87 / 99
87)毎日コツコツ
しおりを挟む
「おう、日和。お前、今日はこれで上がりか?」
ひと仕事を終えた私にそう声を掛けて下さったのは、出勤してきたばかりの佐倉さんだ。
「いえ、夜皆さんがお帰りになる頃にまた戻ります。その前に一旦部屋に帰って、詩月様に出して頂いた宿題をやってしまおうと思いまして」
「あー、また詩月様の宿題か。お前マジでコツコツ宿題やるタイプなんだな。まぁ真面目なお前らしいっちゃ、お前らしいが」
「ええと。コツコツを心掛けてはいますが、私の場合深夜から朝方にかかるお勤めもありますから流石に毎日という訳では……。そういう佐倉さんは?」
「あー? 俺は夏休みの宿題は最後にまとめてやるタイプだったな」
『深夜から明け方にかかるお勤め』というワードに何故か少し照れたように視線を逸らしながら、佐倉さんは頭を掻いた。
「私らしいというか……詩月様が『宿題っていうのはコツコツやらないと後で自分が後悔するんだよ』と」
「うーん……耳が痛いな」
苦笑しながらそう言った佐倉さんに、私は少しだけ微笑み返して肩を竦めた。
「実を言うと、私もです」
「えっ」
「実は最近何かと忙しかったもので、なかなか手を付けられなかった宿題が一つありまして」
「へぇ、それで休憩時間に宿題を……。お前も大変だな」
「詩月様が私のためを想って出して下さった宿題ですから、大変だなんてとんでもないです」
「そっか。ま、頑張ってな」
「はい、ありがとうございます」
因みに佐倉さんが想定しているのは、恐らく詩月様に見て頂いている勉強の方だろう。
今日の私の宿題は、実は佐倉さんの言うそれとは別件だ。
けれど頑張らなきゃいけないことに変わりはない。
佐倉さんと別れて自室に戻ると、ふぅと一息ついてから窓際の机に座る。
少しドキドキしながら私は引き出しの一番下を開けて、ある紙袋を取り出した。
これは以前詩月様に宿題と称して渡されたものだ。中には小さなチューブと変わった形のとある玩具が入っている。
『日和は一日一回、ソレを入れてオナニーをすること』
これが詩月に出された宿題だった。けれどあの日以降業務に追われて、結局使わぬまましまい込んでしまっていた。
「さて、と……」
『オカズは僕じゃなくてもいいよ』
そう詩月様は仰っていたけれど、そうは言われても……。
そもそも私は元来性欲が薄い方だ。なので半端に体を煽られでもしない限り、定期的に自慰行為をする習慣がない。
そんな私だから『自慰のオカズ』と言われても咄嗟にそれらしいものが思い浮かばない。
「どうしよう。こういう時は取り敢えず……ローションから……なのかな」
ぽつんと漏れた独り言がなんだか虚しかったけれど、取り敢えず服がローションで汚れないようズボンと下着を下ろしてみた。
手に取ったエネマグラをまじまじと見つめてから、意を決してその突起部分にローションを塗る。
それから性器の裏側に手を伸ばして、穴の位置を確かめるように尻の間を探ってみた。
目当ての窄まりはすぐに見つかった。
けれど詩月様に触れて頂いてから結構な日数が経ってしまっているせいか、穴の中心に指を潜り込ませようにもなかなか上手くいかない。
『宿題っていうのは、コツコツやらないと。後で自分が後悔するんだよ』
詩月様の言葉が頭の中で蘇る。
「はぁ……」
――――本当に、耳が痛い。
私は座る場所をベッドに移し、四つん這いになってみた。顎と肩で体重を支えて、片手で尻の肉を開くようにして左右に開く。
すかさずその中心に、力を込めた指を差し入れようと頑張ってみた。
けれどもその窄まりはやはり固く閉じ、私自身の指の侵入すらも拒む。
指すら挿入らないのでは、玩具どころではない。
どうしよう……。
ちょっと痛いかもしれないけど、思い切って強引に指を捻じ入れてみようか……。
そんな事を考えてグッと指先に力を入れた時、不意にドアの向こう側からノックが聞こえた。
「!!!!!」
「日和さん、いる? 休憩中にごめんね。ちょっと今、いいかな?」
ビクっと体が跳ねたのが、自分でも分かった。
ドアの向こうに居るのは、お勤め先に出勤されたはずの律火様のようだ。
ひと仕事を終えた私にそう声を掛けて下さったのは、出勤してきたばかりの佐倉さんだ。
「いえ、夜皆さんがお帰りになる頃にまた戻ります。その前に一旦部屋に帰って、詩月様に出して頂いた宿題をやってしまおうと思いまして」
「あー、また詩月様の宿題か。お前マジでコツコツ宿題やるタイプなんだな。まぁ真面目なお前らしいっちゃ、お前らしいが」
「ええと。コツコツを心掛けてはいますが、私の場合深夜から朝方にかかるお勤めもありますから流石に毎日という訳では……。そういう佐倉さんは?」
