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2章 魔法使いのウィザード様
嗚呼、私のウィザードさま 「雨の日の魔法使い」
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リドル駅 前
マリアが呼びながら走る
「エリナー!」
エリナが一瞬驚いた後振り返って言う
「マリア!?え?もう着いたの?だってまだ 連絡して3分も経ってないわよ?」
マリアが言う
「うん!ウィザード様に 送ってもらったから!」
マリアがハッとして思う
(あっ たった今 別れたせいで 思わず言っちゃったけど… これって 普通… 言っちゃいけない事…?)
エリナが言う
「ああ そうだったわね マリアは あのウィザード様の 奉者様だものね?その節は お世話になりました!」
マリアが衝撃を受けて思う
(う…っ そう言えば… エリナには まだ ウィザード様が魔法使いになっちゃった事は 言ってなかった… って言うか それこそ 言っちゃいけない事かも…?)
マリアが苦笑して言う
「い、いえ…?ど、どういたしまして?」
マリアが思う
(どうしよう…?)
エリナが微笑して言う
「そう言えば 私も 灯魔作業以外の 魔法を見たのは 初めてだったから あの時は驚いたわ すごいわよね?本当に魔法で 行きたい場所へ行けちゃうの?マリアとあのウィザード様が 目の前から消えて 私 ビックリしちゃったわ!…それにしても たった1ヶ月ちょっと前の話なのに 何だか 懐かしいわね?」
マリアが衝撃を受け思う
(う… 何だか 私も… 遠い過去の話に思えるのは… やっぱり…)
エリナが言う
「あ、とりあえず お店に入る?」
マリアがハッとして言う
「う、うん そうしよう!」
エリナが言う
「うん!」
マリアとエリナが道を行く
飲食店
エリナが言う
「今日は私がおごるから 好きなの注文しちゃって!」
マリアが衝撃を受けて言う
「え!?いやっ 悪いよ そんなっ!?」
エリナが言う
「気にしないで?相談があるって呼び出したのは 私だし それに あの燭魔台の灯魔作業をしてもらった あの時の お礼に!」
マリアが思う
(う、う~ん… 燭魔台の灯魔作業に関する お礼だとしたら… それを受けるのは 私じゃないよな気もするけど… でも あの時は 一応… 私もウィザード様の お茶に付き合ったし…)
マリアが深く思う
(むしろ お陰様で 美味しい紅茶を ご馳走になれた と言うのが 本当は正しいような… でもまぁ 今は…)
マリアが苦笑して言う
「そ、それじゃ デザートだけ!おごってもらっちゃおうかな?あ、この苺ケーキ美味しそうっ!」
エリナが軽く笑って言う
「OK 分かった!私も苺ケーキ付けちゃお!」
マリアが微笑する
――…
マリアが苺ケーキを食べつつ言う
「それで… リナの事で 相談って言うのは?」
エリナがフォークを止めて言う
「う… うん…」
エリナが気を取り直して言う
「マリアも知ってると思うけど リナは今 妊娠してるでしょ?多分 その事もあって… リナの彼 保育園を辞めたの」
マリアが言う
「え?どうして その事が 保育園を辞める事に 繋がるの?」
エリナが言う
「彼はね?昔から凄く 子供の事を大切にする保育士で… あの保育園の燭魔台の灯魔が切れると いつも 園長先生に 灯魔作業の催促をしたり 私も彼から たくさん保育士としての知識を教わったわ 彼は そんな 本当に子供を大切にする人… だから」
マリアが疑問しながら言う
「う、うん…?」
マリアが思う
(本当に子供を大切にする 保育士だった人が… 恋人のお腹に自分の子供が出来た事で 保育士を辞めた?それって 一体…?)
エリナが言う
「自分の子供が リナのお腹に出来た事で きっと より一層 子供を愛する気持ちが強くなったんだと思うわ… 生まれてくる 子供の為にも リナの為にも 保育園の子供たちの為にもって… 彼は”探求者”の仕事に 就く事にしたらしいの…」
マリアが言う
「”探求者”って?」
エリナが言う
「マリアも知らない?…そうよね あんまり知られてない お仕事だもんね?」
マリアが言う
「探求者って事は… 何かを探すお仕事?」
エリナが言う
「うん… 探求者が探すのは この世界の ”異常現象の元”なの…」
マリアが言う
「この世界の ”異常現象の元”…」
マリアが思う
(…この世界の 異常気象や 生物異常… それら全ての異常現象は 異常魔力の影響だって… その異常魔力の影響を 抑えているのが ウィザード様たちが 各町の灯魔台へ灯魔をする事で発生させている 結界… それじゃ もしかして!?)
マリアが驚いて言う
「その”異常現象の元”って言うのは もしかして アウターにあるんじゃ!?」
マリアが思う
(そもそも アウターと呼ばれるのは 結界の外の事っ …まさか!?そこへ行くのっ!?)
エリナが頷いて言う
「うん… そうなの だから ”探求者”は 命がけの仕事なのよ」
マリアが慌てて言う
「命がけだなんてっ それ所じゃないわっ!?私、一度 アウターからの 野生動物の奇襲を 見た事があるのっ!あんなのに襲われちゃったら!」
エリナが言う
「でも、異常現象を無くすには やっぱり その原因を突き止めるしかないでしょう?だからって…」
マリアが言う
「それは そうかもしれないけどっ!?」
マリアが思う
(それでもしっ!?…もしもの事が あったらっ!?リナのお腹には 子供まで居るのにっ!?)
エリナが言う
「私も話を聞いた時は もちろん止めたわ… でも、マリアは知ってる?この世界を守っている 結界の効力が年々落ちてるんだって… 異常気象もどんどん悪化しているし… マリアに こんな事言ったら 失礼かもしれないけど その原因の1つは 結界を作る …ウィザードの能力が 下がっているんじゃないかって…」
マリアが驚いて言う
「え…?」
エリナが言う
「それこそ 昔は ウィザード様が町に住まわれて 灯魔台へ力を与えていれば その町は安泰だって言われてたらしいの… でも、今は ウィザード様が居ても その町の異常気象が 改善されない事も 増えてきたらしくて…」
マリアが呆気に取られて思う
(そう言えば… ウィザード様も)
マリアが思い出す
レイが言う
『そうそう!法魔帯の色が低ければ 儀式はやらないで済むだろ?俺も参加してみて分かったけど 俺や先輩以外のウィザードは 全然弱いからな?』
レイが笑い出して言う
『あっははははっ そいつ駄目だな!全然 素質が無い!そいつ 本当にウィザードなのか?火なんて もっと初歩的な魔法で もっとも人に近い力で 一番、人に力を貸してくれる魔力なのに その修行方法が分からないなんて…』
マリアが思う
(ウィザードの能力が下がっている… それは 本当なのかもしれない…)
エリナが言う
「…だからね?自分の子供はもちろん 保育園の子供たちや… この世界の 未来を守るには 異常現象の元を絶たなければ いけないって…」
マリアが言う
「で、でもっ それで もし!?もしもの事があったらっ!?リナや子供を置いてっ …死んじゃうつもりなのっ!?」
マリアが強く思う
(そんなの 酷いっ!!)
エリナが言う
「彼もそれを考えなかった事は 無いと思う… でも 彼の気持ちも分かる気がして… それで私も 今までは約束通り リナには言わなかったんだけど… マリア?やっぱり リナに 言うべきよね?それとも… 彼の言う通り 隠しておくべきかな?でも もし本当に マリアの言う事にでもなったら… 私 その時 リナにっ」
マリアが沈黙して悩む
エリナが言う
「…ごめん マリアにまで 迷惑掛けちゃったわね?でも、聞いて マリア?私 実はもう 決めてるの …リナに伝えるって!」
マリアが呆気に取られて言う
「え…?」
エリナが苦笑して言う
「だから 今日は その… リハーサル!それにマリアを 付き合わせちゃったの!…ごめんなさい?」
マリアが力を抜いて言う
「そ、そうだったんだ?ううん!良いよ!だって私も!…私も エリナが正しいと思う!リナはね!?彼の事 信じて 待ってるの!”大好きだから 何があっても 待っていられる”って!」
エリナが驚く マリアがハッとする エリナが沈黙する
マリアが言う
「ご、ごめん…」
エリナが言う
「そっか… そうよね?私が言っちゃ駄目よね?やっぱり 彼を説得して 彼 本人から言わせなきゃ… これは リナと彼の 2人の問題だものね?」
マリアが言う
「あ… そ、そうだね…?」
マリアが思う
(そうだ… 2人の問題なのに 部外者の私が… でも 全くの部外者なんかじゃない リナは私の 大切な友達… 親友なんだもん!)
マリアが言う
「ねぇ エリナ?その”探求者”ってお仕事の事 もっと詳しく知ってる?知ってるなら 教えて欲しい…」
マリアが思う
(私が出来る事なんて 何も無いかもしれない… でも 聞かずには 居られないっ!)
エリナが言う
「うん… 私も 聞いた話だけど まず 何と言っても 結界の無いアウターに行くから 相応の装備はして行くらしいの… 拳銃とか 鉄砲とか そう言う武器を持って行くんだって… それと アウターサイドの村に居る 魔法使いに護衛をお願いしたりも するらしいんだけど…」
マリアが衝撃を受けて言う
「ま、魔法使いに 護衛をっ!?」
エリナが言う
「うん 村に居る魔法使いの人たちは 元々そう言うアウターの野生動物を相手に 魔法の修行をしているんだって… だから その人たちに 依頼をするらしいんだけど …でも 魔法使いは ウィザードになる事を 目的にしているから ”探求者”たちの依頼は 断る事も多いらしくて だから 結局 最後は 自分たちだけで 進む事になるらしいの…」
エリナが言いながら思い直して言う
「やっぱり 危険よね?そのまま 戻って来なかった ”探求者”の数は 数え切れないって…!」
マリアが言う
「それならっ ウィザードに依頼をしたら良いんじゃっ!?」
エリナが苦笑して言う
「でも、そのウィザードたちが 居なくなってしまったら それこそ 結界の維持が 出来なくなってしまうじゃない?」
マリアが衝撃を受けて言う
「あっ そ、そっか…」
マリアが肩を落として思う
(そうよね?つい いつもの癖で ウィザード様にって… あれ?でもそれなら?)
