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2章 魔法使いのウィザード様

嗚呼、私のウィザードさま 「魔法使いの彼女とお仕事」

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翌朝

マリアが玄関を出て気分良く言う
「今日も良いお天気!これなら!」

マリアが思う
(”マキのウィザード様”も 魔力が上がるかな?)

マリアが気付いて言う
「あれ?私…」

マリアが苦笑して 軽くネックレスに触れて思う
(本当は ちゃんと 奉者の時に そう言う事を… ”私のウィザード様”の為に 考えなきゃいけなかったのに… 私は 何も知らなくって… でも)

レイの声が聞こえる
「マリアー!」

マリアが微笑する レイがマリアの前に降り立って言う
「お早う!マリア!今日も良い天気だな!空気も澄んでて 空は気持ちが良いぞ!?」

マリアが言う
「お早う御座います ウィザード様 確かに 空気は澄んでますね?あ、それで 昨日はこれ… 本当に有難う御座いました 私、お礼を言い忘れちゃって 失礼しました」

レイが言う
「ん?ああ お礼なんて いらないよ!本当は 俺がもっと一緒に居られれば 良いんだけどさ?マリアは忙しいから その代わりだよ!」

マリアが一瞬呆気に取られた後 微笑して言う
「そうなんですか…?でも 有難う御座います 私 嬉しかったので!とっても 可愛いですし お守りとしての魔力も いっぱい入ってて!」

レイが微笑して言う
「そうか 喜んでもらえたなら 良かった!苦労の甲斐もあったって奴だな!でも、何より そいつを選ぶのが 大変だったからさ?種類も多いから マリアなら どれが良いのかなぁってな?」

マリアが微笑して言う
「それは難しいですよね?異性の物だと 特に… 分からないですよね?」

レイが言う
「そうなんだよな?まだ マリアが 魔法使いとかなら 役に立つものも 分かるんだけどさ?」

マリアが思う
(そっか そう言う意味でも 難しかったんだ… そうよね?確かに私だって 私と同じ 普通の人の 異性へ贈るプレゼントだって あんなに苦労したんだから… 余計…)

レイが言う
「それで、マリアは今日も急いでるんだろ?なら 早速 送ってやるぞ?」

マリアが気付き微笑して言う
「はいっ お願いします!」

レイとマリアが風に消える


会社

マリアが言う
「お早う御座います!」

課長が言う
「ああ、お早う 早速だが マリア君」

マリアが疑問して言う
「え?はい?」

課長が資料を見せて言う
「まただよ… 驚いたな?」

マリアが言う
「え?またって… まさか?」

課長が言う
「ああ、その ”まさか”だ 先日のダムに続き これで2件目だ 数値の変動の理由は ミッシェルリンク社の 製造工場での事故が原因だったらしいんだが それもまた 廃業になった 理由も同じく 地元住民からの強力な再稼動反対によるものだと… とは言え こちらは ダムとは異なり 解せない部分も多い」

マリアが言う
「と、言いますと?」

マリアが資料を受け取って見る 課長が言う
「今回も 事故の内容からして 故障した機械の交換修理等を行えば 再稼動は可能な状態で それを 理由は村民の反対としているが 事故の前までは実質稼動していた工場だ それが 機械の故障で一度稼動を止めたからと言って それを動かすのに 村民が反対したとしてもな?」

マリアが言う
「機械が故障する以前までは 工場は稼動していたんですよね?川に造られたダムとは違って 既に買収されていた その敷地内で 再稼動を反対したとしても それは…」

課長が言う
「こちらは 昨日の時点で分かった事だ 既に 我が社の社員が裏付けを取りに 現地へ向かっているよ きっと その結果を 会議で聞くことになるだろう そして それを踏まえた上で もう1件」

マリアが驚いて言う
「もう1件ですかっ!?」

課長が言う
「そちらの理由が分かれば この数値変更も 後に どうなるかの答えが 明日を待たずに分かるだろう… プロジェクト企画は 今 ミッシェルリンク社との提携をと 動いているそうだが これだと 変更になるかもしれない マリア君も その事も考えておくと良い」

マリアが言う
「は、はい 分かりましたっ!」

マリアが資料を見比べてから席へ向かう


プロジェクト企画会議

社員が言う
「と、言う事で ミッシェルリンク社の サプス村工場の廃業に付きましては 工場からの有害な化学薬品による 用水路の汚染が原因であると 共に 工場の立地場所に付きましても 強引な土地取引の元に 買収したとの話です」

マリアが思う
(そうだったんだ… 工場からの有害な… それは大変だわ 地元住民… 村民だって それを知ったら 工場の再稼動には当然反対するだろうし …でも)

社員が言う
「土地の問題は兎も角として 工場の再稼動に付いては その汚染元を何とかすれば 良いと言う話ではないのでしょうか?」

「その点は ミッシェルリンク社の方へ 確認を取るしかありませんが… 生憎そこまでは」

マリアが資料を見ながら思う
(例え住民の反対があったとしても… それだけを理由に こんなに大きな工場を止めて 不利益を被る事を 受け入れるものなのかしら?今まで 土地の買収を強引にやって来た企業なら この工場の再稼動だって 強引にやりそうなものだけど…?)

