魔力を得て 気分が良いのだ 支援魔法を与えてやろう」
ウィザードが続けて魔法を放ち ローゼックを加速させ剣を魔法剣にする ローゼックがフォーリエルの剣を剣で受け止めて言う
「ふんっ!アバロンの大剣使いヘクターの真似のつもりか?だが残念だったな 貴様の真似は 所詮見た目だけよ!本物の大剣使いの力も!魔法剣の威力も!持ち合わせては おらなんだっ!」
ローゼックがフォーリエルの魔法剣を払い斬り掛かる フォーリエルが剣で防いで言う
「…くっ!こいつ 口だけじゃねぇ…っ」
ローゼックが笑んで言う
「当然だっ 若造が!私はイシュラーンの馬鹿者に見くびられ様とも 最後まで戦い生き残った デネシアの剣士ぞっ!そんじょそこらの剣士もどきと思ってか!」
ローゼックが優勢でフォーリエルを攻撃し 海岸まで追い詰める フォーリエルの足が海水に浸かる ローゼックが笑んで言う
「さぁどうする!?後があらなんだぞ!?」
フォーリエルが舌打ちをして言う
「チィッ 確かに デネシアごときの先々代国王だと甘く見たぜっ ただ攻撃してるだけだと思ったら 悪魔力の薄まる海上へ誘導するなんて…っ」
ローゼックが呆気に取られて言う
「は?悪魔力が薄まる海上とな?そうであるのか?私はその様な事など知らなんだ…」
フォーリエルが呆れる フォーリエルが気を取り直して言う
「魔法剣士の真似は止めだぜ!やっぱ ヘクターの援護って言ったら」
フォーリエルがローゼックの剣を払い意識を集中させる フォーリエルの手に持つ大剣の炎が消え 代わりに数字の羅列が発生する ローゼックが疑問して言う
「なんぞ!?あの魔法は!?」
フォーリエルが剣を構え 笑んで言う
「知らねーのか!?アバロン3番隊隊長ヘクターの相棒 プログラマーの力を!」
ローゼックが疑問して言う
「プログラマー?…えぇい!知らぬわっ!訳の分からぬ言動ばかりしおってっ!大体 アバロンのヘクターは元傭兵隊隊長である!位置的にはアバロン3番隊ではあるが めったな事では3番隊などとは呼ばぬのだっ!貴様は姿言動を真似るのならば まずは事前の情報収集を欠かすでないっ!馬鹿者がっ!」
フォーリエルが呆気に取られテスクローネへ向く テスクローネが苦笑して言う
「ああ、この世界のアバロン傭兵隊は 3番隊への改名はしていないんだ」
フォーリエルが表情をしかめて言う
「チィ… 俺とした事が 抜かったぜ…」
ローゼックが笑んで言う
「案ずるな若造 貴様はここで私に打ち負かされ ローレシアへと搬送されるのだ ソイッド村をこの様な状況に致したからには 最も低い刑に処されようと 二度とヘクターもどきの真似事なんぞが出来ぬ頃まで 牢屋へぶち込まれよるわ!」
ローゼックが剣を構える フォーリエルが苦笑して言う
「嫌なこった!ローレシアの牢獄じゃ メシも不味そうだしな!どうせ ぶち込まれるなら やっぱアバロンが良いぜ!」
ローゼックが苦笑して言う
「ふ…っ それは貴様が正しい認めてやろう… 叶わぬがなっ!」
ローゼックが斬り込む フォーリエルが全身にプログラムを纏い ローゼックの剣を避け反撃する ローゼックが一瞬呆気にとられた後 ウィザードの支援魔法を受け フォーリエルの剣を避ける 2人の応戦が始まる テスクローネが2人の戦いを眺めていて言う
「うん… 意外だったな?完全に以前のヘクターを真似ている フォーリエルに デネシアの我流剣士がここまで付いて来るとは… それとも 彼を支援する あのウィザードの力なのか… どちらにしろ これ以上時間をかけるわけにはいかない」
テスクローネがローゼックを見つめる テスクローネの瞳の色が赤くなる 戦いの中にあるローゼックが異変に気付き 身動きを封じられて言う
「グッ…!?か、体が 動かぬ…っ!?」
フォーリエルが剣を振り上げて叫ぶ
「食らえぇええーっ!!」
ローゼックがフォーリエルへ視線を向けて焦る 空から声が届く
「お父様っ!我ら小さき国の勇者が 只今 お助け致します!」
皆が驚き空を見上げる 1体のドラゴンが飛んで来てローゼックを救出し飛び去る テスクローネとフォーリエルが驚き フォーリエルが慌てて言う
「なっ!?ドラゴン!?」
飛び去って行くドラゴンをフォーリエルが見上げてから テスクローネへ向く テスクローネが軽く息を吐いて言う
「…まぁ 良いかな 彼に知られた所で 何も変わりはしないから」
テスクローネが去る フォーリエルがテスクローネの言葉に 一度飛び去ったドラゴンを見上げてから テスクローネの後を追う
【 上空 】
ローゼックが意識を取り戻し目を開くと驚いて叫ぶ
「…うん?…ぬわっ!?なっ!何事かっ!?」
レリアンが小首を傾げ微笑んで言う
「お父様 ご無事で何よりです」
ローゼックがレリアンへ向いて怒って言う
「ご無事であらぬわっ!今にも眼下の海上へ落とされよるとも知れぬ!この状況の何処がご無事であると 貴様は申すのかっ!?」
ローゼックの首根っ子をドラゴンが口に咥えている レリアンが微笑んで言う
「ご安心下さいお父様!このドラゴンはデネシアの竜族です!恩あるデネシアの前々国王であられる お父様を落とす様な事は!…多分 致しません!」
ローゼックが怒って焦って言う
「多分と申すなっ!馬鹿者っ!大体ソイッド村から私を救出したのであるなら 何故とっととローレシアへと運ばなんだかっ!?この様な海上に晒しおってっ!暑いわっ!」
レリアンが微笑んで言う
「それは勿論!お父様の御身に浸透してしまわれた 悪魔力を排除致す為です!私の相棒であるツヴァイザーの勇者リーザロッテに教えて頂きました!海上は陸上よりも聖魔力が多いと!」
リーザロッテが言う
「ええ!元を正せば その事を私に教えて下さったのは アバロン3番隊元隊長ヘクターの相棒である ガルバディアのプログラマーでしてよ!彼の情報には信用が置けてよ!」
ローゼックが怒って言う
「であるからにして!アバロン3番隊ではなく傭兵隊であるとっ!…うん?ヘクターの相棒のプログラマー?ヘクターの相棒は ガルバディアの者ではあるがプログラマーではなく騎士である それにプログラマーと言うその言葉… この私が初めて聞いたと申すのに 同じ日に別の者からも聞き及ぶ事になるとは…?いや?初めて?…そう申せば 確かニーナが デスさんは ウィザードとプログラマーの2人が居るから 呼び分けるのが難しいとか?…いや、そんな事より今は」
ローゼックが改めてレリアンへ怒って叫ぶ
「いい加減っ!私を陸地へ戻さぬかっ!地に足が着かずして おまけに いつ間違って落とされよるかとっ!落ち着かぬわっ!」
【 シュレイザー城 】
ヴェルアロンスライツァーが通信機を片手に言う
「やはり駄目だ ローゼントへの通信途中で途切れたのを最後に まったく繋がらなくなってしまった」
ロキが怒って言う
「だから、俺はっ!まず最初に アバロンへ連絡を入れろと言ったのだ!何故 卿はこの世界に置いてまで ローゼントを… いや!アンネローゼ殿を優先するのだ!?」
ヴェルアロンスライツァーがもっともらしく言う
「無論!この世界であろうが どの世界であろうが 私がヴェルアロンスライツァーである限り 私は王を守る剣なのだ 従って 何時如何なる時でも 我が王の安否を 一番に確認するのが至極当然!」
ロキが怒って言う
「この世界には 卿ではない ヴェルアロンスライツァーが居るのだ この世界のアンネローゼ殿を守るのは そっちのヴェルアロンスライツァーで十分だろう!?」
ヴェルアロンスライツァーが言う
「断るっ!どの世界であっても 私はアンネローゼ様をお守りするのだっ!」
ロキが怒って言う
「ならばっ!この世界にも20年後のアンネローゼ殿がやって来たら!?卿はどちらを守るのだ!?」
ヴェルアロンスライツァーが力強く言う
「無論っ!両方に決まっている!!」
ロキが怒って言う
「卿は 2頭追うもの1頭も得ず と言う言葉を 頭に叩き込んでおけっ!!」
オライオンが呆れて言う
「なぁ?それよりよー?お前らはこれからどうすんのかを教えてくれよ 俺たちは小さい国の勇者たちの仲間なんだ だから…」
シュライツが衝撃を受け あわてて奇声を発する オライオンがシュライツへ視線を向けてから 納得して改めて言う
「…ああ、違った 小さい国じゃなくって 小さき国だってよ まぁ俺としてはどっちでも良いけどよ 俺たちは 世界の平和を守る為に 色んな国の状況を確認しなきゃいけねーんだ お前らみてーに力のある奴が 悪い事しねーかって見張ってるんだぜ?」
ヴェルアロンスライツァーとロキが顔を見合わせてから ロキが言う
「…まぁ 悪い事をする予定は無い 従って答えてやる 我々はシュレイザーの防衛を終えたのだ 従って 今作戦の立案者であるヘクター国王のもとへ 報告に…」
ヴェルアロンスライツァーが言う
「通信内容に問題は無かったが 通信が途切れ繋がらなくなるという事が 何より問題だ!我々は直ちにローゼントへと向かう!」
ロキが衝撃を受け 怒って叫ぶ
「卿1人で行けっ!俺は!俺の相棒の馬鹿犬と共に アバロンへと向かうっ!」
ロスラグが衝撃を受け喜んで鳴く
「わんわんわん!」
ロキが衝撃を受け ロスラグへ怒って言う
「うるさいっ!何を言っているのか分からん!文句があると言うのなら!」
ロキが宝玉の欠片を取り出し強く念じる ロスラグとヴェルアロンスライツァーが驚き ヴェルアロンスライツァーが言う
「ロキ?そのガラス片は?」
宝玉の欠片が光り ロスラグの身に白い光が纏わり ロスラグが人の姿になる ロスラグが呆気に取られ自分の体を確認する ロキが顔を逸らして言う
「…これで文句も人の言葉で言えるだろう… いつまでもワンワンと吠えられては うるさくてかなわん」
ロスラグが大喜びでロキへ言う
「ロキ隊長!宝玉の欠片を手に入れてくれたッスね!もしかして!俺の為に買ってくれたッスかー!?俺チョー嬉しいッスー!でもって ロキ隊長!さっきサラっと言ってたのをもう一回言って欲しいッスよ!俺ビックリし過ぎちゃって 思わず飛び付いちゃうトコ失敗しちゃったッスー!だから もう一回言って下さいッス!ロキ隊長!俺 今度こそ失敗しない様に頑張るッスよー!」
ロキが焦って言う
「うるさい!卿は犬でも人でもやはりうるさい!でもって そんな事は頑張らなくて良い!俺は卿が 何かを言おうとしているのだと思ったから 人の姿にしてやったんだ!」
ロスラグが呆気に取られてから笑顔で言う
「それはもちろん!さっきの 俺の相棒の馬鹿犬って言うのを もう一回言って欲しいって 言ってたッスー!でもって 俺 その言葉も チョー嬉しいッスよー!ロキ隊長!」
ロキがそっぽを向く ロスラグが衝撃を受け言う
「あー!怒ってるッスかー!?ロキ隊長!?やっぱ規則に厳しいロキ隊長は 俺が思わず飛び付いちゃうタイミングにも チョー厳しいッスー!」
ロキが怒って言う
「違うっ!そんな事はどうでも良い!」
ヴェルアロンスライツァーが微笑して言う
「では、私はローゼントへと向かわせてもらう ベルグル、ロキを頼む」
ロキとロスラグが衝撃を受け ロキが怒って言う
「何故その順番になるんだ!?王配殿下殿!逆だ!逆!!」
ロスラグが喜んで言う
「任せて下さいッスー!ヴェルアロンスライツァー副隊長!俺は全力でロキ隊長を守るッスよー!」
ロキがロスラグを殴って怒る ロスラグが殴られた頭を抱えて疑問する ヴェルアロンスライツァーが軽く笑う オライオンが言う
「ロキとロスラグはアバロンか アバロンにはレイトたちが行ってるから 俺らはヴェルに付いて行くかなー」
ヴェルアロンスライツァーが微笑して言う
「それなら私も 移動魔法にてローゼントへと飛ばしてもらいたい」
オライオンが軽く言う
「ああ、俺らはドラゴンで世界の巡回をしながら行くから ヴェルは先に移動魔法で飛ばしてやるよ」
シュライツが笑顔で奇声を発する ヴェルアロンスライツァーが微笑して言う
「助かる」
シュライツがヴェルアロンスライツァーへ移動魔法を行っている その手前でオライオンがロキへ言う
「所で シュレイザーを襲ったヴァルキリーたちは どーすんだ?」
ロキが答える
「…奴らは現在もシュレイザー城の近くに待機しているが 再び襲いに来る様子は無いとの事だ 魔法剣士部隊が近づけば即座に退避する様子からして 恐らく闇の王からの指示を待っているものと思われる」
オライオンが微笑して言う
「ソルベキアの戦いは終わって 闇の王はローレシアの2人の王に負けを認めたって それに、闇の王たちは 名前とは裏腹に 結構良い奴みてーだってさ?きっと ヴァルキリーたちにも近い内に 撤退命令を出すんじゃねーかな?」
ヴェルアロンスライツァーがローゼントへ飛んで行く ロキとオライオンがそれを確認して ロキが言う
「そうかもな…」
シュライツがオライオンたちへ向いて 移動魔法の成功を喜んで知らせる オライオンが背を向けて言う
「それじゃ、俺らも行くぜ?また…」
オライオンが待機させていたドラゴンへ向かおうとした先 別のドラゴンが舞い降り レイトが言う
「オライオン!ロキ!手を貸してくれ!ベネテクトに大量のロボット兵が!」
オライオンとロキ、ロスラグが驚く シュライツが首を傾げる
【 ベネテクト国 】
オライオンたちが移動魔法で現れ オライオンが驚いて言う
「何だよ あれ!?あんなロボット兵 見た事ねーぜ!?」
レイトが言う
「我々の世界のソルベキアが作っていたロボット兵とは 姿も戦闘能力も違うのだ 気を付けろ やつらの戦闘能力は!」
シャルロッテが言う
「あ、あああのロボット兵の戦闘能力はっ 私たちの世界で研究されていたっ きゅ、旧世界の機械兵のデータと同じなんですぅ!」
レイトが言う
「奴らには生半端な攻撃は効かない そして、やつらと応戦できる者も… ベネテクトに居た兵やスプローニからの援軍も やつらには敵わなかった だが、オライオン!貴殿とシュライツ そして ロキとヴェルア…っ!?」
レイトが改めてメンバーを確認して衝撃を受ける ロキが銃を確認して言う
「…俺の相棒はつい先ほど変更された」
ロスラグが喜んで言う
「俺は!今でもロキ隊長の相棒は ヴェルアロンスライツァー副隊長だと思うッスよ!けど!そのヴェルアロンスライツァー副隊長に ロキ隊長を頼むって言われたッス!だから俺は ヴェルアロンスライツァー副隊長が居ない時の ロキ隊長の二番目の相棒になれる様に がんばるッスよー!」
