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13-3 闇の王の配下とローレシアの戦い
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【 ローレシア城 玉座の間 】
プリムスがキルビーグの下へやって来て 他方にある空席の玉座に疑問し キルビーグへ問う
「キルビーグ陛下、ルーゼック様はどちらへ?」
キルビーグが微笑んで言う
「ああ、ルーゼックは今ローゼントへ行っている 今後 我らローレシアはローゼントの騎士たちと手を組み 闇の王との戦いに備えようと思うのだ ルーゼックには我らローレシアの魔力者と組む事で得られる 魔法剣の素晴らしさをローゼントのヴェルアロンスライツァー国王へ伝えるよう頼んである」
プリムスが感心して言う
「おおっ ローレシアの魔力者たちとローゼントの長剣使いたちが手を組み 魔法剣を有する部隊を作り上げると言う事ですな?」
キルビーグが頷いて言う
「うむ そうだ 先の戦いにおいて 我らの相手となったのは あのウィザードが1人であったが 闇の王とヴァルキリーたちと戦うとあっては こちらも同じ数かそれ以上の魔法剣士が必要になる 今、この魔力者の国であるローレシアにて 十分に剣士として戦えるのは ルーゼック唯1人であるからな」
キルビーグが微笑する プリムスが微笑した後、視線を落とす キルビーグが気付き首を傾げて言う
「どうかしたのか プリムス?ソルベキアの密偵であったフォリオッドを追い出した事により 昔の様に お前がこのローレシアの大臣へと戻ったのだ その昔と同じく 再び私やルーゼックを助けて欲しいと思っている 気になる事でもあるのなら 何でも言ってくれ」
【 ローゼント城 玉座の間 】
ルーゼックが不満気な顔で言う
「私自身はっ!決して貴様らと組みたいなどとは思ってはおらなんだぞっ!?だが、貴様らローゼントとて いつ隣国ソルベキアから かの者らが襲い掛かって来よるかと 気も気であらぬ筈っ!我らローレシアは 闇の王の配下との戦いに勝利したっ!貴様らも聞き及んでおると思うが 配下とは言え ウィザードの魔力は凄まじいものであったのだっ!」
アンネローゼが頷いて言う
「確かに、ルーゼック様の仰る通り あのウィザードの力は恐ろしいものでした そして、そのウィザードを討ち取った ルーゼック様の魔法剣と支援魔法の効果の程も 素晴らしいものであったと思います」
ルーゼックが疑問する この世界のヴェルアロンスライツァーが言う
「私とアンネローゼ王妃は ローレシア国にて行われた 先日の貴殿方の対戦を拝見していた」
ルーゼックが驚き言う
「なっ!?他国の戦を 王と王妃が視察に参っていたと申すのかっ!?」
アンネローゼが微笑して言う
「我らローゼントは 勇者を選出してはおりますが 闇の王らと戦うほどの武力は有しておりません それが分かっているからなのか 闇の王らも 今だこのローゼントを襲っては参りません しかし、私たちも この世界に生きる者として かの悪しき王に 世界を奪われる訳には行かないと その為の策を考えておりました」
この世界のヴェルアロンスライツァーが言う
「初期の段階から我らローゼントは ローレシアの魔法バリアと我らの剣の力 個々たるその2つの力を持って 奴らと戦えないかと考えていた だが、それだけでは敵わぬ事が 先のアバロンでの魔法バリアを用いた大剣使いたちの共同戦にて判明し 別なる策を考えていた そこへ、ルーゼック殿 貴殿の魔法剣と言う力 あの力こそ 我らローゼントが求めていたものであるとの 結論が成された所であった」
ルーゼックが呆気に取られる アンネローゼが微笑んで言う
「ローレシアには現在 ルーゼック様の他に 剣士はいらっしゃらないとの事 ローレシアがアバロンでは無く このローゼントへお声を掛けて下された事へ 心からお礼を申し上げます それと共に 貴方様方の選択が正しかった事を 我らローゼントの騎士たちが その力を持って証明して ご覧に入れるでしょう」
ルーゼックが交渉の結果に微笑するが それと共に気付き 疑問して言う
「…うん?ヴェルアロンスライツァー国王 貴様は先ほど ローレシアの魔法バリアとローゼントの剣の力 個々たるその2つでは敵わぬ理由を アバロンで知ったと申したな?」
この世界のヴェルアロンスライツァーとアンネローゼが疑問し 一度顔を見合わせてから ヴェルアロンスライツァーが言う
「私とアンネローゼ王妃は 貴殿方ローレシアの戦いより以前に アバロンでの戦いも確認へ行っていた」
アンネローゼが言う
「その時にアバロンにて拝見したのです あのウィザードと大剣使いたちが共に力を合わせ 闇の王とヴァルキリーたちと戦っている姿を ウィザードの魔法バリアはヴァルキリーに有効ではありましたが アバロンの大剣使いたちは それだけでは ヴァルキリーに勝てなかったのです」
ルーゼックが困惑して言う
「どう言う事だ?アバロンは あのウィザード使いの少女がアバロンの民である事を公表したが あのウィザードに関しては調査中だと… 元々自国で有していた者であるのなら 今回の大事への謝罪と釈明を行うものだが…?」
【 ツヴァイザー城 会議室 】
リーザロッテが気合を入れて言う
「私たちは もっと強い兵と援軍を揃えなければ あの闇の王ユダとその他を倒す事は出来なくってよ!」
レイトが言う
「この世界に置かれましても 強い兵や援軍の派遣が可能な国は 3大国家と呼ばれる アバロン、ローレシア、シュレイザー かと思われます しかし、シュレイザーはもともと自国の部隊よりも 他国からの常駐支援部隊へ頼っているのが実情ですので そちらの派遣を求めるのは難しいものと思われます」
ロキが言う
「…俺が確認した情報によると ローレシアはローゼントへ友好条約と共に合同戦略協定を交した これで両国は戦いの際には力を合わせ共に戦う事となる この状況では ローレシアからツヴァイザーへの援軍派遣は難しいと思われる」
リーザロッテが考えて言う
「では、やっぱり私たちが共に戦うのは この世界でもアバロンになりそうね?この世界のアバロンは帝国では無いのだし… それこそ一国同士としてツヴァイザーとの合同戦略協定を 交して貰えないかしら?」
リーザロッテがヘクターとオライオンへ向いて言う
「ねぇ?貴方方はずっとこの世界のアバロンにいらしたのでしょう?この世界のアバロンに変わりは無くって?ヴィクトール陛下は 闇の王との戦いに どのような策を考えていらっしゃるのかしら?」
リーザロッテと他の者が ヘクターとオライオンへ視線を向ける オライオンが焦りヘクターへ向く ヘクターが視線を下げたまま考え事をしている その様子に リーザロッテが怒って言う
「ちょっと!?ヘクター!作戦会議中でしてよ!?」
ヘクターが反応して顔を上げ苦笑して言う
「ん?ああ、悪ぃ…」
ヘクターが再び視線を落とす オライオンが言う
「親父は今 デスの事が気になって それ頃じゃねーんだよ」
オライオンが苦笑する 皆が納得して再びリーザロッテへ向く リーザロッテが言う
「それ頃って… なら、貴方?貴方もヘクターやその他と一緒に アバロンにいらしたのだから この世界のアバロンの様子は お分かりになってよね?アバロンがどこの国と手を組もうとしているのか どのような支援を検討しているのか また、行っているのか… ヴィクトール陛下がどのようにお考えなのか 教えて頂けて?」
オライオンが焦って言う
「え!?いや!?…俺はそう言うのは良く分からねーし デスが何かヴィクトール陛下へ命令してたみてーだけど それをどうしたのかも分からねーし …あ!大体 アバロンの事を知りてーんだったら アバロン第二皇帝…じゃなかった アバロン第二国王のバーネット陛下に聞けば良いだろ?!」
皆がハッとして リーザロッテの隣の席に居るバーネット2世へ視線を向ける バーネット2世が皆の視線に軽く笑って言う
「ん?ああ、俺はアバロンの第二国王は辞めたんだ その辞めちまった国の内情を 他国で言っちまう訳にはいかねぇよ?」
リーザロッテが怒って言う
「今は世界を救う時でしてよ!?例え お辞めになった国の事情でありましょうとも 世界を救う為でしたら 力を合わせて共に戦う時でしてよ!」
バーネット2世が苦笑して言う
「…そぉだなぁ?世界を救う為には 手段なんざ選んでられねぇって事か」
リーザロッテが満足そうに言う
「ええ!そう言う事でしてよ!」
バーネット2世が 20年後から来たメンバーを見て言う
「てめぇらの世界のアバロンやヴィクトールや俺がぁ 何をどうやってアバロンを帝国にしやがったんだかは知らねぇが この世界の この俺が見る限り …アバロンじゃ世界を救えねぇ」
皆が驚く オライオンが言う
「…そう言えば?デスもそんな事言ってたよな!?親父!」
ヘクターが言う
「あ…?ああ、そーだな この世界のアバロンの王は… 力がねぇとかって?」
リーザロッテが表情を困らせて言う
「それでは 折角このツヴァイザーと同盟を組んで頂いても アバロンでは足りないと言う事でして!?世界を救う為には 多くの力が必要でしてよ!アバロンがダメだと仰るのなら この際 ツヴァイザーもローゼントと同じく ローレシアと…」
リーザロッテが不満そうな表情を見せる ロスラグが笑顔で言う
「ローゼントと組むッスか!?それなら俺も一緒に戦うッスよ!これで やーっとヴェルアロンスライツァー副隊長とも 一緒に戦えるッスね!?ロキ隊長!」
ロキが衝撃を受け ロスラグを殴る ロスラグが殴られた頭を押さえ疑問する バーネット2世が言う
「いや、ローレシアは ローゼントを仲間にしやがったんだ この時点で 既に両国は十分力を有しやがった こうなっちまったら ツヴァイザーみてぇな小さくって 大した力もねぇ国なんざ ただの足手まといだ 協定を申し込んだって断られっちまうだろうぜ」
リーザロッテがムッとして言う
「力の無い小さな国を受け入れないだなんて!その様な国は絶対に世界を救える帝国にはなれなくってよ!私たちの世界のアバロンとは違い 世界各国からの帝国への承認だって きっと定数には届かなくってよ!」
シャルロッテがモバイルPCを操作しながら言う
「各国からの帝国への承認数が定数に満た無い場合は 自ら帝国として名乗りを上げ 反対する国を力尽くで押さえる事も可能です」
リーザロッテが怒って言う
「そんな力尽くで帝国になるローレシア帝国なんて 闇の王と同等かそれ以下でしてよ!私たちは 何が何でも ローレシアを帝国にしては いけなくってよ!」
皆が衝撃を受け ヴェインが小声で言う
「確か… 帝国にしてはいけなかったのは アバロンでは無かっただろうか?」
ロイが言う
「…やはり、リーザは どの世界においても ローレシアを目の仇にしたいのだろう」
バーネット2世が言う
「ローレシアが帝国へ名乗りを上げるかどうかなんざ 今は分からねぇが 何も小せぇ国がいつの時も デケェ国の下に付かなけりゃならねぇなんて決まりはねぇんだ てめぇがこの世界を救う勇者様だってぇんだったら それこそローレシアやアバロンを超える力を有する事だって 出来やがるんだぜぇ?」
皆が驚き リーザロッテが言う
「それはどう言う事でして?」
【 ソルベキア城 機械室 】
バッツスクロイツが操作盤を操作して言う
「うん、やーっぱり この世界のバーネっちも シリウスっちと同じ 明瞭明晰 あれでー?もうちょーっと人使いの悪さと口の悪さが改善されたら?それこそ大帝国ーの第一皇帝にだってなれちゃうーって 思うんだけどなぁ~?」
ニーナが言う
「やっぱりシリウスさんの言う通り リーザは世界を守る勇者様になりそうなの!予定通りなの!それじゃ、バッツさんも 予定通りローレシアに行くの?」
バッツスクロイツが微笑して言う
「そーだねー 俺っちとしてはー?ローレシアに行く前ーに俺っちの相棒ーが 戻って来てくれるーのを 超ー期待ーしてたんだけどね?誰かさんーたちが 色ーんな所でデータを狂わせてくれるーからさー?こう言った微妙ーなタイミングとか 超ーミニッツーにズレちゃったりするんだよねー?」
バッツスクロイツが立ち上がる ニーナが心配そうに言う
「バッツさん、気を付けてなの!あのローレシアに居るデネシアの王様は とっても強い人なの!」
バッツスクロイツが微笑して言う
「うん、そうだねー?けど、今回はー だーい丈夫ー!なんてったって?今回の目的ーは そのデネシアの王様ーの為の作戦ーだからね!作戦が成功して?そのデネシアの王様が 超ー強くなった時こそ?俺っちが全力でエスケープしちゃって オッケーな訳だし?心配ナッシングーって感じ?」
ニーナが心配する バッツスクロイツが苦笑した後、笑顔で言う
「ユダっちとシリウスっちは 新世界ーへ帰還中だから ニーナちゃんはここに残ってるヴァルキリーたちと仲良くしててね?俺っちは改善が間に合ったヴァルキリーたちと一緒に ちょーっとローレシアに行って来るからさ!」
ニーナが笑顔で言う
「分かったの 私は置いてけぼりで寂しがってるヴァルキリーさんたちと 一緒に仲良く待ってるの!」
置いてけぼりのヴァルキリーたちが泣く
【 ローレシア城 門前 】
ルーゼックがやって来て 城の入り口へ向かう 一人の衛兵がハッとして敬礼する ルーゼックが立ち止り 衛兵とその反対側を確認してから言う
「もう1人の衛兵はどうした?城への門は全て 厳重に見張れと申した筈だが?」
ルーゼックが衛兵を睨み付ける 衛兵が怯え焦って言う
「あ、あの…っ そのっ… か、彼は… ちょ、ちょっとだけ 持ち場を離れると…」
ルーゼックが怒って言う
「馬鹿者っ!持ち場を離れる際は 例え短時間であろうとも 相方へ可能な限りの詳細を伝え 場合によっては他の者を就かせよっ!今この瞬間に ローレシアへ被害をもたらす者が この場に現れおったら!貴様1人で全ての対応が賄えるのかっ!」
衛兵が怯え慌てて言う
「も、申し訳有りませんっ!ルーゼック第二国王陛下 次からは 相方への確認と他の応援を検討しますっ!」
ルーゼックが怒りのままに立ち去る 衛兵が見送り 間を置いてホッと胸を撫で下ろす
玉座の間 門前
ルーゼックがやって来る 衛兵2人がハッとして敬礼する ルーゼックが立ち止り2人を見る 2人が緊張の面持ちで敬礼のまま待つ ルーゼックが怒鳴る
「馬鹿者っ!貴様らは 何をやっておるかっ!?」
2人が驚き慌てて顔を見合わせて疑問し合い 最終的にルーゼックへ視線を向ける ルーゼックが怒って言う
「謁見者の最終確認と 国王への伝達を行うのが 貴様らの任務ではあらぬのかっ!?それとも貴様らは!?今 目の前に居る この私が見えぬとでも申すのかっ!?」
衛兵2人が驚き慌てて言う
「「デ、デネシア国国王兼ローレシア国第二国王ルーゼック様です!」」
ルーゼックが衝撃を受け 怒って言う
「馬鹿者がっ!それでは私がキルビーグへ謁見に来たと 申しておるのも同然だ!自国の城に在する者が戻ったのなら 帰城したと伝えぬかっ!」
衛兵2人が慌てて謝る
「「も、申し訳有りませんっ!ルーゼック様!」」
ルーゼックが怒りのまま2人を睨む 室内からキルビーグが苦笑して現れて言う
「まぁまぁ、そう怒るなルーゼック?そもそも お前の帰城は 最初の門兵への一喝から 伝わっておる」
ルーゼックがキルビーグへ向いて言う
「黙れっ キルビーグ!そもそも貴様がローレシアの衛兵や部隊兵らを甘やかしておるから この世界の危機にさえ 備えがなっておらなんだ!各国との移動の要である 移動魔法陣の警備兵とて 私が怒鳴るまで昼寝をしておったぞ!?あのウィザードはアバロンに捕らえられておるとは言え 今度はいつ闇の王とヴァルキリーが ローレシアへ襲い掛かって来るとも分からぬのだっ!この様な状態では 折角 魔法剣士の部隊が結成されようとも 戦う前にやられてしまうわっ!」
ルーゼックが怒りのまま玉座の間へ進み入る キルビーグが苦笑し ルーゼックに続きながら言う
「ローゼントからは既に 協定成立を知らせる連絡が届いておる ルーゼック、ローレシアからの使者として良くぞ協定の成立を成し遂げてくれた 連絡が届くと共に先だって話を付けておいたローレシア領域の魔力者たちへも知らせを送った 今頃 皆 この城へと向かっているだろう 後はローゼントの部隊が到着すれば 直ぐにでも共同で魔法剣士部隊の演習が開始出来る状態にある 魔力者たちも新たな勢力の増員に 皆昨日から喜びと共に緊張を隠しきれぬ様子だ 故にその反動で少々の不備でもあったのだろう」
2人が玉座へ座り ルーゼックが言う
「このローレシアで 唯一となる剣士である私が 魔法剣の威力を説明すべく 剣士の国ローゼントへの使者となるのは至極当然っ!そして、この国の第二国王として行くからには 協定の成立を成し遂げぬまま おめおめと帰国する事など許されぬっ!そしてっ このローレシアの不備は 私が第二国王になる以前からのものだっ!前々から私は この国のなんとも言えぬ だらしなさが 気に入らなんだっ!私が この国の第二国王になったからには 根本から叩き直してくれるっ!」
ルーゼックがイライラしている キルビーグが苦笑して言う
「ルーゼック、確かにお前がこの国の第二国王になって 兵たちに喝を入れてくれたお陰で 比較的他国に比べ緩やかさのあった このローレシアの魔力者部隊の兵たちも 他国の兵と差ほど変わらぬ緊張感を持つ様になった 今までの彼らは他国の者に無い 魔力と言う強き力に溺れておったのだ」
ルーゼックが怒りのままに言う
「力に溺れ油断などしておればっ 力も持たぬ弱き者にすら 足元をすくわれるわっ!従って このローレシアより小国である カイッズやベネテクト、ツヴァイザーとて 油断はならぬっ!よって奴らの動向も常に調査せよと申して置いたのにっ!闇の王らが襲撃したと言うツヴァイザーの戦況の確認も 行われておらぬとは どう言う事だっ!?キルビーグ!貴様はローレシアの偵察部隊へ確認を命じておらぬのかっ!?」
キルビーグが困った表情で言う
「うむ… ベネテクトに関しては確認をさせておった 何しろアバロンの第二国王となったはずのバーネット2世が そのアバロン第二国王の王位を返還してしまったと言うのでな?ベネテクトに何かあったのか またはアバロン以外の国との提携を考えておるのかと…」
ルーゼックが言う
「ベネテクトがアバロンから離れたとあっては アバロンは今力を失いつつあると申す事か?…いやっ アバロンには 表向きには国を閉ざしていると言い続ける あのガルバディアが関係している そして、あのガルバディアの力であり ヘクターの相棒とあるガルバディアの騎士 そして、もう1人のヘクターと共に居た あの幽霊の様なガルバディアの民の姿の者… 恐らくあのヘクターの剣に力を与えていたのは奴だ ええいっ忌々しいガルバディアがっ!戦う気が有るのか無いのかハッキリせぬかっ!」
ルーゼックがイライラしている キルビーグが苦笑して言う
「それよりルーゼック?少々、私の話も聞いては貰えぬか?」
ルーゼックが怒りの表情をキルビーグへ向けて言う
「話があるのならさっさと申さぬか!?馬鹿者っ!貴様は このローレシアの第一国王であるっ!第二国王の私に 要らぬ気など使ってどうするっ!」
キルビーグが苦笑して言う
「いや 少々お前の気に障る話であったのでな?少しでも そのお前の気が落ち着いておる時を 見計らって話したいと思ったのだが… どうやらその瞬間には中々出会えなんだ しょうがないから言ってしまうのだが」
ルーゼックが疑問した後 イライラして言う
「であるからにしてっ!その様な下らぬ気など使うなと申しておるのだっ!キルビーグっ!第一国王の貴様すら 私が叩き直してやらねば ならなんだかっ!?」
キルビーグが困った表情で言う
「ルーゼック、これからしばらくの間 そのローレシアの者を叩き直す行動を 自粛してもらえぬだろうか?」
ルーゼックが呆気に取られ疑問して言う
「…は?今なんと?」
キルビーグが苦笑して言う
「実は… お前がこのローレシアの第二国王となる事を 余り快く思っておらなんだ者たちが 前々からおったのだ だが、それでも この国唯一の魔法剣士として 強き力を有しての第二国王と納得し 文句が言えなかったらしい しかし、ここへ来て ローゼントとの協定が結ばれた事により その唯一の魔法剣士とされる心配が無くなってしまった 更に追い討ちを掛ける様に アバロンの第二国王が撤退した事により このローレシアにも やはり第二国王は要らぬのではないかと 密かにお前を追い出す計画がなされておる様なのだ 今のまま、お前がローレシアの兵たちを 叩き直す為とは言え喝を入れておっては その者たちにとって 程よい好機と取られるやもしれぬ …であるからして、しばらく様子を見る為にも…」
ルーゼックが怒りを爆発させ 怒って叫ぶ
「馬鹿者がっ!!第一国王である貴様が取り決めた事へ 反逆する者が居ると申すのならっ!それこそ第二国王の私が囮となって あぶり出してくれるっ!その様な不届き者っ!例え今は 私の追放を目論んで居ろうともっ!いずれはこのローレシアの第一国王である 貴様にすら反旗を翻すやもしれぬっ!いやっ!既にそやつらは反旗を翻しておると 申しても過言ではあらぬわっ!」
キルビーグが表情を困らせて言う
「うむ… それはそうやもしれぬが…」
伝達の兵が言う
「申し上げます!ローゼント国よりローゼント第二部隊が御到着です 共に… ヴェ…!?ヴェルアロンスライツァー… “殿”が 謁見を求めております」
キルビーグとルーゼックが驚き顔を見合わせた後 ルーゼックが焦り怒って言う
「ばっ馬鹿者っ!他国の王へ 一般の敬称を用いるとは 何事か!ヴェルアロンスライツァーはローゼントの国王だ!その様な長い名の異端者が この世に2人も居って溜まるかっ!」
ヴェルアロンスライツァーが現れて言う
「この世界のローゼント国 第二部隊に同行した 20年後の世界より戻りました ヴェルアロンスライツァーです まったくもって異端者ではございますが 我が女王アンネローゼ様の命により ローゼント国から派遣された第二部隊の隊員らと このローレシアの魔力者により作られる 魔法剣士部隊の様子を確認させて頂きたく 参じました」
ヴェルアロンスライツァーが敬礼する ルーゼックが衝撃を受ける キルビーグが苦笑する
【 ツヴァイザー国 城下町の外 】
ヘクター、オライオン、シュライツが城下町の門を出て オライオンが言う
「リーザはスプローニへ行くって言ってたけど やっぱり俺たちはアバロンに戻るんだろ 親父?プログラマーのデスが居ないんじゃ ソルベキアに行く理由もねーし… アバロンならミーナも居るし 会えねーけどウィザードのデスも アバロン城に居るんだしよ?」
シュライツが張り切って奇声を上げる オライオンが微笑して言う
「シュライツも早くアバロンに帰りてーってさ?」
シュライツが移動魔法の魔力を集める オライオンがヘクターへ向く ヘクターが下げていた視線を上げて言う
「いや ガルバディアだ!シュライツ 俺たちを… いや、俺を ガルバディアへ飛ばしてくれ」
シュライツが疑問し首を傾げる オライオンが呆気に取られてから 改めて言う
「親父、プログラマーのデスは 修理が終ったら戻るんだろ?シリウスの… 敵の言葉だったけど 親父は信じるって言ったじゃねーか!?」
ヘクターが言う
「ああ、あいつは戻って来る… けど、やっぱり 一緒に居た方が良いんだ どっちにしたって あいつが戻るまで 俺は戦えねー… だったらまた俺が!デスに付きっきりになって看病してやるぜ!その方がきっと早く治るからよ!」
オライオンが苦笑して言う
「それは昔の話だろ?デスがガルバディアの機械の中から出て 体を動かす事も、喋る事も 出来なかったって時の…?今回は機械の修理なんだから その時とは違って 親父に手伝える事はねーよ」
シュライツが疑問する ヘクターが苦笑して言う
「あぁ まぁ… そうかもしれねー けど それでもやっぱりあいつの無事を確かめてーんだよ ただそれだけだ …だから、行くのは俺だけで良い シュライツ 俺をガルバディアの移動魔法陣に飛ばしてくれ?」
シュライツが怒ってヘクターへ奇声を多く発する ヘクターが呆気にとられた後オライオンへ向いて言う
「あ…?ちょ、ちょっと待て?何 怒ってるんだお前?おいっ オライオン?何怒ってんだ シュライツは?」
オライオンが呆気にとられた後ヘクターへ向いて言う
「あ… ああ シュライツは プログラマーのデスを心配してるのは 親父だけじゃ無いんだ って怒ってるぜ?それで… あっ!おい!?待てっ!」
シュライツが移動魔法を行う オライオンが慌てて言う
「行くんだったら 皆で行くべきだってっ …でも!待てよ!?シュライツ!あぁーっ!」
移動魔法が発動し 3人がガルバディアへ飛んで行く
【 ガルバディア城 城下門前 】
ヘクターたちがガルバディア城の城下門前に飛んで来る 到着と共にシュライツが喜ぶ オライオンが慌てて言う
「待てって言ったのに!ガルバディアの門はデスがいねーと 開けらんねーだろ!?ガルバディア国王は もう 俺たちの相手をしてくれねーんだから!」
シュライツが首を傾げる オライオンが溜め息を付いて言う
「親父だって… 1人で来て どうやって入るつもりだったんだよ?」
ヘクターが呆気にとられた後 笑顔で言う
「ああ、そっか…?俺、忘れてたぜ!」
オライオンが転びそうになる シュライツが喜ぶ ヘクターが頭を掻きながら言う
「いやぁ… 俺は今まで ガルバディアに入れなくって 困った事なんて無かったからよ?オライオン、お前けっこー頭良いじゃねーか?元の世界で 馬鹿やって祠の結界 外して回った頃から いつの間にか随分賢くなったなー?」
オライオンが衝撃を受け 頬を赤らめながら言う
「あ、あの時は…っ 俺も まだ何も分かって無かった15の頃で… 今はもう20も過ぎたんだから!普通の事くらい分かるってーの!…親父こそ!?まだ耄碌するのは 早ぇーぞ!?」
ヘクターが苦笑して言う
「あぁ… そうだなぁ?何しろ世界一のプログラマーと一緒に居ると 何にも出来ねー事がねーもんだからよ?今は あいつが居ねー俺の方が 馬鹿やっちまいそうだよな?」
オライオンが腕組みをして言う
「もうやってるだろ!?…シュライツ?お前も俺と同じ年なんだから 少しぐれー考えるとか いい加減言葉覚えるとかしろよな?」
シュライツが疑問して首を傾げる オライオンが肩の力を抜いて苦笑する ヘクターが軽く笑ってから ガルバディア城の門を見上げて言う
「折角会いに来たけど これ以上先にはいけねーか…?ああ、シュライツ せめてお前だけでも 城の前まで行って声掛けて来てくれよ?」
シュライツが首を傾げる ヘクターが言う
