25 / 32
【昔話を明るくツッコむ】
しおりを挟む
・
・【昔話を明るくツッコむ】
・
「なのっ、実は菜乃、暗い青春時代を過ごしてきたの」
いや
「急にそんな、どうしたんだよ、菜乃。ジメジメしたスタート切りすぎだろ」
「ううん、別にツッコまなくてもいいの、でも菜乃の昔話を聞いてほしいの、ダメ?」
いや、まあ、
「とにかく菜乃は自分の意志で昔話を聞いてほしいということか、それなら別にいいけども、自分の意志なら」
「うん、自分が喋りたくて話すの。話を聞いて、時折相槌を打ってくれればいいの」
そう言ってしっとりとした菜乃。
いや、
「ゴメン、菜乃。俺、ツッコミの特訓中だからツッコむよ、めちゃくちゃツッコむよ」
「なの……そうしてほしいの……」
少し瞳を潤ませながら、そう言った菜乃。
これは悲しい話なのだろうか、いやでも俺はツッコんでやる。
菜乃を絶対楽しませてやる、そう心に誓った。
「じゃあ話始めるの、菜乃の暗さ、オープンなの」
「いやでもスタートは底無しの明るさだな、オープンって陽の言葉だから、新装開店の言葉だから」
「誰がパチンコ屋なの」
「いや菜乃のツッコミは大丈夫だから、新装開店・イコール・パチンコ屋のJKはちょっと嫌だから」
菜乃は一息ついてから、語り出した。
「菜乃はなかなか周りと馴染めなかったの、言うなれば良い香りのお花畑に置かれたクサいタバコのカスなの、菜乃は」
「タバコで自分を例えなくていいから、JKがパチンコ屋の次にタバコという語彙の連鎖、かなり嫌だから」
「明るく振る舞おうとしているだけなのに、無視されることもあって。菜乃、鼻眼鏡で登校したの、良くなかったのかな? ズレてたの?」
「それはもうすごいズレだね、そういうボケがウケるのは元々人気のある人だけだよ」
菜乃は肩をすぼませながら、こう言った。
「実際菜乃は本当にズレているの。明るい挙手をしたくて、クラッカーを仕込んで鳴らしたらヒカれちゃったこともあるの」
「それはもう火薬の匂い含めて良くないね、明るい挙手は大きな声だけで十分だからね」
「そうなの、菜乃の学校で一時期火薬禁止令出たけども、それは菜乃のせいなの」
「まあ学校はそんな禁止令出さなくても、本来火薬禁止だろうけども」
菜乃は一息ついてから、
「あと匂いで言えば、オナラ騒ぎの時、めちゃくちゃ騒いだらクラスのカースト一位の女子のオナラで、泣かれちゃって、すごいひんしゅくを買ったことがあるの」
「そうだね、めちゃくちゃ騒いでいいことなんてないからね、騒ぐという日本語は良い意味を持っていないからね」
「結局菜乃はカースト上位から無理やり授業中、オナラを三発させられたの」
「でもよく出せたね、それがアメージングだよ、サッカーなら三発快勝って言われるヤツだよ、三発って」
菜乃は少し照れ臭そうに笑ってから、
「良い下剤があったの」
「いやオナラの音は口と腕で鳴らしなよ、そこのズレがすごいよ、下剤でガチのオナラ鳴らさなくても大丈夫だったよ、きっと」
「多分そうだったの……結果的にちょっと漏れたの……」
「もうそれはJKのトドメだね、JKのウンコ漏れた話は何だかよく分からないけどもトドメだね」
菜乃は唇を噛んでから、
「だから中学時代は大変だったの」
「いや女子中学生のオナラ騒ぎはかなりダメだよ、小学生の話だと思っていただけに目を丸くしたよ」