社員が言う
「では、今朝送られてきた こちらの数値変更は?パクス村工場の一時稼動停止… これも そちらのサプス村工場と同じく 廃業になると言う可能性が?」

「パクス村工場に関しましても 煙突からの黒煙が原因ではないかと… 田畑の土壌汚染が取り立たされています 工場が稼動してから 農作物の成長やその他に 不具合が出たと言われていたそうで」

マリアが思う
(土壌汚染か… こっちも大変ね サプス村ではミッシェルリンク社の工場のせいで 用水路が汚染されちゃって… パクス村では やっぱり同じく その工場のせいで田畑が… あれ?なんか…?)

マリアが疑問する 司会役が言う
「う~ん こう続いて来ると ミッシェルリンク社との提携は 改めて考えなければならないと言う 可能性もありますが… とは言え これ以上続くとも言い切れませんから …他に何か現状で」

マリアが言う
「あ、あの… ちょっと 質問なんですが」

司会役が言う
「はい 何でしょう?」

マリアが言う
「この2つの工場の事は分かりましたが… その前の ポルト村のダムは… あれは どうして廃業になったんでしょうか?確か 村民の反対や ダムの破損と言うのは 聞きましたが… 元々ダムは 何か問題があったのでしょうか?」

社員が言う
「ああ、それも 一応 確認を取りました所 ダムの決壊と共に破壊活動が あったと言う事へ加えて あの川の上流には 水源があり 元来村にも 水源には手を触れるな… 等と言う言い伝えが有ったとか…?まぁ それ位ですかね?ダムを造ると言う事は その水源を押し止めてしまうと言う事で 地元住民は以前から反対していたそうです」

マリアが言う
「なるほど… 分かりました 有難う御座います」

司会役が言う
「はい… それでは他に?…無い用ですので ここで 一旦 休憩を…」

マリアが思う
(ミッシェルリンク社の この所の廃業理由は 皆…)

マリアが資料を見る


中央公園

マリアが言う
「マキー!」

マキが言う
「あ、お疲れ様 マリア」

マリアが気付いて言う
「お疲れ様!あれ?マキ お昼食べる事にしたの?」

マキが苦笑して言う
「うん… その…」

マリアが疑問する


マリアが驚いて言う
「えっ!?ウィザード様が… 風邪を引いちゃった?」

マキが苦笑して言う
「うん… そうなんだ それで 私まで 風邪を引いちゃったら大変だから… 体力を付ける為にも やっぱり ご飯は食べておこうかなって…」

マリアが呆気に取られて言う
「あ… えっと…」

マキが苦笑して言う
「ウィザードなのに 風邪を引いちゃうって 可笑しいよね?人と神様の間の筈なんだけど…」

マリアが苦笑して言う
「う、うん… ちょっと… お、驚いちゃったかな?」

マキが言う
「だよね?しかも彼 火の属性を得意としている ウィザードなのに 風邪を引いちゃうなんて …やっぱり 魔力が負けちゃってるのかなぁ?」

マリアが衝撃を受けて言う
「う… う~ん… あ、あれ… かな?この前の 雨続きが原因とか?」

マキが言う
「ううん… あの時は ずっと部屋の中に居て… 最近天気が良いから 外に出るようにしたんだけど …多分 それで」

マリアが衝撃を受け困って言う
「うっ そ… そうなんだ…?」

マリアが思う
(うぅ… なんだか… 励ます言葉も思い付かない だって 私のウィザード様は 今日も とっても元気で…)

マリアが苦笑する マキが苦笑して言う
「何か… ホントに 彼… ウィザードなのかなぁ…?…なんちゃって?」

マリアが衝撃を受けて思う
(えっ!?それは…っ!)

マリアが言う
「マ、マキ?その言葉は… その… 私の 専売特許… だよ~?使っちゃ… 駄目~ なんちゃって…?」

マリアが思う
(うぅ… フォローさえ 辛いわ…)

マキが苦笑して言う
「うん… マリアの真似… してみちゃった… えへっ…」

マリアが苦笑して言う
「う、うん…」

マキがマリアのネックレスに気付いて言う
「あれ?マリア そのネックレス」

マリアが気付いて言う
「あっ これ?」

マキが言う
「可愛いね?マリアに似合ってるし… それに もしかしてだけど… 宝石の周りが 少し光ってるように見えるのって」

マリアが言う
「うん!実は”私のウィザード様”が お守りにって…」

マキが言う
「わぁ 凄いね?…マリア 私、講習の時 聞いただけだけど 魔石に魔力を 込められるのって… 最上級のウィザードだって…」

マリアが衝撃を受けて言う
「えっ!?」

マキが言う
「…しかもそれ 魔石じゃないし …だから 多分 もっと… かなり高度な…」

マリアがハッとして思う
(そ、そう言えば…)

マリアが思い出す

レイが言う
『ああ… 選んだ後になって ちょっと後悔したんだけど その宝石小さいし 何より 先に加工されてる宝石って脆いから 魔力を込めるのに すげぇ精神力が必要で… 前に ウィザードの状態で 燭魔台の灯魔作業をしたけど… あれ以上に キツかった…』

マリアが思う
(やっぱり 凄い事… だったんだ… それに 小さくて 加工されている宝石 って言う事以前に 魔石って物に魔力を込めるのでも 最上級のウィザードだって… え?あれ?)

マリアが呆気に取られて言う
「あの人 確か 今 魔法使いなんだけど…?でも、それでも って事は つまり…」

マリアが衝撃を受けて思う
(やっぱり 凄すぎる人なんだっ!!)

