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1章 最強のウィザード様
嗚呼、私のウィザードさま 「レモンとミルクとウィザード様」
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数時間後…
マキが惚けて溜息を吐く
「はぁ~…」
マリアが疲れて溜息を吐く
「はぁあ~…」
リナが歩いて来て2人に気付き呆れて言う
「はぁ…?ちょっと2人共 どうしちゃったのよ?」
リナが2人を見ながら席に着く マキが夢見心地で言う
「すっごい 素敵な人だったなぁ~ あの清掃員さん…」
リナが言う
「清掃員?」
マリアが頭を抱えて言う
「まったく あのウィザード様と来たら…っ」
リナが呆れて言う
「こっちは ウィザード様?もう… 2人とも?ここは会社よ?しっかり 会社のお仕事をしなさい?」
マキが苦笑して言う
「えへへ~ はーい リナ先輩~」
マリアが言う
「そうよね!ここは会社なんだもん!」
マリアが思う
(だから 今度こそ 気を取り直して!)
マリアが言う
「うん!」
マリアが書類を見る リナが言う
「そう言えばマリア 聞いたわよ?レントレ商事の あの社長との商談 成立させたって?」
マリアが衝撃を受け 周囲を見渡してからホッとする リナが疑問してから苦笑して言う
「相変わらず 凄いわね?マリアは…」
マリアが言う
「あー… ううんっ?違うの… 今回は その…」
マリアが困った状態から 気を取り直して言う
「それよりっ リナ?ミツイ商事との商談 押し付けちゃって御免ね!?その埋め合わせとして ケーキでも ご馳走しようと思うんだけど!今日 この後とか どう!?良ければ…っ!?」
リナが一瞬呆気に取られてから微笑して言う
「埋め合わせだなんて 私は商談相手を譲ってもらったんだから それをするなら私の方でしょう?それに 今日この後は…」
マリアが言う
「ううんっ!そんな事無いよ?商談予定を入れて置きながら キャンセルなんてしたら うちの会社全体の評価を落とす事にもなるじゃない?だから リナには本当に感謝してる!えっと… それじゃ 今日が駄目なら 明日とかは?」
リナが苦笑して言う
「それなら 今日この後 マキも一緒に 3人で会わない?2人共覚えてると思うんだけど 大学で同じサークルだった エリナ 今日昼食に入ったお店でばったり会ったの それで 今夜改めて会って 久しぶりに話でもしようって事になって」
マリアが言う
「エリナね そう言えば もう 何年振りだろ?」
マキが言う
「すっごい久しぶりだねー!行く行く!」
マリアが言う
「もちろん!私も!」
リナが言う
「そう?良かった きっとエリナも喜ぶわ 2人の事 メールしておくわね」
マリアとマキが頷いて言う
「うん!」
「よっろしくー!」
飲食店
マリア、マキ、リナ、エリナの4人で話をしている エリナが言う
「なんだ~ 3人共 同じ会社に就職したの?相変わらず 仲良いわね?」
マキが言う
「私は一回 別の会社に就職したんだけど あんまり上手く行かなくてねー?それで リナとマリアから今の会社の話し聞いたら 私にも 合ってるかな~って!だから 2人は 私の大先輩で~す!」
皆が笑う マリアが言う
「そう言えば エリナは大学出た後 資格を取りたいって言ってたけど どうなったの?」
エリナが言う
「うん、私もマキと同じかな?一度 他に就職して 働きながら保育士の資格を取って それで 今は保育園に転職して 保育士をしてるの」
マキが言う
「保育士さんか~ そう言えばエリナ 子供好きだって言ってたもんね~?」
エリナが微笑して言う
「うん」
リナが言う
「でも 凄いわね 働きながら保育士の資格を取るって… 大変だったんじゃない?」
エリナが言う
「そうね でも そうしないと 授業料が払えなかったから 昼間は仕事 夜は勉強 休日は全部講習に出て 夢の保育士になる為に 頑張っちゃった!」
リナが言う
「私にはとても無理ね~ 尊敬しちゃうわ?」
エリナが言う
「自分の好きな事をやってたんだから そんなに苦ではなかったけれどね 逆に 自由な時間は取れるようになったけど 今の方がよっぽど大変 実力が伴ってないって感じで 子供たちの相手に 振り回されてばかりなのよ …ふふっ」
リナが微笑して言う
「でも 満足そうじゃない?やっぱり 好きな事をやれてるからなのでしょうね?」
エリナが微笑して言う
「ええ」
マキが言う
「あー それじゃさ?マリアとは 全く同じじゃない!?」
マリアが飲もうとしていた飲み物を吹きそうになって咽る エリナが一瞬反応してから微笑して言う
「あら?マリアも何か 資格を取ったの?」
マキが言う
「そうそう!それでもって!」
リナが言う
「こ~ら マキ?」
マキが疑問してから言う
「あれー?言っちゃまずかった?」
マリアが落ち着いて言う
「う、ううんっ!大丈夫!余り 言いふらしちゃうのは良くないけど 友達に伝える位は大丈夫だから?」
エリナが言う
「え?何?何?もちろん 言いふらしたりなんてしないわ マリアも何か習っているの?」
マキが言う
「実は!マリア様は 奉者様なのです~!」
エリナが呆気に取られて言う
「え… 奉者様…?」
マリアが言う
「うん、そうなの 私も仕事をしながら… でも こっちの講習会は平日しか無かったから 休日は普通にあったけどね?逆に今の方が 休日は奉者をして 平日は仕事をしてって事で 休みが無くなっちゃった感じかな?」
エリナが言う
「凄いじゃないっ マリア!だって 奉者様なんて 保育士とは違って 資格を取ったから就職出来るって 職種じゃないでしょう?何人もの志望者の中から たった1人選ばれるって!?」
マリアが苦笑して言う
「う、うん…」
マキが言う
「すっごいよねー!マリアは!」
エリナが言う
「流石は 奉者様の娘ね?」
マリアが苦笑して言う
「あは… やっぱり それで… かな?」
マキが疑問して言う
「え…?何それ?」
リナが言う
「あぁ やっぱり その噂 本当だったの?」
エリナがハッとして言う
「あ、ごめん… もしかして?」
マリアが慌てて言う
「ううんっ!良いの!別に 隠してた訳じゃないから …えっと、マキ?実はね 私のお母さんも 奉者なの 今は隣町を担当している ウィザード様に仕えてるのよ」
マキが呆気に取られて言う
「へぇ~… そうだったんだ?」
マリアが言う
「うん…」
マキが言う
「でも 何で隣町の?だって マリアは この町のウィザード様の奉者として選ばれたって事は 他の町なら その町で選ばれるんじゃないの?」
マリアが言う
「うん… お母さんの そのウィザード様は 10年前までは この町の担当だったの それで 隣町に変わった時に 奉者を変更しても良かったんだけど… そのままになったみたい」
マキが言う
「へぇ~ 色々あるんだねー?でも それなら マリアが奉者様を目指した理由が 分かった感じ!マリア お母さんに憧れてー みたいな?」
マリアが一瞬呆気に取られた後微笑して言う
「…うん そう… それもあるかな?」
エリナが言う
「2代目奉者様って事なら 私たちも安心じゃない?マリア この町の為にも頑張ってね!?」
マリアが苦笑して言う
「あ… うん、ありがと …頑張る!」
リナが言う
「そうよね?いつも溜息ばかり吐いてるけど この町の代表として マリアも大変なのよね?」
マリアが気付き苦笑して言う
「あぁ… なんて言うか 溜息に関しては… 奉者としてなのか どうなのかは 微妙な所なんだけど…」
マリアが溜息を吐く リナが軽く笑う エリナが考えながら言う