「あー? 俺は夏休みの宿題は最後にまとめてやるタイプだったな」
『深夜から明け方にかかるお勤め』というワードに何故か少し照れたように視線を逸らしながら、佐倉さんは頭を掻いた。
「私らしいというか……詩月様が『宿題っていうのはコツコツやらないと後で自分が後悔するんだよ』と」
「うーん……耳が痛いな」
苦笑しながらそう言った佐倉さんに、私は少しだけ微笑み返して肩を竦めた。
「実を言うと、私もです」
「えっ」
「実は最近何かと忙しかったもので、なかなか手を付けられなかった宿題が一つありまして」
「へぇ、それで休憩時間に宿題を……。お前も大変だな」
「詩月様が私のためを想って出して下さった宿題ですから、大変だなんてとんでもないです」
「そっか。ま、頑張ってな」
「はい、ありがとうございます」
因みに佐倉さんが想定しているのは、恐らく詩月様に見て頂いている勉強の方だろう。
今日の私の宿題は、実は佐倉さんの言うそれとは別件だ。
けれど頑張らなきゃいけないことに変わりはない。
佐倉さんと別れて自室に戻ると、ふぅと一息ついてから窓際の机に座る。
少しドキドキしながら私は引き出しの一番下を開けて、ある紙袋を取り出した。
これは以前詩月様に宿題と称して渡されたものだ。中には小さなチューブと変わった形のとある玩具が入っている。
『日和は一日一回、ソレを入れてオナニーをすること』
これが詩月に出された宿題だった。けれどあの日以降業務に追われて、結局使わぬまましまい込んでしまっていた。
「さて、と……」
『オカズは僕じゃなくてもいいよ』
そう詩月様は仰っていたけれど、そうは言われても……。
そもそも私は元来性欲が薄い方だ。なので半端に体を煽られでもしない限り、定期的に自慰行為をする習慣がない。
そんな私だから『自慰のオカズ』と言われても咄嗟にそれらしいものが思い浮かばない。
「どうしよう。こういう時は取り敢えず……ローションから……なのかな」
ぽつんと漏れた独り言がなんだか虚しかったけれど、取り敢えず服がローションで汚れないようズボンと下着を下ろしてみた。
手に取ったエネマグラをまじまじと見つめてから、意を決してその突起部分にローションを塗る。
それから性器の裏側に手を伸ばして、穴の位置を確かめるように尻の間を探ってみた。
目当ての窄まりはすぐに見つかった。
けれど詩月様に触れて頂いてから結構な日数が経ってしまっているせいか、穴の中心に指を潜り込ませようにもなかなか上手くいかない。
『宿題っていうのは、コツコツやらないと。後で自分が後悔するんだよ』
詩月様の言葉が頭の中で蘇る。
「はぁ……」
――――本当に、耳が痛い。
私は座る場所をベッドに移し、四つん這いになってみた。顎と肩で体重を支えて、片手で尻の肉を開くようにして左右に開く。
すかさずその中心に、力を込めた指を差し入れようと頑張ってみた。
けれどもその窄まりはやはり固く閉じ、私自身の指の侵入すらも拒む。
指すら挿入らないのでは、玩具どころではない。
どうしよう……。
ちょっと痛いかもしれないけど、思い切って強引に指を捻じ入れてみようか……。
そんな事を考えてグッと指先に力を入れた時、不意にドアの向こう側からノックが聞こえた。
「!!!!!」
「日和さん、いる? 休憩中にごめんね。ちょっと今、いいかな?」
ビクっと体が跳ねたのが、自分でも分かった。
ドアの向こうに居るのは、お勤め先に出勤されたはずの律火様のようだ。
60
お気に入りに追加
677
あなたにおすすめの小説

【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集
あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。
こちらの短編集は
絶対支配な攻めが、
快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす
1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。
不定期更新ですが、
1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
書きかけの長編が止まってますが、
短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。
よろしくお願いします!


どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる