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12-8 ガルバディアの騎士
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【 ローレシア城 玉座の間 】
ザッツロードが玉座の間へ進み入り 玉座に座るキルビーグ2世へ言う
「兄上、アバロンから連絡です バッツスクロイツが製作していた魔物の群れを感知するプログラムが完成したそうで その算出結果が送られて来ました ローレシア領域では キャリトールの町の周囲に 集まりつつあるようです」
キルビーグ2世が頷いて言う
「分かった、ローレシア領域の町や村は既に警戒態勢を敷いているが キャリトールの町へは ローレシアの一個部隊を追加投入しよう ザッツ、お前も向かい 共に戦って来るのだ」
ザッツロードが一瞬驚いて言う
「え!?しかし、兄上?私は、このローレシア城の防衛を 預かっておりますが?」
キルビーグ2世が頷いて言う
「それは私が引き継ぐ 直ちにキャリトールへ向かい お前の仲間と共に 町の防衛に当たれ」
ザッツロードが呆気に取られていた状態から微笑んで言う
「はい!お任せ下さい!」
ザッツロードが敬礼をして走り去る キルビーグ2世が微笑む
【 キャリトールの町 】
ソニヤが魔法使いの一団へ言う
「ローレシア城から連絡が入ったわ!このキャリトールの周囲に魔物が群れをなしているらしいの!ローレシアの魔法使い部隊も手伝いに来てくれる予定だから!それまでは 私たちだけでも絶対!町を守り切るのよ!」
魔法使いの皆が緊張しながら返事をする ソニヤが苦笑する ザッツロードの声が聞こえる
「ソニヤー!避けてくれー!」
ソニヤが疑問して空を見上げて驚き 焦って逃げる ソニヤの居た場所に移動魔法の失敗破裂音と共にザッツロードが落ちて来る ザッツロードがぶつけた頭を擦りながら言う
「いたた… ごめんソニヤ やっぱり まだ僕には対人移動魔法は難しいみたいだ…」
ソニヤが呆気に取られていた状態から 怒って言う
「む… 難しいみたいって 分かってるんなら!危険な事しないで ちゃんと町の移動魔法陣に 来れば良いじゃない!?もうちょっとで 私に激突してたんだからーっ!」
ザッツロードが苦笑して言う
「ご、ごめん その… 急いで向かいたいと 思ったものだから…」
ソニヤが呆気に取られてから笑う ザッツロードが疑問する ソニヤが魔法使いの皆へ向き直って笑顔で言う
「私たちローレシアの勇者 ザッツロード王子が 皆と一緒に戦うために 下手な対人移動魔法で 飛んで来てくれたわ!もうすぐローレシアの魔法使い部隊も来るんだから 皆で力を合わせて このキャリトールの町をぜーったいっ!守るんだよーっ!!」
魔法使いの皆がくすくす笑った後 声を合わせて元気に返事をする ザッツロードが魔法使いの一団に気付き 苦笑して恥ずかしがる
【 魔王の島 】
ドラゴンの姿のバーネットが魔王へ向かいその背に乗るヴィクトールが斬り付ける 魔王の切り裂かれた箇所から悪魔力の霧が吹き出す 魔王が息を吸い込む ドラゴンの姿のバーネットが気付き旋回して魔王の吐き出す炎を避ける ヴィクトールが魔王の様子を見て言う
「バーネット!一気にケリを付ける!上空へ!」
ドラゴンの姿のバーネットが旋回しながら言う
「おう!決めろよな!」
ヴィクトールが頷く ドラゴンの姿のバーネットが上空へ急上昇する 魔王が炎を吐き終えてドラゴンの姿のバーネットを見上げる その視線の先からヴィクトールが大剣を振り上げ飛び降りて来て 降下の勢いと共に魔王へ大剣を振り下ろす 大剣が魔王の身を切り裂く ヴィクトールがそのまま落下するのを ドラゴンの姿のバーネットが受け取り舞い上がる 魔王の身が裂け大量の悪魔力が吹き出して消えて行く ヴィクトールとドラゴンの姿のバーネットがその様子を確認して ヴィクトールが言う
「やったよ!バーネット!僕ら2人で 魔王を倒したんだ!」
ドラゴンの姿のバーネットが笑って言う
「はっはー!アバロンの勇者様誕生だなぁ!?」
2人が笑う
ドラゴンの姿のバーネットが浜辺に降り立ち ヴィクトールが背から飛び降りて見上げる 視線の先 魔王の体から吹き出した悪魔力の霧が空高くへ上がり そこへ吹き荒れた風に流され飛ばされて行く ヴィクトールがそれを見て言う
「あの霧… 濃度の高い悪魔力は あれほどハッキリした霧状になるのか… それに風に流されても薄れる様子が無かった あのままの状態で 大陸へ集まったりしたら きっと、とてつもなく濃度の高い悪魔力になってしまう」
ヴィクトールが振り返って言う
「バーネット、急いでアバロンへ戻って対策を… っ!?」
ドラゴンの体が白い光りに覆われ バーネットが人の姿になるのと同時に倒れる ヴィクトールが呆気に取られ硬直した後 慌てて駆け寄って叫ぶ
「バーネット!!」
ヴィクトールがバーネットを抱えて必死に叫ぶ
「バーネット!バーネット!?どうしたの!?ねえ!目を開けてよ!!バーネット!!」
バーネットが辛そうに目を開けて言う
「うるせぇよ… ちょいと疲れ過ぎただけだぁ… それよか あの悪魔力の霧はやべぇだろ… てめぇだけでも さっさとアバロンへ帰って 対策を立てとけよ… 俺ぁちょいと休んだら行くからよ… てめぇは先に行ってろ…」
バーネットが言い終えて目を閉じる ヴィクトールが一瞬息を飲むが背を支えて居る腕超しにバーネットの呼吸を感じ ホッとして言う
「…分かった、バーネット 君は少し休んでいてくれ でも、このまま君を置いて行くなんて事はしないよ?当然だろ?」
ヴィクトールが宝玉を片手に もう片方の手でバーネットの身を抱え 宝玉に意識を集中させる ヴィクトールが言う
「我らをアバロンへ!」
ヴィクトールとバーネットがアバロンへ飛んで行く
【 ガルバディア城 通路 】
通路でだらけるアバロン3番隊隊員らとヘクター ヘクターの後方にプログラマーがホログラムを現して言う
『ガルバディア周囲に魔物の反応を確認した 恐らく後数時間後には群れを成して現れるだろう』
ヘクターが言う
「数時間後か… ガルバディア国王とガルバディアの民は戦わねーって言うし… 俺ら3番隊だけで 防げそうなのか?」
プログラマーが言う
『先ほどヴィクトール皇帝とバーネット第二皇帝がアバロンへ帰還した アバロンの防衛は終了していた為 ヴィクトール皇帝が2番隊を率いて こちらへ援護に来るとの事だ これで防衛可能な状態となる』
ヘクターが喜んで言う
「お!?ヴィクトールたち 帰って来てたのか!?なんだよ そう言う事は もっと早く言えって!?」
プログラマーが言う
『ヴィクトール皇帝は帰還と同時に 新たな悪魔力への対応について検討を行っていた アバロンでは現在 その検証作業に追われており 魔王討伐を祝っている余裕などは無い… もっとも、あの魔王については 討伐を祝って良いものかも 判りかねる所だろう』
ヘクターが言う
「あぁ… まぁ… 確かにそうかもしれねーけど?あのでかいドラゴンを倒したんだからよ?ヴィクトールの奴も大したもんだぜ!流石、アバロン帝国の皇帝陛下!だよな?」
ヘクターが軽く笑顔を向ける プログラマーが軽く笑って言う
『今回は彼にも 世界一の相棒が付いていた為 とも、私は思うが?』
ヘクターが言う
「ん?ああ!そーだな!なら今度は俺たちが ガルバディアの防衛を成功させてやるぜ!」
プログラマーが軽く笑って頷く
【 アバロン城 玉座の間 】
ヴィクトールが装備の短剣を確認しつつ バッツスクロイツへ言う
「では、バッツスクロイツ 引き続き 悪魔力の濃度を把握するプログラムの製作を頼む」
バッツスクロイツが苦笑して言う
「はいはーい… …ったく、慈愛の王様バーネっちに続き 友情の王様ヴィクトールっちまで 俺の扱い酷いってーの!」
ヴィクトールが苦笑して言う
「すまない、今は貴公だけが頼りなのだ 私もガルバディアの防衛を終らせた後 すぐに戻る 私の帰還よりも先に バーネットが意識を取り戻した際は 彼の指示に従ってくれ」
バッツスクロイツが苦笑して言う
「いつもは元気なバーネっちが ぶっ倒れたきり眠り続けてるーって 何ーんだか寂しいよねー?」
ヴィクトールが苦笑して言う
「医師の話では ただの疲労であり、しばらく休ませれば問題ないとの事だ 慣れない力を使用し続けての戦いで 無理が生じたのだろう」
バッツスクロイツが頷いて言う
「なら安心した、バーネっちが このまま眠り続けてたらー?きっとヴィクトールっちまで元気無くしちゃうーって 思ったからさ?俺っちもちょーっと 心配してたんだよねー?」
ヴィクトールが軽く笑って言う
「うん、きっと そうなってしまっていただろう… 貴公の心遣いに感謝する」
ヴィクトールが歩き出す バッツスクロイツが手を振って軽く言う
「はいはーい いってらっしゃーい」
城門外
アバロン城を出て来たヴィクトールのもとに ウィザードがやって来て言う
「元ベネテクトの王が お前と魔王退治に行った日から 外に出て来なくなった 私はそんなあいつは嫌いだ」
ヴィクトールが軽く笑って言う
「うん、私も嫌いだ でも今は休ませてあげてくれ その間、我らアバロンのウィザードである君は オライオンらと共に 引き続きこのアバロンの防衛をする様に」
ウィザードが少し考えてから言う
「うん… 少し詰まらないが とりあえず そうしてやる」
ヴィクトールが苦笑してアバロンを後にする ウィザードがアバロン城の一室へ向かって浮き上がり 窓の外からバーネットの様子を見る 束の間の後その場を後にする
【 ガルバディア城 通路 】
プログラマーが言う
『バッツスクロイツから最新の情報が送られてきた ガルバディア周囲の魔物の群れが 動き始めた様だ』
ヘクターが立ち上がって言う
「よし、ならこっちも準備しねーとな?外の吹雪はどうなった?」
プログラマーがホログラムのモニターを増やしながら言う
『気象状況は我々がこの地へ辿り着いた時と 同等から2%の悪化と言った所だ 城外の戦闘による防衛は 不可能であると思われる』
ヘクターが言う
「ああ、そーだな 向こうはあの吹雪にも動じねー 元原生動物だ 対するこっちは ただでさえ温暖なアバロン出身なんだから 奴らのペースに振り回されたら あっという間に凍え死んじまう …ヴィクトールと2番隊は 開戦には間に合わねーのか?」
プログラマーが気付いて言う
『いや、ヴィクトール皇帝と2番隊は 既にガルバディア城、城門前に到着している しかし…』
ヘクターが疑問して言う
「ん?既に到着してんなら 何で入ってこねーんだよ?寒ぃし、早く入らせねーと 2番隊の連中だって 本当にやべーだろ!?」
プログラマーが確認して言う
『どうやら このガルバディア城の城門が閉じられたままであるために 入城が出来ない様子だ』
ヘクターが一瞬驚いた後 怒って言う
「せっかく ガルバディアを守りに来たのに その援護部隊を止めてどーすんだよ!?早く開けてやれって!」
プログラマーが操作をするが一瞬、表情を歪ませホログラムがブレる ヘクターが驚いて言う
「あ!?お、おいっ!?どうした!?」
プログラマーが表情を困らせて言う
『いや 大丈夫だ 問題ない だが どうやら… いちガルバディアの民である私が この城を勝手に操作する事を 我が王に嫌がられたらしい』
ヘクターが呆気に取られて言う
「ん?それじゃぁ…?」
城門前
吹雪が吹き荒れる中 ヴィクトールが見上げる先、城門は閉じられている 2番隊隊長がヴィクトールの後方で言う
「陛下!これ以上の停滞は 隊員らの体力に限界がっ!」
ヴィクトールが2番隊隊長へ少し顔を向けて言う
「ああ、分かっている 再度呼び掛け それに応じて貰えない場合は 不本意だが撤退しよう」
2番隊隊長が敬礼を持って了承とする ヴィクトールがそれを確認して 再び城門を見上げて言う
「ガルバディア国王!我らアバロン2番隊とその王はっ ガルバディアの支援の為 この地へ参った!ガルバディアの民と国を 貴公たちと共に必ず守る事を誓う!我らを信じ このガルバディア城へ受け入れてくれ!」
皆が城門を見上げる ヴィクトールが表情をしかめる 間を置いて2番隊隊長がヴィクトールへ言う
「陛下っ ガルバディアの王は 我らアバロンの者を受け入れては下されぬご様子 もはや、ここまでかと…っ!」
ヴィクトールが一度俯き 目を閉じてから 再び城門へ向いて言う
「ガルバディア国王…っ やはり過去のアバロンの裏切りを 許しては下さらないのか!?」
ヴィクトールが その悔しさのままに城門へ手のひらを叩き付ける 扉に数字の羅列が現れる ヴィクトールが気付いて言う
「うん?今のは…?うわぁあっ!?」
扉が消え 重心を掛けていたヴィクトールが 扉の先へ正面からコケる 2番隊隊員たちと隊長が呆気に取られた後 隊長が慌てて駆け寄って言う
「へ、陛下っ!?大丈夫で ございますかっ!?」
ヴィクトールが涙目の顔を上げた後 気を取り直して立ち上がって言う
「あ、ああ 問題無い… さあ?せっかく ガルバディア国王が 我々を受け入れて下されたのだ じょ、城内へ…」
ヴィクトールが進み入る 2番隊隊長がハッと気を取り戻し慌てて言う
「は、はっ!皆!ヴィクトール皇帝陛下に続け!」
2番隊隊員たちがハッとして歩き出す
城内 通路
ヘクターが戦闘準備を整えている その横でプログラマーが言う
『ヴィクトール皇帝及び アバロン2番隊の入城を確認した』
ヘクターが気付き微笑んで言う
「それじゃ、ガルバディア国王が ヴィクトールたちを受け入れて 城門を開けてくれたんだな?」
プログラマーが少し疑問している様子で言う
『確かに 城門の開閉は確認されている しかし… ガルバディア国王が何らかのアクションを行った様子は見受けられ無い』
ヘクターが疑問して言う
「あ?じゃぁ誰が門を開けたり閉めたりしたんだ?あの門もプログラムで出来てるんだろ?いつもはお前か ガルバディア国王が開けてくれるじゃねーか?」
プログラマーが確認している様子で言う
『ああ、確かに気になる所だ 城門の開閉プログラムの履歴を確認しよう』
プログラマーの周囲に数字の羅列が流れる ヘクターがプログラマーを眺めている ヴィクトールが現れて言う
「ヘクター、遅くなってすまない 何とか間に合ったようだな?」
ヘクターがヴィクトールへ向いて言う
「おう!丁度良いって感じだぜ 外の吹雪は俺たちがここに到着した時と そんなに変わりねーって聞いたけど その様子だと 思ってたより凄そうだな?」
ヘクターの言葉に ヴィクトールが自身の身に付いていた雪に気付いて軽く微笑して言う
「ああ、それと ガルバディア国王に受け入れて頂けるまでの間に 城門前で その凄い吹雪に長時間晒されてしまったんだ お陰で隊員らの体力を消耗させてしまった 2番隊は、なるべく城内奥に配置して貰えると助かるのだが?」
ヴィクトールの言葉の途中で プログラマーが衝撃を受け困った表情を作り ぎこちなくヴィクトールへ顔を向ける ヘクターはプログラマーの様子には気付かず ヴィクトールの言葉に言う
「おう!かまわねーぜ?元々3番隊は先行部隊だしな?」
ヴィクトールがヘクターの言葉に微笑して言う
「そうだったな、では部隊配置は 第2形態で頼む」
ヴィクトールがプログラマーへ顔を向けて言う
「所で、デス?君はどうかしたのかい?何か私に?言いたい事がありそうだが?」
ヴィクトールの言葉にヘクターもプログラマーへ振り向く プログラマーが言い辛そうに言う
『あ、ああ… ヴィクトール皇帝 今後ガルバディア城を訪れる際は ガルバディア城の城門に その… 手でも付けると良い 生態識別さえ取られれば 元々友好国であったアバロンの王に対して ガルバディア城の城門プログラムは 一切の障害も無く開かれる』
ヘクターとヴィクトールが衝撃を受ける
【 テキスツの町 】
皆が勝利を祝う歓声を上げている ザッツロードがその様子に微笑し剣を鞘へ収める ソニヤとセーリアが顔を見合わせ笑顔を見せた後 ザッツロードのもとへ向かう そこへローレシアの伝達の兵がやって来て ザッツロードの前に跪いて言う
「ザッツロード殿下!キルビーグ殿下より伝達です アバロンからの連絡を受け 次の魔物の襲撃がソイッド村であるとの予測が確認されたとの事です」
皆が息を飲み ザッツロードへ向く ザッツロードが動じずに頷いて言う
「分かった、直ちに向かう ローレシア城からは既に 応援の部隊は出ているのか?」
伝達の兵が答える
「はっ!既にローレシア第5魔力者部隊 並びに 第6部魔力者隊が向かっております 連戦のキャリトールの魔法使いらは 一度町へ戻らせるようにと キルビーグ殿下からのご指示でございます」
ザッツロードが言う
「では このテキスツの占い師たちから有志を募ると共に 私も次のソイッド村へ向かう アバロンから他の連絡が入った場合は 私にも伝えて欲しいと キルビーグへ伝えてくれ」
伝達の兵が返事と敬礼をして立ち去る ソニヤとセーリアが顔を見合わせる ザッツロードが2人へ向いて言う
「ソニヤ、テキスツへの援護を有難う 君もキャリトールの皆と共に 一度町へ戻って休んでくれ セーリア、すまないが ソイッド村へ向かう有志を募るのを 手伝って貰えないだろうか?」
ソニヤとセーリアが苦笑し 2人が声を合わせて言う
「「かしこまりました、ザッツロード王子」」
ザッツロードが呆気に取られてから苦笑して言う
「え?えっと… どうしたんだい?急に…?」
ソニヤが苦笑して言う
「だってぇ~?なんだかザッツが ザッツらしくなくって~?」
ザッツロードが驚く セーリアが苦笑して言う
「そうね、私たちローレシアの王子様としては とても頼もしいけど 何だか少し遠いように感じるわね?」
ザッツロードが苦笑して言う
「何を言ってるんだい?2人が助けてくれるから 僕はこの町を守る力を得られたのだし キャリトールの町もこのテキスツも 僕の仲間の故郷だから なんとしても守りたいと思って戦えるんだ 今はどちらかと言うと ローレシアの王子としてよりも 2人の仲間として 僕は戦ってるつもりなのだけど…?」
ソニヤとセーリアが驚いて顔を見合わせた後 軽く笑ってソニヤが言う
「な~んだ!なら変わってないじゃない?」
セーリアが微笑んで言う
「ええ、今はザッツロード王子ではなくて ローレシアの勇者ザッツロードなのね?」
ザッツロードが笑って言う
「うん、それに 僕は第二王子だから あんまりローレシアの王子として戦おうとは 思えないのかもしれない …それとも やっぱりローレシアの勇者で居たいのかな?」
皆が笑い ソニヤが言う
「それじゃ!ローレシアの勇者様!次はもう一人の仲間の故郷 ソイッド村を守りに早速行こうよ!」
ザッツロードが呆気に取られて言う
「え?でもソニヤ、君は キャリトールの魔法使いの皆と一度戻った方が…」
ソニヤが怒って詰め寄って言う
「何よそれ!?私には 仲間のラナの故郷である ソイッド村を守る資格が 無いって言うのっ!?」
ザッツロードが焦って言う
「えぇええ!?い、いやっ そんな事無いよ!?ごめん…っ」
一瞬、間を置いた後 ソニヤとセーリアが笑い ザッツロードが苦笑する
【 アバロン城 城門前 】
ヴィクトールが振り返り 従えていた2番隊隊長へ言う
「では、次の連絡までは 他の部隊と共にアバロンの警護へ就いてくれ ガルバディア周囲に魔物の集結を確認した際は 再び赴く事になる」
2番隊隊長が返事と敬礼をする ヴィクトールが頷き城内へ向かう
玉座の間
ヴィクトールが入室して 玉座に座るレリアンへ話しながら自身の玉座へ向かう
「レリアン、バッツスクロイツへ依頼しておいた プログラムの方は…?」
ヴィクトールの言葉を制して声が聞こえる
「おう、のろのろしてやがったから 俺が一発脅し入れて 完成させておいたぜぇ?」
ヴィクトールがハッとして足を止め バーネットへ向いて驚く バーネットが軽く笑って言う
「俺が昼寝してる間に ガルバディア国王との友好を 回復したんだってなぁ?はっはー どぉだ?たまには他国への出張も悪くねぇってもんだろぉ?」
ヴィクトールが叫びながら駆け寄る
「バーネットーーっ!!」
レリアンと家臣たちが微笑む バーネットが驚く中 ヴィクトールがバーネットの前に来て 泣きながら叫ぶ
「良かった バーネット!僕はずっと心配してたんだよ バーネット!?医者が平気だって言ったけど!バッツスクロイツには 僕から平気だって言ったけど!本当は すっごい心配でーっ!いつも叫んでばっかりいる元気な君が 寝てるみたいに 死んでたからーーっ!!」
バーネットが衝撃を受けて叫ぶ
「ばっ!?誰が 『寝てるみたいに死んで』やがったってぇええんだぁあ!?それじゃ2度と起きられねぇえだろがぁあ!?てめぇえは いい加減 俺を生かしたいんだか 殺してぇええんだか ハッキリしやがれぇええ!!でもって この場所で 泣くんじゃねぇええよ!!この泣き虫ヴィクトールがぁああ!!」
玉座の間に居た家臣たちとレリアン、衛兵たちが微笑む
ヴィクトールが微笑して言う
「けど、本当に良かった… あのまま君が 眠り続けてしまうのでは無いかと思って 僕はちょっと本気で心配していたんだよ?バーネット?」
バーネットが軽く笑って言う
「アバロン帝国の第二皇帝だってぇのに 悪魔力の処理もアバロンの事も てめぇえに任せっきりで 眠り続けてなんかいられっかよ?」
ヴィクトールが苦笑して頷く バーネットが苦笑して言う
「おまけに 夢の中でまで どっかの帝国の泣き虫な第一皇帝を庇おうと 体中筋肉痛だってぇのに 叫びながら飛び起きちまった」
ヴィクトールが疑問して言う
「え?夢の中で僕を庇おうとしてって… あの魔王や悪魔力からかい?」
