漫画の様にスラスラ読める小説をめざしたらネームになった物語の1つ。クライツオブハーツ

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12-7 魔王との最後の戦い

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【 スプローニ城 玉座の間 】

スプローニ国王が言う
「後住民族の兵は 先住民族を守り 彼らと共に各国へ向かい 魔力穴を探し出す作業に励んでくれ 諸卿の働きを期待している」
公住民族の兵たちが敬礼する 先住民族とロスラグが遅れて焦って敬礼する スプローニ国王が微笑む

門前 城内から兵たちが出て来る ロキが書類を手に言う
「…我々が担当しているのは このスプローニとベネテクトだ 万が一 他に遅れが出た際は そちらへも支援に向かう事となるが…」
ヴェルアロンスライツァーがロキへ向いて言う
「それは隊員A次第とも言えよう?逆に こちらが他者の足を引っ張る可能性もある そうとならぬ様にも 早急に作業を開始するべきだと思われる」
ロキとヴェルアロンスライツァーが頷き合い ロスラグへ向く ロスラグがハッとして言う
「あ!は、はいッス!」
ロキとヴェルアロンスライツァーが じっとロスラグを見る ロスラグの後頭部に汗が流れる ロスラグが言う
「ちょ、ちょっと… その… そ、そんなに見つめられると う、嬉しいッスけど…っ な、何か… やっぱり恥ずかしいッス…」
ロスラグが照れる ロキとヴェルアロンスライツァーがハッとして顔を逸らして ヴェルアロンスライツァーが言う
「すまん、失敬であった」
ロキが続けて言う
「…余りに信じ難い話である為に つい…」
ロスラグが慌てて言う
「あっ いえ!?その…っ!?ご、ごめんなさいッス!俺は 大丈夫ッスから!気にしないで欲しいッス!」
ロキとヴェルアロンスライツァーがロスラグに背を向け ヴェルアロンスライツァーが言う
「いや、むしろ」
ロキが言う
「…俺たちが気にする」
ロスラグが慌ててオロオロする ロキとヴェルアロンスライツァーが間を置いて 勢い良く振り返って叫ぶ
「「はやくしろっ!!」」
ロスラグが驚いて焦って言う
「は、はいッス!ごめんなさいッスー!」
ロスラグが意識を集中する 体の表面が白く光り 犬の姿になる ロキとヴェルアロンスライツァーが呆気に取られ屈んで見つめる 犬になったロスラグが尻尾を振って嬉しそうに一度吠える
「わんっ!」
ロキとヴェルアロンスライツァーが呆気に取られたまましばらく見つめた後 顔を見合わせ 上体を起こし ヴェルアロンスライツァーが平静を装って言う
「よ、よし、準備は整った」
ロキが平静を装って言う
「…あ、ああ その様だ」
ロスラグが喜んで一度吠える
「わんっ!」

【 シュレイザー城 玉座の間 】

ウィザードが振り向いた先 玉座に座るアンネローゼの手前に居るバーネットが通信機へ言う
「ああ、スプローニ国の魔力穴の位置が分かったんだな?ならウィザードが一気に俺らを連れて行く どっちかが城下の入り口まで案内に来てくれ」
バーネットが通信機を切る アンネローゼが言う
「何も、バーネット第二皇帝陛下が指揮を執って赴かなくとも… シュレイザー国の女王である私が参りますので」
バーネットがアンネローゼへ向いて言う
「アバロンには第一皇帝が居る だが シュレイザーにはお前しか居ねぇだろ?他の国も回る事を考えたら 俺が適任なんだよ?それに…」
バーネットが玉座の間に大量に居るネズミたちへ顔を向けて言う
「このネズミどもが 逃げ出さねぇ様に 指揮ってやらなけりゃ ならねぇからなぁ?」
ネズミたちがチューチューと鳴き始める アンネローゼが苦笑し バーネットが耳を塞いで叫ぶ
「うるせぇええ!チューチュー騒ぎやがるんじゃねぇええ!!」

バーネットが玉座の間を後にする ネズミたちとウィザードが続き 一匹のネズミがバーネットの肩まで登って来て チューチューと鳴く バーネットが顔を向けて言う
「チューチュー言ってても分かんねぇよ とりあえず 作業が終るまでは 大人しくしてろ」
ネズミが呆気に取られた後 寂しそうに俯く バーネットが気付き苦笑して言う
「…終ったらまた 日記でも話でも聞いてやるからよ?」
ネズミが一瞬驚いた後 嬉しそうにチューチュー鳴き続ける バーネットが怒って叫ぶ
「だぁあから… それまでは 黙ってろってぇええんだ!このカスチョッポクルスがぁああ!!」
玉座に座るアンネローゼが軽く驚いてから優しく微笑む

【 ヴィルトンの港町 】

ヘクターがカイザへ叫ぶ
「何で行けねぇーんだよ!?カイザ!!」
ザッツロードと仲間たちが見つめる先 ヘクターの前でカイザが俯いて言う
「俺はもう 海賊を辞めたんだ 船にも乗る気は無いのー」
ヘクターが表情をしかめて言う
「なんでだよ!?お前は世界一の海賊じゃなかったのかよ!?」
カイザがヘクターへ向く ヘクターの後ろにプログラマーのホログラムが居る カイザがそれを見て苦笑して言う
「ヘクター、お前?昔スカルの奴隷だったアルバレロって奴と決闘して負けただろ?覚えてるよな?」
ヘクターが一瞬衝撃を受けた後 苦笑して言う
「あ…っ あれはー… まぁ… あれだ?そのぉ…」
ヘクターが後方を気にしてから言う
「あん時は、デスが俺を見放してよ?まぁーそれ以降は 俺はデスとしか組まねーって 決めたんだけど」
ヘクターが苦笑する プログラマーが軽く笑って言う
『今なら手を貸してやっても良いぞ?私の世界一の相棒が 無様に負けてしまっては困る』
ヘクターが言う
「いや、あの試合の事は あのままで良いんだ… あん時は頭に来てたけど 今となっては 懐かしい思い出って言うか… 良い教訓になったってやつかな?ははっ!」
ヘクターが照れ臭そうにする プログラマーが苦笑する ザッツロードと仲間たちが顔を見合わせて微笑む ザッツロードの通信機が鳴る 皆が一瞬驚き ザッツロードが言う
「リーザロッテ王女からだ …はい、こちら」
通信を繋いだ瞬間に リーザロッテの声が響く 
「ちょっと!早く来なさい!!」
皆が驚く ザッツロードが改めて通信機に言う
「あ、あの?リーザロッテ王女?一体…?」
リーザロッテが叫ぶ 
「良いから!すぐに来なさい!北東の広場まで来たら 分かるわ!早く!!」
ザッツロードが驚いたまま すでに切られた通信機をしまいながら 仲間へ視線を送る ソニヤとラナが顔を見合わせてソニヤが言う
「北東… 確か?オライオンが行ったのって?」
ラナが言う
「北… と言うより この町の感じだと北東になりそうね?」
ソニヤとラナに続きセーリアが言う
「まさか…ね?」
ヘクターが疑問して言う
「『まさか…』何なんだ?」
ザッツロードと仲間たちが衝撃を受ける ヘクターが首を傾げる プログラマーが軽く笑う