マリアが苦笑して言う
「いえ… もう 十分 分かってた つもりなんですけど…」

マキが苦笑して言う
「あのさ?マリア?”マリアのウィザード様”って もしかして 物凄いウィザード?」

マリアが視線を逸らして言う
「う、う~ん と…」

マリアが思う
(いえ… 物凄い 魔法使いです… なんて 言えない…)

マリアが苦笑する


会社

マリアが資料を作っている 課長が通り掛って言う
「マリア君?午後のプロジェクト企画会議が もう始まっているのではないかね?」

マリアが言う
「あっ はい、すみませんっ 課長っ 急ぎますんで… もう少しっ」

課長がモニターを覗き込んで納得する


プロジェクト企画会議

マリアが入って来て言う
「すみません…っ 遅れました」

司会役が言葉を止めて言う
「…して …はい、どうぞ 席へ」

マリアが言う
「は、はい…」

マリアが席へ向かう中 司会役が話を再開する
「…え~ その様に報告が 先ほど入りましたので ミッシェルリンク社の資料は やはり 本日午前に送られた数値変更資料を 決定数値とする事にします」

マリアが思う
(…あ、やっぱりだ)

マリアが席に座る 社員が言う
「これほど変動が激しいとなると やはり 今回のプロジェクトからは ミッシェルリンク社を 外すべきではないでしょうか?」

「しかし この度 偶然にして 3件の事故が続きましたが これからも続くとは限りません そして ミッシェルリンク社の強みと言うのは やはり 公共事業と共に開拓を進めている事でしょう この勢いは 他社が真似しようとして 出来るものではありません 従って」

マリアが言う
「あのっ 宜しいでしょうか?」

社員たちがマリアを見る 司会役が言う
「どうぞ」

マリアが言う
「ミッシェルリンク社の 今回の事故に関連すると思われる 資料を作ってきました 既に事故の起きた3件と 酷似する工場や発電施設が 他にも多く… と言いますか ミッシェルリンク社の建設物は 皆 そう言う所にあるんです ですから 私、この事故は …これからも 続くと思います!」

社員たちがマリアの資料を見る 司会役が言う
「なるほど ミッシェルリンク社の買収した土地は その殆どが 各村の保護区域… ”聖地”とされていた場所 …であると?」

マリアが言う
「はい、ですから ミッシェルリンク社の土地買収は 言ってしまえば 違法占拠とも言えます 元々 各村が 所有者を定めずに置いた場所を 勝手に使っているんですから!」

社員が言う
「確かに そうだとしても 村の保護区域は 各村にその使用権限が委託されています 従って 村民や村長の許可さえ得られているのなら 違法占拠とは…」

「しかし、例の3件の事故があった 各村の村民に話を聞いた限りでは それらの許可は 公認ではないと言うのも事実ですね?」

司会役が言う
「では マリア主任 その3件の 村民の再稼動反対 等に関しては 納得するとしても …これからも 事故が続くと言うのは?」

マリアが一瞬驚いてから困って言う
「そ、それは…」

社員が言う
「まさか その保護区域や聖地と呼ばれる場所に 工場類を建てると… いわゆる 天罰でも下ると?」

社員たちが失笑する マリアが視線を落として思う
(あぁ… そっか… この人たちに 水の魔力が怒って… とか言ったって 理解なんかしてもらえない… どうしよう…?)

マリアが言う
「そ、その… 天罰とまでは言いませんが 村の人たちだって きっと…」

司会役が言う
「そうですね 天罰の類は兎も角として 違法占拠と言うのはあるかもしれません 少なくとも 村民や村長を 強要した などと言う事実があったとすれば 公共事業として税金を使われている 人々の方も 黙ってはいないでしょう …マリア主任からは 以前 ミッシェルリンク社による 土地買収強要事例の報告も受けていますので」

マリアがハッとする 司会役が言う
「そちらを考慮して この資料にある各村へ そう言った強要の事実が あったかどうかの確認を して置いた方が良さそうですね?」

社員が言う
「そうですね 提携を結べば それらも全て 我が社のイメージとも繋がります」

「確かに…」

マリアがホッとする


会社 外

マリアが出て来て言う
「ふぅ~ 急いで資料を作ったせいで 聖地の説明を考えるのを すっかり忘れてて… あの瞬間はどうなるかと思ったけど… やっぱり 発言して正解だった…」

マリアが思う
(聖地の事はしょうがないけど 村民たちの反対を 押し切って工場の類が作られたって事実が 分かれば… それだけでも きっと…)

レイの声が聞こえる
「マリアー!」

マリアが振り向いた先に レイが降りて来て言う
「お仕事お疲れ様ー!マリア!」

マリアが微笑して言う
「お疲れ様です ウィザード様 …あ、聞いて下さい ウィザード様!」

レイが言う
「うん?どうしたんだ?マリア 何か良い事か?」

マリアが気付き苦笑して言う
「あ… 良い事かどうか と聞かれれば… 元は悪い事なんですけど でも 私 ウィザード様のお陰で その悪い事の理由が 分かったんですよ!?」

レイが言う
「うん?その 悪い事の理由って言うのは 何だ?」

マリアが言う
「実は ある会社が 各地の村にある 聖地を侵して 工場などを建てていたんです!それで その工場などで 事故が起きていて 私、その理由は きっと その聖地を侵したせいで そこにある 何らかの魔力が 怒ってるんじゃないかな?って 思ったんです!」

レイが衝撃を受けて言う
「おお!そいつに気付くとは凄いな!流石 マリアだっ!」

マリアが軽く笑って言う
「有難う御座います!」

レイが言う
「それじゃ そのお陰かもな!?今朝 風の魔力が言ってたぜ!おかげで気分が良くなったって!嫌な空気を出す 人の機械が止まったってさ!?」

マリアが気付いて思う
(嫌な空気を出す 人の機械が止まった… きっと ミッシェルリンク社 パクス村工場の煙突から黒煙が出ていたって …その工場が止まったからって事だわ!)