「奉者様… か…」
エリナが言う
「ねぇ マリア?奉者様って事は ウィザード様とお話が出来るのよね?それって どんな感じなの?ただウィザード様の 御指示に従うって感じなの?」
マリアが疑問し 少し考えながら言う
「え?えっと… 確かに 人前では余り 話は出来ないけど」
リナが微笑して言う
「あら?でも ”恋人はウィザード様~”なのよね?」
マキが笑う エリナが呆気に取られる マリアが慌てて言う
「ち、ちがっ!違うったらっ!もうっ ホントに 変な噂にでもなっちゃったら 大変なんだからっ!」
エリナが言う
「恋人なの?」
マリアが言う
「違いますっ!」
マリアが気を取り直して言う
「ウィザード様は そう言うのは無いの!…なのにっ」
リナが軽く笑って言う
「冗談よ 冗談 ウィザード様は”神様になる”為に 修行中なんでしょう?」
マリアが苦笑して言う
「”神様になる”んじゃなくて 神様に選ばれる為に… な 筈なんだけど…」
マリアが思う
(神様も どうでも良い的な事 言ってたような… アノ人は…っ)
マリアが顔を逸らして溜息を吐く エリナが言う
「ねぇ?そんな感じなら… もしかして マリアからの ちょっとした お願い とかって… 聞いてもらえたりする?」
マリアが疑問して言う
「え?」
エリナが苦笑して言う
「なんて やっぱり無理かな?奉者からウィザード様に お願いなんて 出来ないもの?」
マリアが言う
「えっと… 例えば どう言った事?」
エリナが言う
「うん… その… 例えばじゃなくて 言ってしまうと マリアは 奉者様なら 燭魔台って知ってるわよね?」
マリアが反応する マキがリナへ言う
「燭魔台?」
リナが少し考えた後ハッとして言う
「あ、もしかして…?」
エリナが言う
「うちの保育園は 私立だから 園内に私設の燭魔台があるの 子供たちにより良い環境を 与えて上げられるようにって」
リナが言う
「あ、やっぱり?私の通っていた保育園にもあったわ 近付いてはいけないって言われていたけど 柵ごしに 良く見てたな~」
マキが言う
「リナはお父さんだけじゃなくて リナ自身も そう言うのが好きなんだね?」
リナが苦笑して言う
「うふっ そうかも?」
エリナが言う
「そう、その燭魔台なんだけど 半年前から 灯魔が切れてしまっていて 保護者からも苦情が来ているの 私も他の保育士たちも 灯魔を依頼したいと思ってはいるのだけど」
マキが言う
「それなら!”マリアのウィザード様”の出番じゃない!?」
マリアが表情を困らせて言う
「あ… その… 燭魔台に関しては…」
マキが疑問して言う
「えー?」
エリナが言う
「私たちも もちろん知ってるのよ?燭魔台は小さな物だから ウィザード様に依頼する物ではなくて 魔法使いに 依頼するものだって」
マキが言う
「へぇ~そうなんだ~?」
マリアが気付いて言う
「あ、そう言えば 今その燭魔台の資料を集めている最中なんだけど この町には300近い燭魔台が備えられているのに 殆ど灯魔がされていないのよね 唯でさえ 中央公園の灯魔台が切れているのだから その分 燭魔台には灯魔しておくべきなのに」
エリナが苦笑して言う
「だって とっても費用が高いのだもの」
マリアが言う
「費用?…費用って 灯魔費用?」
エリナが言う
「ええ、それもあるし ただ お招きするのにだって この町だと隣村からって事になるから 1回に付き4、5万は掛かるのよ?」
マキが言う
「隣村からじゃ それくらい掛かっちゃうかもね~」
リナが言う
「この町には いらっしゃらないの?」
エリナが言う
「灯魔作業が出来る魔法使いは 皆 村へ行って修行をするんですって だからこの町に居るのは 見習いさんだけだって言ってたわ」
リナが言う
「ちなみに その灯魔費用って言うのは?出張費用に4、5万掛かった上 私立の保育園で支払うとなると」
エリナが言う
「灯魔費用も 魔法使いさんの技量次第らしいんだけど 一回に最低でも120万 技量の高い方だと150万 それでも3ヶ月もすれば 灯魔は切れてしまうから 切らさないようにするには 年に4回 お願いしなければならなくて」
リナが言う
「1年に480万から600万の出費は痛いわね」
エリナが言う
「聞いた話では 魔力の高い魔法使いさんが行う程 灯魔は長く持つんだって それなら ウィザード様ほどの方が行うなら 3ヶ月所か 倍の半年?もしかしたら もっと長く持つんじゃないかって思って… ねぇ マリア?もし、ウィザード様にお願いするとしたら いくら位掛かるものなの?」
マリアが困り考えて言う
「えっと… ウィザード様の灯魔費用に関しては 直接 灯魔台神館や村なんかが支払う事は無いの つまりその… 言ってしまえば無料」
マリア以外が驚く
「「「えっ!?」」」
マリアが言う
「あ、でも その代わり ウィザード様の滞在に掛かる費用とか 交通費なんかは全部 皆の税金で賄われているから 灯魔作業は… 公務って事かな?」
エリナが言う
「そっか… それじゃ公務から外れる 燭魔台への灯魔は行っては駄目なのかしら?保育園も ずっと灯魔を切らせておく訳には 行かないから 期間を限定して 年に2回だけ行おうかとも話し合っているの でも、いくら冬季や夏季のお休みがある その時期に当てようと言っても 短くても2ヶ月間は灯魔の切れる期間になってしまう… やっぱり子供たちには より良い環境で遊ばせてあげたいと思うじゃない?」
皆がマリアを見る マキが言う
「マリア…」
マリアが視線を落とし考えてから言う
「うん… それじゃ 一度聞いてみる」
エリナが言う
「本当っ!?マリアっ!?」
マリアが苦笑して言う
「うん でも 余り期待しないでね?アノ人 あんまり その… 人の為になる事とか 考えていない感じで…」
マキが言う
「そんな事無いよ!マリアのウィザード様は 私のお爺ちゃんのお願いを聞いて 田畑に雨を降らせてくれたじゃん!」
マリアが呆気に取られて言う
「そう言えば…?」
マリアが思う
(それじゃ アノ言葉は…?)
マリアの脳裏に思い出される
マリアが言う
『…いえ、なら ウィザード様は 何でウィザード様になったんですか!?』
レイが言う
『それは もちろん』
レイがマリアを抱きしめて言う
『”マリアのウィザードさま”になる為だよ!マリア!』
マキが言う
「きっと 今回も エリナやマリアのお願いを聞いて 保育園の子供たちの為に その灯魔作業ってやつも やってくれるよ!ね?マリア?マ…」
マリアが密かに怒って言う
「神聖なるウィザード様が よくも軽々しく あんな言葉をっ」
マリアが怒りに燃えている 皆が呆れて言う
「マリア…?」
マンション 最上階
マリアがドアの前で溜息を吐いて言う
「はぁ~… 仕方が無い エリナと約束しちゃったし… それに」
マリアが思う
(私だって 保育士じゃなくとも… 子供たちの為に 良い環境を作ってあげたいって思う 元々 灯魔作業は その為にあるのだものっ だからきっと これは人々の代表である 奉者の勤め!)
マリアが言う
「よし!」
マリアがインターフォンを押し 間を置いてドアに手を掛けて言う
「留守… なのかな?」
ドアは開かない マリアが鍵を取り出し開けながら思う
(そう言えば アノ人1度だって インターフォンに出て来た事ないし 声を掛けるだけでも…)
マリアがドアを開けて言う
「失礼します ウィザード様」
マリアが正面を向いた状態から ふと気付いて横を向くと レイがキッチンのシンク近くで水を飲み終えた様子で振り向いて 一瞬2人が止まった後 レイが言う
「マリア…?」
マリアがハッとして後退って思う
(…く、来るっ!)
