漫画の様にスラスラ読める小説をめざしたらネームになった物語の1つ。クライツオブハーツ

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13-5 闇の王の敗北

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【 ソルベキア城 機械室 】

シリウスがヴァルキリーたちによってベッドに抑え付けられている ユダが妖しい表情で言う
「さぁ、いくよ シリウス 大丈夫、痛いのは最初だけだから」
シリウスが焦って言う
「や、やっぱり止めやがれ!俺はこう見えても そいつの経験だけはねぇえんだ!初めてだってぇえのに てめぇえらアバロンの強引なやり方なんかで やっちまったら気絶しちまうっ」
ユダが微笑して言う
「ふふ…っ 気絶なんてさせないよ 僕はこう見えても上手な方なんだ だから安心して力を抜いて?力を入れてちゃ入らないよ?」
シリウスが逃げようとしながら言う
「やっぱり無理だ!痛ぇえって事は分かってんのに力なんか抜けねぇえし 抜かなけりゃあもっと痛ぇって事は 知識として知ってやがるんだっ だから…っ や、やっぱり俺はっ」
ユダが邪悪に微笑んで言う
「シリウスが一度経験してみるって言ったんだよ?僕はずっと我慢していたんだ やると言ったからには 早く満足させて… いや、もうこれ以上 我慢出来ないっ!力づくでもやらせてもらうよ!さぁ!皆 シリウスを押さえ付けて 彼が何と言おうと 絶対に離すな!」
シリウスがヴァルキリーたちに押さえ付けられ 怯え焦って言う
「やめろっ!離せ!頼むっ!やめてくれっ!ユダーっ!あぁああーーっ!!」
ユダがシリウスの傷に回復薬を流し込む シリウスが暴れるが ヴァルキリーたちが痛がる姿に怯えながら押さえ付ける シリウスが気絶寸前で倒れる ユダが笑顔で言う
「ふぅ、スッキリしたー!シリウスってば ずっと大丈夫だって言い張るんだもの いくらベネテクト王家の変体体質をもってしても やっぱり体を貫かれておいて 大丈夫な訳ないじゃない?」
シリウスが怒って叫ぶ
「てめぇええ!ベネテクト王家の変体体質なんて言いやがるんじゃねぇええ!大体 剣を刺されても大丈夫な体質なんざ あって堪るかぁああ!」
ユダが不満そうに言う
「だったら!この時間の無い時に 簡単便利スピーディーに回復させた僕や皆に お礼の一言位言ってくれても良いじゃない?隠密にローレシア領域の魔力者に 回復を頼みに行こうだなんて シリウスってば 意外に臆病なんだからっ!」
シリウスが赤面して言う
「う、うるせぇええっ 今回は礼を言ってやるが 次は止めろって言ったら 止めやがれぇええ!」

ユダとシリウスが バッツスクロイツの近くへ来て ユダが言う
「どうだい?バッツスクロイツ ヘクター国王殿の初仕事振りは?」
バッツスクロイツが操作盤の操作を一時停止して振り返って言う
「あれー?そっちーはもう終っちゃったの?俺っちとしてはー?聞き様によって あっち系の人に 超サービスーな流れのままーに 本当にちょっとそっち系ー?に行っちゃうのかなー?なーんて?思ったりしてたんだけど?」
ユダが首を傾げて言う
「え?あっち系の人と そっち系って?」
シリウスが咳払いをして言う
「んな 下らねぇえ事は放っといて アバロンとガルバディアはどうだ?どっちの国も 予定通り収まりやがっただろぉ?」
ユダが不思議そうにシリウスを見た後バッツスクロイツへ向く バッツスクロイツが微笑して操作盤を操作しながら言う
「そうだねー アバロンの嘘をフォローしてあげちゃう分 ヘクターっちの相棒っちが ちょっちやばいかもー?って言う大方の予想は 良い意味で予測数値から離れてるけど?それ以外は全て予定通りーかな?アバロンの王様がヘクターっちに代わったって事が そろそろデネシアの勇者様の耳にも入るだろうから こっちも順調かなー?」
ユダが衝撃を受け 体の向きを変えて困った表情で言う
「レリアンは優しい女性だと思っていたけど 実はドラゴンを駆って大空を飛び回る事が趣味だったりする 勇敢なデネシアの勇者様… だったんだよね…?」
シリウスが悪戯に笑んでユダへ言う
「自分がちょいとデネシアへ里帰りしている間に 旦那がアバロンから追い出されてガルバディアの第二国王になっちまってたなんてなぁ?それこそお得意のドラゴンを大群率いて お叱りに来なさるんじゃねぇのかぁ?」
ユダがシリウスにすがって言う
「そ、その時は ガルバディアの第一国王であるシリウスが ちゃぁんと第二国王になった僕を 庇ってくれるんだよねっ!?」
シリウスが身を避けて言う
「じょ、冗談じゃねぇ こっちとら 女に不慣れな国の第一国王だぜ おっかねぇデネシアの王女様相手に どう言い訳しろってんだ?てめぇえをガルバディアの門前に放り出して避難するに 決まってんだろがぁ?」
ユダが泣きながら怒って言う
「えー!酷いよシリウス!僕を貰ってくれたんじゃないのっ!?僕の体をあんなに痺れさせて 強引な躾けを繰り返した挙句 僕が助けを必要としている時に 自分だけ避難して眺めているだなんて!やっぱり僕は 君に弄ばれるだけの存在なのーっ!?」
シリウスが衝撃を受け バッツスクロイツを示して言う
「ばっ馬鹿野郎!この泣き虫ユダが!てめぇえは その気も無く 変な言葉ばっか並べやがるんじゃねぇええ!鈍臭ぇバッツスクロイツに誤解されっじゃねぇえかぁああ!」
バッツスクロイツが苦笑して言う
「うわ~ この2人って やっぱ変~態~」

【 ヴィルトンの港町 近海 】

フェリペウス号がソルベキア艦隊に追われて攻撃を受けている カイザが舵を取りつつ計器を操作して言う
「くっそ~ まさかヴィルトンの港が ソルベキア艦隊に制圧されちまうだなんてっ ローレシアがソルベキアと手を切ったりしちまったから!」
カイザが通信機を操作して言う
「おいっ!スカル!そっちはどうだっ!?」
通信機からスカルの声が届く
『駄目だ!シュレイザーへの海路には どこもソルベキア艦隊が居やがる!こうなりゃあ 俺も他の海賊たちが一時避難してる あの小島へ逃げるからな!お前も何とか振り切って来いよ!待ってるぜ!』
カイザが言う
「分かった!また後でな!」
カイザが通信機を切り 計器を操作して言う
「とは言え、他の海賊が皆退避しちまってる今 総力を上げて俺を追って来てる あの連中を振り切るなんて… やっぱり無理だよなぁ?」
カイザがレーダーを見て苦笑する レーダーにはフェリペウス号を追って来る沢山のソルベキア艦隊のマークがある カイザが溜息を付いた後気を引き締めて伝声管へ言う
「世界一の海賊船 フェリペウス号の仲間たち これから俺は 俺たち海賊の未来の為に この船と共に後方のソルベキア艦隊を 海の藻屑にしてやろうと思う」
伝声管の声に 海賊たちが驚き顔を上げる 伝声管から声が続く
『今俺らを追って来てるソルベキア艦隊の数は ソルベキアが持つ艦隊の3分の1以上だ こいつらが皆いなくなれば 小島へ避難してる海賊たち全員の力で ヴィルトンの港を取り戻せるだろう だから、お前たちは』
カイザが強い視線で言う
「皆、ここで フェリペウス号から降りてくれ」
海賊たちが驚く 伝声管から声が続く
『まだこの船はソルベキア艦隊に攻撃をしてねぇ 今お前たちが後ろの艦隊の護送艦に捕虜として捕まれば 奴らはお前らに危害を加える事は出来ねーまま ソルベキアへ護送される事になる その間に他の海賊たちに助けて貰える様に 俺からスカルの奴に頼んでおく 心配はいらねぇ』
カイザが微笑して言う
「俺はソルベキア艦隊を連れて あの海域へ向かう 今日は満潮だ あの海域には渦が出来る 何にも知らずに付いて来るソルベキア艦隊に 海と海賊の恐ろしさを教えてやるぜ」
海賊たちがブリッジへ入って来て言う
「だったら俺たちも一緒に行くに決まってるだろ?カイザ!」
カイザが驚いて振り返る 海賊たちが言う
「この船はお前の船かもしれねーけど 海賊はお前だけじゃねーんだ!」
「俺たちだって 海と海賊の恐ろしさを ソルベキアの鉄船に教えてやりてーぜ!」
「おうだぜ!お前だけに海賊の意地を預ける訳にはいかねーよ!」
カイザが呆気に取られて言う
「お前ら… け、けどっ!?」
海賊たちが笑んで言う
「海の男に二言は無しだぜ!?カイザ船長!」
皆が笑む カイザが呆気に取られた状態から 苦笑して言う
「分かった!このフェリペウス号の仲間全員で ソルベキアの奴らに 俺ら海賊の最後の意地って奴を 見せ付けてやるぜ!」
皆が声を揃えて叫ぶ

上空

フェリペウス号とソルベキア艦隊の上空を ドラゴンたちが飛んでいる 先頭を飛ぶドラゴンに乗ったリーザロッテが言う
「居たわ!あの先頭の海賊船!私たちが知っているカイザJrの海賊船とそっくりでしてよ!」
リーザロッテの前に座り手綱を持つレリアンが言う
「ええ!あれは海賊船フェリペウス号 海賊たちの中で一番の力を持つ 海賊カイザの船よ …どうやら ソルベキア艦隊を誘導しているみたいだわ」
別のドラゴンが隣に来て そこに乗っているレイトが言う
「リーザ様!この先のソイッド村の近海には 季節特有の大きな渦が発生すると シャルが申しております」
レイトの後ろに座りモバイルPCを操作しているシャルロッテが言う
「このままの速度で向かうと 約30分後には あの海賊船とソルベキア艦隊が 発生した渦に飲み込まれてしまいますっ」
レイトたちの逆側にドラゴンが来て 前に座るヴェインが言う
「この世界の海賊は海の事を知らないのか…?」
ヴェインの後ろに座っているロイが言う
「…海賊は国の艦隊より 自然の海に詳しいものだ 通常の海上よりも 自分たちに有利な荒れた海域を利用しての戦いを 行おうとしているのかもしれない」
別のドラゴンが皆の先頭に降りたち オライオンが叫ぶ
「どちらにしたって あの海賊船1つで あんな沢山の連中に勝つなんて出来ねーんだ!弱きを助け共に戦う!俺たちの勇者と仲間たちの出番だろ!?そうとなりゃー 特攻隊長オライオンと副隊長シュライツが先陣切って出陣だ!いっくぜー!」
シュライツが喜んで奇声を発っする オライオンが剣を抜き 手綱を操作して急降下する リーザロッテが焦って言う
「ちょっと!オライオン!まだ勇者の私が 命令していなくってよーっ!」
レリアンが軽く笑って言う
「アバロンの傭兵隊は 国王の命令が無くても 動く部隊だものね?勇者様の命令だって 待ってはくれないわ」
リーザロッテが怒って言う
「傭兵隊と国王なら良くっても 勇者の仲間と勇者では その内 勇者の立場を奪われてしまってよ!?」
レリアンが呆気に取られた後、微笑して言う
「そうね、勇者の立場を取られるのは 私も困ってしまうわ… それならっ!」
レリアンがドラゴンを急降下させる リーザロッテが一瞬驚き悲鳴を上げる レリアンが手綱を操作しながら言う
「さあ!リーザ!あの命令無視な特攻隊長に 先を越されない内に!海賊カイザへ 援護宣誓を!」
リーザが慌てて言う
「え、ええ!勿論でしてよ!」
上空に残されたレイトたちが呆気に取られ ヴェインが言う
「レリアン様がデネシアの勇者として 俺たちの仲間になると言うのにも驚いたが…」
レイトが言う
「あのリーザ様を先導する 勇者を演じられるとは…」
シャルロッテが苦笑して言う
「そ、そそそそれともっ 元からレリアン様もっ リーザの様に活発な王女様だったっ なんて事なのかもしれませんねっ?」
レリアンが振り返って叫ぶ
「そこの勇者の仲間たち!オライオン特攻隊長と 私たち勇者に 大きな遅れを取っているわよ!急ぎなさい!」
仲間たちが衝撃を受け慌てて続く

【 海賊たちの小島 】

カイザが苦笑して言う
「…てぇ~訳で~ 突然空から高笑いが聞こえたと思ったら ドラゴンの大群やら 魔法やら剣やら銃弾やら槍やらが降って来て 俺たちが海賊の意地を持って あの渦の出来る海域へ誘導して ひと泡吹かせようとしていた ソルベキア艦隊を あっさり制圧してくれちまったんだ~ あははははーっ」
スカルが押さえていた怒りを破裂させて言う
「カイザーっ!てめぇー 途中まで泣かせる様な事言っときながら あっさり海賊の意地を奪われちまって!おまけに その連中へ俺たちの隠れ家である この島の場所を教えちまうだなんて 何考えてやがんだー!?」
カイザが苦笑して言う
「まぁまぁ?この勇者様たちのお陰で 世界一の海賊船フェリペウス号も 勇敢な海賊たちも皆助かったんだしよ?おまけに この島だって元はバーネット1世殿がベネテクト城の宝物庫に置き切れ無くなった宝を 隠しておく場所として 俺たちと一緒に来たのが最初だったんだ 隠れ家って言っても バーネット1世殿のベネテクト国には有名な島だぜ?」
リーザロッテが驚いて言う
「ベネテクト城の宝ですって!?」
スカルが怒って言う
「カイザ!この連中は そのベネテクト国の連中どころか 他国の王女やら兵士やらじゃねーかっ!海賊は仲間の宝には手を出さねーって鉄則があるが この島の事を他国の奴に知られたんじゃ ここにあるベネテクト王家の宝がこいつらに取られっちまうだろ!」
オライオンが言う
「おい!俺たちは別に 宝が欲しくて来た訳じゃねーんだ!そんな心配すんじゃねーよ!」
シュライツが同意で怒って奇声を発する レイトが言う
「そうだ!我らは決してこの島の宝や お前たち海賊を取り締まる事を目的として 参った訳では無い!我らツヴァイザーの勇者リーザロッテ様は お前たちとの対話を求めておられるのだ!」
リーザロッテが衝撃を受けてから 慌てて平静を装って言う
「え、ええ!そうでしてよ!た、宝なんて ま、まったく関係なくってよ!…う、うんっ それで、今貴方方は 自分たちの町であったヴィルトンの港町を ソルベキアに制圧され身動きの取られない状態なのではなくって?私たちは この世界を救う為 例え小さな力であっても 戦う意欲を持つ方々を求めているの 貴方方が私たちと共に 今後、世界の為に力を貸してくださると言うのでしたら 私たちは 今、その貴方方へと 力を貸して差し上げてよ!」
カイザが苦笑してスカルたち海賊へ言う
「と、言う訳なんだ、俺らも一時しのぎで この島に留まる事は出来ても この島に隠しておいた燃料や武器弾薬が尽きちまったら それこそ終わりだろ?だったら、この際 このイカレ… あ、いやいや!不思議な勇者様たちの力を 借りようと思ってなぁ?」
スカルたちが顔を見合わせてから言う
「けどよぉ?例え今回 こいつらの力を借りて ヴィルトンの港町を取り返しても?今後こいつらに支配されるんじゃ やっぱり同じ事なんじゃねーか?」
「そうだぜ、勇者様だー何だなんて イカレタ事言ってても こいつらは色んな国の王女や兵士なんだろ?どの道同じだぜ!」
「おまけにソルベキアのプログラマーまで居るんじゃ もしかしてソルベキアの回し者なんじゃねーのか?だとしたら 今この場所だってソルベキアにばれちまった事になる」
リーザロッテが困り怒って言う
「私たちは決して貴方方へ悪い様には致さなくってよ!…それは、貴方方海賊が 万が一にも一般の客船や貨物船を襲うような事があれば その時は…」
リーザロッテが困って視線を落とす スカルが言う
「俺らヴィルトンの海賊は 堅気の船を襲ったりはしねー だが、このままじゃそうも言ってられなくなる 俺らだって 生き残らなけりゃーいけねぇからな?だから」
他の海賊が言う
「やっぱりお前らと手を組む事は出来ねーな?それに、この島の事を知っちまったお前らを このまま帰す訳にもいかねー…」
海賊たちが武器を手にリーザロッテたちへ構える カイザが慌てて言う
「お、おいっ!?待てよっ こいつらは俺らのフェリペウス号と仲間たちを 助けてくれたんだぜ!」
スカルが舌打ちして言う
「ばかっ!だからおめーはいつも お人好しだって馬鹿にされるんだっ こいつらは端っから 俺ら海賊の居場所を調べようとしてたんだって 何で分からねーんだよ!」
カイザが言う
「そうだとしても!このままじゃ俺らは ヴィルトンの町を取り戻せねーんだぞ?町を取り返す為にこいつらの手を借りて その分こっちも手を貸せば良いだけじゃねーの!?」
スカルが言う
「だから!例え今ヴィルトンを取り戻したって その後こいつらに…!」
レリアンが怒りを爆発させ叫ぶ
「えぇえいっ!黙れっ!この弱虫な海の藻屑どもっ!ならば我らを利用し ヴィルトンを取り戻した後 我らへ奇襲を掛けようと言う考えを 何故持たぬのだっ!?我らを仲間として取り入れる事も 利用してやろうとも考えられぬ貴様らが!大海を支配する海賊を名乗るなど 片腹痛いわっ!」
海賊たちが怯えて固まる レリアンが強く言う
「このままここに居っても 貴様らは干乾びて死ぬだけよ!だったらその前に ヴィルトンの町の1つでも 奪い返す戦いを行い 華々しく散るが良い!違うかっ!?」
海賊たちがひれ伏して言う
「ははーっ!海賊女王様の命のままにーっ!」
レリアンが衝撃を受けて叫ぶ
「だっ 誰が海賊女王様ですってっ!?」
リーザロッテと仲間たちが呆気に取られる ヴェインが言う
「あ、あれが… デネシアの王女にしてアバロンの王妃であった レリアン様… か…?」
レイトが言う
「リーザ様とは違って… いや 違って居られても やはり 王族である故に 人を魅了する話術を お持ちの様だ」
ロイが言う
「…とは言え あの様な言葉を 王女や王妃であった王族の女性が 口にするとは」
シャルロッテが苦笑して言う
「じょ、じょじょよ女性では無いですがっ あのバーネット陛下もっ 王族とは少し離れた言葉を使われますしっ や、やっぱり 相手によってっ 言葉を使い分ける王族とはっ すごいと思いますぅ!」
オライオンが首を傾げて言う
「あぁ?あれってデネシアの王族が使う言葉じゃなかったのか?俺、前にも 似たような言葉使う王様に 会った事があったと思うぜ?」
シュライツが喜んで奇声を発する リーザロッテたちが驚きオライオンへ向く