バーネットが軽く笑って言う
「いや、それがどう言う訳か てめぇがガルバディアへ行ってる事なんざ 知る筈のねぇ俺が 見た事もねぇガルバディア国王に てめぇが見下されて 大笑いされてる夢を見てよ?」
ヴィクトールが疑問して言う
「ガルバディア国王に 僕が?」
バーネットが悪戯っぽく笑みを浮かべて言う
「ガルバディア国王の奴がな?てめぇを指差して 腹抱えて大笑いしてやがるんだ でもって てめぇは大泣きしながら 開けてくれー!開けてくれー!ってよぉ?」
ヴィクトールが衝撃を受け 慌てて言う
「そ!?それはきっと!た、ただの夢だよ バーネット?あ、ほら?ガルバディア国王は あのプログラマーのデスと同じ顔をしているから だからきっと彼と見間違えて ガルバディア国王だと…っ」
バーネットが首を傾げて言う
「うーん、それが不思議と やたらに現実味があってよぉ~?猛吹雪の中で てめぇが凍えそうになってやがってな?でもってぇ~」
ヴィクトールが慌てて言い止めようとしている その状況を 姿が見えない状態のガルバディア国王とプログラマーのホログラムが見ていて プログラマーが言う
『睡眠中に見る夢を操るプログラム… その様なものなどが作れるとは…』
ガルバディア国王が微笑して言う
『元は私自身に使おうと思っていたものだ 他人の夢などを操った所で 実体に影響をもたらす事は 程遠いと思っていた』
プログラマーがガルバディア国王へ向いて言う
『しかし、そのプログラムで バーネット第二皇帝を目覚めさせた …貴方はヴィクトール皇帝へ 我らの友好は回復され、再び共に戦う と言ったが それは過去のアバロンを許し そして現代のアバロンの王の手助けをするという事だったのか?』
ガルバディア国王が言う
『私の相棒であったアバロンの王は もう居ない… 例え同じアバロンの王であっても 私はあのヴィクトール13世の相棒になるつもりはない それに』
プログラマーが微笑して言う
『現代のアバロンの王には 第二皇帝であるバーネット2世が 既に相棒の座についている …だから彼を目覚めさせたのだな?』
ガルバディア国王がプログラマーを見てからプイと顔をそらして言う
『ふんっ たまたま丁度良い実験体として 眠って居たから だけかもな?』
プログラマーが衝撃を受ける ガルバディア国王が口角を上げて言う
『言って置くが 私のプログラマーとしての力は まだまだお前になど 負けては居ないのだぞ?お前がガルバディアの歴史データにアクセス出来たのは あのアバロンの民ヘクターと やたら仲良くしていたから 頭に来て見せてやったんだ 結果的に更に仲良くなったから 若干ミスった訳だがな?』
プログラマーが焦って怒って言う
『現存するガルバディアの民は!貴方の大切な民ではなかったのか!?ただの僻みで 重要データへのアクセスを 許してどうする!?』
ガルバディア国王が軽く笑って言う
『まぁ… それは冗談として お前にガルバディアの歴史を見せたのには意味がある そして、私が あのアバロンの王 ヴィクトール13世を相棒としない理由も』
プログラマーがガルバディア国王を見る
【 シュレイザー国 城下町 】
シュレイザー城を見上げるロキとロスラグ ロスラグが笑顔でロキへ言う
「ロキ隊長!早く行くッスよ!きっとヴェルアロンスライツァー副隊長も 楽しみに待っててくれてるッス!」
ロキが顔を背けて言う
「…楽しみに待っていたのは卿の方だろう?俺はそれよりも シュレイザー国の各部隊長へ挨拶を」
ロキが歩き出す ロスラグが呆気に取られた後 追いかけて言う
「ロキ隊長!今度シュレイザー国に行く事があった時は 自分の気持ちを素直に言葉にする様にする って約束したじゃ無いッスか!?初っ端から約束破ってるッスよー!」
ロキがツンとした表情で言う
「…それはお前の名を 奴に伝えたらの話だ 現在はまだ伝えて居ない よって 俺は素直に シュレイザー城を回避する」
ロスラグが衝撃を受け言う
「シュレイザー城を回避しちゃったら ヴェルアロンスライツァー副隊長に会えないじゃないッスか!?そしたら俺の名前も伝えられないッス!でもって ロキ隊長がヴェルアロンスライツァー副隊長と久し振りに一緒に戦える今日を チョー楽しみにしてたって事も 伝えられないッスよー!?」
ロキが怒って振り返り言う
「俺はチョー楽しみになど していない!」
ロスラグが一瞬、驚いた後 怒って言う
「ロキ隊長は 何でいっつも 自分の気持ちの反対の言葉を言うッスかー!?それじゃぁ 俺が1人でヴェルアロンスライツァー副隊長に会いに行って来るッスよ!!でもって ロキ隊長の気持ちを代わりに伝えて ヴェルアロンスライツァー副隊長をロキ隊長の所に連れて来てあげるッスー!」
ロスラグがシュレイザー城へ向かって走り出す ロキが慌てて追いかけて言う
「おいっ待て!ベル!!余計な事を言うんじゃない!馬鹿犬ーっ!!」
ロスラグが走りながら笑顔で言う
「馬鹿犬でも良いッスよー!ロキ隊長とヴェルアロンスライツァー副隊長と また一緒に戦えて 俺はチョー嬉しいッスー!」
先行するロスラグを追いかけるロキ 2人がシュレイザー城へ入って行く
【 ローレシア城 玉座の間 】
ザッツロードの前でキルビーグが言う
「アバロンのバッツスクロイツ殿が 新たな悪魔力対策のプログラムを完成させ ヴィクトール皇帝陛下はそれに対応する為の部隊を結成したそうだ ザッツ、お前はこのローレシアからの代表として その部隊へ参加をして来てくれ そして、これを」
ザッツロードが手渡された書類を見て言う
「これは…?兄上?この通信記録は 古いローレシア言語で書かれていますが?」
キルビーグ2世が頷いて言う
「それを現在アバロン城に幽閉されて居る父上へ渡してくれ アバロンの方で没収すると言う事であれば それでも構わない 我らローレシアでは もう対処をする事が出来ないのだ」
ザッツロードが疑問しながら 書類を眺める
城門前
ザッツロードが城を出て来る ソニヤ、ラナ、セーリアが待っていて微笑する ザッツロードが一瞬驚いた後微笑して言う
「皆来てくれたのかい?」
ソニヤが軽く笑っていう
「当ったり前でしょ!?」
ラナが微笑して言う
「私たちローレシアの代表が アバロン帝国の特別部隊で足を引っ張らない様に 援護をしてあげないといけないじゃない?」
セーリアが軽く笑っていう
「それじゃ、私たちは ローレシアの勇者様の援護部隊って事ね?」
ソニヤが苦笑して言う
「それなら やっぱり ローレシアの勇者ザッツロードの仲間たち の方が良いんじゃない?」
皆が笑う
【 シュレイザー城 城門前 】
ロスラグが城の入口へ向け走って来る 門兵2人が道を塞ごうとするが ロスラグが言う
「ちょっと急いでるッスー!道を開けて欲しいッスよー!」
ロスラグの言葉を受け衛兵たちが道を開ける ロスラグがそこを駆け抜け 追って走るロキが衝撃を受けて叫ぶ
「貴様らは門兵としての任務をまっとうしろーっ!!」
衛兵たちが驚き怯えて逃げる ロキが駆け抜ける
玉座の間
玉座に座るアンネローゼが足音に気付いて顔を向ける アンネローゼの視線の先 玉座の間の入口からロスラグが飛び込んで来て そのロスラグをロキが後方から捕まえるが 2人が勢いのままに玉座の間に倒れ込む アンネローゼとその横に居るヴェルアロンスライツァーが呆気に取られて眺める ロキが顔を上げ衝撃を受ける 続けて顔を上げたロスラグが ヴェルアロンスライツァーを見て喜んで叫ぶ
「ヴェルアロンスライツァー副隊長!俺ヴェルアロンスライツァー副隊長に すっごく会いたかったッスー!でもって ロキ隊長は もっとすっごく!」
ロキが慌てて叫ぶ
「黙れっ!馬鹿犬っ!!」
アンネローゼとヴェルアロンスライツァーが顔を見合わせ アンネローゼが笑う ヴェルアロンスライツァーが微笑して言う
「ロキ、ベルグル 貴殿らの来城を このヴェルアロンスライツァー 心より待ち侘びていた」
ロキが衝撃を受ける ロスラグが呆気に取られてから言う
「へ?何でヴェルアロンスライツァー副隊長が 俺の本当の名前を知ってるッスか?」
ロスラグが疑問してロキを見る ロキが顔をそらす ヴェルアロンスライツァーが答える
「ロキからの連絡にて聞いていたのだ 今日顔を合わせるまでは 秘密にしておくという条件でな?」
ロスラグがロキへ向く ロキが顔をそらす ロスラグがヴェルアロンスライツァーへ向いて言う
「そうだったッスか!俺全然知らなかったッス!けど全然良いッスよ!ヴェルアロンスライツァー副隊長は やっぱりロキ隊長と会える今日を 楽しみにしててくれたッス!俺、嬉しいッス!それにロキ隊長!?ヴェルアロンスライツァー副隊長には俺の名前がもう伝えられてるッスよ!だからロキ隊長も素直な言葉を言うッス!これは約束ッスよー!?」
アンネローゼがくすくす笑う ロキがロスラグから離れ平静を装い アンネローゼの前に敬礼して言う
「…我らスプローニ国第2部隊隊長及び隊員は スプローニ国並びにシュレイザー国 両国の協定に基づき 今作戦への援護の為 だけ に参りそれ以外は一切の…」
ロスラグが怒って言う
「全然素直じゃ無いッスーっ!!」
【 アバロン城 玉座の間 】
ヴィクトールの前にザッツロードと仲間たちが跪いている ヴィクトールが言う
「ザッツロード王子 よくぞ来てくれた 先だってローレシアのキルビーグ2世王子から連絡を受けていた 我らアバロン帝国の結成した特別部隊への参加 諸卿へ敬意を表す 既にシュレイザー国にて 防衛準備が進んでいる 詳しい説明は シュレイザー国のヴェルアロンスライツァー親衛隊長より受けて欲しい」
ザッツロードが返事をする バーネットが言う
「魔物の集結まで もうあんまり時間がねぇ 参加するんなら 急いで行きやがれよ?」
ザッツロードがバーネットへ向いて言う
「はい、急いで向かいます …それから それとは別に」
ヴィクトールとバーネットが疑問する ザッツロードが書類を取り出して言う
「現在ローレシアの管理を任されております キルビーグ2世より こちらのアバロン城にて幽閉されている ローレシア国王キルビーグ1世へと 預かってまいりました お許しを頂けるのであれば 渡したいのですが」
ヴィクトールとバーネットが顔を見合せる 家臣が現れザッツロードから書類を受け取って眺めて言う
「どうやら古いローレシア言語にての 手紙のようですな?」
ヴィクトールがザッツロードへ問う
「キルビーグ2世殿から キルビーグ国王への書状であると言う事だろうか?」
ザッツロードが答える
「正直私には分かりかねます 文字を読む事は出来ますが その内容は現在のローレシアに関する事では無い様子で 詳しい事は確認して居ないのですが 無理強いは不要であると言われています」
家臣がヴィクトールへ向く ヴィクトールが言う
「いや、あいにく 私には ローレシアの文字は分かりかねる バーネットへ」
家臣がバーネットへ書類を渡す バーネットが声に出して読む
「『悪魔力の発生源を 全て付き止めた しかし、我々の存在出来る空間は非常に限られて来ている 今は持てる力でその空間を維持し 新たなる聖魔力の供給を待つ』」
ザッツロードが驚く ヴィクトールが言う
「悪魔力に関する情報か?新たなる聖魔力の供給…と言う事は その文は旧世界からの連絡と言う事だろうか?」
ヴィクトールがザッツロードへ向く ザッツロードがハッとして言う
「その様に思えます ただ、私には理解できない事が多く…」
バーネットが別の書類を見て言う
「『私の仲間に持たせた 旧世界の宝玉の数は10 その全てを起動させ 旧世界へ次の送信時に送ってもらいたい 我々に残された時間は少ない 次の送信が最後になるであろう』」
ヴィクトールが考えてから言う
「…分かった、この書状は キルビーグ国王へ渡そう」
ザッツロードが一瞬驚いた後敬礼して言う
「有難うございます!ヴィクトール皇帝陛下!」
ザッツロードと仲間たちが玉座の間を去って行く ヴィクトールが立ち上がりバーネットのもとへ行って言う
「キルビーグ殿と話をしてくる バーネット、君も同席してくれ」
バーネットが言う
「ああ、この内容が本物なのか 確認してやらなけりゃならねぇからな?」
2人が玉座の間を後にする
客室
ヴィクトール、バーネット、キルビーグが話している キルビーグが2人に頭を下げて言う
「アバロン帝国第一皇帝ヴィクトール陛下、第二皇帝バーネット陛下 どうか 我らの旧世界 ローレシア帝国の民たちを救って欲しい…っ」
ヴィクトールとバーネットが真剣な面持ちで見つめる
【 シュレイザー国 城下町の外 】
ヴェルアロンスライツァーが皆に向けて言う
「諸君の働きにより このシュレイザー国は守られた シュレイザー国女王アンネローゼに代わり 諸君の功績を称える」
兵たちがヴェルアロンスライツァーへ敬礼する ザッツロードと仲間たちが周囲の光景に驚き慌てて敬礼する
皆が解散して行く中 ザッツロードと仲間たちがロキとロスラグのもとへ向かい ザッツロードが言う
「ロキ、ロスラグ 少し聞きたいのだけど?」
呼ばれた2人が顔を向ける ソニヤがザッツロードの横から言う
「ちょっと!何でヴェルが 援護に来てくれてた隊員たちを称えるのよ!?」
ラナが続けて言う
「それに いくら親衛隊長だからって 自国の女王を呼び捨てにするなんて…」
ロキとロスラグが顔を見合わせてから ロスラグが首を傾げて言う
「そんなの当然ッス!スプローニ国以外の憲法でも決まってるッスよ!」
ザッツロードたちが顔を見合わせる ロキがその様子を見て言う
「…どうやら 諸卿は知らんらしい」
ザッツロードたちが疑問する ロスラグが一瞬呆気に取られた後 笑顔で言う
「どこの国だってそうッス!女王様であっても 自分の奥さんの事は 呼び捨てにするッスよ!」
ザッツロードたちが衝撃を受け ザッツロードが言う
「え?いや…?あれ?」
ロキが言う
「…先日発表されたばかりである為 恐らく大陸西部の国までは まだ連絡が届いていないのであろう 丁度、濃度の高い悪魔力が検出されており それ頃では無い騒ぎになっていた …と言う事もあるが」
ザッツロードたちが呆気に取られた後 声を合わせて叫ぶ
「「「「えぇええ!?」」」」
ザッツロードたちの前で ロスラグが笑顔で言う
「俺もすっごく嬉しいッス!ヴェルアロンスライツァー副隊長は シュレイザー国のヴェルアロンスライツァー親衛隊長になったと思ったら 今度はシュレイザー国のヴェルアロンスライツァー王配殿下になったッスよー!」
ロキが言う
「…しかし、驚いているのは何も諸卿や我々だけでは無く 当人が誰よりも受け入れられない様子だ ハッキリ言って とても王配の行動はとられていない」
ロスラグが笑顔で言う
「そうッスねー!まったくその様子はないッスー!いつものヴェルアロンスライツァー副隊長みたいで 俺も 何だか嬉しいような可笑しいような変な感じッスー!でも やっぱり俺は嬉しいッスよー!」
ロキが軽く笑って言う
「そうだな、俺も一応 相棒として嬉しく思…」
ロキが言葉の途中でハッとして 背を向ける ロスラグが一瞬呆気に取られた後 笑顔で言う
「ロキ隊長!俺も嬉しいッスよー!ロキ隊長も やっと 自分の本当の気持ちを言葉に出来る様になったッスー!これからはもっと練習するッスよー!」
ロキが怒って言う
「そんな練習など不要だ!」
ヴェルアロンスライツァーがやって来て言う
「ザッツ、皆も 良く来てくれた 共に戦い このシュレイザー国を守ってくれた事へ感謝する」
ザッツロードが笑顔で言う
「こちらこそ、助力になれたのでしたら光栄です ヴェルアロンスライツァー王配殿下!」
ヴェルアロンスライツァーが衝撃を受け ロキとロスラグへ顔を向ける ロキが視線をそらす ロスラグが笑顔を見せる ソニヤが笑顔で言う
「お祝いが遅くなって ごめんなさーい ヴェルアロンスライツァー王配殿下!」
ヴェルアロンスライツァーが羞恥を堪えながら言う
「それについては 余り触れないで頂きたい… 我が女王の命のままに 何の障害も無くあっという間にその様な方向に…」
ロキが呆れて言う
「…例え主君からの命であっても 自身の身の振り方は 己で責任を持つべきだ そして、引き受けたからには 不意にする訳にも行くまい?」
ヴェルアロンスライツァーがロキへ向いて言う
「無論だ!我が女王の命とあれば!このヴェルアロンスライツァー 例え王配であろうと成し遂げて見せる!」
ロキが呆れる ロスラグが笑顔で言う
「流石ヴェルアロンスライツァー副隊長ッス!チョーカッコ良いッスー!」
ロキが背を向けて言う
「…では、精々 卿は卿の任務を遂行しろ 俺は次に魔物による襲撃が予測されている 祖国スプローニの防衛へ向かう」
ロキが歩き始める ロスラグがロキの背を見てから振り返って言う
「今回は時間が無いッスから チョー残念だけど帰るッス!ヴェルアロンスライツァー副隊長!また今度 ロキ隊長と一緒に 改めてお祝いに来るッスよー!」
ロスラグがロキの後を追う ヴェルアロンスライツァーが言う
「待て ロキ スプローニの防衛には 私も参る」
ロキが立ち止まる ヴェルアロンスライツァーが微笑して言う
「スプローニ国は このシュレイザー国の友好国 そして、私の相棒の祖国だ 私が支援に参るのは当然の事であろう」
ロキが顔を向けないまま言う
「…言って置くが シュレイザーの王配殿下殿を 護衛する任務など 俺は 請け負うつもりは無いからな」
ヴェルアロンスライツァーが苦笑して言う
「勿論だ 貴殿と共に戦う際は 私は一兵士として 貴殿の相棒でありたいと願う」
ロキが顔を向けないまま言う
「…卿の好きにしろ 来ると言うのであれば 共に戦ってやる」
ロキが歩みを再開させる ヴェルアロンスライツァーが苦笑して続く ロスラグがロキに詰め寄って言う
「ロキ隊長は!やっぱりもっと素直に言葉を言う練習をするッスよ!」
ヴェルアロンスライツァーが軽く笑って言う
「恐らくそれが出来る者は ロキでは無い」
ロキが衝撃を受け 怒って言う
「貴様が王配になどなるからだっ!」
ヴェルアロンスライツァーが驚く ロスラグが言う
「ロキ隊長!その調子ッス!悪い言葉に関しては 合格ッスよー!」
ロキが怒って言う
「うるさい!馬鹿犬!」
ロスラグが笑顔で言う
「馬鹿犬でも良いッスー!俺はずっとずっと ロキ隊長が 素直に言葉を言える様になるのを 応援するッスよー!」
ロキたちが立ち去っていく ザッツロードと仲間たちが顔を見合わせ 笑い合ってから彼らに続こうとする ザッツロードの通信機が着信する ザッツロードと仲間たちが一瞬驚き ザッツロードが通信機を見る
【 ローレシア城 城門前】
ローレシア城の城壁に2つ 強い衝撃によって壊れた箇所がある 門兵たちが呆気にとられている中 ヴィクトールが苦笑しながら立ち上がって言う
「魔力に不慣れな者の移動魔法であった為 少々乱暴な着地になってしまった事を詫びようキルビーグ殿 気を取り直し どうか案内を…」
キルビーグが頭を押さえつつ言う
「あ、ああ 問題は無い 案内させて頂く」
バーネットが首を傾げて言う
「あん?移動魔法なんざ 誰がやっても こんなもんだろ?」
キルビーグが先行しヴィクトールとバーネットが続く 門兵たちが慌てて敬礼して言う
「「キルビーグ国王陛下のご帰城です!」」
キルビーグとヴィクトールが苦笑する
玉座の間
キルビーグ2世が立ち上がって言う
「父上、お帰りなさいませ!」
キルビーグが頷いて言う
「ああ、キルビーグ 良い機転を利かせてくれた お陰で アバロン帝国の両皇帝陛下が 我らへ力を貸して下さる事を ご約束下された」
キルビーグ2世がヴィクトールとバーネットへ敬礼する ヴィクトールとバーネットが微笑する キルビーグが言う
「早速、旧世界の事を お2方へ説明して参る お前は引き続き この新世界のローレシアを頼む」
キルビーグ2世が返事をする
「はいっ!父上!」
3人が玉座の間を出て 地下への階段へ向かう 城の出入り口から声が掛かる
「キルビーグ陛下!」
ヴィクトールとバーネットが驚き ヴィクトールが言う
「君たちは!2代目勇者ザッツロードの!?」
城の入口に ラーニャ、ミラ、レーミヤが居て ラーニャとミラが走って来る ミラがヴィクトールとバーネットを見てから言う
「ヴィクトール陛下にバーネット陛下も!?では キルビーグ陛下!」
キルビーグが頷いて言う
「ああ、新世界の帝国 アバロン帝国は 旧世界と旧世界のローレシア帝国の民を救う事を約束してくれた」
ラーニャとミラが顔を見合わせ微笑む ラーニャが袋から宝玉を取り出して見せて言う
「キルビーグ陛下、これが旧世界で開発された 悪魔力を聖魔力に変換する宝玉です!」
ミラが言う
「しかし、この宝玉を起動させるには 最上級魔力者により調整された多くの魔力を必要とします 私たちはこれからすぐに それぞれの故郷へ戻り 町や村の魔力者たちと 宝玉の起動を行って来ます」
キルビーグが頷いて言う
「そうか、ではそちらは お前たちへ任せよう 我々は旧世界に蔓延する 悪魔力に侵された機械兵を倒す為の その方法を模索する」
ラーニャとミラが返事をして ラーニャが宝玉を袋に入れる その様子を見てバーネットが言う
「うん?確かあの文にあった旧世界の宝玉の数は10だったはずだが?」
ラーニャがバーネットへ向いて言う
「ああ、全部持つと結構重いから 3人で分担してるのよ」
ラーニャが言うと隣でミラが軽く微笑んで同じ宝玉の入った袋を見せる 皆の視線が1人遠くに居るレーミヤへ向く レーミヤが一瞬驚き慌てて宝玉の入った袋を見せ苦笑する ミラが苦笑して言う
「レーミヤったら そんな遠くに居ないで…」
ラーニャが軽く笑って言う