「中学生じゃないと下剤なんて買えないの」
「いやまあ中学生もまだ下剤に頼る年齢じゃないけどもね、きっとお父さんの下剤だと思って薬剤師も売ったと思うよ」
菜乃は少し上のほうを見て、
「そうだったのかなぁ、菜乃の顔見てあの薬剤師は”超下剤”だと思ったんじゃないのかなぁ」
「菜乃は全然下剤顔じゃないよ、普通に可愛いよ」
「菜乃、普通に可愛いと言われちゃったの……嬉しいの……」
「だから鼻眼鏡なんて必要無いよ、菜乃は笑顔を見せてくれるだけでいいんだよ」
フフッと笑ってから菜乃は俺のほうをしっかり見ながら、こう言った。
「菜乃……ズレている菜乃と一緒にいてくれる? ずっと一緒にいてくれるの……?」
「大丈夫、俺の人生はもっとズレ始めたから。何なら菜乃のズレと俺のズレがちょうどいい方向に噛み合って、最高の形になるかもな」「最高の形って何なの……?」
「まあ普通に考えて一ミリのズレも無い、完璧な曲線のハートマークじゃないか?」
と言ったところでシューカが俺と菜乃の間に物理的に割って入ってきて、
「このままキスするヤツやん! もうアカン! 止めさせてもらうわ!」
いや
「キスはしないわ、こんなオヤッサンのいるところでしないわ、この人、怖いもん」
するとオヤッサンがデカい声で、
「でもオヤッサンのおかげで怪奇が出てないでぇい! オヤッサンは基本的に怪奇から嫌われているでぇい!」
いや!
「やっぱりそうなんかい! 薄々感じていたけども!」
「そして悟志少年は怪奇から好かれているでぇい、アツアツでぇい」
「いや俺は菜乃からだけ好かれたいんだよ!」
とツッコんだところで、菜乃は顔を真っ赤にしながら、
「なの……恥ずかしいの……」
と言ったが、それに対してすぐさまシューカが、
「今さらやねん! ずっとハズいねん! 自分ら!」
そんな感じで俺たち四人は喋り合った。
正直楽しかった。
もし全放映状態を手にし、ツッコミの練習をしなくても良くなったとしても、またこの四人で集まってワイワイ遊びたいなとは思った。
・【昔話を明るくツッコむ】
・
「なのっ、実は菜乃、暗い青春時代を過ごしてきたの」
いや
「急にそんな、どうしたんだよ、菜乃。ジメジメしたスタート切りすぎだろ」
「ううん、別にツッコまなくてもいいの、でも菜乃の昔話を聞いてほしいの、ダメ?」
いや、まあ、
「とにかく菜乃は自分の意志で昔話を聞いてほしいということか、それなら別にいいけども、自分の意志なら」
「うん、自分が喋りたくて話すの。話を聞いて、時折相槌を打ってくれればいいの」
そう言ってしっとりとした菜乃。
いや、
「ゴメン、菜乃。俺、ツッコミの特訓中だからツッコむよ、めちゃくちゃツッコむよ」
「なの……そうしてほしいの……」
少し瞳を潤ませながら、そう言った菜乃。
これは悲しい話なのだろうか、いやでも俺はツッコんでやる。
菜乃を絶対楽しませてやる、そう心に誓った。
「じゃあ話始めるの、菜乃の暗さ、オープンなの」
「いやでもスタートは底無しの明るさだな、オープンって陽の言葉だから、新装開店の言葉だから」
「誰がパチンコ屋なの」
「いや菜乃のツッコミは大丈夫だから、新装開店・イコール・パチンコ屋のJKはちょっと嫌だから」
菜乃は一息ついてから、語り出した。
「菜乃はなかなか周りと馴染めなかったの、言うなれば良い香りのお花畑に置かれたクサいタバコのカスなの、菜乃は」
