漫画の様にスラスラ読める小説をめざしたらネームになった物語の1つ。クライツオブハーツ

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13-4 ガルバディアの騎士の正体

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【 アバロン城 玉座の間 】

伝達の兵が現れて言う
「申し上げます!バーネット2世ベネテクト国王が 本日ベネテクト国へ戻られたとの報告です!」
ヴィクトール13世が言う
「すぐにアバロンへ来る様にと命じろ!」
伝達の兵が呆気に取られてから言う
「お、恐れながら バーネット2世ベネテクト国王は 我らアバロンの友好国の国王であられます 来国のお誘いを送るには 相応の用件が必要になりますかと…」
ヴィクトール13世が言う
「ベネテクト国は 我らアバロンの第二国だっ アバロンの王が呼べと言っている 有無を言わさず連れて来い!」
伝達の兵が困って言う
「しかし 陛下…」
ヴィクトール13世が怒って言う
「黙れ!命令だっ!二言は無い!」
伝達の兵が怯え返事をして立ち去る ヴィクトール13世の隣の玉座に座るレリアンが心配そうな表情で見つめる 家臣たちが顔を見合わせる

城内バルコニー

レリアンが城下の町を見下ろして溜め息を吐く 家臣たちがやって来て家臣Aが言う
「レリアン王妃様…」
家臣Bが言う
「ヴィクトール陛下は 今は少々、御気分を 害されておられるだけですので どうか」
レリアンが振り返り苦笑して言う
「ええ、私は大丈夫です ただ… こんな時こそ王妃である私が 陛下をお支えしなければならないのですが 無知な私には その方法が見付けられません お前たちにも 心配を掛けてしまっていますね」
家臣たちが慌てて 家臣Aが言う
「そんなっ 滅相もございません!我々にお心遣いを頂くなど…っ 我々こそ陛下と妃殿下をお助け出来ませんと 申し訳無い限りでございます」
家臣Bが言う
「バーネット殿がアバロンの第二国王をお辞めになった事はとても大きく そこへ来て ローレシアの2人の王や ツヴァイザーの勇者殿の件… 更に あのウィザードの他国への説明 そして何より 奴ら闇の王たちの存在 どれもこれも 我々では手に負えぬ事ばかりでして」
家臣Cが言う
「ヴィクトール陛下も お悩みなのでしょう せめてもの救いに バーネット様の居場所が分かった事は幸いでした 再びこのアバロンに2人の王が戻りさえすれば 全てのお悩みもきっと解決されましょう」
レリアンが言う
「私は… バーネット殿は もう戻っては来ないと思うのです」
家臣たちが衝撃を受け慌てて 家臣Aが言う
「そんな馬鹿なっ!バーネット様は このアバロンの慈愛の王です!歴史的に見ても アバロンの第二国であるベネテクトの王である時点で 当然のようなものでして!?」
家臣Bが言う
「そうです!それにベネテクト国ほどの小さな国では このアバロンを頼る他に生き残る道は有りません!」
家臣Cが言う
「それでも レリアン王妃様がそうと思われると言うのは 確固たる何かが有られるのでしょうか!?」
レリアンが視線を落として言う
「それは…」
家臣たちが注目する レリアンが言う
「女の勘です」
家臣たちが転びそうになる レリアンが微笑する 家臣たちが慌てて言う
「レ、レリアン王妃様っ!我々の気を和らげようとして下さるのは 有難い事ですが…っ」
「この年寄りたちに 急激な冗談は少々 堪えまする」
レリアンが苦笑して言う
「ご免なさい、しかし 勘と言っても 一応はそれ相応の理由があっての事です 確かに感覚で捉えたと言う事では変わりはありませんが… 私はバーネット殿が このアバロンを去る時に 少しですがお話を致しました その時の感覚からして 彼はもう このアバロンの力を… いえ、ヴィクトール陛下のお力を 見限ってしまっているのではないかと」
家臣Cが慌てて言う
「レリアン王妃様!その様なお言葉は いかに王妃様とあらされましても 我らアバロンの王への 無礼に当たりますっ」
レリアンが言う
「ええ、そうですね しかし、私はお前たちには 知らせて置きたいのです あのバーネット殿がヴィクトール陛下を見捨てるような時こそ このアバロンは私たち皆の力で 陛下共々お支えしなければなりません その為に 今から我々1人1人が しっかりと考え 行動せねばならないと思います」
家臣たちが驚き顔を見合わせる レリアンが視線を落として考える 家臣たちがレリアンを見て困りあぐねていると 家臣Aが気付き空を指差して言う
「…うん?あっ!あれはっ!?」
他の家臣たちも空を見上げて驚く レリアンが疑問して家臣たちが指差す先を見る ドラゴンが空から舞い降りる 家臣Bが慌てて言う
「ド、ドラゴンがっ!?レリアン王妃様!危険です!お下がり下さいっ!おおーいっ!だ、誰か!兵を!」
レリアンが家臣たちを落ち着かせて言う
「お待ちなさい 彼はデネシアの竜族です 心配は有りません」
レリアンが宝玉の欠片を手に持って強く念じる 宝玉の欠片が光りドラゴンの姿がハレルトへ変わり言う
「レリアン様、有難うございます」
家臣たちが驚く レリアンが微笑して言う
「礼には及びません ハレルト それより デネシアに何かあったのですか?今はローレシアに居られるとは言え デネシアの事でしたら 国王である 兄のルーゼックへと伝えるべきでしょう?」
ハレルトが言う
「はい、ルーゼック陛下へ申し上げました所 現在、陛下は身動きの取れぬ状態にあられます故 代わりにデネシアの王女である レリアン様に応対を頼む様にと仰せ遣い 私がお迎えに参らせて頂きました」
レリアンが疑問して言う
「それは どう言う事です?兄が身動きの取れぬ状態とは?それに もし、私に何か用件でもあると言うのでしたら 何も貴方が先住民族の姿へ戻って このアバロンを訪れる必要など無いでしょう?」
ハレルトが言う
「それが…っ 私もレリアン様のお手を煩わせる事は 申し訳無く思ったのですが どう言う訳か 我らデネシアからアバロンへ送った連絡が レリアン様まで伝わってはおりません様子でして そして、アバロンへの移動魔法陣も デネシアから向かうものが閉ざされており 更に国境警備も… と言う事で 致し方なくこのような手段を 取らせて頂きました」
家臣たちが衝撃を受け慌てる レリアンが家臣たちの様子に視線を強めて言う
「ハレルトの申している事は事実なのですか?アバロンがデネシアとの移動の手段を閉ざしていると?」
家臣たちが慌てて言う
「そ、それは…っ 現在、アバロンは 闇の王らとの戦いに 備えております故にっ!?」
「そ、そうでございます 故に どこの国とも 事前に連絡を取り次いでから 移動魔法陣を開く形へと…っ」
レリアンが家臣Cへ向いて言う
「では、その為の連絡でもあったでしょう デネシアからの連絡が 私へ 届かなかったとはどう言う事です?」
家臣Cが衝撃を受け慌てて言う
「そ、それはっ …恐らく通信の手違いでも あったのではないかと…っ?王妃様への連絡を 我々が止めるような事などは け、決して…」
家臣Cが言葉を切って視線を逸らす レリアンが間を置いて ハレルトへ言う
「それで、ハレルト?兄が身動きの取れぬ状態と言うのは どう言う事なのです?」
家臣たちが慌てて 家臣Aが言う
「レリアン王妃様っ!?ここはアバロンです!正式に手続きを取らぬままに デネシア国の大臣殿と お話をされるのはっ!?」
家臣Bが言う
「そうですっ!特に内政に関わる事となれば 先ずはヴィクトール陛下へ御挨拶をして頂かなければっ!?」
レリアンが少し怒って言う
「お黙りなさい 私はハレルトへ 己の肉親の身の上を心配し 問うているのです このアバロンの内政には 何ら関わる事では有りませんっ」
家臣Cが慌てて言う
「し、しかし…」
ハレルトが言う
「ルーゼック陛下は毒に侵され 現在は身を起こす事も出来ぬ状態にあられます しかし、どうか御安心を お命の心配は御座いませんとの事です」
レリアンが一瞬驚いた後ホッとして言う
「そうですか… 命の心配が無いと言うのでしたら 一先ずは安心です しかし、あの兄がそれほどの状態に陥る毒と言うのは 一体どのようなものなのです?」
家臣たちが慌てる ハレルトが言う
「それが、どうやら 先代ローレシア国王の命を奪った毒と同じものであり あのベネテクト国の…」
家臣たちが視線を合わせて頷き 家臣Aが叫ぶ
「緊急事態ーっ!」
レリアンとハレルトが驚く 家臣Bが叫ぶ
「皆の者!直ちに戦闘配備に就けー!」
家臣Cが言う
「レリアン王妃様!どうか城内へ!」
アバロン兵たちが慌しく走り出す ヴィクトール13世が現れて言う
「何事だっ!?」
家臣Aがヴィクトール13世へ向いて言う
「ヴィクトール陛下!デネシアからハレルト殿が!」
家臣Bが言う
「レリアン王妃様へ デネシアやローレシアの情報を 申し伝えておられます!」
ヴィクトール13世がハレルトとレリアンへ顔を向ける レリアンが驚いて言う
「陛下!?ハレルトはただ 私の兄であるルーゼックの命を受け 一時的にデネシアの王の代理を務められないかと 私へ尋ねにやって来ただけです 何も疑わしい事などはございません」
ヴィクトール13世が表情を険しくして言う
「では 何故このような場所に?デネシアの王であるルーゼック殿の遣いとして参ったのであれば このアバロンの正面から入って来るのが常識 このような場所に手筈を踏まず現れるなど 疑うなと言う方が間違っている」
ヴィクトール13世が剣を引抜く ハレルトが驚き レリアンが慌てて言う
「陛下!?何をなさるおつもりです!?」
ヴィクトール13世がハレルトへ剣を向けて言う
「無論 捕らえる レリアン、お前は 退いていろ」
ハレルトが怯えて言う
「う…嘘ですっ ヴィクトール様は 私を殺そうとしておりますっ」
レリアンが驚き慌てて言う
「陛下っ!?このハレルトは デネシアの大切な先住民族ですっ その彼の命を奪おうなどとしておられるのですか!?彼ら先住民族には 私どもの嘘は通じません」
ヴィクトール13世が苦笑して言う
「そうか では、尚更 その者から離れるんだ レリアン 今お前をデネシアへ向かわせる訳には いかないのだ」
レリアンが言う
「ヴィクトール陛下…」
ハレルトが怯える ヴィクトール13世が近付く レリアンが考えた後、意を決してハレルトの手を引いて走り出して言う
「ハレルト!今すぐに私をデネシアへ連れて行って!」
ヴィクトール13世と家臣たちが驚き レリアンを追いながら ヴィクトール13世が言う
「待て!レリアン!」
ハレルトが驚いて手を引かれつつ言う
「わ、分かりました レリアン様!」
ハレルトがドラゴンへ変わり レリアンを背に乗せて飛び去る ヴィクトール13世が見上げる先 遠ざかって行くドラゴンとレリアンの姿へ怒りを押し殺して言う
「クッ…!」
ヴィクトール13世が バルコニーの手すりを殴る

【 デネシア城 城門前 】

ドラゴンが降り立つ レリアンが慣れた所作で飛び降りて 宝玉の欠片を使用してドラゴンの姿をハレルトへ変える ハレルトが心配そうに言う
「レリアン様…?宜しかったのですか?」
レリアンが言う
「ええ、ヴィクトール陛下は 今は少しご気分を害されて居られますが 本当はとてもお優しい方です きっと私と共にお前の事も お許し下さいます」
レリアンが微笑む ハレルトが呆気に取られていた状態から微笑んで言う
「はい、私にも ヴィクトール様のお優しさは分かりました それ故に 私へ剣を向けられた時にはとても驚いてしまいましたが… ヴィクトール様はレリアン様に 何か隠し事をなされて居られたご様子です こう言った時は…」
レリアンが困った様子で言う
「そうですね こう言った時は お傍を離れない事が良い事だと思います しかし、ヴィクトール陛下は 現在、とても多くの問題に直面されて居られます この様な時に デネシアの事でまで お手を煩わせる訳には参りません 従って、可能な限り迅速に 兄からの頼まれ事を済ませて 私はアバロンへ戻るつもりです …さぁ、中へ入り 詳しい話を聞かせて下さい」

城内

レリアンとハレルトの下へ デネシア兵が走って来て跪いて言う
「レリアン様 お帰りなさいませ 玉座の間にて ツヴァイザー国の勇者リーザロッテ殿が お待ちでございます」
レリアンが疑問して言う
「え?ツヴァイザーの勇者リーザロッテ… あの各国の先住民族を従えていると言う!?」
ハレルトが言う
「レリアン様、実は レリアン様をお連れしたのは そのツヴァイザー国の勇者リーザロッテ殿との お話をして頂きたいという事で ルーゼック陛下も かの者の事を御存知で居られました 従って元はルーゼック陛下ご自身が お会いすると申して居られたのですが キルビーグ様が動く事を禁じられまして それで」
レリアンが言う
「分かりました、このデネシアの先住民族まで 手中に収めようと言う事でしたら 兄に代わり 何としてもこの私が それを制して見せます」
デネシア兵とハレルトが礼をする レリアンが頷き玉座の間へ向かう

玉座の間

伝達の兵が言う
「レリアン様の御帰城です!」
玉座の間に居た リーザロッテたちが跪く レリアンが横を過ぎ玉座へ着く ハレルトがその横に立つと レリアンが言う
「お待たせしましたね」
リーザロッテが顔を上げて言う
「いいえ!私どもが勝手に参らせて頂きました!こちらこそ 急を有させてしまった事へ お詫び致しますわ!」
レリアンが微笑して言う
「それで?それほどに急ぎ このデネシアへお越しになられたと言う事は 相応に急ぎの用があったのでしょう 面倒な挨拶は抜きにして 用件を伺います」
リーザロッテが微笑んで言う
「ええ!流石は未来の レリアン皇后陛下ですわ!」
リーザロッテの仲間たちが衝撃を受ける レリアンが呆気に取られて言う
「え?皇后…?」
レイトが慌てて言う
「リ、リーザ様っ 20年後の情報は 可能な限り伏せる様にと 世界一のプログラマー殿からの お言葉が…っ」
シャルロッテが言う
「そ、そそそそれにっ この世界のアバロンがっ 帝国になってしまうのはっ き、きっと良くは無いのだとっ 思いますぅ!」
リーザロッテが後方の仲間たちを振り返った後 気を取り直して言う
「それでは 早速 用件の方を言わせて頂きますわ!」
レリアンが気を引き締めて言う
「ええ、お願い致します」