【 ローレシア城 玉座の間 】

ルーゼックが叫ぶ
「何ぃっ!?ヴィルトンの港町をソルベキア艦隊に制圧され 海賊どもがおめおめと 何処かへ逃げて行きよっただとっ!?その様な軟弱な輩が 大海を支配する海賊を名乗っておったなど 片腹痛いわっ!」
キルビーグが言う
「ふむ… あのヴィルトンの町から海賊が居らなんだなったと申すのは 傍目にはローレシア領域の賊が消えたと 良い様に見られるやも知れぬが… あの海賊たちは義賊であったしな?彼らがおらなんだなって あの町の活気が落ちるのは少々寂しくなる気もしよるが…」
ルーゼックが怒って叫ぶ
「馬鹿者っ!キルビーグ!貴様はそれでも このローレシアの第一国王であるか!?今は軟弱な海賊どもがおらなんだなって 町が寂しくなりよった事など どうでも良いのだっ!それよりも このローレシア領域の町を!ソルベキアの!あの闇の王どもの国に 乗っ取られたと言う事の方が問題であろうっ!」
キルビーグが苦笑して言う
「ああ そうであったな?すまぬ、私としては 比較的穏やかな者の多い魔力者たちの国に置いて 彼らの活気はたまに忍んで参ると とても元気付けられよったものでな?」
ルーゼックが呆れて言う
「ロ、ローレシアの国王が たまに忍んで 海賊どもの町で癒されて居ったのか?」
キルビーグが苦笑して言う
「まぁ それもお前がこの城に来よってからは あの町へ忍んで参る必要も 無くなりよったわ?はっはっは」
ルーゼックが衝撃を受け怒って言う
「それは どう言う意味であるかっ!」
伝達の兵が現れて言う
「ルーゼック陛下、デネシア国の勇者様より 通信連絡が入っております」
キルビーグがルーゼックへ言う
「デネシア国の勇者とな?レリアン殿からと言う事か」
ルーゼックが不満そうにキルビーグへ言う
「ふんっ 例えあいつが デネシアの国力を使いたいなどと申しおっても 勝手にデネシアの勇者を名乗り 竜族の者たちを大勢 危険な戦場へ連れ出しおった者へ これ以上デネシアの助力は与えぬわ」
キルビーグが言う
「しかし、今 レリアン殿は…」
ローレシア兵たちが通信機を玉座の間に運んで来る レリアンが叫ぶ
『お言葉ですが お兄様!私はデネシアの助力などは 求めてはおりません!』
キルビーグとルーゼックが衝撃を受け ルーゼックがローレシア兵へ怒る
「馬鹿者っ!事前にこちらで策を話し合う事もある!連絡は繋げと申すまで 保留して置かぬか!」
ローレシア兵が焦って謝る
「も、申し訳有りません!ルーゼック陛下!」
ルーゼックが通信機へ向かって言う
「それで?デネシアの勇者もどきが この私に何の用だ?」
通信機のレリアンが怒って言う
『ローレシア第二国王もどきのお兄様に用などございませんわ!私はローレシア第一国王のキルビーグ陛下へ ご用がありました為 体よく利用させて頂いたまでです!』
ルーゼックが怒って立ち上がり叫ぶ
「何だとっ!おのれっ!やんちゃ王女が!貴様はそれでも デネシアの王女であるかっ!?」
通信機のレリアンが怒って言う
『今はデネシアの王女はお休みを頂いております!私はデネシアの勇者として この世界を守る為の準備を致しております!』
ルーゼックが通信機へ一歩近付き手を振り払って怒って言う
「例えそうであろうと!デネシアの名を入れた総称を名乗るからには!その様な姑息な手を使うではないっ!馬鹿者っ!」
通信機のレリアンが怒って言う
『姑息な手を使うのは十分にデネシア流です!お兄様は我らデネシアが アバロンへ取り入る為に どれだけ姑息な手段を用いて来たのか 御存知であられないのですか!?』
ルーゼックが通信機へ更に近付き怒って言う
「御存知であられぬわ!我らデネシアの王は代々己の致す事は己で賄う!父上が貴様を使ってどの様な姑息な手段をアバロンへ用いていたかなど この私が知る訳が無かろう!」
通信機のレリアンが怒って言う
『そんなでありますから!我らデネシアはいつまで経っても下から2番目に小さい国のままなのです!少しは下から3番目であったベネテクトを見習ったら宜しいのです!』
ルーゼックが通信機の前で怒って言う
「黙れっ!下から何番目であろうとも 上から3番目までに入るアバロンへ あっさり嫁ぎおった貴様に言われとうないわ!そして!僅差で下から3番目である 不良国王のベネテクトから見習うものなど何も無い!」
通信機のレリアンが怒って言う
『そんなでありますから!バーネット殿が 大国ガルバディアの国王となられ 我らデネシアが追いかけておりましたベネテクトが あっさり上から数える国へ仲間入り致しましても 我らデネシアは相も変わらず 下から2番目のままであるのです』
ルーゼックが怒って叫ぶ
「えぇえいっ!貴様はっ!デネシアの王女としてもデネシアの勇者としても 我らの天敵であった あの不良国王とベネテクトの肩を持つ気であるかっ!?私は兄として 嘆かわしいわっ!」
キルビーグが苦笑して言う
「まぁまぁ、久方振りの兄妹話しで盛り上がっている所すまなんだが レリアン殿 私に何か用であるのか?あまりルーゼックを虐めなんでくれ 最近はこれでもだいぶ機嫌が良くなって来てくれておるでな?私としては もう少々その気を良くしてやりたいと思っておらなんだ」
ルーゼックがキルビーグへ振り返って怒って言う
「馬鹿者っ!キルビーグ!ローレシア第一国王である貴様が!第二国王の私の機嫌を気遣ってどうするかっ!?」
通信機のレリアンがキルビーグへ向いてしとやかに礼をして言う
『我らデネシアの最友好国ローレシアのキルビーグ陛下 やかましい兄が大変お世話になっております 閑静なローレシアに日々兄の罵声が飛び交っておりましょうと デネシアの王女として妹として 嘆かわしく思っております』
ルーゼックが怒る キルビーグが苦笑して言う
「ああ、それはまったくもって その通りではあるのだが 私は少し静か過ぎるローレシアに 1人位居っても程よいと思っておるので 気にせんでくれ」
ルーゼックが衝撃を受けキルビーグへ向いていう
「ま、まったくもって その通りであったのか…?」
キルビーグが苦笑する ルーゼックが少し落ち込み気味に玉座へ戻る キルビーグが通信機へ言う
「さて、デネシアの勇者として この世界を守る為の準備をしておると言うレリアン殿から 我らローレシアへの用とは どういった事であろうか?」
通信機のレリアンが綺麗に微笑んで言う
『はい、キルビーグ陛下 私ども小さき国の勇者たちは これより…』

キルビーグが頷いて言う
「分かった、元々ヴィルトンの港町は 彼らヴィルトンの海賊たちの町であると言っても過言ではなかった その彼らと共に町を取り返してくれると言うのであれば 我らローレシアは海賊たちの戦闘行為と 他国の民であるその方らの支援を黙認しよう」
通信機のレリアンがリーザロッテと顔を見合わせてから微笑して言う
『有難うございます キルビーグ陛下 ヴィルトンの町を元の住民たちの手へ取り戻す この戦いを 我ら小さき国の勇者たちによる 最初の世界を守る戦いとして 何としてでも成し遂げてご覧に入れます どうか御安心を』
キルビーグが微笑して言う
「うむ、しかしその方らは デネシアやツヴァイザーの勇者であると共に 両国の王女でもある 怪我などには十分に気を付けられよ?」
ルーゼックが衝撃を受けキルビーグへ向く 通信機に映っていたレリアンとリーザロッテが 一瞬呆気に取られ顔を見合わせた後微笑して レリアンが言う
『はい!私たちは勇者として力強く戦うと共に 一国の王女として 必ず無事生還するとお約束致します!』
リーザロッテが言う
『ええ!何と言っても私たちには ローレシアの勇者に勝るとも劣らない 優秀、勇敢なる勇者の仲間たちが付いているのでしてよ!』
キルビーグが軽く笑って言う
「はっはっは そうよな?各国の兵と共に 各国の先住民族の力をも得られるとあっては ローレシアの勇者も顔負けだ」
ルーゼックが怒って叫ぶ
「キルビーグ!貴様にはローレシアの王としての 誇りや意地はあらなんだかっ!?」
ルーゼックが不満そうに通信機へ向いていう
「ふんっ まぁ良いわ レリアン もはや貴様に戻られる場所は デネシア国を置いて他にはあらなんだ 精々デネシアの勇者としても王女としても どこぞの元第一国王の様に 民への顔向けが出来ぬ様な働きだけは 行うではないぞ」
通信機のレリアンとリーザロッテが疑問して顔を見合わせた後 レリアンが問う
『どこぞの元第一国王とは?何故、私の戻られる場所が 故郷のデネシア国だけなのです?私には…』
キルビーグが言う
「レリアン殿、アバロンの王位は ヴィクトール13世殿から ヘクター傭兵隊長へと 継承された」
通信機のレリアンとリーザロッテが驚き言葉を失う ルーゼックが言う
「ヴィクトール13世は ヘクター傭兵隊長率いる反乱部隊に倒されよったのだ 命に別状はあらなんだったが それまでに行った事へのけじめとして アバロンの王位を継承すると共に 何処かへと消えよった 今の奴には アバロンや他にさえ居場所は存在しない 唯一居られるのが 国内に民を持たぬ ガルバディアであろう ヴィクトール13世は そのガルバディアの王である バーネット2世と共に アバロンから消えたとの事だ その後の奴の話は聞こえぬ」
通信機のレリアンが間を置いて言う
『分かりました お兄様 私は デネシアの勇者として生きる道を選びます どうか我らデネシアへの吉報を 引き続きローレシア国にてお待ち下さい』
ルーゼックが苦笑して言う
「そうだな デネシアの勇者が デネシアの女王となる日も近いか…」
通信機のレリアンが疑問して言う
『え?何か仰られましたか?』
ルーゼックが改めて言う
「デネシアの勇者として 精々励めと申したのだ!それで、貴様の力を確認させて貰う」
通信機のレリアンが不思議そうに首を傾げてから改めて言う
『はい!お任せ下さい!』
通信が切れる ルーゼックが息を吐き考える キルビーグが微笑して言う
「デネシア国の王位をレリアン殿へ譲るつもりか?ルーゼック?」
ルーゼックが視線を向けないまま言う
「デネシア国を愛する気持ちは変わらぬ だが、やはり これほどに近い国であっても ローレシアにおってはデネシアの事が分からぬもの このまま2つの国の王を続ける事は 難しいと思っておった所に 機良く嫁いだ王女が戻って来よった 他に道はあるまい?…そして」
伝達の兵が言う
「申し上げます!先日アバロンから護送された ヴィザード殿の回復が済んだとの事です!ニーナ殿と共に 謁見を求めております!」
ルーゼックが苦笑して言う
「私がこのローレシアで行わねばならぬ事が山とある ヴィルトンの町が無事取り戻された後の作業は あいつの王位継承式にでもなりよろう」
キルビーグが微笑して言う
「それは喜ばしい事だなや レリアン殿ならば安心してデネシア国を預けられる そして、お前が 正式に このローレシアの民へと戻ってくれれば 私もいつお前がデネシアへ帰ってしまわなんだかと ヒヤヒヤせんで済むと言うものだ」
ルーゼックが一瞬呆気に取られた後 不満気に言う
「なんだ?貴様は今でも その様な心配をしておったのか?」
キルビーグが苦笑して言う
「それはそうだ、お前は ローレシアの第二国王となった今でも 自分の国籍をデネシア国のまま維持しておるでな?これは私への当て付けであろうと いつも心配しておった」
ルーゼックが怒って言う
「馬鹿者っ!貴様はローレシアの第二国王となった私を そんなに信用出来なんだかっ!?国籍は維持していた訳では無く ハッキリ言ってしまえば 忘れておったわ!」
キルビーグが笑顔で言う
「なんだ、そうであったのか?それなら心配は無かったのであるな?うむ… しかし、やはり落ち着かなんだ お前さえ良ければ 早急に変えさせたいと思うのだが 良いか?」
ルーゼックが怒って言う
「そなんだ事で落ち着きよるのなら!勝手に変えよれ!ただし 間違っても どこぞの不良国王の国へなど移すでないぞっ!」
キルビーグが笑う ルーゼックが怒る