「そうよ?私たちは新世界と旧世界 どっちのローレシアの民でもあるのよ!?」
ラーニャとミラが笑う レーミヤが反応した後、再び苦笑する ヴィクトールが視線を鋭くして言う
「レーミヤ殿、旧世界からの帰還で 少々疲れがある様子だが 1つ占いを行って貰え無いだろうか?」
ヴィクトールがレーミヤへ向かって行く 皆が驚き ラーニャとミラが顔を見合せる ヴィクトールがレーミヤの前へ来る レーミヤが焦って言う
「あの… 申し訳有りません 仰る通り 私 疲れていて…」
ラーニャとミラが疑問する バーネットが疑問して言う
「上級の占い師が チョイと先の未来を見る事なんざ 簡単なんだろ?てめぇたちに協力しようってぇ アバロン帝国の皇帝さんが それを頼んでるんだぜぇ?」
バーネットが近づいて行く レーミヤが焦って言う
「あ、あの… 私、今 占いの為の水晶玉を 無くしてしまってっ」
ヴィクトールが軽く微笑んで言う
「そうか、それでは 難しいのかもしれない では代わりに このローレシア城の中へ 入って貰えないだろうか?」
バーネットがにやりと笑って言う
「ああ、そうだなぁ?今このローレシア城は警戒体制をとってるんだったぁ… ソルベキアの先住民族に対してなぁ?」
キルビーグが驚いて言う
「まさかっ その者が!?」
ラーニャとミラが驚く レーミヤが逃げ出そうとする ヴィクトールが言う
「待てっ!」
ヴィクトールが掴んだレーミヤの腕が薄れ 替わりに現れたトカゲが逃げ出す ラーニャが言う
「嘘っ!?どう言う事!?レーミヤが!」
ミラが言う
「ソルベキアの先住民族と入れ替わって居ただなんてっ!?」
ヴィクトールが言う
「我々の隙を伺い 旧世界の宝玉を全て奪うつもりだったのか?」
バーネットが宝玉の入った袋を持っていて微笑して言う
「その宝玉は取り返してやったぜぇ だが、今度は そのレーミヤってぇ占い師を 助けてやらねぇとな?」
ヴィクトールがバーネットへ言う
「ソルベキアに捕らえられているのだろうか?」
バーネットが言う
「だろうな?あいつらにとっちゃ ローレシアの勇者殿どもを釣るのに役立つ餌になる 場合によっちゃぁ もう一度 この旧世界の宝玉を奪うのにもな?」
ヴィクトールが言う
「そうか… だが、例え人質とされる事が分かっていても 我々は彼女を救いに行かなくてはならない」
ラーニャとミラがヴィクトールへ向いて ラーニャが言う
「私たちが行くわ!」
ミラが言う
「でも、私たちだけでは…」
キルビーグが言う
「ザッツロード7世とその仲間たちを呼び戻している所だ 彼らと共に行かせるというのはどうだろうか?」
ヴィクトールが微笑して言う
「いや、レーミヤ殿は 2代目勇者ザッツロード6世殿の仲間だ この任務を誰よりも 請け負いたいと言うであろう人物を 私は知っている」
バーネットが一瞬呆気に取られた後 軽く笑って言う
「ヘクターか?」
ラーニャとミラが一瞬驚いた後 顔を見合わせ微笑する ヴィクトールが頷いて言う
「ああ、彼なら率先して向かってくれるだろう そして、あのソルベキアが相手であっても 安心して任せられる」
ヴィクトールがラーニャとミラへ顔を向ける 2人が微笑んで頷く
門前
ザッツロードと仲間たちがローレシア城へ到着する 門兵が敬礼して言う
「ザッツロード王子、お帰りなさいませ!キルビーグ陛下が 地下機械室にて お待ちしているとの事です!」
ザッツロードが言う
「そうか、分かった ありがとう」
ザッツロードと仲間たちが地下へ向かう 歩きながらソニヤが言う
「ザッツ?スプローニ国への援護を取り止めて ローレシアに戻っちゃって本当に良かったの?」
ラナが言う
「アバロンのヴィクトール皇帝陛下への連絡は ザッツのお兄さんからしたって言うのだから良いじゃない?」
ソニヤが表情をしかめて言う
「けどー?ローレシアの代表として アバロンの特別部隊に参入したのに たった1戦で離脱しちゃうだなんて~」
ザッツロードが苦笑して言う
「確かに、少し残念ではあるけれど スプローニ国の防衛は あのロキとヴェルアロンスライツァー王配殿下がいらっしゃるのだから 心配無いよ」
皆が苦笑し セーリアが言う
「ロキと一緒に居る時は ヴェルも王配殿下では無くて 元スプローニ国第二部隊 副隊長さんなんじゃ ないかしら?」
皆が微笑み ラナが言う
「そういえば、ロスラグも ずっとヴェルアロンスライツァー副隊長って呼んでるものね?」
ザッツロードが言う
「うん、ロキとヴェル… ロスラグも居る事だし きっと大丈夫だ」
皆が軽く笑う
地下機械室
ザッツロードが機械室の扉を開く その先に居る人物を見て ザッツロードと仲間たちが驚く ロスラグが言う
「遅いッスよ!ヘボ勇者!」
ソニヤが室内に居る人物を見て言う
「ロキ!?ヴェルも!?」
ザッツロードが言う
「一体どうして!?」
ヘクターが軽く笑んで言う
「どうしてなんて 決まってんだろ?俺たちは2代目勇者ザッツロードの仲間たちなんだからよ!その仲間を助けようって時には 集結するに決まってるぜ!」
ヴェルアロンスライツァーがロキへ向いて言う
「そんな時でも 若干渋る者は居たが…」
ロキがムッとしながら言う
「…黙っていろ 王配殿下殿」
ヴェルアロンスライツァーが衝撃を受け怒りを抑える ロスラグが焦る ザッツロードがロキへ言う
「しかし、ロキ 貴方の祖国であるスプローニ国が」
ソニヤが言う
「そうよ!スプローニ国の第2部隊長である貴方が その国が大変な時に!?」
ロキが言う
「…俺も可能であれば 防衛の任に就きたかった だが、スプローニの第2部隊は 援護に来ていた 元スプローニ国第3部隊隊長であった者へ預けた」
ザッツロードが呆気に取られながら言う
「元スプローニ国第3部隊隊長…」
セーリアが微笑んで言う
「リーザロッテ王女の仲間である ロイね?」
ヴィクトールがヘクターへ向いて言う
「ヘクター、それでは レーミヤ殿の救出は頼んだ 我々はアバロンへ戻り 今後の対策を練る」
ヘクターが微笑して言う
「おう、任せとけって!ソルベキアで暴れる事になっけど かまわねーんだよな?」
ヴィクトールが苦笑して言う
「余り大げさにはしない様に …と言っても無理だろうね?」
ヘクターが笑顔で言う
「当ったりめーだろ?俺が指揮を執るんなら 作戦は当然アバロン式だぜ!?正々堂々と正面から」
ウィザードが隣に現れて言う
「破壊する」
キルビーグが落ち込む ヴィクトールが苦笑して言う
「今回は出来るだけ お手柔らかに頼むよ」
バーネットが言う
「前回のローレシアほど ぶっ壊すんじゃねぇぞ?」
プログラマーがヴィクトールへ向いて言う
『私も作戦が終了次第 アバロンへ帰還し 新型ロボット兵の製作へ携わる』
ヴィクトールが頷いて言う
「うん、それまでの間は 我々とバッツスクロイツで ガルバディア国王を交え相談をしておく」
ヴィクトールが出口へ向かう バーネットが続こうとした足を止め振り返って言う
「旧世界の現状については 引き続き旧世界のローレシア帝国皇帝キルビーグ てめぇに任せとくぜぇ?」
キルビーグが微笑して言う
「分かった、こちらの新世界に置いての対策は 貴殿ら新世界のアバロン帝国皇帝方へ一任しよう」
ヴィクトールとバーネットが軽く微笑み立ち去る ヘクターがヴェルアロンスライツァーとロキへ向いて言う
「旧世界の宝玉って奴を起動させるのに 魔力者が必要らしい ラーニャとミラは そっちに行かせようと思うぜ」
ラーニャとミラが驚いてラーニャが言う
「待ってよ!私たちだって仲間じゃない!」
ミラが続けて言う
「私たちはレーミヤが敵に奪われた事に 気付けなかった責任もあるわ その私たちが救出へ行かないだなんて」
ヘクターが言う
「せっかくヴィクトールとバーネットのお陰で 旧世界の宝玉が無事だったんだぜ?レーミヤが助かっても その宝玉が間に合わなかったら意味ねーじゃねーか?」
ヴェルアロンスライツァーが微笑して言う
「彼女の救出は 我々へ一任して貰いたい」
ロキが言う
「…諸卿も 己へ与えられた任を 全うするべきだ」
ロスラグが笑顔で言う
「心配無いッスよ!ロキ隊長とヴェルアロンスライツァー副隊長に加えて アバロン3番隊隊長ヘクターと ガルバディアの2大勢力ッスよ!?ついでに俺も行くッス!ソルベキアの1つや2つ 全然平気ッスよ!」
ヘクターが微笑して言う
「そー言う事だからよ!レーミヤの事は 俺たちに任せとけって!」
ラーニャとミラが顔を見合わせ苦笑してラーニャが言う
「それなら… しょうがないか?」
ミラが頷いて言う
「ヘクターたちなら ザッツを魔王の島から助け出してくれた時と同じ様に レーミヤの事も助け出してくれるでしょうしね?」
ラーニャが頷いて言う
「それじゃ、旧世界の宝玉については 私たちに任せといて!」
ヘクターが笑顔で言う
「おう!そっちは任せたぜ!」
それぞれが向かう
【 ソルベキア国 移動魔法陣 】
ヘクターがソルベキア城を見上げて言う
「やっぱレーミヤは 城の地下牢かどっかに捕まってるのか?」
プログラマーがホログラムを表して言う
『ソルベキア城内の地下牢に存在を確認した …が、同時に 私の存在が スファルツ卿に捕らえられてしまった』
ヘクターが衝撃を受け プログラマーへ向いて言う
「おい、世界一のプログラマーが何やってんだよ!?」
プログラマーがそっぽを向いて言う
『今回は私のミスだ 奴が私の能力を上回った訳では 断じて無い!』
皆が呆れる
【 スファルツ邸 】
スファルツが機械操作をしながら言う
「ようこそ、いらっしゃいました 世界一のプログラマー殿 今日こそ貴方との決着の時です」
スファルツが微笑してモニターを眺める
【 ソルベキア城前 】
ヘクターがソルベキア城を前に立って言う
「デスは見付かっちまったけど 作戦の変更は無しだぜ!」
ロキとヴェルアロンスライツァーが呆気に取られつつ ヴェルアロンスライツァーが言う
「先ほどのスファルツ卿だが 今回もレーミヤの救出に手を貸してはくれぬのだろうか?」
プログラマーが答える
『前回は双方の利害が一致していた だが、今回は奴の特になる物は何も無い そして先ほど奴から私へ対し 御丁寧に宣戦布告を送って来た ヘクター、これは私と私の相棒であるお前への 挑戦状であると受け取るべきだ』
ヘクターが笑顔で言う
「おう!そうと決まれば 遠慮無く 正々堂々と正面から!」
ウィザードが現れて言う
「破壊してやろう」
ウィザードが言い終えると共に盛大に魔法を放つ ヘクターが大剣を引抜いて叫ぶ
「突撃ーっ!」
ヘクターとウィザード、プログラマーが突入する ロキとヴェルアロンスライツァーとロスラグが呆気に取られ ロスラグが言う
「す、凄いッス…」
ロキが呆れて言う
「…あの指揮能力で アバロン3番隊が最強部隊と言われるのが 俺は納得いかん」
ヴェルアロンスライツァーが苦笑して言う
「しかし、作戦は決行された そうとあれば このヴェルアロンスライツァーはヘクター隊長の指揮に従う!」
ヴェルアロンスライツァーが剣を引抜き突入する ロキが溜め息と共に両手に銃を持って言う
「…確かに、これ以外の策が無い以上 従わざるを得ない」
ロキが突入する ロスラグが言う
「あー!ロキ隊長!ヴェルアロンスライツァー副隊長!俺を置いていかないで 欲しいッスー!」
ロスラグが慌てて武器を用意しながら追いかける
【 アバロン城 バッツスクロイツの研究室 】
プログラマーがホログラムを現す ヴィクトールが振り向いて言う
「デス、レーミヤ殿は?」
プログラマーが頷いて言う
『無事救出した 現在はローレシア領域の最上級魔力者らと共に ローレシア城内にて 旧世界の宝玉の起動を行っている』
ヴィクトールが疑問して言う
「ローレシア城で?」
バーネットが微笑して言う
「あの城の中なら ソルベキアの先住民族の奴らに 邪魔される事もねぇって事だろ?時間も限られてるしなぁ?邪魔される訳にも また さらわれっちまう訳にもいかねぇ」
ヴィクトールが微笑して言う
「なるほど?それで、期限には 間に合いそうなのか?」
プログラマーが言う
『余裕が有る訳では無いが 問題は無いだろうとの事だ むしろ、今度は 旧世界で使うロボット兵を作る 我々が急がねばならない』
プログラマーが周囲を見渡す ヴィクトールが苦笑する プログラマーが首を傾げて言う
『…それで?我々の時間が少ないと言う この時に あの僻(ひが)み国王は何処へ行った?』
ヴィクトールが衝撃を受け苦笑して言う
「何故ここに居なかった君が その事を知っているんだい?デス…」
プログラマーが疑問して言う
『何故…とは?私の知っている奴の僻みっぷりは 私とヘクターの世界一の相棒っぷりへの ものであったのだが?まさか…?』
バッツスクロイツが怒って言う
「もーマジ信じられないんですけどー!?あの王様デスっちーは 俺の祖国であるローンルーズで使われているプログラムに?自分の知らなーい 超ーイカした公式使ってたからってー ローンルーズの優秀なプログラマーが 全てやれば良いんだーとか言って 俺1人に押し付けて 帰っちゃったんですけどー!」
プログラマーが衝撃を受けて怒って叫ぶ
『なにーっ!?あの僻み国王がっ!300年以上も生きているくせに また そんな事で僻んで 国へ逃げ帰るとはっ!!』
ヴィクトールが苦笑して言う
「まぁ… 300年も生きていれば 良くも悪くも過度な自信などが 付いてしまうのかもしれない こう言う時は… 煽ててみるとか どうだろう?」
ヴィクトールが笑顔になる プログラマーとバッツスクロイツが衝撃を受けて表情をしかめる ヴィクトールが笑顔のままバーネットへ向いて言う
「ね?バーネット、君の弁舌(べんぜつ)なら何とか?」
ヴィクトールの視線の先 バーネットが深く考えている ヴィクトールが疑問して言う
「あれ?バーネット?どうかしたのかい?」
バーネットがヴィクトールの言葉に顔を上げて言う
「確かに あのガルバディア国王の奴は そう言って消えやがったが… その前にやたらと このロボット兵… じゃぁねぇや?アンドロイドの奴を見てやがっただろぉ?それに そのアンドロイドって言葉だが… 俺はぁ そいつをどっかで見た様な…?」
バーネットがアンドロイドのデスを見る ヴィクトールが苦笑して言う
「バーネットの場合は 色んな本を沢山読み過ぎているせいで 何処でどの本を読んだのかなんて思い出せないのではないのかい?」
バーネットが考えて言う
「いや、確かに色んな場所で読んだりはしたが そういう機械に関する言葉が入った本を読んだのは このアバロンの書物庫だ この国の書物庫は 種類が豊富だってぇのが特徴で… だから気分によって色々選べるのが 面白くってよぉ」
ヴィクトールが苦笑して言う
「そう言えば昔は折角君がアバロン城に来てくれた時も 君はいつも書物庫に篭ってしまうから 僕はどちらかと言うとベネテクトへ行って 君と会う方が楽しみだったんだよ?」
バーネットが軽く笑って言う
「そう言うてめぇは 折角このアバロン城に住んでやがるってぇのに 書物庫の本は 必要最低限の物しか 読んでやがらねぇんだよな?」
ヴィクトールが衝撃を受け苦笑する バーネットが立ち上がって言う
「ちょいと見て来るぜ もしかしたら 多少なんかの役に立つもんだったかも知れねぇ」
バーネットが出て行く プログラマーがヴィクトールへ向いて言う
『アバロン城の書物庫も シュレイザー程では無いが十分に広い 手伝った方が早いのでは無いだろうか?』
ヴィクトールが苦笑して言う
「彼がどの本を探しているのかも分からないし 僕が行っても余り役には立てないと思うよ」
バッツスクロイツが軽く息を吐いて言う
「でも、自分の所の書物庫の本を 他国の王様だった人の方が詳しいなんてー?」
ヴィクトールが苦笑して言う
「僕の場合は文字を読んでも 実際に体験してみないと 理解が出来ないものだから」
プログラマーが微笑して言う
『それはアバロンの民の特色だ 文字や言葉によって頭で理解するよりも 体の方で対応してしまう』
バッツスクロイツが軽く笑って言う
「つまりー デスっちのプログラムで 身体能力を高めているから 垂直3メートルジャンプ出来るよー ってー説明するより?実際にジャンプさせちゃった方が 分かっちゃうーって事ね?」
プログラマーが言う
『それでも、本当にそれだけの高さを飛べるのか?等と疑いを持った時点で 既に作られているプログラムとは誤差が生じてしまう 疑念は何よりも我々の力を妨げる』
ヴィクトールが微笑して言う
「君のプログラムさえあれば 間違い無く自分はその高さまで飛べるのだと思える その信頼が君とヘクターとの力なのだね?」
プログラマーが微笑して言う
『いや?あいつの場合は 既に その事すら考えていない』
ヴィクトールが苦笑して言う
「それは凄い」
バッツスクロイツが書類を書き上げて言う
「それじゃーさ?このアンドロイド製作もー?信じるだけーで作り上げちゃってよー?アンドロイド製作ラインも何も無いこっちの世界でー?どーやって 500体を越える アンドロイドを作るんですかー?機材も部品もない世界で 一体づつ超ハンドメイドーなんてー 俺エスケープ寸前なんですけどー?」
バッツスクロイツが机にうな垂れる ヴィクトールがプログラマーへ向いて言う
「デス、君のプログラムで バッツスクロイツのやる気を出させる事は 出来無いだろうか?」
バッツスクロイツが衝撃を受ける プログラマーが首を傾げて言う
『それなら睡眠中にアンドロイドに追いかけられる夢でも見せれば 良いのかもしれない』
ヴィクトールが笑顔で言う
「それなら 鞭を振りかざしたバーネットに 追いかけられる方が きっと製作速度も上昇すると思うんだ」
プログラマーが頷いて言う
『確かにそうだな では、私も早速そのプログラムの製作に』
バッツスクロイツが顔を上げ 怒って言う
「そーんなプログラム作るぐらいならー どっかの王様がエスケープした分の アンドロイドプログラムを 超ー作って欲しーいんですけどっ!!」
書物庫
バーネットが書物庫の本棚を眺め 首を傾げて言う
「ねぇな?っかしいな…?確かに この辺だった筈だ やたら信じられねぇ様な話だったから この床に座りこんで読み耽ってたんだよな?そしたら あの泣き虫が いい加減自分にも構ってくれってぇから 仕方なく…」
バーネットがハッとして言う
「そうだ!仕方ねぇって事で ベネテクトに持ち帰る事にしたんだったぁ そのままデネシアにとっ捕まっちまったから 返すどころか すっかり忘れちまってたぜ!」
バーネットが通信機を取り出し通信する 間もなくして通信機のモニターに ベーネットが現れる バーネットが言う
「よう、ちょいと探して貰いてぇもんが あるんだ」
【 ベネテクト城 】
バーネットが本のページをめくりながら言う
「そうそう、こいつだぜぇ やっぱりベネテクトに置きっぱなしだったんだなぁ」
ベーネットが表情を困らせて言う
「20年以上も他国の本を お借りしたまま忘れてしまうだなんて ベネテクトの名に傷が付くでは有りませんか?」
バーネットが軽く笑って言う
「ハッ!その忘れた理由が アバロンを助けてとっ捕まってたからってぇんなら上等じゃねぇか?」
ベーネットが苦笑して言う
「では その件についてはそう言う事にして置きます しかし、アバロン帝国の第二皇帝陛下ともあろうお方が 私がアバロンまでお返しに上がる時間も待てずに 飛んで来てしまうだなんて そちらの方が恥ずかしく思いますよ?」
バーネットが本をめくりながら言う
「てめぇが のろのろしてるからだろぉ?本一冊返す位ぇの事に んなに時間を掛けてるようじゃ どっかのネズミの国の王様が 世界大戦でも勃発させちまうってもんだぜ!」
ベーネットが苦笑して言う
「ですから すぐにお返しに参りますと言ったでは有りませんか?こちらは増加している魔物の処理で クソ忙しい中 その本の他にも返却を忘れられている本が有るのではと 瓦礫の下まで探そうかと言う所まで来ていたんですよ?」
バーネットが軽く笑って言う
「はっはー なら尚更俺が来て良かったじゃねぇか この本以外には… たぶん忘れちゃいねぇって」
ベーネットが溜め息を付いて言う
「だぶんでは困りますが 今後見付かった際には 全て貴方宛てに密書にて送りますので こっそり書物庫に返して置いて下さい」
バーネットが苦笑して言う
「心配ねぇよ あの友情の王様は 書物庫には俺を迎えに来る以外には入りやがらねぇし 俺がアバロンで興味を持つ様な本は 国王以下の連中が入れるような場所のモンじゃねぇ」
ベーネットが言う
「その本は 本と言うよりも その時代の友好国の調査記録ですよ?むしろ、それを借り出してしまった事の方が 問題になるのでは?」
バーネットが苦笑して言う
「はっはー そぉなんだよ あの頃は国家間の問題なんて 分からねぇぐれぇの歳だったからよぉ ヴィクトールの奴に一言言う程度で 借りて来ちまったんだ」
ベーネットが微笑して言う
「では、ヴィクトール13世皇帝陛下の許可の上で お借りしたと言う事にしておきます」
バーネットが一瞬呆気に取られた後 笑って言う
「ああ… それなら問題ねぇな?」
ベーネットが笑顔を向ける
【 アバロン城 城門前 】
バーネットが本を片手に移動魔法でぶっ飛んで来る スライドしながら盛大に着地した後 何事も無かった様子で城内へ向かう 門兵らはすっかり慣れている様子で普通に敬礼して言う
「「お帰りなさいませ!バーネット第二皇帝陛下!」」
バーネットが普通に返事を返す
「おう、ご苦労さん」
バーネットが何事もなかった様子で城内へ向かう 門兵も普通にやり過ごす
バッツスクロイツの研究室
