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1章 最強のウィザード様

嗚呼、私のウィザードさま 「前代未聞なウィザード様」

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会社 昼休み

マリアが資料を見ながら考えて言う
「う~ん…」
マキが横から言う
「マーリア?どうしたの?難しそうな顔しちゃって?」
マリアが一度マキへ振り向いてから 苦笑して言う
「うん ちょっとね… 奉者として お勉強中」
マキが苦笑して言う
「わ~ やっぱ 大変なんだー?奉者様!マリアは凄いよ!」
マリアが苦笑して言う
「ううん 奉者様は凄いかもしれないけど 私は全然… 実は昨日 手配ミスをしちゃって 私は 何にも分かってないんだって 気付かされちゃった …ただ各地から送られてきた 要望書の内容だけを見て 予定を立てちゃいけなかったの …会社の商談予定とは やっぱり違ったみたい」
マキが言う
「へぇ~ そうなんだ?そう言えば 商談予定と言えば マリア 今日の午後に あのレントレ商事の社長との 商談入ってるんでしょ?」
マリアが言う
「うん 相変わらず 向こうの勝手で いきなり今日の午後一番にって だから 本当はミツイ商事と商談する予定だったのを 急遽リナにお願いしたの 資料は渡しておいたけど 悪い事しちゃったなぁ…」
マキが言う
「しょうがないよ?それに新規の商談より レントレ商事は大口だし 課長もマリアじゃないと無理だって言ってたから リナもきっと怒ってないよ?」
マリアが苦笑して言う
「うん でも… 今日のお詫びに リナには今度ケーキでも おごるつもり!」
マキが言う
「あー 良いな~ リナ~ それなら 私が受ければ良かったー」
マリアが言う
「マキにも この前半休取った時に 仕事割り振っちゃったから ちゃんと おごるよ?」
マキが言う
「やったー!」
マリアとマキが笑う マリアたちの近くで清掃員が清掃している マリアが資料を片付けて言う
「さて、早速 レントレ商事の社長さんを お出迎えに行かないと」
マキが言う
「でも 気を付けてね?マリア?レントレ商事の社長 スケベじじい だから!」
清掃員が衝撃を受ける マリアが苦笑して言う
「うん ホント 気を付ける」
清掃員が横目にマリアを見る マキが言う
「まぢで やばくなったら 商談は破棄しちゃって良いって 課長も言ってたし!」
マリアが言う
「うん… でも レントレ社長のサインさえもらえれば あっちの提携会社と うちの会社でかなり良い取引が出来るらしいから ギリギリまで粘るつもりだけどね?」
マキが言う
「えー 危ないよー マリアー?抱き付かれでもしたら どうするのぉ!?」
マリアが言う
「うーん それは嫌かも… でも、多分 大丈夫!最近 誰かさんのお陰で そう言うの避けるの 上手くなったから!」
清掃員が衝撃を受け ゴミ箱を倒す マリアとマキが疑問して振り返る 清掃員が背を向けた状態で ゴミ箱を戻し ゴミをほうきで掃いている マリアが言う
「それじゃ 行って来るね?」
マキが言う
「あ、第3応接室だよね?リナが第1応接室使うって言ってたけど」
マリアが言う
「第1は他の人が使ってるよ?第2が少し後に 第4なら 午後は空いてたみたいだけど?」
マキが言う
「そうなんだ?じゃ伝えておくー」
マリアが言う
「うん!ありがと よろしくね マキ?」
マキが言う
「はいはーい 行ってらっしゃーい」
清掃員がマリアの姿を視線で追う マキが清掃員を見る