レイトが呆気にとられた後 気を取り直して言う
「そ、そうなのか…?分かった それでは 少ないが我らの力で アバロンやガルバディアからの応援が来るまでの間を 何とか…!」
町の一部で爆発が起きる オライオンたちが驚いて視線を向け 顔を見合わせた後その方向へ走って行く
爆発地の周囲に大量の機械兵の残骸がある オライオンたちが驚いて立ち止まると 爆風が収まった先に ユダとシリウス、ヴァルキリーたちが居る オライオンたちが驚きオライオンが言う
「闇の王!それじゃ!このロボット兵は お前らが連れて来たのか!?」
オライオンたちが武器を構える シリウスが衝撃を受け怒って叫ぶ
「あぁあっ!?この俺が このベネテクトの町へ ロボット兵を連れ込むだぁあ!?てめぇえ!ざけんじゃねぇええ!!たとえ世界が滅ぼされようとも!この俺が!んな事はさせねぇええ!!」
オライオンたちが呆気に取られ疑問する ユダがシリウスとオライオンの間に入って言う
「まぁまぁ、シリウス 今までの我らの行動と 現状を見られては そう言われてしまっても仕方が無いよ?…君にとっては世界が滅ぼされても言われたくない言葉であったかもしれないけど 今はベネテクトの為にも抑えて?」
シリウスが腕組みをして そっぽを向いて言う
「…ハッ!ベネテクトの為だってぇんなら しょうがねぇ… さっきのは聞かなかった事にしてやらぁ」
ユダが苦笑し オライオンたちへ言う
「この機械兵らは 我らが迎え入れたものではない だが、我らはこの機械兵を良く知っている そして、奴らが何処から送り込まれているのかも」
オライオンたちが驚き顔を見合わせる シリウスが言う
「奴らは このベネテクトの3つの町に作られた ワープロードを利用して この世界に召還されてやがる その3つの内の1つがここだった 残りの2つも破壊すりゃぁ 取り合えず今召還されやがってる 機械兵どもの増加を止める事が出来る 少しでも町への被害を減らす為にも さっさとやらなけりゃぁならねぇ… てめぇらの相手をする必要もなくなったし してやってる暇もねぇんだ …それでも分からねぇとか 信用出来ねぇとか抜かしやがるんなら 今ここでてめぇらを まとめてぶっ潰してやるぜ どうする?」
シリウスがオライオンを見下ろし怒りに燃える ユダが慌てて言う
「シ、シリウス!落ち着いて!?ベネテクトの町が襲われて とっても気が立っているのは凄く分かるけどっ!折角 この世界の国々がシナリオ通り力を合わせる様になったのに!今ここで君が全てを台無しにしちゃって どうするのっ!?」
オライオンたちが呆気にとられた後 顔を見合わせ レイトが言う
「…ど、どうする?なんだか 不思議な会話になっているが 恐らく彼らの言っている事は 嘘ではないと思われる」
ロキが言う
「…確かに、奴らが この世界へ負けを認めたと言う今になって 機械兵を援軍として召還するのは可笑しい… 援軍を呼び寄せるのなら もっと以前から行うべきだった」
シャルロッテがモバイルPCを操作して言う
「この周囲に倒されている機械兵たちへの攻撃痕は 闇の王やヴァルキリーたちの物と照合されます 彼らが倒したという言葉に間違いはありません」
オライオンが言う
「お前らが ベネテクトの町を守るって言うんなら俺たちも協力するぜ!この町を守りたいのは俺たちだって同じなんだ!」
ユダが微笑して言う
「うん、それは助かる この機械兵らの相手をして思ったんだが 我らのヴァルキリーは以前より格段に力を増している …シリウス?ヴァルキリーを半分彼らへ預け 同時に残りの2箇所のワープロードを 破壊しに向かうというのはどうだろうか?」
オライオンたちが驚く シリウスが一瞬考えた後言う
「…ああ、そうだな なんにしろ 早いに越した事はねぇんだ 丁度 向こうにもヴァルキリーどもに 命令出来る奴が居るしなぁ?その策で行くか… おい、ヴァルキリー 半数に分かれて片方が向こうに付きやがれ 命令はシュライツの野郎が出す」
オライオンたちが驚き オライオンが言う
「お、おいっ 待てよ シリウス!こいつは俺の兄貴だけど 言葉は喋れねーんだ!それに 俺よりちょっと」
シュライツが衝撃を受け怒って奇声を発し オライオンを燃やす オライオンが悲鳴を上げて言う
「あちぃー!だ!だから!やっぱり喋れねーだろ!?命令を出すなら俺に従うように言ってくれ!俺はアバロン3番隊隊長のオライオンだ!部隊の指揮なら俺が執る!」
シリウスが軽く笑って言う
「心配ねぇ そいつは今 ハッキリ言いやがった 『ちょっとアホなんじゃなくって プログラムでしか喋れないだけなんだ』ってな」
オライオンが驚く シリウスが続けて言う
「ヴァルキリーどもはガルバディアの民だ 音声プログラムだと最初っから分かってやがれば 変換して理解する事も出来やがる」
ユダが言う
「シュライツ、ヴァルキリーたちは 単純な事も命令で行わなければ混乱する 明確な指示を頼む」
シュライツが一瞬呆気にとられた後喜んで奇声を発する シリウスがオライオンへ言う
「てめぇらは 南のトレイトの町へ向かってくれ 場所は分かるだろ?中央の教会の地下に ワープロードがありやがる こいつをくれてやるぜ 扱いには精々気を付けろよ?」
シリウスがダイナマイトをオライオンへ放る オライオンが受け取って慌てる
【 アバロン城下町 門前 】
ソイッド村の魔術師たちが支援魔法を放つ ツヴァイザー第4槍団が受け取り 魔力の灯った槍を振るう レクターとヴァルキリーたちが向かい ツヴァイザー第4槍団の槍を切り裂く プログラマーがモバイルPCを手に言う
「ヘクター!大砲の一斉砲撃 来るぞ!」
ヘクターがカイッズ部隊の大砲へ顔を向ける カイッズ大砲部隊の隊長が叫ぶ
「撃てー-!」
カイッズ大砲部隊の大砲が一斉に放たれる ヘクターが大剣を掲げる 大剣に数字の羅列が纏う ヘクターが向かい横一線に大剣を振りかぶる 大剣の衝撃波に数字の羅列が纏い 砲弾を全て破壊する カイッズ大砲部隊の隊長が驚きに口を開いて言う
「ば… 馬鹿なっ!?魔法の一斉射撃に留まらず 砲撃の一斉射撃まで切り裂くとは…っ!?アバロンの傭兵隊長と副隊長…っ 奴らは 本当に悪魔の化身ではないかっ!?」
ヘクターが肩で息を切らす 隣にレクターがやって来て笑顔で言う
「流石ヘクターだな?あの数の砲弾を全部ぶった斬っちまうとは 20年経ったお前にはもう 私は手も足も出せないようだ」
ヘクターが苦笑して言う
「そうでもねぇって?ソルベキアでぶっ倒れてから 何でか知らねぇけど デスのプログラムが使えなくなっちまって 仕方なくソルベキアの機械を使ってやってるんだ だから… 今は実力の半分くれぇしか出せねぇよ?」
周囲に居た兵士たちが 敵味方なく衝撃を受けて驚いて顔を向ける レクターが呆気に取られた後吹き出して笑って言う
「あっはっはっ!そいつは最高だな!そんなに強ぇんなら 今度はちゃんと戦える時に 一度 私とも戦ってくれ?ヘクター!」
ヘクターが疑問して言う
「ん?良いけど?…良いのか?俺の方が全然有利だと思うけど」
レクターが悪微笑して言う
「ああ… 一度 全力って奴を 出してみてぇって思ってたんだ…」
ヘクターが疑問して言う
「ん…?そっか?なら とりあえず 今は…」
ヘクターとレクターが視線を向ける 視線の先でカイッズ部隊長が怒って叫ぶ
「おのれっ!ローレシアの王 ルーゼック!アバロンの不正を暴こうとした 貴様らローレシアを 我らカイッズのお優しき神々は お認め下されたのだぞ!?それなのに手の平を返し 世界を危機へ晒したアバロンの味方に付くとは!なんたる侮辱か!?」
ルーゼックが魔法剣を向けて怒って叫ぶ
「黙れっ!カイッズの下っ端部隊長がっ!アバロンの不正なんぞっ!貴様らカイッズの勝手な神々の公言に比べれば 何の罪にもならぬわっ!」
カイッズ部隊長が怒って言う
「か、勝手ではないっ!我々カイッズ国の民は…!」
ルーゼックが言う
「おまけにアバロンの不正は 一応は正しかったのだっ!理由は知らぬが あのヴァルキリーどもはガルバディアの民であった!そして一番の被害を受けた 私と私の兵らが許した今においては話にもならぬ事ぞっ!」
カイッズ部隊長が言う
「我らカイッズの民は 神々の子なのだっ!我らの公言は勝手な神々の公言などではないっ!そして 俺はカイッズの1番隊の隊長だ!断じて下っ端部隊長などではないっ!」
ルーゼックが蔑んで言う
「ふんっ では何故神々の子であると申す貴様らカイッズの王は あの闇の王とヴァルキリーどもを “魔王と悪魔たち”であると申したのか?彼らの仮面の下には 邪悪な悪魔の顔が隠されておるとか申しておったな?その悪魔の顔と申すものが ガルバディアの民の顔であったとは?これは随分なガルバディアへ対する国家侮辱であるが?」
ヴァルキリーたちが顔を向ける ヴィクトール13世がやって来て言う
「そんな事をカイッズが公言していたとは… 我らガルバディアへの侮辱 十分に晴らさせて頂こう!」
ルーゼックが言う
「ついでに貴様がカイッズの1番隊の隊長であると申すのなら 自国の無礼へ対する怒りを受け止めるのも貴様の役目ぞ?」
ヴィクトール13世が剣を抜く カイッズ部隊長が衝撃を受け ヴィクトール13世へ指差して慌てて叫ぶ
「おっ お前が…っ!?アバロンの国王であった お前が あの闇の王とヴァルキリーを異世界からの侵略者と言ったから!我らカイッズのファリオル陛下が うっかり口を滑らせてしまったんだっ!この裏切り者っ!」
ヴィクトール13世が衝撃を受け 怒って言う
「裏切り者だとっ!?僕にその言葉を言って良いのは この世界に置いて バーネットだけだっ!下っ端カイッズの1番隊隊長が!よくも言ったな!許さないっ!!」
ヴィクトール13世が斬り掛かる ヴァルキリーたちが反応し ヴィクトール13世に続く ルーゼックが呆れて言う
「ヴィクトール13世… あやつは何に対して怒り 向かいおったのか?」
キルビーグが苦笑して言う
「その上に 下っ端カイッズとは これまた大した国家侮辱であるなぁ?はっはっは…」
レクターが笑顔で現れて言う
「それに、どう言う訳か ヴィクトール国王が来てからは ヴァルキリーたちが私から離れて 彼へ続く様になったのだ やはり、ヴァルキリーたちは ガルバディアの民だったのだろうか?…どっちにしても、お陰で私は部隊指揮を執らずに 自由に動ける様になった これでトチ狂っちまった ソイッド村の魔術師たちを ぶん殴りに行けるってもんだ」
キルビーグが微笑して言う
「いや、その役目は我々が引き受けよう 貴殿は既に体力の限界であろう?ヴァルキリーとの戦いを行った上 今度は そのヴァルキリーの支援を受けていたとは言え 3国の部隊を相手にアバロンを守り続けたとは… アバロン傭兵隊副隊長は実力を隠しておるという噂は真であった様だな?」
レクターが呆気に取られた後苦笑して言う
「そんな噂を知っちまってるなんて ローレシア第一国王様の地獄耳は国境も越えちまうんだな?けど、そいつは忘れちまって欲しいんだ 私の力はアバロンの民としては ちょいと反則なんだ だから めったな事じゃ使いたくねーんだ」
ルーゼックとキルビーグが顔を見合わせ疑問した後 ルーゼックが言う
「まぁ良い ツヴァイザーとカイッズの相手が賄っておる 今の内に あの魔術師らを正気に戻してやらなんだ」
キルビーグが宝玉を手に持って言う
「彼らは強い聖魔力を与えれば その体内に蓄積された悪魔力を払う事が出来よるとの事 クロイツヴォルデンが宝玉を返してくれた事も考慮し恐らく嘘ではあらなんだ 問題はその間 如何にして奴らからの攻撃を防ぐかと言う事になるのだが」
ルーゼックが剣を構えて言う
「無論っ!私が防ぐっ!キルビーグ、貴様は宝玉へ魔力を送る事へ集中致せっ!」
キルビーグが困って言う
「しかし、ルーゼック?私が支援魔法をお前に与えられぬ状態で魔術師らの魔力を防ぐ事など出来よう筈がないぞ?」
ルーゼックが言う
「心配致すな 僅かとは言え私にも魔力は残っておる しばしの間なら我が潜在魔力と この剣で防ぐ事が出来よる」
キルビーグが困って言う
「しかし…」
ルーゼックが剣を払って言う
「行くぞっ!キルビーグ!これ以上我らローレシアの魔力者が ツヴァイザーやカイッズごときに踊らされるのを許してなど置けぬっ!」
ルーゼックが走る キルビーグが慌てて追い駆けて言う
「ああっ 分かったから 私を置いて行かなんでくれ ルーゼック!」
【 ローレシア城 王の部屋 】
ローゼックが部屋中を捜しながら言う
「確かにっ!聞いた事があらなんだ!あのソイッド村に強い魔力を発生させよる物が在りおったと!悪しき魔力を放つ物であったと!良からぬ物であった為 魔術師どもが封印しよったと!えぇえいっ!何故それ程に恐ろしき物の詳細を ローレシアが把握しておらなんだかっ!?それとも真のローレシア国王にしか知らされぬ様 隠されておるのかっ!?」
ローゼックが一瞬止まり 間を置いて怒って言う
「真のローレシア国王は 私ではあらなんだかっ!?確かに現在も先代も それ以前も!ローレシアの国王は ずっとローレシア王家の者に託されておるが!その実 真の国王とは 我らデネシア王家の者であるっ!…であるからにしてっ!私はこの話を聞いた事があったのだっ!一体何処で聞きおったのか!?そもそも ローレシアに記述が残されておらなんだ事が何よりも許されぬのだっ!馬鹿者がっ!」
ローゼックがソファに乱暴に腰掛け うな垂れて言う
「…駄目だ、いかに 真の先代ローレシア国王であったとて 私がこのローレシア城に居った期間は 歴代国王の中でも もっとも短いのだ 重要記述の隠された場所どころか 現行の重要資料が保管されておる場所すらも分からなんだ …大人しくルーゼックやキルビーグが戻るのを待ち 奴らへ報告を致すか…?」
ローゼックが一瞬、間を追いた後 怒って叫ぶ
「出来ぬわっ!私は現在 このローレシアの代理国王であるっ!それこそ重要な事など何一つ致さなんで良いのだがっ!それでは私が先々代デネシアの王であった事すら 何の価値も無くなってしまわなんだっ!私はデネシアの王として!我らのローレシアをっ!」
ローゼックが視線を上げハッとして苦笑して言う
「…私はデネシアの王として 我らのローレシアを お前と共に守ると… そう申したではないか イシュラーン…」