バッツスクロイツとアンドロイドのデスが居る そこへ扉を開けてバーネットが入って来る バッツスクロイツが顔を上げて言う
「おっ帰りー バーネっちー」
バーネットが呆れた様子で言う
「てめぇ… いい加減その呼び方を 何とか出来ねぇのかぁ?」
バーネットがソファへ腰を下ろす バッツスクロイツが椅子に凭れながら言う
「えー?それじゃーなにー?俺にもー バーネット第二皇帝陛下ーって 呼びなさいーって言うのー?」
バーネットが本をめくりながら言う
「そこまでは言わねぇが 普通にバーネットで 良いだろうがぁ?」
バッツスクロイツが軽く笑って言う
「えー?バーネっちの方が フレンドリーで良いーと思うんだけどなぁー?」
バーネットが本をめくりながら言う
「なら 勝手にしやがれ とりあえず 俺はこの本を読みてぇんだから 黙ってろよ?ベネテクトに居ると ベーネットの奴が あーしろこーしろってうるさくてよぉ 誰に似やがったんだぁ あいつはぁ?」
バーネットが本をめくる バッツスクロイツが呆気に取られてから吹き出して言う
「そのベーネットさんとはー あんまり話した事ー無いけどー?俺の知ってる ベーネットさんのお父様ーは しょーっちゅう 友情の王様ーに あーしろーこーしろーってー 言ーってるみたいーだけどー?」
バーネットが苦笑して言う
「俺がいつ あの泣き虫に んな事言ったぁ?…ってぇか 黙ってろって」
バッツスクロイツが含み笑いの後に言う
「ぷふふっ あーあー?これじゃー ベーネットさんが あーしろこーしろってー言っててもー?誰に似てるーか 本人たちだけーが 分ーからないーかもー?言葉遣いはー 全ー然違うけど?やーっぱり 根本的ーな所ーとかー?」
バーネットが怒って言う
「だから… 黙ってろって言ってんだぁああ!!その前に なんで あいつが ベーネットさんで 俺がバーネっち なんだ てめぇえはぁああ!!」
バーネットが立ち上がり バッツスクロイツの首を絞めて揺らす
数日後
バーネットがアンドロイドの設計図を見ながらバッツスクロイツへ言う
「じゃぁ てめぇの作ろうとしてた アンドロイドってぇのですら 旧世界の機械兵からの攻撃には耐えられねぇのかよ?」
バッツスクロイツが溜め息を付いて言う
「そう、ソルベキアのロボット兵にしても ローンルーズのアンドロイドにしても どちらも行動を司る制御は機械プログラムで行ってる 旧世界の機械兵は悪魔力によって そのプログラムにある敵識別に異常をきたしているんだ だから 本来守ったり仕えたりするべき主人であったはずの人を 敵と認識して攻撃して来る 更に、その機械兵たちは 自分たちの仲間に引き込める相手に対して 自分の異常をきたしている 敵識別のプログラムをダウンロードしちゃう」
バーネットが腕を組んで言う
「ロボット兵もアンドロイドも どっちもその脳みそは機械で出来てやがる だから例え旧世界の悪魔力を全て中和したとしても 既に汚染されちまってる機械兵らの手によって そいつらも人の敵にされちまう 結局、人を守る事が出来るのは 人だけだってぇ事じゃねぇか」
バッツスクロイツが言う
「しかも、旧世界の機械兵の戦力はソルベキアのロボット兵より断然高いんだ だから 例えこっちの新世界の皆が向かって戦おうにも 数でも戦力でも負けてる とても旧世界を人の手に取り戻すなんて不可能だよ」
ヴィクトールが言う
「例え、数や戦力で負けていようとも 旧世界の悪魔力の中和さえ終らせてしまえば 後は時間を掛け 少しずつでも機械兵を人の手で倒して行けば いずれは全ての機械兵を撃破出来るのではないだろうか?」
バッツスクロイツが苦笑して言う
「向こうには機械兵を作るファクトリーがたーくさん そのファクトリーからは最新の機械兵が生み出され続けてる 時間をかけてたら 減らすどころか 増えるいーっぽうだろうねー?」
バーネットが溜め息を付いて言う
「一度に多くの機械兵を人の手でぶっ倒す事は出来ねぇし 敵の手に奪われるロボット兵を使うわけにも行かねぇ これじゃ、打つ手無しって事じゃねぇかよ」
ヴィクトールが考えて言う
「しかし、これら一通りの資料を渡していた状態にあっても ガルバディア国王は当初 我々と共にロボット兵の開発をする事を了承されていた… もしかしたら ガルバディアになら その解決となるような ロボット兵を作る術でもあるのではないだろうか?」
バーネットが僅かに視線を強める バッツスクロイツが呆れて言う
「ロボット兵でもアンドロイドでも 制御システムが無ければ動かないし 制御システムは機械なんだから 機械兵たちからのそのプログラムへの攻撃を回避するなんて無理だと思うけど?」
ヴィクトールがプログラマーへ向く プログラマーが考えて言う
『悪魔力による機械への異常を修復する事は難しい 元となるプログラムは同じであっても その異常は一律にはならず 個別の異常プログラムを生成する 故に直すくらいなら壊して止めるというのが現状だ』
バーネットが問う
「そいつは あのガルバディア国王であっても同じ答えなのか?…そもそも、そのガルバディア国王との連絡はどうなってやがる?」
ヴィクトールが浮かない表情で言う
「連絡は入れているのだけど あの日以降 まったく繋がらなくなってしまったんだ」
バーネットがプログラマーへ顔を向ける プログラマーが答える
『私からの連絡にも 反応は無い』
バーネットが一度目を閉じてから言う
「なら 直接行って 確かめるしかねぇな?俺が行って来るぜ」
バーネットが立ち上がる ヴィクトールが立ち上がって言う
「では、僕も行くよ あのガルバディア城の城門は アバロンの王であるなら いつでも受け入れる様に 出来てるそうなんだ」
バーネットが呆気に取られた後苦笑して言う
「じゃぁ、てめぇ1人で 行ってくれば良いだろが?」
ヴィクトールが苦笑して言う
「僕ではアンドロイドやロボット兵の話が出来無いよ 正直その2つの違いだって分からないんだ」
バーネットが疑問して言う
「それを言っちまったら 俺だって外見から分かるのは 大きさの違い程度だぜぇ?ツラは違ぇが… あぁ そりゃ違う方のアンドロイドだった」
ヴィクトールが疑問して言う
「違う方のアンドロイドとは?バッツスクロイツが作ろうとしていた アンドロイドの他にも 同じ呼び名のアンドロイドがあるのかい?」
バッツスクロイツが驚いて言う
「えー!?もしかしてー?バーネっちは 本物のアンドロイドを 知ってるーってー事?」
ヴィクトールが問う
「本物のアンドロイド?バッツスクロイツ、アンドロイドとは本来 君が作ろうとしていたものとは 違うものだという事なのか?」
バッツスクロイツが言う
「そうそう ほんとはー アンドロイドっていうのは もっと人に近い姿の物なんだ パッと見はー俺たちとー 見分けが付かないー位の!だからー ホントはこのデスも アンドロイドーとはー 言えないーんだよねー?」
バッツスクロイツがアンドロイドのデスを示す ヴィクトールとバーネットがアンドロイドのデスを見る バーネットが言う
「じゃぁ何で てめぇは コイツをアンドロイドって 言いやがるんだよ?」
バッツスクロイツが呆気に取られた後 苦笑して言う
「うんーそれは実は こいつは、アンドロイドの試作1号機なんだ つまり、全てのアンドロイドの元になったー1体目!だから、それに対して ロボットーとは?ちょーっと言いたくないーじゃない?」
ヴィクトールが微笑して言う
「なるほど、全てのアンドロイドの元となった 1号機に対して敬意を表していると言う訳だね?」
バッツスクロイツが笑顔で言う
「そーいう事ー …でも、ちょっと面白いんだよね?元々アンドロイドって言うのは 思考や行動だけじゃなくって 外見も人に近いものに対して付けられる総称なんだ だけど、このアンドロイドに関しては 思考や行動はともかく まぁ大きさはギリギリかもしれないけど?どう見ても外見はロボットだろ?だったら近い意味でも 外見が人に近い事を強く含まない ヒューマノイドって総称でもー?良かったと思うんだけどね?」
ヴィクトールが呆気に取られた後 考えて言う
「外見が人に近い物をアンドロイドと言い 外見が差ほど含まれ無いものをヒューマノイド 更に 思考や行動、大きさなどが含まれ無い物がロボット…?」
ヴィクトールが困る バッツスクロイツがその様子に笑って言う
「まーまー、そんなに深ーく 考えないでよー ヴィクトールっちー」
ヴィクトールが苦笑する バーネットが首を傾げて言う
「ならぁ 結局その2つは機械だって事か じゃぁ ガルバディアが作ってた アンドロイドってぇのは アンドロイドでもヒューマノイドでもねぇ 別のものになるってぇ事か」
皆が驚く プログラマーが言う
『それはどう言う事だ?ガルバディアがアンドロイドやヒューマノイドに近いものを 作っていたなどと言う歴史は 存在しない』
バーネットが言う
「うん?ならあの友好国の調査書は アバロンの連中が勝手にアンドロイドってぇ総称を 使いやがったってぇ事なのか?」
ヴィクトールが問う
「バーネット、それはどう言う事だい?ガルバディアがアンドロイドやロボット兵に近いものを 過去に作っていたという事なのか?」
バーネットが視線を下げ考えながら言う
「いや、あの調査書は 216年前の大規模な悪魔力のゴタゴタの後に ガルバディアを助けなかったアバロンが その復讐を恐れて やたらぶっ飛んだ憶測を書き過ぎてやがった 今はそんな事より 直接行って問い正した方が早ぇだろ?」
ヴィクトールが落ち着いて言う
「うん そうだね、他国から見た話よりも 直接聞いた方が良い それに、もしそのアンドロイドだと思われてた物が 旧世界で使える様な物だったら きっと今回の事に力を貸して貰える」
バーネットが呆気に取られて言う
「なんで『貸して貰える』ってぇ言い切れるよぉ?あいつは最初のアンドロイド製作会議から エスケープしやがった奴だぜぇ?」
ヴィクトールとバッツスクロイツが驚く バーネットが疑問してからハッと気付いて言う
「しまったぁああ!鈍くせぇバッツスクロイツと やたら一緒に居たせいで 下らねぇえ言葉が性に付いちまったぁああ!!」
バッツスクロイツが怒って言う
「ヘイユー!俺の故郷でトレンディなナイスワードをー 下らねぇえー言葉ーとかってー 超ー言って欲しくないんですけどー!!」
バーネットとバッツスクロイツが喧嘩を始める ヴィクトールが気を取り直してプログラマーへ問う
「所で、デス ローレシアの状況は分かるだろうか?」
プログラマーが答える
『全ての宝玉の起動が無事終了したとの事だ 間もなくローレシア城から旧世界へ 2代目勇者の仲間及び3代目勇者らと共に 宝玉は送られる予定だ』
喧嘩中のバーネットとバッツスクロイツが振り向いて バーネットが言う
「おい、旧世界の宝玉を 送り返すだけなら 旧世界から戻って来た 2代目勇者の仲間だけでも 良いんじゃねぇのか?」
バーネットとバッツスクロイツが喧嘩を終えて プログラマーへ近づく プログラマーがホログラムに数字の羅列を表しながら言う
『直接キルビーグ国王と話した訳では無い為 正確な事は分かりかねるが 旧世界の悪魔力中和装置を起動させた後 少なからず旧世界のローレシア帝国と その民を守る戦い等が 有るのでは無いかと予測される』
バーネットが表情をしかめて言う
「それならむしろ 2代目3代目勇者ども程度じゃ 賄えねぇだろ?」
皆の視線が問う様にプログラマーへ向く プログラマーが少し不機嫌に言う
『私に訊かれても分かりかねる 直接キルビーグ国王へ問えば良いだろう?』
ヴィクトールとバーネットがあっと気付いて ヴィクトールが苦笑し通信機を操作しながら言う
「ああ、すまない デス 直接キルビーグ殿へ確認しよう」
バーネットが苦笑して言う
「にしても、そもそもてめぇらは そんだけすげぇ知識がありやがるんだったら なんでソルベキアのロボット兵に対抗する程度の物が 作れねぇんだよ?」
バッツスクロイツがバーネットの言葉を受けて言う
「それは確かにー?かなーり謎ー?な感じーだよねー?それこそ ローンルーズのアンドロイドを越える位ーのものをー?作る事だって 出来たーだろうにさ?」
プログラマーが言う
『アンドロイドは所詮機械だ 我々はガルバディアの民を作ろうとしていた だから人を作った』
バッツスクロイツとバーネットが驚く プログラマーが言う
『だが、例え人と同じ肉体を作り 生存させる事が出来ても それには心が宿らなかった 従って我らの父である ガルバディア国王の思考や知識を見せる事で取り入れさせた それが我々ガルバディアの民だ』
バッツスクロイツとバーネットが呆気に取られ バーネットが視線を強め考えて言う
「なるほど… って事は その頃に作られたのが あの調査記録に書かれてた ガルバディアのアンドロイドかもしれねぇ」
バッツスクロイツが驚いて言う
「え?どう言う事?」
バーネットが言う
「調査記録には ガルバディアは復讐の為に『機械の身体に人間の頭を取り付けた』数百のアンドロイドを用意していると書かれていたんだ」
バッツスクロイツが表情を困らせて言う
「え!?機械の身体に人間の頭?そ、それはー… モノホン人間の頭―… じゃ ないよね?」
バーネットが言う
「そいつを知れる詳細は書かれてなかったが 戦力は『アバロンの大剣使いを はるかに超える騎士』だとか?後は… そぉだな?全て同じ顔で生気を感じられねぇ…って?」
バッツスクロイツが言う
「同じ顔…」
バッツスクロイツがプログラマーを見る プログラマーが言う
『ガルバディア国王の複製である ガルバディアの民は全て同じ顔となる』
バーネットが言う
「ってぇ事はだ?作り上げたばかりのそいつらに ガルバディア国王の思考や知識を見せるんじゃぁなく 旧世界の機械兵を倒す事を 見せて取り入れ そいつの頭をロボット兵の頭に取り付ける事が出来れば 体はロボット兵であっても脳みそは機械じゃねぇ 旧世界で戦えるアンドロイドが出来上がるんじゃねぇのか?」
バーネットがバッツスクロイツへ視線を向ける バッツスクロイツが呆気に取られつつ言う
「あ… う ん… つ、造れる… かも?」
バーネットが溜め息を付いて言う
「だが、例え造れるとしても その心が宿らねぇって奴らだって人なんだ だからその頭だけをロボット兵に取り付けて戦わせるなんざ 人道的に反する事になる あのガルバディア国王は 本当はそれに気付いて とんずらしやがったんじゃねぇのか?自分の作ろうとしていたガルバディアの民を 旧世界を救うための道具にされるのが嫌でよ」
プログラマーが考えて言う
『その可能性は十分に有り得る あのウィザードがその表れだ 機械ではないが 悪魔力を用いて戦う最強の魔力者を ガルバディアは研究し作り上げた …最も その製作を行ったガルバディアの民たちは 既にこの世にはおらず 我らの父ガルバディア国王は 彼らの行いを良しとしなかった』
バッツスクロイツが視線を落とし考えながら言う
「そっか… ガルバディア国王は 確かに民思いの優しい王様みたいだけど ウィザードを研究してたって言う その人道的にちょっと問題な研究者さんたちも ガルバディアの民なんだよね だったら復讐に燃えてた彼らの中には 悪魔力の他にも 機械と人を融合させちゃうみたいな事を 研究開発しちゃう人も 居たっておかしく無いんだ…」
バーネットが溜め息を付いて言う
「何にしても、結局 俺らには 打つ手無しじゃねぇか?」
バッツスクロイツが苦笑して言う
「だねー、ガルバディアへー行くまでも無く 答えが出ちゃったーって感ーじ」
ヴィクトールが通信を終え 2人の様子を見て言う
「あれ?ガルバディアへ向かうのでは なかったのかい?」
プログラマーが言う
『ガルバディアで作る事が可能な 旧世界で使用するロボット兵には 我らガルバディアの民の犠牲が必要であると結論が下された 私も同じ答えに辿り着く よって、これからガルバディアへ向かい 説得を試みたとしても ガルバディア国王は 今回の事には手を貸さないと思われる』
ヴィクトールが考えて言う
「そのガルバディアで作る事が可能なロボット兵は 旧世界の機械兵と同等に戦い 更に討ち倒す事の出来る戦力はあるのだろうか?」
プログラマーが一瞬呆気に取られつつ答える
『恐らく戦力に関しては問題ない 過去に作られていたその者たちが どの程度の戦力であったのかを度外視ても 現在のガルバディアの知識を有して製作を行えば 過去のそちらはもちろん ソルベキアの機械兵を上回る事は言うまでも無い』
ヴィクトールが頷いて言う
「うん、では問題はないね 早速ガルバディアへ向かい ガルバディア国王へ製作を依頼しよう」
皆が驚く ヴィクトールが言う
「ローレシアから2代目3代目の勇者と仲間たちが 起動させた旧世界の宝玉を持って旧世界へ送られた 後はこちらからのロボット兵の製作終了までを 限界まで持ちこたえた上で 悪魔力中和装置を起動させるとの事だ こちらも可能な限り急いでロボット兵の確保を行わなければならない」
バーネットが慌てて言う
「だが!旧世界で使えるロボット兵を作るには ガルバディアの民の命が犠牲になっちまう!旧世界の民を守る為だからって それをっ!」
ヴィクトールが微笑して言う
「もちろん、彼らの命を犠牲にはしない 確かに、戦いの中に置いては その可能性も否定はし切れないけれど 無理に戦わせたりなんかはしないよ 当然だろ?彼らと我々は志を共にする仲間だ」
バーネットが言う
「それは確かに 命に関しては残るかもしれねぇが!奴らはその為に ロボット兵と同じ機械の体にされちまうんだぞ!?それをてめぇえは 犠牲とは言わねぇえと 言いやがるのかよ!?」
ヴィクトールが疑問して言う
「え?機械の体になるのでは無く 機械の鎧を着る様なものだろ?遠い昔、ガルバディアの民がアバロンの大剣使いと 一緒に戦って居た頃みたいに」
バーネットとプログラマーが衝撃を受け バーネットが叫ぶ
「ちょっと待てぇええ!!何だその歴史はぁあ!?」
バーネットがプログラマーへ向く プログラマーがホログラムの周囲に数字の羅列を流して言う
『そ、その様な歴史は記録されていない… だが、もしかしたら 私の確認出来る範囲すら あの僻み国王に制御されている可能性もっ』
バーネットがヴィクトールへ向く ヴィクトールが微笑して言う
「だから、僕は本や話だけで理解するのは苦手なんだ バーネットたちの話を聞いて 昔聞いた話を思い出したんだよ」
バーネットが疑問して言う
「てめぇの言う その昔聞いた話ってぇのは アバロンの書物庫には一切無かったぞ?てめぇはその情報を何処で仕入れやがったんだ?」
ヴィクトールが軽く笑って言う
「うん、その情報は ヘクターとウィザードのお父上である ラインツ元傭兵隊長に聞いたんだ アバロンの大剣使いと相棒のガルバディアの騎士の話でね」
バーネットが驚いて言う
「ガルバディアの騎士?」
ヴィクトールが笑顔で言う
「うん、ガルバディアの民はアバロンの民と比べると 身体能力が低いから アバロンの大剣使いと一緒に戦う為に それを補おうと機械の鎧を作ったんだって それで、その鎧を身に付けて動くには ガルバディアの民の能力が必要で アバロンの民には無いものだから その鎧を貰っても使う事は出来なかったそうなんだ あ、ちなみに、それを僻んでアバロンの民は機械が嫌いになったらしいよ?」
バーネットが呆気に取られつつ プログラマーへ向く プログラマーがガルバディアの歴史プロテクトを破壊し情報を得て言う
『あった…っ あの僻み国王が隠していた 確かに、今から280年近く前に その様な身体能力を上昇させる鎧の様な機械を ガルバディアは製作し その力を用いてアバロンと共に戦っていた この機械の鎧を動かすには 体内の神経からの情報を鎧へ伝える為のマイクロトランスミッターが』
プログラマーが衝撃を受けて言う
『そうか!我らガルバディアのプログラマーが使用している マイクロトランスミッターは 元はこの鎧を動かす為の物だったのか!』
バーネットが問う
「それじゃぁ 今のガルバディアのプログラマーなら その鎧を動かす事が出来るってぇ事か?」
プログラマーが言う
『理論的にはそう言う事になる 私の場合は過去にそのマイクロトランスミッターを破壊してしまった為に 鎧を動かす事は不可能だが ガルバディア国王の複製であるガルバディアの民には皆 その装置は備わっている』
バッツスクロイツが笑顔で言う
「それなら準備は万端じゃない!早速ガルバディアへ向かおうよ!その鎧のヴァージョンアップも出来るだけ急いでやらなきゃ いけないんだしさ?」
プログラマーが言う
『それに加え、ガルバディアの民を製造するとなれば その手間も掛かる 更に鎧の改良や製作と それを彼らへ与え使いこなす事を 教えなければならない』
バーネットが問う
「待て、そのガルバディアの民を製造するってぇのは?ガルバディアの民は現状そんなに残ってねぇんだろ?これから作るってぇなら 何年かかるか分からねぇ… 機械鎧を与えたって 旧世界の機械兵を相手にするからには 相応の知力がなけりゃ戦いは出来ねぇぜ?」
ヴィクトールが微笑して言う
「それより何より、改めて彼らのお父上へのご協力を依頼しないと!大切な息子たちを旧世界の戦場へ 連れ出す事になるのだから」
バーネットが苦笑して言う
「そりゃぁ… まぁ そうだな?何にしろ 今はそれしか策がねぇ 国民が全て自分の息子たぁ 大した大家族の父親だなぁ?説得は任せたぜぇ?ガルバディアの相棒 アバロンの王様よ?」
ヴィクトールが軽く笑って言う
「その大家族のお父上である ガルバディア国王を説得するには こちらもそれに匹敵する 民への愛を持つ慈愛の王様の弁舌が必要だと思うんだ」
バーネットが衝撃を受ける バッツスクロイツが笑顔で言う
