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スベリヒユ実食!
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・【スベリヒユ実食!】
・
二時限目と三時限目の間の休憩時間は少し長めだ。
基本10分なんだけども、ここの間だけは20分ある。
まあ、給食の前に何か食べる時間ではないんだけどもね……。
僕と紗英は、ノエルちゃんを調理室に連れていき、最後の仕上げに移った。
「スベリヒユってどんな味なのかなぁっ! アタシ楽しみ!」
ニコニコしながらイスに座って、こっちを見ているノエルちゃん、そして紗英。
「……紗英も食べるの?」
「勿論! サバイバルするには、やっぱり味も知らないとなぁっ! まあちょっとでいいぞ!」
「紗英に関していえば、先に味知っていてほしかったけども」
そんな会話を僕と紗英がしていると、ノエルちゃんが割って入ってきた。
「誠一と紗英は付き合っているの?」
僕は急にそんなことを言われて、驚いてしまい、持っていたスベリヒユの皿を落としそうになってしまった。
慌てながらも僕は答えた。
「いやいやいや! 付き合っているとか全然そんなんじゃないよ! 普通の友達だよ!」
そう答えても、ノエルちゃんはどうも納得していない表情を浮かべながら、
「いやだってずっと一緒だし、誠一も紗英も好きなんでしょ? じゃあ付き合っているんでしょ?」
な、なんてグイグイくるんだ、このノエルちゃんは……デリカシーの欠片も無いのかもしれない……。
いやまあ確かに急に『お菓子食べたい!』と叫ぶ女の子だ。
このあたりの感じはいわゆる外国式なのかもしれない。
いやでもまあ、付き合ってはいないからなぁ、というか正直そういうのまだよく分からない、とか思っていると、紗英が
「付き合ってるとかそういうこと全く分からん!」
とハッキリそう言ってくれたので、ちょっとホッとした。
紗英が続ける。
「そういう感覚が分かんないんだ、俺は! だって一番の友達だからずっと一緒にいるだけで、それで恋愛がどうとか全然分かんない!」
それに僕も乗っかる形で、
「うん、そうだよね、付き合ってるからどうとか分からないよね、一緒にいて楽しいからいるだけだもんね」
と言うと、ノエルちゃんにニヤニヤしながらこう言った。
「なぁ~んだ! もう付き合ってるんじゃん!」
と言ってケラケラ笑った。
それに対して、ムッとしたのが紗英だった。
「いやいや! 別に付き合ってるとかそういうのじゃないし! 仲が良いだけだし!」
ノエルちゃんもこの辺で引いてくれればいいのに、なかなか引かずに、
「いやだってそれは付き合っているのと一緒だよ~! 手を繋いだり、チューをしたりしないのぉ~?」
そんなノエルちゃんの台詞に驚愕し、一度はたじろいだものの、すぐさま気を強く持った感じで立て直し、強い剣幕で喋り出した紗英。
「チュッ! チューっ? いや手を繋ぐことはあってもチューなんてしないだろ! 何だそれ! 汚いだろ! おい!」
いや、腕をしきりに舐めさせようとしていたヤツが言う台詞でもないような気がするけども。
ノエルちゃんは言う。
「いやいやいや! チューしたいんでしょー! 全然してもいいよ! アタシ黙ってるから!」
仮にしたとしたら絶対言いふらしそうだな、ノエルちゃんは。
失礼かもしれないけども、何かそんな感じがする。
紗英はデカい声で叫ぶ。
「いやチューなんてしたくないわ! そういうの全然分かんないんだって!」
「えぇー、女子なら分かるでしょ? 男子はまだ子供だから分かんないかもしれないけどさぁ?」
付き合ってる付き合ってないくだりはどうでもいいけども、男子はまだ子供だから分からないと言われたことに何か少しムッとしてしまった。
いやまあ実際分からないから別にいいかもしれないけども。
いやそれよりも、この女子ならとか、男子は、は、紗英にとっては禁句に近い言葉だ。
「女の子とか男の子とか関係無いだろ! 俺は俺だ! 俺らしく生きてやるからな!」
そう怒鳴ると、そのまま歩いて、そして紗英は調理室のドアを開けた。
僕は紗英がそのまま廊下に出てしまいそうだと思い、追いかけようとすると、紗英が
「いい! 誠一はこのノエルってバカに料理作ってあげて! 俺は一人でいたい!」
と言ってドアを強く閉めて、調理室から出て行ってしまった。
僕はどうしようか、おろおろしていると、ノエルちゃんが
「アタシ、バカじゃないけどなぁ! ……まっ、いなくなっちゃったらしょうがない! 料理作って作って~!」