ローゼックが壁にあるイシュラーンの肖像画へ視線を向けている 束の間の後 ローゼックが立ち上がり 肖像画へ歩き向かいながら怒って言う
「であったと申すのに!イシュラーン!貴様は私の力を見くびり!あろう事か!ラグハーンの力なんぞに頼りおって!あのラグハーンの方が私よりも 強かったと申すのか!?奴は確かに!ほぼ全ての魔力を引き抜かれおった私より 身に残されし魔力は多くあったが!奴の性格からして このローレシアの力にも!お前の力にも!なりはせなんだった事位 貴様には分からなんだったのか イシュラーン!?お陰で貴様は バーネット1世の剣と毒で あっさり殺されてしまったのだっ!馬鹿者っ!」
ローゼックがイシュラーンの肖像画を見上げながら言う
「おまけに 死に際には 何の罪もあらなんだ私を ローレシアから追い出す様にと申しおったとは… 貴様はそれ程までに この私が気に入らなんだったのか?何故だ…?お前は私に ローレシアの王位を返したいと申したではないか?あの言葉は偽りであったのか?それどころか 再びローレシアに戻りたくば 正面からではなく 3つ目の入り口でも探して入りよれ とは 随分ではないか?このローレシアには 正面と王族のみの入り口 その2つ以外に 3つ目の入り口なんぞはあらなんだ …これすなわち 二度と戻るなと申す意味である…」
ローゼックがイシュラーンの肖像画に描かれている ローレシア城を見つめて溜め息を付く 間を置いて気付いて言う
「…うん?3つ目の入り口?」
城門前
リーザロッテが通信機をいじって言う
「最後の通信以来 まったく繋がらなくってよ?いくら大空を飛び回れると仰っても 情報交換が出来ないとあっては 作戦も何も建てられなくてよ?」
レリアンが言う
「通信はソルベキアが管理しているわ それと、漏洩防止と言う意味でガルバディアが… この通信が使えない状況は ソルベキアでの戦いが原因なのかしら?」
くつろいでいたドラゴンが物音に気付き顔を上げる リーザロッテたちが疑問し ドラゴンの向いている方向を向く 足音が向かって来てローゼックが走って来る レリアンが呆気にとられて言う
「お父様?如何なさったのです?…お父様!?」
ローゼックが向かって来ると共にドラゴンへ飛び乗って叫ぶ
「ハレルト!文句を申さず!あのローレシア城 頂きの扉へ 今すぐ私を連れて行くのだっ!」
ドラゴンがひと鳴きして飛び上がる リーザロッテとレリアンが驚き リーザロッテが言う
「ちょっと!?私たちのドラゴンでしてよ!勝手にっ!」
レリアンが微笑して言う
「ドラゴンの姿であっても あの者がハレルトである事に気付くだなんて… お父様のドラゴン使いの感は 衰えていらっしゃらないのね」
ローゼックがローレシア城 頂点の小さなバルコニーへ飛び降り鍵の束を取り出し 古びた異型の鍵を探し出して扉に使う 扉の鍵が音を立てて開く 扉の中を確認したローゼックが微笑し ドラゴンへ振り返って言う
「ハレルト 鈴の音は覚えておるか?」
ドラゴンが口角を上げてひと鳴きする ローゼックが軽く笑って言う
「では貴様は戻っておれ 少々時間が掛かりそうである」
ドラゴンがひと鳴きして飛び去る ローゼックが扉の先へ入って行く
ローゼックが埃の積もった小部屋に入り 周囲を見渡して言う
「あの頃と なんら変わらぬな… 誰にも気付かれなんだ故に 変わらぬのか… それとも?」
ローゼックが机の上の封筒に気付き手に取って宛名を確認する
『3代目デネシア国国王 ローゼック・デネシアへ認(したた)める』
ローゼックが驚き 慌てて封を開いて 手紙を読む
『親愛なるデネシアの王にして 我らローレシアの真の国王 ローゼック お前がこの手紙を目にしてくれる事を心から願い文を認める 私はローレシア王家に170年前から伝えられている予言を元に 今日、お前を裏切り お前との友好条約と仲を絶った お前は突然の私の変貌に驚きながらも それでも やはり私を信じてくれていた 私は自分の判断は間違っていなかったのだと 確信すると共に この文を残す事にした 私はこの後 アバロンとの戦いの場へ お前ではなく ローレシア第一部隊長ラグハーンと共に向かう 私は命を落とす事となるやもしれぬ だが、この戦いにおいて お前が命を落とすとされていた予言は変わる筈だ 私の身に万が一の事が起きた時の為 長きに渡りローレシア王家が隠していた事を全てお前に打ち明ける そして、ローレシア国82代目国王イシュラーンから ローレシアと世界の存亡を 旧ローレシア帝国162代目皇帝ローゼック・デネシアへ託す ローゼック、私の勝手をどうか許して欲しい もし許されるのであれば 私を最後まで信じ続けてくれたお前へ 私の変わらぬ友情を伝えたい』
ローゼックが呆気に取られて言う
「予言…だと?」
ローゼックがもう一枚の古びた紙を広げて読んで言う
「これは…っ 紛れも無く この予言のもたらされた時より今日までのローレシアの歴史そのもの!?そして、この私が死ぬと予言されしアバロンとの戦い… ここで傷つき倒れたのは 私ではなくイシュラーンとなったのか… イシュラーンっ 貴様は こんな予言なんぞのせいで…っ 馬鹿者が!友好条約も仲も 絶ったのは貴様だけぞ!私は絶つなどとは一言も口にしておらなんだ!貴様が求めれば何時だって回復しよるわっ!」
ローゼックが手紙を握り締め机を叩き 俯いて涙を堪える
【 ソルベキア城 地下セントラルコンピュータ室 】
スファルツが操作盤を操作して言う
「あぁ 何と言う事か… プログラムの修正ならば何とでもなるが いたる所で機械的な破損が… この修理は私には出来ない そもそもソルベキアの基礎となる機械部品は ソルベキアでは作られていないのだ そして、このセントラルコンピュータに使われている部品を作れるのは」
部屋の扉が開き バッツスクロイツが私服で現れ 慌てながら言う
「ち… ちわー!修理屋のー バッ… バッコンヴォルデンでーす!」
スファルツが呆れ疑問して言う
「は…?しゅ、修理屋?バッコンヴォ…?」
バッツスクロイツがぎこちなくセントラルコンピュータに近づき 焦りながら言う
「あーえーっと ソルベキアの通信やらなんやらーが エラーっちゃってるーって? そのー 色んなトコーから?クレームとか 来てるっぽいんで ついでに 俺っちも使えなくってー バーネ… あーっいやいあっ!シリウ… いやーっいやいや!超人使い悪い ドS社ッ長さーんに 連絡とか?取れなくってー 困っちゃうんだよねーみたいな?ははっ」
スファルツが困惑して言う
「ク、クレープとか?ドS社ッ長さ…?」
スファルツが咳払いし 気を取り戻して言う
「う、うんっ えー そうだな、君 このセントラルコンピュータを 修理したいというのは私も同意見ではあるのだが 私が確認した所 このセントラルコンピュータの故障は 機械的な部品の破損が原因となっている まぁ、その部品の破損は プログラムによる過度なデータ攻撃で起きたクラッシュなのだが 原因はプログラムであっても その修理は機械的なものとなる そして、その修理に必要な部品は」
バッツスクロイツがセントラルコンピュータの修理をしながら言う
「そうそう、面白いよねー ソルベキアのメカってさー ガルバディアとローレシアとの部品の流用ではあるけど 構造とかは かなーりローンルーズに近いって感じでー?けどさー?ソルベキアが国として出来た頃にはとっくに ローンルーズはワールドエンドマウンテンの向こうっ側に行っちゃってたんだからー?ローンルーズの構造を真似る事は出来なかった筈なんだよねー?でも明らかにパーツの組み込み方なんかは ローンルーズで大昔に使ってた系だしさー?」
スファルツが呆気に取られる バッツスクロイツが手際よく部品修理をしながら言う
「あ、もしかして レイロルトっちも手伝ってくれるー?」
スファルツが衝撃を受け言う
「レ、レイロルトっち…? あ、ああ、勿論 手伝える事があれば 協力しよう いや、むしろ このソルベキアのセントラルコンピュータの修理ともなれば 手伝わせてもらえると 私も光栄に思うのだが」
バッツスクロイツが喜んで言う
「マジでー!?スペシャルサンクス!レイロルトっち!俺ぶっちゃけ ソルベキアの旧式プログラム言語苦手でさー?交換する部品に センコンの基礎プログラムの入力とか してもらえると 超助かるんだけど!」
スファルツが呆気に取られつつ何とか言う
「あ、ああ それなら どちらかと言えば得意だ 任せてくれたまえ」
【 ベネテクト国 トレイトの町 】
シュライツが気合を入れ 機械兵らを指差して奇声を発する ヴァルキリーたちが一斉に機械兵らへ攻撃を開始する オライオンが走って行って言う
「よーし!俺も負けてらんねーぜ!」
シュライツがオライオンへ魔力を送り 剣を魔法剣にする オライオンが機械兵へ大剣を振り上げて叫ぶ
「食らえーっ!」
機械兵が素早く回避する オライオンが呆気に取られ慌てて言う
「おわっ!こいつ 速っ…!」
機械兵がオライオンへ攻撃する オライオンが驚き焦る シュライツが奇声を発して加速の支援魔法を放つ オライオンが瞬時に対応して回避する 機械兵の武器が空を切って地にめり込む オライオンが言う
「お、俺 今すげー速さで…」
シュライツがオライオンの後に降り立ち 喜んで奇声を発する オライオンが振り返り呆気に取られてから笑んで言う
「シュライツ!お前 俺の速さを上げる魔法を覚えたのか!?」
シュライツが疑問した後 笑顔で奇声を発する オライオンが疑問した後苦笑して言う
「えっと…分かんねーや けど!良い感じだぜ!よーし!」
オライオンが剣を構え直し機械兵へ向かって行く
ロキの銃弾が機械兵に回避され 機械兵がロキへ攻撃する ロキが舌打ちして回避する ロスラグが叫びながら攻撃する
「ロキ隊長は 2番目の相棒である俺が 守るッスー!」
機械兵がロスラグへ向いて回避する ロスラグが呆気に取られ言う
「わわっ!避けられちゃったッス!」
機械兵がロスラグへ攻撃する ロキが銃を放ちながら言う
「逃げろ!馬鹿犬!」
ロスラグが焦り ギリギリで犬の姿になって逃げる ロキがハッとする ロスラグがロキの足元へやって来て 申し訳なさげに鳴く ロキが言う
「…馬鹿犬、分かるか?卿の速度は あの機械兵に匹敵している」
ロスラグが驚きロキを見上げる ロキが機械兵へ構えたまま言う
「…卿は奴の気を引き付けろ その隙に俺が攻撃をする」
ロスラグが一瞬呆気に取られた後 喜んで一度吠える ロキが言う
「行けっ!」
ロスラグが機械兵へ向かって行く 機械兵がロスラグへ攻撃をしようとする ロキが機械兵の隙を突いて銃を放つ
レイトがプログラムの速度支援と強化を受けた槍で攻撃を繰り出す
「我が槍を受け倒れるが良い!機械兵!」
機械兵の装甲が槍に貫かれ倒れる レイトが槍を引き抜き 次の機械兵を見つけ向かって言う
「次はっ!」
向かおうとした瞬間 支援と強化のプログラムが両方途切れ レイトが呆気に取られて言う
「シャ、シャル!?」
レイトの振り返った先 シャルロッテが慌てて言う
「きゃぁああっ!ご、ごごごごめんなさいっ!レイトさんっ!バッテリー切れですぅ!」
レイトが衝撃を受け焦って言う
「バ、バッテリーとはっ!?…はっ!しまったっ!」
機械兵がレイトへ攻撃を繰り出す シャルロッテが焦って言う
「レイトさんっ!!」
上空からドラゴンが現れ機械兵へ炎を吐く 機械兵が炎にたじろぐ 呆気に取られていたレイトが気を取り戻して言う
「た、助かった 貴殿方の援護に感謝する」
ドラゴンが喜んで鳴く レイトが呆気に取られて言う
「え?共に戦ってくれるのか?」
ドラゴンが再び鳴いてから 旋回して機械兵へ向かう レイトが強く笑んで言う
「よしっ!上空からの援護があるのであれば 速度で劣ろうとも我らに優位!」
レイトが槍を構え声を上げ ドラゴンと共に機械兵へ攻撃に向かう
教会 入り口前
戦闘を終えたレイトたちが教会を見上げる
教会 地下室
オライオンが恐る恐る置いて言う
「えーっと?多分これで良いんだよな?」
シュライツが後方から覗き込み疑問し首を傾げる オライオンが首を傾げ 気付いて言う
「あ?これ押すのか?」
オライオンがボタンを押す ヴァルキリーたちが衝撃を受け 慌ててオライオンとシュライツを捕まえて逃げ出す
教会 入り口前
ダイナマイトが爆発し 建物が吹っ飛ぶ ギリギリ外に出ていたオライオンが驚き目を丸くした後 涙目になって言う
「あ… あ、後一歩で お、俺っ し、ししし 死ぬトコだったっ!」
ヴァルキリーの1人が気付き笑顔で オライオンの頭を撫でて言う
「泣かない 泣かない」
オライオンが呆気に取られる レイトが言う
「これで トレイトの町に現れていた機械兵の撃破と ワ… ワープロード? …とか言う物の爆破も 無事終了したのだが?」
ロキが言う
「…それで、どうする?この作戦の終了を… 闇の王たちへ報告するのか?…それともアバロンへ向かい 皆と合流し伝えるべきか」
レイトが考えて言う
「うむ 難しい… 闇の王らがローレシアの王たちへ負けを認めた …という事だけは分かっているが それが 我らの味方へなったとは言い切られない」
オライオンが言う
「けどよ?俺たちと一緒にベネテクトの町を守ったんだろ?さっき もう一つの町の方でも爆発音がしたみてーだし きっと向こうもワープ何とかって奴を ぶっ壊したんだぜ!?同じ目的の為に一緒に戦ったんだ 仲間だろ!?」
レイトとロキが衝撃を受ける シュライツが喜んで奇声を発する ヴァルキリーたちが笑顔になる 遠くから何かが凄い勢いで飛んで来て シリウスとユダがスライドしつつ着地する 共に飛んで来たヴァルキリーたちが先の建物へ突っ込む レイトたちが呆気に取られる シリウスが何事も無かった様子で言う
「トレイトの町を無事守りやがったみてぇだな?…ハッ!一応 礼を言っておいてやるぜ」
後方ではヴァルキリーたちが建物に突っ込んだヴァルキリーたちを救出している ユダが微笑して言う
「ヴァルキリーたちも 皆、連戦の中良く戦ってくれた」
ヴァルキリーたちが反応し 喜んでユダに抱き付く ユダが笑顔でヴァルキリーたちの頭を撫でる レイトたちが呆気に取られ顔を見合わせる オライオンが微笑して言う
「なぁ?お前らは これからどーすんだ?やっぱ 闇の国へ 帰るのか?」