【 アバロン帝国 玉座の間 】

ヴィクトールの前に跪くザッツロードと仲間たち ヘクターがヴィクトールへ言う
「…って訳で、カイザは自分を導いてくれてた相棒が居なくなっちまってから めっきり海賊としての力を失っちまったってーんだ 俺が見た感じでも あれじゃ無理なんじゃねーかな?」
ヘクターの言葉にヴィクトールが頷いて言う
「実は、貴公らをヴィルトンへ向かわせて直ぐに そちらの知らせを受けていたのだ 無駄足をさせてすまなかった」
ザッツロードが視線を落とす リーザロッテが問う
「ヴィクトール皇帝陛下、それで?海賊カイザは船を出せず その者の友人であるスカルと言う元海賊へ 私たちを島まで連れて行く事を交渉したのですが それも 叶いませんでした その者の話では あの海域へ行ける船乗りは 居ないのではないかとの事です これでは魔王退治が出来ません」
リーザロッテの言葉を肯定するように皆の視線がヴィクトールへ向く ヴィクトールが少し考えてから言う
「ああ、カイザの話を受け 次の案として名の挙がる者が居るのだが…」
ザッツロードが言う
「我々を島へ送る事が出来る船乗りが居るのでしたら 再び その者を捜索して参ります!」
ザッツロードの打診にヴィクトールが顔を横に振って言う
「いや、居場所は分かっているのだ ただ 1つ問題があってな?」
ザッツロードが問う 
「その問題とは?」
リーザロッテが声を上げる
「何か問題があるのでしたら 私たちが解決致しますわ!」
リーザロッテの言葉にザッツロードがヴィクトールへ向いて頷いて同意を示して言う
「我々に出来る事でしたら 何でもします!どうかその問題を教えてください」
真剣な眼差しのザッツロードを前に ヴィクトールが一度息を吐いて言い辛そうに言う
「…では 貴公らは 天使… という者の存在を信じるか?」
ザッツロードと仲間たちが呆気に取られ ザッツロードが言う
「…え?…天使?」

【 ベネテクト国 】

犬のロスラグが尻尾を振って吠え立てる ロキとヴェルアロンスライツァーが顔を見合わせ ロキが通信機を取り出して連絡を入れる ロキが通信機で話している間に ヴェルアロンスライツァーが犬のロスラグへ言う
「これで我々の任務は終了だ この後はアバロンへ向かい 貴殿を人の姿に戻し… いや、変えてもらう事となる」
犬のロスラグが喜んで返事をする
「わん!」
ヴェルアロンスライツァーが軽く笑う 通信を終えたロキが来て言う
「…すぐに来られるそうだ 場所は口頭で伝えただけだが 分かるので迎えは不要だと」
ヴェルアロンスライツァーが頷いて言う
「バーネット第二皇帝陛下は 以前はこのベネテクトの王であられた方だ 今更、我々が道を案内する必要は無いのであろう」
ロキが頷いて言う
「…それもそうだな」
2人が黙って立っている ロスラグが2人を見上げて尻尾を振っている 2人がロスラグを見下ろし ロキが言う
「…所で」
ヴェルアロンスライツァーが頷いて言う
「ああ、私は…」
ロスラグが疑問する ヴェルアロンスライツァーがロキへ向いて言う
「やはり ポチだと思う」
ロキが顔を横に振って言う
「…いや、ハチ公だ」
ロスラグが疑問する ヴェルアロンスライツァーが言う
「ならば タマか?」
ロキが顔を横に振って言う
「…それなら ミケで良いだろう?…いや、その前に猫になっている」
ロスラグが衝撃を受け焦って吠える
「わんっ わんっ わん!」

【 アバロン城 城門前 】

ロキとヴェルアロンスライツァーと犬のロスラグが城の門へ向かう 門兵が言う
「失礼ですが、そちらの犬は 先住民族の方でしょうか?」
犬のロスラグが怯える ロキとヴェルアロンスライツァーが一度顔を見合わせてから ロキが言う
「…そうだ ヴィクトール皇帝陛下には 既に連絡を入れてある」
ヴェルアロンスライツァーが微笑して言う
「我々の仲間だ 通して貰いたい」
犬のロスラグが驚く 門兵が敬礼して言う
「はっ!失礼致しました!お勤め お疲れ様です!」
ロキとヴェルアロンスライツァーが進み入る 犬のロスラグが驚いていた状態からハッとして慌てて続く

玉座の間 

ヴィクトールが宝玉を片手に意識を集中させている 宝玉が光り その前で犬のロスラグが人の姿に変わる 後方に居るロキとヴェルアロンスライツァーが顔を見合わせてから 再び視線を向ける 2人の視線の先で ロスラグが体の感覚を確かめている ヴィクトールが軽く首を傾げて言う
「どうかな?貴公が1人目なのだが 何か不具合でもあるだろうか?」
ロスラグがハッとして慌てて向き直って言う
「あ、いえ!大丈夫ッス!ヴィクトール皇帝陛下!有難うございますッス!」
ヴィクトールが微笑して言う
「なら良かった それに、こちらこそ礼を言わねばならない 悪魔力に関しては我々、後住民族の致した事だ 貴公の支援に感謝する」
ロスラグが呆気に取られる ヴィクトールが後方のロキとヴェルアロンスライツァーへ向いて言う
「貴公らもご苦労だった 勇者たちと同行するのであれば 彼らは現在シュレイザー国に居る」
ロキとヴェルアロンスライツァーが一度顔を見合わせてからヴィクトールへ向き ロキが言う
「…我々は 勇者たちへの同行は しない」
ロスラグが驚いて振り返る ヴェルアロンスライツァーが続けて言う
「我々はスプローニ国 及び シュレイザー国へ向かい 各国の防衛に当る予定です」
ヴィクトールが言う
「そうか、分かった 引き続き貴公らの活躍を期待している」
ロキとヴェルアロンスライツァーが敬礼する ロスラグが2人の言葉に驚いている状態から ハッとして慌てて敬礼する ロキとヴェルアロンスライツァーが退室する ロスラグが慌てて追いかける ヴィクトールが微笑して玉座へ戻る