マリアが微笑して言う
「それじゃ ポルト村のダムに続き バクス村の工場の機械を壊したのは 今度は その風の魔力でしょうか?」

レイが言う
「ん?…いや 違うんじゃないか?あいつらは 感謝してたぜ?…って事は 別の誰かが その機械を壊したんだろ?」

マリアが気付いて言う
「え?あ… そうですね?それじゃ…」

マリアが思う
(やっぱり 工場に反対していた 村民か誰かかしら…?)

マリアが言う
「ウィザード様は 風の魔力さんと お話が出来るんですか?だとしたら それが 誰だったかって… 聞けたりしますか?」

レイが言う
「いや、俺が聞いたのは ”噂”だからな?」

マリアが言う
「え?噂って?」

レイが笑顔で言う
「”風の噂”って奴さ!」

マリアが衝撃を受けて言う
「えっ!?か、風の噂…!?」

レイが言う
「そうそう!」

マリアが思う
(え?それって… ことわざか何かじゃ なかったっけ…?)

レイが言う
「あいつらは そこら辺に吹いてるからさ?誰かが見て それを誰かに言って そいつがまた 誰かに言って その内 俺が聞いたんだよ」

マリアが呆気に取られて言う
「は… はぁ…?そ、そうですね?」

マリアが思う
(確かに ”風の噂”って そう言う事…)

レイが言う
「んで また、俺がマリアに言ったから マリアも 今度は誰かに言うか?そうやって 風の噂が やっぱり飛んで行くんだよな?でも うっかりすると その内 誰かが間違えるからさ?風の噂は そう言う所で 少し気を付けないとだな!」

マリアが呆れて言う
「そ、そうですね…?」

マリアが言う
(そうよね?その間違った噂を 信じたり また それを誰かに 言っちゃったりしたら 大変だし… って そうじゃなくて?)

レイが言う
「所で マリアは これから家に帰るのか?」

マリアが気を取り直して言う
「あ、はい そのつもりです 今日も 宜しくお願いします」

レイが言う
「ああ!それは任せとけ!けど 今日は マリアの家の前に 人が待ってるってさ?」

マリアが驚いて言う
「え?人が…?」

レイが言う
「そいつも さっき 風の噂が 教えてくれたんだけどな?」

マリアが衝撃を受けて言う
「え?そ、…そうなんですか?」

マリアが思う
(そんなので 大丈夫かな…?って言うか)

マリアが言う
「家の前で 待っているだなんて… 一体誰が…?」

レイが風の声を聞いて言う
「ああ、そいつは 昨日 マリアが玄関の前で 話していた女だってさ あの時のあいつか?」

マリアが後輩1の姿を思い出して言う
「あ… 後輩の子」

レイが言う
「どうする マリア?そいつの前に連れてくか?それとも 少し離れた所の方が良いか?」

マリアが反応してから微笑して言う
「…それでは 彼女を驚かせない為にも 少し離れた所の方へ お願い出来ますか?」

レイが言う
「ああ!マリアが言うなら そうしてやるよ!それじゃ 行くぞ?マリア?」

マリアが言う
「はいっ」

レイとマリアが風に消える


自宅前

マリアが道路から歩いて来る 玄関前に居た後輩1が気付き喜んで言う
「マリア先輩!お疲れ様です!」

マリアが微笑して言う
「お疲れ様!あれ?どうしたの?今日は お休みだったよね?何か…?」

後輩1が言う
「仕事には関係ないんですけどっ 昨日マリア先輩に お手伝いしてもらった プレゼント …彼、とっても喜んでくれました!それで そのお礼を改めて!それから ご報告と言いますかっ 私… 彼と付き合う事になったんです!」

マリアが驚いて言う
「え?あ… そうなんだ?おめでとう 良かったね?」

後輩1が言う
「はいっ!有難う御座います!それも 昨日マリア先輩から 色々聞いた事なんかを 話してて …そうしたら 彼が 俺たち合いそうだねって 付き合ってみようかって 言われたんです だから 本当に マリア先輩のお陰で!本当に本当に!有難う御座いましたぁっ!」

後輩1が頭を下げる マリアが微笑して言う
「良いよ そんな… 私のお陰なんかじゃないよ きっとエミリィちゃんの 一生懸命な その誠意が伝わったんだよ?」

後輩1が喜んで言う
「わぁっ そうでしょうかっ!?そうだと良いなぁ… あ、それから これ その… 作り過ぎちゃった物で 手作りのお料理で 恥ずかしいんですけど 良かったら お夕食にでも 食べて下さい!」

後輩1がタッパーの入った袋を渡す マリアが一瞬驚いた後言う
「え…?あ、ありがとう それじゃ 頂くね?わざわざ届けてもらって」

後輩1が言う
「いえっ お口に合うと良いんですけど!それでは 私は これで!また明日 会社でお会いしましょう!では 失礼しましたぁ!」

後輩1が軽くお辞儀をしてから小走りに走って行く マリアが苦笑して言う
「ホントに 良い子なんだなぁ… わざわざ お礼と報告をしに こんな寒い中待っててくれて …お料理まで用意してくれて」

マリアが玄関へ向かいながら言う
「私とは違って 素直で可愛いし… きっと 彼とも上手く行くよね?」

マリアが玄関の鍵を開け中へ入ろうとして立ち止まり 振り返って思う
(…今日も ウィザード様からの お話は聞けなかったなぁ 明日こそ …かな?)