会社の入り口に車が到着し レントレ商事社長(以下社長)が降りる マリアが礼をして言う
「お待ちしておりました レントレ社長」
マリアの後方に清掃員が居て不満そうに視線を向ける 社長が言う
「やぁ マリア君 急に予定を入れてしまって すまなかったね?」
マリアが微笑して言う
「いえ とんでも御座いません」
社長が言う
「突然 マリア君に 会いたくなってしまってね?…なんてね?あっはっはっ!」
清掃員がムッとする マリアが営業スマイルで言う
「あはっ 有難う御座います!私も レントレ社長に お会いしたいと思っておりました!」
清掃員が衝撃を受ける 社長が言う
「おおっ そうだったのか!それでは 以心伝心って奴だね?マリア君?あっはっは」
清掃員が怒っている マリアが微笑して言う
「はい そうですね!」
清掃員が衝撃を受ける マリアが社長へ道を促して言う
「では 応接室の方へ ご案内致します」
社長が言う
「ああ、それでは行こうか?」
マリアと社長が社内へ向かう 清掃員が目で追う

エレベータ待ちで 社長がマリアの尻に触れようと手を伸ばす 清掃員が気付き視線を強める 社長が驚いて言う
「あ痛ぁッ!」
マリアが疑問して言う
「え?」
社長が苦笑して手を押さえながら言う
「い、いやぁ?急に静電気が… あはははっ」
マリアが呆気にとられて言う
「この季節に静電気…?」
マリアが気を取り直して言う
「そうでしたか!静電気は嫌ですよね?ピリッと一瞬ですけど とっても痛くって!」
社長が苦笑して言う
「あ、ああ… ピリどころか ビシッと かなり痛かったが…」
社長がキョロキョロする エレベータが到着してドアが開く マリアが道を促して言う
「では 応接室は3階になります どうぞ」
社長が言う
「う、うむ…」
マリアと社長がエレベータへ乗り込む 清掃員がハッとすると エレベータのドアが閉まる 清掃員が風に吹かれて消える 周囲に居た社員が驚き 呆気に取られる

3階

エレベータの到着音と共にドアが開く マリアが言う
「こちらの階で御座います」
マリアが道を示す 社長が言う
「うむ」
社長がエレベータを出てマリアが続くと マリアがふと気付いて清掃員の後姿を見て思う
(あら?あの清掃員さん さっき1階に居た様な…?)
清掃員が焦りつつ横目に伺っている マリアが首を傾げて言う
「気のせいかな?」
社長が言う
「さて どちらの応接室かね?マリア君」
マリアが気付き 気を取り直して言う
「あ、はい 失礼致しました 第3応接室は こちらで御座います」
社長が笑んで言う
「ああ 早く2人きりで 応接してもらおうかね?」
清掃員が衝撃を受ける マリアが苦笑して言う
「あ… はい そうですね…?」
清掃員が悔しそうに顔を引きつらせる