マリアが閃いて言う
「それならっ!ウィザード級の 魔法使いがっ!」
エリナが言う
「え?そんな人が居るの?」
マリアが衝撃を受けて思う
(あっ!?えっとぉ… どうしよう?実力は そうだって言ってるけど… 実際は どうなんだろう?それに 私が 勝手にそんな事 決められるものじゃないし…)
マリアが言う
「ご、ごめん 今のは気にしないで?何にしても!やっぱり リナの彼には ちゃんと本人からリナに 言ってもらうべきだと思う!だって 2人は夫婦なんでしょ!?」
マリアが思う
(あれ…?でも 結婚式の招待状は 貰って居ないけど… 結婚はしたのかな?)
エリナが言う
「相変わらず まだ 籍は入れてないみたいなんだけど… とりあえず 明日 彼には連絡するわ これ以上 リナに隠すなら 私が言っちゃう!って そう脅してでも言わせる!」
マリアが言う
「うん!それで良いと思う!だって そんなの 彼の勝手過ぎるもんっ 許せないわ!」
エリナが苦笑して言う
「そうよね!?私もそう思うから!」
マリアとエリナが笑う
リドル駅 前
マリアとエリナが居て エリナが言う
「それじゃ マリア 今日は 本当にありがとう!」
マリアが言う
「ううん!エリナ!明日は頑張ってね!?私、応援してるからっ!」
エリナが言う
「ええ!報告するわね!」
マリアが言う
「うん!待ってる!」
エリナが言う
「それじゃ また!お疲れ様!マリア!」
マリアが言う
「お疲れ様!エリナ!」
エリナが駅へ向かう
マリアが気付いて言う
「あ… そっか?私も 今日は電車に…」
レイの声が聞こえる
「マリア~!」
マリアが一瞬驚いた後振り返って言う
「え!?ウィザード様っ!?」
マリアが空を見上げるが マリアの前にある木の枝から レイが落て来て言う
「ふぎゃ…っ」
マリアが衝撃を受けて言う
「…えっ!?」
マリアが思う
(あ、あれ…?飛んで来たんじゃなくて…?)
レイが立ち上がり 軽く服を払ってから マリアの前に向かいながら言う
「何時来るのかと思って 待ってたら 俺 眠くなっちゃったよ マリア~」
マリアが衝撃を受けて思う
(やっぱり 落ちてきたっ!?…じゃなくてっ!?)
マリアが慌てて言う
「そ、それじゃっ!?やっぱり落ちて!?いえっ!?ずっと そこの木の上で 待っていたんですかっ!?」
レイが言う
「ずっと って訳じゃないけど… 修行は何処でも出来るし 丁度 良い木があったから それなら ついでにって… けど」
レイがマリアを包んで言う
「俺 もう眠いから さっさと帰るよ~ マリア~」
レイとマリアが浮き上がる マリアが言う
「は、はい… 有難う御座います」
レイとマリアが風に消える
自宅 前
レイとマリアが現れ レイが言う
「はい 到着…」
マリアがホッとして思う
(良かった… 無事 到着し …た!?)
レイがマリアに抱き付いて言う
「マリア~!」
マリアが呆れて思う
(凄く 眠そうなのに そこまでしてでも…)
レイが一瞬脱力して眠る マリアが思う
(…って 寝たっ!?)
マリアが慌てて言う
「あ、あのっ!?ウィザード様っ!?」
レイが起きて言う
「うん… やっぱり 眠いから 今日は もう無理…」
マリアが思う
(何が ”もう無理” なんですかっ!?)
レイが離れて言う
「それじゃ マリア お疲れ様~?お休み~」
マリアが言う
「あ!気を付けて下さいねっ!?ウィザード様っ!また壁とか ぶつからない様に!ちゃんと お部屋の中で寝てくださいね!?」
レイが言う
「うん 分かったよ~ マリアは優しいなぁ~ ありがとな~」
レイが風に消える マリアが呆気に取られて思う
「いえっ!こちらこそ… って」
マリアが思う
(…本当に 大丈夫かな?)
マリアが玄関の鍵を開けながら思う
(明日も ちゃんと 来てくれると 良いんだけど…)
マリアがドアを開け 苦笑して言う
「何だか心配… ”私のウィザード様”が ちゃんと飛べていますように」
マリアが空を見上げてから 苦笑してドアを閉めつつ言う
「ただいまー」
翌朝
マリアが家を出て来て思う
(うぅ~ 眠い… 昨日は結局 あのままずっと ”探求者”の事を 考えちゃって… それに ウィザード様なら探求者の護衛も 出来るんじゃないかな?とか… ついでに ウィザード様が ちゃんと飛んで行ったかなぁ?とか… ちゃんと…)
マリアが空を見上げて思う
(今日も来てくれるかなって… だって… もしかしたら あのまま壁に激突して そのまま気を失って 今朝のこの寒さで… と… と… と…)
マリアが言う
「凍死しちゃってるんじゃ ないかな?とか…?」
レイの声が聞こえる
「マリアー!」
マリアが表情を明るめて言う
「ウィザード様!」
レイがマリアに抱き付いて言う
「お早うー!マリアー!俺、今日も 無事 マリアに会えて良かったよー!」
マリアがレイを見て言い掛ける
「はい!私 も… って!?」
マリアが驚いて言う
「ウィザード様っ!?その頭の包帯は 何ですかっ!?」
レイが苦笑して言う
「いや 実は俺も 良く覚えてないんだけど」
マリアが言う
「まさか また壁に激突して 朝起きたら 外に寝ていたとか!?ついでに頭を 怪我していたとかっ!?」
レイが言う
「ああ!惜しいな マリア!でも よく分かってるよ!俺は 今朝 起きたら ちゃんと 部屋のベッドで寝てたんだけどさ?その部屋の壁がぶっ壊れてたから 外と同じくらい寒かったよ!マジで!」
マリアが衝撃を受けて言う
「そ、その 壁を壊したのはもしかして!?」
レイが言う
「うん!俺は覚えてないんだけど 位置的に 俺のベッドの前だったから きっと 俺は 窓を開けるのがメンドクサくて 壁を突き破って そのままベッドに入ったんじゃないかなって思うよ!」
マリアが慌てて言う
「ちゃんと窓から入って!…の前に 玄関から入らないんですか!?」
レイが言う
「どうせ外から入るんだから 直接入れる所から入った方が早いじゃないか?だから俺はいつも 窓から出入りしてるんだよ~!マリアー!」
マリアが思う
(そうなんだ… いつも… …って)
マリアが言う
「そうじゃなくてっ!」
レイが言う
「ああ!そうじゃなくて!今日も やっぱりマリアは 時間に追われてるな!?」
マリアがハッとして時計を見て言う
「ああっ!本当に時間がっ!」
レイが言う
「って 事で!」
会社前
レイが言う
「はい 到着ー!マリア いってらっしゃーい!」
マリアが慌てて言う
「は、はいっ!有難う御座いましたっ!ウィザード様っ!行って来ます!」
マリアが走って行く
社内
マリアが息を吐いて言う
「はぁ~ 間に合った…」
課長が咳払いをする
「うっ うんっ!」
マリアが衝撃を受けつつ仕事を開始しながら思う
(う…っ でも ギリギリだし… これじゃ 先輩として示しが付かないよね… 分かってはいるんだけど…)
マリアが軽く息を吐いてから 意識を荷物に向けて思う
(エリナは今日 リナの彼に話すって言ってた… その時間は… きっとお昼過ぎ… とか…?エリナは連絡するって言ってくれてたから きっと退社時には 連絡が来ている筈… それか もしかしたら お昼休憩の時…?お昼休憩か… マキにも相談してみようかなぁ?あ、でも マキにまで心配を…)
後輩2が言う
「あの マリア先輩 教えて頂きたいのですが」
マリアがハッとして言う
「あっ は、はいっ?何でしょう?」
課長が目を光らせている
マリアが視線を感じて思う
(い、いけない… 今は仕事に集中しよう…)
マリアが後輩に仕事を教える
昼休み
マリアが窓の外を見て言う
「あ… 雨だわ 珍しい…」
後輩1が言う
「この町では珍しいですけど 3つ隣のレンデン町では ずっと雨続きで困っているそうですよぉ?」
マリアが言う
「え?そうなんだ?」
後輩1が言う
「はい 私のお婆ちゃんの家があるんですけどぉ 川とか増水しちゃって大変だって でも この町とか隣町なんかは 逆に雨が少ない方だったのに 急ですよねぇ?やっぱり 異常気象なんですかねぇ?」
マリアが言う
「うん… そうなのかも…」
マリアが思う
(それとも やっぱり ウィザードの能力の問題なのかなぁ?レンデン町のウィザードって どんな人なんだろう?もしかしたら あの大灯魔台の 灯魔儀式に出ている人だったりして…?)
マリアが視線を落として思う
(でも 大灯魔台の灯魔儀式に出るぐらいなら それなりに実力はあるって事なんだよね?…違うのかなぁ?)