城門外 アバロン城を出たロキ、ヴェルアロンスライツァーの下へ ロスラグが慌ててやって来て言う
「ロキ隊長!ヴェルアロンスライツァー副隊長!待って下さいッスー!」
ロキとヴェルアロンスライツァーが足を止め振り返る ロスラグが言う
「スプローニとシュレイザーの防衛ってどう言う事ッスか!?ヘボ勇者たちに合流するんじゃ無かったッスか!?」
ロキが言う
「…その件に関しては 我々は辞退した」
ロスラグが驚いて言う
「じ、辞退って!?い、いつ辞退したッスか!?俺 全然 知らなかったッスよー!?」
ロキとヴェルアロンスライツァーが顔を見合わせ ヴェルアロンスライツァーが言う
「そう言えば、貴殿は丁度その時 他の犬と 会話をしている様子であった」
ロキが言う
「…ああ、通りすがりの ただの犬とな」
ロスラグが衝撃を受け 慌てて言う
「あっあああ、あの時ッスか!?ちょ、ちょっと可愛い子が居たもんで つい… あっ いや 違うッスよ!?俺たち先住民族は 普通の犬とはーっ!」
ロスラグがハッとして 赤面してから言う
「っと、ち、違うッス!それ所じゃないッス!ロキ隊長!ヴェルアロンスライツァー副隊長!いつだったかは 分かったッスから!何でヘボ勇者たちと 結界の島に行かないッスか!?そっちを教えて欲しいッスー!!」
ロキが言う
「…理由は単純だ 奴らだけで 戦力が足りていると 判断したまでだ」
ヴェルアロンスライツァーが言う
「そして、作戦が決行されれば こちらの大陸に魔物が増加する よって、我々はこちらの大陸にて それぞれの国の防衛に当たる事を選択した」
ロスラグが慌てて言う
「そうだったッスか!?俺全然知らなかったッス!あ、それと!?もう1つ教えて欲しいッス!何でスプローニとシュレイザーに分かれちゃうッスか!?俺はロキ隊長とヴェルアロンスライツァー副隊長の2人と一緒に戦いたいッス!!けど、またロキ隊長とヴェルアロンスライツァー副隊長の2人が戦うのは 絶対 嫌ッスよー!?」
ロスラグが膨れっ面になる ロキとヴェルアロンスライツァーが顔を見合わせ 軽く笑ってからロスラグへ向いてヴェルアロンスライツァーが言う
「私とロキが戦う事は もうないであろう」
ロキが言う
「…そして、我々が2国に分かれるのは 互いの守りたいものが その2国に分かれているからだ」
ロスラグが呆気に取られた後、俯き 悲しそうな表情で言う
「そうだったッスか… 俺、ロキ隊長とヴェルアロンスライツァー副隊長の2人が戦う事は無いって言うのは 凄く嬉しいッス けど、2人が2つの国に分かれちゃうのは寂しいッス 俺は ロキ隊長とヴェルアロンスライツァー副隊長が2人で 一緒に戦ってるのを見るのが好きッス 凄くカッコ良いと思うッスよ」
ロキとヴェルアロンスライツァーが顔を見合せ苦笑し ロキが言う
「…俺たちは2つの国へ それぞれ分かれるが 有事の際は再び共に戦う」 
ロスラグが顔を上げ2人を見る ヴェルアロンスライツァーが微笑して言う
「もちろんだ、我々は 相棒なのだからな」
2人が軽く笑い 歩き始める ロスラグが呆気に取られてから 笑顔になり頷き 2人を追いかけて言う
「それなら全然良いッスよ!俺は 2人が仲良くしててくれるのが チョー嬉しいッス!あっ でもヴェルアロンスライツァー副隊長とは これからちょっと遠くなって なかなか会えなくなっちゃうッス!俺やっぱり ちょっと寂しいッスよー!?」
ロキとヴェルアロンスライツァーが笑う

【 ローレシア城 】

バッツスクロイツが機械の操作を終えて言う
「オッケー!これで準備万端ーん!」
バッツスクロイツの後ろにプログラマーがホログラムを現せて言う
『これで、後はあの島の結界を解除すれば いつでも島の悪魔力を中和する事が可能となる』
バッツスクロイツが振り返って言う
「そーゆー事!後はー勇者様たちが あの島の魔王を倒すー!ってねー」
プログラマーが間を置いて言う
『…その 勇者たちとの連絡は ロキに代わりお前が受け持ったのではなかったか?』
バッツスクロイツが衝撃を受け慌てて言う
「ああーっと そうだったー ヤバイヤバイついメカチューンしてると 他の事忘れちゃうんだよねー?」
バッツスクロイツが照れながら通信機の操作をする プログラマーが苦笑して言う
『もっとも、双方 終了した者が連絡を入れると言う事であった あちらからの連絡が無いと言う事は まだ海賊カイザJrとは 交渉中なのかもしれん』
バッツスクロイツが着信を待ちながら 軽く笑って言う
「天使様を探してるーって人だろ?何でも、親父さんの相棒の天使様が居なくなっちゃって 元気なくしちゃってるからー?それを探して元気にしてあげたいーなんて?親孝行な海賊もいるもんだよねー?」
プログラマーが軽く微笑む 通信機が着信する バッツスクロイツが通信機へ向かって言う
「やっほー 勇者様たちー?調子はどーだい?」
通信機のモニターに映ったザッツロードが表情を落として言う
『それが…』

【 アバロン城 玉座の間 】

ヴィクトールが宝玉を片手に意識を集中し 目前に居る犬に向けている 犬の後ろに護衛が2人居て見守っている 間もなく宝玉が光り、犬の体に光が纏わり 1人のスプローニの民が現れる スプローニの民が体の調子を確認する ヴィクトールが軽く微笑んで言う
「どうかな?問題は無いと思うのだが?」
スプローニの民が笑顔で言う
「はい!問題ないです!ヴィクトール皇帝陛下!有難うございますです!これでまた 皆と話が出来るんで 俺凄く嬉しいです!」
ヴィクトールが一瞬呆気に取られてから微笑して言う
「そうか、こちらこそ貴公の協力に感謝する」
スプローニの民が笑顔で言う
「はい!またいつでも俺たちは ヴィクトール皇帝陛下にも!後住民族の人たちにも!協力するですよー!」
スプローニの民の護衛2人が微笑する

スプローニの民と護衛の2人が玉座の間を後にする ヴィクトールがそれを見送り玉座に戻ると軽く息を吐く レリアンが心配そうに見て言う
「ヴィクトール皇帝陛下、少しお疲れなのではありませんか?あまりご無理をされては」
ヴィクトールがレリアンへ向いて苦笑して言う
「ああ、大丈夫だ 魔力穴の製作が終盤に来て 先発隊である犬の先住民族たちへ行う 宝玉を使用する作業が 少し重なってしまっただけだ 先ほどの者で 犬の先住民族は皆、終了したのだし それに…」
ヴィクトールが言葉を区切り 微笑んで言う
「皆、人の姿に変わる事で 我々後住民族と会話を出来る事を喜んでいる その様子を見ていると とても嬉しい気分になるんだ」
レリアンが微笑んで言う
「そうですね 先住民族の方々は とても自分の気持ちに素直である様に見えます …その代わり、言葉の方は 少しおかしな所もある様ですが」
レリアンが軽く笑う ヴィクトールが釣られて軽く笑う 家臣A、Bがその様子を見て顔を見合わせ微笑む 家臣Cがやって来て 周囲の和やかな雰囲気に微笑みながら ヴィクトールのもとへ行って言う
「ヴィクトール皇帝陛下、バーネット第二皇帝陛下より ご連絡がありまして 最後の魔力穴の製作が 無事終了したとの事です」
ヴィクトールが家臣Cへ向き 微笑して言う
「そうか、ではこれで 大陸の方の準備はぼぼ整った バッツスクロイツも前の連絡で作業は順調だと言っていたし 後は勇者たちの連絡を待つのみだね?」
レリアンが言う
「しかし、陛下?勇者方が協力の要請に向かいました 海賊カイザの息子では 島の近くの海域を乗り越える事は 難しいのではないかと言うお話を 伺いましたが…?」
ヴィクトールが少し驚いて言う
「うん?…ああ、そうだね?けど、レリアン?何故 その話を君が知っているんだい?」
家臣A、Bが慌てる ヴィクトールが家臣の2人を見て軽く苦笑してから レリアンへ言う
「その件については 既に対策を立ててある それに加え 最悪、カイザJrが行けない場合の策も 考えてあるんだ 心配は不要だよ」
ヴィクトールが微笑む レリアンが少し驚いた後、微笑する

【 ローレシア城 】

バッツスクロイツが城の外へ向かいながら通信機に話す
「って事でー、最悪 そのカイザJrが行けなくっても?別の案があるから 心配ナッシングーってね!まぁーそう言う事だからー?ザッツっちたちも アバロン城へ帰っておいでよ?」

