元・愛玩奴隷は愛されとろけて甘く鳴き~二代目ご主人様は三兄弟~

唯月漣

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94)無意識の罪(律火視点)

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「ここまで来たら、ゆっくり奥に指を入れて大丈夫」
「ひっ、ぁ……っ」


 優しく微笑みかけると同時に、日和さんの中に根元まで中指を挿れる。

 狭い内壁で円を描くようにクリクリと指を動かすと、堪らないとでも言うように日和さんの手が僕のスラックスの布を掴んだ。

 こういう男心をくすぐるようなことを無意識にできるあたりが、あの男が成人後も日和さんを手放さなかった理由なのかもしれない。

 あの男は日和さんを抱かなかったと聞く。
 けれど、日和さんの嬌声甘い声を聞いて行為を止めたという事は当然、全く触れていなかったはずはなくて。
 
 そう思ったら、なんだか嫉妬してしまう。
 
 あの男は、何を思って日和さんに手を出さなかったのか。
 その癖、手放さなかったのか。

 理由は今となっては分からないけれど、少なくとも過去を語る日和さんは言葉にはせずとも、幸せそうには見えなかった。
 
 言葉にしなかったのはきっと、自分が不幸であることに気づかないようにするためだ。
 心を、守るために。
 
 けれど可愛らしいこの彼は、もう我が家の……僕達のものだ。
 これからは僕らのもとで、今までの分まで日和さんには幸せになって、守られて欲しい。

 そんな気持ちから、僕は空いた手で日和さんの性器に手を伸ばす。

 ローションを絡めて再度手の中に包み、やわやわと動かした。
 
 
「あっ……!? お待っ……おま、くださ……っ」


 日和さんの声を聞き流して、僕は親指の腹で亀頭を中心にローションをたっぷり絡める。


「詩月には、『自分で』って言われたんだよね? だったら、前は自分でしてみて。慣れるまでは僕が手伝ってあげるから」


 そう言って日和さんの手を掴み、重ねるようにして性器に導く。
 日和さんのお腹に垂らしたローションを惜しみなく絡めとって、敏感であろう雁首を中心に小刻みに揺すった。



「あぁ、っ――――!」
「気持ちいい? そろそろ後ろも指を増やすよ」


 先走りが更にトロリと溢れたタイミングで、僕は一度指を抜いて、今度は二本の指を揃えて秘孔に突き立てる。


「指が増えてもやり方は基本的に一本目と一緒だよ。穴の周りのヒダをこうして二本でなぞって。筋肉の締まりに逆らわないように、ゆっくり中心に突き立てる」
「あっ、は……ぁっ、はあっ、はぁ……」
りきんじゃダメ。意識しすぎないようにこうしてペニスも刺激しながら……ゆっくり穴の中心を指の先で押してみて。すると体の力が抜けて……ホラ」


 つぷん……と指の先が穴の中心に入り込む。

 二本の指で括約筋の強い入口付近を優しく押し広げながら、日和さんが怖がらないように適度に性器への刺激も忘れない。


「ほら、また目を閉じてる。ふふ、そんなに気持ちいい? それとも恥ずかしい?」
「あ……すみませ……」
「謝らなくていいよ。気持ち良くなってくれるのは純粋に嬉しいし。けど日和さんが後で復習できるように、録画でもしておけば良かったかな?」
「そ、それは……っ。あっ、あっ……イク……っ、イク……」
「それはまだダーメ」


 意地悪をしたい訳ではないけれど、男性の性質として精を吐き出してしまえば冷静になってしまう。
 
 残念だけれど、僕達は愛し合う恋人同士ではない。
 彼にとって、これは仕事の一環だ。
 彼のためにも、前はもう少しこのままが良いだろう。

 僕は性器への刺激を止める代わりに、今度は耳を舐める。日和さんは耳がとても弱い。
 
 耳の穴に舌を這わせるのと同時に、中に侵入させた二本の指を体の奥へと進めた。
 
 まだまだ狭い日和さんの内側を、指を左右に開きながら更に広げていく。

 甘えた子犬のような声を漏らす日和さんは、普段の真面目な彼からは想像できないほど愛らしくて妖艶だ。

 
「律火さ、ま……っ、ソコ……らめ、です……」
「広げるの、痛かった? じゃあ内側から小刻みに揺らして少しずつ慣らそうか」
「やっ……ちが……っ」


 彼は一度エネマグラを受け入れているのだ。恐らく前立腺を刺激されるのはこれで二度目のはず。

 異物感が出ないように入口付近は動かさず、その部分・・・・だけを中指の先で優しく揺らす。

 堪らずに逃げかける腰をたしなめるように抱き寄せて、一定の強さで刺激を与えた。


「な、何か……なに、か……変……っ」
「どう変なの? 嫌なら一旦止めようか?」


 頬が上気して、すっかり緩んだ口元からは甘い声が絶えず漏れている。
 
 どう見ても嫌がっている反応じゃない事を知りながらこんな事を聞いてしまうのは、きっと僕自身が日和さんの口から求める言葉を引き出したいからだ。


「ちが……気持ち、いい……。でも……、なんか、おかし……っ」

 
 体の内側から走るその感覚に戸惑うような目をした日和さんが、僕の左手を握った。
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