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97)おねだりしてもいいですか?
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水湊様のときも、詩月様の時も。
気持ち良くして頂くのは私ばかりで、お二人に肉体的な興奮の兆しは見られなかったから私も諦められた。
けれど今日は違う。
行為の最中に律火様と体を密着させた際、私は自分の体に僅かに固いものが当たっていることに気が付いてしまった。
私の視線の先に気がついたらしい律火様は「あっ」と小さく声を漏らして、僅かに動揺なさったようだった。
どうやらご自身のそこがスラックスごしでも分かるほど膨らんでいた事に、お気づきになられていなかったらしい。
「えーっと……ごめんね。今日は詩月からの宿題を手伝う約束なんだから、僕の方は気にしなくて大丈……」
「――――嫌です」
「えっ」
「どうして謝るのですか? だってコレは律火様が私に興奮してくださった証で」
「それは……」
「私、凄く嬉しかったです」
主人に嬌声を聞かれること。
人に素直に甘えること。
主人に恥ずかしいおねだりをすること。
このお屋敷に来てからは初めて教わることが多くて、正直不安も多かった。
私がしていることは、本当に皆さんに喜んで頂けているのか。
このお屋敷の皆さんは良い人ばかりだから、言葉で何を言われようとも「気遣いや優しさなのでは」とどうしても勘ぐってしまう。
――――だから。
私は一度体勢を戻して、律火様に向き合うようにベット上に座り直した。
「律火様にお願いがあります」
「お願い?」
「はい。これを中に……私の中に挿れて頂けませんか」
「それは……」
「嫌、ですか?」
「嫌だなんて……。日和さんが僕達兄弟に愛玩奴隷として雇われていることにまだ引け目を感じている、とかなら僕は……」
「違います。今の私はプライベートだと律火様は言って下さいました。それならばなおの事、律火様に気持ち良くして頂くばかりなのは私が嫌なんです。お嫌でなければ、律火様にもちゃんと気持ち良くなって欲しい……。律火様に沢山甘やかして大切にして頂いた分、私も律火様に愛情をお返ししたいのです。律火様が大好きだから」
「…………っ!」
私はそう言いながら、律火様の唇に素早くキスをした。
これ以上言葉でやり取りをしてもきっと、埒が明かないと思ったから。
私は律火様の腹部探ってベルトを外し、スラックスの前を寛げた。下着越しにもはっきり分かるほど膨らんだそれにやんわりと触れる。
いつもならば絶対にしない積極的な行為に、思わず手が震えた。
だって、私は長らく主人に抱かれることに拘り、焦がれ続けたのだ。
このお屋敷に来て、主人に抱かれたい理由は変わってしまった。
けれど、自分が主人に必要とされているという安心感を得るために抱かれたいと思っていた身勝手なあの頃より、こんな至らぬ所だらけの私を大切にして下さる主人を癒し気持ちよくなって頂きたいと思う今のこの気持ちの方が、今は大切だと思える。
そう思わせて下さったのは他ならぬこの屋敷の主人達であり、律火様だから……!