【 シュレイザー国 】

ザッツロードが通信機の通話を終え 振り返って言う
「カイザJrが僕たちの交渉に了承してくれた場合 彼のお父上であるカイザが 再び協力する事を約束していたそうなんです しかし、結果的に…」
ソニヤが怒って言う
「もぉお!あんなに私たちに お願いって言わせておきながら!」
ラナが呆れて言う
「あれだけ言っても 彼の合格をもらえたのは シャルだけだった訳だし あれ以上続けても無駄よ」
シャルロッテが赤面しながら言う
「で、ででででも あの合格はっ かなり大目に見て頂いたものだとっ!?」
レイトが言う
「しかし彼は あの海域を越える自信が無いとも申しておりました 父親が協力するのだと言う事を話せば 改めて了承を頂く事も可能では無いかと?」
ザッツロードが苦笑して言う
「それが… その事を言わない状態で 交渉する事が条件だったそうで」
オライオンが気付いて言う
「あー それ知ってるぜー?アバロン式第2弾ってやつなんだ 実力があるのに自信が無いって言ってる奴の 本気を出させる為にな?本当は協力するって決めてあっても 本人の意思で 行くって言わせ無いと駄目なんだってよ?」
オライオンが笑顔になる シュライツが喜んで奇声を発する リーザロッテが怒って言う
「そう言う事はもっと早く仰い!先に分かっていたら 私たちも何か別の方法を 探し出せたかもしれなくてよ!?」
ロイが言う
「…そう言う事なら ヴィクトール皇帝陛下は我々にも そのアバロン式第2弾を 試していたのかもしれない」
リーザロッテが衝撃を受けて怒って言う
「仲間である私たちを試すだなんて!ヴィクトール皇帝陛下は 本当は私たちを信じていらっしゃらないという事でして!?」
ザッツロードが苦笑して言う
「どちらであっても 僕たちは失敗してしまいました ヴィクトール皇帝陛下は 別の案も用意してあるとの事なので 僕らはアバロンへ戻りましょう?」
リーザロッテがザッツロードへ向き 間を置いて言う
「そうね、今回は仕方が無いわ… 次の指令を必ず成功させて この失敗を巻き返して差し上げたらよろしくてよ!」
リーザロッテが槍の柄で床を叩いて活を入れる 俯き掛けていた皆が顔を上げ苦笑する

【 アバロン帝国 移動魔法陣 】

移動魔法陣に ウィザードとバーネットと大量のネズミたちが現れる バーネットがアバロン城へ向け歩き出す ウィザードと共に 足元の大量のネズミたちがバーネットの周囲で一緒に進む 城下町の住民たちが呆気に取られる バーネットが肩に乗ってチューチュー鳴いているネズミへ言う
「だぁあから チーズを温めて液状にした物を パンにくっ付けて食うのは チーズフォンデュっつって アバロンじゃもう100年以上前から 食われてたって言ってるだろぉ?」
肩に乗っているネズミが驚き 慌ててチューチューと騒ぐ 足元のネズミたちが顔を見合わせバーネットを見上げてチューチュー鳴く バーネットがネズミたちへ向いて怒って言う
「うるせぇ!てめぇえが考える以前から アバロンじゃ知られてたんだよ!てめぇえらは 世界中のチーズを集めやがるんなら!一緒にチーズのレシピも集めやがれ!」
城下町の住民たちが驚き顔を見合わせ バーネットたちの進行を見守る

玉座の間

ヴィクトールの前にプログラマーがホログラムを現していて ヴィクトールが言う
「それは助かる これから来る予定のネズミたち1人1人を 私が宝玉を使用して人の姿にするのは 流石に気の遠くなる思いだったんだ」
プログラマーが軽く笑って言う
『それでも 私が言いに来なければ お前は決行するつもりで 居たのでは無いのか?』
ヴィクトールが苦笑して言う
「ああ、可能な限り行うつもりでいた しかし、勇者らから連絡を受け それは出来ないと言う事も同時に分かり 我々以前から先住民族の犬たちへ宝玉を使用する作業を執り行っていた スプローニ国のラグウェルス殿へ 委託する事も検討していたんだ」
プログラマーが驚いて言う
『スプローニ国の王は 先住民族の事を知っていたのか?』
ヴィクトールが微笑して言う
「うん …と言っても 先住民族と言う言葉や 我々が後住民族である事などを知っていた訳ではなく スプローニ国に生まれる犬の中に 人の姿になる力を持つ一族が 存在すると言う事だけを知っていたそうなんだ」
プログラマーが軽く笑って言う
『なるほど、それで あの国には、やたらに 犬を守る憲法が 充実しているのだな?』
ヴィクトールが軽く笑って言う
「あははは、それもそうかもしれないが 歴代のスプローニ国の国王が 憲法を作るのが好きだと言う噂もあるのだけど?」
衛兵がバーネットの到着を伝える ヴィクトールたちが出入り口へ向く バーネットとウィザードと大量のネズミたちが現れる ヴィクトールが苦笑し レリアンが悲鳴を上げ掛け慌てて口を押さえる バーネットが言う
「よう、ヴィクトール さっそくこいつらを人の姿に『戻して』やってくれ チューチューうるさくって…」
バーネットの言葉に ネズミたちがハッと気付き怒って鳴く バーネットが怒って叫ぶ
「だから うるせぇええっつってんだろ!!人の姿に『戻す』だろうが『変身させる』だろうが どっちだって良いだろがぁああ!?」
ヴィクトールが呆気に取られ苦笑し 笑顔で言う
「バーネット、ついに 先住民族の元の姿の者とも お話が出来る様になったのかい?」
バーネットが衝撃を受け 怒って言う
「うるせぇええ!!出来て堪るかぁああ!!」

プログラマーが台座に乗せた宝玉へプログラムを実行する 宝玉が光り ネズミたちの体に次々に光りが纏う ヴィクトールが微笑して バーネットへ言う
「それはそうと、各国からの魔力穴の製作に関する情報の備考記載に 君がネズミたちと会話を行ってるらしいと書かれていて 僕は本当に驚いたんだよ?バーネット」
バーネットがヴィクトールへ向き 苦笑して言う
「ハッ!会話してた訳じゃねぇよ ただあいつらのやる気を出させようと思って あいつらが好きそうな話を勝手に俺がくっちゃべってただけだ まぁ、あいつらも気に入ったんだか知らねぇが 嬉しそうに鳴いたり 文句でもありやがる感じに 鳴いてやがったりしてたからよ?まぁまぁだったんじゃねぇのか?」
ヴィクトールが呆気に取られた後 微笑して言う
「君のそんな所は 流石アバロンの慈愛の王様 って感じだね?バーネット?」
バーネットが苦笑した後 横目でヴィクトールを見て言う
「だからって 悪魔力から世界を救った後まで アバロンの慈愛の王様への出張を 続けるつもりはねぇからな?」
ヴィクトールが衝撃を受け 怒って言う
「君が出張していたのはベネテクトであって 元々君はこのアバロンの第二皇帝なんだよ!?バーネット!」
バーネットが怒って言う
「るせぇえ!例えそうであっても 俺が求めるのはベネテクトの王位だ!出張してるのはアバロンなんだよ!」
ヴィクトールが慌てて言う
「ベネテクトの王位には もうベーネット殿が就いているのだから 君が居られるのは やっぱりアバロンの第二皇帝なんだよ!?バーネット!」
バーネットが慌てて言う
「るせぇえ!だったらベネテクトにも第二国王を作ってやるぜ!俺は常に賞金稼ぎにでも行って!今度こそ 一庶民に金を渡せるベネテクトの王になるんだよ!」
ヴィクトールが怒って言う
「酷いよバーネット!この大帝国を僕1人に押し付けるつもり!?アバロンは友情と慈愛の国なんだよ!?2人の王が居ないと また慈愛の王様が長期出張中になっちゃうじゃないかーっ!」
バーネットが怒って言う
「うるせぇえ!知るかぁあ!てめぇえは このアバロン帝国の第一皇帝だろ!!泣き言言ってんじゃねぇええ!!」
レリアンが咳払いをして言う
「おほんっ ヴィクトール皇帝陛下並びにバーネット第二皇帝陛下 痴話喧嘩は民の居ない場所で行って下さいまし!」
ヴィクトールとバーネットがハッと衝撃を受ける ヴィクトールとバーネットの前で 人になったシュレイザーの兵たちが呆れている チョッポクルスが笑顔で言う
「ま、また~~ け、喧嘩しちょるのか~~?そ、そんな事では~~ ま、また余が せ、世界大戦を~~ ぼ、勃発させなければ~~ い、いけないんじゃ~~?」