レリアンが言う
「では、貴方方は 各国の先住民族を仲間にしているのではなく あくまで、小さき国同士で力を合わせる事を 目的にしていると?」
リーザロッテが言う
「ええ!その通りですわ!この世界にある国は 3大国家だけでは無く ツヴァイザーやスプローニ、カイッズ そして、このデネシア どの国にも民と兵が居て 皆 同じ この世界と言う場所に生きて居るのですから!でしたら その小さき国々に住む私たちも 一団となって 闇の王や悪魔力に立ち向かうべきでしてよ!」
レリアンが言う
「しかし、最終的に目的とする事が この世界を脅かす それらの者との戦いだと言うのでしたら それこそ3大国家と呼ばれる3国と 力を合わせるべきでは有りませんか?」
リーザロッテが言う
「それらの大きな国は 大きな国であるからこそ行える戦いがありますわ そして、私たちは 小さく有るからこそ出来る事を行い 更に 小さき国同士で力を合わせる事で 3大国家にも負けない力と 団結を得られるはずでしてよ!」
レリアンが視線を僅かに落として言う
「…団結?」
リーザロッテが力強く言う
「ええ!今こそ我ら小さき国同士が力を合わせ!この世界に住む全ての命の為に!共に立ち上がる時でしてよー!おーほっほっほっほ!」
一瞬の沈黙が流れる ヴェインが小声で仲間たちへ言う
「ここはデネシア国であり 小さき国同士の一国ではあるが…」
ロイが言う
「…リーザの熱弁の相手は 3大国家の1つにして 更に帝国にまで上り詰める程の アバロンの王妃」
シャルロッテが苦笑して言う
「ちょ、ちょちょちょちょっとだけっ 微妙なお話にっ な、なっちゃってますね!?」
レイトが咳払いをする ヴェイン、ロイ、シャルロッテが焦る レリアンが言う
「分かりました、リーザロッテ王女 いえ、ツヴァイザーの勇者リーザロッテ」
皆が息を飲む リーザロッテが言う
「ではっ!レリアン王妃様!」
レリアンが微笑して言う
「このデネシア国も 貴方の力になる事を 約束いたしましょう」
リーザロッテの仲間たちが驚く リーザロッテが笑顔で言う
「有難うございます!レリアン王妃様!必ずや私が 小さき国々の力を1つに合わせ この世界を救ってみせますわ!」
レリアンが言う
「ええ、その代わり 1つだけ、絶対的な条件があります もし、それを受け入れては頂けないと仰るのでしたら 即刻、今しがたのお約束は無かった事とさせて頂きます」
リーザロッテの仲間たちが衝撃を受け ヴェインが焦って言う
「あ…あのっ アバロン帝国の皇后陛下にもなられる レリアン王妃様からの 絶対的条件とはっ!?」
ロイが言う
「…恐らく 俺たちには想像も出来ないような 緻密な策の上での条件となるだろう」
シャルロッテが慌てて言う
「さ、さささ最終的にっ 小さき国同士の力さえもっ アバロンの力に加えてしまうっ …な、なんて策だったら困りますねっ!?」
リーザロッテが強気に言う
「私に出来る事でしたら 何なりと仰って下さい!レリアン王妃様!」
レリアンが微笑する

【 アバロン城 玉座の間 】

伝達の兵が走って来て言う
「申し上げます!ツヴァイザーの勇者リーザロッテが レリアン王妃殿下の故郷 デネシア国の先住民族を 手中に収めました!」
家臣たちとヴィクトール13世が驚いて言う
「何だとっ!?」
伝達の兵が続けて言う
「更に デネシア国へ向かわれました レリアン王妃殿下から ヴィクトール陛下とアバロンの民へ向け 声明がっ!」
ヴィクトール13世が驚いて言う
「レリアンが 私とアバロンの民へ向け 声明!?」
伝達の兵が言い辛そうに言う
「は… はっ!そ、それが…」
ヴィクトール13世が強い視線で言う
「かまわん!伝えよ!」
伝達の兵が言う
「は、はっ!読み上げます!わ、『私、アバロンの王妃にして デネシアの王女であるレリアンは デネシアの勇者として 小さき国の勇者らと共に 世界を救う手助けを行います』との… 事です」
沈黙が流れる 家臣たちが顔を見合わせた後 ヴィクトール13世を見る ヴィクトール13世が間を置いて言う
「…デネシアの …勇者?」

【 ローレシア城 玉座の間 】

伝達の兵が走って来て言う
「申し上げます!デネシア国へ戻られた レリアン様が!ツヴァイザーの勇者リーザロッテと手を組み… デ、 デネシアの勇者様 となられました!」
キルビーグが呆気に取られた後 驚いて言う
「…な、何だとっ!?ルーゼック!すぐにレリアン殿へ連絡を!」
皆がルーゼックへ向く ルーゼックが呆れた様子で言う
「ああ… 放っておけ…」
皆が盛大に驚き キルビーグが叫ぶ
「ルーゼックっ!?何をのん気に構えなんだか!?いつものお前なら ここは一喝入れる所であろう!?見よ!彼らの様子を!皆、お前の一喝に 備えておるわ!」
キルビーグが指差す 周囲の者たちが耳を塞いでいる ルーゼックが呆れた後言う
「…それより、アバロンでウィザードの監視をしておった デネシアとローレシアの兵らとの連絡はどうなったのだ?私が休む事となった5日間の前にも 確認せよと申しておいた筈だが?」
皆が衝撃を受ける キルビーグが呆気に取られて言う
「レ… レリアン殿の デネシアの勇者の件は かまわなんだか?」
ルーゼックが言う
「ああ、それに関してはかまわなんだ あいつは今でこそ人並みの妃として しとやかにも見られる様なったが 幼い頃は誰よりもやんちゃで しょっちゅう竜族の者を嗾けては ドラゴンにし 自分を背に乗せ 大空を舞わせて遊んでおったわ… アバロンへ嫁いだからには もうあの様な事は無くなると思って居ったのだが… やはり変わらなんだな」
キルビーグが意外そうに言う
「あのレリアン王女が その様な…?それはとても意外では有ったが」
ルーゼックが改めて兵たちを見て言う
「それで、話は戻るが?」
兵たちが衝撃を受ける ルーゼックが怒りを忍ばせて言う
「アバロンでウィザードの監視をしておった デネシアとローレシアの兵らとの …奴らとの連絡は とっくに 取られておろうな?」
兵士たちが焦り 1人が言い辛そうに言う
「そ、それが… やはり アバロン国にて捕らえられている ウィザードの監視に就いております ローレシア、デネシアの両兵との連絡許可は 未だ… 頂けず…」
ルーゼックが叫ぶ
「馬鹿者っ!!奴らとの連絡を行うまではっ!意地でもローレシアへは戻るなと 申しておいたであろうっ!?」
兵士たちが慌てて言う
「も、申し訳有りませんっ!ルーゼック様っ!で、では…っ 今一度…っ」
兵士たちが出口へ向かおうとする ルーゼックが直ぐに言う
「待たぬか!!私は まだ 次の指示を出してはおらぬっ!」
兵士たちが立ち止まり恐る恐る振り返る

【 アバロン城 玉座の間 】

ヴィクトール13世が驚いている ルーゼックが言う
「私からの再三の引渡し要請を無視した挙句っ!デネシアとローレシア両国の監視兵との連絡さえも許さぬとはっ!これらは一体どう申す事なのかっ!?納得の行く説明を聞かせて貰えるのであろうなっ!?ヴィクトール13世殿!」
ヴィクトール13世が驚いていて困惑して言う
「確かに… あの毒を使ったと…っ 何故 生きている?」
ルーゼックが疑問して言う
「はぁ?何故生きているかだと?それは私に申して居るのか?」
ヴィクトール13世がハッとして言う
「あ、ああ 失礼 …聞いた話によると 貴公はローレシア国にて 曲者の刃を受け その際に 命を奪うほどの猛毒に侵された…と 噂では余命数日との事であったが まるでその話そのものが 嘘であったかの様だ」
ルーゼックが不満そうに言う
「ふんっ!嘘ではあらぬっ 確かに私は奴の剣を受け その際に命を奪うほどの毒に侵された しかも、その毒は過去に ローレシアの王が受け そして殺められたもののと同じであったとか また、それの解毒薬を作る事は とても難しく 長年のローレシアの研究でも 未だ 開発されてはおらなんだ …と、そんな訳で 後一歩の所で キルビーグの馬鹿者が このアバロンへ泣き付く所でもあったのだがな?」
ヴィクトール13世が言う
「あの毒の解毒薬は このアバロンでも作れない 恐らく他の国であっても難しいだろう だから例え 毒を手に入れる事は出来ても その解毒が不可能である限り あの、ベネテクト王家の毒を使用出来る者は やはり、解毒薬を持つ ベネテクトの王でしか無い」
ルーゼックが疑問して少し不機嫌に言う
「何を申すか?別に解毒薬など持たずとも そのベネテクト王家の毒を 間違って食らっても構わぬ者へ与え 使用させる事も可能で… うん?ベネテクト王家の毒だと?」
ルーゼックが一度黙って考える ヴィクトール13世が一瞬自分のミスに気付くが 平静を装って言う
「…貴公が先ほど言われた 先代ベネテクトの王 バーネット1世様がローレシアの王へ使用した毒は ベネテクト王家の毒であると 我がアバロンには記録されている しかし、先代ローレシアの王とは違い 貴公は無事命を取り留めた 恐らく良く似た 別の物であったのかもしれない そうでなければ 今、私の目の前に 貴公が居られるのは おかしいであろう?」
ルーゼックが間を置いて言う
「ふん、そうかもな?もっとも 今は済んだ話などは どうでも良いのだ 私が求めておるのは!」
ヴィクトール13世が言う
「分かっている こちらも闇の王や悪魔力への対策に追われ 貴公からの連絡へ返答が遅れた事を 謝罪しなければならないと思っていた所だ あのウィザードに関しては 貴公らにも納得の行く処置が取られる様 検討を進めている そして、もう間もなくその結果が示されるだろう 貴公の 自らの来城も踏まえ 早急に事を進めると約束する」
ルーゼックがムッとして言う
「私の言葉は 確かに常日頃から 本心が分かり辛いと言われるのだが 貴様はもう少し私の話を聞くべきだろう ヴィクトール殿?私は最初に間違い無く申した筈だ 貴様は デネシアとローレシア 両国の監視兵との連絡さえも許さぬと むしろ、今の私には その彼らとの連絡の方が重要だ 彼らはどちらも 私の国の兵だっ その奴らへ… 何やら致そうものなら ただでは済まさぬぞ!?」
場の空気が緊迫する ヴィクトール13世がそれを静めて言う
「ルーゼック殿?貴公はこのアバロンや私が デネシアやローレシアの監視兵らへ 危害を加えるのではないか 等とお考えなのか?もし、そうだと言うのなら それは友情と慈愛の国である このアバロンへの冒涜 …とは言え、確かに彼らへの連絡に対しても その返答が遅れたのは事実 従って 連絡の遅れに対しては詫び 今すぐにでも 彼らと会わせ 貴公の気を落ち着かせよう 今日の所は どうかそちらで納得をして頂きたい」

間もなく ヴィクトール13世の命により デネシア、ローレシアの監視兵が連れて来られる

監視兵たちの後方に 必要以上のアバロンの兵が立つ その厳戒態勢にルーゼックが怒りを押し殺す デネシアの監視兵が言う
「ルーゼック陛下…っ」
ローレシアの監視兵が言う
「申し訳ありません ルーゼック第二国王陛下 何の連絡も行えず…」
ルーゼックが言う
「それほどに衰弱した姿で 詫びなど申すな」
監視兵たちが周囲の様子を確認し 悔しそうに視線を落として言葉を飲む ルーゼックがヴィクトール13世へ向いて言う
「この2人には これ以上の監視は務まらぬ 別の兵と替えるか 監視兵の撤退を要求する」
ヴィクトール13世が言う
「あのウィザードの処理については 間もなく検討を終えるのだ 我がアバロンの名誉の為にも 引き続き彼らに 最後までその様子を監視して頂きたい」
ルーゼックが怒り言う
「おのれっ!何が 友情と慈愛の国か!?聞いて呆れるっ!」
周囲のアバロン兵が剣に手を掛ける デネシアの監視兵が慌てて言う
「ルーゼック陛下!我々は引き続き ウィザードの監視を行います!」
ローレシアの監視兵が続いて言う
「我らのたっての希望です!どうか お許しをっ!」
2人の監視兵が ルーゼックへ跪く ルーゼックが怒りを押し殺して言う
「…分かった ヴィクトール殿 この者たちが自ら行いたいと志願している 私は彼らの意思を尊重したい …御協力を頂けるだろうか?」
ヴィクトール13世が微笑して言う
「もちろんだ ルーゼック殿 我らアバロンも 彼らの協力が必要であると そう言った筈だ」
ルーゼックが言う
「確かにそうとあったが 1つ追加して貰うっ 彼らの身の保障を最優先に致すと申す事を!例え本来の目的である ウィザードの監視の任務が どうあろうとな?」
ヴィクトール13世が微笑して言う
「フッ… それこそ追加の必要も無い 我らアバロンの友情と慈愛に誓って」
ルーゼックが怒りを押し殺す

