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プロローグ
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「大丈夫。大丈夫だよ」
「あ……あぁ」
「私は遠くに行かないからね」
優しく頭を撫でられる。
鼻に突くのは強烈な胃酸の匂いと、鉄臭い血の匂い。
「ごめんなさい……ごめんなさい」
「大丈夫。私は気にして無いよ」
俺の頭を撫でているのは一人の妖精だった。
妖精と言っても、その大きさは人間サイズだ。
彼女の小枝のような細い腕が、丸太の様な俺の体を優しく包む。
顔面からゲロを被った彼女の顔は酷く優しくて、俺の目には聖女の様に映った。
「口で言ってもさ、きっとオーガは気にしちゃうでしょ?」
「……」
彼女のその問いかけに答える事は出来なかった。
ほんの少しでも自分の気持ちを口に出したら洪水の様に流れてしまいそうだったから。
もう自分のメンタルが耐えられそうにない。
「だからさ、私と本契約しようよ」
「本……契約?」
「そう。妖精と契約者がず~~~っと一緒になる縛り。喧嘩をしても、仮に他の人を後で好きになったとしても、どっちかが死んだとしても。永遠に一緒」
そう言って彼女は一つの短剣を生成した。
これさえあれば……彼女は永遠に俺の物。
その言葉がずっと脳内でリフレインする。
「最初に会った時は私を見ては怯えてたっけ?もう懐かしいね」
彼女はゆっくりと俺の体を離し、その短剣を手に持つ。
そうして、うっとりとした表情で俺の事を見つめていた。
「そんな君が、今や私が居ないと碌に生きていけなくなってるんだもん。人生何が起こるか分からないね」
たった半年の話だ。
俺の狂っていた人生は彼女のお陰で大きく矯正された。
「でも……私は今のオーガの方が好きだよ」
確か……そう。
初めて会ったのは薄暗い物置部屋。
まだ彼女が人並の妖精レベルに小さくて、俺が異世界に来てまで引きこもりを続けていたあの日の事だった。
「あ……あぁ」
「私は遠くに行かないからね」
優しく頭を撫でられる。
鼻に突くのは強烈な胃酸の匂いと、鉄臭い血の匂い。
「ごめんなさい……ごめんなさい」
「大丈夫。私は気にして無いよ」
俺の頭を撫でているのは一人の妖精だった。
妖精と言っても、その大きさは人間サイズだ。
彼女の小枝のような細い腕が、丸太の様な俺の体を優しく包む。
顔面からゲロを被った彼女の顔は酷く優しくて、俺の目には聖女の様に映った。
「口で言ってもさ、きっとオーガは気にしちゃうでしょ?」
「……」
彼女のその問いかけに答える事は出来なかった。
ほんの少しでも自分の気持ちを口に出したら洪水の様に流れてしまいそうだったから。
もう自分のメンタルが耐えられそうにない。
「だからさ、私と本契約しようよ」
「本……契約?」
「そう。妖精と契約者がず~~~っと一緒になる縛り。喧嘩をしても、仮に他の人を後で好きになったとしても、どっちかが死んだとしても。永遠に一緒」
そう言って彼女は一つの短剣を生成した。
これさえあれば……彼女は永遠に俺の物。
その言葉がずっと脳内でリフレインする。
「最初に会った時は私を見ては怯えてたっけ?もう懐かしいね」
彼女はゆっくりと俺の体を離し、その短剣を手に持つ。
そうして、うっとりとした表情で俺の事を見つめていた。
「そんな君が、今や私が居ないと碌に生きていけなくなってるんだもん。人生何が起こるか分からないね」
たった半年の話だ。
俺の狂っていた人生は彼女のお陰で大きく矯正された。
「でも……私は今のオーガの方が好きだよ」
確か……そう。
初めて会ったのは薄暗い物置部屋。
まだ彼女が人並の妖精レベルに小さくて、俺が異世界に来てまで引きこもりを続けていたあの日の事だった。
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