バーネットが鞭を片手にチョッポクルスを踏みつけている ヴィクトールが玉座に座っていて言う
「諸卿の協力に感謝する 今後は間もなく発生するであろう 各国の魔物の増加へ対する対処へ向けて 我がアバロン帝国からも 諸卿の祖国シュレイザー国を守るべく兵を向かわせる どうか再び シュレイザー国及びこの世界を守る為 諸卿の力を貸して貰いたい」
シュレイザーの兵たちが呆気に取られた後ハッとして敬礼する

【 アバロン帝国 移動魔法陣 】

ザッツロードと仲間たちとリーザロッテと仲間たちが移動魔法陣に現れて アバロン城へ向かって歩き出す 対向にシュレイザー国の兵たちが移動魔法陣へ向かい歩いて来る それを見てソニヤが言う
「ねぇ?今の兵士たち シュレイザー国の国印を付けていたって事は シュレイザーの兵よね?何であんなに大勢アバロンに来てたのかなぁ?」
ザッツロードが苦笑して言う
「シュレイザー国の先住民族はネズミで シュレイザー国の民は その殆どが先住民族らしいから あの兵士たちもシュレイザーの先住民族なのではないかな?」
リーザロッテが疑問して言う
「では、その兵士たちが たった今アバロンの魔力穴を作り終えて シュレイザーへ帰ると言う所なのでして?」
レイトが言う
「アバロンの魔力穴を作り終えた所であるのかは定かではありませんが 人の姿になったと言う事は 作業は全て終了したと言う事になるかと?」
リーザロッテが納得して言う
「そうね、なら次は 私たち勇者たちの出番と言う事だわ!さぁ!アバロン城へ急ぐわよ!」
リーザロッテが先行し レイトとヴェインが顔を見合わせ苦笑して後に続く シャルロッテが慌てて続く ラナとセーリアがそれに続き ソニヤが続こうとして アバロン城を見上げているザッツロードに気付いて言う
「どうしたの?ザッツ、急がないと リーザたちに勇者の出番を取られちゃうわよ?」
ザッツロードがソニヤの声に気付いて言う
「あ、うん その… ヴィクトール陛下が 次にお考えの策って何かな?と思って…」
ザッツロードが苦笑する ソニヤが呆気に取られた後 軽く笑って言う
「そんなの聞いてみないと分からないに決まってるじゃない?先代勇者の時は カイザの海賊船で あの島まで行ったんだし そのカイザもカイザJrも駄目だって言ったら もっと別の事かもしれないじゃない?」
ザッツロードが考えながら言う
「もっと別の事か…」
ソニヤが疑問し 改めて言う
「とにかく、急いで行かないと!その別の案にも乗り遅れちゃうかもしれないし?リーザたちに取られちゃうかもしれないじゃない!ほら!急いでってばー」
ソニヤがザッツロードの背を押す ザッツロードが一瞬驚き苦笑して リーザロッテと仲間たちの後を追う

【 アバロン城 玉座の間 】

バーネットが通信機に向かって言う
「うるせぇえ!ローレシアの装置はもう完成したんだろ!?だったら後は あのガルバディアのプログラマーのデスに任せて!てめぇえはとっとと 俺が依頼したプログラムを作りやがれ!!」
通信機のバッツスクロイツが怒って言う
『チョー人使い荒いんですけど この人!慈愛の王様は 何処へ出張中なんですかー!?』
バーネットが呆気に取られた後 怒って言う
「てめぇええ!!どっかの第一皇帝の通信を盗んでやがったのかぁああ!?」
通信機の中のバッツスクロイツがニヤニヤ笑う ヘクターがヴィクトールのもとに来て言う
「じゃー、予定通り 俺は3番隊の連中と ガルバディアの防衛に就くぜ?ウィザードのデスはアバロンの防衛に就いて 俺の相棒のデスはあの島の中和作業をしたら 俺と一緒にガルバディアの防衛に就く だから、ガルバディアの事も アバロンの事も心配するなよな?」
ヴィクトールが頷いて言う
「うん、我々も可能な限り急いで戻る それまでの間 このアバロンの防衛は1番隊及び2番隊の隊長らに 任せる事にしたのだが」
ヘクターが軽く笑って言う
「ああ、それで良いと思うぜ?ウィザードのデスは 確かに強いけど 部隊指揮なんて執れねぇから ついでに うちの馬鹿息子たちは 指揮を執る事より 単独で弱ってる所の支援へ向かわせた方が良い」
ヴィクトールが苦笑して言う
「本来ならオライオンにアバロン3番隊を任せる予定だったのだけど 今回のガルバディア防衛は 何が何でも成功させなければならない ヘクター、我らアバロンとガルバディアの友好を取り戻すためにも 何としても成功させてくれ」
ヘクターが自信を持って笑顔を見せて言う
「まかせとけって!ガルバディアは俺の相棒の故郷だぜ!?俺が守らねーで 誰が守るって言うんだよ!!」
ヴィクトールが頷いて言う
「よし、アバロン帝国3番隊隊長ヘクター ガルバディアの防衛を任せる!」
ヘクターが笑顔で言う
「おう!アバロンの勇者様たちも 頼んだぜ!!」
ヘクターが言い終えると共に走って玉座の間を後にする ヴィクトールが軽く笑みを見せる バーネットが通信を終え振り向いて言う
「こっちの準備も順調だ 俺らが戻るまでに あのバッツスクロイツが プログラムを作り上げていやがらなかった時は アバロン歴代の拷問禁止令は ぶっ壊れるからなぁ?」
ヴィクトールが苦笑して言う
「そうは ならない事を祈るよ」
ヴィクトールとバーネットが玉座を立つ ヴィクトールとバーネットは甲冑を身に付けている