【 ガルバディア城 】

アバロンの中庭に似た風景の中 剣を構えていたヴィクトール13世がくしゃみをして疑問する
「はっくしゅんっ!…あれ?ここの空調はアバロンと同様にされているのに 寒いのかなぁ?」
ヴィクトール13世が鼻を擦っていると 近くにバーネット2世のホログラムが現れて言う
『よう、どうでも良いかもしれねぇが てめぇの国籍をアバロンからガルバディアへ変更したぜ これでてめぇは正式に このガルバディアの民ってぇ事だ』
ヴィクトール13世が微笑して言う
「うん、ガルバディアは民が 国王のバーネットと 元国王殿の複製だって言う ヘクターの相棒である彼の 2人しか居なかったものね?僕が入って やっと3人だね?」
バーネット2世が言う
『ハッ!あの複製殿が本当にヴァルキリーだってぇなら このガルバディアの民もいっきに増えやがるけどなぁ?』
ヴィクトール13世が苦笑して言う
「もし、あのヴァルキリーたちが ガルバディアの民であったのだとしても 皆、元国王殿の複製なんでしょ?僕はアバロンからの移民だけど そうなるとやっぱり 本来のガルバディアの民は バーネットと元国王殿の2人だけって事だよね?バーネットの息子になるバーネット3世殿は もうすぐ誕生するけれど これからガルバディアの民を増やそうと思ったら 僕みたいな他国からの 移民を増やさないと駄目なのかなぁ?」
ヴィクトール13世が首を傾げる バーネット2世が言う
『てめぇの場合はガルバディア第一国王である 俺の相棒ってぇ事でガルバディアに受け入れられてやがるが ガルバディアで生きるには この国の力を使える必要があるんだ ガルバディアの民の遺伝子を持たねぇ奴が この国で生きていく事は出来ねぇ』
ヴィクトール13世が苦笑して言う
「ガルバディアは何と言っても北方高山の上にあるものね 極寒の外気から守る このガルバディア城の技術は凄いと思うよ それを維持する国王様や 民の力も」
バーネット2世が苦笑して言う
『お陰でその科学の力無しじゃ ただ生きる事すら不可能だけどなぁ?』
ヴィクトール13世が疑問して言う
「何でガルバディアの民は こんな辺鄙な場所に国を築いたんだろ?アバロンまでとは言わなくても デネシアやベネテクト辺りまで南下すれば そんな科学の力なんて使わなくても まったく問題のない環境に住めたのに」
バーネット2世が苦笑して言う
『さぁなぁ?いくらガルバディアの歴史を調べられるってぇ言っても 建国時代までさかのぼる事は出来ねぇ 何ってったってこの世界は 過去数回に渡って 滅亡の危機に晒されて来たんだ そこに行き着くまでに知らなけりゃぁならねぇ歴史があり過ぎやがる もしかしたら この辺境の地を選んだ理由も その危機に関してるのかもしれねぇなぁ?』
ヴィクトール13世が考えて言う
「世界の危機か… ヘクターの先祖であったアバロンの王が その王位をヴィクトール11世へ譲った あの悪魔力の脅威も その過去数回に渡った滅亡の危機の 1つと言う事になるんだろうね?」
バーネット2世が言う
『ああ、同じ頃 このガルバディアは国民の80%を失った それと共に アバロンの民を守る為 ガルバディアを捨ててアバロンへ戻っちまったヴィクトール11世を  あの元ガルバディア国王は裏切り者として憎んだ …もっとも そのせいで 生き残っていた国王を除く19%のガルバディアの民は子孫を残す事も無く 滅亡する事になっちまったんだがな』
ヴィクトール13世が疑問し言う
「え?元ガルバディア国王殿が 相棒であったヴィクトール11世を憎んだ事で どうしてガルバディアの民が 子孫を残す事が出来なかったの?」
ヴィクトール13世が剣を鞘に収め振り返る バーネット2世のホログラムと周囲の風景が消え ガルバディア城玉座の間に戻る 玉座に座っていたバーネット2世が目を開く ヴィクトール13世が隣の玉座へ向かいながら言う
「ガルバディアの民は 過去も科学の力で子孫を残して居た… それが、元国王殿がヴィクトール11世を憎んだ事と 何か関係があるの?」
バーネット2世が言う
「ガルバディア国王の子孫は この国に保管されているガルバディア王妃の遺伝子を使って 新たな命を作っている だが、このガルバディアは その王妃以外の遺伝子を保管しては居ねぇ そして、俺が調べた限り ガルバディアには過去600年 女が存在しねぇ」
ヴィクトール13世が言う
「では、ガルバディアは 国王以外は皆 自分の複製を子孫にしていたと言う事?」
バーネット2世が言う
「いや、元国王殿が 自分の複製を作る技術を開発したのは 民が死に絶えた ずっと後だ 民を滅亡させた自分の行いに後悔しながらも 1人で生き続ける苦しみに耐えかねてな …それ以前に、ガルバディアの民が子孫を残すのに使っていた技術は ガルバディア国王の相棒の国である てめぇの国へ縋ってたんだ」
ヴィクトール13世が驚いて言う
「ガルバディアの民の子孫を アバロンで?それじゃぁ アバロンの女性をガルバディアへ招いていたって事?」
バーネット2世が視線を逸らして言う
「いや、もっと非人道的だ 俺も出来ればてめぇに言いたくは無かったんだが 今更ここへ来て言わねぇ訳にもいかねぇよな?ヴィクトール、てめぇは アバロンには何で双子が多いのかって 考えた事はねぇか?」
ヴィクトール13世が呆気に取られて言う
「え?何でって… 確かにアバロンでは他国に比べて双子が多い 特に大剣使いの戦士の家系に」
バーネット2世が苦笑して言う
「ガルバディアの民は力を得て アバロンの大剣使いの相棒になった そして、大剣使いの妻に子供が出来ると その腹の中で細胞分裂を繰り返している間に ガルバディアの技術を用いて 強制的に双子にし、その片方にガルバディアの民の遺伝子を与える事で 自分の子孫としたんだ 歴史が繰り返されていく内に アバロンの大剣使いの妻になる女は 技術を用いなくとも双子を生む事が多くなったらしい ガルバディアの民が死に絶えた今でも アバロンに双子が多いのは その頃の後遺症みてぇなものだ」
ヴィクトール13世が言う
「そんな事が… では、ガルバディアとアバロンが 友好国ではなく相棒国と言っていたのは そう言う事だったのか」
バーネット2世が苦笑して言う
「俺はベネテクトに居た時から この話は知っていたんだ だから 余計にこのガルバディアってぇ国が 気に入らなかった まるでアバロンの寄生虫じゃぁねぇか?滅亡して上等だと思っていやがったってぇのに まさか 俺自身がこの国の王になんざ なりやがるなんてなぁ?」
ヴィクトール13世が言う
「しかし、ガルバディアが元からそうであった訳ではきっと無い筈だ だとしたら その原因は何だったんだろう?ガルバディアの王妃が居たと言う事は やはりガルバディアにも女性が居たと言う事だろうけど?」
バーネット2世が言う
「さぁな?俺はそこまで調べるつもりはねぇよ 何にしたって このガルバディアは俺の代で終わりだ バーネット3世は存在しねぇ もうすぐ生まれるあいつは ベネテクトの王 ベーネット そして、あいつが無事生まれたら ガルバディア王妃の遺伝子は破棄するつもりだ」
ヴィクトール13世が慌てて言う
「そんなっ!何でっ!?そんな事をしてしまっては ベーネット殿の次のベネテクトの王だって 作れ無くなってしまう!」
バーネット2世が言う
「ああ、そうだ 元々人を科学的に作るなんて 間違ってる この世界にガルバディアの科学力は不要だ 俺が闇の王をぶっ倒して それでガルバディアは終らせる ベーネットにはベネテクトの民を守らせる そして、闇の王たちが居無くなれば ベネテクトの民もアバロンとツヴァイザーへ戻って行って… ベネテクト国も終わりだぜ」
ヴィクトール13世がバーネット2世の近くへ行って言う
「待ってよバーネット!?どうして そんな事を言うんだ?このガルバディアの力で世界を守るんだろ?平和になったこの世界の国々と ガルバディアも共に生きれば良い!ガルバディアの民は 少なくとも君と元国王殿の複製である彼が居るんだ ガルバディア王妃の遺伝子や双子を作る技術を使ってでも 再びアバロンと共に生きたって良いじゃない!?」
バーネット2世が苦笑して言う
「ああ…なるほど?あの元ガルバディア国王殿も そう言われて生き延びて来やがったんだろうぜ?アバロンの力は本当にすげぇもんだ」
ヴィクトール13世が困り怒って言う
「バーネット!?」
バーネット2世が言う
「ヴィクトール、あの闇の王はガルバディアの民だ 闇の王ユダは ガルバディアの裏切り者である ヴィクトール11世の別の名 そして、シリウスは あの元ガルバディア国王殿の名前だ」
ヴィクトール13世が驚く バーネット2世が言う
「俺も驚いたぜ だが、それら2つの名に加え あのヴァルキリーたちの面… どう言う理由か知らねぇが あのガルバディア国王の奴は 相棒と共に 闇の王として この世界を潰しに戻って来やがったんだ」 

【 ? 】

長い金髪の人物がくしゃみをする
「はっくしゅっ!」
大剣を肩に担いだ派手な赤い髪の男が 反対側の肩に座る長い金髪の人物へ向いて言う
「あ?風邪でも引いたのか?シリウス?」
長い金髪の人物がはだしの足をふら付かせながら言う
「ふむ… そうではあらぬと思うのじゃが 確かに少々冷えよるのぉ?」
派手な赤い髪の男が軽く笑って言う
「ははっ 意地を張るのは良いけどよ?寒いなら靴ぐらい履いても良いんじゃねーか?ガルバディア城内と違って 外じゃ空調なんか制御してらんねーだろ?」
長い金髪の人物が顔を左右に振って言う
「嫌じゃ!我は靴など履かぬ この意地は あの裏切り者のユダが消えよってからも 貫き通しておるのじゃ 折角お前が我の新たな相棒になりよったのに ここで曲げてなるものか!」
派手な赤い髪の男が苦笑して言う
「別に靴を履いたからって 地面に下ろしたりしねーよ?大体お前 歩けねーだろ?」
長い金髪の人物が衝撃を受け怒って言う
「そ、そんな事はあらぬに 決まっておろう!?我は300年を生き抜いておるのじゃぞ!?歩こうと思えば 歩けるはずじゃ!お前もアバロンの民なら 我を信じぬか!?」
派手な赤い髪の男が言う
「ああ!信じてるぜ!300年生きてたって 一度も立って歩いた事のねーお前は 歩ける訳がねーってよ?」
長い金髪の人物が怒って言う
「これっ!脳筋アホ大剣使い!そちらに信じて どうするのじゃっ!?」
派手な赤い髪の男の笑い声が届く

【 アバロン城 玉座の間 】

この世界のヘクターが怒って言う
「何でだよっ!?海賊とオライオンたちがヴィルトンの港で ソルベキアの艦隊と戦うんだろ!?だったら ヴィルトンの町は戦火に晒される!その町の住民を助ける兵を 何でローレシアは動員しねーんだっ!?」
通信機のキルビーグが苦笑して言う
『その前に、ローレシア領域の町の心配を 何故、他国のアバロンの新国王殿が それほど躍起になってされるのか そちらの方に 私は疑問しておるのだが…?』
通信機にルーゼックが怒って言う
『ええいっ!違うわっ!それよりも 我らローレシア国内での事に 他国の貴様が口出ししよるなどっ!余計なお世話だと申すのだっ!』
この世界のヘクターが怒って言う
「んな事より!住民の保護の為に 兵を送り込んで 徹底してヴィルトンの住人を守れって 言ってんだっ!この分からず屋の国王2人組ーっ!」
通信機のキルビーグとルーゼックが衝撃を受け キルビーグが苦笑し ルーゼックが通信機の間近で叫ぶ
『無礼者がっ!例え一国の国王となりおっても!他国の王へ対し その物言いは何んたる事だっ!?』
この世界のヘクターが通信機に掴み掛かろうとするのを 衛兵たちに抑えられながら叫ぶ
「うるせー!物言いだの何だのなんて関係ーねーだろ!ローレシアが兵を出さねーって言うなら!俺たちアバロン傭兵隊が 今すぐ飛んで行ってやるぜーっ!」
家臣たちが衝撃を受けて慌てて言う
「いけません!ヘクター陛下!アバロン傭兵隊は このアバロンの最強部隊です!」
「そうです!ヘクター陛下!いつ闇の王たちがアバロンを襲うかと言うこの時に 傭兵隊をアバロンから離そうなどと!」
「そもそも!他国の領域にて アバロン傭兵隊が 闇の王らの支配するソルベキアの兵と戦うような事になっては!アバロンがソルベキアへ攻撃を仕掛けるも同然です!」
通信機のキルビーグが困った様子で考えて言う
『おまけに アバロンの傭兵隊が 我らローレシアの町を守ったとあっては ローレシアの民も我らではなく アバロンの王を慕うやもしれぬしな?』
通信機のルーゼックが衝撃を受け 怒って叫ぶ
『おのれっ!ヘクター!貴様は我らローレシアの民を 貴様らアバロンへ引き込むつもりかっ!?』
この世界のヘクターが怒って叫ぶ
「んな事は知らねー!俺はアバロンの王だとか ローレシアの民だとか んな事は考えてねーんだ!武器を持たねー住民が 戦火の中をどれだけ恐がって逃げ回るのか お前らは知らねーんだっ!」
通信機のキルビーグとルーゼックが呆気に取られる この世界のヘクターが言う
「もう良い!言っても分からねーんなら!俺が勝手に傭兵隊と一緒に ヴィルトンの町に行って 住民の保護に当たるぜ!」
家臣たちが慌てて言う
「お待ち下さい!ヘクター陛下!陛下が傭兵隊と共に ローレシアへ向かわれるなどっ!」
「そうです陛下!陛下が部隊を率いて向かうなど!その様な事をされては!それこそソルベキアへ対する アバロンからの宣誓布告の様なものです!」
「その上 王位継承から数日の内に ヘクター陛下の恩身に何かあられては!」
この世界のヘクターが家臣たちへ向かって怒って言う
「俺が傭兵隊の皆と行くのに 負ける訳ねーだろ!それに!闇の王たちのソルベキアに宣戦布告になるんだったら!喜んで行ってやるぜ!ついでに万が一にも俺がやられるような事があったら さっさとガルバディアに行ってヴィクトールを連れ戻して来いよ!」
通信機のルーゼックが怒って言う
『馬鹿者っ!貴様は一国の王となったからには ヴィクトール13世へ王位を返還する等と言う事を 軽々しく申すではないっ!王としての任務を全うする意思を固めぬまま 王位を引き継いだと申すのならっ!それはアバロン国民全てに対する 詐欺容疑にも匹敵するっ!民に認められ 期待されて得た貴様の王位を 甘く見るなっ!』
この世界のヘクターが呆気にとられた後 苦笑して言う
「あぁ…そっか、アバロンの皆が 俺をこの国の王として認めてくれたんだったな それに、ヴィクトールも俺にアバロンを託してくれたんだ 簡単に返すなんて言って悪かったぜ」
通信機のルーゼックが満足して言う
『ふむっ 分かれば良いのだ』
通信機にキルビーグが苦笑して映って居る この世界のヘクターが改めて言う
「けど!ヴィルトンの町に兵を送らないって言うなら!俺は行かなくても!アバロンから兵を送るぜ!」
通信機のキルビーグが困った様子で言う
『ヘクター国王、貴殿の民を思う気持ちは 良く分かった だが、我らローレシアは ローゼントと協定を結んでいる ローゼントから援軍を求めぬ状態で ローゼントと同じく剣士の国である 貴殿のアバロンから援軍を迎え入れる事は 我らとローゼントとの友好と協定に影を落とす事になるのだ 代わりと言う訳ではないが 貴殿の兵も入っている 小さき国の勇者らを受け入れていると言う事だけで どうか終らせて貰いたい』
この世界のヘクターが困る 家臣たちが言う
「ヘクター陛下、キルビーグ国王の仰る通りでございます この世界の国々は共に生きる国を決めておるもの 我らアバロンがガルバディアと手を組んでおりますように ローレシアもローゼントと共に生きる事を決めて居られるのです」
「如何に武器を持たぬ民の為と申しましても その民とてその国の国民 彼らも共に戦っておるのです」
「今回はキルビーグ国王も 小さき国の勇者らと言う事で その勇者の仲間に入っております アバロンのオライオン殿とシュライツ殿の援護を 黙認して下さっております これ以上の要求は 折角の御好意を無に帰す様なものです」
この世界のヘクターが言う
「それじゃぁ あんたらローレシアが手を組んでるローゼントには 何で援軍の要請をしねーんだ?俺たちが行っちゃ駄目だってーんなら ローレシアとローゼントの兵を ヴィルトンへ送れば良いじゃねーか?」
通信機のキルビーグが言う
『無論、我らローレシアも今回のヴィルトンの戦へ向け 兵を置いている… ヘクター国王、貴殿は最前線を行く部隊の兵であった為 恐らく知らぬのであろう?貴殿らが最前線の地で戦いを行って居る折 貴殿らとは離れた場所にも 国の要を守る部隊が存在するのだ ハッキリ申してしまえば 今回の戦いにおいて 我らはソルベキアからの援軍に備え 国境警備並びに 国内の全ての町や村 そして、もちろんローレシア城の警備へと 各箇所へ部隊を置いている 更に申してしまえば ヴィルトンの町へと繋がる道や航路にも 部隊を置きソルベキアからの援軍だけでなく その他の国からの刺客等にも備えている 例え一国の内の小さな町での戦いとあっても 国を守るには 実に多くの事を行う必要があるのだ』
通信機のルーゼックが言う
『そして、それはローゼントとて同じ事 戦略協定を組む我らローレシアがソルベキアと戦うのだ ローゼントにとっては隣国ソルベキアとの冷戦となり 我ら以上の警戒態勢を強いられる この状態で ローゼントからの援護兵を要求する等と言う事は 無論出来ぬ そして、ここまでの警備に部隊を配置すると 中途半端な住民の保護を行う兵を出す事すら難しいのだ 従って 今回は作戦を決行すると言い放った 海賊どもと勇者どもに 町は任せる事とならざるを得ぬ』
この世界のヘクターが呆気に取られ 視線を落として言う
「そっか… いつも戦場では 目の前の敵をぶっ倒せば良かったけど 俺たちの知らない場所でだって 戦ってる奴らが居たんだな… 国王ってのは 目の前の敵の事だけ考えてちゃいけねーのか 俺の知らねー事ばっかだぜ」
通信機のキルビーグが苦笑して言う
『まぁ、そう気に病むなヘクター国王 突然国王となったのでは 知らぬ事が多いのも当然 それらも含め世襲の王であったヴィクトール殿のアバロンが 強さを保って居った様なもの たまには彼の下へ行って 国王の勤めを学んで来れば良かろう ついでにヴィクトール殿の健在振りを このルーゼックにも伝えて貰えると 私も嬉しく思うでな?』
通信機のルーゼックが衝撃を受け焦って言う
『なっ!?何を申すか馬鹿者っ!何故奴の健在振りを 私に伝える必要があるのだ!?私はただ!あいつに我が兵たちの恨みを一太刀でも与えてやらなんだ 気が済まぬだけだっ!』
通信機のキルビーグが微笑んで言う
『そうなのか?私はてっきり 日々ヴィクトール殿の事を心配するお前が 彼のアバロンの王位を奪ってしまった一因を 気にして居るのではないかとな?』
通信機のルーゼックが怒って言う
『誰が!あの様に私を蔑む男を 気になど致してやるものか!強いて言えば 一時でも友情の王とまで言われた奴の真の力と 真っ向から戦ってみたいと思っておったまで!奴との戦いは中途半端に終わってしまった 奴がアバロンに居れば いずれ このローレシアと戦う時に あの時の続きを行なえた等と思っておっただけであるっ!』
この世界のヘクターが微笑して言う
「やっぱ国王様ってのは大変なんだな?けど、俺 今は嬉しいぜ!」
通信機のキルビーグとルーゼックが疑問し 通信機へ向く この世界のヘクターが笑顔で言う
「今までずっとアバロンの敵国だって言われてた ローレシアの王様たちが 結構良い奴らだったからよ!これからは敵じゃ無くって仲間だぜ!なぁ?なんでローレシアとアバロンは友好条約を交さねーんだ?国王の意思で交せるんなら 俺は、お前らとも交したいと思うんだけどなー?」
通信機のキルビーグとルーゼックが衝撃を受け ルーゼックが慌てて叫ぶ
『馬鹿者っ!貴様は軽々しくその様な事を申すなっ!ローレシアとアバロンが友好条約を交さなんだはっ!両国が同等の力を有しておるからだっ!万が一にも 片方が弱き国であるなら 暗黙の内に双方の上位下位を認知して条約を交すものなのだ!』
この世界のヘクターが言う
「今は世界中の奴らが力を合わせて 闇の王と戦わなきゃいけねー時だぜ!だから 今はその皆で力を合わせて闇の王をぶっ倒して!その後で やっぱり戦いてーって言うなら 俺は正々堂々と正面から受けるぜ!」