レイがマリアの前で言う
「どうしたんだっ!?マリアっ!?」
マリアが驚き呆気に取られて言う
「…え?」
レイが真剣に言う
「まさかっ また あの社長が マリアの会社に来たとかっ!?来るとかっ!?それとも また 何処かの変な社長の相手を 任されたとかっ!?」
マリアが呆気に取られて言う
「は?しゃ、社長?会社?」
レイが言う
「どうなんだっ マリア!?マリアが灯魔儀式に行く日でもないのに ここに来るって事はっ 何か大変な事がっ!?」
マリアが呆気に取られた後言う
「あ… い、いえ 特に 会社やその他で 問題は…」
レイが呆気に取られて言う
「え?…なら?」
マリアが苦笑して言う
「あ… その ウィザード様に… ちょっと お願いが」
レイが言う
「お願い?」
マリアが言う
「はい 実は 私の友人が私立の保育園に勤めていて その保育園に 燭魔台があるそうなんです」
レイが言う
「うん それで?」
マリアが微笑して言う
「その燭魔台に 是非」
レイが言う
「俺に灯魔をしろって?」
マリアが言う
「え、えっと…」
レイが言う
「燭魔台への灯魔作業は マリアには関係ないだろ?ウィザードのやる事じゃないんだから」
マリアが言う
「あ、はい それは 私も… その友人も 分かっているのですが」
レイが言う
「なら わざわざ聞く必要は無い 用はそれだけ?」
マリアが驚いて言う
「え…?あ、はい… そうですが… ウィザード様?」
レイが肩の力を抜いて言う
「はぁ~ なんだ もっと マリアに危険があるとか そう言うのかと思って 驚いちゃったよ けど 危険が無いのなら 良かった」
マリアが苦笑して思う
(本当に… 心配してくれてたんだ?それで…)
マリアが気を取り直して言う
「お、驚かせてしまって 御免なさい ウィザード様 それで あの… 燭魔台への灯魔作業は 確かに 本来なら 魔法使いさんに依頼するものですが その… ウィザード様でも もちろん 可能なのですよね?」
レイが言う
「そりゃ 出来るけど」
マリアが言う
「その友人に聞いたのですが 魔法使いさんに灯魔を依頼すると とても費用が掛かってしまって… それに 灯魔も3ヶ月程度しか持たないそうなんです」
レイが言う
「あぁ そうだろうね?」
マリアが言う
「ですので その… もし ウィザード様が灯魔をしたら?それは どの位持つのでしょうかっ!?もしかしたら!?」
レイが言う
「燭魔台は 灯魔台と違って 補助装置もないし 燭魔台1つで魔力を維持しなきゃいけないから 俺がやっても1年ぐらいだよ」
マリアが喜んで言う
「ウィザード様なら 1年も持つんですね!?」
レイが言う
「けど ウィザードのやる事じゃない 燭魔台なんて100個も1000個もあって 灯魔台と違って 一度に与える魔力が強過ぎると ぶっ壊れるし 余計な神経使うだけで 魔力を上げる修行には ならないからな?」
マリアが一度視線を落としてから改めて言う
「そう… ですか… …でもっ?あのっ!?」
レイが喜んで言う
「だから そんな話なんかより!マリア!」
レイがマリアの肩を抱く マリアがうんざりする レイが言う
「こんな時間だけど 折角 来たんだからさ?マリアは 俺と 一緒に!」
マリアがレイを引き剥がして言う
「それこそ ”そんな話”でっ 私はっ!」
レイが不満そうに言う
「なんだぁ やっぱ ただ そう言う話をしに 来ただけなのかぁ」
マリアがレイを見る レイが首を傾げて言う
「マリアが来てくれるのは嬉しいけど 流石に燭魔台100個やってくれっていうのは無理だよ それなら あの中央公園の灯魔台に灯魔する方が 早いし楽だし 効力も十分」
マリアが言う
「中央公園の灯魔作業は もう少し後を予定してます まずは 郊外の灯魔台への灯魔を優先して」
レイが言う
「ああ そうだね それが良い」
マリアが視線を落として言う
「その… 灯魔台への灯魔とは別に 保育園の燭魔台への灯魔を してもらうと言うは… やっぱり駄目ですか?もちろん 1箇所をやったら他のも… と言う事になってしまっては大変なので …私の友人からの頼みと言う事で こっそりと お願いしようと思ったんですが…」
レイが言う
「その1箇所だけ?」
マリアが言う
「はい…」
レイが言う
「うーん まぁ 友人は兎も角 マリアのお願いなら 俺は聞くしかないかなぁ?」
マリアが言う
「本当ですかっ!?ウィザード様っ!?」
レイが言う
「ああ!だから言っただろ?俺は ”マリアのウィザードさま”なんだから マリアがそうして欲しいって言うなら 何でもやってやるって!」
マリアが呆気に取られた後苦笑して言う
「あ… はい…」
レイが苦笑して言う
「んで いつかは一緒に!」
マリアが苦笑して言う
「はい なら 私も ウィザード様に お礼を…」
マリアがハッとする レイが驚いて言う
「え?」
マリアが慌てて視線を泳がせて言う
「あ、いえっ!そのっ!そうではなくてっ!私はっ!」
レイが言う
「マリアが俺に お礼って?」
マリアが頬を染めつつ視線を逸らして言う
「そ、その…っ」
マリアが思う
(ど、どうしようっ!?思わず いつもの感覚で ”ケーキおごる”みたいに 言っちゃったけど これは違うっ このシュチュエーションで こんな事言ってしまっては!まるで 私がウィザード様とっ!?)
マリアが言う
「ち、違うんですっ!い、今のはっ!そう言う意味じゃなくてっ!あのっ!」
レイが疑問して言う
「え?違うのか?意味って?」
マリアが慌てて言う
「で、ですから 意味と言うのは いつもウィザード様が 一緒にって…っ!…あっ」
マリアが思う
(いけないっ!ついうっかり説明をっ これじゃもうっ …逃げられないっ!)
レイが言う
「え?えっと つまり マリアのお礼って言うのは 俺と一緒に?」
マリアが強く目を瞑り思う
(で、でもっ!ここで断ったらっ!?燭魔台への灯魔を してもらえないかもしれないっ 折角 エリナの保育園に1年もの灯魔をしてもらえる事になっていたのにっ …もうっ こうなったら!)
マリアがレイへ顔を向けて言う
「はいっ!それじゃ 私っ!1回だけっ!」
マリアがハッとして思う
(い、言ってしまったっ!!)
レイが驚いている マリアが視線を逸らす レイが言う
「い、1回?そっか でも、良いのか?マリア?ずっと嫌がってたのに?」
マリアが身を強張らせて言う
「は、はいっ!」
マリアが思う
(し…っ 仕方が無いわっ!?ここまで来たら もう引き返せない!それに… 相手は このウィザード様ならっ 凄く嫌な相手なんかじゃ… ないしっ?きっと とっても 優しくしてくれそう…)
マリアが意を決して思う
(私っ 決めたっ もう引き返さないっ!)
マリアがレイを見る レイがマリアを見てから心配して言う
「けど 無理しなくて良いんぞ?マリア」
マリアが驚いて言う
「え?」
レイが苦笑して言う
「だって 例え奉者でも 無理して付き合うものじゃないだろう?嫌いなら嫌いで 仕方がないし 俺だって 無理やりって言うの好きじゃない 大体 本来は 2人で楽しむものだろ?」
マリアが視線を落として言う
「そ… そうですけど…」
レイが言う
「だから マリアが嫌だって言うなら 俺は これからも」
マリアが強く目を閉じて言う
(こんな時だけは ウィザード様の優しさが 返って苦しいっ これなら いつもみたいに 一思いに抱き付いてくれる方がっ)
マリアが気合を入れて言う
「ウィザード様っ!!」
レイが驚いて言う
「は、はいっ!?」
マリアが言う
「私 決めたんです!1回だけ…っ!ですからっ!」
レイが言う
「わ、分かったっ!それじゃっ 俺 自信はあるけど 誰かとするのは 初めてだからっ マリアに満足してもらえる様に 絶対 上手くやるからっ!」
マリアが言う
「は、はいっ!お願いしますっ!」
レイが言う
「う、うん それじゃ とりあえず 中入って」
マリアが気付いて言う
「は、はいっ ではっ お邪魔します!」
マリアが部屋へ上がりつつ思う
(あぁ… この部屋に上がるのは 2回目だけど まさか その2回目が こんな事になるだなんて… でも思えば1回目の時だって やっぱり… 寝室へって話になって…)
レイが言う
「じゃ、マリア?」
マリアがハッとして言う
「は、はいっ!?」
マリアが思う
(あぁ… そして やっぱり 2回目も 同じなのね…っ)
レイが言う
「俺の方が この部屋の事 知ってると思うから 俺が用意する だから マリアは そこへ座って 待ってて」
マリアが言う
「え?…あっ!は、はいっ」
マリアがソファに座る レイが立ち去る マリアが思う
(確かに この部屋の事は 家主のウィザード様の方が知ってるだろうけど… 用意って何を用意するのっ!?…えっと 普通こういう時って 用意といったら 寝室?バスルーム?)
マリアが顔を上げ思う
(でっ!?何でキッチン!?)
レイがキッチンに居て言う
「所でっ マリア!?」
マリアがハッとして言う
「は、はいっ!?」
レイが真剣に言う
「そう言えば 俺 マリアと こういう話 した事無かったから マリアの好み 全然知らないんだけど」
マリアが言う
「は、はいっ!?」
マリアが思う
(こ、好みっ!?好みって何っ!?どう言うのが好きかって事!?そんな事 聞かれても…っ!私、大体そう言う事 余り知らないしっ!むしろ そういうのは 男の人の方が詳しいんじゃ!?)
レイが言う
「マリアは どっちが好きなんだ?」
マリアが思う
(どっちってっ!?)
レイが言う
「レモンとか そっちの方?それとも やっぱり ミルク?」
マリアが言う
「えっ!?」
マリアが思う
(レモンとかって何っ!?それは 何かの隠語なのっ!?だとしたら…っ!?)
レイが言う
「どっちが好きなんだ?どっちを 用意したら良い?」
マリアが思う
(どっちか選ばなきゃいけない!?どうしようっ!?えっと… その説明をしてもらうって言うのも… それならもうっ 感覚でっ レモンはすっぱくて… 刺激的!?それならっ!)
マリアが言う
「ミ、ミルク… で…」
レイが言う
「分かった ミルクね」
マリアが言う
「は、はい…っ」
マリアが目を閉じて思う
(で、でもっ 良く考えたら ミルクの方が… 危険っ!?あぁ…っ やっぱり 説明をして貰った方が良かったかも!?これで 私 もし どうしても無理だったりしたらっ!)
マリアが顔を上げて言う
「あ、あのっ!」
レイが言う
「お待たせっ 用意出来たよ マリアっ」
マリアが思う
(遅かったっ!)
マリアが目を閉じて思う
(どうしようっ もう引き返せないっ!こうなったらもう 覚悟を決めてっ)
レイが言う
「マリア?」
マリアが言う
「全て!ウィザード様にっ お任せしますっ!」
レイが言う
「そっか?分かった 大丈夫だよ!これは 俺 いつも1人でやってるから」
マリアが思う
(ひ、1人でってっ!?な、何をしてるのっ!?普通こういう時って 2人で一緒に… それか 1人ずつ …に行くとかっ!?)
マリアが目を閉じていると 小さな音とお湯を注ぐ音が聞こえる
マリアが疑問して思う
(でも なんだか お湯の音?それに 何かハーブ的な… ううん?ハーブと言うか これは…っ この香りはっ)
マリアが目を開くと 視線の先で砂時計が終わる マリアが疑問して思う
(砂時計…?何を計って?)
マリアが横を向くと レイがティーポットの上で軽く指先を回す ティーポットから小さな音が鳴る マリアが呆気に取られる レイが紅茶をカップに注ぎマリアへ向けて言う
「はい マリア」
マリアが呆気に取られて言う
「…紅茶?」
マリアがレイを見る レイが微笑する マリアが受け取って言う
「あ、有難う御座います…?」
マリアが呆気に取られていると レイが自分の分の紅茶を注いでマリアの横へ座ると マリアへ向いて言う
「さぁ 飲んで!マリア!」
マリアが呆気に取られつつ言う
「あ、は、はい?い、頂きます…」
マリアが恐る恐るカップに口を付ける マリアが驚いて言う
「あ… 美味しい… それに とってもいい香り…」
レイが喜んで言う
「良かったー!満足してもらえて!」
レイがマリアに抱き付く マリアが思う
(はいっ!?)
レイが言う
「それに 流石は 生粋の奉者様だよな!マリアは!ミルクティーが好きでも 最初は何も入れないで 飲んでくれるなんてさ!お茶を飲む作法が なってるよ!マリアは!」
マリアが呆気に取られて言う
「お茶…?作法…?」
レイが紅茶を飲みながら言う
「けど ここまで来たら もう無理しなくて良いんだぜ!大丈夫!俺 そういう魔法の微調整は得意なんだ!砂糖やミルクを入れたって その分紅茶の成分を凝縮させれば 味も香りもちゃんと引き立って 美味しく出来る!」
マリアが困惑しながら言う
「は…?あの…?」
レイが言う
「遠慮しなくて良いって!マリア!ミルクにもちょっとだけ活性魔法をかけてやれば 紅茶の茶葉と同じ様に 味も香りも引き立つし!はい!」
マリアの目の前でカップに砂糖とミルクが勝手に入り 小さく魔法の光が弾ける マリアが呆気に取られてからレイを見る レイが嬉しそうにしている マリアが紅茶を一口飲んで言う
「お、美味しい…」
レイが喜んで紅茶を一口飲んで言う
「うん!美味しい!やっぱ 1人で飲むより 一緒に飲んだ方が 1味も2味も違う!すげー美味いよ!マリア!」
レイが紅茶を飲む マリアがハッとして思う
(―ま、まさかっ!?)