後輩1が言う
「あの~?マリア先輩?」
マリアがハッとして言う
「はっ はいっ!?」
後輩1が苦笑して言う
「良かったら 私たちと一緒に お弁当食べませんか?いつも外に行っているみたいですけど 今日は雨ですし?」
マリアが一瞬呆気に取られてから言う
「あ、そうだね?確かに…」
マリアが思う
(この雨じゃ マキも来ないだろうし…)
マリアが言う
「それじゃ 一緒に!」
後輩1が言う
「良かった!他の2人も居るんで 4人で食べましょう!」
マリアが言う
「うん お邪魔しちゃうね?」
後輩1が言う
「はいっ!是非是非!」
マリアが微笑して思う
(たまには 魔法や ウィザード様たちの事は忘れて 普通の会話って言うのも 良いかもしれない …エリナからも まだ連絡はないし)
後輩1がこっそり言う
「それで… 出来たら あの魔法使いさんの お話とかっ」
マリアが衝撃を受ける 後輩1が微笑して言う
「聞かせてもらえませんかぁ~?マリア先輩~!」
マリアが苦笑して言う
「う、う~ん…」
マリアが思う
(私の 普通の会話が…っ …しかも その魔法使いさんは 昨夜は寮の壁を壊して ベッドに入って 今朝は 頭に包帯を巻いて来ましたとか?)
マリアが溜息を吐いて言う
「はぁ… やっぱり 言えない…」
後輩1が呼ぶ
「マリアセンパーイ こっちですよ~!?」
マリアが苦笑して言う
「は~い」
――…
マリアが席に座り息を吐いて思う
(つ、疲れた…っ お昼休憩… 休憩の筈だったのに…)
マリアが書類を引っ張りながら思う
(普通の会話所か ひたすら ”あの魔法使いさん”に付いての 質問攻めで… その話を聞いている 他の2人まで乗って来ちゃって… いくら否定しても 彼氏彼氏って…)
マリアが顔を上げて思う
(『そんなに ウィザード様を 私の彼氏にしたいんですかっ!?』って 何度も叫びそうになった…っ)
マリアが書類へ視線を落として 肩の力を抜いて思う
(はぁ~… でも 出会いは もちろん ”あの魔法使いさん”が 魔法使いになってしまった 理由も言えない訳で… 結局大した事は 話してあげられなかったんだから …そもそも 物珍しい 魔法や 魔法使いさんの 話を聞きたがるのは しょうがないのかなぁ)
マリアが息を吐いて言う
「ふぅ~…」
課長が言う
「疲れている所 すまないがね?マリア君?」
マリアが衝撃を受けて言う
「い、いえっ!?何でしょうっ!?課長っ!?」
課長が言う
「もうすぐ 今期のプロジェクトが 企画される予定なんだが」
マリアが言う
「は、はい?えっと…?」
マリアがカレンダーを見て気付いて言う
「あれ?今期は随分早いですね?いつもなら もう2週間は先で 来月の初めからだったと…?」
課長が言う
「うむ、プロジェクトが開始されるのは通常通り 来月の初めからだが その企画の構成は 来週から始めるものなのだよ」
マリアが言う
「なるほど?そうですね 開始される前に 企画はされるでしょうから…」
マリアが思う
(そうなれば 企画はプロジェクト開始の2週間くらい前から 開始されるのかも…?)
課長が言う
「と、言う事でマリア君 今期からは 君も企画から参加してみないかね?」
マリアが驚いて言う
「えっ!?私がっ!?…ですか?」
課長が言う
「マリア君には今まで プロジェクトの企画後に 携わってもらっていたからね?そろそろ 企画の方にも参加してもらうのも 良いかと思って居たのだよ」
マリアが言う
「ですがっ?プロジェクトの企画と言ったらっ!?」
課長が微笑して言う
「その為に 後輩も3人 入れたのだからな?おめでとう マリア主任 昇進だ」
マリアが驚いて言う
「わ、私がっ主任にっ!?あ、有難う御座いますっ!?課長っ!」
後輩たちが拍手して言う
「おめでとう御座います!マリア先輩!」 「マリア主任!これからも 宜しくお願いします!」
マリアが微笑して言う
「あ、ありがとう!?」
マリアが思う
(え!?え!?ホントにっ!?これ 夢じゃないのっ!?)
課長が言う
「それで、早速 先ほど話した プロジェクトの企画なのだが 言った通り 来週から開始される その会議の初日が 水曜日になるのだが マリア君は 公休日だろう?プロジェクトに合わせて一時的にでも それは変えざるを得ない」
マリアが言う
「は、はいっ 分かりました!」
課長が言う
「とは言え 水曜日の前日は プロジェクト企画に付いての資料が集まるから それに目を通す為にも 出社してもらいたい …そうなると 君は先日の休暇も返上しているだろう?もし必要なら 急ではあるが 休みを取るなら 明日しかないが どうするかね?」
マリアが言う
「あ、はい… しかし 月曜日は…」
マリアが思う
(絶対休暇禁止の月曜日… 今から準備をするには… 時間と… 何より体力が…)
マリアが困る 課長が言う
「確かに 部署としては忙しい曜日だが プロジェクトの為となれば仕方がない 新人とは言え 社員は3人居るからな?その日は 私が指導して 何とかしよう」
マリアが呆気に取られて言う
「え?課長が…?」
課長が言う
「書類作成に付いては もう十分指導はしてくれて あるのだろう?それなら 後は問題ない」
マリアが言う
「分かりました では 宜しくお願いします!」
課長が言う
「うむ、では 話は以上だ 全員仕事に戻る様に!」
皆が仕事に戻る
マリアが席に座り思う
(いつも 怒られてばかりいた 私が昇進かぁ… 驚いちゃった 遅刻癖もあって 昇進なんか程遠いと思っていたのに ビックリ…っ しかも 急ではあるけど 休暇を貰えたし 正直 水曜日の公休日までキツイと思ってたから 助かっちゃった… ん?それに?)
マリアがカレンダーを確認して思う
(あ!明日ってっ!大灯魔台の 灯魔儀式の日だったっ!すっかり忘れてたけどっ これならウィザード様と 最初から見に行ける!早速 今日の帰りに 伝えなくちゃ!…伝えると言えば もう1つ忘れてた エリナから連絡は… まだ無いかな?やっぱり 早く…)
課長が叫ぶ
「マリア君っ!!」
マリアが衝撃を受けて叫ぶ
「はっ はいっ!すみません!課長っ!」
会社 外
マリアが出て来て言う
「ふぅ~… もう限界… いくら 課長や後輩3人に任せると言っても やっぱり 急に休むとなると やって置かなきゃいけない事が 沢山あって… それに」
マリアが携帯を見て思う
(エリナからの連絡は無かった… まだ話してないのかな?)
マリアが傘をさしながら言う
「そう言えば 話をするって言う その時間までは 聞いてなかったし… 帰ったら私から 連絡してみよう」
レイの声が聞こえる
「マリアー!」
マリアが振り向くと レイが到着して 杖で雨に濡れた帽子を軽く上げながら言う
「お仕事 お疲れ様ー!マリア!」
マリアが苦笑して言う
「お疲れ様です ウィザード様 今日は雨に降られちゃって お空を飛ぶのも 大変だったんじゃないですか?」
レイが言う
「大丈夫だよ マリア!風と水は仲が良いから 空を飛ぶ時だって 何とも無いよ!むしろ俺としては 天気の良い日の方が 日差しが暑くて大変だな!」
マリアが言う
「え?そうなんですか?てっきり 雨の日の方が 大変なのかと思いました」
レイが言う
「そうか?だって 水は風で払う事が出来るけど 日差しは風で遮れないだろう?」
マリアが気付いて言う
「あ、なるほど…?」
マリアが思う
(確かに…)
レイが言う
「そんな時は 水の魔力をちょっと借りて 霧を作って防ぐんだよ それが雲になって 次に雨になったりするけどな?」
マリアが呆気に取られた後苦笑して言う
「それじゃ この雨は 何処かの風の魔法使いさんが その霧を沢山作っちゃったんでしょうか?」
レイが一瞬呆気に取られた後笑って言う
「あははっ 魔法使いが作る霧なんて ほんのちょっとだから こんな大規模に降る事は無いよ それに この雨は 自然界の水の魔力が怒ってるんだぜ?」
マリアが言う
「え?自然界の水の魔力が怒っている?」
レイが言う
「そうそう!だから 自然の摂理に外れて その土地に長く降り続けて 人の営みに危害を与えようとするんだ!水の魔力は 最も人に優しい力なのに それが怒るんだから よっぽどだな?」
マリアが思う
(そうなんだ… この雨は 自然界の水の魔力が怒って 人の営みに… それじゃ その原因は 人にあるって事?)
レイが言う
「所で マリア 今日は何処かに行くのか?行くなら また連れてってやるぞ?」
マリアが言う
「あ、いえ 今日は何処へも …このまま帰宅する予定です」
レイが言う
「そうか!それじゃ 帰るぞ!マリア!」
マリアが言う
「はい、お願いします」
レイとマリアが風に消える
自宅 前
レイが言う
「はい!到着!」
レイがマリアに抱き付いて言う
「マリアー!マリアは 明日も やっぱり忙しいのか?」
マリアが苦笑しつつ 思い出して言う
「あ、そうでした!ウィザード様 私 明日は1日 お休みになりまして!」
レイが言う
「お!?そうなのかっ!?それじゃ 俺と一緒に!」
マリアが言う
「はい!一緒に!」
レイが言う
「朝からゆっくりお茶が飲めるなー!」
マリアが衝撃を受けてから言う
「え!?いえっ!そうじゃ無くてっ!?ウィザード様 お忘れですか!?明日は 大灯魔台の灯魔儀式の日ですよ!?見に行かないんですかっ!?」
レイが言う
「ああ、そりゃ もちろん ちょっとは見に行くつもりだったけど 別に 最初から見なくたって良いだろう?一応 総魔力は計算されているんだから 最初の起動作業は問題ないだろうし 補助灯魔台を見れば 何の属性を灯魔したのかも 分かるからな?」
マリアが言う
「それはそうかもしれませんがっ 時間が有るのなら 最初から応援したいって 思うじゃないですか!?」
レイが言う
「そうか?俺は別に思わないけど?」
マリアが衝撃を受けてから言う
「え!?思わないんですかっ?何でですかっ!?ウィザード様の”先輩”だって 参加するんですよっ!?私だって お母さんも居ますし… 何より 大灯魔台の灯魔儀式を行う ウィザードの皆さんを 一緒に応援したいってっ!」
レイが言う
「そんな事より 俺はマリアと仲良く お茶でもしていたいって 思うけどなぁ?」
マリアが思う
(相変わらず この人は…)
レイが言う
「けど、マリアが そうしたいって言うなら 俺はそうするよ?それに よく考えたら 明日の大灯魔台の灯魔儀式は ちょっと面白いかもしれないからな?」
マリアが言う
「え?ちょっと面白いって …今までと何か違うんですか?」
レイが言う
「だって、14年以上前から 魔力を抑えていた あの先輩が やっと 法魔帯の呪縛から解かれた訳だから その実力が どんなもんかってさ?もしかしたら…」
マリアが言う
「え?14年 ”以上前”から!?」
マリアが思う
(14年以上前から実力を抑えていた?つまり 法魔帯の色を上げないようにしていたのも 14年以上前からって事?それじゃ 法魔帯の色を上げないようにしたのは 14年前の大灯魔台の灯魔儀式の 失敗が原因じゃないの!?)