【 ヴィルトンの港町 近海 】

カイザが通信機に向かって叫ぶ
「全砲台開門!目標ヴィルトン港に停泊している ソルベキア艦隊!ありったけぶち込んでやれー!」
沖合に集まった海賊船から 港に停泊しているソルベキア艦隊への砲撃が行われる ソルベキア艦隊の乗組員らが慌てて持ち場へ向かう

上空

ドラゴンの背に立つリーザロッテが微笑して言う
「ソルベキア艦隊の兵は 皆 大慌てでしてよ!さぁ!艦隊は海賊船の皆に任せて 私たちはヴィルトンの町に居るソルベキアの兵を 一網打尽にして差し上げてよ!」
リーザロッテの前に座りドラゴンの手綱を持つレリアンが言う
「港に停泊していたソルベキア艦隊は 通信網を遮断された上で襲撃を受けて 街中に居るソルベキア兵との連絡は通じていない状態だから きっと今頃ソルベキアの部隊は混乱しているでしょうね」
リーザロッテが言う
「ええ!シャルのジャミングで ソルベキア艦隊からの通信は全て閉ざされていてよ!混乱の中にある部隊を退治する事なんて 例え数で劣る私たちでも 簡単でしてよ!」
隣にドラゴンが現れて その背に乗るオライオンが言う
「そーか?もし俺たち傭兵隊が そんな事されたら 連絡が繋がらない分 敵襲に備えると思うぜ?」
レリアンが言う
「キルビーグ陛下へ今回の奇襲を連絡してある以上 ソルベキア部隊の増員は無いと思って良いわ そうなれば 今 あの町に居るソルベキアの兵たちを全て 私たちで倒す事が出来れば」
オライオンの後方にレイトたちの乗るドラゴンが来て レイトが言う
「リーザ様!現状はソルベキアの部隊がヴィルトンの町を 完全に占拠しているとの事です!この状態では奴らソルベキアの兵が 我々へ対し どのような反撃をして来るか 分かりかねます」
ヴェインとロイのドラゴンが来て 前に座るヴェインが言う
「ソルベキア部隊の戦い方は この世界のどの国の戦い方よりも卑怯極まりない やつらは平気で民家や住民を盾に 我らへ攻撃を仕掛けて来ると思われます!」
後ろに立つロイが言う
「…町を取り戻す為の戦いだ 住民も共に戦うのが筋と言うものだろう 多少の被害は致し方ない」
ヴェインが振り返って言う
「そうは言っても!我らが攻撃を仕掛けなければ 助かった者たちが居る様な結末では この戦いの真意が問われるだろう!?」
ロイがヴェインへ銃を向けて言う
「…手綱を持つ卿が余所見をする事は推奨されない 俺は事実を言って居るまでだ このままヴィルトンの町が闇の王の率いるソルベキアの兵に占拠されていては 遅くも早くも いずれは皆助からなくなる」
皆の視線がリーザロッテへ向く リーザロッテが考えて言う
「私たちの目的は海賊たちに協力して その力を得る事だったけど そう簡単なものではなかったわね… とは言っても、もう戦いは始まっているのですもの 今更引き下がれなくってよ!オライオン!こんな時こそ貴方の出番でしてよ!」
オライオンが驚き言う
「あ?俺にどうしろって言うんだよ?」
リーザロッテが驚き慌てて言う
「どうしろって!何を仰っているの!?さっさと特攻隊長の貴方と副隊長の羽付きが 特攻なさい!」
シュライツが衝撃を受け怒って奇声を発する オライオンがシュライツを見た後言う
「シュライツがその呼び方は止めろって怒ってるけど それは良いとして」
シュライツが衝撃を受けオライオンへ怒る オライオンが無視して言う
「敵が住民を盾にするかもしれねーなんて聞いて 特攻なんか出来ねーよ お前、俺たちの隊長なら どうしたら良いのか全体的な指示をしてくれ その上で 俺たちは突っ込める所になら 特攻するからよ?」
リーザロッテが衝撃を受ける レイトが呆気に取られて言う
「あのアバロン傭兵隊長が まともな事を言って指示を求めるとは…」
シャルロッテがモバイルPCを操作しながら言う
「アバロンの兵が使うアバロン式戦術は 自分以外の者への危害が認められない場合いにのみ 発動されると言うデータが算出されて居ます ちなみに、元々正面突破と言う戦法は その危害を自分たちが一身に受け持つ事を 目的として編み出された戦術であるといわれて居ます」
リーザロッテが困惑して言う
「全体的な指示だなんて言われても… 一体どんな戦略を取ったらよろしくって!?」
ドラゴンが鳴く レリアンが疑問して言う
「どうかしたの?え?援軍が!?」
皆が驚きレリアンへ向く リーザロッテが言う
「援軍!?ソルベキアの援軍が来たと仰るのでして!?」
レリアンが言う
「いえ!ソルベキアでは無く 私たちへの援軍よ!あの場所に!」
レリアンが町の中央広場を指差す 

中央広場

中央広場に雷が落ちる 光が消えると共に黒い鎧を身に付けたヴィクトール13世がマントを振り払って言う
「我が名はヴィクトール13世!このローレシアとソルベキアに 多くの恨みを持つ者!両国の民しか居らぬこの場は 我が恨みを晴らすに相応しい!先ずは 目障りなソルベキアの兵!貴様らを討ち取ってくれる!」

上空

リーザロッテたちが驚き レリアンが言う
「ヴィクトール陛下!?」
リーザロッテが言う
「そんなっ!ヴィクトール陛下が一般の民をも巻き込んで ローレシアとソルベキアに復讐すると仰るの!?」
ドラゴンが鳴く レリアンがドラゴンを見て言う
「え!?嘘…?」

中央広場

ソルベキア兵が集って言う
「ヴィクトール13世?ああ、あのガルバディアの騎士を処刑しようとして 自国の隊長に返り討ちにされたって 元アバロンの国王だったな?」
「アバロンの王と聞けば恐ろしくも思ったものだが その実は 自国の大剣使いたちに守られていただけの 貧弱な大剣使いだったって噂だぜ?」
「本人はその事実に気付いて居ないのだろう たった一人で我らソルベキアの兵が固める町の中央に現れるとは 愚かな元国王殿だ」
ソルベキア兵たちがヴィクトール13世を囲んで剣を構える ヴィクトール13世が微笑して言う
「来たか、闇の王に仕える事でしか 生きる道を見出せない 意地も誇りも無い無様なソルベキアの兵」
ソルベキア兵たちが怒って言う
「黙れ!アバロンから追い出された元国王!お前を生け捕りにして 我らの王 ユダ様とシリウス様へ謙譲してくれる!」
ソルベキア兵たちが一斉に襲い掛かる

上空

リーザロッテが言う
「先ほどのが嘘だと仰るのでしたら!あのヴィクトール陛下は この町の民を守る為に あのような嘘を!?」
ロイが言う
「…実に単純な嘘だが 現状の彼が言うのであれば その嘘も信憑性を増すと言うものか」
ヴェインが言う
「更に単純な嗾け文句ではあるが 多勢であるソルベキア兵たちは喜んで攻撃を仕掛けるぞ!?たった一人でどう対処するつもりだ!?」
オライオンが言う
「なら決まってる!俺たちが援護に行けば良いんだ!」
レリアンが慌てて言う
「待ちなさい!オライオン隊長!」
皆が驚きレリアンへ向く レリアンが言う
「今、私たちが向かってしまっては ヴィクトール陛下の策に支障が出ます ここは陛下へお任せし 私たちは カイザたちの援護に戻るべきです」
オライオンが焦って言う
「けどよっ!たった一人で どうやってソルベキアの一個部隊を相手にするんだ!?俺たちが援護に行かねーと!」
レリアンが微笑して言う
「大丈夫です ヴィクトール陛下はお一人ではありません 陛下にも世界一の相棒殿が 付いていらっしゃいます」
皆が驚きオライオンが思わず疑問の声を上げてからヴィクトール13世へ向いて言う
「え?ヴィクトール陛下の 世界一の相棒?」
オライオンの視線の先 ヴィクトール13世が空中に出来たプログラムの足場を使い ソルベキア兵らの攻撃をかわしている オライオンが驚いて言う
「あれはっ!親父がデスのプログラムを使って戦う時と同じ!?デスがヴィクトール陛下のサポートをしてるのか!?」
ヴィクトール13世が剣を上空に振り上げる その剣に雷が落ち受け止めて振り払う 剣に纏った雷が周囲に走り ソルベキア兵たちを一気に倒す ヴィクトール13世が再び落ちる雷を剣に受け体に纏った雷が ヴィクトール13世へ剣を振るおうとしたソルベキア兵に感電して ソルベキア兵が倒れる ヴィクトール13世が倒れた兵たちを見下ろし微笑する

オライオンが呆気に取られて言う
「ち、違ぇ… デスはあんなサポートはした事がねー…」
シュライツが疑問し首を傾げた後 オライオンへ雷の魔法を放つ オライオンが感電し焦げてから振り返って怒る
「いでででででぇええ!あにすんらっ!シュラヒツ!」
シュライツが不満そうな表情を見せる リーザロッテが笑顔で言う
「さあ!ここはヴィクトール陛下へお任せして!私たちは カイザたちの援護に向かうのでしてよ!」

【 ソルベキア城 機械室 】

モニターに雷を纏ったヴィクトール13世の映像を見ながら バッツスクロイツが言う
「わおっ これがヴィクトールっちにしてユダっちの モノホンパワーって奴ー?雷の効果もあって 超クールにキメちゃってるジャン!?」
ユダが苦笑して言う
「でもね 未だにあの雷を受けて戦うのはちょっと痛いんだ シリウスっては容赦無いんだから 僕がもう無理だって言っても 無理矢理続けるんだよ?ほんと、強引なんだから」
シリウスが衝撃を受け慌てて言う
「だっ!だからっ!てめぇはいい加減 その言い方を止めやがれぇええ!」
バッツスクロイツが微笑して言う
「でも、これぞまさしく あの雷を纏った剣の印が示す ガルバディア第二国王 ヴィクトールっちの姿だよね?」
ユダが言う
「国印だと思われていたあの印が ガルバディア第二国王個人の印だったって事には びっくりだったけどね?」
シリウスが苦笑して言う
「まったくだな?」
シリウスが仮面を手に取って言う
「さぁて、こっちの世界のてめぇと俺が 無事ガルバディアの力を使いこなしたとなれば十分だ 丁度俺らが動く理由もある ついでに もう1つの仕上げに行こうじゃねぇか?」
ユダが微笑して言う
「うん、全てが順調に行けば 頑張ったこの世界の彼らにも 御褒美をあげられるね?シリウス?」
シリウスが苦笑して言う
「はっはー 間違っても奴らの頭を撫でたりなんか するんじゃねぇぞぉ?奴らにやれるのは 俺らへの初勝利ってぇ褒美だぜ?」

【 ローレシア城 玉座の間 】

ルーゼックが怒って叫ぶ
「おのれっ!ヘクターめっ!我らローレシアと友好条約を交したと思ったら あっさりガルバディアとも交し アバロンへの援護と言う名で ガルバディアからの援軍を ヴィルトンへ向かわせるとはっ!奴め!何も分からぬ素振りを見せておきながら その実 我らの隙を突いたと申すのかっ!?」
キルビーグが苦笑して言う
「いや、むしろ 彼としては それが普通の事なのであろう?彼は元傭兵隊長であるからな?様々な所から力を得て それらを的確に振り分けると言うのは 傭兵ならではの戦い方であろう?」
ルーゼックが怒って言う
「その様々な国から力を得ておきながら!何故!?寄りに寄って あのヴィクトール13世を 寄越しよるのか!?これは 現行このローレシア城から動けぬ 私への当て付けであるか!?」
キルビーグが苦笑して言う
「いや、いくら何でも それは考え過ぎであろう?あのヘクター国王は 本当は誰よりもヴィルトンの加勢に行きたがっておった お前の事など知らぬなんだ たまたま ヴィルトンの状況に適合しよったのが ローレシアの味方だと思われなんだ済む ヴィクトール13世であったと言う事であろう?」
ルーゼックが怒って言う
「馬鹿者っ!ローレシアの味方かどうかなど ローブで正体を隠しておれば良かろう!?それをわざわざ名乗りよるのは!相変わらずあの元アバロン国王が 正々堂々と戦いたがりよる アバロンの民である事を示しよっただけだ!」
キルビーグが呆気にとられた後笑顔で言う
「おお!言われてみればそうであるな?ルーゼック、お前は相も変わらず 見た目に似つかわしくない 賢き者よな?はっはっは…」
ルーゼックが衝撃を受け怒って言う
「キルビーグ!貴様は相も変わらず 見た目に似つかわぬ 馬鹿者であるわっ!」
伝達の兵が現れて言う
「申し上げます!ローゼントより緊急入伝!闇の王ユダとシリウス、共にヴァルキリーが ローゼントへ現れたとの事です!ヴェルアロンスライツァー国王より 魔法剣士部隊の派遣要請が入りました!」
キルビーグが表情を渋らせて言う
「なんと… この時に奴らがローゼントに現れてしまったか… こうなっては 魔法剣士部隊のみをローゼントへ送り 残る我らとローレシアの部隊だけで ローレシアの防衛を致す事となろう」
ルーゼックが間を置いて言う
「いや、ガルバディアの第二国王であるヴィクトール13世が動いた今 ローレシアの第二国王である私が これ以上 引き下がってなどは居れぬ!」
ルーゼックが立ち上がる キルビーグが驚き言う
「ルーゼック!?どうするつもりか?いくらお前が動きたいと願おうとも この戦況の中 国王が城を離れる訳には行かぬぞ?!」
ルーゼックが怒って振り返って言う
「当前ぞ!ソルベキアの兵が いつ援軍を率いるとも分からぬ現状で ローレシアから2人の王を外す等と 私が考えよるなどと思ってか!?」
キルビーグが言う
「だが、お前が向かうとあっては お前の支援を行う私が行かぬとも考えられまい?他の魔法剣士部隊の魔力者は 皆、相方とする者を決めて居るのだ 現状とても良い状態にある そこから魔力者を引抜くのは 如何に国王のお前が望もうとも 良い事ではない そして、他の魔力者を急遽 魔法剣士の相棒として抜擢するにしても…」
ルーゼックが微笑して言う
「通常の魔力者へ急遽 魔法剣や支援魔法を行えなどと申した所で 闇の王らとの戦いに準ずる程の支援は難しい 支援の相手が国王ともなれば尚更 魔法剣へ魔力を送る事は一歩間違えれば 受け取る者への攻撃魔法にもなり得る 失敗への不安や気遣いがあっては行えぬ難易なものだ」
キルビーグが疑問して言う
「うむ、そこまで分かって居るのなら良いが それでは どうするつもりか?ルーゼック?」

