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1章 最強のウィザード様

嗚呼、私のウィザードさま 「神に選ばれたウィザード様!?」

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会社

課長が叫ぶ
「マリア君っ!」
マリアが慌てて言う
「はいっ!課長っ!」
課長が言う
「また 遅刻癖が出て来たのでは ないのかね!?」
マリアが言う
「すみませんっ!」
課長が言う
「それから 今日提出期限の書類は」
マリアが慌てて言う
「は、はいっ!そちらは出来ていますっ!」
マリアが書類を持って課長の下へ向かう リナとマキが顔を見合わせてからマリアを見る 課長が書類を確認してから言う
「うん こちらは良いが… また 今日から何日も続けて遅刻をする事の無いよう 十分気を付ける様に 良いね?」
マリアが言う
「はい…っ」
マリアが席に戻って来る リナとマキが笑みを合わせて コソコソ言う
「出るわよ?」
「うんうんっ マリアの溜息が~」
リナとマキが視線を向けた先 マリアが席に座り モニターを見てから微笑する リナとマキが呆気に取られる マリアが気合を入れて言う
「今度は こっちのお仕事を 頑張らないと!」
マリアが仕事に打ち込む リナとマキが顔を見合わせる

昼休み

マキが言う
「あれ?珍しい マリア今日はお弁当じゃないの?」
マリアが言う
「うん 今朝はお弁当作る時間が無くて 今、近くのコンビニで買って来ちゃった」
リナが言う
「それって 相当疲れてるって事じゃない?お弁当作る時間も無くて 会社に遅刻するくらいだもの 大丈夫?マリア?」
マリアが言い辛そうに言う
「あ… 違うの 今日はその… 私にしては今までに無いくらい 早起きをして その… ウィザード様の 朝食を作りに…」
リナとマキが呆気に取られた後キャッキャッと騒ぐ マリアが慌てて言う
「ち、違うのよっ!ウィザード様は 病み上がりだからっ それにっ 昨夜は仕事で そ、それでっ お食事が心配でっ!」
リナが言う
「早起きが苦手なマリアが 愛するウィザード様の為に 今までで一番の早起きをしちゃうだなんて」
マリアが衝撃を受け慌てて言う
「だ、だだだ だってっ!ウィザード様のお部屋まで行って 作るって考えたらっ 6時半には出なきゃ間に合わなくってっ!」
マキが言う
「おまけに 彼が離してくれないから 遅刻しちゃった~ なんて~!?」
マリアが言う
「きょ、今日は ずっと 離してくれてた …って言うか 最初から 抱き付 かれ… ては…っ」
マリアがハッとして口を押さえる リナとマキが驚いてから言う
「何!?何っ!?」
「今何てっ!?」
マリアが慌てて言う
「な、何もっ!」
リナが言う
「今 何か凄い事言わなかった!?」
マキが言う
「言った気がするーっ!”今日は”ずっと 離してくれてた って事は じゃあ ”い・つ・も” は~?」
マリアが困り怒って言う
「本当に何も無いったらっ!」
マリアが身を静めて溜息を吐く
「はぁ~っ」
マリアが溜息にハッとする リナとマキが気付き2人が笑う マリアが呆気に取られてから苦笑する

マリアの部屋

マリアが書類記入を終えて言う
「宅配の手配完了!これで ウィザード様が また倒れちゃう心配は無くなったから…」
マリアが思う
(あれは 結局 私のせいだったけど…)
マリアが苦笑して書類を封筒に入れて言う
「後は明日 会社へ行く時に ポストに投函すれば良いし」
マリアが封筒をバックに入れながら気付いて言う
「あ… 次の灯魔儀式の予定は 何時にしたら良いかな?なるべく 急ぎたいけど ウィザード様のご体調次第だから…」
マリアが考えながら思う
(やっぱり 退院してから 5日目くらい?だとしたら 後3日… 事前の準備を考えるなら 連絡するのに丁度良い時だけど 神館の灯魔台は 以前の内に用意は済ませていた筈だから もしかしたら すぐにでも出来る状態なのかも うーん…)
マリアが悩む

