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32)焦れ焦れの夜
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「体、火照ってきたね」
律火様に甘い中低音でそう囁かれれば、否が応でも己の体の中心にくすぶり始めた熱を自覚せざるを得ない。
律火様には先程セックスを断られたはずなのに、主人である律火様を差し置いて、自分だけがこうして気持ち良くなることは、果たして許されるのだろうか?
愛玩奴隷として雇われ、給与をいただく以上、それは許されないことのような気がするのに。
「りっ、律火、様……っ」
密着した体を剥がすように両手を突っぱった私は、火照る体の内側で騒ぐ心臓の音を感じながら、律火様のお顔を真っ直ぐに見た。
「落ち込む私を気遣って、こうして慰めて下さるお気持ちは嬉しく思います。ですが、このように私ばかり気持よくして頂くのでは私が申し訳なく……」
「何故?」
「何故って……」
そう問う律火様の琥珀色の大きな瞳が真っ直ぐに私を見つめていて、私はその美しさに息を飲む。
「日和さん、他人の手で気持ちいいことをされるのは苦手? それとも、気持ち良くなかったかな」
「いえ、そんなことは……ですが、主人を差し置いて私だけこんな……」
「ふふっ。日和さんは我が家の愛玩奴隷なんでしょう? なら、僕が日和さんを愛玩して、なぜ悪いの?」
律火様はそう仰って、ふわりと優しく微笑まれた。
「前のとこのルールなんて僕は知らない。日和さんはもうこの東條院家に来たんだから、君の事は僕らのやり方で可愛がる権利がある。違う?」
「あ……。ち、……違いません」
「でしょう?」
律火様はクスクス笑いながら、小さな子供にするように私の頭を撫でてくださった。
「なら僕は、可愛い日和さんが気持ち良さそうにしてる顔が見たい。出来れば気持ちいい時の声も。新たな主人である僕の願いを叶えてくれる?」
「あ……。が、頑張ります……!」
声も、と言われて少しだけ緊張したけれど、律火様はそんな私の考えを表情から読み取られたのだろう。
私の頬に軽くキスを落として、そのまま僅かに盛り上がる喉仏に口付けた。
「日和さんの声、僕は好きだけどな。ねぇ、日和さん。僕の名前、呼んで」
そのまま唇を滑らせた律火様は、私の胸元に顔を埋められた。チュッと乳首に吸いつかれて、甘噛みされる。
「律火さ……あっ、り、……っか、さ……」
優しい愛撫ばかりだった律火様がそこを噛まれると思わず、ドキンと心臓が高鳴る。舌先でくすぐるように舐められると、くすぐったさと快楽の入り交じったものが込み上げてきた。
「律火様……り、りっ……」
名前を呼びながら、私はその感覚に堪らず眉根を寄せていた。
「ふーん。くすぐったい時の声は出るんだね?」
「ちょ、律火様……あぁ、う……」
律火様はそう仰ったかと思うと、私をベッドへ優しく寝かせて下さった。
奴隷どころか、まるで宝物を扱うような手つきで私を撫でる律火様の手は、触れられるほどに私の理性を溶かす。
「今時、愛玩動物にだって愛護法があるんだよ。愛玩動物より愛玩奴隷の方が大事にされるのは当たり前。そうでしょう?」
「そ、そうでしょうか……」
「そうだよ。それに、どちらも可愛がるために傍に置く存在でしょ?」
律火様は楽しげにそう仰って、今度は私の下着へと手をかけられる。
「もっとも。動物と人間の違いは、こういう楽しみ方が出来ることだと思ってるけどね」
「???」
律火様はそう仰ると、布越しにやんわりと私の両足の間にある膨らみを撫でた。
律火様のしなやかな手は私のその形を確かめるようにゆっくりと往復して、時折悪戯に優しくそれを手の中に包む。
かと思えば、律火様のすべすべな掌は、中心から逸れて下腹、そしてへその辺りをさわさわと撫でる。
ホッと気を抜くと、途端にその手は中心に戻って半勃ちの茎を上下にしごいた。けれども長くは続かず、再び手は肝心の場所から離れてゆく。
そんなことが延々行われるのだから、私はもどかしくてたまらなかった。
律火様に甘い中低音でそう囁かれれば、否が応でも己の体の中心にくすぶり始めた熱を自覚せざるを得ない。
律火様には先程セックスを断られたはずなのに、主人である律火様を差し置いて、自分だけがこうして気持ち良くなることは、果たして許されるのだろうか?