レイが言う
「ああ、あの頃だって 俺は白い法魔帯を使っていたんだから 俺の魔力は 最強だったのに 先輩は その魔力を制御したんだぜ?魔力の制御が出来るって事は 同等の許容力が無ければ 出来ない事だから 俺には分かったんだよ このウィザードは実力を抑えているって!」
マリアが言う
「では その先輩が 法魔帯の呪縛から解かれたと言う事は?明日からの 大灯魔台の灯魔儀式を 全て成功させて…」
マリアが思う
(神に選ばれる事を 目指すって事?)
レイが言う
「先輩がどうするつもりか なんて事は 俺はどうでも良いけどさ?もし 本物のウィザードなら 神に選ばれる事なんか 望まない筈だから」
マリアが呆気に取られて言う
「え?」
マリアが思う
(本物のウィザードなら 神に選ばれる事を望まない?…それは どう言う事?)
レイが言う
「もしかしたら 今度こそ引退するって事で 先輩の本気が見られるかもな?うーん それなら?やっぱ俺も 最初から見ておくか!マリアと一緒に!」
マリアが呆気に取られて言う
「え?あ… はい… えっと それでは?」
レイが言う
「うん!明日も迎えに来るからな!俺と一緒に見に行こうな!マリア!」
マリアが苦笑して言う
「は、はい… お願いします」
レイが言う
「じゃ 俺 帰るよ!お休み!マリア!」
マリアが言う
「はい… お休みなさい また明日」
レイが風に消える
マリアが疑問して思う
(なんだか また 分からなくなっちゃった… これもやっぱり 私が 講習会の前半を 欠席していたせい… なの?)
マリアが鍵を取り出そうとすると 携帯が鳴る マリアが一瞬驚いてから慌てて通話に出て言う
「エリナ!?どうだったっ!?」
マリアが玄関の鍵を開けようとした手を止めて言う
「え?…どうして?昨日は 脅してでも言わせるって?」
マリアが玄関の鍵を開け 家に入る
マリアの部屋
マリアが考えている マリアの脳裏に思い出される
マリアが言う
『え?…どうして?昨日は 脅してでも言わせるって?』
携帯からエリナの声がする
『うん そのつもりで 今日 彼に会って 言ったんだけど… その彼が 今はリナの調子が余り良くないから… 安定してから 話すから もう少しだけ 待って欲しいって』
マリアが言う
『あ… そうなんだ…?』
エリナが言う
『流石に そんな状態だって言われたら 私がらも伝えられないし… それに リナには 何となくって事で連絡して 様子を聞いてみたんだけど …実際 少し調子が悪いって 本人が言うから 尚更』
マリアが言う
『そっか… それじゃ しょうがないね?』
マリアが思う
(そう言えば 仕事を手伝ってもらいたいって ちょっと前にケーキパーティーをした時も そんな様な事言ってたっけ?あの時は 出産に対してちょっとナーバスになっているだけだって 言ってたけど 調子が悪かったのかな?だとしたら 仕事を手伝わせて 悪い事しちゃった…)
マリアが溜息を吐いて言う
「はぁ… 何だか心配…」
玄関からソニアの声が聞こえる
「ただいまー」
マリアがハッとして思う
(あ、そう言えば こっちもっ!?)
マリアが立ち上がって言う
「お帰りなさーい!」
マリアが部屋を出る
マリアが階段を降りて言う
「お母さん 明日の大灯魔台の灯魔儀式 お母さんも もちろん行くんだよね?」
ソニアが言う
「ええ もちろんね?」
マリアが言う
「私もね?明日は1日 お休みになったから 今度は最初から見に行こうと思ってるの!あ、そう言えば?明日は 何処の町の大灯魔台なの?」
マリアが思う
(前回は ウィザード様が連れて行ってくれたけど… どうして分かったのかな?)
ソニアが言う
「あら?それこそ もちろん リーツ町よ?ルーツ町 レーツ町と来れば 次はリーツ町の大灯魔台に 決まっているでしょう?」
マリアが衝撃を受けて言う
「え!?決まってるのっ!?」
ソニアが言う
「ええ 1番目2番目の場所は 確認しないと分からないけど その2つが終われば3番目は 言わずとも決まるでしょう?大灯魔台の灯魔儀式は 三角形を2回の合計6回なんだから 明日は その前半の終わりね?」
マリアが思う
(し、知らなかった… 三角形?言われて見れば ルーツ町、レーツ町、リーツ町は 地図上で三角形になるかも…?)
ソニアが言う
「6箇所が終わらなくとも 3か所の大灯魔台が灯れば かなり結界も強化されるし そうなれば 今起きてる異常気象も… 少しは良くなるかもしれないわね?」
マリアが気を取り直して言う
「そうだね?このままレンデン町みたいに 何日も雨が降り続いたら… お洗濯物も乾かないし …農作物にも 良くないもんね?」
マリアが思う
(あ… でも ウィザード様は この雨は 水の魔力が怒ってるんだって 言ってたけど… それも 結界が強化されれば 何とかなるのかな?)
ソニアが言う
「そうね この雨も… ただの雨なら良いのだけど… でも この雨は もしかしたら あまり良い雨ではないのかも知れないから 少し心配ね…」
マリアがハッとして思う
(もしかして お母さんも その事を知ってるのかな!?)
マリアが言う
「あまり良い雨ではないかもって それって もしかして お母さんも ”お母さんのウィザード様”から 何か聞いてるの?」
ソニアが一瞬反応してから苦笑して言う
「うふふっ お母さんは 何も聞いていないけれど マリアの言い方では 本当にそうなのね?」
マリアが衝撃を受けて思う
(う… そっか… 相変わらず 鋭いな お母さん…)
ソニアが言う
「”お母さんのウィザード様”は 何も仰らないけど でも こんな時は分かるのよ この雨を ご心配されているな~?って」
マリアが言う
「この雨を ご心配されて?」
マリアが思う
(じゃぁ やっぱり ”お母さんのウィザード様”は 水の魔力の事を心配している…?)
ソニアが言う
「”マリアのウィザード様”も 同じなのかしら?」
マリアが言う
「えっと~ 私のウィザード様は 何でも仰る人だから ハッキリ言ってたよ?”この雨は自然界の 水の魔力が怒っているんだ”って」
ソニアが言う
「そう… そうだったの… それは 困っちゃったわね どうしたら良いのかしら…?」
マリアが気付いて言う
「え?あっ …ごめんね?お母さんを 困らせちゃった?」
ソニアが苦笑して言う
「良いのよ?でも どうしたら良いのか その解決策も ”マリアのウィザード様”は 教えてくれたの?」
マリアが言う
「う、ううん…?」
マリアが思う
(そう言えば 聞いてないかも…)
ソニアが言う
「そう… 解決策が あるのなら良いけど… 心配ね?」
マリアが一瞬驚いた後表情を落として言う
「う、うん… そうだね?あ、明日にでも 聞いてみようかな?」
ソニアが苦笑して言う
「ええ… お母さんも 聞いてみようかしら?」
マリアが言う
「ああっ でもっ!?お母さんと ”お母さんのウィザード様”は 明日は大灯魔台の灯魔儀式で 大変なんだし 今はそっちの事だけ 考えた方が良いんじゃないかな!?」
ソニアが言う
「あら… そうだったわね ごめんなさい マリア 有難う」
マリアが言う
「う、ううんっ?私こそ ごめんなさい… 大切な時に 他の心配事を…」
ソニアが微笑して言う
「大丈夫よ マリア 明日の灯魔儀式は 成功するから」
マリアが言う
「え?」
ソニアが微笑して言う
「明日の大灯魔台の灯魔儀式は 必ず成功するって …それも 仰らないけど お母さん 分かったから」
マリアが呆気に取られた後苦笑して言う
「う、うん!私も… そうだと思う!」
マリアが思う
(確信は… 無いけど… それでも ウィザード様はいつも通り 心配なんかは していなかったし… それに もしもの時は…っ)
ソニアが微笑して言う
「ええ それじゃ お母さん 明日の為にも 早く寝る事にするわ?」
マリアが言う
「う、うん… 私もそうする!」
ソニアが微笑して頷き立ち去る マリアが肩の力を抜いて思う
(お母さん… 雨の事 心配してたな… 私、余計な事 言っちゃったかも…)
マリアが自分の部屋へ向かいながら思う
(”お母さんのウィザード様”は お母さんに言わなかったのに 私が 自分のウィザード様から 聞いた事を言っちゃって… 良くなかったかも… あ、もしかして?)