城門前

ザッツロードと仲間たちとリーザロッテと仲間たちがやって来る 城の中からヴィクトールとバーネットが出て来る ザッツロードたちが驚き顔を見合わせてから急いで向かう ヴィクトールとバーネットがザッツロードたちに気付いて顔を向ける ザッツロードがヴィクトールの前に来て慌てて言う
「ヴィクトール皇帝陛下!?」
リーザロッテが続いて来て言う
「どちらかへ向かわれるのでしたら 私たちへ次の案を!」
ヴィクトールが一瞬驚いた後 微笑して言う
「ああ、諸卿への指示は レリアンに伝えてある 彼女から確認を取ってくれ 我々は今 急ぎ向かわなければならない」
ヴィクトールが宝玉を手に持つ ザッツロードがその様子に問う
「あの… 僭越ながら ヴィクトール皇帝陛下とバーネット第二皇帝陛下のお2人が 甲冑を身に付けて 向かうと言うのは?」
リーザロッテたちが反応して 改めてヴィクトールとバーネットの姿を見る ヴィクトールが言う
「ザッツロード王子、貴公は中々 大した洞察力を持っている様だ」
リーザロッテが驚き ザッツロードへ向いて言う
「どう言う事でして!?ハッキリ仰い!」
ザッツロードがリーザロッテへ向いた後 視線を落とす リーザロッテが疑問し ヴィクトールへ顔を向ける ヴィクトールが微笑して改めて言う
「私とバーネットは 結界の島に存在し 現在 魔王と呼ばれている元竜族のドラゴンを 鎮圧して参る」
ザッツロードの仲間たちとリーザロッテの仲間たちが驚く ヴィクトールが言う
「魔王討伐はローレシアの勇者の責務として 世界中に知れ渡っている 我らの行動は 貴公からそれを奪ってしまう事にもなるが ザッツロード王子、並びにリーザロッテ王女 我らの行いを了承して貰いたい」
ザッツロードが顔を向けて言う
「ヴィクトール皇帝陛下!どうか理由を教えてください!何故 我々では あの魔王を打ち倒す事は出来無いと 御判断をされたのでしょうか!?」
バーネットが軽く笑って言う
「んな判断なんざしてねぇよ?むしろ、ヴィクトールは あのロキやヴェルアロンスライツァー、それにヘクターとオライオンの奴らが居なくったって お前らなら魔王退治は可能だと 信じてたんだぜ?」
リーザロッテが焦って言う
「でしたら!引き続き私たちへご使命を!それにカイザJrの説得が失敗に終わった今 お2人はどの様にしてあの島まで向かわれるおつもりでして!?」
シャルロッテが慌てて言う
「あ、あああのっ その方法は 初代勇者たちとっ おおお同じっ なのではっ 無いでしょうかっ!?」
ザッツロードたちが驚く ヴェインがシャルロッテへ言う
「初代勇者達は魔王を倒しては居ないだろう?」
レイトが言う
「だが、初代勇者ザッツロード1世らは あの島へ行き 島から悪魔力が発生している事実を突き止めた」
ソニヤがハッとして言う
「それじゃ!ヴィクトール皇帝陛下は 竜族の人たちに お願いをしに行くって事!?」
皆がヴィクトールへ視線を向ける ヴィクトールが苦笑して言う
「いや、今のあの島へ 竜族の者を向かわせる事は忍びない だが、彼らの力は このバーネット第二皇帝が受け継いでいる 従って 我ら2人が向かうのだ」
バーネットが苦笑して言う
「あの島までの距離は ざっとこの大陸を東西に1往復だぜ 空を飛んでく分 船よりは早く着くだろうが 正直、島まで行った頃には 俺は魔王と戦うような体力は 残っちゃいねぇだろうな?」
ヴィクトールが言う
「それに、海上は この大陸より強い風が吹き荒れている 体力の消耗は大陸の上空を飛ぶ事よりも 激しいものとなるだろう」
ザッツロードが言う
「それでしたら!私が参ります!アバロン帝国の第一皇帝陛下をお1人で 魔王と戦わせる訳には!」
ヴィクトールが苦笑して言う
「ザッツロード王子、私は諸卿の力を信用してはいるが それは諸卿全員の力が合わさっての話だ 失敬ではあるが 貴公一人の力が このアバロンの大剣使いである 私より上であるとは思えない」
ザッツロードが衝撃を受け言葉を失う リーザロッテが腕を組んで言う
「それはそうよね?」
シャルロッテがモバイルPCを操作しながら言う
「推測の計算であっても ザッツロード王子とヴィクトール皇帝陛下の戦力差は 2.8倍以上であると…」
ザッツロードが衝撃を受ける ヴィクトールが苦笑する バーネットが爆笑する

ヴィクトールが言う
「では、我々は向かわせて貰う 諸卿も改めて与えられる任務へ励んでくれ」
ザッツロードが表情を落としたまま言う
「はい …ヴィクトール皇帝陛下 どうかお気を付けて」
ヴィクトールが微笑んで言う
「心配は不要だ 私には頼りになる相棒が居てくれる」
バーネットが軽く笑って言う
「まぁ、これも悪魔力との戦いの1つだからな?今回は出張は無しだぜ」
ヴィクトールが苦笑して言う
「アバロンからは2人とも出張になるけれどね?」
ヴィクトールが宝玉に意識を集中させる 宝玉が光り バーネットの身が光に覆われる 光りが消えると 真っ黒いドラゴンが現れる ザッツロードと仲間たちが驚いて見上げる ヴィクトールがドラゴンへ飛び乗る ソニヤが首を傾げて言う
「もう1人か2人位 乗れそうだけど?」
ドラゴンがソニヤへ向いて言う
「俺は元が 竜族でもドラゴンでもねぇんだ 大人数乗っけて長距離を飛ぶなんて出来ねぇよ」
ザッツロードが肩を落として言う
「それに、僕らは 新たに与えられる任務に励まないと」
リーザロッテが苦笑して言う
「そうね?残念だけど 魔王討伐はアバロンの勇者様方へ お任せしましょ?」
ザッツロードが頷いて言う
「はい、そうですね」
ドラゴンが飛び立つ ザッツロードと仲間たちが飛び去って行くドラゴンを見上げる ザッツロードが苦笑して リーザロッテへ言う
「本物の勇者様が現れたみたいですね?」
リーザロッテが一瞬驚いてから ぷいっとそっぽを向いて言う
「ヴィクトール皇帝陛下はアバロンの勇者様なのよ?私はツヴァイザーの勇者なのだから 関係なくってよ!」
リーザロッテが言い終えると共にアバロン城へ向かって歩いて行く ザッツロードが呆気に取られる ソニヤが苦笑して言う
「あー… なるほど?各国に 勇者が居るって事ね?」
ラナが溜め息を吐いて言う
「まぁ… 良いんじゃないの?各国に勇者を作っちゃいけない なんて決まりは無いのだから?」
皆が苦笑し アバロン城内へ向かって行く

ドラゴンが大陸を抜け 海上上空を飛来する ヴィクトールが機械を片手に言う
「うん、方角はこのままで… バーネット?調子はどうだい?」
ドラゴンが顔を向けないまま バーネットの声で言う
「調子なんざ良いんだか悪ぃんだか分かんねぇが 大陸を抜けちまった以上は 島まで辿り着くしかねぇだろ?」
ヴィクトールが軽く笑って言う
「それもそうだね?島に着いたら後は僕に任せて 帰りの分の体力を回復させておいてくれよ」
バーネットが疑問して言う
「あぁ?帰りは宝玉の精霊様にアバロンまでぶっ飛ばしてくれって 頼んだ方が早ぇだろ?それに俺は この姿になるのは好きじゃねぇ」
ヴィクトールが呆気に取られてから言う
「あれ?そうなのかい?僕は君と一緒に戦えるから好きだけど?それにドラゴンもカッコ良いじゃない?」
バーネットが言う
「ドラゴンがカッコ良いってぇのは否定しねぇが 俺は 元の姿であっても てめぇと一緒に戦えるんだ この姿で一緒に戦ったって てめぇと先住民族のドラゴンが 一緒に戦ってるみてぇなもんだろ?」
ヴィクトールが呆気に取られた後、微笑んで言う
「それもそうだね?魔王退治の次からは 極力ドラゴンの力は使わないでおこう 後住民族の我々と悪魔力との戦いでもあるのだからね?」
バーネットが軽く笑って言う
「ま、そう言うこった」

