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第1章 召喚〜ロワクレス視点〜
召喚、断罪の後〜ロワクレス視点〜
しおりを挟むーーー おかしい。
そう思ったのは魔物のような召喚者を追い出た直後だった。
◇◇◇
召喚魔法を発動させた瞬間、謎の煙幕。
「召喚魔法による煙だ!問題ない!」
今の声は魔導師長か?
風が吹く。白い煙が晴れると、そこには貴族令嬢のようなピンクドレスの少女と見るからに魔物の姿の化け物。そして目覚めたばかりの精霊達。
警護していた騎士の行動は早かった。
「この、化け物が!」
咄嗟にピンクドレスの少女を守った騎士の気持ちはわかる。
今この場で、ピンクドレスの少女が善で化け物が悪。この場の全ての者の思いがそうだった。
精霊の愛し子を守らねば。
ピンクドレスの少女を守り化け物の排除をしなければ。しかし、この神聖な間を汚すわけには…。
「この場で王都から去ればなにもしない。言葉が通じるのならさっさと去れ」
◇
ーーー おかしい
そう思ったのは、化け物が去ってすぐだった。精霊視を持つ王族・侯爵・公爵の面々も異常に気付き、狼狽え始めている。
ーーー 精霊が一斉に消えた
確かに先程一斉に目覚めた。その精霊達が一斉に?
「まさか……」
勢いよく陛下の方を見ると、陛下は私を一瞥し頷いた。それを確認して部屋から出るが、あの化け物の姿はすでにない。
召喚に備えて人払いをしたのが仇になったか。
「後悔する事にならなければいいが……」
◇◇◇
王城から精霊が一斉に消えた。
召喚時に目覚めたはずの精霊が一斉に。再び眠りについたのではない。蜘蛛の子を散らすように一斉に逃げたのだ。
それは召喚の時に起こった事だが、それについて口にする者も騒ぎ立てる者もいなかったため、陛下は召喚に立ち会った精霊視を持つ者達に箝口令を敷いた。
精霊視を持たぬ貴族は精霊の行動に気付かず、召喚された少女メアリーに媚を売り始めた。
それが仇となったのか、少女は一週間もしないうちに傲慢な女となってしまった。
「次は黄色いドレスが欲しいわ!当然、ドレスに合うアクセサリーと靴もね!そのドレスを着てロワクレスとお茶会がしたいわ」
「ドレスは昨日作ったはずですが。そのドレスを着てお茶会にしましょう」
「嫌よ!新しいドレスがいいわ!」
「メアリー嬢、私はまだ昨日作られたというドレスを見ていません。兄上とのお茶会の際には私も参加させて頂き、ドレスを見せていただけませんか?」
「まぁ、リュカったら。そうね、リュカも参加するならそうしましょう」
王城の一室、感情むき出しの高い少女の声が部屋に響く。
その少女の対応をさせられているのが私と弟である第四王子リュカ。
止まらないキーキー声に対して、感情を殺し平坦な声で対応する私と、少女を宥めようと必死に対応するリュカ。
「まぁまぁ、メアリー嬢、喉は渇いていませんか?高級茶葉が手に入りまして、一緒にいかがですか?」
「高級?!いただくわ!ロワクレスもリュカも座って!一緒にいただきましょう。ロワクレス、私、あのお菓子が食べたいわ。食べさせてくださる?」
高級という言葉に弱い少女。リュカの勧めた紅茶をあっさり飲み、そして深い眠りへとついた。
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