元・愛玩奴隷は愛されとろけて甘く鳴き~二代目ご主人様は三兄弟~

唯月漣

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48)気持ちのいいコト

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 彼の言うことは全て正しい。

 目が合ったもの全てにそう思わせてしまいそうな凛とした視線と威圧感に、私が抱いたのはわずかな怯えと淡い憧れだった。
 だが、その感覚はすぐに浅はかな快楽に飲まれた。


「っ……、ふ、……く」
「ほら、なんて言うの?」


 詩月様がそう促しながら、手の中の熱を扱く手を早める。
 
「あ……あ……っ、しづ、き、様ぁ、気持ち、良いっ。もっと……っ、してくださ……ぃ」


 私がそう言うと、詩月様は満足そうに口角を上げながら、弱い雁首ばかりを扱いた。


「ねぇ見て日和。先端からいっぱい溢れてきた」
「……っ、ぁっ、すみませ……」
「ふふ、また謝った。罰ゲーム、もう一回だね」
「ぁ、痛……ッ」


 チクンと走る痛みに目をやると、詩月様が敏感に充血した鈴口に人差し指の爪を突き立てていた。


「あ、や……ぁっ」
「油断してるとホラ、また」


 先走りの溢れる先端を掌でぐりぐりと虐められて、私は思わず詩月様の手首を掴む。


「そのよ……に……っ、性急、なされて……は、すぐにイッ……てしま、……っ」
「ふーん。日和はココが敏感なんだ? それは都合がいいかも」


 詩月様は意味深にそう仰ると性器から手を離し、先程の洗面器の中からローションで濡れたガーゼを掬い上げる。


「日和、ローションガーゼオナニーって、知ってる?」
「――? い、いえ……」


 向こう側が透けるほど薄くきめ細かいガーゼを丁寧に広げた詩月様は、ベッドの上で両足を開いて座る私の足の間に改めて座り直される。
 
 天を向いたままの性器にペトリと貼り付けるようにガーゼを乗せられると、私はそのローションが人肌に温められていることに気が付いた。

 
「そのガーゼ。両端を持って、左右に鬼頭の上を滑らせてみて」
「え……」
「最初はゆっくりね」


 詩月様の突然の謎の指示。敏感な鬼頭を布で擦る……。想像すると少し怖い。けれど……。

 細められた瞳に光る視線には、有無を言わせない迫力のようなものがあって。
 私は言われるままに恐る恐るガーゼの端を掴んだ。
 
 
「うう……。こう……でしょうか?」


 逸る心臓を抑えながら、恐る恐る私は詩月様の指示に従ってガーゼをゆっくりと動かす。

 罰ゲームなのだから、やはり少しは痛みを伴うのかな?
 そう想像していたけれど、ガーゼ表面にローションが染み込んでいるせいか、痛みはなかった。ただぬるりとした物が、熱を持つ先端をゆっくりと通過する。


「上手い上手い。続けて」
「……? はい……」


 指示に従って、私は再びガーゼで鬼頭を滑らせる。
 二回目で感じたのは、ガーゼ表面に僅かに残る、ザラつきにすら至らない繊維の感覚。その微々たる感触が、充血し敏感になった鈴口をゆっくりと通る。その度なんとも言えない感覚が、ゾクゾクと私を襲った。


「…………ッ」

 
 一往復ほどそれを繰り返した時、私はそれがとてつもない強い快楽であると気が付く。
 私には経験のない、不思議な種類の快楽。それは私を困惑させるのには十分で、思わず手が止まってしまった。


「手を止めちゃダメ。続けて」
「はい……」


 この未知の感覚は怖かったけれど、詩月様の言葉に従って私は再び手を動かした。擦れるたび走るのは、剥き出しの快楽の神経が削られているのではないかと思うほどの強烈な快楽。
 
 それをようやく脳が認識した途端、腰が痺れて、ガクガクと震える。
 頭が思考をやめて、気持ちいい事だけで支配されてしまいそうだ。


「詩月、さま……っ、これ……はっ……」
「不思議な感覚でしょ? ドMな日和にはピッタリ」

 
 詩月様はそう笑って、私の膝を優しく左右に撫でた。それはまるで私のガーゼを持つ手の動きに連動させているかのように、ゆっくり……ゆっくりと右へ左へと私の膝頭を撫でる。

 暗示にかかったように、私は詩月様の手の動きに合わせてガーゼで鬼頭を擦った。
 守るものがない裸の粘膜を、ごく薄いヤスリで少しずつ少しずつ削られていくようなその感覚。
 それは往復を重ねる度、私の理性や思考を削り取っていく。
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