と本当にバカみたいな声を上げたので、一瞬、めちゃくちゃ唐辛子を入れようかなと思ったけども、すぐに思いとどまって、僕は料理を完成させ、ノエルちゃんの前に差し出した。
「これがスベリヒユのサラダ、そしてこれがスベリヒユのコンソメスープ……です……」
紗英が心配だけども、今はやっぱり言ったことをちゃんとやらないとと思って、ノエルちゃんに料理の説明をした。
それをしっかり聞いたノエルちゃんは、箸を持って、
「いただきまぁ~す!」
と言ってから食べ始めた。
スベリヒユのサラダは山盛り作ったつもりだったんだけども、ノエルちゃんはペロリと平らげ、
「おいしい! スベリヒユの酸味とドレッシングの別の酸味が絡まって、すごくおいしい!」
と叫んだ。
まあおいしいと言ってくれるのは嬉しいけども、紗英がなぁ……と考えていると、
「ねぇ! ねぇ! 誠一! このドレッシングは隠し味にマスタード入ってるよね! さわやかな辛みが酸味に合って、すごくおいしいよ!」
と言ってニッコリ微笑んだ。
あまりにも澄んだ笑顔に何だかドギマギしてしまった。
「じゃあ次はこのスープね!」
ノエルちゃんはフゥフゥしながらスープをどんどんかきこんでいき、これもあっという間に食べきってしまった。
「コンソメに、めんつゆも入っているよね! 野菜や肉の旨味にめんつゆの甘みが合わさって、とても飲みやすい味になっている! コンソメだけじゃ味に深みが出ないんだよねぇっ! まあその分、めんつゆが入ると色が濁っちゃうんだけども、やっぱり食べ物は味だからねぇっ!」
……どうやらノエルちゃんは結構グルメらしい。
こういう話をノエルちゃんと、普通にできれば、良い友達になれそうなんだけどな、と思ったけども、すぐに紗英の顔が浮かんだ。
「じゃあ食べた皿やお椀は僕が洗っておくから、ノエルちゃんは教室に戻るといいよ」
と言うと、ノエルちゃんは首を大きく横に振り、
「アタシが食べたんだからアタシが洗うよ!」
と言って立ち上がり、水出し口のほうへ行き、じゃぶじゃぶと洗いだした。
それをなんとなく見ている僕。
まあここの鍵は僕が持っているので、待たないといけないんだけども。
洗い終わったノエルちゃんはこっちのほうをくるりと向いて、ツインテールを優しく揺らしながら、
「ありがとうね! 誠一! これからよろしくね!」
と言って笑った。
何か、慣れない感じで、やけに心臓が高鳴った。
・【スベリヒユ実食!】
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二時限目と三時限目の間の休憩時間は少し長めだ。
基本10分なんだけども、ここの間だけは20分ある。
まあ、給食の前に何か食べる時間ではないんだけどもね……。
僕と紗英は、ノエルちゃんを調理室に連れていき、最後の仕上げに移った。
「スベリヒユってどんな味なのかなぁっ! アタシ楽しみ!」
ニコニコしながらイスに座って、こっちを見ているノエルちゃん、そして紗英。
「……紗英も食べるの?」
「勿論! サバイバルするには、やっぱり味も知らないとなぁっ! まあちょっとでいいぞ!」
「紗英に関していえば、先に味知っていてほしかったけども」
そんな会話を僕と紗英がしていると、ノエルちゃんが割って入ってきた。
「誠一と紗英は付き合っているの?」
僕は急にそんなことを言われて、驚いてしまい、持っていたスベリヒユの皿を落としそうになってしまった。
慌てながらも僕は答えた。
「いやいやいや! 付き合っているとか全然そんなんじゃないよ! 普通の友達だよ!」
そう答えても、ノエルちゃんはどうも納得していない表情を浮かべながら、
「いやだってずっと一緒だし、誠一も紗英も好きなんでしょ? じゃあ付き合っているんでしょ?」
な、なんてグイグイくるんだ、このノエルちゃんは……デリカシーの欠片も無いのかもしれない……。
いやまあ確かに急に『お菓子食べたい!』と叫ぶ女の子だ。
このあたりの感じはいわゆる外国式なのかもしれない。
いやでもまあ、付き合ってはいないからなぁ、というか正直そういうのまだよく分からない、とか思っていると、紗英が
「付き合ってるとかそういうこと全く分からん!」
とハッキリそう言ってくれたので、ちょっとホッとした。
紗英が続ける。
「そういう感覚が分かんないんだ、俺は! だって一番の友達だからずっと一緒にいるだけで、それで恋愛がどうとか全然分かんない!」
それに僕も乗っかる形で、
「うん、そうだよね、付き合ってるからどうとか分からないよね、一緒にいて楽しいからいるだけだもんね」
と言うと、ノエルちゃんにニヤニヤしながらこう言った。
「なぁ~んだ! もう付き合ってるんじゃん!」
と言ってケラケラ笑った。