「つまりー その両方の王様のー説得が?必要だと思いまーす!」
ザッツロードが玉座の間へ進み入り 玉座に座るキルビーグ2世へ言う
「兄上、アバロンから連絡です バッツスクロイツが製作していた魔物の群れを感知するプログラムが完成したそうで その算出結果が送られて来ました ローレシア領域では キャリトールの町の周囲に 集まりつつあるようです」
キルビーグ2世が頷いて言う
「分かった、ローレシア領域の町や村は既に警戒態勢を敷いているが キャリトールの町へは ローレシアの一個部隊を追加投入しよう ザッツ、お前も向かい 共に戦って来るのだ」
ザッツロードが一瞬驚いて言う
「え!?しかし、兄上?私は、このローレシア城の防衛を 預かっておりますが?」
キルビーグ2世が頷いて言う
「それは私が引き継ぐ 直ちにキャリトールへ向かい お前の仲間と共に 町の防衛に当たれ」
ザッツロードが呆気に取られていた状態から微笑んで言う
「はい!お任せ下さい!」
ザッツロードが敬礼をして走り去る キルビーグ2世が微笑む
【 キャリトールの町 】
ソニヤが魔法使いの一団へ言う
「ローレシア城から連絡が入ったわ!このキャリトールの周囲に魔物が群れをなしているらしいの!ローレシアの魔法使い部隊も手伝いに来てくれる予定だから!それまでは 私たちだけでも絶対!町を守り切るのよ!」
魔法使いの皆が緊張しながら返事をする ソニヤが苦笑する ザッツロードの声が聞こえる
「ソニヤー!避けてくれー!」
ソニヤが疑問して空を見上げて驚き 焦って逃げる ソニヤの居た場所に移動魔法の失敗破裂音と共にザッツロードが落ちて来る ザッツロードがぶつけた頭を擦りながら言う
「いたた… ごめんソニヤ やっぱり まだ僕には対人移動魔法は難しいみたいだ…」
ソニヤが呆気に取られていた状態から 怒って言う
「む… 難しいみたいって 分かってるんなら!危険な事しないで ちゃんと町の移動魔法陣に 来れば良いじゃない!?もうちょっとで 私に激突してたんだからーっ!」
ザッツロードが苦笑して言う
「ご、ごめん その… 急いで向かいたいと 思ったものだから…」
ソニヤが呆気に取られてから笑う ザッツロードが疑問する ソニヤが魔法使いの皆へ向き直って笑顔で言う
「私たちローレシアの勇者 ザッツロード王子が 皆と一緒に戦うために 下手な対人移動魔法で 飛んで来てくれたわ!もうすぐローレシアの魔法使い部隊も来るんだから 皆で力を合わせて このキャリトールの町をぜーったいっ!守るんだよーっ!!」
魔法使いの皆がくすくす笑った後 声を合わせて元気に返事をする ザッツロードが魔法使いの一団に気付き 苦笑して恥ずかしがる
【 魔王の島 】
ドラゴンの姿のバーネットが魔王へ向かいその背に乗るヴィクトールが斬り付ける 魔王の切り裂かれた箇所から悪魔力の霧が吹き出す 魔王が息を吸い込む ドラゴンの姿のバーネットが気付き旋回して魔王の吐き出す炎を避ける ヴィクトールが魔王の様子を見て言う
「バーネット!一気にケリを付ける!上空へ!」
ドラゴンの姿のバーネットが旋回しながら言う
「おう!決めろよな!」
ヴィクトールが頷く ドラゴンの姿のバーネットが上空へ急上昇する 魔王が炎を吐き終えてドラゴンの姿のバーネットを見上げる その視線の先からヴィクトールが大剣を振り上げ飛び降りて来て 降下の勢いと共に魔王へ大剣を振り下ろす 大剣が魔王の身を切り裂く ヴィクトールがそのまま落下するのを ドラゴンの姿のバーネットが受け取り舞い上がる 魔王の身が裂け大量の悪魔力が吹き出して消えて行く ヴィクトールとドラゴンの姿のバーネットがその様子を確認して ヴィクトールが言う
「やったよ!バーネット!僕ら2人で 魔王を倒したんだ!」
ドラゴンの姿のバーネットが笑って言う
「はっはー!アバロンの勇者様誕生だなぁ!?」
2人が笑う
ドラゴンの姿のバーネットが浜辺に降り立ち ヴィクトールが背から飛び降りて見上げる 視線の先 魔王の体から吹き出した悪魔力の霧が空高くへ上がり そこへ吹き荒れた風に流され飛ばされて行く ヴィクトールがそれを見て言う
「あの霧… 濃度の高い悪魔力は あれほどハッキリした霧状になるのか… それに風に流されても薄れる様子が無かった あのままの状態で 大陸へ集まったりしたら きっと、とてつもなく濃度の高い悪魔力になってしまう」
ヴィクトールが振り返って言う
「バーネット、急いでアバロンへ戻って対策を… っ!?」
ドラゴンの体が白い光りに覆われ バーネットが人の姿になるのと同時に倒れる ヴィクトールが呆気に取られ硬直した後 慌てて駆け寄って叫ぶ
「バーネット!!」
ヴィクトールがバーネットを抱えて必死に叫ぶ
「バーネット!バーネット!?どうしたの!?ねえ!目を開けてよ!!バーネット!!」
バーネットが辛そうに目を開けて言う
「うるせぇよ… ちょいと疲れ過ぎただけだぁ… それよか あの悪魔力の霧はやべぇだろ… てめぇだけでも さっさとアバロンへ帰って 対策を立てとけよ… 俺ぁちょいと休んだら行くからよ… てめぇは先に行ってろ…」
バーネットが言い終えて目を閉じる ヴィクトールが一瞬息を飲むが背を支えて居る腕超しにバーネットの呼吸を感じ ホッとして言う
「…分かった、バーネット 君は少し休んでいてくれ でも、このまま君を置いて行くなんて事はしないよ?当然だろ?」
ヴィクトールが宝玉を片手に もう片方の手でバーネットの身を抱え 宝玉に意識を集中させる ヴィクトールが言う
「我らをアバロンへ!」
ヴィクトールとバーネットがアバロンへ飛んで行く
【 ガルバディア城 通路 】
通路でだらけるアバロン3番隊隊員らとヘクター ヘクターの後方にプログラマーがホログラムを現して言う
『ガルバディア周囲に魔物の反応を確認した 恐らく後数時間後には群れを成して現れるだろう』
ヘクターが言う
「数時間後か… ガルバディア国王とガルバディアの民は戦わねーって言うし… 俺ら3番隊だけで 防げそうなのか?」
プログラマーが言う
『先ほどヴィクトール皇帝とバーネット第二皇帝がアバロンへ帰還した アバロンの防衛は終了していた為 ヴィクトール皇帝が2番隊を率いて こちらへ援護に来るとの事だ これで防衛可能な状態となる』
ヘクターが喜んで言う
「お!?ヴィクトールたち 帰って来てたのか!?なんだよ そう言う事は もっと早く言えって!?」
プログラマーが言う
『ヴィクトール皇帝は帰還と同時に 新たな悪魔力への対応について検討を行っていた アバロンでは現在 その検証作業に追われており 魔王討伐を祝っている余裕などは無い… もっとも、あの魔王については 討伐を祝って良いものかも 判りかねる所だろう』
ヘクターが言う
「あぁ… まぁ… 確かにそうかもしれねーけど?あのでかいドラゴンを倒したんだからよ?ヴィクトールの奴も大したもんだぜ!流石、アバロン帝国の皇帝陛下!だよな?」
ヘクターが軽く笑顔を向ける プログラマーが軽く笑って言う
『今回は彼にも 世界一の相棒が付いていた為 とも、私は思うが?』
ヘクターが言う
「ん?ああ!そーだな!なら今度は俺たちが ガルバディアの防衛を成功させてやるぜ!」
プログラマーが軽く笑って頷く
【 アバロン城 玉座の間 】
ヴィクトールが装備の短剣を確認しつつ バッツスクロイツへ言う
「では、バッツスクロイツ 引き続き 悪魔力の濃度を把握するプログラムの製作を頼む」
バッツスクロイツが苦笑して言う
「はいはーい… …ったく、慈愛の王様バーネっちに続き 友情の王様ヴィクトールっちまで 俺の扱い酷いってーの!」
ヴィクトールが苦笑して言う
「すまない、今は貴公だけが頼りなのだ 私もガルバディアの防衛を終らせた後 すぐに戻る 私の帰還よりも先に バーネットが意識を取り戻した際は 彼の指示に従ってくれ」
バッツスクロイツが苦笑して言う
「いつもは元気なバーネっちが ぶっ倒れたきり眠り続けてるーって 何ーんだか寂しいよねー?」
ヴィクトールが苦笑して言う
「医師の話では ただの疲労であり、しばらく休ませれば問題ないとの事だ 慣れない力を使用し続けての戦いで 無理が生じたのだろう」
バッツスクロイツが頷いて言う
「なら安心した、バーネっちが このまま眠り続けてたらー?きっとヴィクトールっちまで元気無くしちゃうーって 思ったからさ?俺っちもちょーっと 心配してたんだよねー?」
ヴィクトールが軽く笑って言う
「うん、きっと そうなってしまっていただろう… 貴公の心遣いに感謝する」
ヴィクトールが歩き出す バッツスクロイツが手を振って軽く言う
「はいはーい いってらっしゃーい」
城門外
アバロン城を出て来たヴィクトールのもとに ウィザードがやって来て言う
「元ベネテクトの王が お前と魔王退治に行った日から 外に出て来なくなった 私はそんなあいつは嫌いだ」
ヴィクトールが軽く笑って言う
「うん、私も嫌いだ でも今は休ませてあげてくれ その間、我らアバロンのウィザードである君は オライオンらと共に 引き続きこのアバロンの防衛をする様に」
ウィザードが少し考えてから言う
「うん… 少し詰まらないが とりあえず そうしてやる」
ヴィクトールが苦笑してアバロンを後にする ウィザードがアバロン城の一室へ向かって浮き上がり 窓の外からバーネットの様子を見る 束の間の後その場を後にする
【 ガルバディア城 通路 】
プログラマーが言う
『バッツスクロイツから最新の情報が送られてきた ガルバディア周囲の魔物の群れが 動き始めた様だ』
ヘクターが立ち上がって言う
「よし、ならこっちも準備しねーとな?外の吹雪はどうなった?」
プログラマーがホログラムのモニターを増やしながら言う
『気象状況は我々がこの地へ辿り着いた時と 同等から2%の悪化と言った所だ 城外の戦闘による防衛は 不可能であると思われる』
ヘクターが言う
「ああ、そーだな 向こうはあの吹雪にも動じねー 元原生動物だ 対するこっちは ただでさえ温暖なアバロン出身なんだから 奴らのペースに振り回されたら あっという間に凍え死んじまう …ヴィクトールと2番隊は 開戦には間に合わねーのか?」
プログラマーが気付いて言う
『いや、ヴィクトール皇帝と2番隊は 既にガルバディア城、城門前に到着している しかし…』
ヘクターが疑問して言う
「ん?既に到着してんなら 何で入ってこねーんだよ?寒ぃし、早く入らせねーと 2番隊の連中だって 本当にやべーだろ!?」
プログラマーが確認して言う
『どうやら このガルバディア城の城門が閉じられたままであるために 入城が出来ない様子だ』
ヘクターが一瞬驚いた後 怒って言う
「せっかく ガルバディアを守りに来たのに その援護部隊を止めてどーすんだよ!?早く開けてやれって!」
プログラマーが操作をするが一瞬、表情を歪ませホログラムがブレる ヘクターが驚いて言う
「あ!?お、おいっ!?どうした!?」
プログラマーが表情を困らせて言う
『いや 大丈夫だ 問題ない だが どうやら… いちガルバディアの民である私が この城を勝手に操作する事を 我が王に嫌がられたらしい』
ヘクターが呆気に取られて言う
「ん?それじゃぁ…?」
城門前
吹雪が吹き荒れる中 ヴィクトールが見上げる先、城門は閉じられている 2番隊隊長がヴィクトールの後方で言う
「陛下!これ以上の停滞は 隊員らの体力に限界がっ!」
ヴィクトールが2番隊隊長へ少し顔を向けて言う
「ああ、分かっている 再度呼び掛け それに応じて貰えない場合は 不本意だが撤退しよう」
2番隊隊長が敬礼を持って了承とする ヴィクトールがそれを確認して 再び城門を見上げて言う
「ガルバディア国王!我らアバロン2番隊とその王はっ ガルバディアの支援の為 この地へ参った!ガルバディアの民と国を 貴公たちと共に必ず守る事を誓う!我らを信じ このガルバディア城へ受け入れてくれ!」
皆が城門を見上げる ヴィクトールが表情をしかめる 間を置いて2番隊隊長がヴィクトールへ言う
「陛下っ ガルバディアの王は 我らアバロンの者を受け入れては下されぬご様子 もはや、ここまでかと…っ!」
ヴィクトールが一度俯き 目を閉じてから 再び城門へ向いて言う
「ガルバディア国王…っ やはり過去のアバロンの裏切りを 許しては下さらないのか!?」
ヴィクトールが その悔しさのままに城門へ手のひらを叩き付ける 扉に数字の羅列が現れる ヴィクトールが気付いて言う
「うん?今のは…?うわぁあっ!?」
扉が消え 重心を掛けていたヴィクトールが 扉の先へ正面からコケる 2番隊隊員たちと隊長が呆気に取られた後 隊長が慌てて駆け寄って言う
「へ、陛下っ!?大丈夫で ございますかっ!?」
ヴィクトールが涙目の顔を上げた後 気を取り直して立ち上がって言う
「あ、ああ 問題無い… さあ?せっかく ガルバディア国王が 我々を受け入れて下されたのだ じょ、城内へ…」
ヴィクトールが進み入る 2番隊隊長がハッと気を取り戻し慌てて言う
「は、はっ!皆!ヴィクトール皇帝陛下に続け!」
2番隊隊員たちがハッとして歩き出す
城内 通路
ヘクターが戦闘準備を整えている その横でプログラマーが言う
『ヴィクトール皇帝及び アバロン2番隊の入城を確認した』
ヘクターが気付き微笑んで言う
「それじゃ、ガルバディア国王が ヴィクトールたちを受け入れて 城門を開けてくれたんだな?」
プログラマーが少し疑問している様子で言う
『確かに 城門の開閉は確認されている しかし… ガルバディア国王が何らかのアクションを行った様子は見受けられ無い』
ヘクターが疑問して言う
「あ?じゃぁ誰が門を開けたり閉めたりしたんだ?あの門もプログラムで出来てるんだろ?いつもはお前か ガルバディア国王が開けてくれるじゃねーか?」
プログラマーが確認している様子で言う
『ああ、確かに気になる所だ 城門の開閉プログラムの履歴を確認しよう』
プログラマーの周囲に数字の羅列が流れる ヘクターがプログラマーを眺めている ヴィクトールが現れて言う
「ヘクター、遅くなってすまない 何とか間に合ったようだな?」
ヘクターがヴィクトールへ向いて言う
「おう!丁度良いって感じだぜ 外の吹雪は俺たちがここに到着した時と そんなに変わりねーって聞いたけど その様子だと 思ってたより凄そうだな?」
ヘクターの言葉に ヴィクトールが自身の身に付いていた雪に気付いて軽く微笑して言う
「ああ、それと ガルバディア国王に受け入れて頂けるまでの間に 城門前で その凄い吹雪に長時間晒されてしまったんだ お陰で隊員らの体力を消耗させてしまった 2番隊は、なるべく城内奥に配置して貰えると助かるのだが?」
ヴィクトールの言葉の途中で プログラマーが衝撃を受け困った表情を作り ぎこちなくヴィクトールへ顔を向ける ヘクターはプログラマーの様子には気付かず ヴィクトールの言葉に言う
「おう!かまわねーぜ?元々3番隊は先行部隊だしな?」
ヴィクトールがヘクターの言葉に微笑して言う
「そうだったな、では部隊配置は 第2形態で頼む」
ヴィクトールがプログラマーへ顔を向けて言う
「所で、デス?君はどうかしたのかい?何か私に?言いたい事がありそうだが?」
ヴィクトールの言葉にヘクターもプログラマーへ振り向く プログラマーが言い辛そうに言う
『あ、ああ… ヴィクトール皇帝 今後ガルバディア城を訪れる際は ガルバディア城の城門に その… 手でも付けると良い 生態識別さえ取られれば 元々友好国であったアバロンの王に対して ガルバディア城の城門プログラムは 一切の障害も無く開かれる』
ヘクターとヴィクトールが衝撃を受ける
【 テキスツの町 】
皆が勝利を祝う歓声を上げている ザッツロードがその様子に微笑し剣を鞘へ収める ソニヤとセーリアが顔を見合わせ笑顔を見せた後 ザッツロードのもとへ向かう そこへローレシアの伝達の兵がやって来て ザッツロードの前に跪いて言う
「ザッツロード殿下!キルビーグ殿下より伝達です アバロンからの連絡を受け 次の魔物の襲撃がソイッド村であるとの予測が確認されたとの事です」
皆が息を飲み ザッツロードへ向く ザッツロードが動じずに頷いて言う
「分かった、直ちに向かう ローレシア城からは既に 応援の部隊は出ているのか?」
伝達の兵が答える
「はっ!既にローレシア第5魔力者部隊 並びに 第6部魔力者隊が向かっております 連戦のキャリトールの魔法使いらは 一度町へ戻らせるようにと キルビーグ殿下からのご指示でございます」
ザッツロードが言う
「では このテキスツの占い師たちから有志を募ると共に 私も次のソイッド村へ向かう アバロンから他の連絡が入った場合は 私にも伝えて欲しいと キルビーグへ伝えてくれ」
伝達の兵が返事と敬礼をして立ち去る ソニヤとセーリアが顔を見合わせる ザッツロードが2人へ向いて言う
「ソニヤ、テキスツへの援護を有難う 君もキャリトールの皆と共に 一度町へ戻って休んでくれ セーリア、すまないが ソイッド村へ向かう有志を募るのを 手伝って貰えないだろうか?」
ソニヤとセーリアが苦笑し 2人が声を合わせて言う
「「かしこまりました、ザッツロード王子」」
ザッツロードが呆気に取られてから苦笑して言う
「え?えっと… どうしたんだい?急に…?」
ソニヤが苦笑して言う
「だってぇ~?なんだかザッツが ザッツらしくなくって~?」
ザッツロードが驚く セーリアが苦笑して言う
「そうね、私たちローレシアの王子様としては とても頼もしいけど 何だか少し遠いように感じるわね?」
ザッツロードが苦笑して言う
「何を言ってるんだい?2人が助けてくれるから 僕はこの町を守る力を得られたのだし キャリトールの町もこのテキスツも 僕の仲間の故郷だから なんとしても守りたいと思って戦えるんだ 今はどちらかと言うと ローレシアの王子としてよりも 2人の仲間として 僕は戦ってるつもりなのだけど…?」
ソニヤとセーリアが驚いて顔を見合わせた後 軽く笑ってソニヤが言う
「な~んだ!なら変わってないじゃない?」
セーリアが微笑んで言う
「ええ、今はザッツロード王子ではなくて ローレシアの勇者ザッツロードなのね?」
ザッツロードが笑って言う
「うん、それに 僕は第二王子だから あんまりローレシアの王子として戦おうとは 思えないのかもしれない …それとも やっぱりローレシアの勇者で居たいのかな?」
皆が笑い ソニヤが言う
「それじゃ!ローレシアの勇者様!次はもう一人の仲間の故郷 ソイッド村を守りに早速行こうよ!」
ザッツロードが呆気に取られて言う
「え?でもソニヤ、君は キャリトールの魔法使いの皆と一度戻った方が…」
ソニヤが怒って詰め寄って言う
「何よそれ!?私には 仲間のラナの故郷である ソイッド村を守る資格が 無いって言うのっ!?」
ザッツロードが焦って言う
「えぇええ!?い、いやっ そんな事無いよ!?ごめん…っ」
一瞬、間を置いた後 ソニヤとセーリアが笑い ザッツロードが苦笑する
【 アバロン城 城門前 】
ヴィクトールが振り返り 従えていた2番隊隊長へ言う
「では、次の連絡までは 他の部隊と共にアバロンの警護へ就いてくれ ガルバディア周囲に魔物の集結を確認した際は 再び赴く事になる」
2番隊隊長が返事と敬礼をする ヴィクトールが頷き城内へ向かう
玉座の間
ヴィクトールが入室して 玉座に座るレリアンへ話しながら自身の玉座へ向かう
「レリアン、バッツスクロイツへ依頼しておいた プログラムの方は…?」
ヴィクトールの言葉を制して声が聞こえる
「おう、のろのろしてやがったから 俺が一発脅し入れて 完成させておいたぜぇ?」
ヴィクトールがハッとして足を止め バーネットへ向いて驚く バーネットが軽く笑って言う
「俺が昼寝してる間に ガルバディア国王との友好を 回復したんだってなぁ?はっはー どぉだ?たまには他国への出張も悪くねぇってもんだろぉ?」
ヴィクトールが叫びながら駆け寄る
「バーネットーーっ!!」
レリアンと家臣たちが微笑む バーネットが驚く中 ヴィクトールがバーネットの前に来て 泣きながら叫ぶ
「良かった バーネット!僕はずっと心配してたんだよ バーネット!?医者が平気だって言ったけど!バッツスクロイツには 僕から平気だって言ったけど!本当は すっごい心配でーっ!いつも叫んでばっかりいる元気な君が 寝てるみたいに 死んでたからーーっ!!」
バーネットが衝撃を受けて叫ぶ
「ばっ!?誰が 『寝てるみたいに死んで』やがったってぇええんだぁあ!?それじゃ2度と起きられねぇえだろがぁあ!?てめぇえは いい加減 俺を生かしたいんだか 殺してぇええんだか ハッキリしやがれぇええ!!でもって この場所で 泣くんじゃねぇええよ!!この泣き虫ヴィクトールがぁああ!!」
玉座の間に居た家臣たちとレリアン、衛兵たちが微笑む
ヴィクトールが微笑して言う
「けど、本当に良かった… あのまま君が 眠り続けてしまうのでは無いかと思って 僕はちょっと本気で心配していたんだよ?バーネット?」
バーネットが軽く笑って言う
「アバロン帝国の第二皇帝だってぇのに 悪魔力の処理もアバロンの事も てめぇえに任せっきりで 眠り続けてなんかいられっかよ?」
ヴィクトールが苦笑して頷く バーネットが苦笑して言う
「おまけに 夢の中でまで どっかの帝国の泣き虫な第一皇帝を庇おうと 体中筋肉痛だってぇのに 叫びながら飛び起きちまった」
ヴィクトールが疑問して言う
「え?夢の中で僕を庇おうとしてって… あの魔王や悪魔力からかい?」
バーネットが軽く笑って言う
「いや、それがどう言う訳か てめぇがガルバディアへ行ってる事なんざ 知る筈のねぇ俺が 見た事もねぇガルバディア国王に てめぇが見下されて 大笑いされてる夢を見てよ?」