皆が衝撃を受ける ユダが苦笑して言う
「闇の王だから 闇の国の王 なのだと… 思う訳だね…?」
オライオンが疑問して言う
「あ?なんだよ?違ったのか?」
シリウスが怒って言う
「んな国がありやがる訳がねぇえだろ!?どぉおやって生物が生きやがるんだ!?深海魚か てめぇえはっ!?少なくっとも俺ら人は 生きられねぇえだろがぁあ!?」
オライオンが呆気にとられた後言う
「そうなのか?そっかー 闇の国では 人は生きられねーのか」
ユダが苦笑して言う
「この世界を 人の住めない世界にしてしまう …と言う意味も兼ねての闇の王だったのだけど どうやら君には 伝わっては居なかったみたいだね?」
オライオンが気付き照れる ユダが軽く笑う ロキが言う
「…それで その闇の王が 何故この世界のベネテクトの町を守った?ローレシアの王へ負けを認めたから 今度は味方になる等と 本気で言う訳では無かろう?」
オライオンが疑問して言う
「何だよ?本気で言ってくれねーのか?」
ロキが衝撃を受け怒って言う
「卿は しばらく 黙っていろっ!」
ユダが困って言う
「うーん… そうだね 本来なら 我々はとっくに この世界からはエスケープしている時間なんだけど」
ユダがシリウスへ向く シリウスが考えてから言う
「…何にしても あまりデカイ変化は与えねぇ方が良い 俺たちは闇の王として この世界に来たんだ やる事は全部やっちまったが この世界のユダとシリウスは てめぇと俺だ」
ユダが言う
「分かった では、我々は このままガルバディアへ向かおうか?シリウス」
レイトたちが衝撃を受け 慌ててレイトが言う
「ガルバディアへ!?」
シリウスが苦笑して言う
「心配しやがんな もう俺らはこの世界へ危害を加える事はしねぇ ガルバディアへ行くのは ちょいとガルバディアの機械を 使わせてもらいてぇってだけだ」
ユダが思い出し オライオンへ言う
「所でオライオン、君がここに居るという事は アバロンの戦いは問題なく終わったのだろうか?カイッズとツヴァイザーの部隊が 君たちと我々との戦いに紛れ アバロンへ奇襲を掛けて来た様だが?」
オライオンたちが驚く シリウスが言う
「ああ、そういやぁそうだったな?ベネテクトが襲われるってぇんで思わず忘れちまってたが そのカイッズとツヴァイザーに ローレシア領域の魔力者が手を貸してやがるんだとか何とかって?レクターの野郎が言ってやがったぜ?オライオン、てめぇは アバロン3番隊隊長だろうぉ?アバロンの危機に一番乗りで行きやがったんじゃぁねぇのかよ?」
オライオンが呆気に取られる
【 アバロン城下町 門前 】
キルビーグが魔力を送る 宝玉が強く光る ルーゼックが目を開き疑問する キルビーグがホッとして言う
「ルーゼック、どうだ?身を起こせるか?」
ルーゼックが疑問しつつ身を起こして言う
「キルビーグ…?一体何が…?」
ルーゼックが周囲を見て驚く 周囲を取り囲んでいた魔術師たちがホッとして言う
「ルーゼック様… 良かった…」
「ルーゼック様、申し訳ありませんでした」
ルーゼックが疑問する キルビーグが苦笑して言う
「ルーゼック、覚えておらなんだか?お前は私が宝玉の力を解放するまでの間 魔術師たちの魔法を抑えておったのだ だが、やはり この世界最強と言われるソイッド村の… 魔法剣士部隊には入らなんだ魔術師たちとは言え その合わさった魔力は凄まじいものであった 宝玉の聖魔力が魔術師たちの身から 悪魔力を拭い去った時には お前は魔術師たちの魔法に打ちひしがれておってな?通常の回復魔法では 意識を取り戻さんで 私も流石に焦ったぞ?」
ルーゼックが考えて言う
「うん…?そうなのか?思い出せぬ ずっと長い夢を見ておった様で… だが、その夢の内容すらも 忘れてしまったわ」
キルビーグが一瞬呆気にとられた後苦笑して言う
「まぁ、夢は覚めると忘れてしまうものだ 強い衝撃を受けた前後の記憶なども失う事もある だが、他の事は しっかりと覚えておるであろうな?」
ルーゼックが立ち上がり言う
「うむ、問題はあらなんだ 貴様は軟弱キルビーグである」
キルビーグが衝撃を受け 苦笑して言う
「あ、ああ 確かに問題はあらなんだ様だ は… はは…」
この世界のヘクターが来て言う
「キルビーグ、ルーゼック アバロンへの加勢 助かったぜ!ありがとな!」
ルーゼックが言う
「礼には及ばん ヘクター 我らローレシアの2人の王は 我らローレシアの魔術師たちを救いに参ったのだ 貴様の助けに参った訳ではあらなんだ」
キルビーグが苦笑して言う
「まぁ、そう思ってくれヘクター国王 ルーゼックは強い衝撃を受け 少々記憶を飛ばしておるが 友好国となったアバロンと義兄弟の貴殿を助けようと 大慌てで参りおってな?」
ルーゼックが衝撃を受け 怒ってキルビーグへ叫ぶ
「馬鹿者っ!キルビーグ!貴様こそ その記憶を飛ばしておれ!」
キルビーグが軽く笑う この世界のヘクターが笑んで言う
「そっか ありがとな!兄貴!」
ルーゼックが衝撃を受け顔を逸らして頬を染めて言う
「きっ 貴様に 兄などと 言われたくは無いのだ…っ」
ヴィクトール13世が現れ笑顔で言う
「まぁまぁ そう言わずに?一緒にアバロンを守った 儀兄弟じゃない?ね?兄貴?」
ルーゼックが衝撃を受け 更に顔を逸らし言う
「うっ うるさいっ 貴様には 特に言われたく あらなんだっ」
レクターが笑顔で現れて言う
「どうせなら 私も兄が欲しいと思っていたのだ この際お前にしてやっても良いぞ?兄貴?」
ルーゼックが怒ってレクターへ叫ぶ
「貴様には 特に 言われたくあらなんだっ!!」
皆が微笑む ヴィクトール13世が改めて言う
「それで、ソルベキア攻略を任せていた 貴公たちが無事戻ったと言う事は」
キルビーグが微笑して言う
「ああ、申し遅れてしまったな 闇の王ユダとシリウスは 我らへ負けを認め 今後はこの世界へ危害を加えない事を誓ってくれた 早々に自分らの世界へ戻ると申しておったのだが」
ルーゼックが言う
「何でも 奴らの世界に戻るには 少々問題が起きてしまったとか その解決のために ガルバディアの力を借りたいと申しておった」
ヴィクトール13世が驚いて言う
「ではっ!?闇の王たちは 今ガルバディアへ!?」
ヘクターが来て言う
「いや、ベネテクトへ行くって言ってたぜ?なぁ デス?」
プログラマーが来て言う
「ああ、実に不可解だが ベネテクトの危機に対し まるで我が王 バーネット2世であるかの様に慌て ベネテクトの防衛へと向かった」
ヴィクトール13世が疑問して言う
「ベネテクトの防衛とは?ベネテクトの町に何かあったのか!?」
キルビーグが言う
「うむ、それが詳しくは分からなんだが 機械兵とか申す異世界の悪しき機械が召還されておるとか?」
ルーゼックが言う
「だが、案ずるな 元々闇の王とヴァルキリーらにとって その者どもは天敵であり すぐに片付けよるであろうと クロイツヴォルデンが申しておった」
この世界のヘクターが言う
「そっか…?ベネテクトに何かありゃー バーネットがすぐに動く筈だ けど、ガルバディアの機械は 今、止まっちまってるんだ 闇の王たちが折角ベネテクトの町を守ってくれても バーネットは奴らに力は貸せねーんじゃねーかな?」
プログラマーが言う
「止まった?そうか では、そのせいで 私の力も使えなくなってしまったのだな」
ヘクターが言う
「シリウスに変な攻撃をされちまったせいじゃねーかと思ってたけど 違って良かったな?デス」
プログラマーが言う
「ふむ… 良かったとは 言い切られないが 原因に対しては一応の納得は出来た」
ヴィクトール13世が背を向けて言う
「では、何にしても 私は戻らせてもらう ガルバディアのシステムが止まっている今 第二国王の私が 長く離れる訳には行かない」
この世界のヘクターが言う
「ああ、待てよ ヴィクトール 俺も行くぜ!」
ヴィクトール13世が呆気に取られて言う
「え?いや、ヘクター 君はアバロンに残って 各国からの報告や情報の収集を行わなければ」
この世界のヘクターが言う
「俺は仲間のバーネットや 俺の相棒の故郷であるガルバディアも 守ってやらなきゃならねーんだ お前との約束でもあるだろ?アバロンを一緒に守って 次はガルバディアも一緒に守るってよ?」
ヘクターが言う
「なら、俺が代わりに行くぜ!同じ俺が行くんなら 良いだろ?」
ヴィクトール13世が苦笑して言う
「うん、そうだね そうしよう ヘクター?バーネットも分かってくれるよ 20年後の君とは言え 同じ君だ」
この世界のヘクターが一瞬考えてから言う
「…いや!それなら 逆だぜっ!」
【 アバロン城 玉座の間 】
玉座に座ったヘクターが困惑して言う
「何で!?俺がアバロンの王様に なっちまってんだー!?」
もう一つの玉座に座ったプログラマーが言う
「それは… この場所に座らされた 私が 実に言いたいのだが…?」
レクターが笑顔で言う
「アバロン国王のヘクターが アバロンの王様なのは当然なのだ そして、そのヘクターの相棒である お前が アバロンの第二国王として そこに座っているのも 当然なのだ」
ヘクターが間を置いて 笑顔で言う
「だよなー!?俺の相棒なら 当然お前が アバロンの第二国王様だぜー?デスー!」
プログラマーが怒って言う
「納得出来るかっ!」
【 ガルバディア城 玉座の間 】
バーネット2世が倒れる ヴィクトール13世が血の付いた剣を見て微笑んでから言う
「どうだい?バーネット?心から信じていた相棒である僕に裏切られた気分は?」
バーネット2世が苦笑して言う
「は… はっは… 悪くねぇ… てめぇの剣で 殺されやがるんなら な… だが、一つだけ 答えやがれ 何で… 裏切りやがった…?」
ヴィクトール13世が微笑して言う
「え?そんなの決まってるじゃない?僕は君に支配されたかったんじゃない この僕が 君を支配したかったんだよ バーネット それなのに君は いつだって僕に命令してばかり 僕は君のペットじゃないんだ 猫の名前なんて付けられて このガルバディアに閉じ込められて 第二国王として飼われるなんて 僕には耐えられないんだ」
バーネット2世が言う
「ヴィク…トール… 俺は…」
ヴィクトール13世が微笑し バーネット2世の身の上に剣を構えて言う
「一つだけって言ったでしょ?僕はアバロンの民だ 約束を守らない事も嫌いなんだよ バーネット」
バーネット2世が一瞬、間を置いて言う
「…ハッ! それこそ 約束を破りやがるんじゃねぇよ 偽者!」
ヴィクトール13世が驚く ヴィクトール13世が走って来て叫ぶ
「バーネット!」
ヴィクトール13世が剣を振るう ヴィクトール13世(偽)が剣で払って回避し 受けた威力に手を押さえて舌打ちする ヴィクトール13世がバーネット2世を庇うように剣を構えて言う
「バーネット!大丈夫かいっ!?ごめんっ!遅れてしまって!」
バーネット2世が苦笑して言う
「はっは… 遅ぇんだよ… けど、間に合ったじゃねぇか…」
遅れてやって来た この世界のヘクターとガルバディアの騎士が 2人のヴィクトール13世とバーネット2世を見て驚く ヴィクトール13世が言う
「奴は私が倒す 君たちはバーネットを頼む」
この世界のヘクターが頷いて言う
「お、おう 俺らじゃ どっちが本物か 間違えちまいそうだ そっちは任せるぜ!」
ガルバディアの騎士がバーネット2世を抱え 場所を移動して回復薬を渡す この世界のヘクターが近くへ来て様子を伺う バーネット2世が言う
「急所は外されてる… 心配ねぇ 少し すれば 勝手に治りやがる…」
この世界のヘクターが傷を確認して言う
「勝手にって!?大剣で刺されてるんだぜ!?本格的な治療を受けねーと治んねーよ!?」
ガルバディアの騎士が言う
「いや、大丈夫だ オリジナルのガルバディアの民である バーネット国王なら 血中のマイクロマシンが傷を再生させる」
この世界のヘクターが驚いて言う
「あ?そうなのか…?ベネテクト王家の変体体質ってのは 本当にすげーんだな?」
バーネット2世が衝撃を受け怒って言う
「誰が!変体体し… っ!」
バーネット2世が吐血する ガルバディアの騎士が焦って言う
「バーネット国王っ いかにベネテクト王家の変体体質を持ってしても 回復中は安静にするべきだ」
バーネット2世が弱りながら言う
「へ… 変体体質… 言うんじゃ ね…ぇ…」
この世界のヘクターとガルバディアの騎士がバーネット2世の様子を見つつ ヴィクトール13世へ向く ヴィクトール13世が言う
「私の相棒を傷つけた君を許すつもりは無い しかし、君が自ら正体を明かし 謝罪すると言うのなら」
ヴィクトール13世(偽)が笑って言う
「あっはは 正体を明かし 謝罪するというのなら?僕の代わりに バーネット2世の命を 奪ってくれるのかい?」
ヴィクトール13世が剣を構え直して言う
「君と同じ能力を持つ種族を 根絶やしにするまで 君を生かしておいてあげる と、言いたかったのだけど もうその選択肢は消えた まずは君を始末する」
ヴィクトール13世(偽)が驚く ヴィクトール13世が声を上げて攻撃する ヴィクトール13世(偽)が防戦するが押される 立て続けに剣を振り下ろされ 表情をしかめて言う
「なんだっ!?これが あのヴィクトール13世っ!?ガルバディアの支援を受けない状態では ヘクターに及ばない筈なのにっ!?」
ヴィクトール13世が攻撃しながら笑って言う
「あっははっ どうしたの!?全然やられっぱなしじゃない!?詰まらないよ?君も攻撃しておいでよ?…出来るならねっ!!」
ヴィクトール13世が強撃を繰り出す ヴィクトール13世(偽)が弾き飛ばされ尻餅を着いて言う
「クッ… こいつ!狂ってやがるっ!」
ヴィクトール13世が剣を振り上げて叫ぶ
「死ねぇええ!!」
ヴィクトール13世(偽)が目を見開く バーネット2世が叫ぶ
「ヴィクトール!!止めやがれっ!!」
ヴィクトール13世がギリギリで剣を止める ヴィクトール13世(偽)が呆気に取られた状態で見つめる バーネット2世が刺された脇腹を押さえて辛そうに言う
「はぁ… 何とか届きやがったか もう大丈夫だ ヘクター 野郎をとっ捕まえろ」
この世界のヘクターが頷いて ヴィクトール13世(偽)を捕らえに向かう ガルバディアの騎士がバーネット2世へ向いて言う