「タバコで自分を例えなくていいから、JKがパチンコ屋の次にタバコという語彙の連鎖、かなり嫌だから」
「明るく振る舞おうとしているだけなのに、無視されることもあって。菜乃、鼻眼鏡で登校したの、良くなかったのかな? ズレてたの?」
「それはもうすごいズレだね、そういうボケがウケるのは元々人気のある人だけだよ」
菜乃は肩をすぼませながら、こう言った。
「実際菜乃は本当にズレているの。明るい挙手をしたくて、クラッカーを仕込んで鳴らしたらヒカれちゃったこともあるの」
「それはもう火薬の匂い含めて良くないね、明るい挙手は大きな声だけで十分だからね」
「そうなの、菜乃の学校で一時期火薬禁止令出たけども、それは菜乃のせいなの」
「まあ学校はそんな禁止令出さなくても、本来火薬禁止だろうけども」
菜乃は一息ついてから、
「あと匂いで言えば、オナラ騒ぎの時、めちゃくちゃ騒いだらクラスのカースト一位の女子のオナラで、泣かれちゃって、すごいひんしゅくを買ったことがあるの」
「そうだね、めちゃくちゃ騒いでいいことなんてないからね、騒ぐという日本語は良い意味を持っていないからね」
「結局菜乃はカースト上位から無理やり授業中、オナラを三発させられたの」
「でもよく出せたね、それがアメージングだよ、サッカーなら三発快勝って言われるヤツだよ、三発って」
菜乃は少し照れ臭そうに笑ってから、
「良い下剤があったの」
「いやオナラの音は口と腕で鳴らしなよ、そこのズレがすごいよ、下剤でガチのオナラ鳴らさなくても大丈夫だったよ、きっと」
「多分そうだったの……結果的にちょっと漏れたの……」
「もうそれはJKのトドメだね、JKのウンコ漏れた話は何だかよく分からないけどもトドメだね」
菜乃は唇を噛んでから、
「だから中学時代は大変だったの」
「いや女子中学生のオナラ騒ぎはかなりダメだよ、小学生の話だと思っていただけに目を丸くしたよ」
「中学生じゃないと下剤なんて買えないの」
「いやまあ中学生もまだ下剤に頼る年齢じゃないけどもね、きっとお父さんの下剤だと思って薬剤師も売ったと思うよ」
菜乃は少し上のほうを見て、
「そうだったのかなぁ、菜乃の顔見てあの薬剤師は”超下剤”だと思ったんじゃないのかなぁ」
「菜乃は全然下剤顔じゃないよ、普通に可愛いよ」
「菜乃、普通に可愛いと言われちゃったの……嬉しいの……」
「だから鼻眼鏡なんて必要無いよ、菜乃は笑顔を見せてくれるだけでいいんだよ」
フフッと笑ってから菜乃は俺のほうをしっかり見ながら、こう言った。
「菜乃……ズレている菜乃と一緒にいてくれる? ずっと一緒にいてくれるの……?」
「大丈夫、俺の人生はもっとズレ始めたから。何なら菜乃のズレと俺のズレがちょうどいい方向に噛み合って、最高の形になるかもな」「最高の形って何なの……?」
「まあ普通に考えて一ミリのズレも無い、完璧な曲線のハートマークじゃないか?」
と言ったところでシューカが俺と菜乃の間に物理的に割って入ってきて、
「このままキスするヤツやん! もうアカン! 止めさせてもらうわ!」
いや
「キスはしないわ、こんなオヤッサンのいるところでしないわ、この人、怖いもん」
するとオヤッサンがデカい声で、
「でもオヤッサンのおかげで怪奇が出てないでぇい! オヤッサンは基本的に怪奇から嫌われているでぇい!」
いや!
