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番外編5)お酒の力は借りないで。*(後編)
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「は、離して、もう……イッ……っ」
早すぎて恥ずかしいけれど、勝手に口に出すのはまずい。限界を訴えた俺をあっさり解放した将貴は、再び手でそこを緩く扱きながら笑う。
「奏さん、先に抜かないとほんとに敏感なんですね」
「ぁ、あっ……ごめ、将貴……それもちょっ……ヤバい、かも」
くちくちと濡れた音を立てて、熱茎を扱かれる。このまま続けられれば、きっとすぐに限界が来る。
けれど今イッてしまえば、この後の行為が辛くなる。俺は将貴の手首を掴んで、静止した。
「そこの引き出しに、ローション……入ってる」
目を合わせるのが恥ずかしくて、俺は小さな声でそう言った。言い終えてからちらりと将貴を見ると、将貴はクスクス笑って引き出しを開けている。
「知ってます。奏さんに、何度も使われましたから」
そう言って、将貴はローションを取り出した。ぬめりを絡めた指でそっと俺の秘所を探るように撫でると、窄まりの中心に優しく触れた。
「……っ!」
「ごめんなさい、冷たかったですか?」
円を描くようにくるりと襞を撫でる指先はとても優しい。俺は首を横に振って笑った。
「処女じゃあるまいし、平気だよ。中、触ってみるか?」
そう誘うと、将貴はこくりと頷いて指を中に忍ばせてきた。将貴は括約筋をあやすようにくにくにと指を動かして、丁寧に蕾の中心を解していく。
「痛くない? いつか奏さんがしてくれたみたいに、上手に出来ていると良いんだけど……」
そう言いながら将貴は、中指を深く差し込んで、中をさぐっている。久しぶりの行為だったけれど思いのほか圧迫感がないのは、先程丁寧に洗浄を行ったからだろう。
「将貴……もう一本指挿れて」
そっと間近から低い声でそう囁いてやると、将貴がビクンと肩をふるわせる。
俺とのセックスに慣れているとは言っても、所詮彼は童貞なのだ。
赤い顔をした将貴が頷いて、俺の中に二本目の指が入ってくる。
一気に奥まで入り込んできたそれは、バラバラに動いて狭い器官を押し広げようとしているようだった。苦しさは無かったけれど、久しぶりの異物感はやはり否めない。
眉間にシワを寄せていた俺に気が付いたのだろう。将貴の細くて長い指がゆっくりと抜けていく。
入口の締まりがキツい浅い所をマッサージするようにくにくに刺激されて、生々しい指の感触にゾクリとした。
「すみません。奥、苦しかったですか?」
「いや、久しぶりだからある程度は覚悟してたし。平気だよ」
軽く息を吐いてそう答えると、中にある将貴の指を締めないよう心がける。
これは後々の自分のためでもあった。
申し訳なさそうにする将貴に微笑みかけると、将貴の指を外して、少し萎えてしまった将貴のペニスに手を伸ばした。
「えっ、あ……ちょ、奏さん……っ」
油断していたらしい将貴の足の間に体を割り込ませた俺は、間髪入れずに口に将貴のそれを含んだ。
喉の奥に深く咥え込んだそれは、若さも相まってみるみる元気になった。
浮き出る裏筋を舌でなぞると、途端に将貴の口から甘い吐息が漏れる。
固さを確かめてから余った皮を手で引き下げて、剥き出しになった内側にもう一度舌を這わせる。こぼれ落ちる先走りを丁寧に舐め上げると、枕の裏側に隠していたコンドームを将貴に手渡してやった。
「ほら。これはずっと欲しかった誕生日プレゼントなんだろ? なら、遠慮すんな」
「……っ!」
驚いたように目を見開いた将貴は、コンドームを持ったまま耳まで赤くなっている。その様子があまりに可愛くて、俺までつられて赤面してしまいそうだった。