マリアがベッドに横になって言う
「”お母さんのウィザード様”は だから言わないとか…?お母さんに… 自分の奉者に 心配を掛けない為に…」
マリアが気付いて思う
(ウィザードって 皆 自分の奉者の事を そんなに大切にするのかな?”私のウィザード様” だけかと思っていたけど…)
マリアが目覚ましをセットして ベッドへ入る
マリアが呼びながら走る
「エリナー!」
エリナが一瞬驚いた後振り返って言う
「マリア!?え?もう着いたの?だってまだ 連絡して3分も経ってないわよ?」
マリアが言う
「うん!ウィザード様に 送ってもらったから!」
マリアがハッとして思う
(あっ たった今 別れたせいで 思わず言っちゃったけど… これって 普通… 言っちゃいけない事…?)
エリナが言う
「ああ そうだったわね マリアは あのウィザード様の 奉者様だものね?その節は お世話になりました!」
マリアが衝撃を受けて思う
(う…っ そう言えば… エリナには まだ ウィザード様が魔法使いになっちゃった事は 言ってなかった… って言うか それこそ 言っちゃいけない事かも…?)
マリアが苦笑して言う
「い、いえ…?ど、どういたしまして?」
マリアが思う
(どうしよう…?)
エリナが微笑して言う
「そう言えば 私も 灯魔作業以外の 魔法を見たのは 初めてだったから あの時は驚いたわ すごいわよね?本当に魔法で 行きたい場所へ行けちゃうの?マリアとあのウィザード様が 目の前から消えて 私 ビックリしちゃったわ!…それにしても たった1ヶ月ちょっと前の話なのに 何だか 懐かしいわね?」
マリアが衝撃を受け思う
(う… 何だか 私も… 遠い過去の話に思えるのは… やっぱり…)
エリナが言う
「あ、とりあえず お店に入る?」
マリアがハッとして言う
「う、うん そうしよう!」
エリナが言う
「うん!」
マリアとエリナが道を行く
飲食店
エリナが言う
「今日は私がおごるから 好きなの注文しちゃって!」
マリアが衝撃を受けて言う
「え!?いやっ 悪いよ そんなっ!?」
エリナが言う
「気にしないで?相談があるって呼び出したのは 私だし それに あの燭魔台の灯魔作業をしてもらった あの時の お礼に!」
マリアが思う
(う、う~ん… 燭魔台の灯魔作業に関する お礼だとしたら… それを受けるのは 私じゃないよな気もするけど… でも あの時は 一応… 私もウィザード様の お茶に付き合ったし…)
マリアが深く思う
(むしろ お陰様で 美味しい紅茶を ご馳走になれた と言うのが 本当は正しいような… でもまぁ 今は…)
マリアが苦笑して言う
「そ、それじゃ デザートだけ!おごってもらっちゃおうかな?あ、この苺ケーキ美味しそうっ!」
エリナが軽く笑って言う
「OK 分かった!私も苺ケーキ付けちゃお!」
マリアが微笑する
――…
マリアが苺ケーキを食べつつ言う
「それで… リナの事で 相談って言うのは?」
エリナがフォークを止めて言う
「う… うん…」
エリナが気を取り直して言う
「マリアも知ってると思うけど リナは今 妊娠してるでしょ?多分 その事もあって… リナの彼 保育園を辞めたの」
マリアが言う
「え?どうして その事が 保育園を辞める事に 繋がるの?」
エリナが言う
「彼はね?昔から凄く 子供の事を大切にする保育士で… あの保育園の燭魔台の灯魔が切れると いつも 園長先生に 灯魔作業の催促をしたり 私も彼から たくさん保育士としての知識を教わったわ 彼は そんな 本当に子供を大切にする人… だから」
マリアが疑問しながら言う
「う、うん…?」
マリアが思う
(本当に子供を大切にする 保育士だった人が… 恋人のお腹に自分の子供が出来た事で 保育士を辞めた?それって 一体…?)
エリナが言う
「自分の子供が リナのお腹に出来た事で きっと より一層 子供を愛する気持ちが強くなったんだと思うわ… 生まれてくる 子供の為にも リナの為にも 保育園の子供たちの為にもって… 彼は”探求者”の仕事に 就く事にしたらしいの…」
マリアが言う
「”探求者”って?」
エリナが言う
「マリアも知らない?…そうよね あんまり知られてない お仕事だもんね?」
マリアが言う
「探求者って事は… 何かを探すお仕事?」
エリナが言う
「うん… 探求者が探すのは この世界の ”異常現象の元”なの…」
マリアが言う
「この世界の ”異常現象の元”…」
マリアが思う
(…この世界の 異常気象や 生物異常… それら全ての異常現象は 異常魔力の影響だって… その異常魔力の影響を 抑えているのが ウィザード様たちが 各町の灯魔台へ灯魔をする事で発生させている 結界… それじゃ もしかして!?)
マリアが驚いて言う
「その”異常現象の元”って言うのは もしかして アウターにあるんじゃ!?」
マリアが思う
(そもそも アウターと呼ばれるのは 結界の外の事っ …まさか!?そこへ行くのっ!?)
エリナが頷いて言う
「うん… そうなの だから ”探求者”は 命がけの仕事なのよ」
マリアが慌てて言う
「命がけだなんてっ それ所じゃないわっ!?私、一度 アウターからの 野生動物の奇襲を 見た事があるのっ!あんなのに襲われちゃったら!」
エリナが言う
「でも、異常現象を無くすには やっぱり その原因を突き止めるしかないでしょう?だからって…」
マリアが言う
「それは そうかもしれないけどっ!?」
マリアが思う
(それでもしっ!?…もしもの事が あったらっ!?リナのお腹には 子供まで居るのにっ!?)
エリナが言う
「私も話を聞いた時は もちろん止めたわ… でも、マリアは知ってる?この世界を守っている 結界の効力が年々落ちてるんだって… 異常気象もどんどん悪化しているし… マリアに こんな事言ったら 失礼かもしれないけど その原因の1つは 結界を作る …ウィザードの能力が 下がっているんじゃないかって…」
マリアが驚いて言う
「え…?」
エリナが言う
「それこそ 昔は ウィザード様が町に住まわれて 灯魔台へ力を与えていれば その町は安泰だって言われてたらしいの… でも、今は ウィザード様が居ても その町の異常気象が 改善されない事も 増えてきたらしくて…」
マリアが呆気に取られて思う
(そう言えば… ウィザード様も)
マリアが思い出す
レイが言う
『そうそう!法魔帯の色が低ければ 儀式はやらないで済むだろ?俺も参加してみて分かったけど 俺や先輩以外のウィザードは 全然弱いからな?』
レイが笑い出して言う
『あっははははっ そいつ駄目だな!全然 素質が無い!そいつ 本当にウィザードなのか?火なんて もっと初歩的な魔法で もっとも人に近い力で 一番、人に力を貸してくれる魔力なのに その修行方法が分からないなんて…』
マリアが思う
(ウィザードの能力が下がっている… それは 本当なのかもしれない…)
エリナが言う
「…だからね?自分の子供はもちろん 保育園の子供たちや… この世界の 未来を守るには 異常現象の元を絶たなければ いけないって…」
マリアが言う
「で、でもっ それで もし!?もしもの事があったらっ!?リナや子供を置いてっ …死んじゃうつもりなのっ!?」
マリアが強く思う
(そんなの 酷いっ!!)
エリナが言う
「彼もそれを考えなかった事は 無いと思う… でも 彼の気持ちも分かる気がして… それで私も 今までは約束通り リナには言わなかったんだけど… マリア?やっぱり リナに 言うべきよね?それとも… 彼の言う通り 隠しておくべきかな?でも もし本当に マリアの言う事にでもなったら… 私 その時 リナにっ」
マリアが沈黙して悩む
エリナが言う
「…ごめん マリアにまで 迷惑掛けちゃったわね?でも、聞いて マリア?私 実はもう 決めてるの …リナに伝えるって!」
マリアが呆気に取られて言う
「え…?」
エリナが苦笑して言う
「だから 今日は その… リハーサル!それにマリアを 付き合わせちゃったの!…ごめんなさい?」
マリアが力を抜いて言う
「そ、そうだったんだ?ううん!良いよ!だって私も!…私も エリナが正しいと思う!リナはね!?彼の事 信じて 待ってるの!”大好きだから 何があっても 待っていられる”って!」
エリナが驚く マリアがハッとする エリナが沈黙する
マリアが言う
「ご、ごめん…」
エリナが言う
「そっか… そうよね?私が言っちゃ駄目よね?やっぱり 彼を説得して 彼 本人から言わせなきゃ… これは リナと彼の 2人の問題だものね?」
マリアが言う
「あ… そ、そうだね…?」
マリアが思う
(そうだ… 2人の問題なのに 部外者の私が… でも 全くの部外者なんかじゃない リナは私の 大切な友達… 親友なんだもん!)
マリアが言う
「ねぇ エリナ?その”探求者”ってお仕事の事 もっと詳しく知ってる?知ってるなら 教えて欲しい…」
マリアが思う
(私が出来る事なんて 何も無いかもしれない… でも 聞かずには 居られないっ!)
エリナが言う
「うん… 私も 聞いた話だけど まず 何と言っても 結界の無いアウターに行くから 相応の装備はして行くらしいの… 拳銃とか 鉄砲とか そう言う武器を持って行くんだって… それと アウターサイドの村に居る 魔法使いに護衛をお願いしたりも するらしいんだけど…」
マリアが衝撃を受けて言う
「ま、魔法使いに 護衛をっ!?」
エリナが言う
「うん 村に居る魔法使いの人たちは 元々そう言うアウターの野生動物を相手に 魔法の修行をしているんだって… だから その人たちに 依頼をするらしいんだけど …でも 魔法使いは ウィザードになる事を 目的にしているから ”探求者”たちの依頼は 断る事も多いらしくて だから 結局 最後は 自分たちだけで 進む事になるらしいの…」
エリナが言いながら思い直して言う
「やっぱり 危険よね?そのまま 戻って来なかった ”探求者”の数は 数え切れないって…!」
マリアが言う
「それならっ ウィザードに依頼をしたら良いんじゃっ!?」
エリナが苦笑して言う
「でも、そのウィザードたちが 居なくなってしまったら それこそ 結界の維持が 出来なくなってしまうじゃない?」
マリアが衝撃を受けて言う
「あっ そ、そっか…」
マリアが肩を落として思う
(そうよね?つい いつもの癖で ウィザード様にって… あれ?でもそれなら?)