ルーゼックが玉座の間を出て行く 出入り口でヘクターとプログラマーにすれ違う ルーゼックとヘクターが一瞬目を合わせるが ルーゼックが無視する様に立ち去る ヘクターとプログラマーがその後ろ姿を見送り ヘクターが言う
「デス、今のは」
プログラマーが言う
「デネシア国の王にしてローレシア国の第二国王でもある ルーゼック・デネシアだ」
ヘクターが苦笑して言う
「ああ、レリアンの兄貴だよな?へぇ?こっちの世界ではローレシアの王様もやってるのか?…ヴィクトールに何の用だったんだろうな?」
プログラマーが言う
「確かな事は分かりかねるが 恐らく奴が再三に渡りアバロンへ要求している ウィザードの引渡しでは無いかと 推測される」
ヘクターが表情をしかめて言う
「じゃぁまた 俺とは喧嘩になっちまいそうだなー?ウィザードのデスは アバロンに閉じ込められてるだけでも 大変だってのに この上 他の国へ連れてかれて 何かされたんじゃ…」
プログラマーが言い辛そうに言う
「それもそうだが このアバロンでの投獄に置いても 奴の魔力はもはや限界だ 魔封じの鎖は放たれる魔力を封じるだけでは無く 奴の命を維持する為の 悪魔力の吸収すらも妨げてしまう」
ヘクターが言う
「なら、尚更だな?ヴィクトールにちゃんと話して 今度こそ解放してもらわねーと」
ヘクターがプログラマーと顔を見合わせ 玉座の間へ向かう

【 ベネテクト城 玉座の間 】

この世界のヘクターが 玉座に座るバーネット2世へ言う
「バーネット!今すぐアバロンへ戻って来いよ!お前はアバロンの慈愛の王なんだろ!?」
バーネット2世が言う
「はっはー 残念ながら そうじゃぁなかったみてぇだな?」
この世界のヘクターが驚いて言う
「そうじゃなかったって…?バーネット!こんな時に 自分はベネテクトの王だとか何とか 言ってねーで!今こそ アバロンの第二国王であるお前が!アバロンやヴィクトールを 助けに来てくれよ!?」
バーネット2世が口角を上げて言う
「俺はもう アバロンには戻らねぇ… アバロンの第二国王は辞めちまったし 元々俺はぁ そんな王位に就くモンじゃぁ無かったんだ」
この世界のヘクターが呆気にとられた後 怒って言う
「なら!ベネテクトの王としてでも良い!友好国のアバロンの危機に 力を貸してくれるんだろ!?」
バーネット2世が苦笑して言う
「ああ、俺はベネテクトの王だ だが ヘクター?悪ぃが俺は ガルバディアの王にもなっちまった」
この世界のヘクターとガルバディアの騎士が驚く バーネット2世が言う
「このベネテクト国は ガルバディアの第二国として ガルバディアの王である俺が 引き続き実権を持つ」
この世界のヘクターが呆気に取られた後 怒って言う
「な…!?なんだよそれっ!?バーネット!?お前!俺たちのアバロンやヴィクトールを捨てたのかっ!?ベネテクトは アバロンじゃなくて ガルバディアを選んだって事なのかよ!?」
バーネット2世が微笑して言う
「…ああ、そうだな?今のアバロンじゃぁ 闇の王にも悪魔力にも勝てやしねぇ… このベネテクトの民を守るには アバロンの力じゃ足りねぇんだよ?」
この世界のヘクターが驚き言葉を失う バーネット2世が苦笑して言う
「残念だが、そう言う事だヘクター ヴィクトールに頼まれてここへ来たんだったら さっさと戻ってあいつにハッキリ伝えてやれ てめぇじゃアバロンの国も民も守れねぇってよ?」
バーネット2世が立ち上がり ヘクターの横まで来て言う
「それから、てめぇらもとっとと この場所から離れやがれ もうすぐこのベネテクト城は 俺の手でぶっ壊される」
この世界のヘクターが驚いて言う
「ベネテクト城をぶっ壊すって 何でだよ!?」
バーネット2世が言う
「これからの戦いで 場合によっては ベネテクトの民をガルバディア城へ 避難させる必要があるかもしれねぇ そんな時 両国間の道を塞ぐような場所にある この城は避難の妨げになる この城じゃぁ ガルバディアの力も使い辛ぇしな… ガルバディア城はどの国の城よりも 頑丈で設備も整ってやがる 民の避難場所には最適だぜ」
バーネット2世が立ち去る この世界のヘクターが叫ぶ
「バーネット!!」
バーネット2世が振り返らずに言う
「早く避難しやがれよ?城の瓦礫に押しつぶされやがっても 知らねぇからなぁ?」
バーネット2世の姿が見え無くなる この世界のヘクターが立ち尽くす ガルバディアの騎士が隣に来て言う
「ヘクター、 ヴィクトール国王が連絡を待っている 早く戻らなければ」
この世界のヘクターが振り返って言う
「ヴィクトールが待ってる連絡は こんな連絡じゃねーだろ!?ベネテクトが… バーネットが!アバロンやヴィクトールを見捨てるなんて!俺にどう報告しろって言うんだよ!?」
ガルバディアの騎士が言う
「このベネテクトがアバロンから離れた以上 アバロンは早急に次の手を打たなければならない 良い報告以上に急いで伝える必要がある そして、お前がこの城の瓦礫に押し潰されるのも 相棒の私としては困る」
ガルバディアの騎士が先行して立ち去る この世界のヘクターが悔しさを押し殺し 一度顔を下げた後 ガルバディアの騎士を追う

ベネテクト国 道中

この世界のヘクターとガルバディアの騎士が アバロンへ向かっている 轟音が鳴り響き ヘクターが振り返った先 遠くに見えるベネテクト城が崩れて行く この世界のヘクターとガルバディアの騎士が その様子を見た後 この世界のヘクターが悔しそうに馬を急がせる ガルバディアの騎士が追う

【 アバロン城 玉座の間 門前 】

ヘクターが伝達の兵へ怒って言う
「ヴィクトールが俺との謁見を断るって!?なんでだよ!?」
伝達の兵が言う
「申し訳有りません 現在は闇の王や悪魔力 更に各国との抗争が勃発しております有事につき 国王への一般の方の謁見は中止されております」
ヘクターが疑問して言う
「あ!?俺のどこが 一般の方だってーんだ!?俺はこのアバロン3番隊!…じゃなかった アバロン傭兵隊の隊長ヘクターだぞ!?」

玉座の間

家臣たちが困った様子で言う
「ヴィクトール陛下、よろしいのですか?20年後の世界から戻られた ヘクター殿との謁見を禁じてしまうなどと…」
「あの者たちの力はとても大きく きっとこのアバロンの力となります」
「現在 ローレシアを始めとし 他の国が力を付けつつある中 万が一にも彼らがその他国へ付くような事になっては…」
ヴィクトール13世が言う
「彼の謁見内容は分かっている 彼もローレシアのルーゼックと同じく あのウィザードに関しての話だ そして、ルーゼックとは違い 彼はウィザードの釈放を求める 今は最悪の手段にも備える為 ヘクターや、その相棒と話す事は出来ない」
家臣たちが顔を見合わせ 家臣Aが言う
「ヴィクトール陛下?その…最悪の手段と申されるのは?」
家臣Bが言う
「最悪、あのウィザードを現状のまま デネシアやローレシアへ引き渡すと言う事でしょうか?」
家臣A、Bが顔を見合わせ首を傾げる 家臣Cが表情を困らせて言う
「陛下… 恐れながら…っ あの手段は、やはり使うべきでは無いと思われますっ 確かに様々な情報を隠すと共に アバロンの力を示す事にもなり得るやも知れませぬが… それでもっ」
ヴィクトール13世が視線を逸らして言う
「ああ 無論、私も その手段を取らずに済む事を願っている その為にも やはり彼の力を得たい… ベネテクトへ向かった ヘクターたちからの連絡はまだか?」
ヴィクトール13世の言葉に 兵たちが顔を見合わせた後 1人が言う
「ベネテクト国へ向かった ヘクター隊長と相棒殿からの連絡は まだ…」
兵の言葉の途中で 伝達の兵が走り込んで来て言う
「申し上げます!たった今 ベネテクト国にてバーネット2世国王の手により ベネテクト城が破壊されました!」
皆が驚き ヴィクトール13世が言う
「彼がベネテクト城を破壊しただと!?どう言う事だ!何か連絡は 届いて居ないのか!?」
別の伝達の兵が走り込んで来て言う
「申し上げます!ベネテクト国バーネット2世国王から ヴィクトール陛下へ連絡が入りました!内容は…!」
伝達の兵が連絡内容の書かれた紙を見て驚き 言葉を止める 家臣たちが顔を見合わせる ヴィクトール13世が言う
「伝えよっ!」
伝達の兵がハッとして 言う
「内容は!『今後ベネテクト国は ガルバディア国 新国王バーネット2世の下 ガルバディアの第二国として維持する』との事です!この内容は ベネテクト国王兼ガルバディア国王バーネット2世の署名で 全国の王へ伝えられました!」
ヴィクトール13世が驚いて言う
「バーネットが…っ ガルバディアの王にっ!?」
家臣たちが驚き顔を見合わせた後 ヴィクトール13世へ向いて言う
「ヴィクトール陛下!すぐにバーネット様へ通信連絡を!」
「これは何かの間違え… いえ!あのバーネット様の事です!何らかの策なのかもしれません!早急に確認を!」
「アバロンの第二国王である バーネット様が ガルバディアの王になるなどっ!そ、その様な事がある訳がっ!」
ヴィクトール13世が困惑したまま視線を下げて言う
「いや… 間違えでも策でも無い…っ バーネットは アバロンでは無くガルバディアを選んだんだっ 彼の愛するベネテクトの民を守るには 今のアバロンの力では足りないっ」
家臣たちが慌てて言う
「た、確かに 現在の我らアバロンは あの闇の王たちには敵いません しかし、それはガルバディアとて 同じ事っ!」
「そうです!アバロンもガルバディアも あの闇の王には敵いません!ですから きっと バーネット殿は…」
「おお!そうです!ヴィクトール陛下!バーネット様は ガルバディアとアバロンの その両方の力を得ようとしているのでは ありませんでしょうか!?」
ヴィクトール13世が家臣たちへ顔を向ける 家臣たちが頷きながらヴィクトール13世へ向く ヴィクトール13世がハッとして言う
「…そうかっ!バーネットは2つの国の力を使って ベネテクトの民を守ろうとしている… だが、その2つの国は ガルバディアとアバロンでは無いっ!」
家臣たちが驚き疑問する ヴィクトール13世が言う
「バーネットが選んだのは!ガルバディアとローレシアだ!」
家臣たちが驚いて家臣Aが言う
「そんなっ!?なぜその様な!?ガルバディアは今までも このアバロンと力を合わせて参りました!それは このアバロンにも残されている 両国の国印があわさった 剣と雷の印が 何よりの証拠です!」
家臣Bが言う
「そうですヴィクトール陛下!現にこのアバロン最強の大剣使い ヘクターの相棒であるのも ガルバディアの騎士です!我らアバロンは暗黙の内に ガルバディアとは手を組んで居るようなものです!」
ヴィクトール13世が言う
「ローレシアのラグハーンは ルーゼックを殺めるに当たり 私から渡されたベネテクト王家の毒を間違いなく使用した その事は アバロンの偵察の者が確認を取っている!…にも拘らず 奴は私の前に健全な姿で現れた 理由は簡単だ あの毒を解毒出来るのは ベネテクト王家唯一の生き残りであるバーネットだけっ!彼がガルバディアと共にローレシアの力を得る為に そのローレシアの第二国王である ルーゼックを助けたんだ!」
家臣たちが驚く 伝達の兵が言う
「アバロン傭兵隊隊長ヘクター殿と相棒殿が戻られました!」
ヴィクトール13世が言う
「通せ!」
この世界のヘクターとガルバディアの騎士が現れ この世界のヘクターがヴィクトール13世を見てから一度視線を落とし 周囲を見てから改めて視線を合わせて言う
「ヴィクトール… バーネットがガルバディアの王になった事は 知ってんだよな?」
ヴィクトール13世が言う
「ああ、既に本人が全国の王へ向け発表した… 彼には会えたのか?」
ガルバディアの騎士が言う
「ベネテクト国王にしてガルバディア国王となったバーネット2世は ベネテクトの民を守るには アバロンの力では足りないと ヘクターへ伝えた」
家臣たちが困惑して顔を見合わせる ヴィクトール13世が表情を険しくして言う
「だから、彼は ガルバディアの力を得たと?」
この世界のヘクターが視線を落として言う
「ヴィクトール… バーネットからの伝言だ 『てめぇじゃアバロンの国も民も守れねぇ』ってよ…」
家臣たちが驚く ヴィクトール13世が一瞬呆気に取られた後 怒りを押し殺して言う
「報告を有難う ヘクター 君たちは下がってくれて構わない」
この世界のヘクターが顔を上げ ヴィクトール13世へ言う
「あいつはきっと!ベネテクトの民を守る為に…っ!そうじゃなかったら お前やアバロンを見捨てたりなんか!」
ヴィクトール13世が怒って言う
「ベネテクト国を 我らアバロンの第二国から除名!共に、アバロン第二国王を このアバロンから 永久追放とする!」
皆が驚き この世界のヘクターが言う
「おいっ!ヴィクトール!良いのかよ!?そんな事したら!」
ヴィクトール13世が家臣Cへ向けて言う
「そして、あのウィザードへの処理も 最終決定を下す 我らアバロンはデネシア国、ローレシア国へ被害をもたらした 恐ろしき魔力の持ち主であるウィザードを有していた事を認めると共に それを闇の王らへ奪われ 両国並びに全世界への危機を招いた事を謝罪し 以後二度とこのような事にならぬ為にも かのウィザードを…っ!」