「あいつもお前の言葉は分からねーから 何言っても良いぜ とにかく… そうだな?俺が待ってるから 早くしろよとか 頑張れよ とかよ?」
シュライツが疑問した後 不満そうにヘクターの手を引いて門の先へ向かわせようとする ヘクターとオライオンが顔を見合わせ オライオンが言う
「シュライツ?門は閉まってるんだから 俺たちは行けねーんだ 行けるのは門を越えて行ける お前だけだろ?」
シュライツが何かを訴えて怒る ヘクターとオライオンが顔を見合わせて困り オライオンが溜息を吐いて言う
「今日はどう言う訳か こっちの言葉もシュライツに通じてねーみたいだ?こんな事 今までは無かったのに」
ヘクターが苦笑して言う
「きっとシュライツの奴も デスに会いてーって気持ちなんだろーぜ?だから 無理でも行きてーってよ?」
オライオンが苦笑して言う
「ああ、そうかもな?シュライツはウィザードのデスと違って 脳みそは普通にあるんだろーと思ってたけど… もしかしたら やっぱり ちょっと…?」
オライオンとヘクターが苦笑する シュライツが衝撃を受け 怒って奇声を発した後 ヘクターへ向けて魔法を放つ ヘクターとオライオンが驚き ヘクターが言う
「あ!?何で俺に向かってっ!?ああ!そりゃ お前をガルバディアに送ったのは俺だけど そんな 急に 復讐に目覚めたのか!?おいっ ちょっとま…っ!?」
ヘクターが慌てて回避しようとするが間に合わず 吹っ飛ばされる ヘクターが城門にぶつかる 両手を門に付け 慌てて後ろへ振り返って言う
「シュライツっ!復讐するのはかまわねーが!やるんなら!アバロンの民として 正々堂々と正面からっ!」
ヘクターの生態証明を感知したガルバディア城の門が開く ヘクターが呆気にとられた後 正面からコケて顔面を地に打つ オライオンが呆気に取られる シュライツが怒って奇声を発した後 先行してガルバディア城へ向かう ヘクターが打ち付けた顔を抑えながら起き上がって言う
「イテテ… 何で急に開いたんだ?もしかして、シュライツの魔法で開く様にでもなってたのかよ?」
オライオンが考えた後 微笑して言う
「ああ、そっか!シュライツはガルバディアで生体実験に使われちまったんだもんな?ガルバディアの関係者として 認められてるのかもしれねーな?」
遠くでシュライツが騒ぐ オライオンが苦笑して言う
「早くしろってよ?」
ヘクターが軽く笑って歩き出しながら言う
「ああ、今のは俺にも分かったぜ?」
城門前
ヘクターたちが城門前に来ると 城門が消える ヘクターとオライオンが顔を見合わせてから 城内へ進み入る 先行するヘクターが向かう先 次々に扉が開かれ やがて見覚えのある部屋に辿り着く ヘクターが入室前に一度振り返って オライオンへ言う
「おい、足元に気を付けろよ?折角見舞いに来たのに その俺らのせいで悪化させちまったら 後で怒鳴られっからな?」
オライオンが苦笑して頷く ヘクターがプログラマーの眠る機械のもとへ向かう オライオンが周囲を見渡しながら 足元に注意して入室する オライオンがヘクターの後方に辿り着き足を止め 周囲の状態を見る 周囲では機械が機械を直している オライオンがヘクターへ向くと ヘクターがプログラマーを見て苦笑して言う
「良かった… 一応 生きてるみてーだ おい、デス 聞こえるか?世界一の相棒と その息子たちが 見舞いに来てやったぜ?」
オライオンがヘクターの後方から プログラマーの様子を見る シュライツが喜んで奇声を上げた後 プログラマーの眠る機械の上に浮いて 顔の上辺りのガラスを叩き何か言う ヘクターが苦笑して言う
「そうだよな?やっぱり また一緒に飯食ったり 話したりしてーよな?まぁ… 生きててくれただけでも十分だけどよ?」
オライオンがプログラマーの近くへ行き シュライツと共にプログラマーの様子を見て言う
「たった20年くれーしか 生きてられねーなんてな?丁度 今の俺たち位って事だろ?」
ヘクターが言う
「ああ、今から18年前くれーだな 俺はあれから18年歳食ったけど デスはやっぱりあの頃と変わらねーや これからもそーなんだろうけどな?」
オライオンが言う
「これからも 今までもそうだぜ?デスは俺たちと違って 転送装置で移動はしてねーんだから ここに居るデスは18年所か180年以上この姿だって事だろ?」
ヘクターが呆気にとられた後 苦笑して言う
「そういやー… そうだったな?せっかく176年振りに会ったって言うのに たった数日でまた話も出来無くなっちまうなんてな?」
プログラマーの声が聞こえる
『そうだな、せめて話ぐらいは したいものだ』
ヘクターとオライオンが驚く シュライツが顔を上げて喜ぶ シュライツの視線の先プログラマーの不鮮明なホログラムが現れる ヘクターとオライオンがハッとして ヘクターが言う
「デス!?お前 もう治ったのか!?」
プログラマーがヘクターへ向いて言う
『いや、あいにく このホログラムと音声プログラムを実行するだけで精一杯だ お前のサポートをする所か このガルバディア城から外の事をうかがい知る事すら出来ない 世界一のプログラマーと名乗っている以上 不意を突かれたとは言え あれほど無様に負けたからには それなりの手土産でも得た上でなければ お前たちへ合わせる顔がないと思っていたのだが… まさか見舞いに来られてしまうとは』
プログラマーが苦笑する ヘクターが呆気にとられた後 苦笑して言う
「俺の世界一の相棒なら まず 俺の所へ帰って来る事の方が よっぽど重要だぜ?アバロンの民は自信家で 何だって信じられる替わりに 支えになるもんが無くなっちまうと 一気に力を失っちまうんだからよ?」
プログラマーが呆気にとられた後苦笑して言う
『珍しいな ヘクター お前がその様な明瞭な解析を口にするとは 確かに私の持つ情報の中にも同様のものがある しかし お前のそれは 多くの仲間たちやアバロンの国… お前には私の外にも 多くの支えがあるものと思っていたのだが?』
ヘクターが微笑して言う
「ああ!だから俺は その全部がなきゃダメだって事だ その中の1つだって失うのは許せねぇ」
プログラマーが軽く笑って言う
『フッ… どうやら お前は私が思っていたよりも 貪欲な者だったようだな?』
ヘクターが笑んで言う
「何だ 今頃知ったのか?遅いぜ 世界一の相棒?」
プログラマーとヘクターが笑う オライオンとシュライツが顔を見合わせ オライオンが笑い シュライツが嬉しそうに奇声を発する プログラマーが気付いて言う
『うん?ヘクター お前たちは 他にも人を連れ このガルバディア城へ入って来たのか?』
ヘクターとオライオンが疑問して顔を見合わせてから ヘクターが言う
「いや、俺たちだけだぜ?どうかしたのか?もし魔物でも紛れ込んじまってたってーなら」
ヘクターとオライオンが気を張る プログラマーが考えた後言う
『いや、魔物ではなく人だ… だが、現状の私では それ以上の確認が取られない …玉座の間に居る様だ』
ヘクターとオライオンが急いで走って行く シュライツが追い掛ける
玉座の間
バーネット2世が誰も居ない玉座へ向かって叫ぶ
「奴らのせいで!この世界が また悪魔力に滅ぼっされちまいそうになってやがるんだぞ!?てめぇは!過去のその苦しみを どの国の奴らよりも知ってやがるんだろ!?無駄に長生きだけしてやがらねぇで!その苦しみを繰り返させねぇ為にも 残されたこの世界の民へ 手を貸してやろうとは思わねぇのか!?」
ヘクターたちが走って来て驚き ヘクターが言う
「バーネット!?」
バーネット2世が驚き 振り返って言う
「へ、ヘクター!?何で てめぇらが 居やがる!?」
ヘクターたちがバーネット2世の近くに来て ヘクターが言う
「ああ、俺たちは ガルバディアに居る俺の相棒に会いに来たんだ お前こそ 何1人で叫んでんだよ?」
バーネット2世が呆気に取られて言う
「そうか… んあぁ!?俺が1人で叫んでるって?俺はっ!そこのスカした ガルバディア国王の野郎に この世界の危機を伝えてんじゃねぇか!?」
バーネット2世が玉座を指差す ヘクターとオライオンが示された先を見てから首を傾げ 顔を見合わせた後 オライオンが言う
「そこのって?そこの玉座には誰もいねーじゃねーか?」
バーネット2世が衝撃を受け 改めて玉座を見てから 怒って指差して言う
「誰もって…っ!?確かに奴ぁあ 幽霊みてぇえに透けてやがるが!てめぇらの仲間のプログラマーとか言う奴と同じ ホログラムで居やがるだろぉお!?」
ヘクターとオライオンが改めて玉座を見てから 顔を見合わせ顔を横に振る バーネット2世が衝撃を受け 慌てて玉座へ向き 間を置いて言う
「あぁ?…なんだよ!そぉ言う事は先に言いやがれってぇえんだ!」
バーネット2世が怒りのままに鞭で床を打つ オライオンとシュライツが怯える ヘクターが疑問する バーネット2世がヘクターたちへ向いて言う
「ガルバディア国王の奴は てめぇらと話す気がねぇから 姿を見せねぇんだとよ?」
ヘクターとオライオンが呆気にとられた後 苦笑してヘクターが言う
「そっか… けど、お前とは話すんだな?…何でだ?ベネテクトの王とガルバディアの王は 友好条約でも交してんのか?」
バーネット2世が衝撃を受けた後 慌てて言う
「ぬあっ!?あー、いや、あれだ!きっと俺の脅しにビビって 思わず話ちまってんだろ!?とりあえず ベネテクトとガルバディアが 友好条約を交す事なんざねぇよ!?」
オライオンが疑問して言う
「ホログラムのガルバディア国王が 何でバーネット陛下にビビるんだ?」
バーネット2世が衝撃を受け 鞭を持って脅して叫ぶ
「うるせぇええ!んな細けぇえ事 気にしやがるんじゃねぇええ!!」
バーネット2世が鞭を床に振るう オライオンが怯えてシュライツを盾にする シュライツが衝撃を受け 振り返ってオライオンに魔法を放つ オライオンが焦げる ヘクターが言う
「それで?ガルバディア国王は お前の話に何だって?さっきお前 この世界の民の為に ガルバディア国王に手を貸してくれって 言ってたよな?」
バーネット2世がヘクターへ向き直って言う
「ああ、そう言ったんだが… その件に関しては関わらねぇってよ?」
オライオンが言う
「バーネット陛下は この世界を助ける為の方法を ガルバディア国王に聞きに来たのか?」
バーネット2世が視線を逸らしながら言う
「あぁ それもあるが… モフュルスの奴が アバロンに遅れを取る訳にも行かねぇから ベネテクトも世継ぎを作って来やがれってぇ…」
バーネット2世がハッとして 慌ててオライオンを締め上げて叫ぶ
「てめぇええらには 関係ねぇええ!!」
オライオンが怯えながら叫ぶ
「だから 何で俺にーっ!?」
ヘクターが疑問して言う
「あ?何で世継ぎを作るのに ガルバディアに来るんだよ?ここに来たって 金髪に青い瞳の女なんて…」
ヘクターが言い掛けて疑問し振り返って誰も居ない場所へ言う
「デス、俺そう言えば 金髪に青い瞳の女なんて 見た事ねぇぜ?金髪の女は居ても 青い瞳はアバロンの民ぐれーだ それでも、アバロンに金髪の女は居ねぇ」
プログラマーが不鮮明なホログラムを表して言う
『ああ、確かにそうだな 私が今までに会った者の中にも その2つの条件に確実に当てはまる者は居ない 唯一レーミヤ辺りならば 青い瞳とも言う事が可能かも知れないが 厳密に言ってしまえば 青に近い緑となるだろう バーネット国王の様な碧眼の者は 確認されていない』
ヘクターとプログラマーがバーネット2世を見る バーネット2世が衝撃を受け視線を逸らす 締め上げられているオライオンが疑問し まじまじとバーネット2世を見て言う
「そう言えば… 俺もバーネット陛下みたいな人って ベネテクトでだって見た事がないぜ?ベネテクトの民は アバロンやツヴァイザーの民と似た感じだけど、バーネット陛下はそのどちらとも…」
バーネット2世が皆の視線に焦り後退る 皆が見つめる バーネット2世が怒って言う
「うるせぇええ!!こっちとら 国家機密だ!文句がありやがるってぇええなら てめぇえらまとめて ベネテクトの国家機密詮索罪で ひっ捕らえっぞぉおお!!」
バーネット2世が鞭を振るう オライオンが焦ってヘクターの後ろに隠れる バーネット2世がヘクターへ脅しを掛ける ヘクターが呆気にとられた後笑んで言う
「ああ、悪ぃ 俺お前よりもっと迫力のある お前に慣れてっから 全然平気だぜ?お前 もう1人のお前より 鞭の使い方が下手だよな?」
バーネット2世が衝撃を受ける
バーネット2世が溜め息を付いて言う
「良いか?誰にも言うんじゃねぇぞ?…代々ベネテクトの王は このガルバディアの技術で子孫を残してる …それだけだ てめぇらに言えるのはこれで限界だぜ?」
ヘクターが疑問して言う
「ベネテクトに妃を迎え入れねーのは 有事の際に人質に取られねー為ってのと ベネテクトの王が 民を愛する王だからなんだろ?だったら別に 金髪に碧眼だなんて拘らねーで 子孫ぐれー普通に残したって良いじゃねーかよ?科学的になんてやってたら このガルバディアの二の舞になっちまうぜ?」
バーネット2世が苦笑して言う
「はっはー 良く知ってやがるじゃねぇか?だが、残念ながら そのガルバディアと同様に 科学の力でしか残せねーから 仕方なくそうしてるってぇ状態だ」
オライオンが疑問して言う
「けど、ベネテクトの民が皆そうって訳じゃねーだろ?」
バーネット2世が言う
「ああ、むしろ こんな状態なのは 国王の一族だけだ ベネテクトの民は さっきてめぇが言った様に アバロンの民とツヴァイザーの民が混ざった様なもんで そのどちらの民とも変わらねぇよ」
プログラマーが疑問して言う
『では、ベネテクト王家の者は 元は何処の国の者なのだ?現存するこの世界のどこの国を確認しても ベネテクト王家の一族以外に 金髪に碧眼の者は存在しない』
バーネット2世が焦って言う
「だ、だからっ!国家機密だって言ってるじゃねぇええか!それ以上詮索しやがるんじゃねぇえ!」
シュライツが疑問し バーネット2世の前で何かを訴える バーネット2世が衝撃を受け焦って怒って叫ぶ
「うるせぇえ!それを言いやがるんじゃねぇええ!!例えそうであっても!俺はベネテクトの王で ベネテクトの民だぁああ!」
ヘクターたちが驚き顔を見合わせる 玉座にガルバディア国王が現れて言う
『バーネット2世 お前がこの世界の民を守る為 このガルバディアの技術を求めるのであれば 私はそれらを お前に譲っても構わない』
皆が驚きガルバディア国王へ向く バーネット2世が言う
「俺に譲るだぁ?それで てめぇは どうしようってぇんだ?遂に 死んでった民たちの後を 追いやがるってぇのか?」
ガルバディア国王が言う
『私は 私の相棒の下へ向かう その為にはお前の協力が必要だ そのアバロンの民ヘクターの相棒も私と同じ 新たな体による命の時を必要としている』
バーネット2世が疑問する ヘクターたちが驚きヘクターが言う
「新たな体って?おいっ ガルバディア国王!?あんたは俺らの事を知っているのか!?」
ガルバディア国王が言う
『アバロンの民ヘクター、このバーネット2世こそ 私と共に現存する最後のガルバディアの民だ』
ヘクターたちが驚いてバーネット2世へ向く バーネット2世が衝撃を受け焦って顔を逸らす ガルバディア国王が言う
『そして、彼の遺伝子情報は 延命処置を施した私のものとは異なり劣化などはしていない すなわち その遺伝子情報を用いた成長促進であれば 寿命の劣化も最小限に お前の相棒も 実体を持って 直ぐ様お前の力となる事が可能だ』
バーネット2世が言う
「はっはー!てめぇは端っからそれが目的だったのか?てめぇが新たな体を得て てめぇの相棒の下へ向かう… それをするには 今のまま機械の中に居るんじゃ叶わねぇ」
ガルバディア国王が微笑して言う
『この日の為に 長き時を費やした あの悪魔力の脅威から逃れたお前の先祖を ガルバディアから追放し 愛すべき民を与えてやった お前の一族は 私の思惑通り 彼らベネテクトの民を守る事を目的として このガルバディアで子孫を残し続けた 結果 この時の私の為に正常な遺伝子情報を残してくれたと言う事だ』
バーネット2世が言う
「ハッ!気に入らねぇ 俺らベネテクト王家の者は!てめぇの為に生き残ってた訳じゃねぇ!てめぇがかき集めやがったんだか知らねぇが ベネテクトの民は!俺らをベネテクトの王として認め 共に生きて来たんだ その民の思いまで てめぇが仕込んだ物だとは言わせねぇぜ!」
ガルバディア国王が軽く笑って言う
『そうだな 人の心は私にも作る事は出来ない しかし、お前はやはり 私の計算通り ベネテクトの次世代の王を作る為 ガルバディアへ現れ 更に 悪魔力の脅威と 闇の王から民を守るため この国の技術を欲した 私はその両方を与えてやると言っているのだ 互いの利益は十分に得られるだろう?』
バーネット2世が苦笑して言う
「ケッ!…てめぇの用意したガルバディアの技術ってぇのが どれだけの物かを確認するまでは その利益がありやがるのかは分からねぇが どちらにしろベネテクトの王子だけは必要なんだ ガルバディアの技術とやらの査定は見逃してやるぜ」
ガルバディア国王が笑んで言う
『お前の期待を 裏切るものでは無いと 保障をしてやる』
【 ソルベキア城 機械室 】
ニーナが心配そうな表情で視線を落としている ヴァルキリーたちが顔を見合わせ ニーナを見つめる ニーナが気付き顔を上げ微笑んで言う
「ううん!私は大丈夫なの!しばらく待っていれば 皆も大好きなユダさんやシリウスさんも帰って来るから それまで…」
ニーナが言葉を区切り 視線を落として言う
「…ウィザードのデスさん まだアバロン城に閉じ込められちゃってるって バッツさんが言ってたの お父さんたちの所へは帰って無いって… プログラマーのデスさんも 今はお父さんと一緒に戦え無くなっちゃったって… やっぱり 心配なの…」
【 ローレシア国 移動魔法陣 】
仮面を付けたバッツスクロイツとヴァルキリーたちが現れる 警備兵2人が驚き慌てて言う
「ヴァッ!ヴァルキリーだ!?ローレシア城に 奇襲を知らせる通信を…!」
1人の警備兵が走り 残った警備兵が魔法詠唱を開始する バッツスクロイツが微笑して 警備兵が放った魔法をヴァルキリーが切り裂く 警備兵が怯え後退って逃げ出して行く 通信を終えた警備兵が 慌ててそれを追って逃げて行く バッツスクロイツが軽く笑った後 モバイルPCを操作して言う
「うーん… やっぱデスは間に合わないかー でもまぁ?このヴァルキリー改たちの スペックなら?問題ナッシングー… かな…?」
バッツスクロイツが歩き出す ヴァルキリーたちが続く
【 ローレシア城 玉座の間 】
伝達の兵が駆け込んで来て言う
「申し上げますっ!ローレシア移動魔法陣に ヴァルキリーが現れました!」
キルビーグとルーゼックが驚き キルビーグが言う
「ヴァルキリーがっ!?では闇の王が そやつらを引き連れて 参ったのか!?」
伝達の兵が言う
「警備兵からの連絡では 闇の王ユダとシリウスはおらず その代わりに その闇の王らと同じ仮面を付けた 新たな人物が 確認されたとの事です!」
キルビーグが言う
「何っ!?では 新たなる闇の王が現れたと!?」
ルーゼックが立ち上がって叫ぶ
「全部隊 直ちに戦闘配備っ!デネシア国ハレルトへも伝達っ!同時にローレシアに常駐している 竜族の先住民族へも伝え ローレシア、ローゼント部隊合同 魔法剣士部隊を徴集しろっ!開戦ぞっ!」
城下町
閉じられていた門が破壊され バッツスクロイツがヴァルキリーたちと共に進み入る ローレシア魔力者部隊が詠唱を終え魔法を放つ ヴァルキリーたちがその魔法を切り裂き 魔法が四方八方へ飛ばされ それによる爆発が起きる 魔力者たちが呆気に取られる 爆風が収まった所で バッツスクロイツが微笑して言う
「我が名はクロイツヴォルデン!闇の王シリウスの忠実なる配下 我らの下僕ウィザードを捕らえたお前たちへ敬意を表し 本日は我が直々に相手をしてくれようぞ!さあ!我が忠実なるヴァルキリーたちよ!ローレシアの王を捕らえ 捩じ伏せよ!邪魔をする者は!…適当に痛め付けよ!攻撃!」
ヴァルキリーたちがローレシア魔力者部隊へ攻撃を開始する バッツスクロイツが人知れず息を吐いて言う
「ふぅ… 危ない危ない?セリフ間違えちゃう所だった… あれ?適当に痛め付けよ で合ってたかなー?」
バッツスクロイツが首を傾げる
間もなく ルーゼックが魔法剣士部隊を引き連れやって来る ヴァルキリーへ魔法を放っていた魔力者たちが道を開く バッツスクロイツが気付き微笑して言う
「来た来た…」
ルーゼックが剣を引抜いて言う
「闇の王シリウスの配下とやら 丁度良い 我らの新たなる力 魔法剣士部隊の試し切りにしてくれる!」
ローゼントの騎士団が剣を抜き構える ローレシアの魔力者部隊が魔法を放って 騎士団の剣に魔力を与える ルーゼックが自身の魔法剣をバッツスクロイツへ向けて叫ぶ
「ローレシア、ローゼント 両国の選ばれし勇士たちよっ!この世界に生きる全ての敵 闇の王の配下 クロイツヴォルデンとヴァルキリーを討ち倒せっ!攻撃ーっ!!」
ルーゼックと共に雄叫びを上げたローゼント騎士団がヴァルキリーとバッツスクロイツへ向かって来る バッツスクロイツが怯えて言う
「うわ…っ!やっぱモノホン前線は 俺っちにはキツイかもっ!…で、でも大丈夫!このヴァルキリー改たちの バトルデータから算出すればー?超楽勝って…」
ヴァルキリーたちが皆バッツスクロイツの近くから離れての戦闘へ向かう バッツスクロイツが衝撃を受け焦って言う
「え…っ!?キャー まじでー!?ヴァルキリーが全員行っちゃうーだなんてー!?超計算違いーなんですけどー!?」
ローゼント騎士団の1人がバッツスクロイツへ向かう バッツスクロイツが焦って言う
「や、やば…っ!」
バッツスクロイツが後退り 目を瞑って身を屈める 武器がぶつかり合う音が響く バッツスクロイツが疑問して 恐る恐る目を開けて見上げる バッツスクロイツとローゼント騎士団の間に アンドロイドのデスが入って バッツスクロイツを守っている バッツスクロイツが呆気に取られた後 笑顔で言う
「デスっ!」
アンドロイドのデスがローゼント騎士団の剣を払い攻撃する ローゼント騎士団が一度剣を引いて構え直す アンドロイドのデスがバッツスクロイツを背に守りに就く バッツスクロイツが苦笑して言う
「ふぅ… なーんだ?ちゃんとー?間に合ったーじゃない?…けど、もうちょっと早く来てくれよな?お陰でクールなクロイツヴォルデンが ちょっちカッコ悪いトコ見せちゃったーって感じ?」
アンドロイドのデスがバッツスクロイツを振り返る バッツスクロイツが軽く笑って言う
「お帰り、俺の相棒」
ルーゼックとキルビーグがアンドロイドのデスを見て驚いて ルーゼックが言う
「なんだ?あのヴァルキリーはっ!?他のヴァルキリーとは異なり ローブに身を隠してはいるが… あれもヴァルキリーなのか?」
キルビーグが言う
「いや、あの者だけは動きが違う それに 手にしている武器も」
ルーゼックが目を細め確認して言う
「確かに…?奴の持つ武器は 他のヴァルキリーとは違なる物… それに… 確か以前に 私はあの武器を どこかで見た様な…?」
ルーゼックが視線を下げて考えると 魔法剣の魔力が揺らぐ ルーゼックがハッとして言う
「…えぇい!分からぬものを考える必要も無い!奴も他のヴァルキリーと同じ あのクロイツヴォルデンの配下であるっ!この私が討ち取ってくれるわっ!」
ルーゼックが剣を振り払う キルビーグが魔力を集める
【 ソルベキア国 街中 】
ニーナが1人 おぼつかない足取りで歩いていて 人にぶつかり怒られる
「おいっ 何処見て歩いてんだ!」
ニーナが慌てて謝る
「ご、ごめんなさいなのっ あ、あのっ…」
人が嫌な感じで立ち去る ニーナが困った表情で言う
「…ソルベキアの人は 皆さん大忙しなの 誰も私の質問に 答えてくれそうに無いの…」
ニーナがしょんぼりする 機械鎧を外したヴァルキリーの1人が ニーナに気付き 衝撃を受け駆け付けて来て言う
「…ッ ダ!ダメ!ダーメー!」
ニーナが気付き 顔を上げて言う
「あ!ヴァルキリーさんなのー!」
ニーナが笑顔になる ヴァルキリーが衝撃を受け慌てて言う
「ダメ!ダ…メ!ダーメー!」
ニーナが疑問して首を傾げる
【 ローレシア国 城下町 】
バッツスクロイツの目前で アンドロイドのデスとルーゼックが戦っている バッツスクロイツがそれを見ていると バッツスクロイツの通信機が鳴る ルーゼックが衝撃を受け顔を向ける バッツスクロイツが通信機を着信させて言う
「はいはーい?こちら 超絶 絶好ー調ーに ローレシアをボコってる クロイツヴォルデンー」
ルーゼックが衝撃を受け怒って言う
「おのれっ!他国へ侵略しながら 通信機を受信させるとはっ!?」
通信機のモニターにヴァルキリーが映って言う
『ダメダメ、 ゴー トゥー アバロン ウィズ… ニーナ』
バッツスクロイツが衝撃を受け驚いて叫ぶ
「えぇえーっ!?」
ルーゼックが衝撃を受け 怒って指差して言う
「貴様っ!のうのうと戦場で通信に出ておきながら その通信内容に動揺してどうするっ!?」
バッツスクロイツがルーゼックへ 制止の手を向けて言う
「ちょ、ちょっち タンマ!」
ルーゼックが怒って言う
「何がタンマだ!馬鹿者ーっ!」
バッツスクロイツが慌ててモバイルPCを操作して 悲鳴を上げる
「キャー!まじ 超ー困るんですけどー!?今 この時ーにそーんな事ーに なっちゃったり なんかしたら!超ーたーいへーんー!どうするっ!?えっ!?これ どーしよー!?」
バッツスクロイツが動揺を隠さずオロオロする ルーゼックが疑問して言う
「な…?何事だ?何を貴様は それ程に動揺している?」
バッツスクロイツがルーゼックへ向いて言う
「えーっと… ちょっ!マジ ごめん!俺っち ちょっち急用出来ちゃったから?今 超―良い所ーだけど?一度エスケープさせてもらえる?」
ルーゼックが衝撃を受け怒って言う
「何を寝ぼけた事を申しておるのかっ!馬鹿者っ!同等か優勢の戦いをしておる貴様らが この状況から逃げ出そうとはっ!その急用とは何だっ!」
バッツスクロイツが言う
「あー それはー… えっとー?そのー… 実は!俺っち デートの約束を 超ド忘れしちゃってましたー!」
ルーゼックが怒って叫ぶ
「何だと貴様ぁああっ!?」
バッツスクロイツが言う
「ほらほらー?!だーからー?こう言う時ーは 超急いで行かないとー?レディを待たせるのは ジェントルマンにあらずー!みたいなー!?」
ルーゼックが衝撃を受け 怒って叫ぶ
「何を言っておるか!馬鹿者っ!!急いで行く前に 貴様は 取り急ぎ 謝罪の連絡を致さぬかっ!例え軟派な貴様とて その程度の礼節は一人前の人として身に付けよっ!」