ヴィクトールが疑問して言う
「ガルバディア国王に 僕が?」
バーネットが悪戯っぽく笑みを浮かべて言う
「ガルバディア国王の奴がな?てめぇを指差して 腹抱えて大笑いしてやがるんだ でもって てめぇは大泣きしながら 開けてくれー!開けてくれー!ってよぉ?」
ヴィクトールが衝撃を受け 慌てて言う
「そ!?それはきっと!た、ただの夢だよ バーネット?あ、ほら?ガルバディア国王は あのプログラマーのデスと同じ顔をしているから だからきっと彼と見間違えて ガルバディア国王だと…っ」
バーネットが首を傾げて言う
「うーん、それが不思議と やたらに現実味があってよぉ~?猛吹雪の中で てめぇが凍えそうになってやがってな?でもってぇ~」
ヴィクトールが慌てて言い止めようとしている その状況を 姿が見えない状態のガルバディア国王とプログラマーのホログラムが見ていて プログラマーが言う
『睡眠中に見る夢を操るプログラム… その様なものなどが作れるとは…』
ガルバディア国王が微笑して言う
『元は私自身に使おうと思っていたものだ 他人の夢などを操った所で 実体に影響をもたらす事は 程遠いと思っていた』
プログラマーがガルバディア国王へ向いて言う
『しかし、そのプログラムで バーネット第二皇帝を目覚めさせた …貴方はヴィクトール皇帝へ 我らの友好は回復され、再び共に戦う と言ったが それは過去のアバロンを許し そして現代のアバロンの王の手助けをするという事だったのか?』
ガルバディア国王が言う
『私の相棒であったアバロンの王は もう居ない… 例え同じアバロンの王であっても 私はあのヴィクトール13世の相棒になるつもりはない それに』
プログラマーが微笑して言う
『現代のアバロンの王には 第二皇帝であるバーネット2世が 既に相棒の座についている …だから彼を目覚めさせたのだな?』
ガルバディア国王がプログラマーを見てからプイと顔をそらして言う
『ふんっ たまたま丁度良い実験体として 眠って居たから だけかもな?』
プログラマーが衝撃を受ける ガルバディア国王が口角を上げて言う
『言って置くが 私のプログラマーとしての力は まだまだお前になど 負けては居ないのだぞ?お前がガルバディアの歴史データにアクセス出来たのは あのアバロンの民ヘクターと やたら仲良くしていたから 頭に来て見せてやったんだ 結果的に更に仲良くなったから 若干ミスった訳だがな?』
プログラマーが焦って怒って言う
『現存するガルバディアの民は!貴方の大切な民ではなかったのか!?ただの僻みで 重要データへのアクセスを 許してどうする!?』
ガルバディア国王が軽く笑って言う
『まぁ… それは冗談として お前にガルバディアの歴史を見せたのには意味がある そして、私が あのアバロンの王 ヴィクトール13世を相棒としない理由も』
プログラマーがガルバディア国王を見る
【 シュレイザー国 城下町 】
シュレイザー城を見上げるロキとロスラグ ロスラグが笑顔でロキへ言う
「ロキ隊長!早く行くッスよ!きっとヴェルアロンスライツァー副隊長も 楽しみに待っててくれてるッス!」
ロキが顔を背けて言う
「…楽しみに待っていたのは卿の方だろう?俺はそれよりも シュレイザー国の各部隊長へ挨拶を」
ロキが歩き出す ロスラグが呆気に取られた後 追いかけて言う
「ロキ隊長!今度シュレイザー国に行く事があった時は 自分の気持ちを素直に言葉にする様にする って約束したじゃ無いッスか!?初っ端から約束破ってるッスよー!」
ロキがツンとした表情で言う
「…それはお前の名を 奴に伝えたらの話だ 現在はまだ伝えて居ない よって 俺は素直に シュレイザー城を回避する」
ロスラグが衝撃を受け言う
「シュレイザー城を回避しちゃったら ヴェルアロンスライツァー副隊長に会えないじゃないッスか!?そしたら俺の名前も伝えられないッス!でもって ロキ隊長がヴェルアロンスライツァー副隊長と久し振りに一緒に戦える今日を チョー楽しみにしてたって事も 伝えられないッスよー!?」
ロキが怒って振り返り言う
「俺はチョー楽しみになど していない!」
ロスラグが一瞬、驚いた後 怒って言う
「ロキ隊長は 何でいっつも 自分の気持ちの反対の言葉を言うッスかー!?それじゃぁ 俺が1人でヴェルアロンスライツァー副隊長に会いに行って来るッスよ!!でもって ロキ隊長の気持ちを代わりに伝えて ヴェルアロンスライツァー副隊長をロキ隊長の所に連れて来てあげるッスー!」
ロスラグがシュレイザー城へ向かって走り出す ロキが慌てて追いかけて言う
「おいっ待て!ベル!!余計な事を言うんじゃない!馬鹿犬ーっ!!」
ロスラグが走りながら笑顔で言う
「馬鹿犬でも良いッスよー!ロキ隊長とヴェルアロンスライツァー副隊長と また一緒に戦えて 俺はチョー嬉しいッスー!」
先行するロスラグを追いかけるロキ 2人がシュレイザー城へ入って行く
【 ローレシア城 玉座の間 】
ザッツロードの前でキルビーグが言う
「アバロンのバッツスクロイツ殿が 新たな悪魔力対策のプログラムを完成させ ヴィクトール皇帝陛下はそれに対応する為の部隊を結成したそうだ ザッツ、お前はこのローレシアからの代表として その部隊へ参加をして来てくれ そして、これを」
ザッツロードが手渡された書類を見て言う
「これは…?兄上?この通信記録は 古いローレシア言語で書かれていますが?」
キルビーグ2世が頷いて言う
「それを現在アバロン城に幽閉されて居る父上へ渡してくれ アバロンの方で没収すると言う事であれば それでも構わない 我らローレシアでは もう対処をする事が出来ないのだ」
ザッツロードが疑問しながら 書類を眺める
城門前
ザッツロードが城を出て来る ソニヤ、ラナ、セーリアが待っていて微笑する ザッツロードが一瞬驚いた後微笑して言う
「皆来てくれたのかい?」
ソニヤが軽く笑っていう
「当ったり前でしょ!?」
ラナが微笑して言う
「私たちローレシアの代表が アバロン帝国の特別部隊で足を引っ張らない様に 援護をしてあげないといけないじゃない?」
セーリアが軽く笑っていう
「それじゃ、私たちは ローレシアの勇者様の援護部隊って事ね?」
ソニヤが苦笑して言う
「それなら やっぱり ローレシアの勇者ザッツロードの仲間たち の方が良いんじゃない?」
皆が笑う
【 シュレイザー城 城門前 】
ロスラグが城の入口へ向け走って来る 門兵2人が道を塞ごうとするが ロスラグが言う
「ちょっと急いでるッスー!道を開けて欲しいッスよー!」
ロスラグの言葉を受け衛兵たちが道を開ける ロスラグがそこを駆け抜け 追って走るロキが衝撃を受けて叫ぶ
「貴様らは門兵としての任務をまっとうしろーっ!!」
衛兵たちが驚き怯えて逃げる ロキが駆け抜ける
玉座の間
玉座に座るアンネローゼが足音に気付いて顔を向ける アンネローゼの視線の先 玉座の間の入口からロスラグが飛び込んで来て そのロスラグをロキが後方から捕まえるが 2人が勢いのままに玉座の間に倒れ込む アンネローゼとその横に居るヴェルアロンスライツァーが呆気に取られて眺める ロキが顔を上げ衝撃を受ける 続けて顔を上げたロスラグが ヴェルアロンスライツァーを見て喜んで叫ぶ
「ヴェルアロンスライツァー副隊長!俺ヴェルアロンスライツァー副隊長に すっごく会いたかったッスー!でもって ロキ隊長は もっとすっごく!」
ロキが慌てて叫ぶ
「黙れっ!馬鹿犬っ!!」
アンネローゼとヴェルアロンスライツァーが顔を見合わせ アンネローゼが笑う ヴェルアロンスライツァーが微笑して言う
「ロキ、ベルグル 貴殿らの来城を このヴェルアロンスライツァー 心より待ち侘びていた」
ロキが衝撃を受ける ロスラグが呆気に取られてから言う
「へ?何でヴェルアロンスライツァー副隊長が 俺の本当の名前を知ってるッスか?」
ロスラグが疑問してロキを見る ロキが顔をそらす ヴェルアロンスライツァーが答える
「ロキからの連絡にて聞いていたのだ 今日顔を合わせるまでは 秘密にしておくという条件でな?」
ロスラグがロキへ向く ロキが顔をそらす ロスラグがヴェルアロンスライツァーへ向いて言う
「そうだったッスか!俺全然知らなかったッス!けど全然良いッスよ!ヴェルアロンスライツァー副隊長は やっぱりロキ隊長と会える今日を 楽しみにしててくれたッス!俺、嬉しいッス!それにロキ隊長!?ヴェルアロンスライツァー副隊長には俺の名前がもう伝えられてるッスよ!だからロキ隊長も素直な言葉を言うッス!これは約束ッスよー!?」
アンネローゼがくすくす笑う ロキがロスラグから離れ平静を装い アンネローゼの前に敬礼して言う
「…我らスプローニ国第2部隊隊長及び隊員は スプローニ国並びにシュレイザー国 両国の協定に基づき 今作戦への援護の為 だけ に参りそれ以外は一切の…」
ロスラグが怒って言う
「全然素直じゃ無いッスーっ!!」
【 アバロン城 玉座の間 】
ヴィクトールの前にザッツロードと仲間たちが跪いている ヴィクトールが言う
「ザッツロード王子 よくぞ来てくれた 先だってローレシアのキルビーグ2世王子から連絡を受けていた 我らアバロン帝国の結成した特別部隊への参加 諸卿へ敬意を表す 既にシュレイザー国にて 防衛準備が進んでいる 詳しい説明は シュレイザー国のヴェルアロンスライツァー親衛隊長より受けて欲しい」
ザッツロードが返事をする バーネットが言う
「魔物の集結まで もうあんまり時間がねぇ 参加するんなら 急いで行きやがれよ?」
ザッツロードがバーネットへ向いて言う
「はい、急いで向かいます …それから それとは別に」
ヴィクトールとバーネットが疑問する ザッツロードが書類を取り出して言う
「現在ローレシアの管理を任されております キルビーグ2世より こちらのアバロン城にて幽閉されている ローレシア国王キルビーグ1世へと 預かってまいりました お許しを頂けるのであれば 渡したいのですが」
ヴィクトールとバーネットが顔を見合せる 家臣が現れザッツロードから書類を受け取って眺めて言う
「どうやら古いローレシア言語にての 手紙のようですな?」
ヴィクトールがザッツロードへ問う
「キルビーグ2世殿から キルビーグ国王への書状であると言う事だろうか?」
ザッツロードが答える
「正直私には分かりかねます 文字を読む事は出来ますが その内容は現在のローレシアに関する事では無い様子で 詳しい事は確認して居ないのですが 無理強いは不要であると言われています」
家臣がヴィクトールへ向く ヴィクトールが言う
「いや、あいにく 私には ローレシアの文字は分かりかねる バーネットへ」
家臣がバーネットへ書類を渡す バーネットが声に出して読む
「『悪魔力の発生源を 全て付き止めた しかし、我々の存在出来る空間は非常に限られて来ている 今は持てる力でその空間を維持し 新たなる聖魔力の供給を待つ』」
ザッツロードが驚く ヴィクトールが言う
「悪魔力に関する情報か?新たなる聖魔力の供給…と言う事は その文は旧世界からの連絡と言う事だろうか?」
ヴィクトールがザッツロードへ向く ザッツロードがハッとして言う
「その様に思えます ただ、私には理解できない事が多く…」
バーネットが別の書類を見て言う
「『私の仲間に持たせた 旧世界の宝玉の数は10 その全てを起動させ 旧世界へ次の送信時に送ってもらいたい 我々に残された時間は少ない 次の送信が最後になるであろう』」
ヴィクトールが考えてから言う
「…分かった、この書状は キルビーグ国王へ渡そう」
ザッツロードが一瞬驚いた後敬礼して言う
「有難うございます!ヴィクトール皇帝陛下!」
ザッツロードと仲間たちが玉座の間を去って行く ヴィクトールが立ち上がりバーネットのもとへ行って言う
「キルビーグ殿と話をしてくる バーネット、君も同席してくれ」
バーネットが言う
「ああ、この内容が本物なのか 確認してやらなけりゃならねぇからな?」
2人が玉座の間を後にする
客室
ヴィクトール、バーネット、キルビーグが話している キルビーグが2人に頭を下げて言う
「アバロン帝国第一皇帝ヴィクトール陛下、第二皇帝バーネット陛下 どうか 我らの旧世界 ローレシア帝国の民たちを救って欲しい…っ」
ヴィクトールとバーネットが真剣な面持ちで見つめる
【 シュレイザー国 城下町の外 】
ヴェルアロンスライツァーが皆に向けて言う
「諸君の働きにより このシュレイザー国は守られた シュレイザー国女王アンネローゼに代わり 諸君の功績を称える」
兵たちがヴェルアロンスライツァーへ敬礼する ザッツロードと仲間たちが周囲の光景に驚き慌てて敬礼する
皆が解散して行く中 ザッツロードと仲間たちがロキとロスラグのもとへ向かい ザッツロードが言う
「ロキ、ロスラグ 少し聞きたいのだけど?」
呼ばれた2人が顔を向ける ソニヤがザッツロードの横から言う
「ちょっと!何でヴェルが 援護に来てくれてた隊員たちを称えるのよ!?」
ラナが続けて言う
「それに いくら親衛隊長だからって 自国の女王を呼び捨てにするなんて…」
ロキとロスラグが顔を見合わせてから ロスラグが首を傾げて言う
「そんなの当然ッス!スプローニ国以外の憲法でも決まってるッスよ!」
ザッツロードたちが顔を見合わせる ロキがその様子を見て言う
「…どうやら 諸卿は知らんらしい」
ザッツロードたちが疑問する ロスラグが一瞬呆気に取られた後 笑顔で言う
「どこの国だってそうッス!女王様であっても 自分の奥さんの事は 呼び捨てにするッスよ!」
ザッツロードたちが衝撃を受け ザッツロードが言う
「え?いや…?あれ?」
ロキが言う
「…先日発表されたばかりである為 恐らく大陸西部の国までは まだ連絡が届いていないのであろう 丁度、濃度の高い悪魔力が検出されており それ頃では無い騒ぎになっていた …と言う事もあるが」
ザッツロードたちが呆気に取られた後 声を合わせて叫ぶ
「「「「えぇええ!?」」」」
ザッツロードたちの前で ロスラグが笑顔で言う
「俺もすっごく嬉しいッス!ヴェルアロンスライツァー副隊長は シュレイザー国のヴェルアロンスライツァー親衛隊長になったと思ったら 今度はシュレイザー国のヴェルアロンスライツァー王配殿下になったッスよー!」
ロキが言う
「…しかし、驚いているのは何も諸卿や我々だけでは無く 当人が誰よりも受け入れられない様子だ ハッキリ言って とても王配の行動はとられていない」
ロスラグが笑顔で言う
「そうッスねー!まったくその様子はないッスー!いつものヴェルアロンスライツァー副隊長みたいで 俺も 何だか嬉しいような可笑しいような変な感じッスー!でも やっぱり俺は嬉しいッスよー!」
ロキが軽く笑って言う
「そうだな、俺も一応 相棒として嬉しく思…」
ロキが言葉の途中でハッとして 背を向ける ロスラグが一瞬呆気に取られた後 笑顔で言う
「ロキ隊長!俺も嬉しいッスよー!ロキ隊長も やっと 自分の本当の気持ちを言葉に出来る様になったッスー!これからはもっと練習するッスよー!」
ロキが怒って言う
「そんな練習など不要だ!」
ヴェルアロンスライツァーがやって来て言う
「ザッツ、皆も 良く来てくれた 共に戦い このシュレイザー国を守ってくれた事へ感謝する」
ザッツロードが笑顔で言う
「こちらこそ、助力になれたのでしたら光栄です ヴェルアロンスライツァー王配殿下!」
ヴェルアロンスライツァーが衝撃を受け ロキとロスラグへ顔を向ける ロキが視線をそらす ロスラグが笑顔を見せる ソニヤが笑顔で言う
「お祝いが遅くなって ごめんなさーい ヴェルアロンスライツァー王配殿下!」
ヴェルアロンスライツァーが羞恥を堪えながら言う
「それについては 余り触れないで頂きたい… 我が女王の命のままに 何の障害も無くあっという間にその様な方向に…」
ロキが呆れて言う
「…例え主君からの命であっても 自身の身の振り方は 己で責任を持つべきだ そして、引き受けたからには 不意にする訳にも行くまい?」
ヴェルアロンスライツァーがロキへ向いて言う
「無論だ!我が女王の命とあれば!このヴェルアロンスライツァー 例え王配であろうと成し遂げて見せる!」
ロキが呆れる ロスラグが笑顔で言う
「流石ヴェルアロンスライツァー副隊長ッス!チョーカッコ良いッスー!」
ロキが背を向けて言う
「…では、精々 卿は卿の任務を遂行しろ 俺は次に魔物による襲撃が予測されている 祖国スプローニの防衛へ向かう」
ロキが歩き始める ロスラグがロキの背を見てから振り返って言う
「今回は時間が無いッスから チョー残念だけど帰るッス!ヴェルアロンスライツァー副隊長!また今度 ロキ隊長と一緒に 改めてお祝いに来るッスよー!」
ロスラグがロキの後を追う ヴェルアロンスライツァーが言う
「待て ロキ スプローニの防衛には 私も参る」
ロキが立ち止まる ヴェルアロンスライツァーが微笑して言う
「スプローニ国は このシュレイザー国の友好国 そして、私の相棒の祖国だ 私が支援に参るのは当然の事であろう」
ロキが顔を向けないまま言う
「…言って置くが シュレイザーの王配殿下殿を 護衛する任務など 俺は 請け負うつもりは無いからな」
ヴェルアロンスライツァーが苦笑して言う
「勿論だ 貴殿と共に戦う際は 私は一兵士として 貴殿の相棒でありたいと願う」
ロキが顔を向けないまま言う
「…卿の好きにしろ 来ると言うのであれば 共に戦ってやる」
ロキが歩みを再開させる ヴェルアロンスライツァーが苦笑して続く ロスラグがロキに詰め寄って言う
「ロキ隊長は!やっぱりもっと素直に言葉を言う練習をするッスよ!」
ヴェルアロンスライツァーが軽く笑って言う
「恐らくそれが出来る者は ロキでは無い」
ロキが衝撃を受け 怒って言う
「貴様が王配になどなるからだっ!」
ヴェルアロンスライツァーが驚く ロスラグが言う
「ロキ隊長!その調子ッス!悪い言葉に関しては 合格ッスよー!」
ロキが怒って言う
「うるさい!馬鹿犬!」
ロスラグが笑顔で言う
「馬鹿犬でも良いッスー!俺はずっとずっと ロキ隊長が 素直に言葉を言える様になるのを 応援するッスよー!」
ロキたちが立ち去っていく ザッツロードと仲間たちが顔を見合わせ 笑い合ってから彼らに続こうとする ザッツロードの通信機が着信する ザッツロードと仲間たちが一瞬驚き ザッツロードが通信機を見る
【 ローレシア城 城門前】
ローレシア城の城壁に2つ 強い衝撃によって壊れた箇所がある 門兵たちが呆気にとられている中 ヴィクトールが苦笑しながら立ち上がって言う
「魔力に不慣れな者の移動魔法であった為 少々乱暴な着地になってしまった事を詫びようキルビーグ殿 気を取り直し どうか案内を…」
キルビーグが頭を押さえつつ言う
「あ、ああ 問題は無い 案内させて頂く」
バーネットが首を傾げて言う
「あん?移動魔法なんざ 誰がやっても こんなもんだろ?」
キルビーグが先行しヴィクトールとバーネットが続く 門兵たちが慌てて敬礼して言う
「「キルビーグ国王陛下のご帰城です!」」
キルビーグとヴィクトールが苦笑する
玉座の間
キルビーグ2世が立ち上がって言う
「父上、お帰りなさいませ!」
キルビーグが頷いて言う
「ああ、キルビーグ 良い機転を利かせてくれた お陰で アバロン帝国の両皇帝陛下が 我らへ力を貸して下さる事を ご約束下された」
キルビーグ2世がヴィクトールとバーネットへ敬礼する ヴィクトールとバーネットが微笑する キルビーグが言う
「早速、旧世界の事を お2方へ説明して参る お前は引き続き この新世界のローレシアを頼む」
キルビーグ2世が返事をする
「はいっ!父上!」
3人が玉座の間を出て 地下への階段へ向かう 城の出入り口から声が掛かる
「キルビーグ陛下!」
ヴィクトールとバーネットが驚き ヴィクトールが言う
「君たちは!2代目勇者ザッツロードの!?」
城の入口に ラーニャ、ミラ、レーミヤが居て ラーニャとミラが走って来る ミラがヴィクトールとバーネットを見てから言う
「ヴィクトール陛下にバーネット陛下も!?では キルビーグ陛下!」
キルビーグが頷いて言う
「ああ、新世界の帝国 アバロン帝国は 旧世界と旧世界のローレシア帝国の民を救う事を約束してくれた」
ラーニャとミラが顔を見合わせ微笑む ラーニャが袋から宝玉を取り出して見せて言う
「キルビーグ陛下、これが旧世界で開発された 悪魔力を聖魔力に変換する宝玉です!」
ミラが言う
「しかし、この宝玉を起動させるには 最上級魔力者により調整された多くの魔力を必要とします 私たちはこれからすぐに それぞれの故郷へ戻り 町や村の魔力者たちと 宝玉の起動を行って来ます」
キルビーグが頷いて言う
「そうか、ではそちらは お前たちへ任せよう 我々は旧世界に蔓延する 悪魔力に侵された機械兵を倒す為の その方法を模索する」
ラーニャとミラが返事をして ラーニャが宝玉を袋に入れる その様子を見てバーネットが言う
「うん?確かあの文にあった旧世界の宝玉の数は10だったはずだが?」
ラーニャがバーネットへ向いて言う
「ああ、全部持つと結構重いから 3人で分担してるのよ」
ラーニャが言うと隣でミラが軽く微笑んで同じ宝玉の入った袋を見せる 皆の視線が1人遠くに居るレーミヤへ向く レーミヤが一瞬驚き慌てて宝玉の入った袋を見せ苦笑する ミラが苦笑して言う
「レーミヤったら そんな遠くに居ないで…」
ラーニャが軽く笑って言う
「そうよ?私たちは新世界と旧世界 どっちのローレシアの民でもあるのよ!?」
ラーニャとミラが笑う レーミヤが反応した後、再び苦笑する ヴィクトールが視線を鋭くして言う