マリアが言う
「一緒にって…?」
レイが紅茶を飲み干してから言う
「こうやって マリアに お茶をご馳走出来てさ?俺やっと マリアのウィザード様として 認められた気がするよっ!」
マリアが言う
「…え?私がウィザード様を ウィザード様として認めるって…?」
レイが言う
「だって マリア いつも10時と3時のお茶の時間に居ないし 折角会える灯魔儀式の日だって 時間をずらして飲むお茶も 嫌がって逃げちゃうだろ?けど 今日はやっと一緒に飲んでくれた!時間は お茶の時間とはかけ離れた こんな遅い時間になっちゃったけどな?」
マリアが言う
「…それじゃ いつも言ってた ”俺と一緒に” って言うのは?」
レイが言う
「もちろん!俺と一緒に お茶を飲もう!って!」
マリアが思う
(お茶だった…)
レイが嬉しそうにしている マリアが大きく息を吐いて肩を落とす
続く
マキが惚けて溜息を吐く
「はぁ~…」
マリアが疲れて溜息を吐く
「はぁあ~…」
リナが歩いて来て2人に気付き呆れて言う
「はぁ…?ちょっと2人共 どうしちゃったのよ?」
リナが2人を見ながら席に着く マキが夢見心地で言う
「すっごい 素敵な人だったなぁ~ あの清掃員さん…」
リナが言う
「清掃員?」
マリアが頭を抱えて言う
「まったく あのウィザード様と来たら…っ」
リナが呆れて言う
「こっちは ウィザード様?もう… 2人とも?ここは会社よ?しっかり 会社のお仕事をしなさい?」
マキが苦笑して言う
「えへへ~ はーい リナ先輩~」
マリアが言う
「そうよね!ここは会社なんだもん!」
マリアが思う
(だから 今度こそ 気を取り直して!)
マリアが言う
「うん!」
マリアが書類を見る リナが言う
「そう言えばマリア 聞いたわよ?レントレ商事の あの社長との商談 成立させたって?」
マリアが衝撃を受け 周囲を見渡してからホッとする リナが疑問してから苦笑して言う
「相変わらず 凄いわね?マリアは…」
マリアが言う
「あー… ううんっ?違うの… 今回は その…」
マリアが困った状態から 気を取り直して言う
「それよりっ リナ?ミツイ商事との商談 押し付けちゃって御免ね!?その埋め合わせとして ケーキでも ご馳走しようと思うんだけど!今日 この後とか どう!?良ければ…っ!?」
リナが一瞬呆気に取られてから微笑して言う
「埋め合わせだなんて 私は商談相手を譲ってもらったんだから それをするなら私の方でしょう?それに 今日この後は…」
マリアが言う
「ううんっ!そんな事無いよ?商談予定を入れて置きながら キャンセルなんてしたら うちの会社全体の評価を落とす事にもなるじゃない?だから リナには本当に感謝してる!えっと… それじゃ 今日が駄目なら 明日とかは?」
リナが苦笑して言う
「それなら 今日この後 マキも一緒に 3人で会わない?2人共覚えてると思うんだけど 大学で同じサークルだった エリナ 今日昼食に入ったお店でばったり会ったの それで 今夜改めて会って 久しぶりに話でもしようって事になって」
マリアが言う
「エリナね そう言えば もう 何年振りだろ?」
マキが言う
「すっごい久しぶりだねー!行く行く!」
マリアが言う
「もちろん!私も!」
リナが言う
「そう?良かった きっとエリナも喜ぶわ 2人の事 メールしておくわね」
マリアとマキが頷いて言う
「うん!」
「よっろしくー!」
飲食店
マリア、マキ、リナ、エリナの4人で話をしている エリナが言う
「なんだ~ 3人共 同じ会社に就職したの?相変わらず 仲良いわね?」
マキが言う
「私は一回 別の会社に就職したんだけど あんまり上手く行かなくてねー?それで リナとマリアから今の会社の話し聞いたら 私にも 合ってるかな~って!だから 2人は 私の大先輩で~す!」
皆が笑う マリアが言う
「そう言えば エリナは大学出た後 資格を取りたいって言ってたけど どうなったの?」
エリナが言う
「うん、私もマキと同じかな?一度 他に就職して 働きながら保育士の資格を取って それで 今は保育園に転職して 保育士をしてるの」
マキが言う
「保育士さんか~ そう言えばエリナ 子供好きだって言ってたもんね~?」
エリナが微笑して言う
「うん」
リナが言う
「でも 凄いわね 働きながら保育士の資格を取るって… 大変だったんじゃない?」
エリナが言う
「そうね でも そうしないと 授業料が払えなかったから 昼間は仕事 夜は勉強 休日は全部講習に出て 夢の保育士になる為に 頑張っちゃった!」
リナが言う
「私にはとても無理ね~ 尊敬しちゃうわ?」
エリナが言う
「自分の好きな事をやってたんだから そんなに苦ではなかったけれどね 逆に 自由な時間は取れるようになったけど 今の方がよっぽど大変 実力が伴ってないって感じで 子供たちの相手に 振り回されてばかりなのよ …ふふっ」
リナが微笑して言う
「でも 満足そうじゃない?やっぱり 好きな事をやれてるからなのでしょうね?」
エリナが微笑して言う
「ええ」
マキが言う
「あー それじゃさ?マリアとは 全く同じじゃない!?」
マリアが飲もうとしていた飲み物を吹きそうになって咽る エリナが一瞬反応してから微笑して言う
「あら?マリアも何か 資格を取ったの?」
マキが言う
「そうそう!それでもって!」
リナが言う
「こ~ら マキ?」
マキが疑問してから言う
「あれー?言っちゃまずかった?」
マリアが落ち着いて言う
「う、ううんっ!大丈夫!余り 言いふらしちゃうのは良くないけど 友達に伝える位は大丈夫だから?」
エリナが言う
「え?何?何?もちろん 言いふらしたりなんてしないわ マリアも何か習っているの?」
マキが言う
「実は!マリア様は 奉者様なのです~!」
エリナが呆気に取られて言う
「え… 奉者様…?」
マリアが言う
「うん、そうなの 私も仕事をしながら… でも こっちの講習会は平日しか無かったから 休日は普通にあったけどね?逆に今の方が 休日は奉者をして 平日は仕事をしてって事で 休みが無くなっちゃった感じかな?」
エリナが言う
「凄いじゃないっ マリア!だって 奉者様なんて 保育士とは違って 資格を取ったから就職出来るって 職種じゃないでしょう?何人もの志望者の中から たった1人選ばれるって!?」
マリアが苦笑して言う
「う、うん…」
マキが言う
「すっごいよねー!マリアは!」
エリナが言う
「流石は 奉者様の娘ね?」
マリアが苦笑して言う
「あは… やっぱり それで… かな?」
マキが疑問して言う
「え…?何それ?」
リナが言う
「あぁ やっぱり その噂 本当だったの?」
エリナがハッとして言う
「あ、ごめん… もしかして?」
マリアが慌てて言う
「ううんっ!良いの!別に 隠してた訳じゃないから …えっと、マキ?実はね 私のお母さんも 奉者なの 今は隣町を担当している ウィザード様に仕えてるのよ」
マキが呆気に取られて言う
「へぇ~… そうだったんだ?」
マリアが言う
「うん…」
マキが言う
「でも 何で隣町の?だって マリアは この町のウィザード様の奉者として選ばれたって事は 他の町なら その町で選ばれるんじゃないの?」
マリアが言う
「うん… お母さんの そのウィザード様は 10年前までは この町の担当だったの それで 隣町に変わった時に 奉者を変更しても良かったんだけど… そのままになったみたい」
マキが言う
「へぇ~ 色々あるんだねー?でも それなら マリアが奉者様を目指した理由が 分かった感じ!マリア お母さんに憧れてー みたいな?」
マリアが一瞬呆気に取られた後微笑して言う
「…うん そう… それもあるかな?」
エリナが言う
「2代目奉者様って事なら 私たちも安心じゃない?マリア この町の為にも頑張ってね!?」
マリアが苦笑して言う
「あ… うん、ありがと …頑張る!」
リナが言う
