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どうすればどうすればどうすればどうすれば
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「オーガさんが居ると助かりますよ。僕はこの街に来て日が浅いので」
「あはは……そっか」
結論から言おう。
妖精ハーレム男ことスネアは善人だ。
それもドが付くほどの聖人。
泣いている子供の声が聞えて来れば即座に駆けつける。
困っている誰かの助けになる事を当たり前の様に行う。
複数の妖精を使役することで得た力は全て他人の幸せの為にベット出来る。
そんな男だった。
「あ、スイリュウこれ好きって言ってただろ。さっき貰ったからあげるよ」
「はわ~ありがとう」
スネアに付きまとう妖精達にも話を聞いてみた。
元々他の人間と行動を共にしていた妖精達がスネアに鞍替えしていると言う俺の予想も大方当たっている。
だけど、問題はその過程だ。
スネアに他人の妖精を奪い取ろうという意思が全く無いのだ。
妖精達が抱える問題を解決して、結果妖精達がスネアに惚れる。
だから鞍替えす。
そして、スネア自信も仲間となった妖精と真正面から向き合い中を深めていく。
あいつのハーレムはそうして出来上がっていた。
傍から見れば、完全に健全なハーレムだったのだ。
「あ、そうだオーガさん」
「なんだよ」
「次、機会があったらこれをデスちゃんに渡して上げて下さい。きっと喜びますよ」
そう言って、ドクロの意匠が彫られたペンダントを彼からこっそり渡された時、俺は心の中で恐怖を抱いた。
俺はデスと行動を共にしたこの長い期間、彼女にプレゼントなんて上げた事はあっただろうか?
彼女に気を利かせたエスコートなんてしたことがあるだろうか?
「にしてもオーガさんは凄いな。妖精がここまで大きくなるのは稀なんだそうですよ」
「そう……なのか」
「はい。デスさんと仲がいい証拠ですね!!」
「はは……どうだろうな」
妖精と一緒に暮らすものとして、人間として、男として、全てが彼に負けていると感じさせられる事ばかりだった。
「にしても、本当にオーガさんに会えてよかった。僕が今まで出会ってきた妖精使いは皆ロクな奴じゃなかったもんで。妖精を道具か何かだと勘違いしてるんですよ」
しかも、スネアは何故か俺の事を気に入っている。
初めて出来た善良な妖精使いの仲間だとかはしゃいでな。
だからなのか、行動を共にすることが増えていった。
デスはそのたびにスネアの連れている妖精達と談笑し、もちろんスネアとも話をする。
まだ彼女は俺の魔力を食べて生活してくれている。
だけど、デスがあっちに鞍替えすのも時間の問題んなんじゃないかって不安が日を追うごとに大きくなっていく。
だって、そもそもの人間のスペックとして俺は彼に負けている。
俺が持っているのは鍛えた筋肉だけだ。
スネアみたいに妖精が……いや、女性が喜ぶ所作なんて知りもしない。
なのに、スネアには妖精を魅惑するフェロモンを放つチート能力がある。
こんなの、デスがずっと俺の所に居てくれるなんて甘い希望を持つ方が歪んだ考えじゃないか。
今の俺からデスが居なくなったら……またあの死に怯える生活に逆戻りだ。
俺の筋トレをもう一度褒めてくれる人も。
俺のトラウマを慰めてくれる人も。
いつも当たり前の様に感じていた彼女も温もりも。
全部全部無くなってしまう。
それは……それだけは……嫌だ。
「オーガさん!!それにデスちゃんも!!今からギルドに行くんですが一緒にどうですか?」
そんな考え事をして居る最中、また奴の声が聞えてくる。
スネアに付きまとう妖精達の顔は、いつもにましてトロンとしている様な気がした。
きっとあいつの中にあるチート能力が活発にでもなっているのだろう。
「あぁスネア君。ちょうど私達も行くところだったんだ。オーガ、せっかくだから一緒に行かない?」
「……すまん。ちょっと体調悪いから近くの店でトイレ行ってくるわ」
逃げる様にしてその場を去ってしまった。
用もないのにトイレに入りながら考える。
何か俺の中にないか。
スネアに勝てる物は。
デスとこのままの関係で居られる秘策は。
「そんなのあったら……俺は今更こんな事」
『君の体から濃厚な死臭が溢れてたからさ、思わずここまで寄ってきちゃった』
「死臭……そう言えば、一番最初にデスと出会った時に」
君は何回死んだの?
そう問いかけられた事を覚えている。
俺が死ぬ度、彼女が好む死の匂いが体にへばりつくことも。
そして幸いにも、俺には死んでも生き返られる能力がある。
「ハァハァッハァハァッ」
非常に恐ろしい事を思いついてしまった。
俺が何度も自殺を繰り返せば、スネア放つフェロモンなんてかき消せるほどの死臭が染みつくんじゃないのか?
デスは死の妖精。
フェロモンなんかよりも死臭を優先するはずだ。
「ヒヒヒヒヒヒヒヒ」
死ぬのは怖い。
手が震えて、首に突き立てようとした剣が上手く刺さらない。
でも……デスがいる間なら、死んだ時に負ったトラウマも癒してくれるはずだ。
デスが俺の傍から居なくなったら、誰もそのトラウマを癒してはくれない。
どんな生活をしていたって、死神はすぐ隣で待機しているというのに。
だったら。
だったらここで!!