出社時

マリアがポストに投函して言う
「これで 一安心!」
マリアが立ち去る

退社時

マリアが一息吐いて言う
「ふぅ… 何だか久しぶりに 落ち着いて仕事が出来た…」
マキが言う
「お疲れー マリア!ねぇねぇ!?今日久し振りに 以前行った あのイタリアンのお店行かないー?」
マリアが言う
「あ、ごめん マキ 今日はこの後… 奉者のお仕事があって」
マキが言う
「あー ウィザード様と デートだぁ~?」
マリアが衝撃を受けて言う
「ち、違っ!…大体 ウィザード様は 静養中なんだからっ」
マリアが思う
(私のせいだけど…)
マキが苦笑して言う
「あぁ そうだったっけ?」
リナが通り掛る マキが言う
「じゃぁ リナ 行かない?エリナとか誘ってみたりして?」
リナが言う
「ごめ~ん マキ 今日はちょっと…」
マリアが言う
「デートね?」
リナがウィンクして言う
「そう言う事!それじゃ、お疲れ様 2人共」
リナが去る マキが言う
「あ~あ~ 私だけじゃ~ん?」
マリアが苦笑して言う
「エリナを誘ってみたら?一緒に行ってくれるかもよ?」
マキが言う
「もー良いですー 私も彼氏探しするー ねー マリア?ウィザード様に ウィザード様と同じ位 綺麗な男の人 紹介してもらってよ~?」
マリアが帰り仕度をしつつ苦笑して言う
「ウィザード様と同じ位 綺麗な男の人だったら その人もきっとウィザード様でしょ?そうしたらマキも 奉者にならなきゃだよ?」
マキが言う
「それじゃ そっちも マリア先輩に習うから~?」
マリアが笑って言う
「ふふふ…っ この会社の仕事とは違って そっちを教えるには 私はまだまだなの マキも まずは講習会に 行ってみたら?」
マキが言う
「え~?」
マリアが立ち上がって言う
「マキ 案外 奉者様 合ってるかもしれないよ?…それじゃ お疲れ様」
マキが言う
「お疲れ様~」

会社 外

マリアが歩きながら考えて思う
(そう言えば さっきは冗談半分で言ったけど マキは本当に奉者合ってるのかも…?たった二言三言の内に あのウィザード様の性格を見抜いてたみたいだし?それに あのウィザード様の気迫に 気圧される事も 無かったし …って それって つまり 私が 駄目 なのかも…?)
マリアが溜息を吐く
「はぁ~… …ん?」
マリアが溜息に気付き苦笑して思う
(今度は自分の不甲斐なさに 溜息が出るようになっちゃったみたい)
マリアが顔を左右に振って気合を入れ直して言う
「駄目駄目!溜息を吐くくらいなら 奉者として もっと頑張らないと!…うん!」
マリアがタクシーを止め乗り込む

マンション 最上階

マリアが歩いて来てドアの前で思う
(ウィザード様の体調を確認して 次の灯魔儀式の日にちを決めないと…)
マリアがインターフォンを押して思う
(…ウィザード様 ちゃんとご飯食べてるかな?)
マリアが苦笑し鍵を開けながら言う
「まぁ 子供じゃないんだから そこまで心配しなくても 大丈夫よね?」
マリアがドアを開けて言う
「今晩は?ウィザード様」
マリアが部屋に入ると レイが言う
「マリア?」
マリアが声に横を向き言い掛ける
「あ、ウィザードさ…ま…?」
マリアの視線の先 レイが冷蔵庫の前に座り きゅうりを食べている マリアが疑問して言う
「あの~ ご体調は如何かと… 伺いに来たのですが… 何してるんですか?その… 良く言えば サラダを召し上がっていると 言おうにも ちょっと…」
レイがきゅうりを食べつつ言う
「うん!昨日マリアが料理を作ってくれたお陰で 体調は すっかり良くなったよ!ありがとな!マリア」
マリアが言う
「…で、そのきゅうりは?」
レイが疑問して言う
「きゅうりって?」
レイがきゅうりを食べる マリアが言う
「その、今召し上がっている物です」
レイが言う
「ああ、これか?”きゅうり”って言うのか?味は知ってたけど 切られる前を見た事が無くて 分からなかったよ」
マリアが言う
「せめて塩を付けるとか… でも、食べるな とは言いませんが 最初の内は もう少し消化吸収の良い物を… 生野菜はまだ 余り良くないかもしれませんよ?」
マリアが思う
(買って来たの 私だけど…)
レイが言う
「そうなのか?マリアは 料理を作れるだけあって 食材にも詳しいんだな?」
マリアが言う
「ええっと… 有難う御座います?」
マリアが思う
(一応… 褒められてるのよね?)
レイが言う
「じゃぁ 別のにしよう」
レイが立ち上がる マリアが言う
「野菜より エネルギーになる物… とりあえず お米は食べて下さいね?」
レイが言う
「お米?ああ そうか 分かった」
レイが米袋を開け 軽く手ですくうと ぽりぽりと食べ始める マリアが衝撃を受け慌てて言う
「ヴィ、ウィザード様っ!?」
レイが言う
「ん?」
マリアが慌てて近くへ来て言う
「な、生で食べないで下さいっ!?って 言うか 食べられるんですか!?」
マリアが思う
(ちょっと待ってっ!?まさか…っ!?)
レイが言う
「生で食べちゃいけないのか?けど」
レイが米を持つ手に炎を現して言う
「これ焼いても あんまり旨くないんだけどな?」
マリアが慌てて言う
「焼かないで下さいっ!!」
レイが疑問して言う
「え?焼いてもダメなのか?そう言えば マリア 俺 マリアに訊こうと思ってたんだけど」
マリアが困惑しつつ言う
「な、何ですか?」
レイが言う
「これどうしたら マリアが作った奴みたいに 柔らかくなるんだ?」
マリアが呆れ汗をかいて言う
「た… 焚いてください…」
レイが言う
「タイテ?」
マリアが言う
「もしくは お湯で煮るって言ったら 分かりますか?」
レイが言う
「お湯で… ニル?」
マリアが言う
「その前に 一応 磨いで下さいね?」
レイが言う
「トイデ?」
マリアが溜息を吐いて思う
(あぁ…)
マリアが言う
「…分かりました!」
レイが言う
「え?」

