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プロローグ 女神との出会い(前半)
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「くそ!俺はこんなところで」
俺は自分の腹部から垂れている血を左手で抑えながら一人森の中で叫んでいた。
まさか下級の討伐任務に出かけて死にかけるとは夢にも思ってはいなかった。
討伐対象であった3体の狼型のモンスターはまるで弱い獲物を見るような目でこちらを見ている。
「そんな目で……俺のことを見るなぁ!!」
俺は一心不乱にそう叫んで銅の剣を振り回す。自分のやりたいことを我慢して長い間修行したうえ何とか身に着けた剣技を繰り出す。
「剣技:乱舞!!」
周りの木々を巻き込みながらモンスターたちを斬るはずだったその剣は宙を切り裂き……
「Gouuuuuuu」
「ガハァッ」
その代わり無防備になった俺の背中にモンスターたちの爪による斬撃が炸裂する。その衝撃で地面に倒れてしまった俺はパニックになってろくに動けなくなっていた。
どうしてこうなってしまったのだろう?こういう状況になった時の対処法を何度も冒険者ギルドの資料で見ていたはずなのに、俺の頭の中は真っ白で何の解決法も出してはくれなかった。
もうろうとしていく意識の中で俺の頭に浮かんだ後悔は、英雄になるなんて馬鹿な夢を見るんじゃなかったということだった。
同年代の冒険者が次々と強くなって町の皆から期待されていく中、俺だけがずっと弱かった。
弱いままの自分が嫌で、子供のころからの夢をかなえるために死ぬほど努力して、ようやく手に入れた初めての討伐依頼でこのざまだ。
気付けば俺は震える声で叫んでいた。
「いやだなぁ……俺だってもっと活躍したかった……どうして俺だけこんなに報われないんだよ!!こんな人生うんざりだ!!」
俺は視野が狭くなっていく思考の中、吐いて捨てるように叫んでいた。
しかし、そんな独り言にモンスターたちはどうも無関心のようで俺の息の根を止めようと襲い掛かってくる。
「誰か……たすけ……て」
俺がそう叫んだ瞬間だった。
「GUaaaaaaaaaa?!」
目の前のモンスターたちが急に赤く発光し始めて苦しみ始めている。
「これは一体?」
俺がこの状況を確認しようと体を起こすと、何か奇妙な音楽が聞こえてくる。
力図良く、拍を刻む重低音とそのリズムに合わせるように鳴り響くオルゴールの音。
その奇妙な音楽は時間がたつにつれドンドン音量が大きくなってゆき、テンポも速くなってゆく。
そしてそのたびにモンスターたちの身体は強く発光し、苦しんでいた。
一体何が起きたのか分からず混乱していると、俺の頭上から女性の独り言が聞こえてくる。
「やっぱり、助けを求めている人を無視するなんてできないよ。それが例えこの私の行為が世界の方針に反していたとしても、これで私の身体が朽ちようとも」
俺は声のした方向に目線を向ける。
するとそこには背中に黒い羽を生やした少女が真っ黒なオーラを放ちながら空からこちらに降りてきている。
彼女は一瞬こちらを見ると、ふっと優しい笑顔を浮かべて声を張り上げた
「絶体絶命な状況で必死に助けを求めるあなたに、気まぐれで自由な神、マキナが刺激的でスペシャルな結末をプレゼント☆」
彼女は無邪気な子供のように、うきうきとした声で奇妙な音楽に合わせながら言った。
「それでは張り切っていきましょう、心がおどるハッピーエンドタイムを!!」
「Guaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!」
次の瞬間、三体のモンスターの身体は奇妙な音楽に合わせながら点滅するように光ってゆき……例の音楽が終わるタイミングに合わせて巨大な音を立てながら派手に爆発した。
間近でそれを見ていた俺はただ一言……その光景が美しいと呆然と感じていた。
俺は自分の腹部から垂れている血を左手で抑えながら一人森の中で叫んでいた。
まさか下級の討伐任務に出かけて死にかけるとは夢にも思ってはいなかった。
討伐対象であった3体の狼型のモンスターはまるで弱い獲物を見るような目でこちらを見ている。
「そんな目で……俺のことを見るなぁ!!」
俺は一心不乱にそう叫んで銅の剣を振り回す。自分のやりたいことを我慢して長い間修行したうえ何とか身に着けた剣技を繰り出す。
「剣技:乱舞!!」
周りの木々を巻き込みながらモンスターたちを斬るはずだったその剣は宙を切り裂き……
「Gouuuuuuu」
「ガハァッ」
その代わり無防備になった俺の背中にモンスターたちの爪による斬撃が炸裂する。その衝撃で地面に倒れてしまった俺はパニックになってろくに動けなくなっていた。
どうしてこうなってしまったのだろう?こういう状況になった時の対処法を何度も冒険者ギルドの資料で見ていたはずなのに、俺の頭の中は真っ白で何の解決法も出してはくれなかった。
もうろうとしていく意識の中で俺の頭に浮かんだ後悔は、英雄になるなんて馬鹿な夢を見るんじゃなかったということだった。
同年代の冒険者が次々と強くなって町の皆から期待されていく中、俺だけがずっと弱かった。
弱いままの自分が嫌で、子供のころからの夢をかなえるために死ぬほど努力して、ようやく手に入れた初めての討伐依頼でこのざまだ。
気付けば俺は震える声で叫んでいた。
「いやだなぁ……俺だってもっと活躍したかった……どうして俺だけこんなに報われないんだよ!!こんな人生うんざりだ!!」
俺は視野が狭くなっていく思考の中、吐いて捨てるように叫んでいた。
しかし、そんな独り言にモンスターたちはどうも無関心のようで俺の息の根を止めようと襲い掛かってくる。
「誰か……たすけ……て」
俺がそう叫んだ瞬間だった。
「GUaaaaaaaaaa?!」
目の前のモンスターたちが急に赤く発光し始めて苦しみ始めている。
「これは一体?」
俺がこの状況を確認しようと体を起こすと、何か奇妙な音楽が聞こえてくる。
力図良く、拍を刻む重低音とそのリズムに合わせるように鳴り響くオルゴールの音。
その奇妙な音楽は時間がたつにつれドンドン音量が大きくなってゆき、テンポも速くなってゆく。
そしてそのたびにモンスターたちの身体は強く発光し、苦しんでいた。
一体何が起きたのか分からず混乱していると、俺の頭上から女性の独り言が聞こえてくる。
「やっぱり、助けを求めている人を無視するなんてできないよ。それが例えこの私の行為が世界の方針に反していたとしても、これで私の身体が朽ちようとも」
俺は声のした方向に目線を向ける。
するとそこには背中に黒い羽を生やした少女が真っ黒なオーラを放ちながら空からこちらに降りてきている。
彼女は一瞬こちらを見ると、ふっと優しい笑顔を浮かべて声を張り上げた
「絶体絶命な状況で必死に助けを求めるあなたに、気まぐれで自由な神、マキナが刺激的でスペシャルな結末をプレゼント☆」
彼女は無邪気な子供のように、うきうきとした声で奇妙な音楽に合わせながら言った。
「それでは張り切っていきましょう、心がおどるハッピーエンドタイムを!!」
「Guaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!」
次の瞬間、三体のモンスターの身体は奇妙な音楽に合わせながら点滅するように光ってゆき……例の音楽が終わるタイミングに合わせて巨大な音を立てながら派手に爆発した。
間近でそれを見ていた俺はただ一言……その光景が美しいと呆然と感じていた。
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