マリアが苦笑して玄関を閉めながら言う
「ただいまー」

マリアが家に入って行く


翌朝 マリアの部屋

マリアが鏡の前でネックレスを付け微笑てから バックを持って玄関へ向かおうとして ハッと気付いて言う
「あ、そうだ 彼女へお返しする タッパーを 持って行かないと」

マリアがキッチンへ向かい 洗い干してあるタッパーを袋に入れ 考えて言う
「何かお礼を… あ、そう言えば?」

マリアが棚からクッキーの入った袋を取り出して言う
「これで良いかな?このクッキー 美味しかったし…」

マリアがタッパーの袋にクッキーを入れて言う
「よし…」

マリアが玄関の前で鏡を見て ふと気付いて言う
「そう言えば…」

マリアが鏡を見ながら ネックレスに触れる

マリアが玄関を出て鍵を閉め数歩歩くと レイの声が聞こえる
「マリアー!」

マリアが振り向いた先に レイが降り立って言う
「お早う!マリア!今日も良い天気だな!空気も澄んでるお陰で 火の魔力が ご機嫌だぞ!って言っても あいつらがご機嫌だと 空は暑っ苦しいけどな?」

マリアが軽く笑って言う
「お早う御座います ウィザード様 確かに 冬は空気は冷たくても 日差しは強いですから お空の上は 大変そうですね?」

レイが言う
「そうなんだよな!やっぱ 夏は涼しくて 冬は適度に乾燥を防いでくれる 水辺が一番良いけど この町には 湖とか無くて 川も道路の下だからさ?」

マリアが言う
「そう言えばそうですね 湖も川も無くて… それでは この町には 水の魔力さんは 少ないのでしょうか?」

レイが言う
「大丈夫だよ マリア!町の中心に 水の灯魔をした あの噴水があるだろ?あれは そんなこの町の為に 作られた 特別な形の灯魔台だぞ!」

マリアが言う
「なるほど?そう言う事だったんですね あの噴水が灯魔台だって知ったのは 奉者になってからでしたが それまでは ただの噴水だと」

レイが言う
「まぁ 分からないよな?灯魔作業だって あんな公園の真ん中にあるんじゃ 無評価の灯魔作業になるし あの噴水に灯魔作業をしてたのは 先輩くらいだよ」

マリアが一瞬呆気に取られて言う
「え…?」

レイが言う
「俺はマリアの為にやったけどな?先輩は 本物のウィザードだから ちゃんと自然の力の為に やってたんじゃないか?」

マリアが言う
「自然の力の為に…?」

レイが言う
「ウィザードの役目は 森羅万象の異変を収める事だからさ?」

マリアが考えてから言う
「それでは… 今 その 本物のウィザードである ”先輩”以外の ウィザードたちはどうなんでしょうか?彼らが もし、その 森羅万象の異変を収めなくても 大丈夫なんですか?」

レイが言う
「良いんじゃないか?別に?」

マリアが衝撃を受けて言う
「えっ!?そんな簡単にっ!?」

レイが言う
「あいつらはあいつらで 一応役には立ってるしな?それに 偽物だって いつか本物になるかもしれないだろ?それこそ 修行のお陰でさ?」

マリアが思う
(それじゃ つまり ウィザード様の言う 本物 偽物 って言うのは…)

マリアが苦笑して言う
「それでは 今は 風邪を引いちゃっている この町の ウィザードも いつかは立派な ”本物のウィザード”になるかもしれない って事ですよね?」

レイが疑問して言う
「え?風を弾くって… どうやって 弾くんだ?風を楽器にするのか?…どうやって?」

マリアが呆気に取られた後苦笑して言う
「あ、あの… ウィザード様?風邪を引くっていうのは… その… 風を楽器みたいに弾くと言うのではなくて 風邪と言う総称の 病気になってしまうと言う 意味ですよ?」

レイが言う
「なんだ 病気の名前か?…うん、そう言えば そんなのもあったな?…え?そいつ 病気になったのか?ウィザードが…?」

マリアが言う
「はい そうらしいです でも、その様子だと もしかして ウィザード様は風邪を引いたり… 病気になった事は無いとか?…言われてみれば  確かに 人と神様との間と言われる ウィザードも 病気になるんですね?ちょっと 意外でしたけど」

レイが言う
「俺は病気になった事なんて無いよ マリア 大体 ウィザードは自然界の力を会得するんだから 病気になんか ならないよ」

マリアが驚いて言う
「え…?」

レイが言う
「そりゃ 無理してなろうとすれば なれるだろうけど… それこそ 大昔は 生まれながらの病気を持った奴ほど ウィザードになって その自然界の治癒力で病気を解除したって程だからな?」

マリアが呆気に取られて言う
「そ、そうなんですか!?」

レイが言う
「そうだぞ?しかも そいつ 確か 火の魔法を得意とするウィザードだったろ?って事は 体温だって他の奴より 高くなるんだ 体温が高いって事は 免疫だって高まるんだから それだけ病気への抵抗力が高くなる」