【 ローレシア城 玉座の間 】

ルーゼックが怒りながら言う
「ウィザードなど!もはや どうでも構わなんだっ!あの2人の監視兵を 一刻も早く奪還せなんだっ!よもや 監視内容に良からぬ事がある故に ヴィクトール13世は あやつらを解放出来なんだっ!例え、私がウィザードの事やら監視内容など どうでも良いから返せと申した所で 奴は返してはくれなんだっ!」
ルーゼックがイライラしながら考えている キルビーグが苦笑して言う
「だからと言って お前がアバロンの玉座の間で事を起こさなんで済んだのは 本当に良かった… かの監視兵らは 特級章誉者だなや?」
ルーゼックがキルビーグへ怒って言う
「馬鹿者っ!かの監視兵らが特級章誉者なのは あの衰弱した姿を見た瞬間に決まっていたも同然っ!しかも あれほどにやつれきった あやつらに この私が庇われるとはっ!ローレシアの第二国王などでなければ 私はあの場でとっくに剣を抜いておったわっ!そして 折角その奴らが助けてくれよったと申すのに のこのことローレシアへ帰り戻った私は このままでは 奴らを助ける事も ヴィクトール13世を叩き斬る事も出来なんだっ!」
ルーゼックがイライラしている キルビーグが苦笑して言う
「しかし、例え お前が彼らに面会した時点で ヴィクトール13世へ剣を抜いて飛び掛った所で 周囲を取り囲んで居ったアバロン兵らに 取り押さえられるか もしくは…」
ルーゼックが怒って言う
「分かっておるわっ!例え そのアバロン兵らを振り切って向かった所でっ!私では あのアバロンの大剣使いである ヴィクトール13世には 敵わなんだっ!」
キルビーグが苦笑して言う
「では、やはりお前も監視兵らも 最良の選択をしてお前の身をローレシアへ戻らせた であるからにして」
ルーゼックが怒りながら言う
「であるからにしてっ!一刻も早く 奴らを助け出す方法を 得なければならなんだっ!」
キルビーグが苦笑して言う
「うむ、分かって居るのなら良いのだが… お前のその様子を見ておると 今にもまたアバロンへ向かわんと ローレシアを飛び出して行ってしまいそうで 私は落ち着けられなんだぞ?」
ルーゼックが怒って言う
「馬鹿者がっ!折角あやつらが助けてくれた命を 何ら策も得ぬままに向かう筈が無かろうっ!」
キルビーグが言う
「では、彼らを助ける為にも 無茶はせなんだ誓ってくれるか?ルーゼック?」
ルーゼックがムッとして言う
「そなんだ事は 今更言うまでも無かろうっ!?貴様は私を誰だと思っておるか!?デネシアの王にして このローレシアの第二の王であるぞ!?無茶が許されるのなら とっくに1人でアバロンへ乗り込んでおるわっ!」
キルビーグが微笑して言う
「そうか、無茶はせなんだな?ならば その気のままに聞いてくれ ルーゼック アバロンから正式にあのウィザードの所有を認める声明がなされた それと共に ウィザードは元から闇の王らと関わる者であったと」
ルーゼックが驚いて言う
「元からだと!?では、ウィザードがあの少女に操られておったのではなく ウィザードが少女を捕らえ脅していたと申すのか?」
キルビーグが言う
「アバロンからの正式発表はこうだ ウィザードはガルバディアの騎士と同様にガルバディアからアバロンへ提供された者であり アバロンは友好国のガルバディアからの それらの者たちをアバロンの相棒として 信頼し受け取っていた しかし、それらの者たちは 闇の王ユダの手下であった 故に 闇の王がこの世界へやってきた事を機に ウィザードが 言い伝えにあった 北の2人の王を殺めると言う 当初からの目的を 開始したのだと」
ルーゼックが怒って言う
「馬鹿なっ!ならば何故 かのウィザードは 北の2人の王であるアバロンでは無く デネシアとローレシアを襲ったのだっ!?」
キルビーグが言う
「それに関しては アバロンは闇の王との戦いにおいての ウィザードの戦い方に不審を抱き 隠密に調査を開始した所 ガルバディアから提供されていた者たちの目的が その2人の王の暗殺である事を導き出した 故に 奴らをかく乱するために 北の2人の王はアバロンの友情と慈愛の王では無い事を示した所 ウィザードがアバロンの人質を得た上で ローレシアの2人の王を襲う結果になったと」
ルーゼックが疑問して言う
「では、結局ウィザードの狙いは 闇の王たちの天敵である 北の2人の王であり… そうとあらば デネシアとローレシアに加え アバロンさえ奴らの被害者であると申すのか?」
キルビーグが頷いて言う
「アバロンの言い分ではそうとなる そして、それを証明すると共に この世界の平和の為にも 闇の王の手下である ウィザードともう1人 ガルバディアから提供されていた ガルバディアの騎士 それら2人の者を 処刑すると」
ルーゼックが呆気に取られて言う
「処刑?あの… 友情と慈愛の国であった アバロンが それらの者たちを 刑に処すると申すのか?確かに、かのウィザードはデネシアとローレシアを襲い 怪我人は大いに出してくれたが 命を奪われた者はおらなんだ… 故に この私でさえ もはやあのウィザードに関しては もうどうでも良いとさえ… そ、それにっ!?あのヘクターの相棒である ガルバディアの騎士は 我らと共にウィザードと戦った!我らと目的は違わなんだが 奴らアバロンの者たちの目的であった 少女の奪還へ対する奴の戦い振りには 何ら不振はあらなんだった!にも関わらず アバロンはあの騎士さえも 殺すと申すのか!?」
キルビーグが言う
「アバロンからの発表に関して 各国は一応の理解を示した 嘘にせよ真にせよ アバロンからその2つの勢力が無くなってくれる事は アバロンとの平和協定を約束せなんだ 各国としては 闇の王との戦いの後に アバロンの力が失われておる事として 都合が良いからな?」
ルーゼックが表情を渋らせ視線を落として言う
「そ、それはそうではあるが…」
キルビーグが言う
「だが、アバロンから あの監視兵らの情報は 何ら出されてはおらなんだ」
ルーゼックがキルビーグへ向く キルビーグが言う
「もし、アバロンからのそれらの発表が 嘘であったなら 真実を知る彼らは 無事では居れまい?」
ルーゼックが怒って言う
「もしっ!その発表が真であるならっ!アバロンは自分たちと共に 真実を知る他国の監視兵の情報も 明るみに出し 事実の確固に用いるべきであるっ!」
キルビーグが頷いて言う
「そこで私は ローゼントに在する者の力を得る事にしたのだ かの者は過去と言う名の未来において たった一人で一国を制圧した事もあると言う …まぁ本人はその国が 他国の援軍だけで成り立っておった国であったが故に 成し遂げる事が出来たのだと 謙遜しておったがな?」
ルーゼックが驚いて言う
「あのローゼントに その様な強者がっ!?しかし、今回の相手は この世界で最も強い戦力を持つと言われて来たアバロン 他国の援軍で成り立つなど まるでシュレイザーの様な国の制圧が出来た程度の者では 到底手には負えぬぞ?」
玉座の間の入り口で騒がしくなる キルビーグとルーゼックが騒ぎに反応して顔を見合わせた後 キルビーグが言う
「何事か?」
衛兵が振り返り言い掛ける
「はっ!申し訳有りません 少々問題のある謁見者が現れ 現在確認を…っ あ!待てっ!」
衛兵の隙を突き ニーナが玉座の間へ駆け込む ルーゼックとキルビーグが驚く 衛兵が一度取り逃がした手を掛けてニーナを取り押さえる ニーナが叫ぶ
「おじさんっ!そこに居るの!?お願いっ!デスさんを助けて!」
衛兵がニーナを下がらせようとする ルーゼックが言う
「貴様はっ!あのウィザード使いの!?」
キルビーグが衛兵へ言う
「待て!その者の話を聞かせよ」
衛兵が返事をしてニーナから手を離す ニーナが衛兵の手を離れた瞬間にルーゼックへ向かって走り出す 衛兵が焦って再び捕らえようとする ニーナがハッキリ分かる床の段差に気付かず躓いて倒れる 衛兵の手が再び宙を掴む ニーナが顔を上げ床の様子を手探りで確認する ルーゼックとキルビーグが顔を見合わせた後 ルーゼックが言う
「何だ?貴様 目でも見えぬのか?」
ルーゼックが玉座を立ち ニーナの元へ向かう ニーナが近くに来たルーゼックに気付き ルーゼックの服を掴んで言う
「お願い助けて!デスさんは悪く無いの!私がお願いしたの!私が悪いの!」
衛兵がニーナの手を離そうとして言う
「こらっ 陛下に手を掛けるなっ」
ルーゼックが言う
「かまわぬ、それより小娘 貴様の言う そのデスさんとやらは もしや、あのウィザードの事か?奴は貴様をアバロンから連れ去り 貴様を脅した上で 我がデネシア国や このローレシアを威嚇させていたのではあらぬのか?」
ニーナが困って言う
「デスさんは何も悪くないの!全部私がやってってお願いしたの!デスさんは私を脅したりなんかしないの!」
ルーゼックが言う
「もし、貴様の申す通り 貴様の考えの上で あのウィザードが デネシアやローレシアを襲撃したと言うのであれば 極刑に処されるのは貴様の方だ 言葉は慎重に選べよ小娘」
ニーナが一度怯えるが改めて言う
「…でもっ 本当の事なの!私が考えて 私の意思でお願いしたの だからっ!デスさんが殺されちゃうなんて駄目なのっ!この世界のヴィクトール陛下は 私の大好きなヴィクトール陛下じゃないの…っ 友情の王様のヴィクトール陛下が ウィザードのデスさんや お父さんの相棒のデスさんを疑うなんて…っ そんな事 絶対しないの…」
ニーナが涙を流す ルーゼックが考えて言う
「友情の王様?アバロンの友情と慈愛の王とやらの事か あのヴィクトール13世が友情を司る王であったのなら 第二国王とされたバーネット2世が慈愛の王か…」
キルビーグが言う
「バーネット2世は 確かに民を愛するベネテクトの王であったが 現在はガルバディアの王となった ベネテクトが正式にガルバディアの領地とされた以上 かの者が 再びアバロンの第二国王へ戻ると言うのは 考えにくいな」
ルーゼックが言う
「当初は奴がガルバディアの王となる事で アバロンへの加勢を行うのでは無いかとも考えていたが… ガルバディアからの援軍であったであろう ウィザードやガルバディアの騎士を処刑致すと放った以上 両国の友好は無くなるだろう」
キルビーグが言う
「アバロンは他国への証明の為にも かの者らの処刑は公開で行うとの事だ このローレシアは勿論 他国からも確認の者は送られる筈… そして、アバロンは これまで 罪人へ対しても処刑は行わぬ国であった 故に 替え玉として用意出来る者もおらぬ… そもそも双方とも替えが利く様な姿ではあらぬしな?」
ルーゼックが言う
「では、ガルバディアの騎士は 相棒であるヘクターが助けるにしても もう1人のウィザードを助けるには 他国の者たちも含めた それら多くの目前で 我らが動く事となろう?それでは 他国へ対し我らローレシアの方が 闇の王と関わる者であると申してしまう様なものぞ」
キルビーグが考えてから言う
「うむ… うん?それならルーゼック?お前が もう一度 かのウィザードの引渡しを要求してはどうだ?」
ルーゼックが疑問する キルビーグが微笑して言う
「いかにアバロンが自国の損失を被った上で行動を行うとあっても ウィザードの引渡しは当初から被害国の王である お前が行っていた事 それを果たさずして お前からの正式な委任状も無しに アバロンが、かの者へ極刑を執行する事は 許されぬだろう?」
ルーゼックが微笑して言う
「そうだったなっ!監視兵らとの連絡と共に ウィザードの引渡しも 当初から我らローレシアが行っていた事!故に、ウィザードへの刑が定められた事へ対する 後からの対処とは取られぬか!」
ルーゼックが命じる
「直ちに全国へ通達せよ 我らローレシアは アバロンの処刑処置へ反対し!ウィザードの引渡しを 再度要求する!」
兵が返事をして立ち去る ニーナが表情を明るめ ルーゼックへ向いて言う
「おじさん!有難うなのー!」
ルーゼックが衝撃を受け 怒って言う
「貴様はいい加減 その呼び方を 改めぬかっ!!」
キルビーグが苦笑する

【 アバロン城 玉座の間 】

ヴィクトール13世が驚いて言う
「何故だっ!?ウィザードとガルバディアの騎士 この2つの大きな力がアバロンから失われる事は アバロン以外の どの国へ対しても優位な筈!例えウィザードの引渡しが行われ無いとは言え アバロンを一番の敵と考えるローレシアが それを否定する等とは考えられない!」
家臣が言う
「しかし、ローレシアからの この声明には あのルーゼック第二国王だけでなく キルビーグ第一国王の署名も入っております」
「今までも無視を続けていた上 ここへ来て両国王の署名が入った この要求を無視する事は アバロンに取って不利になります」
「こうなってしまっては他国も恐らく アバロン所有のウィザードの再調査も含め ローレシアの声明を後押しするものと思われます」
ヴィクトール13世が怒りを押し殺して言う
「ウィザードの所有を正式に認めた以上 もはや奴をローレシアへ引き渡す事などどうでも良い それよりも 得られるはずであった 各国からの信頼と力が得られぬ状態で ガルバディアやローレシアを敵に回す事になってしまうとは…っ」
家臣たちか顔を見合わせた後 家臣Aが言う
「ヴィクトール陛下、あのウィザードをアバロンが有していた事も勿論ですが あのウィザードが闇の王らの仲間である事は 我らアバロンがこじ付けた事です ローレシアでの再調査で その嘘が明るみにされる様な事になっては…」
家臣Bが家臣Aへ言う
「それは我らが何も申さねば 明かされる事はないじゃろう?何処にもそれらの資料は存在せぬのじゃから」
家臣Cが家臣Bへ言う
「いや、あの監視兵らは ウィザードがその様な事を申さなかった事実を知っておる ウィザードを渡すのに 彼らを返さぬと言う事は出来ぬじゃろう?」
ヴィクトール13世が言う
「…あの監視兵らは ウィザードを護送する際に 手違いで自由を得たウィザードに 殺されてしまった事にしろ」
家臣たちが驚く ヴィクトール13世が言う
「ルーゼックはあの監視兵らの事を強く思っていた 奴らが殺されたとなれば ローレシアに護送された後にでも 仇を討とうとするだろう… それを我らアバロンが了承してやれば良い」
家臣たちが困って言う
「し、しかし陛下…」
「我らアバロンは 友情と慈愛の国ですっ」
「そうです 陛下…っ 今までも彼らには多くの苦労を掛けてしまいました ここへ来て その彼らを と言うのは…」
ヴィクトール13世が言う
「元々 奴らが生きて国へ帰る事となれば 我らにとって不利な事を言われる事は覚悟していた ここへ来て その心配が全て払拭されるのは こちらにとっても都合が良い… ガルバディアがローレシアと手を組もうとするのを 抑制する事にも役立つだろう ガルバディアから提供されたウィザードが 闇の王と関わっていただけでは無く 何の罪も無い他国の監視兵を殺してしまうのだ ローレシア以外の国へ対しても ガルバディアへの不信を得るのに役立つ」
家臣たちが顔を見合わせて困る ヴィクトール13世が言う
「すぐに取り掛かれ 他国へ対しても 我らアバロンがローレシアからの依頼に 迅速に答えようとする姿勢を見せろ」
家臣たちが困る ヴィクトール13世が強い視線を送る 家臣たちが怯えて立ち去る

