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【イケメンからナンパされる】

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・【イケメンからナンパされる】


 と思った矢先に、やたらイケメンな人から話し掛けられた。
 よしっ、一体何だろうか、また何か変なこと言われるのか、いやいや普通に道案内かもしれない。
 とにかく真面目に対応しよう。
「やぁ、そこの女の子、オレと一緒にちょっとお茶しない?」
 ……ん? あぁ、俺に話し掛けたわけじゃなかったのか、俺の肩を叩いてきたから俺だと思っちゃった。
 まあ間違って俺の肩に触れちゃっただけかもな、ささっ、ナンパの邪魔しちゃダメだから、さっさとこの場を去ろう。
「おーい、君っ、聞こえてるんでしょ? 一瞬こっち見たじゃん?」
 ……俺の肩を触っている、というか掴んでいる、いや、えっ、あっ、男性が好きなお方ね、そういうことか。
「ちょっと君、可愛い女の子だからって無視をこなれちゃダメじゃん」
 ……いや、さっきも”女の子”と言ってたな……ということは、この人、俺が女子に見えている?
 いやまあ確かに俺はちょっと中性的ではあるけども、こんなハッキリ女の子と言われるなんて。
 とにかく
「すみません、俺、女子じゃないんで」
「そんな嘘で逃げるなんてお茶目じゃん!」
 そう言ってクスクス笑うイケメン。
 いやいや、お茶目ならオマエのほうがお茶目だわ、男子を女子に見えるって相当お茶目だわ。
「まあとにかくオレとお茶しようぜ、ちょっと会話するだけだからさっ」
 そう爽やかに口角を上げたイケメン。
 いやどうしよう、こういう時どう言えばいいんだろうか、初めてだから皆目見当がつかない。
 とにかく男子であることをアピールするしかないか。
「あのですね、俺、結構筋肉ありますよ」
 袖をまくり、腕を見せて筋肉をアピールしてみた。
 すると、
「筋肉女子は大好きだし、やっぱ鍛えてる女子は心も強くてカッコイイし!」
「いやだから、普通に男子なんですって、あの、公衆トイレに一緒に行きませんか?」
 いっそのことチンコを見せるしかないと思って俺はそう言うと、イケメンは無邪気に笑いながら、
「いや! ノリ良いじゃん! じゃあもう間の部分すっ飛ばしてヤッちゃう?」
「あの、えっと、そういう性行為を行ないたいという意味じゃなくて」
「良いじゃん良いじゃん! 楽しくなければ人生じゃないし、さっさとヤッちゃおうかっ!」
「いやあの……だから……その……」
 と、さすがにちょっと焦るとイケメンは髪をかき上げ一言。
「分かってるよ! やっぱちゃんとホテルでしたいし! 優しくしてあげたいからさ!」
「いやだからそういうことじゃなくて、マジで俺、男子なんですよ」
「最後までそのノリでいく気? 逆に興奮するしっ♪」
 そう言ってニッコリと笑ったイケメン。
 いやいや、ダメだもう、チンコ見せるしか方法無い人だ。
 こんな一気に最終手段まで持っていかせる人いるんだ。
 仕方なく、俺はズボンとパンツを同時に掴んで、見せるための空間を作ろうとしたその時だった。
 イケメンは俺の手を掴んで、こう言った。
「そういうはしたないの、似合わないと思う……ゴメン、オレさ、マジだから……軽い関係でいきたいわけじゃないから……」
 伏し目がちに、でも真剣な表情でそう言ったイケメン。
 いや!
「男子なんですよ! 俺! チンコ見せますから! チンコ!」
 ついデカい声が出てしまった。
 でも逆にというか、向こう目線でいけば、急に「チンコ!」と叫ぶ女子は嫌だろうからこれでいいかな、と思ったが、
「ギャグのチンコとかはオレ全然アリだし! 超楽しい! 君最高!」
「いやもう全然ダメだ! 無敵か! 無敵の状態だな!」
「いや無敵ではないねっ、チンコと叫べる君が無敵さっ」
「確かに女子だとしたらそうかもしれないけども、男子が路上で叫ぶ”チンコ”はただただ嫌な感じだよ!」
 イケメンはフッと不敵に笑ってから一息ついた。
 そして
「分かった分かった、今日はこの辺でやめとくよ、じゃあまた運命の赤い糸が絡まったその時にっ」
 そう言ってイケメンはその場を去った。
 助かった……もう、一回仲良くなるしか方法無いのかな、と思っていたけども、なんとか助かった。
 というか何なんだ、この絡み。
 でも何かちょっと気になることを言っていたような、いやでも思い出せない。
 まあいいや、とにかく今回の人はこれで終わって良かった。
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