「バーネット国王 今のは…?あの ヴィクトール第二国王が まるで」
ヴィクトール13世がやって来て照れる ガルバディアの騎士が驚く バーネット2世がため息を吐いて言う
「ったく てめぇは… 俺が声張れねぇ時に イカれるんじゃねぇよ もう少しで 本当に野郎を ぶっ殺しちまう所だったじゃねぇか?」
ヴィクトール13世が苦笑して言う
「ごめん、バーネット 僕も堪えようと思っていた筈なのだけど 気付いたら君に止められてたよ やっぱり 僕の狂戦士の能力は 気を抜くとすぐに現れちゃうみたいだ」
バーネット2世が衝撃を受け 焦って言う
「だからっ!てめぇええは 俺が居るからって 気を抜くんじゃねぇ!馬鹿野…っ!」
バーネット2世が脇腹を押さえうずくまる ヴィクトール13世が慌てて言う
「わーっ!バーネット!大丈夫っ!?無理しちゃ駄目だよっ!」
バーネット2世が怒って言う
「てめぇえが 無理させてやがるんだろがぁああ!?」
この世界のヘクターがヴィクトール13世(偽)へ言う
「しっかし 本当にヴィクトールにそっくりだぜ?」
ヴィクトール13世(偽)が微笑して言う
「そうかい?有難うヘクター でも、僕が本当に得意なのは…」
この世界のヘクターが驚く ヴィクトール13世(偽)が ヘクター(偽)になって言う
「どーだ?お前にそっくりだろ?けど、ちょっと違うんだぜ?何故なら こっちのヘクターは…」
ヘクター(偽)が自身の剣と体にプログラムの数字の羅列を表す この世界のヘクターが驚いて言う
「その数字の魔法!?20年後の俺と同じ!?」
ヘクター(偽)が一度疑問した後微笑して言う
「20年後のお前だって?お前らは まだ気付いてねーのか?あいつらは20年後の未来から来たんでも 過去から戻ったんでもねー “他の可能性のお前ら” なんだぜ?」
この世界のヘクターが疑問して言う
「他の可能性…?」
ヘクター(偽)が微笑して言う
「そうだぜ 何もかも このガルバディアのシリウス国王が始めた 世界中の多くの命を巻き込んだ 悪戯だ」
この世界のヘクターとヴィクトール13世が疑問する ヘクター(偽)が微笑して バーネット2世を見て言う
「お前はもう知ってるだろ?バーネット2世 お前はシリウスと同罪だ 各国の国王と力のある兵士たちを騙して お前らにとって最良の世界が出来る時を夢見て 何度も歴史を繰り返してる」
バーネット2世が言い返せずに黙る ヴィクトール13世と この世界のヘクターがバーネット2世を見てから顔を見合わせる ヘクター(偽)が2人を見て言う
「信じられねーか?ヘクター、ヴィクトール13世 けど、ちょっと考えてみろよ?もし、本当に今アバロンに居るヘクターが お前の20年後の姿だとしたら?一緒にやって来た お前の相棒は 何んでガルバディアの騎士じゃねーんだ?もう1人のお前の兄貴であるレクターが ウィザードである事も?20年後のお前らだとしたら 可笑しいだろう?答えは簡単だぜ あいつらは20年後のお前らじゃなくって “他の可能性” で作られた “お前らの情報” なんだ」
【 ガルバディア城 セントラルコンピュータ 】
シリウスがガルバディアのセントラルコンピュータにアクセスしている 後方でユダが周囲を見渡している シリウスが作業を止めて振り返る ユダが気付いて言う
「シリウス、どう? 故障は直りそうなの?」
シリウスが残念そうに言う
「いや、駄目だ この世界のガルバディアのセンコンは 完全にぶっ壊されちまった」
ユダが驚いて言う
「え!?それじゃっ!?」
シリウスが言う
「ああ、この世界のガルバディアは力を失った 世界をやり直す事も出来ねぇ 遂にシリウス元国王殿の悪戯も 終わりかもな… 希望は潰えちまったってよ?」
【 ガルバディア城 玉座の間 】
ヘクター(偽)が笑んで言う
「シリウス国王は世界をやり直し続ける事で お前たちの力を蓄えさせた お前たちが20年後のお前たちだと思っていた ヘクターとプログラマーの力は 何度もやり直した世界の中で 最も優秀だ けど、ガルバディアのシステムが使えなければ その力は発揮されない そんな程度じゃ 俺たちの方がよっぽど優秀だぜ!?」
ヘクター(偽)が数字の羅列をまとった剣を見せて言う
「世界一の大検使いと 世界一のプログラマー この力を持った俺は最強なんだ!ヘクター?試してみるか!?」
ヘクター(偽)がこの世界のヘクターへ剣を構える この世界のヘクターが剣を構える
【 ガルバディア城 セントラルコンピュータ 】
ユダが言う
「例えこの世界のガルバディアが力を失っても 現実の世界にはシリウス元国王が居る 壊れていないガルバディアの機械もある そして、彼は再び相棒の下に戻ったんだ このプロジェクトを始めた時と同様に 戦う力を取り戻しているんだよ!?」
シリウスが言う
「だが、やっと手に入った 世界各国の力である 有力者の情報は 今、全てがこの世界に使われちまってんだ この世界に入れられたウィルスの特定と除去 壊れた史実の修正までやるんじゃ 全てを終わらせるまでに どれだけ時間が掛かるか分からねぇ… 奴らの時は動いちまってんだ 俺やバッツスクロイツ、シャルロッテの力でも ウィルスの特定すら出来なかった その全てをシリウス元国王が1人でやるんじゃ… どの道間に合いっこねぇ」
ユダが言う
「バーネット!諦めてはいけないっ!僕らは世界を救うと約束したじゃないか!だから シリウス元国王が諦めかけていた このプロジェクトを引き継いだんだ!」
シリウスが言う
「その俺らの世界を救うには 今のこの世界を救わなけりゃならねぇ… ウィルスが ガルバディアの力を狙ったって事は 間違いなく 奴の仕業だ まさか 奴の力が この世界のプログラムに入り込む事が出来やがるとは 思いもしなかった… こっちはガルバディアの力がなけりゃ 何も出来やしねぇんだぜ?どうやって 敵を倒そうって言うんだ?奴が どんな手を使って来やがるかだって 分からねぇんだぞ?」
ユダが考えて言う
「相手はこの世界を攻撃して来た この世界のガルバディアの力を奪って 僕らの力を失わせて閉じ込めた …次にやる事は何だろう?シリウス、君は言ってたじゃないか?ウィルスが僕らと同様に この世界の誰かと入れ替わるのなら この世界に居られる時間は限られると」
シリウスがユダを見てから考えて言う
「…気の遠くなる話だが シリウス元国王殿がその気になりゃぁ もう一度このプロジェクトを1からやり直す事だって出来やがる だとしたら何をする?この世界に使われてやがる 各国の最強データを1人残らず始末しちまえば …いや、敵の時間はねぇんだ その中でも 重要な奴らに限られる …ヘクターと相棒のプログラマーの最強データ やっぱりあの2人か!?」
【 ガルバディア城 玉座の間 】
ガルバディアの騎士が倒れる ヴィクトール13世とバーネット2世が驚き ヴィクトール13世が言う
「ガルバディアの騎士を上回る速度と力… もう1人のヘクターは あんなに強かったのか」
バーネット2世が悔しそうに言う
「チィ… ガルバディアの力が使えねぇんじゃ アバロンに居る本物の奴らを連れて来たって 偽物ヘクターと戦わせる事は出来ねぇ…」
ヘクター(偽)が言う
「ああ、時間があれば あいつらも倒してやりたかったんだけどな あんま ゆっくりもしてられねーんだ 今のこの世界には 確実にぶっ倒さねーと いけねー奴が居っからな?」
ヘクター(偽)がバーネット2世へ剣を向ける ヴィクトール13世がバーネット2世を庇って剣を構える バーネット2世が驚いて言う
「おいっ 何のつもりだ!?」
ヴィクトール13世が言う
「バーネット、あいつは僕らでは倒せない アバロンに居るヘクターたちも ガルバディアの力が使えない今 相棒殿の力は下がっていると言っていた …けど 彼ら なら!あいつを倒せるかもしれない!」
バーネット2世が疑問した後 ハッとして言う
「その彼らってのは… まさか てめぇえ!?」
ヴィクトール13世が言う
「僕が戦って少しでも時間を稼ぐ だから 全て説明出来る君が 彼らに!ローレシアの2人の王へ伝えて 力を借りるんだ!」
バーネット2世が焦って言う
「ばっ 馬鹿言ってんじゃねぇ!俺が よりによってあいつらになんざっ!」
ヴィクトール13世が強く言う
「バーネット!僕らは世界を救うと約束しただろ!?アイツは 闇の王みたいな 生易しい奴じゃない アイツは本気で この世界を滅ぼそうとしている!早く皆に知らせないと!姿を変えられる アイツに気付く事は難しい!そして、バーネット!もし次に 君の前に僕が現れても 絶対に油断しないで!必ず 倒して!」
バーネット2世が驚いて言う
「ヴィクトール!?」
ヴィクトール13世がヘクター(偽)へ声を上げて向かう バーネット2世があっけに取られ焦って言う
「待てっ!ヴィクトールっ!」
ヘクター(偽)が苦笑して ヴィクトール13世の剣を受け止めて言う
「さっきは あんなに強ぇーって感じたのにな?このヘクターの真似をしてると 全然、話にもならねーぜ?」
ヘクター(偽)がヴィクトール13世の剣を払い 瞬時に移動して攻撃を繰り出す バーネット2世が 力を使い瞬時に移動して ヴィクトール13世を回避させて言う
「馬鹿野郎っ!早まるんじゃねぇ!」
ヘクター(偽)が疑問して言う
「あ?今の速さ… ああ、なるほど?情報伝達に使うマイクロトランスミッターを 逆利用して自分の体に使えば 筋肉を強制的に動かす事も出来るのか… けど、そんな使い方しちまったら お前 身が持たねーぜ?」
バーネット2世が言う
「ハッ!だからって 俺は相棒を見殺しにして どっかへ行っちまうなんて事は出来ねぇんだよ ついでに いくらてめぇが ガルバディアの力を真似たって オリジナルのガルバディアの民である 俺を上回る事なんざ出来ねぇぜ?」
バーネット2世が剣を構えて言う
「奴は俺が引き受ける ヴィクトール、てめぇなら ガルバディアとアバロンの通路を開く事が出来る あの道はてめぇらのモンだ 俺は開けられねぇ」
ヘクター(偽)が苦笑して言う
「確かに、世界一のプログラマーを真似してる俺のプログラムじゃ お前のスピードには付いて行けねーかもな?けど、力は俺の方が上だ 一発でも叩き込めりゃー 俺の勝ちだぜ?」
ヘクター(偽)が剣を構える ヴィクトール13世が剣を構えて言う
「いや、君が行ってくれ バーネット 今、あの通路を開いてしまったら アイツがアバロンへ行ってしまうかもしれない 時間を稼ぐ為にも あの通路は開く訳に行かない」
バーネット2世が言う
「通路が閉じるまでは 意地でも俺が抑えてやるってんだ!てめぇえが行け!」
ヴィクトール13世が強く言う
「嫌だっ!僕は 何度も君を 死なせる夢を見て来たっ だから 今度こそ君を守ると誓ったんだっ!」
バーネット2世が怒って言う
「てめぇえはっ!?夢の話なんかで 強情張るんじゃねぇ!世界を守るんだろ!?俺がローレシアまで走るのと てめぇえがアバロン経由で ローレシアの移動魔法陣へぶっ飛ばされるのと どっちが早ぇえと思ってやがるんだ!?大体俺は んな長い距離は 走れねぇんだよ!」
ヘクター(偽)が呆気に取られた後笑って言う
「あっははははっ!知ってるか お前ら!?それって どっちも 別の可能性のお前らが原因なんだぜ!?知ってる訳ねーよな?記憶は全てフォーマットされてるんだ けど、夢に見るとか!長い距離は 走れねーとか!何で残ってるんだろーな?」
ヴィクトール13世が怒りを押し殺して言う
「僕はっ アイツの事が嫌いだ バーネット アイツが何でも知ってると言うのなら 今度は アイツの知らない結果にしてやろうよ!?僕ら2人で!」
バーネット2世が苦笑して言う
「はっは… そぉだな あの野郎がガルバディアの情報を知ってやがるんなら てめぇの策に乗った方が良さそうだ …どっちにしたって 俺らは助からねぇ」
バーネット2世の視界に数字の羅列が垣間見える ヘクター(偽)が微笑して言う
「あ?見えたのか?この世界に入れたプログラム… ガルバディアのシステムが止まってても 多少は 見えちまうんだな?どんな感じなんだ?自分の決められた未来が 見えちまうってーのは?」
バーネット2世が笑んで言う
「悪くねぇぜ?てめぇが ぶっ倒されるんだって 分かるんだからなぁ?」
ヘクター(偽)が一瞬驚いた後 苦笑して言う
「下手な嘘だぜ 見えるのは お前の周囲の事ぐれーだろ?俺の事まで分かる訳がねー」
バーネット2世が苦笑して言う
「いや?てめぇの周囲に見えるぜ… これが人間、死に際の 120%の力って奴かねぇ?神経が研ぎ澄まされてやがるみてぇだ… まぁ これなら俺も ローレシアまでだって走れっちまいそうだぜ?」
ヘクター(偽)が怒って言う
「俺は知ってんだ!お前はローレシアには行かねーってな!俺にぶっ倒されるからだぜ!」
ヘクター(偽)がバーネット2世へ向かい剣を振るう 剣が音を立ててぶつかり合う ヴィクトール13世がヘクター(偽)の剣を抑えて言う
「なら まずは僕を倒してみなよ!」
ヘクター(偽)が笑んで言う
「また狂戦士になる気か!?今度は俺の方が力で勝ってるんだ!お前に不利になるだけだぜ!?」
ヴィクトール13世が苦笑して言う
「警告を有難う 偽者ヘクター けど それ位… 僕にだって分るよ!」
ヴィクトール13世が大剣とは違う剣術で攻撃を繰りなす ヘクター(偽)が舌打ちをして言う
「チッ 本当に 120%の力ってやつは 厄介だ… けど!」
ヘクター(偽)が大剣に数字の羅列を現して ヴィクトール13世へ向かい 見えない速度で剣を振るう ヴィクトール13世が一瞬驚いた後 斬り付けられて悲鳴を上げる
「ぐあっ!?」
ヘクター(偽)が笑んで言う
「世界一の大剣使いである俺に 敵う訳ねーだろ?」
ヘクター(偽)が ヴィクトール13世の身体へ大剣を突き刺す ヴィクトール13世が目を見開いて息を飲む
「ッ!!」
バーネット2世が叫ぶ
「ヴィクトール!!」
ヴィクトール13世が言う
「…行くんだ!バーネット!」
バーネット2世が悔しそうに目を瞑った後 叫びながら走り去る
「勝手に死にやがったら!許さねぇからなぁ!」
ヘクター(偽)がバーネット2世の走り去った方を見て表情をしかめて言う
「チッ… 俺はあいつを 仕留めなけりゃならねーのにっ 邪魔すんなよ!」
ヴィクトール13世が ヘクター(偽)の剣を掴んで言う