「ゆっくり、します。もし痛かったら……」
分かってるよ、と言うように目配せすると、俺は自分の腰の下に枕を挟んで将貴へ向かって足を開く。
ゴムをつけ終えた将貴が、その間にゆっくりと割入ってきた。たっぷりとローションを纏わせた熱い楔が、先程まで将貴の指を受け入れていた場所へと突き立てられる。
ぐぐぐ、と押される感覚と共に、懐かしい感覚が俺を犯した。
「あっ……く、将貴……っ」
「奏さん……すご、中っ、熱い……」
緩みきらない括約筋の内側が、ペニスに擦られて熱い。奥へ奥へと侵入してくる将貴の熱いものが、臓器を拓いて腹の内側を満たしてゆく。
「ん、ふ……っ、キツ……っ」
「キツい、ですか……? ごめん、なさ、僕……止まらな……っ」
力を抜くことに集中していた俺の性器を、将貴がゆるゆると扱く。
そうされることで異物感が和らぐことを、彼は他ならぬ俺に教わって知っていた。
「あぁ……それ、気持ちいぃ……! まさ、たか……っ……!」
ローションに濡れた手でリズミカルに扱かれると、強い快感で頭が真っ白になる。
その瞬間、体の奥深くに埋め込まれていく楔が、ある一点を掠めた。
それは弱すぎるが故に俺が長らく封印していた場所で……。
「ここ、……ですね」
「あっ……! ちょ、ちょっ……、待っ……!」
制止する間もなく、将貴がそこを狙ってゆるゆるとピストンで突く。
そこが気持ちいいところだということも、どう突かれたらたまらなくなるのかも。
将貴に教えたのは、俺だった。
「あぁーっ、ゃ、や、ダメっ、そこばっか、将、まさ……たか……っ、ま、待って……まっ、て!」
「っ、凄い……っ。奏さんのナカ、ビクビクして絡みついて来る……っ。気持ち、い……?」
「いいっ、いい、……けどっ、ちょっ、ああッ」
乱れた吐息のまま、将貴は俺のペニスを扱きながら腰を揺らす。久しぶりのその感覚があまりに気持ち良すぎて、俺は将貴の腕にしがみついた。
「やっ、イク、イク……っ! 前、も……ダメっ、離して……ッ」
挿入されてまだそれほど時間も経っていないのに、あっという間に限界が目前に迫る。
これは流石に恥ずかしすぎる……。
せめて二箇所いっぺんに刺激されなければ、もう少し我慢が出来る、はず……。
けれど、そんな俺の考えを見抜くように、将貴は動きを激しくした。
「気持ち、よさそうな……っ、奏さんっ、可愛、すぎ……っ。一緒に……っ、イキ、ましょ……?」
「っ、ァ、あ…………ッッ! んっ……、く」
最奥を抉るように突かれて、弱い所ばかりを連続で擦られた俺は、最早言葉が出ない。
「や、将貴、まさ……たかぁっ」
俺の中で、将貴の硬い熱がビクビクと震える。
絶頂に至る快楽で頭が真っ白になるその瞬間。俺が覚えているのは、俺の名を呼ぶ、将貴の甘い声だった。
***
「奏さん、奏さんっ」
「んあっ!?」
優しくゆり起こされて目を開けた俺は、体を起こそうとした瞬間に頭に鈍痛を自覚した。
げっ、この痛みは二日酔い……?
ゆっくりと起こした体を検分すると、俺は真っ裸だ。
えーっと、俺、昨日は確か……。
数秒考え込んだ後色々思い出して、俺は顔から火が出そうになる。
そうだ、俺……今朝、将貴と……。
「奏さん、昨日は急に泊めてもらってすみません。朝ごはん出来てますけど、食べられます?」
「うう。あー、いや……。後で食べるから、先に水貰っていいか?」
腰がダルい。俺は床に落ちたタオルを拾って腰に巻くと、受け取った水を一気飲みして息を吐いた。
「じゃあ朝ごはんはラップして、冷蔵庫に入れておきますね。僕、今日午後から急にバイトが入ってしまって。ここ片付けたらいったん帰ります」
「え? お、おう……頑張ってな」
ん? んんんー???
心無しか将貴、冷たくない?
まさか俺、またやらかしちゃった??