【 アバロン城 玉座の間 】

玉座に座るレリアンの前にザッツロードが跪いている レリアンが言う
「こちらの大陸から悪魔力を中和するための聖魔力を 島へ送られた後 魔力穴からは通常の基準を超える悪魔力が噴出される事になります 現在バッツスクロイツ殿が 悪魔力を感知するプログラムを作り上げている所ですが そちらが完成する以前に 抵抗力の弱い原生生物が魔物の群れとなり 各国へ被害をもたらす可能性があります 貴方方にはそちらの防衛支援へ向かう様にと ヴィクトール皇帝陛下から指示が出されております」
ザッツロードの仲間たちが顔を見合わせる ザッツロードが少し考えてから言う
「レリアン皇后陛下 我々は具体的に どこの国へ向かったら 宜しいのでしょうか?」
レリアンが少し間を置いて言う
「ヴィクトール皇帝陛下は その選択は貴方方へ一任すると仰られました しかし、あえて私から申し上げるとするなら 現在戦力が十分であると思われる国は このアバロンの他、ガルバディア、デネシア、ベネテクト、スプローニ、シュレイザー、ローゼント そして、支援を必要としてないカイッズとソルベキアとなります 貴方方の多くの祖国でもある ローレシアやツヴァイザーについては 不足している可能性があると 私は思います」
ザッツロードと仲間たちが表情を明るめて ザッツロードが敬礼して言う
「御助言を 有難うございます!レリアン皇后陛下 直ちに向かいます!」
レリアンが微笑して言う
「ザッツロード王子並びにリーザロッテ王女とそのお仲間方 皆の御武運を 期待しております」
ザッツロードとリーザロッテ、仲間たちが敬礼する

ザッツロードとリーザロッテたちがアバロン城から出る リーザロッテが言う
「それじゃ、私たちはツヴァイザーへ向かうわ 貴方方はローレシアに向かうのでして?」
ザッツロードがリーザロッテへ向き頷いて言う
「はい、我々はローレシアの援護へ向かいます」
リーザロッテが苦笑して言う
「自国の防衛は援護とは言わなくてよ?」
ザッツロードが呆気に取られた後、苦笑して言う
「あぁ… そうでしたね?」
ソニヤが苦笑して言う
「ずっと世界を守る勇者様で居たから 急に祖国のローレシアを守れって言われても それこそ援護に行くみたいよね?」
セーリアが苦笑して言う
「そうね?なんだかおかしな感覚だわ」
ロイが少し不機嫌な調子で言う
「…ならば他の国の援護へ 向かえば良いのでは無いか?」
リーザロッテが苦笑して言う
「スプローニ国は戦力が足りていると レリアン皇后陛下が仰っていらしたのだから 貴方は私たちと一緒に 仲間の祖国であるツヴァイザーの防衛へ向かうのよ!当然でしてよ?」
ロイが顔を背ける レイトとヴェインが顔を見合わせ苦笑する シャルロッテがモバイルPCに顔を隠してくすくす笑う

【 ローレシア国 移動魔法陣 】

ザッツロードと仲間たちが移動魔法陣に現れる ザッツロードがローレシア城を見上げ微笑する ラナが言う
「まずはお城へ行って ローレシア領域の町や村の防衛状況を聞いてからじゃ無いと 私たちも自分たちの町や村へ戻っても良いのか 分からないわ」
ソニヤが言う
「でも、私たちローレシアの王様であるキルビーグ陛下は アバロンに幽閉されて居るんでしょ?それじゃ今 ローレシアのお城には誰が居て そー言うのを決めているの?」
ザッツロードが軽く微笑んで言う
「僕の兄上である キルビーグ2世が ローレシア領域の全ての指揮を執っている筈だよ」
ソニヤが言う
「あ、そっかぁ、ザッツは第二王子様だもんね?」
ザッツロードが苦笑する セーリアが軽く微笑んで言う
「それじゃ早速 ザッツのお兄様へ お伺いに行きましょ?」
ザッツロードが頷き ザッツロードと仲間たちがローレシア城へ向かう

ローレシア城

ザッツロードと仲間たちが城内に入ると フォリオッドが驚いて駆け付けて来て言う
「ザッツロード王子!?それにお仲間の方々も!?一体どうされたのです!?何か問題でもございましたか!?」
ザッツロードと仲間たちが驚き ザッツロードが言う
「え?いや、何も無いが、フォリオッドこそ どうしたんだ?そんなに慌てて」
フォリオッドがハッとして言う
「い、いえ!?何もございません!私めは 勇者ザッツロード様方は 魔王討伐へ向かわれたものとっ」
ザッツロードが苦笑して言う
「ああ、魔王退治の勇者は 他の国の勇者様へ譲る事になってしまったんだ 残念ではあるが 代わりに我々は このローレシアの援護… あっ いや!?防衛の任務に就いたんだ」
ザッツロードの仲間たちがくすくす笑う ザッツロードがそれに気付いて苦笑する フォリオッドが驚き慌てる ザッツロードが微笑して言う
「兄上は玉座にいらっしゃるのか?魔王討伐の勇者としては残念な結果を御報告する事になってしまうが 今度はこのローレシアを救う勇者になられるよう 私は励まなければならない」
ザッツロードが玉座の間へ向かおうとする フォリオッドが慌ててザッツロードの前に立って 進行を妨げて言う
「今はっ キルビーグ王子は別の場所にいらっしゃいます!ご案内致しますのでっ!?」
ザッツロードが疑問して言う
「何を言っているんだ フォリオッド?兄上が別の場所に居られるのなら 口頭で伝えてくれれば分かる 私はこのローレシアの王子だ 今更案内は必要ない」
ソニヤがラナと共に セーリアへ向いて言う
「ねぇ?なんか凄い慌て様じゃない?」
ラナが首を傾げて言う
「そうね?まるでザッツロード王子には 玉座の間へ行って欲しく無いって感じよね?」
ソニヤとラナがセーリアへ向く セーリアが呆気に取られた後 水晶玉を手に取って魔力を送る 水晶玉に玉座の間の映像が映り 玉座の間でキルビーグ2世が ロボット兵に倒されている映像が映る ソニヤとラナが驚いて声を上げる
「「ザッツ!お兄様が!!」」
ザッツロードが驚いて振り返る フォリオッドが表情をしかめて叫ぶ
「フェリペゴーランド6号機よ!憎きローレシアの王子 ザッツロード7世を捕らえよ!!」
玉座の間から フェリペゴーランド6号機が飛び出して来て ザッツロードへ向かって攻撃を開始する ザッツロードが驚き慌てて回避する ソニヤとラナが魔法詠唱を開始する セーリアがザッツロードへ先読みの魔法を掛ける フェリペゴーランド6号機の攻撃をギリギリかわしていたザッツロードに 先読みの魔法が掛けられ 回避に余裕が出来る ソニヤがザッツロードの剣に魔力を送る ラナがフェリペゴーランド6号機に雷の魔術攻撃を行う フェリペゴーランド6号機が感電して怯んだ所へ ザッツロードが魔法剣で攻撃を与える フォリオッドが敗北を予感して逃げ出す セーリアが気付き魔法詠唱を終了させ フォリオッドへ呪縛を掛けて捕らえる 間もなくザッツロードたちが勝利する