マリアが閃いて言う
「それならっ!ウィザード級の 魔法使いがっ!」
エリナが言う
「え?そんな人が居るの?」
マリアが衝撃を受けて思う
(あっ!?えっとぉ… どうしよう?実力は そうだって言ってるけど… 実際は どうなんだろう?それに 私が 勝手にそんな事 決められるものじゃないし…)
マリアが言う
「ご、ごめん 今のは気にしないで?何にしても!やっぱり リナの彼には ちゃんと本人からリナに 言ってもらうべきだと思う!だって 2人は夫婦なんでしょ!?」
マリアが思う
(あれ…?でも 結婚式の招待状は 貰って居ないけど… 結婚はしたのかな?)
エリナが言う
「相変わらず まだ 籍は入れてないみたいなんだけど… とりあえず 明日 彼には連絡するわ これ以上 リナに隠すなら 私が言っちゃう!って そう脅してでも言わせる!」
マリアが言う
「うん!それで良いと思う!だって そんなの 彼の勝手過ぎるもんっ 許せないわ!」
エリナが苦笑して言う
「そうよね!?私もそう思うから!」
マリアとエリナが笑う
リドル駅 前
マリアとエリナが居て エリナが言う
「それじゃ マリア 今日は 本当にありがとう!」
マリアが言う
「ううん!エリナ!明日は頑張ってね!?私、応援してるからっ!」
エリナが言う
「ええ!報告するわね!」
マリアが言う
「うん!待ってる!」
エリナが言う
「それじゃ また!お疲れ様!マリア!」
マリアが言う
「お疲れ様!エリナ!」
エリナが駅へ向かう
マリアが気付いて言う
「あ… そっか?私も 今日は電車に…」
レイの声が聞こえる
「マリア~!」
マリアが一瞬驚いた後振り返って言う
「え!?ウィザード様っ!?」
マリアが空を見上げるが マリアの前にある木の枝から レイが落て来て言う
「ふぎゃ…っ」
マリアが衝撃を受けて言う
「…えっ!?」
マリアが思う
(あ、あれ…?飛んで来たんじゃなくて…?)
レイが立ち上がり 軽く服を払ってから マリアの前に向かいながら言う
「何時来るのかと思って 待ってたら 俺 眠くなっちゃったよ マリア~」
マリアが衝撃を受けて思う
(やっぱり 落ちてきたっ!?…じゃなくてっ!?)
マリアが慌てて言う
「そ、それじゃっ!?やっぱり落ちて!?いえっ!?ずっと そこの木の上で 待っていたんですかっ!?」
レイが言う
「ずっと って訳じゃないけど… 修行は何処でも出来るし 丁度 良い木があったから それなら ついでにって… けど」
レイがマリアを包んで言う
「俺 もう眠いから さっさと帰るよ~ マリア~」
レイとマリアが浮き上がる マリアが言う
「は、はい… 有難う御座います」
レイとマリアが風に消える
自宅 前
レイとマリアが現れ レイが言う
「はい 到着…」
マリアがホッとして思う
(良かった… 無事 到着し …た!?)
レイがマリアに抱き付いて言う
「マリア~!」
マリアが呆れて思う
(凄く 眠そうなのに そこまでしてでも…)
レイが一瞬脱力して眠る マリアが思う
(…って 寝たっ!?)
マリアが慌てて言う
「あ、あのっ!?ウィザード様っ!?」
レイが起きて言う
「うん… やっぱり 眠いから 今日は もう無理…」
マリアが思う
(何が ”もう無理” なんですかっ!?)
レイが離れて言う
「それじゃ マリア お疲れ様~?お休み~」
マリアが言う
「あ!気を付けて下さいねっ!?ウィザード様っ!また壁とか ぶつからない様に!ちゃんと お部屋の中で寝てくださいね!?」
レイが言う
「うん 分かったよ~ マリアは優しいなぁ~ ありがとな~」
レイが風に消える マリアが呆気に取られて思う
「いえっ!こちらこそ… って」
マリアが思う
(…本当に 大丈夫かな?)
マリアが玄関の鍵を開けながら思う
(明日も ちゃんと 来てくれると 良いんだけど…)
マリアがドアを開け 苦笑して言う
「何だか心配… ”私のウィザード様”が ちゃんと飛べていますように」
マリアが空を見上げてから 苦笑してドアを閉めつつ言う
「ただいまー」
翌朝
マリアが家を出て来て思う
(うぅ~ 眠い… 昨日は結局 あのままずっと ”探求者”の事を 考えちゃって… それに ウィザード様なら探求者の護衛も 出来るんじゃないかな?とか… ついでに ウィザード様が ちゃんと飛んで行ったかなぁ?とか… ちゃんと…)
マリアが空を見上げて思う
(今日も来てくれるかなって… だって… もしかしたら あのまま壁に激突して そのまま気を失って 今朝のこの寒さで… と… と… と…)
マリアが言う
「凍死しちゃってるんじゃ ないかな?とか…?」
レイの声が聞こえる
「マリアー!」
マリアが表情を明るめて言う
「ウィザード様!」
レイがマリアに抱き付いて言う
「お早うー!マリアー!俺、今日も 無事 マリアに会えて良かったよー!」
マリアがレイを見て言い掛ける
「はい!私 も… って!?」
マリアが驚いて言う
「ウィザード様っ!?その頭の包帯は 何ですかっ!?」
レイが苦笑して言う
「いや 実は俺も 良く覚えてないんだけど」
マリアが言う
「まさか また壁に激突して 朝起きたら 外に寝ていたとか!?ついでに頭を 怪我していたとかっ!?」
レイが言う
「ああ!惜しいな マリア!でも よく分かってるよ!俺は 今朝 起きたら ちゃんと 部屋のベッドで寝てたんだけどさ?その部屋の壁がぶっ壊れてたから 外と同じくらい寒かったよ!マジで!」
マリアが衝撃を受けて言う
「そ、その 壁を壊したのはもしかして!?」
レイが言う
「うん!俺は覚えてないんだけど 位置的に 俺のベッドの前だったから きっと 俺は 窓を開けるのがメンドクサくて 壁を突き破って そのままベッドに入ったんじゃないかなって思うよ!」
マリアが慌てて言う
「ちゃんと窓から入って!…の前に 玄関から入らないんですか!?」
レイが言う
「どうせ外から入るんだから 直接入れる所から入った方が早いじゃないか?だから俺はいつも 窓から出入りしてるんだよ~!マリアー!」
マリアが思う
(そうなんだ… いつも… …って)
マリアが言う
「そうじゃなくてっ!」
レイが言う
「ああ!そうじゃなくて!今日も やっぱりマリアは 時間に追われてるな!?」
マリアがハッとして時計を見て言う
「ああっ!本当に時間がっ!」
レイが言う
「って 事で!」
会社前
レイが言う
「はい 到着ー!マリア いってらっしゃーい!」
マリアが慌てて言う
「は、はいっ!有難う御座いましたっ!ウィザード様っ!行って来ます!」
マリアが走って行く
社内
マリアが息を吐いて言う
「はぁ~ 間に合った…」
課長が咳払いをする
「うっ うんっ!」
マリアが衝撃を受けつつ仕事を開始しながら思う
(う…っ でも ギリギリだし… これじゃ 先輩として示しが付かないよね… 分かってはいるんだけど…)
マリアが軽く息を吐いてから 意識を荷物に向けて思う
(エリナは今日 リナの彼に話すって言ってた… その時間は… きっとお昼過ぎ… とか…?エリナは連絡するって言ってくれてたから きっと退社時には 連絡が来ている筈… それか もしかしたら お昼休憩の時…?お昼休憩か… マキにも相談してみようかなぁ?あ、でも マキにまで心配を…)
後輩2が言う
「あの マリア先輩 教えて頂きたいのですが」
マリアがハッとして言う
「あっ は、はいっ?何でしょう?」
課長が目を光らせている
マリアが視線を感じて思う
(い、いけない… 今は仕事に集中しよう…)
マリアが後輩に仕事を教える
昼休み
マリアが窓の外を見て言う
「あ… 雨だわ 珍しい…」
後輩1が言う
「この町では珍しいですけど 3つ隣のレンデン町では ずっと雨続きで困っているそうですよぉ?」
マリアが言う
「え?そうなんだ?」
後輩1が言う
「はい 私のお婆ちゃんの家があるんですけどぉ 川とか増水しちゃって大変だって でも この町とか隣町なんかは 逆に雨が少ない方だったのに 急ですよねぇ?やっぱり 異常気象なんですかねぇ?」
マリアが言う
「うん… そうなのかも…」
マリアが思う
(それとも やっぱり ウィザードの能力の問題なのかなぁ?レンデン町のウィザードって どんな人なんだろう?もしかしたら あの大灯魔台の 灯魔儀式に出ている人だったりして…?)
マリアが視線を落として思う
(でも 大灯魔台の灯魔儀式に出るぐらいなら それなりに実力はあるって事なんだよね?…違うのかなぁ?)