『奏一郎って、男なのにすぐに感じちゃうのね。黙ってたらカッコいいのに、ちょっと乳首を攻めただけで、女の私のよりあんあん喘ぐとか。さすがに私、そういう趣味はないし、男として無いわー』
そんな捨て台詞で俺を捨てた彼女は、もう顔も思い出せない。それだけに、彼女の顔が将貴とすげ代わって、脳内で再生されて……。
いや、流石にそれはナイ……よな。
だって、本人がそれはないって言うから、今回俺達はあのようなことをイタした訳でして……。
「あのー……将貴クン? 今朝の事……だけど、さ」
恐る恐るそう声をかけた俺は、洗い物を終えてエプロンを畳みながら振り返った将貴の顔を凝視した。
「今朝……? あ、奏さんを送っていくつもりが、急に泊めてもらってすみませんでした。僕、ちゃんと母さんに『奏さん家に泊まる』って連絡してました? 実は途中から記憶があまりなくて」
「…………はい???」
記憶が無いって……え、ちょっと待って。
酒を飲みすぎて記憶を無くすタイプの人間はまぁまぁいる。
けれど、将貴クン。
キミ、昨日割としっかり目の口振りで俺と会話してましたよね!?
「覚えてないって……その、記憶を消したいほど嫌な何かがあって~とかじゃなく?」
「??? え、僕もしかして、酔っ払って奏さんになにかご迷惑をおかけしました?」
「あー、いや。そういうは全く無いんだけど」
うーん……。少なくとも、俺の痴態が気持ち悪すぎて、見なかったことにしたって訳じゃ無さそうだ。
「なら良かった。えっと……バイトがあるのでそろそろ行きますね?」
「あー、うん。行ってらっしゃい」
さわやかに手を振って玄関を出ていく将貴の姿にに、むしろ夢を見たのは俺の方なんじゃないかとすら思えてきた。
尻を確かめれば分かるのだけれど、何となく怖いな。
――――よし。
とりあえず、ベッドに戻って二度寝しよう。
これが二日酔いの頭で悩んだ俺が導き出した、最善の答えなのであった。
***
ここまでお付き合い下さりありがとうございました。
もし作品を気に入って頂けましたら、作品ページ上部からBLコンへの投票をして頂けますと、創作の励みになります。
今後とも、どうぞよろしくお願い致します。
早すぎて恥ずかしいけれど、勝手に口に出すのはまずい。限界を訴えた俺をあっさり解放した将貴は、再び手でそこを緩く扱きながら笑う。
「奏さん、先に抜かないとほんとに敏感なんですね」
「ぁ、あっ……ごめ、将貴……それもちょっ……ヤバい、かも」
くちくちと濡れた音を立てて、熱茎を扱かれる。このまま続けられれば、きっとすぐに限界が来る。
けれど今イッてしまえば、この後の行為が辛くなる。俺は将貴の手首を掴んで、静止した。
「そこの引き出しに、ローション……入ってる」
目を合わせるのが恥ずかしくて、俺は小さな声でそう言った。言い終えてからちらりと将貴を見ると、将貴はクスクス笑って引き出しを開けている。
「知ってます。奏さんに、何度も使われましたから」
そう言って、将貴はローションを取り出した。ぬめりを絡めた指でそっと俺の秘所を探るように撫でると、窄まりの中心に優しく触れた。
「……っ!」
「ごめんなさい、冷たかったですか?」
円を描くようにくるりと襞を撫でる指先はとても優しい。俺は首を横に振って笑った。
「処女じゃあるまいし、平気だよ。中、触ってみるか?」
そう誘うと、将貴はこくりと頷いて指を中に忍ばせてきた。将貴は括約筋をあやすようにくにくにと指を動かして、丁寧に蕾の中心を解していく。
「痛くない? いつか奏さんがしてくれたみたいに、上手に出来ていると良いんだけど……」
そう言いながら将貴は、中指を深く差し込んで、中をさぐっている。久しぶりの行為だったけれど思いのほか圧迫感がないのは、先程丁寧に洗浄を行ったからだろう。
「将貴……もう一本指挿れて」
そっと間近から低い声でそう囁いてやると、将貴がビクンと肩をふるわせる。
俺とのセックスに慣れているとは言っても、所詮彼は童貞なのだ。
赤い顔をした将貴が頷いて、俺の中に二本目の指が入ってくる。
一気に奥まで入り込んできたそれは、バラバラに動いて狭い器官を押し広げようとしているようだった。苦しさは無かったけれど、久しぶりの異物感はやはり否めない。
眉間にシワを寄せていた俺に気が付いたのだろう。将貴の細くて長い指がゆっくりと抜けていく。
