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最終章 罰
【始SIDE】汝は友を売るか?
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「あいつを‥‥‥殺す?」
「せや。君達に近づいたのは牛草に関する情報を掴むためやったって事や」
バタリ、バタリと刑事さん達が倒れていく。
倒れた刑事さんの体からうっすらと青い光を帯びた球体が浮かび上がっている。
まるで魂の様にも見えるその球体は、ふわりとヘルちゃんの方へ引き寄せられていく。
そして彼女は、その魂をいとも簡単に飲み込んでしまった。
いつも小動物みたいに振る舞っていたヘルちゃんがこの時ばかりは獰猛な肉食獣みたいに見える。
「超能力使える優秀な刑事さんもこの有様や。状況を支配してるのは僕達やって事、理解してくれたかな?」
「もしかして俺達、今脅されてる感じか?」
「難しい事言うつもりは無いで。君達にやってもらうことは一緒や。僕達と一緒に牛草君を探す、それだけの簡単な仕事」
それで見つけたらあいつが殺されるじゃねーか。
しかもおまけに大量の幽霊達が俺と斬琉ちゃんを監視してやがる。
ヘルちゃんは人の魂を食べる度になんか強くなってる感じがビリビリと伝わってくる。
ただでさえ絶望的な相手に囲まれているのに、場所が走行中の新幹線の中ってのが余計に悪い。
逃げ場がどこにも無い。
「‥‥‥一ノ瀬さん、人殺しなんて良くないですよ。一旦落ち着いて考えてく下さいって」
「まぁ、この状況になったら説得するしか無いよなぁ。でも残念、僕は根っからの悪人や」
瞬間、強く首を掴まれる感覚があった。
2体ほどの幽霊が俺の首を締めている。
「あ‥‥‥‥つぁぁ」
「僕は人間全員悪やと思っとる。いわゆる性悪説って奴を信じてるんや。君が何を言ったところで僕の心は動かせんで」
「く‥‥‥くそッ」
「自分の立場はよう分かったやろ。君はただ黙って僕たちの要望を聞いてればええんや」
「‥‥‥‥いや‥‥‥‥それは出来ない」
「は?」
一ノ瀬さんの声に合わせて幽霊たちが首を締めつける力も強くなる。
これで一ノ瀬さんがずっと笑顔なのもめちゃくちゃ怖い。
でも、あの人の提案には絶対に乗れない。
「どこの世界に親友を見殺しに出来る人間が居るんだよ」
「世の中探せばいっぱいおるでそんな奴ら。まして君は親友だった牛草君の記憶ほとんど忘れとるんやろ?その上自分の命もかかってる。こんな状況になったらまっさきに友人を裏切るのが人間って生き物や」
「‥‥‥たとえあんたが見てきた人達が皆そうだったとしても、俺は違う。頭の片隅に残ってるあいつの記憶が今もこうやって俺を奮い立たせてる!!」
幽霊達の力がもっと強くなる。
もう意識も朦朧としてきて声を出すことも出来ない。
「そんなくだらん答え、やっぱり僕にはちっとも届かんな」
一ノ瀬さんの笑顔がふっと消える。
そんな彼の変化は俺に強い絶望感を与えるのにはあまりにも的確で、頭の中には明確な自分の死が浮かび上がっていた。
「そうかな?少なくとも『僕』には結構響いたけど?」
そんな死の自覚を木っ端微塵に壊してくれたのは、幽霊達を一層した一閃の雷だった。
「それに『私』としては始っちが居ないと困るんだよね」
朦朧としていた俺の視界に写ったのは、両手がビリビリと電気をまとっている斬琉ちゃんの姿。
なんか髪の毛も虹がグラデーションしたみたいな色になってる。
「斬琉ちゃん??」
「にしても痺れたよねぇ。あそこでおにぃを助ける方を選べるなんて流石始っち!!」
「い、いやいやいや。そんな事よりさっきの雷は一体何??」
「ああそれ?実は魔法が使えるの。皆には内緒ね」
次から次へと非現実的な真実が。
流石に超展開の連続すぎて俺の脳もついていけないんだけど。
つーかもう変なテンションになりそう。
「あ、心配しなくても大丈夫だよ。今の『僕』は始っちの味方だからさ」
「今はって何??いつかは敵になるって事?!」
「ま~ま、落ち付いて。とりあえずこの状況をどうにかするのが先でしょ?」
さらっと言った斬琉ちゃんは軽い身のこなしで一ノ瀬さんと対峙する。
