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彼女との生活
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「おぉ……まさか私がここまで大きくなれるとは」
デスと行動を共にして1年が立った。
彼女は俺の魔力を糧にし、ぐんぐんと体を成長させた。
今やその体躯は人間のそれと変わらない。
「オーガの魔力がここまで私を大きくしてくれたんだね」
「気色悪い事言うなよ」
1年経ってもこいつの印象は変わらない。
俺のトラウマである『死』と言う現状を好むイカレた妖精。
嫌な所なんていくらでも言えるさ。
例えばそう、俺は死にたくないのに何故か危険なモンスターの討伐に駆り出される。
モンスターの死体なんか見たくもないのに、デスが長々と見つめるもんだから帰れやしない。
『ねぇ聞いた?ギルドから特別な報酬が貰えるみたいだよ?私はドラゴンの死をまじかで見れただけでお腹一杯だって言うのに太っ腹だよね』
『こんな小さな村でもさ、英雄って呼ばれる気分は悪く無いんじゃない?』
ま、まぁ、たまにデスが勝手に持ってきた依頼を受けて良かったと思う時もあるけど。
で、でも寝るときも俺にピッタリ張り付いて死の匂いをー
『寝るのが怖いの?大丈夫だよ、睡眠中の君からは死の匂いが香らないから。仮に悪夢を見たとしたってそれは幻だよ。そう言う時は私の名前を呼んで、夢の中へ助けに行ってあげるから』
いや……寝るときは別に良いか。
そこまで不快じゃなくなった。
それじゃぁ、アレだ。
いつも俺の筋トレ中にちょっかいをー
『また自分の信じていた物が通用しなくなるのが怖い?何言ってるの、君が続けてきた筋トレのお陰で私の妖精剣は真価を発揮できてるんだよ』
『ドラゴンを倒せたのだって、その鍛えられた筋肉で妖精剣をドラゴンの腹に刺したからでしょ。オーガの頑張りは、無駄になんかなってないんだよ』
……
……
……
「なぁ、お前って人間の食べ物は喰えるのか?」
「まぁ味を感じるだけで栄養は取れないけど、一応」
「なら、何か美味い物でも食べに行こう」
まぁ、俺が今まともな生活が出来ているのも、『リスポーン』のせいで得たトラウマの影響が少なくなっているのも、全てデスが居てくれるお陰であるのは間違いない。
たまには美味しい物ぐらい食べさせてやるのも良いだろう。
「もしかしてお祝いしてくれるの?」
「違う。俺がそう言う気分になっただけだ」
「素直じゃないなぁ。ま、そう言う事にしておいてあげるよ」
デスはニマニマと笑いながら俺の瞳を見つめていた。
肉か魚が食べたい、野菜は食べたくない、なんて子供の様な事を言う彼女を連れて町へと歩いた。
デスがシュルリと手を繋いだ。
前世でいう所の恋人つなぎと言う奴だ。
「何を言っても放してあげないよ」
彼女がこういう表情をする時は意地でも意見を曲げない。
俺は仕方なくこの態勢のまま町を目指した。
なんだか今日は、少し心の余裕を感じる一日だった様な気がするな。
デスと行動を共にして1年が立った。
彼女は俺の魔力を糧にし、ぐんぐんと体を成長させた。
今やその体躯は人間のそれと変わらない。
「オーガの魔力がここまで私を大きくしてくれたんだね」
「気色悪い事言うなよ」
1年経ってもこいつの印象は変わらない。
俺のトラウマである『死』と言う現状を好むイカレた妖精。
嫌な所なんていくらでも言えるさ。
例えばそう、俺は死にたくないのに何故か危険なモンスターの討伐に駆り出される。
モンスターの死体なんか見たくもないのに、デスが長々と見つめるもんだから帰れやしない。
『ねぇ聞いた?ギルドから特別な報酬が貰えるみたいだよ?私はドラゴンの死をまじかで見れただけでお腹一杯だって言うのに太っ腹だよね』
『こんな小さな村でもさ、英雄って呼ばれる気分は悪く無いんじゃない?』
ま、まぁ、たまにデスが勝手に持ってきた依頼を受けて良かったと思う時もあるけど。
で、でも寝るときも俺にピッタリ張り付いて死の匂いをー
『寝るのが怖いの?大丈夫だよ、睡眠中の君からは死の匂いが香らないから。仮に悪夢を見たとしたってそれは幻だよ。そう言う時は私の名前を呼んで、夢の中へ助けに行ってあげるから』
いや……寝るときは別に良いか。
そこまで不快じゃなくなった。
それじゃぁ、アレだ。
いつも俺の筋トレ中にちょっかいをー
『また自分の信じていた物が通用しなくなるのが怖い?何言ってるの、君が続けてきた筋トレのお陰で私の妖精剣は真価を発揮できてるんだよ』
『ドラゴンを倒せたのだって、その鍛えられた筋肉で妖精剣をドラゴンの腹に刺したからでしょ。オーガの頑張りは、無駄になんかなってないんだよ』
……
……
……
「なぁ、お前って人間の食べ物は喰えるのか?」
「まぁ味を感じるだけで栄養は取れないけど、一応」
「なら、何か美味い物でも食べに行こう」
まぁ、俺が今まともな生活が出来ているのも、『リスポーン』のせいで得たトラウマの影響が少なくなっているのも、全てデスが居てくれるお陰であるのは間違いない。
たまには美味しい物ぐらい食べさせてやるのも良いだろう。
「もしかしてお祝いしてくれるの?」
「違う。俺がそう言う気分になっただけだ」
「素直じゃないなぁ。ま、そう言う事にしておいてあげるよ」
デスはニマニマと笑いながら俺の瞳を見つめていた。
肉か魚が食べたい、野菜は食べたくない、なんて子供の様な事を言う彼女を連れて町へと歩いた。
デスがシュルリと手を繋いだ。
前世でいう所の恋人つなぎと言う奴だ。
「何を言っても放してあげないよ」
彼女がこういう表情をする時は意地でも意見を曲げない。
俺は仕方なくこの態勢のまま町を目指した。
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