「そうよね?いつも溜息ばかり吐いてるけど この町の代表として マリアも大変なのよね?」
マリアが気付き苦笑して言う
「あぁ… なんて言うか 溜息に関しては… 奉者としてなのか どうなのかは 微妙な所なんだけど…」
マリアが溜息を吐く リナが軽く笑う エリナが考えながら言う
「奉者様… か…」
エリナが言う
「ねぇ マリア?奉者様って事は ウィザード様とお話が出来るのよね?それって どんな感じなの?ただウィザード様の 御指示に従うって感じなの?」
マリアが疑問し 少し考えながら言う
「え?えっと… 確かに 人前では余り 話は出来ないけど」
リナが微笑して言う
「あら?でも ”恋人はウィザード様~”なのよね?」
マキが笑う エリナが呆気に取られる マリアが慌てて言う
「ち、ちがっ!違うったらっ!もうっ ホントに 変な噂にでもなっちゃったら 大変なんだからっ!」
エリナが言う
「恋人なの?」
マリアが言う
「違いますっ!」
マリアが気を取り直して言う
「ウィザード様は そう言うのは無いの!…なのにっ」
リナが軽く笑って言う
「冗談よ 冗談 ウィザード様は”神様になる”為に 修行中なんでしょう?」
マリアが苦笑して言う
「”神様になる”んじゃなくて 神様に選ばれる為に… な 筈なんだけど…」
マリアが思う
(神様も どうでも良い的な事 言ってたような… アノ人は…っ)
マリアが顔を逸らして溜息を吐く エリナが言う
「ねぇ?そんな感じなら… もしかして マリアからの ちょっとした お願い とかって… 聞いてもらえたりする?」
マリアが疑問して言う
「え?」
エリナが苦笑して言う
「なんて やっぱり無理かな?奉者からウィザード様に お願いなんて 出来ないもの?」
マリアが言う
「えっと… 例えば どう言った事?」
エリナが言う
「うん… その… 例えばじゃなくて 言ってしまうと マリアは 奉者様なら 燭魔台って知ってるわよね?」
マリアが反応する マキがリナへ言う
「燭魔台?」
リナが少し考えた後ハッとして言う
「あ、もしかして…?」
エリナが言う
「うちの保育園は 私立だから 園内に私設の燭魔台があるの 子供たちにより良い環境を 与えて上げられるようにって」
リナが言う
「あ、やっぱり?私の通っていた保育園にもあったわ 近付いてはいけないって言われていたけど 柵ごしに 良く見てたな~」
マキが言う
「リナはお父さんだけじゃなくて リナ自身も そう言うのが好きなんだね?」
リナが苦笑して言う
「うふっ そうかも?」
エリナが言う
「そう、その燭魔台なんだけど 半年前から 灯魔が切れてしまっていて 保護者からも苦情が来ているの 私も他の保育士たちも 灯魔を依頼したいと思ってはいるのだけど」
マキが言う
「それなら!”マリアのウィザード様”の出番じゃない!?」
マリアが表情を困らせて言う
「あ… その… 燭魔台に関しては…」
マキが疑問して言う
「えー?」
エリナが言う
「私たちも もちろん知ってるのよ?燭魔台は小さな物だから ウィザード様に依頼する物ではなくて 魔法使いに 依頼するものだって」
マキが言う
「へぇ~そうなんだ~?」
マリアが気付いて言う
「あ、そう言えば 今その燭魔台の資料を集めている最中なんだけど この町には300近い燭魔台が備えられているのに 殆ど灯魔がされていないのよね 唯でさえ 中央公園の灯魔台が切れているのだから その分 燭魔台には灯魔しておくべきなのに」
エリナが苦笑して言う
「だって とっても費用が高いのだもの」
マリアが言う
「費用?…費用って 灯魔費用?」
エリナが言う
「ええ、それもあるし ただ お招きするのにだって この町だと隣村からって事になるから 1回に付き4、5万は掛かるのよ?」
マキが言う
「隣村からじゃ それくらい掛かっちゃうかもね~」
リナが言う
「この町には いらっしゃらないの?」
エリナが言う
「灯魔作業が出来る魔法使いは 皆 村へ行って修行をするんですって だからこの町に居るのは 見習いさんだけだって言ってたわ」
リナが言う
「ちなみに その灯魔費用って言うのは?出張費用に4、5万掛かった上 私立の保育園で支払うとなると」
エリナが言う
「灯魔費用も 魔法使いさんの技量次第らしいんだけど 一回に最低でも120万 技量の高い方だと150万 それでも3ヶ月もすれば 灯魔は切れてしまうから 切らさないようにするには 年に4回 お願いしなければならなくて」
リナが言う
「1年に480万から600万の出費は痛いわね」
エリナが言う
「聞いた話では 魔力の高い魔法使いさんが行う程 灯魔は長く持つんだって それなら ウィザード様ほどの方が行うなら 3ヶ月所か 倍の半年?もしかしたら もっと長く持つんじゃないかって思って… ねぇ マリア?もし、ウィザード様にお願いするとしたら いくら位掛かるものなの?」
マリアが困り考えて言う
「えっと… ウィザード様の灯魔費用に関しては 直接 灯魔台神館や村なんかが支払う事は無いの つまりその… 言ってしまえば無料」
マリア以外が驚く
「「「えっ!?」」」
マリアが言う
「あ、でも その代わり ウィザード様の滞在に掛かる費用とか 交通費なんかは全部 皆の税金で賄われているから 灯魔作業は… 公務って事かな?」
エリナが言う
「そっか… それじゃ公務から外れる 燭魔台への灯魔は行っては駄目なのかしら?保育園も ずっと灯魔を切らせておく訳には 行かないから 期間を限定して 年に2回だけ行おうかとも話し合っているの でも、いくら冬季や夏季のお休みがある その時期に当てようと言っても 短くても2ヶ月間は灯魔の切れる期間になってしまう… やっぱり子供たちには より良い環境で遊ばせてあげたいと思うじゃない?」
皆がマリアを見る マキが言う
「マリア…」
マリアが視線を落とし考えてから言う
「うん… それじゃ 一度聞いてみる」
エリナが言う
「本当っ!?マリアっ!?」
マリアが苦笑して言う
「うん でも 余り期待しないでね?アノ人 あんまり その… 人の為になる事とか 考えていない感じで…」
マキが言う
「そんな事無いよ!マリアのウィザード様は 私のお爺ちゃんのお願いを聞いて 田畑に雨を降らせてくれたじゃん!」
マリアが呆気に取られて言う
「そう言えば…?」
マリアが思う
(それじゃ アノ言葉は…?)
マリアの脳裏に思い出される
マリアが言う
『…いえ、なら ウィザード様は 何でウィザード様になったんですか!?』
レイが言う
『それは もちろん』
レイがマリアを抱きしめて言う
『”マリアのウィザードさま”になる為だよ!マリア!』
マキが言う
「きっと 今回も エリナやマリアのお願いを聞いて 保育園の子供たちの為に その灯魔作業ってやつも やってくれるよ!ね?マリア?マ…」
マリアが密かに怒って言う
「神聖なるウィザード様が よくも軽々しく あんな言葉をっ」
マリアが怒りに燃えている 皆が呆れて言う
「マリア…?」
マンション 最上階
マリアがドアの前で溜息を吐いて言う
「はぁ~… 仕方が無い エリナと約束しちゃったし… それに」
マリアが思う
(私だって 保育士じゃなくとも… 子供たちの為に 良い環境を作ってあげたいって思う 元々 灯魔作業は その為にあるのだものっ だからきっと これは人々の代表である 奉者の勤め!)
マリアが言う
「よし!」
マリアがインターフォンを押し 間を置いてドアに手を掛けて言う
「留守… なのかな?」
ドアは開かない マリアが鍵を取り出し開けながら思う
(そう言えば アノ人1度だって インターフォンに出て来た事ないし 声を掛けるだけでも…)
マリアがドアを開けて言う
「失礼します ウィザード様」
マリアが正面を向いた状態から ふと気付いて横を向くと レイがキッチンのシンク近くで水を飲み終えた様子で振り向いて 一瞬2人が止まった後 レイが言う
「マリア…?」
マリアがハッとして後退って思う
(…く、来るっ!)