「させないっ!もうっ2度と 失いたくないんだっ!」
ガルバディア城 城門外
バーネット2世の耳元に数字の羅列が垣間見え ヴィクトール13世の悲鳴が聞こえる バーネット2世が強く目を瞑って言う
「馬鹿野郎がっ!俺もあいつも死んじまうって事が 分かってやがるってのにっ 何で俺は走ってやがるんだっ!?ローレシアになんざ行ける訳がねぇえ!デネシアまでだって この足は持たねぇ!ヴィクトール!てめぇだって…っ おまけに てめぇえも俺も!この世界を守ろうなんざ 本気じゃ思ってねぇえくせによぉおお!」
バーネット2世の耳元に数字の羅列が垣間見え ヴィクトール13世が倒れる音が聞こえる バーネット2世が立ち止まって振り返る バーネット2世が一歩足を戻らせる 脳裏に先ほどの記憶が蘇り ヴィクトール13世が言う
『行くんだ!バーネット!』
バーネット2世が歯を食いしばって再び走り出して思う
『このまま帰ったって 俺はもう戦えねぇっ だったら!せめて…』
バーネット2世が叫ぶ
「デネシアまで!俺は 這ってでも行ってやるぜぇええ!」
バーネット2世が正面に見える ガルバディアの移動魔法陣を見て思う
『ちくしょうっ!魔法が使えればっ!』
バーネット2世が一度俯いてから顔を上げる と 同時に 移動魔法陣にキルビーグとルーゼックが飛んで来る バーネット2世が驚き声を上げる
「ぬあっ!?」
キルビーグとルーゼックが声に気付いて顔を向け 目を見開いて ルーゼックが驚きの声を上げる
「なっ!?」
ルーゼックが咄嗟にキルビーグを押し避けさせる 同時にバーネット2世がルーゼックに突っ込む ルーゼックとバーネット2世が悲鳴を上げる
「「のわーっ!!??」」
バーネット2世の勢いのままに ルーゼックが巻き込まれ 2人が雪面をスライドして行く かなりの距離を行った位置で2人が止まる キルビーグが慌てて駆け向かって来て言う
「ルーゼック!?大丈夫か!?一体何が飛んで来おったっ!?」
バーネット2世が顔を上げ 自分の下敷きになっているルーゼックを見て叫ぶ
「てっ!てめぇえらっ!?何で!?」
ルーゼックが痛みに顔を歪めつつ 不機嫌に目を開いて叫ぶ
「お、おのれっ!何奴かっ!?勝手に我らへ突っ込んで来おった挙句っ!私を下敷きにしおってっ!」
バーネット2世が あっけにとられた後 言い辛い言葉を必死に言う
「た… 頼むっ!力を貸してくれ!ルーゼック、キルビーグ!てめぇえらに 頼るしかねぇえんだっ!」
ルーゼックが衝撃を受けた後 疑問し まじまじとバーネット2世の顔を覗き込んで言う
「む…?我らの名を知っており 更に頼み事とは?貴様は… 何者か?」
バーネット2世が衝撃を受け 怒って叫ぶ
「んだと てめぇええ!!こっちが しおらしく頼んでやってるってぇええのに!すっとぼけるんじゃねぇええ!!」
ルーゼックが衝撃を受け 怒って叫ぶ
「黙れっ!人の体に乗っかったままで 何処が しおらしいのかっ!?頼み事を致すのなら まずは 名を名乗り 正体を明かさぬか 馬鹿者っ!まるで どこぞの不良国王の様な 物言いをしおって!貴様は誰だっ!?」
バーネット2世が衝撃を受け 怒って叫ぶ
「だぁああ!?てめぇええ!ヴィクトールが ぶっ殺されちまうってぇええ時に ふざけやがってんじゃねぇええ!知らねぇえとは 言わせねぇ!俺はっ その不良国王こと バーネット2世・ベネテクトだぁああ!!」
ルーゼックが衝撃を受け 不審そうにバーネット2世の顔を覗き込んで言う
「や、やはり そうであったのか?貴様… その目はどう致した?例えどんなに泣き腫らそうとも 瞳まで赤く染まるとは 聞いた事もあらなんだ…」
バーネット2世がハッとして顔をそらし 視線だけルーゼックへ向ける ルーゼックが若干呆れて言う
「いや、例え顔を逸らそうとも 視線を向ければ 同じであろう?馬鹿者」
キルビーグが言う
「それより、バーネット殿 先ほど貴殿が申された ヴィクトールがぶっ殺されちまうとは?例えどの様な急ぎの用があろうにも 随分と 物騒であるが…?」
ルーゼックが考えつつ言う
「ふむ… 貴様だと分かった上で思い返せば 先ほどの無礼な頼みも 多少は しおらしくも聞こえなんだ」
バーネット2世が衝撃を受け 慌てて叫ぶ
「そおだったぜ!今はこの目の事なんざ 構ってられねぇえんだ!ガルバディア城に 他人の人真似しやがる 訳の分かんねぇえ野郎が現れやがった!ムカつく野郎だが 戦力は あの20年後の世界から来やがった ヘクターと同じぐれぇえありやがる!てめぇえらは あの20年後のヘクターの力を知ってやがるだろ!?」
ルーゼックとキルビーグがハッとして ルーゼックが言う
「ヘクターの真似を行い 同等の力を有する者… だと?」
キルビーグが言う
「では、ローゼック代理国王殿が 申されておったのは」
実は居たローゼックが踏み出して叫ぶ
「今度はガルバディアへと現れおったのかっ!あの事前確認のなっておらぬ 人真似小僧がっ!」
バーネット2世が驚いて言う
「なんだ!?野郎を知ってやがるのか!?」
ローゼックが叫ぶ
「先刻は取り逃がしたが 今度こそ仕留めてくれようぞっ!…我が息子どもがな!!」
ローゼックがルーゼックとキルビーグを示す ルーゼックが衝撃を受け 叫ぶ
「我らがっ!?」
バーネット2世が言う
「何でも良い!てめぇらを迎えにローレシアへ向かおうとしてた所だ!ここまで来てくれやがるとは 思いもしなかったが これなら!もしかしたら 間に合うかもしれねぇ!」
バーネット2世がキルビーグとルーゼックの腕を掴む 2人が呆気にとられる バーネット2世がガルバディア城へ向き直って言う
「待ってやがれよ!ヴィクトール!」
【 ガルバディア城 玉座の間 】
バーネット2世がルーゼックとキルビーグの腕を掴んで玉座の間に駆け込んで来て叫ぶ
「ヴィクトール!」
バーネット2世がショックを受けた様に立ち止まる 引っ張られてきたキルビーグとルーゼックが驚き目を見開いた後キルビーグが心苦しそうに視線を落とす ヘクター(偽)が振り返って驚き言う
「あ…?マジかよ…!?何で こんなに 早く!?」
バーネット2世が1人ゆっくりと歩いて来て 床へ膝を着き言う
「ヴィク トール…っ」
床に倒れているヴィクトール13世が苦しげに目を開き苦笑して言う
「お 帰り… バーネット… とっても 早かったね… 良かった 僕… ちゃんと 死なないで 君を 待てたよ…?」
バーネット2世が悔しそうに言う
「馬鹿野郎っ ヴィクトール!いくら待ってやがったって言っても… こんなに 食らってやがったらっ!てめぇはっ…!」
ヴィクトール13世が軽く笑って言う
「うん… そう だね… もう 助からないね… けど ちゃんと 待ってた… お陰で バーネットの… 珍しい姿見られたよ」
ヴィクトール13世が微笑する バーネット2世が驚く ヴィクトールの視線の先 赤い瞳のバーネット2世が泣いている ヴィクトール13世が嬉しそうに微笑する バーネット2世が悔しそうに言う
「俺はっ!てめぇえにだけは 見せたか 無かったんだっ 馬鹿野郎っ!それなのに てめぇえがっ!」
ヴィクトール13世が苦笑して言う
「ごめん バーネット… 怒らないで …そうだね こっちの バーネットも 綺麗だけど やっぱり 僕は… いつもの君が 一番好きだよ…」
バーネット2世が一瞬驚いた後 青い瞳になり 少し困り怒った様子で言う
「ったりめぇえだろ!元はと言やぁあ てめぇの好みに合わせて作ってやってたんだっ!けど てめぇえは んな時まで 誤解を招く様な言葉を 言いやがるんじゃねぇえ!」
ヴィクトール13世が一瞬キルビーグとルーゼックへ視線を向けた後 苦笑し 少し頬を染めているバーネット2世へ戻し 軽く笑って言う
「はは… ご… めんね バーネット… でも 僕は やっぱり君が 大好き だから… もっと… 一緒に 遊んで いたかった な… ガルバ ディアの 2人の王様 と して も」
バーネット2世がハッとして言う
「ヴィクトール!?おいっ!待ちやがれ!今 死んじまったら!てめぇのデータは 保存されやがらねぇんだっ!ガルバディアのシステムが戻るまでは!意地でも死にやがるんじゃねぇえ!」
ヘクター(偽)が苦笑して言う
「いーや、無理だぜ?ガルバディアのシステムは お前らが生きてる限り戻らねーって 俺の相棒に教えてもらったんだ それに、そいつは いくら頑張ったって もう持たねーよ?今まで生きてたのだって 十分意地張ってたんだもんな?」
キルビーグとルーゼックが顔を見合わせた後 キルビーグが言う
「ガルバディアのシステムが止まっておる事に お前も関わっておるのか… 詳しい話は分かりかねるが ローゼック代理国王からも 話は聞き及んでいる お前がソイッド村の魔術師どもの失踪に関わっておると」
ルーゼックが剣を引き抜いて言う
「魔術師どもを操りおったのは貴様かっ!?ついでに そこのヴィクトール13世への仕打ちっ!よもや どの様な言い訳を申そうとも 許されぬぞっ!」
ヘクター(偽)がルーゼックたちを見た後 バーネット2世が慌てて言う
「ヴィクトール!?おいっヴィクトール!」
皆がヴィクトール13世へ向く ルーゼックがキルビーグへ叫ぶ
「キルビーグ!一刻も早く この偽者ヘクターを捕らえるのだっ!詳しくは分からぬが ガルバディアの力を戻す事に必要とあるなら 奴を仕留め 話を聞き出してくれようぞっ!」
キルビーグが言う
「ああ!分かった!」
【 ガルバディア城 セントラルコンピュータ 】
シリウスが目を閉じ ガルバディアのセントラルコンピュータへアクセスしている ユダの通信機が着信する ユダが驚いて通信機に出て言う
「バッツスクロイツ!通信を直せたんだね!?」
通信機のバッツスクロイツが慌てて言う
『ちょーっ!今の俺っちは バッコンヴォルデンなのー!』
ユダが疑問して言う
「え?バッコンヴォ…?それより バッコンルパンクロイツ!大変なんだ!」
通信機のバッツスクロイツが慌てて言う
『大変って!?それに その大変な名前も誰ー!?』
シリウスがセントラルコンピュータへアクセスを続ける その後ろでユダが通信機へ言う
「ガルバディアのシステムは 壊されちゃってて シリウスがプログラムで直す事は出来ないって でも 一部のシステムを使って原因を探してる だからクロイバッコンヴォルデン 大変かもしれないけど 原因さえ分かれば 君の手で直せるんじゃないかって シリウスが」
通信機のバッツスクロイツが焦って言う
『えー!?俺っち 今やっとソルベキアのセンコン直したんですけどー!?おまけに 黒いバッコンヴォルデンって それ ちょっとっ 嫌味ー!?』
ユダが言う
「それから!今すぐ僕が君を迎えに行くから ヴァルキリーたちを集めておいて!僕らの…っ この世界の敵が!ヘクターとデスの 彼らの最強データを消去させようと 狙っているかもしれないんだ!だから彼らをヴァルキリーたちで 守らせる!ガルバディアの力が使えない今 プログラマーの力は使えない!それから!バッコスヴォルデン!」
通信機のバッツスクロイツが焦って言う
『惜しいっ!一文字違うよ ユダっち!』
ユダが真剣に言う
「宝玉は!?各国の宝玉は 強化防壁で 保護されているのだよね?」
通信機のバッツスクロイツが頷いて言う
『うん、フリーになってるのは 今ユダっちが持っているのと キルビーグっちへ預けた ローレシアの宝玉 この2つだけ!』
ユダがホッとして言う
「良かった…」
通信機のバッツスクロイツが言う
『けど、ユダっち?折角ヴィクトールっちとバーネっちが ガルバディアの王様ーになれたのに?このデータが取れないーってのはスペシャルロストだと 俺っち思うんですけどー?このスペシャルレアデータは取って置きたかったなーって?』
ユダが苦笑して言う
「確かに 僕らが自然とガルバディアの王となった 今回のデータは超貴重ではあったけれど でも 僕らのデータに関しては この僕らの情報で良いと思うんだ だって…」
ユダが笑顔で言う
「この僕が 歴代のヴィクトール13世の中で もっとも長い時間をバーネットと 過ごせているのだものね!えへへっ!」
シリウスが衝撃を受け 怒って叫ぶ
「おいっ!ユダ野郎!てめぇえは 相変わらず 普通の奴が聞いたら 誤解する様な事を 言いやがるんじゃねぇええ!」
ユダが衝撃を受け 泣きながら怒って言う
「あー!酷いよバーネット!今まで何度も君を目の前で失って来た 僕の苦しみや悲しみを 君は知らないくせにー!」
シリウスが衝撃を受け 焦って叫ぶ
「だからっ!その部分をもっと強調して 言いやがれってぇええんだ!そぉじゃねぇえから いつも誤解されそうに なりやがるんだろぉがぁあ!馬鹿野郎ぉおお!!」
ユダが衝撃を受け呆気にとられた後 照れる シリウスが衝撃を受け焦る ユダが改めて言う
「でも、これで 何とか僕らの重要データは守られそうだね?シリウス」
シリウスが呆れて言う
「俺らの重要データじゃぁ無くって 俺らの世界を救う為の!重要データだぁ ったく 何だっててめぇの 下手くそな言葉は治らねぇんだぁ?」
ユダが膨れて言う
「下手くそな言葉じゃなくって 言葉が足りないって言ってよ?シリウス 僕は頑張って わざとやってるんだからね!」
シリウスが衝撃を受けて怒って言う
「やっぱり わざとだったのか!?てめぇえ!!」
通信機のバッツスクロイツが言う
『わざとって言えば?ユダっちたちのデータが保存されてないのも わざとなんだからー?マジ本気で その空っぽの宝玉に 2人のデータ入れるのだけーは 忘れないでよー?シリウス元国王っちが ガルバディアの機械から出ちゃった以上 2人の基本データは保護されないーんだから?』
ユダが疑問して通信機へ言う
「僕らのデータは シリウス元国王が 今まで通り 現実の世界へ送ってくれるんじゃ 無かったのかい?」
プログラムが警告を発し シリウスが確認し 表情を顰めて言う
「チッ… そう言う事か… 今まではどの世界においても ガルバディアのセンコンはシリウス国王自らが保持していた だが、このセンコンに関しては システムの力だけの 今までで最もセキュリティの弱い状態にあったんだ そこへ奴が付け込んで来やがった …こいつはもう完全に敵の手に落ちてやがる 周囲のプロテクトのお陰で 現状その影響が現れてねぇだけだ」