ヘクターの家

この世界のヘクターが怒って言う
「デスが あの闇の王の部下だったんなら!とっくに この俺を殺せてたんだ!デスの力なら アバロン傭兵隊を皆殺しにする事だって出来るんだぜ!?けど!デスは絶対に そんな事はしねー!俺たちはずっと一緒に居た 俺はデスを信じてんだよ!」
ヘクターが微笑して言う
「俺も信じてるぜ?なんてったって あのウィザードのデスは俺の兄貴で 今までだって ずっと俺たちと一緒に戦って来たんだ …ついでに こっちのデスが その気になれば 国1つを丸々ぶっ潰せるんだ もし、闇の王の配下だったなら アバロンはとっくにぶっ潰されてたんだ」
ガルバディアの騎士が言う
「闇の王の目的は アバロンを潰す事やこの世界の者を殺す事では 無かったのではないか?これではまるで…?」
プログラマーが言う
「このアバロンの王が 人命を奪う 悪の王 …と言った様子だな?」
この世界のヘクターとヘクターが 自分の相棒へ向いて言う
「「その前にデスの心配はしねーのかよ!?」」
ガルバディアの騎士が この世界のヘクターへ向いて言う
「私はお前の相棒だ 今更、他者の相棒になるつもりは無い そして、私はアバロンの決定に逃げも隠れも するつもりはない」
プログラマーが言う
「私はあのウィザードが ガルバディアへ送られて来てからの事を ほぼ全て知っている その私から見て 奴が元から闇の王の配下であったとは 考えられ無い ニーナと共にソルベキアへ向かった時に何かあったと言う事は考えられるが… 今はそれよりも 一度でも会って話をする必要がある その為にもローレシアの声明は丁度良かった」
ヘクターが言う
「今回はローレシアに味方するって事になりそうだな?アバロンを裏切るつもりはねーけど… そうも言ってられねーしな?」
ヘクターが家から出て行こうとする この世界のヘクターが呼び止めて言う
「おいっ!何処に行く気だよ!?」
ヘクターが振り返って言う
「アバロンじゃウィザードのデスとは会えねーんだ けど ローレシアへ行った後なら会わせて貰えるかも知れねーだろ?今の内に頼みに行こうと思ってよ あいつがローレシアへ送られた後じゃ アバロンの関係者である俺と ローレシアの国王との謁見も 許されねーかもしれねーから 先に行っとかねーと」
この世界のヘクターが視線を落とす プログラマーが言う
「まさか仲間を守る為の その力を貸してくれるのが 友情と慈愛の国アバロンの一番のライバルであったローレシアになるとは 思いもしなかったな?」
ヘクターが言う
「ああ、ローレシアには勇者の手伝いに行くことはあっても 手伝いを頼みに行く事になるなんて 思いもしなかったぜ」
家を出たプログラマーが目の前の人物に気付き固まる 続いて出てきたヘクターがデスの状態に疑問する プログラマーの目の前に ローブに身を隠し佇んでいた ルーゼックが言う
「まさか ウィザード使いの少女の父親が このアバロンの一番の力… 傭兵隊長ヘクターであったとは 私も思いもしなかったと言うものだ」
ヘクターがルーゼックの顔を覗き込んで言う
「おー!丁度良かった!俺らはお前らに会いに行く所だったんだぜ!?ルーゼッ…!」
ルーゼックが慌ててヘクターの口を押さえて言う
「ばっ馬鹿者がっ!明らかに素性を隠しておる この姿を見て その名を呼ぶでないっ!」
同じくローブに身を隠したニーナが笑顔で言う
「そうなのー!おじさんと私は今内緒でアバロンに居るのー!だから名前を呼んでは駄目なのー!」
ルーゼックが衝撃を受け 怒りを押し殺して言う
「小娘っ!今だけは その呼び方を許してやるがっ いい加減次に会う時には直さんと ただでは済まさんからなっ!?」
ニーナが首を傾げる ヘクターが呆気に取られた後ニーナを抱き締める ニーナが驚いた後ヘクターに抱き付いて言う
「お父さん… ごめんなさいなの 私のせいで ウィザードのデスさんが…」
ヘクターが苦笑して言う
「お前のせいじゃねーよ、大丈夫だ あいつは俺たちが助ける… 当ったりめーだろ?あいつは俺の兄貴で 俺たちの仲間だ」
プログラマーが言う
「ローレシアからの声明の理由は 彼女だったのか?ローレシアやデネシアが いつの間にそれほど慈愛深い国になった?」
ルーゼックが言う
「勘違いをするな その娘は我らの策へ利用させて貰っただけだ 我らはアバロンに捕らえられている デネシアとローレシアの兵を助ける為に 声明を出した」
プログラマーが言う
「デネシアとローレシアの兵… ウィザードの監視を行っていた者たちの事か?」
ルーゼックが僅かに反応して言う
「『行っていた』とはどう言う意味だ?まるで現在は行っては おらぬ様な言い方であるな?」
プログラマーが間を置いて言う
「アバロンはウィザードをローレシアへ護送する為の作業を 既に開始している そして… その者たちへの処理も ヴィクトール国王から アバロン傭兵隊副隊長レクターへと下されている」
ルーゼックとヘクターが驚く

【 アバロン城 地下牢 】

レクターが首を傾げて言う
「うーん… ヴィクトール国王、私が思うに やっぱり友情と慈愛の国アバロンが 例え大切な他国の王様からの了承を得ているとあっても その大切な他国の兵を 殺めるのは いけねーんじゃねーかと 私は思うのだが…?」
ヴィクトール13世が言う
「奴らは 我らアバロンへ 多大な危害を与えかねない 最も危険な者たちだ 奴らが生きていては 我らアバロンは今後 この世界において致命的な被害を受ける可能性がある 命令だ、レクター 奴らを始末しろ」
レクターが考え苦笑して言う
「私は難しい事を考えるのは好きじゃない ついでに 無抵抗な奴をぶっ倒す事も好きじゃねーんだ やるんだったら正々堂々と正面からやりたい ヴィクトール国王 奴らの拘束を全部外してくれ 私は逃がしはしない」
ヴィクトール13世が言う
「レクター、私は命令だと言った筈だ お前は国王の命に反するのか?お前の弟であるヘクターは 自分の相棒であったガルバディアの騎士を処刑しなければならない それに引き換えお前は 何の関係も無い者を処すれば良いのだ 優遇を得ている以上 迅速に行え」
レクターが困った様子で首を傾げる 地下牢への出入り口で騒ぎが起きる ヴィクトール13世とレクターが顔を向ける 間もなくして アバロン兵が数人倒された状態で階段から落ちて来る ヴィクトール13世とレクターが驚く ルーゼックが駆け込んで来て叫ぶ
「ヴィクトール13世っ!我が兵を殺めようとは 許せんっ!」
ヴィクトール13世がハッとして言う
「ルーゼック!?何故ここにっ!?」
ルーゼックがヴィクトール13世へ剣を振るう ヴィクトール13世が咄嗟に剣を抜き ルーゼックの剣を防ぐ レクターが疑問する ヘクターとプログラマーがやって来て ヘクターが言う
「デス!あの牢の中に居る奴らか!?」
プログラマーが言う
「ああ、彼らが デネシアとローレシアの兵だ」
ヘクターが牢の中へ入って 2人の兵の拘束を外す 2人の兵が驚いて言う
「何故アバロンの兵が我らを!?」
「それに このような場所に ルーゼック陛下まで!?」
プログラマーが言う
「我らはアバロンの関係者ではあるが 現在はルーゼック国王との取引の上 お前たちを救い出す行動へ協力している …歩けるか?」
ヘクターが2人の兵を助け起こす ルーゼックがヴィクトール13世の剣に弾かれ倒れる 2人の兵がハッとして叫ぶ
「「ルーゼック様っ!」」
ヴィクトール13世がルーゼックへ剣を振り下ろす 2人の兵士の片方がルーゼックへソードバリアを掛ける ヴィクトール13世の剣が弾かれる ルーゼックが一瞬驚いた後 再び構え ヴィクトール13世へ剣を振り下ろす 兵のもう片方がルーゼックの剣を魔法剣にする ヴィクトール13世が驚きつつ ルーゼックの剣を受け止め 威力の強さに言う
「ク…ッ!これが魔法剣…っ」
プログラマーがハッとして見えない援軍の様子に気付いて言う
「ルーゼック国王!目標は確保した 援軍が集まりつつある 撤収を!」
ヘクターとプログラマーが2人の兵を誘導する ルーゼックが舌打ちをして言う
「命拾いをしたな ヴィクトール13世 次の時は こうは行かぬぞ 精々自国の兵との友情とやらを 確認して置く事だ」
ルーゼックが苦笑した後 ヘクターたちと共に撤収する ヴィクトール13世が歯噛みして 彼らの背を見送ってから レクターへ振り返って叫ぶ
「レクター!何故、私の援護をしなかったっ!?」
レクターが呆気に取られてから 照れて言う
「ああ、私は あっちの国王の方が好きだ!だからお前の援護はしなかった!」
ヴィクトール13世が呆気に取られた後 怒って叫ぶ
「レクター!お前も私を裏切るのか!!」
レクターが首を傾げて不満そうに言う
「裏切ったのは お前の方だ ヴィクトール国王 アバロンの友情の王であるお前が あのような事をするのは 私は好きでは無い」
レクターがその場を立ち去ろうと背を向ける ヴィクトール13世が怒って言う
「レクター!国王への反逆は 国外追放だぞ!先ほどの命令拒否と 今の言葉を謝罪しないのなら!」
レクターが振り返り笑顔で言う
「私をアバロンから追い出そうと言うのなら お前もこのアバロンの大剣使いとして 正々堂々と正面から私に向かって来ると良い その上で私を倒したのなら 私は追放されてやる」
レクターが立ち去る ヴィクトール13世が悔しさを堪えて息を吐き 剣を鞘へ収めて階段へ向かう

地上階

ヴィクトール13世が地下牢からの階段を上がって来る アバロン1、2番隊隊長が駆け付けて来て 跪いて言う
「ヴィクトール陛下!申し訳有りませんっ!20年後のヘクターとその相棒 更に 正体不明の賊と他国の兵士2人を 取り逃がしました!」
ヴィクトール13世が怒って言う
「アバロン1、2番隊が集まっておきながら!何たる醜態だ!?直ちに20年後のヘクターとその仲間たちを捕らえよ!共に 傭兵隊隊長ヘクターとその相棒を徴集しろ!予定通り ガルバディアの騎士の処刑を執行する!」
1、2番隊隊長が返事をして立ち去る

【 ソルベキア城 機械室 】

モニターを見上げているシリウスが苦笑して言う
「おーおー?ったく しょうもねぇ友情の王様じゃねぇかぁ?え?ユダさんよぉ?」
シリウスが振り返る テーブルに突っ伏しているユダが顔を上げる 一瞬、間を置いてから 泣きながら叫ぶ
「酷いよシリウス!元を正せば 君が僕を捨てて ガルバディアの王様になんか なっちゃうからーーっ!」
シリウスが苦笑して言う
「はっはー 良く言うぜぇ?もっと元を正しちまえば てめぇがユダ野郎だったのが 悪ぃんじゃねぇか?」
バッツスクロイツが言う
「えー?そーなのかなー?俺っちが思うにー?もし バーネっちが ヴィクトールっちでも?やーぱり ユダっちになっちゃってたと 思うんだけどなー?」
シリウスが衝撃を受ける ユダが泣きながら怒って言う
「そーだよ?シリウスっ?君だってツヴァイザーの時に 僕やアバロンを捨てて ベネテクトの民の所に行っちゃったんだから!きっと シリウスっちだって ユダっちになっちゃうに 決まってるんだよ?シリウス?」
シリウスが怒って言う
「るせぇええ!てめぇえは 泣くんだか 怒るんだか 鈍臭ぇえバッツスクロイツになり掛けやがるんだか どれかにしやがれ!」
バッツスクロイツが操作盤を操作しながら言う
「泣くんだか 怒るんだか 俺っちになり掛けても良いけどさ?それはそうと?お2人さんも?そろそろ行ーかなくってー?良いのかなー?」
シリウスが苦笑して言う
「ハッ!しょうがねぇ こっちの世界のアバロンも 俺らが救いに行ってやるかぁ?」