玉座の間

キルビーグ2世の身に回復魔法が掛けられている キルビーグ2世が目を開き周囲を確認する ソニヤとセーリアが魔法を止め ザッツロードが微笑んで言う
「兄上、良かった…」
キルビーグ2世がザッツロードへ視線を向けて言う
「ザッツ… 何故、お前たちが?」
キルビーグ2世が上体を起こす ザッツロードが言う
「実は、我々は魔王討伐の勇者としての任を解かれ 先ほど、このローレシアへ帰還したのです 不甲斐ない報告を持ち帰ってしまい 申し訳有りません」
キルビーグ2世がザッツロードと仲間たちを見る ソニヤたちが苦笑して申し分けなさそうな表情を作る キルビーグ2世がザッツロードへ向き直って言う
「いや、お前たちが戻って来てくれたお陰で 私もローレシアも助かった 国王の留守を預かっていた 私の誤った判断によって このローレシアがソルベキアに支配されてしまう所だった ザッツ、そしてお前たちも よくぞローレシアを守ってくれた 礼を言う」
ザッツロードと仲間たちが顔を見合わせ微笑む ザッツロードが改めてキルビーグ2世へ問う
「兄上、フォリオッドは捕らえ、地下牢へ幽閉致しました しかし、長年このローレシアに尽くしていてくれた彼が 一体何故 ソルベキアなどに?」
ローレシア兵が走って来て言う
「ザッツロード王子!申し訳有りません!フォリオッドが脱獄致しました!!」
ザッツロードと仲間たちが驚く キルビーグ2世がザッツロードの肩に手をおいて 落ち着かせる様に言う
「フォリオッドが牢を抜け出した方法は分かっている 奴はソルベキアの先住民族なのだ」
ザッツロードと仲間たちが驚く ザッツロードがキルビーグ2世へ向いて言う
「あのフォリオッドが ソルベキアの先住民族!?」
キルビーグ2世が落ち着いて言う
「ああ、しかし それが判明したのは まさしく先ほどの事 私もお前同様にあの者の事は 我らと同じくローレシアの民であると疑ってもみなかった そして、奴は お前たちが魔王討伐へ向かったという誤った情報を得て 父上もお前もおらず アバロンの兵がこのローレシア城から撤退した事を機に 私とローレシアへ奇襲を仕掛けて来たのだ」
ザッツロードと仲間たちが呆気に取られる キルビーグ2世が立ち上がり衛兵へ命じる
「直ちにソルベキアの先住民族を捕らえるプログラムを始動させろ!奴らが2度とこのローレシア城へ入らぬよう 徹底して見張れ!」
衛兵が返事と共に敬礼し走って出て行く ザッツロードが問う
「兄上、その様なプログラムなどが このローレシアに?」
キルビーグ2世がザッツロードへ向き微笑して言う
「ああ、昔 父上がソルベキアの民を疑った頃に 作らせていた物らしい 私も話を聞いた時には まさか使用する事になるとは思ってもみなかった だが、今は 父上のその頃のご判断に感謝するべきだな」
ザッツロードと仲間たちが微笑する

【 魔王の島 】

暴風の吹き荒れる中 ドラゴンの姿のバーネットが島へ着地する ヴィクトールが飛び降り 浜辺に置かれている宝玉とモバイルPCを確認して言う
「よし、このプログラムを解除すれば 島の結界が消える筈だ」
ドラゴンのバーネットが顔を向けて言う
「おいおい?お前が操作する気かよ?ヴィクトール!?」
ヴィクトールが振り返り 軽く笑って言う
「まさか?僕は機械に疎い アバロン帝国の第一皇帝だよ?そんな危険な事 する筈が無いじゃない?」
ヴィクトールが笑顔になる ドラゴンのバーネットが衝撃を受け 慌てて叫ぶ
「てめぇは!出来ねぇえ事を自慢げに言うんじゃねぇええ!!」
ヴィクトールが軽く笑って言う
「はははっ まぁ それは本当だけど冗談だから 安心してよ?バーネット」
ドラゴンのバーネットが怒って言う
「どうでも良いから!早くしやがれ!!」
ヴィクトールが頷き 取り出した小型機械のスイッチを押す 間もなくプログラマーのホログラムが現れて言う
『到着した様だな』
ヴィクトールとドラゴンのバーネットがプログラマーへ向き ヴィクトールが言う
「ああ、デス 早速 結界の解除と悪魔力の中和を頼む」
プログラマーが頷いて言う
『すぐに終了する 処理が終り次第 私はヘクターのもとへ戻る』
ヴィクトールが頷いて言う
「うん、そうしてくれ 後は我々が引き受ける」
プログラマーが処理を始める ヴィクトールが周囲を確認しつつ ドラゴンの姿のバーネットへ振り返って言う
「バーネット?もう元の姿に戻って良いよ?」
ドラゴンのバーネットがヴィクトールへ向いて言う
「相手はあの馬鹿でけぇ ドラゴンの魔王だ だったらこっちも この姿でいた方がイザって時に役に立つってもんだろ」
ヴィクトールが苦笑して言う
「確かに、大きなドラゴンが相手なら 例え宝玉の力を使うにしても こちらも空を飛べた方が良いかもしれないね?」
バーネットが軽く笑って言う
「ああ、それに この力をくれた竜族の奴との約束もあるしな 今後はなるべくドラゴンにはならねぇって決めた以上 この姿で最後になるかもしれねぇ悪魔力との戦いに 力を使ってやらねぇと」
ヴィクトールが微笑む プログラマーが結界を解除して言う
『では、私は先に戻らせて貰う』
ヴィクトールがプログラマーへ向いて言う
「分かった …デス 今までこの島の結界の保持を有難う 君はこの世界を守り続けた 世界一のプログラマーだ」
プログラマーが微笑して言う
『ああ、知っている いつも世界一の相棒に言われているからな』
プログラマーの姿が消える ヴィクトールとバーネットが軽く笑う バーネットが大陸の方を見て言う
「お?遂に始まるみてぇだぜ」
ヴィクトールがバーネットと共に大陸へ目を向ける 大陸から聖魔力が島へ送られ 上空から強い光りが降り注ぐ ヴィクトールがまぶしい光を腕で遮る ドラゴンの姿のバーネットが翼を掲げ自分の顔とヴィクトールを影に入れる 島を覆っていた黒い霧と嵐が消え 平和な島の様子になる ヴィクトールとバーネットが周囲を見渡し 島の中央部へ向く 束の間の後 黒い霧と共に魔王が上体を上げ 空へ浮き上がる バーネットが苦笑して言う
「どうやら てめぇだけに任せて 休んではいられねぇ様だなぁ?」
ヴィクトールが頷いて言う
「うん、残念ながらそうみたいだ 行けるかい?バーネット」
ドラゴンの姿のバーネットが翼を広げて言う
「はっはー ここまで来て 行けねぇとは言えねぇだろ?」
ヴィクトールが頷き 即座にドラゴンの背へ乗る ドラゴンのバーネットが飛び上がり 魔王へ向かって行く ヴィクトールが大剣を引抜き 宝玉に意識を集中させて宝玉の魔力を剣へ込める 魔王がバーネットとヴィクトールへ向く ヴィクトールが剣を構え ドラゴンの姿のバーネットがヴィクトールと共に 魔王へ向かって行く
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