第3応接室

マリアと社長が応接室に入り マリアがドアを閉める 清掃員が横目に見てから応接室の横の通路へ向かい 背を向けて視線を向ける 社長が清掃員を見てから言う
「マリア君?我が社の極秘資料を見せるから そこのブラインドを下げてくれるかね?」
マリアが言う
「はい 畏まりました」
マリアがブラインドを下げる 清掃員が言う
「あっ」
マリアがブラインドを下げてから疑問して首を傾げて思う
(ん?今 何か聞こえた?)
マリアの後方に社長が居て言う
「さて… マリア君?早速 何から… 見せようか?」
マリアが顔を引きつらせ 素早く回避して振り返り 微笑して言う
「はい それでは 予てよりお願いしておりました 御社の…」
マリアが言い掛けて 窓の外へ向けた視線の先 外窓に窓掃除している清掃員が見えるが 顔の辺りが雑巾で遮られて見えない マリアが疑問して言う
(…あの清掃員さんは 今 そこの廊下に居た?)
社長が言う
「ああ もちろん その資料も持って来たよ ほら ここに」
社長がソファに座り テーブルに資料を出す マリアが気を取り直し向かいのソファへ向かう 社長が言う
「これが以前から 御社の課長がマリア君を通して 我が社へ頼んでいた資料 それから… これに私がサインひとつするだけで 貴社は 我が社だけでなく 5つの子会社とも 取引が自由となる どれだけ重要な書類であるかは 今更読まなくても分かるとは思うが 一読 頂けるかな マリア君?」
マリアが言う
「はい それでは失礼を致しまして」
マリアが書類を手に取って読む 社長が言う
「もちろん それらの子会社が 我が社だけでなく 貴社とも取引を許可すると言う事は 我が社にとっても 多少なりとも利益の減少が見込まれている 従って マリア君?君の上司からも 先日その還元分として 新たな取引先を3件紹介してもらいはしたけれどね?こちらは5つの子会社と 何しろ我が社 自体が入る訳だから」
社長がマリアの横に来てニヤリと笑んで言う
「こちらとしては その不足分として 何か相応に…」
清掃員が視線を強める 社長の手がマリアの肩に触れる直前に バチッと音を立てて弾かれる 社長が叫ぶ
「痛あっ!」
マリアが驚いて書類へ向けていた目を横へ向ける 社長が手を押さえて言う
「ま、また 静電気がっ!?」
マリアが呆気に取られて言う
「す、凄い音でしたけど 大丈夫ですか?」
社長が苦笑して言う
「あ、ああ…」
窓の外で清掃員が怒っている マリアが言う
「それから お言葉ですが レントレ社長?こちらの資料にあるります子会社でしたら 我が社から先日ご紹介した 3件の取引先とは 対等であるとも取られます ですから 我が社としましては これ以上 御社へ取引先のご提供は出来兼ねると」
社長が言う
「そうかね?それでは この取引は無かった事にしても」
マリアが困って言う
「それではっ 先に我が社から ご提供した取引先3社の件はどうなるのでしょうか?我が社としましては 御社を… いえ、レントレ社長のご人徳を信頼した上で 先に 3社の提供を致しましたので」
社長が言う
「そうは言ってもね?これはビジネスだよ?そちらが 勝手に 提供してくれただけで 私が この書類にサインをするかどうかは 私次第と言う事になるのだから… もちろん その私を接待する マリア君には 相応の責任がある… 君の上司も それを承知の上で 平社員の君に 社長である私の接待を任せているのだろう?」
マリアが言う
