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【牛になりきったオヤッサン】
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・【牛になりきったオヤッサン】
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「もぉぉおおおおおおおお! オヤッサン牛だもぉぉおおおおおおおおおおお!」
両手を地面に付けて、四つ足状になったオヤッサン。
俺は静かに近付いていき、
「まあ、オヤッサン牛と日本語喋るところは序盤だから大目に見るわ」
「牛乳じゃなくて酢汁が出るもぉぉおおおおおおおおおおお!」
「酢でいいんだよ、牛乳という言葉にも汁はついていないだろ」
チラリとシューカのほうを見ると、良い調子といった面持ちで頷いている。
菜乃のほうを見ると、頑張れって感じで固唾を飲んでいる。
いや
「菜乃、そんな死に至る試験じゃないから、そんな表情しなくていい」
「なのー! でも生死のかかった闘いなのー!」
と菜乃が言うと、すぐさまオヤッサンが、
「精子をかけたいフィギュア!」
と叫んだ。
いや
「マニアックな趣向を急に叫ぶな、牛であれよ、牛乳であれよ、せめて」
「もぉぉおおおおおおおお! 一人前の子供に牛乳をかけたい!」
「いや一人前の子供って何だよ、子供はまだ半人前だろ」
と俺がツッコんだところで、シューカのほうから笛の音がピーっと聞こえた。
何だろうと思って、そちらを見ると、ホイッスルをくわえたシューカが腕を上げて立っていた。
ホイッスルをポケットに戻したシューカはこう言った。
「今のはツッコミが甘いねん! 牛乳というワードが死んどんねん! オヤッサンは牛や! まず牛の要素をしっかり拾ったツッコミをすんねん!」
何だよ、オヤッサンは牛て、オヤッサンは牛じゃないだろと思いつつも、
「じゃあどうすれば良かったんだよ」
「シューカちゃんやったらそうやなぁ、いや子供に牛乳与えてより成長しようとしてるやん、を、ツッコミの中に入れるかなぁ」
「確かに牛乳の要素を拾った上で、一人前の部分も掴んでいるな」
「そうやろ? シューカちゃんはツッコミうまいやろ?」
そう鼻高々で言ってきたシューカ。
まあツッコミがうまいくらいで何なんだとも思うけども、今の俺には必要な能力みたいなので、真面目に聞いている感じで頷いていると、
「ほな! 再開!」
とシューカは叫び、またオヤッサンが、
「もぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお! オヤッサン牛だもぉぉおおおおおおおお!」
と響かせたので、俺は
「いや仕切り直したら、そこから始めないと乗らないのかよ」
それに対してオヤッサンは照れ臭そうに、
「そこツッコまれると恥ずかしいもぉお」
と言って笑った。
「オヤッサンの素の一面はどうでもいいんだけどもね」
「オヤッサンの酢飯の一面は乳房からだもぉぉおおおおおおおおお!」
そう言いながら体を揺らしたオヤッサン。
いや
「全然乳房揺れてないから、オヤッサンは動くことによってめっちゃ酢飯クサさを飛ばすけども、乳房は決して揺れていないから」
「牧草と言う名の寿司を食うもぉぉおお」
「牛は生魚いかないから、米はいくけど生魚はいかないから」
とツッコんだその時だった。
オヤッサンはこうべを下げて、なんと空き地の草を直に食べ始めたのだ。
「いや! なりきりすぎだろ! あとオヤッサンだから生魚はいけるんだよ!」
「牛としての価値観」
「整然とそう仰る時点で牛じゃないんだよ!」
オヤッサンは口から砂をこぼしながら、
「ジョリジョリする……」
「ジャリジャリな! 剃ったヒゲが口の中に入っているんじゃない! 砂が入っているんだよ!」
オヤッサンは口から大量のヨダレと共に砂を吐き出した。
「いや体が正常には働ている! 異物が入ったらヨダレが出るシステムは作動している! ただし人間としてのな!」
「オヤッサンは牛じゃありませんでした」
と言いながらも、まだまだ四つ足だったので、