入口の締まりがキツい浅い所をマッサージするようにくにくに刺激されて、生々しい指の感触にゾクリとした。
「すみません。奥、苦しかったですか?」
「いや、久しぶりだからある程度は覚悟してたし。平気だよ」
軽く息を吐いてそう答えると、中にある将貴の指を締めないよう心がける。
これは後々の自分のためでもあった。
申し訳なさそうにする将貴に微笑みかけると、将貴の指を外して、少し萎えてしまった将貴のペニスに手を伸ばした。
「えっ、あ……ちょ、奏さん……っ」
油断していたらしい将貴の足の間に体を割り込ませた俺は、間髪入れずに口に将貴のそれを含んだ。
喉の奥に深く咥え込んだそれは、若さも相まってみるみる元気になった。
浮き出る裏筋を舌でなぞると、途端に将貴の口から甘い吐息が漏れる。
固さを確かめてから余った皮を手で引き下げて、剥き出しになった内側にもう一度舌を這わせる。こぼれ落ちる先走りを丁寧に舐め上げると、枕の裏側に隠していたコンドームを将貴に手渡してやった。
「ほら。これはずっと欲しかった誕生日プレゼントなんだろ? なら、遠慮すんな」
「……っ!」
驚いたように目を見開いた将貴は、コンドームを持ったまま耳まで赤くなっている。その様子があまりに可愛くて、俺までつられて赤面してしまいそうだった。
「ゆっくり、します。もし痛かったら……」
分かってるよ、と言うように目配せすると、俺は自分の腰の下に枕を挟んで将貴へ向かって足を開く。
ゴムをつけ終えた将貴が、その間にゆっくりと割入ってきた。たっぷりとローションを纏わせた熱い楔が、先程まで将貴の指を受け入れていた場所へと突き立てられる。
ぐぐぐ、と押される感覚と共に、懐かしい感覚が俺を犯した。
「あっ……く、将貴……っ」
「奏さん……すご、中っ、熱い……」
緩みきらない括約筋の内側が、ペニスに擦られて熱い。奥へ奥へと侵入してくる将貴の熱いものが、臓器を拓いて腹の内側を満たしてゆく。
「ん、ふ……っ、キツ……っ」
「キツい、ですか……? ごめん、なさ、僕……止まらな……っ」
力を抜くことに集中していた俺の性器を、将貴がゆるゆると扱く。
そうされることで異物感が和らぐことを、彼は他ならぬ俺に教わって知っていた。
「あぁ……それ、気持ちいぃ……! まさ、たか……っ……!」
ローションに濡れた手でリズミカルに扱かれると、強い快感で頭が真っ白になる。
その瞬間、体の奥深くに埋め込まれていく楔が、ある一点を掠めた。
それは弱すぎるが故に俺が長らく封印していた場所で……。
「ここ、……ですね」
「あっ……! ちょ、ちょっ……、待っ……!」
制止する間もなく、将貴がそこを狙ってゆるゆるとピストンで突く。
そこが気持ちいいところだということも、どう突かれたらたまらなくなるのかも。
将貴に教えたのは、俺だった。
「あぁーっ、ゃ、や、ダメっ、そこばっか、将、まさ……たか……っ、ま、待って……まっ、て!」
「っ、凄い……っ。奏さんのナカ、ビクビクして絡みついて来る……っ。気持ち、い……?」
「いいっ、いい、……けどっ、ちょっ、ああッ」
乱れた吐息のまま、将貴は俺のペニスを扱きながら腰を揺らす。久しぶりのその感覚があまりに気持ち良すぎて、俺は将貴の腕にしがみついた。
「やっ、イク、イク……っ! 前、も……ダメっ、離して……ッ」
挿入されてまだそれほど時間も経っていないのに、あっという間に限界が目前に迫る。
これは流石に恥ずかしすぎる……。
せめて二箇所いっぺんに刺激されなければ、もう少し我慢が出来る、はず……。
けれど、そんな俺の考えを見抜くように、将貴は動きを激しくした。
「気持ち、よさそうな……っ、奏さんっ、可愛、すぎ……っ。一緒に……っ、イキ、ましょ……?」
「っ、ァ、あ…………ッッ! んっ……、く」
最奥を抉るように突かれて、弱い所ばかりを連続で擦られた俺は、最早言葉が出ない。
「や、将貴、まさ……たかぁっ」
俺の中で、将貴の硬い熱がビクビクと震える。
絶頂に至る快楽で頭が真っ白になるその瞬間。俺が覚えているのは、俺の名を呼ぶ、将貴の甘い声だった。
***
「奏さん、奏さんっ」
「んあっ!?」
優しくゆり起こされて目を開けた俺は、体を起こそうとした瞬間に頭に鈍痛を自覚した。
げっ、この痛みは二日酔い……?