マリアが表情を落として思う
(…って事は ”マキのウィザード様”は 相当能力が低いって事なのかな?…でも)

マリアが言う
「…でも 今は”本物のウィザード”である ”先輩”も… それこそ ウィザードになったばかりの頃は きっと…」

レイが言う
「うん 先輩や その出来の悪いウィザードの事は どうでも良いけどさ?マリアは 今日は 急がなくて良いのか?」

マリアが衝撃を受けて言う
「ハッ!」


会社

マリアが言う
「お、お早う御座いますっ!」

課長が咳払いをして言う
「う、うんっ …少し遅れて来たかね?マリア君?」

マリアが言う
「すみません…」

課長が苦笑して言う
「とは言え 君をプロジェクト企画へ 推薦したのは 当りだったな?昨日 君が用意した資料が 今 大いに注目を浴びている所だよ」

マリアが言う
「え?昨日 私が…?」

課長がマリアの作った資料を見せる マリアがそれを見て言う
「これは 私が昨日…」

課長がもう一枚の資料を見せて言う
「そして これが今日入った ミッシェルリンク社の 数値変更… マリア君の資料を基として計算された所 アスト村の風力発電所が 恐らく停止したものと推測されている」

マリアが驚いて言う
「え!?それでは!?またですか!?」

課長が言う
「この事は 今日 我が社の 緊急重役会議で 話し合われる事になった マリア君 お手柄だったな?プロジェクト企画会議所か お陰で 我が社と拮抗する企業からも 一歩先を越した形だ」

マリアが言う
「え?それはどう言う?」

課長が言う
「既に ミッシェルリンク社と取引を行っている企業へ 話を持ちかけ ミッシェルリンク社にもしもの事があった際は 我が社の方で それらを補う事が出来るよう 手筈を整えていると」

マリアが驚いて言う
「え!?そ、そんなっ!?まだ ミッシェルリンク社の それらの工場などに 何か起きるとは…っ!」

課長が言う
「いや、起きてから動くと言うのは遅いものだよ 既に 話を持ちかけたそれらの企業の一部は 我が社の方へ流れている どちらの企業も 自社の企業イメージと言うものは 大切にするものだ」

マリアが呆気に取られて言う
「そ、そうですか…」

課長が言う
「君を推薦した私も お陰で鼻が高いよ この調子で これからも頑張ってくれたまえ マリア主任!」

マリアが慌てて言う
「は、はいっ 課長っ!」


マリアが席に着いて 息を吐いて言う
「はぁ~… 驚いちゃった…」

マリアが資料を見て思う
(まさか こんな大きな事になるだなんて…)

マリアが資料をめくりながら思う
(それに いくら ダムの切欠があったにしても そこから立て続けに… それに それらの工場などの施設が 建設されたのは 短期間とは言え それでも1年から3年のスパンがあるのに それらが順不同に… やっぱり 何らかの魔力のせいなのかな?でも、ウィザード様は 風の魔力じゃなかったって… それじゃ?)


プロジェクト企画会議

社員が言う
「それら施設にあります 機械の故障原因を確認したい所ですが…」

マリアが思う
(やっぱり 分からないなぁ… これじゃ この時期に一斉にミッシェルリンク社の工場なんかへ天罰が下ったって 言っちゃった方が納得出来ちゃう位…)

社員が言う
「それらの原因は何にしろ 土地取引に関する違法性があると言う事は 確かであると言って良いだろう 従って 我が社の今プロジェクト企画からは ミッシェルリンク社を削除する」

マリアが驚くいて思う
(えっ!?それじゃ もしかしてっ!?)

マリアが資料を見る 司会役が言う
「では これからのプロジェクト企画は 少々急いで執り行いましょう この1週間 ほぼミッシェルリンク社との提携で 時間を取られてしまいました 今プロジェクトへ 推薦したい企業がある方は 挙手を 共に出来れば 資料の提供をお願いします」

マリアがハッとして言う
「は、はいっ 他の企業で 推薦したい企業が2社ほど 資料も用意してあります!」

マリアが資料を渡しながら思う
(課長に言われていて良かった… あの一言が無かったら この資料も 破棄しちゃっていたかも しれなかったもの)

マリアが密かに微笑して思う
(課長はやっぱり 凄いなぁ…)

マリアが顔を上げて言う
「それでは そちらの企業の 紹介をさせて頂きます」

――…

マリアが席に着いて言う
「ふぅ~ 緊張した… けど ちょっと 慣れて来たみたい」

マリアが思う
(…とは言っても 私が推薦した企業は それこそミッシェルリンク社とは かけ離れた業績で 後から発表された 別の企業の方が有力だった… やっぱり 何もかも いっぺんに上手く行くなんて ないよね?)

マリアが苦笑してから 資料を整理をして 思う
(さて… 明日は プロジェクト企画会議は休みだけど 私も また休んじゃって良いのかな?絶対休暇禁止の月曜日だけど?)

マリアが後輩たちを一望して 微笑して思う
(もう 十分 3人でやって行けるんだよね?)