「我が社では 役職ではなく 個人の知識と能力を重視して 担当を取り決めています ですので レントレ社長が 役職を重視されると言う事でしたら 我が社も相応の対応をさせて頂くと その様にお伝えしてある筈です」
社長が笑んで言う
「ああ そうだった それで 私は マリア君… 君を指名したのだから… 言わずとも 私が何が言いたいのかは 分かるだろう?」
社長がマリアへ手を伸ばす 清掃員が反応する マリアが社長の手を払って言う
「申し訳ありませんが そう言った事でしたら 商談は破棄させて頂きます 上司からもその様に 承諾されておりますので」
社長が書類をひらつかせて言う
「本当に良いのかね?ここにサインをされなければ 君の会社は 3社を我が社へ紹介した上 5つの… いや、我が社も入れて6つの取引先を失う これは 大きな損失となるんだよ?たかが事務員の君には この事の大きさが分かっていないのでは無いかな?」
マリアが言葉を飲む 社長が言う
「上司にはなんと言われたのかね?それこそ 手段は選ばず… 女性の武器をもってしてでも サインを貰ってくるようにと 言われたのではないのかな?そうだろう?マリア君?」
マリアが怒って言う
「手段は任せるとは言われましたがっ 女性の武器をだなんてっ そんなハシタナイ事は言われてませんっ!うちの会社をそう言う会社と 一緒にしないで下さいっ!」
社長が言う
「そんな強気な事を言ったって もう遅いんだよ?人気の少ない こんな奥まった応接室に招き込んでおきながら 今更逃げられると…」
社長がマリアへ手を伸ばす マリアが驚いてから気を取り直して構える 同時に窓が叩き開かれ 清掃員が叫ぶ
「それ以上 近寄るなっ!このスケベじじいっ!」
マリアと社長が驚く 清掃員がほうきを振りかざすと 社長が吹き飛ばされて壁に打ち付けられる 清掃員が社長の前に立ち塞がって言う
「お前こそ 今更逃げられると 思うんじゃないぞっ!」
清掃員がほうきを社長へ向ける マリアが呆気に取られた状態からほうきを見ると ほうきの房の中がウィザードの杖である事に付き驚いて言う
「まっ!?まさかっ ウィザ…っ!」
マリアが慌てて口を塞ぐ 社長が驚いて言う
「だ、誰だっ!?お前はっ!?」
清掃員が言う
「この期に及んで 俺が誰だ だとっ!?俺はっ!」
マリアが驚いて叫ぶ
「だ、駄目っ!」
清掃員(レイ)が叫ぶ
「このビルの 清掃員だぁあっ!」
マリアが衝撃を受け 社長が呆気に取られる マリアが言う
「せ… 清掃員…」
マリアが呆れる 社長が怒って言う
「清掃員ごときがっ 大手会社のビジネスの話に 口を出すんじゃないっ!黙って 掃除でもしていろっ!」
レイが怒って言う
「うるさいっ!黙って聞いてりゃっ 社長だからって 汚ない手を使ってっ!お前こそ 黙って さっさと サインをしろっ!」
レイが書類を突き付ける 社長が怒って言う
「な…なんなんだっ この会社はっ 商談の最中に 清掃員に怒鳴り散らさせるなどっ」
レイが言う
「商談を理由に 女に手を出す奴が何言ってんだっ!?」
社長が言う
「サインなど してたまるかっ!私は帰るっ!」
マリアが思わず言う
「あっ…」
レイが睨んで言う
「待て」
社長が振り返るとレイが周囲に炎を散ら付かせて言う
「サインをしないんなら 生きて帰れると思うなよ?」
社長が驚き 怯えながら言う
「な… なんだっ お前はっ!?」
マリアが言葉を失って呆れている レイが社長へほうきを突き付け 片手に書類を持って言う
「サイン オア デスっ!?」

