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パーティ会場を後にした王子様は…
しおりを挟むパーティ会場から強制的に退場させられたジョシュアは苛立っていました。
「何なのだ!あの無礼な集団は!」
髪も服も乱れていたが、それらを治す余裕もありません。
従者が櫛を片手に慌てて駆け寄ってくるのが見えます。
「なんだ、早かったな」
「……兄上」
「その様子だと、パーティは失敗したのか?」
目の前にはこの国の王太子であるウィリアムが苦笑混じりの表情で立っていました。
「しかし……凄まじい格好だな」
まるで襲われた後みたいなジョシュアの格好にウィリアムは何とも言えない表情をしています。
「これでわかっただろ?王族の婚約者は高位貴族でないと無理だと。まぁ、次の誕生日パーティに参加する貴族令嬢達から婚約者候補を選べば良いさ」
元気を出せと、ジョシュアの頭を撫で、ウィリアムは去っていきました。ウィリアムは励ますために言った一言ですが、ジョシュアとしてはいつまでも子供扱いされているようで面白くありません。
ブスッと不貞腐れた顔をしたジョシュアの服装を整え終えたのか、従者は静かに数歩下がっていきました。
「おい、最後にパーティ会場に入ってきた赤いドレスの少女が老婆と一緒に入場したよな?」
「は?はい!時間ギリギリに来られた方ですね?覚えております」
「保護者は控え室で待機のはずだ。あの老婆はどうして会場まで入って来れたのだ?」
参加者の人数が多いため、別の庭園に保護者のための控えの場を設けていました。当然、パーティ会場までは保護者は入ってこられません。
つまりあの老婆はかなり高位の身分だと思われますが、ジョシュアは見た記憶がありませんでした。
「あの方は陛下にお通しするよう言われていた方なので……」
「陛下に?」
(陛下に謁見できるほどの身分。では、あの赤いドレスの少女も高位貴族なのか?しかし、少女が参加したのは平民達のパーティだ)
うーむ……と悩むジョシュアですが、
(わからん!)
しかし、今までわからなかった少女の手がかりが見つかったのは僥倖。ジョシュアは思わず緩んでしまう表情を引き締めて、自身の護衛や従者へと告げます。
「あの老婆を連れた赤いドレスを着た少女を婚約者とする!手がかりはあの老婆だ。老婆の身元を確認するため、陛下に謁見を願い出ろ」
やっと掴んだこのチャンス、絶対に逃さない。ジョシュアは初恋が実る予感に、顔が緩むのを止められませんでした。
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