バッツスクロイツが笑顔で言う
「えー!?って事ーは 行っちゃっても良いって感じー!?わーい まじ、超ーありがと ルーゼっち!この埋め合わせーは!近い内にまた来るからー?ローレシアの裏切り者ーとかに?虐められちゃっても?超ー頑張っちゃってよねー?俺っち、全力ーで応援してるからさっ!?」
ルーゼックが怒って叫ぶ
「誰がルーゼっちだ 無礼者っ!そして 敵である貴様の応援など要らぬわっ!それより貴様はっ!無駄話などしとらんで さっさと連絡を入れると共に 向かわぬかっ!!」
バッツスクロイツが笑顔で立ち去りながら言う
「それじゃー行かせて貰っちゃうーから!またねー!ルーゼっちー!…おーい 皆ー!スペシャル緊急エスケープ!撤収ー!」
ヴァルキリーたちが振り返り バッツスクロイツの後を追う ルーゼックが怒りのままに バッツスクロイツたちの後ろ姿を睨み続ける キルビーグが苦笑している
【 カイッズ国 城門前大広間 】
巨人族が祈りを捧げている 後住民族の司祭が両手を広げて言う
「おおー 我らの主 天に居わする神々よ!我ら罪深き子らは 貴方の身元に帰り戻るその時まで この混沌なる地上にて 数々の苦難に耐え忍ぶー… おおー 我らの母 聖母は何故 我らをこの地に落とされたのか 我らは常に貴女を崇め 貴女の声を聞きたしとー 日々祈りを捧げるー 聖母よー 貴女の声が聞こえたならー 我らは 何なりとその命に…」
巨人族たちがざわめき 指を指す 司祭が疑問し振り返る カイッズ城から出て来たリーザロッテが槍を地に叩き付けて叫ぶ
「オーホッホッホッホ!今!この世界は 闇の王ユダとその手下に 滅ぼされようとしていてよ!私たちが この地に落されたのでしたら!天でのうのうといらっしゃる 聖母様などに助けを求めるのでは無く!今こそ この地で共に生きる 私たちと一緒に 戦うべきでしてよ!」
司祭が衝撃を受け 怒って言う
「なっ!何と罰当たりな!一体 何処の異端娘じゃ!?」
レイトが衝撃を受け 怒って叫ぶ
「無礼者!こちらに居わすのは この世界を救う 我らツヴァイザーの勇者!リーザロッテ様なるぞ!」
リーザロッテが巨人族へ向いて言う
「カイッズ国の先住民族 巨人族の皆!私には貴方方の力が必要でしてよ!この世界を救う為 他の先住民族と共に 世界中の私たち後住民族と共に この世界の為に戦って頂けて!?私たちは皆で戦い!共に生きるのでしてよーっ!」
司祭が怒って言う
「何を言っておるかっ!今この世界を襲っておる 闇の王やヴァルキリーが このカイッズ国を襲わぬのも!我らの聖母がこのカイッズ国を守って下さっておるからじゃ!祈りを止めて戦うなど その様な事をしては!」
リーザロッテが言う
「闇の王やヴァルキリーが!このカイッズ国を襲わないのは 貴方方に戦う意思と力が無いからでしてよ!奴らは この小国カイッズなどいつでも落とせてよ!そして、このままでは 本当にいつか奴らの気が向いた時に あっけなく襲われて終ってしまうわ!そうならないためにも 今こそ私と共に 奴らに負けない力を有すべきでしてよ!」
司祭が言葉に押される リーザロッテが巨人族へ向いて言う
「天に居わす貴方方のお母様だって めそめそと助けを請うだけの 情けない息子では悲しまれるわ!貴方方は しっかりと自分たちの足で立ち この世界を救って見せる それ位の強さと勇気を持ちなさい!」
巨人族たちが呆気に取られた後顔を見合わせ やがて言う
「聖母様… 聖母様だ!我らの聖母様が 我らと共に戦う為 この地へ降りて来て下さったんだー!」
巨人族たちが喜ぶ 司祭が衝撃を受け慌てて言う
「ち、違うっ!そんな訳は無いっ!我らの聖母様が あんなじゃじゃ馬娘である訳が無かろうっ!」
リーザロッテが衝撃を受け 怒って言う
「誰がじゃじゃ馬娘ですってーっ!?」
【 アバロン城 玉座の間 】
伝達の兵が言う
「申し上げます!ツヴァイザーの勇者リーザロッテが スプローニに続きカイッズ国の先住民族をも 手中へ収めたとの事です!」
ヴィクトール13世が歯噛みして表情を怒らす 家臣Aが言う
「ヴィクトール陛下!やはり ツヴァイザーの勇者リーザロッテは この世界中の先住民族を 手下に従えるものと思われます!」
家臣Bが言う
「このままでは レリアン王妃殿下の祖国であるデネシア国へも その手が伸びるやもしれません!」
家臣Cが言う
「ヴィクトール陛下!デネシアがツヴァイザーの手に渡るような事があっては!」
ヴィクトール13世が言う
「ベネテクトへ戻ったバーネット2世の その後の行方は掴めたのか?」
家臣たちが慌てて資料を探して家臣Aが言う
「バーネット様のその後の行動は ツヴァイザー国へベネテクト部隊と共に援護に向かわれ 闇の王ユダとシリウス、ヴァルキリーたちとの戦いに 参戦したと言う所までは お姿の確認が取られております」
家臣Bが言う
「ベネテクトやアバロンに居た時と同様に 日々のベネテクト国内の状況確認と支援、その他の指示は 変わり無くベネテクトの大臣モフュルス殿へなされている事が 通信記録から音声生態識別にて 確認されております」
家臣Cが言う
「しかし、バーネット様がアバロン第二国王の王位を返還され ツヴァイザーの援護に向かった翌日から今日までの間 ベネテクト国内 共にアバロンや他の国でも 一切お姿の確認は取られておりません」
ヴィクトール13世が言う
「モフュルス殿と通信連絡を取っているのなら その発信源は分かるだろう?」
家臣Aが言う
「それが、通信の受信発信源の確認は 現在も取られない状態にあります アバロン情報部の力では 恐らく今後もその確認を取る事は不可能であると」
ヴィクトール13世が言う
「アバロン情報部の力は この世界においてローレシアに継ぐものだ 口先だけのシュレイザーや他国に遅れは取っていない そして同等の力を持つローレシアに劣る事も無い 我らの確認を妨げられるのは ガルバディアかソルベキアのどちらかだ しかし、もしソルベキアに居たのならモフュルス殿と 民について連絡を取り合う等と言う事は出来ない」
家臣らが驚き 家臣Bが言う
「ではっ バーネット殿はガルバディアに!?」
家臣Cが驚いて言う
「しかし 今この時に国を閉ざしているガルバディアへ行く必要などありましょうか!?ガルバディアから支援を得ようにも かの国は部隊などは有しておりません」
ヴィクトール13世が言う
「国を閉ざしているとは言え ガルバディアは恐らくこの世界で もっとも強い力を隠し持つ国だ このアバロンで一番の力を持つ ヘクターの相棒もガルバディアの民 そして、20年後の世界から戻って来た アバロンの勇者であるヘクターの相棒や あのウィザードも…」
家臣Aが焦って言う
「ではっ!バーネット殿は それらの力を求め ガルバディアへ向かったと!?」
ヴィクトール13世が視線を逸らす 伝達の兵が現れて言う
「申し上げます!ローレシア国ルーゼック第二国王より 現在我らアバロンに捕らえられている ウィザードの引渡し催促が入っております」
家臣たちが一度伝達の兵へ視線を向けた後 ヴィクトール13世へ向いて家臣Aが言う
「陛下、ルーゼック殿からの ウィザード引渡し催促はこれで2度目となります これ以上の引き渡し要求の無視は アバロンの他国への信頼に問題を生じさせます」
家臣Bが言う
「陛下!あのウィザードが 我らアバロンと共に闇の王たちと戦った事は 既にローレシアと協定を結んだローゼントから伝わっていると思われます これ以上隠し通す事は不可能です!」
家臣Cが言う
「陛下!現在ローレシアが第二国王と魔法剣士部隊の力を得た事により 世界の国々は このアバロンでは無い 北の2人の王を示唆し始めているとの噂があります 現状で第二国王を失ったアバロンが これ以上各国との信頼を失っては」
ヴィクトール13世が言う
「ローレシアが第二国王を得た事を 快く思わぬ者が居ると聞いたが その者の確認は取られたのか?」
家臣Aが言う
「はい!その者の確認は取られました 正体はローレシア国元第一部隊長ラグハーン 先代ローレシア国王の従兄弟に当たる者だとの事です」
家臣Bが言う
「ラグハーンは ローレシアの民でありながら 魔力を持たないローレシアの剣士ですが ルーゼック殿とは異なり 魔法剣士部隊には参入しておりません」
家臣Cが言う
「ラグハーンは 先代ローレシア国王の死因にも 関係があるのではないかと 目下執行猶予中であるとの事です」
ヴィクトール13世が言う
「国王の死因に僅かなりとも関係があるのであれば 執行猶予などは与えられ無い 急ぎラグハーンの詳細を探れ 使える者なら手玉に取り 奴への手助けを行え これ以上ローレシアに力を付けさせる訳にはいかない」
家臣Aが返事をして急いで向かう 家臣Bがヴィクトール13世へ向いて言う
「陛下、ツヴァイザーの勇者リーザロッテに関しては如何致しましょう?」
ヴィクトール13世が言う
「スプローニとカイッズの先住民族を従えたとしても 先住民族だけでは各国の部隊に比べ 大した力とはならない 彼女が何を目的として それらの者たちを従えるのか その裏づけを取れ」
家臣Bが返事をして急いで向かう ヴィクトール13世が家臣Cへ向いて言う
「そして…」
家臣Cが頷いて言う
「ガルバディアへ向かった バーネット殿の動向を調査致します」
家臣Cが礼をした後急いで向かう ヴィクトール13世がその後ろ姿を見つめた後 間を置いてもう1つの玉座へ視線を向ける
【 ガルバディア城 玉座の間 】
玉座に座るバーネット2世が周囲にホログラムのモニターをいくつも表示させながら言う
「アバロンが各国からの信頼ってぇ力を失いつつある んな時に 3番目の指示に俺の捜索をさせやがるなんて… しかも ルーゼックの奴を討とうとする奴に手を貸そうなんざ 友情の王が聞いて呆れっぞ ヴィクトール… てめぇはそんな奴じゃねぇだろ?」
バーネット2世が溜め息を吐く ホログラムのモニターが増える バーネット2世がそれに気付き微笑して言う
「ああ、丁度来やがったか… 知らせてやる必要も無かったみてぇだな?ヘクター」
バーネット2世が玉座に凭れ 軽く顔を上げて周囲のモニターを眺めながら言う
「…どんな情報漏洩防止策も このガルバディアの力を使っちまえば 全て筒抜けだ 国家情報を電子化しちまってるソルベキアやローレシアなんざ自国の情報と同等に分かっちまう… おまけに電子化をしていなくったって 紙に書かれた時点で終わりだぁ この力なら紙と言う情報に上書きされたインクの位置すら情報になって現れやがる…」
バーネット2世が目を閉じて言う
「どんなに戦力を持っていやがっても 自国の国家情報が手に取る様に知られっちまうんじゃ どの国も このガルバディアには勝てねぇ… あのガルバディア国王の奴が 世界を手中に収めようとしなかったのは ただ単に… それが自分の目的じゃぁ 無かったからだってぇのか?」
バーネット2世がホログラムのモニターを全て消して 一息吐いて目を開く 玉座の間にヘクターが現れて言う
「よう、バーネット?お前 ベネテクトには帰って来ないのか?俺たちは そのベネテクトに居たんだぜ?」
バーネット2世が軽く笑って言う
「ああ、知ってる 魔物退治の部隊指揮を執りやがって… てめぇ、うちのベネテクト部隊を引き抜こうなんざしやがったら ただじゃおかねぇからなぁ?」
ヘクターが呆気に取られた後 笑って言う
「俺はもう隊長は辞めたんだ 今回はたまたま合同になって 気付いたら指揮っちまってたってだけだぜ 怒るなよ?」
バーネット2世が微笑して言う
「まぁ良い それよかぁ あいつを迎えに来やがったんだろ?まだ機械の中で眠ってやがるが とっくに睡眠プログラムは解除されてんだ 叩き起こして連れて行きやがれ」
ヘクターが微笑して言う
「おう、そのつもりで来たんだ!…ああ、それと?」
ヘクターが向かおうとしていた足を止め 振り返って言う
「ベネテクトの民が 国王に会いたがってたぜ?アバロンの第二国王を辞めたんなら ここで指示だけ出してねーで たまにはちゃんと民の所に帰れよな?」
バーネット2世が苦笑する
プログラマーの部屋
ヘクターが中央の機械へ向かう 周囲の機械が作動し 機械の中の精製水が抜かれる ヘクターが機械の中を覗き込んで軽く驚く 表面のガラスが収納されプログラマーが目を開き ヘクターへ向く ヘクターが呆気に取られた状態から微笑して言う
「よう?世界一の相棒!久し振りだな?」
プログラマーが微笑して言う
『この姿では 気付いて貰えないのではないかと …少し心配していた』
プログラマーが身を起こす ヘクターが苦笑して言う
「ああ、驚きはしたけどよ?バーネットに会った後だったから すぐに分かったぜ!まぁ、会って無くっても 分かっただろうけどな?」
プログラマーが苦笑して言う
『この姿が ガルバディアの民の元の姿 …だが、やはり 私には少し派手過ぎる 瞳の色は変えられないが 髪の色は何とかするか…』
プログラマーが自分の髪を確認する ヘクターが軽く笑って言う
「姿はバーネットと同じになっちまったけど 声は前のままなんだな?」
プログラマーが言う
『…いや、余りにも全てが違い過ぎては 流石のお前にも不信感を持たれてしまうのではないかと 音声プログラムを実行している』
ヘクターが苦笑して言う
「ははっ まぁ そうだったかもな?けど、もう大丈夫だぜ?せっかく俺が喋り方を教えてやったんだ 忘れて無いだろ?」
プログラマーがヘクターの顔を見て微笑して言う
「もちろんだ ヘクター」
ヘクターが一瞬驚いた後 軽く笑う
ガルバディア城 門外
ヘクターとプログラマーが歩いてガルバディア城から去って行く ヘクターが言う
「お前が機械の外に出たって事は 次はソルベキアに行って プログラムをやる為の機械を手に入れるんだろ?オライオンとシュライツを呼ぶか?」
ヘクターが通信機を取り出す プログラマーが言う
「いや、その必要は無い この体にあるマイクロトランスミッターを ガルバディアのセントラルコンピュータへ接続する許可を 我らの父バーネット2世 新ガルバディア国王陛下から得る事が出来た 従ってガルバディアの装置の中に居た時と同様のプログラムを 現状で行う事が可能だ」
ヘクターが驚いて言う
「あ…?バーネットは ガルバディアの国王になったのか!?」
プログラマーが言う
「ああ、ガルバディアの王位はバーネット2世へ譲られた 今後、ガルバディアはベネテクトと共に彼が統括する事となる …最も、このガルバディアには町も村も無い ベネテクトのそれらが ガルバディアの領地として含まれた と言った所だろう これでガルバディアはアバロンやローレシア、シュレイザーに継ぐ大国となる」
ヘクターが言う
「じゃー もうバーネットは アバロンの第二国王にはならねーかもな?」
プログラマーが言う
「ああ、彼がアバロンの第二国王へ戻る可能性は 0%だ」
ヘクターとプログラマーが軽く笑う
【 ローレシア城 玉座の間 】
ルーゼックが目の前のローレシア兵へ怒って言う
「馬鹿者っ!例え他国のアバロンの中とあろうともっ!ウィザードの見張りを行っている ローレシアの兵との連絡を遮られ おめおめと帰って来よるとはっ!貴様らローレシア兵はいつから アバロンの言いなり兵へと成り下がったのだっ!?」
ローレシア兵が言う
「も、申し訳有りませんっ アバロンのヴィクトール国王から直接 ローレシアの国王へ連絡を入れるとの お言葉を頂いた為 それ以上の進言は出来ず 引き下がるに至りました」
ルーゼックが他方へ顔を向けて言う
「その連絡とやらは入っておるのか?」
キルビーグが言う
「いや、私の方へは アバロンからの連絡は一切入って居ない」
ルーゼックが言う
「私が送った 1度目、2度目の引渡し要請にも なんら返答は戻って来ておらぬ」
キルビーグが言う
「では、私から連絡を送ろう 引渡し要請を無視したうえ 見張りに付けた自国の兵らとの面会さえ許されぬとあっては この世界の平和条約に反している事となる」
ルーゼックが怒って言う
「待てっ!貴様が連絡を送る必要はあらぬっ!ヴィクトール国王は このローレシアの第二国王である 私からの連絡を2度に渡って無視したのだっ!その上に送った ローレシアからの使者の面会を遮断した上 突き返すとはっ!?ここまでの仕打ちをされ 黙っておる事など出来ぬっ!今度は私が自ら向かい 納得の行く説明を聞き出してくれるわっ!」
ルーゼックが玉座を立ち 出口へ向かう キルビーグが慌てて言う
「待てっ ルーゼック!お前がアバロンに行っているその間に 再びあのクロイツヴォルデンとヴァルキリーらが現れたらどうするのだ!?あの者は すぐにまた来る と申しておったでは無いか?」
ルーゼックが衝撃を受ける キルビーグが続ける
「実に取って付けたような言い訳へ 助言までして一時退避を許した所 そのお前の居らぬ時に再び奇襲を受け このローレシアが落とされるような事になっては大変だ それに引き換え アバロンとの小競り合いなど 今は脇に置いても良い時であろう?」
ルーゼックが振り返って言う
「…あれは言い訳であったのか?」
キルビーグが苦笑して言う
「例え事実であっても 間を置かずして 奴らは再び参る様子であった 従って今は…」
ルーゼックが怒って言う
「黙れっ!キルビーグっ!奴の恋路が成功しようが失敗しようが関係無い…っ!違うっ!奴らが来ようが来まいが関係は無いのだっ!奴らの襲来へ備え このローレシアの2人の王が身動き出来ぬ等っ!その様な醜態を晒してなるものかっ!私は第二国王であって この国には第一国王の貴様がおるっ!奴が来るとほざいておっても 私は堂々と留守にしてやるわっ!奴がどうしても この私と戦いたいと 申すのであればっ!それこそ日を改めて参れと申しておけっ!」
ローレシア兵が呆気に取られている ルーゼックが睨み付けて言う
「貴様っ!まだそこへ居ったのか!?貴様はすぐさまアバロンへ戻り 見張りの兵との連絡を再度要求せよっ!」
ローレシア兵が焦って言う
「し、しかし それでは私まで いつまでも ローレシアへ戻れ無く…」
ルーゼックが怒って言う
「馬鹿者っ!それこそ貴様は 任務を遂行させるまでは ローレシアへは戻らぬと言う 意地と矜持を見せぬかっ!」
ルーゼックが怒ったまま玉座の間を出ようとする キルビーグが立ち上がって言う
「待たぬか ルーゼックっ!魔法剣士部隊を率いるお前が居らなくては!このローレシアを落とさんとする奴らにとって 絶好の好機と取られるものとっ!」
ルーゼックが振り返って言う
「何を申すか キルビーグ!それこそ 魔法剣士部隊の魔法を司る 貴様が1人でも居ればっ!何の問題も無くこのローレシアを守り通すことが出来ると申す事を示す… ぐぅっ!?」
ルーゼックが言い掛けた所で目を見開く ルーゼックの片腹に短剣が突き刺されている ルーゼックが視線を短剣の持ち主へ向ける ルーゼックの視線の先 玉座の間の出入り口に身を潜めていたラグハーンがニヤリと笑む ルーゼックがラグハーンを確認して言う
「誰だ…っ 貴様は…っ!?」
キルビーグが驚いて叫ぶ
「ルーゼックっ!!」
ラグハーンがルーゼックから短剣を引抜く ルーゼックが膝を着き倒れそうになるが 怒りで身を支え剣を引抜いて言う
「おのれっ反逆者めっ!」
ラグハーンが短剣を捨て剣を抜いて構える キルビーグが駆け付け ラグハーンへ向いて言う
「止めよっ!ラグハーン!貴殿はこれ以上ローレシアへの罪を重ねるつもりかっ!?いかに貴殿と言えど 今度こそ命は無いぞっ!」
ラグハーンが微笑して言う
「ローレシアへの罪を重ねているのは 貴様の方だキルビーグ 他国の者に このローレシアの権限を奪われるだけでなく この国の力となった 魔法剣士部隊の統括を自ら委ねるとは?何処まで貴様はローレシア国王の威厳を損なわせれば気が済む?」
ラグハーンが剣をキルビーグへ向ける 周囲に集まっていたローレシア兵が言う
「ラグハーン殿!キルビーグ陛下へ剣を向ける事は 許されません!」
ローレシア兵たちが魔力を集結する ラグハーンが苦笑して剣を収めて言う
「ふんっ そうだったな?こんな者でも我らローレシアの王なのだ キルビーグ 貴様が王の座に居る事は認めてやる だが?このローレシアに第二国王などと言う存在は不要だ そうと言ったのは他でも無い お前の父 イシュラーン前ローレシア国王だろう?」
キルビーグが表情を険しくして言う
「前王であった我が父イシュラーンが ローレシアの第二国王を否定したのは 貴殿がその器に無かったからだ ラグハーン!その証拠に貴殿は 我が父の九死に 己のみ逃げ延びて ローレシアへと戻ったのでは無いか!」
ラグハーンが言葉に負け後退るが 改めて威勢を張って言う
「…違うっ!あれはイシュラーンが 己の力を過信して 事を起こそうとしただけだ!俺が止めたにも関わらず 奴はアバロンへの奇襲を決行した その結果ヴィクトール12世とバーネット1世の手に掛かり 返り討ちにされたのだ!」
キルビーグがルーゼックへ回復魔法を掛けながら言う
「それこそ貴殿の見誤りだ ヴィクトール12世とバーネット1世は 確かに強い力を持っては居たが そのどちらも魔力などは有して居らなかった ローレシア随一の魔力者であった我が父イシュラーンと 当時ローレシアで最も力を有していた 第一部隊のその隊長である貴殿の力があったなら 勝機は十分にあった 貴殿が父や部隊の者を見捨てたりなどしなければ きっと今頃アバロンは 我らローレシアの支配下にあった筈だ」
ラグハーンが言い返す言葉を失う 周囲の兵たちが顔を見合わせる キルビーグが回復魔法を終えて言う
「ルーゼック 済まなかった 我が父の代に起こった事で お前に被害を与えてしまうとは… だが、急所を外されていて良かった さぁ、傷は癒えた この事は いっときの痛みであったと どうか許してくれ」
キルビーグが苦笑してルーゼックへ顔を向ける ルーゼックが苦しそうに言う
「ばか…者がっ さっさと 奴を取り 押 さえ…」
ルーゼックが剣を手放して意識を失う キルビーグが驚いて言う
「ルーゼック!?どうしたのだ!?傷は完治したと申すのにっ!」
【 アバロン国 ヘクターの家 】
ヘクターが驚いて言う
「ニーナが この家に来ただってっ!?」
オライオンが言う
「それで!ニーナは!?」
ミーナとタニアが困った表情で顔を見合わせた後 ミーナが言う
「それが… 私たちと話をした後に…」
回想
ミーナとタニアが ニーナと機械鎧を外したヴァルキリーを前にしていて ニーナが言う
「それじゃっ 誰もウィザードのデスさんの様子は 分からないのっ!?」
ミーナが言う
「うん、お父さんもお兄ちゃんも この世界のお父さんも …もちろん私たちも 誰も面会はさせて貰えないんだよ」
タニアが言う
「でも きっと大丈夫よ ニーナ?今は ウィザードさんの監視に 他国の方が居るから お話が出来ないだけで きっとその方たちの監視の目が 無くなりさえすれば…」
ミーナが言う
「この世界のアバロンの王様も ヴィクトール陛下だもん 大丈夫だよ!ニーナ!」
ニーナが心配そうな表情を見せる タニアが苦笑して言う
「それより ニーナ?私たちは あなたの事をとても心配していたのよ?闇の王の所に居るだなんて 本当に大丈夫なの?その… こちらの方は?」
ミーナとタニアがヴァルキリーへ視線を向ける ヴァルキリーが衝撃を受け焦る ニーナが微笑して言う
「20年前のお母さん、私は大丈夫なの この人はヴァルキ…」
ヴァルキリーが衝撃を受け慌てて言う
「ダメ!ダーメー!」
ニーナが呆気にとられた後軽く笑う ミーナとタニアが顔を見合わせる 家の扉が勢い良く開かれ 派手な仮面を付けたバッツスクロイツが現れて叫ぶ
「我が名は怪盗 ルパーん13世ー!可愛いニーナ嬢を 盗みに参ったー!」
ニーナが振り返って疑問する ミーナとタニアが呆気に取られる バッツスクロイツがニーナへ耳打ちをする
「ニーナちゃんっ ナウこんな所に居るのは スペシャルデンジャラスなんだっ 今すぐウィズ俺っちで ソルベキアにエスケープするんだよっ!?」
ニーナが疑問した後 笑顔で言う
「うん!分からないけど 分かったの!私はバッツさ」
バッツスクロイツが慌てて叫ぶ
「ノーツッ!セイ マイ ネーム!」
回想終了
オライオンが言う
「その変な仮面の男と ソルベキアに戻っちまったのか?」
タニアが言う
「ええ、そうなの もちろん止めたのだけど この人は悪い人じゃないから 心配無いからって…」
ヘクターが振り返り 後ろに居たプログラマーへ言う
「デス、その『怪盗ルーパン13世』ってのを探せねーのか?」
プログラマーが言う
「ルーパンでは無くルパンだ が、それはこの世界には存在しない者で 更に世代数も10世ほど多い… ただの偽名か冗談だろう」
ミーナとタニアが驚き ミーナがプログラマーを指差し言う
「え!?デスさん!?」
タニアが言う
「あら あの映像の方?私てっきりあの映像が 本人の姿なのだと思っていたわ?」
ミーナとタニアがまじまじとプログラマーの姿を見る プログラマーが2人の視線に恥ずかし気に後ずさって言う
「わ、私自身も この姿にはまだ慣れて居ないのだ そんなにじっと見ないで欲しいのだが…」
ヘクターが苦笑して言う
「恥ずかしがる事ねーじゃねーか?元はバーネットの姿なんだし 俺としては別に金髪のままでも 良かったと思うんだけどなぁ?」
オライオンがにやにや笑って言う
「親父は金髪の美女が好きなんだもんなー?特に長髪の!道行く金髪で長髪の女をいっつも目で追ってるしよ?」
ヘクターとタニアが衝撃を受け ヘクターが慌てて言う
「な!?おいっ!馬鹿息子っ!お前タニアの前で その事を言うなって!」
タニアがそっぽを向いて言う
「ふんっ 別に良いんじゃないの?この世界に貴方の奥さんの 金髪では無い タニアは居ないのですからっ?」
ヘクターが慌てて言う
「いや!別に俺が好きって訳じゃなくて!金髪の女は このアバロンの妃候補になったりするからよ!?」
プログラマーが疑問して言う
「それはベネテクトの妃では無かったのか?」
ヘクターがプログラマーへ向いて言う
「いや、違うぜ!?ベネテクトの妃の話は確かにベネテクト建国の時から始まったらしいけど それ以前のアバロンの妃の候補でもあったんだ!…まぁこっちはただ、アバロンの王が金髪の美女が好きだったって話しだけどよ?」
ミーナが疑問して言う
「え?そうなのかなぁ?だって歴代のヴィクトール陛下の妃は みんなデネシアの王女様だから 金髪の人は居なかったと思うけど?」
プログラマーが言う
「デネシアの王女との婚約は このアバロンとデネシアの政略結婚であると言える ただ、好きであったと言う事であるのなら ヘクターの話も有り得るだろう」
