【完】メスイキTrip!〜メスイキした瞬間フリ○んで異世界に飛ばされて魔王を目指す羽目になるとかちょっと意味が分からない〜

唯月漣

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8−②

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 「あっれー?! 鷹夜じゃん! あの日セックスの途中で急に帰っちゃったと思ってたら、お前もこっちに来てたのかよー?」


 涼は軽いノリでそう言うと、ニコニコしながら俺の隣に座った。


「りっ、涼……! りょぉーっ……! 会いたかった……もう会えないかと思った……!!」
「ちょっ、そんなに泣くなよー、まいったなー」


 俺は久しぶりに会う最愛の彼氏・涼に、力いっぱい抱き着いた。涼は優しい笑顔のまま俺を抱きしめ返して、よしよしと頭を優しく撫でてくれる。


「四天王のうち3人を秒殺するよーな、やべぇ奴が来るって聞いてたから、俺すげー構えてたのに! こんなとこで鷹夜と再会できるとは思わなかったよ」
「な、なんだよそれっ。俺はお前のために元の世界に帰ろうって、すげぇ必死で……! ほんとは涼以外のヤツとするつもりなんて……!」


 あちらこちらで俺は『噂の鷹夜様』なんて言われていたから、きっとろくな噂じゃ無いだろうとは思っていたが、俺はそんな風に噂されていたのか。
 涼は俺の言葉を聞きながら、口元を僅かに歪めて笑った。


「あー、分かってる、分かってる。それは俺も同じだ。……んで? お前は結局俺とこのままヤルの? ヤラないの?」
「やっ…………。わっ、分かってる癖に……っ」


 頬を赤らめた俺の答えに満足したのか、涼はニヤリと笑みを浮かべた。俺は抱きしめられた体勢のまま、濃厚なキスをされる。


「うう、涼ぉ……ふぁっ、んんん……」


 息継ぎのために離れていく涼の唇を追いかけて、俺は再び口付けた。
 長く恋い焦がれた涼の指先が、俺の体をいやらしく這い回る。指の先が慣れた手付きで俺の乳首を摘むと、涼は悪戯な笑みを浮かべた。


「なぁ、俺こっちの世界で魔法ってのを覚えたんだけど。お前のココに試してもいいか?」
「え……っ? ……アッ、嫌だっ……やめ……っ!」


 俺は慌てて涼の手に自分の手を添えて引き剥がす。乳首から僅かに離れた手の中で、涼の指先に魔力のぬくもりが宿るのを感じて、俺はホッと胸をなでおろした。


「えー、なんで? 良いじゃん。俺の魔法、すっごい気持ちいいらしいよ?」


 涼はそう言ってなおも俺の胸に触れようとしたが、俺はやんわりとそれを避けて言った。


「久しぶりに涼に会えたのに、魔法とかそういうの、思い出したくない……。すくにはあっちの世界には帰れないけど、今だけはせめて、普通の恋人同士のセックスを……」
「えー? 仕方ないな。可愛い鷹夜の頼みだもの。久しぶりの今日くらいは、叶えてあげなくっちゃね」


 涼は優しくそう言って、俺の胸元に舌を這わせた。胸の前にある涼の頭を、俺は抱え込むように抱きしめる。


「なぁ、久しぶりに口でしてもいいか?」


 涼の耳元でそう囁いた俺は、ベッドから降りて、ベッドサイドに座る涼の両足を軽く開く。その間に跪くと、涼の性器を口に含んだ。


「ん……鷹夜は相変わらず、口でするのが上手いな」


 涼は気持ち良さそうにふーっと息を吐いて、己のものをくわえる俺の頭を優しく撫でた。舌を沿わせるようにして裏筋を擦り、唾液を絡めて軽くピストンする。
 口の中の物は徐々に芯を示して、硬さを増していった。

 涼は俺の弱い所を知り尽くしている。
 だが、俺だって、涼の弱いところは知り尽くしている。

 
「んっ、気持ちい……、鷹夜……そこ、いい……」


 涼の呼吸が、段々と浅く淫らなものに変わる。熱っぽく吐息を吐きながら、涼は俺の髪を軽く掴んだ。
 恐らく、そろそろ離せという、涼の合図。
 けれど、涼の先走りの蜜を口の中で舐めとりながら、俺は更に深くソレをくわえこんだ。


「くっ……、ちょっ、鷹夜……? はぁ……っ」


 喉の深いところで敏感な先端を擦ると、涼は戸惑いながらも小さく喘ぐ。
 俺は口の中に集中して、涼にバレないようにこっそりと口腔内に魔力を乗せてやった。
 こんなイイコトを教わったのだ。使わない手はない。


「んんっ……!? あっ、あ、ちょっと待って……! なんかお前、フェラ上手くなってないか……!?」


 涼は魔法を使われた事に気付いていない。涼のペニスは更に滾って、限界まで膨張した。


「アッ、鷹夜、もう離せ……っ! で、出るっ……!」


 涼が再び俺の髪を掴んで、今度は少し強引に俺の頭を引き剥がそうとする。だが俺は涼の腰に両腕を回して、引き剥がされまいとしがみついた。



「くっ…………ッッ!」


 数秒の攻防の後。
 涼は俺の口の中で、あっさりと果てた。


「はぁ、っ。あーあ、離せってっ……言ったのにっ……。久しぶりだから、口でしたかったのか……? 俺は久しぶりに、鷹夜のナカでイキたかったんだけど……」


 僅かに乱れた呼吸を整えながら、涼はそんな事を言ってきた。俺はそんな涼を尻目に、そばにあったゴミ箱に口の中の物を吐き捨て、ニヤリと笑った。


「涼。お前、先にイッたな……? ならこの勝負、俺の勝ちだ」
「はっ…………!? …………あっ!! ま、まさかお前……!?」


 涼が青ざめた顔でベッドから立ち上がって、俺に手を伸ばした。けれども、俺はその手を振り払う。


「…………ッ。鷹夜、まさかお前もあっちの世界には帰らないつもりなのか?」
「は? "も"って何だ? 寝言は寝て言えよ。単に俺は今、お前とのセックスを断っただけだろ」
「は? なんでだよ……!? お前俺の事、すっげー好きだったじゃん! 俺の事、嫌いになったのか!?」
「はっ。それは俺のセリフだよ、涼」


 俺はドアに向かって歩きながら、振り返って冷たく涼を睨んだ。


「お前がこの世界に時間差で飛ばされてきてるってことは、俺がこっちの世界に飛ばされたあと、お前は俺以外の誰かとセックスしたってことだろ? お前が浮気症なのは薄々気が付いていたけど、これで何回目だよ! そんな男、こっちから願い下げだ。今までありがとう、サヨウナラ!!」


 俺は一気にそうまくし立てると、勢いよくドアを閉めた。早歩きで廊下を戻ると、いくつめかのドアの外で俺を見つけたカヴァが、慌てて俺の元へ駆け寄ってきた。


「に、逃げるのね!? 任せて! アタシ、逃げ足だけは自信があっ……て……?」
「いや。…………勝ったよ」


 俺は気が付くと、カヴァを固く抱きしめていた。
 目からポロポロと熱い液体がこぼれ落ちる。
 それが悔し涙なのか、嬉し涙なのかは、俺には判別がつかなかった。


「……鷹夜。きっとすごーく、頑張ったのね」


 カヴァが優しくそう言って、ぎゅっと俺の体を抱きしめ返してくれた。
 ひんやりとしたカヴァの胸に顔を埋めながら、俺は声を押し殺してしばらく泣き続けた。
 カヴァの腕の中はふわりと花の香りがした気がした。
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