「レーミヤ殿、旧世界からの帰還で 少々疲れがある様子だが 1つ占いを行って貰え無いだろうか?」
ヴィクトールがレーミヤへ向かって行く 皆が驚き ラーニャとミラが顔を見合せる ヴィクトールがレーミヤの前へ来る レーミヤが焦って言う
「あの… 申し訳有りません 仰る通り 私 疲れていて…」
ラーニャとミラが疑問する バーネットが疑問して言う
「上級の占い師が チョイと先の未来を見る事なんざ 簡単なんだろ?てめぇたちに協力しようってぇ アバロン帝国の皇帝さんが それを頼んでるんだぜぇ?」
バーネットが近づいて行く レーミヤが焦って言う
「あ、あの… 私、今 占いの為の水晶玉を 無くしてしまってっ」
ヴィクトールが軽く微笑んで言う
「そうか、それでは 難しいのかもしれない では代わりに このローレシア城の中へ 入って貰えないだろうか?」
バーネットがにやりと笑って言う
「ああ、そうだなぁ?今このローレシア城は警戒体制をとってるんだったぁ… ソルベキアの先住民族に対してなぁ?」
キルビーグが驚いて言う
「まさかっ その者が!?」
ラーニャとミラが驚く レーミヤが逃げ出そうとする ヴィクトールが言う
「待てっ!」
ヴィクトールが掴んだレーミヤの腕が薄れ 替わりに現れたトカゲが逃げ出す ラーニャが言う
「嘘っ!?どう言う事!?レーミヤが!」
ミラが言う
「ソルベキアの先住民族と入れ替わって居ただなんてっ!?」
ヴィクトールが言う
「我々の隙を伺い 旧世界の宝玉を全て奪うつもりだったのか?」
バーネットが宝玉の入った袋を持っていて微笑して言う
「その宝玉は取り返してやったぜぇ だが、今度は そのレーミヤってぇ占い師を 助けてやらねぇとな?」
ヴィクトールがバーネットへ言う
「ソルベキアに捕らえられているのだろうか?」
バーネットが言う
「だろうな?あいつらにとっちゃ ローレシアの勇者殿どもを釣るのに役立つ餌になる 場合によっちゃぁ もう一度 この旧世界の宝玉を奪うのにもな?」
ヴィクトールが言う
「そうか… だが、例え人質とされる事が分かっていても 我々は彼女を救いに行かなくてはならない」
ラーニャとミラがヴィクトールへ向いて ラーニャが言う
「私たちが行くわ!」
ミラが言う
「でも、私たちだけでは…」
キルビーグが言う
「ザッツロード7世とその仲間たちを呼び戻している所だ 彼らと共に行かせるというのはどうだろうか?」
ヴィクトールが微笑して言う
「いや、レーミヤ殿は 2代目勇者ザッツロード6世殿の仲間だ この任務を誰よりも 請け負いたいと言うであろう人物を 私は知っている」
バーネットが一瞬呆気に取られた後 軽く笑って言う
「ヘクターか?」
ラーニャとミラが一瞬驚いた後 顔を見合わせ微笑する ヴィクトールが頷いて言う
「ああ、彼なら率先して向かってくれるだろう そして、あのソルベキアが相手であっても 安心して任せられる」
ヴィクトールがラーニャとミラへ顔を向ける 2人が微笑んで頷く
門前
ザッツロードと仲間たちがローレシア城へ到着する 門兵が敬礼して言う
「ザッツロード王子、お帰りなさいませ!キルビーグ陛下が 地下機械室にて お待ちしているとの事です!」
ザッツロードが言う
「そうか、分かった ありがとう」
ザッツロードと仲間たちが地下へ向かう 歩きながらソニヤが言う
「ザッツ?スプローニ国への援護を取り止めて ローレシアに戻っちゃって本当に良かったの?」
ラナが言う
「アバロンのヴィクトール皇帝陛下への連絡は ザッツのお兄さんからしたって言うのだから良いじゃない?」
ソニヤが表情をしかめて言う
「けどー?ローレシアの代表として アバロンの特別部隊に参入したのに たった1戦で離脱しちゃうだなんて~」
ザッツロードが苦笑して言う
「確かに、少し残念ではあるけれど スプローニ国の防衛は あのロキとヴェルアロンスライツァー王配殿下がいらっしゃるのだから 心配無いよ」
皆が苦笑し セーリアが言う
「ロキと一緒に居る時は ヴェルも王配殿下では無くて 元スプローニ国第二部隊 副隊長さんなんじゃ ないかしら?」
皆が微笑み ラナが言う
「そういえば、ロスラグも ずっとヴェルアロンスライツァー副隊長って呼んでるものね?」
ザッツロードが言う
「うん、ロキとヴェル… ロスラグも居る事だし きっと大丈夫だ」
皆が軽く笑う
地下機械室
ザッツロードが機械室の扉を開く その先に居る人物を見て ザッツロードと仲間たちが驚く ロスラグが言う
「遅いッスよ!ヘボ勇者!」
ソニヤが室内に居る人物を見て言う
「ロキ!?ヴェルも!?」
ザッツロードが言う
「一体どうして!?」
ヘクターが軽く笑んで言う
「どうしてなんて 決まってんだろ?俺たちは2代目勇者ザッツロードの仲間たちなんだからよ!その仲間を助けようって時には 集結するに決まってるぜ!」
ヴェルアロンスライツァーがロキへ向いて言う
「そんな時でも 若干渋る者は居たが…」
ロキがムッとしながら言う
「…黙っていろ 王配殿下殿」
ヴェルアロンスライツァーが衝撃を受け怒りを抑える ロスラグが焦る ザッツロードがロキへ言う
「しかし、ロキ 貴方の祖国であるスプローニ国が」
ソニヤが言う
「そうよ!スプローニ国の第2部隊長である貴方が その国が大変な時に!?」
ロキが言う
「…俺も可能であれば 防衛の任に就きたかった だが、スプローニの第2部隊は 援護に来ていた 元スプローニ国第3部隊隊長であった者へ預けた」
ザッツロードが呆気に取られながら言う
「元スプローニ国第3部隊隊長…」
セーリアが微笑んで言う
「リーザロッテ王女の仲間である ロイね?」
ヴィクトールがヘクターへ向いて言う
「ヘクター、それでは レーミヤ殿の救出は頼んだ 我々はアバロンへ戻り 今後の対策を練る」
ヘクターが微笑して言う
「おう、任せとけって!ソルベキアで暴れる事になっけど かまわねーんだよな?」
ヴィクトールが苦笑して言う
「余り大げさにはしない様に …と言っても無理だろうね?」
ヘクターが笑顔で言う
「当ったりめーだろ?俺が指揮を執るんなら 作戦は当然アバロン式だぜ!?正々堂々と正面から」
ウィザードが隣に現れて言う
「破壊する」
キルビーグが落ち込む ヴィクトールが苦笑して言う
「今回は出来るだけ お手柔らかに頼むよ」
バーネットが言う
「前回のローレシアほど ぶっ壊すんじゃねぇぞ?」
プログラマーがヴィクトールへ向いて言う
『私も作戦が終了次第 アバロンへ帰還し 新型ロボット兵の製作へ携わる』
ヴィクトールが頷いて言う
「うん、それまでの間は 我々とバッツスクロイツで ガルバディア国王を交え相談をしておく」
ヴィクトールが出口へ向かう バーネットが続こうとした足を止め振り返って言う
「旧世界の現状については 引き続き旧世界のローレシア帝国皇帝キルビーグ てめぇに任せとくぜぇ?」
キルビーグが微笑して言う
「分かった、こちらの新世界に置いての対策は 貴殿ら新世界のアバロン帝国皇帝方へ一任しよう」
ヴィクトールとバーネットが軽く微笑み立ち去る ヘクターがヴェルアロンスライツァーとロキへ向いて言う
「旧世界の宝玉って奴を起動させるのに 魔力者が必要らしい ラーニャとミラは そっちに行かせようと思うぜ」
ラーニャとミラが驚いてラーニャが言う
「待ってよ!私たちだって仲間じゃない!」
ミラが続けて言う
「私たちはレーミヤが敵に奪われた事に 気付けなかった責任もあるわ その私たちが救出へ行かないだなんて」
ヘクターが言う
「せっかくヴィクトールとバーネットのお陰で 旧世界の宝玉が無事だったんだぜ?レーミヤが助かっても その宝玉が間に合わなかったら意味ねーじゃねーか?」
ヴェルアロンスライツァーが微笑して言う
「彼女の救出は 我々へ一任して貰いたい」
ロキが言う
「…諸卿も 己へ与えられた任を 全うするべきだ」
ロスラグが笑顔で言う
「心配無いッスよ!ロキ隊長とヴェルアロンスライツァー副隊長に加えて アバロン3番隊隊長ヘクターと ガルバディアの2大勢力ッスよ!?ついでに俺も行くッス!ソルベキアの1つや2つ 全然平気ッスよ!」
ヘクターが微笑して言う
「そー言う事だからよ!レーミヤの事は 俺たちに任せとけって!」
ラーニャとミラが顔を見合わせ苦笑してラーニャが言う
「それなら… しょうがないか?」
ミラが頷いて言う
「ヘクターたちなら ザッツを魔王の島から助け出してくれた時と同じ様に レーミヤの事も助け出してくれるでしょうしね?」
ラーニャが頷いて言う
「それじゃ、旧世界の宝玉については 私たちに任せといて!」
ヘクターが笑顔で言う
「おう!そっちは任せたぜ!」
それぞれが向かう
【 ソルベキア国 移動魔法陣 】
ヘクターがソルベキア城を見上げて言う
「やっぱレーミヤは 城の地下牢かどっかに捕まってるのか?」
プログラマーがホログラムを表して言う
『ソルベキア城内の地下牢に存在を確認した …が、同時に 私の存在が スファルツ卿に捕らえられてしまった』
ヘクターが衝撃を受け プログラマーへ向いて言う
「おい、世界一のプログラマーが何やってんだよ!?」
プログラマーがそっぽを向いて言う
『今回は私のミスだ 奴が私の能力を上回った訳では 断じて無い!』
皆が呆れる
【 スファルツ邸 】
スファルツが機械操作をしながら言う
「ようこそ、いらっしゃいました 世界一のプログラマー殿 今日こそ貴方との決着の時です」
スファルツが微笑してモニターを眺める
【 ソルベキア城前 】
ヘクターがソルベキア城を前に立って言う
「デスは見付かっちまったけど 作戦の変更は無しだぜ!」
ロキとヴェルアロンスライツァーが呆気に取られつつ ヴェルアロンスライツァーが言う
「先ほどのスファルツ卿だが 今回もレーミヤの救出に手を貸してはくれぬのだろうか?」
プログラマーが答える
『前回は双方の利害が一致していた だが、今回は奴の特になる物は何も無い そして先ほど奴から私へ対し 御丁寧に宣戦布告を送って来た ヘクター、これは私と私の相棒であるお前への 挑戦状であると受け取るべきだ』
ヘクターが笑顔で言う
「おう!そうと決まれば 遠慮無く 正々堂々と正面から!」
ウィザードが現れて言う
「破壊してやろう」
ウィザードが言い終えると共に盛大に魔法を放つ ヘクターが大剣を引抜いて叫ぶ
「突撃ーっ!」
ヘクターとウィザード、プログラマーが突入する ロキとヴェルアロンスライツァーとロスラグが呆気に取られ ロスラグが言う
「す、凄いッス…」
ロキが呆れて言う
「…あの指揮能力で アバロン3番隊が最強部隊と言われるのが 俺は納得いかん」
ヴェルアロンスライツァーが苦笑して言う
「しかし、作戦は決行された そうとあれば このヴェルアロンスライツァーはヘクター隊長の指揮に従う!」
ヴェルアロンスライツァーが剣を引抜き突入する ロキが溜め息と共に両手に銃を持って言う
「…確かに、これ以外の策が無い以上 従わざるを得ない」
ロキが突入する ロスラグが言う
「あー!ロキ隊長!ヴェルアロンスライツァー副隊長!俺を置いていかないで 欲しいッスー!」
ロスラグが慌てて武器を用意しながら追いかける
【 アバロン城 バッツスクロイツの研究室 】
プログラマーがホログラムを現す ヴィクトールが振り向いて言う
「デス、レーミヤ殿は?」
プログラマーが頷いて言う
『無事救出した 現在はローレシア領域の最上級魔力者らと共に ローレシア城内にて 旧世界の宝玉の起動を行っている』
ヴィクトールが疑問して言う
「ローレシア城で?」
バーネットが微笑して言う
「あの城の中なら ソルベキアの先住民族の奴らに 邪魔される事もねぇって事だろ?時間も限られてるしなぁ?邪魔される訳にも また さらわれっちまう訳にもいかねぇ」
ヴィクトールが微笑して言う
「なるほど?それで、期限には 間に合いそうなのか?」
プログラマーが言う
『余裕が有る訳では無いが 問題は無いだろうとの事だ むしろ、今度は 旧世界で使うロボット兵を作る 我々が急がねばならない』
プログラマーが周囲を見渡す ヴィクトールが苦笑する プログラマーが首を傾げて言う
『…それで?我々の時間が少ないと言う この時に あの僻(ひが)み国王は何処へ行った?』
ヴィクトールが衝撃を受け苦笑して言う
「何故ここに居なかった君が その事を知っているんだい?デス…」
プログラマーが疑問して言う
『何故…とは?私の知っている奴の僻みっぷりは 私とヘクターの世界一の相棒っぷりへの ものであったのだが?まさか…?』
バッツスクロイツが怒って言う
「もーマジ信じられないんですけどー!?あの王様デスっちーは 俺の祖国であるローンルーズで使われているプログラムに?自分の知らなーい 超ーイカした公式使ってたからってー ローンルーズの優秀なプログラマーが 全てやれば良いんだーとか言って 俺1人に押し付けて 帰っちゃったんですけどー!」
プログラマーが衝撃を受けて怒って叫ぶ
『なにーっ!?あの僻み国王がっ!300年以上も生きているくせに また そんな事で僻んで 国へ逃げ帰るとはっ!!』
ヴィクトールが苦笑して言う
「まぁ… 300年も生きていれば 良くも悪くも過度な自信などが 付いてしまうのかもしれない こう言う時は… 煽ててみるとか どうだろう?」
ヴィクトールが笑顔になる プログラマーとバッツスクロイツが衝撃を受けて表情をしかめる ヴィクトールが笑顔のままバーネットへ向いて言う
「ね?バーネット、君の弁舌(べんぜつ)なら何とか?」
ヴィクトールの視線の先 バーネットが深く考えている ヴィクトールが疑問して言う
「あれ?バーネット?どうかしたのかい?」
バーネットがヴィクトールの言葉に顔を上げて言う
「確かに あのガルバディア国王の奴は そう言って消えやがったが… その前にやたらと このロボット兵… じゃぁねぇや?アンドロイドの奴を見てやがっただろぉ?それに そのアンドロイドって言葉だが… 俺はぁ そいつをどっかで見た様な…?」
バーネットがアンドロイドのデスを見る ヴィクトールが苦笑して言う
「バーネットの場合は 色んな本を沢山読み過ぎているせいで 何処でどの本を読んだのかなんて思い出せないのではないのかい?」
バーネットが考えて言う
「いや、確かに色んな場所で読んだりはしたが そういう機械に関する言葉が入った本を読んだのは このアバロンの書物庫だ この国の書物庫は 種類が豊富だってぇのが特徴で… だから気分によって色々選べるのが 面白くってよぉ」
ヴィクトールが苦笑して言う
「そう言えば昔は折角君がアバロン城に来てくれた時も 君はいつも書物庫に篭ってしまうから 僕はどちらかと言うとベネテクトへ行って 君と会う方が楽しみだったんだよ?」
バーネットが軽く笑って言う
「そう言うてめぇは 折角このアバロン城に住んでやがるってぇのに 書物庫の本は 必要最低限の物しか 読んでやがらねぇんだよな?」
ヴィクトールが衝撃を受け苦笑する バーネットが立ち上がって言う
「ちょいと見て来るぜ もしかしたら 多少なんかの役に立つもんだったかも知れねぇ」
バーネットが出て行く プログラマーがヴィクトールへ向いて言う
『アバロン城の書物庫も シュレイザー程では無いが十分に広い 手伝った方が早いのでは無いだろうか?』
ヴィクトールが苦笑して言う
「彼がどの本を探しているのかも分からないし 僕が行っても余り役には立てないと思うよ」
バッツスクロイツが軽く息を吐いて言う
「でも、自分の所の書物庫の本を 他国の王様だった人の方が詳しいなんてー?」
ヴィクトールが苦笑して言う
「僕の場合は文字を読んでも 実際に体験してみないと 理解が出来ないものだから」
プログラマーが微笑して言う
『それはアバロンの民の特色だ 文字や言葉によって頭で理解するよりも 体の方で対応してしまう』
バッツスクロイツが軽く笑って言う
「つまりー デスっちのプログラムで 身体能力を高めているから 垂直3メートルジャンプ出来るよー ってー説明するより?実際にジャンプさせちゃった方が 分かっちゃうーって事ね?」
プログラマーが言う
『それでも、本当にそれだけの高さを飛べるのか?等と疑いを持った時点で 既に作られているプログラムとは誤差が生じてしまう 疑念は何よりも我々の力を妨げる』
ヴィクトールが微笑して言う
「君のプログラムさえあれば 間違い無く自分はその高さまで飛べるのだと思える その信頼が君とヘクターとの力なのだね?」
プログラマーが微笑して言う
『いや?あいつの場合は 既に その事すら考えていない』
ヴィクトールが苦笑して言う
「それは凄い」
バッツスクロイツが書類を書き上げて言う
「それじゃーさ?このアンドロイド製作もー?信じるだけーで作り上げちゃってよー?アンドロイド製作ラインも何も無いこっちの世界でー?どーやって 500体を越える アンドロイドを作るんですかー?機材も部品もない世界で 一体づつ超ハンドメイドーなんてー 俺エスケープ寸前なんですけどー?」
バッツスクロイツが机にうな垂れる ヴィクトールがプログラマーへ向いて言う
「デス、君のプログラムで バッツスクロイツのやる気を出させる事は 出来無いだろうか?」
バッツスクロイツが衝撃を受ける プログラマーが首を傾げて言う
『それなら睡眠中にアンドロイドに追いかけられる夢でも見せれば 良いのかもしれない』
ヴィクトールが笑顔で言う
「それなら 鞭を振りかざしたバーネットに 追いかけられる方が きっと製作速度も上昇すると思うんだ」
プログラマーが頷いて言う
『確かにそうだな では、私も早速そのプログラムの製作に』
バッツスクロイツが顔を上げ 怒って言う
「そーんなプログラム作るぐらいならー どっかの王様がエスケープした分の アンドロイドプログラムを 超ー作って欲しーいんですけどっ!!」
書物庫
バーネットが書物庫の本棚を眺め 首を傾げて言う
「ねぇな?っかしいな…?確かに この辺だった筈だ やたら信じられねぇ様な話だったから この床に座りこんで読み耽ってたんだよな?そしたら あの泣き虫が いい加減自分にも構ってくれってぇから 仕方なく…」
バーネットがハッとして言う
「そうだ!仕方ねぇって事で ベネテクトに持ち帰る事にしたんだったぁ そのままデネシアにとっ捕まっちまったから 返すどころか すっかり忘れちまってたぜ!」
バーネットが通信機を取り出し通信する 間もなくして通信機のモニターに ベーネットが現れる バーネットが言う
「よう、ちょいと探して貰いてぇもんが あるんだ」
【 ベネテクト城 】
バーネットが本のページをめくりながら言う
「そうそう、こいつだぜぇ やっぱりベネテクトに置きっぱなしだったんだなぁ」
ベーネットが表情を困らせて言う
「20年以上も他国の本を お借りしたまま忘れてしまうだなんて ベネテクトの名に傷が付くでは有りませんか?」
バーネットが軽く笑って言う
「ハッ!その忘れた理由が アバロンを助けてとっ捕まってたからってぇんなら上等じゃねぇか?」
ベーネットが苦笑して言う
「では その件についてはそう言う事にして置きます しかし、アバロン帝国の第二皇帝陛下ともあろうお方が 私がアバロンまでお返しに上がる時間も待てずに 飛んで来てしまうだなんて そちらの方が恥ずかしく思いますよ?」
バーネットが本をめくりながら言う
「てめぇが のろのろしてるからだろぉ?本一冊返す位ぇの事に んなに時間を掛けてるようじゃ どっかのネズミの国の王様が 世界大戦でも勃発させちまうってもんだぜ!」
ベーネットが苦笑して言う
「ですから すぐにお返しに参りますと言ったでは有りませんか?こちらは増加している魔物の処理で クソ忙しい中 その本の他にも返却を忘れられている本が有るのではと 瓦礫の下まで探そうかと言う所まで来ていたんですよ?」
バーネットが軽く笑って言う
「はっはー なら尚更俺が来て良かったじゃねぇか この本以外には… たぶん忘れちゃいねぇって」
ベーネットが溜め息を付いて言う
「だぶんでは困りますが 今後見付かった際には 全て貴方宛てに密書にて送りますので こっそり書物庫に返して置いて下さい」
バーネットが苦笑して言う
「心配ねぇよ あの友情の王様は 書物庫には俺を迎えに来る以外には入りやがらねぇし 俺がアバロンで興味を持つ様な本は 国王以下の連中が入れるような場所のモンじゃねぇ」
ベーネットが言う
「その本は 本と言うよりも その時代の友好国の調査記録ですよ?むしろ、それを借り出してしまった事の方が 問題になるのでは?」
バーネットが苦笑して言う
「はっはー そぉなんだよ あの頃は国家間の問題なんて 分からねぇぐれぇの歳だったからよぉ ヴィクトールの奴に一言言う程度で 借りて来ちまったんだ」
ベーネットが微笑して言う
「では、ヴィクトール13世皇帝陛下の許可の上で お借りしたと言う事にしておきます」
バーネットが一瞬呆気に取られた後 笑って言う
「ああ… それなら問題ねぇな?」
ベーネットが笑顔を向ける
【 アバロン城 城門前 】
バーネットが本を片手に移動魔法でぶっ飛んで来る スライドしながら盛大に着地した後 何事も無かった様子で城内へ向かう 門兵らはすっかり慣れている様子で普通に敬礼して言う
「「お帰りなさいませ!バーネット第二皇帝陛下!」」
バーネットが普通に返事を返す
「おう、ご苦労さん」
バーネットが何事もなかった様子で城内へ向かう 門兵も普通にやり過ごす
バッツスクロイツの研究室
バッツスクロイツとアンドロイドのデスが居る そこへ扉を開けてバーネットが入って来る バッツスクロイツが顔を上げて言う
「おっ帰りー バーネっちー」
バーネットが呆れた様子で言う
「てめぇ… いい加減その呼び方を 何とか出来ねぇのかぁ?」