タニアが言う
「でも、例え歴代のヴィクトール陛下が 金髪の美女を好んでいらしても ヘクターがその金髪美女を見つめる必要は無いわよね?」
ヘクターが衝撃を受け 慌てて言う
「タニアっ!俺の世界一の嫁さんはタニアだけだって!?」
タニアがそっぽを向く ヘクターが慌てる プログラマーとミーナが顔を見合わせ微笑する ミーナがハッとして言う
「あれ?そういえば…」
ミーナがプログラマーを見ながら考える プログラマーが言う
「どうかしたのか?」
ミーナが言う
「うん、ニーナと一緒に来た人 あの人の姿って… デスさんの前の姿にとっても似てたような…?」
プログラマーが言う
「私の前の姿?ではその者は ガルバディアの…?」
この世界のヘクターとガルバディアの騎士が家に入って来る この世界のヘクターがヘクターへ向いて言う
「おいっ!お前!どこ行ってたんだよ!?」
ヘクターが少し驚いて言う
「あ?俺は俺の相棒を迎えに ガルバディアに行ってたんだぜ?まぁ… しばらくベネテクトにも居たけどよ?」
ガルバディアの騎士が言う
「その間に お前の兄であるウィザードのレクターが…」
ミーナとタニアが驚き 2人でガルバディアの騎士を指差して声を上げる
「「あーっ!!」」
ガルバディアの騎士が呆気に取られ言う
「…私がどうかしたのか?」
【 ソルベキア城 機械室 】
バッツスクロイツが怒って言う
「もぉー!何ーで勝手ーに ニーナちゃんと2人っきりーで 今、見付かっちゃったら超大ー変ーな アバロンになんか?行っちゃったりなんかするの!この お馬鹿ヴァルキリー!」
怒られているヴァルキリーが無言で泣き続ける 周囲のヴァルキリーたちが貰い泣きしている ニーナがヴァルキリーを庇って言う
「違うのバッツさん!私がお願いしたの!ウィザードのデスさんが まだお父さんたちと会えてないって聞いて とっても心配で!だから 私がどうしても行くって言ったの!」
バッツスクロイツが言う
「そうだとしても!このヴァルキリーの姿は ヘクターの相棒のデスっちと モノホンそっくりさんなんだから!絶対もうバレちゃってるーって感じなんだよ!?ニーナちゃんだけなら大丈夫だったのに!このお馬鹿ヴァルキリーが ついて行っちゃったせいで!」
ニーナが困って言う
「で、でも きっと私だけだったら アバロンの兵士さんに捕まっちゃってたの このヴァルキリーさんが アバロンの兵士さんたちから 私を隠してくれたの!」
バッツスクロイツが言う
「例えニーナちゃんが見付かっちゃってーの捕まっちゃってーだったとしても 最悪、作戦には何の心配もナッシングだったんだ!この世界で外界に出ているガルバディアの民は この世界のヘクターの相棒であるデスっちだけなんだから あの世界一のプログラマーのデスっちなら 色々考えた上で、きっと 俺たちの事もばれちゃうーって感じで!?」
部屋の扉が開き ユダとシリウスが入って来て ユダが言う
「何を騒いでいるんだい?クロイツヴォルデン兼バッツスクロイツにして ルパーん13世殿?」
バッツスクロイツが衝撃を受ける ユダとシリウスが笑う ニーナが振り返って言う
「あ、ユダさんとシリウスさん お帰りなさいなの」
ユダが微笑んでニーナへ返事をする シリウスがバッツスクロイツへ言う
「はっはー クールなクロイツヴォルデン殿は 一瞬で終っちまったなぁ?やっぱりてめぇは 鈍臭ぇバッツスクロイツだよなぁ?」
シリウスが笑う バッツスクロイツが慌てて言う
「それ所じゃ無いんだって!シリウスっち!もぉー2人が居ない間に 俺っち超パニクって 超絶、大忙しーだったんだぜ!クールに決めてる余裕なんて まったくナッシング!」
ユダが怒られていたヴァルキリーの前に行って言う
「良く1人でニーナを守り抜き 無事ヘクターの家まで導いたね?集団で行動する事しか教えられて居なかったお前たちの中で ニーナの願いを理解し 彼女を連れ戻すと言う本来の作戦から 彼女を守り共に彼女の願いを叶えて戻る事を選択した お前の勇気と行動は賞賛に値する」
ユダが怒られていたヴァルキリーの頭を撫で微笑む 怒られていたヴァルキリーが呆気に取られる バッツスクロイツが衝撃を受け怒って言う
「ちょっとー!?何 超親馬鹿ーかましちゃってるーの ユダっちー!?そのダメダメ一号君のお陰で 俺たちの超ー正体ーが 世界一のプログラマーのデスっちに バレちゃうかもしれないーんだよー!?」
シリウスが椅子に腰掛け 机に足を置いて言う
「ニーナがアバロンへ向かっちまう事は 予定には含まれてなかったが 今の時期にアバロンに捕まっちまう事だけは 何としても避けなけりゃぁならなかったんだ そのヴァルキリーがニーナと一緒に行かなけりゃ きっとアバロンの城下をふら付いていたニーナは 警戒強化されていたアバロンで 見付かっちまってただろよ?」
ユダが言う
「この世界の国外に出ていたガルバディアの民のデータは 元ガルバディア国王殿が改善してくれたんだ 彼の力ならこの世界に居る世界一のプログラマー殿の力にも負けず 尚且つ データの改善にすら気付かれる事も無いだろう このヴァルキリーの姿を見られていても そこから我々の事を知られる事は無い筈だ …だから、もう心配は無いぞ?」
ユダが怒られていたヴァルキリーの頭を撫でて微笑む 周囲のヴァルキリーたちがホッとして顔を見合せる シリウスが言う
「それはそうと?鈍臭ぇバッツスクロイツ ローレシアの第二国王殿がぶっ倒れたままだってぇのは どう言う事だぁ?とっとともう一度襲撃に行って ローレシアの力を完全なものにしやがるってぇのが てめぇのオーダーじゃぁ無かったのかよ?」
バッツスクロイツが操作盤を操作して言う
「うんー、その予定ーだったんだけどさ?今はそのぶっ倒れてるルーゼっちが 起き上がれ無いほど超絶体調不良ーだからー?俺っちも行っちゃって良いのかなー?ってさ?」
ユダが言う
「ルーゼック殿が体調不良とは?予定ではローレシアの裏切り者に斬り付けられ 危うく一命を落とす所を 何とか免れる …と言う筋書きではなかっただろうか?」
バッツスクロイツが言う
「そーそー、誰かさんが嫌いな デネシアの王様の為に 超適当に作ってくれた その筋書きのせいで?危うく一命を落とし掛ける所も?かなりマジ本気で危うかったけどさ?それでも すぐに回復がされて 傷は完治したんだけどー?」
バッツスクロイツがモニターにデータを現す シリウスがそれを見て衝撃を受け 立ち上がって叫ぶ
「なぁああ!?おいっ!てめぇええ!何考えてやがるんだっ!この泣き虫ヴィクトールはぁああ!!」
ユダが呆気に取られて言う
「え?あれ?僕の事?」
シリウスが衝撃を受ける
【 ローレシア城 ルーゼックの部屋 】
キルビーグが驚いて言う
「ではっ!?ルーゼックはその毒に侵され 専用の解毒薬がなければ 後4日で命を落とすと申すのか!?」
医師が言う
「はい、ルーゼック陛下の受けられた毒は 紛れも無く先代ローレシア国王イシュラーン陛下のお命を奪った バーネット1世の剣に塗られていたものと同じもの この毒は 毒を受けた者を5日の間を苦しませた後に 命を奪い去ります」
キルビーグがラグハーンへ怒って言う
「ラグハーン!貴殿はっ 我が父を苦しめたあの毒を 再び使う程に この私が憎いのか!?過去にローレシアの王の命を奪った その毒を使用する事は 即ち このローレシアの敵も同然ぞ!」
ラグハーンが俯き悔しさを押し殺す 医師が言う
「この毒に関しては イシュラーン元国王陛下がその身に受けられた当時から 解析を行っておりましたが 未だ その解毒薬は開発されておりません 今ルーゼック陛下をお助けするには この毒の元の所有者である バーネット1世に尋ねる事でしか無いと思われます」
キルビーグが言う
「そうは申しても バーネット1世は既にこの世を去っておる 更にその息子であるバーネット2世は 現在行方不明だ アバロンですら その行方は掴めておらぬ様子…っ ラグハーン!貴殿は何処で この毒を手に入れたのだ!?」
ラグハーンが表情を困らせて言う
「それは…」
キルビーグが詰め寄って言う
「申さぬか!ラグハーン!今それを申すのであれば 再び貴殿へ執行猶予を与えてやる!申さぬのなら!今ここで私自らが 貴殿の首を討ち落としてくれようぞ!」
キルビーグがルーゼックの剣を取り引抜く ラグハーンが言わずにいる キルビーグが言う
「ならば最後の頼みの綱だ アバロンへ向かいヴィクトール国王へ 協力を請うしかあるまい!」
キルビーグが出口へ向かう ラグハーンが驚いて叫ぶ
「そんな事をしては!ローレシアはアバロンの思うがままに!やはり貴様は このローレシアの王として相応しく無い!第二国王と共にローレシアの為 この俺が討ち取ってくれる!」
ラグハーンが剣を抜こうとするが剣は没収されている ラグハーンがハッとする キルビーグが振り返る 伝達の兵が走って来て言う
「キルビーグ陛下!大変です!奴らが…っ!闇の王シリウスと、その配下 クロイツヴォルデンが 大量のヴァルキリーを率いて現れました!」
キルビーグとラグハーンが驚き キルビーグが言う
「何と言う事だ!クロイツヴォルデンだけならまだしも 闇の王シリウスが…っ!」
ラグハーンがニヤリと口角を上げ笑って言う
「はっはっはっ!やはり貴様はローレシアの王として失格なのだキルビーグ!このローレシアには魔法剣士部隊が居る!今更 闇の王やヴァルキリーどもに怯える必要などは無いのだ!自国の力も分からず 敵の襲来に怯えるとはっ!貴様は間もなく息絶える 第二国王殿と共に 俺に率いられる魔法剣士部隊と魔力者部隊の姿を確認し 安心して この俺に王位を譲るが良い!」
ラグハーンが悠々と部屋を出て行く キルビーグが表情を困らせラグハーンの背を見送る
城下町
シリウスとバッツスクロイツ、ヴァルキリーたちが 城下門を抜けた先で様子を伺っている シリウスが言う
「くそぉ…っ なんったって この俺自らが あのルーゼックの野郎を 助けてやらなけりゃならねぇんだ…っ」
バッツスクロイツが苦笑して言う
「まぁまぁ?このまま放っといたら?アバロンのヴィクトール13世は マジでやばい事になっちゃうんだし?ここはぐっと堪えてー?…ほら?ヴィクトールっちを 助けると思ってさ?」
シリウスがバッツスクロイツへ向いて怒って言う
「だったら そのヴィクトールっちみてぇえな ユダ野郎が一緒に来やがるのが筋ってぇえもんだろぉがぁああ!?何で てめぇええが居やがるんだ!?あぁああ!?」
シリウスが鞭を地に叩き付けて怒る バッツスクロイツが慌てて言う
「お、落ち着いてっ!シリウスっち!?マジ本気でバーネっちに 戻っちゃってるって感じだから!あんまり派手にやり過ぎるとっ またデータが狂っちゃうって!」
シリウスがハッと気付き 渋々鞭をしまって言う
「クッ… そうだったぜ…っ だったら さっさと終らせて戻っぞ!?あの野郎さえ無事なら もうこのローレシアに用はねぇんだ 適当にやって おびき出すか ローレシア城に殴り込んでっ!…ん?」
シリウスがローレシア城から出てきた人物を見て身動きを止める バッツスクロイツが言う
「それはそうだけど あんまりいつもと戦法を変えると 逆に怪しまれると言うことも …ん?どうかした?バーネ…ち?」
バッツスクロイツがシリウスの様子に疑問して シリウスの視線の先を見る
ローレシア城から出てきたラグハーンが 整列している魔法剣士部隊と魔力者部隊へ命じる
「このローレシアへ 再三やって来た 闇の王とヴァルキリーどもへ ローレシアの新たな力を見せ付けてやるが良い!」
ラグハーンが剣を引抜き シリウスたちへ向けて叫ぶ
「さあ!兵士ども!その力を持って 奴らを討ち倒し 俺のもとへ首を持って来い!行けーっ!」
兵たちが呆気に取られ顔を見合わせ ラグハーンへ向く ラグハーンが驚き怒って言う
「何をしているっ!?次期ローレシア国王である ラグハーンの命令だ!奴らの首を俺へ謙譲して見せろ!行けー!」
ラグハーンが再び剣を向ける 兵たちがざわめき困惑する
シリウスが薄っすら笑って言う
「…は…はは… はははははっ …誰かと思えば あの元ローレシア第一部隊長 ラグハーンじゃねぇか?は はは… こいつは良い …いつぞやの恨み …今ここで晴らしてやるぜぇええ!」
シリウスが武器を構える バッツスクロイツが驚いて言う
「えっ!?ちょっ!駄目だってっ!シリウスっ!!」
シリウスがバッツスクロイツの制止を振り切って 特攻を仕掛ける ヴァルキリーたちがそれに続く バッツスクロイツが叫ぶ
「あーっ!ヴァルキリーたちまで!ああっ!もうっ!」
バッツスクロイツが慌ててモバイルPCを操作して言う
「バーネっちには悪いけど 機械鎧の制御を止めさせて貰っちゃうよー?機械鎧さえ動かなけれ…ば?…え?」
シリウスが機械鎧を可能な限り収納し 実力だけの攻撃で向かう バッツスクロイツが驚いて言う
「嘘ーっ!?マジでーっ!?魔法剣士部隊を相手に 生身で向かって行くーなんてー!?バーネっちって そーんなレクレスな事やっちゃう人ーだったんですかー!?」
ラグハーンがシリウスの急接近に驚き 後退って言う
「え、ええいっ!何をぐずぐずしているっ!?奴らが向かって来ているではないか!?怯えておらんで すぐに戦闘を開始しろっ!!」
シリウスが兵たちをすり抜け ラグハーンへ攻撃を仕掛けながら叫ぶ
「ラグハーン!てめぇええだけは 個人的に許せねぇええ!!」
シリウスが武器を振りかざす ラグハーンが焦って防戦する ヴァルキリーたちの接近に 兵たちも慌てて戦闘を開始する バッツスクロイツがやって来て言う
「ああ~っ!?もぉ~ メチャクチャ!マジで誰か ヘルプゼームっ!!」
城内
キルビーグが窓の外を見て表情を困らせてから振り返って言う
「すまん、ルーゼック すぐにでもアバロンへ向かいたい所だが 今は奴らを何とかせねば…っ 解毒の方法を聞き出したとしても このローレシア共々お前も 奴らにやられてしまうかもしれん 今しばらく辛抱していてくれ まずは奴らを撃退しローレシアと お前の身を守ってから アバロンへと向かうからな?」
キルビーグが部屋を出て行く ルーゼックが荒い息をしながら キルビーグの背を目で追う
城下町
キルビーグがローレシア城から出て来て叫ぶ
「皆!落ち着き戦況を見よ!我らローレシアは 奴らに劣ってなどはおらぬ!魔力者部隊!まずは一度 我らの魔力を叩き込み 奴らを蹴散らすのだ!」
キルビーグが最大魔法を放ち威嚇する ヴァルキリーたちが一度後退して体勢を立て直す 兵たちがキルビーグを見て落ち着き 体勢を立て直す シリウスが一度後退して言う
「チ…ッ 俺まで落ち着きを失っちまってたぜ…」
バッツスクロイツが怒って言う
「あんたが元凶ですからーっ!」
シリウスがだるそうに言う
「今日の俺は脇役だぁ ヴァルキリーたちへの指示出しは てめぇの役目だろぉが?」
バッツスクロイツがムッとして言う
「例えそうだったとしてもー!?彼らの王である シリウスっちが先行しちゃったら 俺っちの命令ーなんて!聞いてくれないってーの!」
シリウスが軽く笑って言う
「はっはー そうだったなぁ?悪ぃ悪ぃ?」
バッツスクロイツがモバイルPCを操作しながら怒って言う
「モノホン悪いーって思ってるーんだったら!?イレギラーオーダーであっても 闇の王シリウスの役ーを!ちゃーんと!やって欲しいんですけどー!?」
シリウスが苦笑して言う
「てめぇなんざ 初登場の一瞬以外 全部モノホンてめぇっちの ままじゃねぇかよ?」
バッツスクロイツが衝撃を受ける シリウスが笑う
バッツスクロイツが気を引き締めてヴァルキリーたちへ言う
「我が忠実なるヴァルキリーたちよ!ローレシアの王を捕らえ 捩じ伏せよ!邪魔する者は!…適当に痛め付けよ!攻撃!」
ヴァルキリーたちが兵たちへ襲い掛かる キルビーグが叫ぶ
「ローレシア、ローゼントの兵たちよ!力を合わせ ヴァルキリーから このローレシアを守り切つのだっ!応戦ー!」
魔力者部隊員がバリアを張り ローゼント騎士団へ魔力を送る 魔法剣士部隊がヴァルキリーへ立ち向かって行く キルビーグが大きな魔法を放った後 振り返りラグハーンへ言う
「何をしておるか ラグハーン!?私からローレシアの王位を奪いたいと申すのなら まずは貴殿の力で このローレシアを守って見せよ!貴殿が奴らへ立ち向かうと言うのであれば この私が魔力を送ってやる!」
ラグハーンが悔しそうに言う
「うるさいっ!俺とて出来るものなら魔法剣を持って戦いたいっ だが貴様らの魔法は俺を傷付けるだけで その力を貸し与えはしないのだっ!」
キルビーグが言う
「それはおかしな話だ お前は我が父へ その魔力を渡し与えたデネシア一族の者 元々魔力を有していた者である以上 魔法剣士の素質は 彼らローゼントの騎士を越えて持つはずだ」
ラグハーンが言葉を返せずに下がる キルビーグが言う
「私の魔力はローゼントの騎士へ与えるには強過ぎる 今のこの場では貴殿以外に扱える者は居らぬのだ 我らと共に このローレシアを守りたいと願うのであれば…っ!」
ラグハーンが怒って言う
「俺には出来ぬと言っているだろう!そもそも王や隊長が自ら戦う必要などは無いのだ!戦いは下々の兵が行えば良い!」
シリウスが戦況を見て言う
「おい、クロイツ何とか?」
バッツスクロイツが怒って言う
「クロイツヴォルデンですけど!?確かにちょーっち長いけど!名前を覚えるのは 王様たちの特技ーってやつだろ!?」
シリウスが呆れて言う
「てめぇ… 確か言いやがったよなぁ?『ローレシアはマジ超強くなったから 連れて行くヴァルキリーを増員して欲しいんですけどー』 とかよぉ…?」
バッツスクロイツが笑顔で言う
「そうそう!ローレシアはー 今この世界にある国の中で?文句無しにいっちばーん!の力を持ってる国ー ってやつだよ?」
魔法剣士部隊がヴァルキリーにボコボコにされている シリウスが指差して叫ぶ
「あれの どこが 強ぇえってぇえんだ!?あぁああ!?この前のツヴァイザー以下じゃぁあねぇえかぁああ!?」
バッツスクロイツが苦笑して言う
「いやぁー やっぱぁ?今日は ルーゼっちーが居ないからーかなー?ぜーんぜん ダメダメーって感じー?」
シリウスがバッツスクロイツの襟首をつかんで揺すって言う
「このままじゃぁあ もう間もなくローレシアの部隊は全滅ーって感じー?じゃねぇええかよ!?どぉおすんだ あぁあ!?奴を おびき出す所か 超ー絶順調ーに?制圧しちまうだろぉおがぁ!?」
バッツスクロイツが苦笑して頭を掻く
キルビーグが表情を曇らせて言う
「もはや敗戦は免れぬ… 奴らの狙いが国王だと申すのであれば…」
キルビーグが向かおうとする ラグハーンが驚いて言う
「何を馬鹿なっ!?まだ兵が立っていると言うのに 国王が自ら死に向かうつもりか!?」
キルビーグが言う
「このままではヴァルキリーがここへ来るのも時間の問題だ 勝ち目が無いのであれば これ以上我らローレシアとローゼントの兵たちを 傷付ける訳には行かぬ」
ラグハーンが驚いて言う
「国王が死に向かうなど それこそ このローレシアを奴らへ明け渡すも同じ!今貴様が殺されれば そのまま 国を奪われると言う事だ!」
キルビーグが振り返って言う
「ならば 奴らが奪う前に 貴殿が王になれば良かろう?同じ事だ 例え国王が倒れようとも このローレシアを愛する者がいる限り 国は滅ばぬ」
ラグハーンが返す言葉を失う キルビーグが苦笑して再び向かおうとする 城の中から叫び声が聞こえる
「馬鹿者っ!ローレシアの為と、ただ口にするだけで 本気でこの国も民も愛さぬ者へ 次の王になれなどと!キルビーグ!貴様はそれでも ローレシアの第一国王であるかっ!」
キルビーグが驚いて言う
「ルーゼック!?何故ここへっ!?」
ルーゼックがやって来て苦笑して言う
「このローレシアの第二国王である私が 国が落とされそうになっていると言う この時に おちおち休んでなど居られぬわっ!」
キルビーグが慌てて言う
「しかしっ!お前の体には 起き上がる事も出来ぬほどの 強力な毒がっ」
ルーゼックが戦場へ向かおうとして倒れそうになる キルビーグが押さえて言う
「その体では無理だ ルーゼック!強靭であった我が父とて その毒には かなわなんでおった!」
ルーゼックが苦しそうに顔を上げて言う
「ならば こんな時こそ 貴様が私に力を貸す時では無いのか?貴様の支援魔法があれば 奴らと戦う事とて可能だ…っ 加速の支援魔法を与え続けよ」
キルビーグが表情を困らせて言う
「何を言うかっ!今 お前の時間を速めようなどをしては 毒の効力さえも速めてしまう」
ルーゼックが立ち上がって言う
「望む所だっ!例えこの身は毒に殺められ様ともっ!必ずや 我らローレシアの敵を討ち取ってくれるっ!」
ルーゼックがキルビーグの制止を振り切って駆け向かう キルビーグが焦って言う
「ルーゼック!」
ルーゼックが兵たちの間を駆け抜ける キルビーグが観念して支援魔法を送る ルーゼックがバッツスクロイツへ剣を振り下ろして言う
「先ずは先日の続きっ!貴様から討ち取ってくれようぞっ!クロイツヴォルデンっ!」
バッツスクロイツが驚き後退る アンドロイドのデスが間に入ってルーゼックの攻撃を受け止める キルビーグがルーゼックの剣を魔法剣にして 更に加速の支援魔法を放つ ルーゼックが体調の悪化に一瞬怯むが 怒りで押し殺して攻撃を続ける ルーゼックの猛攻にアンドロイドのデスが押され始める バッツスクロイツが驚いて言う
「ちょっと!ルーゼっち!そんな支援魔法を重複させちゃったりなんかしたら!マジ本気でやばいって!」
ルーゼックが怒って言う
「黙れっ!私がどうなろうと!このローレシアには 第一国王のキルビーグが居るのだっ!我らのローレシアを奪う事など 決して行えぬっ!貴様らは 私と共に この場でっ!」
ルーゼックの振り下ろした魔法剣を シリウスが弾き その隙に アンドロイドのデスが ルーゼックへ打撃を与える ルーゼックが地に倒れ声を上げる
「ぬぅ!…なんの これしきっ!!」
ルーゼックが顔を上げ 弾かれた剣を拾おうと手を伸ばす シリウスがそのルーゼックの腕を掴みアンドロイドのデスがルーゼックを押さえる ルーゼックが驚き叫ぶ
「おのれっ!貴様っ!戦う気があったのなら 最初から攻撃を行わぬかっ!卑怯者がっ!」
シリウスがムッとして言う
「うるせぇ だあまって やがれ…」
シリウスがルーゼックと自分の腕を切り ルーゼックの傷の上に自分の血を落とす ルーゼックがぞっとして言う
「ぬぁあっ!?何をする 貴様ぁあっ!私を貴様らの配下にでも致すつもりかっ!止めぬかっ!気色悪いっ 離せぇえっ!」
バッツスクロイツがハッとして叫ぶ
「デス!シリウス!避けてっ!!」
アンドロイドのデスとシリウスがハッとして飛び退く ルーゼックの周囲に魔法バリアが張られ その周囲に強力な魔法が放たれる ルーゼックが驚いた後 振り返ると キルビーグと魔力者部隊たちが 合同で魔法を放った姿でいる 魔力者が言う
「ルーゼック様!御無事ですか!」
ルーゼックが呆気に取られて言う
「お、お前たち…」
シリウスがバッツスクロイツと共に状況を見て シリウスが言う
「ハ…ッ これでローレシアのミッションは クリアだぜぇ」
バッツスクロイツがシリウスへ向いて言う
「ルーゼっちの解毒の方は もう平気なの?」
シリウスが言う
「まぁ… 十分じゃぁねぇが 後は野郎の生命力で 何とか乗り越えやがるだろう?大部分の毒素は 奴にくれてやった 血中のマイクロマシンが中和させやがる」
バッツスクロイツが微笑して言う
「オーケー、じゃぁ この辺で…」
バッツスクロイツが気を引き締めて言う
「ローレシア国王キルビーグ、共にルーゼック!お前たち2人の王は 特別に認めてやる 精々我らの闇の王が この世界を支配する その時まで 残り少ない時を楽しむが良い!」
ルーゼックが怒って言う
「黙れ!軟派男!貴様こそ 我らローレシアとローゼント 両国の勇士たちに 滅ぼされるその時まで 精々 良き伴侶となる娘でも捜し求めておれ!」
バッツスクロイツが衝撃を受け焦って言う
「ちょ!軟派男って 俺っちの事ー!?超ー失礼なんですけどー!俺っちは あんまナンパなんて しない派だし!?どっちかって言ったら 合コンでも モテモテ系だったりー!?」
シリウスがバッツスクロイツの頭を殴り バッツスクロイツを引き連れて退散する シリウスたちの撤退に兵たちが喜ぶ キルビーグとルーゼックが微笑した後 支援魔法が途切れるのと共に ルーゼックが倒れる キルビーグがギリギリでルーゼックの身を支えて言う
「ルーゼックっ!!」
ルーゼックの部屋
診察を終えた医師が微笑して言う
「奇怪な事に 体内の毒素から お命を奪う成分が薄れています お体を苦しめる毒素は変わらず残っておりますが ルーゼック陛下のお命の危険は 無くなったと言って良いでしょう」
キルビーグが呆気に取られて言う
「それはどう言う事だ?加速の魔法を掛けただけでも 毒の進行は早まり 更に体を動かす事で 毒への抵抗力は 弱まってしまうものだと申すものを?」
医師が言う
「私にも分かりかねますが ルーゼック陛下の血中に… 以前には無かった毒を攻撃する 免疫の様な成分が存在しております それのおかげで お命は救われたものと」
キルビーグが疑問して言う
「ふむ…、免疫と言うものが 体内で新たに作られるまでには 本来は数日の時間が必要とされるものであるが… それが速まったとでも…?まぁ何にしても 命が助かったと言うのであるなら 何よりだ」
医師が微笑み頷く キルビーグが同様に頷き ルーゼックの近くへ行って言う
「ルーゼック 聞こえたか?身を苦しめる毒は抜けなんだが 命の心配は無くなった 安心して休んでおれ …今度また無理をしたりしては 折角助かった命まで落としかねなんだからな?」
キルビーグが軽く笑う ルーゼックが苦しそうに怒って言う
「ば、馬鹿者が 何故貴様は そんな… あの闇の王らを この世界から 追い…出さなん だ 安心…など…っ」
キルビーグが苦笑して言う
「闇の王らを倒すにしても 追い出すにしても 先ずはお前がまた、兵たちを一喝出来るほどに 回復せなんだ行えぬ …それから、ルーゼック?お前は何時も言いよるが お前が本当に殺められたりなんぞしては このローレシアの力も下がってしまう… 強き想いで戦うなんだは良い事だが その度に私はヒヤヒヤさせられよるぞ?」
ルーゼックが苦笑して言う
「それ…こそ 貴様は 馬鹿者…だ キルビーグ… 貴様が その度に 私を守りよろう… 心配 など 端から 無い…」
ルーゼックが眠る キルビーグが呆気に取られた後 苦笑して言う
「何だ そうと申す意味であったのか… 相変わらずお前は こんな時でなければ 素直に言ってはくれなんだ… だが、それなら 第二国王のお前を助けるべく 私がこのローレシアの 第一国王の座におっても 許されるのかもな?」