マリアが視線を戻して思う
(それじゃ 仕事の区切りも良いし 今日はこれで…)

マリアが荷物を取ろうとして 袋に気付いて言う
「あ、そうだった…」

マリアが荷物と共に袋を取り 後輩1の下へ行って言う
「お疲れ様 調子はどう?もう時間だけど まだ皆帰らないの?」

後輩1が言う
「あ、お疲れ様です マリア先輩!はいっ 今は 明日の多忙に向けて 皆で準備中なんです!先週はバタバタしちゃったんで 今回は上手くやろうって 張り切っている所ですよ!」

マリアが思う
(これなら きっと明日は 3人で乗り越えられるね?)

マリアが微笑して言う
「そうなんだ?確かに 今日のうちに準備しておくと 明日は凄く楽になるから 頑張ってね?」

後輩1が言う
「はいっ 有難う御座います!頑張ります!」

マリアが頷いてから思い出して言う
「あ、後これ 昨日、有難う とっても美味しかったよ お料理上手なんだね?」

後輩1が言う
「わぁ ホントですかぁ?そう言ってもらえて 嬉しいですっ」

マリアが袋を渡して言う
「それじゃ 今日は私 先に上がるね?お先に」

後輩1が言う
「あ、マリア先輩っ」

マリアが疑問し手足を止めて言う
「うん?何?」

後輩1が言う
「あのっ ちょっと1つだけ 教えてもらえませんかぁ!?」

マリアが言う
「うん 良いよ 何か分からない所があった?」

後輩1がこっそり言う
「お仕事の事じゃなくて…」

マリアが一瞬呆気に取られた後苦笑して小声で言う
「良いよ 何?また お店の紹介?」

後輩1が小声で言う
「それもあるんですけど… それよりも あの… お勧めの デートスポットみたいな?」

マリアが衝撃を受けて言う
「デ…っ そ、それは…」

後輩1が言う
「彼が この前のプレゼントのお礼に 私にお洋服を買ってくれるって言うんですぅ そう言う時って… どんな所がお勧めですかぁ?」

マリアが苦笑して言う
「う、う~ん 難しいね… プリトストリートとかリントストリートなんか 女の子のお洋服は一杯あるんだけど… 男の人は歩き辛いかも…」

後輩1が言う
「あ、それじゃ その… マリア先輩は 普段何処へ行ってますかぁ?」

マリアが言う
「う~ん 私は 最近は行ってないから… ちょっと前までは ライトストリートだったけど 今行くのなら マキリンストリートに行きたいよ?やっぱり 新しいからね?お陰で ちょっと人は多いけど」

後輩1が言う
「それじゃ やっぱり マキリンストリートですかね?お店も 大体分かってますし!」

マリアが言う
「うん そうかもね?ライトストリートは 悪くないんだけど 今頃は マキリンストリートの人気に 負けちゃってるんじゃないかなぁ?」

後輩1が言う
「分かりましたぁ!有難う御座います!マリア先輩!」

マリアが苦笑して言う
「いえ どう致しまして それじゃ お先に お疲れ様!」

後輩たちが言う
「お疲れ様でーす!」


会社 外

マリアが会社を出て来て思う
(あのプレゼント… そんなに高い物じゃなかったのに… きっと とっても嬉しかったんだろうな… お礼に洋服を買ってくれるだなんて 優しい人みたい… どんな人なんだろう?…そう言えば 私)

レイの声が聞こえる
「マリアー!」

マリアが思う
(いつの間にか 周りはウィザードや 魔法使いの人ばっかりで 普通の男の人と 仕事以外で会ったり 話したりした事って無いかも… 増して デートをして洋服を… だなんて…)

レイがマリアの顔を覗き込んで言う
「マリア?」

マリアがハッとして言う
「あっ!?ウィザード様っ!?」

レイが微笑して言う
「うん、お仕事お疲れ様!マリア!何か考え事か?」

マリアがドキッとして言う
「い、いえっ!何もっ!?」

マリアが思う
(あぁっ いけない…っ 寄りによって その ウィザード様を前に ”普通の男の人って どんなだろう” なんて 考えていただなんて…っ!)

レイが疑問して言う
「そうか?なら良いや マリア 明日は休みなのか?」

マリアが言う
「あ、はい」

レイが言う
「それなら どっかに行くなら 連れてってやるぞ?明日は また 誰かと何処かへ行く 予定なのか?」

マリアが一瞬呆気に取られた後 改めて言う
「いえ 明日は…」

レイが言う
「それとも また 大灯魔台の灯魔儀式を 見に行くのか?けど 今度は先輩も出ないし 退屈そうだけどな?」

マリアが思う
(あ… そうだった 明日は 大灯魔台の灯魔儀式の日で…)

レイが言う
「けど マリアが行きたいって言うなら 俺はどこでも連れてってやるぞ?」

マリアが思う
(う~ん 確かに気にはなるけど… でも そうすると また 午前中から行って 戻ってきた頃には お昼寝の時間になっちゃったりして…?それに…)

マリアが言う
「あ、あの… 明日は 止めておきます それで…」

マリアが思う
(それより今は ウィザード様に ネックレスのお礼をしないと?でも… どうしよう?ウィザード様に 何かプレゼントなんて… 何も思い浮かばないな?だって リナに教えてもらった物は どれも 普通の… だから やっぱり)

マリアが微笑して言う
「ウィザード様 明日の午後は 一緒にお茶を 飲みませんか?」

レイが喜んで言う
「え!?本当かっ マリア!?そいつは嬉しいな!」

マリアが苦笑して思う
(ウィザード様は やっぱり これが一番嬉しいのかな?それで…)