レイがマリアの前で言う
「どうしたんだっ!?マリアっ!?」
マリアが驚き呆気に取られて言う
「…え?」
レイが真剣に言う
「まさかっ また あの社長が マリアの会社に来たとかっ!?来るとかっ!?それとも また 何処かの変な社長の相手を 任されたとかっ!?」
マリアが呆気に取られて言う
「は?しゃ、社長?会社?」
レイが言う
「どうなんだっ マリア!?マリアが灯魔儀式に行く日でもないのに ここに来るって事はっ 何か大変な事がっ!?」
マリアが呆気に取られた後言う
「あ… い、いえ 特に 会社やその他で 問題は…」
レイが呆気に取られて言う
「え?…なら?」
マリアが苦笑して言う
「あ… その ウィザード様に… ちょっと お願いが」
レイが言う
「お願い?」
マリアが言う
「はい 実は 私の友人が私立の保育園に勤めていて その保育園に 燭魔台があるそうなんです」
レイが言う
「うん それで?」
マリアが微笑して言う
「その燭魔台に 是非」
レイが言う
「俺に灯魔をしろって?」
マリアが言う
「え、えっと…」
レイが言う
「燭魔台への灯魔作業は マリアには関係ないだろ?ウィザードのやる事じゃないんだから」
マリアが言う
「あ、はい それは 私も… その友人も 分かっているのですが」
レイが言う
「なら わざわざ聞く必要は無い 用はそれだけ?」
マリアが驚いて言う
「え…?あ、はい… そうですが… ウィザード様?」
レイが肩の力を抜いて言う
「はぁ~ なんだ もっと マリアに危険があるとか そう言うのかと思って 驚いちゃったよ けど 危険が無いのなら 良かった」
マリアが苦笑して思う
(本当に… 心配してくれてたんだ?それで…)
マリアが気を取り直して言う
「お、驚かせてしまって 御免なさい ウィザード様 それで あの… 燭魔台への灯魔作業は 確かに 本来なら 魔法使いさんに依頼するものですが その… ウィザード様でも もちろん 可能なのですよね?」
レイが言う
「そりゃ 出来るけど」
マリアが言う
「その友人に聞いたのですが 魔法使いさんに灯魔を依頼すると とても費用が掛かってしまって… それに 灯魔も3ヶ月程度しか持たないそうなんです」
レイが言う
「あぁ そうだろうね?」
マリアが言う
「ですので その… もし ウィザード様が灯魔をしたら?それは どの位持つのでしょうかっ!?もしかしたら!?」
レイが言う
「燭魔台は 灯魔台と違って 補助装置もないし 燭魔台1つで魔力を維持しなきゃいけないから 俺がやっても1年ぐらいだよ」
マリアが喜んで言う
「ウィザード様なら 1年も持つんですね!?」
レイが言う
「けど ウィザードのやる事じゃない 燭魔台なんて100個も1000個もあって 灯魔台と違って 一度に与える魔力が強過ぎると ぶっ壊れるし 余計な神経使うだけで 魔力を上げる修行には ならないからな?」
マリアが一度視線を落としてから改めて言う
「そう… ですか… …でもっ?あのっ!?」
レイが喜んで言う
「だから そんな話なんかより!マリア!」
レイがマリアの肩を抱く マリアがうんざりする レイが言う
「こんな時間だけど 折角 来たんだからさ?マリアは 俺と 一緒に!」
マリアがレイを引き剥がして言う
「それこそ ”そんな話”でっ 私はっ!」
レイが不満そうに言う
「なんだぁ やっぱ ただ そう言う話をしに 来ただけなのかぁ」
マリアがレイを見る レイが首を傾げて言う
「マリアが来てくれるのは嬉しいけど 流石に燭魔台100個やってくれっていうのは無理だよ それなら あの中央公園の灯魔台に灯魔する方が 早いし楽だし 効力も十分」
マリアが言う
「中央公園の灯魔作業は もう少し後を予定してます まずは 郊外の灯魔台への灯魔を優先して」
レイが言う
「ああ そうだね それが良い」
マリアが視線を落として言う
「その… 灯魔台への灯魔とは別に 保育園の燭魔台への灯魔を してもらうと言うは… やっぱり駄目ですか?もちろん 1箇所をやったら他のも… と言う事になってしまっては大変なので …私の友人からの頼みと言う事で こっそりと お願いしようと思ったんですが…」
レイが言う
「その1箇所だけ?」
マリアが言う
「はい…」
レイが言う
「うーん まぁ 友人は兎も角 マリアのお願いなら 俺は聞くしかないかなぁ?」
マリアが言う
「本当ですかっ!?ウィザード様っ!?」
レイが言う
「ああ!だから言っただろ?俺は ”マリアのウィザードさま”なんだから マリアがそうして欲しいって言うなら 何でもやってやるって!」
マリアが呆気に取られた後苦笑して言う
「あ… はい…」
レイが苦笑して言う
「んで いつかは一緒に!」
マリアが苦笑して言う
「はい なら 私も ウィザード様に お礼を…」
マリアがハッとする レイが驚いて言う
「え?」
マリアが慌てて視線を泳がせて言う
「あ、いえっ!そのっ!そうではなくてっ!私はっ!」
レイが言う
「マリアが俺に お礼って?」
マリアが頬を染めつつ視線を逸らして言う
「そ、その…っ」
マリアが思う
(ど、どうしようっ!?思わず いつもの感覚で ”ケーキおごる”みたいに 言っちゃったけど これは違うっ このシュチュエーションで こんな事言ってしまっては!まるで 私がウィザード様とっ!?)
マリアが言う
「ち、違うんですっ!い、今のはっ!そう言う意味じゃなくてっ!あのっ!」
レイが疑問して言う
「え?違うのか?意味って?」
マリアが慌てて言う
「で、ですから 意味と言うのは いつもウィザード様が 一緒にって…っ!…あっ」
マリアが思う
(いけないっ!ついうっかり説明をっ これじゃもうっ …逃げられないっ!)
レイが言う
「え?えっと つまり マリアのお礼って言うのは 俺と一緒に?」
マリアが強く目を瞑り思う
(で、でもっ!ここで断ったらっ!?燭魔台への灯魔を してもらえないかもしれないっ 折角 エリナの保育園に1年もの灯魔をしてもらえる事になっていたのにっ …もうっ こうなったら!)
マリアがレイへ顔を向けて言う
「はいっ!それじゃ 私っ!1回だけっ!」
マリアがハッとして思う
(い、言ってしまったっ!!)
レイが驚いている マリアが視線を逸らす レイが言う
「い、1回?そっか でも、良いのか?マリア?ずっと嫌がってたのに?」
マリアが身を強張らせて言う
「は、はいっ!」
マリアが思う
(し…っ 仕方が無いわっ!?ここまで来たら もう引き返せない!それに… 相手は このウィザード様ならっ 凄く嫌な相手なんかじゃ… ないしっ?きっと とっても 優しくしてくれそう…)
マリアが意を決して思う
(私っ 決めたっ もう引き返さないっ!)