【 ローレシア国 玉座の間 】

ルーゼックが怒って言う
「ヴィクトール13世が ガルバディアの騎士だけの処刑を 決行するだとっ!?何故 その様な無駄な事を 致す必要があるのだっ!?」
キルビーグが言う
「恐らく 自分たちが示した ウィザードとガルバディアの騎士に対する罪状を固める為だろう 今アバロンが何もせずに 我らローレシアからウィザードの検証を待つ様では 他国に対しアバロンの申した事への信憑性が弱まる 従って 我らが何かを申す前に刑を執行致せば 例えウィザードが無罪になろうとも アバロンは自分たちの申した事を 多少でも固持する事が出来る」
プログラマーが言う
「それと共に、アバロンの国内事情にも繋がっている ヴィクトール国王は現在 己がアバロンの王として窮地に立たされている事を悟っているはずだ ルーゼック国王と共に我々が監視兵らの救出へ向かった際 ヴィクトール国王への応援に駆け付けたのは アバロン1番隊と2番隊… アバロンの危機にどんな時でも一番に駆け付ける 傭兵隊の援護は無かった この事は傭兵隊を始めとするアバロン3番隊以降の兵士らが ヴィクトール国王への思いを揺るがせ始めた証拠」
ヘクターが言う
「アバロン1番隊と2番隊は 何がどうなったって アバロンの王の命令に従うんだ それがあいつ等の信念だからな?命令の内容は何だって良いんだぜ 俺が一番気に入らねー部隊だけど まぁあいつらも 好きでやってる訳じゃねーらしいんだよな?」
ルーゼックが言う
「では、ヴィクトール13世は ガルバディアの騎士を処刑致す事で アバロンの兵からの信頼を取り戻そうなどと申すのか?」
プログラマーが言う
「彼の処刑を行うのは 傭兵隊隊長ヘクター アバロンに置いて一番の力を持つ兵であり この世界において 旧世界を救う勇者として有力視されていた者 その彼を使い 彼の相棒であった者を処刑させる… これが成功すれば ヴィクトール国王がヘクターよりも上の存在である事を アバロンの民へ知らしめる事になるだろう」
ヘクターが怒って言う
「俺が お前を処刑するなんて!例え俺たちのアバロンの王である ヴィクトールの命令だって ぜってーやらねーよ!」
プログラマーが苦笑して言う
「それは、私と共に この世界の私も知っているだろう …故に きっと様々な事を言っては お前を困らせている筈だ アバロンの為、お前の家族の為 傭兵隊の為… お前は刑を執行するべきなのだ とな?」
ルーゼックが言う
「まるで 言い変える所 国の為、民の為 兵の為 と言った様子であるな?」
キルビーグが苦笑して言う
「はっはっは… 国王より民に信頼されている上に それだけの事を考えるのなら いっそアバロンの王座を奪ってしまえば 良いのでは無いか?」
ヘクターが呆気に取られて言う
「あぁ?な、何言ってんだよ!?アバロンの王座を奪うって… アバロンは俺たちの国だ 奪うんじゃなくて 守るものだぜ!」
プログラマーが言う
「そのお前が守るべきアバロンは 今、ヴィクトール国王に潰されそうになっている… そして、お前は ヴィクトール国王の命に応じなければ 家族や傭兵隊と共に国をも追われる事となる この世界のお前は どうするのだろうな?」
ヘクターが困って言う
「どうって… お、俺は 頭で考えるのは苦手なんだ!お前みてーに あーしたらこーなるとかって そー言うのは分かんねーよ!?俺はいつだって アバロンの国もアバロンの民も俺の相棒も 全部助けたいって思うけど その方法を教えてくれるのは アバロンの王であった ヴィクトールじゃねーか!?」
ルーゼックが言う
「ふんっ では、唯一 貴様が守りたい それら全てを守る方法が 国王であるヴィクトール13世を討つ事だとすればどうする?その為には アバロン1番隊2番隊の両部隊と戦う事となるが 貴様らの力で それが成し遂げられるのかどうか…」
プログラマーが言う
「現状 この世界のヘクターと相棒 そして ここに居るヘクターと私の4人でアバロンの全部隊に守られるヴィクトール国王を討つと言うのは難しい 今から行動を開始するのでは 傭兵隊の者たちを説得するのも間に合わないだろう 例え、戦いの手を弱める程度の協力を得られても それ以上の事は出来ない筈… あのウィザードが健全な状態であれば 可能性は十分にありえたのだがな」
声が聞こえる
「それなら 私と相棒 そして… 隊員Aが協力しよう」
ヘクターが驚き振り返る ヴェルアロンスライツァーとロキ、ロスラグが現れる ロスラグが焦ってヴェルアロンスライツァーへ言う
「ヴェルアロンスライツァー副隊長っ!折角良い所だったッスのに!何でまた俺が 隊員Aに降格しちゃってるッスか!?」
ヴェルアロンスライツァーが苦笑して言う
「ああ、それは ヘクターにも分かりやすい様にと思ってな?」
ヘクターが言う
「あぁ!?な、何で ヴェルとロキが ローレシアに居るんだよっ!?」
ロスラグが怒って言う
「あー!折角ヴェルアロンスライツァー副隊長が 俺の事を分かりやすく呼んでくれたッスのに!何で 俺の名前は入ってないッスか!?ヘクター!」
ロキが言う
「…それは恐らく 卿が俺たちに とりあえず付いて来る存在だと 思われているからであろう」
ロスラグが首を傾げて言う
「とりあえず付いて来る存在?うーん…?それじゃ 俺はロキ隊長とヴェルアロンスライツァー副隊長の2人が居れば 絶対に付いて来る存在って事ッスね!?それなら俺は 呼ばれなくっても やっぱり居るって事ッス!」
ロスラグが笑顔になる キルビーグが言う
「本来はデネシアとローレシアの監視兵らを助け出す作戦に協力して貰う予定で このローレシアに呼び寄せていたのだが 急遽別の案を起用した為 作戦失敗時に備え 一応、留まらせておったのだが…」
ルーゼックが苦笑して言う
「その奴らが ここへ来て ヘクターの仲間であったとはな… 国の民や兵からの信頼の上 他国からも強力な援軍を得られるとあっては いよいよ現アバロンの王 ヴィクトール13世の終わりが見えてきよったわ」
キルビーグが苦笑して言う
「その代わり 新たな王となるやもしれぬ 彼らは ヴィクトール13世よりも手ごわき者となろうぞ?ルーゼック?」
ルーゼックが微笑して言う
「ふんっ 望む所だ 自国の兵に愛想を尽かされた ヴィクトール13世など 今更討ち取った所で 勝利の気分も晴れぬと言うもの!アバロンが元の力を有する 強き国へと戻った時こそ 我らローレシアが全力を持って討ち取ってやる時ぞ!」

【 アバロン国 城門前 公開処刑場 】

ヴィクトール13世を始め 他国の者を含めた 多くの人々の見つめる中心に ガルバディアの騎士が機械鎧を収納させた状態で拘束されている アバロンの兵が ガルバディアの騎士の罪状を読み上げる
「…これらの事実から 現在ローレシアへ送られているウィザードと共に ガルバディアからこのアバロンへ提供されていた 人知を超えた強力な力を持つ ガルバディアの騎士を 世界を脅かす闇の王の仲間として 我らアバロンは この世界の平和と共存の為 かの者を処刑する そして、ローレシアへ送られたウィザードへも 早急な処置を執り行なう事を要求すると共に かの者に先立ち 我らアバロンは本日 一刻も早い世界の平和と共存の実現の為 闇の王らの手先である ガルバディアの騎士を処する」
アバロンの兵が下がる この世界のヘクターが ガルバディアの騎士の前に立つ この世界のヘクターとガルバディアの騎士が目を合わせる この世界のヘクターが悔しそうに視線を落として言う
「…やっぱ出来ねーよ お前は俺の相棒だ 俺の守りたい仲間の1人だ そのお前を俺が殺しちまうなんて そんな事…」
ガルバディアの騎士が言う
「ヘクター アバロンを守る事が出来るのは お前だ アバロンが他国との繋がりを失ってしまっては お前の守りたいものが全て守れ無くなってしまう お前が守るべき家族や 仲間である傭兵隊の皆を他国から守る為に 今はこのアバロンを 守らなければならない」
この世界のヘクターが怒って言う
「だからっ!俺の守りてーのは それだけじゃねーんだっ!俺と一緒に 同じ目的の為に 力を合わせて戦って来た… 相棒のお前を守らなくてどーすんだよっ!?」
ガルバディアの騎士が微笑して言う
「私は、お前と共に 同じ目的の為に戦うと言った そして、今 私はその目的の為にお前に処刑される… 私はお前の相棒として お前と同じ目的を果たせるのであれば 満足だ」
この世界のヘクターが怒って言う
「お前は満足でもっ!俺は全然満足じゃねーよ!お前がいなくなっちまったら 俺はっ!?」
ガルバディアの騎士が言う
「ヘクター、私の命の時は もう間もなく終る 例えここで、お前が私を生かしたとしても 私の命は後 数ヶ月も持たないのだ」
この世界のヘクターが呆気に取られる ガルバディアの騎士が言う
「これは嘘では無い 我らガルバディアの民の命の時は短い この前ガルバディアへ行った時に確認した」
この世界のヘクターが呆気に取られたまま言う
「そんな… なんで今まで…!?」
ガルバディアの騎士が微笑して言う
「私はお前に感謝している そして今、その恩を返す事も出来る 私はそれを嬉しく思う」
この世界のヘクターが呆気に取られる ガルバディアの騎士が続けて言う
「私の最後の願いだヘクター 最後までお前の力とならせて欲しい」
この世界のヘクターが悔しさに歯を食いしばり 強く目を閉じて 剣を抜き ガルバディアの騎士へ向いて構えてから再び視線を合わせる 視線の先 ガルバディアの騎士が微笑して言う
「有難う 私の相棒 ヘクター」
ガルバディアの騎士が目を閉じる 周囲の人々が息を飲む ヴィクトール13世が僅かに動揺する 家臣たちがヴィクトール13世へ向く この世界のヘクターが剣を振り上げ 間を置いて振り下ろす 傭兵隊の隊員たちが思わず踏み出す ガルバディアの騎士が自身に振り下ろされた 剣の斬る風を感じて 閉じていた目を強める …続いて止まった空気に疑問して目を開く この世界のヘクターが止めていた剣を外して言う
「出来ねーよ…」
ガルバディアの騎士が呆気に取られて この世界のヘクターへ向いて言う
「ヘクター」
この世界のヘクターが微笑して言う
「デス、最後まで… 俺と一緒に戦ってくれ?俺の守りたいものの為に… 俺の相棒である お前も含めて… 全てをっ 全部 守る為に!」
この世界のヘクターが ガルバディアの騎士の拘束を斬り捨てる 皆が驚く この世界のヘクターが ヴィクトール13世へ剣を向けて言う
「ヴィクトール!アバロンを守るのに 何で他国の力に頼ろうとするんだ!?俺たちは!俺たちの力で!このアバロンも!この世界も!守れば良い!世界一の大剣使いと世界一の相棒と 世界一の傭兵隊の力が有れば!俺たちのアバロンに 怖いもんなんか 無いんだぜっ!!」
ヴィクトール13世が怒って言う
「黙れ ヘクターっ!闇の王の手下である その騎士を庇うなら お前も 我らアバロンと この世界の敵となるぞ!」
この世界のヘクターが剣を振り払って 力強く言う
「俺は仲間を信じる!デスの事も!アバロンの皆も!ガルバディアの王になったバーネットも!俺たちなら この国も世界も守れるんだ!ヴィクトール!お前もバーネットを信じろよ!あいつはお前を裏切ったりなんかしねーんだ!あいつと一緒に もう一度!このアバロンと世界を守る為に 戦えば良いんだ!」
ヴィクトール13世が怒って言う
「お前は何も分かっていない!我らだけでは無く この世界の全ての者が 皆で戦わなければ 闇の王は倒せないのだ!今 その闇の王の手下を倒す事こそが 世界の国々が一団となる事への始まり!ヘクター!お前はこのアバロンの兵として その偉業を成し遂げよ!」
この世界のヘクターが言う
「仲間を殺す事で 世界の奴らを一団とするなんて間違ってる!そんなんで得られた力で 闇の王を倒したって!そこに何が残るって言うんだ!?俺は俺の信じる仲間たちと一緒に最後まで戦う!その為だったら 友情を信じられねー 弱虫なアバロンの王なんか!俺が 今 ぶっ倒してやるぜっ!」
ヴィクトール13世が剣を抜き この世界のヘクターへ向けて言う
「国王への反逆者、傭兵隊隊長ヘクターと 闇の王の手下、ガルバディアの騎士を討て!」
アバロン1、2番隊隊長が指揮を執り両部隊が この世界のヘクターとガルバディアの騎士へ向かう この世界のヘクターが苦笑して言う
「行くぜ?相棒!」
ガルバディアの騎士が微笑して言う
「ああ、最後までお前と 共に戦う」
この世界のヘクターがヴィクトール13世へ向かう アバロン1、2番隊がこの世界のヘクターへ向かう ガルバディアの騎士が機械鎧の収納を解除して瞬時に1、2番隊の隊員たちの剣を叩き上げる  この世界のヘクターがヴィクトール13世と剣を交わす ヴィクトール13世を庇う様にアバロン1、2番隊が集まる ガルバディアの騎士が応戦する この世界のヘクターとヴィクトール13世の戦いが始まる