キルビーグが微笑む
プリムスがキルビーグの下へやって来て 他方にある空席の玉座に疑問し キルビーグへ問う
「キルビーグ陛下、ルーゼック様はどちらへ?」
キルビーグが微笑んで言う
「ああ、ルーゼックは今ローゼントへ行っている 今後 我らローレシアはローゼントの騎士たちと手を組み 闇の王との戦いに備えようと思うのだ ルーゼックには我らローレシアの魔力者と組む事で得られる 魔法剣の素晴らしさをローゼントのヴェルアロンスライツァー国王へ伝えるよう頼んである」
プリムスが感心して言う
「おおっ ローレシアの魔力者たちとローゼントの長剣使いたちが手を組み 魔法剣を有する部隊を作り上げると言う事ですな?」
キルビーグが頷いて言う
「うむ そうだ 先の戦いにおいて 我らの相手となったのは あのウィザードが1人であったが 闇の王とヴァルキリーたちと戦うとあっては こちらも同じ数かそれ以上の魔法剣士が必要になる 今、この魔力者の国であるローレシアにて 十分に剣士として戦えるのは ルーゼック唯1人であるからな」
キルビーグが微笑する プリムスが微笑した後、視線を落とす キルビーグが気付き首を傾げて言う
「どうかしたのか プリムス?ソルベキアの密偵であったフォリオッドを追い出した事により 昔の様に お前がこのローレシアの大臣へと戻ったのだ その昔と同じく 再び私やルーゼックを助けて欲しいと思っている 気になる事でもあるのなら 何でも言ってくれ」
【 ローゼント城 玉座の間 】
ルーゼックが不満気な顔で言う
「私自身はっ!決して貴様らと組みたいなどとは思ってはおらなんだぞっ!?だが、貴様らローゼントとて いつ隣国ソルベキアから かの者らが襲い掛かって来よるかと 気も気であらぬ筈っ!我らローレシアは 闇の王の配下との戦いに勝利したっ!貴様らも聞き及んでおると思うが 配下とは言え ウィザードの魔力は凄まじいものであったのだっ!」
アンネローゼが頷いて言う
「確かに、ルーゼック様の仰る通り あのウィザードの力は恐ろしいものでした そして、そのウィザードを討ち取った ルーゼック様の魔法剣と支援魔法の効果の程も 素晴らしいものであったと思います」
ルーゼックが疑問する この世界のヴェルアロンスライツァーが言う
「私とアンネローゼ王妃は ローレシア国にて行われた 先日の貴殿方の対戦を拝見していた」
ルーゼックが驚き言う
「なっ!?他国の戦を 王と王妃が視察に参っていたと申すのかっ!?」
アンネローゼが微笑して言う
「我らローゼントは 勇者を選出してはおりますが 闇の王らと戦うほどの武力は有しておりません それが分かっているからなのか 闇の王らも 今だこのローゼントを襲っては参りません しかし、私たちも この世界に生きる者として かの悪しき王に 世界を奪われる訳には行かないと その為の策を考えておりました」
この世界のヴェルアロンスライツァーが言う
「初期の段階から我らローゼントは ローレシアの魔法バリアと我らの剣の力 個々たるその2つの力を持って 奴らと戦えないかと考えていた だが、それだけでは敵わぬ事が 先のアバロンでの魔法バリアを用いた大剣使いたちの共同戦にて判明し 別なる策を考えていた そこへ、ルーゼック殿 貴殿の魔法剣と言う力 あの力こそ 我らローゼントが求めていたものであるとの 結論が成された所であった」
ルーゼックが呆気に取られる アンネローゼが微笑んで言う
「ローレシアには現在 ルーゼック様の他に 剣士はいらっしゃらないとの事 ローレシアがアバロンでは無く このローゼントへお声を掛けて下された事へ 心からお礼を申し上げます それと共に 貴方様方の選択が正しかった事を 我らローゼントの騎士たちが その力を持って証明して ご覧に入れるでしょう」
ルーゼックが交渉の結果に微笑するが それと共に気付き 疑問して言う
「…うん?ヴェルアロンスライツァー国王 貴様は先ほど ローレシアの魔法バリアとローゼントの剣の力 個々たるその2つでは敵わぬ理由を アバロンで知ったと申したな?」
この世界のヴェルアロンスライツァーとアンネローゼが疑問し 一度顔を見合わせてから ヴェルアロンスライツァーが言う
「私とアンネローゼ王妃は 貴殿方ローレシアの戦いより以前に アバロンでの戦いも確認へ行っていた」
アンネローゼが言う
「その時にアバロンにて拝見したのです あのウィザードと大剣使いたちが共に力を合わせ 闇の王とヴァルキリーたちと戦っている姿を ウィザードの魔法バリアはヴァルキリーに有効ではありましたが アバロンの大剣使いたちは それだけでは ヴァルキリーに勝てなかったのです」
ルーゼックが困惑して言う
「どう言う事だ?アバロンは あのウィザード使いの少女がアバロンの民である事を公表したが あのウィザードに関しては調査中だと… 元々自国で有していた者であるのなら 今回の大事への謝罪と釈明を行うものだが…?」
【 ツヴァイザー城 会議室 】
リーザロッテが気合を入れて言う
「私たちは もっと強い兵と援軍を揃えなければ あの闇の王ユダとその他を倒す事は出来なくってよ!」
レイトが言う
「この世界に置かれましても 強い兵や援軍の派遣が可能な国は 3大国家と呼ばれる アバロン、ローレシア、シュレイザー かと思われます しかし、シュレイザーはもともと自国の部隊よりも 他国からの常駐支援部隊へ頼っているのが実情ですので そちらの派遣を求めるのは難しいものと思われます」
ロキが言う
「…俺が確認した情報によると ローレシアはローゼントへ友好条約と共に合同戦略協定を交した これで両国は戦いの際には力を合わせ共に戦う事となる この状況では ローレシアからツヴァイザーへの援軍派遣は難しいと思われる」
リーザロッテが考えて言う
「では、やっぱり私たちが共に戦うのは この世界でもアバロンになりそうね?この世界のアバロンは帝国では無いのだし… それこそ一国同士としてツヴァイザーとの合同戦略協定を 交して貰えないかしら?」
リーザロッテがヘクターとオライオンへ向いて言う
「ねぇ?貴方方はずっとこの世界のアバロンにいらしたのでしょう?この世界のアバロンに変わりは無くって?ヴィクトール陛下は 闇の王との戦いに どのような策を考えていらっしゃるのかしら?」
リーザロッテと他の者が ヘクターとオライオンへ視線を向ける オライオンが焦りヘクターへ向く ヘクターが視線を下げたまま考え事をしている その様子に リーザロッテが怒って言う
「ちょっと!?ヘクター!作戦会議中でしてよ!?」
ヘクターが反応して顔を上げ苦笑して言う
「ん?ああ、悪ぃ…」
ヘクターが再び視線を落とす オライオンが言う
「親父は今 デスの事が気になって それ頃じゃねーんだよ」
オライオンが苦笑する 皆が納得して再びリーザロッテへ向く リーザロッテが言う
「それ頃って… なら、貴方?貴方もヘクターやその他と一緒に アバロンにいらしたのだから この世界のアバロンの様子は お分かりになってよね?アバロンがどこの国と手を組もうとしているのか どのような支援を検討しているのか また、行っているのか… ヴィクトール陛下がどのようにお考えなのか 教えて頂けて?」
オライオンが焦って言う
「え!?いや!?…俺はそう言うのは良く分からねーし デスが何かヴィクトール陛下へ命令してたみてーだけど それをどうしたのかも分からねーし …あ!大体 アバロンの事を知りてーんだったら アバロン第二皇帝…じゃなかった アバロン第二国王のバーネット陛下に聞けば良いだろ?!」
皆がハッとして リーザロッテの隣の席に居るバーネット2世へ視線を向ける バーネット2世が皆の視線に軽く笑って言う
「ん?ああ、俺はアバロンの第二国王は辞めたんだ その辞めちまった国の内情を 他国で言っちまう訳にはいかねぇよ?」
リーザロッテが怒って言う
「今は世界を救う時でしてよ!?例え お辞めになった国の事情でありましょうとも 世界を救う為でしたら 力を合わせて共に戦う時でしてよ!」
バーネット2世が苦笑して言う
「…そぉだなぁ?世界を救う為には 手段なんざ選んでられねぇって事か」
リーザロッテが満足そうに言う
「ええ!そう言う事でしてよ!」
バーネット2世が 20年後から来たメンバーを見て言う
「てめぇらの世界のアバロンやヴィクトールや俺がぁ 何をどうやってアバロンを帝国にしやがったんだかは知らねぇが この世界の この俺が見る限り …アバロンじゃ世界を救えねぇ」
皆が驚く オライオンが言う
「…そう言えば?デスもそんな事言ってたよな!?親父!」
ヘクターが言う
「あ…?ああ、そーだな この世界のアバロンの王は… 力がねぇとかって?」
リーザロッテが表情を困らせて言う
「それでは 折角このツヴァイザーと同盟を組んで頂いても アバロンでは足りないと言う事でして!?世界を救う為には 多くの力が必要でしてよ!アバロンがダメだと仰るのなら この際 ツヴァイザーもローゼントと同じく ローレシアと…」
リーザロッテが不満そうな表情を見せる ロスラグが笑顔で言う
「ローゼントと組むッスか!?それなら俺も一緒に戦うッスよ!これで やーっとヴェルアロンスライツァー副隊長とも 一緒に戦えるッスね!?ロキ隊長!」
ロキが衝撃を受け ロスラグを殴る ロスラグが殴られた頭を押さえ疑問する バーネット2世が言う
「いや、ローレシアは ローゼントを仲間にしやがったんだ この時点で 既に両国は十分力を有しやがった こうなっちまったら ツヴァイザーみてぇな小さくって 大した力もねぇ国なんざ ただの足手まといだ 協定を申し込んだって断られっちまうだろうぜ」
リーザロッテがムッとして言う
「力の無い小さな国を受け入れないだなんて!その様な国は絶対に世界を救える帝国にはなれなくってよ!私たちの世界のアバロンとは違い 世界各国からの帝国への承認だって きっと定数には届かなくってよ!」
シャルロッテがモバイルPCを操作しながら言う
「各国からの帝国への承認数が定数に満た無い場合は 自ら帝国として名乗りを上げ 反対する国を力尽くで押さえる事も可能です」
リーザロッテが怒って言う
「そんな力尽くで帝国になるローレシア帝国なんて 闇の王と同等かそれ以下でしてよ!私たちは 何が何でも ローレシアを帝国にしては いけなくってよ!」
皆が衝撃を受け ヴェインが小声で言う
「確か… 帝国にしてはいけなかったのは アバロンでは無かっただろうか?」
ロイが言う
「…やはり、リーザは どの世界においても ローレシアを目の仇にしたいのだろう」
バーネット2世が言う
「ローレシアが帝国へ名乗りを上げるかどうかなんざ 今は分からねぇが 何も小せぇ国がいつの時も デケェ国の下に付かなけりゃならねぇなんて決まりはねぇんだ てめぇがこの世界を救う勇者様だってぇんだったら それこそローレシアやアバロンを超える力を有する事だって 出来やがるんだぜぇ?」
皆が驚き リーザロッテが言う
「それはどう言う事でして?」
【 ソルベキア城 機械室 】
バッツスクロイツが操作盤を操作して言う
「うん、やーっぱり この世界のバーネっちも シリウスっちと同じ 明瞭明晰 あれでー?もうちょーっと人使いの悪さと口の悪さが改善されたら?それこそ大帝国ーの第一皇帝にだってなれちゃうーって 思うんだけどなぁ~?」
ニーナが言う
「やっぱりシリウスさんの言う通り リーザは世界を守る勇者様になりそうなの!予定通りなの!それじゃ、バッツさんも 予定通りローレシアに行くの?」
バッツスクロイツが微笑して言う
「そーだねー 俺っちとしてはー?ローレシアに行く前ーに俺っちの相棒ーが 戻って来てくれるーのを 超ー期待ーしてたんだけどね?誰かさんーたちが 色ーんな所でデータを狂わせてくれるーからさー?こう言った微妙ーなタイミングとか 超ーミニッツーにズレちゃったりするんだよねー?」
バッツスクロイツが立ち上がる ニーナが心配そうに言う
「バッツさん、気を付けてなの!あのローレシアに居るデネシアの王様は とっても強い人なの!」
バッツスクロイツが微笑して言う
「うん、そうだねー?けど、今回はー だーい丈夫ー!なんてったって?今回の目的ーは そのデネシアの王様ーの為の作戦ーだからね!作戦が成功して?そのデネシアの王様が 超ー強くなった時こそ?俺っちが全力でエスケープしちゃって オッケーな訳だし?心配ナッシングーって感じ?」
ニーナが心配する バッツスクロイツが苦笑した後、笑顔で言う
「ユダっちとシリウスっちは 新世界ーへ帰還中だから ニーナちゃんはここに残ってるヴァルキリーたちと仲良くしててね?俺っちは改善が間に合ったヴァルキリーたちと一緒に ちょーっとローレシアに行って来るからさ!」
ニーナが笑顔で言う
「分かったの 私は置いてけぼりで寂しがってるヴァルキリーさんたちと 一緒に仲良く待ってるの!」
置いてけぼりのヴァルキリーたちが泣く
【 ローレシア城 門前 】
ルーゼックがやって来て 城の入り口へ向かう 一人の衛兵がハッとして敬礼する ルーゼックが立ち止り 衛兵とその反対側を確認してから言う
「もう1人の衛兵はどうした?城への門は全て 厳重に見張れと申した筈だが?」
ルーゼックが衛兵を睨み付ける 衛兵が怯え焦って言う
「あ、あの…っ そのっ… か、彼は… ちょ、ちょっとだけ 持ち場を離れると…」
ルーゼックが怒って言う
「馬鹿者っ!持ち場を離れる際は 例え短時間であろうとも 相方へ可能な限りの詳細を伝え 場合によっては他の者を就かせよっ!今この瞬間に ローレシアへ被害をもたらす者が この場に現れおったら!貴様1人で全ての対応が賄えるのかっ!」
衛兵が怯え慌てて言う
「も、申し訳有りませんっ!ルーゼック第二国王陛下 次からは 相方への確認と他の応援を検討しますっ!」
ルーゼックが怒りのままに立ち去る 衛兵が見送り 間を置いてホッと胸を撫で下ろす
玉座の間 門前
ルーゼックがやって来る 衛兵2人がハッとして敬礼する ルーゼックが立ち止り2人を見る 2人が緊張の面持ちで敬礼のまま待つ ルーゼックが怒鳴る
「馬鹿者っ!貴様らは 何をやっておるかっ!?」
2人が驚き慌てて顔を見合わせて疑問し合い 最終的にルーゼックへ視線を向ける ルーゼックが怒って言う
「謁見者の最終確認と 国王への伝達を行うのが 貴様らの任務ではあらぬのかっ!?それとも貴様らは!?今 目の前に居る この私が見えぬとでも申すのかっ!?」
衛兵2人が驚き慌てて言う
「「デ、デネシア国国王兼ローレシア国第二国王ルーゼック様です!」」
ルーゼックが衝撃を受け 怒って言う
「馬鹿者がっ!それでは私がキルビーグへ謁見に来たと 申しておるのも同然だ!自国の城に在する者が戻ったのなら 帰城したと伝えぬかっ!」
衛兵2人が慌てて謝る
「「も、申し訳有りませんっ!ルーゼック様!」」
ルーゼックが怒りのまま2人を睨む 室内からキルビーグが苦笑して現れて言う
「まぁまぁ、そう怒るなルーゼック?そもそも お前の帰城は 最初の門兵への一喝から 伝わっておる」
ルーゼックがキルビーグへ向いて言う
「黙れっ キルビーグ!そもそも貴様がローレシアの衛兵や部隊兵らを甘やかしておるから この世界の危機にさえ 備えがなっておらなんだ!各国との移動の要である 移動魔法陣の警備兵とて 私が怒鳴るまで昼寝をしておったぞ!?あのウィザードはアバロンに捕らえられておるとは言え 今度はいつ闇の王とヴァルキリーが ローレシアへ襲い掛かって来るとも分からぬのだっ!この様な状態では 折角 魔法剣士の部隊が結成されようとも 戦う前にやられてしまうわっ!」
ルーゼックが怒りのまま玉座の間へ進み入る キルビーグが苦笑し ルーゼックに続きながら言う
「ローゼントからは既に 協定成立を知らせる連絡が届いておる ルーゼック、ローレシアからの使者として良くぞ協定の成立を成し遂げてくれた 連絡が届くと共に先だって話を付けておいたローレシア領域の魔力者たちへも知らせを送った 今頃 皆 この城へと向かっているだろう 後はローゼントの部隊が到着すれば 直ぐにでも共同で魔法剣士部隊の演習が開始出来る状態にある 魔力者たちも新たな勢力の増員に 皆昨日から喜びと共に緊張を隠しきれぬ様子だ 故にその反動で少々の不備でもあったのだろう」
2人が玉座へ座り ルーゼックが言う
「このローレシアで 唯一となる剣士である私が 魔法剣の威力を説明すべく 剣士の国ローゼントへの使者となるのは至極当然っ!そして、この国の第二国王として行くからには 協定の成立を成し遂げぬまま おめおめと帰国する事など許されぬっ!そしてっ このローレシアの不備は 私が第二国王になる以前からのものだっ!前々から私は この国のなんとも言えぬ だらしなさが 気に入らなんだっ!私が この国の第二国王になったからには 根本から叩き直してくれるっ!」
ルーゼックがイライラしている キルビーグが苦笑して言う
「ルーゼック、確かにお前がこの国の第二国王になって 兵たちに喝を入れてくれたお陰で 比較的他国に比べ緩やかさのあった このローレシアの魔力者部隊の兵たちも 他国の兵と差ほど変わらぬ緊張感を持つ様になった 今までの彼らは他国の者に無い 魔力と言う強き力に溺れておったのだ」
ルーゼックが怒りのままに言う
「力に溺れ油断などしておればっ 力も持たぬ弱き者にすら 足元をすくわれるわっ!従って このローレシアより小国である カイッズやベネテクト、ツヴァイザーとて 油断はならぬっ!よって奴らの動向も常に調査せよと申して置いたのにっ!闇の王らが襲撃したと言うツヴァイザーの戦況の確認も 行われておらぬとは どう言う事だっ!?キルビーグ!貴様はローレシアの偵察部隊へ確認を命じておらぬのかっ!?」
キルビーグが困った表情で言う
「うむ… ベネテクトに関しては確認をさせておった 何しろアバロンの第二国王となったはずのバーネット2世が そのアバロン第二国王の王位を返還してしまったと言うのでな?ベネテクトに何かあったのか またはアバロン以外の国との提携を考えておるのかと…」
ルーゼックが言う
「ベネテクトがアバロンから離れたとあっては アバロンは今力を失いつつあると申す事か?…いやっ アバロンには 表向きには国を閉ざしていると言い続ける あのガルバディアが関係している そして、あのガルバディアの力であり ヘクターの相棒とあるガルバディアの騎士 そして、もう1人のヘクターと共に居た あの幽霊の様なガルバディアの民の姿の者… 恐らくあのヘクターの剣に力を与えていたのは奴だ ええいっ忌々しいガルバディアがっ!戦う気が有るのか無いのかハッキリせぬかっ!」
ルーゼックがイライラしている キルビーグが苦笑して言う
「それよりルーゼック?少々、私の話も聞いては貰えぬか?」
ルーゼックが怒りの表情をキルビーグへ向けて言う
「話があるのならさっさと申さぬか!?馬鹿者っ!貴様は このローレシアの第一国王であるっ!第二国王の私に 要らぬ気など使ってどうするっ!」
キルビーグが苦笑して言う
「いや 少々お前の気に障る話であったのでな?少しでも そのお前の気が落ち着いておる時を 見計らって話したいと思ったのだが… どうやらその瞬間には中々出会えなんだ しょうがないから言ってしまうのだが」
ルーゼックが疑問した後 イライラして言う
「であるからにしてっ!その様な下らぬ気など使うなと申しておるのだっ!キルビーグっ!第一国王の貴様すら 私が叩き直してやらねば ならなんだかっ!?」
キルビーグが困った表情で言う
「ルーゼック、これからしばらくの間 そのローレシアの者を叩き直す行動を 自粛してもらえぬだろうか?」
ルーゼックが呆気に取られ疑問して言う
「…は?今なんと?」
キルビーグが苦笑して言う
「実は… お前がこのローレシアの第二国王となる事を 余り快く思っておらなんだ者たちが 前々からおったのだ だが、それでも この国唯一の魔法剣士として 強き力を有しての第二国王と納得し 文句が言えなかったらしい しかし、ここへ来て ローゼントとの協定が結ばれた事により その唯一の魔法剣士とされる心配が無くなってしまった 更に追い討ちを掛ける様に アバロンの第二国王が撤退した事により このローレシアにも やはり第二国王は要らぬのではないかと 密かにお前を追い出す計画がなされておる様なのだ 今のまま、お前がローレシアの兵たちを 叩き直す為とは言え喝を入れておっては その者たちにとって 程よい好機と取られるやもしれぬ …であるからして、しばらく様子を見る為にも…」
ルーゼックが怒りを爆発させ 怒って叫ぶ
「馬鹿者がっ!!第一国王である貴様が取り決めた事へ 反逆する者が居ると申すのならっ!それこそ第二国王の私が囮となって あぶり出してくれるっ!その様な不届き者っ!例え今は 私の追放を目論んで居ろうともっ!いずれはこのローレシアの第一国王である 貴様にすら反旗を翻すやもしれぬっ!いやっ!既にそやつらは反旗を翻しておると 申しても過言ではあらぬわっ!」
キルビーグが表情を困らせて言う
「うむ… それはそうやもしれぬが…」
伝達の兵が言う
「申し上げます!ローゼント国よりローゼント第二部隊が御到着です 共に… ヴェ…!?ヴェルアロンスライツァー… “殿”が 謁見を求めております」
キルビーグとルーゼックが驚き顔を見合わせた後 ルーゼックが焦り怒って言う
「ばっ馬鹿者っ!他国の王へ 一般の敬称を用いるとは 何事か!ヴェルアロンスライツァーはローゼントの国王だ!その様な長い名の異端者が この世に2人も居って溜まるかっ!」
ヴェルアロンスライツァーが現れて言う
「この世界のローゼント国 第二部隊に同行した 20年後の世界より戻りました ヴェルアロンスライツァーです まったくもって異端者ではございますが 我が女王アンネローゼ様の命により ローゼント国から派遣された第二部隊の隊員らと このローレシアの魔力者により作られる 魔法剣士部隊の様子を確認させて頂きたく 参じました」
ヴェルアロンスライツァーが敬礼する ルーゼックが衝撃を受ける キルビーグが苦笑する
【 ツヴァイザー国 城下町の外 】
ヘクター、オライオン、シュライツが城下町の門を出て オライオンが言う
「リーザはスプローニへ行くって言ってたけど やっぱり俺たちはアバロンに戻るんだろ 親父?プログラマーのデスが居ないんじゃ ソルベキアに行く理由もねーし… アバロンならミーナも居るし 会えねーけどウィザードのデスも アバロン城に居るんだしよ?」
シュライツが張り切って奇声を上げる オライオンが微笑して言う
「シュライツも早くアバロンに帰りてーってさ?」
シュライツが移動魔法の魔力を集める オライオンがヘクターへ向く ヘクターが下げていた視線を上げて言う
「いや ガルバディアだ!シュライツ 俺たちを… いや、俺を ガルバディアへ飛ばしてくれ」
シュライツが疑問し首を傾げる オライオンが呆気に取られてから 改めて言う
「親父、プログラマーのデスは 修理が終ったら戻るんだろ?シリウスの… 敵の言葉だったけど 親父は信じるって言ったじゃねーか!?」
ヘクターが言う
「ああ、あいつは戻って来る… けど、やっぱり 一緒に居た方が良いんだ どっちにしたって あいつが戻るまで 俺は戦えねー… だったらまた俺が!デスに付きっきりになって看病してやるぜ!その方がきっと早く治るからよ!」
オライオンが苦笑して言う
「それは昔の話だろ?デスがガルバディアの機械の中から出て 体を動かす事も、喋る事も 出来なかったって時の…?今回は機械の修理なんだから その時とは違って 親父に手伝える事はねーよ」
シュライツが疑問する ヘクターが苦笑して言う
「あぁ まぁ… そうかもしれねー けど それでもやっぱりあいつの無事を確かめてーんだよ ただそれだけだ …だから、行くのは俺だけで良い シュライツ 俺をガルバディアの移動魔法陣に飛ばしてくれ?」
シュライツが怒ってヘクターへ奇声を多く発する ヘクターが呆気にとられた後オライオンへ向いて言う
「あ…?ちょ、ちょっと待て?何 怒ってるんだお前?おいっ オライオン?何怒ってんだ シュライツは?」
オライオンが呆気にとられた後ヘクターへ向いて言う
「あ… ああ シュライツは プログラマーのデスを心配してるのは 親父だけじゃ無いんだ って怒ってるぜ?それで… あっ!おい!?待てっ!」
シュライツが移動魔法を行う オライオンが慌てて言う
「行くんだったら 皆で行くべきだってっ …でも!待てよ!?シュライツ!あぁーっ!」
移動魔法が発動し 3人がガルバディアへ飛んで行く
【 ガルバディア城 城下門前 】
ヘクターたちがガルバディア城の城下門前に飛んで来る 到着と共にシュライツが喜ぶ オライオンが慌てて言う
「待てって言ったのに!ガルバディアの門はデスがいねーと 開けらんねーだろ!?ガルバディア国王は もう 俺たちの相手をしてくれねーんだから!」
シュライツが首を傾げる オライオンが溜め息を付いて言う
「親父だって… 1人で来て どうやって入るつもりだったんだよ?」
ヘクターが呆気にとられた後 笑顔で言う
「ああ、そっか…?俺、忘れてたぜ!」
オライオンが転びそうになる シュライツが喜ぶ ヘクターが頭を掻きながら言う
「いやぁ… 俺は今まで ガルバディアに入れなくって 困った事なんて無かったからよ?オライオン、お前けっこー頭良いじゃねーか?元の世界で 馬鹿やって祠の結界 外して回った頃から いつの間にか随分賢くなったなー?」
オライオンが衝撃を受け 頬を赤らめながら言う
「あ、あの時は…っ 俺も まだ何も分かって無かった15の頃で… 今はもう20も過ぎたんだから!普通の事くらい分かるってーの!…親父こそ!?まだ耄碌するのは 早ぇーぞ!?」
ヘクターが苦笑して言う
「あぁ… そうだなぁ?何しろ世界一のプログラマーと一緒に居ると 何にも出来ねー事がねーもんだからよ?今は あいつが居ねー俺の方が 馬鹿やっちまいそうだよな?」
オライオンが腕組みをして言う
「もうやってるだろ!?…シュライツ?お前も俺と同じ年なんだから 少しぐれー考えるとか いい加減言葉覚えるとかしろよな?」
シュライツが疑問して首を傾げる オライオンが肩の力を抜いて苦笑する ヘクターが軽く笑ってから ガルバディア城の門を見上げて言う
「折角会いに来たけど これ以上先にはいけねーか…?ああ、シュライツ せめてお前だけでも 城の前まで行って声掛けて来てくれよ?」
シュライツが首を傾げる ヘクターが言う
「あいつもお前の言葉は分からねーから 何言っても良いぜ とにかく… そうだな?俺が待ってるから 早くしろよとか 頑張れよ とかよ?」