後輩1が言う
「あの~?マリア先輩?」
マリアがハッとして言う
「はっ はいっ!?」
後輩1が苦笑して言う
「良かったら 私たちと一緒に お弁当食べませんか?いつも外に行っているみたいですけど 今日は雨ですし?」
マリアが一瞬呆気に取られてから言う
「あ、そうだね?確かに…」
マリアが思う
(この雨じゃ マキも来ないだろうし…)
マリアが言う
「それじゃ 一緒に!」
後輩1が言う
「良かった!他の2人も居るんで 4人で食べましょう!」
マリアが言う
「うん お邪魔しちゃうね?」
後輩1が言う
「はいっ!是非是非!」
マリアが微笑して思う
(たまには 魔法や ウィザード様たちの事は忘れて 普通の会話って言うのも 良いかもしれない …エリナからも まだ連絡はないし)
後輩1がこっそり言う
「それで… 出来たら あの魔法使いさんの お話とかっ」
マリアが衝撃を受ける 後輩1が微笑して言う
「聞かせてもらえませんかぁ~?マリア先輩~!」
マリアが苦笑して言う
「う、う~ん…」
マリアが思う
(私の 普通の会話が…っ …しかも その魔法使いさんは 昨夜は寮の壁を壊して ベッドに入って 今朝は 頭に包帯を巻いて来ましたとか?)
マリアが溜息を吐いて言う
「はぁ… やっぱり 言えない…」
後輩1が呼ぶ
「マリアセンパーイ こっちですよ~!?」
マリアが苦笑して言う
「は~い」
――…
マリアが席に座り息を吐いて思う
(つ、疲れた…っ お昼休憩… 休憩の筈だったのに…)
マリアが書類を引っ張りながら思う
(普通の会話所か ひたすら ”あの魔法使いさん”に付いての 質問攻めで… その話を聞いている 他の2人まで乗って来ちゃって… いくら否定しても 彼氏彼氏って…)
マリアが顔を上げて思う
(『そんなに ウィザード様を 私の彼氏にしたいんですかっ!?』って 何度も叫びそうになった…っ)
マリアが書類へ視線を落として 肩の力を抜いて思う
(はぁ~… でも 出会いは もちろん ”あの魔法使いさん”が 魔法使いになってしまった 理由も言えない訳で… 結局大した事は 話してあげられなかったんだから …そもそも 物珍しい 魔法や 魔法使いさんの 話を聞きたがるのは しょうがないのかなぁ)
マリアが息を吐いて言う
「ふぅ~…」
課長が言う
「疲れている所 すまないがね?マリア君?」
マリアが衝撃を受けて言う
「い、いえっ!?何でしょうっ!?課長っ!?」
課長が言う
「もうすぐ 今期のプロジェクトが 企画される予定なんだが」
マリアが言う
「は、はい?えっと…?」
マリアがカレンダーを見て気付いて言う
「あれ?今期は随分早いですね?いつもなら もう2週間は先で 来月の初めからだったと…?」
課長が言う
「うむ、プロジェクトが開始されるのは通常通り 来月の初めからだが その企画の構成は 来週から始めるものなのだよ」
マリアが言う
「なるほど?そうですね 開始される前に 企画はされるでしょうから…」
マリアが思う
(そうなれば 企画はプロジェクト開始の2週間くらい前から 開始されるのかも…?)
課長が言う
「と、言う事でマリア君 今期からは 君も企画から参加してみないかね?」
マリアが驚いて言う
「えっ!?私がっ!?…ですか?」
課長が言う
「マリア君には今まで プロジェクトの企画後に 携わってもらっていたからね?そろそろ 企画の方にも参加してもらうのも 良いかと思って居たのだよ」
マリアが言う
「ですがっ?プロジェクトの企画と言ったらっ!?」
課長が微笑して言う
「その為に 後輩も3人 入れたのだからな?おめでとう マリア主任 昇進だ」
マリアが驚いて言う
「わ、私がっ主任にっ!?あ、有難う御座いますっ!?課長っ!」
後輩たちが拍手して言う
「おめでとう御座います!マリア先輩!」 「マリア主任!これからも 宜しくお願いします!」
マリアが微笑して言う
「あ、ありがとう!?」
マリアが思う
(え!?え!?ホントにっ!?これ 夢じゃないのっ!?)
課長が言う
「それで、早速 先ほど話した プロジェクトの企画なのだが 言った通り 来週から開始される その会議の初日が 水曜日になるのだが マリア君は 公休日だろう?プロジェクトに合わせて一時的にでも それは変えざるを得ない」
マリアが言う
「は、はいっ 分かりました!」
課長が言う
「とは言え 水曜日の前日は プロジェクト企画に付いての資料が集まるから それに目を通す為にも 出社してもらいたい …そうなると 君は先日の休暇も返上しているだろう?もし必要なら 急ではあるが 休みを取るなら 明日しかないが どうするかね?」
マリアが言う
「あ、はい… しかし 月曜日は…」
マリアが思う
(絶対休暇禁止の月曜日… 今から準備をするには… 時間と… 何より体力が…)
マリアが困る 課長が言う
「確かに 部署としては忙しい曜日だが プロジェクトの為となれば仕方がない 新人とは言え 社員は3人居るからな?その日は 私が指導して 何とかしよう」
マリアが呆気に取られて言う
「え?課長が…?」
課長が言う
「書類作成に付いては もう十分指導はしてくれて あるのだろう?それなら 後は問題ない」
マリアが言う
「分かりました では 宜しくお願いします!」
課長が言う
「うむ、では 話は以上だ 全員仕事に戻る様に!」
皆が仕事に戻る
マリアが席に座り思う
(いつも 怒られてばかりいた 私が昇進かぁ… 驚いちゃった 遅刻癖もあって 昇進なんか程遠いと思っていたのに ビックリ…っ しかも 急ではあるけど 休暇を貰えたし 正直 水曜日の公休日までキツイと思ってたから 助かっちゃった… ん?それに?)
マリアがカレンダーを確認して思う
(あ!明日ってっ!大灯魔台の 灯魔儀式の日だったっ!すっかり忘れてたけどっ これならウィザード様と 最初から見に行ける!早速 今日の帰りに 伝えなくちゃ!…伝えると言えば もう1つ忘れてた エリナから連絡は… まだ無いかな?やっぱり 早く…)
課長が叫ぶ
「マリア君っ!!」
マリアが衝撃を受けて叫ぶ
「はっ はいっ!すみません!課長っ!」
会社 外
マリアが出て来て言う
「ふぅ~… もう限界… いくら 課長や後輩3人に任せると言っても やっぱり 急に休むとなると やって置かなきゃいけない事が 沢山あって… それに」
マリアが携帯を見て思う
(エリナからの連絡は無かった… まだ話してないのかな?)
マリアが傘をさしながら言う
「そう言えば 話をするって言う その時間までは 聞いてなかったし… 帰ったら私から 連絡してみよう」
レイの声が聞こえる
「マリアー!」
マリアが振り向くと レイが到着して 杖で雨に濡れた帽子を軽く上げながら言う
「お仕事 お疲れ様ー!マリア!」
マリアが苦笑して言う
「お疲れ様です ウィザード様 今日は雨に降られちゃって お空を飛ぶのも 大変だったんじゃないですか?」
レイが言う
「大丈夫だよ マリア!風と水は仲が良いから 空を飛ぶ時だって 何とも無いよ!むしろ俺としては 天気の良い日の方が 日差しが暑くて大変だな!」
マリアが言う
「え?そうなんですか?てっきり 雨の日の方が 大変なのかと思いました」
レイが言う
「そうか?だって 水は風で払う事が出来るけど 日差しは風で遮れないだろう?」
マリアが気付いて言う
「あ、なるほど…?」
マリアが思う
(確かに…)
レイが言う
「そんな時は 水の魔力をちょっと借りて 霧を作って防ぐんだよ それが雲になって 次に雨になったりするけどな?」
マリアが呆気に取られた後苦笑して言う
「それじゃ この雨は 何処かの風の魔法使いさんが その霧を沢山作っちゃったんでしょうか?」
レイが一瞬呆気に取られた後笑って言う
「あははっ 魔法使いが作る霧なんて ほんのちょっとだから こんな大規模に降る事は無いよ それに この雨は 自然界の水の魔力が怒ってるんだぜ?」
マリアが言う
「え?自然界の水の魔力が怒っている?」
レイが言う
「そうそう!だから 自然の摂理に外れて その土地に長く降り続けて 人の営みに危害を与えようとするんだ!水の魔力は 最も人に優しい力なのに それが怒るんだから よっぽどだな?」
マリアが思う
(そうなんだ… この雨は 自然界の水の魔力が怒って 人の営みに… それじゃ その原因は 人にあるって事?)
レイが言う
「所で マリア 今日は何処かに行くのか?行くなら また連れてってやるぞ?」
マリアが言う
「あ、いえ 今日は何処へも …このまま帰宅する予定です」
レイが言う
「そうか!それじゃ 帰るぞ!マリア!」
マリアが言う
「はい、お願いします」
レイとマリアが風に消える
自宅 前
レイが言う
「はい!到着!」
レイがマリアに抱き付いて言う
「マリアー!マリアは 明日も やっぱり忙しいのか?」
マリアが苦笑しつつ 思い出して言う
「あ、そうでした!ウィザード様 私 明日は1日 お休みになりまして!」
レイが言う
「お!?そうなのかっ!?それじゃ 俺と一緒に!」
マリアが言う
「はい!一緒に!」
レイが言う
「朝からゆっくりお茶が飲めるなー!」
マリアが衝撃を受けてから言う
「え!?いえっ!そうじゃ無くてっ!?ウィザード様 お忘れですか!?明日は 大灯魔台の灯魔儀式の日ですよ!?見に行かないんですかっ!?」
レイが言う
「ああ、そりゃ もちろん ちょっとは見に行くつもりだったけど 別に 最初から見なくたって良いだろう?一応 総魔力は計算されているんだから 最初の起動作業は問題ないだろうし 補助灯魔台を見れば 何の属性を灯魔したのかも 分かるからな?」
マリアが言う
「それはそうかもしれませんがっ 時間が有るのなら 最初から応援したいって 思うじゃないですか!?」
レイが言う
「そうか?俺は別に思わないけど?」
マリアが衝撃を受けてから言う
「え!?思わないんですかっ?何でですかっ!?ウィザード様の”先輩”だって 参加するんですよっ!?私だって お母さんも居ますし… 何より 大灯魔台の灯魔儀式を行う ウィザードの皆さんを 一緒に応援したいってっ!」
レイが言う
「そんな事より 俺はマリアと仲良く お茶でもしていたいって 思うけどなぁ?」
マリアが思う
(相変わらず この人は…)
レイが言う
「けど、マリアが そうしたいって言うなら 俺はそうするよ?それに よく考えたら 明日の大灯魔台の灯魔儀式は ちょっと面白いかもしれないからな?」
マリアが言う
「え?ちょっと面白いって …今までと何か違うんですか?」
レイが言う
「だって、14年以上前から 魔力を抑えていた あの先輩が やっと 法魔帯の呪縛から解かれた訳だから その実力が どんなもんかってさ?もしかしたら…」
マリアが言う
「え?14年 ”以上前”から!?」
マリアが思う
(14年以上前から実力を抑えていた?つまり 法魔帯の色を上げないようにしていたのも 14年以上前からって事?それじゃ 法魔帯の色を上げないようにしたのは 14年前の大灯魔台の灯魔儀式の 失敗が原因じゃないの!?)