ゆっくりと起こした体を検分すると、俺は真っ裸だ。
えーっと、俺、昨日は確か……。
数秒考え込んだ後色々思い出して、俺は顔から火が出そうになる。
そうだ、俺……今朝、将貴と……。
「奏さん、昨日は急に泊めてもらってすみません。朝ごはん出来てますけど、食べられます?」
「うう。あー、いや……。後で食べるから、先に水貰っていいか?」
腰がダルい。俺は床に落ちたタオルを拾って腰に巻くと、受け取った水を一気飲みして息を吐いた。
「じゃあ朝ごはんはラップして、冷蔵庫に入れておきますね。僕、今日午後から急にバイトが入ってしまって。ここ片付けたらいったん帰ります」
「え? お、おう……頑張ってな」
ん? んんんー???
心無しか将貴、冷たくない?
まさか俺、またやらかしちゃった??
『奏一郎って、男なのにすぐに感じちゃうのね。黙ってたらカッコいいのに、ちょっと乳首を攻めただけで、女の私のよりあんあん喘ぐとか。さすがに私、そういう趣味はないし、男として無いわー』
そんな捨て台詞で俺を捨てた彼女は、もう顔も思い出せない。それだけに、彼女の顔が将貴とすげ代わって、脳内で再生されて……。
いや、流石にそれはナイ……よな。
だって、本人がそれはないって言うから、今回俺達はあのようなことをイタした訳でして……。
「あのー……将貴クン? 今朝の事……だけど、さ」
恐る恐るそう声をかけた俺は、洗い物を終えてエプロンを畳みながら振り返った将貴の顔を凝視した。
「今朝……? あ、奏さんを送っていくつもりが、急に泊めてもらってすみませんでした。僕、ちゃんと母さんに『奏さん家に泊まる』って連絡してました? 実は途中から記憶があまりなくて」
「…………はい???」
記憶が無いって……え、ちょっと待って。
酒を飲みすぎて記憶を無くすタイプの人間はまぁまぁいる。
けれど、将貴クン。
キミ、昨日割としっかり目の口振りで俺と会話してましたよね!?
「覚えてないって……その、記憶を消したいほど嫌な何かがあって~とかじゃなく?」
「??? え、僕もしかして、酔っ払って奏さんになにかご迷惑をおかけしました?」
「あー、いや。そういうは全く無いんだけど」
うーん……。少なくとも、俺の痴態が気持ち悪すぎて、見なかったことにしたって訳じゃ無さそうだ。
「なら良かった。えっと……バイトがあるのでそろそろ行きますね?」
「あー、うん。行ってらっしゃい」
さわやかに手を振って玄関を出ていく将貴の姿にに、むしろ夢を見たのは俺の方なんじゃないかとすら思えてきた。
尻を確かめれば分かるのだけれど、何となく怖いな。
――――よし。
とりあえず、ベッドに戻って二度寝しよう。
これが二日酔いの頭で悩んだ俺が導き出した、最善の答えなのであった。
***
ここまでお付き合い下さりありがとうございました。
もし作品を気に入って頂けましたら、作品ページ上部からBLコンへの投票をして頂けますと、創作の励みになります。
今後とも、どうぞよろしくお願い致します。
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