シュライツが疑問した後 不満そうにヘクターの手を引いて門の先へ向かわせようとする ヘクターとオライオンが顔を見合わせ オライオンが言う
「シュライツ?門は閉まってるんだから 俺たちは行けねーんだ 行けるのは門を越えて行ける お前だけだろ?」
シュライツが何かを訴えて怒る ヘクターとオライオンが顔を見合わせて困り オライオンが溜息を吐いて言う
「今日はどう言う訳か こっちの言葉もシュライツに通じてねーみたいだ?こんな事 今までは無かったのに」
ヘクターが苦笑して言う
「きっとシュライツの奴も デスに会いてーって気持ちなんだろーぜ?だから 無理でも行きてーってよ?」
オライオンが苦笑して言う
「ああ、そうかもな?シュライツはウィザードのデスと違って 脳みそは普通にあるんだろーと思ってたけど… もしかしたら やっぱり ちょっと…?」
オライオンとヘクターが苦笑する シュライツが衝撃を受け 怒って奇声を発した後 ヘクターへ向けて魔法を放つ ヘクターとオライオンが驚き ヘクターが言う
「あ!?何で俺に向かってっ!?ああ!そりゃ お前をガルバディアに送ったのは俺だけど そんな 急に 復讐に目覚めたのか!?おいっ ちょっとま…っ!?」
ヘクターが慌てて回避しようとするが間に合わず 吹っ飛ばされる ヘクターが城門にぶつかる 両手を門に付け 慌てて後ろへ振り返って言う
「シュライツっ!復讐するのはかまわねーが!やるんなら!アバロンの民として 正々堂々と正面からっ!」
ヘクターの生態証明を感知したガルバディア城の門が開く ヘクターが呆気にとられた後 正面からコケて顔面を地に打つ オライオンが呆気に取られる シュライツが怒って奇声を発した後 先行してガルバディア城へ向かう ヘクターが打ち付けた顔を抑えながら起き上がって言う
「イテテ… 何で急に開いたんだ?もしかして、シュライツの魔法で開く様にでもなってたのかよ?」
オライオンが考えた後 微笑して言う
「ああ、そっか!シュライツはガルバディアで生体実験に使われちまったんだもんな?ガルバディアの関係者として 認められてるのかもしれねーな?」
遠くでシュライツが騒ぐ オライオンが苦笑して言う
「早くしろってよ?」
ヘクターが軽く笑って歩き出しながら言う
「ああ、今のは俺にも分かったぜ?」
城門前
ヘクターたちが城門前に来ると 城門が消える ヘクターとオライオンが顔を見合わせてから 城内へ進み入る 先行するヘクターが向かう先 次々に扉が開かれ やがて見覚えのある部屋に辿り着く ヘクターが入室前に一度振り返って オライオンへ言う
「おい、足元に気を付けろよ?折角見舞いに来たのに その俺らのせいで悪化させちまったら 後で怒鳴られっからな?」
オライオンが苦笑して頷く ヘクターがプログラマーの眠る機械のもとへ向かう オライオンが周囲を見渡しながら 足元に注意して入室する オライオンがヘクターの後方に辿り着き足を止め 周囲の状態を見る 周囲では機械が機械を直している オライオンがヘクターへ向くと ヘクターがプログラマーを見て苦笑して言う
「良かった… 一応 生きてるみてーだ おい、デス 聞こえるか?世界一の相棒と その息子たちが 見舞いに来てやったぜ?」
オライオンがヘクターの後方から プログラマーの様子を見る シュライツが喜んで奇声を上げた後 プログラマーの眠る機械の上に浮いて 顔の上辺りのガラスを叩き何か言う ヘクターが苦笑して言う
「そうだよな?やっぱり また一緒に飯食ったり 話したりしてーよな?まぁ… 生きててくれただけでも十分だけどよ?」
オライオンがプログラマーの近くへ行き シュライツと共にプログラマーの様子を見て言う
「たった20年くれーしか 生きてられねーなんてな?丁度 今の俺たち位って事だろ?」
ヘクターが言う
「ああ、今から18年前くれーだな 俺はあれから18年歳食ったけど デスはやっぱりあの頃と変わらねーや これからもそーなんだろうけどな?」
オライオンが言う
「これからも 今までもそうだぜ?デスは俺たちと違って 転送装置で移動はしてねーんだから ここに居るデスは18年所か180年以上この姿だって事だろ?」
ヘクターが呆気にとられた後 苦笑して言う
「そういやー… そうだったな?せっかく176年振りに会ったって言うのに たった数日でまた話も出来無くなっちまうなんてな?」
プログラマーの声が聞こえる
『そうだな、せめて話ぐらいは したいものだ』
ヘクターとオライオンが驚く シュライツが顔を上げて喜ぶ シュライツの視線の先プログラマーの不鮮明なホログラムが現れる ヘクターとオライオンがハッとして ヘクターが言う
「デス!?お前 もう治ったのか!?」
プログラマーがヘクターへ向いて言う
『いや、あいにく このホログラムと音声プログラムを実行するだけで精一杯だ お前のサポートをする所か このガルバディア城から外の事をうかがい知る事すら出来ない 世界一のプログラマーと名乗っている以上 不意を突かれたとは言え あれほど無様に負けたからには それなりの手土産でも得た上でなければ お前たちへ合わせる顔がないと思っていたのだが… まさか見舞いに来られてしまうとは』
プログラマーが苦笑する ヘクターが呆気にとられた後 苦笑して言う
「俺の世界一の相棒なら まず 俺の所へ帰って来る事の方が よっぽど重要だぜ?アバロンの民は自信家で 何だって信じられる替わりに 支えになるもんが無くなっちまうと 一気に力を失っちまうんだからよ?」
プログラマーが呆気にとられた後苦笑して言う
『珍しいな ヘクター お前がその様な明瞭な解析を口にするとは 確かに私の持つ情報の中にも同様のものがある しかし お前のそれは 多くの仲間たちやアバロンの国… お前には私の外にも 多くの支えがあるものと思っていたのだが?』
ヘクターが微笑して言う
「ああ!だから俺は その全部がなきゃダメだって事だ その中の1つだって失うのは許せねぇ」
プログラマーが軽く笑って言う
『フッ… どうやら お前は私が思っていたよりも 貪欲な者だったようだな?』
ヘクターが笑んで言う
「何だ 今頃知ったのか?遅いぜ 世界一の相棒?」
プログラマーとヘクターが笑う オライオンとシュライツが顔を見合わせ オライオンが笑い シュライツが嬉しそうに奇声を発する プログラマーが気付いて言う
『うん?ヘクター お前たちは 他にも人を連れ このガルバディア城へ入って来たのか?』
ヘクターとオライオンが疑問して顔を見合わせてから ヘクターが言う
「いや、俺たちだけだぜ?どうかしたのか?もし魔物でも紛れ込んじまってたってーなら」
ヘクターとオライオンが気を張る プログラマーが考えた後言う
『いや、魔物ではなく人だ… だが、現状の私では それ以上の確認が取られない …玉座の間に居る様だ』
ヘクターとオライオンが急いで走って行く シュライツが追い掛ける
玉座の間
バーネット2世が誰も居ない玉座へ向かって叫ぶ
「奴らのせいで!この世界が また悪魔力に滅ぼっされちまいそうになってやがるんだぞ!?てめぇは!過去のその苦しみを どの国の奴らよりも知ってやがるんだろ!?無駄に長生きだけしてやがらねぇで!その苦しみを繰り返させねぇ為にも 残されたこの世界の民へ 手を貸してやろうとは思わねぇのか!?」
ヘクターたちが走って来て驚き ヘクターが言う
「バーネット!?」
バーネット2世が驚き 振り返って言う
「へ、ヘクター!?何で てめぇらが 居やがる!?」
ヘクターたちがバーネット2世の近くに来て ヘクターが言う
「ああ、俺たちは ガルバディアに居る俺の相棒に会いに来たんだ お前こそ 何1人で叫んでんだよ?」
バーネット2世が呆気に取られて言う
「そうか… んあぁ!?俺が1人で叫んでるって?俺はっ!そこのスカした ガルバディア国王の野郎に この世界の危機を伝えてんじゃねぇか!?」
バーネット2世が玉座を指差す ヘクターとオライオンが示された先を見てから首を傾げ 顔を見合わせた後 オライオンが言う
「そこのって?そこの玉座には誰もいねーじゃねーか?」
バーネット2世が衝撃を受け 改めて玉座を見てから 怒って指差して言う
「誰もって…っ!?確かに奴ぁあ 幽霊みてぇえに透けてやがるが!てめぇらの仲間のプログラマーとか言う奴と同じ ホログラムで居やがるだろぉお!?」
ヘクターとオライオンが改めて玉座を見てから 顔を見合わせ顔を横に振る バーネット2世が衝撃を受け 慌てて玉座へ向き 間を置いて言う
「あぁ?…なんだよ!そぉ言う事は先に言いやがれってぇえんだ!」
バーネット2世が怒りのままに鞭で床を打つ オライオンとシュライツが怯える ヘクターが疑問する バーネット2世がヘクターたちへ向いて言う
「ガルバディア国王の奴は てめぇらと話す気がねぇから 姿を見せねぇんだとよ?」
ヘクターとオライオンが呆気にとられた後 苦笑してヘクターが言う
「そっか… けど、お前とは話すんだな?…何でだ?ベネテクトの王とガルバディアの王は 友好条約でも交してんのか?」
バーネット2世が衝撃を受けた後 慌てて言う
「ぬあっ!?あー、いや、あれだ!きっと俺の脅しにビビって 思わず話ちまってんだろ!?とりあえず ベネテクトとガルバディアが 友好条約を交す事なんざねぇよ!?」
オライオンが疑問して言う
「ホログラムのガルバディア国王が 何でバーネット陛下にビビるんだ?」
バーネット2世が衝撃を受け 鞭を持って脅して叫ぶ
「うるせぇええ!んな細けぇえ事 気にしやがるんじゃねぇええ!!」
バーネット2世が鞭を床に振るう オライオンが怯えてシュライツを盾にする シュライツが衝撃を受け 振り返ってオライオンに魔法を放つ オライオンが焦げる ヘクターが言う
「それで?ガルバディア国王は お前の話に何だって?さっきお前 この世界の民の為に ガルバディア国王に手を貸してくれって 言ってたよな?」
バーネット2世がヘクターへ向き直って言う
「ああ、そう言ったんだが… その件に関しては関わらねぇってよ?」
オライオンが言う
「バーネット陛下は この世界を助ける為の方法を ガルバディア国王に聞きに来たのか?」
バーネット2世が視線を逸らしながら言う
「あぁ それもあるが… モフュルスの奴が アバロンに遅れを取る訳にも行かねぇから ベネテクトも世継ぎを作って来やがれってぇ…」
バーネット2世がハッとして 慌ててオライオンを締め上げて叫ぶ
「てめぇええらには 関係ねぇええ!!」
オライオンが怯えながら叫ぶ
「だから 何で俺にーっ!?」
ヘクターが疑問して言う
「あ?何で世継ぎを作るのに ガルバディアに来るんだよ?ここに来たって 金髪に青い瞳の女なんて…」
ヘクターが言い掛けて疑問し振り返って誰も居ない場所へ言う
「デス、俺そう言えば 金髪に青い瞳の女なんて 見た事ねぇぜ?金髪の女は居ても 青い瞳はアバロンの民ぐれーだ それでも、アバロンに金髪の女は居ねぇ」
プログラマーが不鮮明なホログラムを表して言う
『ああ、確かにそうだな 私が今までに会った者の中にも その2つの条件に確実に当てはまる者は居ない 唯一レーミヤ辺りならば 青い瞳とも言う事が可能かも知れないが 厳密に言ってしまえば 青に近い緑となるだろう バーネット国王の様な碧眼の者は 確認されていない』
ヘクターとプログラマーがバーネット2世を見る バーネット2世が衝撃を受け視線を逸らす 締め上げられているオライオンが疑問し まじまじとバーネット2世を見て言う
「そう言えば… 俺もバーネット陛下みたいな人って ベネテクトでだって見た事がないぜ?ベネテクトの民は アバロンやツヴァイザーの民と似た感じだけど、バーネット陛下はそのどちらとも…」
バーネット2世が皆の視線に焦り後退る 皆が見つめる バーネット2世が怒って言う
「うるせぇええ!!こっちとら 国家機密だ!文句がありやがるってぇええなら てめぇえらまとめて ベネテクトの国家機密詮索罪で ひっ捕らえっぞぉおお!!」
バーネット2世が鞭を振るう オライオンが焦ってヘクターの後ろに隠れる バーネット2世がヘクターへ脅しを掛ける ヘクターが呆気にとられた後笑んで言う
「ああ、悪ぃ 俺お前よりもっと迫力のある お前に慣れてっから 全然平気だぜ?お前 もう1人のお前より 鞭の使い方が下手だよな?」
バーネット2世が衝撃を受ける
バーネット2世が溜め息を付いて言う
「良いか?誰にも言うんじゃねぇぞ?…代々ベネテクトの王は このガルバディアの技術で子孫を残してる …それだけだ てめぇらに言えるのはこれで限界だぜ?」
ヘクターが疑問して言う
「ベネテクトに妃を迎え入れねーのは 有事の際に人質に取られねー為ってのと ベネテクトの王が 民を愛する王だからなんだろ?だったら別に 金髪に碧眼だなんて拘らねーで 子孫ぐれー普通に残したって良いじゃねーかよ?科学的になんてやってたら このガルバディアの二の舞になっちまうぜ?」
バーネット2世が苦笑して言う
「はっはー 良く知ってやがるじゃねぇか?だが、残念ながら そのガルバディアと同様に 科学の力でしか残せねーから 仕方なくそうしてるってぇ状態だ」
オライオンが疑問して言う
「けど、ベネテクトの民が皆そうって訳じゃねーだろ?」
バーネット2世が言う
「ああ、むしろ こんな状態なのは 国王の一族だけだ ベネテクトの民は さっきてめぇが言った様に アバロンの民とツヴァイザーの民が混ざった様なもんで そのどちらの民とも変わらねぇよ」
プログラマーが疑問して言う
『では、ベネテクト王家の者は 元は何処の国の者なのだ?現存するこの世界のどこの国を確認しても ベネテクト王家の一族以外に 金髪に碧眼の者は存在しない』
バーネット2世が焦って言う
「だ、だからっ!国家機密だって言ってるじゃねぇええか!それ以上詮索しやがるんじゃねぇえ!」
シュライツが疑問し バーネット2世の前で何かを訴える バーネット2世が衝撃を受け焦って怒って叫ぶ
「うるせぇえ!それを言いやがるんじゃねぇええ!!例えそうであっても!俺はベネテクトの王で ベネテクトの民だぁああ!」
ヘクターたちが驚き顔を見合わせる 玉座にガルバディア国王が現れて言う
『バーネット2世 お前がこの世界の民を守る為 このガルバディアの技術を求めるのであれば 私はそれらを お前に譲っても構わない』
皆が驚きガルバディア国王へ向く バーネット2世が言う
「俺に譲るだぁ?それで てめぇは どうしようってぇんだ?遂に 死んでった民たちの後を 追いやがるってぇのか?」
ガルバディア国王が言う
『私は 私の相棒の下へ向かう その為にはお前の協力が必要だ そのアバロンの民ヘクターの相棒も私と同じ 新たな体による命の時を必要としている』
バーネット2世が疑問する ヘクターたちが驚きヘクターが言う
「新たな体って?おいっ ガルバディア国王!?あんたは俺らの事を知っているのか!?」
ガルバディア国王が言う
『アバロンの民ヘクター、このバーネット2世こそ 私と共に現存する最後のガルバディアの民だ』
ヘクターたちが驚いてバーネット2世へ向く バーネット2世が衝撃を受け焦って顔を逸らす ガルバディア国王が言う
『そして、彼の遺伝子情報は 延命処置を施した私のものとは異なり劣化などはしていない すなわち その遺伝子情報を用いた成長促進であれば 寿命の劣化も最小限に お前の相棒も 実体を持って 直ぐ様お前の力となる事が可能だ』
バーネット2世が言う
「はっはー!てめぇは端っからそれが目的だったのか?てめぇが新たな体を得て てめぇの相棒の下へ向かう… それをするには 今のまま機械の中に居るんじゃ叶わねぇ」
ガルバディア国王が微笑して言う
『この日の為に 長き時を費やした あの悪魔力の脅威から逃れたお前の先祖を ガルバディアから追放し 愛すべき民を与えてやった お前の一族は 私の思惑通り 彼らベネテクトの民を守る事を目的として このガルバディアで子孫を残し続けた 結果 この時の私の為に正常な遺伝子情報を残してくれたと言う事だ』
バーネット2世が言う
「ハッ!気に入らねぇ 俺らベネテクト王家の者は!てめぇの為に生き残ってた訳じゃねぇ!てめぇがかき集めやがったんだか知らねぇが ベネテクトの民は!俺らをベネテクトの王として認め 共に生きて来たんだ その民の思いまで てめぇが仕込んだ物だとは言わせねぇぜ!」
ガルバディア国王が軽く笑って言う
『そうだな 人の心は私にも作る事は出来ない しかし、お前はやはり 私の計算通り ベネテクトの次世代の王を作る為 ガルバディアへ現れ 更に 悪魔力の脅威と 闇の王から民を守るため この国の技術を欲した 私はその両方を与えてやると言っているのだ 互いの利益は十分に得られるだろう?』
バーネット2世が苦笑して言う
「ケッ!…てめぇの用意したガルバディアの技術ってぇのが どれだけの物かを確認するまでは その利益がありやがるのかは分からねぇが どちらにしろベネテクトの王子だけは必要なんだ ガルバディアの技術とやらの査定は見逃してやるぜ」
ガルバディア国王が笑んで言う
『お前の期待を 裏切るものでは無いと 保障をしてやる』
【 ソルベキア城 機械室 】
ニーナが心配そうな表情で視線を落としている ヴァルキリーたちが顔を見合わせ ニーナを見つめる ニーナが気付き顔を上げ微笑んで言う
「ううん!私は大丈夫なの!しばらく待っていれば 皆も大好きなユダさんやシリウスさんも帰って来るから それまで…」
ニーナが言葉を区切り 視線を落として言う
「…ウィザードのデスさん まだアバロン城に閉じ込められちゃってるって バッツさんが言ってたの お父さんたちの所へは帰って無いって… プログラマーのデスさんも 今はお父さんと一緒に戦え無くなっちゃったって… やっぱり 心配なの…」
【 ローレシア国 移動魔法陣 】
仮面を付けたバッツスクロイツとヴァルキリーたちが現れる 警備兵2人が驚き慌てて言う
「ヴァッ!ヴァルキリーだ!?ローレシア城に 奇襲を知らせる通信を…!」
1人の警備兵が走り 残った警備兵が魔法詠唱を開始する バッツスクロイツが微笑して 警備兵が放った魔法をヴァルキリーが切り裂く 警備兵が怯え後退って逃げ出して行く 通信を終えた警備兵が 慌ててそれを追って逃げて行く バッツスクロイツが軽く笑った後 モバイルPCを操作して言う
「うーん… やっぱデスは間に合わないかー でもまぁ?このヴァルキリー改たちの スペックなら?問題ナッシングー… かな…?」
バッツスクロイツが歩き出す ヴァルキリーたちが続く
【 ローレシア城 玉座の間 】
伝達の兵が駆け込んで来て言う
「申し上げますっ!ローレシア移動魔法陣に ヴァルキリーが現れました!」
キルビーグとルーゼックが驚き キルビーグが言う
「ヴァルキリーがっ!?では闇の王が そやつらを引き連れて 参ったのか!?」
伝達の兵が言う
「警備兵からの連絡では 闇の王ユダとシリウスはおらず その代わりに その闇の王らと同じ仮面を付けた 新たな人物が 確認されたとの事です!」
キルビーグが言う
「何っ!?では 新たなる闇の王が現れたと!?」
ルーゼックが立ち上がって叫ぶ
「全部隊 直ちに戦闘配備っ!デネシア国ハレルトへも伝達っ!同時にローレシアに常駐している 竜族の先住民族へも伝え ローレシア、ローゼント部隊合同 魔法剣士部隊を徴集しろっ!開戦ぞっ!」
城下町
閉じられていた門が破壊され バッツスクロイツがヴァルキリーたちと共に進み入る ローレシア魔力者部隊が詠唱を終え魔法を放つ ヴァルキリーたちがその魔法を切り裂き 魔法が四方八方へ飛ばされ それによる爆発が起きる 魔力者たちが呆気に取られる 爆風が収まった所で バッツスクロイツが微笑して言う
「我が名はクロイツヴォルデン!闇の王シリウスの忠実なる配下 我らの下僕ウィザードを捕らえたお前たちへ敬意を表し 本日は我が直々に相手をしてくれようぞ!さあ!我が忠実なるヴァルキリーたちよ!ローレシアの王を捕らえ 捩じ伏せよ!邪魔をする者は!…適当に痛め付けよ!攻撃!」
ヴァルキリーたちがローレシア魔力者部隊へ攻撃を開始する バッツスクロイツが人知れず息を吐いて言う
「ふぅ… 危ない危ない?セリフ間違えちゃう所だった… あれ?適当に痛め付けよ で合ってたかなー?」
バッツスクロイツが首を傾げる
間もなく ルーゼックが魔法剣士部隊を引き連れやって来る ヴァルキリーへ魔法を放っていた魔力者たちが道を開く バッツスクロイツが気付き微笑して言う
「来た来た…」
ルーゼックが剣を引抜いて言う
「闇の王シリウスの配下とやら 丁度良い 我らの新たなる力 魔法剣士部隊の試し切りにしてくれる!」
ローゼントの騎士団が剣を抜き構える ローレシアの魔力者部隊が魔法を放って 騎士団の剣に魔力を与える ルーゼックが自身の魔法剣をバッツスクロイツへ向けて叫ぶ
「ローレシア、ローゼント 両国の選ばれし勇士たちよっ!この世界に生きる全ての敵 闇の王の配下 クロイツヴォルデンとヴァルキリーを討ち倒せっ!攻撃ーっ!!」
ルーゼックと共に雄叫びを上げたローゼント騎士団がヴァルキリーとバッツスクロイツへ向かって来る バッツスクロイツが怯えて言う
「うわ…っ!やっぱモノホン前線は 俺っちにはキツイかもっ!…で、でも大丈夫!このヴァルキリー改たちの バトルデータから算出すればー?超楽勝って…」
ヴァルキリーたちが皆バッツスクロイツの近くから離れての戦闘へ向かう バッツスクロイツが衝撃を受け焦って言う
「え…っ!?キャー まじでー!?ヴァルキリーが全員行っちゃうーだなんてー!?超計算違いーなんですけどー!?」
ローゼント騎士団の1人がバッツスクロイツへ向かう バッツスクロイツが焦って言う
「や、やば…っ!」
バッツスクロイツが後退り 目を瞑って身を屈める 武器がぶつかり合う音が響く バッツスクロイツが疑問して 恐る恐る目を開けて見上げる バッツスクロイツとローゼント騎士団の間に アンドロイドのデスが入って バッツスクロイツを守っている バッツスクロイツが呆気に取られた後 笑顔で言う
「デスっ!」
アンドロイドのデスがローゼント騎士団の剣を払い攻撃する ローゼント騎士団が一度剣を引いて構え直す アンドロイドのデスがバッツスクロイツを背に守りに就く バッツスクロイツが苦笑して言う
「ふぅ… なーんだ?ちゃんとー?間に合ったーじゃない?…けど、もうちょっと早く来てくれよな?お陰でクールなクロイツヴォルデンが ちょっちカッコ悪いトコ見せちゃったーって感じ?」
アンドロイドのデスがバッツスクロイツを振り返る バッツスクロイツが軽く笑って言う
「お帰り、俺の相棒」
ルーゼックとキルビーグがアンドロイドのデスを見て驚いて ルーゼックが言う
「なんだ?あのヴァルキリーはっ!?他のヴァルキリーとは異なり ローブに身を隠してはいるが… あれもヴァルキリーなのか?」
キルビーグが言う
「いや、あの者だけは動きが違う それに 手にしている武器も」
ルーゼックが目を細め確認して言う
「確かに…?奴の持つ武器は 他のヴァルキリーとは違なる物… それに… 確か以前に 私はあの武器を どこかで見た様な…?」
ルーゼックが視線を下げて考えると 魔法剣の魔力が揺らぐ ルーゼックがハッとして言う
「…えぇい!分からぬものを考える必要も無い!奴も他のヴァルキリーと同じ あのクロイツヴォルデンの配下であるっ!この私が討ち取ってくれるわっ!」
ルーゼックが剣を振り払う キルビーグが魔力を集める
【 ソルベキア国 街中 】
ニーナが1人 おぼつかない足取りで歩いていて 人にぶつかり怒られる
「おいっ 何処見て歩いてんだ!」
ニーナが慌てて謝る
「ご、ごめんなさいなのっ あ、あのっ…」
人が嫌な感じで立ち去る ニーナが困った表情で言う
「…ソルベキアの人は 皆さん大忙しなの 誰も私の質問に 答えてくれそうに無いの…」
ニーナがしょんぼりする 機械鎧を外したヴァルキリーの1人が ニーナに気付き 衝撃を受け駆け付けて来て言う
「…ッ ダ!ダメ!ダーメー!」
ニーナが気付き 顔を上げて言う
「あ!ヴァルキリーさんなのー!」
ニーナが笑顔になる ヴァルキリーが衝撃を受け慌てて言う
「ダメ!ダ…メ!ダーメー!」
ニーナが疑問して首を傾げる
【 ローレシア国 城下町 】
バッツスクロイツの目前で アンドロイドのデスとルーゼックが戦っている バッツスクロイツがそれを見ていると バッツスクロイツの通信機が鳴る ルーゼックが衝撃を受け顔を向ける バッツスクロイツが通信機を着信させて言う
「はいはーい?こちら 超絶 絶好ー調ーに ローレシアをボコってる クロイツヴォルデンー」
ルーゼックが衝撃を受け怒って言う
「おのれっ!他国へ侵略しながら 通信機を受信させるとはっ!?」
通信機のモニターにヴァルキリーが映って言う
『ダメダメ、 ゴー トゥー アバロン ウィズ… ニーナ』
バッツスクロイツが衝撃を受け驚いて叫ぶ
「えぇえーっ!?」
ルーゼックが衝撃を受け 怒って指差して言う
「貴様っ!のうのうと戦場で通信に出ておきながら その通信内容に動揺してどうするっ!?」
バッツスクロイツがルーゼックへ 制止の手を向けて言う
「ちょ、ちょっち タンマ!」
ルーゼックが怒って言う
「何がタンマだ!馬鹿者ーっ!」
バッツスクロイツが慌ててモバイルPCを操作して 悲鳴を上げる
「キャー!まじ 超ー困るんですけどー!?今 この時ーにそーんな事ーに なっちゃったり なんかしたら!超ーたーいへーんー!どうするっ!?えっ!?これ どーしよー!?」
バッツスクロイツが動揺を隠さずオロオロする ルーゼックが疑問して言う
「な…?何事だ?何を貴様は それ程に動揺している?」
バッツスクロイツがルーゼックへ向いて言う
「えーっと… ちょっ!マジ ごめん!俺っち ちょっち急用出来ちゃったから?今 超―良い所ーだけど?一度エスケープさせてもらえる?」
ルーゼックが衝撃を受け怒って言う
「何を寝ぼけた事を申しておるのかっ!馬鹿者っ!同等か優勢の戦いをしておる貴様らが この状況から逃げ出そうとはっ!その急用とは何だっ!」
バッツスクロイツが言う
「あー それはー… えっとー?そのー… 実は!俺っち デートの約束を 超ド忘れしちゃってましたー!」
ルーゼックが怒って叫ぶ
「何だと貴様ぁああっ!?」
バッツスクロイツが言う
「ほらほらー?!だーからー?こう言う時ーは 超急いで行かないとー?レディを待たせるのは ジェントルマンにあらずー!みたいなー!?」
ルーゼックが衝撃を受け 怒って叫ぶ
「何を言っておるか!馬鹿者っ!!急いで行く前に 貴様は 取り急ぎ 謝罪の連絡を致さぬかっ!例え軟派な貴様とて その程度の礼節は一人前の人として身に付けよっ!」
バッツスクロイツが笑顔で言う
