元・愛玩奴隷は愛されとろけて甘く鳴き~二代目ご主人様は三兄弟~

唯月漣

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5)初めての試練?

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 だが愛玩奴隷としての面接なのだから、を確認なさりたいのは、当たり前と言えば当たり前で……。

 私はなおも震える両足を叱咤して、今度は床に膝をついた。詩月様へ恐る恐る尻を向けると、恥ずかしさに俯いてぎゅっと目を瞑る。


「もう。それじゃあ顔が見えないじゃない」
「も、申し訳ございません……」


 恥ずかしさから視線を背けることすら、私にはもう許されないらしい。私は四つん這いの体勢のまま詩月様を振り返って、彼の表情を窺った。
 
 彼は少しだけ微笑みを浮かべると、しばし私のを注視なさっているようだった。


「ねぇ。それ、もっと左右に広げて見せてよ」
「…………は……っ?」


 詩月様の次の指示に、私は頬ばかりか耳や額にまで血が上るほどの羞恥に苛まれる。だが詩月様はそれすらも楽しげに笑って、私を試すようにじっとこちらを見られていた。


「出来ない?」
「…………っ」


 私はきっと今、試されているのだ。
 どんな命令にも、きちんと従えるかどうかを。

 
「一度、前を向いても構いませんか?」
「うん、許す」
「ありがとうございます」


 私は詩月様の返事を聞いてから、肩と顎で体を支え直す。
 毛足の長い絨毯が鼻先をくすぐったが、私は構わずに詩月様に向かって尻を高くつき上げる体勢を取った。

 尻の丸みに震える手をかけると、その指は緊張でひんやりと冷たい。

 私は怖気づきそうになる自分を無理矢理封じ込めて、ゆっくりとその手を左右に開く。中心の窄まりが左右の肉に引っ張られて、恥ずかしいひだが伸びていくのが自分でも分かった。


「こ、こうでしょうか……?」


 蚊の鳴くような声で辛うじてそう言うと、背後で詩月様がソファーから立ち上がられる気配を感じてドキリとする。


「へぇ。元愛玩奴隷だなんていうから、さぞ使い込まれたでも出るかと思ったんだけど」
「たてわれ……ですか?」
「うん。でも、全然割れてないし、予想外にきれいなピンク」


 詩月様が称されたのは、恐らく私の性器周りの事だろう。

 いい年をして、いつまでも子供のように色素の薄いその場所。それは私にとって、なかなかのコンプレックスだった。


「申し訳ありません、私は元来色素の薄い性質のようでして。それに、実はその……」


 私は覚悟を決めて口を開きかけたが、それを遮ったのは詩月様だった。


「えっ、なんで謝るの? 処女みたいで可愛いじゃない。恥じらいもまだキチンと残っているようだし。そーいうスレてないトコ、僕はむしろ気に入ったよ」
「処女みたい……」
「兄さん達はどうか知らないけど、僕は君をウチで雇っても良いと思うな。面白くなりそうだし」
「!! ほ、本当ですか……!?」


 私は詩月様の言葉に思わず膝立ちになって問い返す。


「うん、ホント。あ、その代わり。ちょっと兄さん達には内緒の条件があるんだけど……いいかな」


 その後詩月様が私に伝えた『条件』に、私は恐る恐るコクリと頷いたのだった。

 

***
 

 
「ああ、無事に戻ってきたね」


 ドアの前で待っていてくれたらしい樫原さんが、寄りかかっていた壁から体を起こしながら笑った。
 
 私はペコリと彼に頭を下げて、詩月様に雇っても良いと言って頂けた事を伝えた。

 勿論、秘密の条件については自分の胸のうちだけに秘めておく。


「へぇ、驚いた。あの気紛れで警戒心の強い詩月様にそう言わせたんなら、半分合格みたいなもんだね。良かったじゃない」


 樫原さんに笑顔で背中を叩かれて、私はよく分からないままお礼を言って頭を下げる。


「……ときに、樫原さん。少しお聞きしたい事があるのですが、よろしいですか?」
「ボクに? うーん。まぁ、ボクに答えられることなら」
「ありがとうございます。あの、『縦割れ』とはなんの事でしょうか?」
「ぶふっ……!! ……は!?」
「その。先程詩月様に、『さぞ使い込まれたでも出るかと思った』と言われまして」


 私の言葉を聞いた樫原さんは、いきなり吹き出した。吹き出した拍子にむせたらしく、ケホケホと咳をしながら私を振り返る。


「キミ、性奴隷だった割になんにも知らないんだね?」
「な……っ!? 私は奴隷ではなく、奴隷ですっ」


 失礼な、と続けそうになった言葉を飲み込んで、私は自らを落ち着かせるべく、ふぅっと息を吐いた。
 
 樫原さんは私にそんなこだわりがあることに驚いた様子だったけれど、すぐに少し笑って「そっか。ゴメン、ゴメン」と謝ってくれる。
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