レイが言う
「なら 話も 明日で良いな?丁度 良かったよ!この後 話すとしたら やっぱり 食堂の時間が 気になっちゃうからさ?」

マリアが苦笑して思う
(そう言えば それもあったんだった…)

マリアが言う
「はい、では その 食堂の時間 の為にも?」

レイが言う
「うん!今日も 家に送れば良いのか?マリア?」

マリアが言う
「はい お願いします!」

レイとマリアが風に消える

翌日 昼

マリアがリビングでTVを見ていて キャスターが言う
『…と言う事で これらM社が所有する2つの工場からは どちらも基準を超える 汚染物質が検出されたとの事で』

マリアが飲み物を飲みつつ思う
(これって きっと ミッシェルリンク社の事よね…?社名は伏せられているけど)

キャスターが言う
『尚、現在 工場の方は どちらも稼動を停止しており 地元住民からの 再稼動反対の声を理由に 再稼動予定や故障している機器の修理などは 行われて居ないとの事です』

マリアが思う
(遂に ニュースで言われるようになった… こうなるとやっぱり ミッシェルリンク社と関わりのある企業なんかは 当然 取引を中止するだろうから… 今頃は 先手を打って話を持ちかけていた うちの社に 仕事が舞い込んでいるかもしれない…)

マリアが心配して言う
「大丈夫かな?彼女たち3人だけで?でも…」

マリアが思う
(一応 帰り掛けに 課長に聞いてみたら 後輩の3人が居るから 休んで構わないって言われたし)

キャスターが言う
『更に このM社と共同で出資して建設運営されていた 2つの発電施設でも 施設の破損などを理由に 稼動を停止 片方は既に施設の撤廃を終えておりますが これら M社の関わった4つの工場 発電施設は どれも 地元住民の反対を押し切って 建設稼動された施設であるとの情報も有り 現在 警察が捜索に当っていると…』

マリアが言う
「警察が…?」

マリアが思う
(あぁ… これじゃ もう ミッシェルリンク社は発展所か 衰退しちゃうかも… とりあえず プロジェクト企画から外したのは 正解だった… 一歩間違えば うちも 巻き込まれて 損害を受けていた かもしれなかったし…)

マリアが軽く息を吐いて言う
「ふぅ~ 危なかった… さて?」

マリアが時計を見上げてからTVを消して立ち上がる


マリアが玄関へ向かいながら思う
(昨日は家に戻ってから 食材の買出しに行きたいって言うのもあったし 今日の時間が一杯有るから ”また明日”って…)

マリアが玄関ドアを開けながら言う
「時間の約束は しなかったけど きっと こうすれば…」

マリアが玄関を出て数歩行くと レイの声が聞こえる
「マリアー!」

マリアが思う
(やっぱり…)

マリア微笑する レイが降り立って言う
「こんにちは だな!マリア!」

マリアが言う
「はい、こんにちはです ウィザード様 時間は この位で丁度良かったですか?」

レイが言う
「そうだな!マリアに会えるなら 俺はいつでも良いけど そんな感じかもな?」

マリアが微笑して思う
(きっと この時間なら 10時のお茶を飲んで 1時間お昼寝して 丁度良い頃かな~って… 私もお昼を食べて ゆっくり出来たし …あ、でも?)

マリアが言う
「今から また お茶を飲むと言うのも ちょっと… 早過ぎますかね?」

マリアが思う
(3時のお茶には 早過ぎるし… 灯魔儀式にも行かないって言うと…?)

レイが言う
「そうかもな?なら マリアは 何処か行きたいか?連れてってやるぞ?」

マリアが思う
(何処か行きたい…?それなら 何処が良いかな?ちょっと前なら それこそ ミッシェルリンク社の工場なんかがある 村へ連れて行ってもらいたかったけど もう 警察が動いているって言うし… そもそも 休日にまで仕事の事で ウィザード様に移動を お願いしちゃうなんて …あ、そうだ?)

マリアが言う
「それなら ウィザード様 何処かへ一緒に お買物に行きませんか?」

レイが言う
「ん?一緒に お買物?」

マリアが言う
「はい」

マリアが思う
(って 言っても 何処に行ったら良いかな?お礼のプレゼントって 言ったら… えっと…?)

レイが言う
「そうか!マリアがそうしたいって言うなら それで良いぞ?で、何処へ 連れて行ったら良いんだ?」

マリアが言う
「えっと… それでは そうですね?とりあえず…」

マリアが思う
(ショッピングモールなら 何処でも良いかな?でも ウィザード様と行くんだから あんまり 女の子で賑わっている所とかじゃなくて… うん、それなら?)

マリアが言う
「ウィザード様 ライトストリートって通りを ご存知ですか?中央公園の近くにある ショッピングモールなんですけど」

レイが言う
「ああ、それなら 分かるよ!夜になると 色々な明かりが付いていて 空から見ると 綺麗だからな?」

マリアが思う
(あ、そっか… 今なら時期的に イルミネーションが…)

レイが言う
「マリアも見たいなら いつでも連れてってやるぞ?昼間じゃ 見られないけどな?でも、買物なら 昼間行くものか?」

マリアが微笑して言う
「そうですね では 今はお買物に」

マリアが思う
(夜景を空から見られるなんて 凄いかも?今度 連れて行ってもらおうかな?)

レイが言う
「よし、それじゃ 行くぞ?マリア?」

マリアが言う
「はい お願いします!」

レイとマリアが風に消える

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