元・愛玩奴隷は愛されとろけて甘く鳴き~二代目ご主人様は三兄弟~

唯月漣

文字の大きさ
上 下
98 / 99

98)ずっと欲しかったもの

しおりを挟む
「多分僕にミイラ取りには向かないんだ」
「……?」
「ううん、こっちの話」
「あの……では」
「……ごめん、日和さん」
「あ……」


 やんわりと肩を押されて、私はおずおずと引き下がる。

 けれどもそんな私の頬を慰めるように撫でた律火様は、照れたような微笑みを見せて色っぽく小首を傾げた。


「今日は職場から真っ直ぐ来ちゃったから」
「……?」
「その……。してあげたくても、スキンが無いんだ」
「スキン……?」


 スキンというワードに首を傾げる私に、律火様は小声で「コンドーム」と囁く。

 
「……! そんなの、中出しして下されば……っ」
「それは駄目」
「何故ですか……!?」
「体内に精液を出すと、日和さんがお腹を壊しちゃう」
「そんなことっ……」


 行為が終わったらすぐに洗い流せば……! そう思った私の言葉を遮ったのは律火様だ。


  
「感染症のリスクもある。日和さんが大切だから、僕が嫌なんだ」


 諭すようにそう言われてしまうと、私は言葉に詰まる。
 
 前の主人の元では中に出されるのが当たり前だと思っていた。けれど、それは本当は危険な行為であったことを教えてくれたのは律火様だった。
 
 無知だった自分を恥ずかしく思った事は、記憶に新しい。


「分かってくれる?」
「はい……。わがままを申し上げてすみませんでした」


 俯いた私を、落ち込ませたとでも思ったのだろう。律火様は少し考えるような仕草をしつつ、私の頭をポンポンと撫でて下さった。
 
 
「ごめんね。その代わりと言ってはなんだけど……こっちに背を向けて、手はついたまま僕に向かって腰を上げてくれる?」
「…………?」


 私が言われるままにその形を取ると、四つん這いでお尻だけを律火様へ向ける恥ずかしいポーズになった。
 律火様は傍に落ちていたエネマグラを拾い上げ、その先端にローションを絡めていく。

 十分に慣らされた双丘の中心に突き立てられたそれは、律火様が軽く宛がっただけで意図も簡単にやや太い先端部分を飲み込んでしまった。

 奥まで挿入された後内側の良い所を探すように角度を変えて抜き差しされて、私は思わず声を漏らした。



「んっ、は…………っ、律……っ、そこ……ぁっ」
「ここかな。気持ちいい?」
「んっ……ふ、また私だけ……こんな……んんっ」


 たまらなく気持ちいいのに、寂しい気持ちから素直になれない。

 ここで私が『気持ちいい』と答えたら、律火様は私が満足したと安心して、行為を終えてしまいそうだと思ったから……。

 
「ふふ、そんな顔をしなくても大丈夫。今日は僕も一緒だよ」
「――……?」
「足、しっかり閉じていてね」
「えっ? ひ、あっ……!?」


 突然両の太ももの間に、ローションにまみれた温かい何かが侵入してくる。
 
 それが律火様の性器であることに気が付いた私は、心臓が騒いだ。


「律……、火……さま?」
「ん……日和さん、ごめん。今日は僕、あんまり余裕がないかも」
「あっ……、ふ、ぁっ」


 両腿の間にある硬くて熱いモノが、律火様の動きに合わせてぬるぬると擦れる。

 背面から揺れるような動きで当たる律火様の下腹が、くるりと突き出たエネマグラの持ち手部分に当たるのが分かる。

 体が揺らされる度にお腹の深いところにエネマグラが当たって、まるで律火様のペニスで体の奥を突かれているみたいだ。

 性器同士がローションで擦れる感覚だけでも堪らないのに、こんな……こんな……。


「あっ、あっ……奥、がっ、んん……っ」
「苦しい?」
「ちが……」
 

 そう問う律火様の息が、僅かに上がっている。


「――――なら、気持ちいい?」


 私の腰を抱き寄せて、わざとご自身の腹部を持ち手に押し付けるようにしてピストンされると堪らない。
 
 お腹の内側の良いところを狙うように刺激されて、同時に擦られたペニスの先からポタポタと先走りが滴る。
 
 
「気持ちいい、ですっ。――ぁ、やっ……」


 恥ずかしさに逃げかけた腰を引き寄せた律火様は、振り返った私の背中に宥めるようなキスをして下さった。
 

 
「日和さん、可愛いよ。もう少しだけ足、ぎゅってしててね」
「んっ……はい」


 律火様にずん……と奥を突かれるたび、エネマグラが最奥の良いところに当たる。
 
 体の奥で疼くような甘い快楽が生まれて、お腹の中に溜まっていく。射精の快楽とは違う疼き痺れるようなその感覚は、トロトロと体の内側をむしばむ。


「苦しくない?」


 律火様が心配してそう声をかけて下さる。
 快楽に痺れた腕から力が抜けて、私はパフンと額から布団に崩れ落ちた。


「すご……、く……気持ちい、です」
「良かった……僕も、凄く気持ちいい」


 部屋の中で互いの皮膚のぶつかる甘い音が響く。 

 
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集

あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。 こちらの短編集は 絶対支配な攻めが、 快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす 1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。 不定期更新ですが、 1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 書きかけの長編が止まってますが、 短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。 よろしくお願いします!

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

アルバイトで実験台

夏向りん
BL
給料いいバイトあるよ、と教えてもらったバイト先は大人用玩具実験台だった! ローター、オナホ、フェラ、玩具責め、放置、等々の要素有り

壁乳

リリーブルー
BL
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 (作者の挿絵付きです。)

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~

恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん) は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。 しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!? (もしかして、私、転生してる!!?) そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!! そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...