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【ポジティブ祭り 荒岩奈津】
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・【ポジティブ祭り 荒岩奈津】
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僕と啓太がいつも通り登校すると、校門でこっちへ向かって手を振る女の子がいた。
啓太が小さい声で、
「あの子が次のヤツか」
と言ったので、僕は、
「どんな子か楽しみだね」
「いや全然楽しくないけども……」
そんな会話をしながら、その子に近くへ行くと、その子は僕と啓太の前にバンッと立ちはだかってこう言った。
「私は荒岩奈津! 通称なっちゃん! ポジティブ1万回! よろしくね!」
啓太は一息ついてから、
「ポジティブは回数じゃないから、一回の強度だから」
とりあえず啓太は知られているからいいとして、僕は自己紹介しないとダメだなと思って、
「僕は穂高駿です。気軽に駿と呼んで下さい。よろしくお願いします」
と言うと、なっちゃんはニッコリと微笑みながら、
「駿だなんて足が速そう! 今度一緒にマラソン大会出ようね!」
何だか元気満タンな子だなぁ、というか僕の”駿”に対して何か言うことが規定演技みたいになってる。
どう陸上関係と絡ませるかの規定演技みたいになっているなぁ。
さて啓太はなんて言うのか待っていると、
「いや駿って名前だから、そんなに名は体現すヤツいないから」
「でも私、なっちゃんは夏のように熱い女の子です!」
そう言って拳を強く握ったなっちゃん。
啓太は少し困惑した表情をしながら、
「いやまあなっちゃんの字を知らないからなんとも言えないけども」
「私の奈津は、奈良の奈に、大津の津です!」
「近畿地方の県庁所在地でまとめたな」
「関西のように人情でありたいからです!」
そう言いながらハイくんの時と同様にそのまま僕と啓太についてきたなっちゃん。
そしてなっちゃんはそのまま僕たちの教室の中に入ってきた。
すると菜乃ちゃんがビックリしながら、
「なのー! なっちゃん久しぶりなのー! クラスが替わってから全然だったのー!」
「実は私も啓太くんの相方候補の時いたんだよ!」
「そうだったのー! 菜乃は自分に必死過ぎて何も気付いていなかったのー!」
「なんと! 涼くんもいたよ!」
……何だか会話が盛り上がっているなっちゃんと菜乃ちゃん。
それを尻目に僕と啓太は距離を置いて、というか単純に菜乃ちゃんの席と遠いので、自分たちの席に戻ると、なっちゃんと菜乃ちゃんが一緒に僕たちのほうへやって来て、なっちゃんが、
「朝の暇な時間こそ一番のトーク時間でしょ!」
と言いながら啓太の肩を叩いてきた。
さらになっちゃんは続ける。
「昼休みとかは私も啓太くんたちも忙しいだろうから、私はこの朝の時間帯だけよろしくね!」
それを聞いた啓太は幾分楽かもしれないという表情になり、
「それならまあ、何か言いたいことあったらいくらでも言っていいよ」
と言うと、菜乃ちゃんがカットインしてきて、
「なのー、菜乃のいいところ十個言うのー」
それに対して啓太は、
「今、菜乃ちゃんの番じゃないから。下がって、下がって」
するとなっちゃんが楽しそうに、
「菜乃ちゃんの良いところはねー! 明るい! 楽しい! 面白い! 可愛い! 優しい! 天然なところが好き! 元気! 天真爛漫! 足が速い! 授業中は意外と静かで真面目! おまけにもう一個! 一緒にいるとすごくワクワクする! またクラス一緒になったら一緒にいようね!」
「なのー! 菜乃は大興奮なのー!」
そう言いながら菜乃ちゃんは自分の席へ戻っていった。
というか、このなっちゃんのポジティブというか、人を褒める思考回路の速さがすごい。
ハイくんの時も思ったけども、本当にいろんな人がいるんだなぁ、と感心してしまった。
啓太は改めて、
「で、なっちゃんが俺と会話したいことって何?」
そう聞くと、なっちゃんは目を光らせながら、こう言った。
「まず啓太くんを十個褒めるね! ツッコミが鋭い! ツッコミが早い! ツッコミがカッコイイ! ガッチリした体型が力強い! 坊主でさわやか! というか正直イケメン! 誰にでもツッコんでくれて優しい! 頭も良いと評判! 背が高くてカッコイイ! ツッコミのボキャブラリーが豊富!」
言われた啓太はキョトンとしたのち、急に恥ずかしそうに顔を真っ赤にしながら、