【 ローゼント国 城下門前 】

ユダとシリウス、ヴァルキリーたちが立ち並ぶ 対する側に ヴェルアロンスライツァーとロキ ヘクター、プログラマー この世界のヴェルアロンスライツァー、アンネローゼ ロスラグ、ローゼント部隊が立ち並ぶ アンネローゼが言う
「遂に闇の王が このローゼントへと現れましたか …ツヴァイザーへ現れたと聞いた時から いつかはここにも現れるのでは無いかと 思っていましたが」
この世界のヴェルアロンスライツァーが言う
「恐らく 現行ローレシアのヴィルトンの港町で起きている ソルベキア艦隊と海賊たちの戦いに便乗したものと思われます 我らローゼントの部隊が 友好国ローレシアのヴィルトンへ援護に行く事を抑制する狙いもあるものかと」
ヴェルアロンスライツァーが言う
「奴らの狙いが ヴィルトンのソルベキア艦隊への助力なのか 若しくは 今まで行って来た事の延長なのかは分かりかねますが どちらにしても 奴らが一国へ現れた以上 狙われるのは国王… アンネローゼ様も ここに居られては危険です どうか、この場は我々へと任せ ヴェルアロンスライツァー国王と共に」
アンネローゼが制して言う
「いいえ、私もこちらに留まります あの者たちの狙いが何であろうと この国と他国の兵が ローゼントの為に戦うのです 万が一にも私が敵の手に落ちようとも 決して戦いの手を弱める事の無い様に お願い致します」
この世界のヴェルアロンスライツァーとヴェルアロンスライツァーが声を合わせて言う
「「しかしっ!アンネローゼ様!」」
アンネローゼが言う
「そして、貴方方ヴェルアロンスライツァーは その名に恥じる事の無き様!このローゼントと共に私を死守して御覧なさい 良いですね?ヴェルアロンスライツァー!」
この世界のヴェルアロンスライツァーとヴェルアロンスライツァーが声を合わせて言う
「「御意!」」
ヘクターがヴェルアロンスライツァーたちの様子を見てからプログラマーへ言う
「ヴィルトンの港町にはヴィクトールが行ったんだろ?デス、お前は あっちの様子は分かるのか?」
プログラマーが言う
「我らガルバディアの第一国王殿より 『俺らの戦いに余計な電波を入れるんじゃねぇえ』 …と、言われた為 第二国王殿がヴィルトンにて戦闘を開始した直後から 確認が取られなくなった が 少なくともその数秒を見た限り あちらの心配は無いと思われる」
ヘクターが心配して言う
「ヴィルトンの町に常駐していたソルベキア兵の数は 丸々一個部隊だったんだろ?俺がお前のサポートを受けた上で戦うにしたって 楽な戦いじゃねーんだ バーネットがサポートするって言っても ヴィクトール1人じゃ 流石に大変なんじゃねーのか?」
プログラマーが言う
「彼らの戦い方は 私のサポートで身体能力を上げ 直接剣で攻撃を行うお前の戦い方とは違い ガルバディアの力をヴィクトール第二国王が受け止め それを敵へ放つと言う戦い方だ 力が勝り数で負けているだけの戦いであるなら 心配は無い」
ヘクターが苦笑して言う
「向こうは力で勝り数で負けている…かぁ それじゃー こっちの俺たちは 力でも数でも負けてる状態って事だよな?」
プログラマーが言う
「ヴェルアロンスライツァー国王は ローレシアへ魔法剣士部隊の要請を行った 間もなく その魔法剣士部隊が現れるだろう そうなれば 数だけは同等数に持ち込める だが、こちらは 力が足りて居ない 現状の私とお前なら 闇の王シリウスとの戦いも可能だと思われるが ユダの相手までは出来ない そして、そのユダを押さえて置ける者も 我々の仲間には存在しない やはり今回も我らが勝利を収める事は難しいだろう」
ヘクターが言う
「ヴェルとロキの2人じゃ 無理なのか?」
プログラマーが言う
「今までのユダであるなら 問題は無かった だが、今日の奴は 今までとは何かが違う」
ヘクターが呆気に取られて言う
「何かがって… 何がだよ?」
プログラマーが言う
「それが分からない だが、間違い無く 今までとは違うと… そんな感じがするのだ しかし それがデータ上に現れない 隠しているのか もしくは直前に何かを行うのか… どちらにしても、過去のデータを上回れた時点で ユダの戦力は ヴェルアロンスライツァーとロキを上回る」
ヘクターが呆気に取られていた状態から微笑して言う
「そんな感じがする…か ははっ やっぱお前は 俺の世界一の相棒だぜ」
プログラマーが疑問し ヘクターへ向く ヘクターが苦笑して言う
「けど、参ったな?それじゃー いつまで経っても俺たちは あいつらに勝てねーのか?」
プログラマーが苦笑して言う
「まだ、この世界の国々の力は 完全に1つにはなって居ない 奴らを倒すには この世界の国々が一団となら無ければならない と… 元アバロン第一国王殿が言っていたな?」
ヘクターが苦笑して言う
「ああ、そうだな 奴らに勝てるのは まだ先かもな?」
魔法剣士部隊がローゼント側へ降り立つ

ユダとシリウスが顔を見合わせ ユダが言う
「ローレシアからの援軍が到着した これで戦闘開始だね?シリウス」
シリウスが間を置いて言う
「ああ、残念ながら あいつらへの褒美は お預けになっちまったみてぇだなぁ?」
ユダが苦笑して言う
「しょうがないよ、今回は 少し難しい賭けだった 100%の成功ではなかったけど やっぱりそろそろ御褒美をあげても良いんじゃないかな?」
シリウスが息を吐いて言う
「いや、俺たちはそんな甘ぇ気持ちで この策を始めた訳じゃねぇんだ 中途半端に手加減なんかしちまったら それこそ過去の失敗を繰り返しちまう 作戦に変更は無しだぜ」
ユダが苦笑して言う
「ふふ… 本当に、シリウスは厳しいね?僕だけじゃなくて この世界の皆まで厳しく躾けるだなんて」
バッツスクロイツが音声だけで言う
『さっすがー?超ドSの女王様ー!のシリウスっちー』
シリウスが衝撃を受け怒って叫ぶ
「るせぇええ!鈍臭ぇクロイツヴォルデン!俺を女王様って呼ぶんじゃねぇえって 何度言ったら覚えやがるんだ!てめぇええはぁああ!?」
ユダが呆気に取られた後微笑して言う
「クロイツヴォルデン、準備は良いかい?」
バッツスクロイツが音声だけで言う
『オーケー!ばーっちし!』
ユダが笑んで言う
「よし、それじゃ ローゼント攻略を開始しよう クロイツヴォルデン 超ドSの誰かさんみたいに 容赦無く頼むよ 中途半端に加減されると 返って痛いから」
シリウスが衝撃を受け怒って叫ぶ
「てめぇ!このっ!泣き虫ユダ野郎!その超ドSの誰かさんってぇのは どいつの事だぁああ!?」
ユダが笑顔になる

ユダが剣を向け叫ぶ
「ヴァルキリーよ!我らの前に立ち塞がる奴らを全て捩じ伏せよ!邪魔する者は殺さぬ程度に討ち倒せ!」
この世界のヴェルアロンスライツァーが剣を向け叫ぶ
「この地を守るべく集結した勇士たちよ!我らの力 世界の敵 闇の王へ見せ付けよう!」
ユダとこの世界のヴェルアロンスライツァーが叫ぶ
「「攻撃ーっ!」」
両軍がぶつかり合う ヘクターとプログラマーがシリウスへ ヴェルアロンスライツァーとロキ、ロスラグがユダへ向かう

シリウスが完全装備でヘクターへ攻撃を仕掛ける ヘクターが剣を構えて言う
「デス!いくぜ!?」
プログラマーが閉じていた目を開き 周囲に数字の羅列のホログラムを表して言う
「勝機は我らにある!」
ヘクターが手足にプログラムの数字の羅列を纏い速度を増し シリウスの攻撃をかわすと共に攻撃を仕掛ける シリウスがヘクターの剣と衝撃波を回避して攻撃を繰り出す ヘクターがシリウスの攻撃を払い受け止め 攻撃をし返す

ロキが銃を放ちユダの身動きを封じ ヴェルアロンスライツァーが攻撃を仕掛けて言う
「取ったっ!」
ユダがロキの銃弾を回避した上ヴェルアロンスライツァーの攻撃を受け止めつつ言う
「長剣使いの力では 私には敵わない」
ユダが押し返し斬り込む ヴェルアロンスライツァーがユダの力に押され身を引くと共にロスラグが炎を纏った剣を振りかざして言う
「ロキ隊長とヴェルアロンスライツァー副隊長には もれなく 俺も付いて来るッスよーっ!」
ユダがロスラグの炎の剣を振り払いロスラグが飛ばされる ユダが言う
「先住民族が 我らの真似をした所で 所詮は真似事に過ぎん」
ユダがふと気付き剣を見る 炎がユダの剣に燃え残っている ユダが舌打ちをして 一度身を引く ヴェルアロンスライツァーとロキが視線を合わせ微笑し構え直し ヴェルアロンスライツァーが言う
「ロキ、奴の剣に勝つには やはり我らも 2つの力を合わせなければなるまい?」
ロキが言う
「…俺は卿のサポートはしない 俺の力が欲しいのなら 勝手に使え」
ロスラグが怒って言う
「ロキ隊長!なーんで こんな時までロキ隊長は 本当の気持ちの逆を言うッスか!?俺がサポートするから 一緒に勝とうって ちゃんと 言わないと伝わらないッスよ!」
ロキが衝撃を受け怒ってロスラグへ振り返り叫ぶ
「黙れ!馬鹿犬!卿はこんな時まで 余計なサポートをするなっ!」
ヴェルアロンスライツァーが苦笑して言う
「ああ、こんな時は 本当の気持ちを言われなくても 相棒の私には通じるものだ 隊員A、貴殿は我らの支援へ準じてくれ」
ロスラグが衝撃を受け泣きながら言う
「ヴェルアロンスライツァー副隊長!やっぱ こんな時は 名前で呼んで欲しいッスー!」

この世界のヴェルアロンスライツァーがヴァルキリーの攻撃を受け止め 振り払って言う
「アンネローゼ様 ヴァルキリーと戦う魔法剣士部隊と同様 闇の王シリウスとは あのヘクター殿と相棒殿が 更に 闇の王ユダの相手は 彼ら3人で十分に賄えております」
アンネローゼが微笑して言う
「ええ!この戦いは この世界の我々が 闇の王から 初の勝利を得られる 戦いとなりましょう!」

ユダがヴェルアロンスライツァー、ロキ、ロスラグの3人の攻撃をギリギリで凌ぎ 押され気味になる ヴェルアロンスライツァーとロキ、ロスラグが微笑する ユダが苦笑して言う
「3人の力を用いて ようやくここまで辿り着いたか だが、この程度では お前たちは彼らの助力にしかなれない もっとも、お前たちにはこの程度が限界か」
3人が疑問する ロスラグがムッとして言う
「この程度って どう言う意味ッスか!?ロキ隊長とヴェルアロンスライツァー副隊長に負けそうになってながら!そう言う事を言うのは 負け犬の遠吠えって言うッスよ!とっても カッコ悪い事ッス!」
ユダが微笑して言う
「はは…っ そうか、では そうはならない様 はっきりと その目に見せてやろう」
ユダが剣を上空に向ける 雷が落ちユダの身と剣に雷が纏わり ユダが剣を構える ヴェルアロンスライツァーたちが驚き ヴェルアロンスライツァーが言う
「なんだ!?あれは!?」
ロキが驚いて言う
「…雷を纏った剣 まるで」
ロスラグが目をぱちぱちさせて言う
「まるで俺の炎の剣の 雷ヴァージョンッス」
ユダが微笑して言う
「そうだな、見た目だけなら お前のものと変わらない だが…」
ユダが早い速度でロスラグの目の前に現れ剣を振り下ろす ロスラグが慌てて炎の剣で受け止めるが剣が折れ 勢いで飛ばされる ロキが驚いて叫ぶ
「ベルっ!」
ロキが銃を放つ ユダが僅かに視線を向け剣を振り その剣から放たれた雷がロキの銃弾を破壊し更にロキへ雷が放たれる ロキが悲鳴を上げて倒れる
「ぐああっ!」
ヴェルアロンスライツァーが一瞬ロキを見てから ユダへ剣を振り下ろして叫ぶ
「ロキっ!…おのれっ!」
ユダの剣から雷が消えているが体には雷を纏っている ヴェルアロンスライツァーの剣がユダの身に届く前に ユダの身に纏っている雷がヴェルアロンスライツァーへ剣を伝って放たれる ヴェルアロンスライツァーが雷を受け悲鳴を上げる
「あぁああっ!」
ヴェルアロンスライツァーが地に倒れる ユダが見下ろし微笑して 再び剣を空へ向け雷を受け止め帯電する ユダが言う
「この程度で倒れるお前たちでは やはり、私には敵わない そして、戦力で負ける事は 敗北の始まり」
ユダがヴァルキリーと戦う魔法剣士部隊へ向く ヴェルアロンスライツァーがハッとして言う
「今彼らにあの雷を放たれてはっ!」
ユダが剣を構える ヴェルアロンスライツァーが立ち上がり ユダの前に立ち塞がる ロキとロスラグが声を合わせる
「「ヴェル」アロンスライツァー副隊長!」
ユダが微笑し ヴェルアロンスライツァーへ剣を振るう ヴェルアロンスライツァーが切りかかるが ユダの攻撃に倒され剣と鎧が砕ける ユダが再び剣を構える ロキが立ちはだかる ロスラグが慌てて言う
「ロキ隊長!ダメッスよーっ!」
ユダが表情を苦しめて言う
「もう、容赦はしてあげられない…」
ユダが剣の雷を放つ ロキが銃を放つ ユダの雷がロキの銃弾を消しそのまま ロキもろとも後方の魔法剣士部隊へ向かって放たれる ロスラグが叫ぶ
「ロキ隊長っ!」
ロスラグが瞬時に犬の姿に戻り ロキを突き飛ばす ロスラグの身を掠めた雷撃が魔法剣士部隊へ向かう ヴェルアロンスライツァーとロキが雷撃を目で追う 叫び声が響く
「我が兵を傷付ける事は 許さーぬっ!」
雷撃の前に現れたルーゼックが剣を振るい 剣から放たれた魔力が雷撃を消し去る ユダとヴェルアロンスライツァーたちが驚き ユダが言う
「ルーゼック… まさか お前が …その力をっ!?」
ルーゼックが笑んで言う
「ふんっ どうした闇の王ユダとやら?貴様らが利用したこの力を 今度は私が利用するとは 思いもよらんかったか?」
ウィザードがルーゼックの後方に降り立って言う
「うん、まったく思っても 考えてもいなかった だが このローレシアの第二国王も 私はなんとなく嫌いではない だから 力を貸してやる 何より、ニーナにお願いされたのだ だから 私は きっと最後まで忘れずに こいつの手伝いをしてやれる …そんな気がする」

【 ヴィルトンの港町 近海 】

ドラゴンを駆るリーザロッテたちが 最後の一隻であるソルベキア艦から退避する カイザが叫ぶ
「よーし!最後の一隻だ!野郎どもー ありったけの 砲弾をぶち込んでやれーっ!」
カイザが勢い良く手を振りかざす 周囲がしーんとする カイザが疑問し首を傾げてから 慌てて叫ぶ
「ちょっ ちょっとぉ?!折角俺がキメたって言うのに 何、皆しーんとしちゃってるの!?ここは 一斉射撃でどかーんと 派手にキメて勝利を祝う所でしょー!?」
通信機に数人の海賊船長らが映って言う
「そんな事言ったってよぉー?」
「お前が最初っから ありったけぶち込んでやれー!とか言うからよ?」
通信機のスカルが笑顔に汗を掻いて言う
「もうとっくに 全砲弾ぶち込んじまったぜー?」
カイザが焦って叫ぶ
「何ですとーっ!?」
ソルベキア艦から砲弾射撃が激しく行われる カイザが慌てて舵を切って言う
「代わりに向こうが 最後の悪足掻きに 全砲弾発射してるじゃねーの!?」

上空

ドラゴンの背に立っているリーザロッテが怒って言う
「ちょっと!?最後は海賊の意地を掛けて派手にキメたいから退避してくれ だなんて 格好付けた事を仰っておきながら!派手にやられていらっしゃってよ!?」
リーザロッテの手に持つ通信機に映るカイザが苦笑して言う
『あははははーっ それがそのー ちょっとした手違いがあっ… おわわわわっ!』
リーザロッテがハッとして通信機から目を離し 海上のフェリペウス号へ視線を向ける ソルベキア艦がフェリペウス号を追いかけ砲撃を行っている リーザロッテが言う
「大変!海賊船は 皆弾切れでしてよ!今すぐ援護の再開を!」
ドラゴンたちが下降しようとする ソルベキア艦から上空へ砲撃が行われる ドラゴンたちが慌てて回避する ヴェインが言う
「海賊たちの弾切れに気付いたか!?奴らが 攻撃目標を上空の我々へ!?」
ロイが言う
「…完全に全砲台がこちらへ照準を合わせている ここから近付き 再び船上へ乗り込むのは難しい」
オライオンが近くに来て言う
「じゃぁ どーしろってーんだよ!?こっちは大砲だの何だのなんて デカイ飛び道具はねーんだ!乗り込んで戦うしか出来ねーんだぜ!?」
レリアンがハッとして言う
「そうだわ!それなら 私たちも魔力を 大砲代わりに放ったら良いのよ!」
リーザロッテが問う
「魔力を放つって… あのヴィクトール陛下が行ってらした様に 武器から魔法を飛ばすという事でして?!」
レリアンが微笑して言う
「ええ!そうよ!オライオン隊長!シュライツ副隊長の魔力を剣へ溜め込み それを 一挙にあのソルベキア艦へ放ちなさい!」
オライオンが呆気にとられた後 慌てて言う
「あーっ!待ってくれ!俺はそのやり方は!」
シュライツが大喜びで オライオンへ雷の魔法を放つ オライオンが感電して叫ぶ
「あだだだだだっ!だはら!そへをやるらって いってるらろっ!」
シュライツが不満そうに怒る レリアンが呆気にとられた後 改めて言う
「オライオン隊長!魔力を受け取る貴方が その魔力へ意識を集中させなくては!シュライツ副隊長を信頼し 魔力を受け取るのです!」
オライオンが怒って言う
「かんらんに 言うなっれ!こひつは俺の兄ひらけど!俺よりひょっほだけ アホなんら!」
シュライツが衝撃を受け怒ってオライオンを燃やす オライオンが焦げ 怒って振り返って叫ぶ
「あひーっ!おい!シュライツ!」
シュライツが抗議の奇声を発する リーザロッテがハッとして言う
「なら!それこそ 私たちも ヴィクトール陛下と同様に!プログラムで強力な雷撃を!」
皆の視線がシャルロッテへ向く シャルロッテが顔を上げ皆の視線に衝撃を受け 慌てて言う
「わ!わわわ、私はっ!あの様な実体的な現象をっ 発生させるプログラムをっ 作るなんて事はっ!ま、まったく で、ででっ出来ませんっ ごめんなさいっ!」
リーザロッテが困って言う
「残る手段は… こうなったら 海賊たちと私たちが一団となって あのソルベキア艦へ突撃して 一矢を報いる…」
レリアンが微笑して言う
「いいえ!リーザ!こうなったら 貴女と貴女の相棒である私の出番よ!」
リーザが呆気に取られて言う
「え?私の相棒…?」
レリアンが言う
「これから私が貴方の槍へ魔力を送るわ!貴方はその魔力を溜め込み そして あのソルベキア艦を討つのです!」
皆が驚きリーザロッテが慌てて言う
「レリアン!?貴方は!デネシア王家の方なのに 魔法が使えて!?」
オライオンが疑問して言う
「アバロンで聞いた話では デネシアの王女様は 父親のデネシア前国王や現国王の兄貴と同じで 魔法は使えねーって… だから 魔法を嫌ってたアバロンでも王妃として 受け入れられてたんじゃねーのかよ!?」
レリアンが苦笑して言う
「ええ、代々デネシアの王女は 魔法を嫌うアバロンと 魔法を使えない父や兄へ気遣い 魔力を持っている事を隠し通して来たのです しかし、今は この世界の為 …何より私の大切な仲間のために戦う時!こんな時は 私やヴィクトール陛下を追放したアバロンは良いとして 兄への気遣いさえも 遠慮させて頂く事が 許されるでしょう」
リーザロッテが微笑して言う
「ええ!今は気遣いなんてしていられなくてよ!それに!レリアンがお兄様にお叱りを受ける時は 相棒の私も共にお叱りを受けて差し上げるわ!」
レリアンが軽く笑って言う
「うふ…っ それなら あの大声にも怯まずに居られそうです …では、行くわよ!リーザ!」
リーザロッテが槍を構えて言う
「ええ!思いっきりいらして頂戴!羽付きになんか 負けては居られなくってよ!」
シュライツが衝撃を受け怒って奇声を発する

海上

カイザが通信機へ言う
「スカル!なんか方法はねーのかよ!?このままじゃぁ 俺たち海賊の意地が海の藻屑になっちまう!」
通信機のスカルが焦って言う
『んな事言ったって てめーが 最初っから考えも無しに あー言うから!…ん?』
通信機のスカルが後方を振り返り 通信機へ視線を戻して言う
『カイザ!レイナが上空に 強い魔力が集まってるって… 見ろ!何だ!?あの光りは!』
カイザが驚き見上げる 窓の外上空ドラゴンの背に居る人物が 強い光りを携え ドラゴンがソルベキア艦へ急降下しようとしている カイザがハッとして言う
「あの 海賊女王様が 何かデカイ事を やろうとしてるのかもしれねー!スカル!俺たちの出番だぜ!女王様たちが近づける様に あのソルベキア艦の砲撃を俺たちへ引き付けるんだ!」
通信機のスカルが呆気に取られた後 強く笑んで言う
『おうっ!女王様たちにばっか 良い所は持って行かせられねーもんな!行くぜ!?相棒!』
カイザが笑んで頷く

上空

ドラゴンを駆るレリアンが気付いて言う
「カイザたちが ソルベキア艦の砲撃を かく乱してくれているわ!一気に近付くわよ!」
リーザロッテが強い光りを纏った槍を片手に 真剣な表情で言う
「ええっ!一度に叩き込んで差し上げてよ!」
ドラゴンが大きく旋回する ソルベキア艦の両脇にカイザとスカルの船が来る ソルベキア艦が両船へと砲撃の照準を合わせ砲撃を始める カイザとスカルの船が回避と被弾をする ドラゴンが急降下し 一気にソルベキア艦へ近付き ソルベキア艦の主砲がドラゴンへ向けられるのと動時に レリアンが叫ぶ
「リーザ!今よ!」
リーザロッテが槍をソルベキア艦へ振り向けて叫ぶ
「本物の勇者の力 とくと味わいなさい!」
リーザロッテの槍に溜められていた魔力の光が一直線にソルベキア艦へと放たれる レリアンがドラゴンを操作し急旋回する ソルベキア艦の主砲が先ほどまでリーザロッテたちが居た場所を砲撃すると同時に眩い光と共に爆発する リーザロッテたちが笑顔を見せ オライオンが叫ぶ
「よっしゃー!俺たちの勇者様と 仲間たちの勝利だぜーっ!」
シュライツが喜んで奇声を発する

【 ソルベキア国 スファルツ邸 】

この世界のシャルロッテがモバイルPCを操作していた手を止め苦笑して言う
「あら… 本当に負けてしまいました やはり ユダ様とシリウス様の仰っていた通り 私の遠隔操作するソルベキア艦隊は 勇者様たちに殲滅されてしまいました」
この世界のシャルロッテの部屋のドアがノックされ スファルツが言う
「シャルロッテ、少々頼みがあるのだが 入っても良いだろうか?」
この世界のシャルロッテが衝撃を受け 慌ててモバイルPCを操作してから背に隠し 言う
「は、ははははいっ お父様!ど、どうぞっ お入り下さいですぅ!」
ドアが開かれ スファルツが首を傾げて言う
「どうかしたのかい?シャルロッテ まるで 20年後の世界から戻ったお前の様に慌てて… お前もそろそろ150歳になるのだから 人前でそんなに慌てる様では 恥ずかしいだろう?」
この世界のシャルロッテが衝撃を受け 慌てて言う
「お、おおおお父様っ 私はまだ148歳ですっ 女性の年齢を2歳も間違えるのはっ た、たとえお父様でもっ 少々恥ずべき事であると思われますぅ!」
スファルツが呆気に取られてから微笑して言う
「ああ、そうか まだ148歳だったか それはそれは… 我が娘に対しても 失敬だった訂正させて貰うよ」
この世界のシャルロッテが苦笑して言う
「あっ!いいい、いいえっ 私こそっ 生意気を言ってしまってっ ごめんなさいっ!…と、そ、そそそそれでっ お父様っ お、お父様が私に御用とはっ!?」
スファルツが微笑して言う
「ああ、実は… ほんのちょっとした用事があるので その… 世界一のプログラマー殿へ 再びメールを送ってもらいたいのだよ もちろん無理にとは… いや、少し無理でも…」
スファルツが視線を逸らし困る この世界のシャルロッテが疑問した後笑顔で言う
「はははは、はいーっ!そんな事でしたらっ 1メールでも2メールでもっ 何十メールでもすぐにっ 送らせて頂きますぅ!」
スファルツが衝撃を受け 焦って言う
「シャルロッテ!女性であるお前が 異性のデス殿へ 何十メールも平気で送れるなどとっ!お父さんはお前を そんな破廉恥な娘に育てた覚えは有りません!」

【 ヴィルトンの港町 岸辺 】

リーザロッテが笑んで言う
「さあ!どうでして!?私たち小さき国の勇者と仲間たちの力を 思い知ったのでは無くって!?その私たちと共に 貴方方海賊も!この世界の為に 戦うのでしてよー!」
海賊たちが苦笑し カイザが言う
「まぁ、この世界の為に戦うってのは よく分からねーけど お国の艦隊をイカレタ勇者様と俺たち海賊で ぶっ飛ばしたってのは 後世に残る伝説になるかもな?」
スカルが苦笑して言う
「そのくせ、俺たちはそのイカレタ勇者様たちに 手を貸さなかった… なんて事が、イカレタ勇者様や仲間たちの色んな国に残っちまうんじゃ 俺たち海賊のメンツも丸潰れだ」
リーザロッテが衝撃を受け怒って言う
「ちょっと!そのイカレタ勇者様と仰るのは どなたの事でして!?」
カイザとスカルがびくっと怯えた後 苦笑し カイザが言う
「わーかった!それじゃ 俺たちもイカレ…いや、 色んな国の勇者様たちに 手を貸すぜ?」
カイザが微笑する リーザロッテが微笑し掛けて疑問し 慌てて言う
「色んな国の勇者様では無くって!小さき国の勇者と仲間たちでしてよ!」
カイザが疑問し 苦笑して言う
「そんな細かい事は良いじゃねーの!?海の男は 細けー事は 気にしないのっ!」
リーザロッテが慌てて言う
「貴方方は大雑把な海の男でしても!私たちは大雑把でも 男でもなくってよ!」
カイザが怒って言う
「大雑把じゃ無くって 海の様に広い心のって言ってくれる?!」
リーザロッテが怒って言う
「それこそ 貴方方は細かい事を気になさるべきでは無くってよ!」
カイザが衝撃を受け慌てて言う
「そっちこそ!もう少しは細かい事に気を使ってくれーっ!」
リーザロッテが怒って言う
「細かい事を気にしろと仰ったり仰らなかったり!貴方方は海賊としてバシッと決めたら如何でして!?」
カイザが慌てて言う
「俺らは決めてるってのに そっちがズラしてるんじゃねーの!?あんたこそ イカレテばっかいねーで バシッとそこの海賊勇者様みたいに 構えていろって!」
カイザが指差す リーザロッテが怒りつつ示す先を確認する レリアンが視線を逸らし考えている リーザロッテが疑問して言う
「レリアン?どうかなさって?折角ソルベキア艦隊を殲滅させて ついでにイカレタ海賊たちも仲間にしたと仰るのに 元気が無くってよ?」
カイザが衝撃を受ける 皆がレリアンへ向く レリアンが顔を上げリーザロッテへ言う
「…リーザ、ご免なさい …すぐに戻るわ!」
レリアンが走って行く リーザロッテが驚き手を向けて言う
「レリアン!?一体どうなさったの!?」
リーザロッテが仲間たちを振り返る 皆が顔を見合わせ ロイがレリアンの向かった先を見て言う
「…あの方向は 中央広場か?」
皆が気付き ヴェインが言う
「そう言えば ヴィクトール陛下はどうされたのか?」
シャルロッテが言う
「ソ、ソソソソルベキア兵の殲滅だけでっ 終了してくれてなかったらっ た、大変ですぅ!?」
リーザロッテが慌てて言う
「それは先住民族のドラゴンたちが ヴィクトール陛下の嘘を 見抜いたとレリアンが仰っていらしてよ!?」
レイトが言う
「ヴィクトール陛下の嘘と言うのは やはり、彼が ソルベキア兵と共に このローレシアの民にも恨みがあると言った 後者に関する部分であると」
オライオンが首を傾げて言う
「なら、ローレシアの住民が攻撃されちまってる事はねーんだし 向かう必要もねーよな?レリアンは 何をあんなに慌てて行ったんだ?」
カイザが呆気にとられた後 呆れて言う
「カーッ!分からないかねー!?旦那を思う 女の気持ちが!あんたらそれでも あの海賊女王様の仲間なのー?レリアン王妃様って言ったら 元アバロン国王ヴィクトール13世の 妃じゃねーのよ?」
皆が衝撃を受ける

中央広場

レリアンが立ち止り息を切らして周囲を見渡す 周囲にはソルベキア兵一個部隊が倒れ 住民たちが拘束を施している レリアンが住民の1人に声を掛ける
「ちょっと?このソルベキアの兵たちを倒した 大剣使いは何処へ?」
声を掛けられた住民Aが顔を上げて答える
「ああ、あの黒い鎧の大剣使いなら こいつらをぶっ倒した後 雷と共に消えてったよ」
住民Bが言う
「ああ、俺たちも礼が言いたかったんだけどな?ぱっと現れて あっという間にソルベキア兵を倒して見せたと思ったら そのままぱっと消えて行くなんてな!一体どこの誰だったんだ?」
住民Cが言う
「この世界の大剣使いって言ったら アバロンだろ!今度アバロンの大剣使いを見掛けたら 黒い鎧の大剣使いを知らないかって聞いたら良いさ!あれだけ強いんだ すぐに分かるって!」
レリアンが残念そうに微笑して言う
「そう… もうとっくに 去ってしまっていたのね」
レリアンがガルバディアの方向へ遠く目を向ける ドラゴンに乗ってリーザロッテたちが飛んで来て 降りると共にリーザロッテが言う
「レリアン!ヴィクトール陛下は!?」
住民たちが驚き顔を見合わす レリアンが一瞬間を置き苦笑してから言う
「ええ、ヴィクトール第二国王陛下は ガルバディアへ戻られた様です」
住民たちが驚いて言う
「ヴィクトール第二国王?」
「あの元アバロン国の王ヴィクトール13世か?」
「俺たちのヴィルトンを守った 黒い鎧の大剣使いは ガルバディアの第二国王様だったのかよ!」
レリアンが微笑する リーザロッテたちが微笑み顔を見合す