シリウスがセントラルコンピュータから離れて言う
「このままじゃぁ 遅かれ早かれ完全に乗っ取られっちまう この世界はもうダメだ 今ある情報を全部宝玉へぶち込んで終わらせる エスケープ時だぜ」
ユダが呆気に取られていた状態から気を取り直して頷く
【 ガルバディア城 玉座の間 】
ヴィクトール13世が苦しそうな表情を見せた後 目を開き 薄れる視界の中で言う
「あぁ… バーネッ… ご めん 僕 は…」
バーネット2世が困って叫ぶ
「ヴィクトール!待ちやがれ!てめぇが 死にやがったら!俺はどぉやって 戦えってぇえんだ!?あの元国王みてぇに 別の相棒を探しやがれとでも 言いやがるのか!?」
ヴィクトール13世が間を置いて言う
「バーネット… 嫌 だ… 君が 別の…」
バーネット2世が苦笑して言う
「はは…っ な、なら てめぇが生きて居やがらけりゃ 駄目だろぉがよ?じゃねぇと 俺は他の相棒を探しちまうぜ?てめぇを置き去りにして 別の大剣使いの相棒を探しに アバロンへ行っちまうぜ?」
ヴィクトール13世が目に涙を溜めてバーネット2世へ視線を向ける バーネット2世が苦笑して言う
「嫌なら 生きてやがれってんだ もう少しだぜ?あいつらが あの偽者ヘクターの野郎を ぶっ倒してくれやがる …ガルバディアのシステムさえ取り戻せれば てめぇえはガルバディアの機械が 命を繋ぎ止めてくれやがる …しばらく出られねぇけどな?」
ヘクター(偽)が両膝を着き両手を着いて 荒い息で言う
「ち… くしょ… 何で… 俺は完全に ヘクターの真似を… 世界一の強さを持ってる 筈なのに…」
ヘクター(偽)がフォーリエルの姿へ変わる ルーゼックが剣を向けて言う
「貴様の負けだ 偽者ヘクター 命が惜しくば ガルバディアの機械を戻せ 貴様が何ぞ悪戯を行っておるのであろう?今回だけは それを直せば 貴様の罪を大目に見てやっても良い …早く致せ ヴィクトール13世の命が尽きれば 貴様の命も尽きる事となりおるぞ?」
ルーゼックが剣を構える フォーリエルがルーゼックを見上げて言う
「無駄さ… 俺はこの世界の結末を聞いたんだ ガルバディアのシステムが戻る時には ヴィクトール13世は この世から消滅してる」
ルーゼックが言う
「聞いた?…貴様では ガルバディアの機械は直せぬと 申すのか?」
フォーリエルが苦笑して言う
「俺はただの剣士もどきだぜ?機械なんて大の苦手だ 俺はあんたらの敵だって奴の指示に従っただけだ」
遠くから足音が響き ユダとシリウスが玉座の間へ駆け込んで来る ユダが周囲の様子を見て言う
「これは…一体!?」
ルーゼックとキルビーグが驚き キルビーグが言う
「ユダ、シリウス 貴殿らも来ていたのか?」
バーネット2世が叫ぶ
「ヴィクトールっ!!」
皆がヴィクトール13世へ向く ヴィクトール13世が苦しそうに言う
「ご… めん ね バーネット 僕は… も う… でも… よかっ… 君は… 助かっ…」
ヴィクトール13世が目を閉じる バーネット2世が泣きながら叫ぶ
「ヴィクトール!馬鹿野郎っ!俺は てめぇえ以外の相棒なんざ 認めねぇええ!このガルバディアも 俺もてめぇえも 全部っこれでっ!」
シリウスが言う
「はっはー これで決まりだなぁ?俺らのデータは てめぇらで決定だぜ」
ユダが一瞬驚いて言う
「え?決まりって…」
シリウスが宝玉を取り出す ユダが衝撃を受け焦って叫ぶ
「えぇええーっ!?」
ユダがシリウスの腕を掴んで焦って叫ぶ
「待ってっ!シリウスっ!僕らのデータは!」
シリウスが言う
「るせぇ 待てねぇよ このままじゃぁ てめぇが死んじまうじゃぁねぇか?俺はてめぇを見殺しになんざ ぶっ殺されたって する気はねぇんだ」
シリウスがバーネット2世へ宝玉を手渡して言う
「ほらよ てめぇらのデータを保存しやがれ 俺らが現実の世界へ送ってやる」
バーネット2世が向けられている宝玉から伝いシリウスを見上げて言う
「シリウス… てめぇは…?」
シリウスが仮面を外して言う
「俺はてめぇだ 分かったらさっさとしやがれ ヴィクトールがくたばっちまうだろうがぁ?ついでに みっともねぇから 人前で泣くんじゃねぇよ 馬鹿野郎」
バーネット2世が苦笑して宝玉を受け取り言う
「だなぁ?けど 誰も覚えちゃいねぇから 心配ねぇよ」
シリウスが苦笑する バーネット2世がヴィクトール13世を片手に抱き 宝玉を握って言う
「ヴィクトール 安心しやがれ 俺の次の相棒だって やっぱりてめぇだ」
バーネット2世が目を閉じて強く念じる 宝玉が強く光り 光が消えると共に宝玉が残り2人が消える シリウスが宝玉を拾いユダへ言う
「さて、次はそこの2人か 丁度 ローレシアの宝玉も持ってやがるしな?…それとも 全員ひとまとめにしてから説明をしてやるか?その方が…」
ユダが泣きながら怒って言う
「酷いよバーネット!僕を裏切ったね!?この僕とバーネットが 僕たちのデータになる筈だったのにーっ!このー!裏切り者バーネット!」
シリウスが衝撃を受け 怒って言う
「る、るせぇええ!ユダ野郎っ!てめぇに 裏切り者呼ばわりされる覚えはねぇえ!大体 俺たちのデータが ちょいと歳食っちまった この俺たちじゃぁ 元の世界に戻った時 他の奴らに比べて ハンデになっちまうだろぉおが!」
ユダが泣きながら怒って言う
「いーんだもんっ!ちょいと位歳食ってたってー!この僕とバーネットなら きっと2回も3回も4回だって 世界を救えたのにーっ!」
シリウスが怒って言う
「るせぇええ!だったら その4回目のこの世界が救われやがれば いい加減 気も済みやがるだろぉお!?まだ ちょいと 救い切れちゃいねぇえが!こんだけ救えば十分だろぉおが てめぇえは!?」
ユダが泣きながら怒って言う
「ヤダ!もっと遊んでいたいもん!この世界が4回目なら 5回と6回と7回も作りたいー!」
シリウスが衝撃を受け 怒って叫ぶ
「るせぇえ!ユダ野郎っ!てめぇはまだ5回も6回も7回も 世界を危機に落としてぇえのか!?てめぇえは いい加減 世界を救いてぇえんだか 滅ぼしてぇええんだか ハッキリしやがれ!」
ユダが衝撃を受け怒って言う
「バーネットこそ いい加減分かってよ!僕は世界を救いたいんでも 滅ぼしたいんでもないっ!ただ 君とずっと遊んでいたいだけだもん!」
ユダが膨れる シリウスが衝撃を受け 焦って言う
「て、てめぇえ!分かってっから それをハッキリ言いやがるんじゃねぇええ!嘘でも 世界を救いたいって 言いやがれ!じゃねぇえと 俺らが本当に悪役みてぇえじゃねぇえか!?」
ユダがあっけにとられた後 苦笑して言う
「けど、やっぱり 僕らは 悪役でも 世界を滅ぼせなかったね?シリウス?」
シリウスが衝撃を受け 視線をそらし焦って言う
「ま、まぁ てめぇえの その無謀なシナリオのお陰で 俺らに一番有効なデータが採れやがったけどなぁ!?その為に 世界を危険に晒しっちまうってのは いい加減止めた方が良いと思うぜ?俺はよ」
ユダが笑顔で言う
「バーネットは 何だかんだ言っても やっぱり 慈愛の王様だよね?バーネット?」
シリウスが衝撃を受け焦って言う
「てめぇえは 結局 どんな泣き虫ヴィクトールでありやがっても 野蛮で無謀で自信過剰で ついでに我がままな アバロンの大剣使いでありやがるぜ!ヴィクトール!」
ユダがあっけにとられ考えた後 照れる シリウスが衝撃を受け 怒って叫ぶ
「せめて 1つぐれぇ 否定しやがれっ!!」
フォーリエルの後方にテスクローネが現れて言う
「なるほど そう言う事だったのか」
皆が驚きフォーリエルの後方を見る フォーリエルが言う
「テスっ!?」
テスクローネが微笑して言う
「ヴィクトール13世の消滅は 宝玉への保存で成される事であったとは… そこまでは」
テスクローネの姿が一瞬不鮮明になり言う
『解析が及ばなかった… 流石はシリウス』
ユダが気付いて言う
「…シリウス?」
テスクローネの状態が戻り視線を向けないまま言う
「フォーリエル… 傷付けてしまってすまない 我々は戻ろう 偽物ではない 本物の旧世界へ」
フォーリエルが苦笑して言う
「ああ 目的は果たされたんだもんな?」
テスクローネが微笑する フォーリエルとテスクローネが消える キルビーグがルーゼックの横へ来て言う
「本物の旧世界… どうやら この世界が偽りの世界であると申す ローゼック代理国王殿の申されていた話は 誠であった様子であるな?ルーゼック」
ルーゼックが視線をユダたちへ向けたまま言う
「…ふむ、よもや 父上が ご乱心なされたのではないかと 本気で心配しておったのだが その心配だけは拭われおったわ」
ローゼックが怒って言う
「であるからにしてっ!私は乱心などしておらぬと 何度も申したのだっ!馬鹿者っ!」
シリウスが驚いて言う
「この世界が偽り!?ローゼック元デネシア国王 何でてめぇが それを知ってやがる?」
ローゼックが言う
「ふんっ 知っておるぞ?今 ここに居る我らは 全て意識だけの存在であり 本来の我らは長きに渡り 現実の世界で眠り続けているのだと申す事もな?そして、事の始まりは 数十年前に 各国の王が話し合い 取り決めた事であると言うことも」
ユダとシリウスが驚き顔を見合わせ シリウスが言う
「何でてめぇが 知ってやがる!?この世界の真実は その俺らが眠りに着いてやがる 現実世界で意識を取り戻した奴にしか 知らされてねぇ筈だ てめぇは 今まで一度も」
ローゼックが苦笑して言う
「その現実世界で意識を取り戻したであろう 貴様らが 何故再びこの世界に戻って来よったのか?この世界の約束事など とうに破られておる様だな?」
ユダが言う
「我々は 真実を知った上で 更なる飛躍を促す為 この世界に戻って来た 決してもう1人の自分たちに 協力はしないと言う事を誓って …しかし、貴方の場合は」
シリウスが一つ息を吐いて言う
「意識の覚醒が成される以前に 情報を知っちまったんじゃぁ どうしようもねぇ 自分の行動に影響を与えねぇ なんて事は出来ねぇもんなぁ?」
ローゼックが微笑して言う
「私をこの世界から追放致すと申すのか?だが、今の貴様らではそれも叶わぬのであろう?」
シリウスが言う
「今は出来ねぇが 次の世界にてめぇえの意識は入れさせねぇ そうなりゃてめぇは この世界の俺の親父やヴィクトール12世の様に 記憶の中にだけ存在するって事さえ難しい 何しろ てめぇの情報は保存されてやがらねぇんだからなぁ?下手すりゃぁ 現実世界の体だってどうなるか分からねぇぜ?」
ローゼックが軽く笑って言う
「ふん、そうしたくばするが良い だが、今までと共に 貴様らが後に作る世界においても重要となる ローレシアの2人の王が それらの真実を知っておればどうなる?」
シリウスとユダが一瞬驚き ユダが言う
「それはどう言う…?」
キルビーグが一歩出て 宝玉を見せて言う
「貴殿らから返して貰った このローレシアの宝玉には この我らのデータを保存する もちろん ローゼック殿の情報もな?」
ローゼックがシリウスへ向いてにやりと笑む キルビーグが言う
「よって 今後 貴殿らがいかなる世界を造ろうとも 我らローレシアの2人の王とローゼック殿は この世界の真実を知る者となろう」
シリウスが表情をしかめる ユダが困った様子で言う
「それでは 世界の均衡が図れない この世界の真実を知るデータがあっては どの様なシナリオを作っても影響が現れてしまう」
ローゼックが言う
「まだ分からぬのか?もう貴様らが この様な世界で 強者を作り上げるなどと申す 姑息な手段を行っている暇は あらなんだぞ?」
キルビーグが言う
「バーネット2世、ヴィクトール13世 我らは この世界の真実と 現実世界の現状を この世界において公言致し 共に戦う勇士を募り 宝玉への情報の保存を 最終決定致すべきではなかろうか?」
ルーゼックが言う
「多くの最良情報を求めるのは間違いではない だが、そうしておる間にも 我らの真の世界は旧世界の侵略に晒されんとしておる この世界へ奴の力が及び始めおったのでは もはや猶予はあらぬ」
シリウスが言う
「それはそうだがっ 旧世界の力は現実世界の俺たちとは比べ物にならねぇ!少なくとも あの機械兵と同等に戦えるくれぇの力を 一般の兵士が持ち合わせるくれぇじゃなけりゃ 話にならねぇんだ!」
オライオンの声が聞こえる
「俺たちは あの機械兵と同等に戦ったぜ!バーネット第二皇帝陛下!」
シリウスたちが驚き 玉座の間の入り口へ顔を向ける オライオンに続いて リーザロッテがやって来て言う
「ええ!そうでしてよ!そして 現在も!各国の移動魔法陣へ突如現れた 機械兵たちの相手を 皆で協力して行っておりましてよ!ヴィクトール第一皇帝陛下!」
シリウスたちが驚き ユダが言う
「各国の移動魔法陣に 機械兵たちが!?」
【 アバロン城 玉座の間 】
ヘクターが叫ぶ
「ヴァルキリーも俺たちに協力してくれてるんだ!この際どこの国の奴らだとか 敵だったとか味方だったとか関係ねー!この世界に生きる奴らと機械兵との勝負だぜ!」
プログラマーが周囲にソルベキアのプログラムを表示させ 一瞬の後それらが反転してガルバディアのプログラムになる プログラマーが言う
「ヘクター、完了した これでソルベキアのシステムを利用して お前のサポートが出来る」
ヘクターが叫ぶ
「よし!アバロン1番隊を除く 全部隊を他国への援護に向かわせろ!それから1番隊隊長へ伝達!アバロン城下町へ入り込んだ機械兵を必ずぶっ倒して 町を死守しろってな!ヴァルキリーと俺らは 門前で機械兵の相手をしてやるぜ!」
プログラマーが玉座の間を出て行く ヘクターがすぐに追いかけ プログラマーを担ぐと共にプログラム加速を実行する ヘクターの肩に腰掛けたプログラマーが言う
「ソルベキアのシステムを利用する為 処理速度は激しく低下する しかし」
ヘクターが笑んで言う
「おう!世界一の大剣使いと世界一のプログラマー 俺たち2人に不可能はねー!」
プログラマーが微笑する
【 上空 】
3体のドラゴンが飛ぶ ドラゴンに乗ったオライオンが言う
「各国の移動魔法陣は使えなくなっちまったけど 通信は通じるし 対人移動魔法が使える魔法剣士部隊は魔法での移動が出来る だから 俺たちが確認した範囲では…」
ドラゴンに乗ったリーザロッテが言う
