上 下
118 / 139
番外編

5.楽しみができた Side エーミール

しおりを挟む

Side エーミール

ユウナギが髪を梳かしにくる時間に、相談があると炭焼きがやってきた。

「ユウがね、魔法使いといるところを森番に見られるの怖がるんだ」
「怖がる?グラウのことで森番と揉めたからか?」
「うん。森番はもう大丈夫だし、そう言ってるんだけどユウは怖がったままなんだ。怖いままでいるのは可哀想だから、見ても平気だって教えてあげたいんだよね。筆頭と魔法使いの交尾に俺達も混ぜてもらいたいんだけど、いいかな?」
「・・・いきなりか?」
「そうじゃないと、森番の前で魔法使いと仲良くするなんてこと、ユウはしないよ。俺達が混ざって一緒でも平気だって見せるのが大事なんだ」
「ユウナギは嫌がるだろう?」
「嫌がるけど、森番が魔法使いとユウのこと分かろうとしてるって言えば大丈夫だと思う」

炭焼きの確信的な物言いに内心たじろいだ。ユウナギへの理解もあるが、穏やかで笑顔を崩さずたいして主張もしないのに、結局最後は自分の思い通りにことを運ぶ奴を思い出した。
狙われたら最後、諦めるか、妥協点までいくのに恐ろしいほど労力を使う。少なくともユウナギじゃ、逃げるなんて芸当はできやしない。ユウナギはとことん男の趣味が悪いな。

「それに、俺達、筆頭に交尾のこと教えてもらいたいんだ」
「なんのことだ?」
「俺達、ユウに教えてもらったから、他のこと知らなくて。筆頭は色んな交尾のこと知ってるよね?色々覚えてユウにしてあげたいんだ」
「・・・ユウナギも知らないこと?尻は使ったことなかったが、他に何かあるか?」
「お尻を使う?触るんじゃなくて?」
「・・では、それを実践するか」

研究熱心なのはいいことだが手札を取られるような気がして多少面白くない気もする。子供くらい年の離れた相手に大人げない態度も取れず了承したが、こちらを断り辛いところに持っていくのが上手いんだ、この手合いは。
話がまとまったところで、ユウナギとグラウがきた。

「何の話してたの?」
「夫同士の話だよ」
「内緒なの?」
「そう。ふふっ、ユウには内緒」

先程までの不穏な話を知らずにのん気なユウナギと、穏やかな炭焼き。ユウナギは完全に手のひらの上だな。
私の髪を梳かすユウナギにいささか同情する。グラウと炭焼きを見送り、ユウナギを抱きしめた。

「ユウナギは男の趣味が悪いな」
「何?ミカのこと?ミカはいっつも優しいよ?」
「・・・そうか。幸せか?」
「幸せだよ、大丈夫。心配してくれてありがとう」

囲い込んでいたぶる奴もいるが、炭焼きは甘やかすほうか。本人が幸せならそれでいい。
こうして手が掛かるから、余計に愛着が湧くのかもしれないな。

ユウナギに口付けをし、唇を軽く食んで柔らかさを味わう。一時期の痩せぎすから元に戻った、丸みのある体を抱きしめると優しく抱き返された。

体力も大分戻ったし、五人相手でも一度ずつなら大丈夫か。私はいいが、他の奴らはどうだろうな。まあ、炭焼きがいるから無理はさせないだろう。
五人相手に恥ずかしがるユウナギを想像してゾクリとする。可愛らしいだろうな。

興奮に身を任せ、テーブルに押し倒したユウナギの体をまさぐりながら口付けをしていると、グラウが戻ってきた。

「何してる」
「見ればわかるだろう」
「エーミール、もうお終い」
「あと少しだけ」

そう言えば大人しくなり、素直に口付けに応えるユウナギに嗜虐心を覚え、下着の中に指を忍ばせる。いまさら身を硬くしても遅いぞ、ユウナギ。掻き回して水音をさせると、ますます体を強張らせた。可愛いユウナギ、夫全員の前ならどんな顔をするんだろうな?
興奮に浮かれたまま、挿入し始めたら驚いて抵抗した。私の体の下で小さすぎる抵抗を。

「エーミール?」
「ユウナギ、少しだけだ。たまには私にも抱かせてくれ、お願いだ」

こうして甘えてみせると、仕方ないと受け入れて優しく抱きしめる。まったく甘過ぎる。だから炭焼きにも容易く転がされるんだ。我々を疑いもしないで甘やかす、優しく愛しいユウナギ。
私に組み敷かれて私を受け入れるユウナギを抱きしめる。濡れた目をして私を飲み込む。他の夫にもそんな目で抱かれるのか?想像で頭に血がのぼり、堪らず突き上げて熱を吐き出した。

ぐったりとユウナギの上に体を投げ出して息を整えていると、グラウが呆れた声を出す。

「まったく、お前は何してるんだ」
「自分が楽しめなかったからといって、やっかむな」
「腹の立つ奴だ」
「私の上でケンカ始めないでよ。雰囲気も何もないな」
「すまない、ユウナギ。ベッドの上でやり直すか」
「お終いですよ。もう帰るから送って。ミカが待ってるし」
「私とは?」
「また今度ね」

呆れた顔で笑い、頬に口付けを残して帰って行った。
戻ってきたグラウに炭焼きとの話を伝える。

「全員でか?私はいいが、ユウナギは無理じゃないか?」
「炭焼きが説得するらしいから、任せて大丈夫だろう」
「それなら大丈夫そうだな」
「なんだ、肩入れしてるな」
「ああ、敵わない」
「お前は単純だからな、相手にならんだろう」
「・・・お前はどうなんだ」
「もうユウナギの囲い込みは終わってるんだ、手の出しようがない。炭焼きがここまで変わるとは思わなかった。まあ、ユウナギに無理をさせなければいいんだから、問題ないだろう」
「・・・・そうだな」
「・・お前、無理させたのか・・・言っているだろう、体力が違うと。お前に巻き込まれてとばっちり食うのはごめんだぞ」
「・・もうしない、大丈夫だ」
「・・炭焼きと何かあったのか。・・・クッハハッ、お前も手のひらの上か、ハハハッ」

憮然とするグラウをひとしきり笑ってから仕事に行く。
良い楽しみができた。ユウナギはどんな顔をするのやら。恥ずかしがるのに、たまにとんでもないこともするからな、反応が楽しみだ。


しおりを挟む
感想 83

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。

すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。 そこで私は一人の男の人と出会う。 「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」 そんな言葉をかけてきた彼。 でも私には秘密があった。 「キミ・・・目が・・?」 「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」 ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。 「お願いだから俺を好きになって・・・。」 その言葉を聞いてお付き合いが始まる。 「やぁぁっ・・!」 「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」 激しくなっていく夜の生活。 私の身はもつの!? ※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 では、お楽しみください。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

好感度MAXから始まるラブコメ

黒姫百合
恋愛
「……キスしちゃったね」 男の娘の武田早苗と女の子の神崎茜は家が隣同士の幼馴染だ。 二人はお互いのことが好きだったがその好き幼馴染の『好き』だと思い、恋愛の意味の『好き』とは自覚していなかった。 あまりにも近くにいすぎたからこそすれ違う二人。 これは甘すぎるほど甘い二人の恋物語。

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~

恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん) は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。 しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!? (もしかして、私、転生してる!!?) そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!! そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?

処理中です...