バーネットがソファへ腰を下ろす バッツスクロイツが椅子に凭れながら言う
「えー?それじゃーなにー?俺にもー バーネット第二皇帝陛下ーって 呼びなさいーって言うのー?」
バーネットが本をめくりながら言う
「そこまでは言わねぇが 普通にバーネットで 良いだろうがぁ?」
バッツスクロイツが軽く笑って言う
「えー?バーネっちの方が フレンドリーで良いーと思うんだけどなぁー?」
バーネットが本をめくりながら言う
「なら 勝手にしやがれ とりあえず 俺はこの本を読みてぇんだから 黙ってろよ?ベネテクトに居ると ベーネットの奴が あーしろこーしろってうるさくてよぉ 誰に似やがったんだぁ あいつはぁ?」
バーネットが本をめくる バッツスクロイツが呆気に取られてから吹き出して言う
「そのベーネットさんとはー あんまり話した事ー無いけどー?俺の知ってる ベーネットさんのお父様ーは しょーっちゅう 友情の王様ーに あーしろーこーしろーってー 言ーってるみたいーだけどー?」
バーネットが苦笑して言う
「俺がいつ あの泣き虫に んな事言ったぁ?…ってぇか 黙ってろって」
バッツスクロイツが含み笑いの後に言う
「ぷふふっ あーあー?これじゃー ベーネットさんが あーしろこーしろってー言っててもー?誰に似てるーか 本人たちだけーが 分ーからないーかもー?言葉遣いはー 全ー然違うけど?やーっぱり 根本的ーな所ーとかー?」
バーネットが怒って言う
「だから… 黙ってろって言ってんだぁああ!!その前に なんで あいつが ベーネットさんで 俺がバーネっち なんだ てめぇえはぁああ!!」
バーネットが立ち上がり バッツスクロイツの首を絞めて揺らす
数日後
バーネットがアンドロイドの設計図を見ながらバッツスクロイツへ言う
「じゃぁ てめぇの作ろうとしてた アンドロイドってぇのですら 旧世界の機械兵からの攻撃には耐えられねぇのかよ?」
バッツスクロイツが溜め息を付いて言う
「そう、ソルベキアのロボット兵にしても ローンルーズのアンドロイドにしても どちらも行動を司る制御は機械プログラムで行ってる 旧世界の機械兵は悪魔力によって そのプログラムにある敵識別に異常をきたしているんだ だから 本来守ったり仕えたりするべき主人であったはずの人を 敵と認識して攻撃して来る 更に、その機械兵たちは 自分たちの仲間に引き込める相手に対して 自分の異常をきたしている 敵識別のプログラムをダウンロードしちゃう」
バーネットが腕を組んで言う
「ロボット兵もアンドロイドも どっちもその脳みそは機械で出来てやがる だから例え旧世界の悪魔力を全て中和したとしても 既に汚染されちまってる機械兵らの手によって そいつらも人の敵にされちまう 結局、人を守る事が出来るのは 人だけだってぇ事じゃねぇか」
バッツスクロイツが言う
「しかも、旧世界の機械兵の戦力はソルベキアのロボット兵より断然高いんだ だから 例えこっちの新世界の皆が向かって戦おうにも 数でも戦力でも負けてる とても旧世界を人の手に取り戻すなんて不可能だよ」
ヴィクトールが言う
「例え、数や戦力で負けていようとも 旧世界の悪魔力の中和さえ終らせてしまえば 後は時間を掛け 少しずつでも機械兵を人の手で倒して行けば いずれは全ての機械兵を撃破出来るのではないだろうか?」
バッツスクロイツが苦笑して言う
「向こうには機械兵を作るファクトリーがたーくさん そのファクトリーからは最新の機械兵が生み出され続けてる 時間をかけてたら 減らすどころか 増えるいーっぽうだろうねー?」
バーネットが溜め息を付いて言う
「一度に多くの機械兵を人の手でぶっ倒す事は出来ねぇし 敵の手に奪われるロボット兵を使うわけにも行かねぇ これじゃ、打つ手無しって事じゃねぇかよ」
ヴィクトールが考えて言う
「しかし、これら一通りの資料を渡していた状態にあっても ガルバディア国王は当初 我々と共にロボット兵の開発をする事を了承されていた… もしかしたら ガルバディアになら その解決となるような ロボット兵を作る術でもあるのではないだろうか?」
バーネットが僅かに視線を強める バッツスクロイツが呆れて言う
「ロボット兵でもアンドロイドでも 制御システムが無ければ動かないし 制御システムは機械なんだから 機械兵たちからのそのプログラムへの攻撃を回避するなんて無理だと思うけど?」
ヴィクトールがプログラマーへ向く プログラマーが考えて言う
『悪魔力による機械への異常を修復する事は難しい 元となるプログラムは同じであっても その異常は一律にはならず 個別の異常プログラムを生成する 故に直すくらいなら壊して止めるというのが現状だ』
バーネットが問う
「そいつは あのガルバディア国王であっても同じ答えなのか?…そもそも、そのガルバディア国王との連絡はどうなってやがる?」
ヴィクトールが浮かない表情で言う
「連絡は入れているのだけど あの日以降 まったく繋がらなくなってしまったんだ」
バーネットがプログラマーへ顔を向ける プログラマーが答える
『私からの連絡にも 反応は無い』
バーネットが一度目を閉じてから言う
「なら 直接行って 確かめるしかねぇな?俺が行って来るぜ」
バーネットが立ち上がる ヴィクトールが立ち上がって言う
「では、僕も行くよ あのガルバディア城の城門は アバロンの王であるなら いつでも受け入れる様に 出来てるそうなんだ」
バーネットが呆気に取られた後苦笑して言う
「じゃぁ、てめぇ1人で 行ってくれば良いだろが?」
ヴィクトールが苦笑して言う
「僕ではアンドロイドやロボット兵の話が出来無いよ 正直その2つの違いだって分からないんだ」
バーネットが疑問して言う
「それを言っちまったら 俺だって外見から分かるのは 大きさの違い程度だぜぇ?ツラは違ぇが… あぁ そりゃ違う方のアンドロイドだった」
ヴィクトールが疑問して言う
「違う方のアンドロイドとは?バッツスクロイツが作ろうとしていた アンドロイドの他にも 同じ呼び名のアンドロイドがあるのかい?」
バッツスクロイツが驚いて言う
「えー!?もしかしてー?バーネっちは 本物のアンドロイドを 知ってるーってー事?」
ヴィクトールが問う
「本物のアンドロイド?バッツスクロイツ、アンドロイドとは本来 君が作ろうとしていたものとは 違うものだという事なのか?」
バッツスクロイツが言う
「そうそう ほんとはー アンドロイドっていうのは もっと人に近い姿の物なんだ パッと見はー俺たちとー 見分けが付かないー位の!だからー ホントはこのデスも アンドロイドーとはー 言えないーんだよねー?」
バッツスクロイツがアンドロイドのデスを示す ヴィクトールとバーネットがアンドロイドのデスを見る バーネットが言う
「じゃぁ何で てめぇは コイツをアンドロイドって 言いやがるんだよ?」
バッツスクロイツが呆気に取られた後 苦笑して言う
「うんーそれは実は こいつは、アンドロイドの試作1号機なんだ つまり、全てのアンドロイドの元になったー1体目!だから、それに対して ロボットーとは?ちょーっと言いたくないーじゃない?」
ヴィクトールが微笑して言う
「なるほど、全てのアンドロイドの元となった 1号機に対して敬意を表していると言う訳だね?」
バッツスクロイツが笑顔で言う
「そーいう事ー …でも、ちょっと面白いんだよね?元々アンドロイドって言うのは 思考や行動だけじゃなくって 外見も人に近いものに対して付けられる総称なんだ だけど、このアンドロイドに関しては 思考や行動はともかく まぁ大きさはギリギリかもしれないけど?どう見ても外見はロボットだろ?だったら近い意味でも 外見が人に近い事を強く含まない ヒューマノイドって総称でもー?良かったと思うんだけどね?」
ヴィクトールが呆気に取られた後 考えて言う
「外見が人に近い物をアンドロイドと言い 外見が差ほど含まれ無いものをヒューマノイド 更に 思考や行動、大きさなどが含まれ無い物がロボット…?」
ヴィクトールが困る バッツスクロイツがその様子に笑って言う
「まーまー、そんなに深ーく 考えないでよー ヴィクトールっちー」
ヴィクトールが苦笑する バーネットが首を傾げて言う
「ならぁ 結局その2つは機械だって事か じゃぁ ガルバディアが作ってた アンドロイドってぇのは アンドロイドでもヒューマノイドでもねぇ 別のものになるってぇ事か」
皆が驚く プログラマーが言う
『それはどう言う事だ?ガルバディアがアンドロイドやヒューマノイドに近いものを 作っていたなどと言う歴史は 存在しない』
バーネットが言う
「うん?ならあの友好国の調査書は アバロンの連中が勝手にアンドロイドってぇ総称を 使いやがったってぇ事なのか?」
ヴィクトールが問う
「バーネット、それはどう言う事だい?ガルバディアがアンドロイドやロボット兵に近いものを 過去に作っていたという事なのか?」
バーネットが視線を下げ考えながら言う
「いや、あの調査書は 216年前の大規模な悪魔力のゴタゴタの後に ガルバディアを助けなかったアバロンが その復讐を恐れて やたらぶっ飛んだ憶測を書き過ぎてやがった 今はそんな事より 直接行って問い正した方が早ぇだろ?」
ヴィクトールが落ち着いて言う
「うん そうだね、他国から見た話よりも 直接聞いた方が良い それに、もしそのアンドロイドだと思われてた物が 旧世界で使える様な物だったら きっと今回の事に力を貸して貰える」
バーネットが呆気に取られて言う
「なんで『貸して貰える』ってぇ言い切れるよぉ?あいつは最初のアンドロイド製作会議から エスケープしやがった奴だぜぇ?」
ヴィクトールとバッツスクロイツが驚く バーネットが疑問してからハッと気付いて言う
「しまったぁああ!鈍くせぇバッツスクロイツと やたら一緒に居たせいで 下らねぇえ言葉が性に付いちまったぁああ!!」
バッツスクロイツが怒って言う
「ヘイユー!俺の故郷でトレンディなナイスワードをー 下らねぇえー言葉ーとかってー 超ー言って欲しくないんですけどー!!」
バーネットとバッツスクロイツが喧嘩を始める ヴィクトールが気を取り直してプログラマーへ問う
「所で、デス ローレシアの状況は分かるだろうか?」
プログラマーが答える
『全ての宝玉の起動が無事終了したとの事だ 間もなくローレシア城から旧世界へ 2代目勇者の仲間及び3代目勇者らと共に 宝玉は送られる予定だ』
喧嘩中のバーネットとバッツスクロイツが振り向いて バーネットが言う
「おい、旧世界の宝玉を 送り返すだけなら 旧世界から戻って来た 2代目勇者の仲間だけでも 良いんじゃねぇのか?」
バーネットとバッツスクロイツが喧嘩を終えて プログラマーへ近づく プログラマーがホログラムに数字の羅列を表しながら言う
『直接キルビーグ国王と話した訳では無い為 正確な事は分かりかねるが 旧世界の悪魔力中和装置を起動させた後 少なからず旧世界のローレシア帝国と その民を守る戦い等が 有るのでは無いかと予測される』
バーネットが表情をしかめて言う
「それならむしろ 2代目3代目勇者ども程度じゃ 賄えねぇだろ?」
皆の視線が問う様にプログラマーへ向く プログラマーが少し不機嫌に言う
『私に訊かれても分かりかねる 直接キルビーグ国王へ問えば良いだろう?』
ヴィクトールとバーネットがあっと気付いて ヴィクトールが苦笑し通信機を操作しながら言う
「ああ、すまない デス 直接キルビーグ殿へ確認しよう」
バーネットが苦笑して言う
「にしても、そもそもてめぇらは そんだけすげぇ知識がありやがるんだったら なんでソルベキアのロボット兵に対抗する程度の物が 作れねぇんだよ?」
バッツスクロイツがバーネットの言葉を受けて言う
「それは確かにー?かなーり謎ー?な感じーだよねー?それこそ ローンルーズのアンドロイドを越える位ーのものをー?作る事だって 出来たーだろうにさ?」
プログラマーが言う
『アンドロイドは所詮機械だ 我々はガルバディアの民を作ろうとしていた だから人を作った』
バッツスクロイツとバーネットが驚く プログラマーが言う
『だが、例え人と同じ肉体を作り 生存させる事が出来ても それには心が宿らなかった 従って我らの父である ガルバディア国王の思考や知識を見せる事で取り入れさせた それが我々ガルバディアの民だ』
バッツスクロイツとバーネットが呆気に取られ バーネットが視線を強め考えて言う
「なるほど… って事は その頃に作られたのが あの調査記録に書かれてた ガルバディアのアンドロイドかもしれねぇ」
バッツスクロイツが驚いて言う
「え?どう言う事?」
バーネットが言う
「調査記録には ガルバディアは復讐の為に『機械の身体に人間の頭を取り付けた』数百のアンドロイドを用意していると書かれていたんだ」
バッツスクロイツが表情を困らせて言う
「え!?機械の身体に人間の頭?そ、それはー… モノホン人間の頭―… じゃ ないよね?」
バーネットが言う
「そいつを知れる詳細は書かれてなかったが 戦力は『アバロンの大剣使いを はるかに超える騎士』だとか?後は… そぉだな?全て同じ顔で生気を感じられねぇ…って?」
バッツスクロイツが言う
「同じ顔…」
バッツスクロイツがプログラマーを見る プログラマーが言う
『ガルバディア国王の複製である ガルバディアの民は全て同じ顔となる』
バーネットが言う
「ってぇ事はだ?作り上げたばかりのそいつらに ガルバディア国王の思考や知識を見せるんじゃぁなく 旧世界の機械兵を倒す事を 見せて取り入れ そいつの頭をロボット兵の頭に取り付ける事が出来れば 体はロボット兵であっても脳みそは機械じゃねぇ 旧世界で戦えるアンドロイドが出来上がるんじゃねぇのか?」
バーネットがバッツスクロイツへ視線を向ける バッツスクロイツが呆気に取られつつ言う
「あ… う ん… つ、造れる… かも?」
バーネットが溜め息を付いて言う
「だが、例え造れるとしても その心が宿らねぇって奴らだって人なんだ だからその頭だけをロボット兵に取り付けて戦わせるなんざ 人道的に反する事になる あのガルバディア国王は 本当はそれに気付いて とんずらしやがったんじゃねぇのか?自分の作ろうとしていたガルバディアの民を 旧世界を救うための道具にされるのが嫌でよ」
プログラマーが考えて言う
『その可能性は十分に有り得る あのウィザードがその表れだ 機械ではないが 悪魔力を用いて戦う最強の魔力者を ガルバディアは研究し作り上げた …最も その製作を行ったガルバディアの民たちは 既にこの世にはおらず 我らの父ガルバディア国王は 彼らの行いを良しとしなかった』
バッツスクロイツが視線を落とし考えながら言う
「そっか… ガルバディア国王は 確かに民思いの優しい王様みたいだけど ウィザードを研究してたって言う その人道的にちょっと問題な研究者さんたちも ガルバディアの民なんだよね だったら復讐に燃えてた彼らの中には 悪魔力の他にも 機械と人を融合させちゃうみたいな事を 研究開発しちゃう人も 居たっておかしく無いんだ…」
バーネットが溜め息を付いて言う
「何にしても、結局 俺らには 打つ手無しじゃねぇか?」
バッツスクロイツが苦笑して言う
「だねー、ガルバディアへー行くまでも無く 答えが出ちゃったーって感ーじ」
ヴィクトールが通信を終え 2人の様子を見て言う
「あれ?ガルバディアへ向かうのでは なかったのかい?」
プログラマーが言う
『ガルバディアで作る事が可能な 旧世界で使用するロボット兵には 我らガルバディアの民の犠牲が必要であると結論が下された 私も同じ答えに辿り着く よって、これからガルバディアへ向かい 説得を試みたとしても ガルバディア国王は 今回の事には手を貸さないと思われる』
ヴィクトールが考えて言う
「そのガルバディアで作る事が可能なロボット兵は 旧世界の機械兵と同等に戦い 更に討ち倒す事の出来る戦力はあるのだろうか?」
プログラマーが一瞬呆気に取られつつ答える
『恐らく戦力に関しては問題ない 過去に作られていたその者たちが どの程度の戦力であったのかを度外視ても 現在のガルバディアの知識を有して製作を行えば 過去のそちらはもちろん ソルベキアの機械兵を上回る事は言うまでも無い』
ヴィクトールが頷いて言う
「うん、では問題はないね 早速ガルバディアへ向かい ガルバディア国王へ製作を依頼しよう」
皆が驚く ヴィクトールが言う
「ローレシアから2代目3代目の勇者と仲間たちが 起動させた旧世界の宝玉を持って旧世界へ送られた 後はこちらからのロボット兵の製作終了までを 限界まで持ちこたえた上で 悪魔力中和装置を起動させるとの事だ こちらも可能な限り急いでロボット兵の確保を行わなければならない」
バーネットが慌てて言う
「だが!旧世界で使えるロボット兵を作るには ガルバディアの民の命が犠牲になっちまう!旧世界の民を守る為だからって それをっ!」
ヴィクトールが微笑して言う
「もちろん、彼らの命を犠牲にはしない 確かに、戦いの中に置いては その可能性も否定はし切れないけれど 無理に戦わせたりなんかはしないよ 当然だろ?彼らと我々は志を共にする仲間だ」
バーネットが言う
「それは確かに 命に関しては残るかもしれねぇが!奴らはその為に ロボット兵と同じ機械の体にされちまうんだぞ!?それをてめぇえは 犠牲とは言わねぇえと 言いやがるのかよ!?」
ヴィクトールが疑問して言う
「え?機械の体になるのでは無く 機械の鎧を着る様なものだろ?遠い昔、ガルバディアの民がアバロンの大剣使いと 一緒に戦って居た頃みたいに」
バーネットとプログラマーが衝撃を受け バーネットが叫ぶ
「ちょっと待てぇええ!!何だその歴史はぁあ!?」
バーネットがプログラマーへ向く プログラマーがホログラムの周囲に数字の羅列を流して言う
『そ、その様な歴史は記録されていない… だが、もしかしたら 私の確認出来る範囲すら あの僻み国王に制御されている可能性もっ』
バーネットがヴィクトールへ向く ヴィクトールが微笑して言う
「だから、僕は本や話だけで理解するのは苦手なんだ バーネットたちの話を聞いて 昔聞いた話を思い出したんだよ」
バーネットが疑問して言う
「てめぇの言う その昔聞いた話ってぇのは アバロンの書物庫には一切無かったぞ?てめぇはその情報を何処で仕入れやがったんだ?」
ヴィクトールが軽く笑って言う
「うん、その情報は ヘクターとウィザードのお父上である ラインツ元傭兵隊長に聞いたんだ アバロンの大剣使いと相棒のガルバディアの騎士の話でね」
バーネットが驚いて言う
「ガルバディアの騎士?」
ヴィクトールが笑顔で言う
「うん、ガルバディアの民はアバロンの民と比べると 身体能力が低いから アバロンの大剣使いと一緒に戦う為に それを補おうと機械の鎧を作ったんだって それで、その鎧を身に付けて動くには ガルバディアの民の能力が必要で アバロンの民には無いものだから その鎧を貰っても使う事は出来なかったそうなんだ あ、ちなみに、それを僻んでアバロンの民は機械が嫌いになったらしいよ?」
バーネットが呆気に取られつつ プログラマーへ向く プログラマーがガルバディアの歴史プロテクトを破壊し情報を得て言う
『あった…っ あの僻み国王が隠していた 確かに、今から280年近く前に その様な身体能力を上昇させる鎧の様な機械を ガルバディアは製作し その力を用いてアバロンと共に戦っていた この機械の鎧を動かすには 体内の神経からの情報を鎧へ伝える為のマイクロトランスミッターが』
プログラマーが衝撃を受けて言う
『そうか!我らガルバディアのプログラマーが使用している マイクロトランスミッターは 元はこの鎧を動かす為の物だったのか!』
バーネットが問う
「それじゃぁ 今のガルバディアのプログラマーなら その鎧を動かす事が出来るってぇ事か?」
プログラマーが言う
『理論的にはそう言う事になる 私の場合は過去にそのマイクロトランスミッターを破壊してしまった為に 鎧を動かす事は不可能だが ガルバディア国王の複製であるガルバディアの民には皆 その装置は備わっている』
バッツスクロイツが笑顔で言う
「それなら準備は万端じゃない!早速ガルバディアへ向かおうよ!その鎧のヴァージョンアップも出来るだけ急いでやらなきゃ いけないんだしさ?」
プログラマーが言う
『それに加え、ガルバディアの民を製造するとなれば その手間も掛かる 更に鎧の改良や製作と それを彼らへ与え使いこなす事を 教えなければならない』
バーネットが問う
「待て、そのガルバディアの民を製造するってぇのは?ガルバディアの民は現状そんなに残ってねぇんだろ?これから作るってぇなら 何年かかるか分からねぇ… 機械鎧を与えたって 旧世界の機械兵を相手にするからには 相応の知力がなけりゃ戦いは出来ねぇぜ?」
ヴィクトールが微笑して言う
「それより何より、改めて彼らのお父上へのご協力を依頼しないと!大切な息子たちを旧世界の戦場へ 連れ出す事になるのだから」
バーネットが苦笑して言う
「そりゃぁ… まぁ そうだな?何にしろ 今はそれしか策がねぇ 国民が全て自分の息子たぁ 大した大家族の父親だなぁ?説得は任せたぜぇ?ガルバディアの相棒 アバロンの王様よ?」
ヴィクトールが軽く笑って言う
「その大家族のお父上である ガルバディア国王を説得するには こちらもそれに匹敵する 民への愛を持つ慈愛の王様の弁舌が必要だと思うんだ」
バーネットが衝撃を受ける バッツスクロイツが笑顔で言う
「つまりー その両方の王様のー説得が?必要だと思いまーす!」
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