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14.慰められるなら Side ヴィム ※
しおりを挟むSide ヴィム
俺に抱き付き、助けてというように肩に顔を埋めるシュロに頬ずりする。すぐに抱きたいけど、シュロの体を傷付けないほうが大事だ。
「うん。手を洗ってくるから待ってて」
「私も洗う」
2人で手を洗い、裸になって寝転んだ。
心細そうな、途方に暮れたような表情で俺を見上げるシュロに覆い被さって抱きしめた。シュロは黙って、俺を抱きしめ返す。
初めて見るシュロのそんな顔に自分の勘違いを知った。
こんなとこで1人、迷子になって不安にならないわけないのに。そんな素振りみせないで、必死だったんだろう。そんなことないって言ってたけど、俺たちとの関係も不本意だったのかもしれない。そうだった、俺も最初はシュロを脅してると思って後ろめたかった。なんで忘れちゃったんだろ。笑ってくれるからっていい気になってた。
ごめんね、シュロ。ごめん。でも離したくない。
こうして抱き付いてくるのは、少しだけでも気持ちを許してくれたと思っていい?
シュロの腕についた痣をそっと撫でた。アイツらへの冷たい怒りが満ちる。兄貴のつけた匂いの中に、まだ薄く残るオオカミの匂い。それを取り除くために、丁寧に舐めまわした。
「……ごめんね、シュロ。遅くなって」
「ううん、急いでくれたんでしょ。ありがと。嬉しかった」
「……シュロを守るのは俺たちの役目なんだ」
俺たちがいてほしいんだから。なのに守れもしない。
何年かに一度、近くで魔獣が大量発生すると俺たちを招集しに管理官がやってくる。めったにないことだけど、考えておかなきゃいけなかった。俺たちの落ち度だ。
シュロの柔らかい腕を撫でてたら、小さな手で俺の頬を挟んで、目を合わせた。
「怖かったから、抱いて。ね、ヴィム、お願い」
笑ってるのに消えてしまいそうで、胸が痛む。
「お願いしなくたって、俺はいつでも抱きたいよ」
ペロリと頬を舐めたら甘い声で小さく笑うから、泣きそうになった。
口を合わせて俺たちにはない柔らかな唇を食む。吐息が漏れる口に角度を変えて深く重ねた。舌を入り込ませて歯茎をスルリと撫でる。舌の裏をチロチロくすぐれば、息をこぼして俺にしがみつく手に力が入った。
胸の上に手を置いて柔らかく撫でまわす。かたくなった乳首に、手の平で円を描くようにふれた。
シュロはいつもより敏感に反応して体を捩る。それは、毛を逆立てて怯えるケモノが少しの刺激でも噛み付いてくるのに似てた。
乳房を両手で寄せて、乳首をいっぺんにねぶる。シュロは俺の頭を細い指で掻きまわしながら、魚のように体をしならせて跳ねた。
物欲しげに揺れる腰にまたがり、シュロの敏感な粒へ俺の先っぽを当てて小刻みに揺らす。
「あっあっ、ヴィム、はっ、んーー、アァアっ」
悩まし気な声に嬌声が混じり、シュロの動きが擦り付けるものに変わる。乳首を舐める俺の肩に掴まり、足を突っ張って叫び声をあげた。
荒い息が落ち着くと、シュロはまぶたをあけて俺を見た。潤んでるその目で、俺を見ていてほしい。この先もずっと。
指で濡れた窪みを掻きまわすと、目を閉じて息を吐いた。
足を割り開き、尻まで垂れた溢れた蜜を指で拭って舐める。ヒクついてるメス穴に硬くなったチンポを根元までゆっくり沈めてから、シュロを抱きしめた。
「シュロ、これからは1人にしない。1日中一緒にいる」
「……仕事は?」
「シュロにも手伝ってもらおうかな」
俺が笑ってみせるとシュロも笑った。
「役に立たないよ」
「木の実は取れるよね」
「たぶん」
「大丈夫、教えるから。もともと、俺1人じゃたいして動けないんだ。兄さんたちが戻るまでゆっくりやろう」
「邪魔じゃない?」
「1人で昼ごはん食べるよりずっといい。休憩時間にいいことできるし」
腰を軽く動かしながら言ったら、悪戯っぽく笑い返す。
「長い休憩になりそう」
「うん。今日も夜まで休憩」
「ふふ」
シュロの腕が俺の首に回り、唇が触れる。ゆっくり腰を動かしながら舌を絡ませ合った。ヌルヌルと触れ合えば下半身の疼きが強くなる。
シュロの肩から腰へのなだらかな線を手で辿り、お尻を揉んだ。いやいやするように揺らして、声をこぼす。腰を強く押し付けたまま短い間隔で動かせば、中がキュウキュウ吸い付いてきた。
「あっ、シュロ、すごくいい。いい、シュロっ、良すぎる。たまらない」
「ん、ヴィム、あぁ、ね、もっと、気持ちいい」
お互いに腰を押し付け合って擦り付け合う。お互いを求め合って欲しがってる。
こんなときなのに俺は酷く興奮してした。シュロに求められる嬉しさで喉が鳴ってしまう。
「シュロ、欲しい。シュロが欲しい。シュロ」
「うん、私も。ちょうだい、ヴィム」
シュロと俺の『欲しい』は違う。でもいい。いいんだ。欲しがられるならなんだっていい。
シュロを抱きしめて擦り付ける。絡みついてくる肉をかき分けて、狭い奥のすきま何度も押し込む。シュロの腕も足も肉も、俺にしがみついて離れない。