この世界のヘクターがヴィクトール13世の首元へ剣先を向ける ヴィクトール13世が表情をしかめる 周囲にどよめきが起きる ヴィクトール13世が言う
「ヘクター、お前が このアバロンの王になろうと言うのなら このまま私を討つ事だ」
この世界のヘクターが表情をしかめて言う
「俺は お前を殺してー訳でも アバロンの王になりてー訳でもねーんだ ヴィクトール、俺は お前に もう一度 アバロンの力を知って貰いたかっただけだぜ お前は俺たちの王で、俺の仲間で 俺の守りたい奴の1人だ」
ヴィクトール13世が苦笑して言う
「ヘクター、君は変わらないな だが、国を維持する事は 子供の遊びでは無いんだよ あの頃と同じ事を言っているだけの君では この国を守れない」
ヴィクトール13世が自身に剣を向けられたまま この世界のヘクターへ剣を向ける この世界のヘクターが呆気に取られる ヴィクトール13世がこの世界のヘクターの後方を守っていたガルバディアの騎士を見て微笑してから ガルバディアの騎士へ剣を向けている1、2番隊へ言う
「その者を討て!」
この世界のヘクターが驚く 1、2番隊がガルバディアの騎士へ剣を刺す ガルバディアの騎士は動けないまま剣を受けて倒れる この世界のヘクターが振り返り ガルバディアの騎士へ叫んで駆け向かう
「デスっ!!」
この世界のヘクターがガルバディアの騎士を抱き起こして呼ぶ
「デスっ!おいっ!しっかりしろ!デス!デス!」
ガルバディアの騎士がこの世界のヘクターを見て微笑する ヴィクトール13世がこの世界のヘクターの近くへ来て言う
「ヘクター、その者は まだ死んではいない トドメはお前が刺せ それで お前の反逆は 無かった事にしてやる」
この世界のヘクターとガルバディアの騎士の周囲を1、2番隊が囲って剣を向ける この世界のヘクターが軽く笑って言う
「…言っただろ?俺は仲間を守って 仲間と一緒に戦うんだ… その仲間を 俺が殺すなんて事は …殺されたってやらねーよ!!」
ヴィクトール13世が言う
「残念だ ヘクター」
周囲の1、2番隊が この世界のヘクターとガルバディアの騎士へ向けていた剣を振り上げる 声が届く
「そこまでにして貰おう」
皆が声の方に振り向く ユダとシリウス、ヴァルキリーが現れる ヴィクトール13世が驚いて言う
「闇の王がっ!?何故っ!?」
ユダが1人先行して この世界のヘクターの前に来る この世界のヘクターが慌てて立ち上がり剣を構えて言う
「俺の相棒に 手は出させねーぞ!」
ユダがこの世界のヘクターを見た後 軽く笑って言う
「お前の相棒?フッ… 何を言っている?彼は我らのヴァルキリーだ このまま放っておいては お前たちに殺されてしまう」
ヴィクトール13世と家臣たち この世界のヘクターが驚き この世界のヘクターが言う
「デスが… ヴァルキリー?」
ユダがヴァルキリーたちへ合図を送る ヴァルキリーたちがガルバディアの騎士へ近付く この世界のヘクターが近付いて来たヴァルキリーへ剣を向ける ヴァルキリーが この世界のヘクターを目にも止まらぬスピードで攻撃し打ち倒す この世界のヘクターが地に倒される ヴァルキリーが意識を失っているガルバディアの騎士を抱き上げ 仲間たちの下へ連れて行く 仲間のヴァルキリーがガルバディアの騎士の傷へ回復薬をかける ユダがガルバディアの騎士の傷の回復を横目に確認して微笑して言う
「このヴァルキリーは上手くお前たちを騙し 仲間を演じていた様だが 余計なウィザードのせいで その苦労を水泡に帰してしまった… だが、我らは お前たちとは異なり 大切な仲間を一体とて見殺しには出来無い 役目は果たされなかったが 彼は回収させて貰う」
この世界のヘクターが立ち上がって言う
「待てよ… そいつは 俺の相棒だって言っただろ?」
この世界のヘクターが剣を構える ユダが微笑して言う
「彼が我らの仲間である事を 認めないと言う事か?そこまでお前を信じさせていたとは 優秀なヴァルキリーだ」
この世界のヘクターが怒って言う
「デスは お前らの仲間なんかじゃねー!デスはガルバディアの騎士で 俺の相棒だ!そいつをヴァルキリーって呼ぶんじゃねーよ!」
ユダが軽く笑って言う
「では 証拠を見せてやろう」
ユダがヴァルキリーたちへ視線を送る ヴァルキリーたちが頭部の機械鎧を収納する ヴァルキリーたちのガルバディアの民の顔が露になる 皆が驚く ユダがこの世界のヘクターへ向いて言う
「これで理解出来たか ヘクター?お前が相棒だと信じていた彼は お前を騙していただけなのだ」
この世界のヘクターが呆気に取られた後 微笑して言う
「ああ、理解出来たぜ… デスは お前たちの仲間だったのかもしれねー …けど、俺にとってはそんな事 どーでも良いんだ それに、もし お前の言った事が本当だったなら 俺は嬉しいぜ?」
ユダが疑問する この世界のヘクターが笑んで言う
「デスがヴァルキリーだったなら 本当は俺の敵だったって事だろ?けど それが今は 俺の相棒になったんだ!敵だった奴を仲間に出来るなんて それって すげー事じゃねーか!?」
ユダが驚き呆気に取られる この世界のヘクターが剣を構え直して言う
「だからデスは 返して貰う!お前らが何って言おうと そいつは俺の相棒だ!」
この世界のヘクターが ガルバディアの騎士を抱いているヴァルキリーへ攻撃を仕掛ける ユダがこの世界のヘクターへ攻撃する この世界のヘクターが瞬時に攻撃を受け止める この世界のヘクターとユダが戦う ヴァルキリーたちが機械鎧の収納を解除し 戦闘態勢に入る シリウスがヴァルキリーたちへ手をかざして止める ヴァルキリーたちがシリウスを見て構えを解除する

この世界のヘクターとユダの戦いが続く この世界のヘクターが勝機を掴みユダへ斬り込む シリウスが気付きこの世界のヘクターへ攻撃を仕掛けると この世界のヘクターの剣が弾き飛ばされ この世界のヘクターの首へ シリウスの武器の切っ先が突き付けられる シリウスが言う
「お前1人では 我らには敵わない お前が相棒だと言う あのヴァルキリーを取り戻したいと思うのなら お前の言う仲間とやらを集め 我らに届く程の力を有する事だ」
この世界のヘクターがシリウスを見て言う
「デスをヴァルキリーと呼ぶなって言ってるだろ!?」
この世界のヘクターがガルバディアの騎士へ視線を向け ふと気付く シリウスが武器を下ろして背を向ける この世界のヘクターが瞬時に足元のガルバディアの騎士の武器を蹴り上げ 手に取る シリウスがその動きに振り返った瞬間 シリウスの脇腹にガルバディアの騎士の武器が刺さり悲鳴を上げる
「うっ!?」
ユダが驚き叫ぶ
「シリウスッ!」
この世界のヘクターが武器を引抜きシリウスの身を押さえ首へ突き向けて ユダへ向いて言う
「こんなやり方は アバロンの民として許されねー… けどっ 今は 手段なんか選んでられねーんだ!ユダ!お前の相棒と引き換えだぜ 俺の相棒を返せ!」
周囲を取り囲んでいた者たちが驚く ヴィクトール13世が叫ぶ
「ヘクター!シリウスを渡してはいけない!闇の王を捕らえる事は 君の相棒を取り戻す事以上の価値がある!この世界を救う為だ!そのままシリウスを人質として取れ!」
ユダがヴィクトール13世を見て視線を怒らせる この世界のヘクターが言う
「ユダ、俺の要求は変わらねー こいつと俺の相棒を交換する」
ユダがこの世界のヘクターへ向いて言う
「シリウスを捕らえる事は お前たちにとって 最初で最後の我らへの勝機だ ヴィクトール13世の言う事は正しい お前は何故それに応じない?」
この世界のヘクターが微笑して言う
「決まってんだろ?俺は 俺の相棒と仲間たちと一緒に 正々堂々と正面から お前らと戦って 勝つからだぜ!」
皆がざわめく ユダが言う
「…良いだろう お前の力 期待させて貰う」
ユダがヴァルキリーへ視線を向ける ヴァルキリーがガルバディアの騎士を連れてヘクターの下へ行く ヘクターがシリウスを離しガルバディアの騎士を受け取る シリウスが苦笑して言う
「隙だらけだぞ?私が自由を得ると共に お前を攻撃する事も可能だった」
この世界のヘクターが微笑して言う
「お前らはそんな事しねーよ 今更、そんな事言わせるなって?それに…」
ユダとシリウスが疑問する この世界のヘクターが軽く笑って言う
「お前らとも いつか仲間になれるんじゃねーかな?」
ユダとシリウスが驚く この世界のヘクターが照れ隠しに頭を掻く シリウスがユダの近くへ戻る ユダがシリウスを見た後 宝玉を手に言う
「私の相棒を傷付けた この借りは いずれ返させて貰うぞ ヘクター」
ユダとシリウス、ヴァルキリーたちが 移動魔法で消える 周囲の人々が安堵と困惑の入り乱れる状況で この世界のヘクターとヴィクトール13世を見る ヴィクトール13世が困惑して言う
「シリウスを… 奇跡とも思えた 奴らへの勝機を 本当に敵の配下であった者と引き換えに 明け渡してしまうだなんて…っ」
この世界のヘクターが片手にガルバディアの騎士の身を支えたまま ヴィクトール13世へ振り返る ガルバディアの騎士が意識を取り戻し この世界のヘクターへ向いて言う
「ヘクター?私は… 一体何が あったのだ?」
ガルバディアの騎士が体勢を戻し 周囲の様子を確認して この世界のヘクターへ問いの視線を向ける この世界のヘクターが微笑して言う
「おう、闇の王たちが来て 帰ってったぜ 皆 無事だ」
ガルバディアの騎士が呆気にとられて言う
「闇の王が?皆無事だとは?奴らと戦ったのでは無いのか?」
ヴィクトール13世がガルバディアの騎士へ剣を向けて言う
「闇の王ユダとシリウスは お前の仲間ヴァルキリーと共に 同じくヴァルキリーである お前を連れ戻しに現れた!もはや 正体を隠し通す事など出来ぬぞ!貴様は我らを騙し 仲間を演じていた ヴァルキリーの1人だ!」
ガルバディアの騎士が呆気に取られて言う
「わ、私がヴァルキリーだと?何を言って…!?」
この世界のヘクターがヴィクトール13世へ怒って言う
「ヴィクトール!俺の相棒を ヴァルキリーって呼ぶんじゃねーよ!」
ヴィクトール13世がこの世界のヘクターへ剣を向け アバロン兵へ言う
「皆の者!直ちに 傭兵隊長ヘクターと ヴァルキリーを打ち倒せ!罪状はもはや言う必要も無い!ヘクターも闇の王の配下だ!世界の敵だ!」
この世界のヘクターが怒って言う
「俺があいつ等の配下になんかなる訳がねーだろ!?何で俺を信じられねーんだよ!?ヴィクトール!」
ヴィクトール13世が怒って言う
「シリウスを捕らえる事は 我らにとって 最初で最後の勝機だった!それを無に帰した事は アバロンだけで無く この世界への裏切り!ヘクター!言い逃れは出来ないぞ!」
この世界のヘクターが言う
「だからっ!人質を取って戦うなんて アバロンの戦い方じゃねーだろ!今回は俺の相棒を取られたから あいつの相棒を取ってやったんだ!次は絶対に 正々堂々と正面から戦う!」
ヴィクトール13世が剣を振り払って言う
「お前は!その相棒を取り戻す為 ヴァルキリーへ正面から向かい 手も足も出せずに倒されていたでは無いか!そもそも奴らに敵わない事は とっくに世界中の者が知っている!だからこそ シリウスを捕らえるべきだったんだ!」
この世界のヘクターが怒って言う
「敵わないからって その戦いに人質を使うなんて事は 俺はやらねー!そんなんで勝ち残って行ったんじゃ 誰も何も信じられなくなっちまう!そんなもんは勝利じゃねー!俺たちはあいつらにだって 何にだって勝てる!この世界中の奴らで力を合わせて戦えば ぜってーに勝てるんだ!だからこそ!信じ合う力を失っちゃ いけねーんだよ!」
ヴィクトール13世が返す言葉に詰まる この世界のヘクターがヴィクトール13世へ言う
「ヴィクトール!俺たちのアバロンは 友情と慈愛の国だろ!?北の2人の王だとか何だとかに縋ってねーで 俺たちアバロンの民が持つ力で 世界中の国々を一団にすれば良いんだ!このアバロンなら出来るはずだろ!友情の王である お前がやるべきじゃねーのかよ!?」
ヴィクトール13世がこの世界のヘクターの言葉に負け 一度怯み掛けるが 意を決して 周囲の兵へ言う
「何をしている!?反逆者を討ち取れ!これは最終命令だ!反するものは このアバロンへの反逆者として 処罰する!傭兵隊長ヘクターと ヴァルキリーを討て!」
ヴィクトール13世がこの世界のヘクターへ剣を向ける この世界のヘクターが怒って言う
「ヴィクトール!このっ!弱虫の分からず屋!お前のアバロンの精神は 何処に行っちまったんだよ!」
アバロン1、2番隊がこの世界のヘクターとガルバディアの騎士へ剣を向ける ヴィクトール13世が人知れず目を閉じて俯く レクターが現れて言う
「ヴィクトール国王のアバロンの精神は 今ベネテクト経由でガルバディアに出張中なんだ やっぱり私は アバロンの精神が出張中のアバロンの王じゃ この国を支える事は出来ねーと思う だから ヘクター、私はお前の味方をする」
レクターがこの世界のヘクターの横に立ち アバロン部隊へ剣を向ける この世界のヘクターがレクターへ向いて言う
「あ?アバロンの精神が出張中?…なんだ そー言う事かよ?どーりで 俺の知ってるヴィクトールと変わっちまってた訳だよなぁ… けど、安心した そーゆう事なら!」
この世界のヘクターが剣を構えて言う
「思いっきりぶん殴ってやれるぜ!」
ヘクターが現れて言う
「なら、俺たちも手伝うぜ!俺もヴィクトールが友情の王様らしくねーのが どーも気になってたんだよなー?」
ヴェルアロンスライツァーとロキがローブに身を隠し ヘクターに同行して現れ ヴェルアロンスライツァーが言う
「アバロンの精神とは… 肉体から離れ 他国へ出張出来る物なのか?」
ロキが言う
「…行き先はベネテクト経由でガルバディア …と言う事は バーネット2世国王に同行していると言う事だろう」
ロスラグが首を傾げて言う
「うー?て事はー?あそこにいるヴィクトール陛下は 魂の抜けちゃった体だけって事ッスか?後住民族の人は 難しい言葉だけじゃなくて 難しい事も出来るッスね?」
プログラマーがヘクターの横後ろで言う
「この世界のヘクターと相棒 予想外の助力レクター、お前と私、ヴェルアロンスライツァーとロキ、ついでにベルグル アバロン1、2番隊と精神の抜けたヴィクトール国王 ついでに4、5番隊 勝率は128%…私は参戦しなくても 圧勝の様だ」
ヘクターが微笑して言う
「ならお前はデータ取りでもしてろよ?あんまり圧勝じゃ詰まらねーからよ?」
プログラマーが苦笑して言う
「そうだな そちらへ重点を置く事にしよう」
この世界のヘクターが喜んで言う
「お前ら 手伝ってくれるのか!助かるぜ!」
ヘクターが微笑して言う
「おう!俺が俺の手伝いをするのは当然だぜ!」
この世界のヘクターと仲間たちが構える ヴィクトール13世が視線を強めた後 剣を向けて叫ぶ
「攻撃ーっ!」