「あんなエセ霊媒師野郎なんか『この体』の力で軽くひねって上げるからさ」
「せや。君達に近づいたのは牛草に関する情報を掴むためやったって事や」
バタリ、バタリと刑事さん達が倒れていく。
倒れた刑事さんの体からうっすらと青い光を帯びた球体が浮かび上がっている。
まるで魂の様にも見えるその球体は、ふわりとヘルちゃんの方へ引き寄せられていく。
そして彼女は、その魂をいとも簡単に飲み込んでしまった。
いつも小動物みたいに振る舞っていたヘルちゃんがこの時ばかりは獰猛な肉食獣みたいに見える。
「超能力使える優秀な刑事さんもこの有様や。状況を支配してるのは僕達やって事、理解してくれたかな?」
「もしかして俺達、今脅されてる感じか?」
「難しい事言うつもりは無いで。君達にやってもらうことは一緒や。僕達と一緒に牛草君を探す、それだけの簡単な仕事」
それで見つけたらあいつが殺されるじゃねーか。
しかもおまけに大量の幽霊達が俺と斬琉ちゃんを監視してやがる。
ヘルちゃんは人の魂を食べる度になんか強くなってる感じがビリビリと伝わってくる。
ただでさえ絶望的な相手に囲まれているのに、場所が走行中の新幹線の中ってのが余計に悪い。
逃げ場がどこにも無い。
「‥‥‥一ノ瀬さん、人殺しなんて良くないですよ。一旦落ち着いて考えてく下さいって」
「まぁ、この状況になったら説得するしか無いよなぁ。でも残念、僕は根っからの悪人や」
瞬間、強く首を掴まれる感覚があった。
2体ほどの幽霊が俺の首を締めている。
「あ‥‥‥‥つぁぁ」
「僕は人間全員悪やと思っとる。いわゆる性悪説って奴を信じてるんや。君が何を言ったところで僕の心は動かせんで」
「く‥‥‥くそッ」
「自分の立場はよう分かったやろ。君はただ黙って僕たちの要望を聞いてればええんや」
「‥‥‥‥いや‥‥‥‥それは出来ない」
「は?」
一ノ瀬さんの声に合わせて幽霊たちが首を締めつける力も強くなる。
これで一ノ瀬さんがずっと笑顔なのもめちゃくちゃ怖い。
でも、あの人の提案には絶対に乗れない。
「どこの世界に親友を見殺しに出来る人間が居るんだよ」
「世の中探せばいっぱいおるでそんな奴ら。まして君は親友だった牛草君の記憶ほとんど忘れとるんやろ?その上自分の命もかかってる。こんな状況になったらまっさきに友人を裏切るのが人間って生き物や」
「‥‥‥たとえあんたが見てきた人達が皆そうだったとしても、俺は違う。頭の片隅に残ってるあいつの記憶が今もこうやって俺を奮い立たせてる!!」
幽霊達の力がもっと強くなる。
もう意識も朦朧としてきて声を出すことも出来ない。
「そんなくだらん答え、やっぱり僕にはちっとも届かんな」
一ノ瀬さんの笑顔がふっと消える。
そんな彼の変化は俺に強い絶望感を与えるのにはあまりにも的確で、頭の中には明確な自分の死が浮かび上がっていた。
「そうかな?少なくとも『僕』には結構響いたけど?」
そんな死の自覚を木っ端微塵に壊してくれたのは、幽霊達を一層した一閃の雷だった。
「それに『私』としては始っちが居ないと困るんだよね」
朦朧としていた俺の視界に写ったのは、両手がビリビリと電気をまとっている斬琉ちゃんの姿。
なんか髪の毛も虹がグラデーションしたみたいな色になってる。
「斬琉ちゃん??」
「にしても痺れたよねぇ。あそこでおにぃを助ける方を選べるなんて流石始っち!!」
「い、いやいやいや。そんな事よりさっきの雷は一体何??」
「ああそれ?実は魔法が使えるの。皆には内緒ね」
次から次へと非現実的な真実が。
流石に超展開の連続すぎて俺の脳もついていけないんだけど。
つーかもう変なテンションになりそう。
「あ、心配しなくても大丈夫だよ。今の『僕』は始っちの味方だからさ」
「今はって何??いつかは敵になるって事?!」
「ま~ま、落ち付いて。とりあえずこの状況をどうにかするのが先でしょ?」
さらっと言った斬琉ちゃんは軽い身のこなしで一ノ瀬さんと対峙する。
「あんなエセ霊媒師野郎なんか『この体』の力で軽くひねって上げるからさ」
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