それに対して、ムッとしたのが紗英だった。
「いやいや! 別に付き合ってるとかそういうのじゃないし! 仲が良いだけだし!」
ノエルちゃんもこの辺で引いてくれればいいのに、なかなか引かずに、
「いやだってそれは付き合っているのと一緒だよ~! 手を繋いだり、チューをしたりしないのぉ~?」
そんなノエルちゃんの台詞に驚愕し、一度はたじろいだものの、すぐさま気を強く持った感じで立て直し、強い剣幕で喋り出した紗英。
「チュッ! チューっ? いや手を繋ぐことはあってもチューなんてしないだろ! 何だそれ! 汚いだろ! おい!」
いや、腕をしきりに舐めさせようとしていたヤツが言う台詞でもないような気がするけども。
ノエルちゃんは言う。
「いやいやいや! チューしたいんでしょー! 全然してもいいよ! アタシ黙ってるから!」
仮にしたとしたら絶対言いふらしそうだな、ノエルちゃんは。
失礼かもしれないけども、何かそんな感じがする。
紗英はデカい声で叫ぶ。
「いやチューなんてしたくないわ! そういうの全然分かんないんだって!」
「えぇー、女子なら分かるでしょ? 男子はまだ子供だから分かんないかもしれないけどさぁ?」
付き合ってる付き合ってないくだりはどうでもいいけども、男子はまだ子供だから分からないと言われたことに何か少しムッとしてしまった。
いやまあ実際分からないから別にいいかもしれないけども。
いやそれよりも、この女子ならとか、男子は、は、紗英にとっては禁句に近い言葉だ。
「女の子とか男の子とか関係無いだろ! 俺は俺だ! 俺らしく生きてやるからな!」
そう怒鳴ると、そのまま歩いて、そして紗英は調理室のドアを開けた。
僕は紗英がそのまま廊下に出てしまいそうだと思い、追いかけようとすると、紗英が
「いい! 誠一はこのノエルってバカに料理作ってあげて! 俺は一人でいたい!」
と言ってドアを強く閉めて、調理室から出て行ってしまった。
僕はどうしようか、おろおろしていると、ノエルちゃんが
「アタシ、バカじゃないけどなぁ! ……まっ、いなくなっちゃったらしょうがない! 料理作って作って~!」
と本当にバカみたいな声を上げたので、一瞬、めちゃくちゃ唐辛子を入れようかなと思ったけども、すぐに思いとどまって、僕は料理を完成させ、ノエルちゃんの前に差し出した。
「これがスベリヒユのサラダ、そしてこれがスベリヒユのコンソメスープ……です……」
紗英が心配だけども、今はやっぱり言ったことをちゃんとやらないとと思って、ノエルちゃんに料理の説明をした。
それをしっかり聞いたノエルちゃんは、箸を持って、
「いただきまぁ~す!」
と言ってから食べ始めた。
スベリヒユのサラダは山盛り作ったつもりだったんだけども、ノエルちゃんはペロリと平らげ、
「おいしい! スベリヒユの酸味とドレッシングの別の酸味が絡まって、すごくおいしい!」
と叫んだ。
まあおいしいと言ってくれるのは嬉しいけども、紗英がなぁ……と考えていると、
「ねぇ! ねぇ! 誠一! このドレッシングは隠し味にマスタード入ってるよね! さわやかな辛みが酸味に合って、すごくおいしいよ!」
と言ってニッコリ微笑んだ。
あまりにも澄んだ笑顔に何だかドギマギしてしまった。
「じゃあ次はこのスープね!」
ノエルちゃんはフゥフゥしながらスープをどんどんかきこんでいき、これもあっという間に食べきってしまった。
「コンソメに、めんつゆも入っているよね! 野菜や肉の旨味にめんつゆの甘みが合わさって、とても飲みやすい味になっている! コンソメだけじゃ味に深みが出ないんだよねぇっ! まあその分、めんつゆが入ると色が濁っちゃうんだけども、やっぱり食べ物は味だからねぇっ!」
……どうやらノエルちゃんは結構グルメらしい。
こういう話をノエルちゃんと、普通にできれば、良い友達になれそうなんだけどな、と思ったけども、すぐに紗英の顔が浮かんだ。
「じゃあ食べた皿やお椀は僕が洗っておくから、ノエルちゃんは教室に戻るといいよ」
と言うと、ノエルちゃんは首を大きく横に振り、
「アタシが食べたんだからアタシが洗うよ!」
と言って立ち上がり、水出し口のほうへ行き、じゃぶじゃぶと洗いだした。
それをなんとなく見ている僕。
まあここの鍵は僕が持っているので、待たないといけないんだけども。
洗い終わったノエルちゃんはこっちのほうをくるりと向いて、ツインテールを優しく揺らしながら、
「ありがとうね! 誠一! これからよろしくね!」
と言って笑った。
何か、慣れない感じで、やけに心臓が高鳴った。
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