社長が逃げ帰って行く レイがサインのされた書類を渡して言う
「これで良いんだろ?マリア」
マリアが書類を受け取ってから言う
「”これ”は良いですが… ”貴方”は何をやっているんですかっ!?ウィザード様っ!?」
レイが言う
「え?何をって… 清掃員?」
マリアが言う
「だからっ 何で清掃員なんてっ!?貴方は ウィザード様じゃなかったんですかっ!?」
レイが言う
「じゃぁ ウィザード様 兼 清掃員?」
マリアが言う
「兼任しないで下さいっ」
レイが笑んで言う
「別に良いじゃないか?こっちは格好だけで 仕事はしてないんだしさ?」
マリアが言う
「じゃあ 何をしてるんですかっ!?…と言いますかっ 神聖なるウィザード様が 清掃員の制服を着てるだなんてっ そんな事 前代未聞ですよっ!?」
レイが笑顔で言う
「じゃ 俺が 第一人者!」
マリアが言う
「間違いないです!」

マリアが気を取り直して言う
「って そうではなくてですねっ!?」
レイが言う
「だってぇ~?マリア4日後まで来ない みたいな事言うんだもん?俺 ウィザードの死力を尽くして マリアの居場所探しちゃったよ!」
マリアが言う
「そんな所に ウィザード様のお力を 使わないで下さいっ!それから!こんな事されたら… 迷惑ですからっ」
レイが一瞬驚いた後 困って言う
「…そりゃぁ 俺だって ここまで来れば マリアが仕事してるんだって事が 分かったからさ?ちょっと見て 帰るつもりだったけど」
マリアが視線を泳がせる レイが言う
「マリア 俺に会いに来るのって いつも5日後とか4日後とかだろ?だから 普段何してるのかな~?ってさ?それで来てみただけだよ そんだけ …じゃ 帰る」
レイが背を向ける マリアがレイを見て言い掛ける
「あ… ウィザ…」
ドアが開かれ マキが入って来て言う
「マリア!レントレ社長 帰ったみたいだけど!?」
マリアとレイが何事も無い様子で マリアが書類を整理し レイが清掃しているフリをしている マリアが言う
「あ、マキ どうかした?」
マキが疑問してから マリアの下へ行って言う
「あのスケベ社長 大丈夫だった?やっぱり心配でー?」
マリアが微笑して言う
「心配してくれて ありがとう マキ 私は大丈夫よ それに ほら?サインも貰えて」
マリアが書類を見せる マキが見て言う
「あっ 本当だ!凄いじゃん マリア!」
マリアがチラチラと横目にレイを見てから言う
「あ、う、うん…っ」
マキが言う
「良く無事にサインもらえたねー?あ、もしかして…?」
マリアが慌てて言う
「な!無い!無い!変な事とか 何も無かったよっ!?」
マキが言う
「分かってるって!だって マリア 可愛いけど 実は 護身術の使い手だもんね!いざとなれば あんなエロじじいなんて 1本背負いだよねっ!?」
レイが衝撃を受ける マリアが衝撃を受け慌てて言う
「そ、そうね!1本でも2本でも!」
マキが軽く笑ってから レイに気付いて言う
「あれ?そこの清掃員さん?」
マリアが衝撃を受ける レイが横目に見る マキが首を傾げて言う
「何処かで 見たと思ったら…」
マリアが焦って思う
(ど…どうしようっ!?ウィザード様は この前 マキに会っちゃってるのにっ!)
マリアが観念する マキがレイへ向かおうとする マリアが慌てて割って入って言う
「あっ こ、この人はっ!」
マキが微笑して言う
「お昼休みの時に 休憩所のお掃除をしていた方ですよね?5階フロアだけじゃなくて 3階までお掃除してるなんて お疲れ様です!でも、会議室や応接室は 就業時間内は入っちゃ駄目なんですよ?そう言う所のお掃除は 就業前の午前8時までか 午後5時以降でお願いします」
マリアが慌てて言う
「あ、この清掃員さんは 新入りさんみたいでっ!あんまり そう言うの分かってないみたいなのっ あ、そうだ!?そう言えば 喫煙所の場所を教えて欲しいって さっき言ってましたね?商談も終わったので 私が案内しますね!?」
マリアが書類を片腕に抱き 向かおうとする マキが言う
「あ、喫煙所なら 丁度その隣の資料室に行くので 私が ついでに案内します!」
マリアが衝撃を受け 慌てて言う
「あ、い、いいよっ!マキっ!私が案内するって!?」
マキが言う
「良いの 良いのっ!マリアは 早くその書類 課長に持って行って!課長喜ぶよ!もしかしたら マリア昇進しちゃうかもっ!?」
マリアが慌てて言う
「で、ででっ でもっ!い、良いのっ!私が連れて行くからっ!」
マキが言う
「良いって!私は ついでだもん!マリアは 課長の所に行きなよ!?」
マリアが言う
「い、良いのよっ!マキっ!私が連れて行くったらっ!」
マキが困って言う
「どうして?私がついでに 連れて行くって!?」
マリアが言う
「私がっ!」
レイが言う
「では マキさん 宜しく願います」
マリアが驚く マキがレイを見る レイが微笑して言う
「社内案内図を確認してから 向かえば良かったのですが 助かります」
マリアが驚いて言葉を失う マキが喜んで言う
「それじゃ 行きましょ!こっちですよ!」
レイが言う
「はい」
マキとレイが立ち去る マリアが言葉を失ったまま思う
(な… なに?今の…っ!?)
マリアが2人の出て行ったドアを見て一瞬止まった後 慌てて追い掛ける

マリアが追って向かうと レイとマキが微笑ましそうに歩いて行く マリアが表情を困らせて思う
(そもそもっ 神様のもとへ向かう 神聖なるウィザード様は 奉者以外の人間と 言葉を交わしちゃ駄目なんじゃなかったのっ!?)