マリアがレイを見る レイがマリアを見てから心配して言う
「けど 無理しなくて良いんぞ?マリア」
マリアが驚いて言う
「え?」
レイが苦笑して言う
「だって 例え奉者でも 無理して付き合うものじゃないだろう?嫌いなら嫌いで 仕方がないし 俺だって 無理やりって言うの好きじゃない 大体 本来は 2人で楽しむものだろ?」
マリアが視線を落として言う
「そ… そうですけど…」
レイが言う
「だから マリアが嫌だって言うなら 俺は これからも」
マリアが強く目を閉じて言う
(こんな時だけは ウィザード様の優しさが 返って苦しいっ これなら いつもみたいに 一思いに抱き付いてくれる方がっ)
マリアが気合を入れて言う
「ウィザード様っ!!」
レイが驚いて言う
「は、はいっ!?」
マリアが言う
「私 決めたんです!1回だけ…っ!ですからっ!」
レイが言う
「わ、分かったっ!それじゃっ 俺 自信はあるけど 誰かとするのは 初めてだからっ マリアに満足してもらえる様に 絶対 上手くやるからっ!」
マリアが言う
「は、はいっ!お願いしますっ!」
レイが言う
「う、うん それじゃ とりあえず 中入って」
マリアが気付いて言う
「は、はいっ ではっ お邪魔します!」
マリアが部屋へ上がりつつ思う
(あぁ… この部屋に上がるのは 2回目だけど まさか その2回目が こんな事になるだなんて… でも思えば1回目の時だって やっぱり… 寝室へって話になって…)
レイが言う
「じゃ、マリア?」
マリアがハッとして言う
「は、はいっ!?」
マリアが思う
(あぁ… そして やっぱり 2回目も 同じなのね…っ)
レイが言う
「俺の方が この部屋の事 知ってると思うから 俺が用意する だから マリアは そこへ座って 待ってて」
マリアが言う
「え?…あっ!は、はいっ」
マリアがソファに座る レイが立ち去る マリアが思う
(確かに この部屋の事は 家主のウィザード様の方が知ってるだろうけど… 用意って何を用意するのっ!?…えっと 普通こういう時って 用意といったら 寝室?バスルーム?)
マリアが顔を上げ思う
(でっ!?何でキッチン!?)
レイがキッチンに居て言う
「所でっ マリア!?」
マリアがハッとして言う
「は、はいっ!?」
レイが真剣に言う
「そう言えば 俺 マリアと こういう話 した事無かったから マリアの好み 全然知らないんだけど」
マリアが言う
「は、はいっ!?」
マリアが思う
(こ、好みっ!?好みって何っ!?どう言うのが好きかって事!?そんな事 聞かれても…っ!私、大体そう言う事 余り知らないしっ!むしろ そういうのは 男の人の方が詳しいんじゃ!?)
レイが言う
「マリアは どっちが好きなんだ?」
マリアが思う
(どっちってっ!?)
レイが言う
「レモンとか そっちの方?それとも やっぱり ミルク?」
マリアが言う
「えっ!?」
マリアが思う
(レモンとかって何っ!?それは 何かの隠語なのっ!?だとしたら…っ!?)
レイが言う
「どっちが好きなんだ?どっちを 用意したら良い?」
マリアが思う
(どっちか選ばなきゃいけない!?どうしようっ!?えっと… その説明をしてもらうって言うのも… それならもうっ 感覚でっ レモンはすっぱくて… 刺激的!?それならっ!)
マリアが言う
「ミ、ミルク… で…」
レイが言う
「分かった ミルクね」
マリアが言う
「は、はい…っ」
マリアが目を閉じて思う
(で、でもっ 良く考えたら ミルクの方が… 危険っ!?あぁ…っ やっぱり 説明をして貰った方が良かったかも!?これで 私 もし どうしても無理だったりしたらっ!)
マリアが顔を上げて言う
「あ、あのっ!」
レイが言う
「お待たせっ 用意出来たよ マリアっ」
マリアが思う
(遅かったっ!)
マリアが目を閉じて思う
(どうしようっ もう引き返せないっ!こうなったらもう 覚悟を決めてっ)
レイが言う
「マリア?」
マリアが言う
「全て!ウィザード様にっ お任せしますっ!」
レイが言う
「そっか?分かった 大丈夫だよ!これは 俺 いつも1人でやってるから」
マリアが思う
(ひ、1人でってっ!?な、何をしてるのっ!?普通こういう時って 2人で一緒に… それか 1人ずつ …に行くとかっ!?)
マリアが目を閉じていると 小さな音とお湯を注ぐ音が聞こえる
マリアが疑問して思う
(でも なんだか お湯の音?それに 何かハーブ的な… ううん?ハーブと言うか これは…っ この香りはっ)
マリアが目を開くと 視線の先で砂時計が終わる マリアが疑問して思う
(砂時計…?何を計って?)
マリアが横を向くと レイがティーポットの上で軽く指先を回す ティーポットから小さな音が鳴る マリアが呆気に取られる レイが紅茶をカップに注ぎマリアへ向けて言う
「はい マリア」
マリアが呆気に取られて言う
「…紅茶?」
マリアがレイを見る レイが微笑する マリアが受け取って言う
「あ、有難う御座います…?」
マリアが呆気に取られていると レイが自分の分の紅茶を注いでマリアの横へ座ると マリアへ向いて言う
「さぁ 飲んで!マリア!」
マリアが呆気に取られつつ言う
「あ、は、はい?い、頂きます…」
マリアが恐る恐るカップに口を付ける マリアが驚いて言う
「あ… 美味しい… それに とってもいい香り…」
レイが喜んで言う
「良かったー!満足してもらえて!」
レイがマリアに抱き付く マリアが思う
(はいっ!?)
レイが言う
「それに 流石は 生粋の奉者様だよな!マリアは!ミルクティーが好きでも 最初は何も入れないで 飲んでくれるなんてさ!お茶を飲む作法が なってるよ!マリアは!」
マリアが呆気に取られて言う
「お茶…?作法…?」
レイが紅茶を飲みながら言う
「けど ここまで来たら もう無理しなくて良いんだぜ!大丈夫!俺 そういう魔法の微調整は得意なんだ!砂糖やミルクを入れたって その分紅茶の成分を凝縮させれば 味も香りもちゃんと引き立って 美味しく出来る!」
マリアが困惑しながら言う
「は…?あの…?」
レイが言う
「遠慮しなくて良いって!マリア!ミルクにもちょっとだけ活性魔法をかけてやれば 紅茶の茶葉と同じ様に 味も香りも引き立つし!はい!」
マリアの目の前でカップに砂糖とミルクが勝手に入り 小さく魔法の光が弾ける マリアが呆気に取られてからレイを見る レイが嬉しそうにしている マリアが紅茶を一口飲んで言う
「お、美味しい…」
レイが喜んで紅茶を一口飲んで言う
「うん!美味しい!やっぱ 1人で飲むより 一緒に飲んだ方が 1味も2味も違う!すげー美味いよ!マリア!」
レイが紅茶を飲む マリアがハッとして思う
(―ま、まさかっ!?)
マリアが言う
「一緒にって…?」
レイが紅茶を飲み干してから言う
「こうやって マリアに お茶をご馳走出来てさ?俺やっと マリアのウィザード様として 認められた気がするよっ!」
マリアが言う
「…え?私がウィザード様を ウィザード様として認めるって…?」
レイが言う
「だって マリア いつも10時と3時のお茶の時間に居ないし 折角会える灯魔儀式の日だって 時間をずらして飲むお茶も 嫌がって逃げちゃうだろ?けど 今日はやっと一緒に飲んでくれた!時間は お茶の時間とはかけ離れた こんな遅い時間になっちゃったけどな?」
マリアが言う
「…それじゃ いつも言ってた ”俺と一緒に” って言うのは?」
レイが言う
「もちろん!俺と一緒に お茶を飲もう!って!」
マリアが思う
(お茶だった…)
レイが嬉しそうにしている マリアが大きく息を吐いて肩を落とす
続く
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国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
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サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
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