「デネシアとアバロンで結成された魔法剣士部隊は デネシアの援護へ向かったわ!ローレシアとローゼントの魔法剣士部隊はローゼントを!3大国家のローレシア、アバロン、シュレイザーは ヴァルキリーが守っていてよ!」
ドラゴンに乗ったユダが言う
「ヴァルキリーへの指示は誰が!?」
オライオンが言う
「シュレイザーのヴァルキリーは シュライツが!アバロンのヴァルキリーは レクター!ローレシアは分かんねーけど ちゃんと戦ってるって話だ!」
ユダの乗ったドラゴンが少し振り返り シリウスの声で言う
「ローレシアのヴァルキリーは あのウィザードの野郎かもしれねぇ ソルベキアはバッツスクロイツが指揮ってやがる筈だ 残るは ツヴァイザーとスプローニ、ついでにカイッズかぁ!?」
ユダが言う
「ソイッド村とヴィルトンの港町へは ルーゼックとキルビーグ それから ローゼック元デネシア国王が向かうと言っていた ベネテクトは先のワープロード破壊時に 念の為移動魔法陣を封鎖しておいたのが役立ったが 封鎖プログラムは解除されてしまう可能性も否定は出来ない!」
オライオンが言う
「なら!ヴィクトール陛下たちは まずベネテクトに行けよ!そっちが安心出来ねーと バーネット第二皇帝陛下は土壇場でもベネテクトの援護に行っちまうからよー?」
ドラゴンのシリウスが衝撃を受け 怒って叫ぶ
「ったりめぇええだ!俺はそのベネテクトの王なんだ!自国の援護を最優先にする事の何がいけねぇえってんだ!?あぁあ!?」
ドラゴンのシリウスがオライオンへ炎を吐く オライオンが焦げて叫ぶ
「あちーっ!バーネット陛下!俺がシュライツに炎慣れさせられてなかったら 燃え尽きてたってーのっ!」
ドラゴンのシリウスが言う
「ハッ!知ってっから やってやったんだ!まぁ そぉ言う事で 俺らはまずベネテクトへ向かう そっちが 終われば 隣のツヴァイザーへも向かってやるぜ!」
オライオンが言う
「スプローニは先住民族と銃使いたちが手を組めば 機械兵と対等に戦えるって話だ!リーザ お前もツヴァイザーへ向かうんだろ!?」
リーザロッテが考えてから言う
「いいえ!私はカイッズへ向かって差し上げてよ!ツヴァイザーにはレイトやヴェイン、シャルが 既に向かっているわ!オライオン あなたも合流して頂戴!」
オライオンが驚いて言う
「あぁ!?何言ってんだよ!?ツヴァイザーの援護に ツヴァイザーの王女である お前が行かねーなんて!」
リーザロッテが言う
「ええ!だから私の優秀、勇敢な仲間を向かわせるのでしてよ!私は小さき国々の勇者として カイッズを死守した後 ツヴァイザーへ向かうわ!貴方方はそれまで!なんとしてもツヴァイザーを守って頂戴!宜しくって!?」
オライオンが呆気にとられた後 うなずいて言う
「分かった!任せとけ!お前が戻るまでに 全部終わっちまってるかもしれねーぜ!?」
リーザロッテが微笑して言う
「あら?それでは困ってしまってよ?勇者の私が戻る前に終わってしまっては 格好が付かなくってよ?」
オライオンが笑って言う
「なら 早くカイッズを死守して戻って来いよな!?ツヴァイザーの勇者様!」
リーザロッテが笑んで言う
「ええ!勿論でしてよ!」
3体のドラゴンが3方向へ分かれて飛んで行く
【 カイッズ国 】
カイッズの司祭が慌てて言う
「何をしておるか!?カイッズ部隊ども!巨人族どもっ!これぞ 天上の神々からの我らへの試練っ!今こそ立ち向かわずしてどうする!?」
カイッズ部隊らが怯えている その後方で巨人族らが跪いて祈って言う
「わ~ 天上の神々様~ 我らは罪深き子らです~」
「これが天上の神々様の 我らへの評価なんだ~ 我らの罪は許されなかった~!」
上空からリーザロッテが降り立ち 槍で床を突いて叫ぶ
「勇敢なるカイッズ国聖戦部隊の皆!何を恐れていらっしゃってっ!?奴らが城下町へ入り込んだら 多くの民が命を奪われてよ!貴方方は このカイッズの民と国を守る兵士!貴方方の後ろには この国の兵士である貴方方を信じ 祈りを捧げている多くの民がいらっしゃってよ!?」
カイッズ部隊員らが顔を見合わせる リーザロッテが巨人族へ向いて言う
「そして!カイッズ国の先住民族 巨人族の皆!スプローニの先住民族は 貴方方よりよっぽど小さな体でも 私たち後住民族と共に 共存するスプローニ国を守って戦っていてよ!?貴方方は このカイッズ国の後住民族と共に 同じ天上の神々を信じるのであるなら!共に祈りを捧げ 共に生きる このカイッズの地を守るべく 今こそ共に戦うべきでしてよ!」
巨人族たちがリーザロッテを見上げて言う
「せ、聖母様だっ 我らの聖母様のお言葉だっ!」
カイッズ部隊長が振り返って言う
「そうだぞ皆!我らはカイッズ聖戦部隊!我らの戦いには!天上の神々からの加護が付いているのだ!今までも どの様な敗戦を帰そうにも 我らの命は救われて来た!そして今!天上の神々は 我らへ戦いを促す為!あの下っ端聖母様を 我らの前に現して下されたのだ!」
カイッズ部隊員らが驚き声を上げる リーザロッテが衝撃を受け 一瞬怒って言う
「し!?下っ端…っ!?」
リーザロッテが咳払いをしてから 改めて 機械兵らへ槍を向けて叫ぶ
「このカイッズの勇敢なる兵士と巨人族 この2つの力の前に 機械兵など恐れるに足りなくってよ!さぁ!自分たちの力をその目で確認してごらんなさいっ!カイッズ砲撃部隊!撃ち方構え!」
カイッズ大砲隊が大砲を用意する カイッズ部隊員らが固唾を飲む 巨人族たちが怯えつつ見守る リーザロッテが機械兵らとの間合いを見極め叫ぶ
「撃てーーっ!!」
カイッズ大砲隊が一斉に砲撃を行う 機械兵らが横一線に放たれた砲撃を避けられず 砲撃を食らって倒れる カイッズ部隊員らと巨人族が驚き呆気にとられる リーザロッテが叫ぶ
「カイッズ砲撃隊が存在する限り!このカイッズ国は守られてよ!後は 奴らが現れる移動魔法陣を破壊致して差し上げたら宜しくてよ!私が…!」
リーザロッテが言い掛けると 巨人族らが声を上げる
「我らも戦うぞー!」「我らも このカイッズ国を守るんだー!」
カイッズ部隊員らが声を上げる
「我らカイッズ聖戦部隊も負けておれぬ!我らには天上の神々と カイッズの民らの祈りが付いているのだー!」
一斉に皆が喝采をあげる リーザロッテが呆気にとられる カイッズ部隊長がやって来て言う
「奴らは移動魔法陣から現れるのですね!?でしたら その役目 どうか 我らにお任せを!」
リーザロッテが呆気に取られた後 笑んで言う
「ええ!勿論でしてよ!このカイッズを守るのは 貴方方でしてよ!」
カイッズ部隊長が力強く言う
「はっ!我らが 下っ端 聖母様っ!」
リーザロッテが衝撃を受け怒って叫ぶ
「一言多くってよっ!!」
【 ベネテクト国 】
ベネテクトの移動魔法陣が 大音量で破壊される ユダがシリウスへ言う
「機械兵が現れない内に破壊出来て良かったね!バーネット!」
シリウスが言う
「ああ、ヴァルキリーどもを連れてくるにしても 時間がかかっちまう所だったしな 念の為だったプロテクトが役に立ちやがるとは… 現実の世界の移動魔法陣も 一通りプロテクトを掛けて 正式な要請を受けた時以外は開かねぇ位ぇの警戒をした方が良いかもしれねぇ」
ユダが言う
「そうだね もっとも 僕らには出来ない作業に なってしまったけどね?」
シリウスが呆気に取られてから苦笑して言う
「ああ、そぉだった… んなら、ソルベキアへ戻った時にでも シリウス元国王殿へ連絡を入れてやりゃぁ良い」
町人が言う
「バーネット陛下!?」
シリウスとユダが驚き振り返る 大勢の町人が心配そうに見守っている シリウスが苦笑して言う
「ああ、すまねぇ 何の連絡も入れずに破壊しちまって 脅かしちまったか?」
町人たちが顔を見合わせ微笑んだ後言う
「あの… 貴方様も 20年後から戻られる勇者様と言う 未来から戻られたバーネット陛下ですか?」
シリウスが気付き 慌てて言う
「あ?あ、ああ!そ、そぉなんだ!今まではソルベ いや!そのー… ああ!ガルバディアに居てよ!?…まぁ それでも ちょいちょい 来ては居たんだけどな?」
ユダが衝撃を受け 焦って言う
「ちょいちょい!?それじゃ!僕が目を離した隙に 君が城からちょくちょく 居なくなってたのはっ!1人でベネテクトの町へ お忍び里帰りしてたって事!?バーネット!?」
シリウスが衝撃を受け 慌てて言う
「え!?あ!?いや、その あの…っ ま、まぁ良いじゃねぇか?済んだ事だしよ!?」
ユダが不満そうに頬を膨らせる シリウスが焦る 町人たちが顔を見合わせ微笑した後言う
「しかし、未来のバーネット陛下であっても お姿を見られて良かった」
「ああ、バーネット陛下は ガルバディアの王になられる以前からも アバロンの第二国王へ出張していたりで すっかり そのお姿が ベネテクトで見られなくなってしまって」
「ええ、我々は とても寂しく思っておりましたから」
町人たちがシリウスを見て微笑む シリウスが呆気に取られた後視線を落として言う
「あ… ああ、すまねぇ けど 俺は… 元々ベネテクトの王じゃ… そもそもベネテクトの国すら」
ユダが笑顔で言う
「彼らは皆 このベネテクト国の民だものね!親愛なる ベネテクトの王である バーネット2世・ベネテクト陛下に会えなくて 寂しがってたんだよ!バーネット?」
町人たちが笑顔で言う
「勿論です!我らは皆 このベネテクトの民 王に愛されし民ですから」
「そうですとも!ベネテクト城も無くなってしまって 我らのベネテクトの王も アバロンやらガルバディアやらへの出張で大忙しと その様に お忙しいとは分かっておりますが たまにはそのお姿を 我らへお見せ下さいませ バーネット陛下」
シリウスが呆気に取られる ユダが苦笑して言う
「彼らに… この世界の彼らの王である バーネットの姿を見せてあげたかったね」
シリウスが苦笑して言う
「ああ、そうだな あいつも俺と同じで ちょいとひねくれちまってたからな ベネテクトの民はアバロンとツヴァイザーの民じゃねぇかって… 何を今更言ってやがるんだかなぁ?今なら分かるぜ 俺はやっぱり ベネテクトの王なんだってよ」
ユダが微笑して言う
「うん、彼らも君を必要としているんだよ 彼らは 君のベネテクト国の民なのだもの!」
シリウスが苦笑する 町人たちが微笑んだ後疑問して言う
「それにしても、未来ではなく 現代のバーネット陛下は 今もガルバディアだろうか?」
ユダとシリウスが衝撃を受ける 町人が言う
「我々も待っているばかりではなく 折角、道も開けたのだし 我々から向かってみるべきだろうか?」
シリウスとユダが焦る 町人が言う
「そうだな!未来のバーネット陛下にお会い出来たのも 何かの縁だ ガルバディアへ!現代の我らの王へ挨拶へ向かおう!」
町人たちが盛り上がる シリウスが焦って言う
「あーっ!いやっ そのっ!げ、現代の俺も 近々ベネテクトへ来るって言ってたぜ!?今はっ あの…っ」
シリウスがユダへ助けを求め視線を向ける ユダが衝撃を受け焦る 町人が言う
「では早速準備をして 明日にでも出発しよう!」
「行き先は北方のガルバディアだ 皆 十分な防寒を用意しろ?」
「ああ!しっかり準備をして向かわなければ お優しい我らベネテクトの王は 我らの無理には お怒りになるぞ!?」
町民たちが笑う ユダが1度苦笑してから笑顔で言う
「うん!今は比較的雪の少ない時期ではあるけれど ガルバディアへ向かう道は このベネテクトにはない一面の雪で覆われている!十分な体力と防寒を用意して 明日 皆で向かってくれ!」
町民たちが返事をして早速皆で相談を開始する シリウスが困って小声でユダへ言う
「お、おい…っ ユダっ!?」
ユダが苦笑して言う
「僕らはもうすぐこの世界から消える そして その僕らと共に この世界も… だとしたら」
シリウスが言う
「シリウス元国王が作ったこの世界は 現実の世界で眠りに着いている連中の為のモンだ… だが、この世界を構成するために そいつら以外の情報も必要とされ その情報を提供した連中の記憶には その時の記憶が残っちまう… それを現実世界の連中が 夢か幻か… 何だったと記憶しているのかまでは 分からねぇが…」
ユダが苦笑して言う
「彼らは明日 ガルバディアへ向かうと言う事を考えて この世界が消える瞬間までその準備を行うかもしれない そして… 現実世界の皆が それを覚えていたとしても 目覚めた世界で 本物の君に会えるのなら?その場所がベネテクトでも ひょっとしたら ガルバディアでも 良いじゃない?バーネット?」
シリウスが苦笑して言う
「はっは… だなぁ?ちょいと騙しちまう様な気もするが 今だけは… それでも良いかぁ?この詫びは… 現実の世界で返させる こいつによ?」
シリウスが宝玉を見る ユダが見て微笑んで頷く
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成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに!
故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。
この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。
持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。
主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。
期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。
その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。
仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!?
美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。
この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
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