「えー!?って事ーは 行っちゃっても良いって感じー!?わーい まじ、超ーありがと ルーゼっち!この埋め合わせーは!近い内にまた来るからー?ローレシアの裏切り者ーとかに?虐められちゃっても?超ー頑張っちゃってよねー?俺っち、全力ーで応援してるからさっ!?」
ルーゼックが怒って叫ぶ
「誰がルーゼっちだ 無礼者っ!そして 敵である貴様の応援など要らぬわっ!それより貴様はっ!無駄話などしとらんで さっさと連絡を入れると共に 向かわぬかっ!!」
バッツスクロイツが笑顔で立ち去りながら言う
「それじゃー行かせて貰っちゃうーから!またねー!ルーゼっちー!…おーい 皆ー!スペシャル緊急エスケープ!撤収ー!」
ヴァルキリーたちが振り返り バッツスクロイツの後を追う ルーゼックが怒りのままに バッツスクロイツたちの後ろ姿を睨み続ける キルビーグが苦笑している
【 カイッズ国 城門前大広間 】
巨人族が祈りを捧げている 後住民族の司祭が両手を広げて言う
「おおー 我らの主 天に居わする神々よ!我ら罪深き子らは 貴方の身元に帰り戻るその時まで この混沌なる地上にて 数々の苦難に耐え忍ぶー… おおー 我らの母 聖母は何故 我らをこの地に落とされたのか 我らは常に貴女を崇め 貴女の声を聞きたしとー 日々祈りを捧げるー 聖母よー 貴女の声が聞こえたならー 我らは 何なりとその命に…」
巨人族たちがざわめき 指を指す 司祭が疑問し振り返る カイッズ城から出て来たリーザロッテが槍を地に叩き付けて叫ぶ
「オーホッホッホッホ!今!この世界は 闇の王ユダとその手下に 滅ぼされようとしていてよ!私たちが この地に落されたのでしたら!天でのうのうといらっしゃる 聖母様などに助けを求めるのでは無く!今こそ この地で共に生きる 私たちと一緒に 戦うべきでしてよ!」
司祭が衝撃を受け 怒って言う
「なっ!何と罰当たりな!一体 何処の異端娘じゃ!?」
レイトが衝撃を受け 怒って叫ぶ
「無礼者!こちらに居わすのは この世界を救う 我らツヴァイザーの勇者!リーザロッテ様なるぞ!」
リーザロッテが巨人族へ向いて言う
「カイッズ国の先住民族 巨人族の皆!私には貴方方の力が必要でしてよ!この世界を救う為 他の先住民族と共に 世界中の私たち後住民族と共に この世界の為に戦って頂けて!?私たちは皆で戦い!共に生きるのでしてよーっ!」
司祭が怒って言う
「何を言っておるかっ!今この世界を襲っておる 闇の王やヴァルキリーが このカイッズ国を襲わぬのも!我らの聖母がこのカイッズ国を守って下さっておるからじゃ!祈りを止めて戦うなど その様な事をしては!」
リーザロッテが言う
「闇の王やヴァルキリーが!このカイッズ国を襲わないのは 貴方方に戦う意思と力が無いからでしてよ!奴らは この小国カイッズなどいつでも落とせてよ!そして、このままでは 本当にいつか奴らの気が向いた時に あっけなく襲われて終ってしまうわ!そうならないためにも 今こそ私と共に 奴らに負けない力を有すべきでしてよ!」
司祭が言葉に押される リーザロッテが巨人族へ向いて言う
「天に居わす貴方方のお母様だって めそめそと助けを請うだけの 情けない息子では悲しまれるわ!貴方方は しっかりと自分たちの足で立ち この世界を救って見せる それ位の強さと勇気を持ちなさい!」
巨人族たちが呆気に取られた後顔を見合わせ やがて言う
「聖母様… 聖母様だ!我らの聖母様が 我らと共に戦う為 この地へ降りて来て下さったんだー!」
巨人族たちが喜ぶ 司祭が衝撃を受け慌てて言う
「ち、違うっ!そんな訳は無いっ!我らの聖母様が あんなじゃじゃ馬娘である訳が無かろうっ!」
リーザロッテが衝撃を受け 怒って言う
「誰がじゃじゃ馬娘ですってーっ!?」
【 アバロン城 玉座の間 】
伝達の兵が言う
「申し上げます!ツヴァイザーの勇者リーザロッテが スプローニに続きカイッズ国の先住民族をも 手中へ収めたとの事です!」
ヴィクトール13世が歯噛みして表情を怒らす 家臣Aが言う
「ヴィクトール陛下!やはり ツヴァイザーの勇者リーザロッテは この世界中の先住民族を 手下に従えるものと思われます!」
家臣Bが言う
「このままでは レリアン王妃殿下の祖国であるデネシア国へも その手が伸びるやもしれません!」
家臣Cが言う
「ヴィクトール陛下!デネシアがツヴァイザーの手に渡るような事があっては!」
ヴィクトール13世が言う
「ベネテクトへ戻ったバーネット2世の その後の行方は掴めたのか?」
家臣たちが慌てて資料を探して家臣Aが言う
「バーネット様のその後の行動は ツヴァイザー国へベネテクト部隊と共に援護に向かわれ 闇の王ユダとシリウス、ヴァルキリーたちとの戦いに 参戦したと言う所までは お姿の確認が取られております」
家臣Bが言う
「ベネテクトやアバロンに居た時と同様に 日々のベネテクト国内の状況確認と支援、その他の指示は 変わり無くベネテクトの大臣モフュルス殿へなされている事が 通信記録から音声生態識別にて 確認されております」
家臣Cが言う
「しかし、バーネット様がアバロン第二国王の王位を返還され ツヴァイザーの援護に向かった翌日から今日までの間 ベネテクト国内 共にアバロンや他の国でも 一切お姿の確認は取られておりません」
ヴィクトール13世が言う
「モフュルス殿と通信連絡を取っているのなら その発信源は分かるだろう?」
家臣Aが言う
「それが、通信の受信発信源の確認は 現在も取られない状態にあります アバロン情報部の力では 恐らく今後もその確認を取る事は不可能であると」
ヴィクトール13世が言う
「アバロン情報部の力は この世界においてローレシアに継ぐものだ 口先だけのシュレイザーや他国に遅れは取っていない そして同等の力を持つローレシアに劣る事も無い 我らの確認を妨げられるのは ガルバディアかソルベキアのどちらかだ しかし、もしソルベキアに居たのならモフュルス殿と 民について連絡を取り合う等と言う事は出来ない」
家臣らが驚き 家臣Bが言う
「ではっ バーネット殿はガルバディアに!?」
家臣Cが驚いて言う
「しかし 今この時に国を閉ざしているガルバディアへ行く必要などありましょうか!?ガルバディアから支援を得ようにも かの国は部隊などは有しておりません」
ヴィクトール13世が言う
「国を閉ざしているとは言え ガルバディアは恐らくこの世界で もっとも強い力を隠し持つ国だ このアバロンで一番の力を持つ ヘクターの相棒もガルバディアの民 そして、20年後の世界から戻って来た アバロンの勇者であるヘクターの相棒や あのウィザードも…」
家臣Aが焦って言う
「ではっ!バーネット殿は それらの力を求め ガルバディアへ向かったと!?」
ヴィクトール13世が視線を逸らす 伝達の兵が現れて言う
「申し上げます!ローレシア国ルーゼック第二国王より 現在我らアバロンに捕らえられている ウィザードの引渡し催促が入っております」
家臣たちが一度伝達の兵へ視線を向けた後 ヴィクトール13世へ向いて家臣Aが言う
「陛下、ルーゼック殿からの ウィザード引渡し催促はこれで2度目となります これ以上の引き渡し要求の無視は アバロンの他国への信頼に問題を生じさせます」
家臣Bが言う
「陛下!あのウィザードが 我らアバロンと共に闇の王たちと戦った事は 既にローレシアと協定を結んだローゼントから伝わっていると思われます これ以上隠し通す事は不可能です!」
家臣Cが言う
「陛下!現在ローレシアが第二国王と魔法剣士部隊の力を得た事により 世界の国々は このアバロンでは無い 北の2人の王を示唆し始めているとの噂があります 現状で第二国王を失ったアバロンが これ以上各国との信頼を失っては」
ヴィクトール13世が言う
「ローレシアが第二国王を得た事を 快く思わぬ者が居ると聞いたが その者の確認は取られたのか?」
家臣Aが言う
「はい!その者の確認は取られました 正体はローレシア国元第一部隊長ラグハーン 先代ローレシア国王の従兄弟に当たる者だとの事です」
家臣Bが言う
「ラグハーンは ローレシアの民でありながら 魔力を持たないローレシアの剣士ですが ルーゼック殿とは異なり 魔法剣士部隊には参入しておりません」
家臣Cが言う
「ラグハーンは 先代ローレシア国王の死因にも 関係があるのではないかと 目下執行猶予中であるとの事です」
ヴィクトール13世が言う
「国王の死因に僅かなりとも関係があるのであれば 執行猶予などは与えられ無い 急ぎラグハーンの詳細を探れ 使える者なら手玉に取り 奴への手助けを行え これ以上ローレシアに力を付けさせる訳にはいかない」
家臣Aが返事をして急いで向かう 家臣Bがヴィクトール13世へ向いて言う
「陛下、ツヴァイザーの勇者リーザロッテに関しては如何致しましょう?」
ヴィクトール13世が言う
「スプローニとカイッズの先住民族を従えたとしても 先住民族だけでは各国の部隊に比べ 大した力とはならない 彼女が何を目的として それらの者たちを従えるのか その裏づけを取れ」
家臣Bが返事をして急いで向かう ヴィクトール13世が家臣Cへ向いて言う
「そして…」
家臣Cが頷いて言う
「ガルバディアへ向かった バーネット殿の動向を調査致します」
家臣Cが礼をした後急いで向かう ヴィクトール13世がその後ろ姿を見つめた後 間を置いてもう1つの玉座へ視線を向ける
【 ガルバディア城 玉座の間 】
玉座に座るバーネット2世が周囲にホログラムのモニターをいくつも表示させながら言う
「アバロンが各国からの信頼ってぇ力を失いつつある んな時に 3番目の指示に俺の捜索をさせやがるなんて… しかも ルーゼックの奴を討とうとする奴に手を貸そうなんざ 友情の王が聞いて呆れっぞ ヴィクトール… てめぇはそんな奴じゃねぇだろ?」
バーネット2世が溜め息を吐く ホログラムのモニターが増える バーネット2世がそれに気付き微笑して言う
「ああ、丁度来やがったか… 知らせてやる必要も無かったみてぇだな?ヘクター」
バーネット2世が玉座に凭れ 軽く顔を上げて周囲のモニターを眺めながら言う
「…どんな情報漏洩防止策も このガルバディアの力を使っちまえば 全て筒抜けだ 国家情報を電子化しちまってるソルベキアやローレシアなんざ自国の情報と同等に分かっちまう… おまけに電子化をしていなくったって 紙に書かれた時点で終わりだぁ この力なら紙と言う情報に上書きされたインクの位置すら情報になって現れやがる…」
バーネット2世が目を閉じて言う
「どんなに戦力を持っていやがっても 自国の国家情報が手に取る様に知られっちまうんじゃ どの国も このガルバディアには勝てねぇ… あのガルバディア国王の奴が 世界を手中に収めようとしなかったのは ただ単に… それが自分の目的じゃぁ 無かったからだってぇのか?」
バーネット2世がホログラムのモニターを全て消して 一息吐いて目を開く 玉座の間にヘクターが現れて言う
「よう、バーネット?お前 ベネテクトには帰って来ないのか?俺たちは そのベネテクトに居たんだぜ?」
バーネット2世が軽く笑って言う
「ああ、知ってる 魔物退治の部隊指揮を執りやがって… てめぇ、うちのベネテクト部隊を引き抜こうなんざしやがったら ただじゃおかねぇからなぁ?」
ヘクターが呆気に取られた後 笑って言う
「俺はもう隊長は辞めたんだ 今回はたまたま合同になって 気付いたら指揮っちまってたってだけだぜ 怒るなよ?」
バーネット2世が微笑して言う
「まぁ良い それよかぁ あいつを迎えに来やがったんだろ?まだ機械の中で眠ってやがるが とっくに睡眠プログラムは解除されてんだ 叩き起こして連れて行きやがれ」
ヘクターが微笑して言う
「おう、そのつもりで来たんだ!…ああ、それと?」
ヘクターが向かおうとしていた足を止め 振り返って言う
「ベネテクトの民が 国王に会いたがってたぜ?アバロンの第二国王を辞めたんなら ここで指示だけ出してねーで たまにはちゃんと民の所に帰れよな?」
バーネット2世が苦笑する
プログラマーの部屋
ヘクターが中央の機械へ向かう 周囲の機械が作動し 機械の中の精製水が抜かれる ヘクターが機械の中を覗き込んで軽く驚く 表面のガラスが収納されプログラマーが目を開き ヘクターへ向く ヘクターが呆気に取られた状態から微笑して言う
「よう?世界一の相棒!久し振りだな?」
プログラマーが微笑して言う
『この姿では 気付いて貰えないのではないかと …少し心配していた』
プログラマーが身を起こす ヘクターが苦笑して言う
「ああ、驚きはしたけどよ?バーネットに会った後だったから すぐに分かったぜ!まぁ、会って無くっても 分かっただろうけどな?」
プログラマーが苦笑して言う
『この姿が ガルバディアの民の元の姿 …だが、やはり 私には少し派手過ぎる 瞳の色は変えられないが 髪の色は何とかするか…』
プログラマーが自分の髪を確認する ヘクターが軽く笑って言う
「姿はバーネットと同じになっちまったけど 声は前のままなんだな?」
プログラマーが言う
『…いや、余りにも全てが違い過ぎては 流石のお前にも不信感を持たれてしまうのではないかと 音声プログラムを実行している』
ヘクターが苦笑して言う
「ははっ まぁ そうだったかもな?けど、もう大丈夫だぜ?せっかく俺が喋り方を教えてやったんだ 忘れて無いだろ?」
プログラマーがヘクターの顔を見て微笑して言う
「もちろんだ ヘクター」
ヘクターが一瞬驚いた後 軽く笑う
ガルバディア城 門外
ヘクターとプログラマーが歩いてガルバディア城から去って行く ヘクターが言う
「お前が機械の外に出たって事は 次はソルベキアに行って プログラムをやる為の機械を手に入れるんだろ?オライオンとシュライツを呼ぶか?」
ヘクターが通信機を取り出す プログラマーが言う
「いや、その必要は無い この体にあるマイクロトランスミッターを ガルバディアのセントラルコンピュータへ接続する許可を 我らの父バーネット2世 新ガルバディア国王陛下から得る事が出来た 従ってガルバディアの装置の中に居た時と同様のプログラムを 現状で行う事が可能だ」
ヘクターが驚いて言う
「あ…?バーネットは ガルバディアの国王になったのか!?」
プログラマーが言う
「ああ、ガルバディアの王位はバーネット2世へ譲られた 今後、ガルバディアはベネテクトと共に彼が統括する事となる …最も、このガルバディアには町も村も無い ベネテクトのそれらが ガルバディアの領地として含まれた と言った所だろう これでガルバディアはアバロンやローレシア、シュレイザーに継ぐ大国となる」
ヘクターが言う
「じゃー もうバーネットは アバロンの第二国王にはならねーかもな?」
プログラマーが言う
「ああ、彼がアバロンの第二国王へ戻る可能性は 0%だ」
ヘクターとプログラマーが軽く笑う
【 ローレシア城 玉座の間 】
ルーゼックが目の前のローレシア兵へ怒って言う
「馬鹿者っ!例え他国のアバロンの中とあろうともっ!ウィザードの見張りを行っている ローレシアの兵との連絡を遮られ おめおめと帰って来よるとはっ!貴様らローレシア兵はいつから アバロンの言いなり兵へと成り下がったのだっ!?」
ローレシア兵が言う
「も、申し訳有りませんっ アバロンのヴィクトール国王から直接 ローレシアの国王へ連絡を入れるとの お言葉を頂いた為 それ以上の進言は出来ず 引き下がるに至りました」
ルーゼックが他方へ顔を向けて言う
「その連絡とやらは入っておるのか?」
キルビーグが言う
「いや、私の方へは アバロンからの連絡は一切入って居ない」
ルーゼックが言う
「私が送った 1度目、2度目の引渡し要請にも なんら返答は戻って来ておらぬ」
キルビーグが言う
「では、私から連絡を送ろう 引渡し要請を無視したうえ 見張りに付けた自国の兵らとの面会さえ許されぬとあっては この世界の平和条約に反している事となる」
ルーゼックが怒って言う
「待てっ!貴様が連絡を送る必要はあらぬっ!ヴィクトール国王は このローレシアの第二国王である 私からの連絡を2度に渡って無視したのだっ!その上に送った ローレシアからの使者の面会を遮断した上 突き返すとはっ!?ここまでの仕打ちをされ 黙っておる事など出来ぬっ!今度は私が自ら向かい 納得の行く説明を聞き出してくれるわっ!」
ルーゼックが玉座を立ち 出口へ向かう キルビーグが慌てて言う
「待てっ ルーゼック!お前がアバロンに行っているその間に 再びあのクロイツヴォルデンとヴァルキリーらが現れたらどうするのだ!?あの者は すぐにまた来る と申しておったでは無いか?」
ルーゼックが衝撃を受ける キルビーグが続ける
「実に取って付けたような言い訳へ 助言までして一時退避を許した所 そのお前の居らぬ時に再び奇襲を受け このローレシアが落とされるような事になっては大変だ それに引き換え アバロンとの小競り合いなど 今は脇に置いても良い時であろう?」
ルーゼックが振り返って言う
「…あれは言い訳であったのか?」
キルビーグが苦笑して言う
「例え事実であっても 間を置かずして 奴らは再び参る様子であった 従って今は…」
ルーゼックが怒って言う
「黙れっ!キルビーグっ!奴の恋路が成功しようが失敗しようが関係無い…っ!違うっ!奴らが来ようが来まいが関係は無いのだっ!奴らの襲来へ備え このローレシアの2人の王が身動き出来ぬ等っ!その様な醜態を晒してなるものかっ!私は第二国王であって この国には第一国王の貴様がおるっ!奴が来るとほざいておっても 私は堂々と留守にしてやるわっ!奴がどうしても この私と戦いたいと 申すのであればっ!それこそ日を改めて参れと申しておけっ!」
ローレシア兵が呆気に取られている ルーゼックが睨み付けて言う
「貴様っ!まだそこへ居ったのか!?貴様はすぐさまアバロンへ戻り 見張りの兵との連絡を再度要求せよっ!」
ローレシア兵が焦って言う
「し、しかし それでは私まで いつまでも ローレシアへ戻れ無く…」
ルーゼックが怒って言う
「馬鹿者っ!それこそ貴様は 任務を遂行させるまでは ローレシアへは戻らぬと言う 意地と矜持を見せぬかっ!」
ルーゼックが怒ったまま玉座の間を出ようとする キルビーグが立ち上がって言う
「待たぬか ルーゼックっ!魔法剣士部隊を率いるお前が居らなくては!このローレシアを落とさんとする奴らにとって 絶好の好機と取られるものとっ!」
ルーゼックが振り返って言う
「何を申すか キルビーグ!それこそ 魔法剣士部隊の魔法を司る 貴様が1人でも居ればっ!何の問題も無くこのローレシアを守り通すことが出来ると申す事を示す… ぐぅっ!?」
ルーゼックが言い掛けた所で目を見開く ルーゼックの片腹に短剣が突き刺されている ルーゼックが視線を短剣の持ち主へ向ける ルーゼックの視線の先 玉座の間の出入り口に身を潜めていたラグハーンがニヤリと笑む ルーゼックがラグハーンを確認して言う
「誰だ…っ 貴様は…っ!?」
キルビーグが驚いて叫ぶ
「ルーゼックっ!!」
ラグハーンがルーゼックから短剣を引抜く ルーゼックが膝を着き倒れそうになるが 怒りで身を支え剣を引抜いて言う
「おのれっ反逆者めっ!」
ラグハーンが短剣を捨て剣を抜いて構える キルビーグが駆け付け ラグハーンへ向いて言う
「止めよっ!ラグハーン!貴殿はこれ以上ローレシアへの罪を重ねるつもりかっ!?いかに貴殿と言えど 今度こそ命は無いぞっ!」
ラグハーンが微笑して言う
「ローレシアへの罪を重ねているのは 貴様の方だキルビーグ 他国の者に このローレシアの権限を奪われるだけでなく この国の力となった 魔法剣士部隊の統括を自ら委ねるとは?何処まで貴様はローレシア国王の威厳を損なわせれば気が済む?」
ラグハーンが剣をキルビーグへ向ける 周囲に集まっていたローレシア兵が言う
「ラグハーン殿!キルビーグ陛下へ剣を向ける事は 許されません!」
ローレシア兵たちが魔力を集結する ラグハーンが苦笑して剣を収めて言う
「ふんっ そうだったな?こんな者でも我らローレシアの王なのだ キルビーグ 貴様が王の座に居る事は認めてやる だが?このローレシアに第二国王などと言う存在は不要だ そうと言ったのは他でも無い お前の父 イシュラーン前ローレシア国王だろう?」
キルビーグが表情を険しくして言う
「前王であった我が父イシュラーンが ローレシアの第二国王を否定したのは 貴殿がその器に無かったからだ ラグハーン!その証拠に貴殿は 我が父の九死に 己のみ逃げ延びて ローレシアへと戻ったのでは無いか!」
ラグハーンが言葉に負け後退るが 改めて威勢を張って言う
「…違うっ!あれはイシュラーンが 己の力を過信して 事を起こそうとしただけだ!俺が止めたにも関わらず 奴はアバロンへの奇襲を決行した その結果ヴィクトール12世とバーネット1世の手に掛かり 返り討ちにされたのだ!」
キルビーグがルーゼックへ回復魔法を掛けながら言う
「それこそ貴殿の見誤りだ ヴィクトール12世とバーネット1世は 確かに強い力を持っては居たが そのどちらも魔力などは有して居らなかった ローレシア随一の魔力者であった我が父イシュラーンと 当時ローレシアで最も力を有していた 第一部隊のその隊長である貴殿の力があったなら 勝機は十分にあった 貴殿が父や部隊の者を見捨てたりなどしなければ きっと今頃アバロンは 我らローレシアの支配下にあった筈だ」
ラグハーンが言い返す言葉を失う 周囲の兵たちが顔を見合わせる キルビーグが回復魔法を終えて言う
「ルーゼック 済まなかった 我が父の代に起こった事で お前に被害を与えてしまうとは… だが、急所を外されていて良かった さぁ、傷は癒えた この事は いっときの痛みであったと どうか許してくれ」
キルビーグが苦笑してルーゼックへ顔を向ける ルーゼックが苦しそうに言う
「ばか…者がっ さっさと 奴を取り 押 さえ…」
ルーゼックが剣を手放して意識を失う キルビーグが驚いて言う
「ルーゼック!?どうしたのだ!?傷は完治したと申すのにっ!」
【 アバロン国 ヘクターの家 】
ヘクターが驚いて言う
「ニーナが この家に来ただってっ!?」
オライオンが言う
「それで!ニーナは!?」
ミーナとタニアが困った表情で顔を見合わせた後 ミーナが言う
「それが… 私たちと話をした後に…」
回想
ミーナとタニアが ニーナと機械鎧を外したヴァルキリーを前にしていて ニーナが言う
「それじゃっ 誰もウィザードのデスさんの様子は 分からないのっ!?」
ミーナが言う
「うん、お父さんもお兄ちゃんも この世界のお父さんも …もちろん私たちも 誰も面会はさせて貰えないんだよ」
タニアが言う
「でも きっと大丈夫よ ニーナ?今は ウィザードさんの監視に 他国の方が居るから お話が出来ないだけで きっとその方たちの監視の目が 無くなりさえすれば…」
ミーナが言う
「この世界のアバロンの王様も ヴィクトール陛下だもん 大丈夫だよ!ニーナ!」
ニーナが心配そうな表情を見せる タニアが苦笑して言う
「それより ニーナ?私たちは あなたの事をとても心配していたのよ?闇の王の所に居るだなんて 本当に大丈夫なの?その… こちらの方は?」
ミーナとタニアがヴァルキリーへ視線を向ける ヴァルキリーが衝撃を受け焦る ニーナが微笑して言う
「20年前のお母さん、私は大丈夫なの この人はヴァルキ…」
ヴァルキリーが衝撃を受け慌てて言う
「ダメ!ダーメー!」
ニーナが呆気にとられた後軽く笑う ミーナとタニアが顔を見合わせる 家の扉が勢い良く開かれ 派手な仮面を付けたバッツスクロイツが現れて叫ぶ
「我が名は怪盗 ルパーん13世ー!可愛いニーナ嬢を 盗みに参ったー!」
ニーナが振り返って疑問する ミーナとタニアが呆気に取られる バッツスクロイツがニーナへ耳打ちをする
「ニーナちゃんっ ナウこんな所に居るのは スペシャルデンジャラスなんだっ 今すぐウィズ俺っちで ソルベキアにエスケープするんだよっ!?」
ニーナが疑問した後 笑顔で言う
「うん!分からないけど 分かったの!私はバッツさ」
バッツスクロイツが慌てて叫ぶ
「ノーツッ!セイ マイ ネーム!」
回想終了
オライオンが言う
「その変な仮面の男と ソルベキアに戻っちまったのか?」
タニアが言う
「ええ、そうなの もちろん止めたのだけど この人は悪い人じゃないから 心配無いからって…」
ヘクターが振り返り 後ろに居たプログラマーへ言う
「デス、その『怪盗ルーパン13世』ってのを探せねーのか?」
プログラマーが言う
「ルーパンでは無くルパンだ が、それはこの世界には存在しない者で 更に世代数も10世ほど多い… ただの偽名か冗談だろう」
ミーナとタニアが驚き ミーナがプログラマーを指差し言う
「え!?デスさん!?」
タニアが言う
「あら あの映像の方?私てっきりあの映像が 本人の姿なのだと思っていたわ?」
ミーナとタニアがまじまじとプログラマーの姿を見る プログラマーが2人の視線に恥ずかし気に後ずさって言う
「わ、私自身も この姿にはまだ慣れて居ないのだ そんなにじっと見ないで欲しいのだが…」
ヘクターが苦笑して言う
「恥ずかしがる事ねーじゃねーか?元はバーネットの姿なんだし 俺としては別に金髪のままでも 良かったと思うんだけどなぁ?」
オライオンがにやにや笑って言う
「親父は金髪の美女が好きなんだもんなー?特に長髪の!道行く金髪で長髪の女をいっつも目で追ってるしよ?」
ヘクターとタニアが衝撃を受け ヘクターが慌てて言う
「な!?おいっ!馬鹿息子っ!お前タニアの前で その事を言うなって!」
タニアがそっぽを向いて言う
「ふんっ 別に良いんじゃないの?この世界に貴方の奥さんの 金髪では無い タニアは居ないのですからっ?」
ヘクターが慌てて言う
「いや!別に俺が好きって訳じゃなくて!金髪の女は このアバロンの妃候補になったりするからよ!?」
プログラマーが疑問して言う
「それはベネテクトの妃では無かったのか?」
ヘクターがプログラマーへ向いて言う
「いや、違うぜ!?ベネテクトの妃の話は確かにベネテクト建国の時から始まったらしいけど それ以前のアバロンの妃の候補でもあったんだ!…まぁこっちはただ、アバロンの王が金髪の美女が好きだったって話しだけどよ?」
ミーナが疑問して言う
「え?そうなのかなぁ?だって歴代のヴィクトール陛下の妃は みんなデネシアの王女様だから 金髪の人は居なかったと思うけど?」
プログラマーが言う
「デネシアの王女との婚約は このアバロンとデネシアの政略結婚であると言える ただ、好きであったと言う事であるのなら ヘクターの話も有り得るだろう」
タニアが言う
「でも、例え歴代のヴィクトール陛下が 金髪の美女を好んでいらしても ヘクターがその金髪美女を見つめる必要は無いわよね?」
ヘクターが衝撃を受け 慌てて言う