アバロン兵の最後の1人が倒れる プログラマーが言う
「我らの世界のアバロン1番隊及び2番隊に比べ この世界の彼らの戦力は高かった… 我らの世界の彼らは やはり世界一であった我らの力に 頼る癖が付いてしまっていたのだろう これは 彼らを鍛え直す 良い手土産情報となったな?」
ヘクターが隣へ来て言う
「俺たちの世界のヴィクトールへの手土産情報はねーのか?こっちの世界のヴィクトールが あんなに可愛そうな奴じゃ 報告し辛ぇよ」
プログラマーが苦笑して言う
「我らの世界のヴィクトール13世皇帝には 相棒のバーネット2世第二皇帝が付いている アバロンの精神が出張するような事は無い筈だ …むしろこの様な話を聞かせるだけで 泣かれる可能性がある 伏せて置くべきだ」
ヘクターが片手で頭を掻きながら言う
「伏せて置けって言われてもなー?あーなっちまったのを どう伏せろって言うんだー?」
ヘクターが視線を向ける 視線の先 膝を付いたヴィクトール13世へこの世界のヘクターが剣を向けて言う
「ヴィクトール、お前の負けだぜ アバロン部隊も全滅だ これで分かっただろ?バーネットが言ってた様に 今のお前じゃアバロンを守れねー …もう一度、俺たちを信じる力を持てよ?俺も兄貴も アバロンの部隊の皆だって お前の事を信じてるんだぜ?」
ヴィクトール13世が悲しそうに微笑して言う
「…分かっているよ ヘクター アバロンの皆は アバロンの王を信じてくれていた だからこそ 私は最後までこのアバロンを守らなければならないと… でも、やっぱり無理だ 僕にはもう アバロンの力である 信じる力は持て無いんだよ…」
この世界のヘクターが言う
「なんでだよ?バーネットはガルバディアに居る!お前は支えを失ったりなんかしてねーんだ!相棒を信じられ無い様じゃ お前はアバロンの王所か このアバロンの民でもいられねーんだぞ!?」
ヴィクトール13世が苦笑して言う
「そうだね… アバロンの王としても アバロンの民としても 僕はもう失格だ… ヘクター 君にならこの国の王位を譲れる 君の分からない事は 優秀な家臣たちが 助けてくれる筈だ 彼らと共に この国を守ってくれ」
ヴィクトール13世が立ち上がりアバロンの剣を この世界のヘクターへ渡し向ける この世界のヘクターが呆気に取られて言う
「は…?なっ!?待てよ!?俺は王様なんか出来ねーし!俺は傭兵隊の隊長として アバロンの為に戦う事しか考えられねーよ!?」
ヴィクトール13世が軽く笑って言う
「それで良いんだ だからこそ アバロンの王は大剣使いで この国を守られる一番の力を持つ者だった ヘクター、今こそ このアバロンの本当の王である君が この剣を取って アバロンと世界の為に戦うべきだ」
この世界のヘクターが言う
「本当の王って…?アバロンの王は13代に渡る世襲の王じゃねーか!?俺だってこのアバロンと同じくらい アバロンの王を大切に思ってるんだぜ!?アバロンと世界の為に戦うんなら 俺は今のまま 傭兵隊長で良い!」
ヴィクトール13世が苦笑して言う
「いや、今のこの世界を守るには 傭兵隊長の地位では足りない 君にはアバロンの王と言う地位が必要だ それに、元々ヴィクトールの名を継ぐ王は アバロンの王では無いのだよ 代行してアバロンの王を務めたのは ヴィクトール11世と12世、そして13世である私の3人だけ それ以前はヘクター、君の先祖が このアバロンの第一国王だったんだ」
この世界のヘクターが驚く ヴィクトール13世が苦笑して言う
「この国が本当に力を必要とした時 アバロンの王は戻ると聞かされていた 君がこの国の王として相応しい事は 今、このアバロンの民たちと共に 他国の者にも良く分かっただろう ヘクター、君の守りたいものは この剣で守る事が出来る 君は受け取るべきだ」
この世界のヘクターが 向けられた剣を見つめてから ヴィクトール13世へ向いて言う
「俺がこの剣を受け取ったら お前はどーすんだよ?」
ヴィクトール13世が一瞬呆気に取られた後 笑って言う
「ここまで来ても 僕の心配をしてくれるだなんて やっぱり君は友情の王に相応しい… そうだね?君が許してくれるなら アバロンの部隊にでも入れて貰おうかな?」
ヴィクトール13世が微笑む この世界のヘクターが苦笑して言う
「許すも何も… 俺は最初っから怒ってなんかねーんだ 俺がこの国の王をやるんだったら お前から教わらなきゃいけねー事が 山ほどあるだろ?アバロンの部隊に入ってる余裕なんてねーぜ?」
ヴィクトール13世が一瞬悲しそうに微笑んだ後 笑顔で言う
「それじゃ、アバロンの新国王となるヘクター国王へ 王族としての心構えから作法まで 一から教えてあげないと!」
この世界のヘクターが衝撃を受け 慌てて言う
「あ!?お、俺は そんなのぜってー無理だぜ!?それこそ やるんだったら バーネットみてーにしか出来ねーよ!?」
ヴィクトール13世が笑顔で言う
「あれ?バーネットは ああ見えても 実は僕以上に 王族としての礼儀作法は身に付けてるんだよ?普段はまったく見せないけどね?」
この世界のヘクターが衝撃を受ける ヴィクトール13世が苦笑して言う
「まぁ、それはそうと… 国王だからと言って 何も畏まる必要はない このアバロンが世界一の国になれば 君へ文句を言う者は居ないだろう 君なら それも可能なはずだ ヘクター、君は君のやり方で行けば良い」
この世界のヘクターが困惑しながら 差し出されているアバロンの剣を見つめる ヴィクトール13世と人々がヘクターを見つめる この世界のヘクターが意を決しヴィクトール13世へ向いて言う
「俺は… 闇の王たちを倒す為に アバロンの王を引き受けるんだ それが終ったり… やっぱ駄目だった時には お前に返すかもしれねーぞ!?」
ヴィクトール13世が呆気に取られて言う
「え?」
この世界のヘクターが焦って言う
「だ、だから!お前にはずっと助けて貰う事になるんだぜ!?それでっ!次の国王はヴィクトール14世に戻るかもしれねーんだから!お前は ずっとアバロンに居ろよな!」
ヴィクトール13世が呆気に取られた状態から苦笑し 笑顔で言う
「ああ!もちろんだよ ヘクター!僕はアバロンの王である以前に アバロンの民なんだよ!?大好きなこのアバロンにずっと居るに決まってるじゃない!あはははっ!」
ロキとヴェルアロンスライツァーの間に居るロスラグがヴィクトール13世を見上げて言う
「嘘ッス… ヴィクトール陛下は 死んじゃうつもりッス…」
ロキとヴェルアロンスライツァーが驚き ロスラグへ向く ロスラグが2人に慌てて言う
「駄目ッスよ!ロキ隊長!ヴェルアロンスライツァー副隊長!あっちのヘクターを止めるッス!ヴィクトール陛下は!あの剣を渡したらっ!」
プログラマーが言う
「例えヘクターへの王位継承の為であったとしても ここまでに行った彼の言動を補う事は難しい アバロンに留まる事は勿論 他国で生き延びる事も 彼には厳しいだろう そして、彼を救う手立ては存在し無い あのヘクターも頭では分からずとも 感じて居るのだろう 故に 目の前の力を受け取る事が出来ないでいる」
ロキが言う
「…それでも このまま受け取らずに居る事は出来ない ヘクターはそれだけの事を行った」
ヴェルアロンスライツァーが言う
「ヴィクトール国王も この場において最後まで国王としての精神を保っている このアバロンへの強い思いが それを行わせているのだろう …だが、結局 多くの恩が有る彼を 我らが助ける事は出来ないのだな」
ロキが言う
「…ここでヴィクトール国王が命を失ったら 俺たちの元の世界はどうなるのだ?」
ヘクターが言う
「ヴィクトールは命を失ったりしねーよ 俺は 信じる!」
ロキ、ヴェルアロンスライツァー、ロスラグがヘクターを見た後 ヴィクトール13世の方へ向く

この世界のヘクターがゆっくり手を出し 自分へ向けられているアバロンの剣を受け取る ヴィクトール13世が微笑して手を離し 一歩後ろへ下がって言う
「アバロン王国 新国王ヘクター 貴公の活躍を願う」
この世界のヘクターがアバロンの剣を強く持って言う
「このアバロンの国と民 そして俺の仲間たちを 必ず守る この剣に誓って」
ヴィクトール13世が微笑して頷く アバロン傭兵隊の隊員たちがわっと歓声を上げて言う
「新しいアバロンの王の誕生だ!」「アバロン新国王ヘクター!」「アバロンの友情の王ヘクターだ!」「世界一の王ヘクター!」
この世界のヘクターが呆気に取られた後 苦笑して困って見せる アバロン1、2番隊隊長が顔を見合わせ苦笑した後 この世界のヘクターへ向き微笑する ヴィクトール13世が周囲の様子を見た後ゆっくり後ろへ下がる この世界のヘクターが気付いて振り返る ヴィクトール13世が微笑して言う
「ヘクター… 後は頼んだ」
ヴィクトール13世が隠し持っていた短剣を首に向ける この世界のヘクターが驚き叫ぶ
「やめろ!ヴィクトール!」
この世界のヘクターが慌てて止めようと走るが間に合わない ヴィクトール13世が目を閉じて短剣で首を突こうとする 皆が息を飲んだ瞬間 ヴィクトール13世の前に雷が落ち ヴィクトール13世が持っていた短剣に雷が纏わって消えると共に その短剣を手に持ったバーネット2世が現れる 皆が驚きヴィクトール13世が呆気に取られる バーネット2世が短剣を弄んで言う
「ったく… 俺がガキの頃にくれてやった贈り物で てめぇの命を奪おうなんざ 悪趣味な野郎だぜ?」
ヴィクトール13世が呆気に取られたまま言う
「バーネット…」
バーネット2世がこの世界のヘクターへ向いて言う
「よう、アバロンの新国王殿 俺はてめぇのアバロンの相棒国 ガルバディアの王バーネット2世だ …あぁ丁度良い 王位継承祝いに 3代振りにアバロンの王へ戻りやがったてめぇへ コイツをくれてやる」
バーネット2世が短剣をこの世界のヘクターへ放る この世界のヘクターが受け取り疑問する バーネット2世が言う
「そいつには ガルバディアのプログラムを受信する機能が付いてやがる 今後、ガルバディアの力が必要な時は そいつを身に付けて戦いやがれ 暇だったら力を貸してやるからよ?」
この世界のヘクターが 呆気に取られた後笑んで言う
「おう!ありがとな!ガルバディアの力って言うと 俺も20年後の俺みてーに 早い速度で戦えるのか?」
バーネット2世が軽く笑って言う
「まぁ 俺とてめぇじゃ あいつら世界一の相棒どもには 敵わねぇだろうけどな?そこそこのサポート位は してやれるだろうぜ?」
皆の視線がこの世界のヘクターへ向く この世界のヘクターが笑む 皆が再びバーネット2世へ向く バーネット2世が言う
「それで… だ?国を閉ざしてるとは言え 俺もガルバディアの王に返り咲いたってぇえのに 相棒国アバロンからの王位継承祝いの品が いつまでたっても届きやがらねぇじゃねぇか?…からな?俺が直々に取りに来てやったぜ」
バーネット2世がヴィクトール13世の首根っこを引っ張る ヴィクトール13世が疑問し呆気に取られる バーネット2世が悪戯っぽく笑って言う
「いつまでも ガルバディアの第二国王を アバロンの第一国王に出張させとく訳にはいかねぇからなぁ?いちアバロンの民に戻りやがった事だし 俺への祝いの品として こいつを貰ってくぜ?良いだろ?」
この世界のヘクターが呆気に取られた後笑って言う
「ああ!丁度もらい手が居なくって 心配してた所なんだ 貰ってってくれよ!」
この世界のヘクターが笑顔になる バーネット2世が意地悪く笑って言う
「はっはー まぁ、ちょいとひねくれちまってるかもしれねぇが 躾け直して ちゃぁんとガルバディアの第二国王にしてやっから安心してくれ」
ヴィクトール13世が衝撃を受け 怒って言う
「貰ってくとか貰い手とかって!僕は犬や猫じゃないよっ!そもそも、ひねくれたのだって バーネットが僕を捨てて ベネテクトやガルバディアへ行っちゃったからじゃないっ!?」
ヴィクトール13世が涙目で膨れる バーネット2世が笑う この世界のヘクターがホッと安堵する バーネット2世が言う
「じゃぁな?まぁ何とか賄いやがれよ?ヘクター国王殿」
この世界のヘクターが苦笑して言う
「ああ、何がどーなるかは分からねーけど 今の俺たちがやらなきゃいけねー事は1つだ!先代のアバロン国王 ヴィクトール13世に 教えてもらったからな!」
ヴィクトール13世が微笑して言う
「君なら出来るよ ヘクター 僕は君を信じる!」
この世界のヘクターが呆気にとられた後 強い笑みを見せて言う
「おう!任せとけ!」
ヴィクトール13世とバーネット2世が微笑する バーネット2世が目を閉じ周囲にプログラムの数字の羅列を表す バーネット2世とヴィクトール13世が雷を纏い消える


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