【 ローレシア城 玉座の間 】

玉座に座るキルビーグが微笑して言う
「そうかっ!ヴィルトンは無事取り戻されたか!」
伝達の兵が言う
「はっ!ヴィルトンの港を占拠していたソルベキア艦隊は 海賊と勇者様方の力により全てが沈められ 町を占拠していたソルベキア兵は ヴィクトール13世ガルバディア第二国王により倒され 現在は町の住民が拘束作業を行っているとの事です」
キルビーグが頷いて言う
「うむ、では 直ちに警戒部隊の任務を終了として ヴィルトンの町へ向かわせよ 警備部隊には 引き続き警戒を続けさせると共に ローゼントへ送ってある偵察兵へ 戦況の報告を」
伝達の兵が返事をして立ち去る ニーナが笑顔で言う
「リーザたちとヴィクトール陛下が ヴィルトンの町を取り戻したのー!これで ガルバディアとローレシアも 仲良しになれるのー!」
キルビーグが軽く笑って言う
「はっはっは、確かにそうだな 元はアバロンからの援護を受けるという約束であったが そのアバロンから送られた兵が ガルバディアの者であり 尚且つ 住民への被害をまったく出さぬ状態で 町を取り戻してくれたとあっては 仲良しにもならざるを得ぬな?」
ニーナが笑顔で言う
「うん!それに 今度はウィザードのデスさんと ルーゼックおじさんが ローゼントを助けるの!これでウィザードのデスさんと ルーゼックおじさんも 仲良しになれるのー!」
キルビーグが苦笑して言う
「そうだな、あのウィザードが本当に 闇の王ユダやシリウスと敵対する ルーゼックへ力を貸し、共に戦い討ち勝ったとなれば 今までに架せられたウィザードへの罪も 大幅に軽減される そして、ルーゼックはあのウィザードによる被害国の王であるからな 彼が許すと申せば 軽減所か帳消しとも なり得るだろう」
ニーナが首を傾げ言う
「ウィザードのデスさんと私が襲った国は デネシアとローレシアなの ルーゼックおじさんだけが許しても キルビーグ陛下が許してくれなかったら 帳消しにはならないの キルビーグ陛下は デスさんの事をもう許してくれてるって事?」
キルビーグが一瞬呆気に取られた後微笑して言う
「ああ、そうであったな 今回のルーゼックの提案に驚いた余り その事をすっかり忘れておったわ はっはっは… ふむ… そうだな もしあのウィザードが ルーゼックへ力を貸すと共に ローレシア第二国王である彼を守ってくれたとあれば もちろん 私もウィザードの罪状を 帳消しにしてやっても良いと思っておるよ」
ニーナが喜んで言う
「ありがとうなの!キルビーグ陛下!やっぱりローレシアの人も アバロンの人と同じ位 優しい人たちなのー!」
キルビーグが苦笑して言う
「しかし、万が一にも あのウィザードがルーゼックを守らず 1人生き残るような事があった時には 私はあのウィザードを二度と許す事は出来ぬぞ?我がローレシアはアバロンとは違い 拷問も処刑も致す国であるからな?先の失敗を繰り返す事無かれと 執行猶予と申すものが無くなった所でもある」
ニーナが驚く キルビーグがハッとして言う
「ああ、アバロンの王女となった ニーナ王女に対し 少々物騒な事を申したな 詫びよう」
キルビーグが苦笑する ニーナが呆気にとられた後微笑んで言う
「大丈夫なの!ウィザードのデスさんは ちゃんとルーゼックおじさんを守ってくれるの!私はウィザードのデスさんを信じてるの!」
キルビーグが微笑み頷いた後言う
「うむ、そうだな きっとあの様子なら大丈夫だろう… 所で、ニーナ王女 私までもが申すのもどうかと思いはせなんだが その、ルーゼックをおじさんと呼ぶのは如何なものかな?フォローするのも何だが ルーゼックはこの国の第二国王である 第一国王の私をキルビーグ陛下と呼んでくれるのであれば… 第二国王陛下とは 長くとも せめてルーゼック陛下か様を使って呼んではどうかと思わなんだが?」
ニーナが疑問し首を傾げて言う
「うん?どうして?ルーゼックおじさんは 私の叔父さんなの 私の大切な人の1人なの だから やっぱり 叔父さんって呼びたいの …ダメ?」
キルビーグが衝撃を受け慌てて言う
「む!?そ、それは一体どう言う意味であるか?ルーゼックが貴女の叔父さんとな?ニーナ王女、貴女の父はあのヘクター国王である そのヘクター国王の父は同じくアバロンの民であるラインツ元傭兵隊長殿であろう?彼らとルーゼックはまったく持って 何の繋がりもあらなんだが?」
ニーナが疑問した後笑顔で言う
「私のお父さんのヘクターのお父さんはラインツ元傭兵隊長なの!キルビーグ陛下は物知りさんなのー!でも、私のお母さんのお父さんは ローゼック元デネシア国王なのー!だから お母さんのお父さんは ルーゼック叔父さんのお父さんと同じなのー!」
キルビーグが衝撃を受け驚いて言う
「何とっ!?ローゼック前デネシア国王は ローレシアの他に アバロンでも子を得ておったのか!しかも、その娘が ヘクター国王の妃になっておったとは!こ、これは ルーゼックがこの城に戻った時には 大変な事になりよるぞ!?」
キルビーグがオロオロする ニーナが笑顔で言う
「お父さんと ルーゼック叔父さんが 儀兄弟の仲良しさんで 私はとっても嬉しいのー!」
キルビーグが苦笑して言う
「デネシアはずっと以前からアバロンへ取り入らんとしておったが その実 既に国王になる予定であったヘクターと デネシアの王であるルーゼックが 儀兄弟になっておったとは… なるほど、ローゼック前デネシア国王が胃潰瘍にもなりよる訳だなぁ はっはっは…」

【 ローゼント国 城下門前 】

ユダが苦しそうな表情で剣を掲げ雷を受け取る ルーゼックが険しい表情を見せつつ叫ぶ
「ウィザード!再び 我が剣に魔力を与えよ!」
ウィザードが首を傾げて言う
「うん… しかし、私が思うに お前はもう これ以上私の魔力を受けては 身が持たないのだ そんな気がする 私はニーナからお前を守って欲しいと頼まれた お前が倒れてしまうと私は ニーナに合わせる顔が無いのだ」
ルーゼックが振り返り怒って言う
「馬鹿者っ!その心配は要らぬわっ!あの小娘は目が見えよらぬ!どのような顔を合わせ様とも 気にする必要はあるまい!」
ウィザードがひらめいて言う
「おお!そうだったな!ニーナは目が見えないのだ だから どのような顔で会おうが 気にする必要は無かった では 遠慮なくお前へ魔力を与えてやる」
ウィザードがルーゼックの剣へ魔法を放つ 放たれた魔法がルーゼックの剣と体に伝わり ルーゼックが必死に痛みを押し殺し ユダへ剣を振るう ユダがルーゼックの剣を剣で受け止める 双方の剣の魔力がぶつかり合う ウィザードが首を傾げて言う
「うん?しかし、ニーナは 目が見えない分 私よりも色々な事に気付くのだ やはり あいつの身に何かあったと 顔に表しながら再会しては すぐに気付かれてしまう そんな気もする」
ユダとルーゼックの戦いが続く その向こうで シリウスとヘクターが戦っている 

ヘクターの数字の羅列を纏った剣を受け止めたシリウスが舌打ちをして言う
「チッ… この戦闘の最中に 機械鎧の力と同等のプログラムを組やがったか… 流石はガルバディアの王子様だぜ」
ヘクターが疑問して言う
「あ?ガルバディアの王子様?それに お前の喋り方は まるで…」
シリウスが衝撃を受け 慌てて剣を引き 意表を突かれたヘクターが前のめりになり思わず言う
「とわ…っ」
シリウスが体勢を崩したヘクターへ攻撃する プログラマーが言う
「ヘクターっ!」
ヘクターがハッとして回避する ヘクターの速度がプログラムに加速され シリウスの剣をギリギリ避ける シリウスが苦笑して言う
「ギリギリではあっても 今の攻撃を避けたか…」
ヘクターが回避した勢いのまま微笑して言う
「ギリギリでもねーって!」
シリウスが疑問した瞬間 回避したヘクターの身が浮き上がり ヘクターがすかさず大剣を振り上げ攻撃する
「食らえぇえーっ!」
シリウスが表情を顰め後方へ回避する ヘクターが瞬時に剣の向きを変え追撃する シリウスが驚きヘクターの攻撃を受け 地に弾かれる
「ぐっ!」
シリウスが地に手を付き身を起こす ヘクターが剣を構える シリウスが苦笑して言う
「ハッ!てめぇらに関しては 合格ってとこだな!流石だぜ… だがよ?」
シリウスがユダたちの方を向く ヘクターがその様子に剣を向けつつ自分もユダたちの方へ向く

ユダが正面からルーゼックへ剣を振り下ろす ルーゼックが剣を剣で受け止め言う
「くっ… 闇の王ユダの剣が あのアバロンの大剣使い ヴィクトール13世と同等か!?これほどまで重いものとはっ」
ルーゼックが剣を払い 後方へ回避し 剣を構え直してウィザードへ言う
「ウィザード!私へ支援魔法を!」
ウィザードが困った表情で首を傾げて言う
「うん… しかし、私の魔力は 人体に有害な悪魔力なのだ 支援魔法であっても 悪魔力を与えてしまうのは やはり良くない… そんな気がする」
ルーゼックが表情を顰めて言う
「…確かに これ以上は私の身を持ってしても限界か だが、あの闇の王ユダとて この戦法には負担がある様子 ここまで来て こちらが引く訳には行かぬ 例え私が倒れる事になろうとも 闇の王の1人を 道連れに…」
ユダが間を置いて剣を掲げ 雷を受け取り構える ルーゼックが表情を困らせ悔しそうに言う
「魔法剣を扱える者が 私ではなく あのヴィクトール13世であれば… 大剣を扱える奴の力なら 少なくともユダを討ち取る事は可能であった筈… やはり我らローレシアが同盟を組むべき国は アバロンであったのか…?いや!この期に及んで 泣き言など デネシアの王として恥ずべき事!…そうだっ!この戦いこそ 私の デネシアの王としての最後の戦いぞ!」
ルーゼックが剣を構えて言う
「ウィザード!魔力を!」
ウィザードが困って言う
「しかし、ルーゼック国王…」
ルーゼックが言う
「支援では無く 我が剣へ力を貸せ!これを最後の一撃とする!」
ウィザードがルーゼックの剣へ魔力を送る ルーゼックが何とか堪えユダへ叫ぶ
「ぐっ…ぬぬっ!聞け!闇の王ユダ!私はデネシアの王として 貴様へ真っ向から戦いを挑み 次の一撃の全力を持って貴様を討ち倒すっ!」
ユダが一瞬呆気に取られた後 剣を構えて言う
「良いだろう お前の力、全てを受け止め 跳ね返してみせる!」
ルーゼックが特攻し声を上げつつ剣を振り上げユダへ攻撃する ユダがルーゼックの剣を剣で受け止める

ヘクターがユダとルーゼックの様子を見て言う
「やっぱデネシアの王じゃ ユダは倒せねーよ ユダの剣は俺たちアバロンの大剣と同じだ 対して ルーゼックの長剣とも大剣とも付かねー 中途半端な剣と剣術 そんなんで正面から戦うんじゃ ユダには勝てねーんだ」
プログラマーが言う
「ルーゼック国王は歴代のデネシア国王と同じく我流の剣術 そして、長剣と大剣の間に当たるあの剣は 長剣の鋭さと大剣の力強さを両方兼ねる …と言いたい所だが 大剣を相手に 力ずくな正面からの攻撃をしては…」
シリウスが独り言を言う
「クロイツヴォルデンの下手くそな俺のサポート真似であるなら ルーゼックとキルビーグの魔法剣には劣るってぇ読みだったのが… まさかウィザードを連れて来やがるとはな 折角てめぇらに 初勝利をくれてやろうとしてたのに てめぇまで不慣れな奴のサポートで戦う 同等の条件じゃぁ 力で勝るユダには勝てねぇぜ」

ルーゼックの剣を受け止めたユダが苦笑して言う
「残念だ、ルーゼック お前たちは勝機を失った 私は正面から戦いを挑む者に手を抜く事は出来ない こちらも全力を持ってお前を倒す!」
ユダがルーゼックの剣を払い 大剣を振り上げ声を上げてルーゼックへ振り下ろす ルーゼックが先のユダと同様に剣を受け止める構えを見せる ユダが微笑し言う
「受けよっ!貴様を上回る これが我が力だっ!」
ルーゼックが剣が重なるギリギリで悪く笑んで身を引く ユダが驚き言う
「えっ?!」
ユダの剣が全力で空を斬り地に突き刺さる ユダの身にあった雷撃が地に吸収される ユダが呆気に取られて言う
「なぁあっ!?」
ルーゼックがユダの後方へ回り込み 剣を振り上げ笑って言う
「はーっはっはっはっはっ!掛かったか!愚かな大剣使いめ!貴様は あの馬鹿正直なアバロンの民と同じ その強さを見る限り その精神すらも奴らと同じと見た!だが、我らデネシアは 勝利の為には手段を選べぬのだ!これが我らデネシア流っ!食らえっ!」
ルーゼックがユダの背を斬り裂く 更にルーゼックの剣の魔力がユダの身を攻撃する ユダが悲鳴を上げる
「うあぁああっ!」
シリウスが呆気に取られ一瞬の後叫ぶ
「ユダッ!」
ユダが倒れる ルーゼックが剣を振り上げ叫ぶ
「これで終わりだ!闇の王ユダ!」
ユダが焦る ルーゼックの剣をシリウスが止めに入る しかし 止めに入れた筈のシリウスの武器にルーゼックの剣が当たらず シリウスが呆気に取られて言う
「なにっ!?」
ルーゼックが上体を踏み止め 瞬時に剣の角度を変えて シリウスの身に攻撃して言う
「貴様の行動も 全て見通しぞ!シリウス!食らえぇえ!」
シリウスが不意を付かれルーゼックの剣を受けて声を漏らす
「ぐぅっ!」
しかし、ルーゼックの剣に残されていた魔力が少なく 機械鎧の装甲に助けられシリウスは身を弾かれるだけで即座に体勢を立て直す ルーゼックが剣を見て舌打ちをして言う 
「クッ… 惜しい所で魔力がっ」
シリウスがすかさずルーゼックへ武器を振るい ルーゼックがそれを受け止める シリウスが苦笑して言う
「ハッ!なかなかやってくれるじゃねぇか?デネシアの卑怯国 国王様がよぉ?」
ルーゼックが表情を引きつらせて言う
「な…っ 何だ?貴様の物言いは?まるで私の大嫌いな ベネテクトの不良国王そのものっ!?」
シリウスが衝撃を受け怒って言う
「てめぇええ!誰が不良国王だ!この野郎ぉおお!」
ユダが慌てて言う
「わぁあっ!ダ、ダメだよ!シリウス!」
シリウスが衝撃を受け 武器を振り払って誤魔化して言う
「きょ、今日の所は!貴様らの力を認めてやる 俺…っ 私の相棒を傷付けてくれた礼は 後日 改めて付けさせて貰うぞ!次の戦いが貴様らとの 最後の戦いとなるだろう 精々有力な者を集める事だ 今度こそ …手加減はしてやらねぇからなぁ?」
シリウスがルーゼックへ武器を向ける ルーゼックが衝撃を受け怒って叫ぶ
「何が手加減だ 馬鹿者っ!貴様ら闇の王2人が 揃ってやられておるそのザマで!その様な言葉を抜かすなど!それこそ次は こちらから叩きのめしに向かってくれるわ!覚悟しておれっ!」
シリウスが衝撃を受け怒って言う
「んだと!?てめぇええ!!」
ユダが慌ててシリウスへ言う
「シ、シリウス!シリウス!早く戻ろうっ いろんな意味で せ、背中が 痛いしっ!」
ユダの後方で 皆が不思議そうにシリウスとルーゼックのやり取りを見つめている シリウスがハッとし咳払いをし 宝玉を取り出して言う
「チィ…ッ おいっヴァルキリーども!撤収だ!」
魔法剣士部隊と戦っていたヴァルキリーたちが瞬時にシリウスの近くへ向かう シリウスが移動魔法を放ちヴァルキリーたちと共に消える 皆が呆気にとられた後 アンネローゼが微笑して言う
「闇の王たちは逃げ帰りました!私たちの勝利です!」
皆が一斉に喜びの歓声を上げる ヘクターとプログラマー、ヴェルアロンスライツァーとロキが互いに顔を見合わせ微笑する 犬のロスラグが嬉しそうに尻尾を振って一声吠える ルーゼックが闇の王たちが消えて行った先を見据えた後息を吐くとダメージが再発して倒れる 魔法剣士部隊の魔力者たちがハッとして叫ぶ
「ルーゼック陛下!?」
「大変だ!今回もルーゼック陛下が倒れたぞ!」
「早く回復を!キルビーグ陛下が御心配される!」
魔力者たちが急いで集まりルーゼックへ回復を行う ウィザードが首を傾げて言う
「うん、闇の王たちは倒した しかし、こいつも倒れた… 私は ニーナへ何と報告したら良いのだろうか?」
ヘクターがやって来て言う
「俺たちと再会出来たって 報告すれば良いぜ?デス?」
ウィザードが振り返りヘクターとプログラマーを見て笑顔で言う
「おお!そうだな!ニーナはお前たちの事も心配していたのだ!だから こいつは死んだが お前たちと共に戻れば 何とか誤魔化せるかもしれない そんな気がしたい」
プログラマーが苦笑して言う
「ニーナはお前に彼を守る様 言ったのではないのか?それを、我々との再開を理由に 誤魔化せる筈がないだろう?ついでに 彼はまだ死んではいない」
ウィザードが疑問した後ひらめいて言う
「おお!そうか!こいつはまだ死んでいないのか!それなら、心配ない 私が今トドメを」
プログラマーが衝撃を受け慌てて言う
「根本的に間違っていると気付け!」