「タニアっ!俺の世界一の嫁さんはタニアだけだって!?」
タニアがそっぽを向く ヘクターが慌てる プログラマーとミーナが顔を見合わせ微笑する ミーナがハッとして言う
「あれ?そういえば…」
ミーナがプログラマーを見ながら考える プログラマーが言う
「どうかしたのか?」
ミーナが言う
「うん、ニーナと一緒に来た人 あの人の姿って… デスさんの前の姿にとっても似てたような…?」
プログラマーが言う
「私の前の姿?ではその者は ガルバディアの…?」
この世界のヘクターとガルバディアの騎士が家に入って来る この世界のヘクターがヘクターへ向いて言う
「おいっ!お前!どこ行ってたんだよ!?」
ヘクターが少し驚いて言う
「あ?俺は俺の相棒を迎えに ガルバディアに行ってたんだぜ?まぁ… しばらくベネテクトにも居たけどよ?」
ガルバディアの騎士が言う
「その間に お前の兄であるウィザードのレクターが…」
ミーナとタニアが驚き 2人でガルバディアの騎士を指差して声を上げる
「「あーっ!!」」
ガルバディアの騎士が呆気に取られ言う
「…私がどうかしたのか?」
【 ソルベキア城 機械室 】
バッツスクロイツが怒って言う
「もぉー!何ーで勝手ーに ニーナちゃんと2人っきりーで 今、見付かっちゃったら超大ー変ーな アバロンになんか?行っちゃったりなんかするの!この お馬鹿ヴァルキリー!」
怒られているヴァルキリーが無言で泣き続ける 周囲のヴァルキリーたちが貰い泣きしている ニーナがヴァルキリーを庇って言う
「違うのバッツさん!私がお願いしたの!ウィザードのデスさんが まだお父さんたちと会えてないって聞いて とっても心配で!だから 私がどうしても行くって言ったの!」
バッツスクロイツが言う
「そうだとしても!このヴァルキリーの姿は ヘクターの相棒のデスっちと モノホンそっくりさんなんだから!絶対もうバレちゃってるーって感じなんだよ!?ニーナちゃんだけなら大丈夫だったのに!このお馬鹿ヴァルキリーが ついて行っちゃったせいで!」
ニーナが困って言う
「で、でも きっと私だけだったら アバロンの兵士さんに捕まっちゃってたの このヴァルキリーさんが アバロンの兵士さんたちから 私を隠してくれたの!」
バッツスクロイツが言う
「例えニーナちゃんが見付かっちゃってーの捕まっちゃってーだったとしても 最悪、作戦には何の心配もナッシングだったんだ!この世界で外界に出ているガルバディアの民は この世界のヘクターの相棒であるデスっちだけなんだから あの世界一のプログラマーのデスっちなら 色々考えた上で、きっと 俺たちの事もばれちゃうーって感じで!?」
部屋の扉が開き ユダとシリウスが入って来て ユダが言う
「何を騒いでいるんだい?クロイツヴォルデン兼バッツスクロイツにして ルパーん13世殿?」
バッツスクロイツが衝撃を受ける ユダとシリウスが笑う ニーナが振り返って言う
「あ、ユダさんとシリウスさん お帰りなさいなの」
ユダが微笑んでニーナへ返事をする シリウスがバッツスクロイツへ言う
「はっはー クールなクロイツヴォルデン殿は 一瞬で終っちまったなぁ?やっぱりてめぇは 鈍臭ぇバッツスクロイツだよなぁ?」
シリウスが笑う バッツスクロイツが慌てて言う
「それ所じゃ無いんだって!シリウスっち!もぉー2人が居ない間に 俺っち超パニクって 超絶、大忙しーだったんだぜ!クールに決めてる余裕なんて まったくナッシング!」
ユダが怒られていたヴァルキリーの前に行って言う
「良く1人でニーナを守り抜き 無事ヘクターの家まで導いたね?集団で行動する事しか教えられて居なかったお前たちの中で ニーナの願いを理解し 彼女を連れ戻すと言う本来の作戦から 彼女を守り共に彼女の願いを叶えて戻る事を選択した お前の勇気と行動は賞賛に値する」
ユダが怒られていたヴァルキリーの頭を撫で微笑む 怒られていたヴァルキリーが呆気に取られる バッツスクロイツが衝撃を受け怒って言う
「ちょっとー!?何 超親馬鹿ーかましちゃってるーの ユダっちー!?そのダメダメ一号君のお陰で 俺たちの超ー正体ーが 世界一のプログラマーのデスっちに バレちゃうかもしれないーんだよー!?」
シリウスが椅子に腰掛け 机に足を置いて言う
「ニーナがアバロンへ向かっちまう事は 予定には含まれてなかったが 今の時期にアバロンに捕まっちまう事だけは 何としても避けなけりゃぁならなかったんだ そのヴァルキリーがニーナと一緒に行かなけりゃ きっとアバロンの城下をふら付いていたニーナは 警戒強化されていたアバロンで 見付かっちまってただろよ?」
ユダが言う
「この世界の国外に出ていたガルバディアの民のデータは 元ガルバディア国王殿が改善してくれたんだ 彼の力ならこの世界に居る世界一のプログラマー殿の力にも負けず 尚且つ データの改善にすら気付かれる事も無いだろう このヴァルキリーの姿を見られていても そこから我々の事を知られる事は無い筈だ …だから、もう心配は無いぞ?」
ユダが怒られていたヴァルキリーの頭を撫でて微笑む 周囲のヴァルキリーたちがホッとして顔を見合せる シリウスが言う
「それはそうと?鈍臭ぇバッツスクロイツ ローレシアの第二国王殿がぶっ倒れたままだってぇのは どう言う事だぁ?とっとともう一度襲撃に行って ローレシアの力を完全なものにしやがるってぇのが てめぇのオーダーじゃぁ無かったのかよ?」
バッツスクロイツが操作盤を操作して言う
「うんー、その予定ーだったんだけどさ?今はそのぶっ倒れてるルーゼっちが 起き上がれ無いほど超絶体調不良ーだからー?俺っちも行っちゃって良いのかなー?ってさ?」
ユダが言う
「ルーゼック殿が体調不良とは?予定ではローレシアの裏切り者に斬り付けられ 危うく一命を落とす所を 何とか免れる …と言う筋書きではなかっただろうか?」
バッツスクロイツが言う
「そーそー、誰かさんが嫌いな デネシアの王様の為に 超適当に作ってくれた その筋書きのせいで?危うく一命を落とし掛ける所も?かなりマジ本気で危うかったけどさ?それでも すぐに回復がされて 傷は完治したんだけどー?」
バッツスクロイツがモニターにデータを現す シリウスがそれを見て衝撃を受け 立ち上がって叫ぶ
「なぁああ!?おいっ!てめぇええ!何考えてやがるんだっ!この泣き虫ヴィクトールはぁああ!!」
ユダが呆気に取られて言う
「え?あれ?僕の事?」
シリウスが衝撃を受ける
【 ローレシア城 ルーゼックの部屋 】
キルビーグが驚いて言う
「ではっ!?ルーゼックはその毒に侵され 専用の解毒薬がなければ 後4日で命を落とすと申すのか!?」
医師が言う
「はい、ルーゼック陛下の受けられた毒は 紛れも無く先代ローレシア国王イシュラーン陛下のお命を奪った バーネット1世の剣に塗られていたものと同じもの この毒は 毒を受けた者を5日の間を苦しませた後に 命を奪い去ります」
キルビーグがラグハーンへ怒って言う
「ラグハーン!貴殿はっ 我が父を苦しめたあの毒を 再び使う程に この私が憎いのか!?過去にローレシアの王の命を奪った その毒を使用する事は 即ち このローレシアの敵も同然ぞ!」
ラグハーンが俯き悔しさを押し殺す 医師が言う
「この毒に関しては イシュラーン元国王陛下がその身に受けられた当時から 解析を行っておりましたが 未だ その解毒薬は開発されておりません 今ルーゼック陛下をお助けするには この毒の元の所有者である バーネット1世に尋ねる事でしか無いと思われます」
キルビーグが言う
「そうは申しても バーネット1世は既にこの世を去っておる 更にその息子であるバーネット2世は 現在行方不明だ アバロンですら その行方は掴めておらぬ様子…っ ラグハーン!貴殿は何処で この毒を手に入れたのだ!?」
ラグハーンが表情を困らせて言う
「それは…」
キルビーグが詰め寄って言う
「申さぬか!ラグハーン!今それを申すのであれば 再び貴殿へ執行猶予を与えてやる!申さぬのなら!今ここで私自らが 貴殿の首を討ち落としてくれようぞ!」
キルビーグがルーゼックの剣を取り引抜く ラグハーンが言わずにいる キルビーグが言う
「ならば最後の頼みの綱だ アバロンへ向かいヴィクトール国王へ 協力を請うしかあるまい!」
キルビーグが出口へ向かう ラグハーンが驚いて叫ぶ
「そんな事をしては!ローレシアはアバロンの思うがままに!やはり貴様は このローレシアの王として相応しく無い!第二国王と共にローレシアの為 この俺が討ち取ってくれる!」
ラグハーンが剣を抜こうとするが剣は没収されている ラグハーンがハッとする キルビーグが振り返る 伝達の兵が走って来て言う
「キルビーグ陛下!大変です!奴らが…っ!闇の王シリウスと、その配下 クロイツヴォルデンが 大量のヴァルキリーを率いて現れました!」
キルビーグとラグハーンが驚き キルビーグが言う
「何と言う事だ!クロイツヴォルデンだけならまだしも 闇の王シリウスが…っ!」
ラグハーンがニヤリと口角を上げ笑って言う
「はっはっはっ!やはり貴様はローレシアの王として失格なのだキルビーグ!このローレシアには魔法剣士部隊が居る!今更 闇の王やヴァルキリーどもに怯える必要などは無いのだ!自国の力も分からず 敵の襲来に怯えるとはっ!貴様は間もなく息絶える 第二国王殿と共に 俺に率いられる魔法剣士部隊と魔力者部隊の姿を確認し 安心して この俺に王位を譲るが良い!」
ラグハーンが悠々と部屋を出て行く キルビーグが表情を困らせラグハーンの背を見送る
城下町
シリウスとバッツスクロイツ、ヴァルキリーたちが 城下門を抜けた先で様子を伺っている シリウスが言う
「くそぉ…っ なんったって この俺自らが あのルーゼックの野郎を 助けてやらなけりゃならねぇんだ…っ」
バッツスクロイツが苦笑して言う
「まぁまぁ?このまま放っといたら?アバロンのヴィクトール13世は マジでやばい事になっちゃうんだし?ここはぐっと堪えてー?…ほら?ヴィクトールっちを 助けると思ってさ?」
シリウスがバッツスクロイツへ向いて怒って言う
「だったら そのヴィクトールっちみてぇえな ユダ野郎が一緒に来やがるのが筋ってぇえもんだろぉがぁああ!?何で てめぇええが居やがるんだ!?あぁああ!?」
シリウスが鞭を地に叩き付けて怒る バッツスクロイツが慌てて言う
「お、落ち着いてっ!シリウスっち!?マジ本気でバーネっちに 戻っちゃってるって感じだから!あんまり派手にやり過ぎるとっ またデータが狂っちゃうって!」
シリウスがハッと気付き 渋々鞭をしまって言う
「クッ… そうだったぜ…っ だったら さっさと終らせて戻っぞ!?あの野郎さえ無事なら もうこのローレシアに用はねぇんだ 適当にやって おびき出すか ローレシア城に殴り込んでっ!…ん?」
シリウスがローレシア城から出てきた人物を見て身動きを止める バッツスクロイツが言う
「それはそうだけど あんまりいつもと戦法を変えると 逆に怪しまれると言うことも …ん?どうかした?バーネ…ち?」
バッツスクロイツがシリウスの様子に疑問して シリウスの視線の先を見る
ローレシア城から出てきたラグハーンが 整列している魔法剣士部隊と魔力者部隊へ命じる
「このローレシアへ 再三やって来た 闇の王とヴァルキリーどもへ ローレシアの新たな力を見せ付けてやるが良い!」
ラグハーンが剣を引抜き シリウスたちへ向けて叫ぶ
「さあ!兵士ども!その力を持って 奴らを討ち倒し 俺のもとへ首を持って来い!行けーっ!」
兵たちが呆気に取られ顔を見合わせ ラグハーンへ向く ラグハーンが驚き怒って言う
「何をしているっ!?次期ローレシア国王である ラグハーンの命令だ!奴らの首を俺へ謙譲して見せろ!行けー!」
ラグハーンが再び剣を向ける 兵たちがざわめき困惑する
シリウスが薄っすら笑って言う
「…は…はは… はははははっ …誰かと思えば あの元ローレシア第一部隊長 ラグハーンじゃねぇか?は はは… こいつは良い …いつぞやの恨み …今ここで晴らしてやるぜぇええ!」
シリウスが武器を構える バッツスクロイツが驚いて言う
「えっ!?ちょっ!駄目だってっ!シリウスっ!!」
シリウスがバッツスクロイツの制止を振り切って 特攻を仕掛ける ヴァルキリーたちがそれに続く バッツスクロイツが叫ぶ
「あーっ!ヴァルキリーたちまで!ああっ!もうっ!」
バッツスクロイツが慌ててモバイルPCを操作して言う
「バーネっちには悪いけど 機械鎧の制御を止めさせて貰っちゃうよー?機械鎧さえ動かなけれ…ば?…え?」
シリウスが機械鎧を可能な限り収納し 実力だけの攻撃で向かう バッツスクロイツが驚いて言う
「嘘ーっ!?マジでーっ!?魔法剣士部隊を相手に 生身で向かって行くーなんてー!?バーネっちって そーんなレクレスな事やっちゃう人ーだったんですかー!?」
ラグハーンがシリウスの急接近に驚き 後退って言う
「え、ええいっ!何をぐずぐずしているっ!?奴らが向かって来ているではないか!?怯えておらんで すぐに戦闘を開始しろっ!!」
シリウスが兵たちをすり抜け ラグハーンへ攻撃を仕掛けながら叫ぶ
「ラグハーン!てめぇええだけは 個人的に許せねぇええ!!」
シリウスが武器を振りかざす ラグハーンが焦って防戦する ヴァルキリーたちの接近に 兵たちも慌てて戦闘を開始する バッツスクロイツがやって来て言う
「ああ~っ!?もぉ~ メチャクチャ!マジで誰か ヘルプゼームっ!!」
城内
キルビーグが窓の外を見て表情を困らせてから振り返って言う
「すまん、ルーゼック すぐにでもアバロンへ向かいたい所だが 今は奴らを何とかせねば…っ 解毒の方法を聞き出したとしても このローレシア共々お前も 奴らにやられてしまうかもしれん 今しばらく辛抱していてくれ まずは奴らを撃退しローレシアと お前の身を守ってから アバロンへと向かうからな?」
キルビーグが部屋を出て行く ルーゼックが荒い息をしながら キルビーグの背を目で追う
城下町
キルビーグがローレシア城から出て来て叫ぶ
「皆!落ち着き戦況を見よ!我らローレシアは 奴らに劣ってなどはおらぬ!魔力者部隊!まずは一度 我らの魔力を叩き込み 奴らを蹴散らすのだ!」
キルビーグが最大魔法を放ち威嚇する ヴァルキリーたちが一度後退して体勢を立て直す 兵たちがキルビーグを見て落ち着き 体勢を立て直す シリウスが一度後退して言う
「チ…ッ 俺まで落ち着きを失っちまってたぜ…」
バッツスクロイツが怒って言う
「あんたが元凶ですからーっ!」
シリウスがだるそうに言う
「今日の俺は脇役だぁ ヴァルキリーたちへの指示出しは てめぇの役目だろぉが?」
バッツスクロイツがムッとして言う
「例えそうだったとしてもー!?彼らの王である シリウスっちが先行しちゃったら 俺っちの命令ーなんて!聞いてくれないってーの!」
シリウスが軽く笑って言う
「はっはー そうだったなぁ?悪ぃ悪ぃ?」
バッツスクロイツがモバイルPCを操作しながら怒って言う
「モノホン悪いーって思ってるーんだったら!?イレギラーオーダーであっても 闇の王シリウスの役ーを!ちゃーんと!やって欲しいんですけどー!?」
シリウスが苦笑して言う
「てめぇなんざ 初登場の一瞬以外 全部モノホンてめぇっちの ままじゃねぇかよ?」
バッツスクロイツが衝撃を受ける シリウスが笑う
バッツスクロイツが気を引き締めてヴァルキリーたちへ言う
「我が忠実なるヴァルキリーたちよ!ローレシアの王を捕らえ 捩じ伏せよ!邪魔する者は!…適当に痛め付けよ!攻撃!」
ヴァルキリーたちが兵たちへ襲い掛かる キルビーグが叫ぶ
「ローレシア、ローゼントの兵たちよ!力を合わせ ヴァルキリーから このローレシアを守り切つのだっ!応戦ー!」
魔力者部隊員がバリアを張り ローゼント騎士団へ魔力を送る 魔法剣士部隊がヴァルキリーへ立ち向かって行く キルビーグが大きな魔法を放った後 振り返りラグハーンへ言う
「何をしておるか ラグハーン!?私からローレシアの王位を奪いたいと申すのなら まずは貴殿の力で このローレシアを守って見せよ!貴殿が奴らへ立ち向かうと言うのであれば この私が魔力を送ってやる!」
ラグハーンが悔しそうに言う
「うるさいっ!俺とて出来るものなら魔法剣を持って戦いたいっ だが貴様らの魔法は俺を傷付けるだけで その力を貸し与えはしないのだっ!」
キルビーグが言う
「それはおかしな話だ お前は我が父へ その魔力を渡し与えたデネシア一族の者 元々魔力を有していた者である以上 魔法剣士の素質は 彼らローゼントの騎士を越えて持つはずだ」
ラグハーンが言葉を返せずに下がる キルビーグが言う
「私の魔力はローゼントの騎士へ与えるには強過ぎる 今のこの場では貴殿以外に扱える者は居らぬのだ 我らと共に このローレシアを守りたいと願うのであれば…っ!」
ラグハーンが怒って言う
「俺には出来ぬと言っているだろう!そもそも王や隊長が自ら戦う必要などは無いのだ!戦いは下々の兵が行えば良い!」
シリウスが戦況を見て言う
「おい、クロイツ何とか?」
バッツスクロイツが怒って言う
「クロイツヴォルデンですけど!?確かにちょーっち長いけど!名前を覚えるのは 王様たちの特技ーってやつだろ!?」
シリウスが呆れて言う
「てめぇ… 確か言いやがったよなぁ?『ローレシアはマジ超強くなったから 連れて行くヴァルキリーを増員して欲しいんですけどー』 とかよぉ…?」
バッツスクロイツが笑顔で言う
「そうそう!ローレシアはー 今この世界にある国の中で?文句無しにいっちばーん!の力を持ってる国ー ってやつだよ?」
魔法剣士部隊がヴァルキリーにボコボコにされている シリウスが指差して叫ぶ
「あれの どこが 強ぇえってぇえんだ!?あぁああ!?この前のツヴァイザー以下じゃぁあねぇえかぁああ!?」
バッツスクロイツが苦笑して言う
「いやぁー やっぱぁ?今日は ルーゼっちーが居ないからーかなー?ぜーんぜん ダメダメーって感じー?」
シリウスがバッツスクロイツの襟首をつかんで揺すって言う
「このままじゃぁあ もう間もなくローレシアの部隊は全滅ーって感じー?じゃねぇええかよ!?どぉおすんだ あぁあ!?奴を おびき出す所か 超ー絶順調ーに?制圧しちまうだろぉおがぁ!?」
バッツスクロイツが苦笑して頭を掻く
キルビーグが表情を曇らせて言う
「もはや敗戦は免れぬ… 奴らの狙いが国王だと申すのであれば…」
キルビーグが向かおうとする ラグハーンが驚いて言う
「何を馬鹿なっ!?まだ兵が立っていると言うのに 国王が自ら死に向かうつもりか!?」
キルビーグが言う
「このままではヴァルキリーがここへ来るのも時間の問題だ 勝ち目が無いのであれば これ以上我らローレシアとローゼントの兵たちを 傷付ける訳には行かぬ」
ラグハーンが驚いて言う
「国王が死に向かうなど それこそ このローレシアを奴らへ明け渡すも同じ!今貴様が殺されれば そのまま 国を奪われると言う事だ!」
キルビーグが振り返って言う
「ならば 奴らが奪う前に 貴殿が王になれば良かろう?同じ事だ 例え国王が倒れようとも このローレシアを愛する者がいる限り 国は滅ばぬ」
ラグハーンが返す言葉を失う キルビーグが苦笑して再び向かおうとする 城の中から叫び声が聞こえる
「馬鹿者っ!ローレシアの為と、ただ口にするだけで 本気でこの国も民も愛さぬ者へ 次の王になれなどと!キルビーグ!貴様はそれでも ローレシアの第一国王であるかっ!」
キルビーグが驚いて言う
「ルーゼック!?何故ここへっ!?」
ルーゼックがやって来て苦笑して言う
「このローレシアの第二国王である私が 国が落とされそうになっていると言う この時に おちおち休んでなど居られぬわっ!」
キルビーグが慌てて言う
「しかしっ!お前の体には 起き上がる事も出来ぬほどの 強力な毒がっ」
ルーゼックが戦場へ向かおうとして倒れそうになる キルビーグが押さえて言う
「その体では無理だ ルーゼック!強靭であった我が父とて その毒には かなわなんでおった!」
ルーゼックが苦しそうに顔を上げて言う
「ならば こんな時こそ 貴様が私に力を貸す時では無いのか?貴様の支援魔法があれば 奴らと戦う事とて可能だ…っ 加速の支援魔法を与え続けよ」
キルビーグが表情を困らせて言う
「何を言うかっ!今 お前の時間を速めようなどをしては 毒の効力さえも速めてしまう」
ルーゼックが立ち上がって言う
「望む所だっ!例えこの身は毒に殺められ様ともっ!必ずや 我らローレシアの敵を討ち取ってくれるっ!」
ルーゼックがキルビーグの制止を振り切って駆け向かう キルビーグが焦って言う
「ルーゼック!」
ルーゼックが兵たちの間を駆け抜ける キルビーグが観念して支援魔法を送る ルーゼックがバッツスクロイツへ剣を振り下ろして言う
「先ずは先日の続きっ!貴様から討ち取ってくれようぞっ!クロイツヴォルデンっ!」
バッツスクロイツが驚き後退る アンドロイドのデスが間に入ってルーゼックの攻撃を受け止める キルビーグがルーゼックの剣を魔法剣にして 更に加速の支援魔法を放つ ルーゼックが体調の悪化に一瞬怯むが 怒りで押し殺して攻撃を続ける ルーゼックの猛攻にアンドロイドのデスが押され始める バッツスクロイツが驚いて言う
「ちょっと!ルーゼっち!そんな支援魔法を重複させちゃったりなんかしたら!マジ本気でやばいって!」
ルーゼックが怒って言う
「黙れっ!私がどうなろうと!このローレシアには 第一国王のキルビーグが居るのだっ!我らのローレシアを奪う事など 決して行えぬっ!貴様らは 私と共に この場でっ!」
ルーゼックの振り下ろした魔法剣を シリウスが弾き その隙に アンドロイドのデスが ルーゼックへ打撃を与える ルーゼックが地に倒れ声を上げる
「ぬぅ!…なんの これしきっ!!」
ルーゼックが顔を上げ 弾かれた剣を拾おうと手を伸ばす シリウスがそのルーゼックの腕を掴みアンドロイドのデスがルーゼックを押さえる ルーゼックが驚き叫ぶ
「おのれっ!貴様っ!戦う気があったのなら 最初から攻撃を行わぬかっ!卑怯者がっ!」
シリウスがムッとして言う
「うるせぇ だあまって やがれ…」
シリウスがルーゼックと自分の腕を切り ルーゼックの傷の上に自分の血を落とす ルーゼックがぞっとして言う
「ぬぁあっ!?何をする 貴様ぁあっ!私を貴様らの配下にでも致すつもりかっ!止めぬかっ!気色悪いっ 離せぇえっ!」
バッツスクロイツがハッとして叫ぶ
「デス!シリウス!避けてっ!!」
アンドロイドのデスとシリウスがハッとして飛び退く ルーゼックの周囲に魔法バリアが張られ その周囲に強力な魔法が放たれる ルーゼックが驚いた後 振り返ると キルビーグと魔力者部隊たちが 合同で魔法を放った姿でいる 魔力者が言う
「ルーゼック様!御無事ですか!」
ルーゼックが呆気に取られて言う
「お、お前たち…」
シリウスがバッツスクロイツと共に状況を見て シリウスが言う
「ハ…ッ これでローレシアのミッションは クリアだぜぇ」
バッツスクロイツがシリウスへ向いて言う
「ルーゼっちの解毒の方は もう平気なの?」
シリウスが言う
「まぁ… 十分じゃぁねぇが 後は野郎の生命力で 何とか乗り越えやがるだろう?大部分の毒素は 奴にくれてやった 血中のマイクロマシンが中和させやがる」
バッツスクロイツが微笑して言う
「オーケー、じゃぁ この辺で…」
バッツスクロイツが気を引き締めて言う
「ローレシア国王キルビーグ、共にルーゼック!お前たち2人の王は 特別に認めてやる 精々我らの闇の王が この世界を支配する その時まで 残り少ない時を楽しむが良い!」
ルーゼックが怒って言う
「黙れ!軟派男!貴様こそ 我らローレシアとローゼント 両国の勇士たちに 滅ぼされるその時まで 精々 良き伴侶となる娘でも捜し求めておれ!」
バッツスクロイツが衝撃を受け焦って言う
「ちょ!軟派男って 俺っちの事ー!?超ー失礼なんですけどー!俺っちは あんまナンパなんて しない派だし!?どっちかって言ったら 合コンでも モテモテ系だったりー!?」
シリウスがバッツスクロイツの頭を殴り バッツスクロイツを引き連れて退散する シリウスたちの撤退に兵たちが喜ぶ キルビーグとルーゼックが微笑した後 支援魔法が途切れるのと共に ルーゼックが倒れる キルビーグがギリギリでルーゼックの身を支えて言う
「ルーゼックっ!!」
ルーゼックの部屋
診察を終えた医師が微笑して言う
「奇怪な事に 体内の毒素から お命を奪う成分が薄れています お体を苦しめる毒素は変わらず残っておりますが ルーゼック陛下のお命の危険は 無くなったと言って良いでしょう」
キルビーグが呆気に取られて言う
「それはどう言う事だ?加速の魔法を掛けただけでも 毒の進行は早まり 更に体を動かす事で 毒への抵抗力は 弱まってしまうものだと申すものを?」
医師が言う
「私にも分かりかねますが ルーゼック陛下の血中に… 以前には無かった毒を攻撃する 免疫の様な成分が存在しております それのおかげで お命は救われたものと」
キルビーグが疑問して言う
「ふむ…、免疫と言うものが 体内で新たに作られるまでには 本来は数日の時間が必要とされるものであるが… それが速まったとでも…?まぁ何にしても 命が助かったと言うのであるなら 何よりだ」
医師が微笑み頷く キルビーグが同様に頷き ルーゼックの近くへ行って言う
「ルーゼック 聞こえたか?身を苦しめる毒は抜けなんだが 命の心配は無くなった 安心して休んでおれ …今度また無理をしたりしては 折角助かった命まで落としかねなんだからな?」
キルビーグが軽く笑う ルーゼックが苦しそうに怒って言う
「ば、馬鹿者が 何故貴様は そんな… あの闇の王らを この世界から 追い…出さなん だ 安心…など…っ」
キルビーグが苦笑して言う
「闇の王らを倒すにしても 追い出すにしても 先ずはお前がまた、兵たちを一喝出来るほどに 回復せなんだ行えぬ …それから、ルーゼック?お前は何時も言いよるが お前が本当に殺められたりなんぞしては このローレシアの力も下がってしまう… 強き想いで戦うなんだは良い事だが その度に私はヒヤヒヤさせられよるぞ?」
ルーゼックが苦笑して言う
「それ…こそ 貴様は 馬鹿者…だ キルビーグ… 貴様が その度に 私を守りよろう… 心配 など 端から 無い…」
ルーゼックが眠る キルビーグが呆気に取られた後 苦笑して言う
「何だ そうと申す意味であったのか… 相変わらずお前は こんな時でなければ 素直に言ってはくれなんだ… だが、それなら 第二国王のお前を助けるべく 私がこのローレシアの 第一国王の座におっても 許されるのかもな?」
キルビーグが微笑む
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