シュロの腕を掴んだアイツらの腕を切り落としたかった。匂いを嗅いだ鼻面をぶった切りたかった。俺のメスに近づいた報いを受けさせたかった。
可愛い、愛しい、俺のメス。
止まらない腰を小刻みに叩きつけてたら、中がうねって絞られた。
「あっあ、シュロ、出る、出るっ、シュロッ」
「ン、っアアぁーーーー」
ズクズク脈打つ中に俺の証を吐き出す。
俺の下で硬直しているシュロが愛しい。苦しいほど愛しくて、どうしていいかわからない。
体が弛緩するのを待って、また動いた。
「んっ、う、ぁ、……ヴィム、ぁ」
「夜までって言ったよ」
「うん、……ふっ、ん、あぁ」
首を舐めたら、仰け反らせて高い声で鳴く。引っ掻くように軽く牙を立てて、顎を軽く噛んだ。シュロの手は俺の背中の毛を掻きまわしてて、なんだか強請られてるように思える。
この気持ちを言ってもいいだろうか。シュロを怖がらせるだろうか。守ってもらう代償と受け取るのかもしれない、そう考えると喉が詰まって何も言えなかった。
保護する代わりに抱かせろと、取引を持ち掛けたのは俺たちだ。だって、こんな気持ちになるなんて思わなかったんだ。
俺は卑怯者だ。どうしようもなく卑怯なことに、シュロを離さないためなら卑怯でも構わないと思ってる。
それでも、愛しさはどうしようもなく湧いて大事にしたいと心を焦がす。
「シュロ、可愛いね。可愛い。シュロ」
「ヴィム、……っ、あぁ」
「ここでしょ。シュロの感じる場所は覚えてるよ」
お腹側を軽く小刻みに叩くと、シュロの足が閉じるように動いて力が入る。ビクビクと中の締め付けが強くなる。
「シュロ、すごく締まる。すごい。あぁ、俺も出そう、シュロシュロ、出るっ」
「んっ――――――、…………ぁあ」
シュロの中が蠕動して俺を飲み込む。俺の熱を奥深くへ飲み込んでいく。
シュロから影を追い払いたくて抱き続け、途中で眠ってしまったシュロの髪を撫でた。もうすぐ冬になる。冬がすぎて春が来たらシュロを街に送る約束だ。その前に、もうここにいたくないと言うかもしれない。でも離れるなんてできない。シュロの寝顔に口付けて抱きしめた。
次の日のシュロは普通に見えた。いつものように笑って。でも、黙って隣に立つと体をビクリとさせ、そのあとで力を抜く。
俺は声を掛けてから側へ行くようにした。
約束通り一緒に出かける。シュロは息を切らして歩き、懸命に果物や木の実を採った。昼も抱こうと思ってたけど、あまりにもシュロが歩き疲れてるから止める。そのかわり家に帰ったら丁寧に体を洗い、夜はシュロが疲れ果てて眠るまで抱いた。
10日後、兄さんとヴィリが帰ってきた。管理官たちは違うルートで帰ったと聞いて、シュロの強張った体から力が抜ける。その夜は2人に交互に抱かれ、切れるように眠るまで縋り付いていた。
眠ってしまったシュロを布でくるんだ兄さんが渋い顔をする。
「ずっとこうなのか?」
「だいぶ元通りだったんだけど、話に出たから思い出したんじゃないかな。あと、黙ったまま近くに行くと驚くから、先に声をかけたほうがいいよ」
「……アイツらっ、殺せば良かった」
「お前ぇがそれで捕まったらシュロが困んだろ」
兄さんがヴィリを宥めるけど、俺も殺すのに賛成だ。
「それに、お前らじゃまだ敵わねぇな」
「オレは強くなるっ。兄貴、鍛えてくれるって言ったよな」
「ああ、わかってる」
「俺も」
「お前らは交代でシュロを連れ歩け。交代で鍛えるぞ」
俺とヴィリは頷いた。
皮肉だけど、俺たちが仲違いすることはなくなった。俺たちが揃わないと、この場所でシュロを守れないとわかったから。
シュロは街へ行きたいとも言わず、俺たちとくっついて眠る。このままどこにも行かなきゃいいのに。
ヴィリと交代でシュロと森を歩きまわる。冬用に色んな木の実を採って袋に入れ、俺たちが食べないモノはシュロが味見して採るかどうか決めた。
兄貴と一緒のときは仕事の合間に剣の稽古をする。俺は弓のほうが得意だから弓と、剣を躱す動きを先にやってる。
冬になる前、シュロはなめした毛皮で俺たちに手甲を作ってくれた。手袋だと仕事の邪魔になりそうだし、自分で作るのは難しいと笑って。
俺たちはシュロを抱きしめる。春なんか来るな。どこにも行かないでシュロ。声にならない気持ちで胸が痛い。俺たちには何もない。あるのは暮らし難さと危険だけ。
冬がやってきてシュロは家にこもり、俺たちも交代して家で過ごした。冬は駆除の数が少なくなるから丁度いい。
冬毛になった俺たちに、寒がりなシュロがくっついてくる。ずっと冬ならいい。このまま離れないでという願いに、ふと、離さなきゃいいという考えが混じった。シュロに巻き付けた自分の腕を見る。シュロの力じゃ俺の腕をふりほどけない。ほどきたくても無理だろう。
すごく簡単なことに思えてちょっと笑いそうになった。
ねぇ、シュロ、俺が捕まえて離さなかったら、シュロはどうする?
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