「そういうことって、あんまり言わなくないか?」
「ううん! そういうことこそ声に出すべきだと私は思うよ! だってポジティブな言葉を浴びたら元気になるじゃん!」
「そんな体調悪い時の熱めのシャワーみたいに言われても。というか俺への褒め、半分はツッコミだったな」
「でもこれから深く付き合っていけば、もっと内面のことを褒めることができるよ! ほら! 私とコンビを組みたくなっちゃんじゃないのっ?」
そう言ってニッコリと笑ったなっちゃん。
この人はかなり強力な人だと僕は思った。
もし相方にするなら僕はこういう人と組みたい。
もしかしたら啓太はここで決めちゃうんじゃ、と思っていると、啓太は、
「いやでも誰にでもそういうことを言うのは軽く思われるんじゃないか?」
「でも私はみんなに幸せになってほしいんだ! 私の言葉で幸せになってくれたら超コスパいいじゃん! もういくらでも出せるよ!」
「そんな大富豪のチップみたいに言われても」
「言葉の大富豪だなんて褒めないでよー! もー!」
と言いながら顔の前で手をブンブン振ったなっちゃん。
いやまあ啓太もそんな褒めたつもりで言ったわけじゃないだろうけども。
どうやらなっちゃんはどんな人でも褒めて、どんな言葉も褒められているように感じるらしい。
ふと、僕は思ったことを口にしてみた。
「そう言えば、なっちゃんってどうして漫才大会で優勝したいの? 何か叶えたい願いがあるの?」
「お目が高い! オメガお目が高い!」
それに対して啓太は、
「いやスーパーとかハイパーみたいな感じでオメガを使うな」
なっちゃんはニコニコしながら、
「いろんな言葉を使いたい年頃なんです! というわけで私が叶えたい願いはね! 一日全員のポジティブ台詞を合計すると1万回になるような学校にしたいんだ!」
それに対して啓太はすかさずツッコむ。
「いやここで自己紹介の伏線を回収するなよ。というか1万回は無理だろ」
「そんな無理という言葉をダメ! 無理という言葉はダメな時しか使っちゃダメ!」
「だから今こそダメというタイミングなんだよ」
「まあそれくらいという意味だから! ゆるく捉えてOKだから! ねっ! ねっ!」
必死に、すがるようにそう言うなっちゃん。
どうやら結構本気でポジティブ溢れる世界にしたいみたいだ。
でも、と思って僕はここで割って入った。
「ポジティブって強制されると大変なんじゃないかな」
それに対してムッとした口になったなっちゃん。
でも僕は気にせず続ける。
「頑張ってポジティブになろうと考えることは心の負担になると思うんだ。そりゃポジティブなことを言ってほしい時もあるけども、悲しく沈みたい時はしっかり沈んだほうがいいと思うんだ。そして心をリセットしてから、また歩み出したほうがいいんじゃないかな」
少し黙ってしまったなっちゃん。
僕はなっちゃんの次の言葉を待っていると、
「いろんな人生の解釈! これだから人との会話は止められないね!」
と声を上げた。
どうやら楽しそうでホッとした。
なっちゃんは続ける。
「私はポジティブの道を歩むし、駿くんは起伏のある道を歩むわけだね! 最終的にどっちが大きな国を制圧するか勝負だね!」
ここで啓太がツッコむ。
「いやそんな物騒な時代みたいな言い方で締めるなよ」
「勝負はいつだって物騒だよ! でも終わったらノーサイド! 握手で終わるんだ! あと笑顔ね!」
そう言ってニッコリと口角を上げたなっちゃんは、まだ喋る。
「というわけで私とコンビを組んでポジティブな世界を作ろうよ!」
啓太は即決でこう言った。
「いやそれは大丈夫かな、どちらかと言えば俺は駿派だからな」
するとなっちゃんは、
「親友をとるわけね! 熱い友情だ! フーフー!」
と何だか囃し立ててきたので、啓太は恥ずかしそうに俯いた。
なっちゃんは強く拳を握り、
「そうだ! 啓太くんは何か叶えたい願いがあるのっ?」
そう言えば、啓太の叶えたい願いって何だろう。
漫才大会には出たいようだったけども、何で出たいのかとか、叶えたい願いが何なのかって聞いたことなかったな。
ちょうどなっちゃんも言い出したし、僕もそれに乗っかって、
「啓太の願い事とか聞いてみたいな」
と言ってみると、啓太が、
「じゃあ後でな。ただし、駿にしか言わないけども」
するとなっちゃんは、
「ポッと出じゃ無理かぁー!」
と叫んで頭を抱えながら仰け反った。
リアクションデカいなぁ、と単純にそう思った。
結局朝の時間帯はこれで終わって、ホームルームが始まった。