それに、ずっと欲しかったものを目の当たりにして冷静で居られるほど私は大人ではない。
律火様が私に対し、性的に興奮してくださった……。
それがこんなにも嬉しくて。
うっとり眺めてから、止められる隙を与えないよう素早く律火様の下着をずらす。
飛び出してきたそれを躊躇いなく口に含んで、幸せを味わうように喉奥まで埋めた。
「ちょ……日和さん……っ」
律火様の慌てた声が聞こえるけれど、声に反して口の中のものは熱く硬さを増している。
唾液をたっぷりと絡めて吸い付くように抽挿すると、律火様が言葉に詰まるように息を吐かれた。
「っ……、ふ」
大切な物を慈しむように舌で撫でると、いつも冷静な律火様の呼吸が徐々に早くなるのが分かる。
我ながら、律火様の優しさにつけ込んで、無茶なわがままを言ったと思う。
不意に律火様の手が私の髪に伸びる。やんわり引き剥がされるかと覚悟をしたけれど、そんな事はなくて。
その手がいつものように優しく私の頭を撫でるのだから、こちらも堪らない。
「ふふ。困ったな……」
「律火様……」
微笑んでこそいるものの、いつも余裕たっぷりの律火様の余裕のない表情は、いつもに増して色っぽい。
気持ち良くして頂くのは私ばかりで、お二人に肉体的な興奮の兆しは見られなかったから私も諦められた。
けれど今日は違う。
行為の最中に律火様と体を密着させた際、私は自分の体に僅かに固いものが当たっていることに気が付いてしまった。
私の視線の先に気がついたらしい律火様は「あっ」と小さく声を漏らして、僅かに動揺なさったようだった。
どうやらご自身のそこがスラックスごしでも分かるほど膨らんでいた事に、お気づきになられていなかったらしい。
「えーっと……ごめんね。今日は詩月からの宿題を手伝う約束なんだから、僕の方は気にしなくて大丈……」
「――――嫌です」
「えっ」
「どうして謝るのですか? だってコレは律火様が私に興奮してくださった証で」
「それは……」
「私、凄く嬉しかったです」
主人に嬌声を聞かれること。
人に素直に甘えること。
主人に恥ずかしいおねだりをすること。
このお屋敷に来てからは初めて教わることが多くて、正直不安も多かった。
私がしていることは、本当に皆さんに喜んで頂けているのか。
このお屋敷の皆さんは良い人ばかりだから、言葉で何を言われようとも「気遣いや優しさなのでは」とどうしても勘ぐってしまう。
――――だから。
私は一度体勢を戻して、律火様に向き合うようにベット上に座り直した。
「律火様にお願いがあります」
「お願い?」
「はい。これを中に……私の中に挿れて頂けませんか」
「それは……」
「嫌、ですか?」
「嫌だなんて……。日和さんが僕達兄弟に愛玩奴隷として雇われていることにまだ引け目を感じている、とかなら僕は……」
「違います。今の私はプライベートだと律火様は言って下さいました。それならばなおの事、律火様に気持ち良くして頂くばかりなのは私が嫌なんです。お嫌でなければ、律火様にもちゃんと気持ち良くなって欲しい……。律火様に沢山甘やかして大切にして頂いた分、私も律火様に愛情をお返ししたいのです。律火様が大好きだから」
「…………っ!」
私はそう言いながら、律火様の唇に素早くキスをした。
これ以上言葉でやり取りをしてもきっと、埒が明かないと思ったから。
私は律火様の腹部探ってベルトを外し、スラックスの前を寛げた。下着越しにもはっきり分かるほど膨らんだそれにやんわりと触れる。
いつもならば絶対にしない積極的な行為に、思わず手が震えた。
だって、私は長らく主人に抱かれることに拘り、焦がれ続けたのだ。
このお屋敷に来て、主人に抱かれたい理由は変わってしまった。
けれど、自分が主人に必要とされているという安心感を得るために抱かれたいと思っていた身勝手なあの頃より、こんな至らぬ所だらけの私を大切にして下さる主人を癒し気持ちよくなって頂きたいと思う今のこの気持ちの方が、今は大切だと思える。
そう思わせて下さったのは他ならぬこの屋敷の主人達であり、律火様だから……!
それに、ずっと欲しかったものを目の当たりにして冷静で居られるほど私は大人ではない。
律火様が私に対し、性的に興奮してくださった……。
それがこんなにも嬉しくて。
うっとり眺めてから、止められる隙を与えないよう素早く律火様の下着をずらす。
飛び出してきたそれを躊躇いなく口に含んで、幸せを味わうように喉奥まで埋めた。
「ちょ……日和さん……っ」
律火様の慌てた声が聞こえるけれど、声に反して口の中のものは熱く硬さを増している。
唾液をたっぷりと絡めて吸い付くように抽挿すると、律火様が言葉に詰まるように息を吐かれた。
「っ……、ふ」
大切な物を慈しむように舌で撫でると、いつも冷静な律火様の呼吸が徐々に早くなるのが分かる。
我ながら、律火様の優しさにつけ込んで、無茶なわがままを言ったと思う。
不意に律火様の手が私の髪に伸びる。やんわり引き剥がされるかと覚悟をしたけれど、そんな事はなくて。
その手がいつものように優しく私の頭を撫でるのだから、こちらも堪らない。
「ふふ。困ったな……」
「律火様……」
微笑んでこそいるものの、いつも余裕たっぷりの律火様の余裕のない表情は、いつもに増して色っぽい。
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