「じゃあもう四つ足をやめろ! それとも牛以外の四つ足の生物なのかっ?」
とツッコむと、オヤッサンはニッコリと微笑みながら、
「四つ足人間でぇい」
「もしそうだとしたら腕にも靴履けよ! でも違うだろ! よく口砂直後に微笑めるな!」
「口砂は本当にキツかったでぇい」
そう言いながら立ち上がったオヤッサン。
「あっ、もう完全にやめた。口砂に心折れて完全にやめたじゃん」
「もう口が砂に近い状態を維持することも怖くなっているでぇい」
「四つ足恐怖症じゃん、いやまあ砂恐怖症だろうけども」
一連の流れが終わったところで、シューカが手を叩きながら、
「まあ及第点やなぁ」
いや
「厳しい師匠である自分に酔っているヤツかよ、まあまあ良かっただろ」
とツッコむと、
「そういうシューカちゃんの恥ずかしいところを露呈するツッコミは減点や」
「いや説明しているだけだから、んで図星なのかよ」
「図星すぎてつらいわ、つらたんやん」
「何で急にJKみたいなこと言ったんだよ、まあシューカはJKだからいいんだけども」
と言ったところで菜乃が、
「菜乃もJKなの、だからJKみたいなこと言うの、ガンダ直後なの」
「いや全然ガンガンダッシュした直後ではないだろ、あと微妙にガンダ直後ってあんま聞かないし、息も切らしてないし」
そんな会話をしていると、オヤッサンがカットインしてきた。
「プロパンガスのガンダ、プロパガンダでぇい」
「プロパンガスのダッシュって何だよ、設置する予定忘れていて今急いでやって来たのかよ、プロパガンダは政治的な宣伝だし、政治的な宣伝やっていたら遅れたのかよ」
そうツッコんだところで、シューカが、
「アカン、ちょっとツッコミ長いわ」
「いやオヤッサンのボケが複雑すぎるからだよ」
「それもあるわ、でもそういう時は要点をまとめるとええで」
「ボケに要点なんてないだろ」
それにシューカは頷きながら、
「確かにそうや」
と言った。
いや確かにそうなのかよと思っていると、シューカがこう言った。
「次の特訓にうつるで、次はずっとツッコミ続ける、無限ツッコミや!」
何か張り切っていろいろ考えてきたんだなぁ、と思った。
でもそこをツッコむと減点らしいので、黙っていた。
・【牛になりきったオヤッサン】
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「もぉぉおおおおおおおお! オヤッサン牛だもぉぉおおおおおおおおおおお!」
両手を地面に付けて、四つ足状になったオヤッサン。
俺は静かに近付いていき、
「まあ、オヤッサン牛と日本語喋るところは序盤だから大目に見るわ」
「牛乳じゃなくて酢汁が出るもぉぉおおおおおおおおおおお!」
「酢でいいんだよ、牛乳という言葉にも汁はついていないだろ」
チラリとシューカのほうを見ると、良い調子といった面持ちで頷いている。
菜乃のほうを見ると、頑張れって感じで固唾を飲んでいる。
いや
「菜乃、そんな死に至る試験じゃないから、そんな表情しなくていい」
「なのー! でも生死のかかった闘いなのー!」
と菜乃が言うと、すぐさまオヤッサンが、
「精子をかけたいフィギュア!」
と叫んだ。
いや
「マニアックな趣向を急に叫ぶな、牛であれよ、牛乳であれよ、せめて」
「もぉぉおおおおおおおお! 一人前の子供に牛乳をかけたい!」
「いや一人前の子供って何だよ、子供はまだ半人前だろ」
と俺がツッコんだところで、シューカのほうから笛の音がピーっと聞こえた。
何だろうと思って、そちらを見ると、ホイッスルをくわえたシューカが腕を上げて立っていた。
ホイッスルをポケットに戻したシューカはこう言った。
「今のはツッコミが甘いねん! 牛乳というワードが死んどんねん! オヤッサンは牛や! まず牛の要素をしっかり拾ったツッコミをすんねん!」
何だよ、オヤッサンは牛て、オヤッサンは牛じゃないだろと思いつつも、
「じゃあどうすれば良かったんだよ」
「シューカちゃんやったらそうやなぁ、いや子供に牛乳与えてより成長しようとしてるやん、を、ツッコミの中に入れるかなぁ」
「確かに牛乳の要素を拾った上で、一人前の部分も掴んでいるな」
「そうやろ? シューカちゃんはツッコミうまいやろ?」