そして授業、給食で、昼休みになり、僕と啓太はあまりひと気の無い、特別教室の廊下へ歩いていった。
・【ポジティブ祭り 荒岩奈津】
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僕と啓太がいつも通り登校すると、校門でこっちへ向かって手を振る女の子がいた。
啓太が小さい声で、
「あの子が次のヤツか」
と言ったので、僕は、
「どんな子か楽しみだね」
「いや全然楽しくないけども……」
そんな会話をしながら、その子に近くへ行くと、その子は僕と啓太の前にバンッと立ちはだかってこう言った。
「私は荒岩奈津! 通称なっちゃん! ポジティブ1万回! よろしくね!」
啓太は一息ついてから、
「ポジティブは回数じゃないから、一回の強度だから」
とりあえず啓太は知られているからいいとして、僕は自己紹介しないとダメだなと思って、
「僕は穂高駿です。気軽に駿と呼んで下さい。よろしくお願いします」
と言うと、なっちゃんはニッコリと微笑みながら、
「駿だなんて足が速そう! 今度一緒にマラソン大会出ようね!」
何だか元気満タンな子だなぁ、というか僕の”駿”に対して何か言うことが規定演技みたいになってる。
どう陸上関係と絡ませるかの規定演技みたいになっているなぁ。
さて啓太はなんて言うのか待っていると、
「いや駿って名前だから、そんなに名は体現すヤツいないから」
「でも私、なっちゃんは夏のように熱い女の子です!」
そう言って拳を強く握ったなっちゃん。
啓太は少し困惑した表情をしながら、
「いやまあなっちゃんの字を知らないからなんとも言えないけども」
「私の奈津は、奈良の奈に、大津の津です!」
「近畿地方の県庁所在地でまとめたな」
「関西のように人情でありたいからです!」
そう言いながらハイくんの時と同様にそのまま僕と啓太についてきたなっちゃん。
そしてなっちゃんはそのまま僕たちの教室の中に入ってきた。
すると菜乃ちゃんがビックリしながら、
「なのー! なっちゃん久しぶりなのー! クラスが替わってから全然だったのー!」
「実は私も啓太くんの相方候補の時いたんだよ!」
「そうだったのー! 菜乃は自分に必死過ぎて何も気付いていなかったのー!」
「なんと! 涼くんもいたよ!」
……何だか会話が盛り上がっているなっちゃんと菜乃ちゃん。
それを尻目に僕と啓太は距離を置いて、というか単純に菜乃ちゃんの席と遠いので、自分たちの席に戻ると、なっちゃんと菜乃ちゃんが一緒に僕たちのほうへやって来て、なっちゃんが、
「朝の暇な時間こそ一番のトーク時間でしょ!」
と言いながら啓太の肩を叩いてきた。
さらになっちゃんは続ける。
「昼休みとかは私も啓太くんたちも忙しいだろうから、私はこの朝の時間帯だけよろしくね!」
それを聞いた啓太は幾分楽かもしれないという表情になり、
「それならまあ、何か言いたいことあったらいくらでも言っていいよ」
と言うと、菜乃ちゃんがカットインしてきて、
「なのー、菜乃のいいところ十個言うのー」
それに対して啓太は、
「今、菜乃ちゃんの番じゃないから。下がって、下がって」
するとなっちゃんが楽しそうに、
「菜乃ちゃんの良いところはねー! 明るい! 楽しい! 面白い! 可愛い! 優しい! 天然なところが好き! 元気! 天真爛漫! 足が速い! 授業中は意外と静かで真面目! おまけにもう一個! 一緒にいるとすごくワクワクする! またクラス一緒になったら一緒にいようね!」
「なのー! 菜乃は大興奮なのー!」
そう言いながら菜乃ちゃんは自分の席へ戻っていった。
というか、このなっちゃんのポジティブというか、人を褒める思考回路の速さがすごい。
ハイくんの時も思ったけども、本当にいろんな人がいるんだなぁ、と感心してしまった。
啓太は改めて、
「で、なっちゃんが俺と会話したいことって何?」
そう聞くと、なっちゃんは目を光らせながら、こう言った。
「まず啓太くんを十個褒めるね! ツッコミが鋭い! ツッコミが早い! ツッコミがカッコイイ! ガッチリした体型が力強い! 坊主でさわやか! というか正直イケメン! 誰にでもツッコんでくれて優しい! 頭も良いと評判! 背が高くてカッコイイ! ツッコミのボキャブラリーが豊富!」
言われた啓太はキョトンとしたのち、急に恥ずかしそうに顔を真っ赤にしながら、
「そういうことって、あんまり言わなくないか?」
「ううん! そういうことこそ声に出すべきだと私は思うよ! だってポジティブな言葉を浴びたら元気になるじゃん!」
「そんな体調悪い時の熱めのシャワーみたいに言われても。というか俺への褒め、半分はツッコミだったな」
「でもこれから深く付き合っていけば、もっと内面のことを褒めることができるよ! ほら! 私とコンビを組みたくなっちゃんじゃないのっ?」
そう言ってニッコリと笑ったなっちゃん。
この人はかなり強力な人だと僕は思った。
もし相方にするなら僕はこういう人と組みたい。
もしかしたら啓太はここで決めちゃうんじゃ、と思っていると、啓太は、
「いやでも誰にでもそういうことを言うのは軽く思われるんじゃないか?」
「でも私はみんなに幸せになってほしいんだ! 私の言葉で幸せになってくれたら超コスパいいじゃん! もういくらでも出せるよ!」
「そんな大富豪のチップみたいに言われても」
「言葉の大富豪だなんて褒めないでよー! もー!」
と言いながら顔の前で手をブンブン振ったなっちゃん。
いやまあ啓太もそんな褒めたつもりで言ったわけじゃないだろうけども。
どうやらなっちゃんはどんな人でも褒めて、どんな言葉も褒められているように感じるらしい。
ふと、僕は思ったことを口にしてみた。
「そう言えば、なっちゃんってどうして漫才大会で優勝したいの? 何か叶えたい願いがあるの?」
「お目が高い! オメガお目が高い!」
それに対して啓太は、
「いやスーパーとかハイパーみたいな感じでオメガを使うな」
なっちゃんはニコニコしながら、
「いろんな言葉を使いたい年頃なんです! というわけで私が叶えたい願いはね! 一日全員のポジティブ台詞を合計すると1万回になるような学校にしたいんだ!」
それに対して啓太はすかさずツッコむ。
「いやここで自己紹介の伏線を回収するなよ。というか1万回は無理だろ」
「そんな無理という言葉をダメ! 無理という言葉はダメな時しか使っちゃダメ!」
「だから今こそダメというタイミングなんだよ」
「まあそれくらいという意味だから! ゆるく捉えてOKだから! ねっ! ねっ!」
必死に、すがるようにそう言うなっちゃん。
どうやら結構本気でポジティブ溢れる世界にしたいみたいだ。
でも、と思って僕はここで割って入った。
「ポジティブって強制されると大変なんじゃないかな」
それに対してムッとした口になったなっちゃん。
でも僕は気にせず続ける。
「頑張ってポジティブになろうと考えることは心の負担になると思うんだ。そりゃポジティブなことを言ってほしい時もあるけども、悲しく沈みたい時はしっかり沈んだほうがいいと思うんだ。そして心をリセットしてから、また歩み出したほうがいいんじゃないかな」
少し黙ってしまったなっちゃん。
僕はなっちゃんの次の言葉を待っていると、
「いろんな人生の解釈! これだから人との会話は止められないね!」
と声を上げた。
どうやら楽しそうでホッとした。
なっちゃんは続ける。
「私はポジティブの道を歩むし、駿くんは起伏のある道を歩むわけだね! 最終的にどっちが大きな国を制圧するか勝負だね!」
ここで啓太がツッコむ。
「いやそんな物騒な時代みたいな言い方で締めるなよ」
「勝負はいつだって物騒だよ! でも終わったらノーサイド! 握手で終わるんだ! あと笑顔ね!」
そう言ってニッコリと口角を上げたなっちゃんは、まだ喋る。
「というわけで私とコンビを組んでポジティブな世界を作ろうよ!」
啓太は即決でこう言った。
「いやそれは大丈夫かな、どちらかと言えば俺は駿派だからな」
するとなっちゃんは、
「親友をとるわけね! 熱い友情だ! フーフー!」
と何だか囃し立ててきたので、啓太は恥ずかしそうに俯いた。
なっちゃんは強く拳を握り、
「そうだ! 啓太くんは何か叶えたい願いがあるのっ?」
そう言えば、啓太の叶えたい願いって何だろう。
漫才大会には出たいようだったけども、何で出たいのかとか、叶えたい願いが何なのかって聞いたことなかったな。
ちょうどなっちゃんも言い出したし、僕もそれに乗っかって、
「啓太の願い事とか聞いてみたいな」
と言ってみると、啓太が、
「じゃあ後でな。ただし、駿にしか言わないけども」
するとなっちゃんは、
「ポッと出じゃ無理かぁー!」
と叫んで頭を抱えながら仰け反った。
リアクションデカいなぁ、と単純にそう思った。
結局朝の時間帯はこれで終わって、ホームルームが始まった。
そして授業、給食で、昼休みになり、僕と啓太はあまりひと気の無い、特別教室の廊下へ歩いていった。
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