マリアが隠れながら追う 2人が話しながら資料室の前を歩く レイが言う
「うん?資料室は ここですね?」
マキが気付いて言う
「あ、はい そうです」
レイが言う
「それなら 案内はここまでで 結構です」
マキが嬉しそうに言う
「いえ、本当は 私 資料室に用なんて無かったんで!喫煙所までご一緒します!」
マリアが驚く レイが疑問して言う
「そうでしたか では 手間を掛けました」
マキが微笑して言う
「いえ!私が清掃員さんと ご一緒したかったので!」
マリアが驚く レイが言う
「そうですか」
マキが言う
「あの 清掃員さん お名前 お伺いして良いですか?」
マリアが驚く レイが言う
「何故ですか?」
マキが言う
「えっと… 私は マキって言うんです!さっき 呼んでもらいましたよね?ですから 私も!」
レイが言う
「私は今日だけの臨時清掃員なので もう マキさんと会う事は無いですよ」
マリアが驚きレイを見る マキがレイを見上げて言う
「あ… でも あの…」
レイが顔を背けて言う
「案内を有難う御座いました 喫煙所に着きましたので 私は仕事をします」
マキがレイを追うように手を伸ばすが レイが喫煙所へ入って行く マキが視線を泳がせてから1つ息を吐いて立ち去る マリアが慌てて物陰に身を隠す マキが去って行く 

マキが溜息を吐く
「はぁ~…」
マリアが心配して言う
「あ、あの… マキ?」
マキがハッとしてマリアへ向く マリアが苦笑して言う
「何か… あった?」
マキが微笑して言う
「ううん?マリア… さっきはごめんね 私 ムキになっちゃって…」
マリアが言う
「あ、う、ううんっ!良いの!良いの!そっちは… ついで だったのに… 私がっ」
マキが苦笑して言う
「ううん… 本当はね?ついでじゃなかったんだ」
マリアが驚いて言う
「え…?」
マキが微笑して言う
「実は 私… 今日 あの清掃員さんを 休憩所で見た時に 一目惚れしちゃって」
マリアが驚いて言う
「えぇっ!?」
マキが苦笑して言う
「その時は声も掛けられなかったけど… でも もう一度会いたいなーって思ってたら あの応接室でばったり会っちゃったもんだから… それで!」
マリアが苦笑して言う
「そ、そう… だったんだ?」
マキが苦笑して言う
「うん、でもねー?あの後少し話したんだけど 名前も教えてもらえなかったんだー それに 今日だけの臨時清掃員なんだって?だから もう二度と 会えないのかも…」
マキが視線を落とす マリアが表情を落として言う
「そ、そうなの…?それは 残念だった ね…?」
課長が言う
「マキ君 ちょっと良いかね?」
マキが反応して言う
「あ、はーい」
マキが立ち上がってマリアへ言う
「でも やっぱり もう一度会いたいって思っちゃうの!ねぇ マリア?これってやっぱり アレかな?」
マキが苦笑してから課長の下へ向かう マリアが苦笑して言う
「会えないと思うと 余計に 会いたくなっちゃうのかもね?」
清掃員が後ろに居て言う
「ホント そうなんだよなぁ?マリア?」
マリアが硬直してから ゆっくり振り返って目を見張る レイがこっそり言う
「だから もう一回 会いに来ちゃった!」
レイがウィンクする マリアが言う
「な… なぁ…っ!?」
マリアが怒って小声で叫ぶ
「何やってるんですかーっ!ウィザード様ーっ!!」


続く
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