レイが言う
「ああ、あの頃だって 俺は白い法魔帯を使っていたんだから 俺の魔力は 最強だったのに 先輩は その魔力を制御したんだぜ?魔力の制御が出来るって事は 同等の許容力が無ければ 出来ない事だから 俺には分かったんだよ このウィザードは実力を抑えているって!」
マリアが言う
「では その先輩が 法魔帯の呪縛から解かれたと言う事は?明日からの 大灯魔台の灯魔儀式を 全て成功させて…」
マリアが思う
(神に選ばれる事を 目指すって事?)
レイが言う
「先輩がどうするつもりか なんて事は 俺はどうでも良いけどさ?もし 本物のウィザードなら 神に選ばれる事なんか 望まない筈だから」
マリアが呆気に取られて言う
「え?」
マリアが思う
(本物のウィザードなら 神に選ばれる事を望まない?…それは どう言う事?)
レイが言う
「もしかしたら 今度こそ引退するって事で 先輩の本気が見られるかもな?うーん それなら?やっぱ俺も 最初から見ておくか!マリアと一緒に!」
マリアが呆気に取られて言う
「え?あ… はい… えっと それでは?」
レイが言う
「うん!明日も迎えに来るからな!俺と一緒に見に行こうな!マリア!」
マリアが苦笑して言う
「は、はい… お願いします」
レイが言う
「じゃ 俺 帰るよ!お休み!マリア!」
マリアが言う
「はい… お休みなさい また明日」
レイが風に消える
マリアが疑問して思う
(なんだか また 分からなくなっちゃった… これもやっぱり 私が 講習会の前半を 欠席していたせい… なの?)
マリアが鍵を取り出そうとすると 携帯が鳴る マリアが一瞬驚いてから慌てて通話に出て言う
「エリナ!?どうだったっ!?」
マリアが玄関の鍵を開けようとした手を止めて言う
「え?…どうして?昨日は 脅してでも言わせるって?」
マリアが玄関の鍵を開け 家に入る
マリアの部屋
マリアが考えている マリアの脳裏に思い出される
マリアが言う
『え?…どうして?昨日は 脅してでも言わせるって?』
携帯からエリナの声がする
『うん そのつもりで 今日 彼に会って 言ったんだけど… その彼が 今はリナの調子が余り良くないから… 安定してから 話すから もう少しだけ 待って欲しいって』
マリアが言う
『あ… そうなんだ…?』
エリナが言う
『流石に そんな状態だって言われたら 私がらも伝えられないし… それに リナには 何となくって事で連絡して 様子を聞いてみたんだけど …実際 少し調子が悪いって 本人が言うから 尚更』
マリアが言う
『そっか… それじゃ しょうがないね?』
マリアが思う
(そう言えば 仕事を手伝ってもらいたいって ちょっと前にケーキパーティーをした時も そんな様な事言ってたっけ?あの時は 出産に対してちょっとナーバスになっているだけだって 言ってたけど 調子が悪かったのかな?だとしたら 仕事を手伝わせて 悪い事しちゃった…)
マリアが溜息を吐いて言う
「はぁ… 何だか心配…」
玄関からソニアの声が聞こえる
「ただいまー」
マリアがハッとして思う
(あ、そう言えば こっちもっ!?)
マリアが立ち上がって言う
「お帰りなさーい!」
マリアが部屋を出る
マリアが階段を降りて言う
「お母さん 明日の大灯魔台の灯魔儀式 お母さんも もちろん行くんだよね?」
ソニアが言う
「ええ もちろんね?」
マリアが言う
「私もね?明日は1日 お休みになったから 今度は最初から見に行こうと思ってるの!あ、そう言えば?明日は 何処の町の大灯魔台なの?」
マリアが思う
(前回は ウィザード様が連れて行ってくれたけど… どうして分かったのかな?)
ソニアが言う
「あら?それこそ もちろん リーツ町よ?ルーツ町 レーツ町と来れば 次はリーツ町の大灯魔台に 決まっているでしょう?」
マリアが衝撃を受けて言う
「え!?決まってるのっ!?」
ソニアが言う
「ええ 1番目2番目の場所は 確認しないと分からないけど その2つが終われば3番目は 言わずとも決まるでしょう?大灯魔台の灯魔儀式は 三角形を2回の合計6回なんだから 明日は その前半の終わりね?」
マリアが思う
(し、知らなかった… 三角形?言われて見れば ルーツ町、レーツ町、リーツ町は 地図上で三角形になるかも…?)
ソニアが言う
「6箇所が終わらなくとも 3か所の大灯魔台が灯れば かなり結界も強化されるし そうなれば 今起きてる異常気象も… 少しは良くなるかもしれないわね?」
マリアが気を取り直して言う
「そうだね?このままレンデン町みたいに 何日も雨が降り続いたら… お洗濯物も乾かないし …農作物にも 良くないもんね?」
マリアが思う
(あ… でも ウィザード様は この雨は 水の魔力が怒ってるんだって 言ってたけど… それも 結界が強化されれば 何とかなるのかな?)
ソニアが言う
「そうね この雨も… ただの雨なら良いのだけど… でも この雨は もしかしたら あまり良い雨ではないのかも知れないから 少し心配ね…」
マリアがハッとして思う
(もしかして お母さんも その事を知ってるのかな!?)
マリアが言う
「あまり良い雨ではないかもって それって もしかして お母さんも ”お母さんのウィザード様”から 何か聞いてるの?」
ソニアが一瞬反応してから苦笑して言う
「うふふっ お母さんは 何も聞いていないけれど マリアの言い方では 本当にそうなのね?」
マリアが衝撃を受けて思う
(う… そっか… 相変わらず 鋭いな お母さん…)
ソニアが言う
「”お母さんのウィザード様”は 何も仰らないけど でも こんな時は分かるのよ この雨を ご心配されているな~?って」
マリアが言う
「この雨を ご心配されて?」
マリアが思う
(じゃぁ やっぱり ”お母さんのウィザード様”は 水の魔力の事を心配している…?)
ソニアが言う
「”マリアのウィザード様”も 同じなのかしら?」
マリアが言う
「えっと~ 私のウィザード様は 何でも仰る人だから ハッキリ言ってたよ?”この雨は自然界の 水の魔力が怒っているんだ”って」
ソニアが言う
「そう… そうだったの… それは 困っちゃったわね どうしたら良いのかしら…?」
マリアが気付いて言う
「え?あっ …ごめんね?お母さんを 困らせちゃった?」
ソニアが苦笑して言う
「良いのよ?でも どうしたら良いのか その解決策も ”マリアのウィザード様”は 教えてくれたの?」
マリアが言う
「う、ううん…?」
マリアが思う
(そう言えば 聞いてないかも…)
ソニアが言う
「そう… 解決策が あるのなら良いけど… 心配ね?」
マリアが一瞬驚いた後表情を落として言う
「う、うん… そうだね?あ、明日にでも 聞いてみようかな?」
ソニアが苦笑して言う
「ええ… お母さんも 聞いてみようかしら?」
マリアが言う
「ああっ でもっ!?お母さんと ”お母さんのウィザード様”は 明日は大灯魔台の灯魔儀式で 大変なんだし 今はそっちの事だけ 考えた方が良いんじゃないかな!?」
ソニアが言う
「あら… そうだったわね ごめんなさい マリア 有難う」
マリアが言う
「う、ううんっ?私こそ ごめんなさい… 大切な時に 他の心配事を…」
ソニアが微笑して言う
「大丈夫よ マリア 明日の灯魔儀式は 成功するから」
マリアが言う
「え?」
ソニアが微笑して言う
「明日の大灯魔台の灯魔儀式は 必ず成功するって …それも 仰らないけど お母さん 分かったから」
マリアが呆気に取られた後苦笑して言う
「う、うん!私も… そうだと思う!」
マリアが思う
(確信は… 無いけど… それでも ウィザード様はいつも通り 心配なんかは していなかったし… それに もしもの時は…っ)
ソニアが微笑して言う
「ええ それじゃ お母さん 明日の為にも 早く寝る事にするわ?」
マリアが言う
「う、うん… 私もそうする!」
ソニアが微笑して頷き立ち去る マリアが肩の力を抜いて思う
(お母さん… 雨の事 心配してたな… 私、余計な事 言っちゃったかも…)
マリアが自分の部屋へ向かいながら思う
(”お母さんのウィザード様”は お母さんに言わなかったのに 私が 自分のウィザード様から 聞いた事を言っちゃって… 良くなかったかも… あ、もしかして?)
マリアがベッドに横になって言う
「”お母さんのウィザード様”は だから言わないとか…?お母さんに… 自分の奉者に 心配を掛けない為に…」
マリアが気付いて思う
(ウィザードって 皆 自分の奉者の事を そんなに大切にするのかな?”私のウィザード様” だけかと思っていたけど…)
マリアが目覚ましをセットして ベッドへ入る
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