元・愛玩奴隷は愛されとろけて甘く鳴き~二代目ご主人様は三兄弟~

唯月漣

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53)前と後ろ

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「あっ……すみませ……っ!」
「……っ、ふふ。日和、ほんとにその謝り癖直らないね」


 詩月様は楽しげにそうお笑いになった。ごく浅く差し込んだ指を抜き差しして、私の括約筋を弄ばれる。ローションと媚薬のおかげで痛みは無かったけれど、異物感ともどかしさはあった。


「ココだけやるから、意識しちゃって力が入るんだよ。前、自分で扱いてて。――まさかそっちも初めてなんてことはないんでしょう?」
「それは……まぁ……」


 再度促されて、私は恥ずかしながら半勃ちのまま期待に揺れるペニスに手を伸ばした。漏らしたものとローションでヌルヌルのそこは、敏感になりすぎて、軽く手で握りこんだだけでも別の生き物のようにピクンと反応する。


「けれど、人様に見られながらするのは初めてです。どうか、お手柔らかに……」
「あはは。律兄の言う通り、日和はほんとスレてないんだね」

 
 詩月様の視線を感じながら、私はゆっくりとマスターベーションを行った。頭の中に、先程ローションガーゼで私の鬼頭を楽しそうに擦っていたときの詩月様が思い浮かぶ。

 中を探っていた詩月様の指が、深く挿入ってきて内側を探っている。慣れたペニスへの自慰の感覚と、不慣れな菊蕾への刺激が、下半身に同時に与えられてゆく。
 それはなんとも不思議な感覚だった。


「あっ、いっ、イク……」
「まだダーメ」


 私の意識が前だけに向きそうになると、詩月様がすかさず中に挿入れる指を増やされた。まるで泣きそうになる赤子でもあやすように、上り詰めては引き戻される。

 そんなことを数度繰り返して二本目の指が後ろに挿入る頃には、私は半泣きになっていた。


「詩月さ、ま……っ、詩、づき、さまぁ……」
「なぁに?」
「も……、イッても……? イキ、たい……ぃ」
「そうやって甘ったるく名前呼んでくれるの、可愛いね。流石は元あいつのコレクション」
「…………っ」


『あいつの元コレクション』という言葉に、私は何故だかとても悲しくなった。あいつ……とは、土谷田様の事だろう。
 私の頭の中は今、こんなにも詩月様の与えてくださる感覚でいっぱいだ。
 上書きしてあげると言ってくださった、詩月様の言葉。
 ならば……。


「ちがっ……、違……っ。私は、わたくしは、もう……っ!」
「???」


 上手く言葉が出てこなくて、涙がほぼを伝った。キョトンとなさっている詩月様を見つめて、私は首を横に振る。


「いま、は……っ。しづ……様の……、私は東條院家、の……。いいえ、今私は……詩月様だけの、愛玩奴隷です……!」
「――……! ――そうだったね。悪かったよ。日和はもう東條院家のもの。そして今夜は、僕だけの愛玩奴隷だ」


 詩月様の優しい台詞に、私はコクコクと頷いた。詩月様の言葉に、なぜこんなに自分が喜んでいるのか。それは私にも分からない。
 けれども今、何故かとても詩月様を好ましく思っている自分がいる。素敵な主人である詩月様に愛でてもらえる、幸せなこの時間。
 そんな今を、私は精一杯楽しみたいと思った。

 
「詩月様、詩月様……ぁっ」
「ねぇ。――もしかして今。僕のことオカズにしてくれてる?」
「……っ。こ、こういったことは……っ、大好きなご主人様を想ってするべきなのかと思っていたのですが……、い………いけません、でした、か?」


 今宵は詩月様に愛でて頂いているのだから、詩月様を想ってするのは当たり前。そう思っていたけれど、私などに想われるなんて、もしや気持ち悪かっただろうか……。
 
 そう不安になった私のお腹のあたりを、詩月様は優しく撫でてくださった。その頬は、心なしか朱に染まっている。

 
「いけない訳ないでしょ。日和、ストレートすぎ。あんまり可愛いこと言って、僕を煽らないで。今すぐ犯したくなっちゃう」
「? むしろそれが、私の望みなのですが……。――っ、あぁ……ッ」


 そんな会話の最中さなか、詩月様の指が私の中の一点を探る。膀胱の裏側あたりにあるその場所は、探るように刺激されると他の場所とは違う不思議な感覚があった。

 
「痛い?」
「い、いえ……痛くは」


 何度もその箇所を指の腹で優しくつつかれて、私は眉を寄せた。
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