そう鼻高々で言ってきたシューカ。
まあツッコミがうまいくらいで何なんだとも思うけども、今の俺には必要な能力みたいなので、真面目に聞いている感じで頷いていると、
「ほな! 再開!」
とシューカは叫び、またオヤッサンが、
「もぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお! オヤッサン牛だもぉぉおおおおおおおお!」
と響かせたので、俺は
「いや仕切り直したら、そこから始めないと乗らないのかよ」
それに対してオヤッサンは照れ臭そうに、
「そこツッコまれると恥ずかしいもぉお」
と言って笑った。
「オヤッサンの素の一面はどうでもいいんだけどもね」
「オヤッサンの酢飯の一面は乳房からだもぉぉおおおおおおおおお!」
そう言いながら体を揺らしたオヤッサン。
いや
「全然乳房揺れてないから、オヤッサンは動くことによってめっちゃ酢飯クサさを飛ばすけども、乳房は決して揺れていないから」
「牧草と言う名の寿司を食うもぉぉおお」
「牛は生魚いかないから、米はいくけど生魚はいかないから」
とツッコんだその時だった。
オヤッサンはこうべを下げて、なんと空き地の草を直に食べ始めたのだ。
「いや! なりきりすぎだろ! あとオヤッサンだから生魚はいけるんだよ!」
「牛としての価値観」
「整然とそう仰る時点で牛じゃないんだよ!」
オヤッサンは口から砂をこぼしながら、
「ジョリジョリする……」
「ジャリジャリな! 剃ったヒゲが口の中に入っているんじゃない! 砂が入っているんだよ!」
オヤッサンは口から大量のヨダレと共に砂を吐き出した。
「いや体が正常には働ている! 異物が入ったらヨダレが出るシステムは作動している! ただし人間としてのな!」
「オヤッサンは牛じゃありませんでした」
と言いながらも、まだまだ四つ足だったので、
「じゃあもう四つ足をやめろ! それとも牛以外の四つ足の生物なのかっ?」
とツッコむと、オヤッサンはニッコリと微笑みながら、
「四つ足人間でぇい」
「もしそうだとしたら腕にも靴履けよ! でも違うだろ! よく口砂直後に微笑めるな!」
「口砂は本当にキツかったでぇい」
そう言いながら立ち上がったオヤッサン。
「あっ、もう完全にやめた。口砂に心折れて完全にやめたじゃん」
「もう口が砂に近い状態を維持することも怖くなっているでぇい」
「四つ足恐怖症じゃん、いやまあ砂恐怖症だろうけども」
一連の流れが終わったところで、シューカが手を叩きながら、
「まあ及第点やなぁ」
いや
「厳しい師匠である自分に酔っているヤツかよ、まあまあ良かっただろ」
とツッコむと、
「そういうシューカちゃんの恥ずかしいところを露呈するツッコミは減点や」
「いや説明しているだけだから、んで図星なのかよ」
「図星すぎてつらいわ、つらたんやん」
「何で急にJKみたいなこと言ったんだよ、まあシューカはJKだからいいんだけども」
と言ったところで菜乃が、
「菜乃もJKなの、だからJKみたいなこと言うの、ガンダ直後なの」
「いや全然ガンガンダッシュした直後ではないだろ、あと微妙にガンダ直後ってあんま聞かないし、息も切らしてないし」
そんな会話をしていると、オヤッサンがカットインしてきた。
「プロパンガスのガンダ、プロパガンダでぇい」
「プロパンガスのダッシュって何だよ、設置する予定忘れていて今急いでやって来たのかよ、プロパガンダは政治的な宣伝だし、政治的な宣伝やっていたら遅れたのかよ」
そうツッコんだところで、シューカが、
「アカン、ちょっとツッコミ長いわ」
「いやオヤッサンのボケが複雑すぎるからだよ」
「それもあるわ、でもそういう時は要点をまとめるとええで」
「ボケに要点なんてないだろ」
それにシューカは頷きながら、
「確かにそうや」
と言った。
いや確かにそうなのかよと思っていると、シューカがこう言った。
「次の特訓にうつるで、次はずっとツッコミ続ける、無限ツッコミや!」
何か張り切っていろいろ考えてきたんだなぁ、と思った。
でもそこをツッコむと減点らしいので、黙っていた。
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