マリアが米を研ぎながら言う
「まずはこうやって お米を洗うんです これをお米を研ぐって言うんですけど」
レイが言う
「へぇ~?」
マリアが炊飯器にセットして言う
「後はこうして 水を入れて この機械に入れて… このボタンを押すだけです 簡単でしょ?」
レイが言う
「それで出来るのか?」
レイが炊飯器を開ける マリアが慌てて言う
「そ、そんなに すぐは出来ませんよっ!?」
マリアが炊飯器を閉める レイが言う
「そうか?」
マリアが言う
「大体45分くらいもあれば」
レイが言う
「そんなに掛かるのか?それなら 肉でも焼いた方が早いな?」
マリアが苦笑して言う
「お肉を焼く事は知ってたんですね?良かったです」
レイが言う
「うん そのまま食べたら 不味くてさ?とりあえず焼いてみたら 知っている味に近付いたんだよ」
マリアが呆れて言う
「やっぱり 生で食たんですね…」
マリアが溜息を吐いて言う
「そんな状態で 倒れるあの日まで 無事であった事が不思議です …ウィザード様 ここにいらっしゃる前までは お食事はどうしてたんですか?…あ、お母様に?」
レイが言う
「食堂に行けば 出される物だったからな?料理を作っている所なんて 見た事も無かったよ」
マリアが言う
「食堂?…えぇっと 会社とか学校ですか?」
レイが言う
「会社じゃないな?けど そうだな?学校みたいなものか?ウィザードになろうと思って この町に来た時は そこの食堂で食べたな?」
マリアが驚いて言う
「こ、この町に ウィザードになる事が出来る 学校なんてあるんですかっ!?」
レイが言う
「ああ、サウスサイドストリートにあるよ?けど 俺が居たのは1週間だったけど」
マリアが言う
「え?」
レイが言う
「認定試験を受けたら 合格ラインを越えてたから すぐに魔鉱石の投射を受けたんだ だから 居たのは1週間だけど 1日話を聞いて1日試験を受けて 後は寝ていただけだな?」
マリアが言う
「では その前は?」
レイが言う
「その前も 食堂がある場所に居たよ」
マリアが言う
「そうなんですか… それじゃ お家でご家族と召し上がった事は?」
レイが言う
「家族と食べた事は無いな?家族とは 会った事も無いからな?」
マリアが驚いた後慌てて言う
「え?あ…っ ごめんなさい」
レイが言う
「ん?どうした?マリア?」
マリアが言う
「えっと… その 悪い事を聞いてしまったと…」
レイが言う
「そうか?分からなかったけど?マリアは 家族と食べるのか?」
マリアが言う
「あ、はい 母が居る時は 一緒に食べます うちは 私と母だけなので …父はずっと昔に 交通事故で亡くなってしまって 少しだけ覚えていますけど 私も小さい頃だったので」
レイが言う
「そうか なら マリアは今は 母親と一緒に住んでいるのか?」
マリアが言う
「はい …あ、でも 何だか最近は お互いに忙しくて 顔を合わせていない感じですね」
レイが言う
「でも、仲は良いんだろ?」
マリアが微笑して言う
「はい、そうですね 良いと思います」
レイが言う
「そうか それは良いな 俺は多分 父親と会ったら まず ぶっ飛ばされるからな?」
レイが軽く笑う マリアが衝撃を受け言う
「え!?それは どうして?…だって 会った事ないんですよね?」
レイが言う
「会った事は無いけどさ?俺の父親は かなり優秀なウィザードだったから」
マリアが驚く レイが苦笑して言う
「今更 ウィザードになっているようじゃ 遅いって?万が一会ったりなんかしたら きっと 最強魔法で吹っ飛ばされて 地上に送り返されるんじゃないかな?」
マリアがハッとして言う
「”地上に送り返される”って事は… ウィザード様の お父様はっ!?」
レイが言う
「ああ 神に選ばれた ウィザードだよ?」
マリアが驚き言葉を失う


続く
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