デスが満足する死臭を付けるまで何度でも死んでやる。
「ああ。ああ!!うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
震える心を抑える為の奇声を上げる。
他の誰かが助けに入るその前に、俺は自分の首を切る事に成功した。
「あはは……そっか」
結論から言おう。
妖精ハーレム男ことスネアは善人だ。
それもドが付くほどの聖人。
泣いている子供の声が聞えて来れば即座に駆けつける。
困っている誰かの助けになる事を当たり前の様に行う。
複数の妖精を使役することで得た力は全て他人の幸せの為にベット出来る。
そんな男だった。
「あ、スイリュウこれ好きって言ってただろ。さっき貰ったからあげるよ」
「はわ~ありがとう」
スネアに付きまとう妖精達にも話を聞いてみた。
元々他の人間と行動を共にしていた妖精達がスネアに鞍替えしていると言う俺の予想も大方当たっている。
だけど、問題はその過程だ。
スネアに他人の妖精を奪い取ろうという意思が全く無いのだ。
妖精達が抱える問題を解決して、結果妖精達がスネアに惚れる。
だから鞍替えす。
そして、スネア自信も仲間となった妖精と真正面から向き合い中を深めていく。
あいつのハーレムはそうして出来上がっていた。
傍から見れば、完全に健全なハーレムだったのだ。
「あ、そうだオーガさん」
「なんだよ」
「次、機会があったらこれをデスちゃんに渡して上げて下さい。きっと喜びますよ」
そう言って、ドクロの意匠が彫られたペンダントを彼からこっそり渡された時、俺は心の中で恐怖を抱いた。
俺はデスと行動を共にしたこの長い期間、彼女にプレゼントなんて上げた事はあっただろうか?
彼女に気を利かせたエスコートなんてしたことがあるだろうか?
「にしてもオーガさんは凄いな。妖精がここまで大きくなるのは稀なんだそうですよ」
「そう……なのか」
「はい。デスさんと仲がいい証拠ですね!!」
「はは……どうだろうな」
妖精と一緒に暮らすものとして、人間として、男として、全てが彼に負けていると感じさせられる事ばかりだった。
「にしても、本当にオーガさんに会えてよかった。僕が今まで出会ってきた妖精使いは皆ロクな奴じゃなかったもんで。妖精を道具か何かだと勘違いしてるんですよ」
しかも、スネアは何故か俺の事を気に入っている。
初めて出来た善良な妖精使いの仲間だとかはしゃいでな。
だからなのか、行動を共にすることが増えていった。
デスはそのたびにスネアの連れている妖精達と談笑し、もちろんスネアとも話をする。
まだ彼女は俺の魔力を食べて生活してくれている。
だけど、デスがあっちに鞍替えすのも時間の問題んなんじゃないかって不安が日を追うごとに大きくなっていく。
だって、そもそもの人間のスペックとして俺は彼に負けている。
俺が持っているのは鍛えた筋肉だけだ。
スネアみたいに妖精が……いや、女性が喜ぶ所作なんて知りもしない。
なのに、スネアには妖精を魅惑するフェロモンを放つチート能力がある。
こんなの、デスがずっと俺の所に居てくれるなんて甘い希望を持つ方が歪んだ考えじゃないか。
今の俺からデスが居なくなったら……またあの死に怯える生活に逆戻りだ。
俺の筋トレをもう一度褒めてくれる人も。
俺のトラウマを慰めてくれる人も。
いつも当たり前の様に感じていた彼女も温もりも。
全部全部無くなってしまう。
それは……それだけは……嫌だ。
「オーガさん!!それにデスちゃんも!!今からギルドに行くんですが一緒にどうですか?」
そんな考え事をして居る最中、また奴の声が聞えてくる。
スネアに付きまとう妖精達の顔は、いつもにましてトロンとしている様な気がした。
きっとあいつの中にあるチート能力が活発にでもなっているのだろう。
「あぁスネア君。ちょうど私達も行くところだったんだ。オーガ、せっかくだから一緒に行かない?」
「……すまん。ちょっと体調悪いから近くの店でトイレ行ってくるわ」
逃げる様にしてその場を去ってしまった。
用もないのにトイレに入りながら考える。
何か俺の中にないか。
スネアに勝てる物は。
デスとこのままの関係で居られる秘策は。
「そんなのあったら……俺は今更こんな事」
『君の体から濃厚な死臭が溢れてたからさ、思わずここまで寄ってきちゃった』
「死臭……そう言えば、一番最初にデスと出会った時に」
君は何回死んだの?
そう問いかけられた事を覚えている。
俺が死ぬ度、彼女が好む死の匂いが体にへばりつくことも。
そして幸いにも、俺には死んでも生き返られる能力がある。
「ハァハァッハァハァッ」
非常に恐ろしい事を思いついてしまった。
俺が何度も自殺を繰り返せば、スネア放つフェロモンなんてかき消せるほどの死臭が染みつくんじゃないのか?
デスは死の妖精。
フェロモンなんかよりも死臭を優先するはずだ。
「ヒヒヒヒヒヒヒヒ」
死ぬのは怖い。
手が震えて、首に突き立てようとした剣が上手く刺さらない。
でも……デスがいる間なら、死んだ時に負ったトラウマも癒してくれるはずだ。
デスが俺の傍から居なくなったら、誰もそのトラウマを癒してはくれない。
どんな生活をしていたって、死神はすぐ隣で待機しているというのに。
だったら。
だったらここで!!
デスが満足する死臭を付けるまで何度でも死んでやる。
「ああ。ああ!!うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
震える心を抑える為の奇声を上げる。
他の誰かが助けに入るその前に、俺は自分の首を切る事に成功した。
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