愛玩奴隷として雇われ、給与をいただく以上、それは許されないことのような気がするのに。
「りっ、律火、様……っ」
密着した体を剥がすように両手を突っぱった私は、火照る体の内側で騒ぐ心臓の音を感じながら、律火様のお顔を真っ直ぐに見た。
「落ち込む私を気遣って、こうして慰めて下さるお気持ちは嬉しく思います。ですが、このように私ばかり気持よくして頂くのでは私が申し訳なく……」
「何故?」
「何故って……」
そう問う律火様の琥珀色の大きな瞳が真っ直ぐに私を見つめていて、私はその美しさに息を飲む。
「日和さん、他人の手で気持ちいいことをされるのは苦手? それとも、気持ち良くなかったかな」
「いえ、そんなことは……ですが、主人を差し置いて私だけこんな……」
「ふふっ。日和さんは我が家の愛玩奴隷なんでしょう? なら、僕が日和さんを愛玩して、なぜ悪いの?」
律火様はそう仰って、ふわりと優しく微笑まれた。
「前のとこのルールなんて僕は知らない。日和さんはもうこの東條院家に来たんだから、君の事は僕らのやり方で可愛がる権利がある。違う?」
「あ……。ち、……違いません」
「でしょう?」
律火様はクスクス笑いながら、小さな子供にするように私の頭を撫でてくださった。
「なら僕は、可愛い日和さんが気持ち良さそうにしてる顔が見たい。出来れば気持ちいい時の声も。新たな主人である僕の願いを叶えてくれる?」
「あ……。が、頑張ります……!」
声も、と言われて少しだけ緊張したけれど、律火様はそんな私の考えを表情から読み取られたのだろう。
私の頬に軽くキスを落として、そのまま僅かに盛り上がる喉仏に口付けた。
「日和さんの声、僕は好きだけどな。ねぇ、日和さん。僕の名前、呼んで」
そのまま唇を滑らせた律火様は、私の胸元に顔を埋められた。チュッと乳首に吸いつかれて、甘噛みされる。
「律火さ……あっ、り、……っか、さ……」
優しい愛撫ばかりだった律火様がそこを噛まれると思わず、ドキンと心臓が高鳴る。舌先でくすぐるように舐められると、くすぐったさと快楽の入り交じったものが込み上げてきた。
「律火様……り、りっ……」
名前を呼びながら、私はその感覚に堪らず眉根を寄せていた。
「ふーん。くすぐったい時の声は出るんだね?」
「ちょ、律火様……あぁ、う……」
律火様はそう仰ったかと思うと、私をベッドへ優しく寝かせて下さった。
奴隷どころか、まるで宝物を扱うような手つきで私を撫でる律火様の手は、触れられるほどに私の理性を溶かす。
「今時、愛玩動物にだって愛護法があるんだよ。愛玩動物より愛玩奴隷の方が大事にされるのは当たり前。そうでしょう?」
「そ、そうでしょうか……」
「そうだよ。それに、どちらも可愛がるために傍に置く存在でしょ?」
律火様は楽しげにそう仰って、今度は私の下着へと手をかけられる。
「もっとも。動物と人間の違いは、こういう楽しみ方が出来ることだと思ってるけどね」
「???」
律火様はそう仰ると、布越しにやんわりと私の両足の間にある膨らみを撫でた。
律火様のしなやかな手は私のその形を確かめるようにゆっくりと往復して、時折悪戯に優しくそれを手の中に包む。
かと思えば、律火様のすべすべな掌は、中心から逸れて下腹、そしてへその辺りをさわさわと撫でる。
ホッと気を抜くと、途端にその手は中心に戻って半勃ちの茎を上下にしごいた。けれども長くは続かず、再び手は肝心の場所から離れてゆく。
そんなことが延々行われるのだから、私はもどかしくてたまらなかった。
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