【 ローレシア城 玉座の間 】

伝達の兵が驚き思わず声を合わせ言う
「「20年後のアバロン国国王ヘクター王と ルーゼック陛下の御帰城ですっ!」」
玉座に座るキルビーグとニーナが声の方へ向く ヘクターがルーゼックに肩を貸して玉座の間へ入ってくる キルビーグとニーナが驚いてキルビーグが言う
「ルーゼック!」
ニーナが言う
「お父さん!?ルーゼックおじさんは ボロボロなのー!」
ルーゼックが衝撃を受け 怒って言う
「小娘… いい加減 その呼び方を…」
キルビーグがやって来て言う
「それよりも ルーゼック!お前は大丈夫なのか?!血生臭い程にボロボロになりおって!」
プログラマーが言う
「怪我の治療は済んでいる 体力を失っている事と ウィザードの悪魔力の影響で… 確かにボロボロに見えるが しばらく休ませれば回復するだろう」
ウィザードが首を傾げる ルーゼックが言う
「それよりも、キルビーグ… 奴らが再び 何処ぞへ来よる 前に…」
キルビーグが言う
「奴らが再び来よるより何より 先ずはお前が身を休めよ 衛兵!ルーゼックを寝所へ連れて行け!」
衛兵2人が返事をして駆け寄って来て ヘクターからルーゼックを受け取り連れて行く ヘクターが苦笑して言う
「あいつも、あんたの言う事なら 素直に聞くんだな?俺たちがいくら止めても ローレシアへ戻るって聞かなくってよー?」
キルビーグが苦笑して言う
「はっはっは、ルーゼックの頑固振りは お父上譲りであるからな?今のも 私の申した事を聞いたのではなく ローレシアへ戻ると言う目的を果たしたが故に 従ったのだろう」
ヘクターが表情を顰めて言う
「あー… 確かに あの頑固親父に似てるって言えば 似てるかもな…」
キルビーグが苦笑して言う
「私もニーナ王女に聞いて驚いたのだが まさかアバロンの王となった ヘクター国王の義理の父親がローゼック元デネシア国王であったとな?おまけにガルバディア第二国王となったヴィクトール殿の義理の父親もまた同じ… ガルバディア、アバロン、デネシア そして、ローレシアの4つの国が義兄弟に支配されるとは この大陸の歴史が始まって以来の出来事だろう」
ヘクターが軽く笑って言う
「今はベネテクトもガルバディアの領地だぜ?だから4つじゃなくって5つだ 折角兄弟なんだから この調子でもっと団結して 闇の王と戦わねーとな!」
キルビーグが微笑して言う
「うむ、そうだな ローゼントからの報告は受けている 貴殿たちがルーゼックと共に 闇の王へ一矢を報いたと」
ヘクターが頷いて言う
「ああ!奴らは次の戦いを最後にするって言ってたんだ 俺らもそれに向けて 今度こそ 世界中の奴らで団結しようぜ!」

【 ソルベキア城 機械室 】

ユダが涙目で言う
「ああっ!シリウス!お願い!もっと もっと優しくしてぇ~っ!」
シリウスが衝撃を受け怒って言う
「るせぇええ!てめぇえは いい加減 その言い方を何とかしやがれぇ!でもって!おら!食らいやがれっ!」
ユダが頬を染めて言う
「あぁあ!も、もうダメ!あっ!シリ ウスぅ…」
ユダが気絶する シリウスが大雑把に回復薬をユダの背にかける バッツスクロイツが苦笑して言う
「これって 絶対ーわーざと だよね?」

シリウスがソファに腰掛けて言う
「で?元ガルバディア国王殿が 何だって?」
バッツスクロイツが言う
「うん、それがー?何でも 予想外の展開ーに なっちゃうかもしれないから?万がいちーの時には 闇の王をエスケープしちゃって シリウスっちとユダっちを 辞めちゃっても良いってさ?」
シリウスが疑問して言う
「辞めちゃってもって… んな簡単に言いやがっても この世界の連中は今こそ俺ら闇の王をぶっ倒そうって 盛り上がってる所じゃねぇか?それを どう辞めやがれって言いやがる?」
バッツスクロイツが言う
「俺っちもー?そう思ったんだけど その件に関してはー」
シリウスが疑問して言う
「その件に関しては?」
バッツスクロイツが笑顔で言う
「『お前どもで 何とかしよれ!』だってさー?」
シリウスが衝撃を受け怒って言う
「あっ あのっ 人任せな我がまま元国王がぁああ!!」

【 ガルバディア城 】

ヴィクトール13世が剣を掲げ雷を受け取り構えて振りかざし 周囲に雷撃を放つ 剣の雷を使い切ると再び剣を掲げ雷を受け取り構える 間を置いて剣を地へ着け雷を逃がし終了させ ふぅと一息吐く 周囲の映像が消え 玉座の間に戻ると 玉座に座るバーネット2世が足を組んで言う
「はっはー 随分慣れちまったじゃねぇか?最初の頃は いてぇいてぇって転げ回ってやがったのによぉ?」
ヴィクトール13世が振り返り微笑して言う
「確かに僕も慣れたけど どちらかと言ったら バーネットの方が慣れたんじゃない?最初の頃は 僕に与える雷の威力だって不安定だったし 何よりとっても心配してくれてるって感じがしてたもの」
ヴィクトール13世が笑顔になる バーネット2世が衝撃を受け 視線を逸らして言う
「う、うるせぇ!こっちっとら 本来なら即死な雷撃をてめぇに落とすんだ 間違ってぶっ殺しちまうんじゃぁねぇか ってぇぐれぇの心配はするってもんだ」
ヴィクトール13世が微笑して言う
「本来は即死な程の雷撃かぁ… あのバーネット1世様の鞭を受けても大丈夫なバーネットが 変体体質だとは思ってたけど 僕もちょっと似たようなものだったのかな?」
ヴィクトール13世が笑顔になる バーネット2世が衝撃を受け怒って言う
「俺は変体体質なんかじゃねぇえって言ってんだろ!?あのクソ親時に鞭打たれても大丈夫だったのは!ガキの頃から躾けられてやがったから 慣れてやがっただけだってぇええんだ!」
ヴィクトール13世が言う
「でも、僕が雷撃に晒される様になったのは つい、この前からだから やっぱり雷を与えるのと同時に バーネットがガルバディアの力を使って 僕を守ってくれてるって事なの?」
バーネット2世が言う
「てめぇは代々アバロンとデネシアの間に生まれてきた ヴィクトールってぇ名の王族だろ?てめぇらの体にはデネシアからの 足りてねぇ魔力が元からあるんだ そのままじゃぁ魔法を使う所か 魔力があるってぇ事すら分からねぇ程だが アバロンの力である信じる思いが加われば その魔力を利用する事だって出来やがる 俺はそいつをちょいと増幅させてやってるだけだ 大したサポートはしてねぇよ」
ヴィクトール13世が呆気にとられた後疑問して言う
「元から魔力が…?そうか、だから 通常アバロンの民には出来ない 魔法バリアを斬る事すら 僕や父上は出来たのか てっきりアバロンの力だけで 出来ているのだと思っていたよ」
ヴィクトール13世が照れる バーネット2世が苦笑して言う
「まぁ、魔法を嫌うアバロンの その国王であったてめぇらが 多少であれ魔力を持ってやがるなんて事がバレちまうのは 頂けなかったからなぁ?アバロン国王様のアバロンの力は 魔法バリアさえも斬り裂ける ってぇ事にしといて 正解だったんじゃぁねぇか?」
ヴィクトール13世が言う
「知らなかったとは言え アバロンの民たちには 少し嘘を言っていた事になる やっぱり、良い事ではないよ アバロンの力は自分を信じる事と共に 仲間との信頼が大切だからね」
バーネット2世が苦笑して言う
「ハッ!ならアバロンが魔法を受け入れる様になりやがれば てめぇも隠す必要なんざ無くなるって事だ ヘクター国王殿は民に断りを入れる事も無く あっさり魔力者の国であるローレシアと友好条約やら協戦条約を交しちまったぁ どうなるかは分からねぇが てめぇは応援するんだろ?」
ヴィクトール13世が微笑して言う
「もちろん、それに ガルバディア第二国王の僕が ローレシアの町を守りに行ったのだし このガルバディアもアバロンと同様に ローレシアとそれらの条約を交すのも時間の問題だよね?バーネット?」
バーネット2世が衝撃を受け視線を逸らして言う
「し、知らねぇよ!俺はあのローレシアやデネシアは 何となく嫌ぇなんだ 特にデネシアだったりローレシアだったりしやがる あのルーゼックの野郎がだなぁ…」
ヴィクトール13世が笑顔で言う
「ルーゼック殿と共に 私の義理の父でもあるローゼック元デネシア国王は ベネテクトだったりアバロンだったりした バーネット1世様や2世の君に ちょっと似てるものね?声の大きさや 怒りっぽい所とかも?」
バーネット2世が衝撃を受け怒って言う
「るせぇええ!!俺や親父を あの頑固国王どもと 一緒にしやがるんじゃねぇええ!!」

【 アバロン国 ラザイヤ邸 】

ローゼックが怒って叫ぶ
「黙れっ ヘクター!突然やって来たかと思えば!私を利用してガルバディアとローレシアの条約を交させ様などとっ!貴様はアバロンの王である!その貴様がガルバディアの心配なんぞしよってどうするっ!?そんな事より 貴様は 正式な戴冠連絡をさっさと各国へ送らぬか!?」
レクターが笑顔で言う
「突然現れたヘクターへ怒りながらも ヘクターの国王としての仕事へ 助言をしちまう父上は やっぱりヘクターの事が好きなのだ そんな気がする」
この世界のヘクターが言う
「ローゼックのとっつぁん 頼むぜ!ローレシアへ 何となく助言出来るのは あんたしかいねーんだ!ガルバディアのバーネットには 俺から言うからよ?あいつらが手を組めばきっと この世界は1つになれるんだ!」
ローゼックが怒って言う
「馬鹿者っ!世界が1つになるどころか 現行ガルバディアは あの闇の王たちの引き連れているヴァルキリーを 生産している国ではないかと疑われておるのだぞ!?そのガルバディアとアバロンが暗黙の内に友好条約を交していると申す現状すら危うき事であるのに!ローレシアが公的にガルバディアと条約なんぞ 交しよろう筈がなかろうっ!?それよりも貴様は!アバロンの民へ何の示しも行わぬまま 魔力者の国であるローレシアへ条約を交した事への言い訳でも考えよらぬかっ!」
この世界のヘクターが言う
「アバロンの皆だって!ローゼントの話を聞いて俺たちアバロンに必要なのは 魔力者たちの支援魔法だって事を感じてるんだ!それに!戦いの傷を癒す回復魔法の凄さだって知ってる!皆、回復薬を使う時には心の中で 回復魔法なら痛くねーのにって思ってるんだぜ!俺だって今までは回復薬を我慢する事くらい 気合で乗り切ってたけど!あの支援魔法だけは 気合や薬でどうこう出来るもんじゃねーんだ!」
ローゼックが怒って言う
「何を申すか!ローレシアは ずっと昔から貴様らとの条約を求めておったのだ!それを貴様らアバロンがガルバディアとの友好を死守致す余り 魔力者たちの力を受け入れなんだおったのだ!それをローゼントの騎士らと魔法剣士部隊を結成した後の 今更になって このアバロンがローレシアと条約を交した所で!貴様らアバロンとローレシアの魔法剣士部隊などは結成されなんだっ!これを乗り切るには!それこそ デネシアの魔力者の力を ガルバディアの力で増幅させる事でもやらなんだ!アバロンの助力にはならぬわっ!」
この世界のヘクターが呆気にとられた後 驚いて慌てて叫ぶ
「おいっ!ローゼックのとっつぁん!そんな事が出来るのかよ!?俺もアバロンとローレシアで条約を交したけど ローレシアの高位魔力者は皆ローゼントに使われちまってるからよー?正直俺たちアバロンの援護はしてもらえねーんじゃねぇかって 思ってたんだ!それが!ガルバディアとデネシアが手を組めば 俺たちアバロンの援護も出来るって言うのかよ!?」
ローゼックがこの世界のヘクターの勢いに押され掛かる ローゼックが怒って叫ぶ
「であるからにしてっ!ガルバディアとローレシアが条約を結ぶ事は このアバロンにも優位ではあるが!現行ガルバディアが世界の敵になり掛かっておると申す 重大な事を 何故貴様らはいつも忘れよるのか 馬鹿者っ!!」
この世界のヘクターが困って言う
「そうなんだよなぁ… まさかあのヴァルキリーたちがガルバディアの民と同じ顔をしてるなんてなぁ?デス?お前はあいつらの事は 知らねーんだろ?」
ガルバディアの騎士が言う
「ああ、お前に話を聞いて 何より私が驚いた… ついでに言えば そのヴァルキリーらの仲間であるとされた私が こうして、お前に同行する事を条件とされながらも自由を得られている事にも私は驚いているのだが…?」
ラザイヤが苦笑して言う
「アバロンの王様になったヘクターが 貴方は仲間であると決めてしまった以上 貴方はそう出来るのでしょうね?」
ローゼックが言う
「例え国王へなりよったと申しても 余り無茶ばかりを民へ示しておっては 傭兵隊長の頃に築き上げた信頼すら失い兼ねるものだ 精々気を付けよ だが、貴様は万が一にもこの国の王を下ろされおっても 何とかなりよろう 私は現行デネシアだったりローレシアだったりする 無鉄砲なルーゼックの心配と共に ガルバディアの第二国王へと成り下がってしまった 義理の息子であるヴィクトール13世の心配をもしてやらねばならなんだ 故に 貴様の事まで考えてやりたくは無い ヘクター、貴様は今まで通り自らで勝手に何とかしよれ」
この世界のヘクターが衝撃を受け怒って言う
「あぁ!?何でそっちの2人の心配はするのに 俺の力にはなってくれねーんだよ!?なあ!?ローゼックのとっつぁんよーっ!?」
ローゼックが怒って言う
「その前に 貴様は私へのその呼び方を 改めぬか!?無礼者っ!!」

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