「やっぱりそうなんかい! 薄々感じていたけども!」
「そして悟志少年は怪奇から好かれているでぇい、アツアツでぇい」
「いや俺は菜乃からだけ好かれたいんだよ!」
とツッコんだところで、菜乃は顔を真っ赤にしながら、
「なの……恥ずかしいの……」
と言ったが、それに対してすぐさまシューカが、
「今さらやねん! ずっとハズいねん! 自分ら!」
そんな感じで俺たち四人は喋り合った。
正直楽しかった。
もし全放映状態を手にし、ツッコミの練習をしなくても良くなったとしても、またこの四人で集まってワイワイ遊びたいなとは思った。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
赤月の夜の生贄
喜島 塔
ホラー
このお話は、ある看護師が語る、悍ましい死を遂げた患者さんの話です。
「今夜は、赤い月が出ているのね」
眞方呂(まほろ)さんという名の還暦間近の寡黙な美しい御婦人が明かした最初で最期の身の上話は俄かには信じがたいものでした。地図に載っていない閉鎖的な集落に生まれ育った眞方呂さんは、集落を護る”赤月之命(あかつきのみこと)”様への生贄に選ばれて……
あの夜、病室で起こった出来事が真実だったのか悪夢だったのかを知っているのは、あの日の夜の赤い月だけなのです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/children_book.png?id=95b13a1c459348cd18a1)
すぐケガしちゃう校長先生を止める話
青西瓜(伊藤テル)
児童書・童話
この小学校の生徒会長には大切な仕事があった。
それは校長先生を守ること。
校長先生は少し特殊な個性や能力を持っていて、さらにそれを使ってすぐケガしちゃうし、大声で泣いてしまうのだ。
だから生徒会長は校長先生のお守りをしないといけないのだ。
それを補助してくれるはずの生徒副会長の桜さんも天然ボケがすごい人で、今日も今日とてハチャメチャだ。
これは僕と校長先生と桜さんの話。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/horror.png?id=d742d2f035dd0b8efefe)
【完結】大量焼死体遺棄事件まとめサイト/裏サイド
まみ夜
ホラー
ここは、2008年2月09日朝に報道された、全国十ケ所総数六十体以上の「大量焼死体遺棄事件」のまとめサイトです。
事件の上澄みでしかない、ニュース報道とネット情報が序章であり終章。
一年以上も前に、偶然「写本」のネット検索から、オカルトな事件に巻き込まれた女性のブログ。
その家族が、彼女を探すことで、日常を踏み越える恐怖を、誰かに相談したかったブログまでが第一章。
そして、事件の、悪意の裏側が第二章です。
ホラーもミステリーと同じで、ラストがないと評価しづらいため、短編集でない長編はweb掲載には向かないジャンルです。
そのため、第一章にて、表向きのラストを用意しました。
第二章では、その裏側が明らかになり、予想を裏切れれば、とも思いますので、お付き合いください。
表紙イラストは、lllust ACより、乾大和様の「お嬢さん」を使用させていただいております。
逢魔ヶ刻の迷い子2
naomikoryo
ホラー
——それは、封印された記憶を呼び覚ます夜の探索。
夏休みのある夜、中学二年生の六人は学校に伝わる七不思議の真相を確かめるため、旧校舎へと足を踏み入れた。
静まり返った廊下、誰もいないはずの音楽室から響くピアノの音、職員室の鏡に映る“もう一人の自分”——。
次々と彼らを襲う怪異は、単なる噂ではなかった。
そして、最後の七不思議**「深夜の花壇の少女」**が示す先には、**学校に隠された“ある真実”**が眠っていた——。
「恐怖」は、彼らを閉じ込めるために存在するのか。
それとも、何かを伝えるために存在しているのか。
七つの怪談が絡み合いながら、次第に明かされる“過去”と“真相”。
ただの怪談が、いつしか“真実”へと変わる時——。
あなたは、この夜を無事に終えることができるだろうか?
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
11:11:11 世界の真ん中で……
白い黒猫
ホラー
それは何でもない日常の延長の筈だった。
いつものように朝起きて、いつものように会社にいって、何事もなく一日を終え明日を迎える筈が……。
七月十一日という日に閉じ込められた二人の男と一人の女。
サトウヒロシはこの事態の打開を図り足掻くが、世界はどんどん嫌な方向へと狂っていく。サトウヒロシはこの異常な状況から無事抜け出せるのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる