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29.ヘルマン2 ※
しおりを挟む「今晩は、ミリ」
「こんばんは、ヘルマン」
「ただいま、ミリ」
「おかえり、イーヴォ」
帰ってきたら必ずイーヴォに抱きしめられる。子供に懐かれてるみたいでくすぐったい。
4人で食事をすると、ヘルマンがスープを美味しいと褒めてくれた。気遣いの人だなぁ。
「僕の実家は肉屋なんです」
「へえ、お肉屋さん。ソーセージとかも作ってるんですか? ヘルマンも作れます?」
「はい、……手伝いしていたので」
「すごい。ハーブソーセージって味付け難しそうだけど」
「レシピがあるんです」
「伝統の味つけですか? 新しい味のレシピとか作ります?」
「祖父のレシピをそのまま使ってます。たまに父が思い付きで工夫して、失敗したものは自分達で食べました」
「ああ、思い付きで一手間加えたくなったりする人いますよね」
「そうなんです。美味しいなら良いんですけどね。味が濃すぎたりして」
「しょっぱいなら砂糖入れれば、いんじゃねぇの?」
「……それは一番やっちゃダメだよ、イーヴォ」
「そうか?」
イーヴォの料理は危険物らしい。
和やかに食事を終え、片付けをして食後のお茶を飲む。
「先生は薬草の目利きだから、お茶も美味しいですね」
「そうなんだ。先生って凄いんですね」
「大したことではない」
「言われてみりゃ、兵団のお茶より上手ぇわ」
「先生、お茶の選び方を暇なときに教えてください」
「わかった」
お茶に使うハーブの話をヘルマンが色々教えてくれた。
しばらく話してから浴室へ行く。
「ヘルマンは物知りですね」
「家の手伝いしてましたし、好きなんですよね、やっぱり。実家は兄が継ぎますし、自分は帰れない状態ですけど」
「直接できなくても色々できることありますよ。お料理レシピの本書いたり、色んなハーブを混ぜて新しい味のお茶を作って、レシピを売ったりとか」
「……そうですね。新しい味も変化があっていいですね」
「限定して売れば気になる人が出てくるでしょうし。ヘルマン印のレシピってことで」
「ヘルマン印は良いですね」
実家問題がありそうなのでフォローしたけど、いいのか悪かったのか。ヘルマンはあまり感情が出ない。口の表情だけだし、よく分らない。まあ、やることやるだけさ。
うしろからギュッと抱きしめた。
「早くベッドへ行きましょう」
「……はい」
ヘルマンの全身を石鹸で洗う。もっちり感は変わらず。目を瞑ってもらって頭からお湯を掛け流した。
ヘルマンが私を洗ってくれる。大きな手だから洗うのが早い。笑い合って泡を流した。
ベッドに座って向かい合う。ヘルマンが私の手を握って話し出した。
「あの、首輪のことすみません。しておいて言うのも卑怯だと思うんですが」
「良いですよ。ここにいる分には不自由してないし、養ってもらってありがたいです。ヘルマンが何もしなくても、先生には買われてたんだし気にしないでください」
「……すみません」
「これ以上謝ると口をふさぎますよ」
ムスッと先生の顔真似をしてから、ヘルマンの口の端を食んだ。
「こういうふうに」
ふっふっふ、年上スパダリの話にありそうなセリフ! と思いながら笑ったら、ヘルマンも笑った。
6個の目がパチパチするのが可愛くてまぶたにキスをする。6個もあるとキスのし甲斐があるわ。頬にも口にも顔中にいくつもした。
肉に切れ目を入れただけのような口の合わせ目を舐める。このエロい口が涎でテラテラすると余計にエロい、と思いながら舐めた。
抱きしめて舌を入れ、歯茎と歯列を一緒になぞり、おとなしい舌をチロリと刺激した。ようやく絡みついてきた肉厚な舌に吸い付く。ヘルマンの後頭部を押さえて角度を深くし、口全体で咥えた。
肉厚な舌は吸い甲斐がある。舌先で舐めながら吸った。口を離して流れ込んでいた唾液を飲み込む。涎にまみれてテラテラひかるヘルマンの口は、淫靡でゾクゾクする。口に指を差し込むと、逡巡したあとにペロリと舐められて下腹部が痺れた。鳥肌が立った体の疼きをどうにもできず、肩に頬ずりをする。
「……また、こんなこと、できると思わなくて。でも、本当だ」
「うん……」
「ミリ、触ってもいいですか?」
「うん、ヘルマン、お願い、触って、舐めて」
体が疼いて堪らず、頬ずりしてお願いしたら押し倒されて体中を触られた。鳥肌が立った背中を撫でられると、仰け反って喘いでしまう。
グローブのような大きくて平べったい手で、お尻を包まれながら揉まれ身を捩った。膣口はジンジンと疼き刺激を待っている。
お尻を揉むときに広げられると晒される刺激でヒクつき、もどかしさがつのる。
お尻に舌の感触がする。ぬめって温かでゾクゾクする感触が。
背中をしならせて悶える私に構わず、ヘルマンはお尻を舐めて甘噛みを繰り返す。甘噛みのはっきりした、でも足りない刺激がますます私を悶えさせた。
「ヘルマン、お願い、もう、ああっ」
「ミリ、本当にいい?」
「お願い、ヘルマン、ちょうだい」
痺れた頭でペニスの根元が太過ぎたと思い出す。枕と布団を背中にして寄りかかり支えにした。ローションを手に塗って根元を握り、ヘルマンに挿入してもらう。
待ち焦がれた刺激が与えられて喉が仰け反った。
「お願い、お願い、動いて、ヘルマン」
「あっ、ミリ、本当に、こんな、ああっ、ああ」
体勢のせいか、凄く良い所に当たって腰が揺れてしまう。
「ヘルマン、良い、あああぁぁ、ああっっ」
「ミリ、こんな、あっああ、やらしい、ああっ、あアアぁぁぁっっ」
ヘルマンが硬直する。可愛いお肉の塊が中でぴゅくぴゅくと射精してるのかと思うと、下腹部が疼いて堪らず射精中のヘルマンに腰を擦りつけて達した。
息を切らしてゼイゼイしてると、ヘルマンの手がそっと私の頬を触る。
「……触っていいですか?」
「いいですよ。どこもかしこも、好きにして」
「ははっ、そんなこと言っちゃ、ダメですよ」
「だって、ヘルマンは『嫌だ』って言ったらやめてくれるでしょ?」
「……はい」
「だから大丈夫」
いきなりドSに豹変とかは無い、はず。なので笑って答えた。
「このまま、続けてもいいですか?」
「うん。お願いしようと思ってた」
ヘルマンの口が笑って私の唇を食む。啄み合って舌を絡ませると腰が動き出した。ゆっくりと穏やかな刺激が、体の中に広がっていく。ヘルマンの舌が私の首を撫でて鎖骨を弾くと、背骨に響くような痺れを感じた。
「ヘルマン、気持ち良い、このままずっとしてたいくらいに」
「ミリ、僕も」
ヘルマンの腰の動きが少しずつ早くなって、私にも刺激が送られてくる。目を開けたら、艶々してるヘルマンの6個の目が私を見てる気がした。
「よく見えるんでしょ? あんまり見られたら恥ずかしいよ」
「嬉しくて」
「ふふっ、じゃあ、もっとちょうだい、ヘルマン。……滅茶苦茶に」
「……ああ、あっ、ミリ」
ヘルマンの手が私の腰を押さえるから、強い打ち付けから逃がさないと言われてるみたいで興奮する。ヘルマンからの刺激を全部味わい尽くすように、私の中がうねって吸い付き、体の奥へと痺れを送りこんだ。
「あああっ、もう、お願い、ああぁぁぁっアアアっっ」
「ああ、ミリ、あああっ」
絶頂で仰け反り、腰が浮く。ヘルマンの最後の打ち付けのあと、痛いほど腰が押し付けられた。
弛緩したあと抱き合ったまま息を整える。ヘルマンの身体はもっちりして気持ち良い。
「ヘルマンの身体は全部気持ち良いですね」
「肉だらけなので」
「うん、埋もれてたい。気持ち良くて眠くなります」
「はははっ」
「体洗いに行きますか?」
「……もう少し、このまま」
ヘルマンの頭を胸に抱きしめてキスをする。こうやって抱き合ってじっとしてると親しみが増すな。何とも思わない人もいるだろうけど私は増すほう。
ヘルマンが動いて、ゆっくり体を起こしたので一緒に起き上がった。
手を繋いで体を洗いにいく。また丸洗いをして洗い流した。布でヘルマンを拭いていると、じっと見つめるのでキスをしたら抱きしめられた。抱き合って深いキスを繰り返す。口を離すと抱きしめたまま小声で話した。
「また、来てもいいですか?」
「また会えるの待ってます。ヘルマンと抱き合うの好きだから」
笑って言うと、6個の目がパチパチと瞬きしてから口が微笑んだ。
「そのうち先生に許可取って泊ってください。一緒に眠りましょう」
「僕のことを布団にするつもりでしょう?」
「ふふふ、気持ち良いから」
「はははっ、僕もミリを枕にします」
服を着て玄関まで一緒にいき、たまに振り返るヘルマンが見えなくなるまで見送った。
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