9 / 12
第9話 またひとりぼっち
しおりを挟む
サクラは悪夢から目覚めました。ぼんやりとした暗がりに、いっしゅんあの出来事にとらわれそうになりました。
でも、ユキの匂いがどこからかして、サクラは安心しました。
そうです。もう一匹ではないのです。だいじょうぶです。
あっちっちの頭に、そう呼びかけます。
そうして、となりの様子をうかがうと、
―ユキがいません!
「……ユキ?」
サクラの声はふるえました。頭では何も考えられません。体がガタガタふるえ、体の熱が急に上がってきました。
サクラが必死で顔をあちこちに向けると、外の景色に何かが見えました。
吹雪の中、まりのようにポンポンとびはねる白いかたまりが、遠くへ行ってしまいます。ユキでした。
「ユキ。」
サクラの力が、ふうっと抜けていきました。
(ユキまで……あたしをおいていくの。一匹ぼっちにして、どっか行っちゃうの? お願い、戻ってきて。行かないで)
頭はもうろうとして、やみに再び包まれていく感覚の中、サクラはずっとユキを呼び続けていました。
でも、ユキの匂いがどこからかして、サクラは安心しました。
そうです。もう一匹ではないのです。だいじょうぶです。
あっちっちの頭に、そう呼びかけます。
そうして、となりの様子をうかがうと、
―ユキがいません!
「……ユキ?」
サクラの声はふるえました。頭では何も考えられません。体がガタガタふるえ、体の熱が急に上がってきました。
サクラが必死で顔をあちこちに向けると、外の景色に何かが見えました。
吹雪の中、まりのようにポンポンとびはねる白いかたまりが、遠くへ行ってしまいます。ユキでした。
「ユキ。」
サクラの力が、ふうっと抜けていきました。
(ユキまで……あたしをおいていくの。一匹ぼっちにして、どっか行っちゃうの? お願い、戻ってきて。行かないで)
頭はもうろうとして、やみに再び包まれていく感覚の中、サクラはずっとユキを呼び続けていました。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
ナイショの妖精さん
くまの広珠
児童書・童話
★あの頃のトキメキ、ここにあります★
【アホっ子JS×ヘタレイケメン
小学生の日常とファンタジーが交錯する「胸キュン」ピュアラブストーリー】
「きみの背中には羽がある」
小六の和泉綾(いずみあや)は、幼いころに、見知らぬだれかから言われた言葉を信じている。
「あたしは妖精の子。いつか、こんな生きづらい世界から抜け出して、妖精の世界に帰るんだっ!」
ある日綾は、大っ嫌いなクラスのボス、中条葉児(なかじょうようじ)といっしょに、近所の里山で本物の妖精を目撃して――。
「きのう見たものはわすれろ。オレもわすれる。オレらはきっと、同じ夢でも見たんだ」
「いいよっ! 協力してくれないなら校内放送で『中条葉児は、ベイランドのオバケ屋敷でも怖がるビビリだ!』ってさけんでやる~っ!! 」
「う、うわぁああっ!! 待て、待て、待てぇ~っ !!」
★ ★ ★ ★ ★
*エブリスタにも投稿しています。
*小学生にも理解できる表現を目指しています。
*砕けた文体を使用しています。肩の力を抜いてご覧ください。暇つぶしにでもなれば。
*この物語はフィクションです。実在の人物、団体、場所とは一切関係ありません。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
神社のゆかこさん
秋野 木星
児童書・童話
どこからともなくやって来たゆかこさんは、ある町の神社に住むことにしました。
これはゆかこさんと町の人たちの四季を見つめたお話です。
※ 表紙は星影さんの作品です。
※ この作品は小説家になろうからの転記です。
ブレーメン
もちっぱち
ファンタジー
狼の主人公アシェル。
ある都会で俳優を目指していた。
待てど暮らせど、夢は叶わない。
底辺にまで成り下がったとき
道端にふわっと飛んできた紙に驚いた。
デジタルな世界に
1枚の紙でチラシが落ちている。
劣等感に満ちていた
それぞれの余り物が
大集合する。
デジタル化が進む都会に
動物たちが
住んでいる不思議な世界。
異世界ファンタジー。
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる